JP2762556B2 - アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製
造方法に関するものである。
従来の技術 一般にアルミニウム電解コンデンサは、アルミニウム
電極箔を絶縁紙とともに巻回し、電解液を含浸すること
により構成されている。そしてアルミニウム電解コンデ
ンサ用電極箔は塩素イオンを含む溶液中で表面に電気化
学的ないしは化学的エッチング処理を施すことにより粗
面化を行ない、単位面積当りの静電容量を大きくするこ
とにより、アルミニウム電解コンデンサの小形化,軽量
化を実現してきた。このエッチング処理においては、あ
る電気量(通常50クーロン/cm2)まではアルミニウム溶
解量の増加とともに静電容量が直接的に増加するが、そ
れを超えた電気量では、アルミニウム溶解量が増加して
も静電容量の増加は鈍化し、さらに過度のエッチング処
理が進行した場合、逆に減少することもある。これは、
表面近くの腐蝕孔が増加し続ける結果、隣合う腐蝕孔が
結びつき、大きな腐蝕孔に成長してしまうため、静電容
量拡大に有効な細かい凹凸が減少してしまうからであ
る。この傾向は、直流エッチング処理に比べ、より細か
い凹凸面が得られる交流エッチング処理において顕著で
ある。
このような弊害を除くため、従来種々の検討が行なわ
れており、エッチングの前処理条件に関するものとし
て、例えば、特開昭63-299309号公報に示された発明が
知られている。この公報に示された方法は、前処理とし
て、アルミニウムの表面に保護膜を形成するために、リ
ン酸,硫酸,クロム酸の各水溶液の中から選ばれた一種
類で前処理を行なった後、次いで初期の電流密度を徐々
に立ち上げる交流エッチング処理を施すというものであ
る。
発明が解決しようとする課題 上記従来の方法によれば、アルミニウム溶解量の増加
により静電容量を直線的に増加させる効果はあるもの
の、前処理による保護膜の形成が、アルミニウム生箔の
影響を受けやすく、その結果、静電容量が安定して得ら
れないという問題点を有していた。
本発明は、このような従来の問題点を解消するもの
で、従来より安定して高い静電容量が得られるアルミニ
ウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法を提供すること
を目的とするものである。
課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明のアルミニウム電
解コンデンサ用電極箔の製造方法は、前処理としてアル
カリ浸漬処理を実施し、次いで初期の電流密度を徐々に
立ち上げる交流エッチング処理を行なうようにしたもの
である。
作用 本発明で対象となるアルミニウム箔は通常の圧延によ
り得られる純度が99.9%以上のものであり、その他に微
量の不純物としてSiの他Cu,Fe等を含有するものであ
る。
本発明では、エッチングの前処理としてアルカリ浸漬
処理を実施し、この実施過程を通じてアルミニウム箔表
面の大半を占めるアルミニウムはアルカリに溶解するの
に対し、Fe,Cuなどの不純物はアルカリと反応せず、そ
の結果、不純物元素がアルミニウムの表面のところどこ
ろに顕在化する状態になる。
次いで行なう交流エッチング処理においてその電流密
度を徐々に立ち上げることにより、アルミニウム箔の表
面上に分散する不純物の近傍より腐蝕孔が発生する。
以上の反応は、アルミニウム箔の不純物の量が通常の
コントロールされたものである限り再現性のあるものと
なり、アルミニウム箔の初期の自然酸化皮膜の量という
変動しやすい要因の影響を受けることはない。
このようにしてアルミニウム箔の表面に腐蝕孔を選択
的に発生させた後は、公知の交流エッチング方法を行な
うことにより、電気量に比例して静電容量が直線的に増
加し、大きな静電容量が安定して得られる。
実施例 以下、本発明の一実施例について従来例と比較しなが
ら説明する。
従来例1 (エッチング液) 8%HCl+2%AlCl3 (エッチング条件)35℃正弦波60Hz 0.3A/cm2 エッチング時間420秒 従来例2 (特公昭63-299309号の方法) エッチング液とエッチング条件は従来例1と同一であ
り、前処理として80℃のリン酸2wt%水溶液に浸漬後、
エッチング初期の電流を7秒かけて立ち上げた。
本発明例 エッチング液とエッチング条件は従来例1と同一であ
り、前処理として50℃のNaOH3wt%水溶液に浸漬後、エ
ッチング初期の電流を7秒かけて立ち上げた。
以上、3種類の処理を、ロットの異なる5種類のアル
ミニウム箔に対して施した後、70Vで化成処理した時の
単位面積当りの静電容量を第1表に示す。
第1表からも明らかなように、本発明例は、従来例に
対して静電容量がアルミニウム箔の影響を受けず、平均
して高い値が得られる。
発明の効果 以上のように本発明のアルミニウム電解コンデンサ用
電極箔の製造方法によれば、従来の方法に比べ、高い静
電容量を持つ電極箔を安定して製造することができると
いうすぐれた特長を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神崎 信義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−299309(JP,A) 特開 昭63−268239(JP,A) 特公 昭59−10571(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01G 9/04 304

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前処理としてアルカリ浸漬処理を実施し、
    次いで初期の電流密度を徐々に立ち上げる交流エッチン
    グ処理を行なうことを特徴とするアルミニウム電解コン
    デンサ用電極箔の製造方法
JP11696189A 1989-05-10 1989-05-10 アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法 Expired - Lifetime JP2762556B2 (ja)

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