JP2001025268A - 積層型圧電アクチュエータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部電極層の間隔を狭められて素子内部での
応力の発生並びに局部的な集中発生を防止し得る積層型
圧電アクチュエータを提供すること。 【解決手段】 このアクチュエータ１０の場合も、従来
通りに圧電セラミック層と内部電極層とを交互に複数積
層して成る積層体７において、両側面から各内部電極層
における内部電極の局部が交互に揃って露呈された部分
を外部電極３で接続しているが、ここでは各内部電極層
を第１の薄板状内部電極パターン（積層体７の両側面の
一方側に薄板状内部電極１ａの局部を露呈させ、且つそ
の局部を除く薄板状内部電極１ａの周縁を非電極形成部
６ａとして成る略正方形のもの）と、第２の薄板状内部
電極パターン（薄板状内部電極１ｂの周縁の局部であっ
て、且つ積層体７の両側面の一方側を非電極形成部６ｂ
として成る略正方形のもの）とをそれぞれの局部が揃う
ように積層して成るものとしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として圧電セラ
ミック層と内部電極層とを複数積層して成る積層体の側
面に露呈された内部電極層における内部電極の局部を外
部電極で接続して成る積層型圧電アクチュエータに関
し、詳しくは内部電極の間隔を狭めて内部応力の部分的
な発生を防止し得る構造の積層型圧電アクチュエータに
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の積層型圧電アクチュエー
タとしては、例えば図４に示されるような全面電極構造
のものが挙げられる。但し、図４（ａ）は積層型圧電ア
クチュエータ４０の完成品の側面図に関するもの，同図
（ｂ）は同図（ａ）のＡ−Ａ線方向からの積層体３７を
断面にした平面図に関するものである。

【０００３】この積層型圧電アクチュエータ４０の場
合、圧電セラミック層と全面を薄板状内部電極３１とし
た内部電極層とを一方向で定められる積層方向に交互に
複数積層して圧電セラミックス３２を形成して成ると共
に、積層方向と垂直な断面形状が略正方形の積層体３７
において、一つの対向する両側面から各内部電極層にお
ける薄板状内部電極３１の局部が積層方向に沿って露呈
されており、積層体３７の両側面の一方側と他方側とで
各薄板状内部電極３１の局部の露呈された箇所をそれぞ
れ交互に１つおきに絶縁体３８で交互に覆ってから残さ
れた積層体３７の両側面に露呈された薄板状内部電極３
１の局部を積層方向に沿ってそれぞれ２つの外部電極３
３を接続した後、各外部電極３３にそれぞれ電圧を印加
するためのリード線３４を接続して構成されている。

【０００４】この積層型圧電アクチュエータ４０におい
て、絶縁体３８を形成する場合、予め薄板状内部電極３
１上に電気的に形成するか、或いは積層体３７の両側面
で印刷法により形成するのが一般的であるが、各内部電
極層の間隔が６０μｍよりも短くなるとその形成が困難
になってしまう。従って、この積層型圧電アクチュエー
タ４０の場合、各内部電極層の間隔を或る程度までしか
狭められないため、全体的な構造として最近要求される
低背化や小型化の具現には限界がある。

【０００５】図５は、従来の他例に係る積層型圧電アク
チュエータ５０の基本構成を示したもので、同図（ａ）
は内部電極層に用いられる第１の内部電極パターンの平
面図に関するもの，同図（ｂ）は内部電極層に用いられ
る第２の内部電極パターンの平面図に関するもの，同図
（ｃ）は同図（ａ）に示す第１の内部電極パターン及び
同図（ｂ）に示す第２の内部電極パターンを積層した内
部電極層を含む完成品全体の上面方向からの平面図に関
するもの，同図（ｄ）は完成品全体の側面図に関するも
のである。

【０００６】この積層型圧電アクチュエータ５０の場
合、圧電セラミック層と内部電極層とを一方向で定めら
れる積層方向に交互に複数積層して圧電セラミックス４
２を形成して成ると共に、積層方向と垂直な断面形状が
略正方形の積層体４７において、一つの対向する両側面
から各内部電極層における内部電極の局部が積層方向に
沿って交互に揃って露呈された部分を２つの外部電極４
３で積層方向に沿ってそれぞれ接続した後、各外部電極
４３にそれぞれ電圧を印加するためのリード線４４を接
続して構成されている。但し、この積層型圧電アクチュ
エータ５０では、各内部電極層を図５（ａ）に示される
ような第１の薄板状内部電極パターン、即ち、積層体４
７の一つの対向する両側面の一方側に薄板状内部電極４
１ａの局部を露呈させ、且つ局部を除く薄板状内部電極
４１ａの周縁を非電極形成部４６ａとして成る略正方形
のものと、図５（ｂ）に示されるような第２の薄板状内
部電極パターン、即ち、積層体４７の一つの対向する両
側面の他方側に薄板状内部電極４１ｂの局部を露呈さ
せ、且つ局部を除く薄板状内部電極４１ｂの周縁を非電
極形成部４６ｂとして成る略正方形のものとをそれぞれ
の局部が対向する配置関係となるように第１の薄板状内
部電極パターン上に第２の薄板状内部電極パターンを積
層して成るものとしている。

【０００７】因みに、こうした構造の各内部電極層で
は、図５（ｃ）に示されるように、残される非導電性部
分が非電極形成部４６ｂにおける積層体４７の外部電極
４３を形成しない側のもう一つの対向する両側面側に位
置される局所的な非電極形成部４６ｃとなる。

【０００８】この積層型圧電アクチュエータ５０の場
合、各内部電極層の間隔を狭めることが容易であるた
め、上述した積層型圧電アクチュエータ４０よりも低背
化や小型化を充分に具現できるものとなっている。

【０００９】因みに、ここで説明した積層型圧電アクチ
ュエータ５０の各内部電極層を薄板状内部電極パターン
による積層構造とする技術に関連するその他の周知技術
としては、例えば特開平１１−１３８８００号公報に開
示された積層型圧電素子及びインクジェットヘッドが挙
げられる。

【００１０】ここでは、薄板状内部電極パターンとして
端面電極（外部電極）を形成しない対向する両端面に別
々に内部電極を露呈可能な対構造のものを積層し、端面
電極を形成しない対向する両端面に対して相対する極性
の内部電極がそれぞれ別々に露呈される構造としたり、
或いは端面電極を形成しない対向する両端面に積層方向
で重なり合わないように内部電極を露呈可能な対構造の
ものを積層し、端面電極を形成しない対向する両端面に
対して相対する極性の内部電極が同時に露呈される構造
（更には内部電極を非対称な形状とする構造）としてい
る。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】上述した図５（ａ）〜
（ｄ）で説明した積層型圧電アクチュエータの場合、各
内部電極層の間隔を狭めることが容易で低背化や小型化
を簡単に具現できる有利な構造となっているが、内部電
極で囲まれた部分は電界に応じて変位するものの、その
他の内部電極で囲まれていない部分が変位しないため、
内部電極の周辺部分に応力が集中して素子の変位を拘束
してしまうばかりでなく、応力が集中した部分に破損を
生じ易いという欠点がある。

【００１２】又、特開平１１−１３８８００号公報に開
示された積層型圧電素子における内部電極層の積層構造
の場合、端面電極（外部電極）が左右対称か、或いは左
右対称に近い形で形成されているため、分極後の極性判
別が困難であるという問題がある。

【００１３】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、内部電極層の間隔
を狭められて素子内部での応力の発生並びに局部的な集
中発生を防止し得ると共に、分極後の極性判別が容易な
構造の積層型圧電アクチュエータを提供することにあ
る。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、圧電セ
ラミック層と内部電極層とを一方向で定められる積層方
向に交互に複数積層して成る積層体と、積層体の一つの
対向する両側面から内部電極層における内部電極の局部
が積層方向に沿って交互に揃って露呈された部分を該積
層方向に沿ってそれぞれ接続して成る２つの外部電極と
を備えた積層型圧電アクチュエータにおいて、内部電極
層は、積層体の一つの対向する両側面の一方側に薄板状
内部電極の局部を露呈させ、且つ該局部を除く該薄板状
内部電極の周縁を非電極形成部として成る所定の形状の
第１の薄板状内部電極パターンと、薄板状内部電極の周
縁の局部であって、且つ積層体の一つの対向する両側面
の一方側を非電極形成部として成る所定の形状の第２の
薄板状内部電極パターンとをそれぞれの該局部が揃う配
置関係となるように該第１の薄板状内部電極パターン上
に該第２の薄板状内部電極パターンを積層して成る積層
型圧電アクチュエータが得られる。

【００１５】又、本発明によれば、上記積層型圧電アク
チュエータにおいて、積層体は、積層方向に垂直な断面
形状がｎ角形（ｎは３以上の整数）であり、第１の内部
電極パターンは所定の形状をｎ角形として薄板状内部電
極をｎ−１端面に露呈させており、第２の内部電極パタ
ーンは所定の形状をｎ角形としてｎ−１端面を非電極形
成部としている積層型圧電アクチュエータが得られる。

【００１６】更に、本発明によれば、上記何れかの積層
型圧電アクチュエータにおいて、第１の内部電極パター
ン及び第２の内部電極パターンにおける非電極形成部に
は、薄板状内部電極の周縁側から所定の大きさ及び間隔
で複数の電極突起パターンを該薄板状内部電極の周縁に
沿うように線状に形成した積層型圧電アクチュエータが
得られる。

【００１７】加えて、本発明によれば、上記積層型圧電
アクチュエータにおいて、複数の電極突起パターンの積
層方向における大きさは、積層体の該積層方向に垂直な
断面上における非電極形成部の薄板状内部電極に接する
内縁から該積層体の側面に露呈する外縁までの距離で示
される幅寸法の１／２以下である積層型圧電アクチュエ
ータが得られる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下に幾つかの実施例を挙げ、本
発明の積層型圧電アクチュエータについて、図面を参照
して詳細に説明する。

【００１９】図１は、本発明の一実施例に係る積層型圧
電アクチュエータ１０の基本構成を示したもので、同図
（ａ）は内部電極層に用いられる第１の内部電極パター
ンの平面図に関するもの，同図（ｂ）は内部電極層に用
いられる第２の内部電極パターンの平面図に関するも
の，同図（ｃ）は同図（ａ）に示す第１の内部電極パタ
ーン及び同図（ｂ）に示す第２の内部電極パターンを積
層した内部電極層を含む完成品全体の上面方向からの平
面図に関するもの，同図（ｄ）は完成品全体の側面図に
関するものである。

【００２０】この積層型圧電アクチュエータ１０の場
合、圧電セラミック層と内部電極層とを一方向で定めら
れる積層方向に交互に複数積層して圧電セラミックス２
を形成して成ると共に、積層方向と垂直な断面形状が略
正方形の積層体７において、一つの対向する両側面から
各内部電極層における内部電極の局部が積層方向に沿っ
て交互に揃って露呈された部分を２つの外部電極３で積
層方向に沿ってそれぞれ接続した後、各外部電極３にそ
れぞれ電圧を印加するためのリード線４を接続して構成
されている点は図５（ａ）〜（ｄ）で説明した従来例の
構造と同じであるが、ここでは各内部電極層を図１
（ａ）に示されるような第１の薄板状内部電極パター
ン、即ち、積層体７の一つの対向する両側面の一方側に
薄板状内部電極１ａの局部を露呈させ、且つその局部を
除く薄板状内部電極１ａの周縁を非電極形成部６ａとし
て成る略正方形のものと、図１（ｂ）に示されるような
第２の薄板状内部電極パターン，即ち、薄板状内部電極
１ｂの周縁の局部であって、且つ積層体７の一つの対向
する両側面の一方側を非電極形成部６ｂとして成る略正
方形のものとをそれぞれの局部が揃う配置関係となるよ
うに第１の薄板状内部電極パターン上に第２の薄板状内
部電極パターンを積層して成るものとしている。

【００２１】因みに、こうした構造の各内部電極層で
は、図１（ｃ）に示されるように、残される非導電性部
分が非電極形成部６ｂにおける積層体７の外部電極３を
形成しない側のもう一つの対向する両側面側の隅部に位
置される非電極形成部６ｃとなる。

【００２２】この積層型圧電アクチュエータ１０の場
合、図５（ａ）〜（ｄ）で説明した従来構造のものと同
様に各内部電極層の間隔を狭められて低背化や小型化を
充分に具現できる他、各内部電極層における内部電極を
ほぼ全面に近い状態で形成することができ、しかも駆動
時に積層体７では圧電セラミック層に接触する各内部電
極層の薄板状内部電極１ａ，１ｂの形状が異なったもの
となって圧電セラミック層がほぼ全面に近い歪みを発生
するため、素子内部での応力の発生を緩和できると共
に、その局部的な集中発生を防止し得るものとなる。
又、各内部電極層における薄板状内部電極１ａ，１ｂが
積層体７において同一側面で相対する極性として露呈し
ない構造であるため、素子側面上でのマイグレーション
等による絶縁崩壊も防止でき、結果として分極や活性領
域のチェックが容易な上に分極後の極性判別が容易な構
造となる。

【００２３】このような圧電アクチュエータ１０を作製
する場合、先ずセラミック材料としてチタン酸・ジルコ
ン酸・鉛系圧電セラミックを用いると共に、電極材料と
して銀−パラジウム合金を用い、厚膜積層法により積層
方向と垂直な断面寸法を縦５ｍｍ×横５ｍｍとし、積層
方向の寸法を長さ１０ｍｍとする積層体７を試作する。
尚、各内部電極層における第１の薄板状内部電極パター
ンと第２の薄板状内部電極パターンとの形成時には、図
１（ａ），図１（ｂ）に示されるような形状で薄板状内
部電極１ａ，１ｂの周縁に幅０．５ｍｍ×長さ５ｍｍで
非電極形成部６ａ，６ｂを形成し、内部電極層を５０μ
ｍ間隔として積層体７の一つの対向する両側面の１側面
部に１層おきに薄板状内部電極１ａ，１ｂの露呈部分が
形成されないように積層する。

【００２４】次に、積層体７の一つの対向する両側面で
１層おきに露呈した薄板状内部電極１ａ，１ｂの局部を
それぞれ外部電極３で接続して対向型内部電極を形成し
た後、これらの外部電極上にそれぞれリード線４を取り
付ける。こうした手順で積層型圧電アクチュエータ１９
を作製する。

【００２５】図２は、本発明の他の実施例に係る積層型
圧電アクチュエータ２０の基本構成を示したもので、同
図（ａ）は内部電極層に用いられる第１の内部電極パタ
ーンの平面図に関するもの，同図（ｂ）は内部電極層に
用いられる第２の内部電極パターンの平面図に関するも
の，同図（ｃ）は同図（ａ）に示す第１の内部電極パタ
ーン及び同図（ｂ）に示す第２の内部電極パターンを積
層した内部電極層を含む完成品全体の上面方向からの平
面図に関するもの，同図（ｄ）は完成品全体の側面図に
関するものである。

【００２６】この積層型圧電アクチュエータ２０の場
合、圧電セラミック層と内部電極層とを一方向で定めら
れる積層方向に交互に複数積層して圧電セラミックス１
２を形成して成ると共に、積層方向と垂直な断面形状が
略正六角形の積層体１７において、一つの対向する両側
面から各内部電極層における内部電極の局部が積層方向
に沿って交互に揃って露呈された部分を２つの外部電極
１３で積層方向に沿ってそれぞれ接続した後、各外部電
極１３にそれぞれ電圧を印加するためのリード線１４を
接続して構成されている他、ここでは各内部電極層を図
２（ａ）に示されるような第１の薄板状内部電極パター
ン，即ち、積層体１７の一つの対向する両側面の一方側
に薄板状内部電極１１ａの局部を露呈させ、且つその局
部を除く薄板状内部電極１１ａの周縁を非電極形成部１
６ａとして成る略正方形のものと、図２（ｂ）に示され
るような第２の薄板状内部電極パターン、即ち、薄板状
内部電極１１ｂの周縁の局部であって、且つ積層体１７
の一つの対向する両側面の一方側を非電極形成部１６ｂ
として成る略正方形のものとをそれぞれの局部が揃う配
置関係となるように第１の薄板状内部電極パターン上に
第２の薄板状内部電極パターンを積層して成るものとし
ている。

【００２７】因みに、こうした構造の各内部電極層にお
いても、図２（ｃ）に示されるように、残される非導電
性部分が非電極形成部１６ｂにおける積層体１７の外部
電極１３を形成しない側の別々な側面側の隅部に位置さ
れる非電極形成部１６ｃとなる。

【００２８】この積層型圧電アクチュエータ２０の場合
も、一実施例の場合と同様に各内部電極層の間隔を狭め
られて素子内部での応力の発生並びに局部的な集中発生
を防止し得ると共に、分極や活性領域のチェックが容易
な上に分極後の極性判別が容易な構造となる。

【００２９】ところで、上述した各実施例では、四角柱
状の積層体７を基体とする積層型圧電アクチュエータ１
０と六角柱状の積層体１７を基体とする積層型圧電アク
チュエータ２０とを説明したが、こうした積層体（及び
その各内部電極層における第１の薄板状内部電極パター
ン及び第２の薄板状内部電極パターン）の形状は多角柱
（多角形），半円柱（半円形），楕円柱（楕円形）等の
任意な形状にすることが可能である。例えば積層体を多
角柱とし、第１の薄板状内部電極パターン及び第２の薄
板状内部電極パターンの形状を多角形とする場合には、
積層体の積層方向に垂直な断面形状がｎ角形（ｎは３以
上の整数）となるため、第１の内部電極パターンの形状
をｎ角形として薄板状内部電極をｎ−１端面に露呈さ
せ、且つ他の端面を非電極形成部とするようにし、第２
の内部電極パターンの形状をｎ角形としてｎ−１端面を
非電極形成部とし、且つ他の端面から薄板状内部電極を
露呈させるようにすれば良い。尚、一般に高品質な積層
圧電アクチュエータでは、円柱状金属ケース内に封入し
て使用することが多く、このように積層体を多角柱と
し、且つ積層体における各内部電極層を成す第１の内部
電極パターン及び第２の内部電極パターンを多角形とす
る形状の積層圧電アクチュエータを構成して円柱状金属
ケース内に封入すれば、円柱状金属ケース内の積層圧電
アクチュエータの占有空間を有効に活用でき、単位空間
当たりの変位や発生力等の効率を向上させることができ
る。

【００３０】図３は、本発明の別の実施例に係る積層型
圧電アクチュエータ３０の基本構成を示したもので、同
図（ａ）は図１（ａ）に示す第１の内部電極パターンを
変形したものの平面図に関するもの，同図（ｂ）は図１
（ｂ）に示す第２の内部電極パターンを変形したものの
平面図に関するもの，同図（ｃ）は同図（ａ）に示す第
１の内部電極パターン及び同図（ｂ）に示す第２の内部
電極パターンを積層した内部電極層を含む完成品全体の
上面方向からの平面図に関するものである。

【００３１】この積層型圧電アクチュエータ３０では、
一実施例の積層型圧電アクチュエータ１０の各内部電極
層を成す第１の内部電極パターン及び第２の内部電極パ
ターンを変形し、それらの非電極形成部６ａ，６ｂにそ
れぞれ薄板状内部電極１ａ，１ｂの周縁側から所定の大
きさ及び間隔で複数の電極突起パターン５ａ，５ｂを薄
板状内部電極１ａ，１ｂの周縁に沿うように線状に形成
して積層体２７を構成している。但し、これらの電極突
起パターン５ａ，５ｂの積層方向における大きさは、積
層体２７の積層方向に垂直な断面上における非電極形成
部６ａ，６ｂの薄板状内部電極１ａ，１ｂに接する内縁
から積層体２７の側面に露呈する外縁までの距離で示さ
れる幅寸法（一実施例の場合には幅０．５ｍｍを示す）
の１／２以下としている。例えば電極突起パターン５
ａ，５ｂを非電極形成部６ａ，６ｂに薄板状内部電極１
ａ，１ｂの周縁側から０．３ｍｍ間隔（ピッチ）で幅
０．１ｍｍ，高さ０．２５ｍｍの大きさで形成する場合
を例示できる。

【００３２】この積層型圧電アクチュエータ３０の場
合、図５（ａ）〜（ｄ）で説明した従来の積層型圧電ア
クチュエータ５０や一実施例で説明した積層型圧電アク
チュエータ１０，並びに他の実施例で説明した積層型圧
電アクチュエータ２０と比べて若干背高になるが、ほぼ
同様に各内部電極層の間隔を狭められる以外、ここでは
各内部電極層を成す第１の内部電極パターンと第２の内
部電極パターンとにそれぞれ電極突起パターン５ａ，５
ｂを持たせるようにして各内部電極層の構造を一層全面
電極構造に近付けているので、駆動時に素子内部での応
力の発生並びに局部的な集中発生を一層防止し得ると共
に、分極や活性領域のチェックが容易な上に分極後の極
性判別が容易な構造となる。

【００３３】因みに、このような各内部電極層を成す第
１の内部電極パターンと第２の内部電極パターンとにそ
れぞれ電極突起パターン５ａ，５ｂを持たせる構成は図
２（ａ）〜（ｄ）で説明した積層型圧電アクチュエータ
２０や積層体並びに第１の薄板状内部電極パターン及び
第２の薄板状内部電極パターンの形状を任意にした場合
のその他の積層型圧電アクチュエータを対象にしても同
様に適用でき、何れの場合にも各内部電極層の間隔を６
０μｍ以下にできる。

【００３４】このようにして得られた各実施例に係る積
層型圧電アクチュエータ１０，２０，３０と、図５で説
明した全面電極構造の積層型圧電アクチュエータ５０と
をそれぞれ試料数１０個として、４０℃・９０％Ｒ．Ｈ
の環境下で直流電圧ＤＣ１５０Ｖを連続印加し、絶縁破
壊するまでの時間を計測して平均故障時間ＭＴＴＦ（Ｈ
ｒ）を算出したところ、積層型圧電アクチュエータ１
０，２０では５９２、積層型圧電アクチュエータ３０で
は７２４、積層型圧電アクチュエータ５０では８７とな
った。これにより、各実施例に係る積層型圧電アクチュ
エータ１０，２０，３０は、駆動時の絶縁破壊の耐久性
に優れることが判った。

【００３５】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明の積層型
圧電アクチュエータによれば、圧電セラミック層と内部
電極層とを積層方向に交互に複数積層して成る積層体に
おける各内部電極層を成す第１の内部電極パターンと第
２の内部電極パターンとにおける薄板状内部電極及び非
電極形成部の配置パターンを工夫し、薄板状内部電極が
積層体の同一側面で相対する極性として露呈しない構造
とすると共に、非電極形成部に薄板状内部電極の周縁側
からそれに沿うように複数の電極突起パターンを線状に
形成して各内部電極層の構造を一層全面電極構造に近付
けているため、駆動時に適確に素子内部での応力の発生
並びに局部的な集中発生を防止できると共に、分極や活
性領域のチェックが容易な上に分極後の極性判別が容易
な構造とすることが可能になり、結果として駆動時の絶
縁破壊の耐久性を向上できるようになる。又、本発明の
積層型圧電アクチュエータでは、積層体を多角柱とし、
且つ積層体において各内部電極層を成す第１の内部電極
パターン及び第２の内部電極パターンを多角形の形状に
することにより、円柱状金属ケースへの封入に際して円
柱状金属ケース内における積層圧電アクチュエータの占
有空間を有効に活用できるようにしているため、単位空
間当たりの変位や発生力等の効率を向上させることが可
能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る積層型圧電アクチュエ
ータの基本構成を示したもので、（ａ）は内部電極層に
用いられる第１の内部電極パターンの平面図に関するも
の，（ｂ）は内部電極層に用いられる第２の内部電極パ
ターンの平面図に関するもの，（ｃ）は（ａ）に示す第
１の内部電極パターン及び（ｂ）に示す第２の内部電極
パターンを積層した内部電極層を含む完成品全体の上面
方向からの平面図に関するもの，（ｄ）は完成品全体の
側面図に関するものである。

【図２】本発明の他の実施例に係る積層型圧電アクチュ
エータの基本構成を示したもので、（ａ）は内部電極層
に用いられる第１の内部電極パターンの平面図に関する
もの，（ｂ）は内部電極層に用いられる第２の内部電極
パターンの平面図に関するもの，（ｃ）は（ａ）に示す
第１の内部電極パターン及び（ｂ）に示す第２の内部電
極パターンを積層した内部電極層を含む完成品全体の上
面方向からの平面図に関するもの，（ｄ）は完成品全体
の側面図に関するものである。

【図３】本発明の別の実施例に係る積層型圧電アクチュ
エータの基本構成を示したもので、（ａ）は図１（ａ）
に示す第１の内部電極パターンを変形したものの平面図
に関するもの，（ｂ）は図１（ｂ）に示す第２の内部電
極パターンを変形したものの平面図に関するもの，
（ｃ）は（ａ）に示す第１の内部電極パターン及び
（ｂ）に示す第２の内部電極パターンを積層した内部電
極層を含む完成品全体の上面方向からの平面図に関する
ものである。

【図４】従来の一例に係る積層型圧電アクチュエータの
基本構成を示したもので、（ａ）は完成品の側面図に関
するもの，（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ線方向からの積層体
を断面にした平面図に関するものである。

【図５】従来の他例に係る積層型圧電アクチュエータの
基本構成を示したもので、（ａ）は内部電極層に用いら
れる第１の内部電極パターンの平面図に関するもの，
（ｂ）は内部電極層に用いられる第２の内部電極パター
ンの平面図に関するもの，（ｃ）は（ａ）に示す第１の
内部電極パターン及び（ｂ）に示す第２の内部電極パタ
ーンを積層した内部電極層を含む完成品全体の上面方向
からの平面図に関するもの，（ｄ）は完成品全体の側面
図に関するものである。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ，１１ａ，１１ｂ，３１，４１ａ，４１ｂ
薄板状内部電極 ２，１２，３２，４２ 圧電セラミックス ３，１３，３３，４３ 外部電極 ４，１４，３４，４４ リード線 ５ａ，５ｂ 電極突起パターン ６ａ，６ｂ，６ｃ，１６ａ，１６ｂ，１６ｃ，４６ａ，
４６ｂ，４６ｃ 非電極形成部 ７，１７，２７，３７，４７ 積層体 １０，２０，３０，４０，５０ 積層型圧電アクチュエ
ータ ３８ 絶縁体

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電セラミック層と内部電極層とを一方
   向で定められる積層方向に交互に複数積層して成る積層
   体と、前記積層体の一つの対向する両側面から前記内部
   電極層における内部電極の局部が前記積層方向に沿って
   交互に揃って露呈された部分を該積層方向に沿ってそれ
   ぞれ接続して成る２つの外部電極とを備えた積層型圧電
   アクチュエータにおいて、前記内部電極層は、前記積層
   体の一つの対向する両側面の一方側に薄板状内部電極の
   局部を露呈させ、且つ該局部を除く該薄板状内部電極の
   周縁を非電極形成部として成る所定の形状の第１の薄板
   状内部電極パターンと、薄板状内部電極の周縁の局部で
   あって、且つ前記積層体の一つの対向する両側面の一方
   側を非電極形成部として成る所定の形状の第２の薄板状
   内部電極パターンとをそれぞれの該局部が揃う配置関係
   となるように該第１の薄板状内部電極パターン上に該第
   ２の薄板状内部電極パターンを積層して成ることを特徴
   とする積層型圧電アクチュエータ。
2. 【請求項２】 請求項１記載の積層型圧電アクチュエー
   タにおいて、前記積層体は、前記積層方向に垂直な断面
   形状がｎ角形（ｎは３以上の整数）であり、前記第１の
   内部電極パターンは前記所定の形状を前記ｎ角形として
   前記薄板状内部電極をｎ−１端面に露呈させており、前
   記第２の内部電極パターンは前記所定の形状を前記ｎ角
   形としてｎ−１端面を前記非電極形成部としていること
   を特徴とする積層型圧電アクチュエータ。
3. 【請求項３】 請求項１又は２記載の積層型圧電アクチ
   ュエータにおいて、前記第１の内部電極パターン及び前
   記第２の内部電極パターンにおける前記非電極形成部に
   は、前記薄板状内部電極の周縁側から所定の大きさ及び
   間隔で複数の電極突起パターンを該薄板状内部電極の周
   縁に沿うように線状に形成したことを特徴とする積層型
   圧電アクチュエータ。
4. 【請求項４】 請求項３記載の積層型圧電アクチュエー
   タにおいて、前記複数の電極突起パターンの前記積層方
   向における大きさは、前記積層体の該積層方向に垂直な
   断面上における前記非電極形成部の前記薄板状内部電極
   に接する内縁から該積層体の側面に露呈する外縁までの
   距離で示される幅寸法の１／２以下であることを特徴と
   する積層型圧電アクチュエータ。