JP2001028894A - ステップモータ装置 - Google Patents

ステップモータ装置

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JP2001028894A
JP2001028894A JP2000025040A JP2000025040A JP2001028894A JP 2001028894 A JP2001028894 A JP 2001028894A JP 2000025040 A JP2000025040 A JP 2000025040A JP 2000025040 A JP2000025040 A JP 2000025040A JP 2001028894 A JP2001028894 A JP 2001028894A
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excitation
position detection
drive
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JP2000025040A
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Masahiro Yasohara
正浩 八十原
Yuichi Senoo
優一 妹尾
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱調しない新たなステップモータを提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 本件発明は、複数相の駆動巻線を有する
ステップモータと、巻線を励磁するための電力を供給す
る励磁器と、モータの可動子の位置を検出し、位置検出
信号を出力する位置検出器と、駆動指令信号と位置検出
信号とを入力とし、駆動指令信号又は位置検出信号のい
ずれかの入力タイミングに応答して励磁信号を励磁器に
出力する励磁タイミング制御器とを備え、励磁タイミン
グ制御器は、駆動指令信号による巻線の励磁切り換え
が、モータを所望の方向へ駆動するのに有効な方向にト
ルクを向かわせる場合は駆動指令信号の入力タイミング
に応答して励磁信号を出力し、駆動指令信号による巻線
の励磁切り換えが、モータを所望の方向へ駆動するには
好ましくない方向にトルクを向かわせる場合は位置検出
信号の入力タイミングに応答して励磁信号を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はステップモータを脱
調させずに駆動することのできる新規なステップモータ
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ステップモータは、プリンタ、フ
ァクシミリ、イメージスキャナ、コピー機、レーザビー
ムプリンタ等々、数多くのOA機器やコンピュータ周辺
機器、また工作機械などのFA機器などにも使用され、
非常に広範囲の分野で大量に普及している。これはステ
ップモータが非常に安価で、極めて簡単なシステムで速
度制御や位置決め制御が実現できることが大きな理由で
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図73(A)及び図7
3(B)は、第1の従来例におけるステップモータ装置
の回路構成図である。
【0004】図73(A)において、2相ステップモー
タ801は、2相の駆動巻線(以下、A相巻線、B相巻
線と言う)を有する。励磁器802a及び802bは、
外部から駆動指令信号DrA、DrBを入力し、それら
信号に基づいてA相及びB相巻線を励磁する。
【0005】ここで、励磁器802aの具体的構成例を
図73(B)に示す。図73(B)に示すように、励磁
器802aは、4つのトランジスタスイッチから成るブ
リッジ回路であり、入力IN−Aが“H”レベルのと
き、出力Aは“H”レベル、出力/Aは“L”レベルと
なり、入力IN−Aが“L”レベルのとき、出力Aは
“L”レベル、出力/Aは“H”レベルとなるように動
作するものである。
【0006】すなわち、出力Aと/Aとの間には、入力
IN−Aが“H”レベルのとき、(図示していない)直
流電源の電圧VDCがプラス方向に出力され、入力IN
−Aが“L”レベルのとき、電圧VDCがマイナス方向
に出力されるよう動作する。
【0007】励磁器802bの回路構成及び動作は、上
記励磁器802aと全く同様である。
【0008】なお、図73(B)中のオンディレイ回路
811〜814(Dly)は、ブリッジ回路を成すトラ
ンジスタスイッチが誤って電源を短絡することを防止す
る目的で設けられている。
【0009】図73(A)及び図73(B)において、
信号DrAが、“H”レベルのとき励磁器802aの出
力A、/A間にはプラスVDCなる電圧が出力される。
この電圧によりA相巻線はプラスに励磁される。一方、
信号DrAが“L”レベルのとき励磁器2aの出力A、
/A間にはマイナスVDCなる電圧が出力さる。この電
圧によりA相巻線はマイナスに励磁される。励磁器80
2bによって励磁されるB相巻線についても全く同様で
ある。
【0010】図74(A)〜図74(D)は、上記した
本第1の従来例におけるステップモータ装置の動作説明
図である。
【0011】図74(A)は、モータ801の駆動巻線
に一定の励磁を行うことによって得られる発生トルクT
と可動子の位置θとの関係を示したものである。すなわ
ち“Ta”は、A相巻線をプラスに励磁した場合のθと
Tとの関係である。“Tb”は、B相巻線をプラスに励
磁した場合のθとTとの関係である。“−Ta”は、A
相巻線をマイナスに励磁した場合のθとTとの関係であ
る。“−Tb”は、B相巻線をマイナスに励磁した場合
のθとTとの関係である。
【0012】ここで、可動子の位置θは、可動子が正方
向に進行した場合を図の右方向、可動子が負方向に進行
した場合を図の左方向に対応させている。また発生トル
クTは、可動子を正方向に向かわせるように働く方向を
順方向、可動子を負方向に向かわせるように働く方向を
逆方向と定義し、図の上方向を順方向のトルクとなるよ
うに表現している。
【0013】図74(A)において、A相巻線を励磁す
ることにより発生するトルクとB相巻線を励磁すること
により発生するトルクとは互いに電気角で90度の差が
ある。これは、2相ステップモータの場合、各相駆動巻
線が可動子の磁極ピッチに対して電気角で90度ずらし
て取り付けてあるためである。
【0014】図74(B)は、A相巻線とB相巻線を共
に励磁(いわゆる2相励磁駆動)することによって発生
するトルクTと可動子の位置θとの関係を示したもので
ある。“Ta+Tb”は、A相巻線をプラス、B相巻線
をプラスに励磁した場合のθとTとの関係である。“−
Ta+Tb”は、A相巻線をマイナス、B相巻線をプラ
スに励磁した場合のθとTとの関係である。“−Ta−
Tb”は、A相巻線をマイナス、B相巻線をマイナスに
励磁した場合のθとTとの関係である。“Ta−Tb”
は、A相巻線をプラス、B相巻線をマイナスに励磁した
場合のθとTとの関係である。ここで、“Ta+T
b”、”−Ta+Tb”、”−Ta−Tb”、”Ta−
Tb”はそれぞれ図74(A)で示した“Ta”、“T
b”、“−Ta”、“−Tb”の合成トルクであること
は言うまでもない。また図74(B)においても、可動
子の位置θと発生トルクTの方向に関して図74(A)
と同様に表現している。
【0015】以上から明らかなように、ステップモータ
においては各相駆動巻線に一定の励磁を行った場合、そ
の励磁を行う極性によって可動子の位置θに対する発生
トルクTの関係が概略一義的に定まることがわかる。
【0016】さて今、図74Cに示すように駆動指令信
号DrA、DrBが互いに90度の位相差を持って励磁
器802a、802bに入力されたときのモータ801
の動きを図74(D)を参照しながら考えてみる。
【0017】時刻t1以前は、信号DrA、DrB共に
“H”レベルであるためにA相巻線とB相巻線は共にプ
ラスに励磁され、この間は“Ta+Tb”で示されるト
ルクにより可動子は駆動される。時刻t1において、信
号DrAが“H”レベルから“L”レベルへと変化する
と、A相巻線の励磁の極性が変わり、“−Ta+Tb”
で示されるトルクへと発生トルクが変化し順方向に向け
てトルクが更新される。これによって可動子は更に先へ
正方向に駆動される。この状態は、信号DrBが“H”
レベルから“L”レベルへと変化する時刻t2まで続
く。
【0018】時刻t2において、信号DrBが“H”レ
ベルから“L”レベルへと変化すると、B相励磁巻線の
励磁の極性が変わり、“−Ta−Tb”で示されるトル
クへと発生トルクが再び順方向に向けて更新され、可動
子は更に先へ駆動される。
【0019】以後、時刻t3、t4、t5において、信
号DrA、DrBの状態が変化する度にA相巻線及びB
相巻線の励磁の極性は交互に変化し、“Ta−Tb”、
“Ta+Tb”、“−Ta+Tb”で示される各トルク
へと順方向に向けた発生トルクが順次更新される。こう
して、可動子は休むことなく正方向への駆動が継続され
ることになる。
【0020】以上が、本第1の従来例におけるステップ
モータ装置の動作説明である。
【0021】しかしながら上記のような第1の従来例に
おいては、信号DrA、DrBの周波数が高くなった場
合、モータの可動子を駆動するためのトルクが急速に低
下し、可動子が失速して脱調するという現象が現れる。
【0022】この現象について以下に説明を加える。
【0023】モータが脱調する原因は、大きく分けて2
つ考えられる。
【0024】1つ目の原因は、駆動巻線のインダクタン
スの影響により、その巻線を励磁するための電流が十分
に確立せず、所望のトルクが発生できないことによるも
のである。
【0025】この原因に対する解決策としては古くから
様々な方法が提案されている。例えば巻線の電気的時定
数を小さくするために直列抵抗を挿入する方法、あるい
は励磁電流を速く確立するために駆動電圧を一時上昇さ
せる方法などがある。また、日本特許出願特公昭41−
9489号公報に記載されているように駆動電圧を駆動
指令信号の周波数によって変化させる方式もある。
【0026】2つ目の原因は、先に示した巻線の励磁に
よって定まる可動子の位置θに対する発生トルクTとの
関係と巻線の励磁切り換えのタイミングとのミスマッチ
である。
【0027】これについて図75(A)〜図75(D)
を用いて説明する。
【0028】図75(A)及び図75(B)に示したも
のは、各相の巻線を励磁した場合の可動子の位置θにお
ける発生トルクTの関係であり、図74(A)及び図7
4(B)のものと同じである。
【0029】今、図74(C)で示したものよりも高い
周波数で駆動指令信号DrA、DrBが、図75(C)
の如く励磁信号IN−A、IN−Bとして入力されたも
のとする。
【0030】このとき、信号DrA、DrBによる駆動
巻線の励磁切り換えに伴って発生するトルクは、図75
(D)の様になる。
【0031】すなわち、時刻tr1より以前の励磁切り
換えにおいては、発生トルクTは順方向に向けた更新が
行われているが、信号DrA、DrBの周波数が高い
と、時刻tr1のようにやがて発生トルクTは逆方向に
向けた切り換えが行われてしまう。これは可動子の位置
θと発生トルクTとの関係を無視したタイミングで励磁
切り換えが行われるためである。
【0032】時刻tr1以後においても、信号DrA、
DrBの周波数が高いままであると、トルクTはさらに
逆方向へ変化し、ついには可動子は駆動トルクを失い、
失速して脱調し、停止に至ることになる。
【0033】上記した2つの脱調原因を比べると、現実
的には1つ目に記した巻線のインダクタンスの影響が原
因する脱調以前に、2つ目に記した巻線の励磁切り換え
のタイミングが原因する脱調が先に発生していることの
方が多い。言い換えれば2つ目に記した原因の方が脱調
現象においては支配的であると言える。
【0034】次に図76は、第2の従来例におけるステ
ップモータ装置の回路構成図である。
【0035】図76において、2相ステップモータ80
1は、2相の駆動巻線(A相巻線及びB相巻線)を有す
る。励磁器802a及び802bは、外部から入力され
る駆動指令信号DrA、DrBを入力し、それら信号に
基づいてA相及びB相巻線を励磁する。
【0036】また、励磁器802a、802bは、一定
電圧Vrが電流値信号Ref−A、Ref−Bとして入
力さる。そして、これらの電流値信号によって各相巻線
の最大励磁電流が制御される構成となっている。
【0037】ここで、上記励磁器802aは図77に示
すように4つのトランジスタスイッチから成るブリッジ
回路と電流制御器815(CL)から構成される。ブリ
ッジ回路は、入力IN−Aが“H”レベルのとき、出力
Aは“H”レベル、出力/Aは“L”レベルとなる。入
力IN−Aが“L”レベルのとき、出力Aは“L”レベ
ル、出力/Aは“H”レベルとなるように動作するもの
である。
【0038】すなわち、出力Aと/Aとの間には、入力
IN−Aが“H”レベルのとき、(図示していない)直
流電源の電圧VDCがプラス方向に出力され、入力IN
−Aが“L”レベルのとき、電圧VDCがマイナス方向
に出力されるよう動作する。
【0039】また電流制御器815は、モータ801の
A相巻線の最大励磁電流を電流値信号Ref−Aで定ま
る電流値となるように制御する。
【0040】すなわち、電流検出抵抗816(R)によ
り検出されるA相巻線の励磁電流が、電流値信号Ref
−Aで示される値に達すると、RSフリップフロップ8
18がセットされ、出力A及び/Aを共に“H”レベル
とする。このときA相巻線の印加電圧はほぼ零となり、
励磁電流は巻線のインダクタンスの作用により一定値
(Ref−Aに対応する値)に保持されるよう動作す
る。ここで、発振器819(OSC)は定期的にRSフ
リップフロップ818をリセットして巻線に電圧を印加
し、励磁電流が内部損失等により減衰しないようにする
ために設けたものである。
【0041】励磁器802bの動作も励磁器802aの
動作と全く同様である。
【0042】なお、図77中のオンディレイ回路811
〜814(Dly)は、ブリッジ回路を成すトランジス
タスイッチが誤って電源を短絡することを防止する目的
で設けられている。また、フィルタ817(Fil)
は、電流検出抵抗816(R)により駆動巻線の励磁電
流を検出する際のノイズを除去する目的で設けられてい
る。
【0043】したがって、駆動指令信号DrAが“H”
レベルのとき励磁器802aの出力A、/A間にはプラ
スVDCなる電圧が出力され、この電圧によりA相巻線
はプラスに励磁される。また信号DrAが“L”レベル
のとき励磁器802aの出力A、/A間にはマイナスV
DCなる電圧が出力され、この電圧によりA相巻線はマ
イナスに励磁されることになる。そして、いずれの場合
も巻線の励磁電流の最大値は、電流値信号Ref−Aつ
まりVrによって定まる値に制御される。
【0044】励磁器802bによって励磁されるB相巻
線についても全く同様である。
【0045】図78(A)〜図78(D)は、上記した
第2の従来例におけるステップモータ装置の動作説明図
である。
【0046】図78(A)は、モータ801の巻線に一
定の励磁を行うことによって得られる発生トルクTと可
動子の位置θとの関係を示したものであり、図74
(A)に示す第1の従来例と同様である。
【0047】図78(B)は、A相巻線とB相巻線を共
に励磁(いわゆる2相励磁駆動)することによって発生
するトルクTと可動子の位置θとの関係を示したもので
あり、図74(B)に示す第1の従来例と同様である。
【0048】さて今、図78Cに示すように駆動指令信
号DrA、DrBが互いに90度の位相差を持って励磁
器802a、802bに入力されたときのモータ1の動
きを図78(D)を参照しながら考えてみる。
【0049】時刻t1以前はDrA、DrB共に“H”
レベルであるためにA相巻線とB相巻線は共にプラスに
励磁され、この間は“Ta+Tb”で示されるトルクに
より可動子は駆動される。時刻t1においてDrAが
“H”レベルから“L”レベルへと変化すると、A相巻
線の励磁の極性が変わり、“−Ta+Tb”で示される
トルクへと発生トルクが変化し順方向に向けてトルクが
更新される。これによって可動子は更に先へ正方向に駆
動される。この状態はDrBが“H”レベルから“L”
レベルへと変化する時刻t2まで続く。
【0050】時刻t2において、DrBが“H”レベル
から“L”レベルへと変化すると、B相巻線の励磁の極
性が変わり、“−Ta−Tb”で示されるトルクへと発
生トルクが再び順方向に向けて更新され、可動子は更に
先へ駆動される。
【0051】以後、時刻t3、t4、t5において、D
rA、DrBの状態が変化する度にA相巻線及びB相巻
線の励磁の極性は交互に変化し、“Ta−Tb”、“T
a+Tb”、“−Ta+Tb”で示される各トルクへと
順方向に向けた発生トルクが順次更新され、可動子は休
むことなく正方向への駆動が継続される。
【0052】以上が、第2の従来例におけるステップモ
ータ装置の動作説明である。
【0053】しかしながら本第2の従来例においては、
可動子を駆動する際に生じるトルクのリップルは図78
(D)に示した如く非常に大きく、これが原因で振動、
騒音ならびに回転むらが非常に大きくなるという課題が
ある。これは巻線の励磁電流を一定にして駆動している
ことに起因している。
【0054】すなわち、ステップモータには脱調という
現象が本質的に存在するため、モータを駆動する場合
は、脱調を起こさないように負荷に対するトルク余裕を
十分に持つ必要がある。このため、巻線の励磁電流(あ
るいは駆動電圧)をある程度大きな値に設定して駆動す
るのが一般的であり、通常その値は起動トルクを確保で
きるレベルに設定される。巻線の励磁電流が起動トルク
を確保できるレベルに設定された場合、起動時に比べて
比較的負荷が軽い定常時においては励磁電流が過剰とな
り、その結果、図78(D)に示した如く、発生トルク
Tが比較的軽い定常時の負荷トルクとつりあうにはトル
クリップルがどうしても大きくなってしまうことにな
る。
【0055】さらに励磁電流が過剰なため、モータの発
熱が大きく、効率も悪いという課題もある。
【0056】また、本第2の従来例におけるステップモ
ータ装置においても、第1の従来例と同様に、駆動指令
信号DrA、DrBの周波数が高くなった場合、可動子
を駆動するためのトルクが急速に低下し、可動子が失速
して脱調するという現象が現れる。
【0057】この現象の原因は、上記した第1の従来例
の場合と同様である。
【0058】巻線の励磁によって定まる可動子の位置θ
に対する発生トルクTとの関係と巻線の励磁切り換えの
タイミングとのミスマッチによる脱調について、図79
(A)〜図79(D)を用いて説明する。
【0059】図79(A)及び図79(B)に示したも
のは、各相の巻線を励磁した場合の可動子の位置θにお
ける発生トルクTの関係であり、図78(A)及び図7
8(B)のものと同様のものである。
【0060】今、図78(C)で示したものよりも高い
周波数で信号DrA、DrBが、図79(C)の如く励
磁信号IN−A、IN−Bとして入力されたものとす
る。
【0061】このとき、信号DrA、DrBによる駆動
巻線の励磁切り換えに伴って発生するトルクは、図79
(D)の様になる。
【0062】すなわち、時刻tr1より以前の励磁切り
換えにおいては、発生トルクTは順方向に向けた更新が
行われているが、信号DrA、DrBの周波数が高い
と、時刻tr1のようにやがて発生トルクTは逆方向に
向けた切り換えが行われてしまう。これは可動子の位置
θと発生トルクTとの関係を無視したタイミングで励磁
切り換えが行われるためである。
【0063】時刻tr1以後においても信号DrA、D
rBの周波数が高いままであると、トルクTはさらに逆
方向へ変化し、ついには可動子は駆動トルクを失い、失
速して脱調し、停止に至ることになる。
【0064】さて、上記第1及び第2の従来例のステッ
プモータ装置において説明したような脱調現象の防止を
図ったステップモータの駆動方法として、日本特許出願
特開平7−59395公報に記載されたものがある。
【0065】この駆動方法は、次の通りである。
【0066】位置指令パルスにしたがって、励磁相を切
り換えることによりロータを回転駆動するようにしたス
テップモータの駆動方法において、ロータの歯数をN、
指令パルスによって定まる指令位置をθcmd、ロータ位
置をθrot、励磁指令位置θexに対する実励磁位置θmの
遅れ角をθlagとした場合、 −π/2N<(θcmd−θlag−θrot)<π/2N である時は、ステップモータ駆動回路の励磁切り換え部
への励磁指令位置θexを、 θex=θcmd とし、 π/2N<(θcmd−θlag−θrot) である時は、前記励磁指令位置θexを、 θex=θrot+θlag+π/2N とし、 −π/2N>(θcmd−θlag−θrot) である時は、前記励磁指令位置θexを、 θex=θrot+θlag−π/2N とするようにしたものである。
【0067】本第3の従来例のステップモータ駆動回路
を示すブロック図は、図80に示されるようなものであ
る。
【0068】この従来技術は、脱調が生じていない場合
には通常のステップモータ装置と同様な動作で作動さ
せ、ひとたび脱調が生じると直流モータとして作動され
てその装置の持つ最大トルクで指令位置の追跡をせし
め、指令位置に追いついた後は再び通常のステップモー
タ装置に復帰させるようにするという脱調を防止するた
めの方法を開示したものである。
【0069】しかしながら、この従来技術を具現化する
には高分解能を有するロータリエンコーダ902による
ロータ位置検出信号が必要である。
【0070】何故ならば、励磁指令位置θexを上記した
各判別式により場合分けして決定するには、少なくとも
ロータ位置θrotは上記の各判別式のしきい値である−
π/2Nからπ/2N(つまり電気角で−90度から+9
0度)の範囲内で十分にきめ細かく検出されなければな
らない。仮にこの範囲内で1〜2パルス程度の分解能し
かないようなロータ位置検出を行った場合、その位置検
出精度が粗いため、θexをθcmdとしても脱調せずに駆
動できるロータ位置であるにもかかわらずθexをθrot
+θlag+π/2Nとして直流モータのように最大トルク
で駆動したり、逆にθexをθrot+θlag+π/2Nとし
なければ脱調するロータ位置であるにもかかわらずθex
をθcmdとしてステップモータ駆動を行ってトルクを大
幅に低下してしまうなど、ここに開示された内容が成り
立たなくなる動作が行われてしまう。
【0071】実際この方法を基に、脱調しないステップ
モータの制御装置を具現化した技術が、本発明の優先権
主張部分(基礎出願部分)の出願後に、日本特許出願特
開平11−262297公報として開示されたが、この
公報にも記載されているとおり、位置検出器として用い
られるエンコータの分解能は一回転当たり1000パル
ス(電気角−90度から+90度の範囲に換算すると1
0パルス)を必要としている。
【0072】すなわち、この従来のステップモータ装置
では、構成要素として、例えばレゾルバのような高分解
能を有するロータリエンコーダが不可欠であり、高価ば
かりでなく形状も大きなものになっていた。
【0073】
【発明の手段】本ステップモータ装置は、複数相の駆動
巻線を有するステップモータと、巻線を励磁するための
電力を供給する励磁器と、モータの可動子の位置を検出
し、位置検出信号を出力する位置検出器と、駆動指令信
号と位置検出信号とを入力とし、駆動指令信号又は位置
検出信号のいずれかの入力タイミングに応答して励磁信
号を励磁器に出力する励磁タイミング制御器とを備え、
励磁タイミング制御器は、・駆動指令信号による巻線
の励磁切り換えが、モータを所望の方向へ駆動するのに
有効な方向にトルクを向かわせる場合は駆動指令信号の
入力タイミングに応答して励磁信号を出力し、・駆動指
令信号による巻線の励磁切り換えが、モータを所望の方
向へ駆動するには好ましくない方向にトルクを向かわせ
る場合は位置検出信号の入力タイミングに応答して励磁
信号を出力する。この構成により、脱調しないステップ
モータ装置を提供する。
【0074】
【発明の実施の形態】本願発明の主たる目的の第1は、
駆動巻線の励磁によって定まる可動子位置に対する発生
トルクとの関係と、駆動巻線の励磁切り換えのタイミン
グとのミスマッチに伴なう脱調原因を排除し、脱調しな
い新たなステップモータ装置を提供することにある。
【0075】本発明のステップモータ装置は次の構成を
有する。(a)複数相の駆動巻線を有するステップモー
タと、(b)駆動巻線を励磁するための電力を供給する
励磁器と、(c)ステップモータの可動子の位置を検出
し、位置検出信号を出力する位置検出器と、(d)駆動
指令信号と位置検出信号とを入力とし、駆動指令信号又
は位置検出信号のいずれかの入力タイミングに応答して
励磁信号を励磁器に出力する励磁タイミング制御器とを
備え、励磁タイミング制御器は、 ・駆動指令信号による駆動巻線の励磁切り換えがステッ
プモータを所望の方向へ駆動するのに有効な方向にトル
クを向かわせる場合は駆動指令信号の入力タイミングに
応答して励磁信号を出力し、 ・駆動指令信号による駆動巻線の励磁切り換えがステッ
プモータを所望の方向へ駆動するには好ましくない方向
にトルクを向かわせる場合は位置検出信号の入力タイミ
ングに応答して励磁信号を出力するように構成する。
【0076】この構成により、駆動指令信号が高い周波
数で入力された場合においても、ステップモータの発生
トルクが低下して可動子が失速することはなく、ステッ
プモータを脱調させずに制御することができる。
【0077】本願発明の主たる目的の第2は、駆動巻線
の励磁電流が過剰にならないよう制御し、トルクリップ
ルが小さく、騒音、振動ならびに速度むらも小さく、さ
らに低発熱で高効率のステップモータを提供することに
ある。また加えて、上記した従来における脱調の原因を
排除し、脱調しないステップモータを提供することにあ
る。
【0078】本発明の別のステップモータ装置は次の構
成を有する。(a)複数相の駆動巻線を有するステップ
モータと、(b)ステップモータの可動子の位置を検出
し、位置検出信号を出力する位置検出器と、(c)駆動
巻線を励磁するための電力を供給する励磁器と、その励
磁器は、励磁信号と電流値信号とを入力とし、励磁信号
に応答して駆動巻線の励磁を切り換え、電流値信号によ
り駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであり、(d)
励磁器の励磁信号として入力される駆動指令信号と位置
検出信号との位相差に応じた励磁電流制御信号を励磁器
の電流値信号として出力する励磁電流制御器とを備え、
その励磁電流制御器は、 ・駆動指令信号による駆動巻線の励磁切り換えがステッ
プモータを所望の方向へ駆動するのに有効な方向にトル
クを向かわせる場合は、駆動指令信号と位置検出信号と
の位相差に応じて駆動巻線の最大励磁電流を減少する方
向に励磁電流制御信号を変化させ、 ・駆動指令信号による駆動巻線の励磁切り換えがステッ
プモータを所望の方向へ駆動するのに好ましくない方向
にトルクを向かわせる場合は、駆動指令信号と位置検出
信号との位相差に応じて駆動巻線の最大励磁電流を増加
させる方向に励磁電流制御信号を変化させるように構成
する。
【0079】この構成により、駆動巻線の励磁電流は過
剰にならないよう制御され、トルクリップルが小さく、
騒音、振動ならびに速度むらも小さく、さらに低発熱で
高効率のステップモータを実現できる。また、脱調に対
しても非常に耐性の強いステップモータを実現できる。
【0080】本願発明の主たる目的の第3は、第1に、
上述した脱調の原因を排除し、脱調しないステップモー
タを提供することにある。第2に、駆動巻線の励磁電流
が過剰にならないよう制御し、トルクリップルが小さ
く、騒音、振動ならびに速度むらも小さく、さらに低発
熱で高効率のステップモータを提供することにある。
【0081】本発明のさらに別のステップモータ装置は
次の構成を有する。(a)複数相の駆動巻線を有するス
テップモータと、(b)駆動巻線を励磁するための電力
を供給する励磁器と、(c)ステップモータの可動子の
位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
(d)駆動指令信号と位置検出信号とを入力とし、駆動
指令信号又は位置検出信号のいずれかの入力タイミング
に応答して励磁信号を励磁器に出力する励磁タイミング
制御器とを備え、励磁タイミング制御器は、(d-1)ステ
ップモータを正方向に駆動する場合、駆動指令信号と位
置検出信号の うち、入力タイミングが遅い方の信号を
出力信号とし、ステップモータを負方向 に駆動する場
合、駆動指令信号と位置検出信号を反転した信号のう
ち、入力タイ ミングが遅い方の信号を出力信号とする
遅れ信号優先通過器と、(d-2)駆動指令信号と位置検出
信号とによるパルス数の差、つまり偏差が所定の範囲内
である第1の状態か、偏差が所定の範囲外であり、これ
を所定の範囲内とするためには、ステップモータの可動
子を正方向に向かわせるように働く順方向トルクが必要
な第2の状態か、偏差が前記所定の範囲外であり、これ
を所定の範囲内とするためには、ステップモータの可動
子を負方向に向かわせるように働く逆方向トルクが必要
な第3の状態かを検出する偏差状態検出器と、(d-3)偏
差状態検出器の検出結果に基づき、遅れ信号優先通過器
の出力信号と位置検出信号と位置検出信号を反転した信
号とのうち、いずれか一つを励磁信号として選択する励
磁信号選択器とから成り、 ・偏差状態検出器が第1の状態を検出した場合、励磁信
号選択器は遅れ信号優先通過器の出力信号を励磁信号と
して選択し、 ・偏差状態検出器が第2の状態を検出した場合、励磁信
号選択器は位置検出信号を励磁信号として選択し、 ・偏差状態検出器が第3の状態を検出した場合、励磁信
号選択器は位置検出信号を反転した信号を励磁信号とし
て選択するように構成する。
【0082】この構成により、駆動指令信号が高い周波
数で入力された場合においても、ステップモータの発生
トルクが低下して可動子が失速することはなく、ステッ
プモータを脱調させずに制御することができる。
【0083】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。 (第1の実施例)図1は、第1の実施例におけるステッ
プモータ装置の構成図である。
【0084】図1において、2相ステップモータ1は、
固定子(図示せず)及びその固定子と環状空隙を介して
配設された可動子としてのロータ(図示せず)を備えて
いる。その固定子には、2相駆動巻線(以下、A相巻
線、B相巻線と言う)が施されている。そのロータは、
円筒状のマグネットからなり、その軸方向中心にモータ
軸が貫通している。上記マグネットの外壁には、N極及
びS極が交互に24極すなわち12極対着磁されてい
る。固定子のA相巻線、B相巻線は互いに電気角で90
度位相がずれて配設され、それら巻線へは順方向及び逆
方向の2通りずつの通電がなされる。したがって、モー
タ1は、1回転当たり48ステップの静止ポイントを有
する。励磁器2a及び2bは、それぞれ外部から信号I
N−A、IN−Bを入力し、それら信号に基づきA相及
びB相巻線を励磁する。
【0085】位置検出器3a及び3bは、例えばホール
素子などで構成され、モータ1のロータ位置を、上記ロ
ータとともに回転するように設けられた位置検出用マグ
ネットのN極及びS極を検知することにより検出する。
ここで、上記位置検出用マグネットは、上記ロータと同
様にN極及びS極が交互に24極着磁され、ロータに対
応して配設されている。
【0086】なお、位置検出器3a及び3bが、ロータ
マグネットのN極及びS極を直接検知することにより、
ロータの位置を検出するように構成しても良い。この場
合は上記位置検出用マグネットは不要となる。
【0087】ところで、以降の説明においてロータは可
動子と言うことにする。
【0088】励磁タイミング制御器4a、4bには、上
記位置検出器3a及び3bが出力する位置検出信号がそ
れぞれの入力CS−A及びCS−Bに入力される。ま
た、その制御器4a、4bのもう一方の入力CK−A、
CK−Bには、駆動指令信号DrA、DrBがそれぞれ
入力される。制御器4a、4bの各出力は、励磁器2
a、2bの各入力IN−A、IN−Bへそれぞれ出力さ
れる。
【0089】図1に示す第1の実施例おいて、図73に
示す従来例のものと大きく異なる点は次の点である。す
なわち、従来例のものが駆動指令信号DrA、DrBが
直接励磁器802a、802bに入力されるのに対し
て、本第1の実施例のものは制御器4a、4bにより、
位置検出信号CS−A、CS−Bの情報を用いてタイミ
ング制御が施された励磁信号IN−A、IN−Bが励磁
器2a、2bに入力されている点である。
【0090】以上のように構成された本第1の実施例に
おけるステップモータ装置について、図2(A)、図2
(B)、図3(A)、図3(B)、図4(A)及び図4
(B)を用いて説明する。
【0091】なお、これらの図において、可動子の位置
θと発生トルクTとの関係をいくつか記しているが、可
動子の位置θは、可動子が正方向に進行した場合を図の
右方向、可動子が負方向に進行した場合を図の左方向に
対応させている。また発生トルクTは、可動子を正方向
に向かわせるように働く方向を順方向、可動子を負方向
に向かわせるように働く方向を逆方向と定義し、図の上
方向を順方向のトルクとなるように表現している。
【0092】まず、励磁タイミング制御器4a、4bへ
入力される信号CS−A、CS−Bと各相巻線を励磁し
たときの発生トルクとの関係を、図2(A)及び図2
(B)を用いて説明する。
【0093】位置検出器3a、3bは、それらからの位
置検出信号CS−A、CS−Bが、図2(A)に示すよ
うなタイミングで発生して励磁タイミング制御器4a、
4bに入力されるように、ステップモータ1に取り付け
られている。
【0094】すなわち、信号CS−Aは、A相巻線をプ
ラスに励磁した場合のそのA相巻線による発生トルクT
aが順方向のとき“H”レベルとなり、発生トルクTa
が逆方向のとき“L”レベルとなるように位置検出器3
aが取り付けられている。信号CS−Bについても、B
相巻線をプラスに励磁した場合のそのB相巻線による発
生トルクTbに対して、順方向のとき“H”レベル、逆
方向のとき“L”レベルとなるように位置検出器3bが
取り付けられている。
【0095】このようなタイミングで信号CS−A、C
S−Bが発生するようにした場合、A相及びB相巻線を
共に励磁して駆動(2相励磁駆動)したときに各相巻線
の励磁極性の組み合わせによる発生トルク(“−Ta+
Tb”、“−Ta−Tb”、“Ta−Tb”、“Ta+
Tb”)と信号CS−A、CS−Bの発生タイミングと
の関係は、図2(B)に示す通りとなる。
【0096】以上、各相巻線を励磁したときの発生トル
クと検出器3a、3bから生成されて制御器4a、4b
へ入力される信号CS−A、CS−Bとの関係を示した
が、これを踏まえて、以下に制御器4a、4bの動作を
説明する。
【0097】説明を簡単にするため、図2(B)に示し
た区間X1付近における動作についてのみ説明する。
【0098】図3は、区間X1付近における励磁タイミ
ング制御器4a、4bの動作説明図である。図3におい
ては、特に可動子が正方向に駆動される場合について説
明している。
【0099】区間X1においては、信号CS−Aが
“L”レベルから“H”レベルに変化し、信号CS−B
は“L”レベルとなっている。
【0100】まず、図3(A)に示すように、駆動指令
信号DrA、DrBが、信号CS−A、CS−Bよりも
遅れた位相で制御器4a、4bの入力CK−A、CK−
Bに入力されたときの動作を説明する。(信号DrA、
DrBの周波数が低いときこのような状態となる。)図
3(A)において、タイミングt21は、信号CK−A
が“L”レベルから“H”レベルへと変化する点である
が、まずこのタイミングの動作について説明する。
【0101】タイミングt21の直前は、励磁信号IN
−A、IN−Bは共に“L”レベルであり、この信号に
基づいて励磁器2a、2bはA相巻線、B相巻線共にマ
イナスの励磁を行っている。したがって、このとき可動
子には“−Ta−Tb”で示されるトルクが働いてい
る。
【0102】タイミングt21で、信号CK−Aのレベ
ルが“L”レベルから“H”レベルへと変化するが、こ
の変化を励磁器2aの入力IN−Aへ出力するように制
御器4aが動作したとすると、A相巻線はプラスに励磁
され、その結果可動子には“Ta−Tb”で示されるト
ルクが働くことになる。
【0103】このときタイミングt21で可動子に働く
トルクは、タイミングt21の直前と比べて順方向に向
けて増加することになり、可動子の正方向への駆動を継
続するための励磁信号IN−Aの切り換えとしては有効
な切り換えである。
【0104】このように、制御器4aは、信号CK−A
つまり駆動指令信号DrAによってA相巻線の励磁切り
換えを行うことが、可動子の継続駆動に有効である場
合、信号CK−Aを励磁器2aの入力IN−Aに出力す
るように動作する。
【0105】図3(A)におけるタイミングt11、t
31においても同様で、このタイミングでは信号CK−
Bが変化するが、この変化を励磁器2bの入力IN−B
へ出力するように制御器4bが動作したとすると、B相
巻線の励磁が切り換わり、その結果それぞれのタイミン
グの直前で可動子に働いていたトルクよりも順方向に向
けて増加するトルクが発生する。つまりタイミングt1
1、t31で信号CK−Bに従って励磁信号IN−Bを
発することは、可動子の正方向への駆動の継続にとって
有効であると言える。
【0106】このように、制御器4aと同様、制御器4
bは、信号CK−Bつまり駆動指令信号DrBによって
B相巻線の励磁切り換えを行うことが可動子の継続駆動
に有効である場合、信号CK−Bを励磁器2bの入力I
N−Bに出力するように動作する。
【0107】つぎに、図3(B)に示すように、駆動指
令信号DrA、DrBが、信号CS−A、CS−Bより
も進んだ位相で励磁タイミング制御器4a、4bの入力
CK−A、CK−Bに入力されたときの動作を説明す
る。(信号DrA、DrBの周波数が高いときこのよう
な状態となる。)図3(B)において、タイミングt2
1は、信号CK−Aが“L”レベルから“H”レベルへ
と変化する点であるが、まずこのタイミングの動作につ
いて説明する。
【0108】タイミングt21の直前は、励磁信号IN
−A、IN−Bは共に“L”レベルであり、この信号に
基づいて励磁器2a、2bはA相巻線、B相巻線共にマ
イナスの励磁を行っている。従ってこのとき可動子には
“−Ta−Tb”で示されるトルクが働いている。
【0109】タイミングt21で信号CK−Aのレベル
が“L”レベルから“H”レベルへと変化するが、この
変化を励磁器2aの入力IN−Aへ出力するように制御
器4aが動作したとすると、A相巻線はプラスに励磁さ
れ、その結果可動子には“Ta−Tb”で示されるトル
クが働くことになる。
【0110】このときタイミングt21で可動子に働く
トルクは、タイミングt21の直前と比べて大きさは順
方向ではあるが、逆方向に向けて低下することになり、
可動子の正方向への駆動を継続するための励磁信号IN
−Aの切り換えとしては好ましくない切り換え(図3
(B)において×印を付した切り換え)である。そし
て、このような好ましくない切り換えは、上記第1の従
来例及び第2の従来例で説明した通り、脱調を引き起こ
す原因となる。
【0111】さらに信号CK−Aが変化するタイミング
が、タイミングt21Fまで早まった場合のトルクは、
大きさにおいても逆方向となり、脱調を引き起こすきっ
かけを更に増大させることになる。
【0112】このように、信号CK−Aつまり駆動指令
信号DrAによってA相巻線の励磁切り換えを行うこと
が、可動子の継続駆動に好ましくない場合、制御器4a
は、信号CK−Aを励磁器2aの入力IN−Aに即出力
せず、位置検出器3aから生成される信号CS−Aを励
磁信号として励磁器2aの入力IN−Aに出力するよう
に動作する。
【0113】制御器4aがこのように動作することによ
って、A相巻線の励磁切り換えは、信号CS−Aが
“L”レベルから“H”レベルへと変化するタイミング
t22で行われることになり、図3(B)に示す如く可
動子を正方向に駆動するためのトルクとしては最大レベ
ルの確保が可能となる。従って、脱調の心配は全くなく
なる。
【0114】図3(B)におけるタイミングt11、t
31においても同様で、このタイミングでは信号CK−
Bが変化するが、この変化を励磁器2bの入力IN−B
へ出力するように制御器4bが動作したとすると、B相
巻線の励磁が切り換わり、その結果、それぞれのタイミ
ングの直前で可動子に働いていたトルクが逆方向に向け
て低下してしまう。つまり、タイミングt11、t31
で信号CK−Bに従って励磁信号IN−Bを発すること
は、可動子を正方向に継続駆動することにとって好まし
くない。
【0115】このように、信号CK−Bつまり駆動指令
信号DrBによってB相巻線の励磁切り換えを行うこと
が可動子の継続駆動に好ましくない場合、制御器4aと
同様、制御器4bは、信号CK−Bを励磁器2bの入力
IN−Bに即出力せず、位置検出器3bから生成される
信号CS−Bを励磁信号として励磁器2bの入力IN−
Bに出力するように動作する。
【0116】制御器4bがこのように動作することによ
って、B相巻線の励磁切り換えは信号CS−Bが変化す
るタイミングt12あるいはt32で行われることにな
り、図3(B)に示すように可動子を正方向に駆動する
ためのトルクとしては最大レベルの確保が可能となる。
従って、脱調の心配は全くなくなる。
【0117】以上、区間X1において動作説明を行った
が、図2(B)で示した他の区間X2、X3、X4につ
いても全く同様のことが言える。
【0118】ここで、モータを正方向に駆動する場合の
励磁タイミング制御器4a、4bの動作を整理すると以
下の通りである。
【0119】入力信号CK−A、CK−Bつまり駆動指
令信号DrA、DrBによってモータ1の各相駆動巻線
の励磁を切り換える場合、その切り換えによって発生ト
ルクが逆方向に向かい可動子の正方向への継続駆動にと
って好ましくないならば、入力信号CS−A、CS−B
つまり位置検出器3a、3bによって生成される信号を
励磁信号として励磁器2a、2bに出力する。一方、切
り換えによって発生トルクが逆方向に向かわず、可動子
の正方向への継続駆動にとって有効ならば、入力信号C
K−A、CK−Bつまり駆動指令信号DrA、DrBを
励磁信号として励磁器2a、2bに出力する。
【0120】また、図3(A)及び図3(B)において
はモータを正方向に駆動する場合を例に説明したが、負
方向に駆動する場合についても同様である。
【0121】図4(A)及び図4(B)は、可動子を負
方向に駆動する場合の動作を示す図であり、図3(A)
及び図3(B)と同様に区間X1付近の様子を示してい
る。
【0122】なお、図4(A)及び図4(B)において
は、記載の都合上、可動子の位置θの表現の方向が図3
(A)及び図3(B)と逆になっている。つまり可動子
が負方向に進行した場合を図の右方向、可動子が正方向
に進行した場合を図の左方向に対応させている。発生ト
ルクTの表現については、図3(A)及び図3(B)と
同様である。
【0123】負方向に駆動する場合は、制御器4a、4
bへ入力される信号CK−A、CK−Bつまり駆動指令
信号DrA、DrBの位相を逆転し、駆動指令信号Dr
A、DrBの位置検出信号CS−A、CS−Bに対する
遅れ、進みの関係を、信号CS−A、CS−Bの反転信
号に対して関係づけることを除いて、本質的に図3
(A)及び図3(B)に示した正方向に駆動する場合と
同様である。よって、詳細な説明は省略する。
【0124】なお、駆動指令信号DrA、DrBの位相
を逆転するのは駆動巻線によって生じる磁界の回転方向
を反転するためであり、また信号DrA、DrBの信号
CS−A、CS−Bに対する遅れ、進みの関係を、信号
CS−A、CS−Bの反転信号に対して関係づけるの
は、可動子を負方向に駆動させるために逆方向の発生ト
ルクTを所望のトルクの方向とするためである。
【0125】ここで、可動子を負方向に駆動する場合の
励磁タイミング制御器4a、4bの動作を整理すると以
下のようになる。
【0126】つまり、制御器4a、4bは、入力信号C
K−A、CK−Bつまり駆動指令信号DrA、DrBに
よって各相駆動巻線の励磁を切り換える場合、その切り
換えによって発生トルクが順方向に向かい、可動子の負
方向への継続駆動にとって好ましくないならば、入力信
号CS−A、CS−Bつまり位置検出器3a、3bによ
って生成される信号の反転信号を励磁信号として励磁器
2a、2bに出力する。また、駆動指令信号DrA、D
rBによる励磁の切り換えによって発生トルクが順方向
に向かうことがなく、可動子の負方向への駆動の継続に
とって有効であるならば、入力信号CK−A、CK−B
つまり駆動指令信号DrA、DrBを励磁信号として励
磁器2a、2bに出力するように動作する。
【0127】以上のように動作する制御器4a、4bを
設けることにより、ステップモータの特徴を生かしつつ
脱調の心配が全くないステップモータの制御が実現でき
る。
【0128】すなわち、駆動指令信号DrA、DrBの
周波数が比較的低い場合は、図3(A)又は図4(A)
で示した状態でモータ1は駆動されることになる。この
状態は図74(A)〜図74Dで示した第1の従来例と
同等の動作であり、信号DrA、DrBの周波数によっ
て回転速度が容易に制御できることを意味している。つ
まり、極めて簡単なシステムで速度制御や位置決め制御
が安価に実現できるというステップモータの最大の特徴
は継承している。
【0129】また、駆動指令信号DrA、DrBの周波
数が高い場合は、図3(B)又は図4(B)で示した状
態でモータ1は駆動される。この状態はいわゆるDCブ
ラシレスモータと同等の動作であり、可動子を駆動する
ためのトルクとしては最大レベルの確保が可能で、脱調
現象は本質的にない。
【0130】以上のように第1の実施例におけるステッ
プモータ装置では、駆動指令信号DrA、DrBによっ
て各相駆動巻線の励磁を切り換える場合に、発生トルク
が可動子を所望の方向へ駆動するために好ましくない方
向に向かうならば、位置検出器3a、3bによって生成
される信号が励磁信号として励磁器2a、2bに出力さ
れる。一方、発生トルクが可動子を所望の方向へ駆動す
るために有効な方向に向かうならば、駆動指令信号Dr
A、DrBが励磁信号として励磁器2a、2bに出力さ
れる。このように動作する励磁タイミング制御器4a、
4bを設けたことにより、駆動指令信号DrA、DrB
の周波数が比較的低い場合は、従来のステップモータと
同等の動作を行い、駆動指令信号DrA、DrBの周波
数が高い場合は、DCブラシレスモータと同等の動作を
行わせることが可能となる。すなわち、駆動指令信号D
rA、DrBの周波数によって回転速度が容易に制御で
き、極めて簡単なシステムで速度制御や位置決め制御が
安価に実現できるというステップモータの最大の特徴は
継承すると共に、駆動指令信号DrA、DrBが高周波
数となった場合においても脱調現象が本質的にないステ
ップモータ装置が実現できる。
【0131】なお、本第1の実施例において、励磁タイ
ミング制御器4a、4bの動作は、図3(A)、図3
(B)あるいは図4(A)、図4(B)から明らかなよ
うに、具体的には以下に述べる遅れ信号優先通過器5
a、5bとして構成できる。
【0132】すなわち、図3(A)、図3(B)あるい
は図4(A)、図4(B)において、制御器4a、4b
に入力される信号CS−A、CS−B及び信号CK−
A、CK−Bと、励磁信号として励磁器2a、2bの入
力IN−A、IN−Bに出力される信号との間には次の
関係がある。
【0133】まず、可動子を正方向に駆動する場合を示
した図3(A)及び図3(B)においては、図3(A)
ように信号CK−A、CK−Bが、信号CS−A、CS
−Bに対して遅れたタイミングで入力された場合は、励
磁器2a、2bの入力IN−A、IN−Bにはそれぞれ
信号CK−A、CK−Bと同じタイミングの信号が出力
される。一方、図3(B)のように信号CK−A、CK
−Bが、信号CS−A、CS−Bに対して進んだタイミ
ングで入力された場合は、励磁器2a、2bの入力IN
−A、IN−Bにはそれぞれ信号CS−A、CS−Bと
同じタイミングの信号が出力される。つまり、可動子を
正方向に駆動する場合、信号CK−A、CK−Bと信号
CS−A、CS−Bのうち入力タイミングの遅い方の信
号が励磁器2a、2bの入力IN−A、IN−Bに出力
される。
【0134】また、可動子を負方向に駆動する場合を示
した図4(A)及び図4(B)においては、図4(A)
のように信号CK−A、CK−Bが、信号CS−A、C
S−Bを反転した信号に対して遅れたタイミングで入力
された場合は、励磁器2a、2bの入力IN−A、IN
−Bにはそれぞれ信号CK−A、CK−Bと同じタイミ
ングの信号が出力される。一方、図4(B)のように信
号CK−A、CK−Bが、信号CS−A、CS−Bを反
転した信号に対して進んだタイミングで入力された場合
は、励磁器2a、2bの入力IN−A、IN−Bにはそ
れぞれCS−A、CS−Bを反転した信号と同じタイミ
ングの信号が出力される。つまり、可動子を負方向に駆
動する場合、信号CK−A、CK−Bと信号CS−A、
CS−Bを反転した信号のうち入力タイミングの遅い方
の信号が励磁器2a、2bの入力IN−A、IN−Bに
出力される。
【0135】このような入力と出力との関係を有するも
のとして、図5に示すような遅れ信号優先通過器5a、
5bを設けることで励磁タイミング制御器4a、4bは
容易に具現化できる。
【0136】遅れ信号優先通過器5a、5bは、より具
体的には次の相互ラッチ器50a、50bにより構成で
きる。
【0137】図6(A)は、相互ラッチ器50aの具体
的構成図である。
【0138】なお、相互ラッチ器50bは、50aと同
様であるため、説明を省略する。
【0139】図6(A)において、正逆転対応器51
は、入力信号FRによって信号CS−(A)を反転して
出力するか非反転で出力するかを制御できるように構成
されている。
【0140】ここで、入力信号FRは、モータを正負い
ずれの方向に駆動させようとしているかによって定まる
信号であり、駆動指令信号Dr(A)、DrBの位相関
係(進みor遅れ)を検出することで容易に生成すること
ができる。
【0141】両エッジ検出器521及び522は、信号
CS−A側と信号CK−A側にそれぞれ設けられ、信号
CS−Aあるいは信号CK−Aの論理が“L”から
“H”あるいは“H”から“L”に変化する毎にパルス
を出力する。両エッジ検出器521の後部に設けられた
Dタイプフリップフロップ531は、両エッジ検出器5
21が出力するパルス信号により信号CK−Aをラッチ
する。両エッジ検出器522の後部に設けられたDタイ
プフリップフロップ532は、両エッジ検出器522が
出力するパルス信号により信号CS−Aをラッチする。
【0142】Dタイプフリップフロップ531及び53
2の出力は、ORゲート54あるいはNANDゲート5
5を介して片エッジ検出器561、562にそれぞれ入
力される。ここで片エッジ検出器561、562は、入
力信号が“L”から“H”に変化するタイミングでパル
スを発生するように構成されている。片エッジ検出器5
61、562が出力するエッジ検出パルス信号は、RS
フリップフロップ57のセット入力ならびにリセット入
力にそれぞれ入力される。そしてRSフリップフロップ
57の出力は、相互ラッチ器50aの出力を成す。
【0143】以上のように構成された相互ラッチ器50
aについて、以下に動作を説明する。
【0144】まずモータを正方向に駆動する場合の動作
を説明する。
【0145】モータが正方向に駆動される場合、正逆転
対応器51は、FR信号により信号CS−Aを非反転の
まま後部に伝える。したがって、図7(A)、図7
(B)に示すように、相互ラッチ器50aは、駆動指令
信号DrAつまり信号CK−Aが変化するタイミングで
位置検出信号CS−Aのレベルをラッチし、位置検出信
号CS−Aが変化するタイミングで駆動指令信号DrA
つまり信号CK−Aのレベルをラッチする。 ここで図
7(A)は、信号CK−Aが信号CS−Aに対して遅れ
ている場合の動作を示しており、図7(B)は、信号C
K−Aが信号CS−Aに対して進んでいる場合の動作を
示している。
【0146】図7(A)、図7(B)ら明らかなよう
に、励磁器2aに出力される励磁信号IN−Aは、両者
の信号のうち遅れている方の信号となっており、相互ラ
ッチ器50aが遅れ信号優先通過器5aとしての動作を
していることがわかる。
【0147】信号CS−B、CK−B、IN−Bについ
ても同様であり、相互ラッチ器50bにおいても遅れ信
号優先通過器5bとしての動作をすることは明らかであ
る。
【0148】つぎにモータを負方向に駆動する場合の動
作を説明する。
【0149】モータが負方向に駆動される場合、正逆転
対応器51は、FR信号により信号CS−Aを反転して
後部に伝える動作をする。したがって、図8(A)、図
8(B)に示すように、相互ラッチ器50aは、駆動指
令信号DrAつまり信号CK−Aが変化するタイミング
で位置検出信号CS−Aのレベルを反転してラッチし、
位置検出信号CS−Aが変化するタイミングで前記駆動
指令信号DrAつまり信号CK−Aのレベルをラッチす
る。
【0150】ここで図8(A)は、信号CK−AがCS
−Aの反転信号に対して遅れている場合の動作を示して
おり、図8(B)は、信号CK−AがCS−Aの反転信
号に対して進んでいる場合の動作を示している。
【0151】図8(A)、図8(B)から明らかなよう
に、励磁器2aに出力される励磁信号IN−Aは、両者
の信号(信号CK−AとCS−Aの反転信号)のうち遅
れている方の信号となっており、相互ラッチ器50aが
遅れ信号優先通過器5aとしての動作をしていることが
わかる。
【0152】信号CS−B、CK−B、IN−Bについ
ても同様であり、相互ラッチ器50bにおいても遅れ信
号優先通過器5bとしての動作をすることは明らかであ
る。
【0153】以上のように、遅れ信号優先通過器5a、
5bを相互ラッチ器50a、50bにより構成すること
が可能である。
【0154】特に、相互ラッチ器50a、50bは、駆
動指令信号DrA、DrB(つまり、信号CK−A、C
K−B)と位置検出信号CS−A、CS−Bとを切り換
えて励磁信号IN−A、IN−Bを得ているわけではな
いので、駆動指令信号と位置検出信号との進み遅れの関
係が急激に反転した際においても、励磁信号の移行がス
ムーズにかつシームレスに行われ、より一層ステップモ
ータの制御性を安定化することができる。
【0155】ここで、遅れ信号優先通過機5a、5b
は、上記図6(A)に示す相互ラッチ器50a及び50
bの代わりに、図6(B)に具体構成例を示す相互信号
選択器60a、60bを使用しても良い。
【0156】図6(B)において、相互信号選択器60
aの構成は次の通りである。
【0157】なお、相互信号選択器60bは、60aと
同様であるため、説明を省略する。
【0158】相互信号選択器60aにおいて、信号CS
−A、CK−Aはそれぞれ両エッジ検出器61、62を
介してRSフリップフロップ63のセット入力およびリ
セット入力に入力される。
【0159】選択器65は、信号CS−Aと信号CK−
Aとが入力され、RSフリップフロップ63がセットさ
れると信号CK−Aを選択して出力し、リセットされる
と信号CS−Aを選択して出力するように構成される。
【0160】選択器66は、信号CS−Aを反転ゲート
64により反転した信号と信号CK−Aとが入力され、
RSフリップフロップ63がセットされると信号CK−
Aを選択して出力し、リセットされると信号CS−Aを
反転した信号を選択して出力するように構成される。
【0161】選択器67は、選択器65の出力信号と選
択器66の出力信号とが入力され、入力信号FRによっ
て、いずれかの信号を選択して出力するように構成され
る。
【0162】ここで、入力信号FRは、モータを正負い
ずれの方向に駆動させようとしているかによって定まる
信号であり、駆動指令信号DrA、DrBの位相関係
(進みor遅れ)を検出することで容易に生成することが
できる。
【0163】選択器67の出力は、相互信号選択器60
aの出力を成す。
【0164】以上のように構成された相互信号選択器6
0aについて、以下に動作を説明する。
【0165】信号CS−Aのレベルが“H”から“L”
あるいは“L”から“H”に変化すると、両エッジ検出
器61はRSフリップフロップ63にセットパルスを出
力する。これにより、RSフリップフロップ63はセッ
トされる。このとき選択器65は、信号CK−Aを選択
して出力する。また選択器66も信号CK−Aを選択し
て出力する。
【0166】信号CK−Aのレベルが“H”から“L”
あるいは“L”から“H”に変化すると、両エッジ検出
器62はRSフリップフロップ63にリセットパルスを
出力する。これにより、RSフリップフロップ63はリ
セットされる。このとき選択器65は、信号CS−Aを
選択して出力する。また選択器66は、信号CS−Aを
反転した信号を選択して出力する。
【0167】つまり選択器65の出力は、信号CS−A
の変化時に信号CK−Aとなり、信号CK−Aの変化時
に信号CS−Aとなるよう動作する。
【0168】また選択器66の出力は、信号CS−Aの
変化時に信号CK−Aとなり、信号CK−Aの変化時に
信号CS−Aを反転した信号となるよう動作する。
【0169】モータを正方向に駆動させる場合、入力信
号FRにより選択器67は選択器65の出力を選択して
出力し、これを相互信号選択器60aの出力とする。
【0170】また、モータを負方向に駆動させる場合、
入力信号FRにより選択器67は選択器66の出力を選
択して出力し、これを相互信号選択器60aの出力とす
る。すなわち、この相互信号選択器60aは、モータを
正方向に駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミ
ングで位置検出信号を選択して出力し、位置検出信号が
変化するタイミングで駆動指令信号を選択して出力す
る。一方、モータを負方向に駆動する場合、駆動指令信
号が変化するタイミングで位置検出信号を反転した信号
を選択して出力し、位置検出信号が変化するタイミング
で駆動指令信号を選択して出力する。
【0171】以上の説明から、相互信号選択器60aの
入力と出力との関係は、図7(A)、図7(B)、図8
(A)、図8(B)に示したものと同じであり、先に説
明した相互ラッチ器50aと同様、遅れ信号優先通過器
5aとして動作し得ることがわかる。
【0172】信号CS−B、CK−B、IN−Bについ
ても同様であり、相互信号先覚器60bにおいても遅れ
信号優先通過器5bとしての動作をすることは明らかで
ある。
【0173】この相互信号選択器60a、60bにおい
ても、先に説明した相互ラッチ器50a、50bと同
様、駆動指令信号DrA、DrB(つまり、信号CK−
A、CK−B)と位置検出信号CS−A、CS−Bとを
切り換えて励磁信号IN−A、IN−Bを得ているわけ
ではないので、駆動指令信号と位置検出信号との進み遅
れの関係が急激に反転した際においても、励磁信号の移
行がスムーズにかつシームレスに行われ、より一層ステ
ップモータの制御性を安定化することができる。
【0174】さらに本第1の実施例によると、位置検出
器3a、3bとして、高価で形状も比較的大きなエンコ
ーダやレゾルバなどを用いる必要はなく、小型で安価な
ホール素子を用いることが可能である。したがって、位
置検出器(ホール素子)のモータへの取り付けスペース
も僅かで済み、脱調しないステップモータ装置を従来の
ステップモータと遜色ない大きさとコスト(小型で安
価)で実現可能である。
【0175】また、その位置検出器の分解能は決して高
くある必要はない。
【0176】もちろん、位置検出器3a、3bにエンコ
ーダやレゾルバなどを用いることは、技術的には何ら問
題ないことは言うまでもない。
【0177】また本第1の実施例においては、位置検出
器3aと励磁タイミング制御器4a、また位置検出器3
bと励磁タイミング制御器4bを、それぞれの相(A相
及びB相)に独立して設けた構成としているため、励磁
タイミングの制御に際しての信号処理は各相毎に完全に
独立して行うことができる。
【0178】したがって、励磁タイミング制御器は、他
の相と各種信号処理を連動させる必要はなく、シンプル
に構成することができ、さらに、相数の多いステップモ
ータへの適用も容易となる。つまり相数の多いステップ
モータに適用する場合は、位置検出器と励磁タイミング
制御器を相数に対応して独立に設けることで容易に対応
できる。 (第2の実施例)上記第1の実施例では2相ステップモ
ータを例に説明したが、本発明は、3相以上のステップ
モータにおいても適用は容易で、脱調しない多相ステッ
プモータが実現可能である。
【0179】図9に、第2の実施例として3相ステップ
モータに適用した場合を示す。
【0180】図9において、各相駆動指令信号生成器6
は、駆動指令信号Dr及びモータの駆動方向指令信号F
Rとを入力し、各相に対応した駆動指令信号DrA、D
rB、DrCを生成する。この信号生成器6は、具体的
には3相のリングカウンタなどにより構成でき、信号D
rA、DrB、DrCは互いに120度の位相差を有す
る信号である。
【0181】励磁器21は、3相分の励磁器21a、2
1b、21cからなる。これら励磁器は、図1に示した
第1の実施例における励磁器2a、2bに相当する働き
をするものである。
【0182】その他の部分は、図1に示した第1の実施
例の構成図と基本的に同じで同一機能を有する部分につ
いては同一の符号を付してある。なお、図9ではモータ
1が3相であるため、3相目を制御するための構成要素
としては末尾に“C”の文字を付して示している。
【0183】4相あるいは5相のステップモータにおい
ても同様に適用可能である。
【0184】ここで、ステップモータを多相化していく
と位置検出器の数がそれに伴って増加し、大きさとコス
トに影響を及ぼすが、これに関しては、位置検出器の数
を削減するための下記に示す方法が考えられる。
【0185】一つ目は、位置検出器をホール素子で実現
する場合、一部のホール素子を削減し、削減したホール
素子が出力すべき位置検出信号を残りのホール素子の信
号により擬似的に生成する方法である。
【0186】この場合、擬似的に信号を生成するには、
残りのホール素子の信号を時間的に遅延する方法や残り
のホール素子の信号を合成する方法などがある。
【0187】二つ目には、位置検出器をホール素子とM
R素子等で構成した簡易なエンコーダにより実現し、こ
れらの素子からの信号により各相に対応する位置検出信
号を生成する方法である。
【0188】これらの周知の技術によって、位置検出器
の数を削減することは容易に実現でき、大きさとコスト
に影響を及ぼさないように多相のステップモータに適用
することも可能である。 (第3の実施例)図10は、第3の実施例におけるステ
ップモータ装置の構成図である。
【0189】図10において、2相ステップモータ1、
位置検出器3a、3bは、図1に示した第1の実施例の
ものと同様のものである。位置検出器3a、3bは、例
えばホール素子などで構成される。
【0190】励磁電流制御器7は、位置検出器3a、3
bの位置検出信号CS−A、CS−Bと駆動指令信号D
rA、DrBとを入力し、それらの位相差に応じた励磁
電流制御信号Refを、電流値信号Ref−A、Ref
−Bとして励磁器2a、2bへ出力するように構成され
ている。
【0191】以上のように構成された本第3の実施例に
おけるステップモータ装置について、図2(A)、図2
(B)、図11(A)〜図15(B)を用いて説明す
る。
【0192】なお、これらの図において、可動子の位置
θと発生トルクTとの関係をいくつか記しているが、可
動子の位置θの方向及び発生トルクTの働く方向の定義
は、上述した第1の実施例の場合と同様である。
【0193】本第3の実施例における位置検出信号CS
−A、CS−BとA相及びB相巻線を励磁したときの発
生トルクTとの関係は、図2(A)及び図2(B)に示
す第1の実施例の場合と同様である。したがって、その
説明を省く。
【0194】図10において、本第3の実施例における
励磁電流制御器7について説明する。
【0195】励磁電流制御器7は次の構成要素から構成
される。すなわち、位置検出信号CS−Aと駆動指令信
号DrAとを入力信号CS−Ap及びCK−Apとし、
これらの信号の位相差を検出する位相差検出器7aと;
位置検出信号CS−Bと駆動指令信号DrBとを入力信
号CS−Bp及びCK−Bpとし、これらの信号の位相
差を検出する位相差検出器7bと;位相差検出器7a、
7bからの位相差検出信号を増幅して、励磁電流制御信
号Refを出力する位相差増幅器8とにより構成され
る。
【0196】ここで、位相差検出器7aは、その信号C
S−ApとCK−Apとの位相差を検出し、信号CS−
Apに対する信号CK−Apの位相が遅れている場合、
その遅れの大きさに応じたパルス幅を有する指令遅れ信
号RN−Aを出力する。一方、信号CS−Apに対する
信号CK−Apの位相が進んでいる場合、その進みの大
きさに応じたパルス幅を有する指令進み信号RP−Aを
出力する。これら信号RN−A及び信号RP−Aは、検
出器7aから出力される位相差検出信号となる。検出器
7bにおいても、検出器7aと同様である。
【0197】また、位相差増幅器8は、指令遅れ信号R
N−A及びRN−Bのうちいずれかの信号が発生してい
るとき励磁電流制御信号Refを減少させ、指令進み信
号RP−A及びRP−Bのうちいずれかの信号が発生し
ているとき信号Refを増加させる。具体的には、例え
ば図10に示すように、論理和ゲート81、82とチャ
ージポンプ回路83と絶対値回路88とを用いて構成す
ることができる。なお、チャージポンプ回路83は、論
理和ゲート81、82により制御される電流源84、8
5、積分アンプ86及びは積分用コンデンサ87で構成
される。
【0198】以上のように構成された励磁電流制御器7
の動作を整理すると、図11(A)及び図11(B)に
示すようになる。
【0199】図11(A)は、位置検出信号CS−A、
CS−Bに対して駆動指令信号DrA、DrBが遅れて
いる場合の動作を示す。図11(B)は、位置検出信号
CS−A、CS−Bに対して駆動指令信号DrA、Dr
Bが進んでいる場合の動作を示す。
【0200】以上、図2(A)及び図2(B)に示した
各相駆動巻線を励磁したときの発生トルクと位置検出信
号CS−A、CS−Bとの関係と、図11(A)及び図
11(B)に示した励磁電流制御器7の動作とを踏まえ
て、以下に本第3の実施例におけるステップモータ装置
全体の動作を説明する。
【0201】説明を簡単にするため、図2(B)に示し
た区間X1付近における動作についてのみ説明する。
【0202】図12(A)、図12(B)、図13
(A)及び図13(B)は、区間X1付近における本第
3の実施例におけるステップモータ装置の動作を説明す
る動作説明図である。
【0203】区間X1においては、信号CS−Aが
“L”レベルから“H”レベルに変化し、信号CS−B
は“L”レベルとなっている。
【0204】図12(A)、図12(B)においては、
特に、可動子が所望の方向として正方向に駆動され、信
号CS−A、CS−Bに対して信号DrA、DrBが遅
れている場合について説明している。
【0205】一般に信号DrA、DrBの周波数が低い
ときあるいは負荷が軽くなったとき、図12(A)に示
すように、信号DrA、DrBは、信号CS−A、CS
−Bよりも遅れた位相となる。
【0206】図12(A)において、タイミングt11
以前は、駆動指令信号DrAつまり励磁信号IN−Aは
“L”レベルであり、駆動指令信号DrBつまり励磁信
号IN−Bは“H”レベルである。したがって、このと
き可動子には“−Ta+Tb”で示されるトルクが働い
ている。
【0207】そして、タイミングt11においては、信
号IN−Bが“H”レベルから“L”レベルへと変化
し、B相巻線に対して励磁切り換えが行われ、その励磁
極性が変わる。このとき可動子に働くトルクは、“−T
a−Tb”で示されるトルクへと順方向に向けて更新さ
れるが、この励磁切り換えによるトルク更新は、可動子
を所望の方向である正方向に駆動するのに有効である。
以後、タイミングt21、t31においても同様にトル
クは順方向に向けた有効な更新が行われ、可動子は正方
向に向けて駆動される。
【0208】本第3の実施例においては、上記した励磁
切り換え動作と併せて、駆動巻線の励磁電流を先に説明
した励磁電流制御器7により制御している。
【0209】さて、上記した励磁切り換えについて、今
一度確認すると、信号DrA、DrBが、信号CS−
A、CS−Bに対して遅れた位相となっているとき、信
号DrA、DrBによる巻線の励磁切り換えは、モータ
を所望の方向である正方向に駆動するのに有効な方向に
トルクを向かわせる励磁切り換えであることがわかる。
【0210】逆に言えば、信号DrA、DrBによる巻
線の励磁切り換えが、モータを所望の正方向に駆動する
のに有効な励磁切り換えとなる場合、信号DrA、Dr
Bは信号CS−A、CS−Bに対して遅れた位相となっ
ている。
【0211】したがって、上記した有効な励磁切り換え
が行われる際には、励磁電流制御器7は、信号DrA、
DrBつまり信号CK−Ap、CK−Bpが、信号CS
−A、CS−Bつまり信号CS−Ap、CS−Bpに対
して位相遅れであることを検出し、これに応じて信号R
efを減少するよう動作する。
【0212】図12(A)はその様子を詳細に示してい
る。
【0213】図12(A)においては、入力信号CK−
Ap、CK−Bpが、入力信号CS−Ap、CS−Bp
に対して位相遅れであると検出され、両信号の位相差に
応じたパルス幅の指令遅れ信号RN−A、RN−Bが出
力される。なお、このとき指令進み信号RP−A、RP
−Bは出力されない。
【0214】指令遅れ信号RN−A、RN−Bが出力さ
れると、位相差増幅器8の作用により励磁電流制御信号
Refは減少方向に向かい、これによって巻線の最大励
磁電流が減少する。なお、巻線の最大励磁電流は、可動
子の位置θに対する発生トルクTのピーク値とほぼ比例
関係にあることは周知の通りである。
【0215】したがって、可動子を駆動するための発生
トルクTのピーク値が、図12(A)に示すように信号
Refの減少と共に減少していく。
【0216】一方、発生トルクTの平均値Tavrは、
負荷トルクと釣り合うべきものであり、ステップモータ
においては発生トルクの平均値Tavrが、負荷トルク
とほぼ同じとなるように可動子の位置θと駆動指令信号
DrA、DrBのタイミングとの関係が自動的に定まる
ようになっている。これはステップモータが本来備えて
いる性質である。
【0217】このことはすなわち、負荷トルクと釣り合
う平均トルクTavrを得るために、発生トルクTのピ
ーク値が大きい程、可動子の位置θつまり位置検出信号
CS−A、CS−Bに対する駆動指令信号DrA、Dr
Bのタイミングの遅れが大きくなり、発生トルクTのピ
ーク値が小さい程、これらの遅れは小さくなるというこ
とを意味している。
【0218】また、発生トルクTのピーク値が小さく、
信号CS−A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの
タイミングの遅れが小さくなると、平均トルクTavr
は、発生トルクのピーク値に近づき、これに伴ってトル
クリップルも大幅に減少するということも言える。
【0219】このようなステップモータの性質を考慮す
ると、信号CS−A、CS−Bに対する信号DrA、D
rBのタイミングの遅れの大きさに応じて励磁電流を減
少するように制御すれば、信号CS−A、CS−Bに対
する信号DrA、DrBの遅れは小さくなる方向にフィ
ードバック制御することができる。そして、信号CS−
A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの遅れが小さ
くなれば、可動子及び負荷の駆動に必要な平均トルクT
avrは、発生トルクTのピーク値に近づき、トルクリ
ップルは非常に小さなものとすることができる。
【0220】この様子は、図12(B)に示す通りであ
る。
【0221】このようにトルクリップルが小さくなるこ
とで、モータの振動、騒音及び回転むらも小さくなり、
また結果として励磁電流は負荷に応じた必要最小限の値
に制御されるため、効率においても大幅に向上するとい
う効果が生まれる。
【0222】次に、可動子が正方向に駆動され、位置検
出信号CS−A、CS−Bに対して駆動指令信号Dr
A、DrBが進んでいる場合について、図13(A)及
び図13(B)を参照しながら説明する。
【0223】一般に、信号DrA、DrBの周波数が高
いときあるいは負荷が重くなったとき、図13(A)に
示すように、信号DrA、DrBは、信号CS−A、C
S−Bよりも進んだ位相となる。
【0224】図13(A)において、タイミングt11
以前は、信号DrAつまり励磁信号IN−Aは“L”レ
ベルであり、信号DrBつまり励磁信号IN−Bは
“H”レベルである。したがって、このとき可動子には
“−Ta+Tb”で示されるトルクが働いている。
【0225】そして、タイミングt11においては、信
号IN−Bが“H”レベルから“L”レベルへと変化
し、B相巻線の励磁極性が変わる。したがって、可動子
に働くトルクは“−Ta−Tb”で示されるトルクへと
更新される。以後、タイミングt21、t31において
も、同様にトルクが更新され可動子は駆動される。
【0226】このときの励磁切り換えは、逆方向に向け
たトルクの更新となり、可動子を所望の方向である正方
向に駆動するには好ましくない励磁切り換えである。つ
まり、従来例に示したように脱調を招く恐れがある励磁
切り換えである。
【0227】しかし、本第3の実施例においては、上述
の励磁電流制御器7により脱調に対する耐性を高めるこ
とが可能となる。
【0228】以下、このことについて説明するが、その
前に上記した励磁切り換えについて今一度確認すると、
駆動指令信号DrA、DrBが、位置検出信号CS−
A、CS−Bに対して進んだ位相となっているとき、信
号DrA、DrBによる駆動巻線の励磁切り換えは、モ
ータを所望の方向である正方向に駆動するのに好ましく
ない方向にトルクを向かわせる励磁切り換えであること
がわかる。
【0229】逆に言えば、信号DrA、DrBによる巻
線の励磁切り換えがモータを所望の正方向に駆動するの
に好ましくない励磁切り換えとなる場合、信号DrA、
DrBは、信号CS−A、CS−Bに対して進んだ位相
となっている。
【0230】したがって上記した好ましくない励磁切り
換えが行われる際には、制御器7は、信号DrA、Dr
Bつまり入力信号CK−Ap、CK−Bpが、信号CS
−A、CS−Bつまり入力信号CS−Ap、CS−Bp
に対して位相進みであることを検出し、これに応じて信
号Refを増加するよう動作する。
【0231】それでは、励磁電流制御器7により脱調に
対する耐性を高めることが可能となる理由について、図
13(A)、図13(B)及び図14を用いて説明す
る。
【0232】図13(A)において、入力信号CK−A
p、CK−Bpが、入力信号CS−Ap、CS−Bpに
対して位相進みであると検出され、両信号の位相差に応
じたパルス幅の指令進み信号RP−A、RP−Bが出力
される。なお、このとき指令遅れ信号RN−A、RN−
Bは出力されない。
【0233】指令進み信号RP−A、RP−Bが出力さ
れると、位相差増幅器8の作用により励磁電流制御信号
Refは増加方向に向かうように制御される。
【0234】この信号Refが増加方向に制御される
と、励磁器2a、2bの作用により巻線の最大励磁電流
が増加する。なお、巻線の最大励磁電流は、可動子の位
置θに対する発生トルクTのピーク値とほぼ比例関係に
あることは周知の通りである。
【0235】したがって、可動子を駆動するための発生
トルクTのピーク値が図13(A)に示すように信号R
efの増加と共に増加していく。
【0236】このとき、発生トルクTのピーク値が増加
することで、上述した好ましくない励磁切り換えが行わ
れた場合において、可動子の駆動トルクが逆方向に向か
うことを最小限に止めることができる。
【0237】すなわち、図14に、タイミングt21で
好ましくない励磁切り換えが行われたときの様子を拡大
して示すが、タイミングt21において逆方向に向けて
変化する発生トルクTは、信号Refを制御しないとき
には図14の破線で示すようにT1のレベルまで落ち込
むが、信号Refを制御して増加すると、トルクの落ち
込みはT2のレベルに止まることがわかる。(他のタイ
ミングにおいても同様である。)つまり、信号Refを
制御して発生トルクTのピーク値を増加することで、好
ましくない励磁切り換えが行われた場合においても、可
動子の駆動トルクが逆方向に向かうのを最小限に止める
ことができ、脱調に対する耐性を高めることが可能にな
る。
【0238】以上のように、信号CS−A、CS−Bに
対して信号DrA、DrBが進んでいる場合、励磁切り
換えによりトルクが逆方向に向かうのを最小限に止める
ように電流制御器7は動作するが、この動作は信号CS
−A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの進みが十
分に小さくなるまで行われる。つまり制御器7は、上記
の進みが十分小さくなるまで、巻線の励磁電流を増加し
続けるように動作する。
【0239】したがって、駆動指令信号の周波数が高い
あるいは負荷が重い状態が生じ、信号DrA、DrBが
信号CS−A、CS−Bに対して位相進みとなり、ステ
ップモータ駆動に好ましくない励磁切り換えが行われた
場合においても、制御器7の作用により、信号CS−
A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの進みが小さ
くなる方向にフィードバック制御されることになる。信
号CS−A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの進
みが小さくなれば、図13(B)に示すように、トルク
リップルは非常に小さなものとすることができる。
【0240】すなわち、脱調に対する耐性を高めるだけ
でなく、トルクリップルも小さくなり、これに波及して
モータの振動、騒音及び回転むらも小さくなるという効
果が生まれる。
【0241】また結果として、励磁電流は負荷に応じた
適正の値に制御されるため、効率においても大幅に向上
するという効果が生まれる。
【0242】以上、可動子を正方向に駆動する(所望の
方向を正方向とする)場合について説明したが、可動子
を負方向に駆動する(所望の方向を負方向とする)場合
においても同様である。
【0243】図15(A)及図15(B)は、可動子が
負方向に駆動され、位置検出信号CS−A、CS−Bに
対して駆動指令信号DrA、DrBが遅れている場合の
動作を示したものである。
【0244】図15(A)及図15(B)における動作
は、図12(A)及図12(B)に示した可動子が正方
向に駆動される場合の動作と基本的には同じであるた
め、詳細な説明は省略する。
【0245】なお、図15(A)及図15(B)におい
ては、記載の都合上、可動子の位置θの表現の方向が図
12(A)及図12(B)と逆になっている。つまり、
可動子が負方向に進行した場合を図の右方向、可動子が
正方向に進行した場合を図の左方向に対応させている。
発生トルクTの表現については、図12(A)及図12
(B)と同様である。
【0246】また、特に図解は行わないが、可動子が負
方向に駆動され、信号CS−A、CS−Bに対して信号
DrA、DrBが進んでいる場合の動作についても、図
13(A)及図13(B)に示した可動子が正方向に駆
動される場合の動作と基本的には同じである。
【0247】負方向に駆動する場合は、信号DrA、D
rBの位相を逆転し、信号DrA、DrBの信号CS−
A、CS−Bに対する遅れ、進みの関係を、信号CS−
A、CS−Bの反転信号に対して関係づけることを除い
て、本質的に図12(A)、図12(B)及び図13
(A)及図13(B)に示した正方向に駆動する場合と
同様である。
【0248】なお、信号DrA、DrBの位相を逆転す
るのは巻線によって生じる磁界の回転方向を反転するた
めであり、また信号DrA、DrBの信号CS−A、C
S−Bに対する遅れ、進みの関係を、信号CS−A、C
S−Bの反転信号に対して関係づけるのは、可動子を負
方向に駆動させるために逆方向の発生トルクTを所望の
トルクの方向とするためである。
【0249】負方向に駆動する場合の動作説明をもう少
し補足すると、信号DrA、DrBが、信号CS−A、
CS−Bを反転した信号に対して遅れた位相となってい
るとき、信号DrA、DrBによる巻線の励磁切り換え
は、モータを所望の方向である負方向に駆動するのに有
効な方向にトルクを向かわせる励磁切り換えとなる。
【0250】逆に言えば、信号DrA、DrBによる巻
線の励磁切り換えがモータを所望の負方向に駆動するの
に有効な励磁切り換えとなる場合、信号DrA、DrB
は信号CS−A、CS−Bを反転した信号に対して遅れ
た位相となる。
【0251】したがって上記した有効な励磁切り換えが
行われる際には、励磁電流制御器7は、信号DrA、D
rBつまり入力信号CK−Ap、CK−Bpが信号CS
−A、CS−Bつまり入力信号CS−Ap、CS−Bp
を反転した信号に対して位相遅れであることを検出し、
これに応じて励磁電流制御信号Refを減少するよう動
作することになる。(図15(A)、図15(B)に示
す動作がこれに当たる。)なおこのときの位相遅れは、
指令遅れ信号RN−A、RN−Bではなく指令進み信号
RP−A、RP−Bとして検出される。これは、これら
の信号がモータを正方向に駆動する場合に定義づけられ
ており、モータを負方向に駆動する場合はこれら進み信
号と遅れ信号との意味が入れ替わるためである。またモ
ータを負方向に駆動する場合、励磁電流制御信号Ref
は絶対値回路88の働きにより常に正の値を持つが、チ
ャージポンプ回路83の出力は負の値になっている。
【0252】つまり信号CK−Ap、CK−Bpが信号
CS−Ap、CS−Bpを反転した信号に対して位相遅
れであることが検出されると、信号RP−A、RP−B
が出力され、負の値を持つチャージポンプ回路83の出
力が正方向に向かい、その絶対値が減少する。この絶対
値は絶対値回路88により励磁電流制御信号Refとな
り、結局励磁電流制御信号Refは減少するよう動作す
ることになる。
【0253】また、信号DrA、DrBが、信号CS−
A、CS−Bを反転した信号に対して進んだ位相となっ
ているとき、信号DrA、DrBによる巻線の励磁切り
換えは、モータを所望の方向である負方向に駆動するの
に好ましくない方向にトルクを向かわせる励磁切り換え
となる。
【0254】逆に言えば、信号DrA、DrBによる巻
線の励磁切り換えが、モータを所望の負方向に駆動する
のに好ましくない励磁切り換えとなる場合、信号Dr
A、DrBは、信号CS−A、CS−Bを反転した信号
に対して進んだ位相となっている。
【0255】したがって、上記した好ましくない励磁切
り換えが行われる際には、励磁電流制御器7は、信号D
rA、DrBつまり入力信号CK−Ap、CK−Bp
が、信号CS−A、CS−Bつまり入力信号CS−A
p、CS−Bpを反転した信号に対して位相進みである
ことを検出し、これに応じて励磁電流制御信号Refを
増加するよう動作することになる。
【0256】なおこのときの位相進みは、先の理由によ
り指令進み信号RP−A、RP−Bではなく指令遅れ信
号RN−A、RN−Bとして検出される。また負方向に
駆動する場合、チャージポンプ回路83の出力は負の値
になっている。
【0257】つまり信号CK−Ap、CK−Bpが信号
CS−Ap、CS−Bpを反転した信号に対して位相進
みであることが検出されると、信号RN−A、RN−B
が出力され、負の値を持つチャージポンプ回路83の出
力がさらに負方向に向かい、その絶対値が増加する。こ
の絶対値は絶対値回路88により励磁電流制御信号Re
fとなり、結局励磁電流制御信号Refは増加するよう
動作することになる。
【0258】以上のように本第3の実施例のステップモ
ータ装置は、信号CS−A、CS−Bと、信号DrA、
DrBとの位相差に応じて巻線の最大励磁電流を制御す
る励磁電流制御器7を設けたことにより、トルクリップ
ルを小さくすることができる。同時にモータの振動、騒
音及び回転むらも小さくすることができる。また励磁電
流は、駆動指令信号の周波数あるいは負荷に応じた適正
の値に制御され、効率においても大幅な向上が可能にな
る。さらに脱調に対する耐性も大幅に高めることができ
る。 (第4の実施例)図16は、第4の実施例におけるステ
ップモータ装置の構成図である。
【0259】図16において、2相ステップモータ1、
励磁器2a、2b、位置検出器3a、3b及び励磁電流
制御器7は、図10に示した第3の実施例のものと同様
のものであり、詳細な説明は省略する。
【0260】励磁電流制御器7は、位置検出器3a、3
bからの位置検出信号CS−A、CS−Bと、駆動指令
信号DrA、DrBとを入力し、それら信号の位相差に
応じた励磁電流制御信号Refを、励磁器2a、2bに
対して電流値信号Ref−A、Ref−Bとして出力す
る。励磁タイミング制御器4a、4bは、信号CS−
A、CS−Bがそれぞれの入力CS−Ad、CS−Bd
に入力される。また、信号DrA、DrBがもう一方の
入力CK−Ad、CK−Bdにそれぞれ入力される。制
御器4a、4bは、励磁器2a、2bへ対して励磁信号
IN−A、IN−Bをそれぞれ出力する。
【0261】図16において、本第4の実施例が第3の
実施例と大きく異なるところは次の点である。すなわ
ち、第3の実施例では駆動指令信号DrA、DrBが、
直接、励磁器2a、2bに励磁信号IN−A、IN−B
として入力されるのに対して、本第4の実施例では励磁
タイミング制御器4a、4bにより、位置検出信号CS
−A、CS−Bの情報を用いてタイミング制御が施され
た励磁信号IN−A、IN−Bを励磁器2a、2bに入
力している点である。
【0262】以上のように構成された本第4の実施例に
ついて、図2(A)、図2(B)、図17(A)〜図2
0を用いて説明する。
【0263】なお、これらの図において、可動子の位置
θと発生トルクTとの関係をいくつか記しているが、可
動子の位置θの方向及び発生トルクTの働く方向の定義
は、上述した第1の実施例の場合と同様である。
【0264】本第4の実施例における位置検出信号CS
−A、CS−BとA相及びB相巻線を励磁したときの発
生トルクTとの関係は、図2(A)及び図2(B)に示
す第1の実施例の場合と同様である。したがって、その
説明を省く。
【0265】図16において、本第4の実施例における
励磁タイミング制御器4a、4bの動作について説明す
る。
【0266】説明に当たって、簡単のため、図2(B)
に示した区間X1付近における動作についてのみ説明す
る。
【0267】図17(A)及び図17(B)は、区間X
1付近における励磁タイミング制御器4a、4bの動作
説明図である。
【0268】区間X1においては、位置検出信号CS−
Aつまり信号CS−Adが“L”レベルから“H”レベ
ルに変化し、位置検出信号CS−Bつまり信号CS−B
dは“L”レベルとなっている。
【0269】図17(A)及び図17(B)において
は、特に、可動子が所望の方向として正方向に駆動され
る場合について説明している。
【0270】まず、図17(A)に示すように、駆動指
令信号DrA、DrBが、信号CS−Ad、CS−Bd
よりも遅れた位相で励磁タイミング制御器4a、4bの
入力CK−Ad、CK−Bdに入力されたときの動作を
説明する。(一般的に、駆動指令信号DrA、DrBの
周波数が低い時あるいは負荷が軽い時にこのような状態
となる。)図17(A)において、タイミングt21
は、信号CK−Adが、“L”レベルから“H”レベル
へと変化する点であるが、まずこのタイミングの動作に
ついて説明する。
【0271】タイミングt21の直前は、励磁信号IN
−A、IN−Bは共に“L”レベルであり、この励磁信
号に基づいて励磁器2a、2bはA相巻線、B相巻線共
にマイナスの励磁を行っている。したがって、このとき
可動子には“−Ta−Tb”で示されるトルクが働いて
いる。
【0272】タイミングt21で信号CK−Adのレベ
ルが、“L”レベルから“H”レベルへと変化するが、
この変化を励磁器2aの入力IN−Aへ出力するように
励磁タイミング制御器4aが動作したとすると、A相巻
線はプラスに励磁され、その結果、可動子には“Ta−
Tb”で示されるトルクが働くことになる。
【0273】このときタイミングt21で可動子に働く
トルクは、タイミングt21の直前と比べて順方向に向
けて増加することになり、可動子の正方向への駆動を継
続するための励磁信号IN−Aの切り換えとしては有効
な切り換えである。
【0274】このように、信号CK−Adつまり駆動指
令信号DrAによってA相巻線の励磁切り換えを行うこ
とが、可動子の継続駆動に有効である場合、信号CK−
Adを励磁器2aの入力IN−Aに出力するように制御
器4aは動作する。
【0275】図17(A)におけるタイミングt11、
t31においても同様で、このタイミングでは信号CK
−Bdが変化するが、この変化を励磁器2bの入力IN
−Bへ出力するように制御器4bが動作したとすると、
B相巻線の励磁が切り換わり、その結果、それぞれのタ
イミングの直前で可動子に働いていたトルクよりも順方
向に向けて増加するトルクが発生することになる。つま
り、タイミングt11、t31で信号CK−Bdに従っ
て励磁信号IN−Bを発することは、可動子の正方向へ
の駆動の継続にとって有効であると言える。
【0276】このように、制御器4aと同様、励磁タイ
ミング制御器4bにおいても、信号CK−Bdつまり駆
動指令信号DrBによってB相巻線の励磁切り換えを行
うことが可動子の継続駆動に有効である場合、信号CK
−Bdを励磁器2bの入力IN−Bに出力するように動
作する。
【0277】つぎに、図17(B)に示すように、信号
DrA、DrBが、信号CS−Ad、CS−Bdよりも
進んだ位相で制御器4a、4bの入力CK−Ad、CK
−Bdに入力されたときの動作を説明する。(一般的
に、信号DrA、DrBの周波数が高い時あるいは負荷
が重い時このような状態となる。)図17(B)におい
て、タイミングt21は、信号CK−Adが“L”レベ
ルから“H”レベルへと変化する点であるが、まずこの
タイミングの動作について説明する。
【0278】タイミングt21の直前は、励磁信号IN
−A、IN−Bは共に“L”レベルであり、この励磁信
号に基づいて励磁器2a、2bはA相巻線、B相巻線共
にマイナスの励磁を行っている。したがって、このとき
可動子には“−Ta−Tb”で示されるトルクが働いて
いる。
【0279】タイミングt21で信号CK−Adのレベ
ルが“L”レベルから“H”レベルへと変化するが、こ
の変化を励磁器2aの入力IN−Aへ出力するように制
御器4aが動作したとすると、A相巻線はプラスに励磁
され、その結果可動子には“Ta−Tb”で示されるト
ルクが働くことになる。
【0280】このときタイミングt21で可動子に働く
トルクは、タイミングt21の直前と比べて大きさは順
方向ではあるが逆方向に向けて低下することになり、可
動子の正方向への駆動を継続するための励磁信号IN−
Aの切り換えとしては好ましくない切り換え(図17
(B)において×印を付した切り換え)である。そして
この切り換えは、従来例で説明した通り、脱調を引き起
こす原因ともなる。
【0281】さらに、信号CK−Adが変化するタイミ
ングがt21Fまで早まった場合のトルクは、大きさに
おいても逆方向となり、脱調を引き起こすきっかけを更
に増大させることになる。
【0282】このように、信号CK−Adつまり駆動指
令信号DrAによってA相巻線の励磁切り換えを行うこ
とが、可動子の継続駆動に好ましくない場合、制御器4
aは信号CK−Adを励磁器2aの入力IN−Aに即出
力せず、信号CS−Aつまり信号CS−Adを励磁信号
として励磁器2aの入力IN−Aに出力するように動作
する。
【0283】制御器4aが、このように動作することに
よって、A相巻線の励磁切り換えは、信号CS−Adが
“L”レベルから“H”レベルへと変化するタイミング
t22で行われることになり、図17(B)に示す如く
可動子を正方向に駆動するためのトルクとしては最大レ
ベルの確保が可能となる。したがって、脱調の心配は全
くなくなる。
【0284】図17(B)におけるタイミングt11、
t31においても同様で、このタイミングでは信号CK
−Bdが変化するが、この変化を励磁器2bの入力IN
−Bへ出力するように制御器4bが動作したとすると、
B相巻線の励磁が切り換わり、その結果それぞれのタイ
ミングの直前で可動子に働いていたトルクが逆方向に向
けて低下してしまうことになる。つまり、タイミングt
11、t31で信号CK−Bdに従って励磁信号IN−
Bを発することは、可動子を正方向に継続駆動すること
にとって好ましくないと言える。
【0285】このように、信号CK−Bdつまり駆動指
令信号DrBによってB相巻線の励磁切り換えを行うこ
とが可動子の継続駆動に好ましくない場合、制御器4a
と同様、励磁タイミング制御器4bにおいても、信号C
K−Bdを励磁器2bの入力IN−Bに即出力せず、信
号CS−Bつまり信号CS−Bdを励磁信号として励磁
器2bの入力IN−Bに出力するように動作する。
【0286】制御器4bがこのように動作することによ
って、B相巻線の励磁切り換えは、信号CS−Bdが変
化するタイミングt12あるいはt32で行われること
になり、図17(B)に示す如く可動子を正方向に駆動
するためのトルクとしては最大レベルの確保が可能とな
る。したがって、脱調の心配は全くなくなる。
【0287】以上、区間X1において動作説明を行った
が、図2(B)で示した他の区間X2、X3、X4につ
いても全く同様のことが言える。
【0288】ここで、モータを正方向に駆動する場合の
励磁タイミング制御器4a、4bの動作を整理すると以
下の通りである。
【0289】入力信号CK−Ad、CK−Bdつまり駆
動指令信号DrA、DrBによってモータ1の各相駆動
巻線の励磁を切り換える場合、その切り換えによって発
生トルクが逆方向に向かい可動子の正方向への継続駆動
にとって好ましくないならば、入力信号CS−Ad、C
S−Bdつまり位置検出器3a、3bによって生成され
る信号を励磁信号として励磁器2a、2bに出力する。
一方、切り換えによって発生トルクが逆方向に向かわ
ず、可動子の正方向への継続駆動にとって有効ならば、
入力信号CK−Ad、CK−Bdつまり駆動指令信号D
rA、DrBを励磁信号として励磁器2a、2bに出力
する。
【0290】より具体的に言い換えれば、制御器4a、
4bは、信号DrA、DrBと信号CS−A、CS−B
のうち、遅れている方の信号を励磁信号として出力する
よう動作するものである。
【0291】また、図17(A)及び図17(B)にお
いてはモータを正方向に駆動する場合(所望の方向を正
方向とする場合)を例に説明したが、負方向に駆動する
場合(所望の方向を負方向とする場合)についても同様
である。
【0292】特に図解は行わないが、負方向に駆動する
場合は、制御器4a、4bへ入力される信号CK−A
d、CK−Bdつまり信号DrA、DrBの位相を逆転
し、信号DrA、DrBの信号CS−A、CS−Bに対
する遅れ、進みの関係を、信号CS−A、CS−Bの反
転信号に対して関係づけることを除いて、本質的に図1
7(A)及び図17(B)に示した正方向に駆動する場
合と同様である。
【0293】なお、信号DrA、DrBの位相を逆転す
るのは巻線によって生じる磁界の回転方向を反転するた
めである。また、信号DrA、DrBの信号CS−A、
CS−Bに対する遅れ、進みの関係を、信号CS−A、
CS−Bの反転信号に対して関係づけるのは、可動子を
負方向に駆動させるために逆方向の発生トルクTを所望
のトルクの方向とするためである。
【0294】ここで、可動子を負方向に駆動する場合の
制御器4a、4bの動作を整理すると以下のようにな
る。
【0295】つまり、制御器4a、4bは、信号CK−
Ad、CK−Bdつまり信号DrA、DrBによって各
相駆動巻線の励磁を切り換える場合、その切り換えによ
って発生トルクが順方向に向かい、可動子の負方向への
継続駆動にとって好ましくないならば、信号CS−A
d、CS−Bdつまり位置検出器3a、3bによって生
成される信号を反転した信号を励磁信号として励磁器2
a、2bに出力する。また、信号DrA、DrBによる
励磁の切り換えによって発生トルクが順方向に向かうこ
とがなく、可動子の負方向への駆動の継続にとって有効
であるならば、信号CK−Ad、CK−Bdつまり信号
DrA、DrBを励磁信号として励磁器2a、2bに出
力するように動作するものである。
【0296】より具体的に言い換えれば、制御器4a、
4bは信号DrA、DrBと信号CS−A、CS−Bを
反転した信号のうち、遅れている方の信号を励磁信号と
して出力するよう動作するものである。
【0297】以上のように、制御器4a、4bは、信号
DrA、DrBと信号CS−A、CS−Bのうち、可動
子の駆動にとって有効な励磁切り換えが行える方の信号
を励磁信号とするように励磁タイミングを制御するた
め、全く脱調の心配がないステップモータの制御を実現
できるものである。
【0298】なお、制御器4aの具体的な構成として
は、例えば図18に示すような相互ラッチ器がある。こ
の相互ラッチ器は、図6(A)に示す第1の実施例にお
ける相互ラッチ器50aと内部構成が同じであるので詳
細な説明を省く。ただし、この相互ラッチ器は信号CS
−Ad、CK−Bdを入力し、励磁器2aの入力に対し
て信号IN−Aを出力する。また、制御器4bは、制御
器4aと同様の内部構成である。
【0299】図18に示す制御器4a及び4bは、位置
検出信号と駆動指令信号とが、お互いに変化するタイミ
ングで相手方の信号をラッチし合うように動作する。こ
のように動作する回路を構成することにより、位置検出
信号と駆動指令信号のうち遅れた方の信号を前述の励磁
信号として出力することができる。
【0300】また既に第1の実施例で説明したように、
制御器4aの別の具体的構成として、図6(B)に示す
相互信号選択器60aと同じ構成とすることも可能であ
る。制御器4bについても同様である。
【0301】このような制御器4a、4bと、第3の実
施例で示した励磁電流制御器7とを併せ持った本第4の
実施例について、以下に動作を説明する。
【0302】まず、可動子が所望の方向として正方向に
駆動され、位置検出信号CS−A、CS−Bに対して駆
動指令信号DrA、DrBが遅れている場合の動作につ
いて説明する。
【0303】一般に、信号DrA、DrBの周波数が低
いときあるいは負荷が軽くなったとき、信号DrA、D
rBは信号CS−A、CS−Bよりも遅れた位相とな
る。
【0304】この場合、励磁タイミング制御器4a、4
bは、先に説明した通り信号DrA、DrBが可動子の
駆動にとって有効であるため、励磁信号IN−A、IN
−Bとして信号DrA、DrBに応答したタイミングの
信号を出力するように動作する。したがって、このとき
の動作は、信号DrA、DrBが、直接、励磁信号IN
−A、IN−Bとして入力される第3の実施例と同等と
なり、図12(A)及び図12(B)に示したものと同
様である。
【0305】また、可動子が所望の方向として負方向に
駆動され、信号CS−A、CS−Bに対して信号Dr
A、DrBが遅れている場合の動作についても第3の実
施例と同等であり、図15(A)及び図15(B)に示
したものと同様である。
【0306】したがって、信号CS−A、CS−Bに対
して信号DrA、DrBが遅れている場合は、励磁電流
制御器7による効果が主に現れ、トルクリップルが小さ
く、同時に振動、騒音及び回転むらも小さなステップモ
ータ装置が実現できる。また、励磁電流は負荷に応じた
必要最小限の値に制御され、効率においても大幅に向上
したステップモータ装置が実現できる。
【0307】次に、可動子が所望の方向として正方向に
駆動され、信号CS−A、CS−Bに対して信号Dr
A、DrBが進んでいる場合の動作について説明する。
【0308】一般に、信号DrA、DrBの周波数が高
いときあるいは負荷が重くなったとき、信号DrA、D
rBは信号CS−A、CS−Bよりも進んだ位相とな
る。
【0309】この場合、制御器4a、4bは、先に説明
した通り信号CS−A、CS−Bが可動子の駆動にとっ
て有効であるため、励磁信号IN−A、IN−Bとして
信号CS−A、CS−Bに応答したタイミングの信号を
出力するように動作する。
【0310】このときの動作を図19(A)及び図19
(B)に示す。
【0311】図19(A)及び図19(B)により明ら
かであるが、可動子を駆動するための発生トルクTは、
先に説明した制御器4a、4bの作用により、信号Dr
A、DrBのタイミングではなく、信号CS−A、CS
−Bのタイミングで駆動巻線の励磁切り換えが行われて
更新されることになる。
【0312】したがって、励磁タイミング制御器4a、
4bを有しない第3の実施例では、励磁切り換えに際し
て、発生トルクTが逆方向に向かっていたが(図13
(A)及び図13(B)参照)、本第4の実施例におい
ては発生トルクTが逆方向に向かうことが無くなり、脱
調の恐れは完全に回避できる。
【0313】図20は、図19(A)及び図19(B)
におけるタイミングt21近傍の動作を拡大し、さらに
詳細に説明するための図である。
【0314】図20に示すように、タイミングt21で
は駆動指令信号DrAの変化により指令進み信号RP−
Aが“H”レベルとなり、この時点から励磁電流制御信
号Refは増加を始める。しかし、励磁タイミング制御
器4a、4bの作用によりタイミングt21においては
巻線の励磁切り換えは行われない。したがって、この時
点の発生トルクTは、タイミングt21の以前から発生
していた“−Ta−Tb”で示されるトルクが、そのピ
ーク値を信号Refの増加に伴って増加させつつタイミ
ングt22まで推移することになる。タイミングt22
において、信号CS−Aが変化すると、指令進み信号R
P−Aは一度“L”レベルに戻り信号Refの増加は休
止されるが、同時に巻線の励磁切り換えが行われ、発生
トルクTは“Ta−Tb”で示されるトルクに更新され
る。
【0315】上記した一連の動作の中で、制御器4a、
4bを有しない第3の実施例では、タイミングt21で
のトルクはT2まで低下していたのに比べ、本第4の実
施例では励磁電流制御器7の作用と励磁タイミング制御
器4a、4bの作用が連携し、図20に示すようにT3
のレベルまでトルクを増加させることが可能となってい
ることがわかる。つまり脱調の恐れを完全に回避するこ
とができる。(他のタイミングにおいても同様であ
る。)以上の信号CS−A、CS−Bに対して信号Dr
A、DrBが進んでいる場合の動作は、信号CS−A、
CS−Bに対する信号DrA、DrBの進みが十分に小
さくなるまで行われる。
【0316】したがって、駆動指令信号の周波数が高い
あるいは負荷が重い状態が生じ、信号DrA、DrBが
信号CS−A、CS−Bに対して位相進みとなり、ステ
ップモータ駆動に好ましくない励磁切り換えが行われよ
うとした場合においても、励磁タイミング制御器4a、
4b及び電流制御器7の作用により、信号CS−A、C
S−Bに対する信号DrA、DrBの進みが小さくなる
方向にフィードバック制御されることになる。信号CS
−A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの進みが小
さくなれば、図19(B)に示す如く、トルクリップル
は非常に小さなものとすることができる。
【0317】すなわち、脱調を完全に回避するだけでな
く、トルクリップルも小さくなる。それによりステップ
モータの振動、騒音及び回転むらも小さくなるという効
果が生まれる。
【0318】また、結果として、励磁電流は負荷に応じ
た適正の値に制御されるため、効率においても大幅に向
上するという効果が生まれる。
【0319】以上、可動子が所望の方向として正方向に
駆動され、位置検出信号CS−A、CS−Bに対して駆
動指令信号DrA、DrBが進んでいる場合の動作につ
いて説明したが、可動子が所望の方向として負方向に駆
動され、信号CS−A、CS−Bに対して信号DrA、
DrBが進んでいる場合の動作においても同様である。
【0320】この場合の動作は、特に図解は行わない
が、信号DrA、DrBの位相を逆転し、信号DrA、
DrBの信号CS−A、CS−Bに対する遅れ、進みの
関係を、信号CS−A、CS−Bの反転信号に対して関
係づけることを除いて、本質的に図19(A)及び図1
9(B)に示した正方向に駆動する場合と同様である。
【0321】なお、信号DrA、DrBの位相を逆転す
るのは巻線によって生じる磁界の回転方向を反転するた
めであり、また信号DrA、DrBの信号CS−A、C
S−Bに対する遅れ、進みの関係を、信号CS−A、C
S−Bの反転信号に対して関係づけるのは、可動子を負
方向に駆動させるために逆方向の発生トルクTを所望の
トルクの方向とするためである。
【0322】以上のように本第4の実施例においては、
信号DrA、DrBと信号CS−A、CS−Bのうち、
可動子の駆動にとって有効な励磁切り換えが行える方の
信号を励磁信号とするように励磁タイミングを制御する
励磁タイミング制御器4a、4bと、信号CS−A、C
S−Bと信号DrA、DrBとの位相差に応じて巻線の
最大励磁電流を制御する励磁電流制御器7を設けたこと
により、脱調を完全に回避し、かつ、トルクリップルが
小さく、同時に振動、騒音及び回転むらの小さなステッ
プモータ装置を実現している。また、励磁電流も駆動指
令信号の周波数あるいは負荷に応じた適正な値に制御さ
れ、効率においても大幅に向上したステップモータ装置
を実現している。 (第5の実施例)図21は、第5の実施例におけるステ
ップモータ装置の構成図である。
【0323】図21おいて、2相ステップモータ1、励
磁器2a、2b、位置検出器3a、3bは、図1に示し
た第1の実施例のものと同様のものである。
【0324】励磁タイミング制御器4a、4bは、位置
検出器3a、3bが出力する位置検出信号CS−A、C
S−B及び駆動指令信号DrA、DrBがそれぞれに入
力される。そして制御器4a、4bの各出力は、励磁器
2a、2bの各入力IN−A、IN−Bへそれぞれ出力
される。
【0325】図21に示す第5の実施例において、図7
3に示した第1の従来例のものと大きく異なるのは次の
点である。すなわち、第1の従来例のものでは駆動指令
信号DrA、DrBが、直接、励磁器2a、2bに入力
されるのに対して、本第5の実施例のものは、励磁タイ
ミング制御器4a、4bにより位置検出信号CS−A、
CS−Bの情報を用いてタイミング制御が施された励磁
信号IN−A、IN−Bを励磁器2a、2bに入力して
いる点である。
【0326】ここで、励磁タイミング制御器4a、4b
について説明する。
【0327】なお、励磁タイミング制御器4a及び4b
は、同様の動作をするものであり、以下の説明において
は、特に制御器4aを中心に説明することとし、制御器
4bの説明については省略する。
【0328】図21に示すように励磁タイミング制御器
4aは、遅れ信号優先通過器5aと偏差状態検出器20
aと励磁信号選択器14aとから成る。
【0329】遅れ信号優先通過器5aは、位置検出信号
CS−A及び駆動指令信号DrAをそれぞれ入力信号C
S−Ad及び入力信号CK−Adとする。モータを正方
向に駆動する場合、信号CS−Adと信号CK−Adの
うち位相が遅れている方の信号を出力信号とする。一
方、モータを負方向に駆動する場合、信号CS−Adを
反転した信号と信号CK−Adのうち位相が遅れている
方の信号を出力信号とするように構成される。
【0330】偏差状態検出器20aは、位置検出信号C
S−A及び駆動指令信号DrAをそれぞれ入力信号CS
−Ap及び入力信号CK−Apとし、これらの入力信号
によるパルス数の差つまり偏差が所定の範囲内である第
1の状態か、偏差が所定の範囲外であり、これを所定の
範囲内とするためには、可動子を正方向に向かわせるよ
うに働く順方向トルクが必要な第2の状態か、偏差が所
定の範囲外にあり、これを所定の範囲内とするために
は、可動子を負方向に向かわせるように働く逆方向トル
クが必要な第3の状態かを検出するように構成される。
具体的には図21に示すように、偏差をカウントする偏
差カウンタ10aと、偏差カウンタ10aの出力値(偏
差)が上記第1から第3のいずれの状態かを判別する判
別器11aとから成る。
【0331】励磁信号選択器14aは、偏差状態検出器
20aの上記検出結果に基づき、遅れ信号優先通過器5
aの出力信号と位置検出信号CS−Aと位置検出信号C
S−Aを反転した信号とのうち、いずれか一つを励磁器
2aへの励磁信号IN−Aとして選択し出力するように
構成される。具体的には図21に示すように、偏差状態
検出器20aから出力される出力信号PCSa、NCS
aによって位置検出信号CS−Aをそのまま通過させる
か反転して通過させるかを制御する手段12aと、偏差
状態検出器20aから出力される出力信号Saによって
上記手段12aから出力される信号Yaかあるいは遅れ
信号優先通過器5aからの信号Xaのいずれかを選択す
るセレクタ13aとから構成される。
【0332】励磁タイミング制御器4bについても同様
に、遅れ信号優先通過器5bと偏差状態検出器20bと
励磁信号選択器14bとから成る。
【0333】なお、制御器4bにおいては図21に示す
ように、制御器4aと同様の動作をする構成要素には、
励磁タイミング制御器4aと同様の記号を付し、末尾の
“A”又は“a”を“B”又は“b”とし、その説明は
省略する。
【0334】以上のように構成される本第5の実施例に
ついて、その動作を説明する。
【0335】なお、以下の動作説明に際して参照する各
図面において、可動子の位置θと発生トルクTとの関係
をいくつか記しているが、可動子の位置θの方向及び発
生トルクTの働く方向の定義は、上述した第1の実施例
の場合と同様である。
【0336】また、以下の動作説明において、「モータ
を正方向に駆動する場合」あるいは「モータを負方向に
駆動する場合」という表現をしているが、これはモータ
を駆動するための駆動方向指令が「正方向への駆動指令
が与えられている場合」あるいは「負方向への駆動指令
が与えられている場合」という意味である。なお、駆動
方向指令は駆動指令信号DrA、DrBの位相関係から
定めることができるのは周知の通りである。
【0337】また、「モータが正方向に駆動したとき」
あるいは「モータが負方向に駆動したとき」という表現
をしているが、これはモータの駆動方向が「実際に正方
向に駆動した場合」あるいは「実際に負方向に駆動した
場合」という意味である。なお、実際の駆動方向は位置
検出信号CS−A、CS−Bの位相関係から判別できる
ことは周知の通りである。
【0338】また本第5の実施例における信号CS−
A、CS−Bと各相駆動巻線を励磁したときの発生トル
クTとの関係は、図2(A)及び図2(B)に示す第1
の実施例の場合と同様である。したがって、その説明を
省く。
【0339】最初に「モータを正方向に駆動する場合」
について説明する。
【0340】この場合の動作として、以下の3つの状態
が考えられる。
【0341】一つ目は上記した第1の状態、二つ目は上
記した第2の状態、三つ目は上記した第3の状態であ
る。
【0342】先ずは第1の状態から説明する。第1の状
態とは、上記の通り、位置検出信号CS−A、CS−B
と駆動指令信号DrA、DrBとの偏差が所定の範囲内
である状態である。言い換えれば、第1の状態は、信号
CS−A、CS−Bと信号DrA、DrBとが同期して
いる状態であり、モータは本来この状態で動作すること
で、その特性を発揮することができ得るものである。
【0343】それでは第1の状態における動作を図21
及び図22(A)、図22(B)を参照して説明する。
【0344】信号CS−A、CS−Bと信号DrA、D
rBとが同期していれば、これらの信号は交互に変化し
て偏差状態検出器20a、20bの各入力CS−Ap、
CS−Bp及びCK−Ap、CK−Bpと、遅れ信号優
先通過器5a、5bの各入力CS−Ad、CS−Bd及
びCK−Ad、CK−Bdに入力される。
【0345】ここで「モータを正方向に駆動する場合」
において、偏差状態検出器20aを成す偏差カウンタ1
0aは、入力信号CK−Apが変化する度にその出力値
を1カウントアップし、「モータが正方向に駆動したと
き」、入力信号CS−Apが変化する度に1カウントダ
ウンし、「モータが負方向に駆動したとき」、入力信号
CS−Apが変化する度に1カウントアップするように
構成されている。
【0346】偏差カウンタ10aが上記した動作を行う
よう構成されていれば、交互に変化する信号CS−Aと
信号DrAが入力されると、偏差カウンタ10aの出力
値はプラス1と零あるいはマイナス1と零の値を交互に
とることになる。
【0347】また、このとき偏差状態検出器20aを成
す判別器11aは、その構成要素であるフリップフロッ
プFF1及びFF2(初期状態において、FF1、FF
2共にリセットされその出力は“L”レベルになってい
るものとする)がセットもリセットも行われないため、
FF1、FF2の出力は共に“L”レベルのままであ
る。その結果、出力信号PCSa、NCSa、Saを全
て“L”レベルとする。このように第1の状態において
は、偏差状態検出器20aはその出力信号PCSa、N
CSa、Saを全て“L”レベルとするよう動作する。
【0348】偏差状態検出器20bを成す偏差カウンタ
10bと判別器11bについても同様であり、偏差状態
検出器20bも第1の状態においてはその出力信号PC
Sb、NCSb、Sbを全て“L”レベルとするよう動
作する。
【0349】偏差状態検出器20a、20bの出力信号
Sa、Sbが上記したように“L”レベルとなると、励
磁信号選択器14a、14bは、セレクタ13a、13
bの入力信号Xa、Xbとして入力される遅れ信号優先
通過器5a、5bの出力信号を励磁信号IN−A、IN
−Bとして選択し出力するように動作する。
【0350】したがって第1の状態においては、励磁タ
イミング制御器4a、4bは遅れ信号優先通過器5a、
5bの出力信号を励磁信号IN−A、IN−Bとするよ
うに動作することになる。
【0351】図22(A)及び図22(B)は、第1の
状態における動作を説明する図であり、図2(A)及び
図2(B)における区間X1、X2付近を示したもので
ある。
【0352】特に図22(A)は、駆動指令信号Dr
A、DrBが位置検出信号CS−A、CS−Bよりも遅
れた位相で入力されたとき(一般に信号DrA、DrB
の周波数が低い時あるいは負荷が軽い時このような状態
となる)の動作を示している。図22(B)は、信号D
rA、DrBが信号CS−A、CS−Bよりも進んだ位
相で入力されたとき(一般に信号DrA、DrBの周波
数が高い時あるいは負荷が重い時このような状態とな
る)の動作を示している。
【0353】まず図22(A)においては、信号Dr
A、DrBが信号CS−A、CS−Bよりも遅れている
ため、遅れ信号優先通過器5a、5bは信号DrA、D
rBと同じタイミングで信号を出力する。したがって、
励磁タイミング制御器4a、4bは、信号DrA、Dr
Bと同じタイミングで励磁信号IN−A、IN−Bを出
力するように動作し、タイミングt11、t21、t3
1等で駆動巻線の励磁切り換えが行われる。
【0354】例えばタイミングt21の前後を考える
と、タイミングt21の直前は信号IN−A、IN−B
はそれぞれ“L”、“L”レベルであるため、“−Ta
−Tb”で示されるトルクが可動子に働き、タイミング
t21の直後は信号IN−A、IN−Bはそれぞれ
“H”、“L”レベルであるため、“Ta−Tb”で示
されるトルクが可動子に働くことになる。
【0355】このときタイミングt21での励磁切り換
えは、図22(A)に示すように、トルクを順方向に向
けて更新するように働き、可動子の正方向への駆動にと
って有効な励磁切り換えとなっている。タイミングt1
1、t31においても同様である。
【0356】このように信号DrA、DrBが信号CS
−A、CS−Bよりも遅れた位相で入力されるときは、
従来技術のステップモータと同様に励磁切り換えが行わ
れて可動子が駆動されるものである。
【0357】一方、図22(B)においては、信号Dr
A、DrBが信号CS−A、CS−Bよりも進んでいる
ため、遅れ信号優先通過器5a、5bは信号CS−A、
CS−Bと同じタイミングで信号を出力する。したがっ
て、励磁タイミング制御器4a、4bは信号CS−A、
CS−Bと同じタイミングで励磁信号IN−A、IN−
Bを出力するように動作し、タイミングt12、t2
2、t32等で駆動巻線の励磁切り換えが行われる。
【0358】ここで図22(A)との違いは、タイミン
グt11、t21、t31(信号DrA、DrBが変化
するタイミング)で巻線の励磁切り換えを行わず、タイ
ミングt12、t22、t32(信号CS−A、CS−
Bが変化するタイミング)で励磁切り換えを行うよう動
作する点である。
【0359】もし、信号DrA、DrBが信号CS−
A、CS−Bよりも進んだ位相で入力されたときに、図
22(A)と同じようにタイミングt11、t21、t
31で励磁切り換えを行えば、図22(B)の×印で示
したようなトルクの更新が行われることになる。このト
ルク更新は逆方向に向けた更新であり、可動子を正方向
に向けて駆動するには好ましくないトルク更新である。
【0360】そしてこのような状況が続くと、従来例で
説明したように脱調を引き起こすことになる。なお、図
22(B)で示すタイミングt21Fは、信号DrAの
変化のタイミングが更に早まった場合の動きであり、こ
の場合、トルクの大きさそのものが逆方向となり、脱調
を引き起こすきっかけを更に増大させることになる。
【0361】信号DrA、DrBが信号CS−A、CS
−Bよりも進んだ位相で入力されたとき、信号CS−
A、CS−Bが変化するタイミングで励磁切り換えを行
うのはこのような従来の課題を克服するためである。
【0362】以上のように第1の状態においては、励磁
タイミング制御器4a、4bは遅れ信号優先通過器5
a、5bの出力信号を励磁信号IN−A、IN−Bとす
るように動作し、モータが制御される。
【0363】したがって、信号DrA、DrBの周波数
が低い時あるいは負荷が軽い時のように、信号DrA、
DrBが信号CS−A、CS−Bよりも遅れた位相で入
力されたときは、遅れ信号優先通過器5a、5bの作用
により信号DrA、DrBを励磁信号IN−A、IN−
Bとし、従来のステップモータと同等の動作を行わせる
ことが可能となる。
【0364】また、信号DrA、DrBの周波数が高い
時あるいは負荷が重い時のように、信号DrA、DrB
が信号CS−A、CS−Bよりも進んだ位相で入力され
たときは、遅れ信号優先通過器5a、5bの作用により
信号CS−A、CS−Bを励磁信号IN−A、IN−B
とするため、可動子を正方向に駆動するトルクとしては
最大レベルを確保することができる図22(B)のタイ
ミングt12、t22、t32でトルクの更新が行わ
れ、脱調の心配を本質的になくすることが可能になる。
【0365】次に上記した第2の状態を説明する。
【0366】第2の状態とは、前述の通り、位置検出信
号CS−A、CS−Bと駆動指令信号DrA、DrBと
の偏差が所定の範囲外であり、これを所定の範囲内とす
るためには可動子を正方向に向かわせるように働く順方
向トルクが必要な状態である。
【0367】言い換えれば、第2の状態は、信号Dr
A、DrBの周波数が高い、又は急激に高くなる、ある
いは負荷が重い、又は急激に重くなる、あるいは可動子
がアンダーシュートするなどの現象が発生した際に起こ
り、信号DrA、DrBが信号CS−A、CS−Bより
も多く入力される状態である。この状態においては、早
々に順方向トルクを与えてモータを加速し、上記したス
テップモータ本来の動作状態である第1の状態とする必
要がある。
【0368】それでは第2の状態における動作を図21
及び図23を参照して説明する上記の諸現象により信号
DrA、DrBが信号CS−A、CS−Bよりも多く入
力されると、偏差状態検出器20a、20bを成す偏差
カウンタ10a、10bの出力値は、プラス1を越えて
プラス2以上の値をとることになる。このとき偏差状態
検出器20aを成す判別器11aは、その構成要素であ
るフリップフロップFF1がセットされてその出力を
“H”レベルとする結果、出力信号PCSa、NCS
a、Saをそれぞれ“H”、“L”、“H”レベルとす
る。
【0369】このように第2の状態においては、偏差状
態検出器20aは、その出力信号PCSa、NCSa、
Saをそれぞれ“H”、“L”、“H”レベルとするよ
う動作する。なお、この第2の状態は偏差カウンタ10
aの出力値が零に戻り、フリップフロップFF1がリセ
ットされて第1の状態に戻るまで続く。
【0370】偏差状態検出器20bを成す判別器11b
についても同様であり、偏差状態検出器20bも第2の
状態においてはその出力信号PCSb、NCSb、Sb
をそれぞれ“H”、“L”、“H”レベルとするよう動
作する。偏差状態検出器20a、20bの出力信号S
a、Sbが上記したように“H”レベルとなると、励磁
信号選択器14a、14bは、セレクタ13a、13b
の入力Ya、Ybに入力される信号を励磁信号IN−
A、IN−Bとして選択し出力するように動作する。
【0371】ここで、セレクタ13a、13bの入力信
号Ya、Ybとしては、位置検出信号CS−A、CS−
Bをそのまま通過させるか反転して通過させるかを制御
する手段12a、12bの出力信号が入力される。その
制御手段12a及び12bは、偏差状態検出器20a及
び20bの出力信号PCSa、NCSa及びPCSb、
NCSbがそれぞれ“H”、“L”レベルである場合は
位置検出信号CS−A及びCS−Bをそのまま通過させ
るように動作するように構成されている。
【0372】したがって第2の状態においては、励磁タ
イミング制御器4a、4bは、位置検出信号CS−A、
CS−Bを励磁信号IN−A、IN−Bとするように動
作することになる。
【0373】図23は、第2の状態における動作を説明
する図であり、図2における区間X1、X2付近におい
て第1の状態から第2の状態に移行するときの様子を示
したものである。
【0374】図23において、位置検出信号CS−Aが
“H”レベルである期間に、駆動指令信号DrAはta
1、ta2の各タイミングで2回変化している。この2
回目の変化(タイミングta2)によって偏差状態検出
器20aは第2の状態であることを検出し、信号PCS
a、NCSa、Saをそれぞれ“H”、“L”、“H”
レベルとする。
【0375】したがって、タイミングta2においてA
相は第1の状態から第2の状態に移行するが、この前後
で励磁信号IN−Aは、遅れ信号優先通過器5aの出力
信号(図23の場合、信号CS−Aの方が信号DrAよ
りも遅れているので信号CS−Aが通過器5aの出力信
号となる)から信号CS−Aに移行することになる。
【0376】同様に、信号CS−Bが“L”レベルであ
る期間に、信号DrBがタイミングtb1及びtb2に
おいて2回変化しており、この2回目の変化(タイミン
グtb2)によって偏差状態検出器20bは第2の状態
であることを検出する。このとき信号PCSb、NCS
b、Sbはそれぞれ“H”、“L”、“H”レベルとな
り、B相は第1の状態から第2の状態に移行する。
【0377】したがって、タイミングtb2の前後で励
磁信号IN−Bは、遅れ信号優先通過器5bの出力信号
(図23の場合、信号CS−Bの方が信号DrBよりも
遅れているので信号CS−Bが通過器5bの出力信号と
なる)から信号CS−Bに移行することになる。
【0378】以上のように第2の状態においては、励磁
タイミング制御器4a、4bは信号CS−A、CS−B
を励磁信号IN−A、IN−Bとするように動作し、ス
テップモータが制御される。
【0379】したがって、信号DrA、DrBの周波数
が高い、又は急激に高くなる、あるいは負荷が重い、又
は急激に重くなる、あるいは可動子がアンダーシュート
するなどの現象が発生し、第1の状態から第2の状態に
なったとしても、図23に示すように、発生トルクTを
低下させずに巻線の励磁を切り換えることができ、最大
レベルのトルクを確保したまま可動子を正方向に加速し
て駆動することが可能になる。
【0380】そして十分に可動子が正方向に加速され、
信号DrA及びDrBが“L”レベルあるいは“H”レ
ベルである間に信号CS−A及びCS−Bが2回以上変
化して偏差カウンタ10a及び10bの出力値が零に戻
ったとき、A相、B相共に第2の状態から第1の状態へ
と移行し、図22(A)及び図22(B)で示した動作
に戻ることになる。つまり信号DrA、DrBと信号C
S−A、CS−Bとが同期したステップモータ本来の性
能を発揮できる動作状態でモータは最終的に駆動される
ようになる。
【0381】そして、第1の状態から第2の状態への移
行の過程、及び第2の状態から第1の状態への移行の過
程において、脱調することは本質的にない。
【0382】次に上記した第3の状態を説明する。
【0383】第3の状態とは、前述の通り、位置検出信
号CS−A、CS−Bと駆動指令信号DrA、DrBと
の偏差が所定の範囲外であり、これを所定の範囲内とす
るためには可動子を負方向に向かわせるように働く逆方
向トルクが必要な状態である。
【0384】言い換えれば、第3の状態は、信号Dr
A、DrBの周波数が急激に低くなる、あるいは負荷が
急激に軽くなる、あるいは駆動方向の指令が反転する、
あるいは可動子がオーバーシュートするなどの現象が発
生した際に起こり、信号CS−A、CS−Bが信号Dr
A、DrBよりも多く入力される状態である。この状態
においては、早々に逆方向トルクを与えてモータを減速
し、上記したステップモータ本来の動作状態である第1
の状態とする必要がある。
【0385】それでは第3の状態における動作を図21
及び図24を参照して説明する。
【0386】上記の諸現象により信号CS−A、CS−
Bが信号DrA、DrBよりも多く入力されると、偏差
状態検出器20a、20bを成す偏差カウンタ10a、
10bの出力値は、マイナス1を下回りマイナス2以下
の値をとることになる。このとき偏差状態検出器20a
を成す判別器11aは、その構成要素であるフリップフ
ロップFF2がセットされてその出力を“H”レベルと
する結果、出力信号PCSa、NCSa、Saをそれぞ
れ“L”、“H”、“H”レベルとする。
【0387】このように第3の状態においては、偏差状
態検出器20aは、その出力信号PCSa、NCSa、
Saをそれぞれ“L”、“H”、“H”レベルとするよ
う動作する。なお、この第3の状態は偏差カウンタ10
aの出力値が零に戻り、フリップフロップFF2がリセ
ットされて第1の状態に戻るまで続く。
【0388】偏差状態検出器20bを成す判別器11b
についても同様であり、偏差状態検出器20bも第3の
状態においてはその出力信号PCSb、NCSb、Sb
をそれぞれ“L”、“H”、“H”レベルとするよう動
作する。
【0389】偏差状態検出器20a、20bの出力信号
Sa、Sbが上記したように“H”レベルとなると、励
磁信号選択器14a、14bは、セレクタ13a、13
bの入力Ya、Ybに入力される信号を励磁信号IN−
A、IN−Bとして選択し出力するように動作する。
【0390】ここで、セレクタ13a、13bの入力信
号Ya、Tbとしては位置検出信号CS−A、CS−B
をそのまま通過させるか反転して通過させるかを制御す
る手段12a、12bの出力信号が入力される。制御手
段12a及び12bは偏差状態検出器20a及び20b
の出力信号PCSa、NCSa及びPCSb、NCSb
がそれぞれ“L”、“H”レベルである場合は信号CS
−A及びCS−Bを反転して通過させるように動作する
ように構成されている。
【0391】したがって第3の状態においては、励磁タ
イミング制御器4a、4bは信号CS−A、CS−Bを
反転した信号を励磁信号IN−A、IN−Bとするよう
に動作することになる。
【0392】図24は、第3の状態における動作を説明
する図であり、図2における区間X1、X2付近におい
て第1の状態から第3の状態に移行するときの様子を示
したものである。
【0393】図24において、信号DrAが“L”レベ
ルである期間に、信号CS−Aはタイミングta1及び
ta2で2回変化している。この2回目の変化(タイミ
ングta2)によって偏差状態検出器20aは第3の状
態であることを検出し、信号PCSa、NCSa、Sa
をそれぞれ“L”、“H”、“H”レベルとする。
【0394】したがって、タイミングta2においてA
相は第1の状態から第3の状態に移行するが、この前後
で励磁信号IN−Aは、遅れ信号優先通過器5aの出力
信号(図24の場合、信号DrAの方が信号CS−Aよ
りも遅れているので信号DrAが通過器5aの出力信号
となる)から信号CS−Aを反転した信号に移行するこ
とになる。
【0395】同様に、信号DrBが“L”レベルである
期間に、信号CS−Bがタイミングtb1及びtb2で
2回変化しており、この2回目の変化(タイミングtb
2)によって偏差状態検出器20bは第3の状態である
ことを検出する。このとき信号PCSb、NCSb、S
bはそれぞれ“L”、“H”、“H”レベルとなり、B
相は第1の状態から第3の状態に移行する。
【0396】したがって、タイミングtb2の前後で励
磁信号IN−Bは、遅れ信号優先通過器5bの出力信号
(図24の場合、信号DrBの方が信号CS−Bよりも
遅れているので信号DrBが通過器5bの出力信号とな
る)から信号CS−Bを反転した信号に移行することに
なる。
【0397】以上のように第3の状態においては、励磁
タイミング制御器4a、4bは信号CS−A、CS−B
を反転した信号を励磁信号IN−A、IN−Bとするよ
うに動作し、モータが制御される。
【0398】したがって、信号DrA、DrBの周波数
が急激に低くなる、あるいは負荷が急激に軽くなる、あ
るいは駆動方向の指令が反転する、あるいは可動子がオ
ーバーシュートするなどの現象が発生し、第1の状態か
ら第3の状態になったとしても、図24に示すように、
可動子が脱調しないように発生トルクTを減速方向に作
用させることができる。
【0399】そして十分に可動子が減速され、信号CS
−A及びCS−Bが“L”レベルあるいは“H”レベル
である間に信号DrA及びDrBが2回以上変化して偏
差カウンタ10a及び10bの出力値が零に戻ったと
き、A相、B相共に第3の状態から第1の状態へと移行
し、図22(A)及び図22(B)で示した動作に戻る
ことになる。つまり信号DrA、DrBと信号CS−
A、CS−Bとが同期したステップモータ本来の性能を
発揮できる動作状態でモータは最終的に駆動されるよう
になる。
【0400】そして第1の状態から第3の状態への移行
の過程、及び第3の状態から第1の状態への移行の過程
において、脱調することは本質的にない。
【0401】以上、「モータを正方向に駆動する場合」
について説明した。
【0402】次に「モータを負方向に駆動する場合」に
ついて説明する。
【0403】この場合の動作についても正方向に駆動す
る場合と本質的に同じであり、同様に第1の状態と第2
の状態と第3の状態がある。
【0404】したがって、負方向に駆動する場合につい
ては正方向に駆動する場合と相違するところについての
み解説を加え、詳細な説明は省略する。
【0405】負方向に駆動する場合は、まず信号Dr
A、DrBの位相の進み遅れの関係を逆転すればよい。
これは巻線によって生じる磁界の回転方向を反転するた
めである。
【0406】また、遅れ信号優先通過器5a、5bの動
作において、信号DrA、DrBの信号CS−A、CS
−Bに対する遅れ、進みの関係を、信号CS−A、CS
−Bの反転信号に対して関係づければよい。つまり、遅
れ信号優先通過器5a、5bは、信号DrA、DrBと
信号CS−A、CS−Bを反転した信号のうち、遅れて
入力される方の信号を出力するように動作させればよ
い。これは、可動子を負方向に駆動させるために逆方向
の発生トルクTを所望のトルクの方向とするためであ
る。
【0407】また、偏差カウンタ10a、10bにおい
て、入力信号CK−Ap、CK−Bpが変化する度にそ
の出力値を1カウントダウンするようにすればよい。な
お、「モータが正方向に駆動したとき」、入力信号CS
−Apが変化する度に1カウントダウンし、「モータが
負方向に駆動したとき」、入力信号CS−Apが変化す
る度に1カウントアップする点は正方向に駆動する場合
と同じでよい。
【0408】このように細かい点で若干の相違はあるも
のの、モータを負方向に駆動する場合」も「モータを正
方向に駆動する場合」の動作と同様である。
【0409】図25(A)及び図25(B)は、「モー
タを負方向に駆動する場合」の第1の状態における動作
を示した図である。図25A及び図25(B)では、可
動子の負方向への進行を図面の右側に向けて表現した点
が、これまでの図面の表現方法と異なるが、負方向の駆
動が順調に行われるように逆方向トルクが所望方向のト
ルクとして順次更新されている様子がわかる。またこの
場合も脱調の心配がない励磁切り換えが行われているこ
とがわかる。
【0410】また、「モータを負方向に駆動する場合」
の第2の状態は、「モータを正方向に駆動する場合」に
示した第3の状態に相当する現象が生じた際に起こる。
つまり、信号DrA、DrBの周波数が急激に低くな
る、あるいは負荷が急激に軽くなる、あるいは駆動方向
の指令が反転する、あるいは可動子が負方向に向けてオ
ーバーシュートするなどの現象が発生した際に起こるこ
とになる。
【0411】しかし、第2状態において、早々に順方向
トルクを与えてモータを正方向に向けて加速(負方向を
基準に観れば減速)し、ステップモータ本来の動作状態
である第1の状態とする必要があるという点は「モータ
を正方向に駆動する場合」と同じである。
【0412】同様に「モータを負方向に駆動する場合」
の第3の状態は、「モータを正方向に駆動する場合」に
示した第2の状態に相当する現象が生じた際に起こる。
つまり、信号DrA、DrBの周波数が高い、又は急激
に高くなる、あるいは負荷が重い、又は急激に重くな
る、あるいは可動子が正方向に向けてアンダーシュート
するなどの現象が発生した際に起こることになる。
【0413】しかし、第3状態において、早々に逆方向
トルクを与えてモータを負方向に向けて減速(負方向を
基準に観れば加速)し、ステップモータ本来の動作状態
である第1の状態とする必要があるという点は「モータ
を正方向に駆動する場合」と同じである。
【0414】以上のように本第5の実施例は次の構成を
備えている。
【0415】すなわち、遅れ信号優先通過器5a、5b
は、モータを正方向に駆動する場合、駆動指令信号Dr
A、DrBと位置検出信号CS−A、CS−Bのうち、
入力タイミングが遅い方の信号を出力信号する。一方、
モータを負方向に駆動する場合、信号DrA、DrBと
信号CS−A、CS−Bを反転した信号のうち、入力タ
イミングが遅い方の信号を出力信号とする。また、偏差
状態検出器20a、20bは、信号DrA、DrBと信
号CS−A、CS−Bとのパルス数の差、つまり偏差が
所定の範囲内である第1の状態か、偏差が所定の範囲外
であり、これを所定の範囲内とするためには、可動子を
正方向に向かわせるように働く順方向トルクが必要な第
2の状態か、偏差が所定の範囲外であり、これを所定の
範囲内とするためには、可動子を負方向に向かわせるよ
うに働く逆方向トルクが必要な第3の状態かのいずれか
を検出する。また、励磁タイミング制御器4a、4b
は、遅れ信号優先中華器5a、5bと、偏差状態検出器
20a、20bと、その偏差状態検出器20a、20b
の検出結果に基づき、遅れ信号優先通過器5a、5bの
出力信号と信号CS−A、CS−Bと信号CS−A、C
S−Bを反転した信号とのうち、いずれか一つを励磁信
号IN−A、IN−Bとして選択する励磁信号選択器1
4a、14bとを含んでいる。そして、偏差状態検出器
20a、20bが上記第1の状態を検出した場合、励磁
信号選択器14a、14bは遅れ信号優先通過器5a、
5bの出力信号を励磁信号IN−A、IN−Bとして選
択し、検出器20a、20bが上記第2の状態を検出し
た場合、励磁信号選択器14a、14bは信号CS−
A、CS−Bを励磁信号IN−A、IN−Bとして選択
し、検出器20a、20bが上記第3の状態を検出した
場合、励磁信号選択器14a、14bは信号CS−A、
CS−Bを反転した信号を励磁信号IN−A、IN−B
として選択する構成とした。
【0416】これにより、第1の状態において、信号D
rA、DrBの周波数が低い時あるいは負荷が軽い時
は、遅れ信号優先通過器5a、5bの作用により信号D
rA、DrBが励磁信号IN−A、IN−Bとなり、従
来のステップモータと同等の動作を行わせることが可能
となる。よって、信号DrA、DrBの周波数により回
転速度が容易に制御でき、極めて簡単なシステムで速度
制御や位置決め制御が安価に実現できるというステップ
モータの最大の特長を生かしている。
【0417】また第1の状態において、信号DrA、D
rBの周波数が高い時あるいは負荷が重い時は、遅れ信
号優先通過器5a、5bの作用により信号CS−A、C
S−Bが励磁信号IN−A、IN−Bとなり、つまりD
Cブラシレスモータと等価な動作となり、脱調現象が本
質的にないステップモータ装置を実現している。
【0418】また、第2の状態においては、信号Dr
A、DrBの周波数が非常に高い、又は急激に高くな
る、あるいは負荷が非常に重い、又は急激に重くなる、
あるいは可動子がアンダーシュートするなどの現象が発
生し、第1の状態から第2の状態になったとしても、信
号CS−A、CS−Bを励磁信号IN−A、IN−Bと
することで、発生トルクTを低下させずに巻線の励磁を
切り換えることができ、最大レベルのトルクを確保した
まま可動子を正方向に加速して駆動することが可能にな
る。
【0419】そして十分に可動子が正方向に加速され、
最終的にはステップモータをその本来の性能を発揮でき
る第1の状態で駆動させることが可能となる。
【0420】このとき、第1の状態から第2の状態への
移行の過程、及び第2の状態から第1の状態への移行の
過程において、脱調することは本質的にない。
【0421】また、第3の状態においては、信号Dr
A、DrBの周波数が急激に低くなる、あるいは負荷が
急激に軽くなる、あるいは駆動方向の指令が反転する、
あるいは可動子がオーバーシュートするなどの現象が発
生し、第1の状態から第3の状態になったとしても、信
号CS−A、CS−Bを反転した信号を励磁信号IN−
A、IN−Bとすることで、可動子が脱調しないように
発生トルクTを減速方向に作用させることができる。
【0422】そして十分に可動子が減速され、最終的に
はステップモータをその本来の性能を発揮できる第1の
状態で駆動させることが可能となる。
【0423】このとき、第1の状態から第3の状態への
移行の過程、及び第3の状態から第1の状態への移行の
過程において、脱調することは本質的にない。
【0424】なお、本第5の実施例の偏差状態検出器2
0aにおいて、偏差カウンタ10aは、その出力値を、
モータを正方向に駆動する場合、入力信号CK−Apが
変化する度に1カウントダウンし、モータを負方向に駆
動する場合、入力信号CK−Apが変化する度に1カウ
ントアップし、モータが正方向に駆動したとき、入力信
号CS−Apが変化する度に1カウントアップし、モー
タが負方向に駆動したとき、入力信号CS−Apが変化
する度に1カウントダウンするように構成する。そし
て、判別器11aは、偏差カウンタ10aの出力値がマ
イナス1からプラス1の範囲内であるとき第1の状態と
判別し、偏差カウンタ10aの出力値がマイナス2に達
してから零に戻るまでの間を第2の状態と判別し、偏差
カウンタ10aの出力値がプラス2に達してから零に戻
るまでの間を第3の状態と判別する構成としても上述の
ものと全く同様の動作を行わせることが可能である。
【0425】偏差状態検出器20bにおける偏差カウン
タ10bと判別器11bについても同様である。
【0426】また、本第5の実施例において、遅れ信号
優先通過器5a、5bは、図26(A)及び図26
(B)、図27(A)及び図27(B)のように動作す
る相互ラッチ器あるいは相互信号選択器により構成する
ことができる。
【0427】なお、相互ラッチ器あるいは相互信号選択
器は、第1の実施例における図6(A)、図6(B)に
示したのもであり、以下の動作をするものである。
【0428】まず、モータを正方向に駆動する場合の動
作を説明する。
【0429】図26(A)及び図26(B)は、モータ
を正方向に駆動する場合の相互ラッチ器あるいは相互信
号選択器の動作についての説明図である。
【0430】モータが正方向に駆動される場合、図26
(A)及び図26(B)に示すように、相互ラッチ器あ
るいは相互信号選択器は、駆動指令信号DrA、DrB
つまり信号CK−Ad、CK−Bdが変化するタイミン
グで位置検出信号CS−Ad、CS−Bdのレベルをラ
ッチあるいは選択し、その信号CS−Ad、CS−Bd
が変化するタイミングで信号DrA、DrBつまり信号
CK−Ad、CK−Bdのレベルをラッチあるいは選択
するように動作する。
【0431】ここで、図26(A)は、信号CK−A
d、CK−Bdが、信号CS−Ad、CS−Bdに対し
て遅れている場合の動作を示しており、図26(B)
は、信号CK−Ad、CK−Bdが、信号CS−Ad、
CS−Bdに対して進んでいる場合の動作を示してい
る。
【0432】図から明らかなように、励磁器2a、2b
に出力される励磁信号IN−A、IN−Bは、両者の信
号(CK−Ad、CK−BdとCS−Ad、CS−B
d)のうち遅れている方の信号となっており、相互ラッ
チ器あるいは相互信号選択器が遅れ信号優先通過器5
a、5bとしての動作をすることがわかる。
【0433】つぎに、モータを負方向に駆動する場合の
動作を説明する。
【0434】図27(A)及び図27(B)は、モータ
を負方向に駆動する場合の相互ラッチ器あるいは相互信
号選択器の動作についての説明図である。
【0435】モータが負方向に駆動される場合、図27
(A)及び図27(B)に示すように、相互ラッチ器あ
るいは相互信号選択器は、駆動指令信号DrA、DrB
つまり信号CK−Ad、CK−Bdが変化するタイミン
グで位置検出信号CS−Ad、CS−Bdのレベルを反
転してラッチあるいは選択し、その信号CS−Ad、C
S−Bdが変化するタイミングで信号DrA、DrBつ
まり信号CK−Ad、CK−Bdのレベルをラッチある
いは選択するように動作する。
【0436】ここで、図27(A)は、信号CK−A
d、CK−Bdが、信号CS−Ad、CS−Bdの反転
信号に対して遅れている場合の動作を示しており、図2
7(B)は、信号CK−Ad、CK−Bdが、信号CS
−Ad、CS−Bdの反転信号に対して進んでいる場合
の動作を示している。
【0437】図から明らかなように、励磁器2a、2b
に出力される励磁信号IN−A、IN−Bは、両者の信
号(CK−Ad、CK−BdとCS−Ad、CS−Bd
の反転信号)のうち遅れている方の信号となっており、
相互ラッチ器あるいは相互信号選択器が遅れ信号優先通
過器5a、5bとしての動作をすることがわかる。
【0438】以上のように、遅れ信号優先通過器5a、
5bは相互ラッチ器あるいは相互信号選択器により実現
することが可能である。
【0439】特に、相互ラッチ器あるいは相互信号選択
器は、その動作から明らかなように、信号DrA、Dr
B(つまり信号CK−Ad、CK−Bd)と信号CS−
Ad、CS−Bdとを切り換えて励磁信号IN−A、I
N−Bを得ているわけではないので、駆動指令信号と位
置検出信号との進み遅れの関係が急激に反転した際にお
いても、励磁信号の移行がスムーズにかつシームレスに
行われ、より一層ステップモータの制御性を安定化する
ことができる。
【0440】さらに本第5の実施例によると、位置検出
器3a、3bとして、高価で形状も比較的大きなエンコ
ーダやレゾルバなどを用いる必要はなく、小型で安価な
ホール素子を用いることが可能である。したがって、位
置検出器(ホール素子)のモータへの取り付けスペース
も僅かで済み、脱調しないステップモータ装置を従来の
ステップモータと遜色ない大きさとコスト(小型で安
価)で実現可能である。
【0441】もちろん、位置検出器3a、3bにエンコ
ーダやレゾルバなどを用いることは、技術的には何ら問
題ないことは言うまでもない。
【0442】また、本第5の実施例においては、位置検
出器3aと励磁タイミング制御器4a、また位置検出器
3bと励磁タイミング制御器4bをそれぞれの相(A相
及びB相)に独立して設けた構成としているため、励磁
タイミングの制御に際しての信号処理は各相毎に完全に
独立して行うことができる。
【0443】したがって、励磁タイミング制御器は他の
相と各種信号処理を連動させる必要はなく、シンプルに
構成することができ、さらに、相数の多いステップモー
タへの適用も容易となる。つまり相数の多いステップモ
ータに適用する場合は、位置検出器と励磁タイミング制
御器を相数に対応して独立に設けることで容易に対応で
きる。
【0444】本第5の実施例では2相ステップモータを
例に説明したが、上記のように3相以上のステップモー
タにおいても適用は容易で、脱調しない多相ステップモ
ータも実現可能である。 (第6の実施例)図28は、第6の実施例におけるステ
ップモータ装置の構成図であり、本発明の技術を3相ス
テップモータに適用した場合の例を示す。
【0445】図28において、各相駆動指令信号生成器
6は、駆動指令信号Dr及びモータの駆動方向指令信号
FRを入力し、駆動指令信号DrA、DrB、DrCを
生成する。この各相駆動指令信号生成器6は、具体的に
は3相のリングカウンタなどにより構成できる。信号D
rA、DrB、DrCは互いに120度の位相差を有す
る信号である。
【0446】励磁器21は、A相励磁器21a、B相励
磁器21b及びC相励磁器21cからなり、図21に示
す第5の実施例における励磁器2a及び2bに相当する
働きをする。その他の部分は図21に示した2相のステ
ップモータ装置の構成図と基本的に同じで同一機能を有
する部分については同一の符号を付してある。なお、図
28ではモータ1が3相であるため、3相目を制御する
ための構成要素としては末尾に“C”の文字を付して示
している。
【0447】4相あるいは5相のステップモータにおい
ても同様に適用可能である。
【0448】ここで、モータを多相化していくと位置検
出器の数がそれに伴って増加し、大きさとコストに影響
を及ぼすが、位置検出器の数を削減する方法に関して
は、第2の実施例の所ですでに説明したような方法を採
用することができることは言うまでもない。 (第7の実施例)図29は、第7の実施例におけるステ
ップモータ装置の構成図である。
【0449】図29において、2相ステップモータ1及
び位置検出器3a、3bは、図21に示した第5の実施
例と同様である。
【0450】また励磁器2a、2bは、図76、図77
に示した第2の従来例における励磁器802a、802
bと同様の構成を有するものである。
【0451】励磁タイミング制御器4a、4bは、それ
ぞれの入力CS−Ad、CS−Bdに、位置検出器3
a、3bが出力する位置検出信号CS−A、CS−Bを
入力する。制御器4a、4bは、それぞれのもう一方の
入力CK−Ad、CK−Bdに、駆動指令信号DrA、
DrBを入力する。制御器4a、4bは、励磁器2a、
2bの各入力IN−A、IN−Bにそれぞれ励磁信号を
出力する。この制御器4a、4bは、図21に示した第
5の実施例のものと同様のものであり、詳細な説明は省
略する。
【0452】図29に示す本第7の実施例において、励
磁電流制御器7を備えたことが、第5の実施例のものと
大きく異なる点である。
【0453】ここで、その励磁電流制御器7について説
明する。
【0454】制御器7は、位置検出信号CS−A、CS
−Bと駆動指令信号DrA、DrBのと位相差に応じた
励磁電流制御信号Refを、励磁器2a、2bへ電流値
信号Ref−A、Ref−Bとして出力する。
【0455】制御器7の内部構成について詳しく説明す
る。
【0456】制御器7は、位相差検出器7a、7b及び
位相差増幅器8からなる。位相差検出器7aは、入力信
号CS−Ap及びCK−Apとして、位置検出信号CS
−Aと駆動指令信号DrAとを入力し、これらの信号の
位相差を検出する。位相差検出器7bは、入力信号CS
−Bp及びCK−Bpとして、位置検出信号CS−Bと
駆動指令信号DrBとを入力し、これらの信号の位相差
を検出する。
【0457】位相差増幅器8は、検出器7a、7bから
のそれぞれの位相差検出信号を増幅して励磁電流制御信
号Refを出力する。
【0458】ここで、検出器7aは、その入力信号CS
−ApとCK−Apとの位相差を検出し、信号CS−A
pに対して信号CK−Apの位相が遅れている場合、そ
の遅れの大きさに応じたパルス幅を有する指令遅れ信号
RN−Aを出力する。一方、信号CS−Apに対して信
号CK−Apの位相が進んでいる場合、その進みの大き
さに応じたパルス幅を有する指令進み信号RP−Aを出
力する。
【0459】具体的には図29に示すように、検出器7
aは、第5の実施例で説明したものと同様の偏差カウン
タ10aと、その出力値がプラス1以上であるか否か、
またマイナス1以下であるか否かを判別する位相判別器
15aとを備えることで構成できる。
【0460】同様に検出器7bは、入力信号CS−Bp
とCK−Bpとの位相差に応じて、上記検出器7aと同
様の指令遅れ信号RN−B及び指令進み信号RP−Bを
位相差検出信号として出力する。
【0461】位相差増幅器8は、上記指令遅れ信号RN
−A及びRN−Bのうちいずれかの信号が発生している
とき励磁電流制御信号Refを減少させ、上記指令進み
信号RP−A及びRP−Bのうちいずれかの信号が発生
しているとき信号Refを増加させる。
【0462】増幅器8は、具体的には例えば図29に示
すように、ORゲート81、82とチャージポンプ回路
83と絶対値回路88とを用いて構成することができ
る。なお、チャージポンプ回路83は、ORゲート8
1、82により制御される電流源84、85、積分アン
プ86及び積分用コンデンサ87によって構成できる。
【0463】さて、上記検出器7a、7b及び増幅器8
から成る励磁電流制御器7の動作を、図30(A)及び
図30(B)に示す。
【0464】図30(A)は、位置検出信号CS−A、
CS−Bに対して駆動指令信号DrA、DrBの位相が
遅れている場合の動作を示している。図30(B)は、
信号CS−A、CS−Bに対して信号DrA、DrBの
位相が進んでいる場合の動作を示している。
【0465】上記のように構成される本第7の実施例に
ついて、その動作を説明する。なお、以下の動作説明に
おいて参照する各図面において、可動子の位置θの進行
方向と発生トルクTの働く方向に関する表現は、第5の
実施例で定義した表現と同じである。また「モータを正
方向に駆動する場合」、「モータを負方向に駆動する場
合」あるいは「モータが正方向に駆動したとき」、「モ
ータが負方向に駆動したとき」といった表現も、第5の
実施例で定義した表現と同じである。
【0466】また、本第7の実施例において、各相駆動
巻線を励磁したときの発生トルクと信号CS−A、CS
−Bとの関係は、図2(A)及び図2(B)に示した第
1の実施例のものと同じとする。
【0467】それでは最初に「モータを正方向に駆動す
る場合」について説明する。この場合の動作として、第
5の実施例と同様、第1の状態、第2の状態、第3の状
態がそれぞれ存在する。
【0468】まず、第1の状態から説明する。第1の状
態とは、第5の実施例でも説明したが、位置検出信号C
S−A、CS−Bと駆動指令信号DrA、DrBとの偏
差が所定の範囲内である状態である。言い換えれば、第
1の状態は、信号CS−A、CS−Bと信号DrA、D
rBとが同期している状態であり、ステップモータは本
来この状態で動作することで、その特性を発揮すること
ができるものである。
【0469】それでは第1の状態における動作を、図2
9〜図33を参照して説明する。既に第5の実施例で説
明したが、第1の状態においては、励磁タイミング制御
器4a、4bは、遅れ信号優先通過器5a、5bの出力
信号を励磁信号IN−A、IN−Bとするように動作す
る。
【0470】したがって、駆動指令信号DrA、DrB
が位置検出信号CS−A、CS−Bよりも遅れた位相で
入力されたときは、制御器4a、4bは、信号DrA、
DrBを励磁信号IN−A、IN−Bとして出力する。
また、信号DrA、DrBが信号CS−A、CS−Bよ
りも進んだ位相で入力されたときは、制御器4a、4b
は、信号CS−A、CS−Bを励磁信号IN−A、IN
−Bとして出力する。
【0471】本第7の実施例においては、このような励
磁タイミング制御器4a、4bの動作と併せて、先に説
明した励磁電流制御器7により巻線の励磁電流を制御し
ている。
【0472】図31(A)及び図31(B)は、励磁電
流制御器7により励磁電流が制御されてモータが駆動さ
れる様子を示した図であり、特に信号DrA、DrBが
信号CS−A、CS−Bよりも遅れた位相で入力された
場合の動きを示している。また、図32(A)及び図3
2(B)は、信号DrA、DrBが信号CS−A、CS
−Bよりも進んだ位相で入力された場合の動きを示して
いる。
【0473】以下、図31(A)及び図31(B)に示
す動作と図32(A)及び図32(B)に示す動作につ
いて、それぞれ詳細に説明する。
【0474】まず、図31(A)及び図31(B)に示
す動作、つまり信号DrA、DrBが信号CS−A、C
S−Bよりも遅れた位相で入力された場合の動作を説明
する。一般に信号DrA、DrBの周波数が低い時ある
いは負荷が軽い時このような状態となる。
【0475】この場合、信号CS−A、CS−Bと信号
DrA、DrBとは同期した状態で、かつ信号CS−
A、CS−Bの変化の後に信号DrA、DrBが変化す
るように、位相差検出器7a、7bの各入力CS−A
p、CS−Bp及びCK−Ap、CK−Bpに入力され
る。
【0476】ここで「モータを正方向に駆動する場合」
において、検出器7aを成す偏差カウンタ10aは、入
力信号CK−Apが変化する度にその出力値を1カウン
トアップし、「モータが正方向に駆動したとき」、入力
信号CS−Apが変化する度に1カウントダウンし、
「モータが負方向に駆動したとき」、入力信号CS−A
pが変化する度に1カウントアップするように構成され
ている。
【0477】なお、上記偏差カウンタ10aは、偏差状
態検出器20aを成す偏差カウンタと共通としている。
(言うまでもないが、別途偏差カウンタを位相差検出器
専用に設けても構わない。)カウンタ10aが上記した
動作を行うよう構成されていれば、入力信号CS−Ap
が“L”レベルから“H”レベルへ変化するタイミング
t12(図31Aを参照)でカウンタ10aの出力値は
1カウントダウンされ、マイナス1となる。また、入力
信号CK−Apが“L”レベルから“H”レベルへと変
化するタイミングt21でカウンタ10aの出力値は1
カウントアップされ、零の戻る。つまり、カウンタ10
aの出力値は入力信号CS−Apが変化してから入力信
号CK−Apが変化するまでの間、マイナス1の値を持
つことになる。この状態は位相判別器15aにより検知
され、その判別器15aは、カウンタ10aの出力値が
マイナス1以下である間、指令遅れ信号RN−Aを
“H”レベルとするように動作する。つまり判別器15
aは、入力信号CS−Apが変化してから入力信号CK
−Apが変化するまでの間、指令遅れ信号RN−Aを
“H”レベルとする。なお、このとき指令進み信号RP
−Aは“L”レベルである。
【0478】この一連の動作から明らかなように、位相
差検出器7aが出力する上記指令遅れ信号RN−Aは、
信号CS−Aに対する信号DrAの位相遅れ量に応じた
パルス幅を有する信号であることがわかる。
【0479】位相差検出器7bについて同様であり、図
12(B)に示すように、信号CS−Bに対する信号D
rBの位相遅れ量に応じたパルス幅を有する指令遅れ信
号RN−Bが出力されている。
【0480】指令遅れ信号RN−AあるいはRN−Bは
位相差増幅器8に入力されるが、ここで指令遅れ信号R
N−AあるいはRN−Bが入力された場合のその増幅器
8の動作について簡単に説明しておく。
【0481】指令遅れ信号RN−AあるいはRN−Bが
出力され“H”レベルとなると、ORゲート81の働き
により電流源84は定電流を出力する。チャージポンプ
回路83は、この定電流によって積分コンデンサ87を
充電し、その出力を減少させる。このときの減少速度
は、電流源84の定電流値とコンデンサ87の容量値で
定まる。このときのチャージポンプ回路83の出力は、
絶対値回路88により励磁器2a、2bとのインターフ
ェイスがとられた後、増幅器8の出力信号である励磁電
流制御信号Refとなる。
【0482】以上のように動作する増幅器8の作用によ
り、検出器7a、7bから指令遅れ信号RN−Aあるい
はRN−Bが出力されると、信号Refは減少方向に向
かうことになる。そしてこれによって巻線の最大励磁電
流が減少する。
【0483】なお、その最大励磁電流は、可動子の位置
θに対する発生トルクTのピーク値とほぼ比例関係にあ
ることは周知の通りである。
【0484】したがって、可動子を駆動するための発生
トルクTのピーク値が図31(A)に示す如く信号Re
fの減少と共に減少していく。
【0485】一方、発生トルクTの平均値Tavrは負
荷トルクと釣り合うべきものであり、ステップモータに
おいては発生トルクの平均値Tavrが負荷トルクとほ
ぼ同じとなるように、可動子の位置θと駆動指令信号D
rA、DrBのタイミングとの関係が自動的に定まるよ
うになっている。これはステップモータが本来備えてい
る性質である。
【0486】このことはすなわち、負荷トルクと釣り合
う平均トルクTavrを得るために、発生トルクTのピ
ーク値が大きい程、可動子の位置θつまり信号CS−
A、CS−Bに対する信号DrA、DrBのタイミング
の遅れが大きくなり、発生トルクTのピーク値が小さい
程、これらの遅れは小さくなるということを意味してい
る。
【0487】また、発生トルクTのピーク値が小さく、
信号CS−A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの
タイミングの遅れが小さくなると、平均トルクTavr
は発生トルクのピーク値に近づき、これに伴ってトルク
リップルも大幅に減少するということも言える。
【0488】このようなステップモータの性質を考慮す
ると、信号CS−A、CS−Bに対する信号DrA、D
rBのタイミングの遅れの大きさに応じて励磁電流を減
少するように制御すれば、信号CS−A、CS−Bに対
する信号DrA、DrBの遅れは小さくなる方向にフィ
ードバック制御することができる。それにより、信号C
S−A、CS−Bに対する信号DrA、DrBの遅れが
小さくなれば、可動子及び負荷の駆動に必要な平均トル
クTavrは発生トルクTのピーク値に近づき、トルク
リップルは非常に小さなものとすることができる。
【0489】本第7の実施例では、励磁電流制御器7を
設けることにより、上述したような励磁電流の制御を行
っている。
【0490】図31(B)は、励磁電流を制御した結
果、トルクリップルが非常に小さくなっていく様子を示
したものである。なお、図31(B)の状態に至れば、
指令遅れ信号RN−A、RN−Bのパルス幅は殆ど零と
なり、励磁電流制御信号Refの減少は止まり、小さな
トルクリップルでの駆動状態が継続されることになる。
【0491】このようにトルクリップルが小さくなるこ
とで、モータの振動、騒音及び回転むらも小さくなり、
また結果として励磁電流は負荷に応じた必要最小限の値
に制御されるため、効率においても大幅に向上するとい
う効果が生まれる。
【0492】つぎに、図32(A)及び図32(B)に
示す動作、つまり信号DrA、DrBが信号CS−A、
CS−Bよりも進んだ位相で入力された場合の動作を説
明する。一般に、信号DrA、DrBの周波数が高い時
あるいは負荷が重い時このような状態となる。
【0493】この場合、信号CS−A、CS−Bと信号
DrA、DrBとは同期した状態で、かつ信号CS−
A、CS−Bの変化の前に信号DrA、DrBが変化す
るように、位相差検出器7a、7bの各入力CS−A
p、CS−Bp及びCK−Ap、CK−Bpに入力され
る。
【0494】このとき偏差カウンタ10aの出力値は、
入力信号CK−Apが“L”レベルから“H”レベルへ
変化するタイミングt21(図32(A)を参照)でカ
ウンタ10aの出力値は1カウントアップされ、プラス
1となる。また入力信号CS−Apが“L”レベルから
“H”レベルへと変化するt22のタイミングでカウン
タ10aの出力値は1カウントダウンされ、零に戻る。
【0495】つまりカウンタ10aの出力値は入力信号
CK−Apが変化してから入力信号CS−Apが変化す
るまでの間、プラス1の値を持つことになる。この状態
は位相判別器15aにより検知され、その判別器15a
はカウンタ10aの出力値がプラス1以上である間、指
令進み信号RP−Aを“H”レベルとするように動作す
る。
【0496】つまり判別器15aは、入力信号CK−A
pが変化してから入力信号CS−Apが変化するまでの
間、指令進み信号RP−Aを“H”レベルとする。な
お、このとき指令遅れ信号RN−Aは“L”レベルであ
る。
【0497】この一連の動作から明らかなように、検出
器7aが出力する指令進み信号RP−Aは、信号CS−
Aに対する信号DrAの位相進み量に応じたパルス幅を
有する信号であることがわかる。
【0498】位相差検出器7bについても同様であり、
図32(A)に示すように、信号CS−Bに対する信号
DrBの位相進み量に応じたパルス幅を有する指令進み
信号RP−Bが出力されている。
【0499】指令進み信号RP−AあるいはRP−Bは
位相差増幅器8に入力されるが、ここで指令進み信号R
P−AあるいはRP−Bが入力された場合の増幅器8の
動作について簡単に説明しておく。
【0500】指令進み信号RP−AあるいはRP−Bが
出力され“H”レベルとなると、ORゲート82の働き
により電流源85は定電流を出力する。チャージポンプ
回路83は、この定電流によって積分コンデンサ87を
放電し、その出力を増加させる。このときの増加速度
は、電流源85の定電流値とコンデンサ87の容量値で
定まる。このときのチャージポンプ回路83の出力は、
絶対値回路88により励磁器2a、2bとのインターフ
ェイスがとられた後、位相差増幅器8の出力信号である
励磁電流制御信号Refとなる。
【0501】以上のように動作する増幅器8の作用によ
り、位相差検出器7a、7bから指令進み信号RP−A
あるいはRP−Bが出力されると、信号Refは増加方
向に向かうことになる。そしてこれによって巻線の最大
励磁電流が増加する。
【0502】なお、その最大励磁電流は、可動子の位置
θに対する発生トルクTのピーク値とほぼ比例関係にあ
ることは周知の通りである。
【0503】したがって、可動子を駆動するための発生
トルクTのピーク値が図32(A)に示す如く信号Re
fの増加と共に増加していく。
【0504】一方、図32(A)により明らかである
が、可動子を駆動するための発生トルクTは、先に説明
した励磁タイミング制御器4a、4bの作用により、信
号DrA、DrBのタイミングではなく、これよりも遅
れたタイミングで発生する信号CS−A、CS−Bによ
り巻線の励磁切り換えが行われ、更新されることにな
る。
【0505】したがって、脱調の心配を全く無くすこと
ができるということは、既に第5の実施例で説明した通
りである。
【0506】本第5の実施例においては、この脱調しな
いという効果に加えて、信号DrA、DrBが、信号C
S−A、CS−Bよりも進んだ位相で入力された場合、
上述のように励磁電流を増加するように制御すること
で、上記した第1の状態(ステップモータが本来その性
能を発揮でき得る状態)を保持する能力を向上させるこ
とができる。
【0507】以下、このことについて説明する。
【0508】図33は、図32(A)におけるタイミン
グt21近傍の動作を拡大したものである。
【0509】図33において、タイミングt21では信
号DrAの変化により指令進み信号RP−Aが“H”レ
ベルとなり、この時点から励磁電流制御信号Refは増
加を始める。しかし、励磁タイミング制御器4a、4b
の作用によりタイミングt21においては巻線の励磁切
り換えは行われない。したがって、この時点の発生トル
クTは、タイミングt21以前から発生していた“−T
a−Tb”で示されるトルクが、そのピーク値を信号R
efの増加に伴って増加させつつタイミングt22まで
推移することになる。タイミングt22において信号C
S−Aが変化すると、指令進み信号RP−Aは一度
“L”レベルに戻り信号Refの増加は休止されるが、
同時に巻線の励磁切り換えが行われ、発生トルクTは
“Ta−Tb”で示されるトルクに更新される。(他の
タイミングにおいても同様である。)この一連の動作に
おいて、発生トルクTは明らかに増加しており、指令進
み信号RP−A、RP−Bが発生する度に可動子を駆動
する能力が向上していく。この可動子の駆動能力向上
は、可動子の速度が十分に上昇し、指令進み信号RP−
A、RP−Bのパルス幅が殆ど零となるまで行われ、最
終的には図32(B)に示すような状態に至る。図32
(B)の状態に至れば、信号Refの増加は止まり、小
さなトルクリップルでの駆動状態が継続されることにな
る。
【0510】このように、脱調しないという効果に加え
て、信号DrA、DrBが信号CS−A、CS−Bより
も進んだ位相で入力された場合、励磁電流制御器7によ
り励磁電流を増加するように制御することで、可動子の
駆動能力を向上させる、つまり上記した第1の状態(ス
テップモータが本来その性能を発揮でき得る状態)を保
持する能力を向上させることができる。
【0511】また、トルクリップルも小さくなり、これ
に波及してモータの振動、騒音及び回転むらも小さくな
るという効果が生まれる。
【0512】また結果として、励磁電流は負荷に応じた
適正の値に制御され、効率においても大幅に向上すると
いう効果が生まれる。
【0513】次に第2の状態を説明する。
【0514】第2の状態とは、第5の実施例でも説明し
たが、信号CS−A、CS−Bと信号DrA、DrBと
の偏差が所定の範囲外であり、これを所定の範囲内とす
るためには可動子を正方向に向かわせるように働く順方
向トルクが必要な状態である。
【0515】言い換えれば、第2の状態は、信号Dr
A、DrBの周波数が高い、又は急激に高くなる、ある
いは負荷が重い、又は急激に重くなる、あるいは可動子
がアンダーシュートするなどの現象が発生した際に起こ
り、信号DrA、DrBが信号CS−A、CS−Bより
も多く入力される状態である。この状態においては、早
々に順方向トルクを与えてモータを加速し、上記したス
テップモータ本来の動作状態である第1の状態とする必
要がある。
【0516】それでは第2の状態における動作を説明す
る。
【0517】まず、第2の状態における励磁電流制御器
7の動作を説明する。
【0518】第5の実施例で説明した通り、第2の状態
においては偏差カウンタ10a、10bの出力値はプラ
ス2以上の値を持っている。
【0519】したがって、位相差検出器7a、7bは、
位相判別器15a、15bの作用により指令進み信号R
P−A、RP−Bを“H”レベル、指令遅れ信号RN−
A、RN−Bを“L”レベルとするよう動作する。指令
進み信号RP−A、RP−Bが“H”レベル、指令遅れ
信号RN−A、RN−Bが“L”レベルとなると、位相
差増幅器8の作用により、励磁電流制御信号Refは増
加する。
【0520】以上のように、第2の状態において励磁電
流制御器7は、指令進み信号RP−A、RP−Bを出力
して励磁電流制御信号Refを増加するように動作し、
その結果、巻線の励磁電流つまり可動子を駆動するため
のトルクTを増加するように作用するものである。
【0521】電流制御器7が上記の動作をする一方、既
に第5の実施例で説明した通り、第2の状態においてタ
イミング制御器4a、4bは、信号CS−A、CS−B
を励磁信号IN−A、IN−Bとするように動作し、図
23に示したように可動子を駆動するためのトルクTと
しては最大レベルを確保できるように励磁切り換えが行
われている。
【0522】本第7の実施例では第2の状態となったと
き、このようなタイミング制御器4a、4bの動作と電
流制御器7の動作が同時に行われ、その結果、可動子に
働く順方向トルクを大きく増加させることができ、モー
タを加速する能力を大幅に向上させることができる。
【0523】したがって、信号DrA、DrBの周波数
が高い、又は急激に高くなる、あるいは負荷が重い、又
は急激に重くなる、あるいは可動子がアンダーシュート
する、などの現象が発生して第2の状態となった場合に
おいても、ステップモータが本来動作すべき第1の状態
へ瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0524】次に第3の状態を説明する。
【0525】第3の状態とは、第5の実施例でも説明し
たが、信号CS−A、CS−Bと信号DrA、DrBと
の偏差が所定の範囲外であり、これを所定の範囲内とす
るためには可動子を負方向に向かわせるように働く逆方
向トルクが必要な状態である。
【0526】言い換えれば、第3の状態は、信号Dr
A、DrBの周波数が急激に低くなる、あるいは負荷が
急激に軽くなる、あるいは駆動方向の指令が反転する、
あるいは可動子がオーバーシュートするなどの現象が発
生した際に起こり、信号CS−A、CS−Bが信号Dr
A、DrBよりも多く入力される状態である。この状態
においては、早々に逆方向トルクを与えてモータを減速
し、上記したステップモータ本来の動作状態である第1
の状態とする必要がある。
【0527】それでは第3の状態における動作を説明す
る。
【0528】まず、第3の状態における励磁電流制御器
7の動作を説明する。
【0529】第5の実施例で説明した通り、第3の状態
においては偏差カウンタ10a、10bの出力値はマイ
ナス2以下の値を持っている。
【0530】したがって、位相差検出器7a、7bは、
位相判別器15a、15bの作用により指令進み信号R
P−A、RP−Bを“L”レベル、指令遅れ信号RN−
A、RN−Bを“H”レベルとするよう動作する。
【0531】指令進み信号RP−A、RP−Bが“L”
レベル、指令遅れ信号RN−A、RN−Bが“H”レベ
ルとなると、チャージポンプ回路83の出力は減少す
る。これに伴い励磁電流制御信号Refは減少するが、
チャージポンプ回路83の出力が負の値に至り、さらに
減少し続けると絶対値回路88の作用により信号Ref
は増加に転じる。
【0532】以上のように、第3の状態において電流制
御器7は、指令遅れ信号RN−A、RN−Bを出力し、
信号Refを一時的に減少したのち増加するように動作
する。その結果、巻線の励磁電流つまり可動子を駆動す
るためのトルクTは一時的に減少したのち増加すること
になる。
【0533】電流制御器7が上記の動作をする一方、既
に第5の実施例で説明した通り、第3の状態においてタ
イミング制御器4a、4bは、信号CS−A、CS−B
を反転した信号を励磁信号IN−A、IN−Bとするよ
うに動作し、図24に示したように可動子を減速するた
めのトルクTとしては最大レベルを確保できるように励
磁切り換えが行われている。
【0534】本第7の実施例では第3の状態となったと
き、このようなタイミング制御器4a、4bの動作と電
流制御器7の動作が同時に行われ、その結果、可動子に
働く逆方向トルクを大きく増加させることができ、モー
タを減速する能力を大幅に向上させることができる。
【0535】したがって、信号DrA、DrBの周波数
が急激に低くなる、あるいは負荷が急激に軽くなる、あ
るいは駆動方向の指令が反転する、あるいは可動子がオ
ーバーシュートするなどの現象が発生して第3の状態と
なった場合においても、ステップモータが本来動作すべ
き第1の状態へ瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0536】なお上記の説明において、可動子を駆動す
るためのトルクTを一時的に減少したのち増加するとし
たが、この理由について簡単に説明を加える。
【0537】つまり、上記諸現象によって第1の状態か
ら第3の状態に至る瞬間において、可動子に作用するト
ルクは一時的に順方向を向いている場合も考えられ、こ
の場合トルクTをいきなり増加させると、可動子を加速
してますます第1の状態から遠ざけてしまうことにな
る。
【0538】一時的にトルクTを減少させてから増加す
るのはこの不具合を避け、可動子に確実に逆方向トルク
を作用させて、一瞬でも早く第3の状態から第1の状態
へ引き戻せるようにすためである。
【0539】以上、「モータを正方向に駆動する場合」
について説明した。
【0540】次に「モータを負方向に駆動する場合」に
ついて説明する。
【0541】この場合の動作についても正方向に駆動す
る場合と本質的に同じであり、同様に第1の状態と第2
の状態と第3の状態がある。
【0542】したがって、負方向に駆動する場合につい
ては正方向に駆動する場合と相違するところについての
み解説を加え、詳細な説明は省略する。
【0543】負方向に駆動する場合は、まず信号Dr
A、DrBの位相の進み遅れの関係を逆転すればよい。
これは巻線によって生じる磁界の回転方向を反転するた
めである。
【0544】また遅れ信号優先通過器5a、5bの動作
において、信号DrA、DrBの信号CS−A、CS−
Bの対する遅れ、進みの関係を、信号CS−A、CS−
Bの反転信号に対して関係づければよい。つまり、通過
器5a、5bは、信号DrA、DrBと信号CS−A、
CS−Bを反転した信号のうち、遅れて入力される方の
信号を出力するように動作させればよい。これは、可動
子を負方向に駆動させるために逆方向の発生トルクTを
所望のトルクの方向とするためである。
【0545】また偏差カウンタ10a、10bにおい
て、入力信号CK−Ap、CK−Bpが変化する度にそ
の出力値を1カウントダウンするようにすればよい。な
お、「モータが正方向に駆動したとき」、入力信号CS
−Apが変化する度に1カウントダウンし、「モータが
負方向に駆動したとき」、入力信号CS−Apが変化す
る度に1カウントアップする点は正方向に駆動する場合
と同じでよい。このように細かい点で若干の相違はある
ものの、モータを負方向に駆動する場合」も「モータを
正方向に駆動する場合」の動作と同様である。図34は
「モータを負方向に駆動する場合」の第1の状態におけ
る動作を示した図であり、特に信号DrA、DrBが信
号CS−A、CS−Bを反転した信号よりも遅れた位相
で入力された場合の動きを示している。図34では可動
子の負方向への進行を図面の右側に向けて表現した点が
これまでの図面の表現方法と異なるが、「モータを正方
向に駆動する場合」の説明において示した図31(A)
及び図31(B)と同様、励磁電流を制御した結果トル
クリップルが非常に小さくなることがわかる。そしてこ
れに伴い、モータの振動、騒音及び回転むらも小さくな
り、また結果として励磁電流は負荷に応じた必要最小限
の値に制御されるため、効率においても大幅に向上する
という効果が生まれることになる。
【0546】また「モータを負方向に駆動する場合」の
第1の状態における、特に信号DrA、DrBが信号C
S−A、CS−Bを反転した信号よりも進んだ位相で入
力された場合の動きは、特に図示しないが、「モータを
正方向に駆動する場合」の説明において示した図32と
同様の動作をし、同様の効果を有するものである。
【0547】また「モータを負方向に駆動する場合」の
第2の状態は、「モータを正方向に駆動する場合」に示
した第3の状態に相当する現象が生じた際に起こる。つ
まり、信号DrA、DrBの周波数が急激に低くなる、
あるいは負荷が急激に軽くなる、あるいは駆動方向の指
令が反転する、あるいは可動子が負方向に向けてオーバ
ーシュートするなどの現象が発生した際に起こることに
なる。
【0548】しかし第2状態において、早々に順方向ト
ルクを与えてを正方向に向けて加速(負方向を基準に観
れば減速)し、ステップモータ本来の動作状態である第
1の状態とする必要があるという点は「モータを正方向
に駆動する場合」と同じである。
【0549】そして、この場合においても、タイミング
制御器4a、4bの動作と電流制御器7の動作により、
可動子に働く順方向トルクを大きく増加させ、モータを
加速する能力を大幅に向上させることができる。そして
第2の状態からステップモータが本来動作すべき第1の
状態へ瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0550】同様に「モータを負方向に駆動する場合」
の第3の状態は、「モータを正方向に駆動する場合」に
示した第2の状態に相当する現象が生じた際に起こる。
つまり、信号DrA、DrBの周波数が高い、又は急激
に高くなる、あるいは負荷が重い、又は急激に重くな
る、あるいは可動子が正方向に向けてアンダーシュート
するなどの現象が発生した際に起こることになる。
【0551】しかし第3状態において、早々に逆方向ト
ルクを与えてモータを負方向に向けて減速(負方向を基
準に観れば加速)し、ステップモータ本来の動作状態で
ある第1の状態とする必要があるという点は「モータを
正方向に駆動する場合」と同じである。
【0552】そして、この場合においても、タイミング
制御器4a、4bの動作と電流制御器7の動作により、
可動子に働く逆方向トルクを大きく増加させ、モータを
負方向に向けて減速(負方向を基準に観れば加速)する
能力を大幅に向上させることができる。そして、第3の
状態からステップモータが本来動作すべき第1の状態へ
瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0553】以上のように本第7の実施例は、第1の状
態において信号DrA、DrBが信号CS−A、CS−
Bよりも遅れた位相で入力された場合、電流制御器7を
設けて信号DrA、DrBと信号CS−A、CS−Bと
の位相差に応じて励磁電流を減少するよう制御する。こ
れにより、信号DrA、DrBの周波数が低い、又は負
荷が軽い場合において、モータを駆動する際のトルクリ
ップルを非常に小さなものとすることができる。このよ
うにトルクリップルを小さくできることで、モータの振
動、騒音及び回転むらも小さくなり、また結果として励
磁電流は負荷に応じた必要最小限の値に制御されるた
め、効率においても大幅に向上するという効果が生まれ
る。
【0554】また、第1の状態において信号DrA、D
rBが信号CS−A、CS−Bよりも進んだ位相で入力
された場合、タイミング制御器4a、4bと電流制御器
7の作用により可動子の駆動能力が向上する。これによ
り、信号DrA、DrBの周波数が高い、又は負荷が重
い場合において、ステップモータが本来その性能を発揮
でき得る第1の状態を保持する能力を向上させることが
できる。
【0555】また、トルクリップルも小さくなり、これ
に波及してモータの振動、騒音及び回転むらも小さくな
るという効果が生まれる。
【0556】また結果として、励磁電流は負荷に応じた
適正の値に制御され、効率においても大幅に向上すると
いう効果も生まれる。
【0557】また、第2の状態となった場合は、タイミ
ング制御器4a、4bと電流制御器7の作用により可動
子に働く順方向トルクが大きく増加し、モータを加速す
る能力を大幅に向上させることができる。
【0558】したがって、信号DrA、DrBの周波数
が高い、又は急激に高くなる、あるいは負荷が重い、又
は急激に重くなる、あるいは可動子がアンダーシュート
するなどの現象が発生して第2の状態となった場合にお
いても、ステップモータが本来動作すべき第1の状態へ
瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0559】また、第3の状態となった場合は、タイミ
ング制御器4a、4bと電流制御器7の作用により可動
子に働く逆方向トルクが大きく増加し、モータを減速す
る能力を大幅に向上させることができる。
【0560】したがって、信号DrA、DrBの周波数
が急激に低くなる、あるいは負荷が急激に軽くなる、あ
るいは駆動方向の指令が反転する、あるいは可動子がオ
ーバーシュートするなどの現象が発生して第3の状態と
なった場合においても、ステップモータが本来動作すべ
き第1の状態へ瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0561】なお、本第7の実施例おいて、次のように
構成してもよい。すなわち、位相差検出器7aの偏差カ
ウンタ10aの出力値が、モータを正方向に駆動する場
合は入力信号CK−Apが変化する度に1カウントダウ
ンし、モータを負方向に駆動する場合は入力信号CK−
Apが変化する度に1カウントアップし、モータが正方
向に駆動したとき、入力信号CS−Apが変化する度に
1カウントアップし、モータが負方向に駆動したとき、
入力信号CS−Apが変化する度に1カウントダウンす
るように構成する。位相判別器15aは、そのカウンタ
10aの出力値がマイナス1以下であるとき進みの位相
差と判別し、カウンタ10aの出力値がプラス1以上で
あるとき遅れの位相差と判別する構成する。位相差検出
器7bの偏差カウンタ10bと位相判別器15bについ
ても同様である。このように構成しても、上述のものと
全く同様の動作を行わせることが可能である。 (第8の実施例)図35は、第8の実施例におけるステ
ップモータ装置の構成図である。
【0562】図35において、2相ステップモータ1及
び位置検出器3a、3bは、第5の実施例又第7の実施
例と同様である。
【0563】また励磁器2a、2bは第7の実施例と同
様である。
【0564】励磁タイミング制御器4a、4bは、それ
ぞれの入力CS−Ad、CS−Bdに、位置検出器3
a、3bが出力する位置検出信号CS−A、CS−Bを
入力する。タイミング制御器4a、4bは、それぞれの
もう一方の入力CK−Ad、CK−Bdに、駆動指令信
号DrA、DrBを入力する。タイミング制御器4a、
4bは、励磁器2a、2bの各入力IN−A、IN−B
にそれぞれの励磁信号を出力する。上記した位置検出器
3a、3b及びタイミング制御器4a、4bは、図21
に示した第5の実施例のものと同様であり、詳細な説明
は省略する。
【0565】図35に示す第8の実施例において、図2
1に示した第5の実施例のものと大きく異なるところ
は、励磁電流強制増加器30を備えた点である。
【0566】励磁電流強制増加器30は、励磁タイミン
グ制御器4a、4bを成す偏差状態検出器20a、20
bの偏差状態検出結果に基づき、電流強制増加信号を励
磁器2a、2bへ電流値信号Ref−A、Ref−Bと
して出力する。
【0567】以上のように構成される本第8の実施例に
ついて、その動作を説明する。
【0568】タイミング制御器4a、4bは、第5の実
施例あるいは第7の実施例で説明したものと同じ動作を
行うものであり、信号DrA、DrBと信号CS−A、
CS−Bとの偏差の状態に応じた第1から第3の状態に
基づいて励磁信号IN−A、IN−Bを出力するもので
ある。
【0569】まず、第1の状態における動作から説明す
る。
【0570】第1の状態とは、第5の実施例あるいは第
7の実施例でも説明したが、信号CS−A、CS−Bと
信号DrA、DrBとの偏差が所定の範囲内である状態
である。この状態においては、偏差状態検出器20a、
20bを成す判別器11a、11bの出力Sa、Sbは
共に“L”レベルであることは既に第5の実施例で説明
した通りである。
【0571】判別器11a、11bの出力Sa、Sbが
共に“L”レベルであると、励磁電流強制増加器30
は、NORゲート31の出力を“H”レベルとし、トラ
ンジスタ32をオフさせる。その結果、電圧源Vrの出
力電圧値が、励磁器2a、2bの電流値信号Ref−
A、Ref−Bに入力される。
【0572】したがって、巻線の励磁電流は、電圧源V
rの出力電圧値に応じた一定の値となり、このときの動
作ならびに効果は第5の実施例と同様となる。
【0573】次に第2の状態あるいは第3の状態におけ
る動作を説明する。
【0574】第2の状態又は第3の状態においては、第
5の実施例あるいは第7の実施例でも説明したが、信号
CS−A、CS−Bと信号DrA、DrBとの偏差が所
定の範囲外となっている。
【0575】この状態においては、既に第5の実施例で
説明した通り、判別器11a、11bの出力Sa、Sb
は、いずれかが“H”レベルとなっている。その時、励
磁電流強制増加器30は、NORゲート31の出力を
“L”レベルとし、トランジスタ32をオンさせる。そ
の結果、電圧源Vrの出力電圧よりも大きな電圧値が、
電流強制増加信号として励磁器2a、2bの電流値信号
Ref−A、Ref−Bに入力される。
【0576】したがって、第1の状態の時よりも大きな
値の励磁電流で、モータが駆動されることになる。
【0577】一方、このとき、タイミング制御器4a、
4bは、第2の状態か第3の状態かによって、信号CS
−A、CS−Bかこれらを反転した信号かを励磁信号I
N−A、IN−Bとして出力している。つまり、ステッ
プモータが本来の性能を発揮し得る第1の状態へ引き戻
そうと、最大レベルのトルクを確保し得る励磁切り換え
を行いつつ、加速あるいは減速を行っている。
【0578】このようなタイミング制御器4a、4bに
よる励磁切り換え動作に併せて、上記した励磁電流強制
増加器30が励磁電流を強制増加させることで、第1の
状態へ引き戻すためのトルクのレベルをさらに増加する
ことができる。
【0579】したがって本第8の実施例によれば、信号
DrA、DrBの周波数が高い、又は急激に高くなる、
あるいは負荷が重い、又は急激に重くなる、あるいは可
動子がアンダーシュートするなどの諸現象により第2の
状態になったり、信号DrA、DrBの周波数が急激に
低くなる、あるいは負荷が急激に軽くなる、あるいは駆
動方向の指令が反転する、あるいは可動子がオーバーシ
ュートする、などの諸現象により第3の状態になったと
しても、励磁電流を強制的に増加することにより、ステ
ップモータが本来その性能を発揮でき得る第1の状態に
速やかに引き戻すことが可能となる。
【0580】なお、第7の実施例においても、第2の状
態あるいは第3の状態から第1の状態に引き戻すことが
可能である点は既に述べた通りであるが、第7の実施例
では位相差増幅器8(特にチャージポンプ回路83を成
す積分用コンデンサ87)を介して励磁電流を制御して
いるため、第2の状態あるいは第3の状態となったとき
の励磁電流増加への応答性がどうしても遅くなってしま
う。
【0581】その点、本第8の実施例においては、偏差
状態検出器20a、20bによる検出結果により即、励
磁電流を強制的に増加するよう励磁電流強制増加器30
を設けているので、第7の実施例のものよりも更に高い
応答性で第2の状態あるいは第3の状態から第1の状態
へ引き戻すことができる。 (第9の実施例)図36は、第9の実施例におけるステ
ップモータ装置の構成図である。
【0582】図36において、2相ステップモータ1及
び位置検出器3a、3bは、第5の実施例、第7の実施
例又第8の実施例と同様である。
【0583】励磁タイミング制御器4a、4bは、それ
ぞれの入力CS−Ad、CS−Bdに、位置検出器3
a、3bが出力する位置検出信号CS−A、CS−Bを
入力する。タイミング制御器4a、4bは、それぞれの
もう一方の入力CK−Ad、CK−Bdに、駆動指令信
号DrA、DrBを入力する。タイミング制御器4a、
4bは、励磁器2a、2bの各入力IN−A、IN−B
にそれぞれの出力信号を出力する。位置検出器3a、3
b及びタイミング制御器4a、4bは、図21に示した
第5の実施例のものと同様であり、詳細な説明は省略す
る。
【0584】図36に示す第9の実施例において、図2
1に示した第5の実施例のものと大きく異なるところ
は、励磁電流強制増加器30および励磁電流制御器7を
備えた点である。
【0585】励磁電流強制増加器30は、タイミング制
御器4a、4bを成す偏差状態検出器20a、20bの
偏差状態検出結果に基づき、電流強制増加信号を励磁器
2a、2bの電流値信号Ref−A、Ref−Bとして
出力する。
【0586】電流制御器7は、位置検出信号CS−A、
CS−Bと駆動指令信号DrA、DrBのと位相差に応
じた励磁電流制御信号Refを、励磁器2a、2bへ電
流値信号Ref−A、Ref−Bとして出力する。
【0587】以上のように構成される本第9の実施例に
ついて、その動作を説明する。
【0588】電流強制増加器30は、偏差状態検出器2
0a、20bの偏差状態検出結果に基づき電流強制増加
信号を励磁電流制御器7に作用させ、励磁電流制御信号
Refを強制的に増加させる。
【0589】また、電流制御器7は、図29に示した第
7の実施例のものと同様のものである。また、電流強制
増加器30は、図35に示した第8の実施例のものと同
様のものである。
【0590】以上のように構成される本第9の実施例
は、図29に示した第7の実施例のものに、図35に示
した第8の実施例における電流強制増加器30の働きを
付加したもである。
【0591】以下に本第9の実施例について、その動作
を説明する。
【0592】先ず第1の状態における動作から説明す
る。第1の状態とは、これまでの実施例で説明した通
り、位置検出信号CS−A、CS−Bと駆動指令信号D
rA、DrBとの偏差が所定の範囲内である状態であ
る。この状態においては、偏差状態検出器20a、20
bを成す判別器11a、11bの出力Sa、Sbは共に
“L”レベルであることは既に第5の実施例で説明した
通りである。
【0593】判別器11a、11bの出力Sa、Sbが
共に“L”レベルであると、電流強制増加器30は、N
ORゲート31の出力を“H”レベルとし、トランジス
タ32をオフする。したがって、電流制御器7は第7の
実施例で説明した通りに動作し、電流制御信号Refを
励磁器2a、2bの電流値信号Ref−A、Ref−B
に出力する。よって、このときの動作ならびに効果は図
29で説明した第7の実施例と同様となる。
【0594】次に第2の状態あるいは第3の状態におけ
る動作を説明する。
【0595】第2の状態又は第3の状態においては、こ
れまでの実施例で説明した通り、信号CS−A、CS−
Bと信号DrA、DrBとの偏差が所定の範囲外となっ
ている。この状態においては、既に第5の実施例で説明
した通り、判別器11a、11bの出力Sa、Sbは、
いずれかが“H”レベルとなっている。この時、電流強
制増加器30は、NORゲート31の出力を“L”レベ
ルとし、トランジスタ32をオンさせる。トランジスタ
32がオンすると、抵抗34の絶対値回路88側の電位
が上昇し、その結果、電流制御器7の電流制御信号Re
fは強制的に増加される。したがって、第2の状態ある
いは第3の状態においては、大きな値の励磁電流でステ
ップモータが駆動されることになる。
【0596】一方、このとき、タイミング制御器4a、
4bは、第2の状態か第3の状態かによって、信号CS
−A、CS−Bかこれらを反転した信号かを励磁信号I
N−A、IN−Bとして出力している。つまり、ステッ
プモータが本来の性能を発揮し得る第1の状態へ引き戻
そうと、最大レベルのトルクを確保し得る励磁切り換え
を行いつつ、加速あるいは減速を行っている。
【0597】このようなタイミング制御器4a、4bに
よる励磁切り換え動作に併せて、上記した電流強制増加
器30が励磁電流を強制増加させることで、第1の状態
へ引き戻すためのトルクのレベルをさらに増加すること
ができる。
【0598】なお、第7の実施例でも説明した通り、電
流強制増加器30の働きが無くとも第2の状態あるいは
第3の状態から第1の状態に引き戻すことが可能である
が、上述の電流強制増加器30の働きを加えることで、
位相差増幅器8(特にチャージポンプ回路83を成す積
分用コンデンサ87)による動作の応答遅れを排除する
ことができる。
【0599】以上のように本第9の実施例によれば、信
号DrA、DrBの周波数が高い、又は急激に高くな
る、あるいは負荷が重い、又は急激に重くなる、あるい
は可動子がアンダーシュートするなどの諸現象により第
2の状態になったり、信号DrA、DrBの周波数が急
激に低くなる、あるいは負荷が急激に軽くなる、あるい
は駆動方向の指令が反転する、あるいは可動子がオーバ
ーシュートするなどの諸現象により第3の状態になった
としても、励磁電流を強制的に増加することにより、ス
テップモータが本来その性能を発揮でき得る第1の状態
に速やかに高い応答性を持って引き戻すことが可能とな
る。
【0600】また当然、本第9実施例は、第5の実施例
と第7の実施例が有する効果も持っている。 (第10の実施例)図37は、第10の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0601】図37は、図36に示した第9の実施例の
ものに対して、周波数判別器41が励磁電流強制増加器
30を成すNORゲート31の入力に付加された構成と
なっている。その他の構成については、第9の実施例と
同様である。
【0602】なお、周波数判別器41は、電流強制増加
器30と合わせて起動停止励磁器40を成している。
【0603】以上のように構成された本第10の実施例
について、その動作を説明する。
【0604】一般にステップモータを駆動する際は、そ
の起動時において駆動指令信号は比較的低周波数で、徐
々にその周波数を上昇させることが多い。これはいわゆ
るソフトスタートと呼ばれる方法である。また、ステッ
プモータを停止して位置決め制御しているとき、駆動指
令周波数は当然、零である。つまり、ステップモータを
起動するときあるいは停止して位置決めするときは、駆
動指令信号DrA、DrBの周波数は低周波数であるか
零となっている。
【0605】このことを逆に利用すると、信号DrA、
DrBの周波数により、起動又は停止位置決め時か、定
常の駆動時かを区別可能である。
【0606】周波数判別器41は、信号DrA、DrB
の周波数が予め設定された値よりも低いか否かを判別し
て、信号DrA、DrBの周波数が低い場合にその出力
を“H”レベルとするように構成されている。言い換え
れば、周波数判別器41は、信号DrA、DrBの周波
数が低く、モータが起動又は停止して位置決めすると
き、その出力を“H”レベルとするように動作する。
【0607】周波数判別器41の出力が“H”レベルと
なると、電流強制増加器30の作用により、電流制御信
号Refが増加し、これによって巻線の励磁電流が増加
する。
【0608】ところで、モータを起動する際、負荷に打
ち勝つための起動トルクが必要である。また、停止して
位置決めする際には、停止位置の精度を高めるために保
持トルクが必要である。つまり、起動するときと停止し
て位置決めするときは、駆動巻線の励磁電流を増加して
可動子に働くトルクを増加する必要がある。
【0609】本第10の実施例によれば、モータを起動
するときあるいは停止して位置決めするとき、これを周
波数判別器41の出力が“H”レベルとなることで検出
する。そして、周波数判別器41の出力が“H”レベル
となると、電流強制増加器30を働かせて励磁電流を増
加し、可動子に働くトルクを増加させる。これにより、
起動時の起動トルクならびに位置決め時の保持トルクを
確実に確保でき、モータの性能を更に向上させることが
できる。
【0610】なお、本第10の実施形態においては、第
9の実施例に起動停止励磁器40を付加した場合を説明
したが、図29に示した第7の実施例や図35に示した
第8実施例に、起動停止励磁器40と同等の働きをする
ものを付加しても、本第10の実施例のものと同様の効
果を得ることができる。 (第11の実施例)図38は、第11の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0611】図38は、図37に示した第10の実施例
のものに対して、偏差状態検出器20a、20bの出力
信号Sa、Sbの論理和をとった信号を同期外れ信号U
Lとして外部の上位機器へ出力する構成となっている。
その他の構成については、第10の実施例と同様であ
る。
【0612】以上のように構成された本第11の実施例
について、その動作を説明する。
【0613】まず、第1の状態における動作から説明す
る。
【0614】この状態においては、偏差状態検出器20
a、20bを成す判別器11a、11bの出力Sa、S
bは共に“L”レベルであることは既に第5の実施例で
説明した通りである。したがって、同期外れ信号ULは
“L”レベルとなる。つまり、このときはモータが駆動
指令信号DrA、DrBに同期し、その本来の性能を発
揮でき得る状態で駆動されていることを、外部の上位機
器に伝えている状態である。
【0615】次に第2の状態あるいは第3の状態におけ
る動作を説明する。
【0616】この状態においては、既に第5の実施例で
説明した通り、判別器11a、11bの出力Sa、Sb
は、いずれかが“H”レベルとなっている。したがっ
て、同期外れ信号ULは“H”レベルとなる。つまり、
このときはモータが信号DrA、DrBに同期しておら
ず、その本来の性能を発揮でき得る状態で駆動されてい
ないことを、外部の上位機器に伝えている状態である。
【0617】このような同期外れ信号ULを外部の上位
機器に伝えることにより、上位機器はこれに搭載されて
いるステップモータが本来の性能を発揮して駆動されて
いる状態であるか否かを判断することができる。したが
って、例えば上位機器が、信号ULが“H”レベルとな
ったことを検出すれば、上位機器が出力している駆動指
令信号DrA、DrBの周波数を低下し、ULが“L”
レベルとなるようにフィードバック制御することが可能
となる。
【0618】このことは、すなわち、モータが上位機器
のコントロール下にあって、信号ULが“L”レベルか
ら“H”レベルとなる寸前まで、つまりモータをそのト
ルク特性の限界まで、駆動指令信号に同期させた状態で
駆動させることができ得ることを意味しており、これに
よってモータの性能を最大限引き出すことが可能とな
る。
【0619】なお、本第11の実施例においては、第1
0の実施例に対して同期外れ信号ULを出力する構成を
適用する場合を説明したが、図21に示した第5の実施
例、図29に示した第7の実施例、図35に示した第8
の実施例や図36に示した第9の実施例に同等の働きを
する構成を付加しても、本第11の実施例のものと同様
の効果を得ることができるのは言うまでもない。 (第12の実施例)図39は、第12の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0620】本第12の実施例は、図36に示した第9
の実施例に対して主に次の点が相違する。
【0621】すなわち、第9の実施例においては、偏差
状態検出器20a、20bを成す判別器11a、11b
の出力信号Sa、Sbにより励磁電流強制増加器30を
動作させる構成としているのに対して、本第12の実施
例においては、出力信号S4a、S4bをさらに設け、
それら信号S4a、S4bにより電流強制増加器30を
動作させる構成としている点が主に相違する。
【0622】また、電流強制増加器30において、第9
の実施例のものはNORゲート31によりトランジスタ
32をオン、オフ制御しているが、本第12の実施例で
はANDゲート231及びインバータ235によりPN
Pトランジスタ32をオン、オフ制御する構成としてい
る。
【0623】なお、トランジスタ32のオンにより、励
磁電流制御信号Refを強制増加させる構成について
は、第9の実施例と同様である。
【0624】本第12の実施例においては、偏差状態検
出器20a及び20bは次のように動作する。なお、偏
差状態検出器20a及び20bは同様な動作をするの
で、偏差状態検出器20aについてのみ説明する。
【0625】偏差状態検出器20aは、これまでの実施
例で説明してきた第1の状態、第2の状態、第3の状態
に加え、第4の状態を検出する機能を有している。
【0626】すなわち、第1の状態とは、駆動指令信号
DrAと位置検出信号CS−Aとによるパルス数の差、
つまり偏差が所定の範囲内である状態である。第2の状
態とは、上記偏差が上記所定の範囲外であり、これを上
記所定の範囲内とするためには、モータの可動子を正方
向に向かわせるように働く順方向トルクが必要な状態で
ある。第3の状態とは、上記偏差が上記所定の範囲外で
あり、これを上記所定の範囲内とするためには、モータ
の可動子を負方向に向かわせるように働く逆方向トルク
が必要な状態である。そして第4の状態とは、上記偏差
が上記所定の範囲よりも広い範囲内である状態である。
ここで例えば、第4の状態は、第1の状態よりも±1だ
け広い範囲とする。
【0627】より具体的には、第1の状態は偏差が±1
以内の状態であり、第4の状態は偏差が±2以内の状態
であるとする。
【0628】偏差状態検出器20aは、上記した第4の
状態を検出すると、信号S4aを“L”レベルとするよ
う動作する。また偏差が第4の状態から外れたことを検
出すると、信号S4aを“H”レベルとするよう動作す
る。偏差状態検出器20bも同様に動作し、その出力信
号S4bは信号S4aと同様に出力される。
【0629】その他の動作については、第9の実施例な
どこれまでの実施例で説明してきた偏差状態検出器20
a、20bと同じである。
【0630】以上が偏差状態検出器20a、20bにつ
いての説明である。
【0631】励磁電流強制増加器30は、これら検出器
20a、20bの出力信号S4a、S4bが共に“H”
レベルであるときに、ANDゲート231とインバータ
235の作用によりトランジスタ32をオンさせる。つ
まり、検出器20a、20bが共に第4の状態から外れ
たことを検出したときに、励磁電流を強制増加する動作
が行われる。
【0632】以上のように動作する検出器20a、20
bおよび電流強制増加器30を備えた本第12の実施例
について、その動作を説明する。
【0633】本第12の実施例においては、偏差の第4
の状態により励磁電流強制増加の制御を行う点が第9の
実施例と異なり、その他の動作および効果については第
9の実施例と同様である。
【0634】したがって、第9の実施例と異なる上記し
た点についてのみ、説明を行う。
【0635】一般に、位置検出器3a、3b(例えばホ
ール素子)からの出力信号CS−A、CS−Bは、モー
タへ取り付ける際に何らかの取り付け誤差が生じる。ま
た検出器の出力自体、オフセットなどの誤差要因が含ま
れている。その結果、信号CS−Aと信号CS−Bとの
位相差が理想的な電気角90度(2相モータの場合)と
することは現実的に期待できず、また信号CS−Aある
いは信号CS−Bの出力デューティーが不揃いとなるこ
ともあり得る。
【0636】図40は、一例として信号CS−Aに誤差
が生じた場合の動作を示している。
【0637】なお図40は、モータが駆動指令信号と同
期して駆動されている場合を示しており、信号CS−A
が誤差を持っているときの動作を実線で、また信号CS
−Aが理想的な信号であるときの動作を破線で示してい
る。
【0638】破線で示すように、信号CS−Aが理想的
であるとき、信号CS−Aと駆動指令信号DrAは交互
に変化する。この場合、偏差はプラス1からマイナス1
の範囲にある。つまり、第1の状態である。また同時に
第4の状態でもある。したがって、信号Saは“L”レ
ベルであり、信号S4aもまた“L”レベルである。よ
って、このときは励磁電流の強制増加は行われない。そ
してこの状態はモータが駆動指令信号と同期して駆動さ
れている限り継続される。
【0639】ところが実線で示すように、信号CS−A
が誤差を含んでいるとき、信号CS−Aは本来タイミン
グt32にて変化すべきものが、例えばタイミングta
eでようやく変化するといったことが起こる。このと
き、駆動指令信号DrAがタイミングta2で変化した
とすると、信号DrAは信号CS−Aが“H”レベルで
ある間に2回変化(タイミングta1とta2の2回)
することになり、タイミングta2にて偏差はプラス2
となってしまう。この時点で偏差状態は第2の状態とな
り、信号Saは“H”レベルとなる。
【0640】第9の実施例においては、この時点で励磁
電流の強制増加が行われることになる。しかし、これは
信号CS−Aが誤差を持ったことにより一時的に第1の
状態を外れただけであって、本来信号CS−Aが理想的
であれば励磁電流の強制増加は行われないし、行う必要
もないはずである。
【0641】ところで上記時点で偏差はプラス2であ
り、第4の状態に変わりなく、信号S4aは“L”レベ
ルである。
【0642】本第12の実施例においては、信号S4a
により励磁電流の強制増加を制御しているので、上記時
点において信号S4aが“L”レベルであれば、励磁電
流は強制増加されない。つまり、信号CS−Aが持つ誤
差の影響により一時的に第1の状態から外れることがあ
っても、不必要な励磁電流の強制増加が行われることは
ない。
【0643】以上、信号CS−Aが誤差を持つ場合を説
明したが、信号CS−Bが誤差を持つ場合についても、
あるいは信号CS−Aと信号CS−Bとの位相差に誤差
がある場合についても同様で、これらの誤差によって不
必要に励磁電流が強制的に増加されることはない。
【0644】また上記説明は、プラス側の偏差を例に示
しているが、マイナス側の偏差についても同様である。
【0645】そして、各相に設けた検出器20a、20
bの出力信号が共に第4の状態つまり偏差がプラス2か
らマイナス2の範囲を超えたとき、信号CS−Aあるい
は信号CS−Bの出力誤差の要因ではなく、真に励磁電
流を増加してモータを加減速し、偏差を第1の状態とす
る必要があるものと判断し、励磁電流を強制増加させる
動作が行われる。
【0646】以上のように本第12の実施例において
は、位置検出器3a及び3bの取り付けにばらつきや検
出器自体が持つオフセットの影響などにより、その出力
信号に誤差が生じ、一時的に第1の状態から外れること
があっても、励磁電流の強制増加が不必要に行われるこ
とはなく、真にモータの加減速が必要なときに励磁電流
を強制増加させることができる。
【0647】なお本第12の実施例において、位相差増
幅器8は、論理和ゲート81、82の出力を選択器20
1を介してチャージポンプ回路83に入力し、チャージ
ポンプ回路83の出力を抵抗34を介して励磁電流制御
信号Refとして出力するように構成している。
【0648】ここで選択器201は、モータの駆動方向
指令である信号FRに応じて、論理和ゲート81,82
の各出力をチャージポンプ回路83に伝える動作をする
ものである。つまり、信号FRによるモータの駆動方向
指令が正方向である場合、論理和ゲート81の出力によ
り電流源84を、論理和ゲート82の出力により電流源
85を制御し、逆に信号FRによるモータの駆動方向指
令が負方向である場合、論理和ゲート81の出力により
電流源85を、論理和ゲート82の出力により電流源8
4を制御するようにゲート81、82の各出力を回路8
3に伝えるものである。これは、既に第3の実施例の中
で説明したように、モータの駆動方向によって論理和ゲ
ート81に入力される信号RN−A、RN−Bと論理和
ゲート82に入力される信号RP−A、RP−Bの意味
が入れ替わるためである。なお、本第12の実施例にお
いては上記した選択器201を備えたことにより、図1
0における第3の実施例などに示した絶対値回路88は
省くことができる。
【0649】このように位相差増幅器8を構成しても、
これまでの各実施例にて説明してきた位相差増幅器と同
様に動作し、これを含む励磁電流制御器7の全体動作に
おいてもこれまでの各実施例にて説明してきたものと変
わりはない。 (第13の実施例)図41は、第13の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0650】本第13の実施例が、図39に示した第1
2の実施例と異なる点は励磁電流強制増加器30の構成
の仕方である。すなわち、本第13の実施例において
は、偏差状態検出器20a、20bの判別器11a、1
1bの出力信号S4a、S4bが入力されるANDゲー
ト231の出力が、エミッタが接地されたNPNトラン
ジスタ237のベースに接続される。同トランジスタ2
37のコレクタは、積分アンプ86の入力端子に接続さ
れる。上記ANDゲート231、トランジスタ237に
より、励磁電流強制増加器30は構成される。
【0651】励磁電流強制増加器30をこのように構成
しても、偏差が第4の状態を外れて信号S4a、S4b
が共に“H”レベルとなると、トランジスタ237はタ
ーンオンし、積分アンプ86の入力端子の電位を低下さ
せ、積分アンプ86の出力端子の電位を上昇させること
ができる。つまり第12の実施例と同様、検出器20
a、20bが検出する偏差が共に第4の状態から外れ、
真にモータの加減速が必要であると判断されたときに励
磁電流を強制的に増加させることができる。
【0652】また、偏差が第4の状態にあるときは信号
S4a、S4bはいずれかが“L”レベルであり、この
ときトランジスタ237はオフする。つまり第12の実
施例と同様、信号CS−A、CS−Bが持つ誤差の影響
により一時的に第1の状態から外れることがあっても、
不必要な電流の強制増加は行われない。
【0653】以上のように、本第13の実施例において
も、第12の実施例と同様の動作が実現でき、位置検出
器3a及び3bの取り付けにばらつきや検出器自体が持
つオフセットの影響などにより、その出力信号に誤差が
生じ、一時的に第1の状態から外れることがあっても、
励磁電流の強制増加が不必要に行われることはなく、真
にモータの加減速が必要なときに励磁電流を強制増加さ
せることができる。 (第14の実施例)図42は、第14の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0654】本第14の実施例が、図39に示した第1
2の実施例と異なる点は次の通りである。本第14の実
施例においては、偏差状態検出器20a、20bの判別
器11a、11bの出力信号S4a、S4bが入力され
るANDゲート231の出力が、積分器200の構成要
素であるアップダウンカウンタ209のプリセット端子
に接続される。そのアップダウンカウンタ209のデジ
タル出力信号は、D/Aコンバータ211を介してアナ
ログ電圧に変換される。上記ANDゲート231のみに
より、励磁電流強制増加器30を構成している。
【0655】なお積分器200は、発振器233とAN
Dゲート205,207とアップダウンカウンタ209
とD/Aコンバータ211とから構成され、図39に示
した第12の実施例におけるチャージポンプ回路83を
デジタル回路に置き換えたものであり、その動作におい
て回路83全く同様である。そしてこれにより構成され
る位相差増幅器8の動作においても、第12の実施例あ
るいはこれまで説明してきた各実施例における位相差増
幅器と同じである。
【0656】なお選択器201は、信号FRがモータを
正方向へ駆動させる指令信号である場合、論理和ゲート
81の出力を信号down0としてANDゲート207
の入力に、論理和ゲート82の出力を信号up0として
ANDゲート205の入力に選択し、信号FRがモータ
を負方向へ駆動させる指令信号である場合、論理和ゲー
ト81の出力を信号up0としてANDゲート205の
入力に、論理和ゲート82の出力を信号down0とし
てANDゲート207の入力に選択するように動作する
ものである。
【0657】この構成の場合、偏差が第4の状態を外れ
信号S4a、S4bが共に“H”レベルとなると、アッ
プダウンカウンタ209はプリセットされ、D/Aコン
バータ211の出力電圧を上昇させる。その結果、励磁
電流を強制的に増加させる。
【0658】したがって第12の実施例と同様、検出器
20a、20bが検出する偏差が共に第4の状態から外
れ、真にモータの加減速が必要であると判断されたとき
に励磁電流を強制的に増加させることができる。
【0659】また、偏差が第4の状態にあるときは信号
S4a、S4bはいずれかが“L”レベルであり、この
ときアップダウンカウンタ209はプリセットされな
い。
【0660】つまり第12の実施例と同様、信号CS−
A、CS−Bが持つ誤差の影響により一時的に第1の状
態から外れることがあっても、不必要な電流の強制増加
は行われない。
【0661】以上のように、本第14の実施例において
も、第12の実施例と同様の動作が実現でき、位置検出
器3a及び3bの取り付けにばらつきや検出器自体が持
つオフセットの影響などにより、その出力信号に誤差が
生じ、一時的に第1の状態から外れることがあっても、
励磁電流の強制増加が不必要に行われることはなく、真
にモータの加減速が必要なときに励磁電流を強制増加さ
せることができる。 (第15の実施例)図43は、第15の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0662】本第15の実施例が、図42に示した第1
4の実施例と異なる点は次の通りである本第15の実施
例は、第14の実施例における遅れ信号優先通過器5a
及び5b、励磁信号選択器14a及び14bを省いた
上、位相差増幅器8の選択器201の一方の出力信号d
own0と休止幅生成器101の出力信号mとを入力す
るANDゲート203を有し、そのANDゲート203
の出力信号downをANDゲート207の一方の入力
端子に入力する構成を付加している。この休止幅生成器
101とANDゲート203とで励磁電流減少休止器1
00を構成している。また、休止幅生成器101は、位
置検出信号CS−A、CS−Bが入力され、これらの信
号のいずれかが“L”から“H”または“H”から
“L”に変化する度に所定のパルス幅の信号を出力する
信号幅生成器213と、その信号幅生成器213の出力
を反転し上記ANDゲート203に出力するインバータ
215とにより構成されている。
【0663】励磁電流減少休止器100は、休止幅生成
器101が励磁電流減少休止信号mを出力している間、
励磁電流制御器7が巻線の最大励磁電流を減少する方向
に励磁電流制御信号Refを変化させるのを休止させる
ように構成されている。
【0664】以上のように構成される本第15の実施例
におけるステップモータ装置の動作について、図44
(A)〜図44Cを用いて説明する。
【0665】図44(A)は、モータは正方向に駆動さ
れ、駆動指令信号DrA、DrBが位置検出信号CS−
A、CS−Bに対して遅れている場合の動作を示してい
る。
【0666】この場合、第3の実施例などで説明したよ
うに、励磁電流制御器7はこれらの信号の位相差に応じ
た指令遅れ信号RN−A、RN−Bにより励磁電流制御
信号Refを減少するよう動作する。
【0667】図44(A)において、選択器201はそ
の出力信号down0として論理和ゲート81の出力を
選択している。したがって、信号down0は信号RN
−Aと信号RN−Bとの論理和信号となり、この信号d
own0は、信号RN−A、RN−Bと同様、駆動指令
信号と位置検出信号との位相差に応じたパルス幅
(“H”レベルの幅)を持つ信号である。
【0668】一方、励磁電流減少休止信号mは、信号幅
生成器213の論理反転信号であり、信号CS−Aある
いは信号CS−Bが変化する度に所定のパルス幅の間
“L”レベルとなる。
【0669】したがって、ANDゲート203の出力信
号downは、信号down0の幅(“H”レベルの
幅)よりも信号mの幅(“L”レベルの幅)だけパルス
幅(“H”レベルの幅)が小さい信号downを積分器
200に出力する。
【0670】ところで積分器200は、信号downが
“H”レベルである間、アップダウンカウンタ209を
カウントダウンし、励磁電流制御信号Refを減少させ
る動作を行う。この信号Refの減少に伴い、モータの
最大励磁電流が減少すると、第3の実施例などで説明し
た通り、駆動指令信号と位置検出信号との位相差が零に
近づいていくが、この動作は信号down0のパルス幅
が信号mのパルス幅よりも小さくなり、信号downが
出力されなくなる(継続して“L”レベルとなる)まで
行われる。
【0671】言い換えると、励磁電流の減少は、駆動指
令信号DrA、DrBに対する位置検出信号CS−A、
CS−Bの遅れが信号mのパルス幅よりも小さくなった
時点、つまり負荷に対する必要最小限の励磁電流よりも
やや余裕のある大きさで休止される。
【0672】以上のように本第15の実施例において
は、励磁電流の減少は負荷に対してやや余裕のある大き
さで休止し、励磁電流制御ループは開放される。つま
り、励磁電流が必要最小限+αに絞られた状態でステッ
プモータは駆動(オープン制御)されることになる。こ
のように励磁電流の絞り込みを必要最小限+αとするこ
とで、多少の負荷外乱が生じた場合において、その抑制
にステップモータが本質的に有する復元力を活用するこ
とができる。図44(B)はその様子を示した図であ
る。また、励磁電流制御ループをオープンとすること
で、電子的なフィードバック系を無くし、制御が不安定
になることも防止できる。このことは、位置検出信号の
検出分解能が小さく、また低速でモータを駆動する場合
ほど効果が得られ、より安価かつ小型化を実現するのに
有効である。さらに、位置検出器の取り付け精度の影響
を緩和することも可能である。図44Cはこのことを説
明する図である。図44Cにおいて、位置検出器の取り
付け精度が悪いと、励磁電流制御器7が出力する励磁電
流制御信号Refのリップルが大きくなることがある。
励磁電流減少休止器100は、励磁電流制御信号のリッ
プルを抑える効果があり、励磁電流制御の安定化に有効
である。 (第16の実施例)図45は、第16の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0673】本第16の実施例が、図43に示した第1
5の実施例と異なる点は次の通りである。
【0674】本第16の実施例は、第15の実施例の構
成に、遅れ信号優先通過器5a及び5b、励磁信号選択
器14a及び14bを付加することにより、励磁タイミ
ング制御器4a及び4bを備える。
【0675】この構成により、上記第15の実施例の効
果と、これまでの実施例で説明してきた励磁タイミング
制御器4a、4bの効果つまり脱調を完全に回避できる
効果とを合わせ持つことができる。
【0676】ところで、図43に示した第15の実施例
および図45に示した第16の実施例における励磁電流
減少休止信号mは、位置検出信号CS−A、CS−Bの
入力タイミング毎に、モータの回転数に応じた時間、出
力されるようにしてもよい。
【0677】これは例えば、図46に示すように、信号
幅生成器213を、信号CS−Aあるいは信号CS−B
が変化する度に放電し、放電が完了すると再び充電する
充放電器で構成し、その充放電器が放電している時間、
信号mを出力することで実現できる。この場合、充放電
器の充電と放電の比率を変えることで信号mの出力幅は
自在に変更できる。
【0678】このように、信号mをモータの回転数に応
じて出力させることで、信号mのパルス幅は回転数に係
わらず一定の電気角を示す幅となる。したがって、励磁
電流の絞り込み量が回転数に依らず安定し、負荷外乱に
対するモータの自己復元力が安定して活用可能になる。
これはモータの回転数を広範囲に可変速する場合に有利
となる。
【0679】また、励磁電流減少休止信号mは、位置検
出信号CS−A、CS−Bの入力タイミング毎に、予め
定められた時間、出力するようにしてもよい。
【0680】これは例えば、図47に示すように、信号
幅生成器213を、信号CS−Aあるいは信号CS−B
が変化する度に動作するモノマルチ回路などで構成する
ことで実現できる。
【0681】回転数の可変範囲が小さな用途では、この
ように簡易的に信号mの出力幅を一定時間とすることが
可能である。 (第17の実施例)図48は、第17の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0682】本第17の実施例が、図45に示した第1
6の実施例と異なる点は次の通りである。
【0683】本第17の実施例は、第16の実施例の構
成に、励磁信号安定判別器120及び、セレクタ127
とセレクタ129を付加している。
【0684】すなわち、位相状態記憶器121は、位置
検出器3aからの位置検出信号CS−Aとその反転信号
と偏差カウンタ10aからの偏差信号とを入力し、その
出力は一致検出器125に接続されている。同様に、位
相状態記憶器123は、位置検出器3bからの位置検出
信号CS−Bとその反転信号と偏差カウンタ10bから
の偏差信号とを入力し、その出力は一致検出器125に
接続されている。上記記憶器121、記憶器123及び
検出器125とで励磁信号安定判別器120が構成され
ている。
【0685】セレクタ127は、一致検出器125の出
力信号と駆動指令信号DrAと励磁信号選択器14aの
出力信号とを入力し、その出力は励磁器2aの入力IN
−Aに接続されている。同様に、セレクタ129は、一
致検出器125の出力信号と駆動指令信号DrBと励磁
信号選択器14bの出力信号とを入力し、その出力は励
磁器2bの入力IN−Bに接続されている。
【0686】上記の構成が、本第17の実施例が、第1
6の実施例と異なる点である。
【0687】本第17の実施例の動作について図49
(A)及び図49(B)を用いて説明する。
【0688】励磁タイミング制御器4aは、駆動指令信
号DrAと位置検出信号CS−Aとを入力し、その信号
DrA又は信号CS−Aのいずれかの入力タイミングに
応答して励磁信号を出力する。同様に、励磁タイミング
制御器4bは、駆動指令信号DrBと位置検出信号CS
−BAを入力し、その信号DrB又は信号CS−Bのい
ずれかの入力タイミングに応答して励磁信号を出力す
る。
【0689】上記第16の実施例同様、上記制御器4a
は、駆動指令信号による巻線の励磁切り換えがモータ1
を所望の方向へ駆動するのに有効な方向にトルクを向か
わせる場合は駆動指令信号の入力タイミングに応答して
励磁信号を出力する。一方、駆動指令信号による巻線の
励磁切り換えがモータ1を所望の方向へ駆動するには好
ましくない方向にトルクを向かわせる場合は位置検出信
号の入力タイミングに応答して励磁信号を出力する。制
御器4bについても同様である。
【0690】ここで、位置検出信号CS−A、CS−B
に誤差が生じた場合を考える。
【0691】この誤差は、位置検出器3a、3bの機械
的な取り付け精度や、検出器自身が持つ出力オフセット
などの影響により生じ、信号CS−A、CS−Bの出力
デューティーのアンバランスや、両信号間の位相ずれを
生む。
【0692】図49(A)は、信号CS−A、CS−B
にこのような誤差が生じた場合の動作を示している。な
お、図49(A)に示す信号CS−A、CS−Bにおい
て、破線は理想信号であり実線は誤差が生じたときの信
号を示している。
【0693】上記した誤差があると、信号CS−A、C
S−Bと駆動指令信号DrA、Drbとの位相差が零に
近い場合、見かけ上これらの信号の進み遅れの関係が頻
繁に入れ替わることになる。このとき制御器4a、4b
は上記した動作を行うべく、遅れ信号優先通過器5a、
5bの作用により、これらの信号のうち遅れている方の
信号を励磁信号として出力する。しかし、その進み遅れ
の関係が頻繁に入れ替わると、励磁信号は、信号CS−
A、CS−Bに応答したり、信号DrA、DrBに応答
したりすることになる。
【0694】このような励磁信号を励磁器2a、2bに
入力すると、図49(A)のようにトルクリップルを大
きくし、また平均トルクも低下させる虞がある。
【0695】励磁信号安定判別器120およびセレクタ
127、129はこれを回避する目的で設けたものであ
る。
【0696】励磁信号安定判別器120は、制御器4a
の励磁信号が、上記いずれかの入力タイミングのうち、
一方の入力タイミングに比較的長期間応答している安定
状態か、上記いずれかの入力タイミングへの応答が比較
的短期間で入れ替わる不安定状態かを判別する。制御器
4bの励磁信号についても同様である。
【0697】セレクタ127は、判別器120の判別結
果に基づき、駆動指令信号と励磁信号のうちいずれかを
選択して、励磁器2aに出力する。セレクタ129につ
いても同様である。
【0698】そして、判別器120が上記安定状態を判
別したとき、2つのセレクタは励磁信号を選択する。一
方、判別器120が上記不安定状態を判別したとき、2
つのセレクタは駆動指令信号を選択するように動作す
る。
【0699】なお、励磁信号安定判別器120の具体構
成例を図50に示す。
【0700】図50に示す判別器120は、信号CS−
A、CS−Bと信号DrA、DrBとの位相関係(信号
DrA、DrBが信号CS−A、CS−Bに対して進ん
でいるか遅れているか)を偏差カウンタ10a、10b
が出力する偏差(正方向駆動時は偏差が“+1”である
か“0”であるか、負方向駆動時は偏差が“−1”であ
るか“0”であるか)を用いて検出し、この偏差を用い
て検出した位相関係を信号CS−A、CS−Bが変化す
る一つ一つのタイミング毎に複数のDタイプフリップフ
ロップにより複数回(4回)記憶し、その複数(4回)
の記憶が全て同じであるか否かを一致検出器125によ
り検出し、これらの記憶が全て同じならば上記安定状態
と判別し、少なくとも1つ以上が異なれば不安定状態と
判別するように構成されている。
【0701】判別器120は、上記のように信号CS−
A、CS−Bと信号DrA、DrBとの位相関係が上記
記憶回数で決まる比較的長期間のあいだ同じであるか否
かにより、制御器4a、4bから出力される励磁信号が
安定状態であるか不安定状態であるかを判別するもので
ある。
【0702】図49(B)は、上記した判別器120と
セレクタ127、129とを備えた本第17の実施例に
おける動作を示す図である。
【0703】図において、判別器120の出力PJが
“L”レベルである間が、励磁信号が不安定状態のとき
である。このときセレクタ127、129により励磁器
2a、2bには駆動指令信号DrA、DrBが入力され
る。
【0704】したがって、上述のように、信号CS−
A、CS−Bが持つ誤差が原因で制御器4a、4bが出
力する励磁信号が不安定となっても、モータの駆動巻線
の励磁切り換えは駆動指令信号DrA、DrBにより安
定に行われ、トルクリップルを小さく維持することがで
き、またトルク低下を招く心配がなくなる。
【0705】励磁信号が安定状態となり、出力PJが
“H”レベルとなった場合は、励磁器2a、2bには制
御器4a、4bからの励磁信号が入力され、これまで説
明してきた各実施例の如く脱調しないステップモータ駆
動が行われる。
【0706】なお、判別器120は、位置検出信号と駆
動指令信号との位相関係を、位置検出信号が変化するタ
イミング毎に記憶する構成例を示したが、駆動指令信号
が変化するタイミング毎に記憶する構成としても構わな
い。また、上記位相関係の検出に偏差カウンタを利用す
る構成例を示したが、位置検出信号(又は駆動指令信
号)の変化するタイミングで駆動指令信号(又は位置検
出信号)のレベルをラッチする方法などを採用すること
もできる。
【0707】上記から明らかなように、本第17の実施
例では励磁信号安定判別器及びセレクタを備えることに
より、その判別器は位置検出信号と駆動指令信号との位
相差が安定であるか不安定であるかを判定し、セレクタ
は判別器が不安定を判別した時、駆動指令信号を励磁信
号として選択し、安定を判別した時、励磁タイミング制
御器の出力信号を励磁信号として選択するように構成し
ている。
【0708】この構成により次の効果が期待できる。例
えばホール素子などで構成される位置検出器は、その取
り付け精度や検出器自身の持つオフセットなどの影響に
より、通常その出力に誤差を持っている。この場合、励
磁タイミング制御器の出力信号が、位置検出信号を出力
したり駆動指令信号を出力したりして、不安定となり、
これによりトルクリップルや回転むらの増加、またトル
ク低下を招く虞がある。この現象は、特に位置検出信号
(逆転駆動時はその反転信号)と駆動指令信号との位相
差がゼロ近傍の場合に起こり易い。本第17の実施例で
は、この現象を回避し、位置検出信号が誤差を持ち、駆
動指令信号との位相差がゼロ近傍の場合においても励磁
信号が安定し、トルクリップルや回転むらの増加、また
トルク低下を防ぐことができる。そして励磁信号を駆動
指令信号に安定させるため、モータの有するトルク特性
の限界まで安定にステップモータとしての駆動が可能と
なる。 (第18の実施例)図51は、第18の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0709】図51において、励磁信号安定判別器12
0、セレクタ127及び129は、上記第17の実施例
と同様である。
【0710】本第18の実施例が、図48に示した第1
7の実施例と異なる点は、位置検出器の構成である。す
なわち、本第18の実施例では位置検出器130が、第
17の実施例における位置検出器3a及び3bの代わり
に設けられている。
【0711】位置検出器130が出力する位置検出信号
には、駆動巻線が発生する誘起電圧に対して進み位相の
信号と遅れ位相の信号とが含まれるように構成されてい
る。
【0712】図52(A)は、上記した位置検出器13
0が出力する位置検出信号CS−A、CS−Bと、A相
駆動巻線を励磁した場合の発生トルクTa、B相駆動巻
線を励磁した場合の発生トルクTbとの関係を示してい
る。また図52(B)は、上記信号CS−A、CS−B
と、A相駆動巻線およびB相駆動巻線をそれぞれプラス
あるいはマイナスに励磁した場合の発生トルク“−Ta
−Tb”、“Ta−Tb”、“Ta+Tb”、“−Ta
+Tb”との関係を示している。
【0713】図に示すように、信号CS−Aは誘起電圧
つまり発生トルクTaに対して進み位相に、信号CS−
Bは誘起電圧つまり発生トルクTbに対して遅れ位相と
なるように出力される。
【0714】励磁信号安定判別器120とセレクタ12
7、129とを備えた第17の実施例に対して、上記し
た図52(A)、図52(B)のように信号を出力する
位置検出器を設けた本第18の実施例における動作を説
明する。
【0715】第17の実施例で説明したとおり、判別器
120とセレクタ127、129は、駆動指令信号と位
置検出信号との位相関係が頻繁に入れ替われば、励磁信
号が不安定状態と判断し、駆動指令信号を励磁器2a、
2bに入力する。つまり、駆動指令信号の入力タイミン
グが、位置検出器130が出力する進み位相の信号より
も遅く、遅れ位相の信号よりも速いあいだは、判別器1
20は励磁信号が不安定状態と判別し、駆動指令信号に
よる巻線の励磁切り換えが行われることになる。
【0716】したがって、モータを正方向に駆動する場
合、進み位相に設けられた信号CS−Aよりも駆動指令
信号の位相が進むまで、ステップモータとしての駆動が
行われる。その結果、進角効果が現れ、これによりモー
タ効率を向上させることができる。なお、進角によりモ
ータ効率が向上することは一般によく知られている。
【0717】またモータを負方向に駆動する場合、遅れ
位相に設けられた信号CS−Bは、負方向を基準に見れ
ば進み位相となるため、信号CS−Bよりも駆動指令信
号の位相が進むまで、ステップモータとしての駆動が行
われ、やはり正方向駆動時と同様、進角による高効率化
が図れる。
【0718】以上のように本第18の実施例では、位置
検出器130が出力する位置検出信号には、誘起電圧に
対して進み位相の信号と遅れ位相の信号とが含まれる構
成とすることにより、正転逆転にかかわらず進角作用が
生じ、モータ効率が上がる効果が得られる。 (第19の実施例)図53は、第19の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0719】図53において、励磁信号安定判別器12
0、セレクタ127及び129は、上記第18の実施例
と同様である。
【0720】本第19の実施例は、図51に示した第1
8の実施例と異なる点は、位置検出器130として第1
のセンサー131及び第2のセンサー132を有した点
である。センサー131は駆動巻線より発生する誘起電
圧に対して、位相が進むように取り付けられている。一
方、センサー132は誘起電圧に対して、位相が遅れる
ように取り付けられている。
【0721】センサー131の出力信号CS−Aと、セ
ンサー132の出力信号CS−Bと、各駆動巻線を励磁
したときの発生トルクとの関係は、図52(A)、図5
2(B)に示した第18の実施例におけるものと同じで
ある。
【0722】ここで、上記2つのセンサーとして、具体
的にはホール素子、MRセンサー、光学式エンコーダ、
レゾルバ等が使用できる。また、3相の駆動巻線を備え
た3相ステップモータの場合で、3つのセンサーを配設
する場合においては、その3つのセンサーのうち2つを
使用するようにしても良い。
【0723】以上のように構成した本第19の実施例に
おける動作は、第18の実施例における動作と基本的に
同様である。
【0724】つまり、駆動指令信号の入力タイミング
が、センサー131が出力する進み位相の信号よりも遅
く、センサー132が出力する遅れ位相の信号よりも速
いあいだは、判別器120は励磁信号が不安定状態と判
別し、駆動指令信号による巻線の励磁切り換えが行われ
ることになる。
【0725】したがって、第18の実施例と同様、モー
タの回転方向に係わらず、進角効果によりモータ効率を
向上させることができる。
【0726】図54(A)は判別器120が励磁信号を
不安定状態と判別し、駆動指令信号DrA、DrBによ
り励磁切り換えが行われる様子を示している。
【0727】この時の励磁切り換えは、一見してモータ
を所望の方向へ駆動するのに好ましくない切り換えであ
るかのように見えるがそうではない。すなわち、上記し
た進角効果によりトルクが向上し、この励磁切り換えは
モータを継続駆動するのに好ましい切り換えとなる。
【0728】これについて図54(B)を用いて少し説
明を加える。モータの駆動巻線にはインダクタンス成分
があるため、励磁切り換え信号(上の例では信号Dr
A、DrB)に対して巻線の励磁電流の切り換えが遅れ
る。その結果、実際には図54(B)に示すように、励
磁切り換え信号を少し速めに出力することで発生トルク
が向上する。これは進角効果としてよく知られている。
【0729】本第19の実施例では、励磁信号安定判別
器120と、セレクタ127、129と、駆動巻線の誘
起電圧に対して進み位相で取り付けられたセンサー13
1と遅れ位相で取り付けられたセンサー132とにより
構成した位置検出器130を備えたことにより、正転逆
転にかかわらず進角効果が生じ、上記第18の実施例と
同様、モータ効率を向上することができる。 (第20の実施例)図55は、第20の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0730】図55において、励磁タイミング制御器4
a及び4b、励磁信号安定判別器120、セレクタ12
7及び129は、上記第19の実施例と同様である。
【0731】本第20の実施例の特徴は、位置検出器1
30を構成する第1のセンサー133及び第2のセンサ
ー134が、駆動巻線の発生する誘起電圧つまり各駆動
巻線を励磁した際の発生トルクTa及びTbに対して進
角された位置検出信号CS−A及びCS−Bを出力する
ように取り付けられた点である。
【0732】図56は本第20の実施例における動作説
明図である。
【0733】図に示すように、信号CS−A、CS−B
は進角されている。したがって制御器4a、4bは、こ
の進角された信号よりも速いタイミングで駆動指令信号
DrA、DrBが入力されるまで、信号DrA、DrB
を励磁信号として出力するように動作する。その結果、
巻線の励磁切り換えが速めに行われることで現れる進角
効果が発揮される領域まで、駆動指令信号DrA、Dr
Bによる駆動つまりステップモータとしての駆動が実現
でき、より効率の高いステップモータ装置が実現でき
る。また信号DrA、DrBが信号CS−A、CS−B
よりも更に速いタイミングで入力された場合は、制御器
4a、4bの働きにより信号CS−A、CS−Bが励磁
信号となり、これまでの実施例で説明したとおり、脱調
しないステップモータ装置も実現している。 (第21の実施例)図57は、第21の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0734】本第21の実施例は、図55に示した第2
0の実施例と異なる点は、位置検出器130の構成であ
る。位置検出器130は次のように構成される。位置信
号生成器135は、第1のセンサー133及び第2のセ
ンサー134から、それぞれの出力信号を入力し、信号
処理をした後、位置検出信号CS−A及びCS−Bとし
て出力するように構成されている。
【0735】さらに、具体的説明する。
【0736】モータ1の駆動巻線は、互いに電気的に9
0度の位相差を有して設けられる第1相巻線と第2相巻
線とから成っている。
【0737】第1のセンサー133は、モータ1を正方
向に駆動した場合、第1相巻線が発生する誘起電圧に対
して進み位相の信号を出力するように固定子に取り付け
られている。第2のセンサー134は、モータ1を正方
向に駆動した場合、第2相巻線が発生する誘起電圧に対
して進み位相の信号を出力するように固定子に取り付け
られている。位置信号生成器135は、センサー133
とセンサー134の各出力を入力とし、各相巻線に対応
する位置検出信号CS−A及びCS−Bを生成する。セ
ンサー133の出力信号の進み位相は、第1相巻線が発
生する誘起電圧に対して電気角で概略45度である。同
様に、センサー134の出力信号の進み位相は、第2相
巻線が発生する誘起電圧に対して電気角で概略45度で
ある。
【0738】位置信号生成器135は、モータ1を正方
向に駆動する場合、センサー133の信号を第1相巻線
に対応した位置検出信号CS−Aとし、センサー134
の信号を第2相巻線に対応した位置検出信号CS−Bと
する。一方、モータ1を負方向に駆動する場合、センサ
ー133の信号の反転信号を第2相巻線に対応した位置
検出信号CS−Bとし、センサー134の信号を第1相
巻線に対応した位置検出信号CS−Aとする。
【0739】以上のように構成した本第21の実施例に
おける動作を説明する。
【0740】先ず、モータを正方向に駆動する場合につ
いて、図58(A)を用いて説明する。
【0741】図に示すように、センサー133の出力信
号S133は、第1相巻線の誘起電圧eaに対して電気
角で45度進み位相になっている。またセンサー134
の出力信号S134は、第2相巻線の誘起電圧ebに対
して電気角で45度進み位相になっている。これら信号
S133及びS134はそれぞれ生成器135により信
号CS−A及びCS−Bとなる。ここで明らかなよう
に、信号CS−A、CS−Bは各相巻線の誘起電圧e
a、ebつまり各相巻線を励磁した際の発生トルクT
a、Tbに対して電気角で45度進角された信号であ
る。したがって、第20の実施例と同様、制御器4a、
4bは、この進角された信号よりも速いタイミングで駆
動指令信号DrA、DrBが入力されるまで、駆動指令
信号DrA、DrBを励磁信号とするように動作し、進
角効果が発揮されて効率が向上する領域までステップモ
ータとして駆動できることになる。
【0742】次に、モータを負方向に駆動する場合につ
いて、図58(B)を用いて説明する。
【0743】負方向駆動の場合、信号S133、S13
4の誘起電圧ea、ebに対する位相関係は正方向駆動
のときと逆になり、それぞれの信号S133、S134
はそれぞれの誘起電圧ea、ebに対して電気角で45
度遅れ位相となる。したがって、これらの信号を正方向
駆動時と同じように信号CS−A、CS−Bとしても進
角効果を得ることはできない。
【0744】負方向駆動においては、図58(B)に示
すように、生成器135は信号S133の反転信号を信
号CS−B、信号S134を信号CS−Aとして出力す
る。こうすることで、信号CS−A、CS−Bは誘起電
圧ea、ebに対して電気角で45度進角された信号と
なり、正方向駆動時と同様、進角効果を得ることができ
る。
【0745】なお本第21の実施例においては、上記の
説明から明らかなように、モータを駆動する方向を正方
向とするか負方向とするかによって、第1のセンサー1
33の信号S133を信号CS−Aとするか反転して信
号CS−Bとするか、また第2のセンサー134の出力
S134を信号CS−Bとするか信号CS−Aとするか
を生成器135により制御している。
【0746】この生成器135の制御は単純なものであ
るが、これは上記の各センサーの進角を45度としたた
めである。つまり、各駆動巻線のいずれから見ても同様
に見える45度にセンサーを進角したため、非常に簡素
な制御で両方向駆動への進角対応が可能となっている。
【0747】なお、この45度の進角は厳密に45度で
ある必要はない。モータの特性が許容できる範囲で概略
45度に設定すればよい。
【0748】以上のように本第21の実施例のステップ
モータ装置は、モータの第1相及び第2相駆動巻線が発
生する誘起電圧に対して概略45度(電気角)に進角し
た第1及び第2のセンサーと、モータを正方向に駆動す
る場合、第1のセンサー信号を第1相巻線に対応した位
置検出信号CS−A、第2のセンサー信号を第2相巻線
に対応した位置検出信号CS−Bとし、モータを負方向
に駆動する場合、第1のセンサー信号の反転信号を第2
相巻線に対応した位置検出信号CS−B、第2のセンサ
ー信号を第1相巻線に対応した位置検出信号CS−Aと
する位置信号生成器135とから成る位置検出器130
を備えたことにより、正転及び逆転駆動の双方で、進角
効果が発揮される領域まで、駆動指令信号による駆動つ
まりステップモータとしての駆動が実現でき、より効率
の高いステップモータ装置が実現できる。また駆動指令
信号が信号CS−A、CS−Bよりも更に速いタイミン
グで入力された場合は、制御器4a、4bの働きにより
信号CS−A、CS−Bが励磁信号となり、これまでの
実施例で説明したとおり、脱調しないステップモータ装
置も実現している。 (第22の実施例)図59は、第22の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0749】本第22の実施例は、図43に示す第15
の実施例と異なる点は、位置検出器130の構成を上記
第21の実施例のものに代え、励磁電流増加割込器10
5を付加した点である。位置検出器130の構成は上記
第21の実施例のものと同様なのでその説明を省く。
【0750】励磁電流制御器7は、励磁器2a及び2b
の励磁信号IN−A、IN−Bとして入力される駆動指
令信号DrA及びDrBと、位置検出器130からの位
置検出信号CS−A及びCS−Bとの位相差に応じた励
磁電流制御信号Refを励磁器2a及び2bへの電流値
信号Ref−A、Ref−Bとして出力する。
【0751】その際、制御器7は、次のように信号Re
fを変化させる。
【0752】すなわち、信号DrA、DrBによる巻線
の励磁切り換えがモータを所望の方向へ駆動するのに有
効な方向にトルクを向かわせる場合は、信号DrA、D
rBと信号CS−A、CS−Bとの位相差に応じて巻線
の最大励磁電流を減少する方向に信号Refを変化させ
る。一方、信号DrA、DrBによる巻線の励磁切り換
えがモータを所望の方向へ駆動するのに好ましくない方
向にトルクを向かわせる場合は、信号DrA、DrBと
信号CS−A、CS−Bとの位相差に応じて巻線の最大
励磁電流を増加させる方向に信号Refを変化させる。
【0753】そして、さらに制御器7は、休止幅生成器
101を含む励磁電流減少休止器100と割込幅生成器
107を含む励磁電流増加割込器105とを有してい
る。その励磁電流減少休止器100は、位置検出信号C
S−A、CS−Bの出力に応答して休止幅生成器101
が励磁電流減少休止信号mを出力する間、巻線の最大励
磁電流を減少する方向への励磁電流制御信号Refの変
化を休止するように構成されている。励磁電流増加割込
器105は、位置検出信号CS−A、CS−Bの出力に
応答して割込幅生成器107が割込許可信号qを出力
し、この割込許可信号qの出力中に信号DrA、DrB
が変化すると、その時点から信号qが終了するまでのあ
いだ励磁電流増加割込信号nを出力し、この信号nが出
力される間、巻線の最大励磁電流を増加する方向へ励磁
電流制御信号Refを変化させるように構成されてい
る。
【0754】また信号幅生成器213は、位置検出信号
CS−A、CS−Bのいずれかが“L”から“H”また
は“H”から“L”に変化する度に所定のパルス幅の信
号P213を出力するように構成される。この信号P2
13の反転信号が休止幅生成器101の励磁電流減少休
止信号mであり、同じ信号P213が割込幅生成器10
7の割込許可信号qにもなっている。
【0755】励磁器2a及び2bは、それぞれ駆動指令
信号DrA及びDrB(励磁信号)と、上記励磁電流制
御器7からの電流値信号とを入力とし、励磁信号に応答
して駆動巻線の励磁を切り換え、電流値信号によりモー
タ1の駆動巻線の最大励磁電流を定めるとともに、駆動
巻線を励磁するための電力を供給する。
【0756】以上のように構成される本第22の実施例
について、図60を参照しながら説明する。
【0757】図60(A)、図60(B)においては、
モータを正方向に駆動する場合の動作を示している。負
方向に駆動する場合も基本的には同様である。ここでは
正方向に駆動する場合についてのみ説明を行う。
【0758】励磁電流制御器7は、駆動指令信号Dr
A、DrBが位置検出信号CS−A、CS−Bよりも遅
れている場合、これらの信号の位相差に応じた指令遅れ
信号RN−A、RN−Bにより励磁電流制御信号Ref
を減少するよう動作することは既に述べた。
【0759】これらの信号RN−A、RN−Bは、論理
和ゲート81により合成され、モータの正方向駆動時に
おいては選択器201の信号down0として出力され
る。
【0760】この信号down0は、励磁電流を減少さ
せるための情報となるが、ここで注意すべき点について
述べる。
【0761】信号down0は、信号CS−A、CS−
Bに対する信号DrA、DrBの遅れ位相差に応じた信
号である。しかし信号CS−A、CS−Bは、第21の
実施例で説明したとおり、各相巻線が発生する誘起電圧
に対して進角されている。このため、信号down0は
励磁電流減少のための情報としては過剰情報となる。し
たがって、進角時においては、信号down0により直
接励磁電流を減少させると過剰な電流の絞り込みが行わ
れ、モータを失速させる虞がある。
【0762】本実施例における励磁電流減少休止器10
0は、これを回避する働きがある。
【0763】以下、このことについて図60(A)を参
照しながら説明する。
【0764】図に示すように信号CS−A、CS−B
は、各相巻線が発生する誘起電圧つまり各相巻線を励磁
した際の発生トルクTa、Tbに対して進角されてい
る。
【0765】この信号CS−A、CS−Bが変化する度
に信号幅生成器213は所定のパルス幅の間“H”レベ
ルとなる信号P213を出力する。
【0766】本実施例では、この信号P213が“H”
レベルである間の信号down0を、励磁電流減少動作
における過剰情報としている。
【0767】図60(A)は、駆動指令信号DrA、D
rBが位置検出信号CS−A、CS−Bよりも遅れ、さ
らに信号P213が“H”レベルである間よりも遅れた
タイミングで入力される場合の動作を示している。
【0768】この場合、信号down0は信号P213
よりも“H”レベルである間が長くなる信号であり、励
磁電流減少動作において過剰情報となっている。
【0769】励磁信号減少休止器100は、信号P21
3が“H”レベルである間、励磁電流減少休止信号mを
“L”レベルとする。これにより積分器200には信号
down0よりも“H”レベルである間が短い信号do
wnが入力され、励磁電流制御信号Refは、信号do
wn0から過剰な情報が取り除かれた信号downによ
り制御されることになる。
【0770】なお、積分器200は、信号downが
“H”レベルである間、信号Refを減少させることに
ついては、既に第15の実施例において説明したとおり
である。
【0771】以上のように、励磁電流減少休止器100
の働きにより、位置検出信号CS−A、CS−Bを進角
した場合においても、励磁電流が過剰に絞り込まれるこ
とがなくなり、モータを失速させる心配がなくなる。
【0772】次に信号up0に関して注意すべき点につ
いて述べる。
【0773】信号up0は、選択器201の出力信号で
あり、モータの正方向駆動時においては信号RP−Aと
信号RP−Bとを論理和ゲート82により合成した信号
となる。ここで、信号RP−A、RP−Bは、駆動指令
信号DrA、DrBが位置検出信号CS−A、CS−B
よりも進んだ場合に出力される指令進み信号であり、励
磁電流制御器7は、この信号により励磁電流制御信号R
efを増加するよう動作することはこれまでの実施例の
中で述べたとおりである。
【0774】つまり信号up0は励磁電流を増加させる
ための情報となる信号である。
【0775】しかし信号CS−A、CS−Bが先の説明
のように進角されていると、信号DrA、DrBがこの
進角された信号よりも更に速いタイミングで入力される
まで信号up0が出力されないことになる。このため、
信号up0は励磁電流増加のための情報としては不足情
報となる。
【0776】したがって、進角時においては、信号up
0により直接励磁電流を増加させると、電流増加動作に
遅れが生じ、モータを不安定にしたり失速させる虞があ
る。
【0777】本実施例における励磁電流増加割込器10
5はこれを回避する働きがある。
【0778】以下、このことについて図60(B)を参
照しながら説明する。
【0779】図60(A)と同様、信号幅生成器213
は進角された信号CS−A、CS−Bが変化する度に所
定のパルス幅の間“H”レベルとなる信号P213を出
力する。
【0780】本実施例では、この信号P213を割込許
可信号qとし、この信号が“H”レベルである間に信号
DrA、DrBが変化すると、励磁電流増加動作におけ
る情報が不足しているものとし、励磁電流増加割込信号
nを出力する。
【0781】図60(B)は、位置検出信号CS−A、
CS−Bよりも遅れているが、信号P213つまり割込
許可信号qが“H”レベルである間に駆動指令信号Dr
A、DrBが入力される場合の動作を示している。
【0782】この場合、信号P213(割込許可信号
q)が“H”レベルである間に信号DrA、DrBが変
化しているので、励磁電流増加動作における情報が不足
していることになる。
【0783】割込許可信号qが“H”レベルである間に
おいて、信号DrA、DrBが変化すると信号down
0は“L”レベルとなるため、割込幅生成器107はイ
ンバータ219、ANDゲート221の働きにより励磁
電流増加割込信号nを“H”レベルとする。したがっ
て、励磁電流増加割込器105は信号up0に信号nを
割り込ませ、信号up0が発生しなくとも“H”レベル
となる信号upを積分器200に入力する。これによ
り、励磁電流制御信号Refは、信号up0の不足情報
が補われた信号upにより制御されることになる。
【0784】なお、積分器200は、信号upが“H”
レベルである間、その内部のアップダウンカウンタ20
9をカウントアップし、信号Refを増加させるように
構成されている。
【0785】以上のように、励磁電流増加割込器105
の働きにより、位置検出信号CS−A、CS−Bを進角
した場合においても、励磁電流の増加動作が遅れること
なく行われ、モータを不安定にしたり失速させたりする
心配がなくなる。
【0786】以上のように本第22の実施例のステップ
モータ装置は、位置検出信号を進角した場合において
も、励磁電流の絞り込み動作の行き過ぎと増加動作の遅
れとを回避できる。その結果、進角によるモータの高効
率化及び励磁電流制御の安定化を両立でき好ましい。 (第23の実施例)図61は、第23の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0787】本第23の実施例が、図59に示した第2
2の実施例と異なる点は次の通りである。
【0788】本第23の実施例は、第22の実施例の構
成に、遅れ信号優先通過器5a及び5b、励磁信号選択
器14a及び14bを付加することにより、励磁タイミ
ング制御器4a及び4bを備える。また、励磁信号安定
判別器120、セレクタ127及び129を備える。
【0789】この構成により、本第23の実施例は、上
記第22の実施例の効果に加え、励磁タイミング制御器
4a、4bにより脱調しないという効果も備えたものと
なる。
【0790】なお、本第23の実施例および上記第22
の実施例において、励磁電流減少休止器100と励磁電
流増加割込器105は信号幅生成器213の出力信号P
213を共有している。つまり、励磁電流減少休止信号
mの出力幅と割込許可信号qの出力幅を同じにしてい
る。
【0791】この場合の動作を図63に示す。
【0792】先ず信号DrA、DrBが信号P213の
“H”レベル終了後に変化した場合、信号P213の
“H”レベル終了時点から信号DrA、DrBの変化時
点までのあいだ信号downが“H”レベルとなり、励
磁電流の減少動作が行われる。(期間Y1) また信号DrA、DrBが信号P213の“H”レベル
である間に変化した場合、信号DrA、DrBの変化時
点から信号P213の“H”レベル終了時点までのあい
だ信号upが“H”レベルとなり、励磁電流の増加動作
が行われる。(期間Y3) つまり、駆動指令信号DrA、DrBの位置検出信号C
S−A、CS−Bに対する遅れ位相差は、信号P213
の“H”レベルの幅に対応するように励磁電流の制御が
行われることになる。
【0793】このことを利用すると、信号P213の出
力幅(“H”レベルの幅)を適当に設定することで、位
置検出信号CS−A、CS−Bと駆動指令信号DrA、
DrBとの位相差が任意の値となるように励磁電流を制
御することができる。例えば、信号P213の出力幅を
信号CS−A、CS−Bの進角量よりも少し大きめの値
とすることで、励磁電流は負荷に対してやや余裕のある
大きさつまり必要最小限+αに制御することができる。
このように励磁電流の絞り込みを必要最小限+αとする
と、多少の負荷外乱が生じた場合においても、その抑制
にステップモータが本質的に有する復元力を活用できる
という効果が得られる。 (第24の実施例)図62は、第24の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0794】本第24の実施例が、図61に示した第2
3の実施例と異なる点は、励磁電流増加割込器105に
おける割込幅生成器109の構成である。
【0795】すなわち、第23の実施例においては、信
号幅生成器213を励磁電流減少休止器100と励磁電
流増加割込器105とで共有し、その出力信号P213
の反転信号を休止幅生成器101における励磁電流減少
休止信号mとし、同じ信号P213を割込幅生成器10
7における割込許可信号qとしている。
【0796】これに対して本第24の実施例において
は、信号幅生成器213は励磁電流減少休止器100専
用に設けられ、信号P213は休止幅生成器101にお
ける励磁電流減少休止信号mにのみ使用される。また励
磁電流増加割込器105には信号幅生成器223が新た
に設けられ、その出力信号P223が割込幅生成器10
9における割込許可信号qとして使用される。
【0797】なお、信号幅生成器223は、信号幅生成
器213と同様、位置検出信号CS−A及びCS−Bが
入力され、これらの信号のいずれかが“L”から“H”
または“H”から“L”に変化する度に所定のパルス幅
の信号P223(割込許可信号q)を出力するように構
成される。
【0798】以上のように構成される本第24に実施例
においては、励磁電流減少休止信号mと割込許可信号q
の出力幅をそれぞれ独立に設定できる。
【0799】例えば、本実施例においては、信号mの出
力幅(“L”レベルの幅)tmを位置検出信号CS−
A、CS−Bの進角量よりも少し大きめの値とし、信号
qの出力幅(“H”レベルの幅)tqを上記信号mの出
力幅tmよりも少し小さい、例えば上記進角量と同程度
の値とする。
【0800】この場合の動作を図64に示す。
【0801】先ず駆動指令信号DrA、DrBが励磁電
流減少休止信号mの出力後(tmの後)に変化した場
合、信号mの出力後から信号DrA、DrBの変化時点
までのあいだ信号downが“H”レベルとなり、励磁
電流の減少動作が行われる。(期間Y1) 励磁電流が減少すると、信号DrA、DrBと位置検出
信号CS−A、CS−Bとの位相差が小さくなり、やが
て信号DrA、DrBは信号mの出力中(tmの間)に
変化するようになる。そして信号mの出力中は信号do
wnが“L”レベルとなり励磁電流の減少が休止され
る。このとき信号DrA、DrBの変化が割込許可信号
qの出力後(tqの後)であれば、信号upは“L”レ
ベルであり、励磁電流の増加も行われない。(期間Y
2) もし割込許可信号qの出力中(tqの間)に信号Dr
A、DrBが変化すれば、その変化時点から信号qの出
力終了時点までのあいだ信号upが“H”レベルとな
り、励磁電流の増加動作が行われる。(期間Y3) 励磁電流が増加すると、信号DrA、DrBと位置検出
信号CS−A、CS−Bとの位相差が大きくなり、結局
は上記した期間Y2の状態で安定することになる。
【0802】図64に示す期間Y2においては、励磁電
流は負荷に対してやや余裕のある大きさで休止し、減少
も増加もされない。つまり励磁電流制御ループが開放さ
れた状態である。
【0803】これは図43に示した第15実施例と同様
の動作である。したがって本第24の実施例においても
第15の実施例のものと同様の効果が得られる。
【0804】以上のように本第24の実施例において
は、信号幅生成器213及び223を励磁電流減少休止
器100及び励磁電流増加割込器105にそれぞれ専用
に設け、励磁電流減少休止信号mと割込許可信号qの出
力幅をそれぞれ独立に設定できる構成とした。そして信
号mの幅を位置検出信号の進角量よりも大きな幅とし、
信号qの幅を信号mの幅よりも小さな幅、例えば位置検
出信号の進角量と同程度の幅とする。それにより、励磁
電流は負荷に対してやや余裕のある大きさでその減少及
び増加を休止し、図43に示す第15実施例と同様の効
果が得られる。
【0805】もちろん本第24の実施例は、第23の実
施例が有する多くの効果も合わせ持っている。
【0806】なお、信号幅生成器213及び223は、
位置検出信号の入力タイミング毎に、モータの可動子の
速度に応じた時間のパルス幅を持つ信号を出力する構成
としても良い。これは例えば第16の実施例において図
46に示したような方法で実現できる。この場合、励磁
電流減少休止信号mあるいは割込許可信号qは、モータ
の可動子の速度に応じた時間出力され、モータを広範囲
に可変速するのに適する。
【0807】また簡易的に、信号幅生成器213及び2
23は、位置検出信号の入力タイミング毎に、予め定め
られた所定の時間のパルス幅を持つ信号を出力する構成
としても良い。これは例えば第16の実施例において図
47に示したような方法で実現できる。 (第25の実施例)図65は、第25の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0808】本第25の実施例が、図62に示した第2
4の実施例と異なる点は、位相差増幅器8の出力段の構
成が違う点と、駆動指令信号DrA、DrBの周波数を
判別する周波数判別器41を含む起動停止励磁器40を
付加した点である。
【0809】起動停止励磁器40及び周波数判別器41
は、図37に示した第10の実施例における起動停止励
磁器及び周波数判別器と同じ動作をするものである。
【0810】すなわち周波数判別器41は、信号Dr
A、DrBの周波数が予め設定された値よりも低い場合
にその出力を“H”レベルとするように構成され、信号
DrA、DrBの周波数が低いことを利用して、モータ
を起動するとき又は停止して位置決めするときを検出す
るように動作する。起動停止励磁器40は、周波数判別
器41の出力が“H”レベルとなると、次に述べる位相
差増幅器8の出力段に働きかけて電流制御信号Refを
増加し、これによって巻線の励磁電流を増加させるよう
に動作する。
【0811】位相差増幅器8の出力段は、PWM回路1
47および平滑回路149とから構成している。この構
成は図62に示した第24の実施例などにおけるD/A
コンバータ211と同じ動作を行う。
【0812】すなわち、アップダウンカウンタ209か
らのデジタル信号出力は、PWM回路147により例え
ば数10kHz〜数100kHzの周波数をキャリア周
波数とするパルス幅変調信号に変換され、この変調信号
は平滑回路149によりそのキャリア周波数成分が除去
され平滑化されることでアナログ信号に変換される。つ
まり、PWM回路147および平滑回路149は、デジ
タル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ2
11と同じ働きをするものである。そして、これらによ
り構成される位相差増幅器8はこれまでの実施例で説明
してきた位相差増幅器と基本的に同じである。
【0813】なお、PWM回路147の出力は、アップ
ダウンカウンタ209からのデジタル信号出力が大きな
数値である程、その“H”レベルである時間が長くなる
パルス幅変調信号である。この信号は論理和ゲート14
5を介して平滑回路149に入力され、平滑回路149
はこれに入力される信号の“H”レベルの時間が長いほ
どその出力つまり電流制御信号Refを増加させる。
【0814】ところで、論理和ゲート145には上記し
た周波数判別器41の出力とPWM回路147の出力が
入力されている。
【0815】したがって、判別器41の出力が“L”レ
ベル、つまり駆動指令信号DrA、DrBの周波数があ
る程度高く、モータが通常に駆動される場合、PWM回
路147の出力がそのまま平滑回路149に入力され、
信号Refは負荷に応じた適切な励磁電流を巻線に供給
するように制御される。
【0816】また判別器41の出力が“H”レベル、つ
まり駆動指令信号DrA、DrBの周波数がある程度低
く、モータを起動する又は停止して位置決めする場合、
論理和ゲート145の働きにより平滑回路149へは
“H”レベルの信号が入力され、信号Refは強制的に
増加される。つまり巻線の励磁電流は強制的に増加され
ることになる。
【0817】なお、信号Refが強制増加されるときの
応答は、平滑回路149に設定される平滑時定数の影響
を受けるが、この時定数は上記したキャリア周波数を除
去するためのもので、比較的高い周波数(数kHz以
上)に設定される。したがって、これによる上記応答へ
の影響は十分に無視し得るものとなる。
【0818】以上のように本第25の実施例において
は、第24の実施例が持つ効果に加えて、第10の実施
例が持つ効果、つまりモータを起動するときあるいは停
止して位置決めするとき、これを駆動指令信号の周波数
が低いことで検出し、励磁電流を速やかに増加させて起
動時の起動トルクならびに停止位置決め時の保持トルク
を確保できるという効果も合わせ持つことができる。 (第26の実施例)図66は、第26の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0819】本第26の実施例が、図65に示した第2
5の実施例と異なる点は、起動停止励磁器40の構成で
ある。
【0820】図65において、起動停止励磁器40は、
モータの可動子1の駆動速度が予め設定された値よりも
低いか否かを判別する速度検出器140を有している。
【0821】この起動停止励磁器40は、速度検出器1
40が可動子の駆動速度が低いと判別し、その出力を
“H”レベルとした場合、モータを起動する時あるいは
停止して位置決めする時と見なし、論理和ゲート145
を介して“H”レベルの信号を位相差増幅器8の出力段
を成す平滑器149に入力し、電流制御信号Refを増
加させて巻線の励磁電流を強制的に増加するように構成
されている。
【0822】すなわちこの起動停止励磁器40は、構成
は異なるが、先の第25の実施例における起動停止励磁
器と同じ働きをするものである。
【0823】速度検出器140は、位置検出信号の出力
変化によりその周波数を検出する位置信号周波数検出器
141と、モータの駆動方向指令が可動子の駆動方向と
同じ場合のみ、位置検出信号の出力変化を有効とする保
護器143とを備え、保護器143によって有効とされ
る位置検出信号の出力変化があった時点から、次の有効
な出力変化の時点までの時間を計測して可動子の駆動速
度を検出するように構成されている。
【0824】図67は速度検出器140の具体的構成図
である。
【0825】図において保護器143は、モータを正方
向あるいは負方向のいずれの方向に駆動するかを指令す
る駆動方向指令信号FRと、モータが実際にいずれの方
向に駆動しているかを示す駆動方向信号FRrとが入力
され、これらの信号が一致しているか否か、つまりモー
タの駆動方向指令と実際の駆動方向とが一致しているか
否かを排他的論理和反転(EX−NOR)ゲートにより
検出し、一致しているときは“H”レベルの信号を、不
一致の時は“L”レベルの信号を信号Proとして出力
する構成となっている。
【0826】また位置信号周波数検出器141におい
て、位置検出信号CS−A、CS−Bは排他的論理和
(EX−OR)ゲートによりその周波数が逓倍された
後、ANDゲート142を介して周波数検出器144に
入力される。ここで周波数検出器144は、これに入力
される信号が“L”から“H”あるいは“H”から
“L”へと変化すると、その変化時点から次の変化時点
までの時間を計測し、その計測時間が予め定められた時
間よりも長くなると“H”レベルの信号を出力するよう
に構成されている。つまり周波数検出器144は、これ
に入力される信号の周波数が低くなると、その出力を
“H”レベルとするように動作する。この周波数検出器
144の出力が位置信号周波数検出器141の出力とな
る。
【0827】ところでANDゲート142には上記した
保護器143の出力信号Proと位置検出信号CS−
A、CS−Bを逓倍した信号とが入力される。
【0828】つまり保護器143は、信号Proが
“H”レベルであるときにのみ、信号CS−A、CS−
Bの変化を周波数検出器144に伝え、信号Proが
“L”レベルの時には伝えないように動作する。
【0829】したがって、速度検出器140全体として
は、モータの駆動方向指令が実際の駆動方向と一致して
いる場合は位置検出信号の変化を有効としてその周波数
検出を行い、これらの方向が不一致の場合は位置検出信
号の変化を無効としてその変化を周波数検出に反映させ
ないように動作する。
【0830】一般にステップモータは、励磁電流を増加
して起動トルクあるいは保持トルクを確保しようとする
と、トルクリップルが大きくなり、これが原因で回転む
らが非常に大きくなる。これにより位置検出器の出力周
波数が見かけ上高くなり、その周波数によって単純に速
度検出を行うことができなくなる。仮に位置検出器の信
号の周波数が単純に低くなったことで励磁電流を増加さ
せると、起動トルクあるいは保持トルクを確保した瞬
間、上記の原因で回転むらが大きくなり、見かけ上の位
置検出器の出力周波数が高くなり、励磁電流の増加動作
を維持できなくなる。つまり起動トルクあるいは保持ト
ルクの確保を維持できなくなってしまう。
【0831】ステップモータが上記原因で大きな回転む
らを生じている瞬間は、モータの駆動方向指令と実際の
駆動方向とが一致していない。本実施例における速度検
出器140はこの点に着目し、上記した保護器143を
設け、このような状況においても正確な速度検出を可能
としている。
【0832】そして有効な位置検出信号の変化から次の
有効な位置検出信号の変化までの時間が、周波数検出器
144の内部で予め設定された時間よりも長くなると、
速度検出器140はその出力を“H”レベルとする。
【0833】速度検出器140がその出力を“H”レベ
ルとすると、起動停止励磁器40はモータを起動する時
あるいは停止して位置決めする時と見なし、上述のよう
に電流制御信号Refを増加させて巻線の励磁電流を強
制的に増加する。
【0834】以上のように本第26の実施例において
は、モータを起動するときあるいは停止して位置決めす
るとき、これを可動子の駆動速度が低いことで検出し、
励磁電流を速やかに増加させて起動時の起動トルクなら
びに停止位置決め時の保持トルクを確保することがで
き、上記した第25の実施例と同様の効果を持つことが
できる。
【0835】また、可動子の速度検出に際して、モータ
の駆動方向指令が実際の駆動方向と同じ場合のみ、位置
検出信号の出力変化を有効な速度検出情報とする保護器
を備えたことにより、励磁電流を増加させて起動トルク
あるいは保持トルクを確保した場合に起こり得る大きな
回転むらの影響に関係なく、可動子の駆動速度を正確に
検出することができ、起動トルクならびに保持トルクの
確保を維持することができる。 (第27の実施例)図68は、第27の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0836】本第27の実施例が、図66に示した第2
6の実施例と異なる点についてのみ以下に述べる。
【0837】図68において、励磁電流強制増加器30
を成すANDゲート231の出力信号と速度検出器14
0の出力を反転した信号とはANDゲート153を介し
て積分器225のプリセット端子に入力される。また速
度検出器140の出力を反転した信号はNANDゲート
155を介して積分器225のホールド端子に入力され
る。また、ANDゲート153及びNANDゲート15
5にはモータの電力供給停止信号ENが入力され、信号
ENは励磁器2a、2bにも入力されている。なお、積
分器225のプリセット端子及びホールド端子は、積分
器225に含まれるアップダウンカウンタ209のプリ
セット端子及びホールド端子に接続されている。その他
の構成については図66に示した第26の実施例と同様
である。
【0838】以上のように構成した本第27の実施例に
ついて説明する。
【0839】励磁電流強制増加器30を成すANDゲー
ト231の出力は、図42における第14の実施例でも
説明したとおり、偏差が第4の状態を外れたときに
“H”レベルとなり、アップダウンカウンタ209をプ
リセットして励磁電流を増加させようと働く信号であ
る。
【0840】また速度検出器140の出力は、図66に
おける第26の実施例でも説明したとおり、モータを起
動するときあるいは停止して位置決めするときに“H”
レベルとなり、起動トルクあるいは保持トルクを確保す
るように励磁電流を増加させようと働く信号である。
【0841】またモータの電力供給停止信号ENは、
“H”レベルのとき電力供給指令を意味し、“L”レベ
ルのとき電力停止指令を意味する信号であり、励磁器2
a、2bはこの信号が“H”レベルのとき、モータの駆
動巻線を励磁するための電力供給が可能で、“L”レベ
ルのときその電力供給が停止されるように構成されてい
る。
【0842】なお積分器225は、そのプリセット端子
を“H”レベルとするとアップダウンカウンタ209の
デジタル出力を最大値とし、電流制御信号Refを増加
させるように動作する。また積分器225のホールド端
子を“H”レベルとするとアップダウンカウンタ209
はカウント動作を停止してそのデジタル出力の値を保持
し、これまでの励磁電流制御信号Refの動作値を記憶
するように動作するものである。このように動作する積
分器225の構成例を図69に示す。
【0843】図69においては、ホールド端子が“H”
レベルとなると、アップダウンカウンタ209の入力端
子up及びdownは“L”レベルに固定され、カウン
タ209のカウント動作が停止するようになっている。
【0844】それでは以下に本実施例の動作を説明す
る。
【0845】先ず信号ENが“H”レベルであり、かつ
速度検出器140の出力は“L”レベルである場合を説
明する。
【0846】この場合モータは定常に駆動され、起動ト
ルクや保持トルク確保のために特に励磁電流を増加させ
る必要がない状態である。
【0847】この場合、ANDゲート153の出力つま
り積分器225のプリセット端子にはANDゲート23
1の出力と同じ信号が出力される。またNANDゲート
155の出力つまり積分器225のホールド端子は
“L”レベルとなる。
【0848】したがって、積分器225はホールドされ
ることなく通常の動作が行われ、また、第14の実施例
のように、偏差が第4の状態を外れて真に励磁電流の増
加が必要なとき以外はプリセットもされず、モータは定
常の駆動が続けられる。
【0849】またこのとき、励磁電流制御信号Ref
は、励磁電流制御器7の作用により負荷に応じた適切な
値に制御されている。
【0850】次に信号ENが“H”レベルであり、かつ
速度検出器140の出力も“H”レベルである場合を説
明する。
【0851】この場合モータは、位置決めのため保持ト
ルクを発生して停止している。
【0852】この場合、ANDゲート153の出力つま
り積分器225のプリセット端子は“L”レベルとな
り、またNANDゲート155の出力つまり積分器22
5のホールド端子は“H”レベルとなる。
【0853】したがって、積分器225はホールドさ
れ、アップダウンカウンタ209のデジタル出力はモー
タが定常に駆動されていたときの値を保持する。また何
らかの原因で誤ってカウンタ209がプリセットされな
いように積分器225のプリセット端子は“L”レベル
となっている。
【0854】なおこの場合、速度検出器140の出力が
“H”レベルであるため、第26の実施例のように、論
理和ゲート145の作用により励磁電流制御信号Ref
は強制増加され、保持トルクが確保されている。
【0855】次に信号ENが“L”レベルの場合を説明
する。
【0856】この場合モータは、巻線を励磁するための
電力供給が停止されて停止している。
【0857】この場合、ANDゲート153の出力つま
り積分器225のプリセット端子は“L”レベルとな
り、またNANDゲート155の出力つまり積分器22
5のホールド端子は“H”レベルとなる。
【0858】したがって、積分器225はホールドさ
れ、アップダウンカウンタ209のデジタル出力はモー
タが定常に駆動されていたときの値を保持する。また何
らかの原因で誤ってカウンタ209がプリセットされな
いように積分器225のプリセット端子は“L”レベル
となっている。
【0859】以上のように、本第27の実施例において
は、位置決めのため保持トルクを発生してモータを停止
するとき、あるいは巻線への電力供給を停止、つまり励
磁電流を概略零にしてモータを停止するとき、積分器2
25のホールド端子を“H”レベルとしてその動作を休
止する。これにより積分器225を構成しているアップ
ダウンカウンタ209のデジタル出力の値が保持され、
これまで定常に駆動されていたときの励磁電流制御信号
Refの値を記憶することができる。
【0860】そして次にモータの駆動を再開する際、こ
の信号Refの記憶値からカウンタ209のデジタル出
力を変化させて積分器225の積分動作を再開すること
で、速やかに負荷に適した値に信号Refを収束させる
ことが可能となる。つまり本第27の実施例は、負荷状
態を学習することができ、これにより再起動時の励磁電
流制御の応答性能を向上することができる。 (第28の実施例)図70は、第28の実施例における
ステップモータ装置の構成図である。
【0861】本第28の実施例が、図68に示した第2
7の実施例と異なる点について以下に述べる。
【0862】図70において、励磁電流強制増加器30
を成すANDゲート231の出力信号は速度検出器14
0及びPWM回路147の出力信号と共に論理和ゲート
157を介して平滑器149に入力される。また速度検
出器140の出力を反転した信号はモータの電力供給停
止信号ENと共にNANDゲート155を介して積分器
225のホールド端子に入力される。
【0863】なお、積分器225のホールド端子は、積
分器225に含まれるアップダウンカウンタ209のホ
ールド端子に接続されており、図68の第27の実施例
で示したプリセット端子並びにANDゲート153は削
除している。その他の構成については図68に示した第
27の実施例と同様である。
【0864】以上のように構成した本第28の実施例に
ついて説明する。
【0865】なお、励磁電流強制増加器30を成すAN
Dゲート231の出力及び速度検出器140の出力及び
モータの電力供給停止信号ENは第27の実施例で説明
したとおりの信号である。また積分器225のホールド
端子についても第27の実施例で説明したとおりであ
る。
【0866】先ず信号ENが“H”レベルであり、かつ
速度検出器140の出力は“L”レベルである場合、つ
まり、モータは定常に駆動され、起動トルクや保持トル
ク確保のために特に励磁電流を増加させる必要がない場
合を説明する。
【0867】この場合、NANDゲート155の出力つ
まり積分器225のホールド端子は“L”レベルとな
り、積分器225はホールドされることなく通常の動作
が行われる。したがって、モータは定常の駆動が行われ
る。
【0868】またこのとき、励磁電流制御信号Ref
は、励磁電流制御器7の作用により負荷に応じた適切な
値に制御されている。
【0869】なお、偏差が第4の状態を外れた場合、A
NDゲート231の出力が“H”レベルとなり、論理和
ゲート157を介して平滑器149の出力を増加させ
る。つまり第14の実施例と同様、励磁電流制御信号R
efの強制増加が行われるが、このとき積分器225に
おけるアップダウンカウンタ209のデジタル出力は何
ら影響されず、保持されたままである。
【0870】次に信号ENが“H”レベルであり、かつ
速度検出器140の出力も“H”レベルである場合、つ
まり、モータは位置決めのため保持トルクを発生して停
止している場合を説明する。
【0871】この場合、NANDゲート155の出力つ
まり積分器225のホールド端子は“H”レベルとな
り、積分器225はホールドされ、アップダウンカウン
タ209のデジタル出力はモータが定常に駆動されてい
たときの値を保持する。
【0872】なおこの場合、速度検出器140の出力が
“H”レベルであるため、第26の実施例のように、論
理和ゲート157の作用により励磁電流制御信号Ref
は強制増加され、保持トルクが確保されている。
【0873】次に信号ENが“L”レベルの場合、つま
り、モータは巻線を励磁するための電力供給が停止され
て停止している場合を説明する。
【0874】この場合、NANDゲート155の出力つ
まり積分器225のホールド端子は“H”レベルとな
り、積分器225はホールドされ、アップダウンカウン
タ209のデジタル出力はモータが定常に駆動されてい
たときの値を保持する。
【0875】以上のように本第28の実施例において
も、第27の実施例と同様、位置決めのため保持トルク
を発生してモータを停止するとき、あるいは巻線への電
力供給を停止、つまり励磁電流を概略零にしてモータを
停止するとき、これまで定常に駆動されていたときの励
磁電流制御信号Refの値を記憶することができる。し
たがって、負荷状態を学習し、再起動時の励磁電流制御
の応答性能を向上することができる。 (第29の実施例)先の第28の実施例で示した図70
において、偏差状態検出器20a及び20bの出力信号
Sa、Sbは、ORゲート239を介して同期外れ信号
ULとして出力されている。この信号は既に第38図に
より説明した第11の実施例における信号ULと同じ信
号である。すなわち、偏差状態検出器20a及び20b
が、上述した第2の状態か第3の状態かを検出したと
き、駆動指令信号と位置検出信号との同期が外れたこと
を意味する信号を上位機器に出力する構成を示してい
る。
【0876】このような同期外れ信号ULを外部の上位
機器に伝えることにより、上位機器はこれに搭載されて
いるステップモータが本来の性能を発揮して駆動されて
いる状態であるか否かを判断することができる。つまり
上位機器はこの信号ULとハンドシェイクすることで、
これに搭載されるモータをそのトルク特性の限界まで、
駆動指令信号に同期させた状態で駆動させることができ
得ることを意味しており、これによってモータの性能を
最大限引き出すことが可能となる。
【0877】なお、この信号ULは図70に示したもの
に限らず、これまで説明してきた実施例において信号S
a、Sbを有するもの全てに適応できることは言うまで
もない。
【0878】さて、図71及び図72は、本発明のステ
ップモータ装置の一例における外観正面図及び下面図で
ある。モータ部501は、N極及びS極に着磁された円
筒状の永久磁石からなるロータと、そのロータに環状空
隙を介して対向した鉄心に巻線を施した固定子を備えて
いる。磁気センサー部503は、ホール素子からなる位
置検出器を備えている。回路基板509には、モータ制
御用集積回路(IC)、そのICの外部電子部品(図示
せず)及びコネクター507などが実装されている。ま
た、配線板509は、モータ部501の内部まで延び、
上記磁気センサー部503を構成する部品もまた実装し
ている。
【0879】ここで、上記ICは、上記種々の実施例で
説明してきた構成を有する回路及びモータに電力を供給
するためのパワートランジスタが同一シリコンチップに
集積されている。コネクター507は、本発明のステッ
プモータ装置とそれが搭載される機器側システムとの信
号のやり取りを行うものである。
【0880】なお、モータ部と回路基板とは上記のよう
に一体にせずに、別体で構成し両者間をリード線で接続
するようにしても良いことは言うまでもない。
【0881】上記から明らかなように、本発明のステッ
プモータ装置は、モータ部は従来のステップモータを基
本に構成でき、磁気センサー部は例えばホール素子でも
良く、形状が大きいレゾルバ等の高分解能エンコーダを
必要としない。したがって、本ステップモータ装置は、
形状的には磁気センサー部のみを付加すれば良く、した
がって、形状があまり大きくならず、従来のステップモ
ータを使用していた機器システムにも容易に組み込むこ
とができる。
【0882】以上から明らかなように、本発明のステッ
プモータ装置を整理すると、以下の効果が期待できる。 (1)第1の実施例及び第2の実施例におけるステップモ
ータ装置では、次の通りである。
【0883】駆動指令信号による各相駆動巻線の励磁切
り換えが、モータを所望の方向へ駆動するには好ましく
ない方向にトルクを向かわせるならば、位置検出器によ
って生成される信号を励磁信号として励磁器に出力し、
モータを所望の方向へ駆動するのに有効な方向にトルク
を向かわせるならば、駆動指令信号を励磁信号として励
磁器に出力するように動作する励磁タイミング制御器を
設けた。それにより、極めて簡単なシステムで速度制御
や位置決め制御が安価に実現できるというステップモー
タの最大の特徴を継承すると共に、駆動指令信号が高周
波数となった場合においてはDCブラシレスモータと同
等の性能を有し脱調現象を本質的になくすことができ
る。
【0884】また、励磁タイミング制御器は、モータを
正方向に駆動する場合、駆動指令信号と位置検出信号の
うち、入力タイミングが遅い方の信号を出力信号とし、
モータを負方向に駆動する場合、駆動指令信号と位置検
出信号を反転した信号のうち、入力タイミングが遅い方
の信号を出力信号とする遅れ信号優先通過器なる構成要
素を設けることで容易に具現化できる。
【0885】また、遅れ信号優先通過器は、モータを正
方向に駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミン
グで位置検出信号のレベルをラッチし、位置検出信号が
変化するタイミングで駆動指令信号のレベルをラッチ
し、モータを負方向に駆動する場合、駆動指令信号が変
化するタイミングで位置検出信号を反転した信号のレベ
ルをラッチし、位置検出信号が変化するタイミングで駆
動指令信号のレベルをラッチする相互ラッチ器により構
成してもよい。この場合、駆動指令信号と位置検出信号
との進み遅れの関係が急激に反転した際においても、励
磁信号の移行がスムーズにかつシームレスに行われ、よ
り一層ステップモータの制御性を安定化することができ
る。
【0886】また、遅れ信号優先通過器は、モータを正
方向に駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミン
グで位置検出信号を選択して出力し、位置検出信号が変
化するタイミングで駆動指令信号を選択して出力し、モ
ータを負方向に駆動する場合、駆動指令信号が変化する
タイミングで位置検出信号を反転した信号を選択して出
力し、位置検出信号が変化するタイミングで駆動指令信
号を選択して出力する相互信号選択器により構成により
構成してもよい。この場合も、駆動指令信号と位置検出
信号との進み遅れの関係が急激に反転した際の励磁信号
の移行が、スムーズにかつシームレスに行われ、より一
層ステップモータの制御性を安定化することができる。
【0887】位置検出器は、小型で安価なホール素子を
用いることが可能である。したがって、位置検出器のモ
ータへの取り付けスペースも僅かで済み、脱調しないス
テップモータ装置を従来のステップモータと遜色ない大
きさとコストで実現可能である。また、位置検出器と励
磁タイミング制御器をそれぞれの相に独立して設けた構
成とすることで、励磁タイミング制御器は他の相と各種
信号処理を連動させる必要はなく、よりシンプルに構成
することができる。さらにこの構成により多相のステッ
プモータへの適用も容易となり、脱調しない多相ステッ
プモータが実現できる。 (2)第3の実施例及び第4の実施例におけるステップモ
ータ装置では、次の通りである。
【0888】駆動指令信号による駆動巻線の励磁切り換
えが、モータを所望の方向へ駆動するのに有効な方向に
トルクを向かわせる場合は、駆動指令信号と位置検出信
号との位相差に応じて駆動巻線の最大励磁電流を減少す
る方向に励磁電流制御信号を変化させ、駆動指令信号に
よる駆動巻線の励磁切り換えが、モータを所望の方向へ
駆動するのに好ましくない方向にトルクを向かわせる場
合は、駆動指令信号と位置検出信号との位相差に応じて
駆動巻線の最大励磁電流を増加させる方向に励磁電流制
御信号を変化させる励磁電流制御器を設ける。それによ
り、モータ駆動時のトルクリップルを小さくすることが
でき、同時にモータの振動、騒音及び回転むらも小さく
することができる。
【0889】また励磁電流は、駆動指令信号の周波数あ
るいは負荷に応じた適正の値に制御され、効率において
も大幅な向上が可能になる。さらに脱調に対する耐性も
大幅に高めることができる。
【0890】また、駆動指令信号又は位置検出信号のい
ずれかの入力タイミングに応答して励磁信号を出力する
励磁タイミング制御器と、駆動指令信号と位置検出信号
との位相差に応じた励磁電流制御信号を出力する励磁電
流制御器とを備え、駆動指令信号による駆動巻線の励磁
切り換えがモータを所望の方向へ駆動するのに有効な方
向にトルクを向かわせる場合は、励磁タイミング制御器
は駆動指令信号の入力タイミングに応答して励磁信号を
出力し、かつ、励磁電流制御器は駆動指令信号と位置検
出信号との位相差に応じて駆動巻線の最大励磁電流を減
少する方向に励磁電流制御信号を変化させ、駆動指令信
号による駆動巻線の励磁切り換えがモータを所望の方向
へ駆動するには好ましくない方向にトルクを向かわせる
場合は、励磁タイミング制御器は位置検出信号の入力タ
イミングに応答して励磁信号を出力し、かつ、励磁電流
制御器は駆動指令信号と位置検出信号との位相差に応じ
て駆動巻線の最大励磁電流を増加させる方向に励磁電流
制御信号を変化させる構成とする。
【0891】それにより、脱調を完全に回避し、かつ、
トルクリップルが小さく、同時に振動、騒音及び回転む
らの小さなステップモータ装置を実現できる。また、励
磁電流も駆動指令信号の周波数あるいは負荷に応じた適
正な値に制御され、大幅に効率を向上させることができ
る。
【0892】さらに、位置検出器として、高価で形状も
比較的大きなエンコーダやレゾルバなどを用いる必要は
なく、小型で安価なホール素子を用いることが可能であ
る。したがって、位置検出器(ホール素子)のモータへ
の取り付けスペースも僅かで済み、脱調しないステップ
モータ装置を従来のステップモータと遜色ない大きさと
コスト(小型で安価)で実現可能である。
【0893】もちろん、位置検出器にエンコーダやレゾ
ルバなどを用いることは、技術的には何ら問題ないこと
は言うまでもない。
【0894】励磁電流制御器により駆動巻線の励磁電流
が負荷に応じて適正に制御されるため、モータの発熱が
小さくなる。したがって位置検出器(ホール素子)をモ
ータの内部に取り付ける場合、特に高温度補償されたホ
ール素子を用いる必要はなく、一般的な安価なものを用
いた設計が可能である。 (3)第5の実施例〜第11の実施例におけるステップモ
ータ装置では、次の通りである。
【0895】モータを正方向に駆動する場合、駆動指令
信号と位置検出信号のうち、入力タイミングが遅い方の
信号を出力信号とし、モータを負方向に駆動する場合、
駆動指令信号と位置検出信号を反転した信号のうち、入
力タイミングが遅い方の信号を出力信号とする遅れ信号
優先通過器と;駆動指令信号と位置検出信号とのパルス
数の差、つまり偏差が所定の範囲内である第1の状態
か、偏差が所定の範囲外であり、これを所定の範囲内と
するためには、モータの可動子を正方向に向かわせるよ
うに働く順方向トルクが必要な第2の状態か、偏差が所
定の範囲外であり、これを所定の範囲内とするために
は、可動子を負方向に向かわせるように働く逆方向トル
クが必要な第3の状態かを検出する偏差状態検出器と;
偏差状態検出器の検出結果に基づき、遅れ信号優先通過
器の出力信号と位置検出信号と位置検出信号を反転した
信号とのうち、いずれか一つを励磁信号として選択する
励磁信号選択器とから成る励磁タイミング制御器とを設
け; 偏差状態検出器が、第1の状態を検出した場合、
励磁信号選択器は遅れ信号優先通過器の出力信号を励磁
信号として選択し、第2の状態を検出した場合、励磁信
号選択器は位置検出信号を励磁信号として選択し、第3
の状態を検出した場合、励磁信号選択器は位置検出信号
を反転した信号を励磁信号として選択する構成とした。
【0896】これにより、第1の状態において、駆動指
令信号の周波数が低い時あるいは負荷が軽い時は、遅れ
信号優先通過器の作用により駆動指令信号が励磁信号と
なり、従来ステップモータと同等の動作を行わせること
が可能となる。よって、駆動指令信号の周波数により回
転速度が容易に制御でき、極めて簡単なシステムで速度
制御や位置決め制御が安価に実現できるというステップ
モータの最大の特長を生かすことができる。
【0897】また、第1の状態において、駆動指令信号
の周波数が高い時あるいは負荷が重い時は、遅れ信号優
先通過器の作用により位置検出信号が励磁信号となり、
つまりDCブラシレスモータと等価な動作となり、脱調
現象が本質的になくすことができる。
【0898】また、第2の状態においては、駆動指令信
号の周波数が非常に高い、又は急激に高くなる、あるい
は負荷が非常に重い、又は急激に重くなる、あるいは可
動子がアンダーシュートする、などの現象が発生し、第
1の状態から第2の状態になったとしても、位置検出信
号を励磁信号とすることで、発生トルクを低下させずに
駆動巻線の励磁を切り換えることができ、最大レベルの
トルクを確保したまま可動子を正方向に加速して駆動す
ることが可能になる。
【0899】そして、十分に可動子が正方向に加速さ
れ、最終的にはステップモータをその本来の性能を発揮
できる第1の状態で駆動させることが可能となる。
【0900】このとき、第1の状態から第2の状態への
移行の過程、及び第2の状態から第1の状態への移行の
過程において、脱調することは本質的にない。
【0901】また、第3の状態においては、駆動指令信
号の周波数が急激に低くなる、あるいは負荷が急激に軽
くなる、あるいは駆動方向の指令が反転する、あるいは
可動子がオーバーシュートする、などの現象が発生し、
第1の状態から第3の状態になったとしても、位置検出
信号を反転した信号を励磁信号とすることで、可動子が
脱調しないように発生トルクを減速方向に作用させるこ
とができる。
【0902】そして、十分に可動子が減速され、最終的
にはステップモータをその本来の性能を発揮できる第1
の状態で駆動させることが可能となる。
【0903】このとき、第1の状態から第3の状態への
移行の過程、及び第3の状態から第1の状態への移行の
過程において、脱調することは本質的にない。
【0904】また、遅れ信号優先通過器は、モータを正
方向に駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミン
グで位置検出信号のレベルをラッチし、位置検出信号が
変化するタイミングで駆動指令信号のレベルをラッチ
し、モータを負方向に駆動する場合、駆動指令信号が変
化するタイミングで位置検出信号を反転した信号のレベ
ルをラッチし、位置検出信号が変化するタイミングで駆
動指令信号のレベルをラッチする相互ラッチ器により構
成してもよい。この場合、駆動指令信号と位置検出信号
との進み遅れの関係が急激に反転した際においても、励
磁信号の移行がスムーズにかつシームレスに行われ、よ
り一層ステップモータの制御性を安定化する。
【0905】また、遅れ信号優先通過器は、モータを正
方向に駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミン
グで位置検出信号を選択して出力し、位置検出信号が変
化するタイミングで駆動指令信号を選択して出力し、モ
ータを負方向に駆動する場合、駆動指令信号が変化する
タイミングで位置検出信号を反転した信号を選択して出
力し、位置検出信号が変化するタイミングで駆動指令信
号を選択して出力する相互信号選択器により構成により
構成してもよい。この場合も、駆動指令信号と位置検出
信号との進み遅れの関係が急激に反転した際の励磁信号
の移行が、スムーズにかつシームレスに行われ、より一
層ステップモータの制御性を安定化することができる。
【0906】また、位置検出器と励磁タイミング制御器
をそれぞれの相に独立して設けた構成とすることで、励
磁タイミング制御器は他の相と各種信号処理を連動させ
る必要はなく、よりシンプルに構成することができる。
さらにこの構成により多相のステップモータへの適用も
容易となり、脱調しない多相ステップモータが実現可能
である。
【0907】さらに、励磁タイミング制御器に加えて、
駆動指令信号と位置検出信号との位相差に応じた励磁電
流制御信号を出力して駆動巻線の励磁電流を制御する励
磁電流制御器を備え、モータを正方向に駆動する場合、
位置検出信号に対して駆動指令信号が位相遅れとなった
ときの位相差を遅れの位相差とし、位置検出信号に対し
て駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を進み
の位相差とし、モータを負方向に駆動する場合、位置検
出信号を反転した信号に対して駆動指令信号が位相遅れ
となったときの位相差を遅れの位相差とし、位置検出信
号の反転した信号に対して駆動指令信号が位相進みとな
ったときの位相差を進みの位相差とし、遅れの位相差が
生じた場合は駆動巻線の最大励磁電流を減少する方向に
励磁電流制御信号を変化させ、進みの位相差が生じた場
合は駆動巻線の最大励磁電流を増加させる方向に励磁電
流制御信号を変化させる構成とした。
【0908】これにより、さらに以下の効果を加えるこ
とができる。
【0909】すなわち、第1の状態において、駆動指令
信号の周波数が低い時あるいは負荷が軽い時は、駆動巻
線の励磁電流が減少するよう制御され、モータを駆動す
る際のトルクリップルを非常に小さなものとすることが
できる。
【0910】そして、このようにトルクリップルを小さ
くできることで、モータの振動、騒音及び回転むらも小
さくなる。また更に、励磁電流は負荷に応じた必要最小
限の値に制御されるため、効率においても大幅に向上す
るという効果が生まれる。
【0911】また、第1の状態において、駆動指令信号
の周波数が高い時あるいは負荷が重い時は、励磁タイミ
ング制御器と励磁電流制御器の作用により可動子の駆動
能力が向上し、ステップモータが本来その性能を発揮で
き得る第1の状態で駆動し続けるための能力を向上させ
ることができる。
【0912】また、トルクリップルも小さくなり、これ
に波及してモータの振動、騒音及び回転むらも小さくな
るという効果が生まれる。また結果として、励磁電流は
負荷に応じた適正の値に制御され、効率においても大幅
に向上するという効果も生まれる。
【0913】また、第2の状態となった場合は、励磁タ
イミング制御器と励磁電流制御器の作用により可動子に
働く順方向トルクが大きく増加し、モータを加速する能
力を大幅に向上させることができる。
【0914】したがって、駆動指令信号の周波数が高
い、又は急激に高くなる、あるいは負荷が重い、又は急
激に重くなる、あるいは可動子がアンダーシュートす
る、などの現象が発生して第2の状態となった場合にお
いても、ステップモータが本来動作すべき第1の状態へ
瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0915】また、第3の状態となった場合は、励磁タ
イミング制御器と励磁電流制御器の作用により可動子に
働く逆方向トルクが大きく増加し、モータを減速する能
力を大幅に向上させることができる。
【0916】したがって、駆動指令信号の周波数が急激
に低くなる、あるいは負荷が急激に軽くなる、あるいは
駆動方向の指令が反転する、あるいは可動子がオーバー
シュートする、などの現象が発生して第3の状態となっ
た場合においても、ステップモータが本来動作すべき第
1の状態へ瞬時に引き戻すことが可能となる。
【0917】また、励磁タイミング制御器に加えて、駆
動巻線の励磁電流を強制的に増加させる励磁電流強制増
加器を備え、励磁タイミング制御器は、駆動指令信号と
位置検出信号とによるパルス数の差、つまり偏差が所定
の範囲内である第1の状態か、偏差が所定の範囲外であ
り、これを所定の範囲内とするためには、可動子を正方
向に向かわせるように働く順方向トルクが必要な第2の
状態か、偏差が所定の範囲外であり、これを所定の範囲
内とするためには、可動子を負方向に向かわせるように
働く逆方向トルクが必要な第3の状態かを検出する偏差
状態検出器を有し、励磁電流強制増加器は、偏差状態検
出器が第2の状態又は第3の状態を検出したとき、駆動
巻線の励磁電流を強制的に増加する構成とした。
【0918】これにより、次の効果を加えることができ
る。
【0919】すなわち、駆動指令信号の周波数が高い、
又は急激に高くなる、あるいは負荷が重い、又は急激に
重くなる、あるいは可動子がアンダーシュートする、な
どの諸現象により第2の状態になったり、駆動指令信号
の周波数が急激に低くなる、あるいは負荷が急激に軽く
なる、あるいは駆動方向の指令が反転する、あるいは可
動子がオーバーシュートする、などの諸現象により第3
の状態になったとしても、励磁電流を強制的に増加する
ことにより、ステップモータが本来その性能を発揮でき
得る第1の状態に速やかに高い応答性を持って引き戻す
ことが可能となる。
【0920】さらに、励磁タイミング制御器と励磁電流
制御器とに加えて、駆動巻線の励磁電流を強制的に増加
させる励磁電流強制増加器を備える構成とすることによ
り、上記の全ての効果を持つステップモータ装置が実現
できる。
【0921】モータを起動するときあるいは停止して位
置決めするとき、励磁器の電流値信号に作用して駆動巻
線の励磁電流を強制的に増加する起動停止励磁器をさら
に備える構成としてもよい。起動時の起動トルクならび
に位置決め時の保持トルクを確実に確保でき、モータの
性能を更に向上させることができる。
【0922】さらに、偏差状態検出器が第2の状態か第
3の状態かを検出したとき、駆動指令信号と位置検出信
号との同期が外れたことを意味する信号を上位機器に出
力する構成をさらに備えてもよい。これにより、ステッ
プモータが本来その性能を発揮でき得る“駆動指令信号
に同期した駆動状態”から外れていることを、外部の上
位機器に伝えることができ、モータの性能を最大限引き
出すことが可能となる。
【0923】さらに、位置検出器として、高価で形状も
比較的大きなエンコーダやレゾルバなどを用いる必要は
なく、小型で安価なホール素子を用いることが可能であ
る。
【0924】したがって、位置検出器(ホール素子)の
ステップモータへの取り付けスペースも僅かで済み、脱
調しないステップモータ装置を従来のステップモータと
遜色ない大きさとコスト(小型で安価)で実現可能であ
る。
【0925】もちろん、位置検出器にエンコーダやレゾ
ルバなどを用いることは、技術的には何ら問題ないこと
は言うまでもない。
【0926】また、励磁電流制御器により駆動巻線の励
磁電流が負荷に応じて適正に制御されるため、モータの
発熱が小さくなる。したがって位置検出器(ホール素
子)をモータの内部に取り付ける場合、特に高温度補償
されたホール素子を用いる必要はなく、一般的な安価な
ものを用いた設計が可能である。 (4)第12の実施例〜第29の実施例におけるステップ
モータ装置においては、第1の実施例〜第11の実施例
を基本構成とし、それらの実施例に対して種々の変形を
施し、それにより上記各実施例において説明したような
特有の効果が期待できる。
【0927】なお、上記種々の実施例について説明して
きたが、ステップモータの構造として、可動子がロータ
である回転型ステップモータばかりでなく、可動子が直
線的に動くいわゆるリニアステップモータについても本
発明が適応できることは言うまでもない。
【0928】また上記に説明してきた種々の実施例にお
けるは種々の制御は、ハードウェアのみならずソフトウ
ェアによっても実現可能であることは言うまでもない。
【0929】さらに上記各実施例において、各駆動巻線
に設けた各励磁器の電流値信号を個別に制御してマイク
ロステップ動作をさせる構成としてもよい。以上から明
らかなように、本発明の最大の利点は、脱調しないステ
ップモータ装置を実現することができることである。そ
れにより、本発明のステップモータ装置は、従来のステ
ップモータが採用されていた分野での性能向上はもちろ
ん、さらには脱調現象が障害となり従来のステップモー
タでは使用が困難であった分野にまで使用範囲を拡大で
きるなど、その工業的価値は極めて大である。
【0930】
【発明の効果】本件発明により、脱調しない新たなステ
ップモータ装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例におけるステップモータ装置の構
成図
【図2】(A)及び(B)は、第1の実施例、第3の実
施例、第4の実施例及び第5の実施例におけるステップ
モータの可動子の位置に対する発生トルクと位置検出信
号との関係を示す図
【図3】(A)及び(B)は、第1の実施例における正
方向駆動時の動作説明図
【図4】(A)及び(B)は、第1の実施例における負
方向駆動時の動作説明図
【図5】第1の実施例における励磁タイミング制御器を
遅れ信号優先通過器とした図
【図6】(A)は、第1の実施例における遅れ信号優先
通過器を相互ラッチ器とした具体的構成図(B)は、第
1の実施例における遅れ信号優先通過器を相互信号選択
器とした具体的構成図
【図7】(A)及び(B)は、正方向駆動時の図6
(A)における相互ラッチ器及び図6(B)における相
互信号選択器の動作説明図
【図8】(A)及び(B)は、逆方向駆動時の図6
(A)における相互ラッチ器及び図6(B)における相
互信号選択器の動作説明図
【図9】第2の実施例におけるステップモータ装置の構
成図
【図10】第3の実施例におけるステップモータ装置の
構成図
【図11】(A)及び(B)は、第3の実施例における
励磁電流制御器の動作説明図
【図12】(A)及び(B)は、第3の実施例における
正方向駆動、駆動指令遅れ時の動作説明図
【図13】(A)及び(B)は、第3の実施例における
正方向駆動、駆動指令進み時の動作説明図
【図14】第3の実施例における動作説明図の部分拡大
【図15】(A)及び(B)は、第3の実施例における
負方向駆動、駆動指令遅れ時の動作説明図
【図16】第4の実施例におけるステップモータ装置の
構成図
【図17】(A)及び(B)は、第4の実施例における
励磁タイミング制御器の動作説明図
【図18】第4の実施例における励磁タイミング制御器
の具体的構成図
【図19】(A)及び(B)は、第4の実施例における
正方向駆動、駆動指令進み時の動作説明図
【図20】第4の実施例における動作説明図の部分拡大
【図21】第5の実施例におけるステップモータ装置の
構成図
【図22】(A)及び(B)は、第5の実施例における
正方向駆動時、第1の状態の動作説明図
【図23】第5の実施例における正方向駆動時、第2の
状態の動作説明図
【図24】第5の実施例における正方向駆動時、第3の
状態の動作説明図
【図25】(A)及び(B)は、第5の実施例における
負方向駆動時、第1の状態の動作説明図
【図26】(A)及び(B)は、第5の実施例における
正方向駆動時の相互ラッチ器の動作説明図
【図27】(A)及び(B)は、第5の実施例における
負方向駆動時の相互ラッチ器の動作説明図
【図28】第6の実施例におけるステップモータ装置の
構成図
【図29】第7の実施例におけるステップモータ装置の
構成図
【図30】(A)及び(B)は、第7の実施例における
励磁電流制御器の動作説明図
【図31】(A)及び(B)は、第7の実施例における
正方向駆動時、第1の状態、駆動指令信号遅れ時の動作
説明図
【図32】(A)及び(B)は、第7の実施例における
正方向駆動時、第1の状態、駆動指令信号進み時の動作
説明図
【図33】第7の実施例における部分拡大図
【図34】(A)及び(B)は、第7の実施例における
負方向駆動時、第1の状態、駆動指令信号遅れ時の動作
説明図
【図35】第8の実施例におけるステップモータ装置の
構成図
【図36】第9の実施例におけるステップモータ装置の
構成図
【図37】第10の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図38】第11の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図39】第12の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図40】第12の実施例における動作説明図
【図41】第13の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図42】第14の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図43】第15の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図44】(A)、(B)及(C)は、第15の実施例
における動作説明図
【図45】第16の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図46】第16の実施例における動作説明図
【図47】第16の実施例における動作説明図
【図48】第17の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図49】(A)及び(B)は、第17の実施例におけ
る動作説明図
【図50】第17の実施例における励磁信号安定判別器
の具体的構成図
【図51】第18の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図52】(A)及び(B)は、第18の実施例におけ
る動作説明図
【図53】第19の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図54】(A)は、第19の実施例における動作説明
図(B)は、第19の実施例における進角効果説明図
【図55】第20の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図56】第20の実施例における動作説明図
【図57】第21の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図58】(A)及び(B)は、第21の実施例におけ
る動作説明図
【図59】第22の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図60】(A)及び(B)は、第22の実施例におけ
る動作説明図
【図61】第23の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図62】第24の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図63】第23の実施例における動作説明図
【図64】第24の実施例における動作説明図
【図65】第25の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図66】第26の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図67】第26の実施例における速度検出器の具体的
構成図
【図68】第27の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図69】第27の実施例における積分器の具体的構成
【図70】第28の実施例におけるステップモータ装置
の構成図
【図71】本発明のステップモータ装置の一例の外観正
面図及び下面図
【図72】本発明のステップモータ装置の一例の外観正
面図及び下面図
【図73】(A)及び(B)は第1の従来例におけるス
テップモータ装置の構成図
【図74】(A)、(B)、(C)及び(D)は、第1
の従来例におけるステップモータ装置の動作説明図
【図75】(A)、(B)、(C)及(D)は、第1の
従来例におけるステップモータ装置おいてステップモー
タが脱調する様子を示した図
【図76】第2の従来例におけるステップモータ装置の
構成図
【図77】第2の従来例における励磁器の具体的構成図
【図78】(A)、(B)、(C)及(D)は、第2の
従来例における動作説明図
【図79】(A)、(B)、(C)及(D)は、第2の
従来例におけるステップモータ装置においてステップモ
ータが脱調する様子を示した図
【図80】第3の従来例におけるステップモータ装置の
構成図
【符号の説明】
1 モータ 2a、2b 励磁器 3a、3b 位置検出器 4a、4b 励磁タイミング制御器

Claims (45)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)複数相の駆動巻線を有するステップ
    モータと、(b)前記駆動巻線を励磁するための電力を
    供給する励磁器と、(c)前記ステップモータの可動子
    の位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器
    と、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して励磁信号を前記励磁器に出
    力する励磁タイミング制御器とを備え、 前記励磁タイミング制御器は、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効
    な方向にトルクを向かわせる場合は前記駆動指令信号の
    入力タイミングに応答して前記励磁信号を出力し、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するには好ま
    しくない方向にトルクを向かわせる場合は前記位置検出
    信号の入力タイミングに応答して前記励磁信号を出力す
    る構成としたステップモータ装置。
  2. 【請求項2】 励磁タイミング制御器は、 ・ステップモータを正方向に駆動する場合、駆動指令信
    号と位置検出信号のうち、入力タイミングが遅い方の信
    号を出力信号とし、ステップモータを負方向に駆動する
    場合、前記駆動指令信号と前記位置検出信号を反転した
    信号のうち、入力タイミングが遅い方の信号を出力信号
    とする遅れ信号優先通過器を備え、 ・前記遅れ信号優先通過器の出力信号を励磁信号として
    励磁器に出力する構成とした請求項1記載のステップモ
    ータ装置。
  3. 【請求項3】 遅れ信号優先通過器は、 ・ステップモータを正方向に駆動する場合、駆動指令信
    号が変化するタイミングで位置検出信号のレベルをラッ
    チし、前記位置検出信号が変化するタイミングで前記駆
    動指令信号のレベルをラッチし、ステップモータを負方
    向に駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミング
    で位置検出信号を反転した信号のレベルをラッチし、前
    記位置検出信号が変化するタイミングで前記駆動指令信
    号のレベルをラッチする相互ラッチ器により構成した請
    求項2記載のステップモータ装置。
  4. 【請求項4】 遅れ信号優先通過器は、 ・ステップモータを正方向に駆動する場合、駆動指令信
    号が変化するタイミングで位置検出信号を選択して出力
    し、前記位置検出信号が変化するタイミングで前記駆動
    指令信号を選択して出力し、ステップモータを負方向に
    駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミングで位
    置検出信号を反転した信号を選択して出力し、前記位置
    検出信号が変化するタイミングで前記駆動指令信号を選
    択して出力する相互信号選択器により構成した請求項2
    記載のステップモータ装置。
  5. 【請求項5】 励磁タイミング制御器を、励磁する駆動
    巻線の相毎に対応させて設け、 前記励磁タイミング制御器は、 ・これに対応した駆動巻線に対する位置検出信号と駆動
    指令信号とを入力とし、他の相とは独立して前記対応す
    る駆動巻線への励磁信号を出力する構成とした請求項1
    記載のステップモータ装置。
  6. 【請求項6】 (a)複数相の駆動巻線を有するステッ
    プモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位置
    を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、その前記励磁器は、励磁信号と電流値信号とを
    入力とし、前記励磁信号に応答して前記駆動巻線の励磁
    を切り換え、前記電流値信号により前記駆動巻線の最大
    励磁電流を定めるものであり、(d)前記励磁器の励磁
    信号として入力される駆動指令信号と前記位置検出信号
    との位相差に応じた励磁電流制御信号を前記励磁器の電
    流値信号として出力する励磁電流制御器とを備え、 その励磁電流制御器は、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効
    な方向にトルクを向かわせる場合は、前記駆動指令信号
    と前記位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の
    最大励磁電流を減少する方向に前記励磁電流制御信号を
    変化させ、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに好ま
    しくない方向にトルクを向かわせる場合は、前記駆動指
    令信号と前記位置検出信号との位相差に応じて前記駆動
    巻線の最大励磁電流を増加させる方向に前記励磁電流制
    御信号を変化させる構成としたステップモータ装置。
  7. 【請求項7】 (a)複数相の駆動巻線を有するステッ
    プモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位置
    を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、 その励磁器は、 ・励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に
    応答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信
    号により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであ
    り、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して前記励磁信号を前記励磁器
    に出力する励磁タイミング制御器と、(e)前記駆動指
    令信号と前記位置検出信号との位相差に応じた励磁電流
    制御信号を前記励磁器の電流値信号として出力する励磁
    電流制御器とを備え、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効
    な方向にトルクを向かわせる場合は、前記励磁タイミン
    グ制御器は、前記駆動指令信号の入力タイミングに応答
    して前記励磁信号を出力し、 かつ、前記励磁電流制御器は、前記駆動指令信号と前記
    位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最大励
    磁電流を減少する方向に前記励磁電流制御信号を変化さ
    せ、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するには好ま
    しくない方向にトルクを向かわせる場合は、 前記励磁タイミング制御器は、前記位置検出信号の入力
    タイミングに応答して前記励磁信号を出力し、 かつ、前記励磁電流制御器は、前記駆動指令信号と前記
    位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最大励
    磁電流を増加させる方向に前記励磁電流制御信号を変化
    させる構成としたステップモータ装置。
  8. 【請求項8】 励磁電流制御器は、 ・ステップモータを正方向に駆動する場合、位置検出信
    号に対して駆動指令信号が位相遅れとなったときの位相
    差を遅れの位相差とし、前記位置検出信号に対して前記
    駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を進みの
    位相差とし、 ・前記ステップモータを負方向に駆動する場合、前記位
    置検出信号を反転した信号に対して前記駆動指令信号が
    位相遅れとなったときの位相差を遅れの位相差とし、前
    記位置検出信号の反転した信号に対して前記駆動指令信
    号が位相進みとなったときの位相差を進みの位相差と
    し、 ・前記遅れの位相差が生じた場合は駆動巻線の最大励磁
    電流を減少する方向に励磁電流制御信号を変化させ、 ・前記進みの位相差が生じた場合は前記駆動巻線の最大
    励磁電流を増加させる方向に前記励磁電流制御信号を変
    化させる構成とした請求項6又は7記載のステップモー
    タ装置。
  9. 【請求項9】 (a)複数相の駆動巻線を有するステッ
    プモータと、(b)前記駆動巻線を励磁するための電力
    を供給する励磁器と、(c)前記ステップモータの可動
    子の位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器
    と、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して励磁信号を前記励磁器に出
    力する励磁タイミング制御器とを備え、 前記励磁タイミング制御器は、 (d-1)前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前
    記駆動指令信号と前記位置検出信号のうち、入力タイミ
    ングが遅い方の信号を出力信号とし、前記ステップモー
    タを負方向に駆動する場合、前記駆動指令信号と前記位
    置検出信号を反転した信号のうち、入力タイミングが遅
    い方の信号を出力信号とする遅れ信号優先通過器と、 (d-2)前記駆動指令信号と前記位置検出信号とによるパ
    ルス数の差、つまり偏差が所定の範囲内である第1の状
    態か、前記偏差が前記所定の範囲外であり、 これを前記所定の範囲内とするためには、前記ステップ
    モータの可動子を正方向に向かわせるように働く順方向
    トルクが必要な第2の状態か、前記偏差が前記所定の範
    囲外であり、これを前記所定の範囲内とするためには、
    前記ステップモータの可動子を負方向に向かわせるよう
    に働く逆方向トルクが必要な第3の状態かを検出する偏
    差状態検出器と、 (d-3)前記偏差状態検出器の検出結果に基づき、前記遅
    れ信号優先通過器の出力信号と前記位置検出信号と前記
    位置検出信号を反転した信号とのうち、いずれか一つを
    前記励磁信号として選択する励磁信号選択器とから成
    り、 ・前記偏差状態検出器が前記第1の状態を検出した場
    合、前記励磁信号選択器は前記遅れ信号優先通過器の出
    力信号を前記励磁信号として選択し、 ・前記偏差状態検出器が前記第2の状態を検出した場
    合、前記励磁信号選択器は前記位置検出信号を前記励磁
    信号として選択し、 ・前記偏差状態検出器が前記第3の状態を検出した場
    合、前記励磁信号選択器は前記位置検出信号を反転した
    信号を前記励磁信号として選択する構成としたステップ
    モータ装置。
  10. 【請求項10】 偏差状態検出器は、 ・駆動指令信号と位置検出信号とによるパルス数の差、
    つまり偏差をカウントする偏差カウンタと、 ・前記偏差カウンタの出力値により第1の状態か第2の
    状態か第3の状態かを判別する判別器とから成り、 ・・前記偏差カウンタはその出力値を、 ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆動指令
    信号が入力される度に1カウントアップし、 前記ステップモータを負方向に駆動する場合、前記駆動
    指令信号が入力される度に1カウントダウンし、 前記ステップモータが正方向に駆動したとき、前記位置
    検出信号が入力される度に1カウントダウンし、 前記ステップモータが負方向に駆動したとき、前記位置
    検出信号が入力される度に1カウントアップするもので
    あって、 ・・前記判別器は、 前記偏差カウンタの出力値がマイナス1からプラス1の
    範囲内であるとき前記第1の状態と判別し、 前記偏差カウンタの出力値がプラス2に達してから零に
    戻るまでの間を前記第2の状態と判別し、 前記偏差カウンタの出力値がマイナス2に達してから零
    に戻るまでの間を前記第3の状態と判別する構成とした
    請求項9記載のステップモータ装置。
  11. 【請求項11】 偏差状態検出器は、 ・駆動指令信号と位置検出信号とによるパルス数の差、
    つまり偏差をカウントする偏差カウンタと、 ・前記偏差カウンタの出力値により第1の状態か第2の
    状態か第3の状態かを判別する判別器とから成り、 ・・前記偏差カウンタはその出力値を、 ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆動指令
    信号が入力される度に1カウントダウンし、 前記ステップモータを負方向に駆動する場合、前記駆動
    指令信号が入力される度に1カウントアップし、 前記ステップモータが正方向に駆動したとき、前記位置
    検出信号が入力される度に1カウントアップし、 前記ステップモータが負方向に駆動したとき、前記位置
    検出信号が入力される度に1カウントダウンするもので
    あって、 ・・前記判別器は、 前記偏差カウンタの出力値がマイナス1からプラス1の
    範囲内であるとき前記第1の状態と判別し、 前記偏差カウンタの出力値がマイナス2に達してから零
    に戻るまでの間を前記第2の状態と判別し、 前記偏差カウンタの出力値がプラス2に達してから零に
    戻るまでの間を前記第3の状態と判別する構成とした請
    求項9記載のステップモータ装置。
  12. 【請求項12】 遅れ信号優先通過器は、 ・ステップモータを正方向に駆動する場合、駆動指令信
    号が変化するタイミングで位置検出信号のレベルをラッ
    チし、前記位置検出信号が変化するタイミングで前記駆
    動指令信号のレベルをラッチし、ステップモータを負方
    向に駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミング
    で位置検出信号を反転した信号のレベルをラッチし、前
    記位置検出信号が変化するタイミングで前記駆動指令信
    号のレベルをラッチする相互ラッチ器により構成された
    請求項9記載のステップモータ装置。
  13. 【請求項13】 遅れ信号優先通過器は、 ・ステップモータを正方向に駆動する場合、駆動指令信
    号が変化するタイミングで位置検出信号を選択して出力
    し、前記位置検出信号が変化するタイミングで前記駆動
    指令信号を選択して出力し、ステップモータを負方向に
    駆動する場合、駆動指令信号が変化するタイミングで位
    置検出信号を反転した信号を選択して出力し、前記位置
    検出信号が変化するタイミングで前記駆動指令信号を選
    択して出力する相互信号選択器により構成した請求項9
    記載のステップモータ装置。
  14. 【請求項14】 励磁タイミング制御器を、励磁する駆
    動巻線の相毎に対応させて設け、 前記励磁タイミング制御器は、これに対応した駆動巻線
    に対する位置検出信号と駆動指令信号とを入力とし、他
    の相とは独立して前記対応する駆動巻線への励磁信号を
    出力する構成とした請求項9記載のステップモータ装
    置。
  15. 【請求項15】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位
    置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、 その励磁器は励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記
    励磁信号に応答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前
    記電流値信号により前記駆動巻線の最大励磁電流を定め
    るものであり、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号
    とを入力とし、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号
    のいずれかの入力タイミングに応答して前記励磁信号を
    前記励磁器に出力する励磁タイミング制御器と、(e)
    前記駆動指令信号と前記位置検出信号との位相差に応じ
    た励磁電流制御信号を前記励磁器の電流値信号として出
    力する励磁電流制御器とを備え、 前記励磁タイミング制御器は、 前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆動
    指令信号と前記位置検出信号のうち、入力タイミングが
    遅い方の信号を出力信号とし、前記ステップモータを負
    方向に駆動する場合、前記駆動指令信号と前記位置検出
    信号を反転した信号のうち、入力タイミングが遅い方の
    信号を出力信号とする遅れ信号優先通過器と、 前記駆動指令信号と前記位置検出信号とによるパルス数
    の差、つまり偏差が所定の範囲内である第1の状態か、
    前記偏差が前記所定の範囲外であり、これを前記所定の
    範囲内とするためには、前記ステップモータの可動子を
    正方向に向かわせるように働く順方向トルクが必要な第
    2の状態か、前記偏差が前記所定の範囲外であり、これ
    を前記所定の範囲内とするためには、前記ステップモー
    タの可動子を負方向に向かわせるように働く逆方向トル
    クが必要な第3の状態かを検出する偏差状態検出器と、 前記偏差状態検出器の検出結果に基づき、前記遅れ信号
    優先通過器の出力信号と前記位置検出信号と前記位置検
    出信号を反転した信号とのうち、いずれか一つを前記励
    磁信号として選択する励磁信号選択器とから成り、 前記偏差状態検出器が前記第1の状態を検出した場合、
    前記励磁信号選択器は前記遅れ信号優先通過器の出力信
    号を前記励磁信号として選択し、 前記偏差状態検出器が前記第2の状態を検出した場合、
    前記励磁信号選択器は前記位置検出信号を前記励磁信号
    として選択し、 前記偏差状態検出器が前記第3の状態を検出した場合、
    前記励磁信号選択器は前記位置検出信号を反転した信号
    を前記励磁信号として選択する構成とし、 前記励磁電流制御器は、 ステップモータを正方向に駆動する場合、前記位置検出
    信号に対して前記駆動指令信号が位相遅れとなったとき
    の位相差を遅れの位相差とし、前記位置検出信号に対し
    て前記駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を
    進みの位相差とし、前記ステップモータを負方向に駆動
    する場合、前記位置検出信号を反転した信号に対して前
    記駆動指令信号が位相遅れとなったときの位相差を遅れ
    の位相差とし、前記位置検出信号の反転した信号に対し
    て前記駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を
    進みの位相差とし、前記遅れの位相差が生じた場合は前
    記駆動巻線の最大励磁電流を減少する方向に前記励磁電
    流制御信号を変化させ、前記進みの位相差が生じた場合
    は前記駆動巻線の最大励磁電流を増加させる方向に前記
    励磁電流制御信号を変化させる構成としたステップモー
    タ装置。
  16. 【請求項16】 励磁電流制御器は、 駆動指令信号と位置検出信号とによるパルス数の差、つ
    まり偏差をカウントする偏差カウンタと、 前記偏差カウンタの出力値により進みの位相差であるか
    遅れの位相差であるかを判別する位相判別器とを有し、 前記偏差カウンタはその出力値を、ステップモータを正
    方向に駆動する場合、前記駆動指令信号が入力される度
    に1カウントアップし、前記ステップモータを負方向に
    駆動する場合、前記駆動指令信号が入力される度に1カ
    ウントダウンし、前記ステップモータが正方向に駆動し
    たとき、前記位置検出信号が入力される度に1カウント
    ダウンし、前記ステップモータが負方向に駆動したと
    き、前記位置検出信号が入力される度に1カウントアッ
    プするものであって、 前記位相判別器は、前記偏差カウンタの出力値がプラス
    1以上であるとき前記進みの位相差と判別し、前記偏差
    カウンタの出力値がマイナス1以下であるとき前記遅れ
    の位相差と判別する構成とした請求項15記載のステッ
    プモータ装置。
  17. 【請求項17】 前記励磁電流制御器は、 駆動指令信号と位置検出信号とによるパルス数の差、つ
    まり偏差をカウントする偏差カウンタと、 前記偏差カウンタの出力値により進みの位相差であるか
    遅れの位相差であるかを判別する位相判別器とを有し、 前記偏差カウンタはその出力値を、ステップモータを正
    方向に駆動する場合、前記駆動指令信号が入力される度
    に1カウントダウンし、前記ステップモータを負方向に
    駆動する場合、前記駆動指令信号が入力される度に1カ
    ウントアップし、前記ステップモータが正方向に駆動し
    たとき、前記位置検出信号が入力される度に1カウント
    アップし、前記ステップモータが負方向に駆動したと
    き、前記位置検出信号が入力される度に1カウントダウ
    ンするものであって、 前記位相判別器は、前記偏差カウンタの出力値がマイナ
    ス1以下であるとき前記進みの位相差と判別し、前記偏
    差カウンタの出力値がプラス1以上であるとき前記遅れ
    の位相差と判別する構成とした請求項15記載のステッ
    プモータ装置。
  18. 【請求項18】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと; (b)前記ステップモータの可動子の位置を検出し、位
    置検出信号を出力する位置検出器と、(c)前記駆動巻
    線を励磁するための電力を供給する励磁器と;その励磁
    器は、 励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に応
    答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信号
    により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであっ
    て、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して前記励磁信号を前記励磁器
    に出力する励磁タイミング制御器と、(e)前記励磁器
    の電流値信号に作用して前記駆動巻線の励磁電流を強制
    的に増加させる励磁電流強制増加器とを備え、 前記励磁タイミング制御器は、 前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆動
    指令信号と前記位置検出信号のうち、入力タイミングが
    遅い方の信号を出力信号とし、前記ステップモータを負
    方向に駆動する場合、前記駆動指令信号と前記位置検出
    信号を反転した信号のうち、入力タイミングが遅い方の
    信号を出力信号とする遅れ信号優先通過器と、 前記駆動指令信号と前記位置検出信号とによるパルス数
    の差、つまり偏差が所定の範囲内である第1の状態か、
    前記偏差が前記所定の範囲外であり、これを前記所定の
    範囲内とするためには、前記ステップモータの可動子を
    正方向に向かわせるように働く順方向トルクが必要な第
    2の状態か、前記偏差が前記所定の範囲外であり、これ
    を前記所定の範囲内とするためには、前記ステップモー
    タの可動子を負方向に向かわせるように働く逆方向トル
    クが必要な第3の状態かを検出する偏差状態検出器と、 前記偏差状態検出器の検出結果に基づき、前記遅れ信号
    優先通過器の出力信号と前記位置検出信号と前記位置検
    出信号を反転した信号とのうち、いずれか一つを前記励
    磁信号として選択する励磁信号選択器とから成り、 前記偏差状態検出器が前記第1の状態を検出した場合、
    前記励磁信号選択器は前記遅れ信号優先通過器の出力信
    号を前記励磁信号として選択し、前記偏差状態検出器が
    前記第2の状態を検出した場合、前記励磁信号選択器は
    前記位置検出信号を前記励磁信号として選択し、前記偏
    差状態検出器が前記第3の状態を検出した場合、前記励
    磁信号選択器は前記位置検出信号を反転した信号を前記
    励磁信号として選択する構成とし、 前記励磁電流強制増加器は、 前記偏差状態検出器が前記第2の状態又は前記第3の状
    態を検出したとき、前記駆動巻線の励磁電流を強制的に
    増加する構成としたステップモータ装置。
  19. 【請求項19】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位
    置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、前記励磁器は、 励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に応
    答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信号
    により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであっ
    て、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して前記励磁信号を前記励磁器
    に出力する励磁タイミング制御器と、(e)前記駆動指
    令信号と前記位置検出信号との位相差に応じた励磁電流
    制御信号を前記励磁器の電流値信号として出力する励磁
    電流制御器と、(f)前記駆動巻線の励磁電流を強制的
    に増加させる励磁電流強制増加器とを備え、 前記励磁タイミング制御器は、 前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆動
    指令信号と前記位置検出信号のうち、入力タイミングが
    遅い方の信号を出力信号とし、前記ステップモータを負
    方向に駆動する場合、前記駆動指令信号と前記位置検出
    信号を反転した信号のうち、入力タイミングが遅い方の
    信号を出力信号とする遅れ信号優先通過器と、 前記駆動指令信号と前記位置検出信号とによるパルス数
    の差、つまり偏差が所定の範囲内である第1の状態か、
    前記偏差が前記所定の範囲外であり、これを前記所定の
    範囲内とするためには、前記ステップモータの可動子を
    正方向に向かわせるように働く順方向トルクが必要な第
    2の状態か、前記偏差が前記所定の範囲外であり、これ
    を前記所定の範囲内とするためには、前記ステップモー
    タの可動子を負方向に向かわせるように働く逆方向トル
    クが必要な第3の状態かを検出する偏差状態検出器と、 前記偏差状態検出器の検出結果に基づき、前記遅れ信号
    優先通過器の出力信号と前記位置検出信号と前記位置検
    出信号を反転した信号とのうち、いずれか一つを前記励
    磁信号として選択する励磁信号選択器とから成り、 前記偏差状態検出器が前記第1の状態を検出した場合、
    前記励磁信号選択器は前記遅れ信号優先通過器の出力信
    号を前記励磁信号として選択し、前記偏差状態検出器が
    前記第2の状態を検出した場合、前記励磁信号選択器は
    前記位置検出信号を前記励磁信号として選択し、前記偏
    差状態検出器が前記第3の状態を検出した場合、前記励
    磁信号選択器は前記位置検出信号を反転した信号を前記
    励磁信号として選択する構成とし、 前記励磁電流制御器は、 ステップモータを正方向に駆動する場合、前記位置検出
    信号に対して前記駆動指令信号が位相遅れとなったとき
    の位相差を遅れの位相差とし、前記位置検出信号に対し
    て前記駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を
    進みの位相差とし、前記ステップモータを負方向に駆動
    する場合、前記位置検出信号を反転した信号に対して前
    記駆動指令信号が位相遅れとなったときの位相差を遅れ
    の位相差とし、前記位置検出信号の反転した信号に対し
    て前記駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を
    進みの位相差とし、前記遅れの位相差が生じた場合は前
    記駆動巻線の最大励磁電流を減少する方向に前記励磁電
    流制御信号を変化させ、前記進みの位相差が生じた場合
    は前記駆動巻線の最大励磁電流を増加させる方向に前記
    励磁電流制御信号を変化させる構成とし、 前記励磁電流強制増加器は、前記偏差状態検出器が前記
    第2の状態又は前記第3の状態を検出したとき、前記駆
    動巻線の励磁電流を強制的に増加する構成としたステッ
    プモータ装置。
  20. 【請求項20】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位
    置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、前記励磁器は、 励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に応
    答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信号
    により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであっ
    て、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して前記励磁信号を前記励磁器
    に出力する励磁タイミング制御器と、(e)前記駆動指
    令信号と前記位置検出信号との位相差に応じた励磁電流
    制御信号を前記励磁器の電流値信号として出力する励磁
    電流制御器と、(f)前記駆動巻線の励磁電流を強制的
    に増加させる励磁電流強制増加器とを備え、 前記励磁タイミング制御器は、 前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆動
    指令信号と前記位置検出信号のうち、入力タイミングが
    遅い方の信号を出力信号とし、前記ステップモータを負
    方向に駆動する場合、前記駆動指令信号と前記位置検出
    信号を反転した信号のうち、入力タイミングが遅い方の
    信号を出力信号とする遅れ信号優先通過器と、 前記駆動指令信号と前記位置検出信号とによるパルス数
    の差、つまり偏差が所定の範囲内である第1の状態か、
    前記偏差が前記所定の範囲外であり、これを前記所定の
    範囲内とするためには、前記ステップモータの可動子を
    正方向に向かわせるように働く順方向トルクが必要な第
    2の状態か、前記偏差が前記所定の範囲外であり、これ
    を前記所定の範囲内とするためには、前記ステップモー
    タの可動子を負方向に向かわせるように働く逆方向トル
    クが必要な第3の状態か、前記偏差が前記所定の範囲よ
    りも広い範囲内である第4の状態かを検出する偏差状態
    検出器と、 前記偏差状態検出器の検出結果に基づき、前記遅れ信号
    優先通過器の出力信号と前記位置検出信号と前記位置検
    出信号を反転した信号とのうち、いずれか一つを前記励
    磁信号として選択する励磁信号選択器とから成り、 前記偏差状態検出器が前記第1の状態を検出した場合、
    前記励磁信号選択器は前記遅れ信号優先通過器の出力信
    号を前記励磁信号として選択し、前記偏差状態検出器が
    前記第2の状態を検出した場合、前記励磁信号選択器は
    前記位置検出信号を前記励磁信号として選択し、前記偏
    差状態検出器が前記第3の状態を検出した場合、前記励
    磁信号選択器は前記位置検出信号を反転した信号を前記
    励磁信号として選択する構成とし、 前記励磁電流制御器は、 ステップモータを正方向に駆動する場合、前記位置検出
    信号に対して前記駆動指令信号が位相遅れとなったとき
    の位相差を遅れの位相差とし、前記位置検出信号に対し
    て前記駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を
    進みの位相差とし、前記ステップモータを負方向に駆動
    する場合、前記位置検出信号を反転した信号に対して前
    記駆動指令信号が位相遅れとなったときの位相差を遅れ
    の位相差とし、前記位置検出信号の反転した信号に対し
    て前記駆動指令信号が位相進みとなったときの位相差を
    進みの位相差とし、前記遅れの位相差が生じた場合は前
    記駆動巻線の最大励磁電流を減少する方向に前記励磁電
    流制御信号を変化させ、前記進みの位相差が生じた場合
    は前記駆動巻線の最大励磁電流を増加させる方向に前記
    励磁電流制御信号を変化させる構成とし、 前記励磁電流強制増加器は、前記偏差状態検出器が前記
    第4の状態から外れたことを検出したとき、前記駆動巻
    線の励磁電流を強制的に増加する構成としたステップモ
    ータ装置。
  21. 【請求項21】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位
    置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、その励磁器は、 励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に応
    答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信号
    により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであ
    り、(d)前記励磁器の励磁信号として入力される駆動
    指令信号と前記位置検出信号との位相差に応じた励磁電
    流制御信号を前記励磁器の電流値信号として出力する励
    磁電流制御器とを備え、 その励磁電流制御器は、 前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換えが
    前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効な
    方向にトルクを向かわせる場合は、前記駆動指令信号と
    前記位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最
    大励磁電流を減少する方向に前記励磁電流制御信号を変
    化させ、 前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換えが
    前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに好まし
    くない方向にトルクを向かわせる場合は、前記駆動指令
    信号と前記位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻
    線の最大励磁電流を増加させる方向に前記励磁電流制御
    信号を変化させるものであり、 更に前記励磁電流制御器は、休止幅生成器を含む励磁電
    流減少休止器を有し、 前記励磁電流減少休止器は、前記休止幅生成器の出力で
    ある励磁電流減少休止信号が出力される間、前記駆動巻
    線の最大励磁電流を減少する方向への前記励磁電流制御
    信号の変化を休止する構成としたステップモータ装置。
  22. 【請求項22】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと;(b)前記ステップモータの可動子の位
    置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、その励磁器は、 ・励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に
    応答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信
    号により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであ
    り、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して前記励磁信号を前記励磁器
    に出力する励磁タイミング制御器と、(e)前記駆動指
    令信号と前記位置検出信号との位相差に応じた励磁電流
    制御信号を前記励磁器の電流値信号として出力する励磁
    電流制御器とを備え、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効
    な方向にトルクを向かわせる場合は、前記励磁タイミン
    グ制御器は、前記駆動指令信号の入力タイミングに応答
    して前記励磁信号を出力し、 かつ、前記励磁電流制御器は、前記駆動指令信号と前記
    位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最大励
    磁電流を減少する方向に前記励磁電流制御信号を変化さ
    せ、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するには好ま
    しくない方向にトルクを向かわせる場合は、 前記励磁タイミング制御器は、前記位置検出信号の入力
    タイミングに応答して前記励磁信号を出力し、 かつ、前記励磁電流制御器は、前記駆動指令信号と前記
    位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最大励
    磁電流を増加させる方向に前記励磁電流制御信号を変化
    させるものであって、 更に前記励磁電流制御器は、休止幅生成器を含む励磁電
    流減少休止器を有し、 前記励磁電流減少休止器は、前記休止幅生成器の出力で
    ある励磁電流減少休止信号が出力される間、前記駆動巻
    線の最大励磁電流を減少する方向への前記励磁電流制御
    信号の変化を休止する構成としたステップモータ装置。
  23. 【請求項23】 励磁電流減少休止信号は、位置検出器
    が出力する位置検出信号の入力タイミング毎に、ステッ
    プモータの可動子の速度に応じた時間、出力される構成
    とした請求項21又は請求項22記載のステップモータ
    装置。
  24. 【請求項24】 励磁電流減少休止信号は、位置検出器
    が出力する位置検出信号の入力タイミング毎に、予め定
    められた所定の時間、出力される構成とした請求項21
    又は請求項22記載のステップモータ装置。
  25. 【請求項25】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記駆動巻線を励磁するための電
    力を供給する励磁器と、(c)前記ステップモータの可
    動子の位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出
    器と、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力
    とし、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれ
    かの入力タイミングに応答して励磁信号を出力する励磁
    タイミング制御器と、 前記励磁タイミング制御器は、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効
    な方向にトルクを向かわせる場合は前記駆動指令信号の
    入力タイミングに応答して前記励磁信号を出力し、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するには好ま
    しくない方向にトルクを向かわせる場合は前記位置検出
    信号の入力タイミングに応答して前記励磁信号を出力す
    るものであり、(e)前記励磁タイミング制御器の前記
    励磁信号が、前記いずれかの入力タイミングのうち、一
    方の入力タイミングに比較的長期間応答している安定状
    態か、前記いずれかの入力タイミングへの応答が比較的
    短期間で入れ替わる不安定状態かを判別する励磁信号安
    定判別器と、(f)前記励磁信号安定判別器の判別結果
    に基づき、前記駆動指令信号と前記励磁信号のうちいず
    れかを選択して前記励磁器に出力する選択器とを備え、 前記励磁信号安定判別器が前記安定状態を判別したと
    き、前記選択器は前記励磁信号を前記駆動巻線の励磁に
    選択し、前記励磁信号安定判別器が前記不安定状態を判
    別したとき、前記選択器は前記駆動指令信号を前記駆動
    巻線の励磁に選択する構成としたステップモータ装置。
  26. 【請求項26】 励磁信号安定判別器は、位置検出信号
    または駆動指令信号の入力タイミング毎に前記位置検出
    信号と前記駆動指令信号との位相差の進み遅れの状態を
    記憶し、それぞれの入力タイミングで記憶した前記位相
    差の状態が少なくとも電気角1周期間、同じ状態である
    場合を安定状態と判断し、状態が変化すれば不安定状態
    と判断する構成とした請求項25記載のステップモータ
    装置。
  27. 【請求項27】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記駆動巻線を励磁するための電
    力を供給する励磁器と、(c)前記ステップモータの可
    動子の位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出
    器と、 前記位置検出器が出力する位置検出信号は、前記駆動巻
    線が発生する誘起電圧に対して進み位相の信号と遅れ位
    相の信号とが含まれ、(d)駆動指令信号と前記位置検
    出信号とを入力とし、前記駆動指令信号又は前記位置検
    出信号のいずれかの入力タイミングに応答して励磁信号
    を出力する励磁タイミング制御器と、 前記励磁タイミング制御器は、 ・前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆
    動指令信号と前記位置検出信号のうち、入力タイミング
    が遅い方の信号の入力タイミングに応答して前記励磁信
    号を出力し、前記ステップモータを負方向に駆動する場
    合、前記駆動指令信号と前記位置検出信号を反転した信
    号のうち、入力タイミングが遅い方の信号の入力タイミ
    ングに応答して前記励磁信号を出力するものであり、
    (e)前記励磁タイミング制御器の前記励磁信号が、前
    記いずれかの入力タイミングのうち、一方の入力タイミ
    ングに比較的長期間応答している安定状態か、前記いず
    れかの入力タイミングへの応答が比較的短期間で入れ替
    わる不安定状態かを判別する励磁信号安定判別器と、
    (f)前記駆動指令信号と前記励磁信号とが入力され、
    前記励磁信号安定判別器が前記安定状態を判別したと
    き、前記励磁信号を選択して前記励磁器に出力し、前記
    励磁信号安定判別器が前記不安定状態を判別したとき、
    前記駆動指令信号を選択して前記励磁器に出力する選択
    器とを備え、 前記位置検出器が出力する進み位相および遅れ位相の位
    置検出信号の全入力タイミングが、前記駆動指令信号の
    入力タイミングよりも遅くなるまで、前記駆動指令信号
    による前記駆動巻線の励磁を行う構成としたステップモ
    ータ装置。
  28. 【請求項28】 位置検出器は、駆動巻線が発生する誘
    起電圧に対して、進み位相に取り付けられた第1のセン
    サーと、遅れ位相に取り付けられた第2のセンサーとを
    少なくとも有する構成とした請求項27記載のステップ
    モータ装置。
  29. 【請求項29】 励磁信号安定判別器は、位置検出信号
    または駆動指令信号の入力タイミング毎に前記位置検出
    信号と前記駆動指令信号との位相差の進み遅れの状態を
    記憶し、それぞれの入力タイミングで記憶した前記位相
    差の状態が少なくとも電気角1周期間、同じ状態である
    場合を安定状態と判断し、状態が変化すれば不安定状態
    と判断する構成とした請求項27又は請求項28記載の
    ステップモータ装置。
  30. 【請求項30】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記駆動巻線を励磁するための電
    力を供給する励磁器と、(c)前記ステップモータの可
    動子の位置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出
    器と、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力
    とし、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれ
    かの入力タイミングに応答して励磁信号を前記励磁器に
    出力する励磁タイミング制御器とを備え、 前記位置検出器は、 ・前記駆動巻線が発生する誘起電圧に対して進み位相の
    前記位置検出信号を出力するものであり、 前記励磁タイミング制御器は、 ・前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前記駆
    動指令信号と前記位置検出信号のうち、入力タイミング
    が遅い方の信号の入力タイミングに応答して前記励磁信
    号を出力し、前記ステップモータを負方向に駆動する場
    合、前記駆動指令信号と前記位置検出信号を反転した信
    号のうち、入力タイミングが遅い方の信号の入力タイミ
    ングに応答して前記励磁信号を出力するものであり、 ・前記位置検出器が出力する進み位相の位置検出信号の
    入力タイミングが、前記駆動指令信号の入力タイミング
    よりも遅くなるまで、前記駆動指令信号による前記駆動
    巻線の励磁を行う構成としたステップモータ装置。
  31. 【請求項31】 駆動巻線は、 互いに電気的に90度の位相差を有して設けられる第1
    相駆動巻線と第2相駆動巻線とから成り、 位置検出器は、 ステップモータを正方向に駆動した場合、前記第1相駆
    動巻線が発生する誘起電圧に対して進み位相の信号を出
    力するように固定子に取り付けられた第1のセンサー
    と、 前記ステップモータを正方向に駆動した場合、前記第2
    相駆動巻線が発生する誘起電圧に対して進み位相の信号
    を出力するように固定子に取り付けられた第2のセンサ
    ーと、 前記第1のセンサーと前記第2のセンサーの各出力を入
    力とし、前記各相駆動巻線に対応する位置検出信号を生
    成する位置信号生成器とから成り、 前記各センサーの出力信号の進み位相は、前記各相駆動
    巻線が発生する誘起電圧に対して、電気角で概略45度
    であり、 前記位置信号生成器は、 前記ステップモータを正方向に駆動する場合、前記第1
    のセンサー信号を前記第1相駆動巻線に対応させ、前記
    第2のセンサー信号を前記第2相駆動巻線に対応させて
    位置検出信号とし、 前記ステップモータを負方向に駆動する場合、前記第1
    のセンサー信号の反転信号を前記第2相駆動巻線に対応
    させ、前記第2のセンサー信号を前記第1相駆動巻線に
    対応させて位置検出信号とする構成とした請求項30記
    載のステップモータ装置。
  32. 【請求項32】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位
    置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、 その前記励磁器は、 励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に応
    答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信号
    により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであ
    り、(d)前記励磁器の励磁信号として入力される駆動
    指令信号と前記位置検出信号との位相差に応じた励磁電
    流制御信号を前記励磁器の電流値信号として出力する励
    磁電流制御器とを備え、 前記位置検出器は、 前記駆動巻線が発生する誘起電圧に対して進み位相の前
    記位置検出信号を出力するものであり、 前記励磁電流制御器は、 前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換えが
    前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効な
    方向にトルクを向かわせる場合は、前記駆動指令信号と
    前記位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最
    大励磁電流を減少する方向に前記励磁電流制御信号を変
    化させ、 前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換えが
    前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに好まし
    くない方向にトルクを向かわせる場合は、前記駆動指令
    信号と前記位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻
    線の最大励磁電流を増加させる方向に前記励磁電流制御
    信号を変化させるものであり、更に前記励磁電流制御器
    は、 休止幅生成器を含む励磁電流減少休止器と、 割込幅生成器を含む励磁電流増加割込器とを有し、 前記励磁電流減少休止器は、前記位置検出信号の出力に
    応答して前記休止幅生成器が励磁電流減少休止信号を出
    力する間、前記駆動巻線の最大励磁電流を減少する方向
    への前記励磁電流制御信号の変化を休止し、 前記励磁電流増加割込器は、前記位置検出信号の出力に
    応答して前記割込幅生成器が割込許可信号を出力し、前
    記割込許可信号の出力中に前記駆動指令信号が変化する
    と、その時点から前記割込許可信号が終了するまでのあ
    いだ励磁電流増加割込信号を出力し、前記励磁電流増加
    割込信号が出力される間、前記駆動巻線の最大励磁電流
    を増加する方向へ前記励磁電流制御信号を変化させる構
    成としたステップモータ装置。
  33. 【請求項33】 (a)複数相の駆動巻線を有するステ
    ップモータと、(b)前記ステップモータの可動子の位
    置を検出し、位置検出信号を出力する位置検出器と、
    (c)前記駆動巻線を励磁するための電力を供給する励
    磁器と、その励磁器は、 ・励磁信号と電流値信号とを入力とし、前記励磁信号に
    応答して前記駆動巻線の励磁を切り換え、前記電流値信
    号により前記駆動巻線の最大励磁電流を定めるものであ
    り、(d)駆動指令信号と前記位置検出信号とを入力と
    し、前記駆動指令信号又は前記位置検出信号のいずれか
    の入力タイミングに応答して前記励磁信号を前記励磁器
    に出力する励磁タイミング制御器と、(e)前記駆動指
    令信号と前記位置検出信号との位相差に応じた励磁電流
    制御信号を前記励磁器の電流値信号として出力する励磁
    電流制御器とを備え、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するのに有効
    な方向にトルクを向かわせる場合は、前記励磁タイミン
    グ制御器は、前記駆動指令信号の入力タイミングに応答
    して前記励磁信号を出力し、 かつ、前記励磁電流制御器は、前記駆動指令信号と前記
    位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最大励
    磁電流を減少する方向に前記励磁電流制御信号を変化さ
    せ、 ・前記駆動指令信号による前記駆動巻線の励磁切り換え
    が前記ステップモータを所望の方向へ駆動するには好ま
    しくない方向にトルクを向かわせる場合は、 前記励磁タイミング制御器は、前記位置検出信号の入力
    タイミングに応答して前記励磁信号を出力し、 かつ、前記励磁電流制御器は、前記駆動指令信号と前記
    位置検出信号との位相差に応じて前記駆動巻線の最大励
    磁電流を増加させる方向に前記励磁電流制御信号を変化
    させるものであり、 更に前記位置検出器は、 前記駆動巻線が発生する誘起電圧に対して進み位相の前
    記位置検出信号を出力するものであり、 更に前記励磁電流制御器は、 休止幅生成器を含む励磁電流減少休止器と、 割込幅生成器を含む励磁電流増加割込器とを有し、 前記励磁電流減少休止器は、前記位置検出信号の出力に
    応答して前記休止幅生成器が励磁電流減少休止信号を出
    力する間、前記駆動巻線の最大励磁電流を減少する方向
    への前記励磁電流制御信号の変化を休止し、 前記励磁電流増加割込器は、前記位置検出信号の出力に
    応答して前記割込幅生成器が割込許可信号を出力し、前
    記割込許可信号の出力中に前記駆動指令信号が変化する
    と、その時点から前記割込許可信号が終了するまでのあ
    いだ励磁電流増加割込信号を出力し、前記励磁電流増加
    割込信号が出力させる間、前記駆動巻線の最大励磁電流
    を増加する方向へ前記励磁電流制御信号を変化させる構
    成としたステップモータ装置。
  34. 【請求項34】 休止幅生成器が出力する励磁電流減少
    休止信号および割込幅生成器が出力する割込許可信号
    は、駆動巻線が発生する誘起電圧に対する位置検出信号
    の進み位相に相当する時間より多くの時間出力される構
    成とした請求項32又は請求項33記載のステップモー
    タ装置。
  35. 【請求項35】 休止幅生成器が出力する励磁電流減少
    休止信号は、駆動巻線が発生する誘起電圧に対する位置
    検出信号の進み位相に相当する時間より多くの時間出力
    され、 割込幅生成器が出力する割込許可信号は、前記励磁電流
    減少休止信号の出力時間よりも少ない時間出力される構
    成とした請求項32又は請求項33記載のステップモー
    タ装置。
  36. 【請求項36】 休止幅生成器が出力する励磁電流減少
    休止信号あるいは割込幅生成器が出力する割込許可信号
    は、位置検出器が出力する位置検出信号の入力タイミン
    グ毎に、ステップモータの可動子の速度に応じた時間、
    出力される構成とした請求項32又は請求項33記載の
    ステップモータ装置。
  37. 【請求項37】 休止幅生成器が出力する励磁電流減少
    休止信号あるいは割込幅生成器が出力する割込許可信号
    は、位置検出器が出力する位置検出信号の入力タイミン
    グ毎に、予め定められた所定の時間、出力される構成と
    した請求項32又は請求項33記載のステップモータ装
    置。
  38. 【請求項38】 ステップモータを起動するときあるい
    は停止して位置決めするとき、励磁器の電流値信号に作
    用して駆動巻線の励磁電流を強制的に増加する起動停止
    励磁器を備えた構成とした請求項6又は請求項7又は請
    求項15又は請求項18又は請求項19又は請求項20
    又は請求項21又は請求項22又は請求項32又は請求
    項33記載のステップモータ装置。
  39. 【請求項39】 起動停止励磁器は、 駆動指令信号の周波数が予め設定された値よりも低いか
    否かを判別する周波数判別器を有し、 前記周波数判別器が前記駆動指令信号の周波数が低いと
    判別した場合、ステップモータを起動するときあるいは
    停止して位置決めするときと見なし、駆動巻線の励磁電
    流を強制的に増加する構成とした請求項38記載のステ
    ップモータ装置。
  40. 【請求項40】 起動停止励磁器は、 ステップモータの可動子の駆動速度が予め設定された値
    よりも低いか否かを判別する速度検出器を有し、 前記速度検出器が前記可動子の駆動速度が低いと判別し
    た場合、前記ステップモータを起動するときあるいは停
    止して位置決めするときと見なし、駆動巻線の励磁電流
    を強制的に増加するものであり、 前記速度検出器は、位置検出信号の出力変化によりその
    周波数を検出する位置信号周波数検出器と、前記ステッ
    プモータの駆動方向指令が前記可動子の駆動方向と同じ
    場合のみ、前記位置検出信号の出力変化を有効とする保
    護器とを備え、前記保護器によって有効とされる前記位
    置検出信号の出力変化があった時点から、次の有効な出
    力変化の時点までの時間を計測して前記可動子の駆動速
    度を検出する構成とした請求項38記載のステップモー
    タ装置。
  41. 【請求項41】 励磁電流制御器は、駆動指令信号と位
    置検出信号との位相差を積分する積分器を有し、前記積
    分器の出力に基づいて励磁電流制御信号を出力するもの
    であり、 前記積分器は、駆動巻線の励磁電流を概略零にしてステ
    ップモータを停止させる又は励磁電流を増加して保持ト
    ルクを発生させて前記ステップモータを停止させる際、
    その積分動作を休止し、前記ステップモータを停止させ
    る直前の励磁電流制御信号の出力値を記憶し、前記ステ
    ップモータを再駆動する場合、前記積分器の積分動作を
    再開し、前記励磁電流制御信号を前記記憶した出力値か
    ら開始する構成とした請求項6又は請求項7又は請求項
    15又は請求項19又は請求項20又は請求項21又は
    請求項22又は請求項32又は請求項33記載のステッ
    プモータ装置。
  42. 【請求項42】 励磁電流制御器は、駆動指令信号と位
    置検出信号との位相差を積分する積分器を有し、前記積
    分器の出力に基づいて励磁電流制御信号を出力するもの
    であり、 前記積分器は、駆動巻線の励磁電流を概略零にしてステ
    ップモータを停止させる又は励磁電流を増加して保持ト
    ルクを発生させて前記ステップモータを停止させる際、
    その積分動作を休止し、前記ステップモータを停止させ
    る直前の励磁電流制御信号の出力値を記憶し、前記ステ
    ップモータを再駆動する場合、前記積分器の積分動作を
    再開し、前記励磁電流制御信号を前記記憶した出力値か
    ら開始する構成とした請求項38記載のステップモータ
    装置。
  43. 【請求項43】 偏差状態検出器が第2の状態か第3の
    状態かを検出したとき、駆動指令信号と位置検出信号と
    の同期が外れたことを意味する信号を上位機器に出力す
    る構成を備えた請求項1又は請求項6又は請求項7又は
    請求項9記載又は請求項15又は請求項18又は請求項
    19又は請求項20又は請求項21又は請求項22又は
    請求項25又は請求項27又は請求項30又は請求項3
    2又は請求項33記載のステップモータ装置。
  44. 【請求項44】 偏差状態検出器が第2の状態か第3の
    状態かを検出したとき、駆動指令信号と位置検出信号と
    の同期が外れたことを意味する信号を上位機器に出力す
    る構成を備えた請求項38記載のステップモータ装置。
  45. 【請求項45】 偏差状態検出器が第2の状態か第3の
    状態かを検出したとき、駆動指令信号と位置検出信号と
    の同期が外れたことを意味する信号を上位機器に出力す
    る構成を備えた請求項41記載のステップモータ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101106841B1 (ko) 2009-06-23 2012-01-19 산요 세미컨덕터 컴퍼니 리미티드 드라이버 회로
JP2012065505A (ja) * 2010-09-17 2012-03-29 Seiko Epson Corp 電動モーター
JP2015514527A (ja) * 2012-04-25 2015-05-21 サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 電気機械デバイスおよび動き検出器を備える装置ならびに装置を動作させるための方法
JP2017131072A (ja) * 2016-01-21 2017-07-27 キヤノン株式会社 モータ駆動装置

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