JP2001018171A - 機械部品の加工方法 - Google Patents

機械部品の加工方法

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JP2001018171A JP19289699A JP19289699A JP2001018171A JP 2001018171 A JP2001018171 A JP 2001018171A JP 19289699 A JP19289699 A JP 19289699A JP 19289699 A JP19289699 A JP 19289699A JP 2001018171 A JP2001018171 A JP 2001018171A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉の環状部材をワークとした場合であって
も極めて優れた平面精度及び真円度を有する機械部品を
得ることができるようにした。 【解決手段】 マグネットチャック6に対しワーク4を
非拘束状態とし、非拘束時加工面データu(θ)を得る
(図9(a))。次に、ワーク4をマグネットチャック
6で拘束させ、拘束時加工面データv(θ)を得る(図
9(b))。次に、非拘束時加工面データu(θ)と拘
束時加工面データv(θ)とに基づいて、砥石5の切込
送り量Z(θ)を制御し、ワーク4の端面を研削加工す
る(図9(c))。次に、ワーク4の拘束状態を解除す
ると、周縁部には反りが生ずる一方、上面は良好な平面
精度を有するものとなり、マグネットチャック6の面上
からのワーク4の高さはZ0となる(図9(d))。そ
して、この後、ワーク4を上下反転させ、他方の端面を
研削加工する(図9(e))。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機械部品の加工方法
に関し、より詳しくは環状部材等のリング状被加工物の
表面(平面部及び円周面)を研削加工する機械部品の加
工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、転がり軸受の軌道輪(内輪及
び外輪)等の環状部材においては、熱処理が施された被
加工物(以下、「ワーク」という)をマグネットチャッ
クの電磁力により吸着保持して該ワークを前記マグネッ
トチャックで拘束し、該拘束されたワークの表面を砥石
で研削加工することにより、所望の寸法精度に仕上げて
いる。
【0003】すなわち、前記軌道輪等の環状部材は肉厚
が薄いため、前工程である熱処理工程で熱の影響を受
け、ワークに歪が生じる。したがって、該ワークの平面
部(以下、「端面」という)や円周面に研削加工を施す
ことにより、前記歪を除去して所望の良好な平面精度や
真円度を得ている。
【0004】図27は、ワーク端面を研削加工する従来
の加工方法の一例を示した図である(以下、「第1の従
来技術」という)。
【0005】すなわち、この図27に示すように、ワー
ク端面を研削する場合は、薄くて変形し易い吸い取り
紙、或いはゴムや薄肉リング等のスペーサ部材101を
介してワーク102をマグネットチャック103に拘束
させ、該マグネットチャック103を矢印a方向に回転
させる一方、砥石104を矢印b方向に回転させつつ矢
印c方向に送り込むことによりワーク102の端面10
5を研削加工している。すなわち、軌道輪等の環状部材
としてのワーク102は上述したように肉厚が薄いた
め、該ワーク102をマグネットチャック103に拘束
させた場合、該マグネットチャック103の吸着力によ
って前記ワーク102は変形し易い。このため上記スペ
ーサ部材101をワーク102とマグネットチャック1
03との間に挿入してワーク102に対するマグネット
チャック103の吸着力を弱め、かつ、スペーサ部材1
01の弾性変形を利用してワーク102の変形を回避せ
んとしている。
【0006】また、前記第1の従来技術では、砥石10
4をドレッサ等で「切味」を常に良好な状態に維持する
ことにより小さな研削力Fでもって所望の研削加工を可
能とし、これにより矢印c方向への研削力Fに起因する
ワーク102の変形を極力抑制することも行なわれてい
る。
【0007】図28は、ワーク円周面を研削加工する従
来の加工方法の一例を示した図である(以下、「第2の
従来技術」という)。
【0008】すなわち、該第2の従来技術では、図28
(a)(b)に示すように、フロントシュー106とリ
アシュー107でもってワーク102の外周面108を
支持すると共に、マグネットチャック108により前記
ワーク102の一方の側面109を吸着させてワーク1
02をマグネットチャック108に拘束し、マグネット
チャック108を矢印d方向に回転させる一方で、砥石
110を矢印e方向に回転させながら矢印f方向に送り
込み、これにより矢印g方向に回転しているワーク10
2の外周面108を研削加工している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1の従来技術(図27)では、ワーク102の端面10
5を研削加工する場合、スペーサ部材101によりマグ
ネットチャック103の吸着力を弱め、かつ、スペーサ
部材101を弾性変形させることにより、端面105に
おけるワーク102の変形を或る程度抑制することがで
きるものの、斯かる変形の発生を完全には解消すること
ができず、したがって、斯かる状態で前記端面105を
砥石104で研削した場合、ワーク102がマグネット
チャック103に吸着されている状態では良好な平面精
度を得ることができても、マグネットチャック103に
よる吸着を解除すると該吸着に起因した変形量がワーク
の変形量として残存し、このため所望の優れた平面精度
を有する機械部品を得ることは困難であるという問題点
があった。
【0010】また、上記第2の従来技術(図28)で
は、砥石110の矢印f方向への研削力やフロントシュ
ー106及びリアシュー107とワーク102との間で
発生する摩擦力等によって弾性変形が生じ易く、このた
め高精度な真円度を有する機械部品を得ることができな
いという問題点があった。
【0011】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであって、薄肉の環状部材をワークとした場合であ
っても、極めて優れた平面精度及び真円度を有する機械
部品を得ることができる機械部品の加工方法を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る機械部品の加工方法は、環状に形成され
た被加工物を拘束部材で拘束すると共に、前記拘束部材
で拘束された前記被加工物の加工面を砥石で研削加工す
る機械部品の加工方法において、前記被加工物を前記拘
束部材に対し非拘束とした状態で、前記加工面の寸法計
測を行って非拘束時加工面データを取得し、さらに前記
被加工物を前記拘束部材に拘束した状態で、前記加工面
の寸法計測を行って拘束時加工面データを取得し、前記
拘束時加工面データと前記非拘束時加工面データとに基
づいて前記砥石の前記被加工物方向への送り量又は被加
工物の前記砥石方向への送り量の少なくとも一方の送り
量を制御しながら前記加工面に研削加工を施すことを特
徴としている。
【0013】上記機械部品の加工方法によれば、ワーク
の拘束部材に対する非拘束状態及び拘束状態での加工面
データが非拘束時加工面データ及び拘束時加工面データ
として夫々取得され、該非拘束時加工面データ及び拘束
時加工面データに基づいて砥石又はワークの少なくとも
一方の送り量が制御されるので、拘束部材に起因するワ
ークの変化量を考慮した研削加工を行うことができ、し
たがって、研削加工後、拘束状態が解除された時に精度
(主に平面度及び/又は真円度)の良好な機械部品を得
ることが可能となり、特に、変形し易い肉厚の薄いワー
クを研削加工した場合であっても、高精度に仕上げされ
た機械部品を得ることができる。
【0014】例えば、ワークの端面を加工面として研削
する場合は、ワークの拘束部材からの高さ寸法を非拘束
状態と拘束状態とでワークの全周に亙って計測して非拘
束時加工面データ及び拘束時加工面データを取得し、該
非拘束時加工面データ及び拘束時加工面データに基づい
て砥石又はワークの送り量を制御しながらワークに研削
加工を施すことにより、ワーク端面に所謂「反り」が生
じている場合であっても加工後には良好な平面精度を有
する機械部品を得ることができる。
【0015】すなわち、本発明は、上記加工方法におい
て、前記加工面が端面である場合は、ワークの周方向の
高さ寸法に基づいて前記非拘束時加工面データ及び前記
拘束時加工面データを取得することを特徴とする。
【0016】また、前記非拘束状態でワークが傾斜して
いても拘束状態でワークは傾斜しなくなるため、斯かる
傾斜成分を計測された加工面寸法から除去するのが好ま
しい。
【0017】そこで、本発明は、上記非拘束時加工面デ
ータは、計測された前記加工面寸法から傾斜成分を除去
することを特徴としている。
【0018】また、ワークの加工面が内径面や外径面等
の円周面である場合は、非拘束状態及び拘束状態でのワ
ークの半径寸法を計測して非拘束時加工面データ及び拘
束時加工面データを取得し、該非拘束時加工面データ及
び拘束時加工面データに基づいて砥石又はワークの送り
量を制御することにより、拘束部材の影響を受けること
なく優れた真円度を有する機械部品を得ることができ
る。
【0019】すなわち、本発明は、上記加工方法におい
て、前記加工面が円周面である場合は、ワークの半径寸
法に基づいて前記非拘束時加工面データ及び前記拘束時
加工面データを取得することを特徴とする。
【0020】また、前記非拘束状態でワークが研削加工
装置の軸芯に対して偏心している場合は、加工精度の悪
化を招く虞があり、したがって、斯かる偏心成分を計測
された加工面寸法から除去するのが好ましい。
【0021】また、上記加工方法に使用される研削加工
装置は、ワークの端面を吸着保持して拘束する拘束部材
と、該拘束部材を第1の所定方向に往復運動させる第1
の往復運動機構と、前記ワークの表面に加工を施す砥石
と、該砥石を回転可能に支持する砥石支持部と、該砥石
支持部を第2の所定方向に往復運動させる第2の往復運
動機構と、前記拘束部材を回転駆動させる回転駆動機構
とを備えた研削加工装置において、前記ワークの加工対
象となる加工面データを前記ワークの前記拘束部材への
拘束前後で計測する計測手段と、該計測手段の計測結果
に基づいて前記砥石又はワークの少なくとも一方の送り
量を制御する制御手段とを備えていることを特徴として
いる。
【0022】また、前記計測手段は、前記ワークの前記
拘束部材に対する非拘束時及び拘束時における加工面寸
法を夫々測定する測定手段と、前記測定手段における測
定位置を角度位置データとして計測する角度データ計測
手段とを有し、前記制御手段は、前記測定手段の測定結
果及び前記角度データ計測手段の計測結果に基づいて加
工面データを算出する算出手段と、該算出手段の算出結
果に基づいて前記砥石又はワークの少なくとも一方の送
り量を制御する送り量制御手段とを備えていることを特
徴とするのが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳説する。
【0024】図1は本発明の第1の実施の形態に係る機
械部品の加工方法に使用される研削加工装置(縦軸型研
削加工装置)の平面図、図2は図1の正面図であって、
本第1の実施の形態では環状に形成されたワークの端面
を研削加工する場合について説明する。
【0025】図1及び図2において、テーブル1は基台
2に載設されると共に、矢印Xで示す水平方向に往復運
動可能とされ、該テーブル1はボールねじ(不図示)及
びテーブル駆動用サーボモータ(以下「テーブル駆動用
モータ」という)3により、ワーク4の載置位置である
ローディング位置L(図中、一点鎖線で示す)、ワーク
4の加工面寸法等を測定する測定位置M(図中、二点鎖
線で示す)、及びワーク4を研削加工するための研削位
置G(図中、実線で示す)を適宜移動する。
【0026】また、テーブル1にはワーク4を吸着保持
して該ワーク4を拘束する円形形状のマグネットチャッ
ク6が設けられ、さらに該マグネットチャック6はワー
クスピンドル7に取り付けられ、また該ワークスピンド
ル7の基端には前記マグネットチャック6を回転駆動す
るためのサーボモータ(以下、「マグネット回転用モー
タ」という)8が取り付けられ、さらに該マグネット回
転用モータ8の基端にはワーク4の角度位置データθを
検出するエンコーダ9が設けられている。また、マグネ
ットチャック6の周縁部適所にはストッパ10が設けら
れ、さらに、テーブル1の端部には砥石5のツルーイン
グやドレッシングを行うドレッサ11が配設されてい
る。
【0027】また、基台2には、ワーク4の加工面寸法
を測定する測定ヘッド12が支持台12aを介して取り
付けられている。そして、該測定ヘッド12の先端には
端面測定子13が取り付けられ、該端面測定子13によ
りワーク4のマグネットチャック6への吸着前後におけ
るワークの高さ寸法(加工面寸法u、v)が全周に亙っ
て測定される。尚、本第1の実施の形態では端面測定子
13として静電容量型の非接触式変位センサを使用して
いる。
【0028】砥石5は平板形状に形成されると共に、該
砥石5を回転駆動させる砥石スピンドル(ビルトインモ
ータ)14に嵌合され、また、該砥石スピンドル14は
上下方向(矢印Zで示す)に往復運動する切込スライド
15に取り付けられている。
【0029】切込スライド15は、コラム16に固着さ
れた一対の支持部材17a、17bにより所定の予圧で
もって挟持されると共に、図3に示すように、保持器1
8により互いに所定間隔に保持されている多数のコロ1
9によって転がり案内可能に構成されている。すなわ
ち、切込スライド15の上端には該切込スライド駆動用
サーボモータ(以下、「切込用モータ」という)20が
取り付けられ、該切込用モータ20を駆動させることに
より支持部材17a、17bで挟持された切込スライド
15はコロ19により転がり案内されて矢印Z方向に往
復運動する。
【0030】また、切込スライド15には超電歪素子2
1が収容されており、具体的には、図4に示すように、
ナットブラケット22が切込スライド15と一体的に固
着されると共に、ねじ軸23に螺着したボールねじナッ
ト24の鍔部とナットブラケット22との間には超電歪
素子21が伸縮可能に挟持されている。
【0031】また、図2に示すように、コラム16には
目盛が付されたスケール25が付設されると共に、切込
スライド15の適所にはスケール25の目盛を検知する
リニアスケール26が取り付けられている。
【0032】そして、本研削加工装置では、リニアスケ
ール26がスケール25の目盛を検出すると、その検出
結果に応じて切込用モータ20が駆動し切込スライド1
5は矢印Z方向に粗動した後、超電歪素子21により微
調整され、これにより該切込スライド15と一体的に移
動する砥石スピンドル14の移動量が制御される。そし
てその結果、砥石5の切込送り量Z(θ)が制御され、
図5に示すように、砥石5を矢印A方向に回転駆動させ
ながら矢印B方向に送り込んでマグネットチャック6に
載置されたワーク4の端面を研削加工している。
【0033】図6は本研削加工装置の制御系のブロック
構成図であって、該制御系27は、アンプ28により増
幅された端面測定子13の測定結果(加工面寸法u、
v)やエンコーダ9の検出結果(角度位置データθ)並
びにリニアスケール26の検出結果が入力されると共に
マグネット回転用モータ8及び切込用モータ20や超電
歪素子21に所定の指令信号を供給する入出力部29
と、該入出力部29に入力されたアンプ28及びエンコ
ーダ9の出力結果に基づいて加工面データu(θ)、v
(θ)を記憶するメモリ30と、該メモリ30の記憶内
容に基づき超電歪素子21の伸縮する微動量ΔZを算出
する演算器31と、該演算器31の演算結果とエンコー
ダ9からの角度位置データθ及びリニアスケール26か
らのスケールデータに基づいて所定の制御信号を出力す
るコントローラ32とを備えている。
【0034】このように構成された研削加工装置におい
ては、まず、図7(a)の二点鎖線に示すように、マグ
ネットチャック6に拘束されていない状態(以下、この
状態を「非拘束状態」という)でのワーク4の高さ寸
法、すなわち非拘束時加工面寸法uが端面測定子13に
よって測定され、その測定結果がアンプ28を介して入
出力部29に入力され、さらに、図7(b)に示すよう
に、非拘束時加工面寸法uの円周上の測定位置を示す角
度位置データθをエンコーダ9で検出し、該検出結果が
入出力部29に入力される。すなわち、マグネット回転
用モータ8を駆動させながら順次端面測定子13で非拘
束時加工面寸法uを測定すると共にエンコーダ9で角度
位置データθを検出し、その結果が入出力部29に順次
入力される。そして、該入出力部29では非拘束時加工
面寸法uと角度位置データθとを関連付けて非拘束時加
工面データu(θ)を取得し、その結果をメモリ30に
記憶する。
【0035】次に、図7(a)の実線に示すように、マ
グネットチャック6に拘束された状態(以下、この状態
を「拘束状態」という)でのワーク4の高さ寸法、すな
わち拘束時加工面寸法vが端面測定子13によって測定
され、その測定結果がアンプ28を介して入出力部29
に入力され、さらに、図7(b)に示すように、非拘束
状態のときと同様、拘束時加工面寸法uの円周上の測定
位置を示す角度位置データθをエンコーダ9で検出し、
該検出結果が入出力部29に入力される。すなわち、非
拘束状態のときと同様、マグネット回転用モータ8を回
転させながら順次端面測定子13で拘束時加工面寸法v
を測定すると共にエンコーダ9で角度位置データθを検
出し、その結果が入出力部29に順次入力される。次い
で、該入出力部29では、拘束時寸法データvと角度位
置データθとを関連付けて拘束時加工面データv(θ)
を取得し、その結果をメモリ30に記憶する。
【0036】次に、演算器31では、数式(1)に示す
ように、非拘束時加工面データu(θ)と拘束時加工面
データv(θ)の偏差を演算して超電歪素子21の微動
量ΔZを算出し、その算出結果をコントローラ32に供
給する。
【0037】ΔZ=u(θ)−v(θ) …(1) そして、コントローラ32は、リニアスケール26の検
出結果に応じた粗動量Z0を入出力部29を介して切込
モータ20に指令すると共に、微動量ΔZを入出力部2
9を介して超電歪素子21に指令し、切込スライド15
を移動させて砥石5による研削加工を行なう。
【0038】すなわち、非拘束時加工面寸法u及び拘束
時加工面寸法vがワークの角度位置データθの所定角度
間隔(例えば、1′(分))毎に全周に亙って得られた
場合、これら加工面寸法u、vにおける切込送り方向Z
と角度位置データθとの関係は図8のようになる。Z=
0をマグネットチャック6の上面位置とし、ワーク4を
Z=Z0の厚さに研削する場合、切込スライド15(切
込用モータ20及び超電歪素子21)には数式(2)で
示す切込送り量Z(θ)がコントローラ32からの指令
値として付与される。
【0039】 そして、研削加工は砥石5及びワーク4を回転させなが
ら、砥石5のZ軸方向の位置決めをすることにより行わ
れる。
【0040】すなわち、切込用モータ20には粗動量Z
0がコントローラ32からの指令値として付与され、こ
れにより切込スライド15はZ=Z0に相当する位置ま
で移動する。同時に、超電歪素子21には微動量ΔZが
コントローラ32からの指令値として付与され、これに
より超電歪素子21は微動量ΔZに応じて上下方向(図
2中、矢印Zで示す)に微動する。
【0041】このようにワーク4の角度位置データθに
応じて切込送り量Z(θ)を変化させることにより、マ
グネットチャック6の吸着力を考慮した研削加工を行う
ことができ、平面精度に優れたワークを得ることができ
る。
【0042】図9は、本発明の加工方法の処理手順を示
す工程図であり、図1及び図2を参照しながら加工手順
を説明する。
【0043】まず、ドレッサ11で砥石5の表面にツル
ーイング・ドレッシングを施して砥石5の研削準備とす
る。次に、テーブル駆動用モータ3を駆動させてテーブ
ル1を矢印X方向に移動させ該テーブル1をローディン
グ位置Lで停止させる。そして、ワーク4をマグネット
チャック6にストッパ10を基準に載置し、ワーク4を
非拘束状態としたままテーブル1を測定位置Mに移動さ
せる。このときワーク4は非拘束状態にあり、マグネッ
トチャック6に吸着されていないため、図9(a)に示
すように、ワークには「反り」が生じている。
【0044】次いで、測定位置Mで非拘束状態としたま
まワークスピンドル7を回転させて非拘束時加工面デー
タu(θ)を計測・算出し、メモリ30に記憶する。
【0045】次に、マグネットチャック6を作動させて
ワーク4をマグネットチャック6に拘束させる。このと
き、ワーク4は、図9(b)に示すように、マグネット
チャック6の吸着力により、マグネットチャック6との
接触面の反りがほぼ生じない状態となる。
【0046】そしてこの状態で、ワークスピンドル7を
回転させて拘束時加工面データv(θ)を計測・算出
し、メモリ30に記憶する。
【0047】次に、テーブル1を研削位置Gに移動し、
リニアスケール26からの検出値に基づいて切込用モー
タ20を駆動させて切込スライド15を粗動量Z0だけ
粗動させると共に、超電歪素子21を演算部31で算出
した微動量ΔZに応じて伸縮させ、これにより砥石5の
切込送り量Z(θ)を制御し、図9(c)に示すよう
に、ワーク4の端面に研削加工を施す。
【0048】そして、この状態でワーク4の拘束状態を
解除すると、該ワーク4の周縁部の反りが復元されるた
め、図9(d)に示すように、周縁部には反りが生ずる
一方、上面は良好な平面精度を有するものとなり、マグ
ネットチャック6の面上からのワーク4の高さはZ0
なる。
【0049】そして、この後、図9(e)に示すよう
に、ワーク4を上下反転させ、他方の端面を研削加工す
る。すなわち、この場合は良好な平面精度に研削加工さ
れた端面がマグネットチャック6の表面に密着するの
で、通常の砥石送りでもって良好な平面精度を有する厚
さZ1の環状部材としての機械部品(ワーク4)を得る
ことができる。
【0050】また、ワーク4が、非拘束状態で、図10
(a)に示すように傾斜量Δuを有して傾いている場
合、マグネットチャック6により拘束状態とされたとき
は斯かる傾斜成分Δuはマグネットチャック6の吸着力
によって殆ど生じなくなるため、結果として反り量を反
映しない傾斜量Δuが加算された微動量ΔZでもって超
電歪素子21の伸縮量が制御され、したがって斯かる微
動量ΔZに基づいて研削加工を施した場合は非拘束状態
に復元されたときは図10(b)に示すように、他方の
端面の反り状態が歪な状態となる。このため、該ワーク
4を反転して前記他方の端面を研削する場合、加工量が
面上で不均一となり、砥石5の研削力Fに変動を来す虞
がある。したがって、砥石5の研削力Fを均一化するた
めには前記傾斜量Δuを考慮した微動量ΔZでもって研
削加工する必要があり、そのためには非拘束時加工面デ
ータu(θ)から傾斜成分u1(θ)を除去する必要が
ある。
【0051】しかして、非拘束時加工面データu(θ)
は数式(3)に示すようにフーリエ級数で表される。
【0052】
【数1】
【0053】ここで、anはn次成分の振幅、ψnは位相
のずれを示す。このうち、傾斜成分u1(θ)は、図1
1に示すように、ワーク1周(360°)で1周期の正
弦波状を描く。
【0054】すなわち、この図11から分かるように、
ワーク4は180°回転する間に傾斜量の最大値Pと最
小値Qが各1回宛表れるため、斯かるn=1(1次成
分)がワーク4の傾斜成分u1(θ)を示す。すなわ
ち、傾斜成分u1(θ)は数式(4)で表される。
【0055】u1(θ)=a1sin(θ+ψ1) …(4) ここで、a1及びψ1は、夫々数式(5)、(6)で求め
られる。
【0056】
【数2】
【0057】なお、数式(5)、(6)の右辺の値は、
前記メモリ30に記憶された所定角度間隔毎の角度位置
データθ及び非拘束時加工面データu(θ)の測定結果
に基づき、演算器31によって、予め用意された所定の
プログラムを用いて数値計算を行わせることにより近似
的に算出される。
【0058】したがって、切込送り量Z(θ)から傾斜
成分u1(θ)を除去した修正切込送り量Z′(θ)
は、数式(7)で表される。
【0059】 Z′(θ)=Z(θ)−u1(θ) =Z0−(u(θ)−u1(θ)−v(θ))…(7) すなわち、前記修正切込送り量Z′(θ)に基づいて砥
石5の移動量を制御することにより、ワーク4が研削加
工前に傾斜量Δuを有している場合であっても略均一な
研削力Fでもって前記他方の端面の研削加工を行うこと
ができる。
【0060】図12は本発明の第2の実施の形態に係る
機械部品の加工方法に使用される研削加工装置(縦軸型
研削加工装置)の平面図であり、図13は図12の正面
図である。
【0061】本第2の実施の形態では、上記平板形状の
砥石5に代えて、カップ状に形成された砥石60を使用
して研削加工を行っている。
【0062】すなわち、本第2の実施の形態において
も、上記第1の実施の形態と同様、測定位置Mで非拘束
状態及び拘束状態における加工面データu(θ)、v
(θ)を算出してメモリ30に記憶した後、微動量ΔZ
を算出し、次いでワーク4が載置されたマグネットチャ
ック6を研削位置Gに移動させて所望の研削加工を施し
ている。
【0063】そして、本第2の実施の形態では、カップ
状に形成された砥石33の尖端を使用してワーク4に研
削加工を施しているので、ワーク4との接触面積を小さ
くすることができ、したがって砥石60の研削力Fを小
さくすることが可能となる。
【0064】図14は本発明の第3の実施の形態に係る
機械部品の加工方法に使用される研削加工装置(横軸型
研削加工装置)の平面図であって、本第3の実施の形態
は、2個のテーブル(第1のテーブル33及び第2のテ
ーブル34)を有し、第2のテーブル34は第1及び第
2の実施の形態における切込スライド15(図1及び図
2、図12及び図13参照)と同様の作用・効果を奏す
るように構成されている。すなわち、上記第1及び第2
の実施の形態では上下方向に往復運動する切込スライド
15により砥石5の切込送り量Z(θ)を制御している
のに対し、本第3の実施の形態では第2のテーブル34
を水平方向に往復運動させることによりワーク4の切込
送り量Z(θ)を制御し、これにより前記切込スライド
15と同様の作用・効果を奏するように構成されてい
る。
【0065】具体的には、基台2には第2のテーブル3
4を不図示の送りねじ装置を介して駆動するための切込
用モータ20が取り付けられると共に、上記第1、第2
の実施の形態と同様、超電歪素子(不図示)が内有さ
れ、該第2のテーブル34は矢印Zで示す水平方向に往
復運動可能とされている。また、該第2のテーブル34
にはワーク4を回転させるためのワークスピンドル7が
回転可能に設けられ、さらに、前記第1の実施の形態と
同様、該ワークスピンドル7の基端にはマグネット回転
用モータ8及び第1のエンコーダ35が取り付けられ、
また、該ワークスピンドル8の先端にはワーク4を吸着
保持して拘束するためのマグネットチャック6が配設さ
れている。
【0066】一方、砥石5を回転させる砥石スピンドル
14は、その回転軸がワークスピンドル7の回転軸と直
交するように第1のテーブル33に載設されている。ま
た、該第1のテーブル33には前記マグネットチャック
6と対向状に測定スピンドル36が載設され、さらに該
測定スピンドル36の先端には端面測定子37が配設さ
れると共に、該測定スピンドル36の基端には該測定ス
ピンドル36を回転駆動させるためのサーボモータ(以
下、「測定用モータ」という)38及び測定角度を検出
するための第2のエンコーダ39が配設されている。
【0067】そして、第1のテーブル33はテーブル駆
動用モータ3(及びボールねじ)を介して矢印Xで示す
水平方向に往復運動可能とされ、ワーク4の加工面デー
タを測定するときは、ワークスピンドル7と測定スピン
ドル36とが同一軸芯上となるように実線で示す位置で
停止し、研削加工時には砥石5がワーク4に切込可能と
なるように二点鎖線で示す位置で停止する。
【0068】また、本第3の実施の形態では、図15及
び図16に示しように、ワーク4の配置位置に対応する
下方には左右一対のワークレスト40a、40bが進退
可能に配設されている。すなわち、非拘束状態のときは
ワーク4をワークレスト40a、40bで支持してワー
ク4が下方に落下するのを防止すると共に、拘束状態の
ときはワークレスト40a、40bを矢印H方向及び矢
印I方向(図16)に後退させている。
【0069】本第3の実施の形態では、以下のようにワ
ーク4の研削加工が行われる。
【0070】すなわち、まず、ドレッサ11により所定
のツルーイング及びドレッシングを行った後、第1のテ
ーブル33を矢印X方向に移動させて測定スピンドル3
6を測定位置M(測定スピンドル36の回転軸とワーク
スピンドル7の回転軸とが合致する位置)に移動させ、
次いでワーク4をワークレスト40a、40b上に載置
する。尚、このときワーク4の中心とワークスピンドル
7の回転軸の軸芯が略一致するようにワーク4の位置を
調整する。
【0071】そして、ワーク4をワークレスト40a、
40bで支持した状態で測定スピンドル36を回転さ
せ、端面測定子37で非拘束時加工面寸法uを測定する
と共に、第2のエンコーダ39で角度位置データθを検
出し、第1の実施の形態と同様にして非拘束時加工面デ
ータu(θ)をメモリ30に記憶する。
【0072】次いで、マグネットチャック6を作動させ
てワーク4を拘束状態とした後、ワークレスト40a、
40bを矢印H方向及び矢印I方向に後退させ、この
後、測定スピンドル36を再び回転させ、端面測定子3
7で拘束時加工面寸法vを測定すると共に、第2のエン
コーダ39で角度位置データθを検出し、拘束時加工面
データv(θ)を取得してメモリ30に記憶する。
【0073】そしてこの後、砥石5が二点鎖線で示す研
削位置に来るように第1のテーブル33を移動させると
共に、切込送り量Z(θ)を算出して第2のテーブル3
4を矢印Z方向に移動させ、これにより、第1及び第2
の実施の形態と同様、マグネットチャック6の吸着力を
考慮した研削加工を行うことができる。
【0074】このように本第3の実施の形態では第2の
テーブル34と一体的にマグネットチャック6を移動さ
せ、すなわちワーク4を移動させて所望の平面精度を有
する研削加工を行っている。
【0075】すなわち、本第3の実施の形態では、第1
及び第2の実施の形態のように切込スライド15を垂直
方向に上下運動させる必要がなく、したがって砥石スピ
ンドル14をコラム等に支持する必要がなく、剛性を高
めることができる。
【0076】図17は本発明の第4の実施の形態に係る
機械部品の加工方法に使用される研削加工装置(縦軸型
研削加工装置)の平面図、図18は図17の正面図であ
って、本第4の実施の形態では環状に形成されたワーク
4の外周を研削加工する場合について説明する。
【0077】本第4の実施の形態においては、テーブル
41が超電歪素子(不図示)を内有すると共に基台2に
載設されており、また、テーブル41にはワークスピン
ドル7が回転可能に設けられると共に、該ワ−クスピン
ドル7の先端にはマグネットチャック6が嵌合され、さ
らに該ワ−クスピンドル7の基端にはマグネット回転用
モータ8及びエンコーダ9が固着されている。そして、
テーブル41の一端にはドレッサ11が配設されてい
る。
【0078】また、基台2には支持台42aを介して測
定子ヘッド42が取り付けられ、さらに該測定子ヘッド
42の先端には真円度測定用の真円度測定子43が突設
されている。また、先端に砥石5を嵌合した砥石スピン
ドル14は切込スライド15と一体的に矢印Z方向に移
動可能となるように基台2に対して垂直方向に配設され
ている。尚、本第4の実施の形態では、真円度測定子4
3は、第1〜第3の実施の形態と同様、静電容量型の非
接触式変位センサを使用している。
【0079】そして、本第4の実施の形態では、図19
に示すように、ワーク4が載置されたマグネットチャッ
ク6を矢印J方向に回転させながらテーブル41に内有
された超電歪素子により矢印K方向に微動させてワーク
4の切込送り量Z(θ)を制御しながら矢印L方向に回
転している砥石5でワーク4の外周に研削加工を施して
いる。
【0080】次に、第4の実施の形態の加工手順を説明
する。
【0081】図17及び図18において、まずテーブル
駆動用モータ3を駆動させてテーブル41を矢印X方向
に移動させた後、ドレッサ11を所定のドレス位置にセ
ットして切込スライド15を矢印Z方向に上下運動させ
て砥石5の外表面にツルーイング及びドレッシングを施
し研削加工の準備をする。
【0082】次いで、マグネットチャック6の中心が真
円度測定位置Mの位置にくるようにテーブル41を矢印
X方向に移動させ、ワーク4をマグネットチャック6に
載置する。
【0083】次に、不図示の旋回駆動部を駆動させて測
定ヘッド旋回部42を二点鎖線に示すように旋回させ真
円度測定子43をワーク4の外周面と対向する位置に配
置し、マグネットチャック6を非作動状態としたままマ
グネットチャック6を回転させて非拘束時加工面データ
r(θ)を計測し、メモリに記憶する。
【0084】次いで、マグネットチャック6を作動状態
として該マグネットチャック6を回転させ、拘束時加工
面データs(θ)を計測し、メモリに記憶する。
【0085】そして、非拘束時加工面データr(θ)と
拘束時加工面データs(θ)に基づいてテーブル41の
制御量、すなわちワーク4の切込送り量R(θ)を算出
する。
【0086】すなわち、非拘束時加工面データr(θ)
及び拘束時加工面データs(θ)は、端面研削時の反り
成分の場合と同様、数式(9)、(10)のように、振
幅b n、bn′、任意の角度θ、位相φ、φ′からなるフ
ーリエ級数で表される。
【0087】
【数3】
【0088】しかるに、ワーク4の径寸法をマグネット
チャック6に載置して測定する場合、通常はワーク4の
中心とマグネットチャック6の中心とが偏心して載置さ
れるため、上記した非拘束時加工面データr(θ)及び
拘束時加工面データs(θ)には偏心成分が含まれるこ
ととなる。そして、斯かる偏心成分は、反り成分と略同
様の理由から、数式(11)、(12)に示すように、
非拘束時加工面データr(θ)及び拘束時加工面データ
s(θ)の1次成分r1(θ)、s1(θ)で表される。
【0089】 r1(θ)=b1sin(θ+φ1) …(11) s1(θ)=b1′sin(θ+φ1′) …(12) ここで、振幅b1、b1′、位相φ1、φ1′は数式(1
3)〜(16)で表される。
【0090】
【数4】
【0091】
【数5】
【0092】したがって、非拘束時加工面データr
(θ)及び拘束時加工面データs(θ)から1次成分r
1(θ)、s1(θ)、すなわち偏心成分を除去すること
により、数式(17)、(18)に示すように、修正非
拘束時加工面データr′(θ)及び修正拘束時加工面デ
ータs′(θ)が得られる。
【0093】 r′(θ)=r(θ)−r1(θ)…(17) s′(θ)=s(θ)−s1(θ)…(18) 一方、真円度からの半径変動量ΔR0(θ)は、数式
(19)で表される。
【0094】 ΔR0(θ)=r′(θ)−s′(θ)…(19) しかるに、ワーク4の半径寸法R(θ)は、図20に示
すように、平均半径R 0(θ)と該平均半径R0(θ)か
らの半径変動量ΔR0(θ)の和として算出され、した
がって半径寸法R(θ)は数式(20)で表される。
【0095】 R(θ)=R0(θ)+ΔR0(θ)…(20) したがって、斯かる半径寸法R(θ)がテーブル41に
付与される指令値、すなわち、ワーク4の切込送り量R
(θ)となる。
【0096】そして、不図示の旋回駆動部を駆動させて
測定ヘッド旋回部42を旋回させ、測定ヘッド旋回部4
2を実線に示す元の位置に戻して停止させた後、テーブ
ル41をテーブル駆動用モータ3により矢印X方向に粗
動させてマグネットチャック6を研削位置に移動させる
と共に、切込スライド15を矢印Z方向に移動させ、テ
ーブル41内の超電歪素子を切込送り量R(θ)でもっ
て伸縮制御しながらワーク4の外周に研削加工を施す。
【0097】そして、外周の研削加工が完了すると、テ
ーブル41を測定位置Mに移動させてマグネットチャッ
ク6をオフにし、ワーク4をマグネットチャック6から
取り除き、加工工程を終了する。
【0098】尚、上記数式(19)により、非拘束時と
拘束時とで相対的な偏心成分が除去されているが、ワー
クスピンドル7の軸芯とワーク4との軸芯とが偏心する
点が解消されておらず、研削力Fの均一化を図る観点か
らは斯かる点を考慮し、数式(20)の半径変動量ΔR
0(θ)に代えて数式(21)に示すような修正半径変
動量ΔR0′(θ)を使用するのが好ましい。
【0099】 ΔR0′(θ)=r′(θ)−s(θ)…(21) 図21は本発明の第5の実施の形態に係る機械部品の加
工方法に使用される研削加工装置(横軸型研削加工装
置)の平面図であって、本第5の実施の形態では、基台
2に2個のテーブル(第1のテーブル44及び第2のテ
ーブル61)が設けられ、先端に砥石5が嵌合された砥
石スピンドル14が第1のテーブル44と一体的に矢印
X方向に移動可能に構成され、さらに第1のテーブル4
4には超電歪素子(不図示)が内有され、該超電歪素子
を微動させて砥石5の切込送り量を調整している。
【0100】また、第2のテーブル61には先端にマグ
ネットチャック6が嵌合されたワークスピンドル7が回
転可能に取り付けられ、さらに該ワークスピンドル7の
基端側にはマグネット回転用モータ8及び第1のエンコ
ーダ35が取り付けられている。
【0101】さらに、第2のテーブル61にはその軸芯
が前記ワークスピンドル7の軸芯と一致するように前記
マグネットチャック6と対向状に測定スピンドル36が
載設され、さらに該測定スピンドル36の先端には真円
度測定子43が突設された測定子ヘッド45が嵌合され
ると共に、該測定スピンドル36の基端には該測定スピ
ンドル36を回転駆動させるためのサーボモータ(以
下、「測定用モータ」という)38及び測定角度を検出
するための第2のエンコーダ39が配設されている。
【0102】また、本第5の実施の形態では、図22に
示すように、ワーク4の配置位置に対応する下方には左
右一対のワークレスト40a、40bが進退可能に配設
されている。すなわち、第3の実施の形態と同様、非拘
束状態のときはワーク4をワークレスト40a、40b
で支持してワーク4が下方に落下するのを防止する一
方、拘束状態のときはワークレスト40a、40bを後
退させている。
【0103】そして、本第5の実施の形態においては、
まず、ドレッサ11により所定のツルーイング及びドレ
ッシングを行った後、第1のテーブル44を矢印X方向
に移動させて二点鎖線で示す位置に停止させ、次いでワ
ーク4をワークレスト40a、40b上に載置する。
尚、このときワーク4の中心とワークスピンドルの回転
軸の軸芯が略一致するようにワーク4の位置を調整す
る。
【0104】次いで、ワーク4をワークレスト40a、
40bで支持した状態で測定スピンドル36を回転さ
せ、真円度測定子43で非拘束時測定データrを測定す
ると共に、第2のエンコーダ39で角度位置データθを
検出し、第4の実施の形態と同様にして非拘束時加工面
データr(θ)をメモリに記憶する。
【0105】次に、マグネットチャック6を作動させて
ワーク4を拘束状態とした後、ワークレスト40a、4
0bを後退させ、この後、測定スピンドル36を再び回
転させ、真円度測定子43で拘束時測定データsを測定
すると共に、第2のエンコーダ39で角度位置データθ
を検出し、非拘束時加工面データs(θ)をメモリに記
憶する。
【0106】そして、切込送り量R(θ)を算出し、第
1のテーブル44を実線に示す位置までサーボモータ3
とボールねじを介して粗動させ、この後半径変動量ΔR
0(θ)に基づいて超電歪素子を微動させ、これにより
真円度の良好な機械部品としての環状部材を得ている。
【0107】このように本第5の実施の形態では、第3
の実施の形態と略同様の研削加工原理により、ワーク4
の外周に研削加工を施すことにより、真円度の良好な機
械部品を得ることができる。
【0108】図23は第6の実施の形態に使用される研
削加工装置(縦軸型研削加工装置)の要部平面図、図2
4は図23の正面図であって、本第6の実施の形態では
テーブル62に測定子支持台46を設け、該測定子支持
台46に第1の実施の形態と同様、先端に端面測定子1
3が突設された測定ヘッド12が取り付けられると共
に、前記測定子支持台46には旋回駆動部47が取り付
けられ、該旋回駆動部47には先端に真円度測定子43
が突設された測定ヘッド42が固着され、該旋回駆動部
47を駆動させることにより測定ヘッド42が所定角度
に旋回可能に構成されている。
【0109】また、その他の構成は第4の実施の形態
(図17、図18参照)と略同様とされているが、本第
6の実施の形態ではテーブル41のみならず、切込スラ
イド15にも超電歪素子(不図示)が内有されている。
【0110】そして、本第6の実施の形態においては、
ワークスピンドル7に嵌合されたマグネットチャック6
にワーク4を載置させ、次いで端面測定子13及び真円
度測定子42により非拘束時加工面データu(θ)、r
(θ)、及び拘束時加工面データv(θ)、s(θ)を
夫々計測して取得し、次いでテーブル62及び切込スラ
イドを夫々テーブル駆動用モータ3及び切込用モータ2
0によりワーク4及び砥石5が所定位置にくるように粗
動させた後、切込スライド15に内有された超電歪素子
により切込送り量Z(θ)を微調整しながら一方の端面
を研削加工する。そしてこの後、再びテーブル62及び
切込スライド15を夫々テーブル駆動用モータ3及び切
込用モータ20によりワーク4及び砥石5が所定位置に
くるように粗動させた後、テーブル41に内有された超
電歪素子により半径変動量ΔR0(θ)に基づいてワー
ク4の外周を研削加工する。そしてこの後ワークを反転
させて通常の平面研削を行い、研削加工を終了する。
【0111】このように本第6の実施の形態では、端面
と外周部の非拘束時加工面データu(θ)、r(θ)、
及び拘束時加工面データv(θ)、s(θ)を同時に計
測し、一方の端面を研削加工した後、外周研削を行い、
しかる後他方の端面を研削加工しているので、平面精度
及び真円度の優れた機械部品を効率良く得ることができ
る。
【0112】尚、上記第6の実施の形態では、上述した
ように、一方の平面→外周面→他方の平面の順序で研削
加工を行っているが、研削順序としては、一方の平面→
他方の平面→外周面としてもよく、斯かる場合は生産効
率は前者の場合に比べて劣るものの両平面が高精度に仕
上げられた後に外周面を研削しているので、前者に比べ
て外周面の加工精度の向上を図ることができる。
【0113】図25は第7の実施の形態に使用される研
削加工装置(横軸型研削加工装置)の要部側面図であっ
て、第5の実施の形態と同様の構成にして平面研削と外
周面研削の双方を行うようにしたものである。
【0114】すなわち、本第7の実施の形態では、測定
スピンドル36の先端に測定ヘッド48が嵌合されると
共に、端面の平面度及び真円度の双方が測定可能となる
ように前記測定ヘッド48には端面測定子13及び真円
度測定子43が取り付けられている。そして、非拘束時
にワーク4を支持するための左右一対のワークレスト4
0a、40bがマグネットチャック6の前方下部に矢印
H方向(及び矢印I方向)に進退可能に設けられてい
る。
【0115】該第7の実施の形態においても、上記第6
の実施の形態と略同様、平面研削及び外周面研削の双方
を略同時に行うことができる。
【0116】図26は第8の実施の形態に使用される研
削加工装置(縦軸型研削加工装置)の要部正面図であっ
て、本第8の実施の形態では、平面研削及び外周面研削
に加え、内周面研削も行うことができるように構成され
ている。
【0117】すなわち、本第8の実施の形態では、第6
の実施の形態に加えて、内周面研削用の砥石50が先端
に嵌合された内面研削スピンドル49がテーブル51に
取り付けられ、サーボモータ52とボールねじ53を介
して内面研削スピンドル49を矢印N方向に移動させて
内周面の研削を可能としている。
【0118】そして、本第8の実施の形態においては、
上記第6の実施の形態と略同様の加工手順により、ワー
クの端面、外周面及び内周面を高精度な研削加工を施す
ことができ、所望の機械部品を得ることができる。
【0119】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものではなく、上記実施の形態では砥石又はワークの切
込送り量Z(θ)、R(θ)について、サーボモータで
粗動させると共に、超電歪素子を微動させて制御してい
るが、切込送り量Z(θ)、R(θ)を高精度に制御で
きるものであればよく、サーボモータと超電歪素子の組
合せに限定されるものではない。また、各テーブルの往
復運動機構についてもボールねじとサーボモータとの組
合せに限定されるものではなく、例えば、リニアモータ
や摩擦駆動等他の方法を使用してもよいのはいうまでも
ない。また、上記実施の形態では、端面測定子13及び
真円度測定子43は静電容量型の非接触式変位センサを
使用したが、斯かる方式の変位センサに限定されるもの
ではない。また、上記実施の形態では切込スライドを転
がり案内により可動させているが、静圧案内等他の高精
度な可動方法を使用するのも好ましい。
【0120】さらに、上記実施の形態ではワーク4の拘
束部材としてマグネットチャック6を使用したが、該マ
グネットチャック6に代えて真空チャックを使用しても
よく、また、爪によるチャックを使用しても、把持によ
る変形量が考慮されるので、原理的には問題はなく、本
発明の所期の目的を達成することができる。
【0121】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る機械部
品の加工方法は、環状に形成された被加工物を拘束部材
で拘束すると共に、前記拘束部材で拘束された前記被加
工物の加工面を砥石で研削加工する機械部品の加工方法
において、前記被加工物を前記拘束部材に対し非拘束と
した状態で、前記加工面の寸法計測を行って非拘束時加
工面データを取得し、さらに前記被加工物を前記拘束部
材に拘束した状態で、前記加工面の寸法計測を行って拘
束時加工面データを取得し、前記拘束時加工面データと
前記非拘束時加工面データとに基づいて前記砥石の前記
被加工物方向への送り量又は被加工物の前記砥石方向へ
の送り量の少なくとも一方の送り量を制御しながら前記
加工面に研削加工を施すので、拘束部材による被加工物
の変形量の影響を受けることがなくなり、したがって拘
束部材の拘束力を最大限利用して研削加工を施すことが
可能となり、且つ平面精度及び真円度が極めて優れた機
械部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る機械部品の加
工方法に使用される研削加工装置の平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】切込スライドの要部平面図である。
【図4】切込スライドの要部正面図である。
【図5】第1の実施の形態で機械部品を研削加工してい
る状態を示す要部拡大正面図である。
【図6】前記研削加工装置の制御系を示すブロック構成
図である。
【図7】第1の実施の形態の加工原理を説明するための
説明図である。
【図8】第1の実施の形態の加工原理を説明するための
説明図である。
【図9】第1の実施の形態の加工手順を示す工程図であ
る。
【図10】機械部品が傾斜している場合に第1の実施の
形態の加工方法で生じ得る課題を説明するための説明図
である。
【図11】第1の実施の形態の変形例を説明するための
図である。
【図12】本発明に係る第2の実施の形態に使用される
研削加工装置の平面図である。
【図13】図12の正面図である。
【図14】本発明に係る第3の実施の形態に使用される
研削加工装置の平面図である。
【図15】図14のD−D矢視図である。
【図16】図15のE−E矢視図である。
【図17】本発明に係る第4の実施の形態に使用される
研削加工装置の平面図である。
【図18】図17の正面図である。
【図19】第4の実施の形態で機械部品を研削加工して
いる様子を示す要部拡大正面図である。
【図20】第4の実施の形態の変形例を説明するための
図である。
【図21】本発明に係る第5の実施の形態に使用される
研削加工装置の平面図である。
【図22】図21のW−W矢視図である。
【図23】本発明に係る第6の実施の形態に使用される
研削加工装置の要部平面図である。
【図24】図23の要部正面図である。
【図25】本発明に係る第7の実施の形態に使用される
研削加工装置の要部正面図である。
【図26】本発明に係る第8の実施の形態に使用される
研削加工装置の要部平面図である。
【図27】第1の従来技術の加工方法を示す図である。
【図28】第2の従来技術の加工方法を示す図である。
【符号の説明】
4 ワーク(被加工物) 5 砥石 6 マグネットチャック(拘束部材) 50 砥石 60 砥石

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状に形成された被加工物を拘束部材で
    拘束すると共に、前記拘束部材で拘束された前記被加工
    物の加工面を砥石で研削加工する機械部品の加工方法に
    おいて、 前記被加工物を前記拘束部材に対し非拘束とした状態
    で、前記加工面の寸法計測を行って非拘束時加工面デー
    タを取得し、さらに前記被加工物を前記拘束部材に拘束
    した状態で、前記加工面の寸法計測を行って拘束時加工
    面データを取得し、前記拘束時加工面データと前記非拘
    束時加工面データとに基づいて前記砥石の前記被加工物
    方向への送り量又は被加工物の前記砥石方向への送り量
    の少なくとも一方の送り量を制御しながら前記加工面に
    研削加工を施すことを特徴とする機械部品の加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109119239A (zh) * 2018-09-07 2019-01-01 天津京磁电子元件制造有限公司 烧结钕铁硼的磨加工方法

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