JP2001029759A - 再生セルロース系中空糸膜の製造方法および中空糸膜 - Google Patents

再生セルロース系中空糸膜の製造方法および中空糸膜

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JP2001029759A
JP2001029759A JP11211425A JP21142599A JP2001029759A JP 2001029759 A JP2001029759 A JP 2001029759A JP 11211425 A JP11211425 A JP 11211425A JP 21142599 A JP21142599 A JP 21142599A JP 2001029759 A JP2001029759 A JP 2001029759A
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hollow fiber
cellulose
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tertiary amine
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Akira Mochizuki
明 望月
Yoshihiko Abe
吉彦 阿部
Keitaro Morishita
啓太郎 森下
Hideki Tatehata
秀樹 建畠
Masahito Kudo
雅人 工藤
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】第三級アミンオキシドを用いた製膜用組成物か
ら再生する、高透水性能と高分画特性と優れた血液適合
性を同時に有する中空糸膜の製造方法を提供することに
ある。 【解決手段】中空糸膜製膜用組成物中の重合体成分が4
wt%以上25wt%以下、第三級アミンオキシドが5
0wt%以上96wt%以下、セルロースを溶解しない
極性希釈剤が25wt%以下であって、該重合体成分の
うちセルロースが51wt%以上95wt%以下、疎水
性ポリマーが5wt%以上49wt%以下である中空糸
膜製膜用組成物を用い、該中空糸膜製膜用組成物を温度
が10℃未満である凝固浴に吐出し、該凝固浴から中空
糸膜を速度30m/分以上300m/分以下で引取った
後、20℃以上の洗浄浴を通過させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工腎臓等に用いる再
生セルロース系中空糸膜の製造方法に関する。より詳し
くは、セルロースを含む重合体の第三級アミンオキシド
組成物から再生される、高透水性能/高分画特性と優れ
た血液適合性を同時に有する人工腎臓等に用いるセルロ
ース系中空糸膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、長期慢性腎不全患者の種々の合併
症の発生を低減させるために、尿素等の低分子量物質、
分子量が100〜5,000の尿毒性中分子量物質、低
分子量タンパク質であるβ2-ミクログロブリン(分子量
11,800)を効率的に除去し、かつ有用な低分子量
タンパク質であるアルブミン(分子量66,000)を
漏出させない様に分画特性を設計された膜を用いて、血
液透析が行われている。UFR(限外濾過速度)コント
ローラーの普及、使用により、治療時に血液からの除水
量を任意にコントロールできるようになったため、より
高い透水性能と優れた分画特性を同時に有する膜が必要
とされてきている。
【0003】現在でも、銅アンモニウム法で再生された
セルロース膜が人工透析膜として幅広く使用されている
が、該膜は尿素、クレアチニン等の低分子物質溶質透過
性においては優れているが中高分子量物質の除去性能が
十分でなく、又UFRが低いことが課題であり、銅アン
モニウム液を使った製膜方法では、さらなる膜性能の向
上は大変困難である。銅アンモニウム法に代わるセルロ
ース再生法としては、第三級アミンオキシドを用いた手
法が衣料用繊維の分野で近年実用化されており、第三級
アミンオキシドを用いたセルロース溶液及びその溶液の
製造方法、またそのセルロース溶液から再生されたフィ
ルム、膜、繊維、中空繊維等の再生セルロース成形品及
びそれら成形品の製造方法は公知となっている。
【0004】本方法での再生セルロース成形品のうち、
特に透析膜に注目すると、再生セルロース成形品が透析
膜に使用できると提案されているもの(英国特許第11
44759号公報)、さらに用途に適した透析性能を有
する血液透析用の膜の製造方法が提案されているもの
(特公平4−60692号公報)がある。後者の公報に
記載されている透析膜の製造方法により得られる再生セ
ルロース膜は、ビタミンB12に対する透析透過係数が銅
アンモニウム法再生セルロースより成る透析膜の同係数
よりも明らかに大きく、さらに水の限外ろ過能、いわゆ
る透水量が実際にはもはや測定されない場合にもなお顕
著なビタミンB12に対する透析透過係数を有することが
特徴である。しかしながら、実施例に記載されている再
生セルロース膜は、透水量が5mL/(m・h・mm
Hg)であり、前記した通り現在のところ要求されてい
る血液浄化用の膜、いわゆる人工腎臓用の膜に求められ
ている性能としては不十分である。
【0005】第三級アミンオキシドは、通常水和物とし
て用いられるが、この第三級アミンオキシド水和物を用
いたセルロース溶液から再生されて得られる再生セルロ
ース膜について、特開平10−52630号公報であっ
て、高いUFRを示す膜が開示されている。同公報に
は、限外濾過速度が100mL/(m・h・mmH
g)以上の膜が実施例において開示されており、膜性能
の観点からは、この再生セルロース膜は、実用に十分耐
える膜性能を示している。又、同公報には、ベンジルセ
ルロースをはじめとした各種セルロース誘導体を混合し
た紡糸溶液を用いることで、再生セルロース膜の血液適
合性が改善される事が開示されている。
【0006】しかしながら、中空糸膜の紡糸条件につい
て、詳細な検討を加えたものはなく、特に紡糸溶液を吐
出して凝固させる凝固浴条件で低温領域について検討し
たものは見られていない。また、疎水性ポリマーを混合
することによって、セルロースの血液適合性を向上させ
た複合膜の紡糸条件についての検討は見られない。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目
的は、疎水性ポリマーを含有するセルロースの第三級ア
ミンオキシド組成物から再生され、高透水性能、高分画
特性と優れた血液適合性を同時に有する人工腎臓等に用
いる再生セルロース系中空糸膜の製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の
(1)〜(4)の本発明により達成される。
【0009】(1) 中空糸膜製膜用組成物中の重合体
成分が4wt%以上25wt%以下、第三級アミンオキ
シドが50wt%以上96wt%以下、セルロースを溶
解しない極性希釈剤が25wt%以下であって、該重合
体成分のうちセルロースが51wt%以上95wt%以
下、疎水性ポリマーが5wt%以上49wt%以下であ
る中空糸膜製膜用組成物を用い、該中空糸膜製膜用組成
物を温度が10℃未満である凝固浴に吐出し、該凝固浴
から中空糸膜を速度30m/分以上300m/分以下で
引取った後、20℃以上の洗浄浴を通過させる事を特徴
とする再生セルロース系中空糸膜の製造方法。
【0010】(2) 上記洗浄浴温度が20℃以上60
℃以下であることを特徴とする上記(1)に記載の再生
セルロース系中空糸膜の製造方法。
【0011】(3) 上記疎水性ポリマーが、セグメン
ト化ポリウレタン、セルロース誘導体、脂肪族ポリエス
テル、脂肪族ポリカーボネート、アクリレート系樹脂で
あることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の
再生セルロース系中空糸膜の製造方法。
【0012】(4) 上記(1)ないし(3)に記載の
製造方法により得られた中空糸膜。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、人工腎臓等の血液浄化
に用いる透析性能を有するセルロース膜であって、重合
体成分として疎水性ポリマーを含有する第三級アミンオ
キシドの製膜用組成物からセルロースを再生するセルロ
ース系中空糸膜の製造方法である。
【0014】本発明の、第三級アミンオキシド、セルロ
ース、疎水性ポリマー、場合により混合する希釈剤、添
加剤を混合した製膜用組成物の調製方法は、第三級アミ
ンオキシドを用いた再生セルロース繊維、再生セルロー
ス膜の製造に使用されている公知の方法が使用可能であ
る。例えば、加熱ヒーターおよび減圧脱泡装置を具備し
たスクリュー式押出機、ニーダー等を用いて、水を含有
する第三級アミンオキシド、セルロース、疎水性ポリマ
ー等を混合しながら、さらに加熱と水分除去によって、
中空糸膜を紡糸可能な均一な製膜用組成物を短時間に調
製することができる。製膜組成物調製に好適な溶解温度
は、80℃以上120℃以下である。溶解温度が80℃
より低いと、セルロース等の溶解に時間がかかり、作業
効率を考慮すると均一組成物の調製は困難である。ま
た、溶解温度が120℃より高いと、セルロースの重合
度が低下するため好ましくない。
【0015】本発明のセルロース系中空糸膜は、製膜用
組成物を2重管状ノズルより凝固浴に吐出し、成形する
際の、凝固条件に特徴を有する。凝固浴の組成は、通
常、水を用いるが、水の他にも、水を主成分としたもの
で、第三級アミンオキシド水溶液、各種有機溶剤を溶解
した水溶液等が挙げられる。この有機溶剤としてはメタ
ノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレン
グリコールおよびグリセリン等のアルコール、並びにジ
メチルアセトアミド、ジメチルフォルムアミドおよびジ
メチルスルフォキシド等の極性溶媒等が上げられる。好
ましくは、N−メチルモルフォリン−N−オキシドを4
0wt%まで含有するものである。これらを凝固浴とし
て用いる場合、前記製膜用組成物に用いられる溶媒と同
じ成分であるので、凝固浴から製膜用組成物に用いた溶
媒を回収して再利用することが容易となるので好まし
い。
【0016】本発明の製造方法は、上記凝固浴の温度
が、10℃未満である。上記の製膜用組成物を2重管状
ノズルより、10℃未満の上記組成の凝固浴に吐出する
ことにより、得られる中空糸膜は、血液適合性に示され
る生体適合性に優れたものが得られる。凍結しないで凝
固浴として用いることができれば、0℃未満でもかまわ
ないが、好ましくは0℃以上10℃未満である。0℃以
下では、凝固浴に凝固点降下剤を添加する等の凝固浴の
凍結を防ぐ措置が必要となる。また、10℃以上では血
液適合性が悪くなる。さらに好ましくは4℃以上10℃
未満である。
【0017】又、本発明の製造方法は、凝固浴により凝
固した中空糸膜を、30m/分以上300m/分以下の
引き取り速度で、凝固浴から引き取るものである。さら
に、60m/分以上200m/分以下で引き取ることが
好ましい。
【0018】本発明の製造方法は、上記凝固浴に次い
で、凝固した中空糸膜に含まれる製膜用組成物調製用溶
媒である第三級アミンオキシドを除去する為に、洗浄工
程により洗浄される。本洗浄工程は、水で行うが、必要
により、メタノール、エタノール、エチレングリコー
ル、プロピレングリコールおよびグリセリン等のアルコ
ール、またはジメチルアセトアミド、ジメチルフォルム
アミドおよびジメチルスルフォキシド等の極性溶媒等の
有機溶媒の水溶液の洗浄浴を合わせて用いてもよい。使
用する洗浄浴の温度は、20℃以上60℃以下である事
が好ましい。より好ましくは、40℃以上60℃以下で
ある。下限値未満では製膜用組成物調製用溶媒の除去に
時間がかかり、又、洗浄水は大量に使用するものである
が、室温より低い場合は冷却して温度調節するために莫
大なエネルギーを必要とし、経済的に好ましくない。一
方、上限値を越えると、洗浄液の蒸散が激しくなり好ま
しくない。
【0019】本発明に用いる第三級アミンオキシドとし
ては、一般にセルロース溶液を調製するのに使用されて
いる公知のものが使用可能である。例えば、N−メチル
モルフォリン−N−オキシド、N,N−ジメチルエタノ
ールアミン−N−オキシド、N,N−ジメチルシクロヘ
キシルアミン−N−オキシド、N,N,N−トリエチル
アミン−N−オキシド、N,N−ジメチルベンジルアミ
ン−N−オキシド、N−メチルピペリジン−N−オキシ
ド等が挙げられる。これらの第三級アミンオキシドは単
独で用いても良く、あるいはこれらの群から選ばれる2
種以上を適当な割合で混合したものを使用することもで
きる。これらの中でも、入手のしやすさ、使用済み溶剤
の回収精製のしやすさ等からN−メチルモルフォリン−
N−オキシドが好ましい。
【0020】第三級アミンオキシドを使用するにあた
り、その安全性、溶解性の観点から水を含んだ第三級ア
ミンオキシドを用いることが好ましい。水を含んだ第三
級アミンオキシド中の水の含有率は、25wt%以下が
好ましい。より好ましくは約15wt%の水を含有した
1水和物が好ましい。第三級アミンオキシドに25wt
%を越える水を含んでいる場合、セルロースの溶解が困
難である。
【0021】本発明に用いられるセルロースとしては、
一般に人工腎臓用再生セルロース膜の製造に使用されて
いる公知のものが使用可能である。なかでも、長期にわ
たる臨床実績により安全性が確認されている精製コット
ンリンター(α−セルロースが97%以上)であって、
特開平4−11008号において提案されている、TA
PPI標準法T230に従い測定された粘度が5cp以
上20cp以下、粘度平均重合度が500以上1,50
0以下のものが好ましい。
【0022】本発明における疎水性ポリマーとしはポリ
ウレタン、セグメント化ポリウレタン、ポリアミド、ポ
リイミド、フェノキシ樹脂、ポリベンツイミダゾール、
ベンジルセルロース、長鎖アルキルキ置換セルロース等
のセルロース誘導体、脂肪族ポリエステル(例えばポリ
カプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオン酸等のヒド
ロキシカルボン酸の縮合重合体、ポリエチレンアジペー
ト、ポリブチレンスクシネート等のグリコールとジカル
ボン酸との縮合重合体)、ヘキサメチレンカーボネート
等の脂肪族炭酸エステル重合体、等が挙げられる。これ
らの中でも特に脂肪族ポリエステル、セグメント化ポリ
ウレタン、セルロース誘導体が好ましい。
【0023】製膜用組成物中に占めるセルロースを含め
た全ポリマー含有率は、4wt%以上25wt%以下で
ある事が好ましい。全ポリマー含有率が4wt%より低
いと、人工腎臓用の膜として使用するために必要な機械
的強度を有する膜が得られない場合がある。一方、25
wt%より高いと、溶液の粘度が非常に高くなり、均一
な組成物調製及び製膜が困難となる。より好ましくは6
wt%以上15wt%以下である。
【0024】本発明において、製膜用組成物中のセルロ
ースを含めた全ポリマー成分中の、該疎水性ポリマーの
含有率は、5wt%以上49wt%以下である。該疎水
性ポリマーをセルロースに含有させることにより、膜の
生体適合性を付与することができる。これらの疎水性ポ
リマーをブレンドする事で血液適合性、特に補体の活性
化を抑制できる。補体の活性化にはセルロースの水酸基
が大きく関与していることが知られている。このため、
血液接触面の水酸基を疎水性縮合系ポリマーでマスクす
る事で本発明は血液適合性が発現されるものと考えられ
る。また、疎水性ポリマー自体の有する種々の特性を付
与することができる。疎水性ポリマーの含有量が5wt
%未満では血液適合性発現が不十分になり,又,49wt
%を越える場合には得られる膜の機械的強度が人工腎臓
等に用いる中空糸膜としては不十分なものとなる場合が
ある。
【0025】本発明に使用される疎水性ポリマーの平均
分子量は3,000から1,000,000のものが使
用できる。より好ましくは5,000から300,00
0である。3,000未満では低分子オリゴマーが増加
し、溶出物が増加する可能性があり安全性の観点から望
ましくない。又、1,000,000以上では工業的に
入手が難しくなる。
【0026】該セルロース/疎水性ポリマーのアミンオ
キシド溶液に、その溶液粘度をコントロールするため
に、場合により希釈剤を混合することができる。本発明
で使用できる希釈剤としては、沸点が100℃以上の極
性溶媒である。具体的には、ジメチルスルホキシド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、エチレングリコール、プロピレングルコー
ル、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられ
る。また、製膜用組成物中に占める該希釈剤の好適な配
合割合は、25wt%以下である。また、さらに、水と
第三級アミンオキシドの合計に対しての添加割合では、
ジメチルスルホキシドでは、50wt%以下N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドで
は、40wt%以下である。配合割合が上限値より高く
なると、セルロースの溶解性が低くなり均一な製膜用組
成物が得られない。
【0027】前記製膜用組成物の熱安定性を向上させる
ために、添加剤を混合することは公知である。添加剤と
しては、酸化防止剤、界面活性剤がある。好適な酸化防
止剤としては、没食子酸n−プロピル、界面活性剤とし
てn−ドデシル硫酸ナトリウムである。また、その好適
な配合割合は、配合するセルロース重量に対しそれぞれ
1wt%以下である。
【0028】以下に中空糸膜を製膜する場合について更
に詳細に例示する。中空糸を成形する、紡糸工程で使用
される2重管ノズルは、製膜用組成物が吐出される外側
ノズルと、中空糸膜の中空部を形成する内側ノズルとを
有する。製膜用組成物は、該外側ノズルと該内側ノズル
の間の空隙(アウトダイ)から吐出される。本発明に用い
られるアウトダイは、内径が500μm以上1500μ
m以下、外径が、1000μm以上2500μm以下が
好ましい。
【0029】又、上記2重管ノズルの先端と凝固浴液面
との距離は、0mm以下、即ち吐出された製膜用組成物
が、直接凝固浴に導入される完全な湿式紡糸でも、適当
なエアギャップを設けるいわゆる乾湿式紡糸のいずれの
方法でもかまわない。エアギャップを設ける場合は、1
000mm以下が好ましい。
【0030】中空糸膜に中空部を形成するのために2重
管ノズルの内側ノズルから、セルロースを溶解しない流
体(芯剤)を吐出させる。この流体としては製膜用組成物
と全く相互溶解性のない流動パラフィン、ミリスチン酸
イソプロピル、フタル酸エステル等の非水溶性オイル状
物質、或いは窒素、空気等のガス、及び製膜用組成物と
相溶性はあるがセルロースを全く溶解しない液体、例え
ば水、低濃度第三級アミンオキシド水溶液、ジメチルス
ルフォキシド、ジメチルフォルムアミど、ジメチルアセ
トアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、イソプロパノール等の極性
有機溶剤及びこれらの水溶液が挙げられる。好ましく
は、装置の簡便さ、経済性の点で、非水溶性オイル状物
質またはガスが好ましい。
【0031】凝固浴を通過し得られた中空糸膜を洗浄す
る洗浄工程において、第三級アミンオキシド、場合によ
り混合される希釈剤、添加剤等が、中空糸膜に残存しな
いように、水等で洗浄する。
【0032】凝固および洗浄により得られた水膨潤状態
の膜を乾燥するに先立ち,孔径維持剤を添着する。孔径
維持剤を添着する工程は、孔径維持剤を溶解させた水溶
液に膜を浸漬し、あるいは孔形成剤を溶解させた水溶液
を膜に塗布して行ってもよい。使用する孔径維持剤とし
ては、従来技術に使用されている公知なものが使用可能
である。例えば、グリセリン、プロピレングリコール、
ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられ
る。特に好ましくは、長期にわたる臨床実績により安全
性が確認されているグリセリンである。孔径維持剤とし
て、グリセリン水溶液を用いる場合、その好適なグリセ
リン濃度は、5wt%以上40wt%以下である。
【0033】孔径維持剤を添着された中空糸膜から水を
除去する乾燥工程では、加熱乾燥等が行われる。加熱乾
燥により乾燥する場合、乾燥温度は60℃以上120℃
以下が好ましい。また、乾燥時間は、前記加熱温度にお
いて、紙・ダンボール水分計KG−40型(サンコウ電
子研究所社製)を用いて測定した膜の湿重基準水分率が
5wt%以上30wt%以下になる様に適宜設定するこ
とが望ましい。
【0034】前記凝固工程における凝固浴の温度を所定
範囲とし、その他の前記添着工程における孔径維持剤の
溶液組成、前記乾燥工程における乾燥温度とその時間等
について、それぞれ適宜組み合わせることにより、目的
とする高透水性能と高分画特性と優れた血液適合性を同
時に有する人工腎臓等に用いる再生セルロース系中空糸
膜を製造できる。
【0035】また、本発明の再生セルロース系中空糸膜
は、上記の通り作製することにより、水に対する限外濾
過速度が5mL/(m・h・mmHg)以上である。
さらに水に対する限外濾過速度が20mL/(m・h
・mmHg)以上である中空糸膜を作製することができ
る。
【0036】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説
明する。また、本発明の評価方法については以下の方法
に従った。
【0037】(1)本発明において限外濾過速度(Ultr
a Filtration Rate、以下UFRと称す。)は、水の透
過速度を表し、単位膜面積当たり、単位時間に、単位圧
力で透過する液体容量である。37℃のRO水(逆浸透
水)を使用して行った。
【0038】(2)ふるい係数 生理食塩水系でのデキストランに対する膜のふるい係数
(Sieving Coefficient、以下SCと称す。)の測定、
算出は、文献(腎と透析別冊 ハイパフォーマンスメン
ブラン’90、p.38〜41)の方法に従った。デキ
ストラン濃度の測定は、GPC System21(昭
和電工社製)を用い、サンプル量は100μl、カラム
はOhpakKB−803(昭和電工社製)を2本連結
させたもの、移動層は生理食塩水(テルモ社製)、流速
は1ml/min、測定温度は35℃の条件下で、検出
は示差屈折計で行った。なお、分子量換算はプルランP
−82(昭和電工社製)を使用して行った。
【0039】得られたCs(ろ液採取開始時の母液のデ
キストラン濃度)、Ce(ろ液採取終了時の母液のデキ
ストラン濃度)、Cf(採取したろ液のデキストラン濃
度)を用いて、下記式より膜のSCを算出した。 SC=2Cf/(Cs+Ce)
【0040】(3)補体C3aの測定 中空糸膜を生理食塩水へ浸漬した後、ヘパリン(20u
/ml血液)で抗凝固処理したヒト血液から遠心分離に
より得た血漿(膜面積10cm当たり1ml)を中空
糸膜の中空部に充填し、接触させ、37℃で1時間イン
キュベートし、RIA2抗体法により、活性化補体(C
3a)の量を測定した。
【0041】実施例1−5、比較例1−3 15wt%の水を含有するN−メチルモルフォリン−N
−オキシド(NMMO)920g、表に示す組成のコッ
トンリンター/疎水性ポリマー混合物80gを95℃で
攪拌溶解し、得られた溶液をギアポンプを用い、105
℃の2重管ノズルのアウトダイに供給し、2重管ノズル
より5℃の水からなる凝固浴に吐出し、凝固浴から速度
80m/分で引き取り、中空糸膜を得た。この時、ノズ
ルと凝固浴液面との距離は250mmであり、芯剤には
窒素を用いた。こうして得られた含水状態の中空糸膜を
40℃の温水洗浄槽を通した後、30wt%グリセリン
水溶液浴に連続的に通し、100℃で30秒連続乾燥処
理を行った。
【0042】この膜から膜有効長120mm、膜面積3
50cmのモジュールを作製し、水を充填し湿潤状態
で蒸気滅菌処理(AC 110℃、55分)を行った後、
UFR、デキストラン篩係数等の膜性能、および補体C
3aの産生量を測定した。結果を表1に示す。
【0043】以上の結果より、実施例1−6は、凝固浴
の温度を10℃未満とすることにより、高い透水速度と
分画特性を有し、かつ補体C3aの産生量が抑制されて
いることがわかる。従って、高透水性能と高分画特性と
優れた血液適合性を同時に有する人工腎臓等に用いるこ
とができる再生セルロース系中空糸膜を製造できること
が示された。
【0044】
【発明の効果】本発明の再生セルロース系中空糸膜の製
造方法は、中空糸膜製膜用組成物中の重合体成分が4w
t%以上25wt%以下、第三級アミンオキシドが50
wt%以上96wt%以下、セルロースを溶解しない極
性希釈剤が25wt%以下であって、該重合体成分のう
ちセルロースが51wt%以上95wt%以下、疎水性
ポリマーが5wt%以上49wt%以下である中空糸膜
製膜用組成物を用い、該中空糸膜製膜用組成物を温度が
10℃未満である凝固浴に吐出し、該凝固浴から中空糸
膜を速度30m/分以上300m/分以下で引取った
後、20℃以上の洗浄浴を通過させるので、高透水性能
と高分画特性と優れた血液適合性を同時に有する膜を製
造することができる。
【0045】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 建畠 秀樹 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 工藤 雅人 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4D006 GA13 MA01 MB02 MB20 MC12X MC16 MC37 MC48 MC49 MC53 MC88 MC89 NA04 NA05 NA13 NA14 NA17 NA18 NA19 NA64 NA71 PA01 PB09 PC47

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空糸膜製膜用組成物中の重合体成分が4
    wt%以上25wt%以下、第三級アミンオキシドが5
    0wt%以上96wt%以下、セルロースを溶解しない
    極性希釈剤が25wt%以下であって、該重合体成分の
    うちセルロースが51wt%以上95wt%以下、疎水
    性ポリマーが5wt%以上49wt%以下である中空糸
    膜製膜用組成物を用い、該中空糸膜製膜用組成物を温度
    が10℃未満である凝固浴に吐出し、該凝固浴から中空
    糸膜を速度30m/分以上300m/分以下で引取った
    後、20℃以上の洗浄浴を通過させる事を特徴とする再
    生セルロース系中空糸膜の製造方法。
  2. 【請求項2】上記洗浄浴温度が20℃以上60℃以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載の再生セルロース
    系中空糸膜の製造方法。
  3. 【請求項3】上記疎水性ポリマーが、セグメント化ポリ
    ウレタン、セルロース誘導体、脂肪族ポリエステル、脂
    肪族ポリカーボネート、アクリレート系樹脂であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の再生セルロース
    系中空糸膜の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3に記載の製造方法により
    得られた中空糸膜。
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