JP2001013093A - 単結晶表面状態分析方法および装置 - Google Patents

単結晶表面状態分析方法および装置

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JP2001013093A
JP2001013093A JP11187916A JP18791699A JP2001013093A JP 2001013093 A JP2001013093 A JP 2001013093A JP 11187916 A JP11187916 A JP 11187916A JP 18791699 A JP18791699 A JP 18791699A JP 2001013093 A JP2001013093 A JP 2001013093A
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reflection
plane
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ray
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Takashi Saka
貴 坂
Toshihiro Kato
俊宏 加藤
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単結晶表面の微小な凹凸などの表面状態を分
析可能な単結晶表面状態分析装置を提供する。 【解決手段】 単結晶試料16内に形成された複数の格
子面たとえば( 1 1 1)面、( 1-1-1)面による2回の反射
に基づく遠回り反射作用により、その単結晶試料16の
表面18に沿った方向に平行な方向へ進行する表面伝播
ビームXAが、分析ビーム発生装置(X線発生装置2
0、試料駆動装置26)により発生させられると、演算
制御装置32(表面状態分析手段)において、その表面
伝播ビームXAを利用して単結晶の表面の凹凸に関連す
る比IM /IP が算出されてその表面状態が分析され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶の表面を進
行する表面伝播ビームを用いてその単結晶の表面を分析
する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】微小な加工粗さを有する単結晶の表面、
微量の不純物などが付着した単結晶の表面のように、シ
リコン単結晶、III-V 族化合物半導体単結晶などからな
る単結晶の表面状態を解析することが望まれている。た
とえば、IC、LEDなどの半導体部品の材料となる半
導体ウエハの品質保証、半導体部品の作動不良の解析な
どを行う際の表面状態の分析がそれである。
【0003】ところで、単結晶の表面状態を分析するた
めに用いられるものとして、蛍光X線分析装置が知られ
ている。これによれば、たとえばX線が単結晶の表面に
対して局所的に入射されるとともにその入射点が走査さ
れる過程で、その単結晶表面からの入射X線により励起
された物質固有の蛍光X線の存在が検出されることによ
り単結晶表面に付着した不純物が逐次解析される。これ
によれば、特別の前処理を必要としないで非破壊で分析
される特徴がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の蛍光X線分析装置によれば、単結晶表面に
局所的にX線ビームが入射させられたときに発生する蛍
光X線に基づいて不純物が解析されることから、不純物
が微量となるとそれから発生する蛍光X線も微弱となる
ので、表面に付着した微量の不純物を解析することが困
難となっていた。また、表面研磨を評価するなどに際し
て、単結晶表面における微小な凹凸についても解析が困
難であった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、単結晶表面に微
量に付着した不純物、或いは単結晶表面の微小な凹凸を
解析可能な単結晶表面状態分析方法および装置を提供す
ることにある。
【0006】本発明者は、斯かる目的を達成するために
種々検討を重ねるうち、単結晶内に格子点の組み合わ
せによって無数の格子面が存在し、単結晶表面に入射さ
せられたX線に基づいて上記無数の格子面の1つに対応
する第1格子面のブラッグ反射による反射ビームと他の
1つに対応する第2格子面のブラッグ反射による反射ビ
ームとが発生し、その第2格子面の反射ビームが第3格
子面の入射ビームとなってその第3格子面のブラッグ反
射による反射ビームが上記第1格子面の反射ビームと同
じ方向へ出るという遠回り反射を、上記第1格子面の反
射ビームがその結晶の対称性などの構造要因によってブ
ラッグ反射条件を満足してもその反射ビーム強度が略零
となる準禁制反射或いは完全に零となる禁制反射である
ときに発生させるとともに、その遠回り反射において第
2の格子面による反射ビームが結晶表面に沿って伝播す
るように第1および第2格子面を選択すると、たとえば
X線を入射させる単結晶表面として(100)面を用い
ると、観測される遠回り反射の反射ビームはノイズの影
響を受け難くなるとともに伝播経路中の単結晶の微細な
表面状態の影響を多く受けて変化するので、その遠回り
反射の反射ビームに基づいて上記単結晶の微細な表面状
態を分析できるという事実を見いだした。また、その単
結晶表面に沿って伝播する遠回り反射線により発生する
蛍光X線を検出することによりその表面に付着した物質
あるいは不純物を高精度で分析できるという事実を見い
だした。本発明はこのような知見に基づいて為されたも
のである。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】すなわち、本発明
方法の要旨とするところは、単結晶の表面をその表面に
沿ったX線を用いて分析する単結晶表面状態分析方法で
あって、(a) 前記単結晶の表面にX線ビームを入射さ
せ、その単結晶内に形成された複数の格子面による反射
に基づく遠回り反射作用により、その単結晶の表面に沿
った方向であって所定の格子面に平行な方向へ進行する
表面伝播ビームを発生させる表面伝播ビーム発生工程
と、(b) その表面伝播ビーム発生工程により発生させら
れて前記単結晶の表面に沿った方向へ進行する表面伝播
ビームを利用してその単結晶の表面状態を分析する表面
状態分析工程とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】このようにすれば、単結晶内に形成
された複数の格子面による反射に基づく遠回り反射作用
により、その単結晶の表面に沿った方向であって所定の
格子面に平行な方向へ進行する表面伝播ビームが、表面
伝播ビーム発生工程により発生させられると、表面状態
分析工程において、その表面伝播ビームを利用して単結
晶の表面状態が分析される。この表面伝播ビームは、単
結晶の表面に沿って伝播することから伝播経路中の単結
晶の表面状態の影響を多く受け、或いはその単結晶の表
面に付着した物質に多く影響を及ぼすので、単結晶表面
に微量に付着した物質や不純物、或いは単結晶表面の微
小な凹凸を高精度で解析することができる。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】単結晶の表面をそ
の表面に沿ったX線を用いて分析する単結晶表面状態分
析装置であって、(a) 前記単結晶の表面にX線ビームを
入射させ、その単結晶内に形成された複数の格子面によ
る反射に基づく遠回り反射作用により、その単結晶の表
面に沿った方向であって所定の格子面に平行な方向へ進
行する表面伝播ビームを発生させる表面伝播ビーム発生
装置と、(b) その表面伝播ビーム発生装置により発生さ
せられて前記単結晶の表面に沿った方向へ進行する表面
伝播ビームを利用して前記単結晶の表面状態を分析する
表面状態分析手段とを、含むことにある。
【0010】
【第2発明の効果】このようにすれば、単結晶内に形成
された複数の格子面による反射に基づく遠回り反射作用
により、その単結晶の表面に沿った方向であって所定の
格子面に平行な方向へ進行する表面伝播ビームが、表面
伝播ビーム発生装置により発生させられると、表面状態
分析手段によりその表面伝播ビームを利用して単結晶の
表面状態が分析される。この表面伝播ビームは、単結晶
の表面に沿って伝播することから伝播経路中の単結晶の
表面状態の影響を多く受け、或いはその単結晶の表面に
付着した物質に多く影響を及ぼすので、単結晶表面に微
量に付着した不純物、或いは単結晶表面の微小な凹凸を
高精度で解析することができる。
【0011】
【発明の他の態様】ここで、前記遠回り反射は、単結晶
表面に入射させられたX線に基づいてその単結晶内の第
1格子面のブラッグ反射条件が成立する一方で、他の1
つに対応する第2格子面のブラッグ反射による反射ビー
ムすなわち表面伝播ビームとが発生し、その第2格子面
からの表面伝播ビームが第3格子面の入射ビームとなっ
てその第3格子面のブラッグ反射による反射ビームが上
記第1格子面の反射ビームと同じ方向へ出るものであ
り、上記第1発明および第2発明において、好適には、
前記表面伝播ビーム発生工程或いは表面伝播ビーム発生
装置は、上記遠回り反射を、上記第1格子面の反射ビー
ムがその結晶の対称性などの構造要因によってブラッグ
反射条件を満足してもその反射ビーム強度が略零となる
準禁制反射或いは完全に零となる禁制反射であるときに
発生させるものであり、前記表面状態分析工程或いは表
面状態分析装置は、前記第3格子面のブラッグ反射によ
る遠回り反射ビームを検出し、その遠回り反射ビームに
基づいて単結晶の表面状態を分析するものである。この
ようにすれば、遠回り反射ビームに、禁制反射によって
第1格子面からの反射ビームが混入しないので、その遠
回り反射の反射ビームに基づいて上記単結晶の微細な表
面状態を高精度で分析できる利点がある。
【0012】また、好適には、前記表面伝播ビーム発生
工程或いは表面伝播ビーム発生装置は、第1格子面によ
る反射条件を満足させながら遠回り反射を生じさせない
条件を用いることにより、単結晶の表面に沿って伝播す
る表面伝播ビームを発生させない非遠回り反射状態とす
るとともに、前記表面状態分析工程或いは表面状態分析
手段は、遠回り反射が発生させられているときに測定し
た測定値と非遠回り反射状態とされたときに測定した測
定値とを比較することにより、たとえば差を取ることに
より、単結晶の表面状態を分析するものである。このよ
うにすれば、単結晶の表面状態のみを高精度で分析する
ことができる。
【0013】また、好適には、上記第1発明および第2
発明において、前記表面状態分析工程或いは表面状態分
析装置は、分析対象物である単結晶表面を用いたときの
遠回り反射ビームの強度IM とエッチング(腐食)或い
は電解研磨により表面が滑らかにされた基準単結晶表面
を用いたときの遠回り反射ビームの強度IP との比(I
M /IP )を算出し、その比(IM /IP )に基づいて
上記分析対象物である単結晶表面の粗さを分析する。ラ
ッピングなどによる研磨により形成される単結晶の表面
に形成された微小な傷や凹凸は表面粗さ計による計測は
困難であるが、上記のようにすれば、そのような微小な
凹凸に基づいて研磨作業を評価できるなどの利点があ
る。
【0014】また、好適には、前記表面状態分析工程或
いは表面状態分析装置は、前記単結晶表面に沿って表面
伝播ビームが進行させられているときにその単結晶表面
に発生する特性X線すなわち蛍光X線を検出する蛍光X
線検出工程或いは蛍光X線検出装置を含み、その蛍光X
線検出工程或いは蛍光X線検出装置により検出された蛍
光X線に基づいて上記単結晶表面に付着している元素を
分析する。このようにすれば、蛍光X線は物質固有のも
のであるので、検出された蛍光X線に基づいて単結晶の
表面に付着した微量の元素が決定される利点がある。
【0015】また、好適には、前記表面伝播ビーム発生
工程或いは表面伝播ビーム発生装置は、前記単結晶の
( 1 0 0)面に禁制反射である( 2 0 0)反射を満足さ
せる入射角でX線ビームを入射させつつその単結晶を
〔 1 0 0〕軸まわりに回転させるX線ビーム入射工程或
いはX線ビーム入射装置を含み、前記表面状態分析工程
或いは表面状態分析装置は、上記単結晶の表面に周期的
に発生させられる表面伝播ビームに基づいて上記単結晶
の表面状態を分析する。このようにすれば、単結晶の表
面の一部ではなく、その表面全体の表面状態を分析でき
る利点がある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例におい
て、各部の寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
【0017】図1において、単結晶表面状態分析装置1
0は、管球内においてCuなどから成るターゲット12
に対して電子線源14からの電子線を衝突させることに
よって0.01乃至数十nmの波長のX線ビームXBを
発生させ、シリコン、化合物半導体などの単結晶試料1
6の表面すなわち分析面18に対して所定の入射角度た
とえばX線ビームXBの波長が0.15405nmであり
且つ試料16がシリコンの( 2 0 0)反射であるときは
16.5度の入射角度で入射させるX線発生装置20
と、その単結晶試料16が位置固定に載置される試料台
22とその試料台22をその単結晶試料16の分析面1
8に垂直な軸まわりに回転駆動するモータ24とを備え
た試料駆動装置26と、上記単結晶試料16の分析面1
8にX線ビームXBが入射させられたことによって遠回
り反射作用により発生する、その分析面18に沿った方
向へ進行するX線である表面伝播ビームXAを介して発
生する遠回り反射ビームXCを検出するX線検出装置2
8と、そのX線検出装置28により検出されたX線ビー
ムXCの強度に基づいて、そのX線がそれまでに通過し
た上記単結晶試料16の分析面18の性状を分析し、分
析結果を表示器34に表示させる演算制御装置32とを
備えている。
【0018】上記X線検出装置28は、単結晶試料16
の表面から射出される遠回り反射ビームXCを検出する
ための位置固定に設けられたものであり、比例計数管、
シンチレーションカウンタ、SSDとして知られている
半導体X線検出器などから構成されるものである。ま
た、上記X線発生装置20と試料駆動装置26とは、単
結晶試料16の表面である分析面18にX線ビームXB
を入射させ、その単結晶試料16内に形成された複数
(種類)の格子面による複数回の反射に基づく遠回り反
射作用により、第1の格子面から上記X線ビームXBに
対するブラッグ回折条件を満足する回折方向の回折ビー
ムが略出ない禁制反射において単結晶試料16の表面に
沿って進行する表面伝播ビームXAを、単結晶試料16
の1回転内において所定の角度間隔で周期的に発生させ
るものであるので、表面伝播ビーム発生装置として機能
している。なお、上記表面伝播ビームXAは、表面状態
を分析するために単結晶試料16の分析面(表面)18
を伝播させられるものであるから、上記表面伝播ビーム
XAおよび表面伝播ビーム発生装置は、分析ビームXA
および分析ビーム発生装置とも称され得る。また、上記
表面伝播ビームXAは、単結晶試料16の表面に入射さ
れたX線ビームXBからその表面から射出される遠回り
反射ビームXCに至る中間に発生するビームであるか
ら、上記表面伝播ビームXAおよび表面伝播ビーム発生
装置は、中間ビームXAおよび中間ビーム発生装置とも
称され得る。
【0019】また、演算制御装置32は、CPU、RA
M、ROM、入出力インタフェースなどを含む所謂マイ
クロコンピュータから構成されたものであって、RAM
の一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプ
ログラムに従って入力信号を処理して演算結果を表示器
34の表示面に表示させるとともに、モータ24および
X線発生装置20を制御する。この演算制御装置32
は、入射されたX線ビームXBが単結晶試料16内の第
2格子面による回折を受けて単結晶試料16の表面に沿
った方向に伝播して強度が変調された後に第3格子面に
よる回折を受けて第1格子面による反射方向へ射出され
てX線検出装置28により検出された回折ビームすなわ
ち遠回り反射ビームXCに基づいて単結晶試料16の表
面状態に関連したパラメータを算出し、表示器34に表
示させるので、表面状態分析手段としても機能してい
る。
【0020】ここで、単結晶試料16には、その原子配
列の規則性に従って、種々の組の格子面が内包され、ブ
ラッグ反射条件として知られている数式1の回折条件を
満足するのであればそれら格子面毎に反射(回折)現象
を発生する。但し、dは格子面間隔、θはX線ビームX
Bと格子面との角度或いは反射ビームと格子面との角
度、λはX線ビームXBの波長、nは整数である。
【0021】
【数1】nλ=2d sinθ ・・・(1)
【0022】本実施例では、単結晶試料16の分析面1
8へのX線ビームXBの入射に基づいてその分析面18
に沿った方向へ伝播する表面伝播ビームXAが遠回り反
射作用によって容易に発生するように、単結晶試料16
の上面は、たとえば( 1 0 0)面とされている。その( 1
0 0)面に入射させられるX線ビームXBとそのX線ビー
ムXBに基づく第1格子面たとえば( 2 0 0)面のブラッ
グ反射による反射(回折)方向すなわち反射ベクトルと
が( 1 0 0)面に垂直となるとき、単結晶試料16内の上
記( 2 0 0)面では、X線ビームXBの入射がブラッグ反
射条件を満足するにも拘らずそれからのブラッグ反射に
よる反射方向が上記分析面18に沿った方向であって結
晶の対称性によりその反射ビームの強度が大幅に低下し
て略零となる場合がある。これが禁制反射と称されるも
のであり、互いに平行な隣接する他の格子面からの同じ
反射方向の反射ビームとの相互干渉に起因して、たとえ
ばダイヤモンド構造のシリコンやガリウム砒素単結晶で
発生する。このとき、上記X線ビームXBが単結晶試料
16内の第2の格子面たとえば( 1 1 1)面にも入射して
ブラッグ反射され、その( 1 1 1)面に反射されたX線ビ
ームは第3の格子面たとえば( 1-1-1)面の入射ビームと
なってその( 1-1-1)面のブラッグ反射による反射ビーム
すなわち遠回り反射ビームXCは上記禁制反射と同じ方
向へ伝播する。これが遠回り反射と称されるものであ
る。
【0023】ここで、(1) 式で示されるブラッグ反射条
件を逆格子(格子定数bの逆数1/bを格子定数とする
格子)の観点から考察すると、以下のようになる。すな
わち、入射ビームおよび回折(反射)ビームの単位ベク
トルをs1 およびs2 とすると、これらのベクトルは図
6に示すように、回折面( h k l)と等しい角θを成し
ているので、回折ベクトルs2 と入射ベクトルs1 との
差で定義される散乱ベクトル(s1 −s2 )/λは( h
k l)面に垂直であり、その大きさは2sin θに等し
い。また、( h k l)面の逆格子ベクトルHhkl は( h
k l)面に垂直で、その大きさは面間隔dhkl の逆数1
/dhkl に等しい。したがって、ブラッグの反射条件
は、(2) 式のように表すことができる。 (2)式のb1
2 、b3 は単位ベクトルである。この(2) 式は、( h
k l)面がブラッグの反射条件を満足し回折する条件と
は、散乱ベクトル(s1 −s2 )/λが( h k l)面を
表す逆格子点と一致することであることを示している。
【0024】
【数2】 |s1 −s2 |/λ=|Hhkl | (s1 −s2 )/λ=Hhkl =hb1 +kb2 +lb3 ・・・(2)
【0025】図7は上記(2) 式を図示したものである。
点Pを中心とする(1/λ)の半径のエヴァルト球Eを
逆格子空間内に存在させたとき、ある与えられた散乱ベ
クトル(s1 −s2 )/λに対して回折条件を満足する
結晶面は、そのエヴァルト球Eと結晶の逆格子との交点
として与えられる。このため、エヴァルト球Eの大きさ
はX線の波長λによって変化し、結晶の方向を変えれば
逆格子の位置が変化するが、逆格子面内の逆格子点がエ
ヴァルト球E上に位置するように設定すれば、ブラッグ
反射条件を満足するので、回折X線が得られる。たとえ
ば、(h k l)面によるブラッグ反射が生じる条件は、逆
格子空間内の逆格子点の原点と(h k l)面の面間隔d
hkl の逆数を格子面間隔1/dhkl とする[h k l ]点
がエヴァルト球E上に位置する場合である。図7は、
(h k l)面のブラッグ反射条件における逆格子との関係
を示している。そして、この図7において、逆格子点a
は紙面上に存在するが、そのすぐ上または下に位置する
逆格子点a’はある条件でエヴァルト球E上に位置する
ときがある。このときには、Pa’方向の中間ビームす
なわち表面伝播ビームXAが発生して(h k l)面に平行
に伝播する。
【0026】前述の禁制反射と遠回り反射とは、以下に
一般化して説明するように、別個の現象である。禁制反
射は、逆格子点[h k l ]がエヴァルト球E上にある場
合、すなわち(h k l)面によるブラッグ反射が生じる場
合であるにも拘らず、干渉条件によって第1格子面であ
る(h k l)面からの反射強度が略零或いは零となる場合
である。これに対し、遠回り反射は、エヴァルト球E上
に原点と[h k l ]点以外の点[h' k' l'](複数ある
場合もあるが、ここでは1つの点のみを説明する)が位
置する場合に発生するものであって、第1格子面(h k
l)からの反射ビームが第2格子面(h' k' l') へ入射さ
せられ、さらにその第2格子面(h' k'l') からの反射
ビームすなわち中間ビームが図7のP点と[h' k' l']
点の方向すなわち(h k l)面に沿った方向に伝播させら
れて第3格子面(h-h' k-k' l-l') へ入射させられ、そ
の第3格子面(h-h' k-k' l-l') からの反射ビームが上
記第1格子面(h k l)からの反射ビームと同じ方向へ出
される現象である。すなわち、エヴァルト球E上に原点
と[h k l ]点以外の点[h' k' l']が位置すること、
換言すれば、2(h h'+ k k' +l l')=(h2+ k2
l2)を満足することが、(h k l)面に沿って伝播する中
間ビームを発生させる条件である。したがって、[h k
l ]が[2 0 0 ]であれば、h'=1が条件となる。上記
第2格子面(h' k' l') からの反射ビームは前記表面伝
播ビームXAに対応するものであり、上記第3格子面
(h-h' k-k' l-l') からの反射ビームは前記遠回り反射
ビームXCに対応するものである。この表面伝播ビーム
XAと遠回り反射ビームXCとは第3格子面(h-h' k-
k' l-l') に対する入出力の関係にあることから、一方
が決まれば他方が決まる1対1の関係にあるので、検出
された遠回り反射ビームXCの強度IT から表面伝播ビ
ームXAの強度IM が容易に決定される。たとえば、遠
回り反射ビームXCの強度IT に予め求められた係数k
(1より小さい値)が乗算されることによって表面伝播
ビームXAの強度IM が算出される。
【0027】ここで、上記遠回り反射は(h k l)面によ
る反射が禁制反射であるか否かに拘らず、上記エヴァル
ト球E上に原点と[h k l ]点以外の点[h' k' l']と
が位置するという条件で発生するのであるが、通常の反
射では、第1格子面(h k l)からの反射ビームの強度が
大きいために遠回り反射ビームXCの観測が容易ではな
い反面、禁制反射のときにはその第1格子面(h k l)か
らの反射ビームの強度が零またはそれに近い値となるた
めに観測が容易となる。本実施例では、最良の形態とし
て、禁制反射であるときに遠回り反射ビームXCが観測
される例が記載されている。
【0028】図2は、前記演算制御装置32の制御作動
の要部を説明するフローチャートである。この図2のル
ーチンは図示しない分析起動ボタンの操作に応答して実
行されるものである。
【0029】図2において、ステップ(以下、ステップ
を省略する)SA1において、試料台22上に載置され
た単結晶試料16がモータ24によって分析面18すな
わち( 1 0 0)面に直交する垂直軸すなわち〔 1 0 0〕軸
まわりに連続的に回転駆動されると同時に、SA2にお
いて、X線発生装置20において発生させられたX線ビ
ームXBが上記単結晶試料16の分析面18に対して所
定角度で入射させられる。これにより、上記単結晶試料
16では、その表面である分析面18に沿った方向
行或いは伝播する表面伝播ビームXAが発生させられ
る。本実施例では、上記SA1およびSA2が、表面伝
播ビーム発生工程に対応している。
【0030】そして、続くSA3においては、単結晶試
料16の分析面18に沿って伝播する表面伝播ビームX
Aがさらに反射されて前記禁制反射と同じ方向へ伝播し
且つX線検出装置28により検出された遠回り反射ビー
ムXCの強度IT が読み込まれるとともに、それから算
出された表面伝播ビームXAの強度IM が単結晶試料1
6の回転位置を示す角度φすなわち方位角と共に逐次読
み込まれる。次いで、SA4において、単結晶試料16
が一周したか否かすなわち360度回転したか否かが判
断される。当初はこのSA4の判断が否定されるので、
SA1以下が繰り返し実行される。図3は、単結晶試料
16の回転角度φに対する表面伝播ビームXAの強度I
M の周期的変化を示している。表面伝播ビームXAの強
度IM は単結晶試料16の回転角度φに伴って周期的に
大きなピーク値を示すが、そのピーク値を示す回転角度
φA が遠回り反射条件を満足した位置であり、そのピー
ク値が禁制反射の方向に遠回り反射による表面伝播ビー
ムXAが発生したことを示している。ここで、より好ま
しくは、表面伝播ビームXAの強度IM として、上記遠
回り反射条件を満足した位置の上記ピーク値から、上記
遠回り反射条件を満足していない位置の値たとえば回転
角度φA 付近を除いた値の平均値を差し引いた値が用い
られる。
【0031】上記SA1乃至SA3が繰り返し実行され
るうち、単結晶試料16が一まわり回転して上記SA4
の判断が肯定されると、前記表面状態分析工程に対応す
るSA5において、図示しない前工程において分析面1
8が腐食(エッチング)或いは電解研磨により滑らかに
された単結晶試料すなわち基準試料を用いて上記と同様
の作動により予め検出され且つ記憶された禁制反射の強
度IP と分析対象となる単結晶試料16に対して実際に
検出した禁制反射の強度IM との比IM /IPが算出さ
れる。この比IM /IP は、単結晶試料16の分析面1
8の表面状態すなわち分析面18において研磨加工など
により形成された凹凸に対応する値である。SA6で
は、単結晶試料16の回転角度毎の比IM /IP の値或
いは1回転における平均値などが上記分析面18の凹凸
状態を表すために表示器34に表示される。
【0032】上述のように、本実施例によれば、単結晶
試料16内に形成された複数の格子面たとえば( 1 1 1)
面、( 1-1-1)面による反射に基づく遠回り反射作用によ
り、その単結晶試料16の分析面18に沿った方向であ
って所定の格子面たとえば(2 0 0)面に平行な方向へ進
行する表面伝播ビームXAが、表面伝播ビーム発生工程
(SA1、SA2)或いは表面伝播ビーム発生装置(X
線発生装置20、試料駆動装置26)により発生させら
れると、表面状態分析工程(SA5)或いは演算制御装
置32において、その表面伝播ビームXAを利用して単
結晶の表面の凹凸に関連する比IM /IP が算出されて
その表面状態が分析される。この表面伝播ビームXA
は、単結晶試料16の分析面18に沿って伝播すること
から伝播経路中の単結晶試料16の分析面18の凹凸状
態の影響を多く受けており、しかも禁制反射方向におい
て進行することから他の反射ビームの影響が小さくされ
ているので、単結晶試料16の分析面18の微小な凹凸
を解析することができる。
【0033】また、本実施例によれば、表面伝播ビーム
発生工程(SA1、SA2)或いは表面伝播ビーム発生
装置(X線発生装置20、試料駆動装置26)は、単結
晶試料16の( 1 0 0)面にX線ビームXBを入射させ
つつ、試料台22上に載置された単結晶試料16をモー
タ24によって分析面18すなわち( 1 0 0)面に直交す
る垂直軸すなわち〔1 0 0 〕軸まわりに回転駆動させる
とともに、表面状態分析工程(SA5)或いは演算制御
装置32は、周期的に検出される遠回り反射ビームXC
に基づいて上記単結晶試料16の分析面18の凹凸状態
を分析することから、単結晶試料16の分析面18の一
部ではなく、その分析面18全体の凹凸状態を分析でき
る利点がある。
【0034】また、本実施例によれば、表面伝播ビーム
発生工程(SA1、SA2)或いは表面伝播ビーム発生
装置(X線発生装置20、試料駆動装置26)は、上記
遠回り反射ビームXCを、第1格子面たとえば( 2 0 0)
面の反射ビームがその結晶の対称性などの構造要因によ
ってブラッグ反射条件を満足してもその反射ビーム強度
が略零となる準禁制反射或いは完全に零となる禁制反射
であるときに発生させるものであり、表面状態分析工程
(SA5)或いは演算制御装置(表面状態分析手段)3
2は、その禁制反射であるときに観測された遠回り反射
ビームXCに基づき、表面伝播ビームXAを利用して単
結晶の表面の凹凸に関連する比IM /I P が算出されて
その表面状態を分析するものであることから、遠回り反
射ビームXCに、禁制反射によって第1格子面からの反
射ビームが混入しないので、その遠回り反射の反射ビー
ムに基づいて単結晶試料16の微細な表面状態を高精度
で分析できる利点がある。
【0035】また、本実施例によれば、表面伝播ビーム
発生工程(SA1、SA2)或いは表面伝播ビーム発生
装置(X線発生装置20、試料駆動装置26)は、第1
格子面たとえば( 2 0 0)面による反射条件を満足させな
がら遠回り反射を生じさせない条件を用いることによ
り、単結晶試料16の表面に沿って伝播する表面伝播ビ
ームを発生させない非遠回り反射状態とするとともに、
表面状態分析工程(SA5)或いは演算制御装置(表面
状態分析手段)32は、遠回り反射が発生させられてい
るときに測定した測定値と非遠回り反射状態とされたと
きに測定した測定値とを比較することにより、すなわち
遠回り反射が発生させられているときに測定した測定値
から非遠回り反射状態とされたときに測定した測定値を
差し引いた測定値差を算出することにより表面伝播ビー
ムXAを算出し、その表面伝播ビームXAを利用して、
単結晶の表面状態を分析するものであるので、単結晶試
料16の表面状態のみを高精度で分析することができ
る。
【0036】単結晶試料16の分析面18の凹凸状態を
分析できる事実を示すために本発明者が行った実験例I
を以下に説明する。先ず、( 1 0 0)カットのシリコン
単結晶の表面を#4000の研磨剤を用いて研磨した試
料と、同様の( 1 0 0)カットのシリコン単結晶の表面
を腐食液(H2 2:HF=5:1)を用いて5分間腐
食した試料とを用意した後、Cuターゲットを回転対陰
極として用いるとともに加速電圧40kVおよび電流4
0mAの電子ビームを用いて発生させられ、且つ100
μmのスリットでコリメートされたX線ビームXBを、
上記各試料に入射させ、( 4 0 0)面の反射強度と( 1
1 1)面および( 1-1-1)面を経て( 20 0)面の反射
ビームと同じ角度で出力される遠回り反射による反射強
度とをシンチレーションカウンタを用いてそれぞれ測定
した。研磨剤を用いて研磨した場合の強度をIM 、腐食
した場合の強度をIP とすると、その強度比IM /IP
は、( 4 0 0)面の反射の場合は「2〜3」であったの
に対し、( 1 1 1)面および( 1-1-1)面を経て( 2 0
0)面の反射ビームと同じ角度で出力される遠回り反射
の場合は「〜10」であった。このことは、研磨剤を用
いた研磨による表面の凹凸(モザイク状態)を感度よく
検出できるという事実を示している。なお、上記の場合
の遠回り反射は、以下のようにして実現された。先ず、
X線ビーム(入射ビーム)XBおよび第1格子面である
( 2 0 0)面反射ベクトルが( 0 0 1)面に平行になる
ようにされる。次いで、この状態によりシリコン単結晶
を( 20 0)面の反射ベクトルのまわりに39.00°
回転させることにより逆空間の( 1 1 1)点がエヴァル
ト球に乗って第2格子面である( 1 1 1)面の反射が発
生し、この( 1 1 1)面の反射ビームが第3格子面であ
る( 1-1-1)面の入射ビームとなり、その( 1-1-1)面
の反射ビームが見かけ上(2 0 0 )面の反射ビームとな
って現れる。
【0037】単結晶試料16の分析面18下において結
晶成長により積層された層間の界面を分析できる事実を
示すために本発明者が行った実験例IIを以下に説明す
る。先ず、( 1 0 0)カットのGaAs(ガリウム・ヒ
素)単結晶基板の一面にμオーダの極めて薄いGaAs
0.830.17層を成長させない試料と成長させた試料とを
用意し、実験例Iと同様な条件で発生させたX線ビーム
XBを各試料に入射させ、( 4 0 0)面の反射強度と
( 1 1 1)面およびおよび( 1-1-1)面を経て( 20
0)面の反射ビームと同じ角度で出力される遠回り反射
による反射強度とをシンチレーションカウンタを用いて
それぞれ測定した。この場合、遠回り反射により発生し
た表面伝播ビームXAの径は上記GaAs0.830.17
の厚みよりも十分に大きい値であるため、GaAs0.83
0.17層とGaAs基板との界面はその表面伝播ビーム
XAの光路内に位置している。GaAs単結晶基板の一
面にGaAs0.830.17を成長させた試料の場合の強度
をIG 、GaAs0.830.17を成長させない試料の場合
の強度をIN とすると、その強度比IG /IN は、( 4
00)面の反射の場合は「〜1」(1程度以下)であっ
たのに対し、( 1 1 1)面および( 1-1-1)面を経て
( 2 0 0)面の反射ビームと同じ角度で出力される遠回
り反射の場合は「〜1.8」(1.8程度以下)であっ
た。このことは、結晶成長による結晶界面の乱れを表面
伝播ビームXAの強度の増加によって感度よく検出でき
るという事実を示している。結晶が乱れると完全結晶に
比較してX線回折強度が増大することは、一次消衰効果
の減少としてよく知られていることである。なお、上記
の場合の遠回り反射は、以下のようにして実現された。
先ず、X線ビーム(入射ビーム)XBおよび第1格子面
である( 2 0 0)面の反射ベクトルが( 0 0 1)面に平
行になるようにされる。この状態より、( 2 0 0)面の
反射ベクトルまわりに39.26°回転させると、逆空
間の( 1 1 1)点がエヴァルト球に乗り、第2格子面で
ある( 1 1 1)面の反射が発生し、この( 1 1 1)面の
反射ビームが第3格子面である( 1-1-1)面の入射ビー
ムとなり、その( 1-1-1)面の反射ビームが見かけ上
( 2 0 0)面の反射ビームに重なって現れる。
【0038】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の説明において前述の実施例と共通する部分に
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】図4の単結晶表面状態分析装置40は、単
結晶試料16の分析面18に沿って伝播する表面伝播ビ
ームXAによって遠回り反射されたビームXCを直接検
出するX線検出装置28に加えて、その表面伝播ビーム
XAの伝播によって単結晶試料16の分析面18に発生
する蛍光X線XFを検出するためのX線分光器42、お
よびそのX線分光器42により分光された蛍光X線XF
を検出するX線検出装置44が設けられている点におい
て相違する。上記蛍光X線XFは、上記表面伝播ビーム
XAにより励起された物質(元素)固有のピーク波長を
有するものであり、特性X線とも称される。すなわち、
単結晶試料16の分析面18に付着した物質を構成する
元素に対応した波長の蛍光X線が発生させられるので、
その分析面18に付着している微量の物質が分析され得
るのである。
【0040】図5は、上記単結晶表面状態分析装置40
の演算制御装置32の制御作動の要部を説明するフロー
チャートである。この図5のルーチンも図示しない分析
起動ボタンの操作に応答して実行されるものである。図
5のSB1およびSB2では、前述のSA1およびSA
2と同様に、X線発生装置20において発生させられた
X線ビームXBが上記単結晶試料16の分析面18に対
して所定角度で入射させられるとともに、その単結晶試
料16が、その表面である分析面18に直交する〔 1 0
0〕軸まわりに連続的に回転させられることにより、そ
の分析面18に沿った方向に伝播する表面伝播ビームX
Aが発生させられる。本実施例では、上記SB1および
SB2が、表面伝播ビーム発生工程に対応している。
【0041】続くSB3では、単結晶試料16の分析面
18に沿って伝播する表面伝播ビームXAの刺激により
分析面18から発生する蛍光X線XFが、X線分光器4
2により分光され且つX線検出装置44により検出さ
れ、その蛍光X線XFのピーク値およびその波長が、回
転位置を示す角度φすなわち方位角と共に逐次読み込ま
れる。この蛍光X線XFの波長は、分析面18に付着し
ている物質の元素固有の値を示す。次いで、SB4で
は、単結晶試料16が一周したか否かすなわち360度
回転したか否かが判断される。当初はこのSA4の判断
が否定されるので、SB1以下が繰り返し実行される。
【0042】上記SB1乃至SB3が繰り返し実行され
るうち、単結晶試料16が一まわり回転して上記SB4
の判断が肯定されると、前記表面状態分析工程に対応す
るSB5において、SB3において検出された蛍光X線
XFのピーク値の波長或いは周波数がいずれかの元素の
存在を示すほどの明確なものであるか否か、および存在
を示すほどのものであればいずれの元素を示すものであ
るかが、予め記憶されたテーブル(関係)に従って判定
されることにより、単結晶試料16の分析面18の表面
状態すなわち分析面18に付着している元素およびその
相対量が分析される。SB6では、単結晶試料16の回
転角度毎の上記蛍光X線XFのピーク値およびその波長
或いは周波数、および/またはそれに対応する元素およ
びその相対量、或いはその1回転における平均値などが
上記分析面18の表面状態を表すために表示器34に表
示される。
【0043】上述のように、本実施例によれば、単結晶
試料16内に形成された複数の格子面たとえば( 1 1 1)
面、( 1-1-1)面による2回の反射に基づく遠回り反射作
用により、その単結晶試料16の分析面18に沿った方
向に平行な方向へ進行する表面伝播ビームXAが、表面
伝播ビーム発生工程(SB1、SB2)或いは表面伝播
ビーム発生装置(X線発生装置20、試料駆動装置2
6)により発生させられると、表面状態分析工程(SB
5)或いは演算制御装置32において、その表面伝播ビ
ームXAを利用して単結晶の表面状態が分析される。す
なわち、単結晶試料16の分析面18に付着してその表
面伝播ビームXAに励起された物質から発生する蛍光X
線XFの波長が算出されてその物質の元素名が特定され
るか、或いは特定可能に表示されることにより表面状態
が分析される。上記表面伝播ビームXAは、単結晶試料
16の分析面18に沿って伝播することから伝播経路中
の単結晶試料16の分析面18に付着した物質や不純物
を多く励起して蛍光X線を発生させ、しかも禁制反射方
向を用いることにより、他の反射ビームの影響が小さく
されているので、単結晶試料16の分析面18に付着し
た微量な元素を精度よく解析することができる。
【0044】また、本実施例によれば、表面伝播ビーム
発生工程(SB1、SB2)或いは表面伝播ビーム発生
装置(X線発生装置20、試料駆動装置26)は、単結
晶試料16の( 1 0 0)面にX線ビームXBを入射させ
つつ、試料台22上に載置された単結晶試料16をモー
タ24によって分析面18すなわち( 1 0 0)面に直交す
る垂直軸すなわち〔1 0 0 〕軸まわりに回転駆動させる
とともに、表面状態分析工程(SA5)或いは演算制御
装置32は、上記単結晶試料16の外周の所定位置にお
いて検出される蛍光X線XFに基づいて上記単結晶試料
16の分析面18に付着した元素を分析することから、
単結晶試料16の分析面18の一部ではなく、その分析
面18全体における汚染状態などを分析できる利点があ
る。
【0045】単結晶試料16の分析面18に付着した物
質を分析できる事実を示すために本発明者が行った実験
例 IIIを以下に説明する。先ず、( 1 0 0)カットのG
aAs(ガリウム・ヒ素)単結晶基板の一面にAl(ア
ルミニウム)を蒸着した試料を用意し、実験例Iと同様
な条件で発生させたX線ビームXBをブラッグ回折の条
件を満足する角度で入射させた。( 4 0 0)面の反射ビ
ームは深く侵入するが、( 1 1 1)面および( 1-1-1)
面を経て( 2 0 0)面の反射ビームと同じ角度で出力さ
れる遠回り反射の場合は上記GaAs基板の表面に沿っ
て伝播する。この状態でGaAs基板の表面から発生す
る蛍光X線を半導体検出器を用いて検出したところ、
( 4 0 0)面の反射ビームでは検出されなかったAl特
有の蛍光X線が上記遠回り反射による反射ビームでは十
分に検出された。このことは、単結晶の表面に付着した
物質の元素を感度よく検出できるという事実を示してい
る。なお、上記の場合の遠回り反射は、以下のようにし
て実現された。先ず、X線ビーム(入射ビーム)XBお
よび第1格子面である( 2 0 0)面の反射ベクトルが
( 0 0 1)面に平行になるようにされる。この状態よ
り、( 2 0 0)面の反射ベクトルまわりに39.26°
回転させると、逆空間の( 1 1 1)点がエヴァルト球に
乗り、第2格子面である( 1 1 1)面の反射が発生し、
この( 1 1 1)面の反射ビームが第3格子面である( 1
-1-1)面の入射ビームとなり、その( 1-1-1)面の反射
ビームが見かけ上( 2 0 0)面の反射ビームに重なって
現れる。
【0046】また、別の態様では、先ず、X線ビーム
(入射ビーム)XBおよび第1格子面である( 4 0 0)
面の反射ベクトルが( 0 0 1)面に平行になるようにさ
れる。この状態では、さらに逆空間の( 2 0 2)点がエ
ヴァルト球に乗って第2格子面である( 2 0 2)面の反
射が発生し、この( 2 0 2)面の反射ビームが第3格子
面である( 2 0-2)面の入射ビームとなり、その( 2 0
-2)面の反射ビームが見かけ上( 4 0 0)面の反射ビー
ムに重なって現れる。この方法でも、前記( 2 00)面
の禁制反射と同様にAl(アルミニウム)特有の蛍光X
線が検出された。
【0047】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施さ
れる。
【0048】例えば、単結晶試料16の分析面18が分
析されるようにその分析面18に沿った方向に表面伝播
ビームXAが伝播させられていたが、その分析面18が
基板から結晶成長させられた比較的薄い複数の結晶層の
最上層の表面である場合には、表面伝播ビームXAの径
を上記結晶層の厚みよりも大きく設定することにより、
その分析面18の下に位置する結晶成長層相互の界面に
沿った方向にも表面伝播ビームXAが伝播させられ、そ
の界面での不純物の存在など表面状態も分析される。請
求項における表面は、その直下の界面を含む広義に解釈
されるべきである。
【0049】また、前述の実施例の単結晶表面状態分析
装置10、40において、単結晶試料16が〔1 0 0 〕
軸まわりに連続的に回転させられる過程でその分析面1
8にX線ビームXBが入射させられていたが、遠回り反
射の条件出しが行われた後であれば、位置固定の単結晶
試料16に対してX線ビームXBが入射させられる形式
であってもよい。
【0050】また、前述の実施例の単結晶表面状態分析
装置10においては、禁制反射の条件が成立させられて
いるときに、遠回り反射ビームXCが観測されていた
が、測定値の信号ノイズ比S/Nの低下が許容されるの
であれば、必ずしも禁制反射の条件が成立させられてい
なくてもよい。
【0051】また、前述の実施例では、X線検出装置2
8により検出された遠回り反射ビームXCの強度IT
ら表面伝播ビームXAの強度IM が算出され、その表面
伝播ビームXAの強度IM を用いて単結晶試料16の表
面状態が分析されていたが、便宜的に遠回り反射ビーム
XCの強度IT そのものが用いられていてもよい。表面
伝播ビームXAの強度IM と遠回り反射ビームXCの強
度IT とは1対1の関係にあるから、そのようにして
も、実質的に表面伝播ビームXAの強度IM を用いて単
結晶試料16の表面状態が分析され得る。
【0052】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の単結晶表面状態分析装置の
構成を説明する図である。
【図2】図1の単結晶表面状態分析装置に設けられた演
算制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャート
である。
【図3】図1の実施例において検出された表面伝播ビー
ムXAの単結晶試料の回転角度に対する周期的変化を説
明する図である。
【図4】本発明の他の実施例の単結晶表面状態分析装置
の構成を説明する図である。
【図5】図4の単結晶表面状態分析装置に設けられた演
算制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャート
である。
【図6】( h k l)面に対するブラッグ反射の条件を説
明するベクトル図である。
【図7】エヴァルト球Eと逆格子を用いてブラッグ反射
の条件を説明する図である。
【符号の説明】
10、40:単結晶表面状態分析装置 16:単結晶(単結晶試料) 20:X線発生装置、26:試料駆動装置(表面伝播ビ
ーム発生装置) 32:演算制御装置(表面状態分析手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶の表面をその表面に沿ったX線を
    用いて分析する単結晶表面状態分析方法であって、 前記単結晶の表面にX線ビームを入射させ、該単結晶内
    に形成された複数の格子面による反射に基づく遠回り反
    射作用により、該単結晶の表面に沿った方向であって所
    定の格子面に平行な方向へ進行する表面伝播ビームを発
    生させる表面伝播ビーム発生工程と、 該表面伝播ビーム発生工程により発生させられて前記単
    結晶の表面に沿った方向へ進行する表面伝播ビームを利
    用して該単結晶の表面状態を分析する表面状態分析工程
    とを、含むことを特徴とする単結晶表面状態分析方法。
  2. 【請求項2】 単結晶の表面をその表面に沿ったX線を
    用いて分析する単結晶表面状態分析装置であって、 前記単結晶の表面にX線ビームを入射させ、該単結晶内
    に形成された複数の格子面による反射に基づく遠回り反
    射作用により、該単結晶の表面に沿った方向であって所
    定の格子面に平行な方向へ進行する表面伝播ビームを発
    生させる表面伝播ビーム発生装置と、 該表面伝播ビーム発生装置により発生させられて前記単
    結晶の表面に沿った方向へ進行する表面伝播ビームを利
    用して前記単結晶の表面状態を分析する表面状態分析手
    段とを、含むことを特徴とする単結晶表面状態分析装
    置。
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