JP2936808B2 - X線回折顕微方法 - Google Patents

X線回折顕微方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(100)Siウェー
ハ表面極く近傍の微小な結晶欠陥・応力場を検出すると
同時に検出された結晶欠陥・応力場周辺の極く微量な不
純物原子分布を測定するためのX線回折顕微方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】Siウェーハ内に存在する結晶欠陥(例
えば、空孔、格子間原子、転位、積層欠陥、析出、偏析
等)は、半導体デバイス特性に悪影響を及ぼす。特に、
近年の超集積回路に代表される半導体デバイスは高集積
化・多層膜化しつつあり、応力集中によるプロセス誘起
欠陥が発生しやすい。
【0003】これら結晶欠陥は、半導体のバンド構造に
おける禁制帯中に深い準位を形成する可能性があり、キ
ャリアの生成・再結合中心となりうる。一方、プロセス
中に導入される重金属による汚染も、結晶欠陥同様、禁
制帯中に深い準位を形成し、半導体デバイス特性に悪影
響を及ぼす。
【0004】さらに、重金属不純物原子は、結晶欠陥や
応力場との相互作用が大きく、禁制帯中に複雑な準位を
形成し半導体デバイス特性の向上・制御をより一層困難
にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、Siウェーハ内
の結晶欠陥を観察するために回折現象を用いたX線・電
子線回折顕微法があり、半導体デバイスの不良解析に広
く利用されている。一方、重金属不純物原子の検出に
は、ライフタイム法、原子吸光法、全反射蛍光X線分析
法などがあり、プロセス汚染評価に偉力を発揮してい
る。
【0006】しかしながら、いずれの方法においても、
重金属不純物原子と結晶欠陥との相関を調べることは不
可能である。この観点においては、重金属不純物原子濃
度が高い場合においてのみ、転位線上に析出したものと
して、電子顕微鏡とエネルギー分散X線分析法にて検出
されている。
【0007】しかしながら、実際の半導体プロセスにお
ける微量な重金属不純物原子と結晶欠陥との相互作用を
調べる点においては不十分である。
【0008】本発明の目的は、前記課題を解決したX線
回折顕微方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係るX線回折顕微方法においては、ω−2
θ回転可能な第一ゴニオメータのヘッドに設置されたモ
ノクロメータによってシンクロトロン放射光から所望の
波長をもつX線を選別し、その選別された波長をもつX
線を用いて、ω−2θ回転可能な第二ゴニオメータのヘ
ッドに設置された(100)Siウェーハの非対称反射
を生じさせ、このとき、前記X線の(100)Siウェ
ーハへの入射角が臨界角以下となるように逐次制御し、
この条件下で(100)Siウェーハの非対称反射によ
る信号を検出し、これらの検出された信号を重ね合わす
ことにより、結晶欠陥・応力場周辺での不純物分布を得
るものである。
【0010】
【作用】本発明では、近年の半導体デバイスが要求する
表面極く近傍の微小な結晶欠陥・応力場を検出すると同
時に、これら結晶欠陥・応力場周辺に集ってくる微量な
重金属不純物原子の分布をX線回折顕微法的に観察する
ものである。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0012】(実施例1)図1は、本発明による全反射
X線回折顕微方法の実施例を示す図である。
【0013】シンクロトロン放射光は、強力な連続の波
長を有し、回折現象を用いた結晶欠陥評価用ならびに分
光現象を用いた蛍光X線分析用のX線源として大変有用
なものである。本発明は、このシンクロトロン放射光の
特徴を有効に利用したものである。
【0014】図1において、11は連続光であるシンク
ロトロン放射光である。このシンクロトロン放射光11
は、スリット12によってX線ビームサイズを形成され
た後、ω−2θ回転可能な第一ゴニオメータ13のヘッ
ドに設置されたモノクロメータ14によって選別され
る。
【0015】この選別されたX線15は、スリット16
によってビームサイズを成形された後、ω−2θ回転可
能な第二ゴニオメータ17のヘッドに設置された(10
0)Siウェーハ18に入射する。
【0016】(100)Siウェーハ18からの回折
は、(100)表面に対して25.24°傾いた格子面
である311非対称反射を用いる。仮に、モノクロメー
タ14によってシンクロトロン放射光11から波長λ=
1.42〓をもつX線15を選別し、ω−2θ回転可能
な第二ゴニオメータ17によって、(100)Siウェ
ーハ18をX線15に対して入射角(θB−α)を持つ
ように設置すると、(100)Siウェーハ18の31
1非対称反射による回折線19を得ることができる。
【0017】ここで、θB は回折角度であり25.70
°を有し、αは(100)表面と(311)面とのなす
角であり、前記した25.24°の値を有する。そし
て、X線15の(100)Siウェーハ18への入射角
は0.46°となる。このとき、図2において計算され
た侵入深さ曲線21が示すようにX線15の(100)
Siウェーハ18内への侵入深さは数千〓程度となる。
【0018】モノクロメータ14によって選別されたX
線15の波長を、第一ゴニオメータ13のω回転を低角
に逐次回転することによって僅かに短くすると、311
非対称反射面による回折角度θBはそれに追従して減少
する。
【0019】その結果、(100)Siウェーハ18か
らの回折線19を見失うことなく、X線15の(10
0)Siウェーハ18への入射角を減少させ、ついには
全反射を起こす臨界角θCよりも小さくすることが可能
である。これはシンクロトロン放射光の波長連続性を有
効に利用したものである。
【0020】この操作をX線15の波長がλ=1.40
4〓近傍になるまで行うと、X線15の(100)Si
ウェーハ18への入射角は0.15°となり、臨界角θ
C=0.20°よりも小さくなる。
【0021】このとき、反射率曲線22が示すようにX
線15の(100)Siウェーハ上での反射率は1に近
くなり、X線の場の強度曲線23が示すようにX線の場
の強さも十分大きい。また、侵入深さ曲線21が示すよ
うにX線15の(100)Siウェーハ18内への侵入
深さは数十〓程度となり、表面の極く近傍の情報を得る
ことができる。この条件下で(100)Siウェーハ1
8の311非対称反射による回折線19を二次元検出器
111で顕微法的に検出する。
【0022】二次元検出器111によって検出された信
号は、波高分析器112によって図3に示すように、波
長λ=1.404〓を持つシンクロトロン放射光の31
1非対称反射面による回折線31と、前記X線によりK
殻を励起されることによって生じた重金属不純物原子で
あるNiの蛍光X線32とFeの蛍光X線33に分離さ
れる。
【0023】ここで、回折線31、Niの蛍光X線3
2、Feの蛍光X線33は、それぞれエネルギー883
0eV、7477eV、6403eVに対応したチャネ
ル数の所にピークとして現われる。このように波長λ=
1.404〓を持つシンクロトロン放射光は、(10
0)Siウェーハ上で全反射しているので、Siウェー
ハ基板からの散乱を受けることなく、良好なシングル/
バックグランド比の条件下で、回折線31と同時に表面
極く近傍にある濃度として1010cm-2程度の微量な重
金属不純物原子による蛍光X線を検出することが可能で
ある。
【0024】今、波高選別器113により回折線31の
みを選別すると、表面の極く近傍に存在する結晶欠陥・
応力場の分布が二次元的に得られる。
【0025】次に、Niの蛍光X線32のみを波高選別
器113によって選別すると、表面の極く近傍に存在す
るNi重金属不純物原子の二次元分布が得られる。同様
に、Feの蛍光X線33のみを選別すれば、Fe重金属
不純物原子の二次元分布が得られる。
【0026】このようにして得られた、結晶欠陥・応力
場分布、Ni重金属不純物原子分布、Fe重金属不純物
原子分布を画像装置114によって重ね合わせることに
よって、上記三種類の二次元分布を同一場所で比較・検
討することができ、表面の極く近傍に存在する結晶欠陥
・応力場周辺のNi重金属不純物原子、Fe重金属不純
物原子のそれぞれの分布を得ることができる。
【0027】一例として、本発明を用いれば、半導体プ
ロセスにおけるLOCOS端ならびにマスク端における
結晶欠陥・応力場分布とNi、Fe重金属不純物原子分
布との相関の情報が得られる。また、表面から数十μm
にわたって無析出帯が形成されているSiウェーハにお
いて、無析出帯中の微小な結晶欠陥・応力場分布と微量
なNi、Fe重金属不純物原子分布との相関の情報を得
ることができる。
【0028】(実施例2)本発明は、(100)表面に
対して35.26°傾いた格子面である422非対称反
射を用いても同様な効果を発揮する。実施例1に示した
手順を用いて、最終的にシンクロトロン放射光11より
λ=1.284〓近傍の波長を選別すると、X線15の
(100)Siウェーハ18への入射角は0.13°と
なり、臨界角θC=0.18°よりも小さくなり、全反
射下において422非対称反射面による回折条件を満足
している。
【0029】このとき、波高分析器112には、図4に
示すようにλ=1.284〓を持つシンクロトロン放射
光の422非対称反射面による回折線41と前記X線に
よりK殻を励起されることによって生じたCuの蛍光X
線42、Niの蛍光X線43Feの蛍光X線44が、そ
れぞれ9656eV、8046eV、7477eV、6
403eVのエネルギーに対応するチャネル数の所にあ
らわれる。
【0030】この場合、第一ゴニオメータ13によって
選別されたシンクロトロン放射光の波長が実施例1より
も短くなり、Cu重金属不純物原子のK殻を励起するの
に十分のエネルギーを持つため、波高分析器112にお
いてCuの蛍光X線42が観察可能となる。
【0031】上記四種類のスペクトルをそれぞれ波高選
別器113によって検出した後、画像装置114によっ
て重ね合わすと、表面の極く近傍に存在する結晶欠陥・
応力場周辺のCu、Ni、Fe重金属不純物原子分布を
それぞれ求めることができる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、
(100)Siウェーハ表面の極く近傍に存在する微小
な結晶欠陥・応力場をX線顕微法的に観察可能であり、
それと同時に観察された結晶欠陥・応力場周辺の極く微
量な不純物原子分布を測定することが可能となる。本発
明を用いれば、結晶欠陥・応力場と不純物原子との相互
作用の挙動を明らかにすることができ、半導体デバイス
特性の向上に有効な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す構成図である。
【図2】本発明において、311非対称反射を用いた条
件下での計算結果を示す図である。
【図3】本発明において、311非対称反射を用いた条
件下でのスペクトル分布図である。
【図4】本発明において、422非対称反射を用いた条
件下でのスペクトル分布図である。
【符号の説明】
11 シンクロトロン放射光 12 スリット 13 第一ゴニオメータ 14 モノクロメータ 15 選別されたX線 16 スリット 17 第二ゴニオメータ 18 (100)Siウェーハ 19 回折線 111 二次元検出器 112 波高分析器 113 波高選別器 114 画像装置 21 侵入深さ曲線 22 反射率曲線 23 X線の場の強度曲線 31 回折線 32 Niの蛍光X線 33 Feの蛍光X線 41 回折線 42 Cuの蛍光X線 43 Niの蛍光X線 44 Feの蛍光X線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ω−2θ回転可能な第一ゴニオメータの
    ヘッドに設置されたモノクロメータによってシンクロト
    ロン放射光から所望の波長をもつX線を選別し、 その選別された波長をもつX線を用いて、ω−2θ回転
    可能な第二ゴニオメータのヘッドに設置された(10
    0)Siウェーハの非対称反射を生じさせ、 このとき、前記X線の(100)Siウェーハへの入射
    角が臨界角以下となるように逐次制御し、 この条件下で(100)Siウェーハの非対称反射によ
    る信号を検出し、これらの検出された信号を重ね合わす
    ことにより、結晶欠陥・応力場周辺での不純物分布を得
    ることを特徴とするX線回折顕微方法。
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JP4581126B2 (ja) * 2005-03-09 2010-11-17 独立行政法人物質・材料研究機構 X線回折分析方法およびx線回折分析装置
JP4674352B2 (ja) * 2005-04-11 2011-04-20 独立行政法人物質・材料研究機構 酸化チタンの分析方法とこの方法を実施する酸化チタンの分析装置
KR20100075599A (ko) * 2007-10-03 2010-07-02 아사히비루 가부시키가이샤 과립, 정제 및 이들의 제조 방법

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