JP2001039775A - 断熱性吹付用耐火組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】嵩比重が小さく、断熱性が良好でリバウンド・
ロスが少ない吹付施工用耐火物を提供すること。 【解決手段】セラミックファイバー５〜３０重量％，蛭
石２０〜７０重量％，アルミナセメント２５〜６０重量
％の組成とした。アルミナセメントの一部はシリカフラ
ワー及び／又はセピオライトに置換可能である。 【効果】本耐火物は施工性が良いので、作業環境の改善
と省資源に役立つ。また断熱性が良いので各種窯炉に適
用すると省エネルギの効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種窯炉の炉壁，炉蓋
等の内張り材として使用される吹付用耐火組成物に関
し、特に、嵩比重が小さく、断熱性が良好でリバウンド
・ロスが少ない吹付用耐火組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】各種不定形耐火物の嵩比重を下げて断熱
性を向上させるため、セラミックファイバーおよび蛭石
が広く使用されている。

【０００３】セラミックファイバーを使用した断熱キャ
スタブル耐火物あるいは吹付用耐火組成物の開示例とし
ては特開昭５３−１２９２１０号，特開昭５７−７１８
７８号，特開昭５９−１７４５７９号，特開昭６０−２
４６２７３号，特開平１−２０３２７８号，特開平６−
８７６６６号等がある。蛭石（バーミキュライト）を使
用した軽量断熱キャスタブルについては特開昭５９−１
７４５７９号に参考例として記載されているように古く
から知られている。従来より断熱キャスタブル耐火物の
結合材としてアルミナセメント，ρアルミナ，アルミナ
ゾル，珪酸ソーダ等が使用されていたが、いずれが結合
材であっても、セラミックファイバー又は蛭石の添加量
に上限があって、充分な断熱性を示すものではなかっ
た。従来より吹付材としての施工性と発現強度の維持の
ために、断熱質原料（セラミックファイバー又は蛭石）
の他に相当量の耐火性骨材（アルミナ，ムライト，シャ
モット等）が併用されていた。断熱質原料の使用量が少
ないため、嵩比重が大きく、熱伝導率が高いという問題
があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明において
は上記の事情に鑑みて、リバウンド・ロスが少なく断熱
性の良い吹付用耐火物を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そのため、本発明の断熱
性吹付用耐火組成物は、５〜３０重量部のセラミックフ
ァイバーと２０〜７０重量部の蛭石と２５〜６０重量部
のアルミナセメントとの三者の合計が１００重量部とな
るように含有していることを特徴とする。

【０００６】また、本発明の断熱性吹付用耐火組成物は
アルミナセメントの一部をシリカフラワー及び／又はセ
ピオライトに置換することを特徴とする。

【０００７】更に本発明の断熱性吹付用耐火組成物は、
前記組成物にＣＭＣを外配で０．０５〜２％添加したこ
とを特徴とする。

【０００８】更にまた、本発明の断熱性吹付用耐火組成
物は、前記各組成物において、セラミックファイバーが
ロックウール粒状綿であることを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明者は、いかなる耐火材料を用い、またそ
の配合比率をどのようにすれば、嵩比重が小さく、断熱
性が良好でリバウンド・ロスが少ない吹付用耐火組成物
が得られるかについて、様々な実験，研究を重ねた結
果、断熱質原料として、セラミックファイバーと蛭石を
併用し、アルミナセメントを結合材とすることを知見
し、本発明を完成させるに至ったのである。

【００１０】即ち、不定形耐火物、特に吹付施工用耐火
物にとって粒度調整が重要であるが、本発明において
は、セラミックファイバーに対して蛭石を粗粒とみなし
て粒度調整を行ったものである。リバウンド・ロスを少
なくするため、粒径１ｍｍ以上の蛭石（ＪＩＳ規格の３
号）が１０重量％以上含まれることが必要である。

【００１１】セラミックファイバーはアルミナ質，ムラ
イト質，アルミナーシリカ質等のもの、あるいはロック
ウールが使用できる。繊維形状としては、いずれの場合
も粒状綿がよい。セラミックファイバーと蛭石の配合比
率は１対３くらいがよい。セラミックファイバーと蛭石
の合計配合量は４０〜７０重量％が好ましい。４０重量
％未満では、軽量性，断熱性に優れた吹付用耐火物が得
にくくなる。また７０重量％を越えると、リバウンド・
ロスが大きくなると共に施工体の強度が低くなりやす
い。

【００１２】アルミナセメントは、従来から使用されて
いるもので、ＪＩＳ１種，２種およびアルミナ含量７０
〜８５％のハイアルミナセメントを用いることができ
る。常温硬化性を付与するため、アルミナセメントは最
低１５重量％必要である。逆に６０重量％以上では、断
熱性が著しく低下する。

【００１３】アルミナセメントの一部をシリカフラワー
及び／又はセピオライトに置換すると吹付け時の水分調
整が容易になると共にリバウンド・ロスが少なくなる。
５〜１５重量％がシリカフラワー及び／又はセピオライ
トの好ましい添加量である。

【００１４】吹付材の粘性向上、粉体と水の分離防止、
吹付面での盛り上がり性改善のため、ＰＶＡ，ＭＣ，Ｃ
ＭＣ等の有機増粘剤の添加が有効である。ＣＭＣが最適
であり、好ましい添加量は０．０５〜２重量％である。

【００１５】ロックウールの粒状綿は他のセラミックフ
ァイバーにくらべて、蛭石と組み合わせ使用した時のリ
バウンド・ロスが少ない特徴がある。

【００１６】

【実施例】表１は、本願発明の断熱性吹付用耐火組成物
と従来品、および比較例の吹付耐火物について、それぞ
れの配合割合、物性を示すと共に、ローター式耐火物吹
付機を使って行った吹付試験結果を説明するための表で
ある。

【００１７】表１に示す配合割合（重量％）で調合し、
吹付実験を行った。ローター式吹付ガンを使用し、空気
圧力３〜４ｋｇ／ｃｍ^２で、垂直パネルに吹付けた。高
さ１００ｍｍのＶ型アンカーを２００ｍｍピッチで溶接
したパネルを使用した。

【００１８】表１に示すように、本発明品は、吹付け施
工時の粉じん発生が少なく、ノズルの先端からのたれが
無く、息つぎせず、施工面でのだれも無く、総体的に吹
付作業が容易であり、リバウンド・ロスも少なかった。
なお、○と△と×で、それぞれの項目における評価の良
い状態と普通の状態と悪い状態を示した。

【００１９】表１に、本発明品と従来品と比較品の物性
を示した。本発明品は従来品にくらべてカサ比重が明白
に小さい。また、それに伴って熱伝導率も際立って低い
値となっている。

【００２０】線変化率と曲げ強さの値は従来品と同程度
である。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【発明の効果】本発明により、カサ比重が小さく、熱伝
導率が低い特性を有し、しかも吹付施工時の作業性が良
い断熱性吹付用耐火組成物が得られたので、各種窯炉の
炉壁，炉蓋のライニングに適用すると、作業環境の改善
と省エネルギーに寄与できる。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ５〜３０重量部のセラミックファイバー
   と２０〜７０重量部の蛭石と２５〜６０重量部のアルミ
   ナセメントとの三者の合計が１００重量部となるように
   含有していることを特徴とする断熱性吹付用耐火組成
   物。
2. 【請求項２】 アルミナセメントの一部をシリカフラワ
   ー及び／又はセピオライトに置換したことを特徴とする
   請求項１記載の断熱性吹付用耐火組成物。
3. 【請求項３】請求項１または２の記載において、ＣＭＣ
   を外配で０．０５〜２重量％添加したことを特徴とする
   断熱性吹付用耐火組成物。
4. 【請求項４】 セラミックファイバーがロックウール粒
   状綿であることを特徴とする請求項１ないし４のいずれ
   かに記載の断熱性吹付用耐火組成物。