JP2001048055A - 車体のフレーム構造及びその形成方法 - Google Patents
車体のフレーム構造及びその形成方法Info
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- JP2001048055A JP2001048055A JP11222835A JP22283599A JP2001048055A JP 2001048055 A JP2001048055 A JP 2001048055A JP 11222835 A JP11222835 A JP 11222835A JP 22283599 A JP22283599 A JP 22283599A JP 2001048055 A JP2001048055 A JP 2001048055A
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- Automobile Manufacture Line, Endless Track Vehicle, Trailer (AREA)
- Body Structure For Vehicles (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 充填材11が充填されたセンターピラー2に
おいて、未発泡状態の充填材10の保持を確実に行える
ようにすると共に、充填材10を保持する部分に、充填
材保持機能だけでなく品質や性能等を向上させる機能を
付加する。 【解決手段】 充填材11の発泡充填空間を形成する閉
断面部材としてのレインフォースメント14に、フレー
ム長手方向に略沿った複数のビード14b,14b,…
を形成し、この各ビード14b内を含む発泡充填空間
に、充填材11を発泡充填させる。
おいて、未発泡状態の充填材10の保持を確実に行える
ようにすると共に、充填材10を保持する部分に、充填
材保持機能だけでなく品質や性能等を向上させる機能を
付加する。 【解決手段】 充填材11の発泡充填空間を形成する閉
断面部材としてのレインフォースメント14に、フレー
ム長手方向に略沿った複数のビード14b,14b,…
を形成し、この各ビード14b内を含む発泡充填空間
に、充填材11を発泡充填させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
おける車体のフレーム構造及びその形成方法に関する技
術分野に属する。
おける車体のフレーム構造及びその形成方法に関する技
術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のフレーム構造として
は、車室内に伝達される振動や騒音を抑えたり強度や剛
性を高めたりする観点から、フレーム断面の少なくとも
一部を閉断面状に形成する閉断面部材を備え、該閉断面
部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填空間が形成され
たものが知られている。
は、車室内に伝達される振動や騒音を抑えたり強度や剛
性を高めたりする観点から、フレーム断面の少なくとも
一部を閉断面状に形成する閉断面部材を備え、該閉断面
部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填空間が形成され
たものが知られている。
【0003】そして、上記のように発泡充填空間を形成
する場合、例えば特開平6−156317号公報に示さ
れているように、センターピラーにおいて閉断面部材と
してのインナパネルとレインフォースメントとにより充
填材の発泡充填空間を画成し、この発泡充填空間内の断
面略中央にブラケットを設け、このブラケットに未発泡
状態の充填材を閉断面部材から浮かせてセットすること
で、電着塗装時の塗料の付き回り性を向上させるように
することが提案されている。
する場合、例えば特開平6−156317号公報に示さ
れているように、センターピラーにおいて閉断面部材と
してのインナパネルとレインフォースメントとにより充
填材の発泡充填空間を画成し、この発泡充填空間内の断
面略中央にブラケットを設け、このブラケットに未発泡
状態の充填材を閉断面部材から浮かせてセットすること
で、電着塗装時の塗料の付き回り性を向上させるように
することが提案されている。
【0004】また、例えば特公平1−56945号公報
に示されているように、閉断面部材としてのインナパネ
ルとアウタパネルとにより充填材の発泡充填空間を画成
し、このインナパネルに、フレーム断面内に突出して断
面積を縮小する縮小部を設け、この縮小部の上側に未発
泡状態の充填材をセットすることで、電着液の流下中に
充填材が流出するのを防止するようにすることが提案さ
れている。
に示されているように、閉断面部材としてのインナパネ
ルとアウタパネルとにより充填材の発泡充填空間を画成
し、このインナパネルに、フレーム断面内に突出して断
面積を縮小する縮小部を設け、この縮小部の上側に未発
泡状態の充填材をセットすることで、電着液の流下中に
充填材が流出するのを防止するようにすることが提案さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記前者の提
案例(特開平6−156317号公報)のものでは、充
填材を確実に保持できるものの、ブラケットへの充填材
のセットが困難であるという問題がある。また、そのブ
ラケットは単に充填材を保持する機能しか有していない
ため、そのようなブラケットを設けるのはコストパフォ
ーマンスが低く、改良の余地がある。
案例(特開平6−156317号公報)のものでは、充
填材を確実に保持できるものの、ブラケットへの充填材
のセットが困難であるという問題がある。また、そのブ
ラケットは単に充填材を保持する機能しか有していない
ため、そのようなブラケットを設けるのはコストパフォ
ーマンスが低く、改良の余地がある。
【0006】一方、上記後者の提案例(特公平1−56
945号公報)のものでは、充填材を確実に保持でき、
しかも、充填材のセットは容易であるものの、上記前者
の提案例と同様に、縮小部は単に充填材を上下方向に保
持する機能しか有してないため、改良の余地がある。
945号公報)のものでは、充填材を確実に保持でき、
しかも、充填材のセットは容易であるものの、上記前者
の提案例と同様に、縮小部は単に充填材を上下方向に保
持する機能しか有してないため、改良の余地がある。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、上記のように充填材を
設けた車体のフレーム構造に対して、その充填材の未発
泡状態での保持を確実に行えるようにすると共に、充填
材を保持する部分に、充填材保持機能だけでなく品質や
性能等を向上させる機能を付加しようとすることにあ
る。
あり、その目的とするところは、上記のように充填材を
設けた車体のフレーム構造に対して、その充填材の未発
泡状態での保持を確実に行えるようにすると共に、充填
材を保持する部分に、充填材保持機能だけでなく品質や
性能等を向上させる機能を付加しようとすることにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、閉断面部材に、フレーム長
手方向に略沿ったビードを形成するようにした。
めに、請求項1の発明では、閉断面部材に、フレーム長
手方向に略沿ったビードを形成するようにした。
【0009】具体的には、この発明では、フレーム断面
の少なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部材を備
え、該閉断面部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填空
間が形成された車体のフレーム構造を対象とする。
の少なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部材を備
え、該閉断面部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填空
間が形成された車体のフレーム構造を対象とする。
【0010】そして、上記閉断面部材に、フレーム長手
方向に略沿ったビードが形成され、上記ビード内を含む
発泡充填空間に、上記充填材が発泡充填されているもの
とする。
方向に略沿ったビードが形成され、上記ビード内を含む
発泡充填空間に、上記充填材が発泡充填されているもの
とする。
【0011】上記の構成により、未発泡状態の充填材を
ビードが形成された部分に保持することができる。つま
り、充填材をビード内にある程度押し込むだけで確実に
保持することができ、充填材が発泡するまでの間にずれ
たり脱落したりするのを防止することができる。そし
て、充填材を発泡させれば充填材がビード内に完全に発
泡充填され、このビードにより充填材と閉断面部材とを
強固に接合することができる。しかも、ビードにより、
閉断面部材の剛性を向上させることができる。よって、
閉断面部材にビードを形成するだけで、未発泡状態の充
填材の確実な保持とフレーム強度アップとを行うことが
できる。
ビードが形成された部分に保持することができる。つま
り、充填材をビード内にある程度押し込むだけで確実に
保持することができ、充填材が発泡するまでの間にずれ
たり脱落したりするのを防止することができる。そし
て、充填材を発泡させれば充填材がビード内に完全に発
泡充填され、このビードにより充填材と閉断面部材とを
強固に接合することができる。しかも、ビードにより、
閉断面部材の剛性を向上させることができる。よって、
閉断面部材にビードを形成するだけで、未発泡状態の充
填材の確実な保持とフレーム強度アップとを行うことが
できる。
【0012】請求項2の発明では、略上下方向に延びる
フレームの断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する
閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間を上下方向
に画成する上側及び下側画成部材とを備え、該上側及び
下側画成部材間における上記閉断面部材で囲まれた空間
に充填材の発泡充填空間が形成された車体のフレーム構
造を対象とする。
フレームの断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する
閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間を上下方向
に画成する上側及び下側画成部材とを備え、該上側及び
下側画成部材間における上記閉断面部材で囲まれた空間
に充填材の発泡充填空間が形成された車体のフレーム構
造を対象とする。
【0013】そして、上記上側及び下側画成部材は共
に、上記発泡充填空間の上下方向外側の空間と連通しか
つ少なくとも一部に上記充填材が発泡充填された開放部
を有し、上記下側画成部材は、上記充填材を未発泡状態
のときに上下方向に保持し得るように構成されているも
のとする。
に、上記発泡充填空間の上下方向外側の空間と連通しか
つ少なくとも一部に上記充填材が発泡充填された開放部
を有し、上記下側画成部材は、上記充填材を未発泡状態
のときに上下方向に保持し得るように構成されているも
のとする。
【0014】このことで、下側画成部材により未発泡状
態の充填材の脱落を防止することができる。そして、充
填材を、発泡充填空間と上側及び下側画成部材の開放部
の少なくとも一部とに発泡充填させるようにする。この
とき、充填材は、開放部の抵抗が大きいので、最初に発
泡充填空間に発泡充填された後、余った残り分が開放部
に発泡充填される。この結果、充填材量がばらついても
発泡充填空間における充填材の発泡率ばらつきを低減さ
せることができる。しかも、充填材の上下両端部が開放
部により拘束されるので、上下両端部がフリー状態で発
泡するのとは異なり、発泡後にその両端部に割れが生じ
るのを防止することができる。よって、上側及び下側画
成部材を設けるだけで、未発泡状態の充填材の保持を行
うことができると共に、均一に発泡充填させることがで
き、しかも、充填材の上下両端部の割れによる強度等の
性能低下を防止することができる。
態の充填材の脱落を防止することができる。そして、充
填材を、発泡充填空間と上側及び下側画成部材の開放部
の少なくとも一部とに発泡充填させるようにする。この
とき、充填材は、開放部の抵抗が大きいので、最初に発
泡充填空間に発泡充填された後、余った残り分が開放部
に発泡充填される。この結果、充填材量がばらついても
発泡充填空間における充填材の発泡率ばらつきを低減さ
せることができる。しかも、充填材の上下両端部が開放
部により拘束されるので、上下両端部がフリー状態で発
泡するのとは異なり、発泡後にその両端部に割れが生じ
るのを防止することができる。よって、上側及び下側画
成部材を設けるだけで、未発泡状態の充填材の保持を行
うことができると共に、均一に発泡充填させることがで
き、しかも、充填材の上下両端部の割れによる強度等の
性能低下を防止することができる。
【0015】請求項3の発明では、請求項1又は2の発
明において、充填材は、平均圧縮強度が4MPa以上で
かつ最大曲げ強度が10MPa以上に設定されたものと
する。
明において、充填材は、平均圧縮強度が4MPa以上で
かつ最大曲げ強度が10MPa以上に設定されたものと
する。
【0016】このことにより、閉断面部材において衝撃
荷重の影響により折れ曲がる部分(座屈する部分)等に
対応して充填材を設けることで、その部分に加わる力を
充填材を介してその周囲に分散させることができ、その
部分の折れ曲がりを防止したり、折れ曲がるようにしな
がら衝撃エネルギーを効果的に吸収したりすることがで
きる。そして、上記充填材について、平均圧縮強度を4
MPa以上とし、かつ最大曲げ強度を10MPa以上と
したのは、充填材の平均圧縮強度又は最大曲げ強度が大
きくなるにつれて、フレームのエネルギー吸収量も増加
するが、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最大曲げ強
度が10MPa以上になるとエネルギー吸収量の増加度
合いが飽和するからである。つまり、平均圧縮強度が4
MPa以上であれば、フレームが局部的に大きく変形し
て断面の潰れが生じることを最大限に抑制することがで
き、最大曲げ強度が10MPa以上であれば、フレーム
が局部的に大きく変形した場合でも、充填材の割れを抑
制してフレームが脆性的に折損することを最大限に防止
することができる。この結果、この特性を満たす充填材
を用いれば、最大値に近いエネルギー吸収量が得られ、
衝突安全性をかなり向上させることができる。したがっ
て、エネルギー吸収量を増大させるために閉断面部材等
の板厚を増大させる必要がなく、しかも、充填材が発泡
材であるので、車体を軽量化することができ、燃費性能
をも向上させることができる。尚、「平均圧縮強度」
は、充填材を一辺30mmの立方体に加工したものに対
して一方向から10mm/minの速度で圧縮荷重を加
えたときにおいて変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲
での平均強度をいう。
荷重の影響により折れ曲がる部分(座屈する部分)等に
対応して充填材を設けることで、その部分に加わる力を
充填材を介してその周囲に分散させることができ、その
部分の折れ曲がりを防止したり、折れ曲がるようにしな
がら衝撃エネルギーを効果的に吸収したりすることがで
きる。そして、上記充填材について、平均圧縮強度を4
MPa以上とし、かつ最大曲げ強度を10MPa以上と
したのは、充填材の平均圧縮強度又は最大曲げ強度が大
きくなるにつれて、フレームのエネルギー吸収量も増加
するが、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最大曲げ強
度が10MPa以上になるとエネルギー吸収量の増加度
合いが飽和するからである。つまり、平均圧縮強度が4
MPa以上であれば、フレームが局部的に大きく変形し
て断面の潰れが生じることを最大限に抑制することがで
き、最大曲げ強度が10MPa以上であれば、フレーム
が局部的に大きく変形した場合でも、充填材の割れを抑
制してフレームが脆性的に折損することを最大限に防止
することができる。この結果、この特性を満たす充填材
を用いれば、最大値に近いエネルギー吸収量が得られ、
衝突安全性をかなり向上させることができる。したがっ
て、エネルギー吸収量を増大させるために閉断面部材等
の板厚を増大させる必要がなく、しかも、充填材が発泡
材であるので、車体を軽量化することができ、燃費性能
をも向上させることができる。尚、「平均圧縮強度」
は、充填材を一辺30mmの立方体に加工したものに対
して一方向から10mm/minの速度で圧縮荷重を加
えたときにおいて変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲
での平均強度をいう。
【0017】請求項4の発明では、請求項1、2又は3
の発明において、閉断面部材は、フレーム断面外側縁部
を構成するパネル材と、フレーム断面内に設けられたレ
インフォースメントとで構成されているものとする。
の発明において、閉断面部材は、フレーム断面外側縁部
を構成するパネル材と、フレーム断面内に設けられたレ
インフォースメントとで構成されているものとする。
【0018】こうすることで、特に請求項3の発明で
は、レインフォースメントと充填材との相乗効果により
衝撃エネルギーを効果的に吸収することができ、充填材
をフレーム断面全体に発泡充填させなくても済み、充填
材量を低減することができる。
は、レインフォースメントと充填材との相乗効果により
衝撃エネルギーを効果的に吸収することができ、充填材
をフレーム断面全体に発泡充填させなくても済み、充填
材量を低減することができる。
【0019】請求項5の発明は、フレーム断面の少なく
とも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材を備
え、該閉断面部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填空
間が形成された車体のフレーム構造の形成方法を対象と
するものである。
とも一部を閉断面状に形成する複数の閉断面部材を備
え、該閉断面部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填空
間が形成された車体のフレーム構造の形成方法を対象と
するものである。
【0020】そして、この発明では、予め上記複数の閉
断面部材の少なくとも1つに、フレーム長手方向に略沿
ったビードを形成しておき、上記ビードを形成した1つ
の閉断面部材に、未発泡状態の上記充填材を該ビード内
の深さ方向中間部まで押し込むことによりセットし、次
いで、フレームを組み立てた後、電着塗装を行い、その
後、上記充填材を電着塗装の乾燥熱により加熱すること
でビード内を含む発泡充填空間に発泡充填させるように
する。
断面部材の少なくとも1つに、フレーム長手方向に略沿
ったビードを形成しておき、上記ビードを形成した1つ
の閉断面部材に、未発泡状態の上記充填材を該ビード内
の深さ方向中間部まで押し込むことによりセットし、次
いで、フレームを組み立てた後、電着塗装を行い、その
後、上記充填材を電着塗装の乾燥熱により加熱すること
でビード内を含む発泡充填空間に発泡充填させるように
する。
【0021】この発明により、請求項1の発明と同様の
作用効果が得られると共に、閉断面部材に未発泡状態の
充填材をセットする際、充填材をビード内に完全に押し
込んではいないので、ビード底部に隙間が形成されてい
るため、電着塗装を行うときにこの隙間が電着液の通路
となり、電着液の付き回り性や排出性を良好にして、液
溜りが生じるのを防止することができる。この結果、液
溜りによるむらに起因する電着層の剥離を防止すること
ができ、耐食性の低下を抑えることができる。また、充
填材を電着塗装の乾燥熱により発泡させるので、発泡工
程を別途に設ける必要がなく、生産性を高めることがで
きる。
作用効果が得られると共に、閉断面部材に未発泡状態の
充填材をセットする際、充填材をビード内に完全に押し
込んではいないので、ビード底部に隙間が形成されてい
るため、電着塗装を行うときにこの隙間が電着液の通路
となり、電着液の付き回り性や排出性を良好にして、液
溜りが生じるのを防止することができる。この結果、液
溜りによるむらに起因する電着層の剥離を防止すること
ができ、耐食性の低下を抑えることができる。また、充
填材を電着塗装の乾燥熱により発泡させるので、発泡工
程を別途に設ける必要がなく、生産性を高めることがで
きる。
【0022】請求項6の発明では、略上下方向に延びる
フレームの断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する
閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間を上下方向
に画成する上側及び下側画成部材とを備え、該上側及び
下側画成部材間における上記閉断面部材で囲まれた空間
に充填材の発泡充填空間が形成された車体のフレーム構
造の形成方法を対象とする。
フレームの断面の少なくとも一部を閉断面状に形成する
閉断面部材と、該閉断面部材で囲まれた空間を上下方向
に画成する上側及び下側画成部材とを備え、該上側及び
下側画成部材間における上記閉断面部材で囲まれた空間
に充填材の発泡充填空間が形成された車体のフレーム構
造の形成方法を対象とする。
【0023】そして、予め上記複数の閉断面部材の1つ
に、上記上側及び下側画成部材を共に、フレームを組み
立てたときに上記発泡充填空間の上下方向外側の空間と
連通する開放部を形成した状態で設けておき、上記上側
及び下側画成部材を設けた閉断面部材における該下側画
成部材の上側位置に、未発泡状態の上記充填材を下側画
成部材により上下方向に保持した状態でセットし、次い
で、フレームを組み立てた後、上記充填材を加熱するこ
とで上記発泡充填空間と上記上側及び下側画成部材の各
開放部の少なくとも一部とに発泡充填させるようにす
る。
に、上記上側及び下側画成部材を共に、フレームを組み
立てたときに上記発泡充填空間の上下方向外側の空間と
連通する開放部を形成した状態で設けておき、上記上側
及び下側画成部材を設けた閉断面部材における該下側画
成部材の上側位置に、未発泡状態の上記充填材を下側画
成部材により上下方向に保持した状態でセットし、次い
で、フレームを組み立てた後、上記充填材を加熱するこ
とで上記発泡充填空間と上記上側及び下側画成部材の各
開放部の少なくとも一部とに発泡充填させるようにす
る。
【0024】このことにより、請求項2の発明と同様の
作用効果が得られると共に、充填材の閉断面部材へのセ
ットを容易に行うことができる。
作用効果が得られると共に、充填材の閉断面部材へのセ
ットを容易に行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1は、本発明の
実施形態1に係るフレーム構造が適用されたセンターピ
ラー2(フレーム)を備えた自動車車体1の全体構成を
示す。このセンターピラー2は、車体1の左右両側部の
前後方向略中央部において略上下方向に延び、その上端
部は、車室ルーフ部の左右両側部において前後方向に延
びるルーフサイドレール3に接合され、下端部は、車室
フロア部の左右両側部において前後方向に延びるサイド
シル4に接合されている。そして、上記センターピラー
2のベルトライン部ないしその近傍には、後述の如く充
填材11(図2及び図3参照)が設けられており、側突
時に衝撃荷重Asが入力されても、ベルトライン部が折
れて車室側に進入するのを抑制するようにしている。
尚、図1中、5はフロントピラーであり、6はリヤピラ
ーである。
実施形態1に係るフレーム構造が適用されたセンターピ
ラー2(フレーム)を備えた自動車車体1の全体構成を
示す。このセンターピラー2は、車体1の左右両側部の
前後方向略中央部において略上下方向に延び、その上端
部は、車室ルーフ部の左右両側部において前後方向に延
びるルーフサイドレール3に接合され、下端部は、車室
フロア部の左右両側部において前後方向に延びるサイド
シル4に接合されている。そして、上記センターピラー
2のベルトライン部ないしその近傍には、後述の如く充
填材11(図2及び図3参照)が設けられており、側突
時に衝撃荷重Asが入力されても、ベルトライン部が折
れて車室側に進入するのを抑制するようにしている。
尚、図1中、5はフロントピラーであり、6はリヤピラ
ーである。
【0026】上記センターピラー2は、図2及び図3に
示すように、車体外側に位置する鋼板等からなるアウタ
パネル12と、車体内側に位置する鋼板等からなるイン
ナパネル13と、該アウタパネル12とインナパネル1
3との間でかつセンターピラー2断面(フレーム断面)
内に設けられた鋼板等からなるレインフォースメント1
4とを備えている。このアウタパネル12、インナパネ
ル13及びレインフォースメント14は、各々、その左
右両側部(車体1前後両側部)にフランジ部12a,1
2a、13a,13a、14a,14aを有していて、
該各フランジ部12a,13a,14a同士がスポット
溶接により接合されることで互いに一体化されている。
すなわち、上記アウタパネル12とインナパネル13と
は、センターピラー2断面外側縁部を構成するパネル材
であり、アウタパネル12とレインフォースメント14
とは、センターピラー2断面の車体外側部を閉断面状に
形成する閉断面部材であり、インナパネル13とレイン
フォースメント14とは、センターピラー2断面の車体
内側部を閉断面状に形成する閉断面部材である。そし
て、アウタパネル12及びレインフォースメント14は
共に断面略コ字状をなし、その両者間の空間も断面略コ
字状をなしている。
示すように、車体外側に位置する鋼板等からなるアウタ
パネル12と、車体内側に位置する鋼板等からなるイン
ナパネル13と、該アウタパネル12とインナパネル1
3との間でかつセンターピラー2断面(フレーム断面)
内に設けられた鋼板等からなるレインフォースメント1
4とを備えている。このアウタパネル12、インナパネ
ル13及びレインフォースメント14は、各々、その左
右両側部(車体1前後両側部)にフランジ部12a,1
2a、13a,13a、14a,14aを有していて、
該各フランジ部12a,13a,14a同士がスポット
溶接により接合されることで互いに一体化されている。
すなわち、上記アウタパネル12とインナパネル13と
は、センターピラー2断面外側縁部を構成するパネル材
であり、アウタパネル12とレインフォースメント14
とは、センターピラー2断面の車体外側部を閉断面状に
形成する閉断面部材であり、インナパネル13とレイン
フォースメント14とは、センターピラー2断面の車体
内側部を閉断面状に形成する閉断面部材である。そし
て、アウタパネル12及びレインフォースメント14は
共に断面略コ字状をなし、その両者間の空間も断面略コ
字状をなしている。
【0027】上記センターピラー2のベルトライン部な
いしその近傍においてアウタパネル12とレインフォー
スメント14との間の空間(閉断面部材で囲まれた空
間)には、例えばエポキシ樹脂からなる充填材11が発
泡充填された発泡充填空間が形成されている。つまり、
この充填材11は、センターピラー2断面内全体ではな
く、その断面において上記衝撃荷重Asが入力される
側、又はその衝撃荷重Asに起因してセンターピラー2
に作用する曲げモーメントにより圧縮応力が発生する側
(センターピラー2の中立軸よりも車体外側)のみに充
填されていて、断面略コ字状をなしている。上記充填材
11の平均圧縮強度は4MPa以上(好ましくは5MP
a以上)に設定されていると共に、最大曲げ強度は10
MPa以上(好ましくは60MPa以上)に設定されて
いる。これは、平均圧縮強度が4MPa以上であれば、
センターピラー2に上記衝撃荷重Asが入力されてもセ
ンターピラー2のベルトライン部が局部的に変形して断
面の潰れが生じることを最大限に抑制することができ、
最大曲げ強度が10MPa以上であれば、たとえセンタ
ーピラー2が局部的に大きく変形した場合でも、充填材
11の割れを抑制してセンターピラー2が脆性的に折損
することを最大限に防止することができるからであり、
平均圧縮強度を5MPa以上としかつ最大曲げ強度を6
0MPa以上とすればその効果がより安定的に得られる
からである。尚、上記平均圧縮強度は、充填材11を一
辺30mmの立方体に加工したものに対して一方向から
10mm/minの速度で圧縮荷重を加えたときにおい
て変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲での平均強度を
いう(図14参照)。
いしその近傍においてアウタパネル12とレインフォー
スメント14との間の空間(閉断面部材で囲まれた空
間)には、例えばエポキシ樹脂からなる充填材11が発
泡充填された発泡充填空間が形成されている。つまり、
この充填材11は、センターピラー2断面内全体ではな
く、その断面において上記衝撃荷重Asが入力される
側、又はその衝撃荷重Asに起因してセンターピラー2
に作用する曲げモーメントにより圧縮応力が発生する側
(センターピラー2の中立軸よりも車体外側)のみに充
填されていて、断面略コ字状をなしている。上記充填材
11の平均圧縮強度は4MPa以上(好ましくは5MP
a以上)に設定されていると共に、最大曲げ強度は10
MPa以上(好ましくは60MPa以上)に設定されて
いる。これは、平均圧縮強度が4MPa以上であれば、
センターピラー2に上記衝撃荷重Asが入力されてもセ
ンターピラー2のベルトライン部が局部的に変形して断
面の潰れが生じることを最大限に抑制することができ、
最大曲げ強度が10MPa以上であれば、たとえセンタ
ーピラー2が局部的に大きく変形した場合でも、充填材
11の割れを抑制してセンターピラー2が脆性的に折損
することを最大限に防止することができるからであり、
平均圧縮強度を5MPa以上としかつ最大曲げ強度を6
0MPa以上とすればその効果がより安定的に得られる
からである。尚、上記平均圧縮強度は、充填材11を一
辺30mmの立方体に加工したものに対して一方向から
10mm/minの速度で圧縮荷重を加えたときにおい
て変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲での平均強度を
いう(図14参照)。
【0028】そして、上記レインフォースメント14の
少なくとも充填材11充填部分には、センターピラー2
長手方向に略沿った断面略矩形状の複数のビード14
b,14b,…が形成されて、上記発泡充填空間は該各
ビード14bの分だけ大きくなり、そのビード14b内
を含む発泡充填空間に、上記充填材11が発泡充填され
ている。
少なくとも充填材11充填部分には、センターピラー2
長手方向に略沿った断面略矩形状の複数のビード14
b,14b,…が形成されて、上記発泡充填空間は該各
ビード14bの分だけ大きくなり、そのビード14b内
を含む発泡充填空間に、上記充填材11が発泡充填され
ている。
【0029】次に、上記センターピラー2を組み立てる
方法を説明する。先ず、図4(a)に示すように、レイ
ンフォースメント14のアウタパネル12側面の所定部
分にシート状に加工した未発泡状態の充填材10を貼り
付けてセットする。このとき、充填材10の各ビード1
4bに対応する部分を該各ビード14b内の深さ方向中
間部まで押し込むことで充填材10をセットする。この
ことにより、充填材10がレインフォースメント14に
確実に保持され、発泡するまでの間にずれたり脱落した
りするのを防止することができる。
方法を説明する。先ず、図4(a)に示すように、レイ
ンフォースメント14のアウタパネル12側面の所定部
分にシート状に加工した未発泡状態の充填材10を貼り
付けてセットする。このとき、充填材10の各ビード1
4bに対応する部分を該各ビード14b内の深さ方向中
間部まで押し込むことで充填材10をセットする。この
ことにより、充填材10がレインフォースメント14に
確実に保持され、発泡するまでの間にずれたり脱落した
りするのを防止することができる。
【0030】その後、図4(b)に示すように、上記充
填材10を貼り付けたレインフォースメント14をアウ
タパネル12にセットし、両者のフランジ部12a,1
4a同士をスポット溶接により接合する。そして、図4
(c)に示すように、上記レインフォースメント14に
対してインナパネル13をセットして該インナパネル1
3のフランジ部13aをレインフォースメント14のフ
ランジ部14aにスポット溶接により接合することで、
センターピラー2の組立てが完了する。
填材10を貼り付けたレインフォースメント14をアウ
タパネル12にセットし、両者のフランジ部12a,1
4a同士をスポット溶接により接合する。そして、図4
(c)に示すように、上記レインフォースメント14に
対してインナパネル13をセットして該インナパネル1
3のフランジ部13aをレインフォースメント14のフ
ランジ部14aにスポット溶接により接合することで、
センターピラー2の組立てが完了する。
【0031】次いで、車体1全体の組立てを完成させた
後、その車体1を電着液に浸漬させて電着塗装を行う。
このとき、上記各ビード14bの底部には隙間が形成さ
れているため、電着塗装を行うときにこの隙間が電着液
の通路となり、電着液の付き回り性や排出性を良好にし
て、液溜りが生じるのを防止することができる。この結
果、液溜りによるむらに起因する電着層の剥離を防止す
ることができ、耐食性の低下を抑えることができる。
後、その車体1を電着液に浸漬させて電着塗装を行う。
このとき、上記各ビード14bの底部には隙間が形成さ
れているため、電着塗装を行うときにこの隙間が電着液
の通路となり、電着液の付き回り性や排出性を良好にし
て、液溜りが生じるのを防止することができる。この結
果、液溜りによるむらに起因する電着層の剥離を防止す
ることができ、耐食性の低下を抑えることができる。
【0032】その後、180℃雰囲気中に35分間投入
して上記電着塗装の乾燥を行う(センターピラー2の最
低温度は150℃程度になる)。そして、車体シーラを
塗布し、140℃雰囲気中に20分間投入してその車体
シーラを乾燥させ(センターピラー2の温度は100℃
程度)、続いて、中塗塗装を行い、140℃雰囲気中に
40分間投入してその中塗塗装の乾燥を行い(センター
ピラー2は140℃で20分間加熱されたことにな
る)、次いで、上塗塗装を行い、140℃雰囲気中に4
0分間投入してその上塗塗装の乾燥を行う(センターピ
ラー2は140℃で20分間加熱されたことになる)。
この電着塗装等の乾燥時に、上記充填材10をその乾燥
熱により加熱することで、アウタパネル12とレインフ
ォースメント14との間に完全に発泡充填させる。この
ように未発泡状態の充填材10を電着塗装等の乾燥熱に
より発泡硬化させるので、発泡工程を別途に設ける必要
がなく、生産性を高めることができる。尚、電着塗装の
乾燥工程で上記充填材10の発泡が完了すると共に半分
程度が硬化し、中塗塗装及び上塗塗装の乾燥工程で残り
が硬化する(車体シーラの乾燥工程では、センターピラ
ー2の温度が低過ぎて充填材10は殆ど硬化しない)。
して上記電着塗装の乾燥を行う(センターピラー2の最
低温度は150℃程度になる)。そして、車体シーラを
塗布し、140℃雰囲気中に20分間投入してその車体
シーラを乾燥させ(センターピラー2の温度は100℃
程度)、続いて、中塗塗装を行い、140℃雰囲気中に
40分間投入してその中塗塗装の乾燥を行い(センター
ピラー2は140℃で20分間加熱されたことにな
る)、次いで、上塗塗装を行い、140℃雰囲気中に4
0分間投入してその上塗塗装の乾燥を行う(センターピ
ラー2は140℃で20分間加熱されたことになる)。
この電着塗装等の乾燥時に、上記充填材10をその乾燥
熱により加熱することで、アウタパネル12とレインフ
ォースメント14との間に完全に発泡充填させる。この
ように未発泡状態の充填材10を電着塗装等の乾燥熱に
より発泡硬化させるので、発泡工程を別途に設ける必要
がなく、生産性を高めることができる。尚、電着塗装の
乾燥工程で上記充填材10の発泡が完了すると共に半分
程度が硬化し、中塗塗装及び上塗塗装の乾燥工程で残り
が硬化する(車体シーラの乾燥工程では、センターピラ
ー2の温度が低過ぎて充填材10は殆ど硬化しない)。
【0033】上記車体1に対して側突がなされた場合、
衝撃荷重Asによりセンターピラー2におけるアウタパ
ネル12のベルトライン部には、折れ曲がって(座屈し
て)断面内側に進入しようとする大きな力が局所的に作
用することがある。しかし、この実施形態1では、その
ような力がアウタパネル12に作用したとしても、その
力を充填材11を介して周囲に分散させることができ、
しかも、その充填材11の平均圧縮強度が4MPa以上
に設定され、最大曲げ強度が10MPa以上に設定され
ているので、最大値に近いエネルギー吸収量が得られ、
センターピラー2の折れ曲がりを最大限に抑制すること
ができる。一方、充填材11は、センターピラー2断面
内全体ではなく、アウタパネル12とレインフォースメ
ント14との間にしか設けられていないが、座屈開始の
曲げモーメントは、センターピラー2断面内全体に設け
る場合と殆ど変わらないので、少ない充填量で効果的に
衝撃エネルギーを吸収することができる。しかも、充填
材11は発泡材であるので、車体を軽量化することがで
きる。よって、燃費性能を向上させながら、衝突安全性
を向上させることができる。
衝撃荷重Asによりセンターピラー2におけるアウタパ
ネル12のベルトライン部には、折れ曲がって(座屈し
て)断面内側に進入しようとする大きな力が局所的に作
用することがある。しかし、この実施形態1では、その
ような力がアウタパネル12に作用したとしても、その
力を充填材11を介して周囲に分散させることができ、
しかも、その充填材11の平均圧縮強度が4MPa以上
に設定され、最大曲げ強度が10MPa以上に設定され
ているので、最大値に近いエネルギー吸収量が得られ、
センターピラー2の折れ曲がりを最大限に抑制すること
ができる。一方、充填材11は、センターピラー2断面
内全体ではなく、アウタパネル12とレインフォースメ
ント14との間にしか設けられていないが、座屈開始の
曲げモーメントは、センターピラー2断面内全体に設け
る場合と殆ど変わらないので、少ない充填量で効果的に
衝撃エネルギーを吸収することができる。しかも、充填
材11は発泡材であるので、車体を軽量化することがで
きる。よって、燃費性能を向上させながら、衝突安全性
を向上させることができる。
【0034】そして、レインフォースメント14にセン
ターピラー2長手方向に略沿った複数のビード14b,
14b,…が形成されているので、未発泡状態の充填材
10の保持と電着塗装とを良好に行え、しかも、レイン
フォースメント14の剛性を向上させることができる。
ターピラー2長手方向に略沿った複数のビード14b,
14b,…が形成されているので、未発泡状態の充填材
10の保持と電着塗装とを良好に行え、しかも、レイン
フォースメント14の剛性を向上させることができる。
【0035】ここで、上記実施形態1においては、上記
レインフォースメント14の強度(引張強さ、耐力)及
び剛性の少なくとも一方は、アウタパネル12と同等以
上に設定することが望ましい。つまり、レインフォース
メント14の強度及び剛性の両方がアウタパネル12よ
りも小さいと、アウタパネル12のベルトライン部が折
れ曲がって断面内側に進入しようとするときに、レイン
フォースメント14が局所的に座屈変形してアウタパネ
ル12が充填材11と共に断面内側に進入してしまう
が、このようにレインフォースメント14の強度及び剛
性の少なくとも一方がアウタパネル12と同等以上であ
れば、アウタパネル12の断面内側への進入(折れ曲が
り)をより一層確実に抑制することができる。したがっ
て、上記のようなビード14bをレインフォースメント
14に形成すれば、アウタパネル12と同等以上の剛性
が容易に得られ、アウタパネル12のベルトライン部の
断面内側への進入を有効に抑制することができる。
レインフォースメント14の強度(引張強さ、耐力)及
び剛性の少なくとも一方は、アウタパネル12と同等以
上に設定することが望ましい。つまり、レインフォース
メント14の強度及び剛性の両方がアウタパネル12よ
りも小さいと、アウタパネル12のベルトライン部が折
れ曲がって断面内側に進入しようとするときに、レイン
フォースメント14が局所的に座屈変形してアウタパネ
ル12が充填材11と共に断面内側に進入してしまう
が、このようにレインフォースメント14の強度及び剛
性の少なくとも一方がアウタパネル12と同等以上であ
れば、アウタパネル12の断面内側への進入(折れ曲が
り)をより一層確実に抑制することができる。したがっ
て、上記のようなビード14bをレインフォースメント
14に形成すれば、アウタパネル12と同等以上の剛性
が容易に得られ、アウタパネル12のベルトライン部の
断面内側への進入を有効に抑制することができる。
【0036】また、上記充填材11充填部分におけるア
ウタパネル12とレインフォースメント14との間の隙
間量は2mm以上(好ましくは3mm以上)に設定する
ことが望ましい。これは、充填材11を充填しない場合
には上記隙間量は小さいほどセンターピラー2が負担し
得る最大曲げモーメント値は大きくなるが、充填材11
を充填する場合に上記隙間量が2mmよりも小さいと、
充填材11の充填効果が低くて充填材11を充填しない
場合と殆ど変わらなくなるからである。一方、上記隙間
量は、20mmよりも大きいと、軽量化効果が小さくな
ると共に、コスト面で不利になるので、20mm以下に
設定することが望ましい。
ウタパネル12とレインフォースメント14との間の隙
間量は2mm以上(好ましくは3mm以上)に設定する
ことが望ましい。これは、充填材11を充填しない場合
には上記隙間量は小さいほどセンターピラー2が負担し
得る最大曲げモーメント値は大きくなるが、充填材11
を充填する場合に上記隙間量が2mmよりも小さいと、
充填材11の充填効果が低くて充填材11を充填しない
場合と殆ど変わらなくなるからである。一方、上記隙間
量は、20mmよりも大きいと、軽量化効果が小さくな
ると共に、コスト面で不利になるので、20mm以下に
設定することが望ましい。
【0037】さらに、上記アウタパネル12と充填材1
1との間の少なくとも一部には、3MPa以上のせん断
接着強さを有する接着剤層(車体シーラ等)を設けるこ
とが望ましい。これは、アウタパネル12に局所的に加
わる力を充填材11を介してその周囲に確実に分散させ
ることができると共に、接着剤層によりセンターピラー
2が負担し得る最大曲げモーメント値を効果的に高める
ことができ、また、上述の如くレインフォースメント1
4の強度及び剛性の少なくとも一方をアウタパネル12
と同等以上にした場合には、アウタパネル12が断面内
側に進入することも断面外側に張り出すこともできず、
アウタパネル12の折れ曲がりを有効に防止することが
できるからである。そして、接着剤層を設ける代わり
に、充填材11自体が、アウタパネル12に対して3M
Pa以上のせん断接着強さを有するようにしてもよく、
こうすれば、接着剤層を別途に設けなくても済み、容易
に上記効果が得られる。尚、アウタパネル12と充填材
11との間だけでなく、インナパネル13と充填材11
との間の少なくとも一部にも接着剤層を設けるようにし
てもよい。
1との間の少なくとも一部には、3MPa以上のせん断
接着強さを有する接着剤層(車体シーラ等)を設けるこ
とが望ましい。これは、アウタパネル12に局所的に加
わる力を充填材11を介してその周囲に確実に分散させ
ることができると共に、接着剤層によりセンターピラー
2が負担し得る最大曲げモーメント値を効果的に高める
ことができ、また、上述の如くレインフォースメント1
4の強度及び剛性の少なくとも一方をアウタパネル12
と同等以上にした場合には、アウタパネル12が断面内
側に進入することも断面外側に張り出すこともできず、
アウタパネル12の折れ曲がりを有効に防止することが
できるからである。そして、接着剤層を設ける代わり
に、充填材11自体が、アウタパネル12に対して3M
Pa以上のせん断接着強さを有するようにしてもよく、
こうすれば、接着剤層を別途に設けなくても済み、容易
に上記効果が得られる。尚、アウタパネル12と充填材
11との間だけでなく、インナパネル13と充填材11
との間の少なくとも一部にも接着剤層を設けるようにし
てもよい。
【0038】加えて、上記充填材11は、センターピラ
ー2長手方向において、センターピラー2の荷重支持点
間(ルーフサイドレール3に接合された上端部とサイド
シル4に接合された下端部との間)の長さに対して15
%以上の長さの範囲に充填されていることが望ましい。
すなわち、充填材11の充填範囲が大きくなるにつれて
エネルギー吸収量は増大するが、荷重支持点間の長さに
対して15%で略飽和する。したがって、15%以上の
長さの範囲に充填すれば、略最大値に近いエネルギー吸
収量が得られる。
ー2長手方向において、センターピラー2の荷重支持点
間(ルーフサイドレール3に接合された上端部とサイド
シル4に接合された下端部との間)の長さに対して15
%以上の長さの範囲に充填されていることが望ましい。
すなわち、充填材11の充填範囲が大きくなるにつれて
エネルギー吸収量は増大するが、荷重支持点間の長さに
対して15%で略飽和する。したがって、15%以上の
長さの範囲に充填すれば、略最大値に近いエネルギー吸
収量が得られる。
【0039】尚、上記実施形態1では、充填材11は、
平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以
上)でかつ最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは
60MPa以上)に設定されたものとしたが、平均圧縮
強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以上)又は最
大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa以
上)に設定されたものとしてもよい。このようにしても
衝突安全性を十分に向上させることができる。そして、
アウタパネル12とレインフォースメント14との間に
充填された充填材11を、アウタパネル12側(衝突荷
重入力側)とレインフォースメント14側(反衝突荷重
入力側)との2層で構成し、そのアウタパネル12側に
は平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以
上)のものを配置し、レインフォースメント14側には
最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa
以上)のものを配置するようにしてもよい。こうすれ
ば、アウタパネル12側に直接的に作用する圧縮荷重
と、レインフォースメント14側に作用する曲げ荷重と
を各層の充填材11によりそれぞれ有効に負担すること
ができ、その各充填材11に対して最も効果的な特性を
付与して、効率的な補強を行うことができる。
平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以
上)でかつ最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは
60MPa以上)に設定されたものとしたが、平均圧縮
強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以上)又は最
大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa以
上)に設定されたものとしてもよい。このようにしても
衝突安全性を十分に向上させることができる。そして、
アウタパネル12とレインフォースメント14との間に
充填された充填材11を、アウタパネル12側(衝突荷
重入力側)とレインフォースメント14側(反衝突荷重
入力側)との2層で構成し、そのアウタパネル12側に
は平均圧縮強度が4MPa以上(好ましくは5MPa以
上)のものを配置し、レインフォースメント14側には
最大曲げ強度が10MPa以上(好ましくは60MPa
以上)のものを配置するようにしてもよい。こうすれ
ば、アウタパネル12側に直接的に作用する圧縮荷重
と、レインフォースメント14側に作用する曲げ荷重と
を各層の充填材11によりそれぞれ有効に負担すること
ができ、その各充填材11に対して最も効果的な特性を
付与して、効率的な補強を行うことができる。
【0040】また、充填材11は、このように高強度を
有するものでなくてもよく、車室内に伝達される振動や
騒音を抑えるための発泡ウレタン樹脂等の低強度のもの
であっても本発明を適用することができる。そして、充
填材11を、アウタパネル12とレインフォースメント
14との間だけでなく、インナパネル13とレインフォ
ースメント14との間にも充填するようにしてもよく、
レインフォースメント14がない場合には、アウタパネ
ル12とインナパネル13との間に充填材11を充填す
るようにしてもよい。
有するものでなくてもよく、車室内に伝達される振動や
騒音を抑えるための発泡ウレタン樹脂等の低強度のもの
であっても本発明を適用することができる。そして、充
填材11を、アウタパネル12とレインフォースメント
14との間だけでなく、インナパネル13とレインフォ
ースメント14との間にも充填するようにしてもよく、
レインフォースメント14がない場合には、アウタパネ
ル12とインナパネル13との間に充填材11を充填す
るようにしてもよい。
【0041】さらに、上記実施形態1では、断面略矩形
状の複数のビード14b,14b,…を形成したが、例
えば図5に示すように、各ビード14bを断面略三角形
状に形成してもよく、図6に示すように、1つのビード
14bを形成するだけでもよい。
状の複数のビード14b,14b,…を形成したが、例
えば図5に示すように、各ビード14bを断面略三角形
状に形成してもよく、図6に示すように、1つのビード
14bを形成するだけでもよい。
【0042】加えて、上記実施形態1では、本発明のフ
レーム構造をセンターピラー2に適用したが、センター
ピラー2以外のピラー部材(上記フロントピラー5やリ
ヤピラー6)にも適用することができる。また、その他
にも、車体1の左右両側において前後方向に延びるフレ
ーム部材(フロントサイドフレーム、リヤサイドフレー
ム、上記ルーフサイドレール3、サイドシル4等)、こ
の左右のフレーム部材を連結する連結部材(クロスメン
バ等)、ドア本体部の補強部材(インパクトバー等)、
バンパの補強部材(バンパレインフォースメント等)等
にも適用することができる。このようなフレームに適用
する場合、フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に
形成しかつ内部に発泡充填空間を形成する複数の閉断面
部材の少なくとも1つにビードを形成しおき、そのビー
ドを形成した1つの閉断面部材に未発泡状態の充填材1
0をセットするようにすればよい。
レーム構造をセンターピラー2に適用したが、センター
ピラー2以外のピラー部材(上記フロントピラー5やリ
ヤピラー6)にも適用することができる。また、その他
にも、車体1の左右両側において前後方向に延びるフレ
ーム部材(フロントサイドフレーム、リヤサイドフレー
ム、上記ルーフサイドレール3、サイドシル4等)、こ
の左右のフレーム部材を連結する連結部材(クロスメン
バ等)、ドア本体部の補強部材(インパクトバー等)、
バンパの補強部材(バンパレインフォースメント等)等
にも適用することができる。このようなフレームに適用
する場合、フレーム断面の少なくとも一部を閉断面状に
形成しかつ内部に発泡充填空間を形成する複数の閉断面
部材の少なくとも1つにビードを形成しおき、そのビー
ドを形成した1つの閉断面部材に未発泡状態の充填材1
0をセットするようにすればよい。
【0043】(実施形態2)図7は本発明の実施形態2
を示し(尚、以下の実施形態では、図2及び図3と同じ
部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略
する)、アウタパネル12とレインフォースメント14
との間の空間を上下方向に画成する上側及び下側画成部
材31,32を設け、この上側及び下側画成部材31,
32間におけるアウタパネル12とレインフォースメン
ト14と間に、充填材11の発泡充填空間を形成するよ
うにしたものである。尚、レインフォースメント14に
は、上記実施形態1のようにビード14bは形成されて
いない。
を示し(尚、以下の実施形態では、図2及び図3と同じ
部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略
する)、アウタパネル12とレインフォースメント14
との間の空間を上下方向に画成する上側及び下側画成部
材31,32を設け、この上側及び下側画成部材31,
32間におけるアウタパネル12とレインフォースメン
ト14と間に、充填材11の発泡充填空間を形成するよ
うにしたものである。尚、レインフォースメント14に
は、上記実施形態1のようにビード14bは形成されて
いない。
【0044】すなわち、この実施形態2では、上記上側
及び下側画成部材31,32は共に、レインフォースメ
ント14にプレスによりアウタパネル12側に突出する
ように一体形成されていて、その各先端部には、上記発
泡充填空間の上下方向外側の空間と連通しかつ少なくと
も一部に上記充填材11が発泡充填された開放部31
a,32aを有している。また、上記下側画成部材32
は、レインフォースメント14からアウタパネル12側
に突出していることで、図8に示すように、充填材10
をレインフォースメント14にセットしたときに充填材
10を上下方向に保持し得るように構成されている。
及び下側画成部材31,32は共に、レインフォースメ
ント14にプレスによりアウタパネル12側に突出する
ように一体形成されていて、その各先端部には、上記発
泡充填空間の上下方向外側の空間と連通しかつ少なくと
も一部に上記充填材11が発泡充填された開放部31
a,32aを有している。また、上記下側画成部材32
は、レインフォースメント14からアウタパネル12側
に突出していることで、図8に示すように、充填材10
をレインフォースメント14にセットしたときに充填材
10を上下方向に保持し得るように構成されている。
【0045】したがって、上記実施形態2では、レイン
フォースメント14において一体形成した下側画成部材
32の上側位置に、未発泡状態の充填材10を下側画成
部材32により上下方向に保持した状態でセットしてセ
ンターピラー2を組み立てれば、上記実施形態1と同様
に、電着塗装時等において充填材10が発泡充填空間か
ら下側に脱落するのを防止することができる。そして、
充填材10は、上側及び下側画成部材31,32の各開
放部31a,32aの抵抗が大きいので、発泡時におい
て最初に発泡充填空間に発泡充填され、その後に余った
残り分が各開放部31a,32aの少なくとも一部に発
泡充填される。この結果、各開放部31a,32aの上
下方向長さや隙間量を調整することで、充填材10のセ
ット量がばらついても発泡充填空間における充填材11
の発泡率ばらつきを低減させることができる。しかも、
充填材10の上下両端部が発泡時に各開放部31a,3
2aにより拘束されるので、充填材10の上下両端部が
上記実施形態1のようにフリー状態で発泡するのとは異
なり、発泡後にその上下両端部に割れが生じるのを防止
することができる。よって、上側及び下側画成部材3
1,32を設けるだけで、充填材10の保持と均一発泡
充填とを行うことができると共に、上下両端部の割れに
よる衝撃エネルギー吸収性能等の低下を防止することが
できる。
フォースメント14において一体形成した下側画成部材
32の上側位置に、未発泡状態の充填材10を下側画成
部材32により上下方向に保持した状態でセットしてセ
ンターピラー2を組み立てれば、上記実施形態1と同様
に、電着塗装時等において充填材10が発泡充填空間か
ら下側に脱落するのを防止することができる。そして、
充填材10は、上側及び下側画成部材31,32の各開
放部31a,32aの抵抗が大きいので、発泡時におい
て最初に発泡充填空間に発泡充填され、その後に余った
残り分が各開放部31a,32aの少なくとも一部に発
泡充填される。この結果、各開放部31a,32aの上
下方向長さや隙間量を調整することで、充填材10のセ
ット量がばらついても発泡充填空間における充填材11
の発泡率ばらつきを低減させることができる。しかも、
充填材10の上下両端部が発泡時に各開放部31a,3
2aにより拘束されるので、充填材10の上下両端部が
上記実施形態1のようにフリー状態で発泡するのとは異
なり、発泡後にその上下両端部に割れが生じるのを防止
することができる。よって、上側及び下側画成部材3
1,32を設けるだけで、充填材10の保持と均一発泡
充填とを行うことができると共に、上下両端部の割れに
よる衝撃エネルギー吸収性能等の低下を防止することが
できる。
【0046】また、上側及び下側画成部材31,32は
共にレインフォースメント14に一体形成されているの
で、別途に新たな部材を設けることなく簡単な構成で上
側及び下側画成部材31,32を設けることができる。
共にレインフォースメント14に一体形成されているの
で、別途に新たな部材を設けることなく簡単な構成で上
側及び下側画成部材31,32を設けることができる。
【0047】ここで、上記実施形態2においては、上側
及び下側画成部材31,32の各開放部31a,32a
における隙間量(アウタパネル12と上側及び下側画成
部材31,32の各先端部との間の距離)を、充填材1
1充填部分におけるアウタパネル12とレインフォース
メント14との間の隙間量よりも小さくかつ5mm以下
であることが望ましい。これは、上記各開放部31a,
32aにおける隙間量が5mmよりも大きいと、充填材
11の発泡率ばらつきの低減効果とその上下両端部の割
れ抑制の効果とが十分に得られなくなるからである。
及び下側画成部材31,32の各開放部31a,32a
における隙間量(アウタパネル12と上側及び下側画成
部材31,32の各先端部との間の距離)を、充填材1
1充填部分におけるアウタパネル12とレインフォース
メント14との間の隙間量よりも小さくかつ5mm以下
であることが望ましい。これは、上記各開放部31a,
32aにおける隙間量が5mmよりも大きいと、充填材
11の発泡率ばらつきの低減効果とその上下両端部の割
れ抑制の効果とが十分に得られなくなるからである。
【0048】尚、上記実施形態2では、上側及び下側画
成部材31,32をレインフォースメント14に一体形
成したが、別部材で形成するようにしてもよい。例えば
図9に示すように、鋼板等からなる上側及び下側画成部
材31,32をレインフォースメント14に溶接して接
合するようにしてもよい。また、板状の樹脂からなる上
側及び下側画成部材31,32を、レインフォースメン
ト14に接着するようにしてもよく、図10に示すよう
に、板状の樹脂からなる上側及び下側画成部材31,3
2のレインフォースメント14側面に凸部31b,32
bを形成しておき、その各凸部31b,32bをレイン
フォースメント14に設けた嵌合孔14c,14cにそ
れぞれ嵌め込むようにしてもよい。
成部材31,32をレインフォースメント14に一体形
成したが、別部材で形成するようにしてもよい。例えば
図9に示すように、鋼板等からなる上側及び下側画成部
材31,32をレインフォースメント14に溶接して接
合するようにしてもよい。また、板状の樹脂からなる上
側及び下側画成部材31,32を、レインフォースメン
ト14に接着するようにしてもよく、図10に示すよう
に、板状の樹脂からなる上側及び下側画成部材31,3
2のレインフォースメント14側面に凸部31b,32
bを形成しておき、その各凸部31b,32bをレイン
フォースメント14に設けた嵌合孔14c,14cにそ
れぞれ嵌め込むようにしてもよい。
【0049】さらに、図11及び図12に示すように、
上側及び下側画成部材31,32を共に、板厚がかなり
小さい1つの鋼板等をプレス成形することにより、レイ
ンフォースメントに取付固定された固定部31c,32
cと、該固定部31c,32cの一端部に接続されかつ
該接続部からアウタパネル12側に向かって斜めに(上
側画成部材31は上側に、下側画成部材32は下側に)
延びる片持ちはり状の可撓部31d,32d(先端部に
開放部31a,32aを有する)とで構成し、上記可撓
部31d,32dの弾性復元力を調整することで、充填
材10が発泡するときにその上下両端部の拘束を行って
割れを抑制したり、発泡率ばらつきを低減したりするこ
とができる。
上側及び下側画成部材31,32を共に、板厚がかなり
小さい1つの鋼板等をプレス成形することにより、レイ
ンフォースメントに取付固定された固定部31c,32
cと、該固定部31c,32cの一端部に接続されかつ
該接続部からアウタパネル12側に向かって斜めに(上
側画成部材31は上側に、下側画成部材32は下側に)
延びる片持ちはり状の可撓部31d,32d(先端部に
開放部31a,32aを有する)とで構成し、上記可撓
部31d,32dの弾性復元力を調整することで、充填
材10が発泡するときにその上下両端部の拘束を行って
割れを抑制したり、発泡率ばらつきを低減したりするこ
とができる。
【0050】また、図13に示すように、図11及び図
12のものよりも板厚を大きくして撓み難くすると共
に、可撓部31d,32dの先端部を、上側画成部材3
1は上側に、下側画成部材32は下側にそれぞれ折り曲
げることでアウタパネル12と略平行にしてこの略平行
部分に開放部31a,32aを形成し、上記実施形態2
のようにこの各開放部31a,32aの上下方向長さや
隙間量を調整すれば、発泡率ばらつきを低減したり、割
れの発生を抑制したりすることができる。
12のものよりも板厚を大きくして撓み難くすると共
に、可撓部31d,32dの先端部を、上側画成部材3
1は上側に、下側画成部材32は下側にそれぞれ折り曲
げることでアウタパネル12と略平行にしてこの略平行
部分に開放部31a,32aを形成し、上記実施形態2
のようにこの各開放部31a,32aの上下方向長さや
隙間量を調整すれば、発泡率ばらつきを低減したり、割
れの発生を抑制したりすることができる。
【0051】さらにまた、上側及び下側画成部材31,
32の各開放部31a,32aは、該上側及び下側画成
部材31,32を貫通する孔状のものであってもよい。
32の各開放部31a,32aは、該上側及び下側画成
部材31,32を貫通する孔状のものであってもよい。
【0052】加えて、上記実施形態2においては、ピラ
ー部材のように略上下方向に延びるフレームに適用する
ことができ、その各フレームにおいてフレーム断面の少
なくとも一部を閉断面状に形成しかつ内部に発泡充填空
間を形成する複数の閉断面部材の少なくとも1つに上側
及び下側画成部材31,32を設けておき、その閉断面
部材における下側画成部材32の上側位置に、未発泡状
態の充填材10を下側画成部材32により上下方向に保
持した状態でセットするようにすればよい。
ー部材のように略上下方向に延びるフレームに適用する
ことができ、その各フレームにおいてフレーム断面の少
なくとも一部を閉断面状に形成しかつ内部に発泡充填空
間を形成する複数の閉断面部材の少なくとも1つに上側
及び下側画成部材31,32を設けておき、その閉断面
部材における下側画成部材32の上側位置に、未発泡状
態の充填材10を下側画成部材32により上下方向に保
持した状態でセットするようにすればよい。
【0053】
【実施例】次に、具体的に実施した実施例について説明
する。
する。
【0054】先ず、充填材そのものについて(つまりフ
レーム断面内に充填された状態ではなく、充填材自体に
ついて)、その基礎的な物理的および機械的特性を調べ
た。すなわち、表1に示す6種類の材料について、各々
その密度を調べると共に、平均圧縮強度及び最大曲げ強
度を試験によって求めた。尚、上記密度は、いずれの材
料についても、室温(約20℃)における値を調べた。
レーム断面内に充填された状態ではなく、充填材自体に
ついて)、その基礎的な物理的および機械的特性を調べ
た。すなわち、表1に示す6種類の材料について、各々
その密度を調べると共に、平均圧縮強度及び最大曲げ強
度を試験によって求めた。尚、上記密度は、いずれの材
料についても、室温(約20℃)における値を調べた。
【0055】表1の各材料中、発泡ウレタン樹脂は硬度
が8kg/cm2のものを、Al発泡体はアルミニウム
発泡材を、木材は松を、Al塊は棒状のアルミニウム材
を、レインフォースメントは、一般的にフレーム断面内
に設けられる厚さ1mmの鋼板(SPCC;以下、この
実施例では、鋼板は全てSPCC)製の補強材をそれぞ
れ使用した。
が8kg/cm2のものを、Al発泡体はアルミニウム
発泡材を、木材は松を、Al塊は棒状のアルミニウム材
を、レインフォースメントは、一般的にフレーム断面内
に設けられる厚さ1mmの鋼板(SPCC;以下、この
実施例では、鋼板は全てSPCC)製の補強材をそれぞ
れ使用した。
【0056】尚、上記レインフォースメントの密度は、
後述する図15に示すようなフレーム断面内に配設され
たレインフォースメント重量と、該レインフォースメン
ト配設部分に対応するフレームの容積から、フレーム内
換算密度として算出したものである。また、発泡ウレタ
ンの平均圧縮強度、並びにレインフォースメントの平均
圧縮強度及び最大曲げ強度については、いずれも値が低
すぎて計測することができなかった。
後述する図15に示すようなフレーム断面内に配設され
たレインフォースメント重量と、該レインフォースメン
ト配設部分に対応するフレームの容積から、フレーム内
換算密度として算出したものである。また、発泡ウレタ
ンの平均圧縮強度、並びにレインフォースメントの平均
圧縮強度及び最大曲げ強度については、いずれも値が低
すぎて計測することができなかった。
【0057】
【表1】
【0058】各充填材の平均圧縮強度を調べるための単
体圧縮試験は、以下のようにして行った。すなわち、各
材料の供試材を一辺30mmの立方体に加工してそれぞ
れ試験片を作製し、これに対して一方向から10mm/
minの速度で圧縮荷重を加え、図14において模式的
に示すように、変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲で
の平均荷重を求めてこれを充填材の平均圧縮強度とし
た。
体圧縮試験は、以下のようにして行った。すなわち、各
材料の供試材を一辺30mmの立方体に加工してそれぞ
れ試験片を作製し、これに対して一方向から10mm/
minの速度で圧縮荷重を加え、図14において模式的
に示すように、変位量(圧縮量)が0〜8mmの範囲で
の平均荷重を求めてこれを充填材の平均圧縮強度とし
た。
【0059】また、各充填材の最大曲げ強度を調べるた
めの単体曲げ試験は、以下のようにして行った。すなわ
ち、各材料の供試材を、幅50mm×長さ150mm×
厚さ10mmの平板状に加工してそれぞれ試験片を作製
し、各充填材の試験片について、支点間距離を80mm
とし、その中央をR8の圧子で10mm/minの速度
で押圧することにより、所謂オートグラフにて三点曲げ
試験を行った。そして、その荷重一変位線図から各充填
材の最大曲げ強度を算出した。
めの単体曲げ試験は、以下のようにして行った。すなわ
ち、各材料の供試材を、幅50mm×長さ150mm×
厚さ10mmの平板状に加工してそれぞれ試験片を作製
し、各充填材の試験片について、支点間距離を80mm
とし、その中央をR8の圧子で10mm/minの速度
で押圧することにより、所謂オートグラフにて三点曲げ
試験を行った。そして、その荷重一変位線図から各充填
材の最大曲げ強度を算出した。
【0060】上記表1の各充填材の密度のデータ及びコ
スト、軽量化効果等から、車体フレームのフレーム断面
内に充填する充填材の密度としては、1.0g/cm3
以下が適当であり、好ましくは、0.6g/cm3以下
であれば、さらに軽量化効果が期待できる。
スト、軽量化効果等から、車体フレームのフレーム断面
内に充填する充填材の密度としては、1.0g/cm3
以下が適当であり、好ましくは、0.6g/cm3以下
であれば、さらに軽量化効果が期待できる。
【0061】次に、上記各充填材をフレームの所定部分
の内部空間に充填して、フレームの主としてエネルギー
吸収特性を評価する試験を行った。
の内部空間に充填して、フレームの主としてエネルギー
吸収特性を評価する試験を行った。
【0062】先ず、フレームを構成するパネル材として
は、板厚1mmの鋼板を用いた。この鋼板の引張強さは
292N/mm2であり、降伏点は147N/mm2であ
り、伸びは50.4%であった。
は、板厚1mmの鋼板を用いた。この鋼板の引張強さは
292N/mm2であり、降伏点は147N/mm2であ
り、伸びは50.4%であった。
【0063】上記鋼板を用いて、図15に示すように、
片側が開口した断面コ字状のパネル材Poと平板状のパ
ネル材Piとを片ハット状に組み合わせ、その重合部分
Lf(フランジ部)について60mmピッチでスポット
溶接を行って最終的に組み立てた。
片側が開口した断面コ字状のパネル材Poと平板状のパ
ネル材Piとを片ハット状に組み合わせ、その重合部分
Lf(フランジ部)について60mmピッチでスポット
溶接を行って最終的に組み立てた。
【0064】尚、図15において仮想線で示すように、
フレーム断面内にレインフォースメントRfを配設した
ものの場合、このレインフォースメントRfの材料はフ
レームFRのパネル材Pi,Poの材料と同じものを用
いた。この場合、レインフォースメントRfの両フラン
ジ部(不図示)は、両パネル材Pi,Poのフランジ部
(重合部分Lf)に挟み込んだ上で、三枚重ねにしてス
ポット溶接で組み立てた。
フレーム断面内にレインフォースメントRfを配設した
ものの場合、このレインフォースメントRfの材料はフ
レームFRのパネル材Pi,Poの材料と同じものを用
いた。この場合、レインフォースメントRfの両フラン
ジ部(不図示)は、両パネル材Pi,Poのフランジ部
(重合部分Lf)に挟み込んだ上で、三枚重ねにしてス
ポット溶接で組み立てた。
【0065】上記のフレームFRの所定部分の内部空間
に表1の各充填材をそれぞれ充填して各種の機械的試験
を行い、平均圧縮強度又は最大曲げ強度とエネルギー吸
収性との関係を調べた。
に表1の各充填材をそれぞれ充填して各種の機械的試験
を行い、平均圧縮強度又は最大曲げ強度とエネルギー吸
収性との関係を調べた。
【0066】先ず、フレームの静的三点曲げ試験を実施
した。図16は、フレームRfの静的三点曲げ試験を行
う試験装置を模式的に示す説明図である。また、図17
は、この静的三点曲げ試験装置の要部を拡大して示す説
明図である。
した。図16は、フレームRfの静的三点曲げ試験を行
う試験装置を模式的に示す説明図である。また、図17
は、この静的三点曲げ試験装置の要部を拡大して示す説
明図である。
【0067】図15において実線で示す断面形状を備え
た所定長さのフレームFRの断面内に充填材SをEf=
50〜300mmの長さにわたって充填し、万能試験機
により、圧子Maを介してフレームFRの中央に静的荷
重Wsを加え、図18に示すように、変位量0〜45m
mの範囲での荷重一変位を測定し、静的エネルギー吸収
量を求めた。
た所定長さのフレームFRの断面内に充填材SをEf=
50〜300mmの長さにわたって充填し、万能試験機
により、圧子Maを介してフレームFRの中央に静的荷
重Wsを加え、図18に示すように、変位量0〜45m
mの範囲での荷重一変位を測定し、静的エネルギー吸収
量を求めた。
【0068】上記試験結果を図19〜図22のグラフに
示す。先ず、図19は、充填材質量とエネルギー吸収量
との関係を表したものである。この図19において、黒
丸印(●)は木材を、黒四角印(■)はエポキシ樹脂A
を、それぞれ充填した場合を示し、また、白三角印
(△)は鋼板レインフォースメント(板厚1.0mm)
をフレーム断面内に設けた場合を示している。尚、白丸
印(○)は、板厚1.6mmの鋼板の場合を参考までに
示したものである。
示す。先ず、図19は、充填材質量とエネルギー吸収量
との関係を表したものである。この図19において、黒
丸印(●)は木材を、黒四角印(■)はエポキシ樹脂A
を、それぞれ充填した場合を示し、また、白三角印
(△)は鋼板レインフォースメント(板厚1.0mm)
をフレーム断面内に設けた場合を示している。尚、白丸
印(○)は、板厚1.6mmの鋼板の場合を参考までに
示したものである。
【0069】このグラフ(図19)から良く判るよう
に、木材及びエポキシ樹脂Aのいずれにおいても、充填
材Sの充填質量が増えるに連れて吸収エネルギーが高く
なり、試験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分
が潰れた状態で最大値を示した。また、木材やエポキシ
樹脂等の充填材Sを用いた場合、レインフォースメント
を設けただけの場合に比べて、同等のエネルギー吸収量
を得るのに、はるかに少ない充填質量で済む。
に、木材及びエポキシ樹脂Aのいずれにおいても、充填
材Sの充填質量が増えるに連れて吸収エネルギーが高く
なり、試験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分
が潰れた状態で最大値を示した。また、木材やエポキシ
樹脂等の充填材Sを用いた場合、レインフォースメント
を設けただけの場合に比べて、同等のエネルギー吸収量
を得るのに、はるかに少ない充填質量で済む。
【0070】このように、フレーム断面内に充填材Sを
充填することにより、レインフォースメントRfを設け
ただけの場合に比べて、フレームFRのエネルギー吸収
性が大幅に向上することが確認できた。
充填することにより、レインフォースメントRfを設け
ただけの場合に比べて、フレームFRのエネルギー吸収
性が大幅に向上することが確認できた。
【0071】また、図20は充填材Sの平均圧縮強度と
エネルギー吸収量との関係を示したもので、グラフの横
軸は対数目盛である。この測定においては、各充填材S
の充填長さEfを50mmとした。充填長さがこの程度
以下の場合には、充填材Sは殆ど曲げ作用を受けること
はなく、そのエネルギー吸収性は圧縮強度との相関性が
非常に強くなる。尚、図20において、a1点、a2
点、a3点、a4点及びa5点は、それぞれウレタン樹
脂、Al発泡体、木材、エポキシ樹脂A及びAl塊につ
いてのデータであることを示している。
エネルギー吸収量との関係を示したもので、グラフの横
軸は対数目盛である。この測定においては、各充填材S
の充填長さEfを50mmとした。充填長さがこの程度
以下の場合には、充填材Sは殆ど曲げ作用を受けること
はなく、そのエネルギー吸収性は圧縮強度との相関性が
非常に強くなる。尚、図20において、a1点、a2
点、a3点、a4点及びa5点は、それぞれウレタン樹
脂、Al発泡体、木材、エポキシ樹脂A及びAl塊につ
いてのデータであることを示している。
【0072】この図20のグラフから良く判るように、
充填材Sの平均圧縮強度が大きくなるにつれてエネルギ
ー吸収量も増加するが、平均圧縮強度が4MPa以上に
なるとフレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは
飽和する。換言すれば、平均圧縮強度が4MPa以上で
あれば、ほぼ最大値に近いエネルギー吸収量を得ること
ができる。
充填材Sの平均圧縮強度が大きくなるにつれてエネルギ
ー吸収量も増加するが、平均圧縮強度が4MPa以上に
なるとフレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは
飽和する。換言すれば、平均圧縮強度が4MPa以上で
あれば、ほぼ最大値に近いエネルギー吸収量を得ること
ができる。
【0073】特に、平均圧縮強度が5MPa以上になれ
ば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合はより
安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量をより
安定して得ることができる。
ば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合はより
安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量をより
安定して得ることができる。
【0074】さらに、図21は充填材Sの最大曲げ強度
とエネルギー吸収量との関係を示したもので、また、図
22は、図21のグラフにおける最大曲げ強度80MP
a以下の部分を拡大して示すものである。この測定にお
いては、各充填材Sの充填長さEfを100mmとし
た。充填長さが100mm程度にまで増加すると、充填
材の曲げ強度もフレームFRのエネルギー吸収性の向上
に大きく寄与するようになる。尚、図21及び図22に
おいて、b1点、b2点、b3点及びb4点は、それぞ
れAl発泡体、エポキシ樹脂A、木材及びAl塊のデー
タであることを示している。
とエネルギー吸収量との関係を示したもので、また、図
22は、図21のグラフにおける最大曲げ強度80MP
a以下の部分を拡大して示すものである。この測定にお
いては、各充填材Sの充填長さEfを100mmとし
た。充填長さが100mm程度にまで増加すると、充填
材の曲げ強度もフレームFRのエネルギー吸収性の向上
に大きく寄与するようになる。尚、図21及び図22に
おいて、b1点、b2点、b3点及びb4点は、それぞ
れAl発泡体、エポキシ樹脂A、木材及びAl塊のデー
タであることを示している。
【0075】これらのグラフから良く判るように、充填
材Sの最大曲げ強度が大きくなるにつれてエネルギー吸
収量も増加するが、最大曲げ強度が10MPa以上にな
ると(特に図22参照)フレームFRのエネルギー吸収
量の増加度合いは飽和する。換言すれば、最大曲げ強度
が10MPa以上であれば、ほぼ最大値に近いエネルギ
ー吸収量を得ることができる。
材Sの最大曲げ強度が大きくなるにつれてエネルギー吸
収量も増加するが、最大曲げ強度が10MPa以上にな
ると(特に図22参照)フレームFRのエネルギー吸収
量の増加度合いは飽和する。換言すれば、最大曲げ強度
が10MPa以上であれば、ほぼ最大値に近いエネルギ
ー吸収量を得ることができる。
【0076】特に、最大曲げ強度が60MPa以上にな
れば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは
より安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量を
より安定して得ることができる。
れば、フレームFRのエネルギー吸収量の増加度合いは
より安定して飽和し、最大値に近いエネルギー吸収量を
より安定して得ることができる。
【0077】以上の静的エネルギー吸収性の試験におい
て、フレーム断面内に充填材が充填されていない場合に
は、図23に示すように、フレームFRは荷重Wsの入
力点で局部的に大きく変形する。これに対して、フレー
ム断面内に充填材が充填されている場合には、図24に
示すように、入力荷重Wsは、入力点だけでなく、長さ
Efの範囲で充填された充填材Sを介してフレームFR
の充填部分周辺に分散されることになる。すなわち、充
填材Sを内部に充填することにより、フレームは、局部
的に大きな変形が生じることなく、広範囲にわたって変
形することになる。これにより、吸収エネルギーも飛躍
的に増加するものと考えられる。
て、フレーム断面内に充填材が充填されていない場合に
は、図23に示すように、フレームFRは荷重Wsの入
力点で局部的に大きく変形する。これに対して、フレー
ム断面内に充填材が充填されている場合には、図24に
示すように、入力荷重Wsは、入力点だけでなく、長さ
Efの範囲で充填された充填材Sを介してフレームFR
の充填部分周辺に分散されることになる。すなわち、充
填材Sを内部に充填することにより、フレームは、局部
的に大きな変形が生じることなく、広範囲にわたって変
形することになる。これにより、吸収エネルギーも飛躍
的に増加するものと考えられる。
【0078】尚、このときの充填材Sの単体のエネルギ
ー吸収量を計算によって求めると、全吸収エネルギーの
7%以下であった。このことからも、充填材Sをフレー
ムFR内に充填することによるエネルギー吸収性の向上
は、充填材S自体のエネルギー吸収性よりも、充填材S
による荷重分散効果が非常に大きく寄与してることが理
解できる。
ー吸収量を計算によって求めると、全吸収エネルギーの
7%以下であった。このことからも、充填材Sをフレー
ムFR内に充填することによるエネルギー吸収性の向上
は、充填材S自体のエネルギー吸収性よりも、充填材S
による荷重分散効果が非常に大きく寄与してることが理
解できる。
【0079】また、図19のグラフにおいて、特に、エ
ネルギー吸収量の上限を示す木材を充填したフレームに
ついて、試験後のフレームの状態を目視観察すると、試
験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分がほぼ完
全に潰れた状態となっていた。つまり、本フレームFR
での最大のエネルギー吸収がこの支点Msによる支持部
分の潰れによるものであると考えられる。したがって、
この場合、充填材Sの役割は入力荷重Wsを支点部分に
分散させることにあると言える。
ネルギー吸収量の上限を示す木材を充填したフレームに
ついて、試験後のフレームの状態を目視観察すると、試
験装置の両支点Msで支持されたフレーム部分がほぼ完
全に潰れた状態となっていた。つまり、本フレームFR
での最大のエネルギー吸収がこの支点Msによる支持部
分の潰れによるものであると考えられる。したがって、
この場合、充填材Sの役割は入力荷重Wsを支点部分に
分散させることにあると言える。
【0080】さらに、充填長さEf=50mmで各充填
材をそれぞれ充填した各フレームについて、試験後のフ
レーム断面の潰れ状態を目視観察すると、エネルギー吸
収性が比較的低いもの(レインフォースメントRfの
み、ウレタン樹脂及びAl発泡体)ではフレーム断面が
荷重入力点でほぼ完全に潰れており、一方、エネルギー
吸収性が比較的高いもの(エポキシ樹脂、木材及びAl
塊)ではフレーム断面は荷重入力点で余り潰れていなか
った。
材をそれぞれ充填した各フレームについて、試験後のフ
レーム断面の潰れ状態を目視観察すると、エネルギー吸
収性が比較的低いもの(レインフォースメントRfの
み、ウレタン樹脂及びAl発泡体)ではフレーム断面が
荷重入力点でほぼ完全に潰れており、一方、エネルギー
吸収性が比較的高いもの(エポキシ樹脂、木材及びAl
塊)ではフレーム断面は荷重入力点で余り潰れていなか
った。
【0081】この荷重入力点でのフレーム断面の潰れ
は、充填材Sの圧縮強度が大きく寄与しており、上述の
ように、充填材Sの平均圧縮強度が増すにつれてエネル
ギー吸収量が増加し、約4MPaで飽和し、約5MPa
でより安定して飽和している(図20参照)。
は、充填材Sの圧縮強度が大きく寄与しており、上述の
ように、充填材Sの平均圧縮強度が増すにつれてエネル
ギー吸収量が増加し、約4MPaで飽和し、約5MPa
でより安定して飽和している(図20参照)。
【0082】このことから、断面の潰れはフレームのエ
ネルギー吸収性能に大きく影響しており、断面が潰れる
と応力集中が生じて局部的な変形を加速し、フレームF
Rの折れを招来して、十分なエネルギー吸収量を確保す
ることができなくなるものと考えられる。
ネルギー吸収性能に大きく影響しており、断面が潰れる
と応力集中が生じて局部的な変形を加速し、フレームF
Rの折れを招来して、十分なエネルギー吸収量を確保す
ることができなくなるものと考えられる。
【0083】フレームFR内に充填された充填材Sへの
圧縮荷重は、特に荷重入力側に直接的に作用するので、
充填材Sの平均圧縮強度は、特に荷重入力側において上
記断面の潰れを防ぐに足る値(4MPa以上)に維持さ
れることが好ましい。
圧縮荷重は、特に荷重入力側に直接的に作用するので、
充填材Sの平均圧縮強度は、特に荷重入力側において上
記断面の潰れを防ぐに足る値(4MPa以上)に維持さ
れることが好ましい。
【0084】また、上述のように、充填材Sの充填長さ
Efが一定以上長くなると、充填材Sの平均圧縮強度が
ほぼ同等であってもエネルギー吸収性に差が生じる。充
填材Sの充填長さEfを100mmとした場合において
エネルギー吸収量が比較的低かったエポキシ樹脂Aを充
填したフレームの断面を目視観察すると、充填材(エポ
キシ樹脂)に割れが生じていた。この割れに対しては最
大曲げ強度が大きく影響しており、この最大曲げ強度が
高くなるにつれてエネルギー吸収量が増加し、約10M
Paで飽和し、約60MPaでより安定して飽和してい
た(図21及び図22参照)。
Efが一定以上長くなると、充填材Sの平均圧縮強度が
ほぼ同等であってもエネルギー吸収性に差が生じる。充
填材Sの充填長さEfを100mmとした場合において
エネルギー吸収量が比較的低かったエポキシ樹脂Aを充
填したフレームの断面を目視観察すると、充填材(エポ
キシ樹脂)に割れが生じていた。この割れに対しては最
大曲げ強度が大きく影響しており、この最大曲げ強度が
高くなるにつれてエネルギー吸収量が増加し、約10M
Paで飽和し、約60MPaでより安定して飽和してい
た(図21及び図22参照)。
【0085】フレームFR内に充填された充填材Sへの
曲げ荷重は、特に反荷重入力側に直接的に作用するの
で、上記充填材Sの最大曲げ強度は、特に反荷重入力側
において上記充填材の割れを防ぐに足る値(10MPa
以上)に維持されることが好ましい。
曲げ荷重は、特に反荷重入力側に直接的に作用するの
で、上記充填材Sの最大曲げ強度は、特に反荷重入力側
において上記充填材の割れを防ぐに足る値(10MPa
以上)に維持されることが好ましい。
【0086】尚、以上のことから、フレームFR内に充
填材Sを充填する場合、充填材Sを異なる充填材で成る
多層構造とし、荷重入力側には平均圧縮強度が所定値
(少なくとも4MPa)以上の充填材層を設け、反荷重
入力側には最大曲げ強度が所定値(少なくとも10MP
a)以上の充填材層を設けるようにすれば、非常に効率
良くフレームFRのエネルギー吸収性を高めることがで
きる。
填材Sを充填する場合、充填材Sを異なる充填材で成る
多層構造とし、荷重入力側には平均圧縮強度が所定値
(少なくとも4MPa)以上の充填材層を設け、反荷重
入力側には最大曲げ強度が所定値(少なくとも10MP
a)以上の充填材層を設けるようにすれば、非常に効率
良くフレームFRのエネルギー吸収性を高めることがで
きる。
【0087】上述の静的三点曲げ試験に続いて、フレー
ムの動的三点曲げ試験を実施した。図25は、フレーム
FRの動的三点曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す
説明図である。上記静的三点曲げ試験の場合と同様に、
図15において実線で示す断面形状を備えた所定長さの
フレームFRの断面内に充填材SをEf=50〜300
mmの長さにわたって充填し、落錘Mbによりフレーム
中央部分に衝撃荷重Wdを与えた場合のフレームFRの
変形量を測定すると共に、衝撃荷重をロードセルMcで
測定し、図26に示すように、変位量0〜45mmの範
囲でのエネルギー吸収量を求めた。
ムの動的三点曲げ試験を実施した。図25は、フレーム
FRの動的三点曲げ試験を行う試験装置を模式的に示す
説明図である。上記静的三点曲げ試験の場合と同様に、
図15において実線で示す断面形状を備えた所定長さの
フレームFRの断面内に充填材SをEf=50〜300
mmの長さにわたって充填し、落錘Mbによりフレーム
中央部分に衝撃荷重Wdを与えた場合のフレームFRの
変形量を測定すると共に、衝撃荷重をロードセルMcで
測定し、図26に示すように、変位量0〜45mmの範
囲でのエネルギー吸収量を求めた。
【0088】図27は、上記動的三点曲げ試験における
充填材長さとエネルギー吸収量との関係を示したもので
ある。この図27において、黒丸印(●)は木材を、黒
四角印(■)はエポキシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合
を示している。
充填材長さとエネルギー吸収量との関係を示したもので
ある。この図27において、黒丸印(●)は木材を、黒
四角印(■)はエポキシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合
を示している。
【0089】このグラフ(図27)から良く判るよう
に、静的三点曲げ試験の場合と同様に、木材及びエポキ
シ樹脂Aのいずれにおいても、充填材Sの充填量が増え
るにつれて吸収エネルギーが高くなり、また、エネルギ
ー吸収量の上限が認められ、その値は約0.85kJで
あった。
に、静的三点曲げ試験の場合と同様に、木材及びエポキ
シ樹脂Aのいずれにおいても、充填材Sの充填量が増え
るにつれて吸収エネルギーが高くなり、また、エネルギ
ー吸収量の上限が認められ、その値は約0.85kJで
あった。
【0090】このように、動的荷重Wdについても、フ
レーム断面内に充填材Sを充填することにより、フレー
ムFRのエネルギー吸収性が向上することが確認でき
た。
レーム断面内に充填材Sを充填することにより、フレー
ムFRのエネルギー吸収性が向上することが確認でき
た。
【0091】また、静的荷重Wsの場合と動的荷重Wd
の場合とを比較すると、動的荷重Wdに対する方がエネ
ルギー吸収量は大きく、静的荷重Wsに対する場合の約
1.7倍であった。
の場合とを比較すると、動的荷重Wdに対する方がエネ
ルギー吸収量は大きく、静的荷重Wsに対する場合の約
1.7倍であった。
【0092】さらに、以上で得られた静的荷重Ws及び
動的荷重Wdそれぞれにおけるエネルギー吸収性のデー
タから、静的荷重Wsの場合と動的荷重Wdの場合との
比(静動比)を算出すると、非常に高い相関性が認めら
れた。したがって、静的荷重Wsにおけるエネルギー吸
収性について行った考察(充填材Sによる荷重分散効果
等)は、基本的には、動的荷重Wdにおけるエネルギー
吸収性を取り扱う場合にも、適用することができるもの
と考えられる。
動的荷重Wdそれぞれにおけるエネルギー吸収性のデー
タから、静的荷重Wsの場合と動的荷重Wdの場合との
比(静動比)を算出すると、非常に高い相関性が認めら
れた。したがって、静的荷重Wsにおけるエネルギー吸
収性について行った考察(充填材Sによる荷重分散効果
等)は、基本的には、動的荷重Wdにおけるエネルギー
吸収性を取り扱う場合にも、適用することができるもの
と考えられる。
【0093】図28は、上記動的三点曲げ試験におい
て、フレーム断面内にレインフォースメントRfのみが
設けられた場合に対するエネルギー吸収性の向上率と、
充填材Sの充填長さ範囲(荷重支点間距離に対する充填
長さ割合)との関係を示すグラフである。この図28に
おいて、白丸印(○)は木材を、白三角印(△)はエポ
キシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合を示している。
て、フレーム断面内にレインフォースメントRfのみが
設けられた場合に対するエネルギー吸収性の向上率と、
充填材Sの充填長さ範囲(荷重支点間距離に対する充填
長さ割合)との関係を示すグラフである。この図28に
おいて、白丸印(○)は木材を、白三角印(△)はエポ
キシ樹脂Aをそれぞれ充填した場合を示している。
【0094】このグラフ(図28)から良く判るよう
に、木材及びエポキシ樹脂のいずれにおいても、充填材
Sの充填長さ範囲が大きくなるにつれて吸収エネルギー
が高くなるが、約15%でほぼ飽和する。換言すれば、
充填材Sの充填長さ範囲が荷重支点間距離に対して15
%以上あれば、ほぼ最大のエネルギー吸収量を得ること
ができる。したがって、充填材Sの充填範囲としては、
荷重支点間距離に対して15%以上であることが好まし
い。
に、木材及びエポキシ樹脂のいずれにおいても、充填材
Sの充填長さ範囲が大きくなるにつれて吸収エネルギー
が高くなるが、約15%でほぼ飽和する。換言すれば、
充填材Sの充填長さ範囲が荷重支点間距離に対して15
%以上あれば、ほぼ最大のエネルギー吸収量を得ること
ができる。したがって、充填材Sの充填範囲としては、
荷重支点間距離に対して15%以上であることが好まし
い。
【0095】図29は、フレームの静的片持ち曲げ試験
を行う試験装置を模式的に示す説明図である。図30に
示す断面形状を備えた所定長さのフレームFRの断面内
に充填材Sを充填した上で、このフレームFRの一端を
支持板Meに固定し、この支持板Meを装置基板Mfに
固定する。そして、万能試験機により、フレームFRの
パネル材Piの他端近傍に圧子Mdを介して静的荷重W
mをパネル材Po方向に加え、曲げ角度(荷重作用点の
変位とこの荷重作用点の基端からの距離とで算出)と荷
重との関係を測定し、最大曲げモーメント及び静的エネ
ルギー吸収量を求めた。
を行う試験装置を模式的に示す説明図である。図30に
示す断面形状を備えた所定長さのフレームFRの断面内
に充填材Sを充填した上で、このフレームFRの一端を
支持板Meに固定し、この支持板Meを装置基板Mfに
固定する。そして、万能試験機により、フレームFRの
パネル材Piの他端近傍に圧子Mdを介して静的荷重W
mをパネル材Po方向に加え、曲げ角度(荷重作用点の
変位とこの荷重作用点の基端からの距離とで算出)と荷
重との関係を測定し、最大曲げモーメント及び静的エネ
ルギー吸収量を求めた。
【0096】図31は、種々の充填材を充填したフレー
ムの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフで
ある。このグラフにおいて、曲線aは充填材なし(鋼板
フレームのみ)のフレームの特性を、曲線bはエポキシ
樹脂Aを充填したフレームの特性を、曲線cはエポキシ
樹脂Bを充填したフレームの特性を、曲線dは、エポキ
シ樹脂Bを充填しかつフレームFRのパネル材PoとP
iとの間に接着剤(剪断強度7.3MPaの車体シー
ラ)を適用したフレームの特性を、曲線eは木材(松)
を充填したフレームの特性をそれぞれ示している。
ムの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフで
ある。このグラフにおいて、曲線aは充填材なし(鋼板
フレームのみ)のフレームの特性を、曲線bはエポキシ
樹脂Aを充填したフレームの特性を、曲線cはエポキシ
樹脂Bを充填したフレームの特性を、曲線dは、エポキ
シ樹脂Bを充填しかつフレームFRのパネル材PoとP
iとの間に接着剤(剪断強度7.3MPaの車体シー
ラ)を適用したフレームの特性を、曲線eは木材(松)
を充填したフレームの特性をそれぞれ示している。
【0097】この図31のグラフから判るように、いず
れの曲線についても、曲げ角度がある程度に達するまで
は、曲げモーメント値は曲げ角度の増加に伴って立ち上
がるように大きく上昇する。そして、曲線a〜c及び曲
線eについては、それぞれある曲げ角度でピーク(極大
点)を迎え、その後は曲げ角度が増すにつれて曲げモー
メントは低下する。曲線a(充填材なしで鋼板フレーム
のみ)の場合、この低下度合いが特に大きい。
れの曲線についても、曲げ角度がある程度に達するまで
は、曲げモーメント値は曲げ角度の増加に伴って立ち上
がるように大きく上昇する。そして、曲線a〜c及び曲
線eについては、それぞれある曲げ角度でピーク(極大
点)を迎え、その後は曲げ角度が増すにつれて曲げモー
メントは低下する。曲線a(充填材なしで鋼板フレーム
のみ)の場合、この低下度合いが特に大きい。
【0098】これに対して、曲線d(エポキシ樹脂B+
接着剤)の場合には、曲げモーメントが大きく上昇した
後でも、曲げ角度の増加に対して曲げモーメントの落ち
込みは見られず、高い曲げモーメント値を維持してい
る。また、最大曲げモーメント値も5つの曲線のうちで
最も大きい。同じ充填材(エポキシ樹脂B)を用いた曲
線cと比較して、曲げ角度の増加に対する傾向及び最大
曲げモーメントの大きさの両方について、明確な差があ
る。
接着剤)の場合には、曲げモーメントが大きく上昇した
後でも、曲げ角度の増加に対して曲げモーメントの落ち
込みは見られず、高い曲げモーメント値を維持してい
る。また、最大曲げモーメント値も5つの曲線のうちで
最も大きい。同じ充填材(エポキシ樹脂B)を用いた曲
線cと比較して、曲げ角度の増加に対する傾向及び最大
曲げモーメントの大きさの両方について、明確な差があ
る。
【0099】すなわち、同じ充填材を用いても、この充
填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定するこ
とにより、フレームの曲げモーメント特性が大きく向上
することが判る。
填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定するこ
とにより、フレームの曲げモーメント特性が大きく向上
することが判る。
【0100】また、図32は、図31と同様の種々の充
填材を充填したフレームの最大曲げモーメント[Nm]
及びエネルギー吸収量[J]を示す棒グラフである。こ
のグラフにおいて、A〜Eの各欄は、図31の曲線a〜
eとそれぞれ同じフレームを示している。また、各欄に
おいて、左側の数値(白抜きの棒グラフ)がフレームの
最大曲げモーメント[Nm]を示し、右側の数値(斜線
ハッチングの棒グラフ)はフレームのエネルギー吸収量
[J]を示している。
填材を充填したフレームの最大曲げモーメント[Nm]
及びエネルギー吸収量[J]を示す棒グラフである。こ
のグラフにおいて、A〜Eの各欄は、図31の曲線a〜
eとそれぞれ同じフレームを示している。また、各欄に
おいて、左側の数値(白抜きの棒グラフ)がフレームの
最大曲げモーメント[Nm]を示し、右側の数値(斜線
ハッチングの棒グラフ)はフレームのエネルギー吸収量
[J]を示している。
【0101】この図32のグラフから良く判るように、
フレームのエネルギー吸収量は、エポキシ樹脂B+接着
剤(D欄)を適用したものが最も大きく、同じ充填材
(エポキシ樹脂B)を用いたC欄のエネルギー吸収量と
比べて明確な差がある。
フレームのエネルギー吸収量は、エポキシ樹脂B+接着
剤(D欄)を適用したものが最も大きく、同じ充填材
(エポキシ樹脂B)を用いたC欄のエネルギー吸収量と
比べて明確な差がある。
【0102】すなわち、同じ充填材を用いても、この充
填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定するこ
とにより、フレームのエネルギー吸収特性が大きく向上
することが判る。
填材をフレームのパネル材に対して接着剤で固定するこ
とにより、フレームのエネルギー吸収特性が大きく向上
することが判る。
【0103】図33は、接着剤層のせん断接着強さと最
大曲げモーメントとの関係を示すグラフである。この図
33のグラフから良く判るように、接着剤層のせん断接
着強さが大きくなるにつれて最大曲げモーメントも増加
するが、せん断接着強さが3MPa以上になると、最大
曲げモーメントの増加度合い(グラフにおける曲線の勾
配)は、それまでに比べて緩やかになる。つまり、接着
剤層のせん断接着強さが3MPa以上であれば、フレー
ムが負担できる最大曲げモーメントを非常に効果的に増
加させ、十分な曲げモーメント値を達成して高いエネル
ギー吸収能力を得ることが可能である。したがって、接
着剤層のせん断接着強さとしては、3MPa以上であれ
ばよい。また、せん断接着強さがさらに大きくなり、7
MPa以上になると最大曲げモーメントの増加度合いは
飽和する。換言すれば、せん断接着強さが7MPa以上
であれば、ほぼ最大値に近い曲げモーメント値を得るこ
とができる。よって、接着剤層のせん断接着強さが7M
Pa以上であることがさらに好ましい。
大曲げモーメントとの関係を示すグラフである。この図
33のグラフから良く判るように、接着剤層のせん断接
着強さが大きくなるにつれて最大曲げモーメントも増加
するが、せん断接着強さが3MPa以上になると、最大
曲げモーメントの増加度合い(グラフにおける曲線の勾
配)は、それまでに比べて緩やかになる。つまり、接着
剤層のせん断接着強さが3MPa以上であれば、フレー
ムが負担できる最大曲げモーメントを非常に効果的に増
加させ、十分な曲げモーメント値を達成して高いエネル
ギー吸収能力を得ることが可能である。したがって、接
着剤層のせん断接着強さとしては、3MPa以上であれ
ばよい。また、せん断接着強さがさらに大きくなり、7
MPa以上になると最大曲げモーメントの増加度合いは
飽和する。換言すれば、せん断接着強さが7MPa以上
であれば、ほぼ最大値に近い曲げモーメント値を得るこ
とができる。よって、接着剤層のせん断接着強さが7M
Pa以上であることがさらに好ましい。
【0104】尚、上記せん断接着強さの測定は、JIS
K 6850の「接着剤の引張せん断接着強さ試験方
法」に基づいて行ったものであり、図34に示すよう
に、被着材51,51として幅25mm、厚さ1.6m
mの鋼板を用い、接着部分(長さ12.5mm)に未発
泡状態の充填材52を挟み込んで0.5mm厚さに固定
し、クランプした状態で電着塗装等の乾燥熱を模擬した
加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃
×20分)を行い、その後、発泡してはみ出した部分を
取り除いた状態で試験を行うことでせん断接着強さを測
定した(接着剤層が有る場合も無い場合も同じ)。
K 6850の「接着剤の引張せん断接着強さ試験方
法」に基づいて行ったものであり、図34に示すよう
に、被着材51,51として幅25mm、厚さ1.6m
mの鋼板を用い、接着部分(長さ12.5mm)に未発
泡状態の充填材52を挟み込んで0.5mm厚さに固定
し、クランプした状態で電着塗装等の乾燥熱を模擬した
加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃
×20分)を行い、その後、発泡してはみ出した部分を
取り除いた状態で試験を行うことでせん断接着強さを測
定した(接着剤層が有る場合も無い場合も同じ)。
【0105】次に、図35に示す断面形状を備えた長さ
240mmのフレーム60の断面内の一部に充填材を充
填した場合と、全体に充填した場合とで、フレーム60
の曲げ角度と曲げモーメントとの関係がどのようになる
かを図29と同様の静的片持ち曲げ試験により調べた。
尚、静的荷重は、アウタパネル62側からインナパネル
63方向に加えた。
240mmのフレーム60の断面内の一部に充填材を充
填した場合と、全体に充填した場合とで、フレーム60
の曲げ角度と曲げモーメントとの関係がどのようになる
かを図29と同様の静的片持ち曲げ試験により調べた。
尚、静的荷重は、アウタパネル62側からインナパネル
63方向に加えた。
【0106】具体的には、(イ)アウタパネル62とレ
インフォースメント64との間のみに充填材を充填した
ものと、(ロ)インナパネル63とレインフォースメン
ト64との間のみに充填材を充填したものと、(ハ)ア
ウタパネル62とレインフォースメント64との間、及
びインナパネル63とレインフォースメント64との間
の両方に充填材を充填したものと、(ニ)充填材を全く
充填していないものとを作製してそれらに対して試験を
行った。このとき、アウタパネル62は厚さ0.7mm
の鋼板を、インナパネル63は厚さ1.4mmの鋼板
を、レインフォースメント64は厚さ1.2mmの鋼板
をそれぞれ使用した。また、充填材は、平均圧縮強度が
9MPaで最大曲げ強度が10MPaのエポキシ樹脂
(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等を含む)を使用
し、充填材自体が10MPaのせん断接着強さを有する
ようにした。そして、シート状の未発泡状態の充填材を
170℃で30分保持することでアウタパネル62とレ
インフォースメント64との間、及び/又はインナパネ
ル63とレインフォースメント64との間に完全に充填
させた。尚、充填材の充填量は、アウタパネル62とレ
インフォースメント64との間が117gであり、イン
ナパネル63とレインフォースメント64との間が42
3gであった。
インフォースメント64との間のみに充填材を充填した
ものと、(ロ)インナパネル63とレインフォースメン
ト64との間のみに充填材を充填したものと、(ハ)ア
ウタパネル62とレインフォースメント64との間、及
びインナパネル63とレインフォースメント64との間
の両方に充填材を充填したものと、(ニ)充填材を全く
充填していないものとを作製してそれらに対して試験を
行った。このとき、アウタパネル62は厚さ0.7mm
の鋼板を、インナパネル63は厚さ1.4mmの鋼板
を、レインフォースメント64は厚さ1.2mmの鋼板
をそれぞれ使用した。また、充填材は、平均圧縮強度が
9MPaで最大曲げ強度が10MPaのエポキシ樹脂
(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等を含む)を使用
し、充填材自体が10MPaのせん断接着強さを有する
ようにした。そして、シート状の未発泡状態の充填材を
170℃で30分保持することでアウタパネル62とレ
インフォースメント64との間、及び/又はインナパネ
ル63とレインフォースメント64との間に完全に充填
させた。尚、充填材の充填量は、アウタパネル62とレ
インフォースメント64との間が117gであり、イン
ナパネル63とレインフォースメント64との間が42
3gであった。
【0107】上記曲げ試験の結果を図36〜図38に示
す。このことより、最大曲げモーメントは、充填材をフ
レーム断面内全体に充填したものが最もよいが、座屈開
始の曲げモーメントで比較すると、充填材をアウタパネ
ル62とレインフォースメント64との間のみに充填し
たものは、フレーム60断面内全体に充填したものと殆
ど変わらない。したがって、充填材をアウタパネル62
とレインフォースメント64との間のみに充填すること
は、特にセンターピラーのように折れ曲がりを抑制する
必要があるフレームに特に有効であって、充填材の重量
当たりの曲げモーメントが非常に高くなり、充填量の観
点から最も効率が良いことが判る。
す。このことより、最大曲げモーメントは、充填材をフ
レーム断面内全体に充填したものが最もよいが、座屈開
始の曲げモーメントで比較すると、充填材をアウタパネ
ル62とレインフォースメント64との間のみに充填し
たものは、フレーム60断面内全体に充填したものと殆
ど変わらない。したがって、充填材をアウタパネル62
とレインフォースメント64との間のみに充填すること
は、特にセンターピラーのように折れ曲がりを抑制する
必要があるフレームに特に有効であって、充填材の重量
当たりの曲げモーメントが非常に高くなり、充填量の観
点から最も効率が良いことが判る。
【0108】続いて、上記フレーム60のアウタパネル
62とレインフォースメント64との間のみに充填材を
充填する場合に、レインフォースメント64の曲げ高さ
を変えることによりアウタパネル62とレインフォース
メント64との間の隙間量(ここでは図35で7mmの
部分のみ)を変えて、上記と同様の曲げ試験を行うこと
で、その隙間量により最大曲げモーメントがどのように
変化するかを調べた。そして、比較のために、充填材を
全く充填しない場合についても調べた。尚、アウタパネ
ル62とレインフォースメント64との間における左右
両側部の隙間量(図35で5mmの部分)は5mmのま
まとした。
62とレインフォースメント64との間のみに充填材を
充填する場合に、レインフォースメント64の曲げ高さ
を変えることによりアウタパネル62とレインフォース
メント64との間の隙間量(ここでは図35で7mmの
部分のみ)を変えて、上記と同様の曲げ試験を行うこと
で、その隙間量により最大曲げモーメントがどのように
変化するかを調べた。そして、比較のために、充填材を
全く充填しない場合についても調べた。尚、アウタパネ
ル62とレインフォースメント64との間における左右
両側部の隙間量(図35で5mmの部分)は5mmのま
まとした。
【0109】上記試験の結果を図39に示す。このこと
より、充填材を充填しない場合には隙間量が小さいほど
最大曲げモーメントは高くなるが、充填材を充填する場
合には、隙間量が2mmよりも小さくなると、充填材を
充填しない場合と殆ど変わらず、2mm以上とすれば充
填効果が十分に得られることが判る。
より、充填材を充填しない場合には隙間量が小さいほど
最大曲げモーメントは高くなるが、充填材を充填する場
合には、隙間量が2mmよりも小さくなると、充填材を
充填しない場合と殆ど変わらず、2mm以上とすれば充
填効果が十分に得られることが判る。
【0110】次いで、図40(a)に示すように、アウ
タパネル72とレインフォースメント74との間のみに
充填材71を充填したセンターピラーを作製した(実施
例1)。このとき、アウタパネル72は厚さ0.7mm
の鋼板を、インナパネル73は厚さ1.4mmの鋼板
を、レインフォースメント74は厚さ1.2mmの鋼板
(材料がアウタパネル72と同じであるので、強度はア
ウタパネル72と同じであり、板厚がアウタパネル72
よりも大きいので、剛性がアウタパネル72よりも大き
い)をそれぞれ使用した。また、充填材71は、平均圧
縮強度が13.0MPaで最大曲げ強度が13.5MP
aのエポキシ樹脂(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等
を含む)を使用し、充填材71自体が10.5MPaの
せん断接着強さを有するようにした。そして、センター
ピラーを組み立てた後、電着塗装等の乾燥熱を模擬した
加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃
×20分)を行って未発泡状態の充填材を発泡硬化させ
た。尚、充填材71の充填量は150gであった。
タパネル72とレインフォースメント74との間のみに
充填材71を充填したセンターピラーを作製した(実施
例1)。このとき、アウタパネル72は厚さ0.7mm
の鋼板を、インナパネル73は厚さ1.4mmの鋼板
を、レインフォースメント74は厚さ1.2mmの鋼板
(材料がアウタパネル72と同じであるので、強度はア
ウタパネル72と同じであり、板厚がアウタパネル72
よりも大きいので、剛性がアウタパネル72よりも大き
い)をそれぞれ使用した。また、充填材71は、平均圧
縮強度が13.0MPaで最大曲げ強度が13.5MP
aのエポキシ樹脂(フィラー、ゴム、硬化剤、発泡剤等
を含む)を使用し、充填材71自体が10.5MPaの
せん断接着強さを有するようにした。そして、センター
ピラーを組み立てた後、電着塗装等の乾燥熱を模擬した
加熱(150℃×30分→140℃×20分→140℃
×20分)を行って未発泡状態の充填材を発泡硬化させ
た。尚、充填材71の充填量は150gであった。
【0111】一方、比較のために、図40(b)に示す
ように、上記充填材71を全く充填しない点以外は上記
実施例1と同じもの(比較例1)を作製すると共に、こ
の比較例1に対して充填材71を充填しないで補強すべ
く、図40(c)に示すように、レインフォースメント
74の厚みを1.8mmにしかつ該レインフォースメン
ト74に厚さ1.2mmの鋼板からなる補強材75を接
合したもの(比較例2)を作製した。
ように、上記充填材71を全く充填しない点以外は上記
実施例1と同じもの(比較例1)を作製すると共に、こ
の比較例1に対して充填材71を充填しないで補強すべ
く、図40(c)に示すように、レインフォースメント
74の厚みを1.8mmにしかつ該レインフォースメン
ト74に厚さ1.2mmの鋼板からなる補強材75を接
合したもの(比較例2)を作製した。
【0112】そして、上記実施例1及び比較例1,2の
各センターピラーに対して上記と同様の静的片持ち曲げ
試験を行って、センターピラーの曲げ角度と曲げモーメ
ントとの関係を調べた。尚、静的荷重は、アウタパネル
72側からインナパネル73方向に加えた。
各センターピラーに対して上記と同様の静的片持ち曲げ
試験を行って、センターピラーの曲げ角度と曲げモーメ
ントとの関係を調べた。尚、静的荷重は、アウタパネル
72側からインナパネル73方向に加えた。
【0113】上記センターピラー曲げ試験の結果を図4
1に示す。このことより、実施例1のセンターピラーは
比較例1,2よりもかなり高い曲げモーメントが得ら
れ、しかも、比較例2の補強方法よりも格段に軽量化で
きることが判る。
1に示す。このことより、実施例1のセンターピラーは
比較例1,2よりもかなり高い曲げモーメントが得ら
れ、しかも、比較例2の補強方法よりも格段に軽量化で
きることが判る。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車体のフ
レーム構造によると、フレーム断面の少なくとも一部を
閉断面状に形成する閉断面部材に、フレーム長手方向に
略沿ったビードを形成し、このビード内を含む発泡充填
空間に充填材を発泡充填させるようにしたことにより、
未発泡状態の充填材の保持を良好に行いつつ、フレーム
の強度アップを図ることができる。
レーム構造によると、フレーム断面の少なくとも一部を
閉断面状に形成する閉断面部材に、フレーム長手方向に
略沿ったビードを形成し、このビード内を含む発泡充填
空間に充填材を発泡充填させるようにしたことにより、
未発泡状態の充填材の保持を良好に行いつつ、フレーム
の強度アップを図ることができる。
【0115】また、閉断面部材で囲まれた空間を上下方
向に画成する上側及び下側画成部材を備え、該上側及び
下側画成部材間における上記閉断面部材で囲まれた空間
に充填材の発泡充填空間が形成された車体のフレーム構
造に対して、上側及び下側画成部材は共に、上記発泡充
填空間の上下方向外側の空間と連通しかつ少なくとも一
部に上記充填材が発泡充填された開放部を有するものと
し、下側画成部材を、上記充填材を未発泡状態のときに
上下方向に保持し得るように構成したことにより、未発
泡状態の充填材の保持を良好に行いつつ、発泡率ばらつ
きの低減化と充填材の上下両端部における割れの抑制化
とを図ることができる。
向に画成する上側及び下側画成部材を備え、該上側及び
下側画成部材間における上記閉断面部材で囲まれた空間
に充填材の発泡充填空間が形成された車体のフレーム構
造に対して、上側及び下側画成部材は共に、上記発泡充
填空間の上下方向外側の空間と連通しかつ少なくとも一
部に上記充填材が発泡充填された開放部を有するものと
し、下側画成部材を、上記充填材を未発泡状態のときに
上下方向に保持し得るように構成したことにより、未発
泡状態の充填材の保持を良好に行いつつ、発泡率ばらつ
きの低減化と充填材の上下両端部における割れの抑制化
とを図ることができる。
【0116】そして、本発明の車体のフレーム構造の形
成方法によると、予め複数の閉断面部材の少なくとも1
つに、フレーム長手方向に略沿ったビードを形成してお
き、このビードを形成した1つの閉断面部材に、未発泡
状態の上記充填材を該ビード内の深さ方向中間部まで押
し込むことによりセットし、次いで、フレームを組み立
てた後、電着塗装を行い、その後、上記充填材を電着塗
装等の乾燥熱により加熱することでビード内を含む発泡
充填空間に発泡充填させるようにしたことにより、未発
泡状態の充填材の確実な保持とフレーム強度アップとを
行うことができると共に、電着液の付き回り性や排出性
を良好にして電着層の剥離を防止することができ、しか
も、発泡工程を別途に設ける必要がなくて生産性の向上
化を図ることができる。
成方法によると、予め複数の閉断面部材の少なくとも1
つに、フレーム長手方向に略沿ったビードを形成してお
き、このビードを形成した1つの閉断面部材に、未発泡
状態の上記充填材を該ビード内の深さ方向中間部まで押
し込むことによりセットし、次いで、フレームを組み立
てた後、電着塗装を行い、その後、上記充填材を電着塗
装等の乾燥熱により加熱することでビード内を含む発泡
充填空間に発泡充填させるようにしたことにより、未発
泡状態の充填材の確実な保持とフレーム強度アップとを
行うことができると共に、電着液の付き回り性や排出性
を良好にして電着層の剥離を防止することができ、しか
も、発泡工程を別途に設ける必要がなくて生産性の向上
化を図ることができる。
【0117】また、予め複数の閉断面部材の1つに、上
側及び下側画成部材を共に、フレームを組み立てたとき
に発泡充填空間の上下方向外側の空間と連通する開放部
を形成した状態で設けておき、上記上側及び下側画成部
材を設けた閉断面部材における該下側画成部材の上側位
置に、未発泡状態の上記充填材を下側画成部材により上
下方向に保持した状態でセットし、次いで、フレームを
組み立てた後、上記充填材を加熱することで上記発泡充
填空間と上記上側及び下側画成部材の各開放部の少なく
とも一部とに発泡充填させるようにしたことにより、未
発泡状態の充填材の保持と発泡後における充填材の品質
の向上化とを行うことができると共に、充填材の閉断面
部材へのセットを容易に行うことができる。
側及び下側画成部材を共に、フレームを組み立てたとき
に発泡充填空間の上下方向外側の空間と連通する開放部
を形成した状態で設けておき、上記上側及び下側画成部
材を設けた閉断面部材における該下側画成部材の上側位
置に、未発泡状態の上記充填材を下側画成部材により上
下方向に保持した状態でセットし、次いで、フレームを
組み立てた後、上記充填材を加熱することで上記発泡充
填空間と上記上側及び下側画成部材の各開放部の少なく
とも一部とに発泡充填させるようにしたことにより、未
発泡状態の充填材の保持と発泡後における充填材の品質
の向上化とを行うことができると共に、充填材の閉断面
部材へのセットを容易に行うことができる。
【図1】本発明の実施形態1に係るフレーム構造が適用
されたセンターピラーを備えた自動車車体の全体構成を
示す斜視図である。
されたセンターピラーを備えた自動車車体の全体構成を
示す斜視図である。
【図2】センターピラーのベルトライン部の縦断面図で
ある。
ある。
【図3】センターピラーのベルトライン部の横断面図で
ある。
ある。
【図4】センターピラーの組立手順を示す説明図であ
る。
る。
【図5】ビードの他の形態を示す図3相当図である。
【図6】ビードのさらに他の形態を示す図3相当図であ
る。
る。
【図7】実施形態2を示す図2相当図である。
【図8】充填材が発泡する前の状態を示す図7相当図で
ある。
ある。
【図9】上側及び下側画成部材の他の形態を示す図7相
当図である。
当図である。
【図10】上側及び下側画成部材のさらに他の形態を示
す図7相当図である。
す図7相当図である。
【図11】上側及び下側画成部材のさらに他の形態を示
す図7相当図である。
す図7相当図である。
【図12】上側及び下側画成部材のさらに他の形態を示
す図7相当図である。
す図7相当図である。
【図13】上側及び下側画成部材のさらに他の形態を示
す図7相当図である。
す図7相当図である。
【図14】充填材の平均圧縮強度を説明するためにフレ
ームの静的圧縮荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
ームの静的圧縮荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
【図15】三点曲げ試験に用いたフレームの構造を示す
断面図である。
断面図である。
【図16】フレームの静的三点曲げ試験を行う試験装置
を模式的に示す説明図である。
を模式的に示す説明図である。
【図17】図16の静的三点曲げ試験装置の要部を拡大
して示す説明図である。
して示す説明図である。
【図18】静的エネルギー吸収量を説明するためにフレ
ームの静的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
ームの静的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
【図19】充填材質量とフレームの静的エネルギー吸収
量との関係を示すグラフである。
量との関係を示すグラフである。
【図20】充填材の平均圧縮強度とフレームの静的エネ
ルギー吸収量との関係を示すグラフである。
ルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図21】充填材の最大曲げ強度とフレームの静的エネ
ルギー吸収量との関係を示すグラフである。
ルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【図22】図21の要部を拡大して示すグラフである。
【図23】充填材が充填されていない場合のフレームの
変形モードの一例を模式的に示す説明図である。
変形モードの一例を模式的に示す説明図である。
【図24】充填材が充填されている場合のフレームの変
形モードの一例を模式的に示す説明図である。
形モードの一例を模式的に示す説明図である。
【図25】フレームの動的三点曲げ試験を行う試験装置
を模式的に示す説明図である。
を模式的に示す説明図である。
【図26】動的エネルギー吸収量を説明するためにフレ
ームの動的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
ームの動的曲げ荷重−変位曲線を模式的に示すグラフで
ある。
【図27】充填材の充填長さとフレームの動的エネルギ
ー吸収量との関係を示すグラフである。
ー吸収量との関係を示すグラフである。
【図28】動的三点曲げ試験における充填長さ範囲とエ
ネルギー吸収性の向上率との関係を示すグラフである。
ネルギー吸収性の向上率との関係を示すグラフである。
【図29】フレームの静的片持ち曲げ試験を行う試験装
置を模式的に示す説明図である。
置を模式的に示す説明図である。
【図30】静的片持ち曲げ試験に用いたフレームの構造
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図31】各種充填材が充填されたフレームの曲げ角度
と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
と曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
【図32】各種充填材が充填されたフレームについての
最大曲げモーメント及びエネルギー吸収量を示すグラフ
である。
最大曲げモーメント及びエネルギー吸収量を示すグラフ
である。
【図33】接着剤層のせん断接着強さと最大曲げモーメ
ントとの関係を示すグラフである。
ントとの関係を示すグラフである。
【図34】せん断接着強さの測定方法を概略的に示す説
明図である。
明図である。
【図35】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合との比較を行うために静的片持ち曲げ試
験に用いたフレームを示す断面図である。
に充填した場合との比較を行うために静的片持ち曲げ試
験に用いたフレームを示す断面図である。
【図36】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合と全く充填しない場合とにおいて、フレ
ームの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフ
である。
に充填した場合と全く充填しない場合とにおいて、フレ
ームの曲げ角度と曲げモーメントとの関係を示すグラフ
である。
【図37】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合と全く充填しない場合とについて、座屈
開始の曲げモーメントを比較して示すグラフである。
に充填した場合と全く充填しない場合とについて、座屈
開始の曲げモーメントを比較して示すグラフである。
【図38】断面内の一部に充填材を充填した場合と全体
に充填した場合とについて、充填材の重量当たりの曲げ
モーメントを比較して示すグラフである。
に充填した場合とについて、充填材の重量当たりの曲げ
モーメントを比較して示すグラフである。
【図39】アウタパネルとレインフォースメントとの間
のみに充填材を充填する場合に、その隙間量と最大曲げ
モーメントとの関係を示すグラフである。
のみに充填材を充填する場合に、その隙間量と最大曲げ
モーメントとの関係を示すグラフである。
【図40】静的片持ち曲げ試験に用いたセンターピラー
の構造を示す断面図である。
の構造を示す断面図である。
【図41】図40の各センターピラーの曲げ角度と曲げ
モーメントとの関係を示すグラフである。
モーメントとの関係を示すグラフである。
1 車体 2 センターピラー(フレーム) 3 ルーフサイドレール(フレーム) 4 サイドシル(フレーム) 5 フロントピラー(フレーム) 6 リヤピラー(フレーム) 10 未発泡状態の充填材 11 充填材 12 アウタパネル(閉断面部材)(パネル材) 13 インナパネル(閉断面部材) 14 レインフォースメント(閉断面部材) 14b ビード 31 上側画成部材 31a 開放部 32 下側画成部材 32a 開放部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 恭聡 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 山本 幸男 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 麻川 元康 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3D003 AA01 AA04 AA06 AA07 BB01 CA34 3D114 AA03 BA01 CA05 CA10
Claims (6)
- 【請求項1】 フレーム断面の少なくとも一部を閉断面
状に形成する閉断面部材を備え、該閉断面部材で囲まれ
た空間に充填材の発泡充填空間が形成された車体のフレ
ーム構造であって、 上記閉断面部材に、フレーム長手方向に略沿ったビード
が形成され、 上記ビード内を含む発泡充填空間に、上記充填材が発泡
充填されていることを特徴とする車体のフレーム構造。 - 【請求項2】 略上下方向に延びるフレームの断面の少
なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部材と、該閉
断面部材で囲まれた空間を上下方向に画成する上側及び
下側画成部材とを備え、該上側及び下側画成部材間にお
ける上記閉断面部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填
空間が形成された車体のフレーム構造であって、 上記上側及び下側画成部材は共に、上記発泡充填空間の
上下方向外側の空間と連通しかつ少なくとも一部に上記
充填材が発泡充填された開放部を有し、 上記下側画成部材は、上記充填材を未発泡状態のときに
上下方向に保持し得るように構成されていることを特徴
とする車体のフレーム構造。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の車体のフレーム構
造において、 充填材は、平均圧縮強度が4MPa以上でかつ最大曲げ
強度が10MPa以上に設定されたものであることを特
徴とする車体のフレーム構造。 - 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の車体のフレー
ム構造において、 閉断面部材は、フレーム断面外側縁部を構成するパネル
材と、フレーム断面内に設けられたレインフォースメン
トとで構成されていることを特徴とする車体のフレーム
構造。 - 【請求項5】 フレーム断面の少なくとも一部を閉断面
状に形成する複数の閉断面部材を備え、該閉断面部材で
囲まれた空間に充填材の発泡充填空間が形成された車体
のフレーム構造の形成方法であって、 予め上記複数の閉断面部材の少なくとも1つに、フレー
ム長手方向に略沿ったビードを形成しておき、 上記ビードを形成した1つの閉断面部材に、未発泡状態
の上記充填材を該ビード内の深さ方向中間部まで押し込
むことによりセットし、 次いで、フレームを組み立てた後、電着塗装を行い、 その後、上記充填材を電着塗装の乾燥熱により加熱する
ことでビード内を含む発泡充填空間に発泡充填させるこ
とを特徴とする車体のフレーム構造の形成方法。 - 【請求項6】 略上下方向に延びるフレームの断面の少
なくとも一部を閉断面状に形成する閉断面部材と、該閉
断面部材で囲まれた空間を上下方向に画成する上側及び
下側画成部材とを備え、該上側及び下側画成部材間にお
ける上記閉断面部材で囲まれた空間に充填材の発泡充填
空間が形成された車体のフレーム構造の形成方法であっ
て、 予め上記複数の閉断面部材の1つに、上記上側及び下側
画成部材を共に、フレームを組み立てたときに上記発泡
充填空間の上下方向外側の空間と連通する開放部を形成
した状態で設けておき、 上記上側及び下側画成部材を設けた閉断面部材における
該下側画成部材の上側位置に、未発泡状態の上記充填材
を下側画成部材により上下方向に保持した状態でセット
し、 次いで、フレームを組み立てた後、上記充填材を加熱す
ることで上記発泡充填空間と上記上側及び下側画成部材
の各開放部の少なくとも一部とに発泡充填させることを
特徴とする車体のフレーム構造の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11222835A JP2001048055A (ja) | 1999-08-05 | 1999-08-05 | 車体のフレーム構造及びその形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11222835A JP2001048055A (ja) | 1999-08-05 | 1999-08-05 | 車体のフレーム構造及びその形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001048055A true JP2001048055A (ja) | 2001-02-20 |
Family
ID=16788666
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11222835A Pending JP2001048055A (ja) | 1999-08-05 | 1999-08-05 | 車体のフレーム構造及びその形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001048055A (ja) |
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-
1999
- 1999-08-05 JP JP11222835A patent/JP2001048055A/ja active Pending
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