JP2001031866A - ポリイミド組成物及びそれを用いた太陽電池用基板 - Google Patents

ポリイミド組成物及びそれを用いた太陽電池用基板

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JP2001031866A
JP2001031866A JP11206030A JP20603099A JP2001031866A JP 2001031866 A JP2001031866 A JP 2001031866A JP 11206030 A JP11206030 A JP 11206030A JP 20603099 A JP20603099 A JP 20603099A JP 2001031866 A JP2001031866 A JP 2001031866A
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Asaji Hayashi
浅次 林
Takefumi Yoshikawa
武文 吉川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 太陽電池用などの耐熱性基板の表面の塗布層
として好適な組成物を提供する。 【解決手段】 ポリイミド樹脂に、平均粒径が0.1〜
1μmで残存炭素含量が0.5重量%以下であるシリカ
を配合してなるポリイミド組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池、光セン
サー、光スイッチなどの光電変換装置用の基板としての
用途がある耐熱性基板の表面の塗布層として好適である
ポリイミド組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、非晶質Si太陽電池用の基板とし
ては、一般的にガラス基板やステンレス基板が用いられ
ている。この非晶質Si太陽電池の変換効率を向上させ
るため、太陽光の吸収量を増加させる方法として、最近
では絶縁基板の表面に微細な凹凸を形成する方法が提案
されている(特開平7−254721号)。また、本発
明者等は、先に、金属板表面にシリカに代表される絶縁
性微粒子を分散させたポリイミド樹脂を塗布すること
で、表面層に微細な凹凸を形成させた耐熱性基板を提案
した(特開平10−329268号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平10−3
29268号で提案した耐熱性基板は、太陽電池用基板
として使用した場合は、入射した太陽光線を効率的に乱
反射させて絶縁基板の表面に封じ込めることで光電変換
効率を向上させることができた。しかしながら、その後
の検討によれば、基板表面のポリイミド樹脂層に配合す
るシリカの種類により光電変換効率が不十分であるとい
う問題が生じた。また、シリカ粒子の粒径や粒度分布を
特定しようとした場合に、ある種のシリカにおいては、
シリカ粒子が相互に凝着しており、これを粉砕または濾
過などの方法により除去する手間がかかることが判明し
た。更に、別の問題として、かかる太陽電池用製造する
際において製造系内での汚染や太陽電池の性能の低下が
認められ、その主な原因が、ポリイミド樹脂に配合する
シリカ原料に残留する微量成分に起因する汚染ガスの発
生によるものであることが判明した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる状
況にあって、上記従来技術の諸欠点を一挙に解決すべ
く、鋭意検討の結果本発明を完成したものである。即
ち、本発明は、太陽電池用基板としての用途がある耐熱
性基板の表面の塗布層として好適であるポリイミド組成
物に関するものであった、ポリイミド樹脂に、平均粒径
が0.1〜1μmで残存炭素含量が0.5重量%以下で
あるシリカを配合してなるポリイミド組成物に存する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のポリイミド組成物におけるポリイミド樹
脂とは、前記の特開平10−329268号に例示され
ているようなポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド及び、およびこれらの混合物であって、溶媒
可溶性のものを言う。ポリイミド系樹脂には、第二成分
として、例えばポリサルホン、ポリエーテルポリサルホ
ンなどの溶媒可溶性の樹脂を混合したものも含まれる。
ポリイミド系樹脂の具体例としては、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物(BTDA)と、二種の芳香族
ジイソシアネート、すなわち、4,4´−ジフェニルメ
タンジイソシアネートおよび2,4−トリレンジイソシ
アネートを共重合させたもの、ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物(BPDA)と、芳香族ジアミンからポリ
アミド酸を経由して合成される構造のものが挙げられ
る。
【0006】また、芳香族ジアミンと、芳香族テトラカ
ルボン酸及び/又はその誘導体を溶質として溶媒中に溶
解しているポリイミド前駆体溶液として基板の表面に塗
布し、その後の熱処理により熱可塑性ポリイミドを形成
するものであってもよく、具体的には、4,4’−オキ
シジアニリン及び/又は3,4’−オキシジアニリンと
4,4’−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体との
組み合わせ、又は、4,4’−オキシジアニリン又は
3,4’−オキシジアニリン、及びパラフェニレンジア
ミンと4,4’− オキシジフタル酸酸及び/又はその
誘導体との組み合わせなどが例示される。
【0007】次に、本発明のポリイミド組成物に配合さ
れるシリカは、平均粒径が0.1〜1μmであり、且
つ、残存炭素含量が0.5重量%以下であることを特徴
とする。シリカの平均粒径が0.1μm未満では、被膜
の表面に微細な凹凸を形成するのが困難となる。また、
1μmを越えると凹凸が大きくなりすぎて、入射する太
陽光線を乱反射させ絶縁基板の表面に封じ込める効率が
低下する。更に、絶縁性微粒子は均一な分布を有するも
のが望ましく、形状が球状であり、かつ粒度分布の標準
偏差が1.2以下であるものが特に好ましい。それは、
被膜表面に微細な凹凸を均一に形成するために重要であ
り、標準偏差値が1.2を越えると絶縁微粒子の分散が
不均一になり、光を封じ込めるという機能が低下する。
また、シリカの残存炭素含量は0.5重量%以下、好ま
しくは0.3重量%以下である。残存炭素含量が0.5
重量%を越えると、ポリイミド組成物を用いた耐熱性基
板から太陽電池を製造する工程に際してシリカ由来の汚
染ガスが発生し、太陽電池の性能や製造効率の低下が顕
著となるのでを招くので好ましくない。この汚染ガスは
シリカに残留する微量成分であるトリアルコキシシラン
等のシリカ合成原料の残りや分解物ある有機珪素化合物
に由来するものと推定される。
【0008】以上のようなシリカの調製方法としては、
シリカをゾルゲル法で調製した後、特定温度範囲で焼成
処理する方法が好適である。従来、珪素のアルコキシド
を塩基性触媒の存在下で加水分解、重合するゾルゲル法
によれば、粒度分布が狭く、且つ分散の良好なシリカが
得られることが知られている。但し、ゾルゲル法で合成
して精製回収したシリカでは残存炭素含量が数重量%程
度である。また、かかるシリカは工業的に多くの用途が
ありうるが、半導体回りの封止材用途のシリカは、残存
炭素由来の汚染ガスの発生防止や、シリカ粒子表面の微
細な孔を封止するために通常800〜1200℃の温度
で焼成処理がなされたものが使用されている。
【0009】本発明のポリイミド組成物で用いるシリカ
では、未焼成あるいは焼成が不十分であるものは残存炭
素含量が多く不適当である。一方、800〜1200℃
の温度範囲にあるような高温焼成処理がなされたシリカ
では、シリカ粒子が相互に甚だしく凝着している傾向が
あり、これを粉砕、または濾過などの方法により除去す
る場合、著しい経済的負担が発生する。また、シリカ粒
子相互の凝着物の除去を十分に行わない場合、シリカ粒
子の凝着物がスケール過大の突起を形成してしまい、そ
の結果、最適ピッチの突起形成が困難になると共に、基
板上への太陽電池の形成工程の障害にもなる場合があ
る。
【0010】そこで、本発明のポリイミド組成物で用い
るシリカは、ゾルゲル法で合成して精製回収したシリカ
を300〜700℃の温度範囲で、通常0.5〜10時
間程度焼成したものが好ましい。かかる条件下での焼成
によれば、残存炭素が低減できるが、シリカ粒子相互の
凝着が生じない点で好適である。また、該条件下の焼成
ではシリカ粒子表面の微細な孔が十分に封止されない
が、本発明のようにポリイミドに配合する場合において
は特段の問題は生じない。
【0011】以上のようなシリカのポリイミド系樹脂へ
の配合量は、その種類、平均粒径、被膜の厚さ、耐熱性
基板の用途により変りうるがポリイミド系樹脂に対し
て、好ましくは100〜500重量%である。配合量が
100重量%未満であると被膜の表面に微細な凹凸を形
成するのが難しく、配合量が500重量%を越えると被
膜がもろくなり、いずれも好ましくない。
【0012】以上のポリイミド組成物は、耐熱性基板の
表面に塗布してなる太陽電池用基板などとして利用され
る。この際の基板としては、太陽電池の成膜時に基材に
加えられる熱に耐えうるような十分な耐熱性を有する材
料からなるものであれば特に制限はなく、ステンレス
板、アルミ板、アルミメッキ鋼板などの金属板、ポリイ
ミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチ
レンナフタレート、ポリカーボネート、芳香族ポリアミ
ド等のプラスチックフィルムなどが挙げられる。このプ
ラスッチックフィルムは、金属繊維、ガラス繊維、カー
ボン繊維、グラファイのようなウィスカー等の繊維で補
強したものであってもよい。上記において、基板の厚さ
は、金属板の場合は通常0.1〜1mm、プラスチック
フィルムの場合は通常0.02〜0.2mmであるが、
基板としての軽量性や可撓性を向上する点では金属板よ
りプラスチックフィルムの方が好ましく、特に好ましく
はポリイミドフィルムである。
【0013】ポリイミドフィルムは、芳香族酸無水物と
芳香族ジアミンとを混合したポリアミド酸の樹脂溶液を
流延法により製膜しキュアーして製造する一般的なポリ
イミドフィルムでよく、例えば、ピロメリット酸無水物
(PMDA)と4,4’オキシジアニリン(ODA)の
縮合物である商品名KAPTON、ビフェニルテトラカ
ルボン酸無水物(BPDA)と4,4’オキシジアニリ
ン(ODA)の縮合物である商品名ユーピレックス−
R、ビフェニルテトラカルボン酸無水物(BPDA)と
パラフェニレンジアミン(PPD)の縮合物である商品
名ユーピレックス−S等が挙げられる。ポリイミドフィ
ルムは、光電変換層を成膜するためにスパッター及びC
VDの工程で基板温度が250℃程度に上昇しても耐熱
性があるため、太陽電池用基板の基材として好適であ
る。
【0014】耐熱基板の表面に本発明のポリイミド樹脂
組成物の被膜を形成するする方法としては、通常、ポリ
イミド成分を溶媒に溶解し、且つ微粒子成分を分散させ
た溶液をポリイミドフィルムの表面に塗布する方法が採
用される。使用可能な溶媒としては、N−メチルピロリ
ドン、N,N´−ジメチルホルムアミド、o−メチルフ
ェノール、m−メチルフェノール、p−メチルフェノー
ル、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、
2,4−ジクロロフェノール、ジエチレングリコールジ
メチルエーテルなどが挙げられる。中でも、N−メチル
ピロリドン、N,N´−ジメチルホルムアミドが好適で
ある。
【0015】塗布液の調製方法としては、絶縁性微粒子
をポリイミド樹脂の希薄溶液中に分散させた状態の溶液
を調整する。分散性を向上させるためには、溶液中に分
散剤を添加してもよい。塗布の方法としては、ダイコー
ト法、ロールコート法、フローコート法、、ドクターブ
レードコート法等が挙げられる。中でも、ダイコート
法、ロールコート法が好適に用いられフィルムを移動さ
せながら連続的に塗布する。塗布量は、塗布用の樹脂溶
液中の樹脂の濃度、樹脂溶液の粘度などを調節して、塗
布乾燥後の被膜が所定厚さとなるように調節する。塗布
乾燥後の被膜の厚さは、通常10〜50μmの範囲とす
るのが好ましい。塗布が完了したら、直ちに塗布薄膜を
加熱乾燥して被膜とする。
【0016】以上のようにして得られる、本発明のポリ
イミド樹脂組成物の被膜を表面に有する耐熱性基板は、
例えば、本基板上に光電変換用積層構造が形成して薄膜
太陽電池として使用することができる。この太陽電池
は、基板表面に形成された微少な凹凸から入射した太陽
光の光路長を増加させ、吸収量を増大する事により光電
変換効率を向上できる。また、光電変換用積層構造とし
て、Ag,Alのような金属電極 a−Si(p層,i
層,n層)ITO,SnO2のような透明電極の順にス
パッター、CVDで成膜するが、この際、本発明の太陽
電池用基板における表面の微少な凹凸の形成が、基板と
金属電極の密着性を向上させる効果ももたらす。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例に基いて詳細に説明す
るが、本発明はその趣旨を越えない限り以下の記載例に
限定されるものではない。 実施例1 3,4’−オキシジアニリン5.5重量部を、N,N−
ジメチルホルムアミド15.0重量部に溶解した。これ
に4,4’−オキシジフタル酸9.50重量部(1当
量)を加えた。1時間撹拌を続けたところ、均一な淡茶
色透明な溶液が得られた(固形分濃度50重量%)。こ
の溶液の粘度を測定したところ、2.6ポイズであっ
た。以上のように製造したポリイミド樹脂溶液に、特開
平3−208813号に記載されたゾルゲル法により合
成し、600℃で約5時間焼成して得た平均粒径0.3
μm、残存炭素含量は0.1重量%、粒度分布の標準偏
差値1.1である球状シリカを、固形分に対し300重
量%になるように 均一に混合し、この溶液を孔径5μ
mのフィルターで濾過して被膜形成用の溶液とした。こ
の濾過の際にはフィルターの閉塞もなく作業性は著しく
良好であった。他方、巾が300mm、厚さが0.05
mmのポリイミドフィルム(商品名KAPTON)を基
材とし、この基材の片面に上記の被膜形成用のポリイミ
ド樹脂溶液を、室温下ダイコーターによって湿潤状態の
膜厚を200μmとして塗布し、直ちに乾燥炉に入れて
80℃から15分で320℃に昇温して乾燥させた。得
られた耐熱性基板のポリイミド薄膜は、厚さが30μm
であった。
【0018】比較例1 実施例1において、被膜形成用の溶液に全く焼成してい
ない球状シリカ(残存炭素含量4.5重量%)を配合し
た以外は実施例1と同様の耐熱性基板を得た。
【0019】応用例 実施例1及び比較例1の耐熱性基板の被膜の表面に、ま
ず、スパッター法で厚さ2000オングストロームのA
g電極層を下部電極として形成した。さらにこのAg電
極層の上にpin接合をもつ厚さ5000オングストロ
ームのアモルファスシリコン膜(光電変換層)をCVD
法によって形成した。最後に透明電極として1000オ
ングストロームのITO膜をスパッター法で形成して太
陽電池を得た。得られた太陽電池の光電変換効率を測定
した結果、実施例1の耐熱性基板を使用したものは、比
較例1の基板を使用したものに比較して約50%高い値
を示した。これはスパッター工程及びCVD工程におい
て真空チャンバー内部に汚染ガスが発生したことが影響
したと推定される。
【0020】
【発明の効果】本発明のポリイミド組成物は、太陽電
池、光センサー、光スイッチなどの光電変換装置用の基
板としての用途がある耐熱性基板の表面の塗布層として
好適である。本発明のポリイミド組成物を用いることに
より、高い光電変換効率を有する太陽電池用基板が安定
的にかつ安価に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CM041 DJ016 FB016 GQ05 5F051 AA14 GA03 GA05 5H032 AA06 BB00 BB02 BB05 EE02 EE04 HH01 HH04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミド樹脂に、平均粒径が0.1〜
    1μmで残存炭素含量が0.5重量%以下であるシリカ
    を配合してなるポリイミド組成物。
  2. 【請求項2】 シリカの粒度分布の標準偏差が1.2以
    下である請求項1のポリイミド組成物。
  3. 【請求項3】 ポリイミド樹脂に、シリカを100〜5
    00重量%配合してなる請求項1又は2のポリイミド組
    成物。
  4. 【請求項4】 シリカが、ゾルゲル法で調製した後、3
    00〜700℃で焼成したものである請求項1〜3のい
    ずれかのポリイミド組成物。
  5. 【請求項5】 耐熱性基板の表面に請求項1〜4のいず
    れかのポリイミド樹脂組成物を塗布してなる太陽電池用
    基板。
  6. 【請求項6】 耐熱性基板がポリイミドフィルムである
    請求項5の太陽電池用基板。
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