JP2001012581A - シザーズギヤ - Google Patents

シザーズギヤ

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JP2001012581A
JP2001012581A JP11183002A JP18300299A JP2001012581A JP 2001012581 A JP2001012581 A JP 2001012581A JP 11183002 A JP11183002 A JP 11183002A JP 18300299 A JP18300299 A JP 18300299A JP 2001012581 A JP2001012581 A JP 2001012581A
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JP
Japan
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gear
sub
spring
locking pin
scissors
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JP11183002A
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Naoki Takahashi
直樹 高橋
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サブギヤ13に対して面ブレ方向のモーメン
トが作用することを防止し、このモーメントによる問題
を根本的に解消する。 【解決手段】 シザーズギヤは、メインギヤと同じ歯形
及び歯数を有するサブギヤ13をメインギヤとともに相
手側ギヤに噛合し、スプリングによりサブギヤ13をメ
インギヤに対して回転方向に付勢して、相手側ギヤとの
バックスラッシュを解消するようになっている。スプリ
ングからサブギヤ13に作用する第1の力Fsの作用点
と、相手側ギヤからサブギヤ13に入力する第2の力の
作用点Fgと、サブギヤを回転可能に支持する軸受部か
らサブギヤ13に入力する第3の力Nの作用点と、を同
じ軸方向位置に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相手側ギヤとのバ
ックラッシュを解消するシザーズギヤの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば自動車用エンジンの燃
料噴射ポンプあるいはカムシャフト等のトルク変動を生
じる装置の駆動用又は被動用ギヤとして、相手側ギヤと
のバックラッシュを解消するシザーズギヤが好適に用い
られている。より具体的には、シザーズギヤは、所定数
の歯を有するメインギヤと、このメインギヤと同じ歯形
及び歯数を有するとともに、メインギヤに隣設配置さ
れ、メインギヤとともに相手側ギヤに噛合するサブギヤ
と、メインギヤとサブギヤとを回転方向に付勢するスプ
リングと、を有している。そして、スプリングのバネ力
により回転方向に握りを持たせて相手側ギヤと噛み合わ
せ、相手側ギヤの歯をメインギヤとサブギヤの歯で挟み
込むことで、相手側ギヤとのバックラッシュを解消する
ようになっている。
【0003】これに相当するシザーズギヤが、例えば特
開平5−18456号公報,特開平6−288462号
公報等に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のシザーズギヤにおいては、サブギヤに作用す
る力、具体的にはスプリングからの反力,相手側ギヤか
らの反力,及びサブギヤを支持する軸受部からの反力の
3つの力の作用点の軸方向位置がそれぞれ異なることに
起因して、サブギヤに面ブレ方向のモーメントが作用す
る。このようなモーメントに起因して、例えば、サブギ
ヤが面ブレ方向に微少回転し、相手側ギヤとの噛合性に
悪影響を及ぼす可能性がある。また、上記のモーメント
に起因して、サブギヤとメインギヤとが局所的に摺接し
て摩耗が進行し、フレッティング等を生じたり、またこ
のような摩耗の進行に起因してメインギヤとサブギヤと
のスムースな相対回転が阻害され、シザースギヤ本来の
機能を損なう虞がある。
【0005】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、サブギヤに対して面ブレ方向のモ
ーメントが作用することを抑制し、このモーメントに起
因して生じる様々な問題を根本的に解消することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシザーズギ
ヤは、所定数の歯を有するメインギヤと、メインギヤと
同じ歯形及び歯数を有するとともに、このメインギヤと
軸方向で隣設して、メインギヤとともに相手側ギヤに噛
合するサブギヤと、メインギヤとサブギヤの間に設けら
れ、メインギヤとサブギヤを互いに回転方向に付勢する
スプリングと、を有している。
【0007】このような構成により、スプリングのバネ
力により回転方向に握りを持たせて相手側ギヤと噛み合
わせ、相手側ギヤの歯をメインギヤとサブギヤの歯で挟
み込むことで、相手側ギヤとのバックラッシュを解消す
るようになっている。
【0008】そして、請求項1の発明は、スプリングか
らサブギヤに作用する第1の力の作用点と、相手側ギヤ
からサブギヤに入力する第2の力の作用点と、サブギヤ
を回転可能に支持する軸受部からサブギヤに入力する第
3の力の作用点と、を同じ軸方向位置に設定したことを
特徴としている。
【0009】この請求項1の発明によれば、サブギヤに
作用する第1,第2,第3の力の作用点の軸方向位置が
一致するため、サブギヤを面ブレ方向に回転させようと
するモーメント(トルク)が発生することはない。従っ
て、面ブレ方向のモーメントによって生じるギヤの噛み
合いの悪化,異常摩耗,打音発生等の問題を根本的に解
消することができる。
【0010】上記の第1の力は、近似的にはスプリング
とサブギヤとの接触部分の軸方向中心に作用するものと
みなすことができる。また、第2の力は、近似的には相
手側ギヤとサブギヤとの噛合部分の軸方向中心に作用す
るものとみなすことができる。更に、第3の力は、近似
的には軸受部とサブギヤとの軸受部分の軸方向中心に作
用するものとみなすことができる。
【0011】そこで、請求項2の発明では、3つの力の
作用点の軸方向位置を実質的に一致させるために、サブ
ギヤがスプリングの一端を支持する部分の軸方向中心
と、サブギヤが相手側ギヤと噛合する部分の軸方向中心
と、サブギヤが軸受部に支持される部分の軸方向中心
と、を同じ軸方向位置に設定している。
【0012】上記サブギヤには、例えばスプリングの一
端を支持する係止ピンが設けられ、上記メインギヤに
は、例えばスプリングの他端を支持する係止ピンが設け
られる。
【0013】ここで、仮にスプリングとサブギヤの係止
ピンとの接触部分が軸方向にある程度の幅を持つ場合、
スプリングからサブギヤに入力する第1の力は分布荷重
となり、荷重の中心点を正確に推定することが難しい。
この結果、第1の力の作用点を所定の軸方向位置に設定
することが困難となる。
【0014】そこで請求項3の発明は、サブギヤの係止
ピンに、スプリングと所定の軸方向位置で当接する突出
部を設けたことを特徴としている。
【0015】また、請求項7の発明は、スプリングの一
端に、所定の軸方向位置でサブギヤの係止ピンと接触す
る凸部を形成したことを特徴としている。
【0016】請求項8の発明は、サブギヤの係止ピンと
スプリングの一端とを、ボールジョイントを介して相対
回転可能に連結したことを特徴としている。
【0017】これらの請求項3,7,8の発明によれ
ば、スプリングからサブギヤに入力する第1の力の作用
点の軸方向位置が、突出部,凸部,又はボールジョイン
トの部分に特定される。従って、第1の力の作用点の軸
方向位置を、容易かつ正確に設定することが可能とな
る。
【0018】また本発明では、スプリングからサブギヤ
に入力する第1の力の作用点を、他の第2,第3の力の
作用点の軸方向位置と一致させるために、好ましくはサ
ブギヤにスプリングを収容する溝部を形成している。こ
の溝部の軸方向寸法は、スプリングを確実に収容するた
めに、スプリングの軸方向寸法よりもある程度大きく設
定される。このため、スプリングの軸方向位置は、溝と
の軸方向寸法の差の分だけ誤差を持つことになる。この
結果、スプリングの軸方向位置のずれに起因して、スプ
リングからサブギヤへ入力する第1の力の作用点の軸方
向位置がずれるおそれがある。
【0019】そこで請求項4の発明は、サブギヤの係止
ピンの周囲に取り付けられ、所定の軸方向寸法を有する
ワッシャを、サブギヤとスプリングとの軸方向間に介装
したことを特徴としている。
【0020】また、請求項5の発明は、サブギヤの係止
ピンの外周に一体に設けられ、所定の軸方向寸法を有す
る段付き部を、サブギヤとスプリングとの軸方向間に介
装したことを特徴としている。
【0021】請求項6の発明は、サブギヤの係止ピンの
外周に、スプリングの一端が嵌合する溝部を形成したこ
とを特徴としている。
【0022】これら請求項4,5,6の発明によれば、
スプリングが軸方向にずれることを抑制でき、ひいては
スプリングからサブギヤへ入力する第1の力の作用点の
軸方向位置がずれることを防止できる。
【0023】また、請求項9の発明は、上記サブギヤの
歯面に、歯筋方向に傾斜する凸部を形成し、この凸部の
頂部を、歯面の軸方向中心部に設定したことを特徴とし
ている。つまり、サブギヤの歯面にクラウニングをかけ
た状態としている。
【0024】この場合、噛み合いの相手側ギヤの歯面と
サブギヤの歯面とが、歯面全体で接触するのではなく、
確実に凸部の頂部で接触するようになる。従って、相手
側ギヤからサブギヤに入力する第2の力の作用点が、凸
部の頂部に限定される。この結果、歯面の歯幅方向の全
体で接触する場合に比べ、第2の力の作用点を、容易か
つ正確に所定の軸方向位置に設定することが可能とな
る。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、サブギヤに作用する複
数の力の作用点を同じ軸方向位置に設定しているため、
サブギヤに対して面ブレ方向のモーメントが作用するこ
とがない。この結果、モーメントに起因して生じる様々
な問題を根本的に解消することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1〜4は、本発明の第1実施例
に係るシザーズギヤを示している。このシザーズギヤ
は、例えば自動車用エンジンの燃料噴射ポンプあるいは
カムシャフト等のトルク変動を生じる装置の駆動用又は
被動用ギヤとして用いられる。
【0027】このシザーズギヤは、外周に所定数の歯が
設けられたメインギヤ12と、外周にメインギヤ12と
同じ歯形及び個数の歯が設けられ、メインギヤ12と軸
方向で隣設し、メインギヤ12とともに相手側ギヤ18
と噛合するサブギヤ13と、メインギヤ12とサブギヤ
13の間に設けられ、メインギヤ12とサブギヤ13と
を互いに回転方向に付勢するスプリング17と、を有し
ている。
【0028】メインギヤ12は、回転軸11の外周に固
定される一方、サブギヤ13は、回転軸11の外周に回
転可能に支持されている。スプリング17には、略C字
状をなす捩りバネが用いられている。サブギヤ13のメ
インギヤ12側の側部には、スプリング17を収容する
円環状の溝部16が凹設されており、この溝部16に
は、スプリング17の一端を支持する第1係止ピン14
が設けられている。一方、メインギヤ12には、スプリ
ング17の他端を支持する第2係止ピン15が設けられ
ている。
【0029】また、メインギヤ12には、サブギヤ13
を軸方向に支持する支持部12aが張出形成されてい
る。なお、サブギヤ13を回転可能に支持する回転軸1
1の軸受部分で、サブギヤ13を軸方向に保持するよう
に構成してもよい。
【0030】このようなシザースギヤを相手側ギヤ18
と組み付ける際には、以下の手順で行われる。なお、シ
ザースギヤの回転方向は図1で時計回りの方向となって
いる。また、この説明では駆動側ギヤにシザーズギヤを
設けた例を示しているが、被動側ギヤにシザーズギヤを
設ける場合には、サブギヤを捩る向きが反時計方向とな
り、FsとFgの向きが以下の説明及び図示例と(左
右)逆になるが、基本的に同様の現象となる。
【0031】先ず、回転軸11を固定した状態で、サブ
ギヤ13のみを所定量時計方向へ捩る。このようにサブ
ギヤ13に捩りを与えた状態で、サブギヤ13とメイン
ギヤ12の歯筋を合わせ、両者を図外のボルト等で仮固
定し、相手側ギヤ18と噛み合わせる。最後に、サブギ
ヤ13とメインギヤ12を仮固定していたボルトを外す
と、スプリング17のバネ力によってサブギヤ13がメ
インギヤ12に対して図中反時計方向へ回転する。この
結果、相手側ギヤ18の歯がメインギヤ12の歯とサブ
ギヤ13の歯との間で挟まれ、噛み合いのバックラッシ
ュが解消される。このように、相手側ギヤ18とのバッ
クラッシュを解消することにより、主にギヤの衝突音を
低減するようになっている。
【0032】図3,4は、サブギヤ13に固定した視点
(サブギヤ13とともに回転する視点)で、サブギヤ1
3に作用する力を示しており、見かけ上、相手側ギヤ1
8がサブギヤ13の周囲を反時計回りに回転することに
なる。
【0033】サブギヤ13の第1係止ピン14には、ス
プリング17のバネ力(第1の力)Fsが作用する。ま
た、相手側ギヤ18と噛合するサブギヤ13外周の噛合
部分には、サブギヤ13が相手側ギヤ18の歯を挟む力
の反力(第2の力)Fgが作用する。なお、シザーズギ
ヤの回転に伴い噛合位置が図4中で反時計回りに変化す
るから、サブギヤ13の歯面に作用する反力Fgの作用
点と方向も、図4のFg1,Fg2,Fg3…の順に変
化する。また、サブギヤ13は回転軸11に回転可能に
保持されているので、サブギヤ13から回転軸11の軸
受部に対してFsとFgの合力が作用し、その反力(第
3の力)Nが回転軸11の軸受部からサブギヤ13に対
して作用する。
【0034】ここで、本実施例では、図3に示すよう
に、スプリング17からサブギヤ13に作用する第1の
力Fsの作用点と、相手側ギヤ18からサブギヤ13に
作用する第2の力Fgの作用点と、回転軸11の軸受部
からサブギヤ13に作用する第3の力Nの作用点とを、
軸方向(図3の上下方向)で同じ位置に設定している。
つまり、3つの力Fs,Fg,Nの作用点が、全て軸方
向に直交する一つの基準面100上に配置されている。
【0035】この点について更に詳述すると、第1の力
Fsは、近似的にはスプリング17とサブギヤ13の第
1係止ピン14との接触部分102の軸方向中心104
に作用するものとみなすことができる。また、第2の力
Fgは、近似的には相手側ギヤ18とサブギヤ13との
噛合部分103の軸方向中心105に作用するものとみ
なすことができる。更に、第3の力Nは、近似的には回
転軸11の軸受部とサブギヤ13の内周との摺接部分1
01の軸方向中心106に作用するものとみなすことが
できる。そこで、3つの力の作用点の軸方向位置を一致
させるために、上記の軸方向中心104,105,10
6を同じ軸方向位置つまり基準面100上に設定してい
る。
【0036】特に本実施例では、第1の力Fsを基準面
100上に配置するために、サブギヤ13に溝部16を
設け、この溝部16内にスプリング17を収容する構成
としている。
【0037】次に、本実施例の作用,効果について、図
5〜8に示す比較例と対比して説明する。この比較例
は、基本的には本実施例と同じ構造であるが、スプリン
グ反力Fs’の作用点と、相手側ギヤ(18)からサブ
ギヤ13’に入力する反力Fg’の作用点と、回転軸
(11)の軸受部からサブギヤ13’に作用する反力
N’の作用点とが、異なる軸方向位置に設定されている
点で、本実施例と異なっている。つまり、力Fs’,F
g’,N’が軸方向に直交する同一平面上に配置されて
いない。
【0038】このように力Fs’,Fg’,N’の作用
点の軸方向位置が異なる比較例では、サブギヤ13’に
対して軸方向(x軸方向)と直交するz軸回りのモーメ
ントTが作用することになる。なお、ここでは図4に示
すように、ギヤ中心からピン14の中心へ向かう方向を
z軸方向としている。モーメントTはサブギヤ13’を
面ブレ方向に回転させようとする。ここで、第2の力F
g’はサブギヤ13’の回転に伴い向きを変えるから、
その大きさと向きを変える交番荷重になる。また、反力
N’はFg’とFs’の合力によって発生するものであ
るから、この反力N’もサブギヤ13’の回転によって
その大きさが変化する。
【0039】図6は、上記のモーメントTの特性を示し
ている。なお、モーメントTの向きは図5中で反時計回
りを正とする。モーメントTの時間変化は三角関数と略
一致するような関数になり、その1周期はシザースギヤ
の1回転の周期と一致する。図6に示す比較例ではモー
メントTは常に正であるが、シザースギヤの諸元(スプ
リング(17)のバネ定数,サブギヤ13’の中心から
係止ピン14’までの距離,サブギヤ13’中心から噛
み合い点までの距離,及びサブギヤ13’の歯数等)に
よっては、図7に示すように正と負の値を交番するよう
に変化することもある。
【0040】このようにサブギヤ13’にモーメントT
が作用することにより、サブギヤ13’は図5のz軸回
りに微少回転する。サブギヤ13’がz軸回りに微少回
転することで、サブギヤ13’と相手側ギヤとの噛み合
いが悪化するという問題点がある。
【0041】また、サブギヤ13’がz軸回りに反時計
方向へ微少回転することで、サブギヤ13’は、メイン
ギヤ側の側面19全体で均等にメインギヤと接触するの
ではなく、側面19がy軸と交差する付近の周縁部19
aで局所的に接触することになる。周縁部19aにおけ
る接触は点接触に近い状態となるために面圧が高くな
り、またサブギヤ13’とメインギヤは回転方向に微少
変位で擦り合っているので、周縁部19a近傍において
フレッティング等の摩耗現象を生じる虞がある。
【0042】更に、このような摩耗の進行により周縁部
19aにおいてメインギヤとサブギヤ13’とが相対回
転し難くなり、スプリングの反力によって相手側ギヤの
歯を挟むというシザースギヤ本来の機能を損ねる虞もあ
る。
【0043】しかも、図7に示すようにモーメントTが
正負の値を交互に取る他の比較例においては、モーメン
トTの変化によってサブギヤがz軸回りに時計回り・反
時計回りに微少回転振動することになる。この結果、サ
ブギヤが反時計回りに変位して周縁部19a近傍でメイ
ンギヤと接触する状態と、時計回りに変位して、周縁部
19aとz軸を挟んで反対側の周縁部19b近傍でメイ
ンギヤと接触する状態と、を交互に繰り返し、両周縁部
19a,19b近傍においてメインギヤとサブギヤが衝
突を繰り返すことになる。この結果、両周縁部19a,
19b近傍で局所的に摩耗が進行するとともに、打音の
発生や破損等の問題を生じる虞がある。
【0044】なお、上記の説明では簡単のために図5に
示すxy平面内の力の作用に限定して説明したが、図8
に示すように、xz平面内の力の作用を考えると、サブ
ギヤ13’にはy軸回りのモーメントT2も作用する。
従って、実際にサブギヤ13’を面ブレ方向に回転させ
ようとするトルクは、上述のz軸回りのモーメントT
と、y軸回りのモーメントT2との合力になる。この場
合、サブギヤ13’の微少回転変位する方向が上記の説
明と若干異なり、局所的に摩耗が進行する周縁部19
a,19bの位置が周方向に変化することになるが、基
本的に上記の説明と同様の問題を生じることになる。
【0045】これらの問題点は、スプリング17のバネ
力Fs’を増大させるほど顕著になるが、トルク変動・
回転変動が大きいギヤ列ほどスプリング17のバネ力F
s’を大きい値に設定する必要がある。その一方で、バ
ックラッシュによる歯車騒音はトルク変動・回転変動が
大きいギヤにおいて顕著であり、シザースギヤの適用が
特に効果的である。つまり、上述の問題点は、本来その
有効性が顕著であるはずのトルク変動・回転変動が大き
いギヤ列において、シザースギヤの適用を阻害する要因
になっていた。
【0046】これに対し、本実施例では、図3に示すよ
うに、サブギヤ13に作用する力Fs,Fg,Nの作用
点の軸方向位置を一致させているため、サブギヤ13を
面ブレ方向に回転させようとするモーメントTが原理的
に発生しない。この結果、モーメントTに起因する上述
の問題点を根本的に解消することができる。
【0047】図9〜15は、上記第1実施例を更に改良
した実施例をそれぞれ示している。なお、図9〜14は
図1のA−A’線に沿う断面対応図、図15はサブギヤ
の歯を示す拡大斜視図である。また、既に上述した部分
には同一参照符号を付して重複する説明を適宜省略す
る。
【0048】図9に示す第2実施例では、スプリング1
7の一端を支持するサブギヤ13の係止ピン14に、ス
プリング17と所定の軸方向位置で当接する突出部12
1を設けるとともに、スプリング17の他端を支持する
メインギヤ12の係止ピン15に、スプリング17と所
定の軸方向位置で当接する突出部122を設けている。
詳述すると、各突出部121,122は、軸方向へ傾斜
するテーパー状に形成されており、ピン径が最大となる
頂部123,124の軸方向位置が、基準面100上に
設定されている。
【0049】仮にスプリング17とサブギヤ13の係止
ピン14との接触部分が軸方向にある程度の幅を持つ場
合、スプリング17からサブギヤ13に入力する力Fs
は分布荷重になり、荷重の中心点を正確に推定すること
が難しい。これに対し、本実施例によれば、スプリング
17と係止ピン14との接触位置、つまりスプリング1
7からサブギヤ13に入力する力Fsの作用点の軸方向
位置が、突出部121の頂部123に限定される。従っ
て、予め頂部123の軸方向位置を基準面100上に設
定することにより、力Fsの作用点を基準面100上に
容易かつ正確に設定することができる。この結果、上記
第1実施例の効果をより確実に得ることができる。
【0050】図10に示す第3実施例では、サブギヤ1
3,メインギヤ12に対するスプリング17の軸方向位
置を特定するために、係止ピン14の周囲に取り付けら
れ、所定の軸方向寸法を有するワッシャ131を、サブ
ギヤ13とスプリング17との軸方向間に介装し、か
つ、係止ピン15の周囲に取り付けられ、所定の軸方向
寸法を有するワッシャ132を、メインギヤ12とスプ
リング17との軸方向間に介装している。これらワッシ
ャ131,132によって、スプリング17の厚さ方向
(図中上下方向)の位置決めがなされる。よって、スプ
リング17からサブギヤ13に作用する力Fsの作用点
が、スプリング17の位置ずれによって設計点からずれ
ることを確実に防止できる。
【0051】図11に示す第4実施例では、サブギヤ1
3の係止ピン14の外周に一体に設けられ、所定の軸方
向寸法を有する段付き部141を、サブギヤ13とスプ
リング17との軸方向間に介装している。また、メイン
ギヤ12の係止ピン15の外周に一体に設けられ、所定
の軸方向寸法を有する段付き部142を、メインギヤ1
2とスプリング17との軸方向間に介装している。
【0052】この実施例によれば、両段付き部141,
142によってスプリング17が軸方向に挟まれる形と
なり、上記の第3実施例の場合と同様、スプリング17
が軸方向で位置決めされる。従って、スプリング17か
らサブギヤ13に作用する力Fsの作用点が、スプリン
グ17の位置ずれによって設計点からずれることを確実
に防止できる。
【0053】図12に示す第5実施例では、サブギヤ1
3の係止ピン14に、スプリング17の一端が嵌合する
溝部151を形成するとともに、メインギヤ12の係止
ピン15に、スプリング17の他端が嵌合する溝部15
2を形成して、スプリング17の軸方向位置がずれるこ
とを防止している。この場合でも、上記第3,4実施例
の場合と同様、スプリング17の軸方向位置がずれるこ
とがないため、スプリング17からサブギヤ13に作用
する力Fsの作用点が設計点からずれることを確実に防
止できる。
【0054】図13に示す第6実施例では、サブギヤ1
3の係止ピン14に当接するスプリング17の一端に、
所定の軸方向位置で係止ピン14と接触する凸部161
を形成するとともに、メインギヤ12の係止ピン15に
当接するスプリング17の他端に、所定の軸方向位置で
係止ピン15と接触する凸部162を形成している。各
凸部161,162は、略半球状に形成され、その頂部
で係止ピン14,15の外周に当接するように設定され
ている。
【0055】この場合、スプリング17から係止ピン1
4に作用する力Fsの作用点が、凸部161の頂部に限
定され、上記第2実施例の場合と同様、バネ力Fsの作
用点の軸方向位置を容易かつ確実に所定の軸方向位置に
設定することができる。なお、この実施例ではスプリン
グ側に凸部を形成しているが、係止ピン14,15側に
凸部を形成しても同様の効果が得られる。
【0056】図14に示す第7実施例では、サブギヤ1
3の係止ピン14とスプリング17の一端とを、ボール
ジョイント171を介して相対回転可能に連結するとと
もに、メインギヤ12の係止ピン15とスプリング17
の他端とを、ボールジョイント172を介して相対回転
可能に連結している。各ボールジョイント171,17
2は、その中心点173、174を中心に、任意の方向
に回転可能である。従って、スプリング17からサブギ
ヤ13に入力する力Fsの中心は、ボールジョイントの
中心173に限定される。この結果、上記第2,6実施
例の場合と同様、バネ力Fsの作用点の軸方向位置を容
易かつ確実に所定の軸方向位置に設定することができ
る。
【0057】図15に示す第8実施例では、サブギヤ1
3の歯面181に、歯筋方向に傾斜し、ピッチ方向へ張
り出した凸部182を形成している。つまり、サブギヤ
13の歯面181にクラウニングをかけた状態としてい
る。そして、最もピッチ方向へ張り出した凸部182の
頂部が、歯面181の軸方向中心、つまり基準面100
上に配置するように設定している。
【0058】サブギヤ13はスプリング17のバネ力に
よって図中右向きの力を得ており、図15の右側の歯面
181で相手側ギヤ18と接触している。そして本実施
例では、この右側の歯面181に凸部182を形成して
いる。この結果、サブギヤ13と相手側ギヤ18との接
触点は凸部182の頂部に限定される。従って、上述し
たように凸部182の頂部を基準面100上に設定する
ことにより、サブギヤ13に入力する力Fgの作用点を
容易かつ確実に所定の軸方向位置に設定することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るシザースギヤを示す
正面図。
【図2】第1実施例に係るシザーズギヤの一部破断側面
図。
【図3】第1実施例に係るサブギヤに作用する力を示す
説明図。
【図4】第1実施例に係るサブギヤに作用する力を示す
正面対応図。
【図5】比較例に係るサブギヤに作用する力を示す説明
図。
【図6】比較例に係るサブギヤに作用する面ブレ方向の
モーメントの特性図。
【図7】他の比較例に係るサブギヤに作用する面ブレ方
向のモーメントの特性図。
【図8】比較例に係るサブギヤに作用する力を示す説明
図。
【図9】本発明の第2実施例に係るシザーズギヤを示す
図1のA−A’断面対応図。
【図10】本発明の第3実施例に係るシザーズギヤを示
す図1のA−A’断面対応図。
【図11】本発明の第4実施例に係るシザーズギヤを示
す図1のA−A’断面対応図。
【図12】本発明の第5実施例に係るシザーズギヤを示
す図1のA−A’断面対応図。
【図13】本発明の第6実施例に係るシザーズギヤを示
す図1のA−A’断面対応図。
【図14】本発明の第7実施例に係るシザーズギヤを示
す図1のA−A’断面対応図。
【図15】本発明の第8実施例に係るシザーズギヤを示
す拡大斜視図。
【符号の説明】
12…メインギヤ 13…サブギヤ 14,15…係止ピン 17…スプリング 18…相手側ギヤ Fs…第1の力 Fg…第2の力 N…第3の力

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定数の歯を有するメインギヤと、メイ
    ンギヤと同じ歯形及び歯数を有するとともに、このメイ
    ンギヤと軸方向で隣設して、メインギヤとともに相手側
    ギヤに噛合するサブギヤと、メインギヤとサブギヤの間
    に設けられ、メインギヤとサブギヤを互いに回転方向に
    付勢するスプリングと、を有し、 スプリングからサブギヤに作用する第1の力の作用点
    と、相手側ギヤからサブギヤに入力する第2の力の作用
    点と、サブギヤを回転可能に支持する軸受部からサブギ
    ヤに入力する第3の力の作用点と、を同じ軸方向位置に
    設定したことを特徴とするシザーズギヤ。
  2. 【請求項2】 上記3つの力の作用点の軸方向位置を実
    質的に一致させるために、サブギヤがスプリングの一端
    を支持する部分の軸方向中心と、サブギヤが相手側ギヤ
    と噛合する部分の軸方向中心と、サブギヤが軸受部に支
    持される部分の軸方向中心と、を同じ軸方向位置に設定
    したことを特徴とする請求項1に記載のシザーズギヤ。
  3. 【請求項3】 上記サブギヤに、スプリングの一端を支
    持する係止ピンを設け、かつ、この係止ピンに、スプリ
    ングと所定の軸方向位置で当接する突出部を設けたこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のシザーズギヤ。
  4. 【請求項4】 上記サブギヤに、スプリングの一端を支
    持する係止ピンを設け、かつ、この係止ピンの周囲に取
    り付けられ、所定の軸方向寸法を有するワッシャを、サ
    ブギヤとスプリングとの軸方向間に介装したことを特徴
    とする請求項1又は2に記載のシザーズギヤ。
  5. 【請求項5】 上記サブギヤに、スプリングの一端を支
    持する係止ピンを設け、かつ、サブギヤの外周に一体に
    設けられ、所定の軸方向寸法を有する段付き部を、サブ
    ギヤとスプリングとの軸方向間に介装したことを特徴と
    する請求項1又は2に記載のシザーズギヤ。
  6. 【請求項6】 上記サブギヤに、スプリングの一端を支
    持する係止ピンを設け、かつ、この係止ピンの外周に、
    スプリングの一端が嵌合する溝部を形成したことを特徴
    とする請求項1又は2に記載のシザーズギヤ。
  7. 【請求項7】 上記サブギヤに、スプリングの一端を支
    持する係止ピンを設け、かつ、上記スプリングの一端
    に、所定の軸方向位置で係止ピンと接触する凸部を形成
    したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシザーズ
    ギヤ。
  8. 【請求項8】 上記サブギヤに、スプリングの一端を支
    持する係止ピンを設け、かつ、この係止ピンとスプリン
    グの一端とを、ボールジョイントを介して相対回転可能
    に連結したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシ
    ザーズギヤ。
  9. 【請求項9】 上記サブギヤの歯面に、歯筋方向に傾斜
    する凸部を形成し、この凸部の頂部を、歯面の軸方向中
    心部に設定したことを特徴とする請求項1〜8のいずれ
    かに記載のシザーズギヤ。
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