JP2001029762A - セルロース系血液浄化用膜 - Google Patents

セルロース系血液浄化用膜

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JP2001029762A
JP2001029762A JP11211426A JP21142699A JP2001029762A JP 2001029762 A JP2001029762 A JP 2001029762A JP 11211426 A JP11211426 A JP 11211426A JP 21142699 A JP21142699 A JP 21142699A JP 2001029762 A JP2001029762 A JP 2001029762A
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cellulose
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blood purification
film
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Akira Mochizuki
明 望月
Yoshihiko Abe
吉彦 阿部
Keitaro Morishita
啓太郎 森下
Hideki Tatehata
秀樹 建畠
Masahito Kudo
雅人 工藤
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】第三級アミンオキシド水和物を用いた製膜用組
成物から再生された安価であり、かつセルロースの生体
適合性を改善した血液浄化用膜を提供することにある。 【解決手段】膜を構成するポリマーのうちセルロースが
51wt%以上95wt%以下、ガラス転移温度又は結
晶融解温度が90℃以下である疎水性縮合系ポリマーが
5wt%以上49wt%以下であり、水に対する限外濾
過速度が5mL/(m・h・mmHg)以上であるア
ミンオキシド系溶媒からなる製膜用組成物を用いて製膜
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工腎臓等に用いる血
液浄化膜に関する。より詳しくは、セルロースと疎水性
縮合系ポリマーよりなる血液浄化膜であって、優れた血
液適合性を有するセルロース系の血液浄化用膜に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、長期慢性腎不全患者の種々の合併
症の発生を低減させるために、尿素等の低分子量物質、
分子量が100〜5,000の尿毒性中分子量物質、低
分子量タンパク質であるβ2-ミクログロブリン(分子量
11,800)等を効率的に除去し、かつ有用な低分子
量タンパク質であるアルブミン(分子量66,000)
は漏出しない様に分画特性を設計された膜を用いて、血
液透析が行われている。
【0003】現在でも、銅アンモニウム法で再生された
セルロース膜が人工透析膜として幅広く使用されている
が、該膜は尿素、クレアチニン等の低分子物質溶質透過
性においては優れているが中高分子量物質の除去性能が
十分でなく、又UFRが低いことが課題であり、銅アン
モニウム溶液を用いた製膜方法ではこれ以上の膜性能の
改良は非常に困難である。銅アンモニウム法に代わるセ
ルロース再生法として、第三級アミンオキシドを用いた
手法が衣料用繊維の分野で近年実用化されており、アミ
ンオキシド水和物を利用したフィルム、膜、繊維、中空
繊維等の再生セルロース成形品及びその製造方法も公知
となっている。本方法を利用した透析膜に注目すると、
本方法が透析膜の調製に利用できる事が英国特許第11
44759号で原理提案されており、さらに特公平4−
60692号公報には、用途に適した透析性能を有する
血液透析用の膜の製造方法が開示されている。後者の公
報に記載されている透析膜は、透水量がせいぜい5mL
/(m・h・mmHg)であって、現在要求されてい
る血液浄化用の膜、いわゆる人工腎臓用の膜に求められ
ている性能としては不十分である。
【0004】特開平10−52630号公報において、
第三級アミンオキシド水和物を用いたセルロース溶液か
ら得られる再生セルロース膜であって、高いUFRを示
す膜が開示されている。同公報には、限外濾過速度が1
00mL/(m・h・mmHg)以上の膜が実施例に
おいて開示されており、膜性能の観点からは、この再生
セルロース膜は、実用に十分耐える膜性能を示してい
る。又、同公報には、ベンジルセルロースをはじめとし
た各種セルロース誘導体を混合した紡糸溶液を用いるこ
とで、再生セルロース膜の血液適合性が改善される事が
開示されている。
【0005】一方では、透析膜を用いた人工腎臓による
慢性腎不全治療は、毎週2、3回の透析を必要とし、大
きな費用負担が社会的な問題となっている。
【0006】特開平10−52630号に開示されてい
るベンジルセルロース等のセルロース誘導体は、コスト
が高いため、安価に作製できるというセルロースのみか
らなる膜の優れた点が大きく損なわれてしまう。従っ
て、上記した費用負担の社会的な問題を解決する手段と
はなっていない。ベンジルセルロースは、特殊なポリマ
ーであり、工業的な大量生産に用いることが困難であ
る。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目
的は、セルロースとガラス転移温度又は結晶融解温度が
90℃以下である疎水性縮合系ポリマーとの複合膜であ
って、高い透水性能、高い分画特性および優れた血液適
合性を同時に有する人工腎臓等の血液浄化用膜を提供す
ることにある。さらに本発明の目的は、アミンオキシド
を用いた製膜用組成物から再生された安価であり、かつ
セルロースの生体適合性を改善した血液浄化用膜を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の
(1)〜(5)の内容により達成される。
【0009】(1) 膜を構成するポリマーのうちセル
ロースが51wt%以上95wt%以下、ガラス転移温
度又は結晶融解温度が90℃以下である疎水性縮合系ポ
リマーが5wt%以上49wt%以下であり、水に対す
る限外濾過速度が5mL/(m・h・mmHg)以上
であることを特徴とする血液浄化用膜。
【0010】(2) 前記疎水性縮合系ポリマーが、ヒ
ドロキシカルボン酸の縮合重合体、グリコールとジカル
ボン酸との縮合重合体、および脂肪族炭酸エステル重合
体から選ばれた少なくとも1種のポリマーであることを
特徴とする上記(1)に記載の血液浄化用膜。
【0011】(3) 前記疎水性縮合系ポリマーが、ポ
リカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオン酸、ポリ
エチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘ
キサメチレンスクシネート、ポリヘキサメチレンカーボ
ネートおよびこれらの共重合体から選ばれた少なくとも
1種であることを特徴とする上記(1)または(2)に
記載の血液浄化用膜。
【0012】(4) 上記の膜を構成するポリマーとア
ミンオキシドからなる製膜用組成物から製膜されたこと
を特徴とする上記(1)ないし(3)に記載の血液浄化
用膜。
【0013】(5) セルロース、ガラス転移温度又は
結晶融解温度が90℃以下である疎水性縮合系ポリマー
およびアミンオキシドからなる製膜用組成物を用いて製
膜されたことを特徴とする血液浄化用膜。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明は、セルロース、特定の熱特性を有
する疎水性縮合性ポリマー、およびアミンオキシドとよ
りなる製膜用組成物から製膜されたセルロース系血液浄
化用膜に関するものである。
【0016】本発明に用いられるセルロースとしては、
一般に人工腎臓用再生セルロース膜の製造に使用されて
いる公知のものが使用可能である。なかでも、長期にわ
たる臨床実績により安全性が確認されている精製コット
ンリンター(α−セルロースが97%以上)であって、
特開平4−11008号において提案されている、TA
PPI標準法T230に従い測定された粘度が5cp以
上20cp以下、粘度平均重合度が500以上1,50
0以下のものが好ましい。
【0017】本発明に用いられる疎水性縮合系ポリマー
としては、ガラス転移温度(Tg)が90℃以下である
かまたは結晶融解温度(Tm)が90℃以下である水に
溶解しない疎水性縮合系ポリマーを用いる。具体例とし
ては、ポリカプロラクトン(Tm=60℃)、ポリヒド
ロキシプロピオン酸(Tm=84℃)等のヒドロキシカ
ルボン酸の縮合重合体、ポリエチレンアジペート(Tm
=65℃)、ポリテトラメチレンアジペート(Tm=4
8℃)、ポリヘキサメチレンスクシネート(Tm=57
℃)等のグリコールとジカルボン酸との縮合重合体、ポ
リヘキサメチレンカーボネート(Tm=60℃)等の脂
肪族炭酸エステル重合体、脂肪族ポリアミド等が挙げら
れる。
【0018】本発明に使用される疎水性縮合系ポリマー
の平均分子量は3,000以上100,000以下のも
のが使用できる。平均分子量が3,000未満では、低
分子オリゴマーの含有量が増加し、溶出物が増加する可
能性があり、安全性の観点から望ましくない。又、平均
分子量100,000以上では工業的に入手が難しくな
る。
【0019】本発明に用いられるガラス転移温度(T
g)が90℃以下であるかまたは結晶融解温度(Tm)
が90℃以下である疎水性縮合系ポリマーは、広く知ら
れたポリマーであり、安価である場合が多い。より好ま
しくは、ガラス転移温度(Tg)が、45℃以上85℃
以下であるか、または結晶融解温度(Tm)が、45℃
以上85℃以下である疎水性縮合系ポリマーである。下
限値未満では、製品の保存中に性能が変化し安定性が劣
る場合がある。さらに好ましくは、結晶融解温度(T
m)が、45℃以上85℃以下である疎水性縮合系ポリ
マーである。
【0020】本発明に用いるアミンオキシドとしては、
第一級アミンオキシド、第二級アミンオキシド、第三級
アミンオキシド等が挙げられるが、セルロースの溶解性
の点で、第三級アミンオキシドが好ましい。
【0021】第三級アミンオキシドとしては、セルロー
ス溶液を調製するのに使用されている公知のものが使用
可能である。例えば、N−メチルモルフォリン−N−オ
キシド、N,N−ジメチルエタノールアミン−N−オキ
シド、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン−N−オ
キシド、N,N,N−トリエチルアミン−N−オキシ
ド、N,N−ジメチルベンジルアミン−N−オキシド、
N−メチルピペリジン−N−オキシド等が挙げられる。
これらの第三級アミンオキシドは単独で用いても良く、
あるいはこれらの群から選ばれる2種以上を適当な割合
で混合したものを使用することもできる。これらの中で
も、入手のしやすさ、使用済み溶剤の回収精製のしやす
さ等からN−メチルモルフォリン−N−オキシドが好ま
しい。
【0022】第三級アミンオキシドを使用するにあた
り、その安全性、溶解性の観点から水を含んだ第三級ア
ミンオキシドとすることが望ましい。水の含有率は、水
を含んだ第三級アミンオキシド中25wt%以下が好ま
しい。より好ましくは約15wt%の水を含有した1水
和物が望ましい。第三級アミンオキシドに25wt%を
越える水を含んでいる場合、セルロースの溶解が困難で
ある。
【0023】製膜用組成物中に占めるセルロースを含め
た全ポリマー含有率は、4wt%以上25wt%以下で
ある事が望ましい。全ポリマー含有率が4wt%より低
いと、人工腎臓用の膜として使用するために必要な機械
的強度を有する膜が得られない場合がある。一方、25
wt%より高いと、溶液の粘度が非常に高くなり、均一
な組成物調製及び製膜が困難となる。
【0024】本発明において該疎水性縮合系ポリマーの
添加量は、製膜用組成物中のセルロースを含めた全ポリ
マー成分の5wt%以上49wt%以下である。該疎水
性縮合系ポリマーをセルロースに含有させることによ
り、膜の生体適合性を必要によって付与することができ
る。該疎水性縮合系ポリマーをブレンドする事で血液適
合性、特に補体の活性化を抑制できる。補体の活性化に
はセルロースの水酸基が大きく関与していることが知ら
れている。このため、血液接触面の水酸基を疎水性縮合
系ポリマーでマスクする事で本発明は血液適合性が発現
されるものと考えられる。また、疎水性縮合系ポリマー
自体の有する種々の特性を付与することができる。疎水
性縮合系ポリマーの添加量が5wt%未満ではセルロー
スの改質が不十分になり,又,49wt%を越える場合に
は得られる膜の機械的強度が血液浄化用膜としては不十
分なものとなる場合がある。
【0025】該セルロース/疎水性縮合系ポリマーのア
ミンオキシド製膜用組成物に、その組成物粘度をコント
ロールするために、場合により希釈剤を混合することが
できる。本発明で使用できる希釈剤としては、沸点が1
00℃以上の極性溶媒である。具体的には、ジメチルス
ルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、プロピレ
ングルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等
が挙げられる。また、その好適な配合割合は、水と第三
級アミンオキシドの合計に対し、ジメチルスルホキシド
では60wt%以下、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミドでは40wt%以下であ
る。配合割合がそれらより高くなると、セルロースの溶
解性が低くなり均一なセルロース溶液が得られない。
【0026】前記セルロース膜製膜用組成物に、その組
成物の熱安定性を得るための添加剤を混合することは公
知である。この添加剤としては、酸化防止剤、界面活性
剤がある。好適な酸化防止剤としては、没食子酸n−プ
ロピル、界面活性剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウム
である。また、その好適な配合割合は、配合するセルロ
ース重量に対し、れぞれ1wt%以下である。
【0027】前記第三級アミンオキシド、セルロース、
疎水性縮合系ポリマー、場合により混合する希釈剤、添
加剤を混合する組成物調製方法は、一般に、第三級アミ
ンオキシドを用いた再生セルロース繊維、再生セルロー
ス膜の製造に使用されている公知の方法が使用可能であ
る。場合により加熱ヒーター、減圧脱泡装置を具備した
スクリュー式押出機、ニーダー等を用いて組成物調製が
可能である。また、その好適な溶解温度は、80℃以上
120℃以下である。溶解温度が80℃より低いと、所
定時間内ではセルロースの溶解が不十分であり均一組成
物の調製は困難である。また、溶解温度が120℃より
高いと、セルロースの重合度が低下するため好ましくな
い。
【0028】本発明の製膜用組成物を用いて人工腎臓用
透析膜等のセルロース系血液浄化用膜を製膜する方法
は、例えば、所定形状のダイからこの組成物を凝固浴中
に押し出してポリマー成分を凝固させて成形する方法が
あり、製膜用組成物を凝固浴に浸漬する凝固工程を経る
ことによって膜状物を得る。膜状物としては、平膜、中
空糸膜等を例示することができる。
【0029】凝固浴は、水を主成分としたものを用いる
ことができ、第三級アミンオキシドや上記希釈剤を溶解
した水溶液等が挙げられる。好ましくは、N−メチルモ
ルフォリン−N−オキシドを40wt%以下で含有する
ものである。これらを凝固浴として用いる場合、前記製
膜用組成物に用いられる溶媒と同じ成分であるので、凝
固浴から製膜用組成物に用いた溶媒を回収して再利用す
ることが容易となるので好ましい。凝固浴の温度は、0
℃以上60℃以下で膜性能を制御した紡糸が可能であ
る。20℃以上30℃以下の室温近辺の凝固浴を用いた
場合、温度管理が容易であり、また、温度管理のための
設備・費用を節約することができる。0℃以上20℃未
満の凝固浴を用いた場合、透水速度や分画特性等の膜性
能を向上させることが容易であり、また、補体の活性化
を抑制する等の生体適合性を発現させることも容易であ
る。0℃以下では水系凝固浴を使った場合、凍結等の問
題が発生し望ましくない。又、60℃以上では凝固液の
蒸散が激しくなり好ましくない。
【0030】以下に、中空糸膜の製膜条件についてさら
に詳細に例示する。
【0031】中空糸を成形する、紡糸工程で使用される
2重管ノズルは、製膜用組成物が吐出される外側ノズル
と、中空糸膜の中空部を形成する内側ノズルとを有す
る。製膜用組成物は、該外側ノズルと該内側ノズルの間
の空隙(アウトダイ)から吐出される。本発明に用いられ
るアウトダイは、内径が500μm以上1500μm以
下、外径が、1000μm以上2500μm以下が好ま
しい。
【0032】又、上記ノズルの先端と凝固浴液面との距
離は、0mm以下、即ち吐出された製膜用組成物が、直
接凝固浴に導入される完全な湿式紡糸でも、適当なエア
ギャップを設けるいわゆる乾湿式紡糸のいずれの方法で
もかまわない。エアギャップを設ける場合は、1000
mm以下が好ましい。また、凝固浴に吐出された中空糸
膜の巻き取り速度は、30m/分から300m/分の間
で適時選択されるが、特に経済的な面から60m/分か
ら200m/分の間での紡糸が好ましい。
【0033】中空糸膜の中空形状を形成のために2重管
ノズルの内側ノズルからセルロースを溶解しない流体
(芯剤)を吐出させる。この流体としては、製膜用組成物
と全く相互溶解性のない流動パラフィン、ミリスチン酸
イソプロピル、フタル酸エステル等の非水溶性オイル状
物質、或いは窒素、空気等のガス、及び製膜用組成物と
は相溶性があるがセルロースを全く溶解しない液体、例
えば水、低濃度第三級アミンオキシド水溶液、ジメチル
スルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、イソプロパノール等の極性
有機溶剤及びこれらの水溶液が挙げられる。好ましくは
装置の簡便さ、経済性の点で、非水溶性オイル状物質ま
たはガスが好ましい。
【0034】凝固浴を通過し得られた中空糸膜或いは平
膜を洗浄する洗浄工程において、アミンオキシド、場合
により混合される希釈剤、添加剤等が膜に残存しないよ
うに、水で洗浄する必要がある。洗浄時間を短縮するた
めに、室温以上60℃以下の水を使用するのが好まし
い。
【0035】凝固および洗浄により得られた、水に膨潤
した状態の膜を乾燥する前に,該膜に孔径維持剤を添着
する場合、以下のように行うことができる。孔径維持剤
を中空糸膜に添着する添着工程において、孔径維持剤を
溶解させた水溶液に膜を浸漬し、あるいは孔形成剤を溶
解させた水溶液を膜に塗布して行われる。この際使用す
る孔径維持剤としては、従来技術に使用されている公知
なものが使用可能である。例えば、グリセリン、プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アル
コールが挙げられる。好ましくは、長期にわたる臨床実
績により安全性が確認されているグリセリンである。孔
径維持剤として、グリセリン水溶液を用いる場合、その
好適なグリセリン濃度は、5wt%以上40wt%以下
である。
【0036】孔径維持剤を添着された膜から水を除去す
る乾燥工程では、加熱乾燥等が行われる。加熱乾燥によ
り乾燥する場合、乾燥温度は60℃以上120℃以下が
好ましい。また、乾燥時間は、前記加熱温度において、
紙・ダンボール水分計KG−40型(サンコウ電子研究
所社製)を用いて測定した膜の湿重基準水分率が5wt
%以上30wt%以下になる様に適宜設定することが望
ましい。
【0037】前記凝固工程における凝固浴の組成と温
度、前記添着工程における孔径維持剤の溶液組成、前記
乾燥工程における乾燥温度とその時間等について、それ
ぞれに記した好適条件範囲を適宜組み合わせることによ
り、目的とする高透水性能と高分画特性と優れた血液適
合性を同時に有する人工腎臓等の血液浄化用膜用膜を製
造できる。
【0038】また、本発明の血液浄化用膜は、上記の通
り作製することにより、水に対する限外濾過速度が5m
L/(m・h・mmHg)以上である。さらに水に対
する限外濾過速度が20mL/(m・h・mmHg)
以上である血液浄化用膜を作製することができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説
明する。また、本発明の評価方法については以下の方法
に従った。
【0040】(1)本発明において限外濾過速度(Ultra F
iltration Rate、以下UFRと称す。)は、水の透過速
度を表し、単位膜面積当たり、単位時間に、単位圧力で
透過する液体容量である。37℃のRO水(逆浸透水)
を使用して行った。
【0041】(2)ふるい係数 生理食塩水系でのデキストランに対する膜のふるい係数
(Sieving Coefficient、以下SCと称す。)の測定、
算出は、文献(腎と透析別冊 ハイパフォーマンスメン
ブラン’90、p.38〜41)の方法に従った。デキ
ストラン濃度の測定は、GPC System21(昭
和電工社製)を用い、サンプル量は100μl、カラム
はOhpakKB−803(昭和電工社製)を2本連結
させたもの、移動層は生理食塩水(テルモ社製)、流速
は1ml/min、測定温度は35℃の条件下で、検出
は示差屈折計で行った。なお、分子量換算はプルランP
−82(昭和電工社製)を使用して行った。
【0042】得られたCs(ろ液採取開始時の母液のデ
キストラン濃度)、Ce(ろ液採取終了時の母液のデキ
ストラン濃度)、Cf(採取したろ液のデキストラン濃
度)を用いて、下記式より膜のSCを算出した。
【0043】SC=2Cf/(Cs+Ce) (3)補体C3aの測定 中空糸膜を生理食塩水へ浸漬した後、ヘパリン(20u
/ml血液)で抗凝固処理したヒト血液から遠心分離に
より得た血漿(膜面積10cm当たり1ml)を中空
糸膜の中空部に充填し、接触させ、37℃で1時間イン
キュベートし、RIA2抗体法により、活性化補体(C
3a)の量を測定した。
【0044】実施例1−8、比較例1 15wt%の水を含有するN−メチルモルフォリン−N
−オキシド(NMMO)930g、表に示す組成のコッ
トンリンター/疎水性縮合系ポリマー混合物70gを9
5℃で攪拌溶解し、得られた組成物をギアポンプを用
い、105℃の2重管ノズルのアウトダイに供給し、2
重管ノズルより5℃の水からなる凝固浴に吐出し、凝固
浴から速度80m/分で引き取り、中空糸膜を得た。こ
の時、2重管ノズル先端と凝固浴液面との距離は250
mmであり、芯剤には窒素を用いた。こうして得られた含
水状態の中空糸膜を40℃の温水洗浄槽を通した後、3
0wt%グリセリン水溶液浴に連続的に通し、100℃
で2分連続乾燥処理を行った。この膜から膜有効長12
0mm、膜面積350cmのモジュールを作製し、水
を充填して湿潤状態として蒸気滅菌処理(AC 110
℃、55分)を行った後、UFR、デキストラン篩係数等
の膜性能、および補体C3aの産生量を測定した。UF
Rについては、蒸気滅菌処理前にも測定した。測定の結
果を表1に示す。
【0045】以上の結果より、セルロース、ガラス転移
温度又は結晶融解温度が90℃以下である疎水性縮合系
ポリマーおよびアミンオキシドからなる製膜用組成物を
用いて製膜することにより、補体C3aの産生量が抑制
されていることがわかる。
【0046】また、膜を構成するポリマーのうちセルロ
ースが51wt%以上95wt%以下、ガラス転移温度
又は結晶融解温度が90℃以下である疎水性縮合系ポリ
マーが5wt%以上49wt%以下であることによっ
て、高透水性能と高分画特性と優れた血液適合性を同時
に有する人工腎臓等の血液浄化用膜用膜を製造できるこ
とが示された。
【0047】
【発明の効果】本発明の血液浄化用膜は、膜を構成する
ポリマーのうちセルロースが51wt%以上95wt%
以下、ガラス転移温度又は結晶融解温度が90℃以下で
ある疎水性縮合系ポリマーが5wt%以上49wt%以
下であり、水に対する限外濾過速度が5mL/(m
h・mmHg)以上であるので、高透水性能と高分画特
性と優れた血液適合性を同時に有する。
【0048】また、本発明は、上記の膜を構成するポリ
マーとアミンオキシドからなる製膜用組成物を用いて製
膜さるので、製造が容易な、高透水性能と高分画特性と
優れた血液適合性を同時に有する膜である。
【0049】さらに、本発明の血液浄化用膜は、セルロ
ース、ガラス転移温度又は結晶融解温度が90℃以下で
ある疎水性縮合系ポリマーおよびアミンオキシドからな
る製膜用組成物を用いて製膜されるので、セルロースの
生体適合性を改善することができる。
【0050】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 建畠 秀樹 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 工藤 雅人 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C077 AA05 BB01 KK01 KK12 KK13 LL02 NN05 NN18 PP03 PP08 PP12 PP13 PP19 4D006 GA06 HA01 HA41 JA02C KA12 MA01 MA03 MB02 MB05 MC11 MC83 MC84 MC86 MC87 MC88 MC89 NA04 NA17 NA18 NA22 NA27 NA28 NA64 NA71 PA01 PA05 PB09 PB52 PC47

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜を構成するポリマーのうちセルロースが
    51wt%以上95wt%以下、ガラス転移温度又は結
    晶融解温度が90℃以下である疎水性縮合系ポリマーが
    5wt%以上49wt%以下であり、水に対する限外濾
    過速度が5mL/(m・h・mmHg)以上であるこ
    とを特徴とする血液浄化用膜。
  2. 【請求項2】前記疎水性縮合系ポリマーが、ヒドロキシ
    カルボン酸の縮合重合体、グリコールとジカルボン酸と
    の縮合重合体、および脂肪族炭酸エステル重合体から選
    ばれた少なくとも1種のポリマーであることを特徴とす
    る請求項1に記載の血液浄化用膜。
  3. 【請求項3】前記疎水性縮合系ポリマーが、ポリカプロ
    ラクトン、ポリヒドロキシプロピオン酸、ポリエチレン
    アジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチ
    レンスクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネートお
    よびこれらの共重合体から選ばれた少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の血液浄化
    用膜。
  4. 【請求項4】上記の膜を構成するポリマーとアミンオキ
    シドからなる製膜用組成物から製膜されたことを特徴と
    する請求項1ないし3に記載の血液浄化用膜。
  5. 【請求項5】セルロース、ガラス転移温度又は結晶融解
    温度が90℃以下である疎水性縮合系ポリマーおよびア
    ミンオキシドからなる製膜用組成物を用いて製膜された
    ことを特徴とする血液浄化用膜。
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