JP2001017188A - 新規なvegf/pdgf様因子 - Google Patents

新規なvegf/pdgf様因子

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JP2001017188A
JP2001017188A JP2000122994A JP2000122994A JP2001017188A JP 2001017188 A JP2001017188 A JP 2001017188A JP 2000122994 A JP2000122994 A JP 2000122994A JP 2000122994 A JP2000122994 A JP 2000122994A JP 2001017188 A JP2001017188 A JP 2001017188A
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diseases
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Kiyonari Shidara
研也 設楽
Mitsuo Sato
光男 佐藤
Toshihiro Sakakibara
敏弘 榊原
Akiko Furuya
安希子 古谷
Maiko Hirota
真意子 廣田
Akio Shinkai
暁男 新海
Kenji Shibata
健志 柴田
Norio Ota
紀夫 太田
Tetsuo Nishikawa
哲夫 西川
Takao Isogai
隆夫 磯貝
Tomoyasu Sugiyama
友康 杉山
Shizuko Ishii
静子 石井
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Helix Research Institute
KH Neochem Co Ltd
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Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
Helix Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 特定な配列で示されるアミノ酸配列を含
む蛋白質、及びそれをコードするDNAを提供する。 【効果】 本発明によれば、異常な血管新生の亢進を伴
う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管
新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、
異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化
増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異
常を伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、
骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づ
く疾患、虚血性疾患、創傷治癒の遅延を伴う疾患等の治
療薬の探索及び開発に有用な増殖因子としての活性を有
する蛋白質、該蛋白質をコードするDNA、該蛋白質を
認識する抗体、及びこれらの利用方法を提供することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な蛋白質、該
蛋白質をコードするDNA及び該蛋白質を認識する抗
体、並びにそれらを用いる診断薬、医薬及び治療薬に関
する。
【0002】
【従来の技術】血管形成、血管新生活性を有する血管内
皮細胞増殖因子(Vascular endothelial growth facto
r、以下「VEGF」という)及び平滑筋細胞の分化、
増殖活性を有する血小板由来増殖因子(Platelet-deriv
ed growth factor、以下「PDGF」という)は構造が
類似しており、類縁因子であるPlGF,VEGF−
B,VEGF−C,VEGF−D,VEGF−Eを含め
てVEGF/PDGFスーパーファミリーの増殖因子と
分類されている。
【0003】血管新生は、脊椎動物の胎生期における循
環器系の形成や多くの組織の構築に重要な役割を果たす
とともに、成熟個体(雌)においても性周期における黄
体形成、子宮内膜の一過性の増殖、胎盤形成などに密接
に関与する。さらに、病的状態としては、固形腫瘍の増
殖、転移形成、糖尿病性網膜症、慢性関節リュウマチの
病態形成、促進に血管新生が深く関与している(J.Folk
manら;J. Biol. Chem., 267, 10931, 1992)。
【0004】血管新生は、血管新生因子が分泌される過
程、これが引き金となって近傍にある既存の血管の内皮
細胞からプロテアーゼが分泌される過程、該プロテアー
ゼにより基底膜及び間質が破壊される過程、続いて血管
内皮細胞の遊走及び増殖がはじまる過程、並びに、管腔
が形成されることにより血管が新生される過程よりなる
(J.Folkmanら;J. Biol. Chem., 267, 10931, 199
2)。血管新生を誘導する因子としては多くの因子の関
与が報告されているが、中でも血管透過性因子(Vascul
ar permeability factor、以下「VPF」という)/V
EGFが上記発生段階における血管新生及び病的な状態
における血管新生において最も重要な因子として知られ
ている(M.Shibuya; Advances in Cancer Research, Vo
l67, 281, 1995)。VPF/VEGFはホモダイマーよ
りなる分子量約4万の蛋白質であり、1983年にVPFと
して(D.R.Sengerら;Science, 219, 983, 1983)、198
9年にVEGFとして独立した分子として報告されたが
(N.Ferraraら;Biochem. Biophys. Res. Comm., 161,
851, 1989)、cDNAクローニングの結果、両者は同
一の物質であることが明らかとなった(D.W.Leungら;S
cience, 246, 1306, 1989;P.J.Keckら;Science, 246,
1309, 1989)(以下、「VEGF」と記載する)。VE
GFの活性としてはこれまでに、血管内皮細胞に対して
は増殖促進活性(ED50 = 2-3pM)(N.Ferraraら;Bioche
m. Biophys. Res. Comm., 161, 851, 1989)、遊走促進
活性(A.E.Kochら;J. Immunology, 152, 4149, 199
4)、メタロプロテアーゼ分泌促進活性(E.N.Unemori
ら;J. Cell Physiol., 153, 557, 1992)、ウロキナー
ゼ、tPA分泌促進活性(M.S.Pepperら;Biochem. Biophy
s. Res.Comm., 181, 902, 1991)、転写因子ETS-1の発
現促進(C.Iwasakaら; J. Cell.Physiol., 169, 522, 1
996)、インテグリンαvβ3の発現上昇(D.R.Sengerら;
American J. Pathology, 149, 293, 1996)等が報告さ
れ、in vivoにおいては血管新生促進活性 (T.Asahara
ら;Circulation, 92 suppl II, 365, 1995)、血管透過
性促進活性(D.R.Sengerら;Science 219, 983, 1983)
等が報告されている。VEGFは血管内皮細胞に極めて
特異性の高い増殖因子であることが報告されている(N.
Ferraraら;Biochem. Biophys. Res. Comm., 161, 851,
1989)。
【0005】ヒトVEGFには、選択的スプライシング
により長さの異なる4種類の蛋白質(それぞれ121、
165、189、206アミノ酸残基よりなるVEGF
121、VEGF165、VEGF189、VEGF206)が存在
することが報告されている(K.A.Houckら;J. Biol. Ch
em., 267, 26031, 1991)。最も短い長さのVEGF121
についても血管新生促進活性、血管透過性亢進活性が報
告されている(S.Kondoら;Biochimica et Hbiophysica
Acta, 1243, 195-202, 1995)。VEGF1 65をプラス
ミンで分解して得られるN末アミノ酸1番目から110番
目よりなるVEGF部分フラグメントはVEGF165
同等の受容体結合活性を有するが、血管内皮細胞の増殖
促進活性が100倍低下することが報告されている(B.A.K
eytら;Journal of Biological Chemistry, 271, 7788-
7795, 1996)。これらの結果は、受容体結合活性には、
1番目から110番目のアミノ酸が関与するが、内皮細胞の
充分な活性化にはさらに111番目から165番目のアミノ酸
が必要であることを示している。
【0006】VEGFには、ダイマー間のジスルフィド
結合形成、蛋白質分子内のジスルフィド結合形成、及
び、活性発現に重要な8個のシステイン残基の存在が報
告されている(Journal of Biological Chemistry, 26
9, 32879-32885, 1994)。これら8個のシステイン残基
は、VEGF/PDGFスーパーファミリーに属する因
子間で保存されている(C,Betsholdsら;Nature, 320,
695-699, 1986)。VEGFのアミノ酸残基の改変によ
りVEGF結合阻害剤を作製することが試みられ、VE
GFのループIIの変異体とループIIIの変異体のヘテロ
ダイマーはVEGF結合阻害、血管内皮細胞増殖促進阻
害活性を示すことが報告されている(Siemeister, G.
ら;Proceeding of National Academy of Science USA,
95, 4625-4629, 1998)。
【0007】ヒトのVEGF受容体としてはこれまでに
受容体型チロシンキナーゼファミリーに属する第1の受
容体であるFlt-1(fms-like tyrosine kinase)(M.Shi
buyaら;Oncogene, 5, 519, 1990; C.Vriesら;Scienc
e, 255, 989, 1992)及び第2の受容体であるKDR(kina
se insert domain-containing receptor)(B.I.Terman
ら;WO92/14748,B.I.Termanら;Biochem. Biophys. Re
s. Comm., 187, 1579,1992)の2種が報告されている。
ヒト型VEGF受容体KDRのマウス型ホモログはFlk-1
(W.Matthewsら;Proc. Natl. Acad. Science, USA, 8
8, 9026, 1991; A.Ullichら;WO94/11499 Priolity No
v. 13, 1992; B.Millauerら;Cell, 72, 835, 1993)と
命名されている。Flt-1遺伝子はもともと癌遺伝子fm
sと相同性を示す機能未知な新規遺伝子として発見され
たが(M.Shibuyaら;Oncogene, 5, 519, 1990)、VE
GF蛋白質を用いた発現クローニングによりVEGF受
容体遺伝子のクローン化が試みられた結果取得された遺
伝子と一致し、Flt-1はVEGF受容体であることが示
された(C.Vriesら;Science, 255, 989, 1992)。
【0008】Flt-1及びKDR/Flk-1の細胞外ドメインは7
個のイムノグロブリン様ドメインよりなり、細胞内ドメ
インにはチロシンキナーゼドメインを有する分子量180
〜200キロダルトンの膜蛋白質である。VEGFは、Flt
-1及びKDR/Flk-1にそれぞれ20pM及び75 pMのKD値で特異
的に結合する。また、Flt-1及びKDR/Flk-1は血管内皮細
胞に特異的に発現していると報告されている(T.P.Quin
nら;Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 7533, 1993;
R.L.Kendallら;Proc. Natl. Acad. Sci. USA,90, 891
5, 1993)。
【0009】血管新生を伴う疾患の中で、固形腫瘍の増
殖、転移形成、糖尿病性網膜症及び慢性関節リュウマチ
の病態形成にVEGFが深く関与していることが報告さ
れている。固形腫瘍については、これまでに、腎癌(A.
Takahashiら;Cancer Research, 54, 4233, 1994)、乳
癌(L.F.Brownら;Human Pathology, 26, 86, 1995)、
脳腫瘍(R.A.Berkmanら;J. Clinical Investigation,
91, 153, 1993)、消化器癌(L.F.Brownら;Cancer Res
earch, 53, 4727, 1993)、卵巣癌(T.A.Olsonら;Canc
er Research, 54, 276, 1994)などの多くのヒト腫瘍組
織においてVEGFが産生されていることが報告されて
いる。乳癌についてVEGFと患者の予後との関係が検
討された結果、VEGF高発現腫瘍は、低発現腫瘍に比
べて腫瘍血管新生が盛んであり、生存率が低いことが明
らかとなっている(M.Toiら;Japanese J. Cancer Rese
arch, 85, 1045, 1994)。
【0010】VEGFを認識する抗体は、該抗体を用い
た、免疫組織染色による腫瘍組織で発現されるVEGF
の解析(T. Shibuyaら; Clinical Cancer Research,
4, 1483-1487, 1998; Y. Kitadaiら; Clinical Cancer
Research, 4, 2195-2200, 1998)、免疫学的検出法で
あるELISA法による腫瘍組織又は血清中のVEGF測定
(G. Gaspariniら; Journal of National Cancer Inst
itute, 89, 139-147, 1997; S.Kondoら; Biochimica e
t Boophysica Acta, 1221, 211-214, 1994)等に用いる
ことができるため、組織診断等の診断に重要であると考
えられている。
【0011】ヌードマウスにヒト腫瘍を皮下移植したゼ
ノグラフトモデル実験系において、抗VEGFモノクロ
ーナル抗体は腫瘍増殖抑制効果を示すことが報告されて
いる(J.K.Kimら;Nature, 362, 841, 1993)。また、ヌ
ードマウスにおけるヒト腫瘍の転移癌モデルにおいて、
抗VEGFモノクローナル抗体は癌転移を抑制できるこ
とが報告されている(O.Melnykら;Cancer Research, 5
6, 921, 1996)。
【0012】さらに、VEGFをコードするDNAのア
ンチセンスDNAを用い、ヌードマウス移植腫瘍モデル
の腫瘍増殖が抑制できることが報告されている(M,Sale
hら,Cancer Research, 56, 393-401, 1996)。従って、
VEGF活性を抑制することができれば、癌患者におけ
る腫瘍の増殖又は転移形成を抑制できるものと期待され
る。
【0013】VEGFは、ヒトの癌性胸水、腹水中に高
濃度のVEGFが検出されることから、胸水、腹水貯留
の主要な因子である可能性も示されている(S.Kondo
ら;Biochimica et Biophysica Acta, 1221, 211, 199
4)。マウスモデルにおいて、抗VEGF抗体によりV
EGFをブロックすることで癌性腹水の貯留を防止でき
ることが示されている(J,C,Luoら, Cancer Research,
58, 2594-2600, 1998.)。
【0014】糖尿病性網膜症においては、異常な血管新
生により網膜剥離や硝子体出血をおこして失明にいたる
が、糖尿病性網膜症における血管新生と患者眼球内のV
EGFレベルが正相関することが報告されている(L.P.
Aielloら;New England J. Medicine, 331, 1480, 199
4)。また、サルの網膜症モデルにおいて、抗VEGF
中和モノクローナル抗体A4.6.1の眼内投与によりVEG
F活性を抑制すると、血管新生が抑制されることが報告
されている(A.P.Adamisら;Arch Opthalmol., 114, 6
6, 1996)。従って、過剰に産生されるVEGF活性を
抑制することで糖尿病性網膜症における血管新生を抑制
できることが期待される。
【0015】慢性関節リュウマチの関節炎の病態の進展
(骨、軟骨の破壊)は血管新生を伴うが、慢性関節リュ
ウマチ患者の関節液中にはVEGFが高濃度で含まれて
いること、関節中のマクロファージがVEGFを産生す
ることが報告されている(A.E.Kochら;Journal of Immu
nology, 152, 4149, 1994; R.A.Favaら;J. Experiment
al Medicine, 180, 341, 1994)。過剰に産生されるVE
GF活性を抑制することで関節炎における血管新生を抑
制できることが期待される。
【0016】また、VEGFはCrow−Fukase
症候群(O,Watanabeら, Lancet, 347, 702, 1996.)、
卵巣過機能症候群(E,R,Levin, Journal of Clinical I
nvestigation, 102, 1978-1985, 1998)、乾せん等の皮
下疾患(Journal of Experimental Medicine, 180, 114
1-1146, 1994; Journal of Immunology, 154, 2801-280
7, 1995)、動脈硬化(Inoue, M. et al, Circulation,
98, 2108-2116, 1998)等の疾患の発症、進展に関与す
ることが報告されている。
【0017】脳梗塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞症な
どの虚血性疾患においては、側副血行路の発達を促進さ
せることにより、虚血を解除して疾患を治療する血管新
生療法が試みられている。ウサギ大腿動脈慢性虚血肢モ
デルにおいてVEGF蛋白質を投与すると、虚血部位に
側副血行路が形成され、下肢血圧の上昇や血流量の増加
などの治療効果が認められたと報告されている(S,Take
shita, Journal of Clinical Investigation, 93, 662-
670, 1994)。下肢が動脈閉塞した患者に対し、カテー
テルを用いたVEGFのcDNAの動脈内投与、又は下
肢の筋注を行うことにより側副血行路の再建が確認され
たと報告されている(I,Baumgartnerら,Circulation, 9
7, 1114, 1998)。
【0018】血管内皮細胞及び血液細胞は、共通の前駆
細胞である血管血液幹細胞より別れて分化することが示
されている。血管血液幹細胞にはVEGF受容体である
KDR/Flk-1が発現することから、VEGFは、血管血液
幹細胞から血管内皮前駆細胞及び血液前駆細胞への分化
に必須な因子である可能性が指摘されている(S. Nishi
kawaら, Development, 125, 1747-1757, 1998)。血管
血液幹細胞を虚血モデル動物に投与すると、該細胞が虚
血部位の血管新生に利用されることが報告されている
(T.Asaharaら, Science, 275, 964-967, 1997)。
【0019】VEGFは血管内皮細胞に極めて高い特異
性を示すが、一部の血球細胞、骨芽細胞、膵臓β細胞に
対する作用も報告されている。ヒト単球細胞にはVEG
F受容体Flt-1が発現しており、VEGFは単球の遊走
促進活性を有することが報告されている(B,Barleon
ら、Blood, 87, 3336-3343, 1996)。抗原提示細胞とし
て重要なヒト樹状細胞にはVEGF受容体Flt-1が発現
しており、VEGFは樹状細胞の成熟化を阻害する活性
を有することが報告されている。樹状細胞の活性化は免
疫による腫瘍破壊において重要なステップであるので、
腫瘍細胞より産生されるVEGFは、腫瘍免疫抑制によ
り腫瘍増殖を促進していると推測されている(D,M,Garb
ilovichら, Nature Medicine, 2, 1096-1103, 1996)。
VEGFは骨芽細胞に作用し、遊走及び分化を促進する
ことが報告されている(V, Midyら,Biochemical and Bi
ophysical Research Communications, 199, 380-386, 1
994)。また、膵臓のβ細胞にVEGF受容体KDR/Flk-1
が発現しており、VEGFがβ細胞の分化に関わってい
る可能性が示されている(C. Obergら, Growth Factor
s, 10, 115-126, 1994)。
【0020】VEGFの類縁因子としては、これまでに
PlGF(Placental growth factor)(D, Maglione,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 9267-9271, 199
1),VEGF−B(B,Olofssonら, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA., 93, 2576-2581, 1996),VEGF−C
(J. Leeら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 93, 1988
-1992, 1996),VEGF−D(M,G, Achen, Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA., 95, 548-553, 1998),Pox Orf
VEGF (NZ2 and NZ7) (D,J, Lyttle, Journal ofVi
rology, 68, 84-92, 1994),PDGF−A(C, Betsho
ltzら, Nature, 320,695-699, 1986)、PDGF−B
(T. Collinsら, Nature, 316, 748-750, 1985.)が単
離されている。
【0021】PDGFは血小板中に存在し、主として間
葉系細胞に対する遊走・増殖刺激活性を有する因子とし
て1979年に精製された(Heldin.C.H.ら, Proceeding of
National Academy of Science USA, 76, 3722-3726, 1
979)。PDGFは、A鎖及びB鎖と呼ばれる2種類のポ
リペプチド鎖(各々の分子量は約3万)がジスルフィド
結合により二量体化した構造をとり、3種のアイソフォ
ームPDGF-AA, AB, BBの存在が報告されている。A
鎖(Betshotzs,C.ら, Nature, 320, 695-699, 198
6)及びB鎖(Collins, T.ら, Nature, 316, 748-750,
1985)のcDNAが単離され、これらの成熟型蛋白質で
は60%のアミノ酸相同性があり、構造及び活性の保持
に必要な8個のシステイン残基の位置は保存されている
(Claesson-Welsh, L., Journal of Biological Chemis
try, 269, 32023-32026, 1994)。PDGFは、生合成
の際、前駆体蛋白質よりA鎖はN末端部分、B鎖はN末
端及びC末端部分の切断を受け、成熟型蛋白質となる
(Claesson-Welsh, L., Journal of Biological Chemis
try, 269, 32023-32026, 1994)。PDGFの断片化、
アミノ酸残基の改変等によりPDGF阻害剤を作製する
ことが試みられ、PDGF−Bについては、116―1
21及び157―163に対応する13残基よりなるペ
プチドが、PDGF−BのPDGF受容体への結合を阻
害する活性を有することが報告されている(Engstrom,
U.ら, Journal of Biological Chemistry, 267, 16581-
16587, 1992)。
【0022】PDGFは創傷治癒に関係する細胞群、す
なわち、血小板のみならず、マクロファージ、平滑筋細
胞、内皮細胞、繊維芽細胞などからも分泌されること、
また細胞遊走・増殖刺激活性に加え、コラーゲンなどの
細胞外マトリクスの産生、リモデリングに働く酵素の産
生を促進することから、創傷治癒過程において重要な働
きをしていると考えられている(Ross, R.ら, Cell, 4
6, 155-169, 1986)。ウサギモデルにおいては、PDG
F投与により、皮膚の損傷の修復が促進されることが報
告されている(Pierceら, Journal of Cellular Bioche
mistry, 45, 319-326, 1991)。現在、PDGFは、神
経性下肢潰瘍、糖尿病性下肢潰瘍等の、創傷治癒が遅延
することにより生じる病態の治療薬として注目されてい
る。
【0023】動脈硬化病変形成初期では、損傷を受けた
動脈の内膜に集まった血小板及びマクロファージなどか
ら分泌されたPDGFが、中膜平滑筋細胞の内膜側への
遊走及び内膜での増殖を惹起し、病変を進展させると考
えられている(Ross,R.ら, Science, 248, 1009-1012,
1990)。さらに、PDGF抗体投与により、ラット動脈
硬化モデルで病態を抑制できたことが報告されている
(Ferns G.A.ら, Science, 253, 1129-1132, 1991)。
【0024】糸球体腎炎の発症・進展において、メサン
ギウム細胞は中心的役割を担っている。ヒトの糸球体腎
炎においてPDGFの発現が上昇していること(Matsud
a, M.ら, American Journal of Nephrology, 17, 25-3
1, 1997)、ラット腎炎モデルにPDGF中和抗体を投
与すると治療効果が認められること(Johnson, R.J.ら,
Journal of Experimental Medicine, 175, 1413-1416,
1992)が報告されている。
【0025】PDGF−B鎖はサル肉腫ウイルスv-sis
のプロトオンコジーンであることが判明し(Waterfiel
d, M.D.ら, Nature, 304, 35-39, 1983)、発ガン研究
の面からも注目されている。PDGFは26種の異なる
ヒト腫瘍由来の168種の細胞株がPDGFを発現して
いること、及びこれら癌細胞のオートクライン、パラク
ライン増殖因子である可能性があることが報告されてい
る(Potapova, O.ら, International Journal of Cance
r, 66, 669-677, 1996.)。
【0026】以上のように、VEGF/PDGFスーパ
ーファミリーに属する増殖因子は、固形腫瘍、腫瘍転移
等の異常な血管新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜
症、未熟児網膜症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等
の異常な血管新生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマ
チ等の異常な血管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常
な血管新生を伴う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow
−Fukuse症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血
管透過性の亢進を伴う疾患、動脈硬化等の平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患、糸球体腎炎等の腎メザンギウ
ム細胞の分化増殖異常を伴う疾患、貧血等の血液幹細胞
の分化増殖異常を伴う疾患、骨粗鬆症等の骨芽細胞の異
常に基づく疾患、糖尿病等の膵臓β細胞の異常に基づく
疾患、動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞
症等の虚血性疾患、神経性下肢潰瘍、糖尿病性下肢潰瘍
等の創傷治癒の遅延を伴う疾患に関与することが示され
ている。また、VEGF/PDGFスーパーファミリー
に属する増殖因子の活性を阻害できる抗体、アンチセン
スDNA等の阻害剤は、固形腫瘍や腫瘍転移等の異常な
血管新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網
膜症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等の異常な血管
新生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマチ等の異常な
血管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常な血管新生を
伴う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow−Fukus
e症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血管透過性の亢
進を伴う疾患、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化増殖異常
を伴う疾患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細胞の分化
増殖異常を伴う疾患を治療する活性が示されている。さ
らに、VEGF/PDGFスーパーファミリーに属する
増殖因子は、蛋白質又はそれをコードする遺伝子投与に
より、動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞
症等の虚血性疾患に対する血管新生療法、神経性下肢潰
瘍、糖尿病性下肢潰瘍等の疾患に対する創傷治癒促進療
法に有効であることが示されている。また、VEGF受
容体は、血液幹細胞、骨芽細胞、膵臓β細胞に発現し、
それら細胞の増殖分化に関与する可能性が報告されてお
り、貧血等の血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨
粗鬆症等の骨芽細胞の異常に基づく疾患、糖尿病等の膵
臓β細胞の異常に基づく疾患に対する治療薬になる可能
性が示唆されている。従って、VEGF/PDGFスー
パーファミリーに属する因子は有用な新薬開発のターゲ
ットとして非常に注目されている。VEGF/PDGF
スーパーファミリーに属する新規な因子が存在する可能
性も想起される。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固形
腫瘍や腫瘍転移等の異常な血管新生の亢進を伴う疾患、
糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄班変性症、血管
新生緑内症等の異常な血管新生に基づく眼の疾患、慢性
関節リュウマチ等の異常な血管新生に基づく関節炎、乾
せん等の異常な血管新生を伴う皮膚疾患、腹水癌、胸水
癌、Crow−Fukuse症候群、卵巣過敏症症候群
等の異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、動脈硬化等の
平滑筋細胞の分化増殖異常を伴う疾患、糸球体腎炎等の
腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患、貧血等
の血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨粗鬆症等の
骨芽細胞の異常に基づく疾患、糖尿病等の膵臓β細胞の
異常に基づく疾患、動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞、
末梢動脈閉塞症等の虚血性疾患、神経性下肢潰瘍、糖尿
病性下肢潰瘍等の創傷治癒の遅延を伴う疾患等の治療薬
の探索・開発に有用な、増殖因子としての活性を有する
蛋白質、該蛋白質をコードするDNA、該蛋白質を認識
する抗体、及びこれらの利用方法を提供することにあ
る。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、新規なVEGF/
PDGF様因子及び該因子をコードするDNAを取得す
ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0029】すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5
8)に関する。 (1) 配列番号1で示されるアミノ酸配列を含む蛋白
質。 (2) 配列番号1で示されるアミノ酸配列において1
以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配
列を含み、かつ(1)記載の蛋白質の有する増殖因子と
しての活性を有する蛋白質。 (3) 配列番号1で示されるアミノ酸配列と60%以
上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ(1)記
載の蛋白質の有する増殖因子としての活性を有する蛋白
質。 (4) 配列番号1で示されるアミノ酸配列の部分配列
を含み、VEGF/PDGFスーパーファミリーに属す
る因子間で保存されている8個のシステイン残基を含
み、かつ(1)記載の蛋白質の有する増殖因子としての
活性を有する蛋白質。 (5) 配列番号1で示されるアミノ酸配列の部分配列
において1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加された
アミノ酸配列を含み、VEGF/PDGFスーパーファ
ミリーに属する因子間で保存されている8個のシステイ
ン残基を含み、かつ(1)記載の蛋白質の有する増殖因
子としての活性を有する蛋白質。
【0030】(6) 配列番号1で示されるアミノ酸配
列においてN末から少なくとも226番目までのアミノ
酸が欠失されたアミノ酸配列を含み、かつ(1)記載の
蛋白質の有する増殖因子としての活性を有する蛋白質。 (7) 配列番号32で示されるアミノ酸配列を含む蛋
白質。 (8) 配列番号33で示されるアミノ酸配列を含む蛋
白質。 (9) 蛋白質の有する増殖因子としての活性が平滑筋
細胞に対する増殖促進活性である(1)〜(8)のいず
れか一つに記載の蛋白質。 (10) 平滑筋細胞が、ラット由来である(9)に記
載の蛋白質。
【0031】(11) 配列番号1で示されるアミノ酸
配列の部分配列を含み、かつ(1)記載の蛋白質の有す
る増殖因子としての活性を阻害する活性を有する蛋白
質。 (12) 配列番号1で示されるアミノ酸配列の部分配
列において1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加され
たアミノ酸配列を含み、かつ(1)記載の蛋白質の有す
る増殖因子としての活性を阻害する活性を有する蛋白
質。 (13) (1)〜(10)のいずれか一つに記載の蛋
白質をコードするDNA。 (14) (11)又は(12)記載の蛋白質をコード
するDNA。 (15) 配列番号2で示される塩基配列を含むDN
A。
【0032】(16) (13)又は(15)記載のD
NAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、
かつ(1)記載の蛋白質の有する増殖因子としての活性
を有する蛋白質をコードするDNA。 (17) (14)記載のDNAとストリンジェントな
条件下でハイブリダイズし、かつ(1)記載の蛋白質の
有する増殖因子としての活性を阻害する活性を有する蛋
白質をコードするDNA。 (18) Escherichia coli DH10B/NT2RP4000328(F
ERM BP−6686)及びEscherichia coli DH10B
/OVARC1001401(FERM BP−6687)に含有さ
れるプラスミドに含まれ、かつ(1)記載の蛋白質の有
する増殖因子としての活性を有する蛋白質をコードする
DNA。 (19) (13)〜(18)のいずれか一つに記載の
DNAを含有してなる組換えベクター。 (20) (19)記載の組換えベクターを宿主細胞に
導入して得られる形質転換体。
【0033】(21) (20)記載の形質転換体を培
地に培養することにより培養物中に(1)〜(12)の
いずれか一つに記載の蛋白質を生産蓄積させ、該培養物
から該蛋白質を採取することを特徴とする蛋白質の製造
方法。 (22) (1)〜(12)のいずれか一つに記載の蛋
白質、好ましくは(1)〜(10)のいずれか一つに記
載の蛋白質、を認識する抗体。 (23) 抗体が配列番号29で表されるアミノ酸配列
を有するペプチドを認識する(22)記載の抗体。 (24) 抗体がハイブリドーマKM2676(FER
M BP−7137)により生産される抗体である(2
2)又は(23)記載の抗体。 (25) (24)記載の抗体を生産するハイブリドー
マKM2676(FERM BP−7137)。
【0034】(26) (13)〜(18)のいずれか
一つに記載のDNAの塩基配列中の連続した5〜60塩
基からなる配列を含むオリゴヌクレオチド又は該オリゴ
ヌクレオチドと相補的な配列を含むオリゴヌクレオチ
ド。 (27) (13)〜(18)のいずれか一つに記載の
DNAを用いるハイブリダイゼーション法により、
(1)〜(12)のいずれか一つに記載の蛋白質をコー
ドする遺伝子の発現を検出する方法。 (28) (26)記載のオリゴヌクレオチドを用いる
ポリメラーゼ連鎖反応により、(1)〜(12)のいず
れか一つに記載の蛋白質をコードする遺伝子の発現を検
出する方法。 (29) (13)〜(18)のいずれか一つに記載の
DNAを用いるハイブリダイゼーション法により、
(1)〜(12)のいずれか一つに記載の蛋白質をコー
ドする遺伝子の変異を検出する方法。 (30) (26)記載のオリゴヌクレオチドを用いる
ポリメラーゼ連鎖反応により、(1)〜(12)のいず
れか一つに記載の蛋白質をコードする遺伝子の変異を検
出する方法。
【0035】(31) (27)〜(30)のいずれか
一つに記載の方法を用いて、異常な血管新生の亢進を伴
う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管
新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、
異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化
増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異
常を伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、
骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づ
く疾患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患から
なる群より選択される少なくとも1種の疾患を検出する
方法。
【0036】(32) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であ
り、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であ
り、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵
臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾
患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞
症からなる群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患
が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より
選択される(31)記載の方法。
【0037】(33) (13)〜(18)のいずれか
一つに記載のDNAを用いることを特徴とする、(1)
〜(12)のいずれか一つに記載の蛋白質をコードする
遺伝子の転写を抑制する方法。 (34) (26)記載のオリゴヌクレオチドを用いる
ことを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか一つに
記載の蛋白質をコードする遺伝子の転写を抑制する方
法。 (35) (13)〜(18)のいずれか一つに記載の
DNAを用いることを特徴とする、(1)〜(12)の
いずれか一つに記載の蛋白質をコードするmRNAの翻
訳を抑制する方法。 (36) (26)記載のオリゴヌクレオチドを用いる
ことを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか一つに
記載の蛋白質をコードするmRNAの翻訳を抑制する方
法。 (37) (13)〜(18)のいずれか一つに記載の
DNAを用いることを特徴とする、(1)〜(12)の
いずれか一つに記載の蛋白質をコードする遺伝子のプロ
モーター領域を取得する方法。 (38) (26)記載のオリゴヌクレオチドを用いる
ことを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか一つに
記載の蛋白質をコードする遺伝子のプロモーター領域を
取得する方法。
【0038】(39) (13)〜(18)のいずれか
一つに記載のDNAを含有する、異常な血管新生の亢進
を伴う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な
血管新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾
患、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増
殖異常を伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に
基づく疾患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患
からなる群より選択される少なくとも一種の疾患の診断
薬。
【0039】(40) (26)記載のオリゴヌクレオ
チドを含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、異
常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基づ
く関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血管
透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常を
伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽細胞の
異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾患、虚
血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる群より
選択される少なくとも一種の疾患の診断薬。
【0040】(41) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であ
り、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であ
り、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵
臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾
患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞
症からなる群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患
が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より
選択される(39)記載の診断薬。
【0041】(42) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であ
り、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であ
り、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵
臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾
患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞
症からなる群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患
が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より
選択される(40)記載の診断薬。
【0042】(43) (13)〜(18)のいずれか
一つに記載のDNAを含有する医薬。 (44) (26)記載のオリゴヌクレオチドを含有す
る医薬。 (45) (13)〜(18)のいずれか一つに記載の
DNAを含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、
異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基
づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血
管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常
を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う
疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽細胞
の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾患、
虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる群よ
り選択される少なくとも1種の疾患の治療薬。
【0043】(46) (26)記載のオリゴヌクレオ
チドを含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、異
常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基づ
く関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血管
透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常を
伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽細胞の
異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾患、虚
血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる群より
選択される少なくとも1種の疾患の治療薬。
【0044】(47) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であ
り、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であ
り、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵
臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾
患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞
症からなる群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患
が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より
選択される(45)記載の治療薬。
【0045】(48) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であ
り、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であ
り、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵
臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾
患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞
症からなる群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患
が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より
選択される(46)記載の治療薬。
【0046】(49) (1)〜(12)のいずれか一
つに記載の蛋白質を含有する、異常な血管新生の亢進を
伴う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血
管新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾
患、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増
殖異常を伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に
基づく疾患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患
からなる群より選択される少なくとも1種の疾患の診断
薬。
【0047】(50) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であ
り、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であ
り、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵
臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾
患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞
症からなる群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患
が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より
選択される(49)記載の診断薬。
【0048】(51) (1)〜(12)のいずれか一
つに記載の蛋白質を含有する医薬。 (52) (1)〜(10)のいずれか一つに記載の蛋
白質を含有する、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に
基づく疾患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患
からなる群より選択される少なくとも1種の疾患の治療
薬。 (53) (11)又は(12)記載の蛋白質を含有す
る、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、異常な血管新生
に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基づく関節炎、異
常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血管透過性の亢進
を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常を伴う疾患及び
腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患からなる
群より選択される少なくとも1種の疾患の治療薬。
【0049】(54) 血液幹細胞の分化増殖異常を伴
う疾患が貧血であり、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨
粗鬆症であり、膵臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病
であり、虚血性疾患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞
及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択され、創傷治癒
の遅延を伴う疾患が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰
瘍からなる群より選択される(52)記載の治療薬。 (55) 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固形腫瘍
及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血管新生
に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加
齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より選択さ
れ、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リュウマ
チであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せんであ
り、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水癌、胸水
癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過敏症症候
群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化増殖異常
を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム細胞の分
化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎である(53)記載
の治療薬。
【0050】(56) (1)〜(12)のいずれか一
つに記載の蛋白質を用いることを特徴とする、該蛋白質
と特異的に結合する受容体のスクリーニング方法。 (57) (56)記載の方法により取得される受容
体。 (58) (22)〜(25)のいずれか一つに記載の
抗体を用いることを特徴とする、(1)〜(12)のい
ずれか一つに記載の蛋白質の免疫学的検出法。 (59) (22)〜(25)のいずれか一つに記載の
抗体を用いて(1)〜(12)のいずれか一つに記載の
蛋白質を検出することを特徴とする免疫組織染色法。
【0051】(60) (22)〜(25)のいずれか
一つに記載の抗体を含有する、異常な血管新生の亢進を
伴う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血
管新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾
患、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増
殖異常を伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に
基づく疾患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患
からなる群より選択される少なくとも1種の疾患の診断
薬。
【0052】(61) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であ
り、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であ
り、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵
臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾
患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞
症からなる群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患
が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より
選択される(60)記載の診断薬。
【0053】(62) (22)〜(25)のいずれか
一つに記載の抗体を含有する医薬。 (63) (22)〜(25)のいずれか一つに記載の
抗体を含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、異
常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基づ
く関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血管
透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常を
伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾
患からなる群より選択される少なくとも1種の疾患の治
療薬。
【0054】(64) 異常な血管新生の亢進を伴う疾
患が固形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異
常な血管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる
群より選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性
関節リュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患
が乾せんであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が
腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵
巣過敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の
分化増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギ
ウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎である
(63)記載の治療薬。 (65) (1)〜(12)のいずれか一つに記載の蛋
白質をコードする遺伝子の発現が部分的に又は完全に抑
制されたノックアウト非ヒト動物。 (66) (1)〜(12)のいずれか一つに記載の蛋
白質の有する活性が部分的に又は完全に抑制されたノッ
クアウト非ヒト動物。
【0055】
【発明の実施の形態】本発明の蛋白質としては、配列番
号1で示されるアミノ酸配列を含む蛋白質である新規な
VEGF/PDGF様因子(Novel VEGF/PDGF-Like Fac
tor、以下「VPLF」という)、配列番号1で示され
るアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換
又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ該蛋白質の有
する増殖因子としての活性を有する蛋白質、並びに配列
番号1で示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を
有するアミノ酸配列を含み、かつ該蛋白質の有する増殖
因子としての活性を有する蛋白質を挙げることができ
る。
【0056】本発明の蛋白質としては、さらに、配列番
号1で示されるアミノ酸配列の部分配列を含み、VEG
F/PDGFスーパーファミリーに属する因子間で保存
されている8個のシステイン残基を含み、かつ上記VP
LFの有する増殖因子としての活性を有する蛋白質、配
列番号1で示されるアミノ酸配列の部分配列において1
以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配
列を含み、VEGF/PDGFスーパーファミリーに属
する因子間で保存されている8個のシステイン残基を含
み、かつ上記VPLFの有する増殖因子としての活性を
有する蛋白質を挙げることができる。上記部分配列とし
ては、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列にお
いてN末端配列が欠失したアミノ酸配列を挙げることが
でき、より具体的には、配列番号1で示されるアミノ酸
配列において227番目のフェニルアラニンから345
番目のグリシンまでのアミノ酸配列を挙げることができ
る。また、このような蛋白質としては、例えば、配列番
号1で示されるアミノ酸配列において227番目のフェ
ニルアラニンから345番目のグリシンまでのアミノ酸
配列を含み、N末端に4アミノ酸(Asp-Pro-Ser-Pro:
配列番号34)が付加されたアミノ酸配列(配列番号3
2)を有する蛋白質、または、2アミノ酸(Ser-Pro)
が付加されたアミノ酸配列(配列番号33)を有する蛋
白質を挙げることができる。
【0057】本発明の蛋白質は、増殖因子としての活性
を有することを特徴とする蛋白質である。本発明の蛋白
質は、血管内皮細胞の増殖促進活性、遊走促進活性、チ
ューブ形成促進活性、プロテアーゼ産生促進活性、血管
新生促進活性、血管透過性亢進活性、血管血液幹細胞の
分化・増殖促進活性、単球の遊走促進活性、樹状細胞の
成熟阻害活性、平滑筋細胞を含む間葉系細胞に対する遊
走・増殖促進活性等の増殖因子としての活性を有し、特
に好ましくは、平滑筋細胞に対する増殖促進活性を有す
る。
【0058】配列番号1で示されるアミノ酸配列におい
て1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ
酸配列を含み、かつ該蛋白質の有する増殖因子としての
活性を有する蛋白質は、Molecular Cloning, A Laborat
ory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Lab
oratory Press (1989)(以下、「モレキュラー・クロー
ニング第2版」という)、Current Protocols in Molec
ular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以
下、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー
・バイオロジー」という)、Nucleic Acids Research,
10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci., USA,79, 6
409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Res
earch, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci USA,
82, 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用い
て、例えば配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する
蛋白質(以下「配列番号1のVPLF」という)をコー
ドするDNAに部位特異的変異を導入することにより得
ることができる。欠失、置換又は付加されるアミノ酸の
数は特に限定されないが、好ましくは1個〜数十個、例
えば、1〜20個、より好ましくは1個〜数個、例え
ば、1〜5個のアミノ酸である。また、本発明の蛋白質
が増殖因子としての機能を有するためには、配列番号1
記載のアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を
有することが好ましく、より好ましくは80%以上、さ
らに好ましくは95%以上の相同性を有する。さらに、
このようなアミノ酸の欠失、置換又は付加を導入した場
合においても、VEGF/PDGFスーパーファミリー
に属する因子間で保存されている8個のシステイン残基
を含んでいることが好ましい。
【0059】配列番号1で示されるアミノ酸配列の部分
配列を含む蛋白質は、当業者に公知の方法によって作製
することができ、例えば、配列番号1で示されるアミノ
酸配列をコードするDNAの一部を欠失させ、これを含
む発現ベクターを導入した形質転換体を培養することに
より作製することができる。また、こうして作製される
蛋白質又はDNAに基づいて、上記と同様の方法によ
り、配列番号1で示されるアミノ酸配列の部分配列にお
いて1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミ
ノ酸配列を含む蛋白質を得ることができる。
【0060】本発明のDNAは本発明の蛋白質をコード
するDNAであり、例えば配列番号1のVPLFをコー
ドするDNAとして、配列番号2で示される塩基配列を
有するDNAが挙げられるが、これに限定されない。一
般に1つのアミノ酸に対して複数種の遺伝暗号が存在す
るため、配列番号2とは異なる塩基配列を有するDNA
であっても、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコー
ドするものであれば本発明のDNAに含まれる。さら
に、本発明の蛋白質のアミノ酸配列は、上述のような配
列番号1以外のものであってもよいため、それらの蛋白
質をコードするDNAも本発明のDNAに含まれる。本
発明のDNAとしては、本発明の蛋白質をコードするD
NA、配列番号2で示される塩基配列を有するDNA、
及び該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズするDNAを挙げることができる。
【0061】ストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズするDNAとは、配列番号2で示される塩基配列を有
するDNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイ
ゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、
サザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いるこ
とにより得られるDNAを意味し、具体的には、コロニ
ー又はプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを
用いて、0.7〜1.0Mの塩化ナトリウム存在下、6
5℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2
倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、
150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウ
ムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄
することにより同定できるDNAを挙げることができ
る。ハイブリダイゼーションは、モレキュラー・クロー
ニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレ
キュラー・バイオロジー、DNA Cloning 1: Core Techni
ques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford
University (1995)等に記載されている方法に準じて行
うことができる。より具体的には、ハイブリダイズ可能
なDNAとしては、配列番号2で示される塩基配列と少
なくとも60%以上の相同性を有するDNA、好ましく
は80%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましく
は95%以上の相同性を有するDNAを挙げることがで
きる。
【0062】本明細書において使用したアミノ酸および
その保護基に関する略号は、生化学命名に関するIUP
AC−IUB委員会(IUPAC-IUB Joint Commission on
Biochemical Nomenclature)の勧告[European Journal
of Biochemistry,138,p.9, 1984]に従った。
【0063】次に示す略号は、特に断わらない限り対応
する次のアミノ酸を表す;Ala: L-アラニン;Arg: L-ア
ルギニン;Asn: L-アスパラギン;Asp: L-アスパラギン
酸;Asx: L-アスパラギン酸又はL-アスパラギン;Cys:
L-システイン;Gln: L-グルタミン;Glu: L-グルタミン
酸;Glx: L-グルタミン酸又はL-グルタミン;Gly:グリ
シン;Ile: L-イソロイシン;Leu: L-ロイシン;Lys: L
-リジン;Phe: L-フェニルアラニン;Pro: L-プロリ
ン;Ser: L-セリン;Thr: L-スレオニン;Trp: L-トリ
プトファン。
【0064】また、次に示す略号は、対応する次のアミ
ノ酸の保護基および側鎖保護アミノ酸を表す;Fmoc: 9-
フルオレニルメチルオキシカルボニル;tBu: t-ブチ
ル;Trt: トリチル;Pmc: 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロ
マン-6-スルホニル;Boc: t-ブチルオキシカルボニル;
Fmoc-Arg(Pmc)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-Ng-2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スル
ホニル-L-アルギニン;Fmoc-Asn(Trt)-OH: Nα-9-フル
オレニルメチルオキシカルボニル-Nγ-トリチル-L-アス
パラギン;Fmoc-Asp(OtBu)-OH: Nα-9-フルオレニルメ
チルオキシカルボニル-L-アスパラギン酸-β-t-ブチル
エステル;Fmoc-Cys(Trt)-OH: Nα-9-フルオレニルメチ
ルオキシカルボニル-S-トリチル-L-システイン;Fmoc-G
ln(Trt)-OH:Nα-9-フルオレニルメチルオキシカルボニ
ル-Nε-トリチル-L-グルタミン;Fmoc-Glu(OtBu)-OH: N
α−9−フルオレニルメチルオキシカルボニル-L-グルタ
ミン酸-γ-t-ブチルエステル;Fmoc-Lys(Boc)-OH: Nα-
9-フルオレニルメチルオキシカルボニル-Nε-t-ブチル
オキシカルボニル-L-リジン;Fmoc-Ser(tBu)-OH: Nα-9
-フルオレニルメチルオキシカルボニル-O-t-ブチル-L-
セリン;Fmoc-Thr(tBu)-OH: Nα-9-フルオレニルメチル
オキシカルボニル-O-t-ブチル-L-スレオニン;Fmoc-Trp
(Boc)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
-Nind-t-ブチルオキシカルボニル-L-トリプトファン。
【0065】さらに、次に示す略号は、対応する次の反
応溶媒、反応試薬等を表す;HBTU:2-(1H-ベンゾトリア
ゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム・ヘ
キサフルオロホスフェート;DIPC: N,N'-ジイソプロピ
ルカルボジイミド;HOBt: N-ヒドロキシベンゾトリアゾ
ール;DMF: N,N-ジメチルホルムアミド;NMP: N-メチル
ピロリドン;TFA: トリフルオロ酢酸;DIEA: ジイソプ
ロピルエチルアミン。
【0066】本明細書に記載される相同性の数値は、特
に明示した場合を除き、当業者に公知の相同性検索プロ
グラムを用いて算出される数値であってよいが、塩基配
列については、好ましくはBLASTにおいてデフォル
ト(初期設定)のパラメータを用いて算出される数値、
アミノ酸配列については、好ましくはBLAST2にお
いてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いて算出
される数値である。
【0067】以下、本発明を詳細に説明する。 1.本発明のDNAの調製 本発明のDNAは、ヒト卵巣又は精巣由来のmRNAを
単離し、そのcDNAライブラリーを作製し、次いで該
cDNAライブラリーをスクリーニングして目的のクロ
ーンを得ることにより調製することができる。
【0068】ヒト卵巣又は精巣mRNAは、市販のもの
(例えば、Clontech社製)を用いてもよいし、以下のご
とくヒト卵巣若しくは卵巣癌組織(以下、「卵巣由来組
織」という)又はヒト精巣若しくはヒト胎児精巣由来テ
ラトカルシノーマ(以下、「精巣由来組織」という)か
ら調製してもよい。後者の場合には、まず卵巣由来組織
又は精巣由来組織から全RNAを調製し、該全RNAか
らmRNAを単離することができる。
【0069】卵巣由来組織又は精巣由来組織から全RN
Aを調製する方法としては、チオシアン酸グアニジン−
トリフルオロ酢酸セシウム法[Methods in Enzymology,
154,3 (1987)]、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノ
ール・クロロホルム(AGPC)法[Analytical Bioch
emistry, 162, 156 (1987)、実験医学、9, 1937 (199
1)]等が挙げられる。全RNAからpoly(A)+
NAとしてmRNAを単離する方法としては、オリゴ
(dT)固定化セルロースカラム法(モレキュラー・ク
ローニング第2版)等が挙げられる。あるいは、Fast T
rack mRNA Isolation Kit(Invitrogen社)、Quick Pre
p mRNA Purification Kit(Pharmacia社)等のキットを
用いることによりmRNAを調製することができる。
【0070】調製したヒト卵巣由来組織又は精巣由来組
織mRNAからcDNAライブラリーを作製する。cD
NAライブラリー作製法としては、モレキュラー・クロ
ーニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モ
レキュラー・バイオロジー、A Laboratory Manual, 2 n
d Ed.(1989)等に記載された方法、又は市販のキット、
例えば、SuperScript Plasmid System for cDNA Synthe
sis and Plasmid Cloning(Life Technologies社)、ZA
P-cDNA Synthesis Kit(STRATAGENE社)等を用いる方法
などが挙げられる。
【0071】cDNAライブラリーを作製するためのク
ローニングベクターとしては、大腸菌K12株中で自立複
製できるものであれば、ファージベクター、プラスミド
ベクター等、いずれのものでも使用できる。具体的に
は、ZAP Express[STRATAGENE社、Strategies, 5, 58
(1992)]、pBluescript II SK(+)[Nucleic Acids Rese
arch, 17, 9494 (1989)]、Lambda ZAP II(STRATAGENE
社)、λgt10、λgt11[DNA cloning, A Practical App
roach,1, 49 (1985)]、λTriplEx(Clontech社)、λE
xCell(Pharmacia社)、pT7T318U(Pharmacia社)、pcD
2[Mol. Cell. Biol., 3, 280 (1983)]及びpUC18[Gen
e, 33, 103 (1985)]等を挙げることができる。
【0072】宿主微生物としては、エシェリヒア属(Es
cherichia)に属する微生物、特にエシェリヒア・コリ
Escherichia coli、以下「大腸菌」という)に属する
微生物であればいずれでも用いることができる。具体的
には、大腸菌 XL1-Blue MRF'[STRATAGENE社、Strategi
es, 5, 81 (1992)]、大腸菌 C600[Genetics, 39, 440
(1954)]、大腸菌 Y1088[Science,222, 778 (198
3)]、大腸菌 Y1090[Science,222, 778 (1983)]、大
腸菌 NM522[J. Mol. Biol.,166, 1 (1983)]、大腸菌
K802[J. Mol. Biol.,16, 118 (1966)]及び大腸菌 JM1
05[Gene, 38, 275 (1985)]等が用いられる。
【0073】このcDNAライブラリーを、そのまま以
降のスクリーニングに用いてもよいが、不完全長cDN
Aの割合を下げ、完全長cDNAをできるだけ効率よく
取得するために、菅野らが開発したオリゴキャップ法
[Gene, 138, 171 (1994);Gene, 200, 149 (1997);蛋
白質核酸酵素, 41, 603 (1996);実験医学, 11, 2491
(1993);cDNAクローニング、羊土社 (1996);遺伝
子ライブラリーの作製法、羊土社 (1994)]を用いて調
製したcDNAライブラリーを以下のスクリーニングに
用いてもよい。
【0074】cDNAライブラリーのスクリーニング
は、まず該ライブラリーに含まれる全クローンの塩基配
列決定を行い、次いでそれぞれの塩基配列を既知の配列
と比較することにより行う。上記全クローンの塩基配列
決定は、上述のようにして作製したcDNAライブラリ
ーから各クローンを単離し、それぞれのクローンについ
てcDNAの塩基配列を末端から決定することにより行
うことができる。cDNAライブラリーからの各クロー
ンの単離は、当業者に公知の方法、例えば、単一コロニ
ー単離法(モレキュラー・クローニング第2版)等によ
り行うことができる。また、各クローンの塩基配列決定
は、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばSangerら
のジデオキシ法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 54
63 (1977)]により、又はABIPRISM377DN
Aシークエンサー(PE Biosystems社製)等の塩基配列
分析装置を用いて分析することにより行うことができ
る。
【0075】次いで、各クローンの塩基配列を既知の配
列と比較する。それぞれのcDNAの塩基配列が新規な
配列かどうかは、BLAST等の相同性検索プログラム
を用いて、GenBank、EMBL及びDDBJなど
の塩基配列データベースを検索することにより、データ
ベース中の既存の遺伝子の塩基配列と一致すると考えら
れるような明らかな相同性を示す塩基配列がないことに
より確認できる。このような方法で得られる新規なDN
Aの塩基配列として、例えば、配列番号2で示される塩
基配列が挙げられる。
【0076】配列番号2で示される塩基配列からなるD
NAを翻訳して得られるVPLFのアミノ酸配列(配列
番号1)は、BLAST2を用いた相同性解析におい
て、VEGFファミリーに属するヒトVEGF、ヒトV
EGF−B、ヒトVEGF−C、ヒトVEGF−D及び
ヒトPlGFのアミノ酸配列、並びにPDGFファミリ
ーに属するヒトPDGF−A及びヒトPDGF−Bのア
ミノ酸配列と、それぞれ29%、29%、25%、29
%、26%、36%及び28%の相同性を有する。ま
た、同じVEGF/PDGFスーパーファミリーに属す
るOrfウイルスのNZ2及びNZ7のアミノ酸配列と
も、それぞれ29%及び30%の相同性を有する。
【0077】VEGF/PDGFスーパーファミリーに
おいては、ダイマー間のジスルフィド結合形成、蛋白質
分子内のジスルフィド結合形成、及び活性発現に重要な
8個のシステイン残基が存在し(Journal of Biologica
l Chemistry, 269, 32879-32885, 1994)、これら8個
のシステイン残基は、VEGF/PDGFスーパーファ
ミリーに属する因子間で保存されていることが知られて
いる。配列番号1で示されるアミノ酸配列においても、
該モチーフを形成するために必須なシステイン残基の位
置と数が完全に保存されている。従って、配列番号1の
VPLFがVEGF/PDGFスーパーファミリーに属
する増殖因子としての活性を有することは明白である。
【0078】VEGF/PDGFスーパーファミリーに
属する増殖因子は、固形腫瘍、腫瘍転移等の異常な血管
新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜
症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等の異常な血管新
生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマチ等の異常な血
管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常な血管新生を伴
う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse
症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血管透過性の亢進
を伴う疾患、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化増殖異常を
伴う疾患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細胞の分化増
殖異常を伴う疾患、貧血等の血液幹細胞の分化増殖異常
を伴う疾患、骨粗鬆症等の骨芽細胞の異常に基づく疾
患、糖尿病等の膵臓β細胞の異常に基づく疾患、動脈硬
化、脳梗塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞症等の虚血性
疾患、神経性下肢潰瘍、糖尿病性下肢潰瘍等の創傷治癒
の遅延を伴う疾患に関与することが示されている。ま
た、VEGF/PDGFスーパーファミリーに属する増
殖因子の活性を阻害できる抗体、アンチセンスDNA等
の阻害剤は、固形腫瘍や腫瘍転移等の異常な血管新生の
亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢
黄班変性症、血管新生緑内症等の異常な血管新生に基づ
く眼の疾患、慢性関節リュウマチ等の異常な血管新生に
基づく関節炎、乾せん等の異常な血管新生を伴う皮膚疾
患、腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群、
卵巣過敏症症候群等の異常な血管透過性の亢進を伴う疾
患、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細胞の分化増殖異常
を伴う疾患を治療する活性が示されている。さらに、V
EGF/PDGFスーパーファミリーに属する増殖因子
は、蛋白質又はそれをコードする遺伝子投与により、動
脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞症等の虚
血性疾患に対する血管新生療法、神経性下肢潰瘍、糖尿
病性下肢潰瘍等の疾患に対する創傷治癒促進療法に有効
であることが示されている。また、VEGF受容体は、
血液幹細胞、骨芽細胞、膵臓β細胞に発現し、それら細
胞の増殖分化に関与する可能性が報告されており、貧血
等の血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨粗鬆症等
の骨芽細胞の異常に基づく疾患、糖尿病等の膵臓β細胞
の異常に基づく疾患に対する治療薬になる可能性が示唆
されている。従って、VEGF/PDGFスーパーファ
ミリーに属するVPLFは、固形腫瘍や腫瘍転移等の異
常な血管新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜症、未熟
児網膜症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等の異常な
血管新生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマチ等の異
常な血管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常な血管新
生を伴う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow−Fuk
use症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血管透過性
の亢進を伴う疾患、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化増殖
異常を伴う疾患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細胞の
分化増殖異常を伴う疾患、貧血等の血液幹細胞の分化増
殖異常を伴う疾患、骨粗鬆症等の骨芽細胞の異常に基づ
く疾患、糖尿病等の膵臓β細胞の異常に基づく疾患、動
脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞症等の虚
血性疾患、神経性下肢潰瘍、糖尿病性下肢潰瘍等の創傷
治癒の遅延を伴う疾患の診断薬になりうる。また、VP
LFの増殖因子の活性を阻害できる抗体、アンチセンス
DNA等の阻害剤は、固形腫瘍や腫瘍転移等の異常な血
管新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜
症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等の異常な血管新
生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマチ等の異常な血
管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常な血管新生を伴
う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow−Fukuse
症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血管透過性の亢進
を伴う疾患、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化増殖異常を
伴う疾患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細胞の分化増
殖異常を伴う疾患の治療薬となりうる。さらに、VPL
F蛋白質あるいはコードする遺伝子投与により、貧血等
の血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨粗鬆症等の
骨芽細胞の異常に基づく疾患、糖尿病等の膵臓β細胞の
異常に基づく疾患、動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞、
末梢動脈閉塞症等の虚血性疾患、神経性下肢潰瘍、糖尿
病性下肢潰瘍等の創傷治癒の遅延を伴う疾患の治療薬と
なりうる。
【0079】配列番号2で示される塩基配列からなるD
NAが一旦取得され、その塩基配列が決定された後は、
該塩基配列の5'端及び3'端の塩基配列に基づいて設計し
たプライマーを調製し、ヒト又は非ヒト動物の卵巣、精
巣等の組織又は細胞に含まれるmRNAから合成したc
DNA又はcDNAライブラリーを鋳型として、PCR
法[PCR Protocols, Academic Press (1990)]を用いて
DNAの増幅を行うことにより、本発明のDNAを取得
することができる。
【0080】また、配列番号2で示されるDNAの全長
又は一部をプローブとして、ヒト又は非ヒト動物の卵
巣、精巣等の組織又は細胞に含まれるmRNAから合成
したcDNA又はcDNAライブラリー対してコロニー
ハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーシ
ョン(モレキュラー・クローニング第2版)等を行うこ
とにより、本発明のDNAを取得することができる。
【0081】あるいは、決定されたDNAの塩基配列に
基づいて、ホスホアミダイト法を利用したパーキン・エ
ルマー社のDNA合成機model 392等のDNA合成機で
化学合成することにより、本発明のDNAを取得するこ
ともできる。
【0082】取得したDNAについて、該DNAを含む
組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換
体を用いて蛋白質を発現させることにより、又は該DN
Aがコードするアミノ酸配列とVEGF、VEGF−
B、VEGF−C、VEGF−D、PDGF−A、PD
GF−B、PlGF、NZ2若しくはNZ7のアミノ酸
配列との相同性を比較することにより、該DNAが増殖
因子としての活性を有する蛋白質をコードするDNAで
あることを確認することができる。
【0083】上記DNA又はDNAの一部断片の塩基配
列に関する情報に基づき、常法又はDNA合成機を用い
ることにより、本発明のDNAの塩基配列、例えば配列
番号2で示される塩基配列のうち、連続した5〜60塩
基、好ましくは10〜40塩基に相当する配列を有する
オリゴヌクレオチド又は該オリゴヌクレオチドと相補的
な配列に相当するオリゴヌクレオチド(以下、「アンチ
センス・オリゴヌクレオチド」という)を調製すること
がきる。
【0084】本発明のオリゴヌクレオチドとしては、オ
リゴDNA、オリゴRNA等のオリゴヌクレオチド、及
び該オリゴヌクレオチドの誘導体(以下、「誘導体オリ
ゴヌクレオチド」という)等が挙げられる。
【0085】該オリゴヌクレオチド又はアンチセンス・
オリゴヌクレオチドとして、例えば、検出したいmRN
Aの一部の塩基配列において、5'末端側の塩基配列に相
当するセンスプライマー、3'末端側の塩基配列と相補的
な塩基配列を有するアンチセンスプライマー等を挙げる
ことができる。この場合において、mRNAにおいてウ
ラシルに相当する塩基は、オリゴヌクレオチドプライマ
ーにおいてはチミンとなる。
【0086】センスプライマー及びアンチセンスプライ
マーとしては、両者の融解温度(Tm)及び塩基数が極
端に変わることのないオリゴヌクレオチドで、塩基数が
5〜60塩基、好ましくは10〜50塩基のものが挙げ
られる。
【0087】誘導体オリゴヌクレオチドとしては、例え
ば、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホ
スホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレ
オチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合
がN3'−P5'ホスホアミデート結合に変換された誘導
体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボー
スとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換さ
れた誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中
のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘
導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラ
シルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オ
リゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンが
C−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌ
クレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノ
キサジン修飾シトシン(phenoxazine-modified cytosin
e)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌ
クレオチド中のリボースが2'−O−プロピルリボース
で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、及びオリゴヌ
クレオチド中のリボースが2'−メトキシエトキシリボ
ースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドが挙げられ
る[細胞工学, 16,1463 (1997)]。
【0088】2.本発明の蛋白質の製造 本発明の蛋白質は、モレキュラー・クローニング第2版
やカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バ
イオロジー等に記載された方法等を用い、例えば以下の
方法により、本発明のDNAを宿主細胞中で発現させ
て、製造することができる。
【0089】まず、全長cDNAを適当な発現ベクター
のプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベ
クターを作製する。この際、もし必要であれば、全長c
DNAをもとにして本発明の蛋白質をコードする部分を
含む適当な長さのDNA断片を調製し、上記全長cDN
Aの代わりに該DNA断片を使用してもよい。次いで、
該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細
胞に導入することにより、本発明の蛋白質を生産する形
質転換体を得ることができる。
【0090】宿主細胞としては、細菌、酵母、動物細
胞、昆虫細胞、植物細胞等、目的とする遺伝子を発現で
きるものであればいずれをも用いることができる。発現
ベクターとしては、使用する宿主細胞において自立複製
可能又は染色体中への組込が可能で、本発明のDNAを
転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用
いられる。
【0091】細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる
場合には、本発明の蛋白質をコードするDNAを含有し
てなる組換えベクターは、原核生物中で自立複製可能で
あると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本
発明のDNA及び転写終結配列を含むベクターであるこ
とが好ましい。該組換えベクターは、さらに、プロモー
ターを制御する遺伝子を含んでいてもよい。
【0092】発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、
pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社よ
り市販)、pKK233-2(Pharmacia社)、pSE280(Invitro
gen社)、pGEMEX-1(Promega社)、pQE-8(QIAGEN
社)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200[Agricult
ural Biological Chemistry,48, 669 (1984)]、pLSA1
[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1[Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA,82, 4306 (1985)]、pBluesc
ript II SK(-)(Stratagene社)、pTrs30[大腸菌JM109
/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]、pTrs32[大腸菌
JM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製]、pGHA2[大
腸菌 IGHA2(FERM BP-400)より調製、特開昭60-22109
1]、pGKA2[大腸菌 IGKA2(FERM BP-6798)より調製、
特開昭60-221091]、pTerm2(US4686191、US4939094、U
S5160735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400
[J. Bacteriol.,172, 2392 (1990)]、pGEX(Pharmaci
a社)、pETシステム(Novagen社)、pSupex等を挙げる
ことができる。
【0093】プロモーターとしては、使用する宿主細胞
中で機能を発揮できるものであればいかなるものでもよ
い。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモータ
ー、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター
等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーターを挙
げることができる。また、Ptrpを2つ直列させたプロモ
ーター(Ptrp×2)、tacプロモーター、lacT7プロモー
ター、let Iプロモーター等のように、人為的に設計改
変されたプロモーターなども用いることができる。
【0094】また、上記組換えベクターとしては、リボ
ソーム結合配列であるシャイン−ダルガルノ(Shine-Da
lgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば
6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ま
しい。本発明のDNAの塩基配列においては、宿主内で
の発現に最適なコドンとなるように塩基を置換すること
ができ、これにより、目的とする蛋白質の生産率を向上
させることができる。さらに、本発明の組換えベクター
においては、本発明のDNAの発現には転写終結配列は
必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結
配列を配置することが好ましい。
【0095】宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラ
チア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバ
クテリウム属、ミクロバクテリウム属、シュードモナス
属等に属する微生物、例えば、大腸菌 XL1-Blue、大腸
菌 XL2-Blue、大腸菌 DH1、大腸菌 MC1000、大腸菌 KY3
276、大腸菌 W1485、大腸菌 JM109、大腸菌 HB101、大
腸菌 No.49、大腸菌 W3110、大腸菌 NY49、セラチア・
フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンチ
コラ(S. fonticola)、セラチア・リクエファシエンス
S. liquefaciens)、セラチア・マルセセンス(S. ma
rcescens)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtili
s)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus
amyloliquefacines)、ブレビバクテリウム・インマリ
オフィルムATCC14068(Brevibacterium immariophilum
ATCC14068)、ブレビバクテリウム・サッカロリティカ
ムATCC14066(B. saccharolyticum ATCC14066)、ブレ
ビバクテリウム・フラブムATCC14067(B. flavum ATCC1
4067)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAT
CC13869(B. lactofermentum ATCC13869)、コリネバク
テリウム・グルタミカムATCC13032(Corynebacterium g
lutamicum ATCC13032)、コリネバクテリウム・アセト
アシドフィルムATCC13870(C. acetoacidophilum ATCC1
3870)、ミクロバクテリウム・アンモニアフィルムATCC
15354(Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354)、
シュードモナスsp. D-0110(Pseudomonassp. D-0110)
等を挙げることができる。
【0096】組換えベクターの導入方法としては、上記
宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用い
ることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法
[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)]、
プロトプラスト法(特開昭63-248394)、Gene, 17, 107
(1982)やMolecular & General Genetics, 168, 111 (1
979)に記載の方法等を挙げることができる。酵母を宿主
細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例え
ば、YEP13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50
(ATCC37419)等を挙げることができる。
【0097】プロモーターとしては、酵母菌株中で機能
を発揮できるものであればいずれのものを用いてもよ
く、例えば、ヘキソースキナーゼ等の解糖系の遺伝子の
プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモー
ター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal
1プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショック
蛋白質プロモーター、MFα1 プロモーター、CUP 1プロ
モーター等を挙げることができる。
【0098】宿主細胞としては、サッカロミセス属、ク
リュイベロミセス属、トリコスポロン属、シュワニオミ
セス属等に属する微生物、例えば、サッカロミセス・セ
レビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロ
ミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリ
ュイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lacti
s)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pull
ulans)、シュワニオミセス・アルビウス(Schwanniomy
ces alluvius)等を挙げることができる。
【0099】組換えベクターの導入方法としては、酵母
にDNAを導入する方法であればいずれも用いることが
でき、例えば、エレクトロポレーション法[Methods. E
nzymol.,194, 182 (1990)]、スフェロプラスト法[Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 1929 (1978)]、酢酸リ
チウム法[J. Bacteriology,153, 163 (1983)]、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929 (1978)記載の方法等
を挙げることができる。
【0100】動物細胞を宿主として用いる場合には、発
現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcDM8
(フナコシ社より市販)、pAGE107[特開平3-22979;Cy
totechnology, 3, 133, (1990)]、pAS3-3(特開平2-22
7075)、pCDM8[Nature, 329,840, (1987)]、pcDN
AI/Amp(Invitrogen社)、pREP4(Invitrogen社)、pA
GE103[J. Biochemistry,101, 1307 (1987)]、pAGE210
等を挙げることができる。
【0101】プロモーターとしては、動物細胞中で機能
を発揮できるものであればいずれも用いることができ、
例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のIE(immediate
early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモータ
ー、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネイン
プロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプ
ロモーター等を挙げることができる。また、ヒトCMV
のIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用い
てもよい。
【0102】宿主細胞としては、ヒトの細胞であるナマ
ルバ(Namalwa)細胞、サルの細胞であるCOS細胞、チャ
イニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、HBT5637
(特開昭63-299)等を挙げることができる。組換えベク
ターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する
方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレ
クトロポレーション法[Cytotechnology, 3, 133 (199
0)]、リン酸カルシウム法(特開平2-227075)、リポフ
ェクション法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413
(1987)]等を挙げることができる。
【0103】昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例
えばカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・
バイオロジー、Baculovirus Expression Vectors, A La
boratory Manual, W. H. Freeman and Company, New Yo
rk (1992)、Bio/Technology,6, 47 (1988)等に記載され
た方法によって、蛋白質を発現することができる。即
ち、組換え遺伝子導入ベクター及びバキュロウイルスを
昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイ
ルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染
させ、蛋白質を発現させることができる。
【0104】該方法において用いられる遺伝子導入ベク
ターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacII
I(ともにInvitorogen社)等を挙げることができる。バ
キュロウイルスとしては、例えば、夜盗蛾科昆虫に感染
するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・
ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographacal
ifornica nuclear polyhedrosis virus)等を用いること
ができる。
【0105】昆虫細胞としては、スポドプテラ・フルギ
ペルダ(Spodoptera frugiperda)の卵巣細胞であるSf
9、Sf21[Baculovirus Expression Vectors, A Laborat
oryManual, W. H. Freeman and Company, New York (19
92)]、トリチョプルシア・ニ(Trichoplusia ni)の卵
巣細胞であるHigh 5(Invitrogen社)等を用いることが
できる。
【0106】組換えウイルスを調製するための、昆虫細
胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウ
イルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウ
ム法(特開平2-227075)、リポフェクション法[Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 84,7413 (1987)]等を挙げるこ
とができる。植物細胞を宿主細胞として用いる場合に
は、発現ベクターとして、例えば、Tiプラスミド、タ
バコモザイクウイルスベクター等を挙げることができ
る。
【0107】プロモーターとしては、植物細胞中で機能
を発揮できるものであればいずれのものを用いてもよ
く、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の
35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーター等を挙
げることができる。宿主細胞としては、例えば、タバ
コ、ジャガイモ、トマト、ニンジン、ダイズ、アブラ
ナ、アルファルファ、イネ、コムギ、オオムギ等の植物
細胞を挙げることができる。
【0108】組換えベクターの導入方法としては、植物
細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いるこ
とができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacteriu
m)(特開昭59-140885、特開昭60-70080、WO94/0097
7)、エレクトロポレーション法(特開昭60-251887)、
パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許第26
06856、特許第2517813)等を挙げることができる。
【0109】遺伝子の発現方法としては、直接発現以外
に、モレキュラー・クローニング第2版に記載されてい
る方法等に準じて、分泌生産、融合蛋白質発現等を行う
ことができる。酵母、動物細胞、昆虫細胞又は植物細胞
により発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加され
た蛋白質を得ることができる。
【0110】以上のようにして得られる形質転換体を培
地に培養し、培養物中に本発明の蛋白質を生成蓄積さ
せ、該培養物から採取することにより、本発明の蛋白質
を製造することができる。本発明の形質転換体を培地に
培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に
従って行うことができる。
【0111】大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物
を宿主として得られた形質転換体を培養する培地として
は、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を
含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれ
ば天然培地及び合成培地のいずれを用いてもよい。
【0112】炭素源としては、該生物が資化し得るもの
であればいずれのものを用いてもよく、例えば、グルコ
ース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖
蜜、デンプン、デンプン加水分解物等の炭水化物、酢
酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノー
ル等のアルコール類などを用いることができる。
【0113】窒素源としては、該生物が資化し得るもの
であればいずれのものを用いてもよく、例えば、アンモ
ニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アン
モニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機
酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びに、
ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカ
ー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解
物、各種発酵菌体及びその消化物等を用いることができ
る。
【0114】無機塩類としては、該生物が資化し得るも
のであればいずれのものを用いてもよく、例えば、リン
酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシ
ウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一
鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いる
ことができる。
【0115】培養は、通常振盪培養又は深部通気攪拌培
養などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃
がよく、培養時間は、通常16時間〜7日間である。培
養中のpHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整
は、無機又は有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カル
シウム、アンモニアなどを用いて行う。また、培養中必
要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生
物質を培地に添加してもよい。
【0116】プロモーターとして誘導性のプロモーター
を用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養す
るときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加
してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換え
ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソ
プロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trp
プロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微
生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地
に添加してもよい。
【0117】動物細胞を宿主として得られた形質転換体
を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI16
40培地[The Journal of the American Medical Associ
ation,199, 519 (1967)]、EagleのMEM培地[Science,1
22, 501 (1952)]、ダルベッコ改変MEM培地[Virology,
8, 396 (1959)]、199培地[Proceeding of theSoc
iety for the Biological Medicine,73, 1 (1950)]又
はこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等を用いる
ことができる。
【0118】培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、
5%CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また、培
養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗生
物質を培地に添加してもよい。昆虫細胞を宿主として得
られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用
されているTNM-FH培地(Pharmingen社)、Sf-900 II SF
M培地(Life Technologies社)、ExCell400、ExCell405
(いずれもJRH Biosciences社)、Grace's Insect Medi
um[Grace, T.C.C.,Nature, 195, 788 (1962)]等を用
いることができる。
【0119】培養は、通常pH6〜7、25〜30℃等
の条件下で、1〜5日間行う。また、培養中必要に応じ
て、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよ
い。植物細胞を宿主として得られた形質転換体は、細胞
として又は植物の細胞若しくは器官に分化させて培養す
ることができる。該形質転換体を培養する培地として
は、一般に使用されているムラシゲ・アンド・スクーグ
(MS)培地、ホワイト(White)培地、又はこれらの培地に
オーキシン、サイトカイニンその他の植物ホルモンを添
加した培地等を用いることができる。
【0120】培養は、通常pH5〜9、20〜40℃の
条件下で3〜60日間行う。また、培養中必要に応じ
て、カナマイシン、ハイグロマイシン等の抗生物質を培
地に添加してもよい。上記のとおり、本発明の蛋白質を
コードするDNAを組み込んだ組換えベクターを保有す
る微生物、動物細胞又は植物細胞由来の形質転換体を、
通常の培養方法に従って培養し、該蛋白質を生成蓄積さ
せ、該培養物より該蛋白質を採取することにより、該蛋
白質を製造することができる。
【0121】遺伝子の発現方法としては、直接発現以外
に、モレキュラー・クローニング第2版に記載されてい
る方法等に準じて、分泌生産、融合蛋白質発現等を行う
ことができる。本発明の蛋白質の生産方法としては、宿
主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方
法、及び宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、使用
する宿主細胞や、生産させる蛋白質の構造を変えること
により、適切な方法を選択することができる。
【0122】本発明の蛋白質が宿主細胞内又は宿主細胞
外膜上に生産される場合、ポールソンらの方法[J. Bio
l. Chem.,264, 17619 (1989)]、ロウらの方法[Proc.
Natl. Acad. Sci., USA,86, 8227 (1989)、Genes Deve
lop., 4, 1288(1990)]、又は特開平05-336963、特開
平06-823021等に記載の方法を準用することにより、該
蛋白質を宿主細胞外に積極的に分泌させることができ
る。
【0123】すなわち、遺伝子組換えの手法を用いて、
本発明の蛋白質の活性部位を含む蛋白質のN末端側にシ
グナルペプチドを付加した形で発現させることにより、
本発明の蛋白質を宿主細胞外に積極的に分泌させること
ができる。また、特開平2-227075に記載されている方法
に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用いた遺伝
子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
【0124】さらに、遺伝子導入した動物又は植物の細
胞を再分化させることにより、遺伝子が導入された動物
個体(トランスジェニック非ヒト動物)又は植物個体
(トランスジェニック植物)を作製し、これらの個体を
用いて本発明の蛋白質を製造することもできる。形質転
換体が動物個体又は植物個体の場合は、通常の方法に従
って、飼育又は栽培し、該蛋白質を生成蓄積させ、該動
物個体又は植物個体より該蛋白質を採取することによ
り、該蛋白質を製造することができる。
【0125】動物個体を用いて本発明の蛋白質を製造す
る方法としては、例えば、公知の方法[American Journ
al of Clinical Nutrition, 63, 639S (1996)、America
n Journal of Clinical Nutrition, 63, 627S (1996)、
Bio/Technology, 9, 830 (1991)]に準じて遺伝子を導
入して作製した動物中に本発明の蛋白質を生産する方法
が挙げられる。
【0126】動物個体を用いる場合には、例えば、本発
明の蛋白質をコードするDNAを導入したトランスジェ
ニック非ヒト動物を飼育し、該蛋白質を該動物中に生成
・蓄積させ、該動物中より該蛋白質を採取することによ
り、該蛋白質を製造することができる。該動物中の生成
・蓄積場所としては、例えば、該動物のミルク(特開昭
63-309192)、卵等を挙げることができる。この際に用
いられるプロモーターとしては、動物で機能を発揮でき
るものであればいずれも用いることができるが、例え
ば、乳腺細胞特異的なプロモーターであるαカゼインプ
ロモーター、βカゼインプロモーター、βラクトグロブ
リンプロモーター、ホエー酸性プロテインプロモーター
等が好適に用いられる。
【0127】植物個体を用いて本発明の蛋白質を製造す
る方法としては、例えば、本発明の蛋白質をコードする
DNAを導入したトランスジェニック植物を公知の方法
[組織培養, 20 (1994)、組織培養, 21 (1995)、Trends
in Biotechnology,15, 45 (1997)]に準じて栽培し、
該蛋白質を該植物中に生成・蓄積させ、該植物中より該
蛋白質を採取することにより、該蛋白質を生産する方法
が挙げられる。
【0128】本発明の形質転換体により製造された蛋白
質は、例えば、以下のようにして単離・精製することが
できる。本発明の蛋白質が細胞内に溶解状態で発現した
場合には、培養終了後に細胞を遠心分離により回収し、
水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、
マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により
細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を
遠心分離することにより得られる上清から、通常の酵素
の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析
法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエ
チル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA-75(三菱化
成社)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフ
ィー法、S-Sepharose FF(Pharmacia社)等のレジンを
用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセフ
ァロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎
水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過
法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフ
ォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手
法を単独又は組み合わせて用い、精製標品を得ることが
できる。
【0129】また、該蛋白質が細胞内に不溶体を形成し
て発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、遠心分
離を行うことにより、沈殿画分として蛋白質の不溶体を
回収する。回収した蛋白質の不溶体を蛋白質変性剤で可
溶化する。該可溶化液を希釈又は透析することにより、
該蛋白質を正常な立体構造に戻した後、上記と同様の単
離精製法により該蛋白質の精製標品を得ることができ
る。
【0130】本発明の蛋白質又はその糖修飾体等の誘導
体が細胞外に分泌された場合には、培養上清において該
蛋白質又はその糖修飾体等の誘導体を回収することがで
きる。即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法
により処理することにより可溶性画分を取得し、該可溶
性画分から、上記と同様の単離精製法を用いることによ
り、精製標品を得ることができる。このようにして取得
される蛋白質として、例えば、配列番号1で示されるア
ミノ酸配列を有する蛋白質を挙げることができる。
【0131】また、本発明の蛋白質は、Fmoc法(フ
ルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法
(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によ
っても製造することができる。また、Advanced ChemTec
h社、パーキン・エルマー社、Pharmacia社、Protein Te
chnology Instrument社、Synthecell-Vega社、PerSepti
ve社、島津製作所等のペプチド合成機を利用して化学合
成することもできる。
【0132】3.本発明の蛋白質を認識する抗体の調製 本発明の蛋白質若しくは該蛋白質の部分断片ポリペプチ
ドの精製標品、又は本発明の蛋白質の一部のアミノ酸配
列を有するペプチドを抗原として用いることにより、本
発明の蛋白質を認識するポリクローナル抗体、モノクロ
ーナル抗体等の抗体を作製することができる。こうして
作製される本発明の抗体は、本発明の蛋白質を認識する
ものであればよいが、好ましくは該蛋白質に特異的に結
合するものである。また、本発明の抗体は、増殖因子と
しての活性を有する本発明の蛋白質を認識するものであ
っても、増殖因子としての活性を阻害する活性を有する
本発明の蛋白質を認識するものであってもよいが、好ま
しくは、増殖因子としての活性を有する本発明の蛋白質
を認識するものである。
【0133】(1)ポリクローナル抗体の作製 本発明の蛋白質若しくは該蛋白質の部分断片ポリペプチ
ドの精製標品、又は本発明の蛋白質の一部のアミノ酸配
列を有するペプチドを抗原として用い、これを動物に投
与することによりポリクローナル抗体を作製することが
できる。投与する動物として、ウサギ、ヤギ、3〜20
週齢のラット、マウス、ハムスター等を用いることがで
きる。該抗原の投与量は動物1匹当たり50〜100μ
gが好ましい。
【0134】ペプチドを用いる場合は、ペプチドをスカ
シガイヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin)や
牛チログロブリンなどのキャリア蛋白質に共有結合させ
たものを抗原とするのが望ましい。抗原とするペプチド
は、ペプチド合成機で合成することができる。
【0135】該抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2
週間おきに3〜10回行う。各投与後、3〜7日目に眼
底静脈叢より採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応
することを酵素免疫測定法[酵素免疫測定法(ELIS
A法):医学書院刊(1976年)、Antibodies-A Lab
oratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (198
8)]等で確認する。免疫に用いた抗原に対し、その血清
が充分な抗体価を示した非ヒト哺乳動物より血清を取得
し、該血清を分離・精製することによりポリクローナル
抗体を取得することができる。
【0136】分離、精製する方法としては、遠心分離、
40〜50%飽和硫酸アンモニウムによる塩析、カプリ
ル酸沈殿[Antibodies, A Laboratory manual, Cold Sp
ringHarbor Laboratory, (1988)]、又はDEAE−セ
ファロースカラム、陰イオン交換カラム、プロテインA
若しくはプロテインG−カラム、ゲル濾過カラム等を用
いるクロマトグラフィー等を、単独又は組み合わせて処
理する方法が挙げられる。
【0137】(2)モノクローナル抗体の作製 (a)抗体産生細胞の調製 免疫に用いた本発明の蛋白質の部分断片ポリペプチドに
対し、その血清が十分な抗体価を示したラットを抗体産
生細胞の供給源として供する。該抗体価を示したラット
に抗原物質を最終投与した後3〜7日目に、脾臓を摘出
する。該脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断
し、ピンセットでほぐし、1,200rpmで5分間遠
心分離した後、上清を捨てる。得られた沈殿画分の脾細
胞をトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)
で1〜2分間処理し赤血球を除去した後、MEM培地で
3回洗浄し、得られた脾細胞を抗体産生細胞として用い
る。
【0138】(b)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウス又はラットから取得した株
化細胞を使用する。例えば、8−アザグアニン耐性マウ
ス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3-X63Ag8-U1(以下、
「P3-U1」という)[Curr. Topics. Microbiol. Immuno
l.,81, 1 (1978)、Europ. J. Immunol., 6, 511 (197
6)]、SP2/0-Ag14(SP-2)[Nature, 276,269 (197
8)]、P3-X63-Ag8653(653)[J. Immunol.,123, 1548
(1979)]、P3-X63-Ag8(X63)[Nature, 256, 495 (197
5)]等を用いることができる。これらの細胞株は、8−
アザグアニン培地[RPMI−1640培地にグルタミ
ン(1.5mM)、2−メルカプトエタノール(5×1
-5M)、ジェンタマイシン(10μg/ml)及び牛
胎児血清(FCS)(CSL社製、10%)を加えた培
地(以下、「正常培地」という)に、さらに8−アザグ
アニン(15μg/ml)を加えた培地]で継代する
が、細胞融合の3〜4日前に正常培地で培養し、融合に
は該細胞を2×107個以上用いる。
【0139】(c)ハイブリドーマの作製 (a)で取得した抗体産生細胞と(b)で取得した骨髄腫細胞
をMEM培地又はPBS(リン酸二ナトリウム1.83
g、リン酸一カリウム0.21g、食塩7.65g、蒸
留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数
が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよ
う混合し、1200rpmで5分間遠心分離した後、上
清を捨てる。
【0140】得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、
該細胞群に、攪拌しながら、37℃で、108抗体産生
細胞あたり、ポリエチレングリコール−1000(PE
G−1000)2g、MEM2ml及びジメチルスルホ
キシド(DMSO)0.7mlを混合した溶液を0.2
〜1ml添加し、さらに1〜2分間毎にMEM培地1〜
2mlを数回添加する。添加後、MEM培地を加えて全
量が50mlになるように調製する。該調製液を900
rpmで5分間遠心分離後、上清を捨てる。得られた沈
殿画分の細胞を、ゆるやかにほぐした後、メスピペット
による吸込み、吹出しでゆるやかにHAT培地[正常培
地にヒポキサンチン(10-4M)、チミジン(1.5×
10-5M)及びアミノプテリン(4×10-7M)を加え
た培地]100ml中に懸濁する。
【0141】該懸濁液を96穴培養用プレートに100
μl/穴ずつ分注し、5%CO2インキュベーター中、
37℃で7〜14日間培養する。培養後、培養上清の一
部をとりアンチボディーズ[Antibodies, A Laboratory
manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14
(1988)]等に述べられている酵素免疫測定法により、
本発明の蛋白質の部分断片ポリペプチドに特異的に反応
するハイブリドーマを選択する。
【0142】酵素免疫測定法の具体例として、以下の方
法を挙げることができる。免疫の際に抗原として用いた
本発明の蛋白質の部分断片ポリペプチドを適当なプレー
トにコートし、ハイブリドーマ培養上清又は後述の(d)
で得られる精製抗体を第一抗体として反応させ、さらに
第二抗体としてビオチン、酵素、化学発光物質又は放射
性化合物等で標識した抗ラット又は抗マウスイムノグロ
ブリン抗体を反応させた後に、標識物質に応じた検出反
応を行ない、本発明の蛋白質に特異的に反応するものを
本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ
として選択する。
【0143】該ハイブリドーマを用いて、限界希釈法に
よりクローニングを2回繰り返し[1回目は、HT培地
(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回
目は、正常培地を使用する]、安定して強い抗体価の認
められたものを本発明のモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ株として選択する。
【0144】(d)モノクローナル抗体の調製 プリスタン処理[2,6,10,14−テトラメチルペ
ンタデカン(Pristane)0.5mlを腹腔内投
与し、2週間飼育する]した8〜10週齢のマウス又は
ヌードマウスに、(c)で取得した本発明の蛋白質に対す
るモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞5〜20
×106細胞/匹を腹腔内に注射する。その後10〜2
1日間飼育すると、ハイブリドーマは腹水癌化する。
【0145】該腹水癌化したマウスから腹水を採取し、
3000rpmで5分間遠心分離して固形分を除去す
る。得られた上清より、ポリクローナル抗体の精製で用
いた方法と同様の方法でモノクローナル抗体を精製・取
得することができる。抗体のサブクラスの決定は、マウ
スモノクローナル抗体タイピングキット又はラットモノ
クローナル抗体タイピングキットを用いて行う。蛋白質
量は、ローリー法又は280nmでの吸光度より算出す
る。
【0146】4.本発明のDNA、蛋白質又は抗体の利
用 (1)本発明のDNA又はオリゴヌクレオチドを用い、
ハイブリダイゼーション法、又はポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)法により遺伝子の発現を検出する方法本発明
のDNA又はオリゴヌクレオチドを用い、ノーザンハイ
ブリダイゼーション法(モレキュラー・クローニング第
2版)、PCR法及びRT(reverse-transcribed)−
PCR法[ともにPCR Protocols、Academic Press (199
0)]等を行うことにより、本発明の蛋白質をコードする
mRNAの発現を検出することができる。このうち、R
T−PCR法は簡便な方法であるため、検出方法として
特に有用である。該検出方法は、遺伝子の発現量の定量
にも用いられ、また異常な血管新生の亢進を伴う疾患、
異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基
づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血
管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常
を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う
疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽細胞
の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾患、
虚血性疾患、創傷治癒の遅延を伴う疾患等、本発明の蛋
白質をコードする遺伝子の発現変化が原因となっている
疾患の診断に利用することができる。
【0147】(2)本発明のDNA又はオリゴヌクレオ
チドを用い、ハイブリダイゼーション法又はPCR法に
より本発明の蛋白質をコードする遺伝子の変異を検出す
る方法 本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして、ゲノム
DNAに対してサザンハイブリダイゼーション法(モレ
キュラー・クローニング第2版)、PCR法等を行うこ
とにより、本発明の蛋白質をコードする遺伝子の変異を
検出することができる。該検出方法は、異常な血管新生
の亢進を伴う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、
異常な血管新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う
皮膚疾患、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋
細胞の分化増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の
分化増殖異常を伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を
伴う疾患、骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の
異常に基づく疾患、虚血性疾患、創傷治癒の遅延を伴う
疾患等、本発明の蛋白質をコードする遺伝子の変異が原
因となっている疾患の診断に利用することができる。
【0148】(3)本発明のDNA又はオリゴヌクレオ
チドを用いて本発明の蛋白質をコードする遺伝子の転写
又は翻訳を抑制する方法 本発明のDNAは、アンチセンスRNA/DNA技術
[バイオサイエンスとインダストリー, 50, 322 (199
2)、化学, 46, 681 (1991)、Biotechnology,9, 358(199
2)、Trends in Biotechnology,10, 87 (1992) 、Trends
in Biotechnology,10, 152 (1992)、細胞工学, 16, 14
63 (1997)]、トリプル・ヘリックス技術[Trends in B
iotechnology,10, 132 (1992)]等を用い、本発明の蛋
白質をコードする遺伝子の転写又は翻訳を抑制すること
ができる。
【0149】例えば、本発明のDNA又はオリゴヌクレ
オチドを投与することにより、本発明の蛋白質の生産を
抑制することができる。すなわち、本発明のDNA又は
オリゴヌクレオチドを用いることにより、本発明の蛋白
質をコードする遺伝子の転写、又は本発明の蛋白質をコ
ードするmRNAの翻訳を、それぞれ抑制できる。
【0150】該抑制方法は、異常な血管新生の亢進を伴
う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管
新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、
異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化
増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異
常を伴う疾患等、本発明の蛋白質をコードする遺伝子の
変異が原因となっている疾患の治療又は予防に利用する
ことができる。
【0151】本発明の蛋白質をコードする遺伝子の変異
が原因となっている疾患の治療方法としては、患者から
取り出した細胞に、遺伝子治療用に適切に調製した本発
明の組換えベクターを導入した後、細胞を生体内に戻す
ことにより、また適当なレトロウィルス、アデノウィル
ス、アデノ随伴ウィルス、単純ヘルペスウィルス、レン
チウィルス等のウィルスベクターに乗せて生体に投与す
ることにより、さらにリポソームなどの人工的なベジク
ル構造に封入して生体に投与することにより、本発明の
蛋白質を患者の生体内で発現させる方法が用いられる。 (4)本発明のDNA又はオリゴヌクレオチドを用いて
本発明の蛋白質をコードする遺伝子のプロモーター領域
を取得する方法 本発明のDNA又はオリゴヌクレオチドをプローブとし
て、公知の方法[東京大学医科学研究所制癌研究部編、
新細胞工学実験プロトコール、秀潤社(1993年)]
を用いて、該遺伝子のプロモーター領域を取得すること
が可能である。
【0152】プロモーター領域としては、哺乳動物細胞
において本発明の蛋白質をコードする遺伝子の転写に関
与するすべてのプロモーター領域が挙げられる。例え
ば、ヒトの卵巣、前立腺、子宮、精巣、甲状腺上皮、
耳、腎臓、大腸又は肺、特に卵巣又は精巣で、本発明の
蛋白質をコードする遺伝子の転写に関与するプロモータ
ー領域を挙げることができる。該プロモーターは後述の
スクリーニング方法に利用することができる。
【0153】(5)本発明の蛋白質を含有する医薬 本発明の蛋白質、例えば配列番号1のVPLFはVEG
Fと高い相同性を示すが、VEGFは動脈硬化、脳梗
塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞症等の虚血性疾患を治
療できることが報告されていることから、本発明の蛋白
質、特に配列番号1のVPLFは動脈硬化、脳梗塞、急
性心筋梗塞、末梢動脈閉塞症等の虚血性疾患に対する治
療薬になり得る。また、VEGF受容体は血液幹細胞、
骨芽細胞、膵臓β細胞に発現し、それら細胞の分化増殖
にVEGFが関与する可能性が報告されていることか
ら、本発明の蛋白質、特に配列番号1のVPLFは貧血
等の血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨粗鬆症等
の骨芽細胞の異常に基づく疾患、糖尿病等の膵臓β細胞
の異常に基づく疾患に対する治療薬になり得る。さら
に、本発明の蛋白質、例えば配列番号1のVPLFはP
DGFと高い相同性を示すが、PDGFは神経性下肢潰
瘍、糖尿病性下肢潰瘍等の創傷治癒が遅延する疾患の治
療できることが報告されていることから、本発明の蛋白
質、特に配列番号1のVPLFは神経性下肢潰瘍、糖尿
病性下肢潰瘍等の創傷治癒が遅延する疾患の治療薬とな
り得る。
【0154】本発明の蛋白質を含有する治療薬は、有効
成分として該蛋白質のみを含むものであってもよいが、
通常は薬理学的に許容される1以上の担体と一緒に混合
し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法
により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
【0155】該治療薬の投与方法としては、治療に際し
て最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口投
与、又は口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内、静脈
内等の非経口投与による方法を挙げることができる。該
治療薬の剤形としては、例えば、噴霧剤、カプセル剤、
錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏
剤、テープ剤等が挙げられる。
【0156】経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シ
ロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等が挙げら
れる。例えば、乳剤及びシロップ剤のような液体調製物
は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール等のグリコー
ル類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒ
ドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリー
フレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤
として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆
粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の
賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、
ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビ
ニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラ
チン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリ
セリン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
【0157】非経口投与に適当な製剤としては、注射
剤、座剤、噴霧剤等が挙げられる。例えば、注射剤は、
塩溶液、ブドウ糖溶液又は両者の混合物からなる担体等
を用いて調製する。座剤は、カカオ脂、水素化脂肪、カ
ルボン酸等の担体を用いて調製される。また、噴霧剤
は、該抗体そのもの、又は受容者の口腔及び気道粘膜を
刺激せず、かつ該抗体を微細な粒子として分散させて吸
収を容易にさせる担体等を用いて調製する。担体として
は、例えば、乳糖、グリセリン等が挙げられる。該抗体
及び使用する担体の性質により、エアロゾル、ドライパ
ウダー等の製剤とすることができる。また、これらの非
経口剤においても、経口剤で添加剤として例示した成分
を添加することができる。投与量又は投与回数は、目的
とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等に
より異なるが、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kg
である。
【0158】(6)本発明の蛋白質を用いて該蛋白質と
特異的に結合する受容体をスクリーニングする方法 本発明の蛋白質と直接結合する物質を同定する等の方法
を用いることにより、該蛋白質と特異的に結合する受容
体をスクリーニングすることができる。このような方法
の一例として、C.VriesらがVEGF蛋白質を用い、V
EGF受容体を同定した発現クローニング法が挙げられ
る(C.Vriesら;Science, 255, 989, 1992)。該受容体
は本発明の蛋白質が関与する疾患の治療薬、又は本発明
の蛋白質が関与する情報伝達系や生体機能に関する研究
に利用することができる。
【0159】(7)本発明の形質転換体を用いて本発明
の蛋白質をコードする遺伝子の発現を解析する方法 本発明の形質転換体を種々の被験物質と共存させ、該形
質転換体における遺伝子の発現レベルを解析することに
より、本発明の蛋白質をコードする遺伝子の転写を制御
する物質、本発明の蛋白質による転写制御機能に関与す
る物質、又は本発明の蛋白質により転写制御を受ける遺
伝子をスクリーニングすることができる。
【0160】(8)本発明の抗体を用いて本発明の蛋白
質を免疫学的に検出する方法 本発明の抗体を用い、抗原抗体反応を行わせることによ
り、本発明の蛋白質又は該蛋白質を含む組織を免疫学的
に検出することができる。該検出法は、異常な血管新生
の亢進を伴う疾患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、
異常な血管新生に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う
皮膚疾患、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋
細胞の分化増殖異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の
分化増殖異常を伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を
伴う疾患、骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の
異常に基づく疾患、虚血性疾患、創傷治癒の遅延を伴う
疾患等、本発明の蛋白質をコードする遺伝子の変異が原
因となっている疾患の診断に利用することができる。ま
た、該検出方法は、蛋白質の定量にも用いられる。
【0161】免疫学的に検出する方法としては、マイク
ロタイタープレートを用いるELISA法・蛍光抗体
法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法等が挙げら
れる。また、免疫学的に定量する方法としては、液相中
で本発明の蛋白質と反応する抗体のうちエピトープが異
なる2種類のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ
ELISA法、125I等の放射性同位体で標識した本発明
の蛋白質と本発明の蛋白質を認識する抗体とを用いるラ
ジオイムノアッセイ法等が挙げられる。
【0162】(9)本発明の抗体を含有する医薬 本発明の蛋白質、例えば配列番号1のVPLFはVEG
Fと高い相同性を示すが、VEGFは固形腫瘍や腫瘍転
移等の異常な血管新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜
症、未熟児網膜症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等
の異常な血管新生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマ
チ等の異常な血管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常
な血管新生を伴う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow
−Fukuse症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血
管透過性の亢進を伴う疾患を進展・増悪させることが報
告され、VEGF抗体はこれら疾患の治療に有用である
ことが報告されていることから、本発明の抗体、特に配
列番号1のVPLFに対する抗体は、固形腫瘍や腫瘍転
移等の異常な血管新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜
症、未熟児網膜症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等
の異常な血管新生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマ
チ等の異常な血管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常
な血管新生を伴う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow
−Fukuse症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血
管透過性の亢進を伴う疾患の治療薬になり得る。
【0163】また、本発明の蛋白質、例えば配列番号1
のVPLFはPDGFと高い相同性を示すが、PDGF
は、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化増殖異常を伴う疾
患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細胞の分化増殖異常
を伴う疾患を進展・増悪させることが報告され、PDG
F抗体はこれら疾患の治療に有用であることが報告され
ていることから、本発明の抗体、特に配列番号1のVP
LFに対する抗体は、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化増
殖異常を伴う疾患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細胞
の分化増殖異常を伴う疾患の治療薬になり得る。
【0164】本発明の抗体を含有する治療薬は、有効成
分としての該抗体のみを含むものであってもよいが、通
常は薬理学的に許容される1以上の担体と一緒に混合
し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法
により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
該治療薬の調製、投与は前記(5)の本発明の蛋白質を
含有する医薬に準じて行うことができる。
【0165】(10)本発明のDNAを用いたノックア
ウト非ヒト動物の作製 本発明のDNAを含有してなる組換えベクターを用い、
目的とする非ヒト動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、
ブタ、ウマ、マウス、ニワトリ等の胚性幹細胞(embryo
nic stem cell)において、染色体上の本発明の蛋白質
をコードする遺伝子を公知の相同組換えの手法[例え
ば、Nature, 326, 6110, 295 (1987)、Cell, 51, 3, 50
3 (1987)等]により不活化するか、又は任意の配列と置
換した変異クローンを作製する[例えば、Nature, 350,
6315, 243 (1991)]。胚性幹細胞の変異クローンを用
い、動物の受精卵の胚盤胞(blastocyst)への注入キメ
ラ法又は集合キメラ法等の手法により、胚性幹細胞クロ
ーンと正常細胞からなるキメラ個体を調製することがで
きる。このキメラ個体と正常個体の掛け合わせにより、
全身の細胞の染色体上に存在する本発明の蛋白質をコー
ドする遺伝子に任意の変異を有する個体を得ることがで
き、さらにその個体の掛け合わせにより相同染色体の双
方に変異が入ったホモ個体の中から、本発明の蛋白質を
コードする遺伝子の発現が部分的に又は完全に抑制され
た個体としてノックアウト非ヒト動物を得ることができ
る。
【0166】また、染色体上の本発明の蛋白質をコード
する遺伝子の任意の位置へ変異を導入することにより、
ノックアウト非ヒト動物を作製することも可能である。
例えば、染色体上の本発明の蛋白質をコードする遺伝子
の翻訳領域中へ、塩基を置換、欠失、挿入等させて変異
を導入することにより、その遺伝子産物の活性を改変さ
せることも可能である。また、その発現制御領域への同
様な変異を導入することにより、発現の程度、時期、組
織特異性等を改変させることも可能である。さらにCre-
loxP系との組合せにより、より積極的に発現時期、発現
部位、発現量等を制御することも可能である。このよう
な例として、脳のある特定の領域で発現されるプロモー
ターを利用して、その領域でのみ目的遺伝子を欠失させ
た例[Cell, 87, 7, 1317 (1996)]やCreを発現するア
デノウィルスを用いて、目的の時期に、臓器特異的に目
的遺伝子を欠失させた例[Science,278, 5335, (199
7)]が知られている。
【0167】従って、染色体上の本発明の蛋白質をコー
ドする遺伝子についても、このように任意の時期や組織
で発現を制御でき、また、任意の挿入、欠失、置換をそ
の翻訳領域や発現制御領域に有する、ノックアウト非ヒ
ト動物を作製することができる。ノックアウト非ヒト動
物は、任意の時期、任意の程度又は任意の部位で、本発
明の蛋白質に起因する種々の疾患の症状を誘導すること
ができる。このように、本発明のノックアウト非ヒト動
物は、本発明の蛋白質に起因する種々の疾患の治療や予
防において極めて有用な動物モデルとなる。特にその治
療薬、予防薬、機能性食品、健康食品等の評価用モデル
として非常に有用である。
【0168】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのも
のであり、本発明の技術的範囲を制限するものではな
い。 〔実施例1〕ヒト神経前駆細胞NT−2及びヒト卵巣癌
組織由来cDNAライブラリーの作製 ヒト胎児精巣由来のテラトカルシノーマ細胞であって、
レチノイン酸処理により神経細胞に分化可能なNT-2神経
前駆細胞(Stratagene社より購入)を用いた。添付マニ
ュアルに従って、NT-2細胞を培養後、レチノイン酸を添
加して、さらに2週間培養した。その培養細胞を集め
て、文献(J. Sambrook, E. F. Fritsch &T. Maniatis,
Molecular Cloning Second edition, Cold Spring har
bor Laboratory Press 1989)記載の方法によりmRN
Aを抽出した。さらに、オリゴdTセルロースでpolyA(+)
RNAを精製した。
【0169】同様に、ヒト卵巣癌組織より、文献(J. S
ambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, Molecular Cl
oning Second edition, Cold Spring harbor Laborator
y Press, 1989)記載の方法によりmRNAを抽出し
た。さらに、オリゴdTセルロースでpolyA(+)RNAを精
製した。
【0170】それぞれのpolyA(+)RNAよりオリゴキャ
プ法[M. Maruyama and S. Sugano,Gene, 138: 171-174
(1994)]によりcDNAライブラリーを作製した。Oligo
-cap linker(配列番号:3)及びOligo dT primer(配
列番号:4)を用いて文献[鈴木・菅野, 蛋白質 核酸
酵素, 41: 197-201 (1996)、Y. Suzukiら, Gene, 200:
149-156 (1997)]に記載の方法に従ってBAP(Bacterial
Alkaline Phosphatase)処理、TAP(Tobacco Acid Phos
phatase)処理、RNAライゲーション、第一鎖cDN
Aの合成とRNAの除去を行った。次いで、5'末端側の
センスプライマー(配列番号:5)と3'末端側のアンチ
センスプライマー(配列番号:6)の2種のPCRプライ
マーを用いるPCR(polymerase chain reaction)により
二本鎖cDNAに変換し、SfiIで切断した。なお、この
PCRは市販のキット:GeneAmp XLPCRキット(Perkin Elm
er社製)を使用して、95℃で5分間熱処理後、95℃
で1分間、58℃で1分間及び72℃で10分間の反応
サイクルを12回繰り返し、その後4℃で保持すること
により行った。次いで、DraIIIで切断したベクターpME1
8SFL3(GenBank AB009864、発現ベクター, 3392 bp)に
cDNAの方向性を決めてクローニングし、cDNAラ
イブラリーを作製した。これらより得たクローンのプラ
スミドDNAについて、cDNAの5'端と3'端の塩基配
列を、DNAシークエンシング試薬(Dye Terminator C
ycle Sequencing FS Ready Reaction Kit, dRhodamine
Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit
又はBigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Re
action Kit, PE Biosystems社製)を用い、マニュアル
に従ってシークエンシング反応を行った後、DNAシー
クエンサー(ABI PRISM 377, PE Biosystems社製)を用
いて決定した。
【0171】〔実施例2〕VEGF/PDGFスーパー
ファミリーに属する新規増殖因子の同定 作製したcDNAライブラリーの各クローンの塩基配列
について、蛋白質アミノ酸配列データベースSWISS
PROTあるいは塩基配列データーベースGenBan
kに登録されているVEGF/PDGFスーパーファミ
リーに属する既知蛋白質として、ヒトVEGF(SWI
SSPROTアクセッションナンバー:P1569
2)、ヒトVEGF−B(SWISSPROTアクセッ
ションナンバー: P49765)、ヒトVEGF−C
(SWISSPROTアクセッションナンバー: P4
9767)、ヒトVEGF−D(GenBankアクセ
ッションナンバー:AJ000185)、ヒトPlGF
(SWISSPROTアクセッションナンバー:P49
763)、ヒトPDGF−A(SWISSPROTアク
セッションナンバー:P04085)及びヒトPDGF
−B(SWISSPROTアクセッションナンバー:P
01127)の7分子を用い、これら分子のアミノ酸配
列と相同性をもつcDNAクローンを選択し、そのクロ
ーンにコードされる蛋白質をVPLFとした。配列番号
1にVPLFのアミノ酸配列を配列番号2にその塩基配
列を示す。
【0172】VPLFは、BLAST2を用いた相同性
解析において、血管内皮増殖因子ファミリーに属する蛋
白質ヒトVEGF、ヒトVEGF−B、ヒトVEGF−
C、ヒトVEGF−D及び血小板由来増殖因子ファミリ
ーに属する蛋白質ヒトPDGF−A、ヒトPDGF−B
と、それぞれP値0.0022で29%、P値0.00
14で29%、P値0.00022で25%、P値1.
8x10-7で29%、P値0.0016で36%、P値
0.00059で28%の有意な相同性を示した。ま
た、同じVEGF/PDGFスーパーファミリーに属す
るOrfウイルスのNZ2(SWISSPROTアクセ
ッションナンバー:P52584)及びNZ7(SWI
SSPROTアクセッションナンバー:P52585)
とも、それぞれP値4.7x10-5で29%、P値7.
7x10-7で30%と有意な相同性を示した。血管内皮
増殖因子ファミリーに属する蛋白質ヒトPlGFとは、
P値0.94で26%の相同性を示した。VEGF/P
DGFスーパーファミリーにおいては、ダイマー間のジ
スルフィド結合形成、蛋白質分子内のジスルフィド結合
形成、及び、活性発現に重要な8個のシステイン残基が
存在し(Journal of Biological Chemistry, 269, 3287
9-32885, 1994)、これら8個のシステイン残基は、V
EGF/PDGFスーパーファミリーに属する因子間で
保存されていることが知られている。VPLFのアミノ
酸配列をアライメントプログラムCLUSTAL W(N
ucleic Acids Reserch,22,4673-4680)を用いて既知V
EGF/PDGFスーパーファミリー分子と比較してみ
ると、配列番号1で示されるアミノ酸配列においても該
モチーフを形成するために必須なシステイン残基の位置
と数が完全に保存されていることが分かった(図1)。
従って、VPLFがVEGF/PDGFスーパーファミ
リーに属する増殖因子としての活性を有することは明白
である。なお、図1中のVEGF、VEGF−B、VE
GF−C、VEGF−D、PDGF−A、PDGF−B
及びPlGFは、それぞれヒトVEGF、ヒトVEGF
−B、ヒトVEGF−C、ヒトVEGF−D、ヒトPD
GF−A、ヒトPDGF−B及びヒトPlGFを指す。
また、VPLFとファミリー分子間で保存されている配
列を白抜きで示し、すべてのファミリー分子で保存され
ているシステイン残基に*印を、その他のアミノ酸残基
に#印を記した。
【0173】配列番号2に示した塩基配列をもとに、塩
基配列データーベースGenBank/EMBL/DD
BJを、BLAST2を用いて検索したところ、同一遺
伝子由来のESTと考えられる塩基配列3個と一致して
いることが分かった(平成11年2月5日現在)。これ
らESTのGenBankアクセッションナンバーは、
W21436、AI024617、AA759138で
あり、VPLF塩基配列との関係を図2に示す。これら
EST塩基配列はVPLFの完全長をカバーしていな
い。それぞれのESTの塩基配列と相同性を示す遺伝子
をGenBank、EMBL及びDDBJの各データー
ベースよりBLAST2を用いて検索したが、有意な相
同性を示す遺伝子はどのESTにおいても選択されなか
った。従って、VPLFは本発明により初めて取得され
た新規な遺伝子であることが分かった。
【0174】VPLFをコードするcDNA(配列番号
2の全塩基配列)を含有するプラスミドNT2RP40
00328を含む大腸菌:Escherichia coli DH10B/NT2
RP4000328及びその部分配列cDNA(配列番号2のう
ち、塩基第576番〜第1328番)を含有するプラス
ミドOVARC1001401を含む大腸菌:Escheric
hia coli DH10B/OVARC1001401は、それぞれFERM
BP−6686及びFERM BP−6687として、
平成11年4月1日付けで工業技術院生命工学工業技術
研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号:郵便
番号305-8566)に寄託されている。
【0175】〔実施例3〕VPLFの塩基配列の解析 配列番号2に示したVPLFの塩基配列をもとに、蛋白
質の開始コドン予測プログラムATGPr(Bioinformat
ics, 14, 384-390, 1998)を用いて開始コドン周辺配列
を解析した。5’末端側から94〜96番目に位置する
ATGが開始コドン、1129〜1131番目に位置す
るTAGが終止コドンと特定され、ORFにコードされ
る蛋白質は345アミノ酸から構成されると推定され
た。さらに、配列番号1に示したVPLFのアミノ酸配
列をもとに、蛋白質の細胞内局在性部位予測プログラム
PSORT(Genomics, 14,897-911,1992)を用い、分
泌蛋白質としての特徴を有するかどうかについて解析を
行った。VPLFのN末端14残基のアミノ酸配列部分
は、分泌蛋白質に見られるシグナルペプチド配列の特徴
を有しており、VPLFは分泌蛋白質に分類された。ま
た、GENETYX−MAC7.3(SOFTWARE DEVELOP
MENT CO.,LTD製)を用いて疎水性プロットを作製した結
果を図3に示す。VPLFのN末端部分には分泌蛋白質
に特徴的な疎水性の高い領域が存在する。
【0176】〔実施例4〕VPLFを発現している臓器 VPLFの塩基配列の一部と一致した3個のEST、W
21436、AI024617、AA759138は、
それぞれ肺、精巣、精巣から単離された。また、VPL
FをコードするcDNAクローンの3’末端非翻訳領域
の塩基配列をもとに、塩基配列データーベースGenB
ank、EMBL、DDBJをBLAST2を用いて検
索したところ、同一遺伝子由来のESTと考えられる塩
基配列16個と一致していることが分かった(平成11
年2月5日現在)。これらESTのGenBankアク
セッションナンバーは、AA631149、AA039
965、AA039880、AI128937、N89
807、AA613059、AA868252、C02
066、AI051824、AA594888、N66
753、AI193332、AI243165、AI2
62908、AI284795及びN22076であ
り、UniGene Hs.43080として登録され
ている。これら16個のESTは、大腸、耳、肺、腎
臓、卵巣、甲状腺上皮、前立腺、子宮から単離された。
従って、VPLFが大腸、耳、肺、腎臓、卵巣、甲状腺
上皮、前立腺、精巣、子宮で発現していることが示され
た。
【0177】〔実施例5〕 RT−PCR法を用いたV
PLFをコードするDNAの発現解析Clontech社より購
入したヒト臓器polyA+RNA4μg、および癌細胞株か
らAGPC法[Analytical Biochemistry, 162, 156 (1
987)、実験医学、9, 1937 (1991)]にて調製した全RN
A4μgを鋳型とし、市販のSUPER SCRIPT Preamplific
ation System for first strand cDNA Synthesis(GIBC
O BRL社製)を用い、添付マニュアルに従ってcDNA
を合成した。
【0178】ヒト臓器polyA+RNAとしては、副腎、
脳、小脳、脳下垂体、腎臓、膵臓、小腸、骨髄、心臓、
肝臓、肺、リンパ節、乳腺、胎盤、前立腺、唾液腺、骨
格筋、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、子
宮由来のpolyA+RNAを用いた(図4において、それぞ
れ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、
12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24、25と略した)。
【0179】癌細胞株としては、T細胞株(Jurkat、Mo
lt-3、Molt-4、HUT78;図5において、それぞれ1、
2、3、4と略した)、B細胞株(Namalwa KJM-1、Dau
di、Raji;図5において、それぞれ5、6、7と略し
た)、顆粒球/単球系細胞株(HL-60、U-937、THP-1;
図5において、それぞれ8、9、10と略した)、血管
内皮細胞株(IVEC、HUVEC;図5において、それぞれ1
1、12と略した)、メラノーマ細胞株(WM266-4、WM1
15;図5において、それぞれ13、14と略した)、神
経芽細胞腫細胞株(SK-N-MC;図5において15と略し
た)、肺癌細胞株(PC-9、HLC-1、QG90;図5において、
それぞれ16、17、18と略した)、前立腺癌細胞株
(PC-3;図5において19と略した)、胃癌細胞株(KATOI
II;図5において20と略した)、膵臓癌細胞株(Capan
-1、Capan-2;図5において、それぞれ21、22と略
した)、大腸癌細胞株(Colo205、SW1116、LS180;図5
において、それぞれ23、24、25と略した)を用い
た。 Jurkat、QG90およびSW1116は愛知癌センターより
入手した。HLC-1は大阪大学癌研究所より入手した。KAT
OIIIおよびPC-9は免疫生物研究所より入手した。HUVEC
(human umbelical vascular endothelial cell)はク
ラボウ社より入手した。IVEC〔J. Cell. Physiol., 157,
41 (1993) 〕はN.T.L.FRANCE社より入手した。Molt-
4、DaudiはJapanese Collection of Research Bioresou
rces(JCRB)cell bank 〔インターネットアドレス
http://cellbank.nihs.go.jp/〕より入手した。それ以
外の細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレク
ション (American Type Culture Collection) より入手
した。
【0180】次いで、合成したcDNAを鋳型としてP
CRを行った。すなわち、下記に示すヒトVPLF、ヒ
トVEGF、ヒトVEGF−B、ヒトVEGF−C、ヒ
トVEGF−D、ヒトPDGF−A、ヒトPDGF−
B、ヒトPlGF、あるいはヒトβアクチンに特異的な
塩基配列を含むプライマーを用い、合成したcDNAを
滅菌水を用いて50倍に希釈した溶液を材料にして常法
により反応液[10mM Tris-HCl(pH8.3),50mM KCl,1.5m
M MgCl2,0.2mM dNTP,0.001%(w/v) gelatin,0.2μM遺
伝子特異的プライマー,1 unit recombinant Taq polyme
rase(Takara社製)]を調製後、94℃で3分間反応さ
せ、次いで94℃で30秒間、65℃で1分間、72℃
で2分間のサイクルを30あるいは35サイクル反復
し、最後に72℃で7分間反応させ、4℃で一晩保存す
る条件でPCRを行った。
【0181】該PCRでは、配列番号7及び配列番号8
に示したオリゴヌクレオチドをヒトVPLFに特異的な
プライマーとして、配列番号9及び配列番号10に示し
たオリゴヌクレオチドをヒトVEGFに特異的なプライ
マーとして、配列番号11及び配列番号12に示したオ
リゴヌクレオチドをヒトVEGF−Bに特異的なプライ
マーとして、配列番号13及び配列番号14に示したオ
リゴヌクレオチドをヒトVEGF−Cに特異的なプライ
マーとして、配列番号15及び配列番号16に示したオ
リゴヌクレオチドをヒトVEGF−Dに特異的なプライ
マーとして、配列番号17及び配列番号18に示したオ
リゴヌクレオチドをヒトPlGFに特異的なプライマー
として、配列番号19及び配列番号20に示したオリゴ
ヌクレオチドをヒトPDGF−Aに特異的なプライマー
として、配列番号21及び配列番号22に示したオリゴ
ヌクレオチドをヒトPDGF−Bに特異的なプライマー
として、配列番号23及び配列番号24に示したオリゴ
ヌクレオチドをヒトβアクチンに特異的なプライマーと
して用いた。
【0182】該PCR反応液をアガロースゲル電気泳動
により分析したところ、それぞれのプライマーに特異的
なDNAのバンドが観察され、その大きさは、ヒトVP
LF、ヒトVEGF、ヒトVEGF−B、ヒトVEGF
−C、ヒトVEGF−D、ヒトPDGF−A、ヒトPD
GF−B、ヒトPlGF、ヒトβアクチンでそれぞれ、
約1,000bp、350bp、300bp、520bp、500bp、420bp、430b
p、360bp、800bpであった。
【0183】これらのバンドの濃さを比較することで、
各種因子の発現量の半定量的な比較を行った。ヒト臓器
より調製したcDNAを材料にした場合の結果を図4
に、癌細胞株から調製したcDNAを材料にした場合の
結果を図5に示した。図4及び図5により、VPLF
は、正常組織よりも癌化した細胞での発現が高いこと、
癌細胞株の中でも上皮系の細胞で強く発現し、血球系で
の発現は低いことが分かった。
【0184】〔実験例6〕 昆虫細胞を宿主とした、全
長型VPLF及びVPLFΔN(配列番号1の1〜22
6番目のアミノ酸が欠失したN末欠失体)の発現 昆虫細胞による組換え蛋白質の生産には目的DNAを組
み込んだ組換えウイルスの作製が必要であるが、その作
製には、(1)目的の蛋白質をコードするcDNAを含む
特殊なベクター(トランスファーベクター)を作製する
過程、(2)バキュロウイルスDNAとトランスファーベ
クターとを昆虫細胞にコトランスフェクションし、相同
組換えにより組換えウイルスを作製し、さらに増殖させ
る過程、及び(3)組換えウイルスを細胞に感染させ、目
的の蛋白質を発現させる過程が含まれる。具体的には、
以下のようにして組換えウイルスを作製し、目的蛋白質
を生産した。
【0185】(1)トランスファーベクターの作製 (i) pVL-VPLF : VPLFの全長(配列番号1の1
〜345番目のアミノ酸配列)をコードするDNAを運
ぶベクター、pVL−VPLFを以下のように作製した
(図6)。実施例2に記載のプラスミドNT2RP40
00328(以下「pME−VPLF」という)のSacI
-BglII断片(0.66 kb)をベクターpET21a(+)
(ノバジェン社製)のSacI-BglII部位へ挿入することに
より、プラスミドpET21−VPLF(5')を作製し
た。本プラスミドをNotI-BglIIで切断し、0.68 kbの断
片(断片A)を調製した。
【0186】pME−VPLFを鋳型とし、配列番号2
5及び配列番号26に示したDNAをプライマーとして
用いてPCRを行った。増幅したDNA断片をBglII及
EcoRIで切断し、0.4 kbの断片(断片B)を調製し
た。断片A及び断片Bを、昆虫細胞トランスファーベク
ターpVL1392(ファーミンジェン社製)のNotI-E
coRI部位に挿入し、pVL−VPLFを作製した。本プ
ラスミドには、VPLFの第1番目のMetから第345番目
のGlyまでをコードするDNAが含まれていた。
【0187】(ii) pVL−VPLFΔN : VPLF
の、C末端側の部分ペプチド(配列番号1の227〜3
45番目のアミノ酸配列)をコードするDNAを含むベ
クター、pVL−VPLFΔNを以下のように作製した
(図7)。昆虫由来の分泌蛋白質メリチンのシグナルペ
プチドDNAを運ぶプラスミドpMbac(ストラタジ
ーン社製)をNheIで切断した後、クレノウフラグメント
(Klenow Fragment)で処理し、NotIリンカー(5'-GCGG
CCGC-3')を連結させてプラスミドpMbac(NotI)を
作製した。本プラスミドをNotI及びSmaIで切断し、85 b
pの断片を調製した(断片C)。
【0188】pME-VPLFを鋳型とし、配列番号2
6及び配列番号27に示したDNAをプライマーとして
用いてPCRを行った。増幅した断片をSspI及びEcoRI
で切断し、0.36 kbの断片を調製した(断片D)。断片
C及び断片Dを、ベクターpVL1392のNotI-EcoRI
部位に挿入し、pVL−VPLFΔNを作製した。本プ
ラスミドには、メリチン由来のシグナルペプチド、メリ
チン由来のペプチド(Asp-Pro-Ser-Pro:配列番号3
4)、及びVPLFの227番目のPheから345番目のGl
yまでをコードするDNAが含まれていた。
【0189】(2)組換えウイルスの作製 ESF921培地(プロテインエクスプレッション社
製)にて培養した昆虫細胞Sf9(岩城硝子社製)に、
線状バキュロウイルスDNA[バキュロゴールド・バキ
ュロウイルスDNA;ファーミンジェン社製]及び上記
(1)で作製したトランスファーベクターをリポフェク
チン法[蛋白質核酸酵素、37、2701(1992)]にて導入す
ることによって、組換えバキュロウイルスを作製した。
これは、具体的には以下のようにして行った。
【0190】4μgのpVL−VPLF又はpVL−V
PLFΔNと、15ngの線状バキュロウイルスDNA
とを12mlの滅菌蒸留水に溶解し、さらに、リポフェ
クチン6mlと滅菌蒸留水6mlとを混和したものを添
加し、室温で15分間放置した。一方、Sf9細胞1×
106個を2mlのESF921培地に懸濁し、直径5
0mmの細胞培養用プラスチックシャーレに入れた。こ
こに、上記のプラスミドDNA、線状バキュロウイルス
DNA、及びリポフェクチン混和溶液全量を加え、27℃
で3日間培養後、組換えウイルスを含む培養上清1ml
を採取した。シャーレには新たにESF921倍地1m
lを添加し、さらに27℃で3日間培養して、組換えウイ
ルスを含む培養上清をさらに1.5ml取得した。
【0191】次に、VPLFをコードするDNAまたは
VPLFΔNをコードするDNAを含む組換えウイルス
をそれぞれ、以下の手順で増殖させた。Sf9細胞を5
×105/mlとなるように50mlのESF921培
地中で、125ml容三角フラスコを用い、27℃にて1
25rpmで振とう培養した。細胞が2×106/ml
にまで増殖した時点で、組換えウイルスをMOI(感染
多重度)=10となるように感染させ、さらに3日間培
養した。培養液を1,200×gで10分間遠心分離して細
胞を除去し、蛋白質発現に使用する組換えウイルス溶液
を得た。
【0192】なお、組換えウイルス溶液の力価は以下に
示す方法で測定した。Sf9細胞6×105個を4ml
のESF921培地に懸濁し、直径50mmの細胞培養
用プラスチックシャーレに入れ、室温で1時間放置して
細胞をシャーレに付着させた。上清を除き、ESF92
1培地400mlとESF921培地で希釈した上記組
換えウイルス溶液100mlを加え、室温で1時間放置
した後、培地を除き、5mlの1%低融点アガロース
[アガープラーク・アガロース;ファーミンジェン社
製]を含む培地[滅菌した、1mlの5%アガープラー
クプラス・アガロース水溶液と4mlのTMN−FHイ
ンセクトメディウム(ファーミンジェン社製)を混和
し、42℃に保温したもの]を該シャーレに流し込ん
だ。室温で15分間放置した後、乾燥を防ぐためにビニ
ルテープをシャーレに巻き、密閉可能なプラスチック製
容器に該シャーレを入れ、27℃で5日間培養した。該
シャーレに0.01%のニュートラルレッドを含むPBSを
1ml加え、さらに1日間培養した後、出現したプラー
ク数を数えた。その結果、0.5〜2×10 8/mlの
組換えウイルス溶液を調製することができた。
【0193】(3)蛋白質の発現 High5細胞(インビトロージェン社製)を5×10
5/mlとなるように100mlのESF921培地中
で、250ml容三角フラスコを用い、27℃にて12
5rpmで振とう培養した。細胞が3〜4×106/m
lにまで増殖した時点で、3×107個になるように、
25mlのESF921倍地をあらかじめ添加してある
底面積182 cm2のフラスコに継代した。室温で1時間放
置して細胞を付着させた後、培地を除去し、VPLFを
コードするDNA又はVPLFΔNをコードするDNA
を含む組換えウイルスをMOI=5になるように添加
し、さらにESF921培地を添加して10mlとし、
室温で1時間感染させた。ESF921培地を20ml
添加し、27℃で3日間培養し、目的の組換え蛋白質を
発現させた。
【0194】VPLFをコードするDNAまたはVPL
FΔNをコードするDNAを含む組換えウイルスを感染
させた細胞の培養上清それぞれに、ヘパリンセルロファ
イン樹脂を添加して4℃にて一晩反応させた後、樹脂を
回収して20mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)で洗浄し、
1M NaClを含む同緩衝液で溶出させた。培養上清
1ml相当分の溶出液を試料として、実施例13で得ら
れた抗VPLFペプチド抗体(KM2676)を用いて
ウェスタンブロッティングを行った。その結果、VPL
FをコードするDNAを感染させた場合には分子量約4
0kDa付近のバンドが、VPLFΔNをコードするD
NAを含む組換えウイルスを感染させた場合には分子量
約20kDa付近のバンドが検出された。
【0195】〔実施例7〕 VPLFΔNの精製 VPLFΔNを発現させたHigh5細胞の培養上清4
00mlに、50mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)で平
衡化したヘパリンセルロファイン樹脂(チッソ社製)を
4ml添加し、4℃で12時間静かに攪拌することによ
って、蛋白質を樹脂に吸着させた。樹脂をカラムに詰
め、50mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)10mlで洗
浄した後、50mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)/0.
75M NaCl溶液10mlで溶出した。20mMリ
ン酸ナトリウム(pH 7.2)/0.2M NaCl溶液に
対して透析した後、8,000×gで5分間遠心分離し、上
清を、20mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)/0.2M
NaCl溶液で平衡化した、10mlのSPセファロ
ース(ファルマシアバイオテク社製)カラムに通塔し
た。20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.2)/0.
2M NaCl溶液40mlで洗浄した後、0.2〜1
M NaClのリニアグラジエント40mlで溶出させ
た。さらに、20mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)/1
M NaCl溶液10mlで溶出させた。溶出条件は、
1ml/分、2ml/画分で行った。VPLFΔNが多
く含まれる画分を回収し、3M NaClになるように
20mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)/4M NaCl
溶液を添加した。次に、20mMリン酸ナトリウム(pH
7.2)/3M NaCl溶液で平衡化したブチルセファ
ロース(ファルマシアバイオテク社製)カラム1.57
mlに通塔し、20mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)/
3M NaCl溶液10mlで洗浄した後、3〜0M N
aClのリニアグラジエント20mlで溶出させた。溶
出条件は、0.2ml/分、1ml/画分で行った。V
PLFΔNを含む画分を回収し、セントリコン-10
(アミコン製製)を用いて濃縮した。
【0196】得られた濃縮液を試料として、5〜20%
ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、クマシーブリ
リアントブルーR250を用いたゲル染色によって解析
した結果、精製純度は約85%であった。精製蛋白質の
N末端アミノ酸配列を解析した結果、Asp-Pro-Ser-Pro-
Phe-Val(配列番号35)及びSer-Pro-Phe-Val-Phe-Gly
(配列番号36)であったので、本精製蛋白質は、VP
LFの227番目のPheから345番目のGlyのN末端
に、メリチン成熟体由来の4アミノ酸(Asp-Pro-Ser-Pr
o:配列番号34)が付加した蛋白質(配列番号32)
と2アミノ酸(Ser-Pro)が付加した蛋白質(配列番号
33)の混合物であることが明らかとなった。
【0197】次に、精製したVPLFΔN2μgを試料
とし、還元条件下及び非還元条件下でSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動を行い、VPLFΔNの移動度
の変化を調べた。検出は、クマシーブリリアントブルー
R250での染色によって行った。その結果、還元条件
下では分子量約20kDaに相当する移動度を示してい
たバンドが、非還元条件下では、移動度が低下し、分子
量約30kDaに相当する位置にバンドが検出された
(図8)。したがって、VPLFΔNはS−S結合を介
した二量体を形成していることが示唆された。
【0198】次にN型糖鎖の有無を調べた。0.5%S
DS及び50mMβ-メルカプトエタノールの存在下
で、2μgのVPLFΔNを100℃で5分間処理した
後、2.5%になるようにNonidetP−40(ナ
カライ社製)を添加し、0.3Uの−glycosi
dase F(宝酒造社製)を添加して反応させた。3
7℃で20時間反応させた後、SDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を行い、銀染色でVPLFΔNを検出
した。その結果、−glycosidaseFによる
処理で分子量が低下したことから、 VPLFΔNには
N型糖鎖が付加されていることが示された。
【0199】〔実施例8〕動物細胞を宿主としたVPL
Fの発現 (1)組換えベクターの作製: (i) pIRES−VPLF:pIRESneo(クロ
ンテック社製)のNotI-EcoRI部位に、pVL−VPLF
NotI-EcoRI(1 kb)断片を挿入し、pIRES−VP
LFを作製した(図9)。 (ii) pAGE248−VPLF及びpAGE210−
VPLF:pVL−VPLFのNotI-EcoRI(1 kb)断片
を、ベクターpBluescriptIIのNotI-EcoRI
に挿入し、pBS−VPLFを作製した。pBS−VP
LFをNotIで切断し、Klenowで処理した後、BamHIリン
カー(5'-CGGATCCG-3')を挿入し、pBS−VPLF
(B)を作製した。pBS−VPLF(B)のBamHI-KpnI(1
kb)をpAGE210又はpAGE248[Sasaki,K.,
et al., J. Biol. Chem., 269.14730-14737(1994))のB
amHI-KpnI部位に挿入し、pAGE210−VPLF及
びpAGE248−VPLFを作製した(図10)。
【0200】(2)細胞への組換えベクターの導入 (i)PC−9細胞への導入:プラスミドpIRES−V
PLF 1μgを含むRPMI1640培地(0.2%炭酸ナ
トリウム、2mM L-グルタミンを含む)50mlと、
2mlのLipofectAMINETM2000(GIBC
O BRL社製)を含むRPMI1640培地50mlとを
混合し、室温で20分間放置した。PC−9細胞をRP
MI1640培地に懸濁し、24ウェルプレートに添加
した0.5mlのRPMI1640培地中へ、3×10
5個の細胞を播種した。本細胞培養液へ上記の混合液を
添加し、37℃で一日培養した。0.3mg/mlのG
418及び5%dFCS(ギブコ社製)を含むRPMI
1640培地で培養し、耐性株(以下「PC−9/VP
LF株」という)を取得した。
【0201】(ii)CHO(DG44株)細胞への導入:8×
106細胞/mlになるようにK−PBS溶液(10.2 g
KCl, 0.16 g NaCl, 1.15 g Na2HPO4, 0.2 g KH2PO4, 0.
81 g MgCl2・6H2O)に懸濁した細胞懸濁液200ml
に、pAGE248−VPLF又はpAGE210−V
PLFを4μg添加し、Gene−Pulser2(Bi
oRad社製)を用いて、エレクトロポレーション法(0.35
kV, 250 mF)にて組換えベクターを細胞に導入した。
組換えベクターを導入した細胞を5%のdFCS(GIBC
O社製)を含むEXCELL302培地(ニチレイ社
製)で1日間培養後、0.3mg/mlになるようにハ
イグロマイシンを添加し耐性株を選択した。さらに、1
00nM或いは500nMになるようにメトトレキセー
ト(MTX)を添加し耐性株を選択した(以下、pAGE
248−VPLF、pAGE210−VPLFを導入し
て作製した耐性株を、それぞれ「DG44/pAGE2
48−VPLF株」、「DG44/pAGE210-V
PLF株」といい、2種類の株を「DG44/VPLF
株」と総称する)。
【0202】(3)発現の確認 上記(2)(i)で作製したPC−9/VPLF株、及び
(ii)で作製したDG44/VPLF株を、それぞれRP
MI1640培地(0.2%炭酸ナトリウム、2mM L-グ
ルタミン、10%FCS及び0.3 mg/ml G418を含む)及び、E
XCELL302(5%FCS、0.3 mg/mlハイグロマイシ
ン、及び100nM若しくは500nM MTXを含む)中で、コ
ンフルエントになるまで培養し、培養上清を得た。この
培養上清に、それぞれ、ヘパリンセルロファイン樹脂
(チッソ社製)を添加して4℃にて一晩反応させた後、
樹脂を回収して20mMリン酸ナトリウム(pH 7.2)で洗
浄し、1M NaClを含む同緩衝液で溶出させた。培
養上清1ml相当分の溶出液を試料として、下記の実施
例13で取得される抗VPLFペプチド抗体(KM26
76)を用いてウェスタンブロッティングを行った。そ
の結果を図11に示した。図11において、PC−9/
VPLF株の培養上清から調製した溶出液を泳動したレ
ーンをCMV−VPLF、 DG44/pAGE248
−VPLF株の培養上清から調製した溶出液を泳動した
レーンをSV40−VPLF、DG44/pAGE21
0−VPLF株の培養上清から調製した溶出液を泳動し
たレーンをMo−VPLFとして示した。
【0203】ウェスタンブロッティングによる解析の結
果、動物細胞で発現させた培養上清中から、分子量約4
5kDa及び約20kDaの2本のバンドが検出され
た。約20kDaのバンドは、昆虫細胞を宿主として発
現させたVPLFΔNとほぼ同じ移動度を示した。した
がって、VPLFは動物細胞においてプロセッシングを
受けたフォームで発現することが分かった。
【0204】〔実施例9〕VPLFのヒト未分化造血細
胞に及ぼす効果 実施例7で得られたVPLFΔNのヒト未分化造血細胞
に及ぼす効果を以下のようにして調べた。ヒト未分化造
血細胞として、CD34陽性ヒト骨髄細胞(BIOWHITTAK
ER社製)を用いた。IMDM倍地(STEMCELL TECHNOLOG
IES社製)中に1×105個/mlの細胞密度で懸濁した
CD34陽性ヒト骨髄細胞を100μl/ウエルで細胞
培養用96ウェルプレート(住友ベークライト社製)に
播種し、終濃度500ng/mlになるようにVPLF
ΔN又は幹細胞因子SCF(Genzyme社製)を加え、5
%CO2条件下、37℃で48時間培養した。48時間
後、0.25μキューリーの[6−3H]−Thymi
dine(以下「3H−TdR」と略す)(NEN社製)を
加え更に12時間培養し、セルハーべスターを用いてガ
ラスフィルター上に細胞を回収した。回収した細胞内に
取り込まれた放射活性を放射線カウンターマトリックス
96(パッカード社製)を用いて測定した。ボランティ
ア二人のCD34陽性ヒト骨髄細胞ロット番号9F03
29(19歳、アジア人、男性、CD34陽性率96.4
%)とロット番号9F1809(29歳、白人、男性、
CD34陽性率96.1%)を用い、独立に上述の実験を繰
り返したが、いずれの場合も同じ結果が得られた。ロッ
ト番号9F0329を用いた実験の結果を図12に示し
た。SCFのヒトCD34陽性骨髄細胞に対する増殖促
進活性は観察されたが、VPLFΔNの効果としては当
該増殖促進活性は観察されなかった。
【0205】〔実施例10〕 VPLFの平滑筋細胞に
及ぼす効果 実施例7で得られたVPLFΔNの平滑筋細胞に対する
生物活性を、以下のようにして確認した。96ウェルコ
ラーゲンコートプレート(IWAKI社製)に、10%牛胎
児血清(FBS)、ペニシリン(GIBCO BRL社製)100un
it/ml、ストレプトマイシン(GIBCO BRL社製)10
0μg/mlを添加したM−199培地(GIBCO BRL社
製)に浮遊させたラット由来平滑筋細胞(RSMC)[FEBS
Letters, 425, 123, (1998)]を3000個/200μ
l/ウエルとなるように加え、37℃のCO2インキュ
ベーター中で1日間培養した。培養後、培養上清を除去
し、各ウエルに100μlずつOpti−MEM培地
(GIBCO BRL社製)を加え、37℃で3時間培養した。
培養後、各ウエルにOpti−MEM培地で希釈したヒ
トVEGF165(R&D社製)、ヒトIL−5(R&D社
製)、ヒトPDGF BB(R&D社製)又はVPLFΔN
をそれぞれ100μl/ウエル(終濃度160pg/mlから50
0ng/ml)添加し、37℃のCO2インキュベーター中で
2日間培養した。培養終了後、各ウエルに10μlずつ
MTT反応試薬[Cell Peoliferation Kit I;ベーリン
ガーマンハイム社製]を添加し、37℃のCO2インキ
ュベーター中で4時間培養した。培養終了後、各ウエル
に100μlずつ溶解試薬を加えた後、37℃でインキ
ュベーター中で一晩溶解した。溶解終了後、OD650
nmを対象波長としてOD590nmにおける各ウエル
の吸光値を測定した。
【0206】結果を図13に示す。ヒトVPLFΔNは
濃度依存的に、RSMCに対する増殖促進活性を示し
た。陽性コントロールのヒトPDGF BBの増殖活性
は50〜100倍低い濃度でRSMCに対する増殖促進
活性を示した。これに対してヒトVEGF165および
コントロールとして用いたヒトIL−5はRSMCに対
する増殖活性を示さなかった。
【0207】〔実施例11〕 VPLFの内皮細胞に及
ぼす効果 実施例7で得られたVPLFΔNの内皮細胞に対する生
物活性を、以下のようにして確認した。96ウェルコラ
ーゲンコートマイクロタイタープレート(IWAKI社製)
に、E−BM培地に2%牛胎児血清(FBS)、ヒト組換
え型上皮成長因子(rEGF)10ng/ml、ハイドロコ
ーチゾン1μg/ml、ゲンタマイシン50μg/m
l、アンファテリシンB 50ng/mlを添加した培
地(クラボウ社製)に浮遊させたヒト皮膚由来微小血管
内皮細胞HUVEC(クラボウ社製)を3000個/1
00μl/ウエルになるように加えた。次に、上記培地
で希釈したヒトVEGF165(R&D社製)、ヒトIL
−5(R&D社製)、ヒトPDGF BB(R&D社製)又は
VPLFΔNをそれぞれ100μl/ウエル(終濃度10
pg/mlから100ng/ml)添加し、37℃のCO2インキュベ
ーター中で5日間培養した。培養終了後、各ウエルに2
0μlの細胞発色用試薬[Cell Counting Kit;同仁化
学社製]を加え、37℃で1〜2時間培養した。培養終
了後、OD450nmを対象波長としてOD650nm
における各ウエルの吸光値を測定した。
【0208】結果を図14に示す。ヒトVEGF165
は濃度依存的にHUVECに対する増殖活性を示した
が、ヒトVPLFΔN、ヒトPDGF BBは増殖活性
を示さなかった。また、コントロールとして使用したヒ
トIL−5は増殖活性を示さなかった。
【0209】〔実施例12〕VPLF抗体作製用の抗原
の調製 VPLFの蛋白配列を解析し、親水性の高い部分、N末
端、C末端、二次構造上ターン構造、ランダムコイル構
造を有する部分の中から、抗原として適当と考えられる
部分配列として、化合物1〜4(配列番号28〜31)
を選択した。以下の実施例において、化合物の理化学的
性質は次の方法により測定した。質量分析は、日本電子
JMS−HX110Aを用いるFAB−MS法により行
った。アミノ酸分析は、コーエン(Cohen, S. A.)らの
方法[アナリティカル・バイオケミストリー (Analytic
al Biochemistry), 222, 19 (1994)]により行った。加
水分解は塩酸蒸気中110℃で20時間行い、加水分解
物のアミノ酸組成はウォーターズ・アキュ・タグ(Wate
rs AccQ-Tag)アミノ酸分析計(Waters社製)を用いて
分析した。
【0210】(1)化合物1(配列番号28)(H-Cys-
Thr-Gln-Ala-Glu-Ser-Asn-Leu-Ser-Ser-Lys-Phe-Gln-Ph
e-Ser-Ser-Asn-Lys-Glu-Gln-Asn-Gly-NH2)の合成 16.5μmolのFmoc-NHが結合した担体樹脂[Rink
amide MBHA resin樹脂;ノバビオケム社製]30mgを
自動合成機(島津製作所製)の反応容器に入れ、858
μlのDMFを加えて1分間攪拌して溶液を排出した
後、島津製作所の合成プログラムに従って次の操作を行
った。 (a)30%ピペリジン−DMF溶液734μlを加え
て混合物を4分間攪拌し、該溶液を排出し、この操作を
もう1回繰り返した。 (b)担体樹脂を500μlのDMFで1分間洗浄し、
該溶液を排出し、この操作を5回繰り返した。 (c)Fmoc-Gly-OH(165μmol)、HBTU(165μmo
l)、HOBt1水和物(165μmol)およびDIEA(3
30μmol)をDMF(858μl)中で3分間攪拌し、得ら
れた溶液を樹脂に加えて混合物を30分間攪拌し、溶液
を排出した。 (d)担体樹脂を858μlのDMFで1分間洗浄後、
溶液を排出し、これを5回繰り返した。
【0211】こうして、Fmoc-Gly-NHが担体上に合成さ
れた。次に、(a)及び(b)の工程の後、(c)の工
程でFmoc-Asn(Trt)-OHを用いて縮合反応を行い、(d)
の洗浄工程を経て、Fmoc-Asn(Trt)-Gly-NHが担体上に合
成された。
【0212】以下、工程(c)において、Fmoc-Gln(Tr
t)-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Lys(Boc)-OH,Fmoc-A
sn(Trt)-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fm
oc-Phe-OH,Fmoc-Gln(Trt)-OH,Fmoc-Phe-OH,Fmoc-Lys
(Boc)-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc
-Leu-OH,Fmoc-Asn(Trt)-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc-
Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Ala-OH,Fmoc-Gln(Trt)-OH,Fmoc-
Thr(tBu)-OH,Fmoc-Cys(Trt)-OHを順次用いて、(a)
〜(d)の工程を繰り返した。その後、(a)及び
(b)の脱保護、洗浄工程を経て、メタノール、ブチル
エーテルで順次洗浄し、減圧下で12時間乾燥して、側
鎖保護ペプチドの結合した担体樹脂を得た。ただし、Fm
oc-Phe-OHの縮合時には、858μLのDMFの代わり
に198μLのNMPと660μLのDMFの混合溶媒
を用いた。これに、TFA(90%)、チオアニソール(5
%)、および1,2−エタンジチオール(5%)からなる
混合溶液1mlを加えて室温で2時間放置し、側鎖保護
基を除去するとともに樹脂よりペプチドを切り出した。
樹脂を濾別後、得られた溶液にエーテル約10mlを加え、
生成した沈澱を遠心分離およびデカンテーションにより
回収し、粗ペプチドとして37.9mgを取得した。こ
の粗生成物を、1mlの90%酢酸、4mlのDMF、1
mlのトリフルオロエタノールに溶解した上清を逆相カ
ラム(資生堂製、CAPCELL PAK C18 30mmI.D. X 25mm)
を用いたHPLCで精製した。0.1%TFA水溶液
に、TFA0.1%を含む90%アセトニトリル水溶液
を加えていく直線濃度勾配法で溶出し、220nmで検
出し、化合物1を含む画分を得た。さらに粗ペプチド溶
解時の沈殿に30mgのジチオスレイトールと1mlの
8M尿素を加えて溶解し、3mlの2M酢酸で希釈し
て、上記と同様に逆相カラムを用いたHPLCで精製
し、化合物1を含む画分を得た。これらの画分を凍結乾
燥して、化合物1を8.6mg得た。 質量分析[FABMS]:m/z=2434.0(M+H+); アミノ酸分析:Asx3.1(3),Ser4.6(5),Glx5.1(5),Gly
1.1(1),Thr0.9(1),Ala1.0(1),Cys1.3(1),Lys2.0
(2),Leu1.0(1),Phe2.0(2)
【0213】(2)化合物2(配列番号29)(H-Cys-
Ser-Ile-Arg-Glu-Glu-Leu-Lys-Arg-Thr-Asp-Thr-Ile-Ph
e-Trp-Pro-Gly-NH2)の合成 16.5μmolのFmoc-NHが結合した担体樹脂[Rink
Amide MBHA樹脂、ノバビオケム社製]30mgを出発物
質として、上記(1)と同様にして、Fmoc-Gly-OH,Fmo
c-Pro-OH,Fmoc-Trp(Boc)-OH,Fmoc-Phe-OH,Fmoc-Ile-
OH,Fmoc-Thr(tBu)-OH,Fmoc-Asp(OtBu)-OH,Fmoc-Thr
(tBu))-OH,Fmoc-Arg(Pmc)-OH,Fmoc-Lys(Boc)-OH,Fmo
c-Leu-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fm
oc-Arg(Pmc)-OH,Fmoc-Ile-OH,Fmoc-Ser(tBu),Fmoc-C
ys(Trt)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除去、洗浄、乾
燥を経て、側鎖保護ペプチドの結合した担体樹脂を得
た。これに5mg/mLの濃度で2−メチルインドール
を含むTFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水(5
%)、エチルメチルスルフィド(3%)、1,2−エタン
ジチオール(2.5%)およびチオフェノール(2%)からな
る混合溶液1mlを加えて室温で6時間放置し、側鎖保
護基を除去するとともに樹脂よりペプチドを切り出し
た。上記(1)と同様にして、粗ペプチド41.4mg
を取得し、酢酸水溶液に溶解後、逆相カラムを用いたH
PLCで精製し、化合物2を7.1mg得た。 質量分析[FABMS]:m/z=2051.2(M+H+); アミノ酸分析:Asx1.1(1),Ser1.0(1),Glx2.1(2),Gly
1.3(1),Arg1.5(2),Thr1.9(2),Pro1.1(1),Cys1.2
(1),Lys1.0(1),Ile1.8(2),Leu1.1(1),Phe0.9(1)(T
rpは分析せず)
【0214】(3)化合物3(配列番号30)(Ac-Thr
-Phe-Asp-Glu-Arg-Phe-Gly-Leu-Glu-Asp-Pro-Glu-Asp-A
sp-Ile-Cys-Lys-NH2)の合成 16.5μmolのFmoc-NHが結合した担体樹脂[Rink
Amide MBHA樹脂、ノバビオケム社製]30mgを出発物
質として、上記(1)と同様にして、Fmoc-Lys(Boc)-O
H,Fmoc-Cys(Trt)-OH,Fmoc-Ile-OH,Fmoc-Asp(OtBu)-O
H,Fmoc-Asp(OtBu)-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Pro-
OH,Fmoc-Asp(OtBu)-OH,Fmoc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Leu
-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Phe-OH,Fmoc-Arg(Pmc)-OH,F
moc-Glu(OtBu)-OH,Fmoc-Asp(OtBu)-OH,Fmoc-Phe-OH,
Fmoc-Thr(tBu)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除去し、
31μlの無水酢酸を含む500μlのDMFを加えて3
0分間攪拌した。溶液を排出後、洗浄、乾燥を経て、側
鎖保護ペプチドの結合した担体樹脂 を得た。これにT
FA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水(5%)、エ
チルメチルスルフィド(3%)、1,2−エタンジチオー
ル(2.5%)およびチオフェノール(2%)からなる混合溶
液1mlを加えて室温で8時間放置し、側鎖保護基の切
断ならびに樹脂からの切り出しを行った。上記(1)と
同様にして粗ペプチド40.7mgを取得し、酢酸水溶
液に溶解後、逆相カラムを用いたHPLCで精製し、化
合物3を18.3mg得た。 質量分析[FABMS]:m/z=2071.6(M+H+); アミノ酸分析:Asx4.0(4),Glx3.1(3),Gly1.0(1),Arg
0.9(1),Thr1.0(1),Pro1.0(1),Cys1.3(1),Lys1.0
(1),Ile0.9(1),Leu1.0(1),Phe2.0(2)
【0215】(4)化合物4(配列番号31)(H-Cys-
Arg-Gly-Ser-Thr-Gly-Gly-OH)の合成 24.0μmolのFmoc-Glyが結合した担体樹脂[Wang
樹脂、ノバビオケム社製]30mgを出発物質として、
上記(1)と同様にして、Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Thr(tBu)
-OH,Fmoc-Ser(tBu)-OH,Fmoc-Gly-OH,Fmoc-Arg(Pmc)-
OH,Fmoc-Cys(Trt)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除去
し、洗浄、乾燥を経て、側鎖保護ペプチドの結合した担
体樹脂 を得た。これにTFA(82.5%)、チオアニソール
(5%)、水(5%)、エチルメチルスルフィド(3%)、
1,2−エタンジチオール(2.5%)およびチオフェノー
ル(2%)からなる混合溶液1mlを加えて室温で8時間
放置し、側鎖保護基の切断ならびに樹脂からの切り出し
を行った。上記(1)と同様にして粗ペプチド21.1mg
を取得し、0.1%TFA水溶液に溶解後、逆相カラム
を用いたHPLCで精製し、化合物4を3.6mg得
た。 質量分析[FABMS]:m/z=637.2(M+H+); アミノ酸分析:Ser0.9(1),Gly3.1(3),Arg0.9(1),Thr
0.9(1),Cys1.1(1)
【0216】〔実施例13〕VPLFを認識するモノク
ローナル抗体の作製 (1)免疫原の調製 実施例12で得られた化合物1〜4は、免疫原性を高め
る目的で以下の方法でKLH(カルビオケム社製)との
コンジュゲートを作製し、免疫原とした。すなわち、K
LHをPBSに溶解して10mg/mlに調整し、1/
10容量の25mg/ml MBS[N-(m-Maleimidobe
nzoyloxy)succinimide;ナカライテスク社製]を滴下し
て30分撹拌反応させた。あらかじめPBSで平衡化し
たセファデックスG−25カラムなどのゲルろ過カラム
でフリーのMBSを除いて得られたKLH−MB2.5
mgを0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(PH7.0)
に溶解したペプチド1mgと混合し、室温で3時間、攪
拌反応させた。反応後、PBSで透析したものを免疫原
として用いた。
【0217】(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 上記(1)で調製した化合物1〜4のKLHコンジュゲ
ート100μgをそれぞれ水酸化アルミニウムアジュバ
ント(Antibodies - A Laboratory Manual, Cold Sprin
g Harbor Laboratory, p99、1988)2mgおよび百日咳
ワクチン(千葉県血清研究所製)1×109細胞ととも
に5週令雌SDラット各3匹に投与した。投与2週間後
より、各KLHコンジュゲート100μgを1週間に1
回、計4回投与した。該ラットの心臓より採血し、その
血清抗体価を以下に示す酵素免疫測定法で調べ、十分な
抗体価を示したラットから最終免疫3日後に脾臓を摘出
した。
【0218】脾臓をMEM(Minimum Essential Mediu
m)培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほ
ぐし、遠心分離(250×g、5分間)した。得られた沈殿
画分にトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.6)を添
加し、1〜2分間処理することにより赤血球を除去し
た。得られた沈殿画分(細胞画分)をMEM培地で3回
洗浄し、細胞融合に用いた。
【0219】(3)酵素免疫測定法(バインディングE
LISA) アッセイ用の抗原には実施例12で得られた各化合物を
サイログロブリン(以下「THY」という)とコンジュ
ゲートしたものを用いた。作製方法は、架橋剤にMBS
の代わりにSMCC[4-(N-Maleimidomethyl)-cyclohex
ane-1-carboxylic acid N-hydroxysuccinimido ester;
シグマ社]を用いる以外は上記(1)と同様に行った。
96ウェルのEIA用プレート(グライナー社)に、上
記のように調製したコンジュゲート(10μg/ml)
を50μl/ウエルで分注し、4℃で一晩放置して吸着
させた。該プレートを洗浄後、1%ウシ血清アルブミン
(BSA)/ダルベッコリン酸緩衝液(Phosphate buffere
d saline:PBS)を100ml/ウエル加え、室温で1
時間放置し、残っている活性基をブロックした。
【0220】放置後、1%BSA/PBSを捨て、該プ
レートに被免疫ラット抗血清、モノクローナル抗体の培
養上清もしくは精製モノクローナル抗体を50ml/ウ
エル分注し、2時間放置した。該プレートを0.05%
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート
[商品名:スパン20(ICI社商標Tween 20相当品:和
光純薬社製)]/PBS(以下「Tween-PBS」という)
で洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ラットイムノ
グロブリンを50ml/ウエル加え、室温で1時間放置
した。該プレートをTween−PBSで洗浄後、AB
TS基質液(2.2-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾー
ル-6-スルホン酸)アンモニウム、1mMABTS/
0.1Mクエン酸バッファー(pH4.2))を添加し、発色
させてOD415nmの吸光度をプレートリーダー[Em
ax;Molecular Devices社]を用いて測定した。
【0221】(4)マウス骨髄腫細胞の調製 8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3X63A
g8U.1[P3-U1:ATCCより購入]を正常培地(10%
ウシ胎児血清添加RPMI培地)で培養し、細胞融合時に2
×107個以上の細胞を確保し、細胞融合に親株として
供した。
【0222】(5)ハイブリドーマの作製 上記(2)で得られたラット脾細胞と上記(4)で得ら
れた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分
離(250×g、5分間)した。得られた沈澱画分の細胞群
をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチ
レングリコール−1000(PEG-1000)2g、MEM培
地2mlおよびジメチルスルホキシド0.7mlの混液
を108個のマウス脾細胞あたり0.5ml加え、該懸
濁液に1〜2分間毎にMEM培地1mlを数回加えた
後、MEM培地を加えて全量が50mlになるようにし
た。
【0223】該懸濁液を遠心分離(900 rpm、5分間)
し、得られた沈澱画分の細胞をゆるやかにほぐした後、
該細胞を、メスピペットによる吸込み吸出しでゆるやか
にHAT培地〔10%ウシ胎児血清添加RPMI培地にHAT Me
dia Supplement(ベーリンガーマンハイム社製)を加え
た培地〕100ml中に懸濁した。該懸濁液を96ウェル
培養用プレートに200ml/ウエルずつ分注し、5%
CO2インキュベーター中、37℃で10〜14日間培
養した。
【0224】培養後、培養上清を上記(3)に記載した
酵素免疫測定法で調べ、抗原ペプチドに反応してコント
ロールペプチドに反応しないウエルを選び、そこに含ま
れる細胞から限界希釈法によるクローニングを2回繰り
返し、抗ヒトVPLFモノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマを確立した。その結果、化合物2を抗原に用いて
抗ヒトVPLFモノクローナル抗体KM2676を取得
した。図15に示すように、KM2676は化合物2に
特異的な反応性を示した(図15において、化合物2を
コートしたウエルをVPLF2ペプチドとして示し
た)。
【0225】なお、抗ヒトVPLFモノクローナル抗体
KM2676を産生するハイブリドーマKM2676
は、平成12年4月18日付けで工業技術院生命工学工
業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3
号:郵便番号305-8566)にFERM BP−7137と
して寄託されている。
【0226】(6)モノクローナル抗体の精製 プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(BALB/c)に
上記(5)で得られたハイブリドーマ株を5〜20×1
6細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日
後、ハイブリドーマが腹水癌化することにより腹水のた
まったマウスから、腹水を採取(1〜8ml/匹)し
た。
【0227】該腹水を遠心分離(1200×g、5分間)
し、固形分を除去した。精製IgGモノクローナル抗体
は、カプリル酸沈殿法(Antibodies - A Laboratory Ma
nual,Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)により精
製することにより取得した。モノクローナル抗体のサブ
クラスはサブクラスタイピングキットを用いたELIS
A法によりIgG2bと決定された。
【0228】〔実施例14〕抗ヒトVPLFモノクロー
ナル抗体を用いたヒトVPLFの検出 (ウェスタンブロッティング)実施例7で得られたVP
LFΔNを100ng/レーンでSDS−PAGE(5-
20%グラジエントゲル、アトー社製)(Antibodies - A
Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,
1988)にて分画した後、PVDF膜(ミリポア社製)に
ブロッティングした。
【0229】該膜を1%BSA−PBSでブロッキング
後、該膜に抗ヒトVPLFモノクローナル抗体KM26
76の培養上清を原液で添加し、室温で2時間放置し
た。該膜をTween−PBSでよく洗浄した後、第二
抗体として1000倍希釈したペルオキシダーゼ標識ウ
サギ抗ラットイムノグロブリン抗体(ダコ社製)を添加
し、室温で1時間放置した。
【0230】該膜をTween−PBSでよく洗浄した
後、ECLkit(アマシャムファルマシアバイオテク
社製)を用いて検出した(図16)。図16に示すよう
に、抗ヒトVPLFモノクローナル抗体KM2676
は、ヒトVPLF(N末欠失体)の分子量に相当する2
0kDa付近のバンドに特異的に反応した。
【0231】
【発明の効果】本発明によれば、固形腫瘍や腫瘍転移等
の異常な血管新生の亢進を伴う疾患、糖尿病性網膜症、
未熟児網膜症、加齢黄班変性症、血管新生緑内症等の異
常な血管新生に基づく眼の疾患、慢性関節リュウマチ等
の異常な血管新生に基づく関節炎、乾せん等の異常な血
管新生を伴う皮膚疾患、腹水癌、胸水癌、Crow−F
ukuse症候群、卵巣過敏症症候群等の異常な血管透
過性の亢進を伴う疾患、動脈硬化等の平滑筋細胞の分化
増殖異常を伴う疾患、糸球体腎炎等の腎メザンギウム細
胞の分化増殖異常を伴う疾患、貧血等の血液幹細胞の分
化増殖異常を伴う疾患、骨粗鬆症等の骨芽細胞の異常に
基づく疾患、糖尿病等の膵臓β細胞の異常に基づく疾
患、動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞、末梢動脈閉塞症
等の虚血性疾患、神経性下肢潰瘍、糖尿病性下肢潰瘍等
の創傷治癒の遅延を伴う疾患等の治療薬の探索、開発に
有用な増殖因子としての活性を有する蛋白質、該蛋白質
をコードするDNA、該蛋白質を認識する抗体、及びこ
れらの利用方法を提供することができる。
【0232】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KYOWA HAKKO KOGYO CO., LTD. HELIX RESEARCH INSTITUTE, INC. <120> Novel VEGF/PDGF-Like Factor <130> H12-0711J5 <150> JP 11-115516 <151> 1999-04-22 <160> 36 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 345 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Met Ser Leu Phe Gly Leu Leu Leu Leu Thr Ser Ala Leu Ala Gly Gln 1 5 10 15 Arg Gln Gly Thr Gln Ala Glu Ser Asn Leu Ser Ser Lys Phe Gln Phe 20 25 30 Ser Ser Asn Lys Glu Gln Asn Gly Val Gln Asp Pro Gln His Glu Arg 35 40 45 Ile Ile Thr Val Ser Thr Asn Gly Ser Ile His Ser Pro Arg Phe Pro 50 55 60 His Thr Tyr Pro Arg Asn Thr Val Leu Val Trp Arg Leu Val Ala Val 65 70 75 80 Glu Glu Asn Val Trp Ile Gln Leu Thr Phe Asp Glu Arg Phe Gly Leu 85 90 95 Glu Asp Pro Glu Asp Asp Ile Cys Lys Tyr Asp Phe Val Glu Val Glu 100 105 110 Glu Pro Ser Asp Gly Thr Ile Leu Gly Arg Trp Cys Gly Ser Gly Thr 115 120 125 Val Pro Gly Lys Gln Ile Ser Lys Gly Asn Gln Ile Arg Ile Arg Phe 130 135 140 Val Ser Asp Glu Tyr Phe Pro Ser Glu Pro Gly Phe Cys Ile His Tyr 145 150 155 160 Asn Ile Val Met Pro Gln Phe Thr Glu Ala Val Ser Pro Ser Val Leu 165 170 175 Pro Pro Ser Ala Leu Pro Leu Asp Leu Leu Asn Asn Ala Ile Thr Ala 180 185 190 Phe Ser Thr Leu Glu Asp Leu Ile Arg Tyr Leu Glu Pro Glu Arg Trp 195 200 205 Gln Leu Asp Leu Glu Asp Leu Tyr Arg Pro Thr Trp Gln Leu Leu Gly 210 215 220 Lys Ala Phe Val Phe Gly Arg Lys Ser Arg Val Val Asp Leu Asn Leu 225 230 235 240 Leu Thr Glu Glu Val Arg Leu Tyr Ser Cys Thr Pro Arg Asn Phe Ser 245 250 255 Val Ser Ile Arg Glu Glu Leu Lys Arg Thr Asp Thr Ile Phe Trp Pro 260 265 270 Gly Cys Leu Leu Val Lys Arg Cys Gly Gly Asn Cys Ala Cys Cys Leu 275 280 285 His Asn Cys Asn Glu Cys Gln Cys Val Pro Ser Lys Val Thr Lys Lys 290 295 300 Tyr His Glu Val Leu Gln Leu Arg Pro Lys Thr Gly Val Arg Gly Leu 305 310 315 320 His Lys Ser Leu Thr Asp Val Ala Leu Glu His His Glu Glu Cys Asp 325 330 335 Cys Val Cys Arg Gly Ser Thr Gly Gly 340 345 <210> 2 <211> 1328 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> CDS <222> (94)..(1128) <400> 2 agtgcagcct tcccctggcg gtggtgaaag agactcggga gtcgctgctt ccaaagtgcc 60 cgccgtgagt gagctctcac cccagtcagc caa atg agc ctc ttc ggg ctt ctc 114 Met Ser Leu Phe Gly Leu Leu 1 5 ctg ctg aca tct gcc ctg gcc ggc cag aga cag ggg act cag gcg gaa 162 Leu Leu Thr Ser Ala Leu Ala Gly Gln Arg Gln Gly Thr Gln Ala Glu 10 15 20 tcc aac ctg agt agt aaa ttc cag ttt tcc agc aac aag gaa cag aac 210 Ser Asn Leu Ser Ser Lys Phe Gln Phe Ser Ser Asn Lys Glu Gln Asn 25 30 35 gga gta caa gat cct cag cat gag aga att att act gtg tct act aat 258 Gly Val Gln Asp Pro Gln His Glu Arg Ile Ile Thr Val Ser Thr Asn 40 45 50 55 gga agt att cac agc cca agg ttt cct cat act tat cca aga aat acg 306 Gly Ser Ile His Ser Pro Arg Phe Pro His Thr Tyr Pro Arg Asn Thr 60 65 70 gtc ttg gta tgg aga tta gta gca gta gag gaa aat gta tgg ata caa 354 Val Leu Val Trp Arg Leu Val Ala Val Glu Glu Asn Val Trp Ile Gln 75 80 85 ctt acg ttt gat gaa aga ttt ggg ctt gaa gac cca gaa gat gac ata 402 Leu Thr Phe Asp Glu Arg Phe Gly Leu Glu Asp Pro Glu Asp Asp Ile 90 95 100 tgc aag tat gat ttt gta gaa gtt gag gaa ccc agt gat gga act ata 450 Cys Lys Tyr Asp Phe Val Glu Val Glu Glu Pro Ser Asp Gly Thr Ile 105 110 115 tta ggg cgc tgg tgt ggt tct ggt act gta cca gga aaa cag att tct 498 Leu Gly Arg Trp Cys Gly Ser Gly Thr Val Pro Gly Lys Gln Ile Ser 120 125 130 135 aaa gga aat caa att agg ata aga ttt gta tct gat gaa tat ttt cct 546 Lys Gly Asn Gln Ile Arg Ile Arg Phe Val Ser Asp Glu Tyr Phe Pro 140 145 150 tct gaa cca ggg ttc tgc atc cac tac aac att gtc atg cca caa ttc 594 Ser Glu Pro Gly Phe Cys Ile His Tyr Asn Ile Val Met Pro Gln Phe 155 160 165 aca gaa gct gtg agt cct tca gtg cta ccc cct tca gct ttg cca ctg 642 Thr Glu Ala Val Ser Pro Ser Val Leu Pro Pro Ser Ala Leu Pro Leu 170 175 180 gac ctg ctt aat aat gct ata act gcc ttt agt acc ttg gaa gac ctt 690 Asp Leu Leu Asn Asn Ala Ile Thr Ala Phe Ser Thr Leu Glu Asp Leu 185 190 195 att cga tat ctt gaa cca gag aga tgg cag ttg gac tta gaa gat cta 738 Ile Arg Tyr Leu Glu Pro Glu Arg Trp Gln Leu Asp Leu Glu Asp Leu 200 205 210 215 tat agg cca act tgg caa ctt ctt ggc aag gct ttt gtt ttt gga aga 786 Tyr Arg Pro Thr Trp Gln Leu Leu Gly Lys Ala Phe Val Phe Gly Arg 220 225 230 aaa tcc aga gtg gtg gat ctg aac ctt cta aca gag gag gta aga tta 834 Lys Ser Arg Val Val Asp Leu Asn Leu Leu Thr Glu Glu Val Arg Leu 235 240 245 tac agc tgc aca cct cgt aac ttc tca gtg tcc ata agg gaa gaa cta 882 Tyr Ser Cys Thr Pro Arg Asn Phe Ser Val Ser Ile Arg Glu Glu Leu 250 255 260 aag aga acc gat acc att ttc tgg cca ggt tgt ctc ctg gtt aaa cgc 930 Lys Arg Thr Asp Thr Ile Phe Trp Pro Gly Cys Leu Leu Val Lys Arg 265 270 275 tgt ggt ggg aac tgt gcc tgt tgt ctc cac aat tgc aat gaa tgt caa 978 Cys Gly Gly Asn Cys Ala Cys Cys Leu His Asn Cys Asn Glu Cys Gln 280 285 290 295 tgt gtc cca agc aaa gtt act aaa aaa tac cac gag gtc ctt cag ttg 1026 Cys Val Pro Ser Lys Val Thr Lys Lys Tyr His Glu Val Leu Gln Leu 300 305 310 aga cca aag acc ggt gtc agg gga ttg cac aaa tca ctc acc gac gtg 1074 Arg Pro Lys Thr Gly Val Arg Gly Leu His Lys Ser Leu Thr Asp Val 315 320 325 gcc ctg gag cac cat gag gag tgt gac tgt gtg tgc aga ggg agc aca 1122 Ala Leu Glu His His Glu Glu Cys Asp Cys Val Cys Arg Gly Ser Thr 330 335 340 gga gga tagccgcatc accaccagca gctcttgccc agagctgtgc agtgcagtgg 1178 Gly Gly 345 ctgattctat tagagaacgt atgcgttatc tccatcctta atctcagttg tttgcttcaa 1238 ggacctttca tcttcaggat ttacagtgca ttctgaaaga ggagacatca aacagaatta 1298 ggagttgtgc aacagctctt ttgagaagga 1328 <210> 3 <211> 30 <212> RNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized oligo-cap linker sequence <400> 3 agcaucgagu cggccuuguu ggccuacugg 30 <210> 4 <211> 42 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized oligo(dT) primer sequence <400> 4 gcggctgaag acggcctatg tggccttttt tttttttttt tt 42 <210> 5 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 5 agcatcgagt cggccttgtt g 21 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 6 gcggctgaag acggcctatg t 21 <210> 7 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 7 tcttcgggct tctcctgctg acatctgccc 30 <210> 8 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 8 gcacacacag tcacactcct catggtgctc 30 <210> 9 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 9 tgggtgcatt ggagcctcgc cttgctgctc 30 <210> 10 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 10 ctgtaggaag ctcatctctc ctatgtgctg 30 <210> 11 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 11 cagcacatag gagagatgag cttcctacag 30 <210> 12 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 12 ccgagcagtc agctggggga gatgtccctg 30 <210> 13 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 13 gccttcgagt ccggactcga cctctcggac 30 <210> 14 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 14 cagggacatc tcccccagct gactgctcgg 30 <210> 15 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 15 cagggctcca gtaatgaaca tggaccagtg 30 <210> 16 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 16 ggcaacttta acaggcacta attcaggtac 30 <210> 17 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 17 ttcccttgct tcctgcagct cctggccggg 30 <210> 18 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 18 agagaacgtc agctccacgt aggagggccg 30 <210> 19 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 19 ctcgcccatg ttctggccga ggaagccgag 30 <210> 20 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 20 ggccaccttg acgctgcggt ggtggacgcg 30 <210> 21 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 21 ctctgctgct acctgcgtct ggtcagcgcc 30 <210> 22 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 22 tctcacctgg acaggtcgca gctgcacctg 30 <210> 23 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 23 gatatcgccg cgctcgtcgt cgac 24 <210> 24 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 24 caggaaggaa ggctggaaga gtgc 24 <210> 25 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 25 accagagaga tggcagttgg acttaga 27 <210> 26 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 26 gagctgctgg tggaattctt actatcctcc 30 <210> 27 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 27 acttcttggc aaaatatttg tttttggaag 30 <210> 28 <211> 22 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic peptide <220> <221> MOD RES <222> (22) <223> AMIDATION <400> 28 Cys Thr Gln Ala Glu Ser Asn Leu Ser Ser Lys Phe Gln Phe Ser Ser 1 5 10 15 Asn Lys Glu Gln Asn Gly 20 <210> 29 <211> 17 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic peptide <220> <221> MOD RES <222> (17) <223> AMIDATION <400> 29 Cys Ser Ile Arg Glu Glu Leu Lys Arg Thr Asp Thr Ile Phe Trp Pro 1 5 10 15 Gly <210> 30 <211> 17 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic peptide <220> <221> MOD RES <222> (1) <223> ACETYLATION <220> <221> MOD RES <222> (17) <223> AMIDATION <400> 30 Thr Phe Asp Glu Arg Phe Gly Leu Glu Asp Pro Glu Asp Asp Ile Cys 1 5 10 15 Lys <210> 31 <211> 7 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic peptide <400> 31 Cys Arg Gly Ser Thr Gly Gly 1 5 <210> 32 <211> 123 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic peptide <400> 32 Asp Pro Ser Pro Phe Val Phe Gly Arg Lys Ser Arg Val Val Asp Leu 1 5 10 15 Asn Leu Leu Thr Glu Glu Val Arg Leu Tyr Ser Cys Thr Pro Arg Asn 20 25 30 Phe Ser Val Ser Ile Arg Glu Glu Leu Lys Arg Thr Asp Thr Ile Phe 35 40 45 Trp Pro Gly Cys Leu Leu Val Lys Arg Cys Gly Gly Asn Cys Ala Cys 50 55 60 Cys Leu His Asn Cys Asn Glu Cys Gln Cys Val Pro Ser Lys Val Thr 65 70 75 80 Lys Lys Tyr His Glu Val Leu Gln Leu Arg Pro Lys Thr Gly Val Arg 85 90 95 Gly Leu His Lys Ser Leu Thr Asp Val Ala Leu Glu His His Glu Glu 100 105 110 Cys Asp Cys Val Cys Arg Gly Ser Thr Gly Gly 115 120 <210> 33 <211> 121 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic peptide <400> 33 Ser Pro Phe Val Phe Gly Arg Lys Ser Arg Val Val Asp Leu Asn Leu 1 5 10 15 Leu Thr Glu Glu Val Arg Leu Tyr Ser Cys Thr Pro Arg Asn Phe Ser 20 25 30 Val Ser Ile Arg Glu Glu Leu Lys Arg Thr Asp Thr Ile Phe Trp Pro 35 40 45 Gly Cys Leu Leu Val Lys Arg Cys Gly Gly Asn Cys Ala Cys Cys Leu 50 55 60 His Asn Cys Asn Glu Cys Gln Cys Val Pro Ser Lys Val Thr Lys Lys 65 70 75 80 Tyr His Glu Val Leu Gln Leu Arg Pro Lys Thr Gly Val Arg Gly Leu 85 90 95 His Lys Ser Leu Thr Asp Val Ala Leu Glu His His Glu Glu Cys Asp 100 105 110 Cys Val Cys Arg Gly Ser Thr Gly Gly 115 120 <210> 34 <211> 4 <212> PRT <213> Unknown <220> <223> Description of Unknown Sequence:A partial sequence contained in a commercially available plasmid pMbac (STRATAGENE) <400> 34 Asp Pro Ser Pro 1 <210> 35 <211> 6 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:N-terminus sequence of synthetic peptide of SEQ ID NO: 32 <400> 35 Asp Pro Ser Pro Phe Val 1 5 <210> 36 <211> 6 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:N-terminus sequence of synthetic peptide of SEQ ID NO: 33 <400> 36 Ser Pro Phe Val Phe Gly 1 5
【0233】
【配列表フリーテキスト】配列番号3:人工的に合成し
たオリゴキャップリンカー配列 配列番号4:人工的に合成したオリゴ(dT)プライマー
配列 配列番号5〜27:人工的に合成したプライマー配列 配列番号28〜31:人工的に合成したペプチド配列 配列番号32及び33:人工的な融合ポリペプチド配列 配列番号34:市販のプラスミドpMbac(STRATAGENE社
製)に含まれる部分配列 配列番号35:配列番号32の合成ペプチドのN末端配
列 配列番号36:配列番号33の合成ペプチドのN末端配
【図面の簡単な説明】
【図1】VPLFとVEGF/PDGFファミリーとの
アミノ酸配列の比較を示す図である。
【図2】VPLFとESTクローンの関係を示す図であ
る。
【図3】VPLFの疎水性プロットを示す図である。
【図4】RT−PCR法による、VEGF/PDGFス
ーパーファミリーに属す因子のヒト組織における発現を
解析した結果を示す。
【図5】RT−PCR法による、VEGF/PDGFス
ーパーファミリーに属す因子の癌細胞における発現を解
析した結果を示す。
【図6】プラスミドpVL−VPLFの構築の手順を示
す。
【図7】プラスミドpVL−VPLFΔNの構築の手順
を示す。
【図8】精製したVPLFΔNの還元及び非還元条件下
でのSDS−PAGE電気泳動の結果を示す。
【図9】プラスミドpIRES−VPLFの構築の手順
を示す。
【図10】プラスミドpAGE248−VPLF及びp
AGE210−VPLFの構築の手順を示す。
【図11】動物細胞(PC-9、CHO)を宿主としてVPL
Fを発現させた結果を示す。
【図12】ヒトCD34陽性細胞に対するVPLFΔN
の作用を検討した結果を示す。
【図13】ラット平滑筋細胞RSMCに対するVPLF
ΔN、VEGF165、PDGFBB、及びIL−5の
増殖促進活性を検討した結果を示す。
【図14】ヒト臍帯静脈血管内皮細胞HUVECに対す
るVPLFΔN、VEGF165、PDGF BB、及
びIL−5の増殖促進活性を検討した結果を示す。
【図15】抗ヒトVPLFモノクローナル抗体KM26
76の反応特異性を解析した結果を示す。
【図16】ウェスタンブロッティングによるヒトVPL
Fの検出結果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 3/10 A61P 3/10 7/00 7/00 7/06 7/06 9/10 9/10 101 101 9/14 9/14 13/12 13/12 15/00 15/00 17/00 17/00 19/00 19/00 19/02 19/02 19/10 19/10 21/00 21/00 27/02 27/02 29/00 101 29/00 101 35/00 35/00 35/04 35/04 C07K 14/515 C07K 14/515 14/52 14/52 16/24 16/24 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 15/02 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/15 Z 21/08 33/50 Z C12Q 1/68 33/53 D G01N 33/15 M 33/50 33/566 33/53 A61K 37/24 C12N 5/00 B 33/566 15/00 C (72)発明者 佐藤 光男 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 榊原 敏弘 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 古谷 安希子 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 廣田 真意子 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 新海 暁男 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 柴田 健志 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 太田 紀夫 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 西川 哲夫 東京都板橋区氷川町27−3−403 (72)発明者 磯貝 隆夫 茨城県稲敷郡阿見町大室511−12 (72)発明者 杉山 友康 千葉県木更津市清見台2−6−23−102 (72)発明者 石井 静子 千葉県木更津市矢那4508−19−202

Claims (66)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1で示されるアミノ酸配列を含
    む蛋白質。
  2. 【請求項2】 配列番号1で示されるアミノ酸配列にお
    いて1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミ
    ノ酸配列を含み、かつ請求項1記載の蛋白質の有する増
    殖因子としての活性を有する蛋白質。
  3. 【請求項3】 配列番号1で示されるアミノ酸配列と6
    0%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ請
    求項1記載の蛋白質の有する増殖因子としての活性を有
    する蛋白質。
  4. 【請求項4】 配列番号1で示されるアミノ酸配列の部
    分配列を含み、VEGF/PDGFスーパーファミリー
    に属する因子間で保存されている8個のシステイン残基
    を含み、かつ請求項1記載の蛋白質の有する増殖因子と
    しての活性を有する蛋白質。
  5. 【請求項5】 配列番号1で示されるアミノ酸配列の部
    分配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加
    されたアミノ酸配列を含み、VEGF/PDGFスーパ
    ーファミリーに属する因子間で保存されている8個のシ
    ステイン残基を含み、かつ請求項1記載の蛋白質の有す
    る増殖因子としての活性を有する蛋白質。
  6. 【請求項6】 配列番号1で示されるアミノ酸配列にお
    いてN末から少なくとも226番目までのアミノ酸が欠
    失されたアミノ酸配列を含み、かつ請求項1記載の蛋白
    質の有する増殖因子としての活性を有する蛋白質。
  7. 【請求項7】 配列番号32で示されるアミノ酸配列を
    含む蛋白質。
  8. 【請求項8】 配列番号33で示されるアミノ酸配列を
    含む蛋白質。
  9. 【請求項9】 蛋白質の有する増殖因子としての活性が
    平滑筋細胞に対する増殖促進活性である請求項1〜8の
    いずれか一項に記載の蛋白質。
  10. 【請求項10】 平滑筋細胞が、ラット由来である請求
    項9に記載の蛋白質。
  11. 【請求項11】 配列番号1で示されるアミノ酸配列の
    部分配列を含み、かつ請求項1記載の蛋白質の有する増
    殖因子としての活性を阻害する活性を有する蛋白質。
  12. 【請求項12】 配列番号1で示されるアミノ酸配列の
    部分配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付
    加されたアミノ酸配列を含み、かつ請求項1記載の蛋白
    質の有する増殖因子としての活性を阻害する活性を有す
    る蛋白質。
  13. 【請求項13】 請求項1〜10のいずれか一項に記載
    の蛋白質をコードするDNA。
  14. 【請求項14】 請求項11又は12記載の蛋白質をコ
    ードするDNA。
  15. 【請求項15】 配列番号2で示される塩基配列を含む
    DNA。
  16. 【請求項16】 請求項13又は15記載のDNAとス
    トリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ請求
    項1記載の蛋白質の有する増殖因子としての活性を有す
    る蛋白質をコードするDNA。
  17. 【請求項17】 請求項14記載のDNAとストリンジ
    ェントな条件下でハイブリダイズし、かつ請求項1記載
    の蛋白質の有する増殖因子としての活性を阻害する活性
    を有する蛋白質をコードするDNA。
  18. 【請求項18】 Escherichia coli DH10B/NT2RP400032
    8(FERM BP−6686)及びEscherichia coli
    DH10B/OVARC1001401(FERM BP−6687)に含
    有されるプラスミドに含まれ、かつ請求項1記載の蛋白
    質の有する増殖因子としての活性を有する蛋白質をコー
    ドするDNA。
  19. 【請求項19】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを含有してなる組換えベクター。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の組換えベクターを宿
    主細胞に導入して得られる形質転換体。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の形質転換体を培地に
    培養することにより培養物中に請求項1〜12のいずれ
    か一項に記載の蛋白質を生産蓄積させ、該培養物から該
    蛋白質を採取することを特徴とする蛋白質の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の蛋白質を認識する抗体。
  23. 【請求項23】 抗体が配列番号29で表されるアミノ
    酸配列を有するペプチドを認識する請求項22記載の抗
    体。
  24. 【請求項24】 抗体がハイブリドーマKM2676
    (FERM BP−7137)により生産される抗体で
    ある請求項22又は23記載の抗体。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の抗体を生産するハイ
    ブリドーマKM2676(FERM BP−713
    7)。
  26. 【請求項26】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAの塩基配列中の連続した5〜60塩基からな
    る配列を含むオリゴヌクレオチド又は該オリゴヌクレオ
    チドと相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド。
  27. 【請求項27】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを用いるハイブリダイゼーション法により、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載の蛋白質をコード
    する遺伝子の発現を検出する方法。
  28. 【請求項28】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を用いるポリメラーゼ連鎖反応により、請求項1〜12
    のいずれか一項に記載の蛋白質をコードする遺伝子の発
    現を検出する方法。
  29. 【請求項29】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを用いるハイブリダイゼーション法により、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載の蛋白質をコード
    する遺伝子の変異を検出する方法。
  30. 【請求項30】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を用いるポリメラーゼ連鎖反応により、請求項1〜12
    のいずれか一項に記載の蛋白質をコードする遺伝子の変
    異を検出する方法。
  31. 【請求項31】 請求項27〜30のいずれか一項に記
    載の方法を用いて、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、
    異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基
    づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血
    管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常
    を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う
    疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽細胞
    の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾患、
    虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる群よ
    り選択される少なくとも1種の疾患を検出する方法。
  32. 【請求項32】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であり、血
    液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であり、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵臓β細胞
    の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾患が動脈
    硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞症からな
    る群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患が神経性
    下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より選択され
    る請求項31記載の方法。
  33. 【請求項33】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを用いることを特徴とする、請求項1〜12
    のいずれか一項に記載の蛋白質をコードする遺伝子の転
    写を抑制する方法。
  34. 【請求項34】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を用いることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか
    一項に記載の蛋白質をコードする遺伝子の転写を抑制す
    る方法。
  35. 【請求項35】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを用いることを特徴とする、請求項1〜12
    のいずれか一項に記載の蛋白質をコードするmRNAの
    翻訳を抑制する方法。
  36. 【請求項36】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を用いることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか
    一項に記載の蛋白質をコードするmRNAの翻訳を抑制
    する方法。
  37. 【請求項37】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを用いることを特徴とする、請求項1〜12
    のいずれか一項に記載の蛋白質をコードする遺伝子のプ
    ロモーター領域を取得する方法。
  38. 【請求項38】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を用いることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか
    一項に記載の蛋白質をコードする遺伝子のプロモーター
    領域を取得する方法。
  39. 【請求項39】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾
    患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生
    に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常
    な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖
    異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を
    伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾
    患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる
    群より選択される少なくとも一種の疾患の診断薬。
  40. 【請求項40】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、異常な
    血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基づく関
    節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血管透過
    性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常を伴う
    疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患、
    血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽細胞の異常
    に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾患、虚血性
    疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる群より選択
    される少なくとも一種の疾患の診断薬。
  41. 【請求項41】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であり、血
    液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であり、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵臓β細胞
    の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾患が動脈
    硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞症からな
    る群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患が神経性
    下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より選択され
    る請求項39記載の診断薬。
  42. 【請求項42】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であり、血
    液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であり、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵臓β細胞
    の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾患が動脈
    硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞症からな
    る群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患が神経性
    下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より選択され
    る請求項40記載の診断薬。
  43. 【請求項43】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを含有する医薬。
  44. 【請求項44】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を含有する医薬。
  45. 【請求項45】 請求項13〜18のいずれか一項に記
    載のDNAを含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾
    患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生
    に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常
    な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖
    異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を
    伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾
    患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる
    群より選択される少なくとも1種の疾患の治療薬。
  46. 【請求項46】 請求項26記載のオリゴヌクレオチド
    を含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、異常な
    血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基づく関
    節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血管透過
    性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常を伴う
    疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患、
    血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽細胞の異常
    に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾患、虚血性
    疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる群より選択
    される少なくとも1種の疾患の治療薬。
  47. 【請求項47】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であり、血
    液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であり、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵臓β細胞
    の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾患が動脈
    硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞症からな
    る群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患が神経性
    下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より選択され
    る請求項45記載の治療薬。
  48. 【請求項48】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であり、血
    液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であり、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵臓β細胞
    の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾患が動脈
    硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞症からな
    る群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患が神経性
    下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より選択され
    る請求項46記載の治療薬。
  49. 【請求項49】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の蛋白質を含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾
    患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生
    に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常
    な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖
    異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を
    伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾
    患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる
    群より選択される少なくとも1種の疾患の診断薬。
  50. 【請求項50】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であり、血
    液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であり、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵臓β細胞
    の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾患が動脈
    硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞症からな
    る群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患が神経性
    下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より選択され
    る請求項49記載の診断薬。
  51. 【請求項51】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の蛋白質を含有する医薬。
  52. 【請求項52】 請求項1〜10のいずれか一項に記載
    の蛋白質を含有する、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う
    疾患、骨芽細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常
    に基づく疾患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾
    患からなる群より選択される少なくとも1種の疾患の治
    療薬。
  53. 【請求項53】 請求項11又は12記載の蛋白質を含
    有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾患、異常な血管
    新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生に基づく関節
    炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常な血管透過性
    の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖異常を伴う疾
    患及び腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を伴う疾患か
    らなる群より選択される少なくとも1種の疾患の治療
    薬。
  54. 【請求項54】 血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患
    が貧血であり、骨芽細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症
    であり、膵臓β細胞の異常に基づく疾患が糖尿病であ
    り、虚血性疾患が動脈硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び
    末梢動脈閉塞症からなる群より選択され、創傷治癒の遅
    延を伴う疾患が神経性下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍か
    らなる群より選択される請求項52記載の治療薬。
  55. 【請求項55】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎である請求
    項53記載の治療薬。
  56. 【請求項56】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の蛋白質を用いることを特徴とする、該蛋白質と特異的
    に結合する受容体のスクリーニング方法。
  57. 【請求項57】 請求項56記載の方法により取得され
    る受容体。
  58. 【請求項58】 請求項22〜25のいずれか一項に記
    載の抗体を用いることを特徴とする、請求項1〜12の
    いずれか一項に記載の蛋白質の免疫学的検出法。
  59. 【請求項59】 請求項22〜25のいずれか一項に記
    載の抗体を用いて請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の蛋白質を検出することを特徴とする免疫組織染色法。
  60. 【請求項60】 請求項22〜25のいずれか一項に記
    載の抗体を含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾
    患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生
    に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常
    な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖
    異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を
    伴う疾患、血液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患、膵臓β細胞の異常に基づく疾
    患、虚血性疾患及び創傷治癒の遅延を伴う疾患からなる
    群より選択される少なくとも1種の疾患の診断薬。
  61. 【請求項61】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎であり、血
    液幹細胞の分化増殖異常を伴う疾患が貧血であり、骨芽
    細胞の異常に基づく疾患が骨粗鬆症であり、膵臓β細胞
    の異常に基づく疾患が糖尿病であり、虚血性疾患が動脈
    硬化、脳梗塞、急性心筋梗塞及び末梢動脈閉塞症からな
    る群より選択され、創傷治癒の遅延を伴う疾患が神経性
    下肢潰瘍及び糖尿病性下肢潰瘍からなる群より選択され
    る請求項60記載の診断薬。
  62. 【請求項62】 請求項22〜25のいずれか一項に記
    載の抗体を含有する医薬。
  63. 【請求項63】 請求項22〜25のいずれか一項に記
    載の抗体を含有する、異常な血管新生の亢進を伴う疾
    患、異常な血管新生に基づく眼の疾患、異常な血管新生
    に基づく関節炎、異常な血管新生を伴う皮膚疾患、異常
    な血管透過性の亢進を伴う疾患、平滑筋細胞の分化増殖
    異常を伴う疾患、腎メザンギウム細胞の分化増殖異常を
    伴う疾患からなる群より選択される少なくとも1種の疾
    患の治療薬。
  64. 【請求項64】 異常な血管新生の亢進を伴う疾患が固
    形腫瘍及び腫瘍転移からなる群より選択され、異常な血
    管新生に基づく眼の疾患が糖尿病性網膜症、未熟児網膜
    症、加齢黄班変性症及び血管新生緑内症からなる群より
    選択され、異常な血管新生に基づく関節炎が慢性関節リ
    ュウマチであり、異常な血管新生を伴う皮膚疾患が乾せ
    んであり、異常な血管透過性の亢進を伴う疾患が腹水
    癌、胸水癌、Crow−Fukuse症候群及び卵巣過
    敏症症候群からなる群より選択され、平滑筋細胞の分化
    増殖異常を伴う疾患が動脈硬化であり、腎メザンギウム
    細胞の分化増殖異常を伴う疾患が糸球体腎炎である請求
    項63記載の治療薬。
  65. 【請求項65】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の蛋白質をコードする遺伝子の発現が部分的に又は完全
    に抑制されたノックアウト非ヒト動物。
  66. 【請求項66】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の蛋白質の有する活性が部分的に又は完全に抑制された
    ノックアウト非ヒト動物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002033094A1 (fr) * 2000-10-19 2002-04-25 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Anticorps inhibant l'activite vplf
JP2005104910A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Yasuhiko Tabata 血管新生剤
JP2006511515A (ja) * 2002-12-02 2006-04-06 アンジェスMg株式会社 血管形成依存性症状を治療または予防する方法

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