JP2001025425A - 体圧分散マットレス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、体圧分散性に優れ、床ずれの防止
が可能であり、かつ、医療用ベッドに適したマットレス
を提供する。 【解決手段】 （７０）は、ウレタン樹脂よりなる発泡
体から形成される体圧分散マットレスであり、厚さ方向
に複数の孔が形成され、当該孔は、マットレスの下面よ
り上方向に形成され、かつ、マットレスの上面に達しな
い孔（７１ａ）と、マットレスの上面より下方向に形成
され、かつ、マットレスの下面に達しない孔（７１ｂ）
と、マットレスを貫通する孔（７１ｃ）からなる。（７
２）は孔を形成したことにより形成される柱である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ウレタンや天然ゴ
ム又は合成ゴムなどを使用したマットレスに関し、特に
体圧分散性に優れ、床ずれの防止が可能であり、かつ、
医療用ベッドに適したマットレスに関する。

【０００２】

【従来の技術】病院などにおいて、床ずれ治療用あるい
は床ずれ予防用として利用されているマットレスは、患
者にとって不自然な姿勢を強いられるもの・安眠を妨げ
られるもの・機械の駆動音がひどいもの・故障が頻発す
るもの・不衛生なものなどの欠点があり、いずれのマッ
トレスも体力が弱り病床に喘ぐ患者にとって満足のでき
るものではなかった。そこで、体圧分散を考慮したマッ
トレスとして、マットレスに身体の突起部分（肩甲部・
頭・臀部・踵など）が当接しそうな個所のみに、特別に
クッション性のある柔らかい素材（空気・水・スポンジ
等）を配したり、マットレス内に空気や水を入れてクッ
ション性を付与したり、マットレスの表面をクレーター
状にして通気性を向上させたり、またそれらを組み合わ
せたりしたものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の体圧分散を考慮したマットレスは、いずれ
も満足が得られるものではなかった。すなわち、床ずれ
は、毛細血管の血液の循環が妨げられるときに発生す
る。つまり、身体に持続的に圧力をかけ続けることが問
題である。

【０００４】図１１は、従来のマットレスに人が横たわ
った状態を示すマットレスの概略図であり、図１２は、
力が作用する方向を示す模式図である。このように、従
来のマットレスにおいては、その上面部や内部にクッシ
ョン性を付与しても、身体の突起部分に当接する個所
が、身体の重量に基づく圧縮力により深く沈むだけであ
り、この圧縮力に対抗するマットレスの反発力、すなわ
ち、身体に及ぼす押圧力の押圧方向は常に上下方向とな
る。このように従来のマットレスの構造では、身体の重
量を下から支える構造となっており、圧力を下へ逃す方
法で作られているため、いくらマット材を柔らかくして
も除圧には限度ある。

【０００５】したがって、従来の体圧分散を考慮したマ
ットレスは、たとえその上面部などにクッション性を付
与しても、前記したように、床ずれ発生の原因であると
ころの身体に持続的に上下方向の圧力をかけ続けるもの
であった。

【０００６】そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結
果、マットレスからの圧力が集中する部分をなくしたマ
ットレスを案出した。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る体圧分散マ
ットレスは、厚さ方向に孔を形成したことを特徴とする
ものである（請求項１）。

【０００８】また、上記の体圧分散マットレスにおける
厚さ方向の孔が、マットレスの下面より上方向に形成さ
れ、かつ、マットレスの上面に達しない孔とすることも
できる（請求項２）。

【０００９】さらに、上記の体圧分散マットレスにおけ
る厚さ方向の孔が、マットレスの上面より下方向に形成
され、かつ、マットレスの下面に達しない孔とすること
もできる（請求項３）。

【００１０】さらにまた、上記の体圧分散マットレスに
おける厚さ方向の孔が、マットレスを貫通する孔とする
こともできる（請求項４）。

【００１１】また、上記の体圧分散マットレスにおける
厚さ方向の孔が、下記（１）〜（３）のいずれか２種類
以上の孔を組み合わせたものとすることもできる （１）マットレスの下面より形成され、かつ、上面に達
しない孔 （２）マットレスの上面より形成され、かつ、下面に達
しない孔 （３）マットレスを貫通する孔（請求項５）。

【００１２】上記のように本発明に係る体圧分散マット
レスは、マットレスの上面から下面まで貫通した孔、あ
るいは上面又は下面からの孔であって貫通しないもの、
あるいは中間部を貫通しない孔を多数形成したマットレ
スであるから、マットレスからの圧力が毛細血管内の血
圧より低く押さえられ、血液の循環が円滑に行われるよ
うになり、床ずれの発生を抑制できる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下に本発明の好適な第１の実施
例を図１〜図３に基いて詳細に説明する。図１は、本発
明に係る体圧分散マットレスの斜視図であり、図２は、
人が横たわった状態を示すマットレスの概略図であり、
図３は、力が作用する方向を示す模式図である。

【００１４】図１において（１０）は、ウレタン樹脂よ
りなる発泡体から形成される体圧分散マットレスであ
り、厚さ方向に複数の孔（１１）が形成されているもの
である。当該孔（１１）は、マットレス（１０）の下面
より上方向に形成され、かつ、マットレス（１０）の上
面に達しないように形成されている。このように孔（１
１）を形成したマットレス（１０）に身体を横たえる
と、その重量により、特に身体の突起部分（肩甲部・頭
・臀部・踵など）が当接する個所においては、図２に示
すように、孔（１１）を形成したことにより形成される
発泡体の柱（１２）が深く沈み込むため屈曲することと
なる。この柱（１２）は、身体を支える役目を果たすの
で、結局、屈曲した柱にあっては、その屈曲した方向に
身体が支えられることになり、したがって、図３に示す
ように、身体に対するマットレスの圧力は、上下方向以
外に屈曲した方向にも分散される。しかもこの屈曲した
柱は、屈曲しているが故に身体に対する押圧力が弱まる
ので、力が掛かる方向が分散されるのに加え、圧力その
ものに強弱の変化が生ずる。

【００１５】したがって、本実施例に係る体圧分散マッ
トレス（１０）は、身体に対する押圧力について、その
方向が分散し、強弱が変化するので、マットレスからの
圧力が毛細血管内の血圧より低く押さえられ、血液の循
環が円滑に行われるようになり、床ずれの発生を抑制で
きる。

【００１６】なお、本実施例においては、マットレスの
素材をウレタン樹脂発泡体としたが、これに限られるも
のではなく、天然ゴムや合成ゴムなどの柔軟性に富む材
質であれば差し支えない。

【００１７】図４は、第２の実施例を示す斜視図であ
り、体圧分散マットレス（２０）における厚さ方向の孔
（２１）が、マットレスの上面より下方向に形成され、
かつ、マットレスの下面に達しないように形成されてい
る。（２２）は柱を示す。

【００１８】図５は、第３の実施例を示す斜視図であ
り、体圧分散マットレス（３０）における厚さ方向の孔
（３１）が、マットレスを貫通する孔より形成されてい
る。（３２）は柱を示す。

【００１９】上記第２及び第３の実施例に示す体圧分散
マットレスは、その構成上、上記第１の実施例に示す体
圧分散マットレスと同様の作用及び効果を奏することは
明らかである。なお、第２及び第３の実施例に示す体圧
分散マットレスは、孔の形成以外の構成については第１
の実施例と変わるところがない。

【００２０】図６は、第４の実施例を示す斜視図であ
り、体圧分散マットレス（４０）における厚さ方向の孔
（４１）は、マットレスの下面より上方向に形成され、
かつ、マットレスの上面に達しない孔（４１ａ）と、マ
ットレスの上面より下方向に形成され、かつ、マットレ
スの下面に達しない孔（４１ｂ）とからなる。（４２）
は柱を示す。

【００２１】図７は、第５の実施例を示す斜視図であ
り、体圧分散マットレス（５０）における厚さ方向の孔
（５１）は、マットレスの下面より上方向に形成され、
かつ、マットレスの上面に達しない孔（５１ａ）と、マ
ットレスを貫通する孔（５１ｂ）とからなる。（５２）
は柱を示す。

【００２２】図８は、第６の実施例を示す斜視図であ
り、体圧分散マットレス（６０）における厚さ方向の孔
（６１）は、マットレスの上面より下方向に形成され、
かつ、マットレスの下面に達しない孔（６１ａ）と、マ
ットレスを貫通する孔（６１ｂ）とからなる。（６２）
は柱を示す。

【００２３】図９は、第７の実施例を示す斜視図であ
り、体圧分散マットレス（７０）における厚さ方向の孔
（７１）は、マットレスの下面より上方向に形成され、
かつ、マットレスの上面に達しない孔（７１ａ）と、マ
ットレスの上面より下方向に形成され、かつ、マットレ
スの下面に達しない孔（７１ｂ）と、マットレスを貫通
する孔（７１ｃ）からなる。（７２）は柱を示す。

【００２４】上記第４〜第７の実施例に示す体圧分散マ
ットレス、上記第１の実施例に示す体圧分散マットレス
と同様の作用及び効果のみならず、各実施例に示すよう
に、種々に組み合わせた孔を形成したため、身体に対す
る押圧力について、その方向がさらに分散し、強弱が種
々に変化するので、作用及び効果がより一層発揮される
ものである。なお、第４〜第７の実施例に示す体圧分散
マットレスは、孔の形成以外の構成については第１の実
施例と変わるところがない。

【００２５】図１０は、孔の形状を示す一例である。孔
（ａ）は四角柱状の孔であり、孔（ｂ）は円柱状の孔で
あり、孔（ｃ）は倒円錐形状の孔であり、孔（ｄ）は円
錐形状の孔であり、孔（ｅ）は中間に突部を有する形状
の孔である。なお、孔の形状はこれらに限られるもので
はない。

【００２６】

【発明の効果】本発明のマットレスのように厚さ方向に
孔を形成すれば、マットレス状の体は柔らかいスポンジ
の柱の上に乗った状態となり、その柱は体重によって空
気孔の方向へ全く自然に倒れるので体圧は空気孔に無理
なく逃される。

【００２７】このように本発明のマットレスは、圧力が
加わる方向に向かって体圧を逃す考え方で成り立ってい
るので、従来のマットレスでは到底得られなかった除圧
効果が発揮される。

【００２８】したがって、本発明に係る体圧分散マット
レスは、体の突起部分が当たる個所が、その突起部分の
形状に沿った形状となり理想的な体圧分散が計れるの
で、患者がどのような体位でマットレス状に臥せていて
も、マットレスからの圧力が集中する部分がなく、自然
な眠りが得られ、床ずれ予防及び治療に効果がある。

【００２９】なお、孔の大きさ・配列・間隔を変化させ
ることで、患者の体重や病状に合わせた床ずれ予防や治
療が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る体圧分散マットレスの斜視図で
ある。

【図２】 人が横たわった状態を示すマットレスの概略
図である。

【図３】 力が作用する方向を示す模式図である。

【図４】 第２の実施例を示す斜視図である。

【図５】 第３の実施例を示す斜視図である。

【図６】 第４の実施例を示す斜視図である。

【図７】 第５の実施例を示す斜視図である。

【図８】 第６の実施例を示す斜視図である。

【図９】 第７の実施例を示す斜視図である。

【図１０】 孔の形状一例を示す斜視図である。

【図１１】 従来のマットレスに人が横たわった状態を
示すマットレスの概略図である。

【図１２】 力が作用する方向を示す模式図である。

【符号の説明】

１０・・・体圧分散マットレス １１・・・マットレスの下面より形成され、かつ、上面
に達しない孔 １２・・・柱 ２０・・・体圧分散マットレス ２１・・・マットレスの上面より形成され、かつ、下面
に達しない孔 ２２・・・柱 ３０・・・体圧分散マットレス ３１・・・マットレスを貫通する孔 ３２・・・柱 ４０・・・体圧分散マットレス ４１ａ・・マットレスの下面より形成され、かつ、上面
に達しない孔 ４１ｂ・・マットレスの上面より形成され、かつ、下面
に達しない孔 ４２・・・柱 ５０・・・体圧分散マットレス ５１ａ・・マットレスの下面より形成され、かつ、上面
に達しない孔 ５１ｂ・・マットレスを貫通する孔 ５２・・・柱 ６０・・・体圧分散マットレス ６１ａ・・マットレスの上面より形成され、かつ、下面
に達しない孔 ６１ｂ・・マットレスを貫通する孔 ６２・・・柱 ７０・・・体圧分散マットレス ７１ａ・・マットレスの下面より形成され、かつ、上面
に達しない孔 ７１ｂ・・マットレスの上面より形成され、かつ、下面
に達しない孔 ７１ｃ・・マットレスを貫通する孔 ７２・・・柱 ａ・・・・四角柱状の孔 ｂ・・・・円柱状の孔 ｃ・・・・倒円錐形状の孔 ｄ・・・・円錐形状の孔 ｅ・・・・中間に突部を有する形状の孔

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】厚さ方向に孔を形成したことを特徴とする
   体圧分散マットレス。
2. 【請求項２】厚さ方向の孔が、マットレスの下面より形
   成され、かつ、上面に達しない孔であることを特徴とす
   る請求項１に記載の体圧分散マットレス。
3. 【請求項３】厚さ方向の孔が、マットレスの上面より形
   成され、かつ、下面に達しない孔であることを特徴とす
   る請求項１に記載の体圧分散マットレス。
4. 【請求項４】厚さ方向の孔が、マットレスを貫通する孔
   であることを特徴とする請求項１に記載の体圧分散マッ
   トレス。
5. 【請求項５】厚さ方向の孔が、下記（１）〜（３）のい
   ずれか２種類以上の孔を組み合わせたものであることを
   特徴とする請求項１に記載の体圧分散マットレス。 （１）マットレスの下面より形成され、かつ、上面に達
   しない孔 （２）マットレスの上面より形成され、かつ、下面に達
   しない孔 （３）マットレスを貫通する孔