JP2001029758A - 再生セルロース中空糸膜の製造方法 - Google Patents

再生セルロース中空糸膜の製造方法

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JP2001029758A
JP2001029758A JP11211424A JP21142499A JP2001029758A JP 2001029758 A JP2001029758 A JP 2001029758A JP 11211424 A JP11211424 A JP 11211424A JP 21142499 A JP21142499 A JP 21142499A JP 2001029758 A JP2001029758 A JP 2001029758A
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hollow fiber
fiber membrane
tertiary amine
membrane
cellulose
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Akira Mochizuki
明 望月
Yoshihiko Abe
吉彦 阿部
Keitaro Morishita
啓太郎 森下
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】芯液を除去するための工程を必要とせず、かつ
UFR、デキストラン篩係数に示された分画特性、およ
び生体適合性に優れた人工腎臓等に用いることができる
再生セルロース中空糸膜の製造方法を提供することにあ
る。 【解決手段】外管と内管を有する2重管状ノズルの外管
と内管の間から第三級アミンオキシドを用いたセルロー
スの製膜用組成物を吐出し、セルロースを再生して中空
糸膜を形成する製造法であって、該内管から第三級アミ
ンオキシドと非相溶でかつ水溶性の有機液体を吐出し、
該中空糸膜の中空形状を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、再生セルロース中空糸
膜の製造法に関する。より詳しくは、第三級アミンオキ
シドを用い再生される、高透水性能と高分画特性とを同
時に有する人工腎臓等に用いるセルロース中空糸膜の調
製法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、長期慢性腎不全患者の種々の合併
症の発生を低減させるために、尿素等の低分子量物質、
分子量が100〜5,000の尿毒性中分子量物質、低
分子量タンパク質であるβ2-ミクログロブリン(分子量
11,800)を効率的に除去し、かつ有用な低分子量
タンパク質であるアルブミン(分子量66,000)を
漏出させない様に分画特性を設計された膜を用いて、血
液透析が行われている。UFR(限外濾過速度)コント
ローラーの普及、使用により、治療時に血液からの除水
量を任意にコントロールできるようになったため、より
高い透水性能と優れた分画特性を同時に有する膜が必要
とされてきている。
【0003】現在でも、銅アンモニウム法で再生された
セルロース膜が人工透析膜として幅広く使用されている
が、該膜は尿素、クレアチニン等の低分子物質溶質透過
性においては優れているが中高分子量物質の除去性能が
十分でなく、又UFRが低いことが課題であり、銅アン
モニウム液を使った製膜方法では、さらなる膜性能の向
上は大変困難である。銅アンモニウム法に代わるセルロ
ース再生法としては、第三級アミンオキシドを用いた手
法が衣料用繊維の分野で近年実用化されており、第三級
アミンオキシドを用いたセルロース溶液及びその溶液の
製造方法、またそのセルロース溶液から再生されたフィ
ルム、膜、繊維、中空繊維等の再生セルロース成形品及
びそれら成形品の製造方法は公知となっている。
【0004】本方法での再生セルロース成形品のうち、
特に透析膜に注目すると、再生セルロース成形品が透析
膜に使用できると提案されているもの(英国特許第11
44759号公報)、さらに用途に適した透析性能を有
する血液透析用の膜の製造方法が提案されているもの
(特公平4−60692号公報)がある。後者の公報に
記載されている透析膜の製造方法により得られる再生セ
ルロース膜は、ビタミンB12に対する透析透過係数が銅
アンモニウム法再生セルロースより成る透析膜の同係数
よりも明らかに大きく、さらに水の限外ろ過能、いわゆ
る透水量が実際にはもはや測定されない場合にもなお顕
著なビタミンB12に対する透析透過係数を有することが
特徴である。しかしながら、実施例に記載されている再
生セルロース膜は、透水量が5mL/(m・h・mm
Hg)であり、前記した通り現在のところ要求されてい
る血液浄化用の膜、いわゆる人工腎臓用の膜に求められ
ている性能としては不十分である。
【0005】第三級アミンオキシドは、通常水和物とし
て用いられるが、この第三級アミンオキシド水和物を用
いたセルロース溶液から再生されて得られる再生セルロ
ース膜について、特開平10−52630号公報であっ
て、高いUFRを示す膜が開示されている。同公報に
は、限外濾過速度が100mL/(m・h・mmH
g)以上の膜が実施例において開示されており、膜性能
の観点からは、この再生セルロース膜は、実用に十分耐
える膜性能を示している。又、同公報には、ベンジルセ
ルロースをはじめとした各種セルロース誘導体を混合し
た紡糸溶液を用いることで、再生セルロース膜の血液適
合性が改善される事が開示されている。しかしながらベ
ンジルセルロースは、高価であり、従来のセルロース膜
が有する優れた低コスト性を大きく犠牲にしている。
【0006】これらの中空糸膜を製膜するためには、内
管と外管を有する2重管ノズルを用い、外管にはセルロ
ースの第三級アミンオキシド溶液、内管には中空形状を
付与するための流体を流す必要がある。上記の公報に記
載された、中空糸膜の紡糸方法には、この2重管ノズル
の内管に流す流体(芯剤)についても多くの例示がある。
【0007】中空糸膜の製造に用いる芯剤には、外管か
ら吐出されるポリマー溶液を凝固させる作用を有するも
のと、凝固させないものとがある。前者には、セルロー
スの非溶剤であり、第三級アミンオキシドとは相溶性の
ある液体が使用されている。その代表的なものが水であ
り、更にはアルコールやジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルフォキシド等の極性有機溶媒及びその水溶液、水
と第三級アミンオキシドの混合物等がある。これらの芯
剤は、吐出後、凝固浴、および中空糸膜中の第三級アミ
ンオキシドを除去する洗浄浴等を通過する際、中空糸内
部から凝固液中や洗浄液中に溶出してしまうので、芯剤
を洗浄するための別の洗浄処理を行う必要がない。しか
しながら中空糸の内側と外側の両方から、凝固がほぼ同
時に始まる事から、膜構造の制御が難しくなると言う、
欠点を有する。
【0008】後者の芯剤としては、空気、窒素などの気
体、ないしはポリマー溶液と相溶性が全くない液体が使
用されている。気体を芯剤に使用した場合、中空糸膜に
安定した中空形状を発現させることが難しく、また、ポ
リマー溶液と相溶性のない液体を使用した場合、安定し
た中空形状を発現させることは容易であるが、中空糸膜
の製膜後、中空糸膜から第三級アミンオキシドを除去す
る洗浄工程に加えて、中空糸膜の内部に残留した芯剤を
除去する洗浄工程の設定が別途必要となるなど多くの欠
点を有する。この種の芯剤としては、流動パラフィン、
ミリスチン酸イソプロピル、フタル酸エステル等のいわ
ゆるオイル状物質が知られている。これらの芯剤を除去
するために、通常、中空糸膜を乾燥後、揮発性の高い有
機溶媒で洗浄しているが、環境問題、安全性の観点から
望ましくなく、又、製造コストが増加する。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目
的は、第三級アミンオキシドを用いたセルロース溶液等
の製膜用組成物から再生されるセルロース中空糸膜を製
造するに当って、中空糸膜に中空形状を容易に与えると
同時に、芯剤除去を目的とした揮発性有機溶剤による中
空糸膜の洗浄工程を必要としない、簡便な中空糸膜の製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、芯剤に第
三級アミンオキシドと非相溶の水溶性有機液体を用いれ
ば、上述の中空糸膜の製造工程における種々の問題点を
解決できると考え、鋭意検討した結果、第三級アミンオ
キシドを還元した第三級アミンが、本発明の芯剤として
の特性を有していることを見出し、本発明に至った。即
ち、本発明は、下記の(1)〜(6)の内容により達成
される。
【0011】(1) 外管と内管を有する2重管状ノズ
ルの外管と内管の間から第三級アミンオキシドを用いた
セルロースの製膜用組成物を吐出し、セルロースを再生
して中空糸膜を形成する製造法であって、該内管から第
三級アミンオキシドと非相溶でかつ水溶性の有機液体を
吐出し、該中空糸膜の中空形状を形成することを特徴と
する再生セルロース中空糸膜の製造方法。
【0012】(2) 第三級アミンオキシドがN−メチ
ルモルフォリン−N−オキドであることを特徴とする上
記(1)に記載の再生セルロース中空糸膜の製造方法。
【0013】(3) 前記有機液体が、第三級アミンで
あることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の
再生セルロース中空糸膜の製造方法。
【0014】(4) 前記アミンが、前記第三級アミン
オキシドの還元型の第三級アミンであることを特徴とす
る上記(1)ないし(3)に記載の再生セルロース中空
糸膜の製造方法。
【0015】(5) 前記第三級アミンが、N−メチル
モルフォリン、N−エチルモルフォリンであることを特
徴とする上記(1)ないし(3)に記載の再生セルロー
ス中空糸膜の製造方法。
【0016】(6) 前記中空糸膜が、生理食塩水系で
のデキストランに対するふるい係数が、分子量1,00
0のものでは0.9以上、かつ分子量10,000のも
のでは0.3以上0.95以下、かつ分子量100,0
00のものでは0.4以下であることを特徴とする上記
(1)ないし(5)に記載の再生セルロース中空糸膜の
製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、第三級アミンオキシド
を溶媒としたセルロースの紡糸溶液から、中空糸膜を製
膜するものである。従来、セルロースの溶液として知ら
れる銅アンモニウム溶液には溶解しなかったポリマーを
含め種々の改質用ポリマーを場合により配合して製膜用
組成物とし、2重管ノズルから凝固浴へ吐出し、製膜
し、中空糸膜の特性を調節することができる製造方法で
あって、2重管ノズルの内管から、該製膜用組成物と相
溶性がなく、かつ水溶性の有機液体を芯剤として吐出す
るものである。
【0018】本発明の第三級アミンオキシドとしては、
セルロース溶液等の製膜用組成物を調製するのに使用さ
れている公知のものが使用可能である。例えば、N−メ
チルモルフォリン−N−オキシド、N,N−ジメチルエ
タノールアミン−N−オキシド、N,N−ジメチルシク
ロヘキシルアミン−N−オキシド、N,N,N−トリエ
チルアミン−N−オキシド、N,N−ジメチルベンジル
アミン−N−オキシド、N−メチルピペリジン−N−オ
キシド等が挙げられる。これらの第三級アミンオキシド
は単独で用いても良く、あるいはこれらの群から選ばれ
る2種以上を適当な割合で混合したものを使用すること
もできる。これらの中でも、入手のしやすさ、使用済み
溶剤の回収精製のしやすさ等からN−メチルモルフォリ
ン−N−オキシドが好ましい。
【0019】第三級アミンオキシドを使用するにあた
り、その安全性、溶解性の観点から水を含んだ第三級ア
ミンオキシドとすることが好ましい。水の含有率は、水
を含んだ第三級アミンオキシド中25wt%以下が好ま
しい。より好ましくは約15wt%の水を含有した1水
和物が望ましい。第三級アミンオキシドに25wt%を
越える水を含んでいる場合、セルロースの溶解が困難で
ある。
【0020】本発明に用いられるセルロースとしては、
一般に人工腎臓用再生セルロース膜の製造に使用されて
いる公知のものが使用可能である。なかでも、長期にわ
たる臨床実績により安全性が確認されている精製コット
ンリンター(α−セルロースが97%以上)であって、
特開平4−11008号において提案されている、TA
PPI標準法T230に従い測定された粘度が5cp以
上20cp以下、粘度平均重合度が500以上1,50
0以下のものが好ましい。
【0021】場合により配合する改質用ポリマーとして
は、ポリウレタン、セグメント化ポリウレタン、ポリア
ミド、ポリイミド、フェノキシ樹脂、ポリベンツイミダ
ゾール、ベンジルセルロース、長鎖アルキルキ置換セル
ロース等のセルロース誘導体、脂肪族ポリエステル(例
えばポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオン酸
等のヒドロキシカルボン酸の縮合重合体、ポリエチレン
アジペート、ポリブチレンスクシネート等のグリコール
とジカルボン酸との縮合重合体)、ヘキサメチレンカー
ボネート等の脂肪族炭酸エステル重合体、ポリメチルビ
ニルエーテル、ポリビニルエチルエーテル等のポリビニ
ルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチルエステル、
ポリ(メタ)アクリル酸オクチルエステル等の(メタ)ア
クリル酸の長鎖アルキルエステルの(共)重合体等が挙
げられる。これらの中でも特に脂肪族ポリエステル、セ
グメント化ポリウレタン、セルロース誘導体は、生体適
合性を向上させる点で好ましい。
【0022】製膜用組成物中に占めるセルロースを含め
た全ポリマー含有率は、4wt%以上25wt%以下で
ある事が望ましい。全ポリマー含有率が4wt%より低
いと、人工腎臓用の膜として使用するために必要な機械
的強度を有する膜が得られない場合がある。一方、25
wt%より高いと、溶液の粘度が非常に高くなり、均一
な組成物調製及び製膜が困難となる。
【0023】本発明において製膜用組成物に改質用ポリ
マーを配合する場合の添加量は、製膜用組成物中のセル
ロースを含めた全ポリマー成分の5wt%以上49wt
%以下である。該改質用ポリマーをセルロースに含有さ
せることにより、膜の生体適合性を必要によって付与す
ることができる。該改質用ポリマーに疎水性ポリマーを
ブレンドした場合、血液適合性、特に補体の活性化を抑
制できる。補体の活性化にはセルロースの水酸基が大き
く関与していることが知られている。このため、血液接
触面の水酸基を疎水性ポリマーでマスクする事で本発明
は血液適合性が発現されるものと考えられる。また、改
質用ポリマー自体の有する種々の特性を付与することが
できる。改質用ポリマーの添加量が5wt%未満ではセ
ルロースの改質が不十分になり,又,49wt%を越える
場合には得られる膜の機械的強度が低下して、人工腎臓
用の透析膜等の血液浄化膜としては不十分なものとなる
場合がある。
【0024】本発明に使用される改質用ポリマーの平均
分子量は、3,000から1,000,000のものが
使用できる。3,000未満では低分子オリゴマーが溶
出する為に安全性の観点から望ましくない。又、1,0
00,000以上では混合が困難になる。
【0025】該セルロース/改質用ポリマーの第三級ア
ミンオキシド製膜用組成物に、その組成物粘度をコント
ロールするために、場合により希釈剤を混合することが
できる。本発明で使用できる希釈剤としては、沸点が1
00℃以上の極性溶媒である。具体的には、ジメチルス
ルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、プロピレ
ングルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等
が挙げられる。また、その好適な配合割合は、水と第三
級アミンオキシドの合計に対し、ジメチルスルホキシド
では60wt%以下、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミドでは40wt%以下であ
る。配合割合がそれらより高くなると、セルロースの溶
解性が低くなり均一なセルロース溶液が得られない。
【0026】前記製膜用組成物に、その組成物の熱安定
性を得るための添加剤を混合することは公知である。こ
の添加剤としては、酸化防止剤、界面活性剤がある。好
適な酸化防止剤としては、没食子酸n−プロピル、界面
活性剤としてn−ドデシル硫酸ナトリウムである。ま
た、その好適な配合割合は、配合するセルロース重量に
対し、れぞれ1wt%以下である。
【0027】前記第三級アミンオキシド、セルロース、
改質用ポリマー、場合により混合する希釈剤、添加剤を
混合すした製膜用組成物調製方法は、一般に、第三級ア
ミンオキシドを用いた再生セルロース繊維、再生セルロ
ース膜の製造に使用されている公知の方法が使用可能で
ある。場合により加熱ヒーター、減圧脱泡装置を具備し
たスクリュー式押出機、ニーダー等を用いて組成物調製
が可能である。また、その好適な溶解温度は、80℃以
上120℃以下である。溶解温度が80℃より低いと、
所定時間内ではセルロースの溶解が不十分であり均一組
成物の調製は困難である。また、溶解温度が120℃よ
り高いと、セルロースの重合度が低下するため好ましく
ない。
【0028】中空糸膜を成形する紡糸工程で使用される
2重管ノズルは、製膜用組成物が吐出される外側ノズル
と、中空糸膜の中空部を形成する芯剤を吐出する内側ノ
ズルとを有する。製膜用組成物は、該外側ノズルと該内
側ノズルの間の空隙(アウトダイ)から吐出される。本発
明に用いられるアウトダイは、内径が500μm以上1
500μm以下、外径が、1000μm以上2500μ
m以下が好ましい。
【0029】又、上記ノズルの先端と凝固浴液面との距
離は、0mm以下、即ち吐出された製膜用組成物が、直
接凝固浴に導入される完全な湿式紡糸でも、適当なエア
ギャップを設けるいわゆる乾湿式紡糸のいずれの方法で
もかまわない。エアギャップを設ける場合は、1000
mm以下が好ましい。また、凝固浴に吐出された中空糸
膜の巻き取り速度は、30m/分から300m/分の間
で適時選択されるが、特に経済的な面から60m/分か
ら200m/分の間での紡糸が好ましい。
【0030】次に芯剤について詳細に説明する。
【0031】本発明は、外管と内管を有する2重管状ノ
ズルの外管と内管の間から第三級アミンオキシドを用い
たセルロース溶液を吐出しセルロースを再生して中空糸
膜を形成する製造法であって、該内管から第三級アミン
オキシドと非相溶でかつ水溶性の有機液体を吐出し、該
中空糸膜の中空形状を形成することを特徴とする。
【0032】本発明の芯剤は、製膜用組成物と相溶性が
ないので、2重管状ノズルから凝固浴へ吐出した場合に
は、吐出された製膜用組成物中の溶媒と水を主体とした
凝固浴の凝固液との間で拡散・置換し、外側から凝固が
進み、製膜用組成物全体が凝固し中空糸膜として形成さ
れる。本発明の芯剤は、水溶性の有機液体であるので、
凝固液はさらに芯剤との間で拡散・置換される。該中空
糸膜はさらに洗浄浴へ導入され、最終的には、膜中のア
ミンオキシドが除去され、さらに中空糸内部の芯剤であ
るアミンも除去される。本発明の芯剤は水溶性である事
から凝固浴ないしは洗浄浴中で拡散により除去される
為、紡糸製膜完了後に改めての内部洗浄の操作が必要で
ない。
【0033】本発明では、製膜用組成物調製に使用する
第三級アミンオキシドがN−メチルモルフォリン−N−
オキシドである事が好ましいことから、芯剤として使用
する第三級アミンはN−メチルモルフォリン(以下NM
Mと略す)、又はN−エチルモルフォリン(以下NME
と略す)が望ましい。中でもNMMが溶剤回収等の面か
ら望ましい。即ち、セルロースの溶剤に使用するN−メ
チルモルフォリン−N−オキシドを凝固浴や洗浄浴から
回収し、繰り返し、セルロースの溶剤として使用する場
合、回収精製工程で両者は相分離し、容易に粗分離する
ことができる。また、N−メチルモルフォリン−N−オ
キシドは還元を受け、NMMに変化する事が知られてい
る。芯剤にNMMを用いれば、繰り返し利用の際に再酸
化の工程を設けるだけで、粗分離後にNMMO中に残留
したNMMは、NMMOに酸化される。
【0034】本発明の再生セルロース中空糸膜の製膜条
件について、さらに説明する。
【0035】まず、凝固浴は水を主成分としたもので、
第三級アミンオキシド水溶液、前記希釈剤を溶解した水
溶液等が挙げられる。特に好ましくは、N−メチルモル
フォリンオキシドを40wt%まで含有するものが、溶
剤回収が容易となり好ましい。又、この凝固浴の温度と
しては、0℃以上60℃以下で行う事が好ましい。0℃
以下では凝固浴の凍結等の問題が発生する場合がありあ
まり望ましくない。一方、60℃以上では凝固液の温度
による蒸散が激しくなり好ましくない。
【0036】該凝固浴を出ると中空糸膜は次ぎに膜中に
残留する第三級アミンオキシド、場合により混合される
前記希釈剤、前記添加剤あるいは第三級アミン等を除去
する為に、洗浄工程に入る。洗浄工程は、水が好まし
い。洗浄工程で使用する水の温度は室温以上であり通常
20℃以上60℃以下である事が好ましい。より好まし
い洗浄水の温度としては30℃以上60℃以下である。
20℃以下では、溶剤の除去に時間がかかり、又、室温
よりも低温とする場合、大量の洗浄水を冷却するに必要
なエネルギーが大きなものとなり、室温より低ければ低
いほどコスト的に好ましくない。又、60℃以上の場
合、洗浄水の蒸散が激しくなり好ましくない。
【0037】凝固および洗浄により得られた水膨潤状態
の膜を乾燥するに先立ち,孔径維持剤を添着する。孔径
維持剤を添着する工程は、孔径維持剤を溶解させた水溶
液に膜を浸漬し、あるいは孔形成剤を溶解させた水溶液
を膜に塗布して行ってもよい。使用する孔径維持剤とし
ては、従来技術に使用されている公知なものが使用可能
である。例えば、グリセリン、プロピレングリコール、
ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられ
る。特に好ましくは、長期にわたる臨床実績により安全
性が確認されているグリセリンである。孔径維持剤とし
て、グリセリン水溶液を用いる場合、その好適なグリセ
リン濃度は、5wt%以上40wt%以下である。
【0038】孔径維持剤を添着された中空糸膜から水を
除去する乾燥工程では、加熱乾燥等が行われる。加熱乾
燥により乾燥する場合、乾燥温度は60℃以上120℃
以下が好ましい。また、乾燥時間は、前記加熱温度にお
いて、紙・ダンボール水分計KG−40型(サンコウ電
子研究所社製)を用いて測定した膜の湿重基準水分率が
5wt%以上30wt%以下になる様に適宜設定するこ
とが望ましい。
【0039】前記芯剤組成、前記凝固浴組成とその温
度、前記添着工程における孔径維持剤を溶解させた水溶
液組成、前記乾燥工程における乾燥温度とその時間につ
いて、それぞれに記した好適条件範囲で任意に組み合わ
せることにより、目的とする高透水性能と高分画特性と
優れた人工腎臓用再生セルロース系中空糸膜を製造でき
る。
【0040】本発明の中空糸膜の製造方法によれば、生
理食塩水系でのデキストランに対するふるい係数が、分
子量1,000のものでは0.9以上、かつ分子量1
0,000のものでは0.3以上0.95以下、好まし
くは0.65以上0.95以下、かつ分子量100,0
00のものでは0.04以下好ましくは0.02以下で
ある中空糸膜を製造することができる。
【0041】また、本発明の再生セルロース中空糸膜の
製造方法は、上記の通り作製することにより、水に対す
る限外濾過速度が5mL/(m・h・mmHg)以上
である。さらに水に対する限外濾過速度が20mL/
(m・h・mmHg)以上である中空糸膜を作製する
ことができる。
【0042】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説
明する。また、本発明の評価方法については以下の方法
に従った。
【0043】(1) 本発明において限外濾過速度(Ul
tra Filtration Rate、以下UFRと称す。)は、水の
透過速度を表し、単位膜面積当たり、単位時間に、単位
圧力で透過する液体容量である。37℃のRO水(逆浸
透水)を使用して行った。
【0044】(2) ふるい係数 生理食塩水系でのデキストランに対する膜のふるい係数
(Sieving Coefficient、以下SCと称す。)の測定、
算出は、文献(腎と透析別冊 ハイパフォーマンスメン
ブラン’90、p.38〜41)の方法に従った。デキ
ストラン濃度の測定は、GPC System21(昭
和電工社製)を用い、サンプル量は100μl、カラム
はOhpakKB−803(昭和電工社製)を2本連結
させたもの、移動層は生理食塩水(テルモ社製)、流速
は1ml/min、測定温度は35℃の条件下で、検出
は示差屈折計で行った。なお、分子量換算はプルランP
−82(昭和電工社製)を使用して行った。
【0045】得られたCs(ろ液採取開始時の母液のデ
キストラン濃度)、Ce(ろ液採取終了時の母液のデキ
ストラン濃度)、Cf(採取したろ液のデキストラン濃
度)を用いて、下記式より膜のSCを算出した。
【0046】SC=2Cf/(Cs+Ce)。
【0047】(3)補体C3aの測定 中空糸膜を生理食塩水へ浸漬した後、ヘパリン(20u
/ml血液)で抗凝固処理したヒト血液から遠心分離に
より得た血漿(膜面積10cm当たり1ml)を中空
糸膜の中空部に充填し、接触させ、37℃で1時間イン
キュベートし、RIA2抗体法により、活性化補体(C
3a)の量を測定した。
【0048】実施例1−6、比較例1−3 15wt%の水を含有するN−メチルモルフォリン−N
−オキシド(NMMO)930g、表に示す組成のコッ
トンリンター/疎水性ポリマー混合物70gを95℃で
攪拌溶解し、得られた溶液をギアポンプを用い、105
℃の2重管ノズルのアウトダイに供給し、2重管ノズル
より5℃の水からなる凝固浴に吐出し、凝固浴から速度
80m/分で引き取り、中空糸膜を得た。この時、ノズ
ルと凝固浴液面との距離は250mmであり、芯剤には
窒素を用いた。こうして得られた含水状態の中空糸膜を
40℃の温水洗浄槽を通した後、30wt%グリセリン
水溶液浴に連続的に通し、100℃で2分間連続乾燥処
理を行った。この膜から膜有効長120mm、膜面積3
50cmのモジュールを作製し、水を充填し湿潤状態
で蒸気滅菌処理(AC 110℃、55分)を行った後、
UFR、デキストラン篩係数等の膜性能、および補体C
3aの産生量を測定した。結果を表1に示す。
【0049】以上の結果の通り、実施例1−6は、芯液
を除去するための工程を必要とせず、かつUFR、デキ
ストラン篩係数に示された分画特性、および生体適合性
に優れた人工腎臓等に用いることができる再生セルロー
ス中空糸膜を製造できることが示された。
【0050】
【発明の効果】本発明は、外管と内管を有する2重管状
ノズルの外管と内管の間から第三級アミンオキシドを用
いたセルロースの製膜用組成物を吐出しセルロースを再
生して中空糸膜を形成する製造法であって、該内管から
第三級アミンオキシドと非相溶でかつ水溶性の有機液体
を吐出し、該中空糸膜の中空形状を形成するので、芯剤
が凝固浴ないしは洗浄浴中で拡散により除去される為、
紡糸製膜完了後に改めての内部洗浄の操作が必要でな
い。
【0051】また、本発明は、第三級アミンオキシドが
N−メチルモルフォリン−N−オキドであるので、セル
ロースの製膜用組成物を調製することが容易である。
【0052】また、本発明は、前記有機液体が、アミン
であるので、前記第三級アミンオキシドを凝固浴あるい
は洗浄浴から回収する際、粗分離が容易である。NMM
O中に残存したNMMは酸化工程でNMMOに酸化され
るので、精製工程を簡略化することができ、経済的に有
利である。
【0053】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA13 MA01 MB02 MB20 MC12X MC16 MC48 MC53 MC88 MC89 NA04 NA05 NA13 NA14 NA17 NA18 NA64 NA71 PA01 PB09 PC47

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外管と内管を有する2重管状ノズルの外管
    と内管の間から第三級アミンオキシドを用いたセルロー
    スの製膜用組成物を吐出し、セルロースを再生して中空
    糸膜を形成する製造法であって、該内管から第三級アミ
    ンオキシドと非相溶でかつ水溶性の有機液体を吐出し、
    該中空糸膜の中空形状を形成することを特徴とする再生
    セルロース中空糸膜の製造方法。
  2. 【請求項2】第三級アミンオキシドがN−メチルモルフ
    ォリン−N−オキドであることを特徴とする請求項1に
    記載の再生セルロース中空糸膜の製造方法。
  3. 【請求項3】前記有機液体が、第三級アミンであること
    を特徴とする請求項1または2に記載の再生セルロース
    中空糸膜の製造方法。
  4. 【請求項4】前記アミンが、前記第三級アミンオキシド
    の還元型の第三級アミンであることを特徴とする請求項
    1ないし3に記載の再生セルロース中空糸膜の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記第三級アミンが、N−メチルモルフォ
    リン、N−エチルモルフォリンであることを特徴とする
    請求項1ないし3に記載の再生セルロース中空糸膜の製
    造方法。
  6. 【請求項6】前記中空糸膜が、生理食塩水系でのデキス
    トランに対するふるい係数が、分子量1,000のもの
    では0.9以上、かつ分子量10,000のものでは
    0.3以上0.95以下、かつ分子量100,000の
    ものでは0.4以下であることを特徴とする請求項1な
    いし5に記載の再生セルロース中空糸膜の製造方法。
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