JP2001031993A - クリーム状洗浄剤組成物 - Google Patents

クリーム状洗浄剤組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 泡立ち・泡質といった泡性能に優れ、き
しみ感がなくさっぱりした使用感を有し、形態安定性に
優れたクリーム状洗浄剤組成物を提供する。 【解決手段】 対イオンとしてアルカリ金属及び/また
はアルカリ土類金属であるN−ラウロイルグリシン塩
(A)とN−ミリストイルグリシン塩(B)を含有し
(A)/(B)の重量比が5/1〜4/5からなり、か
つN−オクタノイルグリシン塩の含有量を組成物の全量
に対して0.2重量%以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクリーム状洗浄剤組
成物に関し、更に詳しくはN−アシルグリシン塩を含有
する洗浄剤組成物において、形態安定性が良好で、泡立
ち・泡質といった泡性能に優れ、きしみ感がなくさっぱ
りとした使用感を有するクリーム状洗浄剤組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】クリーム状洗浄剤組成物おいては、泡立
ちの良さ、洗い上がりがさっぱりするなどの特徴を有し
ているため、高級脂肪酸塩が最も汎用されている。しか
し、高級脂肪酸塩は、これを水に溶解させた場合アルカ
リ性を示すため、皮膚や眼粘膜に対する刺激性が高く、
また硬水中では水不溶性のスカムが発生し、起泡力、洗
浄力が著しく低下するという問題があった。更に、高級
脂肪酸塩は、すすぎ時に皮膚のきしみ感やつっぱり感を
生じるという問題点もあった。
【0003】皮膚に低刺激性のアニオン界面活性剤とし
てはN−アシルグルタミン酸塩がよく知られている。N
−アシルグルタミン酸塩は水溶液のpHが弱酸性であ
り、皮膚に対する刺激性が低く、更に耐硬水性にも優れ
ているが、使用時にぬめり感があり、またクリーム状洗
浄剤とした場合に形態安定性が悪いという問題点があっ
た。
【0004】また、特開平5−156287号公報に
は、N−アシルグリシン塩が、低刺激性であり、ぬめり
感がない洗浄剤組成物とできることが開示されている。
【0005】しかし、アシル基鎖長が単一のものを用い
てクリーム状洗浄剤組成物を得た場合には、次のような
問題があった。例えば、N−ラウロイルグリシン塩を単
独で使用した場合、初期の泡立ちは良好であるが泡質が
粗くまたクリームの形態安定性が悪く、またN−ミリス
トイルグリシン塩を単独で使用した場合、きめの細かい
泡質ではあるものの泡立ちが著しく遅くまたクリームの
形態が硬く使用感が悪いという問題があった。
【0006】そこで、種々のアシル鎖長が混合したもの
であるN−ヤシ油脂肪酸アシルグリシン塩を用いること
や、更にこのN−ヤシ油脂肪酸アシルグリシン塩と単一
鎖長のものとを併用して、混合鎖長のアシルグリシン塩
を用いることが提案されている(特開平8−53694
号公報、特開平8−134494号公報)。
【0007】しかし、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシン
塩を用いた場合、これに由来する特有のすすぎ時のきし
み感を発生させるという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、N−
アシルグリシン塩を含有する洗浄剤組成物において、低
刺激性であり、形態安定性が良好で、泡立ち・泡質とい
った泡性能に優れ、しかもきしみ感がなくさっぱりとし
た使用感を有するクリーム状洗浄剤組成物を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる実状に
鑑み鋭意研究した結果、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシ
ン塩が特有のきしみ感を有するのは、その混合物中に一
成分として含有されている、N−オクタノイルグリシン
塩がきしみ感の原因物質であることを解明し、これを実
質的に含ませることなく、N−ラウロイルグリシン塩と
N−ミリストイルグリシン塩を特定の割合で配合させて
なる洗浄剤組成物が本目的に適合することを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、対イオンがアルカリ金属
及び/またはアルカリ土類金属であるN−ラウロイルグ
リシン塩(A)とN−ミリストイルグリシン塩(B)を
含有し(A)/(B)の重量比が5/1〜4/5からな
り、かつN−オクタノイルグリシン塩の含有量が組成物
の全量に対して0.2重量%以下であることを特徴とす
るクリーム状洗浄剤組成物に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる成分(A)N
−ラウロイルグリシンと成分(B)N−ミリストイルグ
リシンは、それぞれラウロイルクロライドまたはミリス
トイルクロライドとグリシンを水性溶媒中、アルカリ条
件下で反応させるショッテン・バウマン法など公知の方
法により調製することができる。
【0012】本発明のクリーム状洗浄剤組成物におい
て、N−ラウロイルグリシン塩とN−ミリストイルグリ
シン塩の配合重量比は5/1〜4/5であり、更にN−
オクタノイルグリシン塩の含有量が組成物の全量に対し
て0.2重量%以下である。N−ラウロイルグリシン塩
が5/1を超える場合、泡質が悪く形態安定性が悪い。
他方、4/5未満では泡質がクリーミーであるもののク
リームの形態が硬くまた初期の泡立ち(速泡性)が低下
しボリューム感もなくなる。
【0013】またN−オクタノイルグリシン塩の含有量
が組成物の全量に対し0.2重量%を超える場合、すす
ぎ時にきしみ感を有し、使用感が悪くなる。
【0014】本発明における成分(A)及び成分(B)
の対イオンとしてはナトリウム塩、カリウム塩等のアル
カリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩を
挙げることができる。これに対し、トリエタノールアミ
ン塩のような有機アミン塩は安定なクリーム状形態にな
らず好ましくない。クリーム形態に優れたものを得る点
で、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。なお、これ
らの塩は、1種の塩基で中和されていても、2種以上の
塩基で中和されていてもよい。
【0015】本発明の成分(A)及び成分(B)は、必
ずしも全てを塩の形態で用いる必要はなく、未中和物と
の混合物として用いても良い。但し、未中和物のみで
は、泡立たなくなるため、必ず一部は塩の形態で配合さ
れる。もちろんクリーム状洗浄剤組成物を調製するとき
に、未中和のものを水酸化ナトリウム等のアルカリで中
和し、一部又は全部を塩の形態としても良い。未中和物
の含有割合は、通常、未中和物/塩=1/1以下であ
り、好ましくは1/3以下である。未中和物の割合が大
きすぎると泡立ちが悪くなる。
【0016】本発明のクリーム状洗浄剤組成物は刺激性
と泡性能及び形態安定性の観点からpHを6.5〜8.
5とするのが好ましい。pHが6.5未満では泡立ちの
低下が著しくなり、8.5を超えると形態安定性が悪く
なる。高級脂肪酸塩などの場合にはpHを皮膚に温和な
中性〜弱酸性域に下げた場合に泡立ちが著しく低下する
が、本発明における成分(A)及び成分(B)のアニオ
ン界面活性剤はこのようなpH域でも良好な泡立ちを示
す。尚、本明細書で言うクリーム状洗浄剤組成物のpH
はクリーム状洗浄剤組成物の5%水溶液(30℃)のp
Hを意味する。
【0017】pH調整は前述したように、成分(A)及び
成分(B)のアニオン界面活性剤の中和度、つまり、未
中和物と塩との混合割合を適宜変えることによって行う
ことができる他、有機酸または無機酸を適宜配合するこ
とによっても行うことができる。酸の例としては、グル
タミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸、クエン
酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、p−トルエンスルホン酸、
酒石酸、グリコール酸、ピロリドンカルボン酸等の有機
酸、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、硝酸等の無機酸が挙げ
られる。
【0018】本発明のクリーム状洗浄剤組成物における
成分(A)と成分(B)の合計配合量は、洗浄剤組成物
に対して5〜50重量%が好ましく、より好ましくは1
0〜30重量%である。5重量%未満ではクリーム状の
形態とならない場合があり、50重量%以上ではクリー
ム状洗浄剤の調製が困難になりまた形態がかたくなりす
ぎる場合がある。
【0019】本発明の効果を阻害しない範囲でクリーム
状洗浄剤に汎用される多価アルコールを配合することが
できる。多価アルコールの具体例としては、1,3−ブ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジ
グリセリンなどが挙げられる。
【0020】本発明のクリーム状洗浄剤組成物において
上記多価アルコールの配合量は、洗浄剤組成物に対して
5〜60重量%が好ましく、より好ましくは15〜50
重量%であり、更に好ましくは20〜40重量%であ
る。5重量%未満では室温でクリーム状の形態とならず
に溶解してしまう場合があり、60重量%以上ではクリ
ーム洗浄剤組成物を調製する際に溶解させづらくなり、
また泡立ちが低下しすぎる場合がある。
【0021】また、本発明のクリーム状洗浄剤組成物に
おける成分(A)と成分(B)の合計配合量と多価アル
コールの配合量の割合は、通常((A)+(B))/多価ア
ルコール=1/5〜5/1であり、好ましくは1/3〜
1/1である。
【0022】また、本発明のクリーム状洗浄剤組成物に
おいて、本発明の効果を阻害しない範囲において、通常
使用される各種添加剤を添加することができる。例とし
てはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸等の脂肪酸およびそれらの塩;セタ
ノール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、
オレイルアルコール等の高級アルコール;アニオン界面
活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオ
ン性界面活性剤等の界面活性剤;植物油、動物系油脂、
天然系油脂誘導体、鉱物系油脂、低級および高級脂肪酸
エステル、N−アシルグルタミン酸エステル等の合成系
油脂;シリコーン化合物、高分子物質、アルコール類、
抽出物、アミノ酸、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、
殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、エデト酸塩
等のキレート剤、制汗剤、酸化染料、pH調整剤、パー
ル化剤、酸化チタン等の無機粉体、湿潤剤等の化粧品原
料基準、化粧品種別配合成分規格、医薬部外品原料規
格、日本薬局方、日本薬局方外医薬品成分規格、食品添
加物公定書等の各種公定書記載の原料等が挙げられる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0024】実施例1〜4第1表に示す各クリーム状洗
浄剤組成物を調製し、専門パネラー10名により各クリ
ーム状洗浄剤組成物について40℃の水道水で手洗いお
よび洗顔を行い、泡立ちの速さ、泡のクリーミー性、す
すぎ時のきしみ感、洗い上がりのさっぱり感、洗い上が
りのぬるつきについて官能評価を行った。評価結果を第
1表に併せて示す。なお、評価は以下に示す基準による
平均値を算出し、平均値が2.5以上の場合を良好
(○)、2.4〜1.5の場合を普通(△)、1.4以
下の場合を不良(×)として行った。
【0025】<評価基準> (泡立ちの速さについて) 3:速い 2:普通 1:遅い (泡のクリーミー性について) 3:クリーミー 2:普通 1:粗い (すすぎ時のきしみ感について) 3:きしまない 2:普通 1:きしむ (洗い上がりのさっぱり感) 3:さっぱりする 2:普通 1:さっぱりしない (洗い上がりのぬるつき) 3:ぬるつかない 2:普通 1:ぬるつく
【0026】形態安定性については、クリーム状洗浄剤
組成物をチューブに充填し、40℃恒温槽中に1週間保
存し、室温に戻した後、保存後の形態を室温保存品と比
較し、以下の基準で評価した。 ○:室温保存品と同等 △:室温保存品に比べ、やや柔らかいもしくは硬い ×:分離もしくは粒状物がある
【0027】なお、pHに関しては5%に溶解し、30
℃でガラス電極にて測定した。
【0028】また、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシン塩
は、種々のアシル鎖長のものの混合物であり、その重量
比は、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシン塩の総重量に対
し、N−オクタノイルグリシン塩が約7%、N−デカノ
イルグリシン塩が約7%、N−ラウロイルグリシン塩が
約60%、N−ミリストイルグリシン塩が約18%、N
−パルミトイルグリシン塩が約5%である。
【0029】上記各アシル鎖長の重量比から、N−ラウ
ロイルグリシン塩/N−ミリストリルグリシン塩の重量
比および組成物の全量に対するN−オクタノイルグリシ
ン塩の重量%を算出し、これらを併せて第1表に示し
た。
【0030】
【表1】
【0031】第1表から明らかなように、N−ラウロイ
ルグリシン塩/N−ミリストイルグリシン塩の重量比が
5/1を超えると泡のクリーミー性が粗くなり(比較例
2)、また、重量比が4/5未満では泡立ちの速さが遅
くなることがわかる(比較例3)。
【0032】また、組成物の全量に対するN−オクタノ
イルグリシン塩の重量が、0.2%を超えるとすすぎ時
のきしみ感が生じるほか、泡のクリーミー性と形態安定
性を損なうことがわかる(比較例5から7)。
【0033】これに対し、本発明の組成物は、泡立ちの
速さ、泡のクリーミー性、すすぎ時のきしみ感、洗い上
がりのさっぱり感、洗い上がりのぬるつき、形態安定性
のいずれも良好であることがわかる。
【0034】 実施例5 (配合組成) (重量%) N−ラウロイルグリシンカリウム 17 N−ミリストイルグリシンカリウム 8 ショ糖脂肪酸エステル 3 (「リョートーシュガーエステルLWA−1570」商品名、三菱化学フーズ (株)製) ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1 ミリスチン酸 0.5 濃グリセリン 25 プロピレングリコール 10 グリチルリチン酸ジカリウム 0.2 ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0 クエン酸一水和物 1.5 メチルパラベン 適量 プロピルパラベン 適量 香料 適量 精製水 残余
【0035】上記配合組成に従い、クリーム状洗浄剤組
成物を調製した。得られた洗浄剤組成物は、泡性能、形
態安定性に優れていた。
【0036】 実施例6 (配合組成) (重量%) N−ラウロイルグリシンナトリウム 9 N−ミリストイルグリシンナトリウム 11 N−ミリストリルグルタミン酸カリウム 2 テトラデセンスルホンサン酸ナトリウム 2 ミリストイルメチルタウリンナトリウム 2 濃グリセリン 15 ソルビトール 10 1,3−ブチレングリコール 5 湿潤剤(「プロデュウ400」商品名、味の素(株)製) 1 硬化ヒマシ油E.O.付加物(60モルE.O.) 3 クエン酸一水和物 1 安息香酸ナトリウム 適量 香料 適量 精製水 残余
【0037】上記配合組成に従い、クリーム状洗浄剤組
成物を調製した。得られた洗浄剤組成物は、泡性能、形
態安定性、使用感に優れていた。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば形態安定性が良好で泡立
ちが早く、泡質がクリーミーで、きしみ感がなくさっぱ
りとした洗い上がりの使用感を有するクリーム状洗浄剤
組成物を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C083 AC122 AC132 AC242 AC302 AC312 AC352 AC432 AC482 AC542 AC612 AC642 AC661 AC662 AC792 AD412 AD432 AD532 CC22 CC23 DD27 DD31 EE06 EE07 4H003 AB10 AB44 AB46 AC04 AC13 BA15 DA02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB20 ED02 ED28 FA18 FA21 FA28

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対イオンがアルカリ金属及び/またはア
    ルカリ土類金属であるN−ラウロイルグリシン塩(A)
    とN−ミリストイルグリシン塩(B)を含有し(A)/
    (B)の重量比が5/1〜4/5からなり、かつN−オ
    クタノイルグリシン塩の含有量が組成物の全量に対して
    0.2重量%以下であることを特徴とするクリーム状洗
    浄剤組成物。
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