JP2001040414A - 均質エッチング性を有するアルミニウム箔 - Google Patents
均質エッチング性を有するアルミニウム箔Info
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Abstract
有するアルミニウム箔を提供する。 【解決手段】 このアルミニウム箔2は、温度500℃
以上で最終焼鈍されたものである。アルミニウム箔2表
面には、直径5μm以上の銅粉又は鉄粉は存在しない。
このアルミニウム箔2にエッチング処理することによっ
て、電解コンデンサ用電極を得る。また、アルミニウム
箔2を基板1に貼合し、アルミニウム箔2面に所定形状
のマスキング3を施した後、エッチングすることによ
り、基板1上に所定形状の回路を形成したプリント配線
板を得る。 【効果】 アルミニウム箔2表面に、直径5μm以上の
銅粉又は鉄粉は存在しないため、エッチング処理して
も、未エッチ部5が発生しない。従って、電解コンデン
サ用電極に未エッチ部がなく、安心して、コンデンサに
組み込める。
Description
一溶解しやすいアルミニウム箔に関するものである。
ており、特に、エッチング処理する用途に好適に用いら
れている。具体的には、電解コンデンサ電極用やプリン
ト配線板の回路形成用に好適に用いられている。電解コ
ンデンサ電極用に適用する場合には、アルミニウム箔に
直流又は交流エッチングを施すことにより、アルミニウ
ム箔表面に多数のエッチングピットを形成し、アルミニ
ウム箔の表面積を拡大して、静電容量の高い電極箔を得
るのである。また、プリント配線板の回路形成用に適用
する場合には、基板1上にアルミニウム箔2を貼合し、
アルミニウム箔2表面に所定形状のマスキング3を施し
た後、エッチング処理し、非マスキング部4において露
出しているアルミニウム箔2を溶解除去して、マスキン
グ3の形状に合致した回路を持つプリント配線板を得る
のである。
いては、当然に均一にエッチングしうることが重要であ
る。例えば、電解コンデンサ用電極において、不均一に
エッチングされた箇所では、静電容量が不十分となる。
また、プリント配線板の場合には、溶解除去すべき箇所
で、十分にアルミニウム箔が溶解除去されず、回路が短
絡する恐れがある。
理しうるアルミニウム箔が、種々開発されている。例え
ば、アルミニウム箔の元素組成を工夫したり、アルミニ
ウム箔の製造工程における圧延方法や焼鈍方法等を工夫
することが行われている。このような工夫によって、概
ね、均一にエッチング処理しうるアルミニウム箔が得ら
れている。しかしながら、全く突然に或いは偶発的に、
エッチング処理が殆どされない箇所(未エッチ部)を持
つアルミニウム箔が得られてしまうということがあっ
た。例えば、全く同一の方法でアルミニウム箔を得て
も、一つのロットでは全く未エッチ部は無いのに、他の
ロットでは、未エッチ部が発見されるというようなこと
があった。
は、このような未エッチ部が何故発生するのかについ
て、研究を行った。しかるに、このような未エッチ部
は、図1に示す如き状態で発生し、以下のような特徴を
有していることが判明した。(i)一個一個の未エッチ
部5、即ち、一個一個の未エッチ部5の大きさは、様々
であるが、殆どは直径50μm〜1mmの範囲である。
(ii)殆どの未エッチ部5は、それに対応する裏面に
も、ほぼ同じ大きさの未エッチ部5がある。(iii )未
エッチ部5は、周期的に一定の間隔を置いて発生する。
(iv)未エッチ部は、目視によって確認しうるもので、
光沢がある(エッチングされていないため、当初の艶が
ある。)。しかしながら、上記のように特徴点はある程
度判明しているのであるが、その原因は全く解明できな
かった。
の元素組成を分析したところ、アルミニウム以外の元素
(例えば、銅或いは鉄)が大量に存在することが判明し
た。従って、未エッチ部は、アルミニウム箔中に銅或い
は鉄が混入していることが原因となって、生じるもので
あることが判明した。しかし、銅や鉄といった元素は、
アルミニウム箔の製造環境中に存在しており、その混入
を完全に防止することは、現実的には困難である。例え
ば、アルミニウム箔の圧延工程では、スチールロール等
が用いられ、このロールの磨耗による鉄粉がアルミニウ
ム箔表面に付着するし、また、洗浄工程では液中に銅や
鉄が存在しており、これがアルミニウム箔表面に付着す
る。更には、作業者に付着している銅や鉄が、アルミニ
ウム箔表面に付着するということもある。
結果、未エッチ部となるのは、一定の大きさ以上の銅粉
や鉄粉がアルミニウム箔表面に付着した場合に限られる
ことを見出した。本発明は、このような知見に基づいて
なされたものである。
00℃以上で最終焼鈍されたアルミニウム箔であって、
その表面に直径5μm以上、好ましくは直径1μm以上
の銅粉又は鉄粉が存在しないことを特徴とする均質エッ
チング性を有するアルミニウム箔に関するものである。
ウム純度が99.9重量%以上の高純度アルミニウム箔
であるのが一般的である。アルミニウム純度が99.9
重量%未満であると、不純物の量が多くなりすぎて、例
えば、電解コンデンサ用電極箔を得る際、エッチング時
に過溶解を生じやすくなり、アルミニウム箔表面積の拡
大が図られないため、好ましくない。
00℃以上の温度で最終焼鈍されたものである。500
℃未満の温度で最終焼鈍した場合は、アルミニウム箔表
面に銅粉又は鉄粉が付着していたとしても、銅粉又は鉄
粉の元素がアルミニウム箔中に拡散しにくく、銅粉又は
鉄粉がアルミニウム箔表面に乗っているだけであり、エ
ッチング時にアルミニウム箔表面から脱離するため、未
エッチ部が生じない。即ち、500℃以上の温度で最終
焼鈍すると、アルミニウム箔表面に付着していた銅粉又
は鉄粉の元素が、アルミニウム箔中に拡散して合金化さ
れ、エッチング時にもそのまま残留し、未エッチ部が形
成されるのである。なお、最終焼鈍の温度は、一般的に
は、500〜580℃である。
きさが直径5μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しない点に
最大の特徴を有する。直径が5μm未満の銅粉又は鉄粉
が付着していても、例えば、電解コンデンサ用電極箔を
得る際のエッチング条件で、溶解しやすく、未エッチ部
が生じない。また、仮に、上記(i)〜(iv)の未エッ
チ部に該当しないようなエッチング不良箇所が生じたと
しても、外観上は光沢が確認できず、且つその範囲も狭
いため、許容しうるものである。なお、本発明におい
て、直径5μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しないという
意味は、アルミニウム箔コイル(巻長は数m〜数千m)
中に、一個も存在しないという意味である。
1μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しないのが好ましい。
前記したとおり、直径5μm未満の銅粉又は鉄粉であれ
ば、それが付着していても、未エッチ部は生じない。し
かし、プリント配線板を得るような場合には、問題が生
じることもある。即ち、近年、プリント配線板の回路の
線間隔が小さくなっており、範囲の狭いエッチング不良
箇所であっても、短絡等を起こす危険がある。従って、
直径1μm以上の銅粉又は鉄粉が存在しないのが、好ま
しい。なお、本発明において、銅粉又は鉄粉の直径と
は、任意の形態の銅粉又は鉄粉の周長を測定し、それを
円周率(π)で除したものである。
定したのは、銅又は鉄が未エッチ部を生じさせる原因と
なる元素だからである。銅及び鉄以外の元素は、アルミ
ニウム箔表面に付着していても、未エッチ部を生じさせ
にくい。
は、従来公知の方法で行えば良い。但し、最終焼鈍前に
おいて、アルミニウム箔表面に所定の大きさ以上の銅粉
又は鉄粉が付着しないようにすることである。最終焼鈍
後において、銅粉又は鉄粉が付着しても、これらはアル
ミニウム箔表面に強固に付着しないため、エッチング時
に容易に脱離する。しかし、最終焼鈍前において、所定
の大きさ以上の銅粉又は鉄粉が付着していると、最終焼
鈍によって、アルミニウム箔表面に強固に付着し、エッ
チング時にも脱離しなくなるのである。
に、所定の大きさ以上の銅粉又は鉄粉が付着しないよう
にするためには、主として、以下の工程で特定の手段を
採用する必要がある。即ち、最終焼鈍工程前のスリット
工程、洗浄工程、圧延工程において、特定の手段を採用
する必要がある。特定の手段としては、圧延工程で用い
る圧延油の濾過、洗浄工程で用いる洗浄液の濾過、スリ
ット工程で用いるスリット刃の清掃、及び各工程で用い
るロールの清掃等が挙げられる。この中でも、圧延油は
直接アルミニウム箔表面に適用されるので、その濾過は
重要である。具体的には、5μm以上の異物を除去しう
るフィルターを用いて、圧延油を濾過することが重要で
ある。具体的には、25μm以上の異物を除去しうるフ
ィルターを備えた濾過器に圧延油を通して、大きな異物
を除去した後、更に、5μm以上の異物を除去しうるフ
ィルターを備えた濾過器に圧延油を通し、その後、この
圧延油をアルミニウム箔表面に適用するのが良い。
漬又はスプレー等の手段で直接適用されるため、この濾
過も重要である。この濾過も、圧延油の場合と同様の要
領で行えば良い。更に、洗浄工程も、なるべく、5μm
以上の銅粉又は鉄粉が除去されるように、洗浄液の組成
を工夫したり、或いはアルミニウム箔表面のブラッシン
グ等を併用するのが好ましい。スリット刃やロールの清
掃は、従来より、行われていたことであるが、その清掃
基準をより厳しくしたり、或いは自動的に常に清掃され
るような付属装置を設けるのが良い。
は、従来公知の種々の用途に用いられるが、特に、エッ
チング処理を行う以下の用途に好適に用いられる。即
ち、エッチング処理によってアルミニウム箔表面の表面
積を拡大し、静電容量を向上させた電解コンデンサ用電
極として、好適に用いられる。また、基板に貼合した
後、アルミニウム箔にエッチング処理を施すことによっ
て回路を形成するプリント配線板として、好適に用いら
れる。
が、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明
は、5μm以上の銅粉又は鉄粉がアルミニウム箔表面に
付着していると、外観上未エッチ部が発生するとの発見
に基づいてなされたものであるとして、解釈されるべき
である。
備した。この鋳塊に、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延
及び中間焼鈍を施して、厚さ0.5mmのアルミニウム
板を得た。その後、最終冷間圧延を施して、厚さ0.1
mmのアルミニウム箔を得た。最終冷間圧延工程におい
ては、アルミニウム板に適用される圧延油は、5μm以
上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものを用い
た。そして、3%水酸化ナトリウム水溶液の洗浄液をア
ルミニウム箔表面にスプレーした後、その表面をブラッ
シングしながら、洗浄した。この際、洗浄液は、5μm
以上の異物を除去しうるフィルターで濾過したものを用
いた。この後、アルミニウム箔を巻き取ってコイルと
し、アルゴンガス雰囲気下において、温度550℃保持
時間7時間で、最終焼鈍を行った。以上のようにして、
均質エッチング性を有するアルミニウム箔を得た。
メタクレンを使用した他は、実施例1と同様にして、均
質エッチング性を有するアルミニウム箔を得た。
ニウム箔を得た。
て、アルミニウム箔を得た。
各アルミニウム箔に、以下の条件でエッチング処理を施
した。まず、40℃の0.1%NaOH水溶液中に、各
アルミニウム箔を、30秒間浸漬して前処理した。その
後、85℃の4.4モル濃度HCl+0.76モル濃度
H2SO4+0.28モル濃度AlCl3・6H2O(+
0.1ミリモル濃度Cu2+)水溶液中に、アルミニウム
箔を浸漬して、1分間、初期ピット形成処理を行った。
次いで、75℃の1モル濃度HCl+3モル濃度H2S
O4水溶液中に、10秒間浸漬した後、電流密度0.2
A/cm2で1分間電解エッチングして、エッチング処
理を終えた。なお、水溶液中におけるモル濃度は、mo
l/lのことを意味している。
エッチング性を有するアルミニウム箔については、未エ
ッチ部は全く発生しなかった。これに対して、比較例1
及び2で得られたアルミニウム箔は、アルミニウム箔の
長手方向において、2m当たり1個の割合で未エッチ部
が発生した。
を有するアルミニウム箔は、その表面に直径5μm以上
の銅粉又は鉄粉が存在しないため、エッチング処理した
とき、未エッチ部が発生しない。従って、本発明に係る
均質エッチング性を有するアルミニウム箔をエッチング
処理して得られた電解コンデンサ用電極は、光沢を持つ
未エッチ部が無いため、均質にエッチングされているこ
とが、外観上容易に確認でき、安心して使用しうるとい
う格別顕著な効果を奏する。また、本発明に係る均質エ
ッチング性を有するアルミニウム箔をエッチング処理し
て得られたプリント配線板についても、未エッチ部の箇
所やエッチング不良箇所が生じにくいため、安心して使
用しうるという格別顕著な効果を奏する。
を示した概略斜視図である。
する際、マスキングが施された状態を示す概略側面図で
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 温度500℃以上で最終焼鈍されたアル
ミニウム箔であって、その表面に直径5μm以上の銅粉
又は鉄粉が存在しないことを特徴とする均質エッチング
性を有するアルミニウム箔。 - 【請求項2】 直径1μm以上の銅粉又は鉄粉が存在し
ない請求項1記載の均質エッチング性を有するアルミニ
ウム箔。 - 【請求項3】 請求項1記載の均質エッチング性を有す
るアルミニウム箔にエッチング処理して得られる電解コ
ンデンサ用電極。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載の均質エッチング性
を有するアルミニウム箔を基板に貼合し、該アルミニウ
ム箔面に所定形状のマスキングを施した後、エッチング
することにより、該基板上に所定形状の回路を形成した
プリント配線板。
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JP21392399A JP4565475B2 (ja) | 1999-07-28 | 1999-07-28 | 電解コンデンサ用電極の製造方法 |
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JP21392399A Expired - Lifetime JP4565475B2 (ja) | 1999-07-28 | 1999-07-28 | 電解コンデンサ用電極の製造方法 |
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- 1999-07-28 JP JP21392399A patent/JP4565475B2/ja not_active Expired - Lifetime
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