JP2001047550A - 接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材およびその製造方法 - Google Patents
接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材およびその製造方法Info
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- JP2001047550A JP2001047550A JP11226182A JP22618299A JP2001047550A JP 2001047550 A JP2001047550 A JP 2001047550A JP 11226182 A JP11226182 A JP 11226182A JP 22618299 A JP22618299 A JP 22618299A JP 2001047550 A JP2001047550 A JP 2001047550A
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- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 海洋環境等の厳しい腐食環境下においても、
長期間にわたり安定して防食性能を維持することができ
る重防食被覆鋼材を提供する。 【解決手段】 清浄化した鋼材の表面に、順次、有機樹
脂プライマー層、ポリオレフィン中間層およびTi層を被
覆する。
長期間にわたり安定して防食性能を維持することができ
る重防食被覆鋼材を提供する。 【解決手段】 清浄化した鋼材の表面に、順次、有機樹
脂プライマー層、ポリオレフィン中間層およびTi層を被
覆する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着耐久性に優れ
た重防食被覆鋼材およびその製造方法に関し、特に海洋
環境等の厳しい腐食環境下においても、長期間にわたっ
て、安定した防食性能を維持しようとするものである。
た重防食被覆鋼材およびその製造方法に関し、特に海洋
環境等の厳しい腐食環境下においても、長期間にわたっ
て、安定した防食性能を維持しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】鋼管杭、鋼矢板および鋼管矢板等の鋼材
は、主として海洋環境下で使用され、0.1〜0.5 mm/y程
度の大きな腐食速度を有する腐食環境に曝される。その
ため、従来から、次のような防食方法が講じられてき
た。 1) 防食塗装(タールエポキシ樹脂塗装など)。 2) 有機ライニング(ポリウレタン被覆、ポリオレフィ
ン被覆)。 3)FRP カバー+防食材。 4) セメントモルタルライニング。
は、主として海洋環境下で使用され、0.1〜0.5 mm/y程
度の大きな腐食速度を有する腐食環境に曝される。その
ため、従来から、次のような防食方法が講じられてき
た。 1) 防食塗装(タールエポキシ樹脂塗装など)。 2) 有機ライニング(ポリウレタン被覆、ポリオレフィ
ン被覆)。 3)FRP カバー+防食材。 4) セメントモルタルライニング。
【0003】また、最近では、 5) チタンを鋼管杭などに溶接で巻き付ける方法 などが実用化されている(例えば特開平7−166568号公
報、特開平8−254949号公報、特開平8−257635号公報
等)。
報、特開平8−254949号公報、特開平8−257635号公報
等)。
【0004】しかしながら、上記したような従来技術に
はいずれも、以下に述べるような問題を残していた。す
なわち、1) や2) の防食塗料、有機ライニングを利用
する方法は、比較的安価ではあるものの、海洋環境とい
う厳しい環境下では腐食反応による塗覆装の接着劣化を
起こし、防食寿命が限られるという問題があった。3)
の FRPカバー+防食材は、施工費が高く、単位面積あた
りの防食コストが高価につく不利があった。4)のセメ
ントモルタルライニングは、セメント中を海水が拡散
し、防食層としての寿命は10年程度にすぎなかった。
5) の金属巻き被覆鋼管は、地鉄と接触する部位のガル
バニック腐食の問題に加えて、鋼矢板や鋼管矢板には適
用が難しいこと、さらに被覆コストが高価となる等の問
題があった。
はいずれも、以下に述べるような問題を残していた。す
なわち、1) や2) の防食塗料、有機ライニングを利用
する方法は、比較的安価ではあるものの、海洋環境とい
う厳しい環境下では腐食反応による塗覆装の接着劣化を
起こし、防食寿命が限られるという問題があった。3)
の FRPカバー+防食材は、施工費が高く、単位面積あた
りの防食コストが高価につく不利があった。4)のセメ
ントモルタルライニングは、セメント中を海水が拡散
し、防食層としての寿命は10年程度にすぎなかった。
5) の金属巻き被覆鋼管は、地鉄と接触する部位のガル
バニック腐食の問題に加えて、鋼矢板や鋼管矢板には適
用が難しいこと、さらに被覆コストが高価となる等の問
題があった。
【0005】以上述べたように、従来の防食方法はいず
れも、防食効果や施工費等の面で、必ずしも満足のいく
ものではなかった。通常、港湾や海洋構造物などは、1
0年を超える寿命で設計され、また公共のインフラでも
あることから、安価で長寿命が期待できる防食方法の開
発が望まれていた。
れも、防食効果や施工費等の面で、必ずしも満足のいく
ものではなかった。通常、港湾や海洋構造物などは、1
0年を超える寿命で設計され、また公共のインフラでも
あることから、安価で長寿命が期待できる防食方法の開
発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の要請
に有利に応えるもので、海洋環境等の厳しい腐食環境下
においても、長期間にわたり安定して防食性能を維持す
ることができる接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材を、
その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
に有利に応えるもので、海洋環境等の厳しい腐食環境下
においても、長期間にわたり安定して防食性能を維持す
ることができる接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材を、
その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
構成は次のとおりである。 1.鋼材の表面に、有機樹脂プライマー層を有し、該プ
ライマー層上にポリオレフィン樹脂層を有し、さらに該
ポリオレフィン樹脂層上にTi層を有することを特徴とす
る接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材。
構成は次のとおりである。 1.鋼材の表面に、有機樹脂プライマー層を有し、該プ
ライマー層上にポリオレフィン樹脂層を有し、さらに該
ポリオレフィン樹脂層上にTi層を有することを特徴とす
る接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材。
【0008】2.上記1において、ポリオレフィン樹脂
層が、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂層である
接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材。
層が、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂層である
接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材。
【0009】3.上記1または2において、有機樹脂プ
ライマー層が、エポキシ樹脂プライマー層である請求項
1または2に記載の接着耐久性に優れた重防食被覆鋼
材。
ライマー層が、エポキシ樹脂プライマー層である請求項
1または2に記載の接着耐久性に優れた重防食被覆鋼
材。
【0010】4.清浄化した鋼材の表面に、有機樹脂プ
ライマー層をスプレー塗装により形成し、ついで該有機
樹脂プライマー層上に形成するポリオレフィン樹脂の融
点以上の温度に加熱したのち、Ti層とポリオレフィン樹
脂層の積層材を、ロールにて該有機樹脂プライマー層上
に押圧することにより、有機樹脂プライマー層上にポリ
オレフィン樹脂層およびTi層を形成することを特徴とす
る接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材の製造方法。
ライマー層をスプレー塗装により形成し、ついで該有機
樹脂プライマー層上に形成するポリオレフィン樹脂の融
点以上の温度に加熱したのち、Ti層とポリオレフィン樹
脂層の積層材を、ロールにて該有機樹脂プライマー層上
に押圧することにより、有機樹脂プライマー層上にポリ
オレフィン樹脂層およびTi層を形成することを特徴とす
る接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の基本的構成は、図1に示すように、有機樹
脂プライマー(接着)層1、有機中間(ポリオレフィン
樹脂)層2およびTi層3に分類でき、かかる被覆層を順
次、清浄化した鋼材4の表面に被覆する。鋼材表面の清
浄化処理としては、表面の酸化スケールを完全に取り除
くことが好ましい。というのは、酸化スケールは、有機
樹脂との密着性が悪いだけでなく、脆いからである。か
かる清浄化処理としては、表面の汚れや酸化スケールを
効果的に除去することができ、また表面に凹凸を与えて
有機樹脂プライマー層とより高い密着性を得ることがで
きるブラスト処理が好適である。また、鋼材表面は、清
浄化処理を行うだけでなく、クロメート処理やカップリ
ング処理などの表面処理を施しても良い。
る。本発明の基本的構成は、図1に示すように、有機樹
脂プライマー(接着)層1、有機中間(ポリオレフィン
樹脂)層2およびTi層3に分類でき、かかる被覆層を順
次、清浄化した鋼材4の表面に被覆する。鋼材表面の清
浄化処理としては、表面の酸化スケールを完全に取り除
くことが好ましい。というのは、酸化スケールは、有機
樹脂との密着性が悪いだけでなく、脆いからである。か
かる清浄化処理としては、表面の汚れや酸化スケールを
効果的に除去することができ、また表面に凹凸を与えて
有機樹脂プライマー層とより高い密着性を得ることがで
きるブラスト処理が好適である。また、鋼材表面は、清
浄化処理を行うだけでなく、クロメート処理やカップリ
ング処理などの表面処理を施しても良い。
【0012】有機樹脂プライマー層は、鋼材表面と接着
することにより、該表面を外界から遮断し、防食性を得
るために被覆する。かかるプライマー層としては、エポ
キシ樹脂プライマー層が特に有利に適合する。この有機
樹脂プライマー層の厚みは、通常はブラスト処理にて鋼
材表面を清浄化するため、10μm 未満では接着効果が弱
く、一方 100μm を超えると高価となり、また被膜層の
残留応力が大きくなるため、10〜100 μm 程度とするの
が好適である。
することにより、該表面を外界から遮断し、防食性を得
るために被覆する。かかるプライマー層としては、エポ
キシ樹脂プライマー層が特に有利に適合する。この有機
樹脂プライマー層の厚みは、通常はブラスト処理にて鋼
材表面を清浄化するため、10μm 未満では接着効果が弱
く、一方 100μm を超えると高価となり、また被膜層の
残留応力が大きくなるため、10〜100 μm 程度とするの
が好適である。
【0013】有機中間層は、Ti層と鋼材表面とが電気的
に接触することを避けるために設けるもので、本発明で
は、ポリオレフィン樹脂を用いる。かかるポリオレフィ
ン樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等が海
水中で安定であることから好適である。特に好ましいの
は、無水マレイン酸変性のポリオレフィン樹脂である。
というのは、この無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹
脂は、変性部位が極性基を有していることから、特に接
着性に優れるからである。この有機中間層の厚みは、1
mmに満たないと流木などが防食層に打撃を与えた場合、
衝撃に対する抵抗が十分でないので、1mm以上好ましく
は2mm以上とするのが望ましい。ただし、5mmを超える
とコストが上昇すると共に、Ti層との接着がポリオレフ
ィンの熱膨張、収縮に伴う応力により困難となるので、
上限は5mm程度とするのが望ましい。
に接触することを避けるために設けるもので、本発明で
は、ポリオレフィン樹脂を用いる。かかるポリオレフィ
ン樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等が海
水中で安定であることから好適である。特に好ましいの
は、無水マレイン酸変性のポリオレフィン樹脂である。
というのは、この無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹
脂は、変性部位が極性基を有していることから、特に接
着性に優れるからである。この有機中間層の厚みは、1
mmに満たないと流木などが防食層に打撃を与えた場合、
衝撃に対する抵抗が十分でないので、1mm以上好ましく
は2mm以上とするのが望ましい。ただし、5mmを超える
とコストが上昇すると共に、Ti層との接着がポリオレフ
ィンの熱膨張、収縮に伴う応力により困難となるので、
上限は5mm程度とするのが望ましい。
【0014】Ti層は、好ましくはJIS 規定第一種が良
い。というのは、この材料は、伸びが大きく、変形能が
大きいため、様々な形に接着、張り付け易いからであ
る。本発明におけるTi層の役割は、有機樹脂層を透過す
る水、酸素、イオン等の腐食原因物質の遮断にある。従
って、Ti層の厚みは、薄くても良い。現在、0.01mm程度
が製造限界であるので、これを下限として、0.1 mm程度
までで十分である。というのは、厚みが厚くなるとTi材
料費が上昇すると共に、圧着する時に変形能が要求され
るからである。
い。というのは、この材料は、伸びが大きく、変形能が
大きいため、様々な形に接着、張り付け易いからであ
る。本発明におけるTi層の役割は、有機樹脂層を透過す
る水、酸素、イオン等の腐食原因物質の遮断にある。従
って、Ti層の厚みは、薄くても良い。現在、0.01mm程度
が製造限界であるので、これを下限として、0.1 mm程度
までで十分である。というのは、厚みが厚くなるとTi材
料費が上昇すると共に、圧着する時に変形能が要求され
るからである。
【0015】また、Ti層と中間ポリオレフィン層は熱融
着されて積層されていることが好ましい。この場合、Ti
層に、酸洗処理、クロメート処理、カップリング剤処
理、あるいはこれらを複合化した表面処理を施しても良
い。
着されて積層されていることが好ましい。この場合、Ti
層に、酸洗処理、クロメート処理、カップリング剤処
理、あるいはこれらを複合化した表面処理を施しても良
い。
【0016】次に、上記した重防食被覆鋼材の製造方法
について説明する。ポリオレフィン樹脂を直接、熱融着
によって鋼材に接着させることは可能であるが、熱溶融
した場合には、粘度が高く鋼板の凹凸にうまくなじまな
い場合がある。従って、表面の凹凸を減らすためにも、
また鋼板とポリオレフィン層との密着性を高めるために
も、鋼板とポリオレフィン層との間に接着層(有機樹脂
プライマー層)を設ける必要がある。かかる有機樹脂プ
ライマー層の形成に際しては、あらゆる形状に対応可能
なスプレー塗装が好適である。
について説明する。ポリオレフィン樹脂を直接、熱融着
によって鋼材に接着させることは可能であるが、熱溶融
した場合には、粘度が高く鋼板の凹凸にうまくなじまな
い場合がある。従って、表面の凹凸を減らすためにも、
また鋼板とポリオレフィン層との密着性を高めるために
も、鋼板とポリオレフィン層との間に接着層(有機樹脂
プライマー層)を設ける必要がある。かかる有機樹脂プ
ライマー層の形成に際しては、あらゆる形状に対応可能
なスプレー塗装が好適である。
【0017】本発明で使用するTiは非常に薄く変形し易
い。また、ポリオレフィン樹脂の接着手段としては、熱
融着が最も優れるが、熱を付与するために流動性が上が
り変形し易い。従って、Ti層とポリオレフィン層を別々
に分けて熱融着することは、熱で溶融したポリオレフィ
ンが変形し、同時にチタンも変形してしまうので膜厚の
コントロールが難しい。従って、予め平板状態でチタン
層とポリオレフィン層を接着しておき、積層材として熱
融着することが好ましい。
い。また、ポリオレフィン樹脂の接着手段としては、熱
融着が最も優れるが、熱を付与するために流動性が上が
り変形し易い。従って、Ti層とポリオレフィン層を別々
に分けて熱融着することは、熱で溶融したポリオレフィ
ンが変形し、同時にチタンも変形してしまうので膜厚の
コントロールが難しい。従って、予め平板状態でチタン
層とポリオレフィン層を接着しておき、積層材として熱
融着することが好ましい。
【0018】ここに、熱融着のための鋼材の加熱温度
は、ポリオレフィンの融点以上とする必要がある。ま
た、加熱温度の上限は(融点+130 ℃)程度とするのが
好ましい。というのは、加熱温度が融点未満では熱融着
せず、一方(融点+130 ℃)を超えるとポリオレフィン
が分解して劣化するおそれが大きいからである。その後
の冷却処理としては、空冷でも水冷でも良いが、1〜30
分後にポリオレフィン層の融点より低い温度とすること
が好ましい。なお、接着性ポリオレフィンとTiを熱融着
する場合、ポリオレフィンとTiを加熱するか、Tiをポリ
オレフィンの融点〜(融点+130 ℃)程度の温度に加熱
することが好ましい。
は、ポリオレフィンの融点以上とする必要がある。ま
た、加熱温度の上限は(融点+130 ℃)程度とするのが
好ましい。というのは、加熱温度が融点未満では熱融着
せず、一方(融点+130 ℃)を超えるとポリオレフィン
が分解して劣化するおそれが大きいからである。その後
の冷却処理としては、空冷でも水冷でも良いが、1〜30
分後にポリオレフィン層の融点より低い温度とすること
が好ましい。なお、接着性ポリオレフィンとTiを熱融着
する場合、ポリオレフィンとTiを加熱するか、Tiをポリ
オレフィンの融点〜(融点+130 ℃)程度の温度に加熱
することが好ましい。
【0019】これら、Ti−ポリオレフィンシートを、ロ
ールにて、加熱した鋼材に押し付ける方法としては、あ
らゆる形状に対応できるロールを使用して押しつけるこ
とが好ましい。かような押圧ロールとしては、耐熱性を
有しかつ柔軟性を有するシリコンラバーのようなプラス
チックで構成されていることが好ましい。かかる材質
は、複雑な形状にも対応できるだけでなく、鋼材のコー
ナー部に貼着する場合もコーナー部周辺に押圧力を付加
することができるからである。なお、ロールの押圧力は
0.01〜30.0 kgf/cm 程度が好適である。
ールにて、加熱した鋼材に押し付ける方法としては、あ
らゆる形状に対応できるロールを使用して押しつけるこ
とが好ましい。かような押圧ロールとしては、耐熱性を
有しかつ柔軟性を有するシリコンラバーのようなプラス
チックで構成されていることが好ましい。かかる材質
は、複雑な形状にも対応できるだけでなく、鋼材のコー
ナー部に貼着する場合もコーナー部周辺に押圧力を付加
することができるからである。なお、ロールの押圧力は
0.01〜30.0 kgf/cm 程度が好適である。
【0020】
【実施例】実施例1 実施例で使用した鋼材は、次のようにして作製した。鋼
矢板の表面を、ブラスト処理により脱スケールしたの
ち、エアースプレーでエポキシ樹脂を所定の膜厚になる
ように調整して塗布した。また、チタンとポリオレフィ
ン樹脂を 180℃に加熱後、誘導加熱ロールにて、シート
状に張り合わせた。ついで、エポキシ樹脂層が形成され
た鋼矢板を、種々の温度に加熱したのち、積層シートを
ロールを用いてシート側から鋼材側に押し付け、熱融着
させた。その後、空冷したのち、さらに水冷して常温ま
で冷却した。なお、かかる冷却により、接着性ポリオレ
フィンの融点以下まで温度が低下するのに要した時間
は、約10分であった。
矢板の表面を、ブラスト処理により脱スケールしたの
ち、エアースプレーでエポキシ樹脂を所定の膜厚になる
ように調整して塗布した。また、チタンとポリオレフィ
ン樹脂を 180℃に加熱後、誘導加熱ロールにて、シート
状に張り合わせた。ついで、エポキシ樹脂層が形成され
た鋼矢板を、種々の温度に加熱したのち、積層シートを
ロールを用いてシート側から鋼材側に押し付け、熱融着
させた。その後、空冷したのち、さらに水冷して常温ま
で冷却した。なお、かかる冷却により、接着性ポリオレ
フィンの融点以下まで温度が低下するのに要した時間
は、約10分であった。
【0021】かくして得られた重防食被覆鋼材の防食性
および耐衝撃性について調査した。なお、防食性能試験
においては、海洋環境下での防食性を模擬・促進するた
めに、3%NaCl溶液(80℃)中に試験片を浸漬し、端面
からの剥離距離で評価した。また、耐衝撃性について
は、1mの高さから3kgの重りを落とし、被覆の破損状
況を調査した。 この調査結果については、○:破損・疵
なし、△:被膜に疵が生じた、×:鋼面に至る破損が認
められた、で評価した。
および耐衝撃性について調査した。なお、防食性能試験
においては、海洋環境下での防食性を模擬・促進するた
めに、3%NaCl溶液(80℃)中に試験片を浸漬し、端面
からの剥離距離で評価した。また、耐衝撃性について
は、1mの高さから3kgの重りを落とし、被覆の破損状
況を調査した。 この調査結果については、○:破損・疵
なし、△:被膜に疵が生じた、×:鋼面に至る破損が認
められた、で評価した。
【0022】表1に、中間接着層であるポリオレフィン
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂
(融点:120 ℃)を用いた場合の調査結果を、また表2
には、同じく無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂
(融点:140 ℃)を用いた場合の調査結果をそれぞれ示
す。
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂
(融点:120 ℃)を用いた場合の調査結果を、また表2
には、同じく無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂
(融点:140 ℃)を用いた場合の調査結果をそれぞれ示
す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】表1,2に示したとおり、本発明に従い、
鋼材の表面に順次、有機樹脂プライマー層、ポリオレフ
ィン中間層およびTi層を被覆した場合には、優れた防食
性と耐衝撃性が得られている。
鋼材の表面に順次、有機樹脂プライマー層、ポリオレフ
ィン中間層およびTi層を被覆した場合には、優れた防食
性と耐衝撃性が得られている。
【0026】実施例2 ブラスト処理により清浄化した鋼矢板の表面に、エアー
スプレーでエポキシ樹脂を0.05mmの膜厚になるように調
整して塗布した。また、Ti箔(厚み:0.02mm)と融点が
110℃の無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(厚み:
3.0 mm)をシート状に張り合わせた。ついで、Ti−ポリ
エチレンシートの積層加熱温度およびその後の冷却条件
を種々に変化させて、該シートの熱融着を行った。かく
して得られた重防食被覆鋼材の防食性について調べた結
果を、積層加熱温度との関係で表3に示す。
スプレーでエポキシ樹脂を0.05mmの膜厚になるように調
整して塗布した。また、Ti箔(厚み:0.02mm)と融点が
110℃の無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(厚み:
3.0 mm)をシート状に張り合わせた。ついで、Ti−ポリ
エチレンシートの積層加熱温度およびその後の冷却条件
を種々に変化させて、該シートの熱融着を行った。かく
して得られた重防食被覆鋼材の防食性について調べた結
果を、積層加熱温度との関係で表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】同表に示したとおり、積層加熱温度は、ポ
リオレフィン樹脂の少なくとも融点は必要であるが、あ
まりに高い温度も好ましくないことが分かる。
リオレフィン樹脂の少なくとも融点は必要であるが、あ
まりに高い温度も好ましくないことが分かる。
【0029】また、加熱温度は適正であっても、その後
の冷却工程において、ポリオレフィン樹脂の融点まで低
下するのに要した時間が30分を超えると張り付け端部に
剥離が生じること、また、押圧処理後1分以内に融点以
下まで冷却することは加熱温度のコントロールが難し
く、実質的に不可能であることが判明した。
の冷却工程において、ポリオレフィン樹脂の融点まで低
下するのに要した時間が30分を超えると張り付け端部に
剥離が生じること、また、押圧処理後1分以内に融点以
下まで冷却することは加熱温度のコントロールが難し
く、実質的に不可能であることが判明した。
【0030】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、長期間にわ
たり安定した防食性能を有する被覆鋼材を与えることが
でき、これにより、海洋環境等の厳しい腐食環境下にお
いて、長期間にわたる構造物の構築が可能となり、 結果
的に安価な構造体を供給することができる。
たり安定した防食性能を有する被覆鋼材を与えることが
でき、これにより、海洋環境等の厳しい腐食環境下にお
いて、長期間にわたる構造物の構築が可能となり、 結果
的に安価な構造体を供給することができる。
【図1】 本発明の基本的な被覆構造を示した図であ
る。
る。
1 有機樹脂プライマー層 2 ポリオレフィン中間層 3 Ti層 4 鋼材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 31/04 B32B 31/04 C23C 28/00 C23C 28/00 A E02D 5/04 E02D 5/04 (72)発明者 望月 一雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 2D049 FB03 FB12 FB14 FE02 4F100 AB03A AB12D AK01B AK03C AK04 AK07 AK53B AL07C BA04 BA10A BA10D EH46B EH461 EJ191 EJ192 EJ421 EJ422 EJ65B GB90 JB02 JK06 JL13C 4K044 AA02 AB03 AB10 BA02 BA21 BB03 BC02 BC04 CA31 CA53 CA62 CA67
Claims (4)
- 【請求項1】 鋼材の表面に、有機樹脂プライマー層を
有し、該プライマー層上にポリオレフィン樹脂層を有
し、さらに該ポリオレフィン樹脂層上にTi層を有するこ
とを特徴とする接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材。 - 【請求項2】 請求項1において、ポリオレフィン樹脂
層が、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂層である
接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材。 - 【請求項3】 請求項1または2において、有機樹脂プ
ライマー層が、エポキシ樹脂プライマー層である請求項
1または2に記載の接着耐久性に優れた重防食被覆鋼
材。 - 【請求項4】 清浄化した鋼材の表面に、有機樹脂プラ
イマー層をスプレー塗装により形成し、ついで該有機樹
脂プライマー層上に形成するポリオレフィン樹脂の融点
以上の温度に加熱したのち、Ti層とポリオレフィン樹脂
層の積層材を、ロールにて該有機樹脂プライマー層上に
押圧することにより、有機樹脂プライマー層上にポリオ
レフィン樹脂層およびTi層を形成することを特徴とする
接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11226182A JP2001047550A (ja) | 1999-08-10 | 1999-08-10 | 接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11226182A JP2001047550A (ja) | 1999-08-10 | 1999-08-10 | 接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001047550A true JP2001047550A (ja) | 2001-02-20 |
Family
ID=16841183
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11226182A Pending JP2001047550A (ja) | 1999-08-10 | 1999-08-10 | 接着耐久性に優れた重防食被覆鋼材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001047550A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1473149A3 (en) * | 2003-04-30 | 2005-01-19 | Nippon Steel Corporation | Heavy-duty anticorrosive coated steel material with excellent resistance against separation and corrosion |
-
1999
- 1999-08-10 JP JP11226182A patent/JP2001047550A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1473149A3 (en) * | 2003-04-30 | 2005-01-19 | Nippon Steel Corporation | Heavy-duty anticorrosive coated steel material with excellent resistance against separation and corrosion |
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