JP2001005322A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

定着装置および画像形成装置

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JP2001005322A
JP2001005322A JP11172119A JP17211999A JP2001005322A JP 2001005322 A JP2001005322 A JP 2001005322A JP 11172119 A JP11172119 A JP 11172119A JP 17211999 A JP17211999 A JP 17211999A JP 2001005322 A JP2001005322 A JP 2001005322A
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fixing roller
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heat capacity
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JP11172119A
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Shuji Motomura
修二 本村
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱容量補完体を用いる定着装置において、熱容
量補完体を迅速かつ良好に加熱することにより、熱容量
補完体の作用を、より向上させる。 【解決手段】未定着トナー画像TIを担持したシート状
の記録媒体4を定着ローラ20と加圧部材で挟圧し、定
着ローラ20を回転させて記録媒体4を搬送しつつ未定
着トナー画像に熱と圧力とを印加して記録媒体に定着す
る定着装置における定着ローラ20が、薄肉の中空シリ
ンダによるローラ本体2と、ローラ本体の内部に配備さ
れてローラ本体を長手方向にわたって加熱するヒータ5
と、ローラ本体内部の空間に封入された所定量の流動体
による熱容量補完体1とを有してローラ状に形成され、
熱容量補完体1をなす流動体は高い蓄熱性と熱伝導性を
有し、定着ローラの回転に伴い、熱容量補完体1が、加
圧部材3と定着ローラとのニップ部を含む内周面部分に
定着ローラ回転方向に広がり、流動循環しつつヒータ5
からの熱を良好に吸収するように、ローラ本体内周面に
粗面化処理2Aを施されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は定着装置およびこ
れを用いる画像形成装置、上記定着装置に用いられる定
着ローラ、上記定着装置を用いる定着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル複写機やレーザプリンタ等の画
像形成装置では、形成される画像がトナー画像として形
成され、このトナー画像が、定着装置によりシート状の
記録媒体に定着される。定着装置として広く知られたも
のに、未定着トナー画像を担持したシート状の記録媒体
を定着ローラと加圧部材で挟圧し、定着ローラを回転さ
せつつ未定着トナー画像に熱と圧力とを印加して記録媒
体に定着する方式のものがある。定着ローラの、中空シ
リンダ状のローラ本体の内部には、ハロゲンランプやニ
クロム線ヒータ等が、ヒータとして軸方向にわたって内
装され、上記ローラ本体を内部から加熱するようになっ
ている。
【0003】トナー画像の定着には100度C以上の高
温が必要であるため、定着ローラと加圧部材のニップ部
に定着に必要な温度(定着温度)を、常温から立ち上げ
るのは時間がかかる。このため、定着ローラの(ローラ
本体の)温度を定着温度より若干低い待機温度に常時保
持し、定着が行われるとき、待機温度から定着温度へ短
時間で立ち上げることが知られているが、上記の如く定
着ローラを常時待機温度に維持するには「少なからざる
エネルギ」を必要とするため省エネルギの観点から好ま
しくない。そこで、定着ローラのローラ本体を「薄肉構
造」とし、熱容量を小さくすることにより短時間で定着
温度に立ち上げることが提案されている。定着温度の立
ち上げという観点からはローラ本体の肉厚は薄いほど良
いが、ローラ本体の保持できる熱量は肉厚が薄くなるに
従い少なくなるため、肉厚がある程度薄くなると、定着
動作でトナー画像や記録媒体に熱が奪われてローラ本体
の温度が急速に低下し、記録媒体の送り方向後半部に温
度低下による定着不良が生じたり、定着動作が連続して
行われるリピートモードにおいて、2枚目以降に定着不
良が生じることがある。この定着不良を、定着ローラの
設定温度を高めることによって防ごうとすると、定着開
始時の温度が高くなりすぎて記録媒体の送り方向前半部
で所謂ホットオフセットを生じてしまうという不具合が
ある。
【0004】このような不具合を解消できる定着装置と
して、発明者は先に「定着ローラのローラ本体内空間の
前記ニップ部に相当する部分に熱容量補完体を配備し、
定着動作によるローラ本体の温度低下を、熱容量補完体
に蓄熱された熱をニップ部近傍でローラ本体に供給する
ことにより有効に軽減させるようにした」ものを提案し
た(特開平09―311575)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記熱容量
補完体を用いる定着装置において、熱容量補完体を迅速
かつ良好に加熱することにより、熱容量補完体の作用
を、より向上させることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の定着ローラは
「未定着トナー画像を担持したシート状の記録媒体を定
着ローラと加圧部材で挟圧し、定着ローラを回転させて
記録媒体を搬送しつつ未定着トナー画像に熱と圧力とを
印加して記録媒体に定着する定着装置」において用いら
れる定着ローラである。「シート状の記録媒体」は、シ
ート状であってトナー画像を定着できるものであれば特
に制限なく用いることができる。記録媒体の具体例とし
ては、転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェク
タ用のプラスチックシート)が一般的である。シート状
の記録媒体には、酸化亜鉛紙のように「それ自体に静電
潜像を形成できるもの」が含まれる。請求項1記載の定
着ローラは、ローラ本体と、ヒータと、熱容量補完体と
を有してローラ状に形成される。「ローラ本体」は、薄
肉の中空シリンダにより構成される。ローラ本体は「薄
肉化した状態において、軸方向に変形しないだけの硬度
を持ち、熱伝導性の高い料」例えばアルミニウムやステ
ンレス、銅、ニッケル等の各種金属により構成でき、外
周面にはトナーとの離型性を良好にするための離型層
(例えばフッ素化合物の層)を形成される。ローラ本体
は、薄肉であるために熱容量が小さい。「ヒータ」は、
ローラ本体の内部に配備されてローラ本体を長手方向に
わたって加熱するものであり、前述のハロゲンランプや
ニクロム線ヒータの他、赤外線ヒータ等、従来の定着ロ
ーラの内部ヒータとして知られた公知のものを適宜に用
いることができる。
【0007】「熱容量補完体」は所定量の流動体であ
り、ローラ本体内部の空間に封入される。熱容量補完体
をなす流動体は、高い蓄熱性と熱伝導性を有する。ロー
ラ本体内周面には「粗面化処理」が施されている。この
粗面化処理は「定着ローラの回転に伴い、熱容量補完体
が、加圧部材と定着ローラとのニップ部を含む内周面部
分に定着ローラ回転方向に広がり、流動循環しつつヒー
タからの熱を良好に吸収する」ようになされている。上
記熱容量補完体をなす「流動体」は固形流動系、即ち、
粉体もしくは粒状体やこれらの混合物であることができ
る(請求項2)。流動体としてはまた「上記固形流動系
に液体を添加したもの」(請求項3)や「液体」を用い
ることができる(請求項4)。ローラ本体の内周面は粗
面化処理されているが、粗面化処理された内周面の形態
としては、ランダムまたは規則的な凹凸や、ローラ本体
の軸方向を長手方向とする溝とすることができる(請求
項5)。あるいは粗面化処理として、上記内周面に「網
状の部材を貼着」してもよい。
【0008】熱容量補完体は流動体であるので、通常
は、ローラ本体内において最も低い部分に溜っている
が、ローラ本体の内周面が粗面化処理されているため、
ローラ本体が回転すると上記内周面に接する流動体部分
はローラ本体とともに移動する。この移動により、熱容
量補完体は「加圧部材と定着ローラとのニップ部を含む
内周面部分に定着ローラ回転方向に広がり、流動循環す
る」ようになる。この状態では、熱容量補完体の「ヒー
タに対向する面積」が大きくなるため、熱容量補完体は
ヒータの熱を有効に吸熱する。熱容量補完体は流動循環
するので、吸熱して高温化した部分が繰返しローラ本体
内周面に接してローラ本体を加熱する。このとき、熱容
量補完体は「加圧部材と定着ローラとのニップ部を含む
内周面部分に定着ローラ回転方向に広がって流動循環す
る」ので、トナー画像の定着に最も熱を必要とする上記
ニップ部に極めて有効に熱が供給されることになる。熱
容量補完体は、上記のように「加圧部材と定着ローラと
のニップ部を含む内周面部分に定着ローラ回転方向に広
がる」が、広がりの程度はローラ本体の回転速度等にも
依存し、回転速度によっては、熱容量補完体が過大に広
がり「ローラ本体内周面のかなりの部分が熱容量補完体
に覆われた状態」となることが考えられる。このように
なると、ヒータによるローラ本体の直接加熱が妨げられ
ることも考えられる。このような状態を回避するには
「熱容量補完体が、定着ローラ回転の下流側へ過剰に広
がるのを防止する板状部材」をローラ本体内部に、ロー
ラ本体の軸方向にわたって配備すれば良い(請求項
6)。ローラ本体の内部に配備されるヒータは、ローラ
本体の軸芯部に配備することができるが、これを「長手
方向にわたって偏心」させて、即ち、上記軸芯部から平
行移動させた状態で配備することもできる(請求項
7)。
【0009】この発明の定着装置は「未定着トナー画像
を担持したシート状の記録媒体を定着ローラと加圧部材
で挟圧し、定着ローラを回転させて記録媒体を搬送しつ
つ未定着トナー画像に熱と圧力とを印加して記録媒体に
定着する定着装置」で、上記請求項1〜7の任意の1に
記載の定着ローラを用いたことを特徴とする(請求項
8)。この発明の定着装置は「定着ローラと加圧部材と
のニップ部における定着ローラ回転方向の中心部と定着
ローラの中心軸とを含む平面」を、鉛直面に対して所定
の傾き角:θをもって傾けることができる(請求項
9)。上記請求項8または9記載の定着装置において、
定着ローラとして請求項7記載のものを用いる場合、偏
心したヒータが「定着ローラと加圧部材とのニップ部に
近い位置となる」ように、定着ローラの配備態位を定め
ることができる(請求項10)。請求項8または9また
は10記載の定着装置において、加圧部材としては、公
知の「パッド状のもの」を用いることもできるが、加圧
部材として加圧ローラを好適に用いることができる(請
求項11)。
【0010】この発明の定着方法は「未定着トナー画像
を担持したシート状の記録媒体を定着ローラと加圧部材
で挟圧し、定着ローラを回転させて記録媒体を搬送しつ
つ未定着トナー画像に熱と圧力とを印加して記録媒体に
定着する定着方法で、上記請求項8〜11の任意の1に
記載の定着装置を用いて行われる(請求項12)。この
発明の画像形成装置は「像担持体上に静電潜像を形成
し、形成された静電潜像を現像してトナー画像を得、ト
ナー画像をシート状の記録媒体に定着する画像形成装
置」であって、トナー画像を記録媒体上に定着する定着
装置として、請求項8〜11の任意の1に記載のものが
用いられる(請求項13)。像担持体としては光導電性
の感光体や、誘電性の記録媒体を用いることができる。
誘電性の記録媒体は「導電性基体の表面に薄い誘電層を
形成したもの」である。このような誘電性の記録媒体に
おける誘電層の表面を針電極等により位置選択的に帯電
させたり、あるいは均一に帯電させた誘電体層に対し針
電極等を用いて位置選択的な除電を行うことにより、誘
電体層表面に「2次元的な電荷分布による静電潜像」を
形成することができる。像担持体を光導電性の感光体と
する場合、感光体はセレン感光体、アモルファスヒ素セ
レン感光体等の無機感光体や、有機光半導体(OPC)
を用いた有機感光体、さらにはキャリヤ発生層とキャリ
ヤ輸送層とを分離した「機能分離型の感光体」等、公知
の種々の感光体を使用できる。像担持体が感光体である
場合、静電潜像形成は均一帯電と露光とにより行われる
が、露光方法はアナログ的に画像を照射する方法でもよ
いし、光走査等による光書込による方法で行っても良
い。
【0011】現像は公知の適宜の乾式現像方法を利用で
きる。トナー画像を転写・定着する記録媒体は上述の如
く、通常の転写紙やOHPシート等をはじめ各種のシー
ト状媒体を利用できる。また、像担持体は酸化亜鉛紙の
ように「それ自体に静電潜像を形成できるもの」である
こともでき、この場合には、像担持体が「トナー画像を
定着するシート状の記録媒体」を兼ねることになる。像
担持体と記録媒体とが別体である場合、トナー画像はシ
ート状の記録媒体に転写されることになるが、この場
合、トナー画像を「像担持体から記録媒体に直接転写」
してもよいし「像担持体から中間転写ベルトのような中
間転写媒体を介し」て記録媒体に転写しても良い(請求
項14)。この発明の画像形成装置は具体的には、デジ
タルやアナログ方式の複写装置やレーザプリンタ等の各
種光プリンタ、レーザプロッタ、ファクシミリ装置等と
して実施することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1(a),(b)において、符
号20は「定着ローラ」、符号2は「ローラ本体」、符
号1は「熱容量補完体」、符号3は加圧部材としての
「加圧ローラ」、符号4はシート状の「記録媒体」、符
号5は「ヒータ」を、それぞれ示している。ローラ本体
2と熱容量補完体1とヒータ5とは「定着ローラ20の
主要部」を構成する。定着ローラ20のローラ本体2
は、アルミニウムやステンレス等により形成された中空
シリンダ状である。ローラ本体2の肉厚は、加圧ローラ
3との圧接力により撓み等の変形を生じない強度を保証
できる範囲において可及的に薄く(例えば0.2〜0.
5mm程度)されて熱容量を小さくされ、ヒータ5によ
り容易に加熱され温度上昇するように構成されている。
ヒータ5は「ハロゲンランプ」等で、ローラ本体2の軸
芯部にローラ本体2の長手方向にわたって配備され、発
光に伴う赤外光の放射により、ローラ本体2や熱容量補
完体1を加熱するようになっている。加圧部材としての
加圧ローラ3は、金属軸芯ローラの外周面を、シリコー
ンゴム等の伝熱性の低い弾性材料で所定の厚さに被覆し
たものである(公知の定着装置における加圧ローラを適
宜に使用できる)。図1(a)は、定着ローラ20と加
圧ローラ3の回転を停止させた状態を説明図的に示して
いる。定着時には、図1(b)に示すように、定着ロー
ラ20が反時計回りに回転し、加圧ローラ3が時計回り
に回転する。この回転により未定着トナー画像TIを担
持した(転写紙やOHPシート等の)シート状の記録媒
体4は図の右方へ搬送される。未定着トナー画像TI
は、定着ローラ20と加圧ローラ3とのニップ部(両ロ
ーラの圧接部)を通過する間に、熱と圧力とを加えられ
て記録媒体4に定着され、定着画像IMとなる。
【0013】熱容量補完体1は、この実施の形態におい
ては「固形流動系」で、具体的には「鉄粒子の集合体」
が用いられている。鉄粒子の粒径は0.1mm(この場
合熱容量補完体は「粉体」となる)〜1mm程度(この
場合には「粒状体」となる)であることが好ましい。上
記範囲外の粒径のものでも使用可能であるが、舞い上が
って浮遊する程度にまで粒径が小さいのは好ましくな
い。また、粒径が大きすぎると、固形流動系を構成する
粒子間の「隙間」の割合が多くなり、熱伝導性が悪くな
るので好ましくない。粒径は一様でなく分布を持ってい
てもよい。また、「粒径の細かい粉体と比較的粒径の大
きい粒状体との混合系」として構成することもできる。
固形流動系の材料としては上記の「鉄」に限らず、定着
時の定着ローラ内面温度程度の高温域から常温に至る温
度領域で「安定した固体状態をとる物質」で熱容量、密
度、熱伝導率の大きいものを適宜に利用できる。例え
ば、亜鉛、クロム、アルミニウム、チタン、銅、黄銅、
キュプロニッケル等の金属・合金、ガラス、セラミック
ス類を使用可能である。また、熱容量補完体は2種類以
上の上記材料を混合して構成してもよく、カーボンブラ
ックのような赤外線を吸収し易い材料を混ぜたり、熱容
量補完体を構成している粒子にコーティングすることに
より、ヒーターからの赤外線の吸収率を調整してもよ
い。定着ローラ20のローラ本体2内に熱容量補完体を
多量に封入すると、その加熱に多くのエネルギーを消費
するので「定着ローラを薄肉化した意味」が無くなる。
逆に、封入された熱容量補完体の量が少なすぎると、熱
容量補完体としての効果が小さくなる。熱容量補完体適
切の適切な封入量は、熱容量補完体の熱容量を考慮して
決める必要がある。一般的には「ニップ幅と同程度の幅
の領域を覆うことができる量以上で、定着ローラの半径
の半分程度の深さになる量以下」が適切である。
【0014】図1(c)に示すように、ローラ本体2の
内側面には内周面の「粗面化処理」として、ローラ本体
2の長手方向(図面に直交する方向)に延びた「幅・深
さともに約0.1mm」の溝2Aが、内周面全面にロー
ラ周方向に等間隔に形成されている。これらの溝2A
は、ローラ本体内周面と熱容量補完体1との摩擦性を高
め、定着ローラ回転時にローラ本体内周面に沿って熱容
量補完体1を移動させるためのものである。従って、溝
2Aの幅は、鉄粒子の直径と略等しいか、それより大き
いことが望ましい。上記の幅・深さ:0.1mmは、熱
容量補完体を構成する鉄粒子の粒径が0.1mm程度で
ある場合には好適である。勿論、溝の幅・深さは上記値
に限定されるものではない。粗面化処理の別の形態とし
て、ローラ本体の内周面に微小な凹凸を「ランダムもし
くは規則的」に設けて摩擦性を高めるようにしてもよ
い。さらには、ローラ本体内周面に網状部材を貼り付け
て粗面化処理としてもよい。図1(c)に示すように、
ローラ本体2が矢印方向(反時計方向)に回転すると、
内周面の粗面化処理による溝2Aの作用で、熱容量補完
体1をなす鉄粒子粉体がローラ本体2の回転方向に運ば
れる。鉄粒子粉体を運ぶローラ本体内周面は「回転と共
に立ち上がる」ため、運ばれる鉄粒子粉体に重力が作用
し、その作用により鉄粒子粉体は下方へ流動することに
なる。このため、ローラ本体2の回転に伴い、熱容量補
完体1は図1(c)に示すごとくに流動・循環する。
【0015】即ち、ローラ本体2の内側表面近傍の鉄粒
子粉体はローラ本体2と略同じ速度でローラ回転方向に
運ばれ、ニップ部から90度以上回った位置に達する
と、ローラ本体の内周面から離れて下に落ちる。ローラ
本体2の内周面から相対的に遠い位置にある鉄粒子粉体
は、ローラ本体内周面近傍の鉄粒子粉体の動きに連れて
運ばれるが、ある程度運ばれると自重によって下に滑り
落ちる。従って、鉄粒子粉体1は、ローラ本体2内部で
図1(c)に矢印1Aで示すように反時計回りに流動・
循環する。ローラ本体2の周方向に熱容量補完体1が広
がる範囲を、ローラ本体2の軸心から見込む角:αとし
て図1(c)に示す。角:αは90度前後が望ましい。
角:αは、熱容量補完体1をなす鉄粒子粉体の量と鉄粒
子の粒径、鉄粒子粉体とローラ本体2の内周面との摩擦
係数を変えることで調整可能である。角:αが90度を
大きく超えると、図1(b)において、ローラ本体の内
部空間の左半分に鉄粉が進入するようになるので、これ
を防ぐために後述の遮蔽板が必要になる。角:αが90
度を大きく下回ると、熱容量補完体が十分に広がらず、
ヒータ5の赤外線を十分受けられなくなる。熱容量補完
体1は、上記の如く流動・循環しつつヒータ5により加
熱されて蓄熱し、この熱をローラ本体2のニップ部を含
む内周面に供給する。このようにして、定着ローラと加
熱ローラのニップ部には定着に必要な熱量が常に有効に
供給され、熱量不足に伴う定着不全が有効に防止され
る。なお、ローラ本体2は薄肉で熱容量が小さいので、
ニップ部で熱を失い温度が低下しても、回転によりニッ
プ部に回帰するまでにはヒータ5からの熱により必要な
温度を回復する。
【0016】図1(d)は上記実施の形態に対する比較
例を示している。図1(d)に示す例では、ローラ本体
2’の内周面は「粗面化処理」されていず滑らかで、熱
容量補完体1はローラ本体2’の内周面に対して「滑り
易」い。この場合、熱容量補完体1の広がる面積が狭い
ため、鉄粒子粉体1がヒーターから受け取る熱量が少な
く、定着ローラの回転速度が大きい場合(高速定着の場
合)には、十分に加熱されない虞れがある。この発明の
定着ローラでは、十分高温に加熱した熱容量補完体をニ
ップ部においてローラ本体2に接触させることが出来る
ので、ローラ本体がニップ部においてトナー画像や記録
媒体に奪われる熱量を迅速に補える。ローラ本体2の内
周面の「熱容量補完体で覆われた部分」には、ヒータか
らの赤外線が当たらないため、ニップ部から遠ざかるに
つれてローラ本体2の「その部分の温度」は低くなる。
しかし、ローラ本体2は回転してニップ部入り口に達す
るまでの間に温度が回復すればよいので、ニップ部から
出た後の部分は温度が低くてもよい。また、ローラ本体
2の外周面温度と外気との温度差が小さいほど、ローラ
本体2から外部の空気中へ逃げる熱量は小さいので、定
着ローラから外気中へ逃げる熱量を減らすという観点か
らは、定着ローラの温度は低い方が望ましい。この発明
では、ローラ本体のうち「熱容量補完体に覆われた部
分」が加熱されないので、ローラ本体内部に流動体の熱
容量補完体が無い場合や、ローラ本体の内周面が粗面化
処理されていない場合(熱容量補完体に覆われる面積が
小さい)に比して定着ローラから外気中へ逃げる熱量が
減るという効果もある。図2は、定着ローラ20の長手
方向端部の様子を示している。ローラ本体2の端部には
「流動体による熱容量補完体が外部に漏れ出ない」よう
に止め板6を設けてある(図示されない他端部側も同様
である)。符号30で示す部分は、定着ローラのジャー
ナル部で、この部分に駆動ギア40が設けられ、駆動部
からの駆動力を伝達されて定着ローラを回転させるよう
になっている。ヒータ5は軸芯部分に設けられ、回転さ
れない。なお、ローラ本体2の径とジャーナル部30の
径との差が十分大きい場合、止め板6は無くてもよい。
【0017】ところで、ローラ本体び内周面に施した粗
面化処理により、熱容量補完体に大きい摩擦力が作用す
る場合、ローラ本体2の回転速度が大きくなると、ロー
ラ本体2の内部で流動・循環する熱容量補完体1の位置
が、図3(b)に示すようになり、ローラ本体2の内周
面の「熱容量補完体1が接触する位置」が、定着ローラ
と加圧ローラ3とのニップ部からずれてしまうことが考
えられる。図3(b)のような状態だと熱容量補完体1
の効果は期待できない。このように、ローラ本体2の回
転時に、熱容量補完体1の流動・循環する位置が、ロー
ラ本体2内部の最下位値からずれるような場合には、図
3(a)に示すように、定着ローラ20と加圧部材3と
のニップ部における定着ローラ回転方向の中心部と定着
ローラ20の中心軸とを含む平面S1を、鉛直面S2に
対して、所定の傾き角:θをもって傾けることにより、
流動・循環する熱容量補完体1により、ニップ部におけ
るローラ本体2に有効な熱供給を行うことが出きる。
角:θは、図3(a)に示すように「ニップ部入り口と
鉄粒子粉体が厚く存在している領域の端とが略一致」す
るように調整する。角:θの最適値は、ローラ本体2の
線速、熱容量補完体1をなす流動体とローラ本体内周面
との摩擦係数、熱容量補完体1の重量と粘性(流動に対
する抵抗)などにより異なるが、実験的に決定すること
が可能である。
【0018】上には、熱容量補完体の具体例として鉄粒
子の粉体を挙げた。定着ローラと加圧部材とのップ部へ
の迅速な熱供給の目的のためには、熱伝導補完体におけ
る熱伝導率が大きいことが望ましい。熱伝導性という観
点からすると、流動体を固形流動系で構成した場合、あ
る程度以上の熱伝導性を実現することは困難である。即
ち、固形流動系では、これを構成する粉体や粒状体の構
成単位である粒子(上記例では鉄粒子)間に不可避的に
空隙が形成され、この空隙部を熱伝導率の極めて低い空
気(鉄の熱伝導率の略1/3000)が占めるためであ
る。また、粉体あるいは粒状体の熱容量補完体はローラ
本体内周面との接触面積が小さいため接触面での接触熱
抵抗が大きく、熱容量補完体の熱をローラ本体に伝熱す
る速さに限界がある。このような問題は、固形流動系
(粉体や粒状体もしくはこれらの混合系)に液体を添加
した流動体を熱容量補完体とすることにより、有効に解
消することができる。
【0019】1例として「鉄粒子粉体に液体としてシリ
コーンオイルを添加したもの」を挙げることができる。
シリコーンオイルを添加することにより、粒子間空隙お
よび粒子とローラ本体内周面との空隙をシリコーンオイ
ルで埋めることが出来、熱容量補完体全体としての熱伝
導率を大きく高めることが出来、熱容量補完体とローラ
本体内周面との間の接触熱抵抗を軽減させることができ
る。シリコーンオイルの添加量は粒子間空隙を埋める程
度が適切である。シリコーンオイルの添加量が多すぎる
と、熱容量補完体の「流動体としての流動性」が高くな
りすぎて、熱容量補完体をローラ本体内周面で前述のよ
うに広げるために、粗面化処理における溝を大きくした
りして、熱容量補完体とローラ本体内周面との摩擦性を
高める必要が生じる。ただし、粉体の粒径が細かい場
合、シリコーンオイルの添加量によっては、熱容量補完
体の「流動体としての粘度」が増し、ローラ本体の内面
に張り付いたままローラ本体と共に半周以上回転してし
まい、ニップ部を含む領域での適正な流動・循環が妨げ
られる場合もあるので、このような状態にならないよう
にシリコーンオイルの添加量を調整して適当な粘度を得
るようにする。固形流動系に添加する液体はシリコーン
オイルに限らず、室温から略250℃までの温度範囲で
安定でかつ熱伝導率が低くない液体であれば何でもよ
い。例えば、水銀、低融点合金、ポリエチレン・エチレ
ン共重合体や高級パラフィン炭化水素類の高分子材料が
使用可能である。
【0020】以下に参照する図4においては、図面が繁
雑かするのを避けるため、熱容量補完体をなす流動体を
図示しないが、ローラ本体内には勿論、図1や図3に即
して示したような熱容量補完体が封入されているのであ
る。ローラ本体内周面と熱容量補完体との摩擦が大き過
ぎたり、定着ローラの回転が速すぎると、熱容量補完体
をなす流動体は図4(c)に矢印45で示す軌跡を描い
て、同図の仮想鉛直面50の左側の領域に進入してしま
う。ローラ本体2の内側表面の粗さを適切に調整した場
合でも、一部の粒子は、上記仮想鉛直面50の左側の領
域に進入してしまう。これらの粒子は、ヒータ5からロ
ーラ本体2に照射される赤外線を遮り「ローラ本体2の
周面部がニップ部入り口に向かいつつヒータ5によって
加熱され温度を回復していく過程」を妨げる。このよう
な不都合を避けるには、図4(a)や(b)に示すよう
に「熱容量補完体が、定着ローラ回転の下流側へ過剰に
広がるのを防止する板状部材」として粒子遮蔽板55を
ローラ本体2の内部に「ローラ本体の軸方向にわたって
配備」すればよい。図4(a),(b)に現れているの
は、粒子遮蔽板55の横断面であり、粒子遮蔽板55
は、これを断面として図面に直交する方向に延びる2次
元形状をしている。粒子遮蔽板55は「熱容量補完体の
粒子が、前記仮想鉛直面50の左側の領域に進入するの
を妨げることが出来る位置」に設ける。従って、ローラ
本体2の内面に沿って最下部からローラ回転方向の進行
方向に1/4周進んだ位置と、この位置から更に1/4
周進んだ位置(図4(a)に符号60で示す範囲)の間
の適当な位置の近傍からヒータ近傍までを結んだ線を断
面とする板として設けるのが良い。また、ローラ本体2
に封入された熱容量補完体(流動体)にヒータ5からの
赤外線が当たるのをなるべく妨げないように設るのが好
ましい。図4に示された実施の形態において、粒子遮蔽
版55は「アルミニウム製」である。
【0021】ローラ本体2の内周面の、粒子遮蔽板55
によりヒータ5に対して影になる部分にはヒータ5の赤
外線が当たらなくなるが、ローラ本体2の肉厚が薄けれ
ば、ローラ本体2の仮想鉛直面50の左半分だけの照射
のみで、ローラ本体2の温度を十分に回復させることが
できるので問題はなく、ローラ本体の右半分に赤外線が
届かなくなりその部分の温度が上がらない分だけ、ロー
ラ本体から外気中へ逃げる熱量も減り、却って好都合で
ある。低出力のヒータを使う場合などのように、ローラ
本体の左半分だけに赤外線が当たるだけでは温度回復が
不十分である場合には、粒子遮蔽板55を図4(b)に
示すように、ヒータ5の赤外線をできるだけ妨げない態
位(例えば、ヒータ5の中心からローラ本体内周面に直
交する方向)に設置すればよい。なお、粒子遮蔽板55
の断面形状は、図4に示したような直線形状に限らず、
曲線形状であってもよく、材料もアルミニウムに限ら
ず、鉄、銅などの金属や、耐熱性の合成樹脂等でもよ
い。
【0022】上に説明した各実施の形態では、熱容量補
完体として「固形流動系」および「固形流動系に液体を
添加したもの」を説明した。先にも説明したように、熱
容量補完体を構成する流動体は上記のものに限らず「液
体」を用いることもできる。このように熱容量補完体を
なす液体としては、低融点合金、水銀、液体の高分子材
料など、定着可能温度付近で液体であり、かつ安定であ
る材料であれば何でも使用可能であるが、単位体積あた
りの熱容量がなるべく大きいものが望ましい。また、流
動性を損なわない範囲で、前記鉄粒子粉体など熱伝導率
と熱容量の大きな物質を混ぜたり、赤外線を吸収し易い
材料を混ぜてもよい。上の各実施の形態に関する説明
は、熱容量補完体が液体である場合にも通用するが、液
体は「固形流動系や、これに液体を添加したもの」に比
して流動性が大きいので、熱容量補完体として液体を用
いる場合の粗面化処理としては、図5(a)に示すよう
にローラ本体2の内周面に溝21を形成したり、図5
(b)に示すように、ローラ本体2の内周面に仕切り2
3を形成したりするのが良い。ローラ本体2の内部に封
入する液体の量は、静止した状態で最下部の溝21を略
埋める程度の量以上で、ローラ本体2の半径の半分程度
の深さになる量以下が適切である。
【0023】熱容量補完体をなす液体の1例として「シ
リコーンオイルにカーボンブラックを混ぜたもの」を挙
げることができる。この場合、図5(a)に示すよう
に、ローラ本体2の内周面には「ローラ軸方向に伸びる
溝を等間隔に設け」た粗面化処理がなされている。溝2
1の深さ:Dと幅:Wは適宜である。例えば、ローラ本
体2の肉厚:H=2mmに対し、深さ:Dを1.7m
m、幅:Wを4mmとすることができる。図4(b)に
示すように、ローラ本体2の内周面に仕切り23を設け
る場合であれば、仕切り23の間隔として4mm、仕切
りの高さとして1.7mm、仕切り23を設けられたロ
ーラ本体の肉厚を0.3mm等とすることができる。熱
容量補完体として液体を用いると、液体は一般に粉体や
粒状体より熱伝導率が高く、ローラ本体内周面との接触
面積も大きいので、ローラ本体内周面における伝熱率も
高く、ローラ本体のニップ部に迅速な熱供給を実現でき
る。
【0024】図6に示す実施の形態では、定着ローラ2
0のローラ本体2の内部に、ローラ軸方向に渡って設け
られたヒータ5が長手方向にわたって偏心し、ローラ本
体2の軸心からずれて配備されている。そして、偏心し
たヒータ5が、定着ローラ20と加圧ローラ3のニップ
部に近い位置となるように、定着ローラの配備態位が定
められている。上に図1〜5に即して説明した実施の各
形態においては、熱容量補完体1の存在により、定着ロ
ーラにおける熱容量は「加圧ローラとのニップ部近傍に
集中」しており、ローラ本体は薄肉化されて熱容量が小
さい。一般に、熱量量の異なる2つの物体に同じ量の赤
外線を吸収させた場合、熱容量の大きい方が温度上昇速
度がより遅い。図6の実施の形態のように、ヒータ5を
ニップ部に近接させて配備すれば、ニップ部近傍の熱容
量が集中している部分に、他の部分よりも多くの赤外線
を供給でき、ニップ部の温度上昇率を高めることにより
定着ローラ20の立ち上がりが早くなる。ローラ本体の
薄肉部分は熱容量が小さく、温度上昇速度が速いので、
図6の符号45で示す領域を照射する赤外線の量が(熱
容量補完体に遮られて)わずかであっても、定着動作時
にニップ部でシート状の記録媒体で冷やされたローラ本
体部分が1回転してニップの入り口に回帰する間に、図
に符号65と63で示した領域で、適切な温度まで加熱
できる。さらに、ローラ本体の薄肉化を推し進めること
により、領域63のみでローラ本体を適切な温度にまで
加熱することも可能である。従って、ヒータ5をニップ
部に近づけて、領域45と領域65を照射する赤外線の
量が減っても、ローラ本体の薄肉部分を加熱する上で不
都合は生じず、却って、ローラ本体のニップ部近傍以外
の部分が必要以上に加熱されることが有効に防止され、
赤外線を熱容量補完体1の加熱に有効に振り向けられる
ので好都合である。このように、この実施の形態では、
シート状の記録媒体がニップ部を通過しているときにも
「ニップ部近傍の熱容量が集中している部分」とローラ
本体の残りの部分とに与える熱の比率を適正化できる利
点がある。なお、図6に示した領域45、65、63の
境界は厳密なものでなく、およその範囲を示したもので
ある。
【0025】図7は、この発明の画像形成装置の実施の
1形態を略示している。この画像形成装置は「レーザプ
リンタ」であり、像担持体100として「円筒状に形成
された光導電性の感光体」を有している。像担持体10
0の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ101、現
像装置105、転写ローラ107、クリーニング装置1
09が配備されている。この実施の形態では「帯電手
段」としてオゾン発生の少ない接触式の帯電ローラ10
1を用いているが、コロナ放電を利用するコロナチャー
ジャを帯電手段として用いることもできる。また、光走
査装置103が設けられ、帯電ローラ101と現像装置
105との間で「レーザビームの光走査による露光」を
行うようになっている。図7において、符号110は定
着装置、符号4はシート状の記録媒体としての転写紙を
示している。画像形成を行うときは、光導電性の感光体
である像担持体100が時計回りに等速回転され、その
表面が帯電ローラ101により均一帯電され、光走査装
置103のレーザビームの光書込による露光により静電
潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜
像」であって画像部が露光されている。この静電潜像は
現像装置105により反転現像され、像担持体100上
にトナー画像が形成される。転写紙4は図示されないカ
セットから給紙され、図示されないレジストローラによ
り、像担持体100上のトナー画像が転写位置へ移動す
るのにタイミングをあわせて転写部へ送りこまれる。送
りこまれた転写紙4は転写部においてトナー画像と重ね
合わせられ、転写ローラ107の作用によりトナー画像
を静電転写される。トナー画像を転写された転写紙Sは
定着装置110でトナー画像を定着されたのち、装置外
部へ排出される。トナー画像が転写されたのち、像担持
体100の表面はクリーニング装置109によりクリー
ニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。定着装
置110は、上に図1〜図6に即して説明した各実施の
形態のものを適宜に用いることができ、上に説明した如
くして定着を行う。
【0026】上に図1〜図6に即して説明した実施の各
形態における「定着ローラ」は、未定着トナー画像TI
を担持したシート状の記録媒体4を定着ローラ20と加
圧部材3で挟圧し、定着ローラ20を回転させて記録媒
体4を搬送しつつ未定着トナー画像TIに熱と圧力とを
印加して記録媒体4に定着する定着装置における定着ロ
ーラであって、薄肉の中空シリンダによるローラ本体2
と、ローラ本体2の内部に配備されてローラ本体を長手
方向にわたって加熱するヒータ5と、ローラ本体内部の
空間に封入された所定量の流動体による熱容量補完体1
とを有して、ローラ状に形成され、熱容量補完体1をな
す流動体は高い蓄熱性と熱伝導性を有し、定着ローラの
回転に伴い、熱容量補完体1が、加圧部材3と定着ロー
ラとのニップ部を含む内周面部分に定着ローラ回転方向
に広がり、流動循環しつつヒータ5からの熱を良好に吸
収するように、ローラ本体内周面に粗面化処理を施され
たものである(請求項1)。また、熱容量補完体1をな
す流動体は粉体もしくは粒状体またはこれらの混合物
(固形流動系)であることもできるし(請求項2)、固
形流動系に液体を添加したものであることもでき(請求
項3)、図5に即して説明した実施の形態のように、液
体を「熱容量補完体をなす流動体」として使用すること
もできる(請求項4)。また、ローラ本体2の内周面に
は、粗面化処理によりローラ本体の軸方向を長手方向と
する溝(図1(c)、図5(a))が形成されている
(請求項5)。図4に即して説明した実施の形態では、
熱容量補完体が定着ローラ回転の下流側へ過剰に広がる
のを防止する板状部材55が、ローラ本体2の内部にロ
ーラ本体2の軸方向にわたって配備されており(請求項
6)、図6に示した実施の形態においては、ローラ本体
2の内部に配備されたヒータ5が、長手方向にわたって
偏心している(請求項7)。
【0027】さらに、図1〜図6に即して説明した実施
の形態の定着装置は、未定着トナー画像TIを担持した
シート状の記録媒体4を定着ローラ20と加圧部材3で
挟圧し、定着ローラを回転させて記録媒体4を搬送しつ
つ未定着トナー画像に熱と圧力とを印加して記録媒体4
に定着する定着装置であって、定着ローラ20として、
前記請求項1〜7の何れか記載の定着ローラを用いたも
のであり(請求項8)、図3、4、図6に即して実施の
形態を説明した定着装置では、定着ローラ20と加圧部
材3とのニップ部における定着ローラ回転方向の中心部
と定着ローラ20の中心軸とを含む平面S1が鉛直面S
2に対して、所定の傾き角:θをもって傾けられており
(請求項9)、図6に実施の形態を示した定着装置で
は、定着ローラ20のローラ本体2内で偏心したヒータ
5が、定着ローラ20と定着部材3とのニップ部に近い
位置となるように定着ローラの配備態位が定められてい
る(請求項10)。そして定着装置の上記各実施例とも
「加圧部材」は加圧ローラ3である(請求項11)。ま
た、上に実施の形態を説明した各定着装置では、未定着
トナー画像TIを担持したシート状の記録媒体4を定着
ローラと加圧部材で挟圧し、定着ローラを回転させて記
録媒体4を搬送しつつ未定着トナー画像に熱と圧力とを
印加して記録媒体4に定着する定着方法が、上記請求項
8〜11の任意の1に記載の定着装置を用いて行われる
(請求項12)。図7に実施の形態を示した「画像形成
装置」は、像担持体100上に静電潜像を形成し、形成
された静電潜像を現像してトナー画像を得、トナー画像
をシート状の記録媒体4に定着する画像形成装置であっ
て、トナー画像を記録媒体上に定着する定着装置110
として、上記請求項8〜11の任意の1に記載のものが
用いられるものであり(請求項13)、トナー画像が像
担持体100から記録媒体4に直接転写されるものであ
る(請求項14)。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば新規な定着ローラおよび定着装置、画像形成装置を実
現できる。この発明の定着ローラは、ローラ本体内に封
入された流動体である熱容量補完体が、ローラ本体内周
面に施された粗面化処理により、ローラ本体内のニップ
部を含む領域に広がって流動・循環するので、ヒータの
熱を効率良く蓄熱して、ニップ部においてローラ本体に
有効に給熱するので、薄肉のローラ本体に「記録媒体に
より奪われる熱量」を有効に補填し、ローラ本体のニッ
プ部の温度状態を常に良好に保つことにより、常に良好
な定着状態を維持することができる。請求項3,4記載
の定着ローラのように、熱容量補完体として固形流動系
に液体を添加したものや液体を用いることにより、熱容
量補完体からローラ本体への伝熱性をより有効に高める
ことができる。請求項6記載の定着ローラのように板状
部材を用いると、高速定着用に定着ローラの回転速度を
大きくしても、熱容量補完体が定着ローラ回転の下流側
へ過剰に広がってヒータによるローラ本体の加熱を損な
うことがない。
【0029】この発明の定着装置は、上記定着ローラを
用いるので、立上りが速いにも拘らず、記録媒体への熱
伝導でローラ本体の定着熱に不足を来すことがなく、常
に良好な定着を行うことができる。請求項9記載の定着
装置は、高速定着に有効に対応でき、請求項11記載の
定着装置は、立上りをより速くできるとともに、高速定
着に有効に対応できる。この発明の画像形成装置は上記
定着装置を用いて定着を行うことにより、良好な画像形
成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の定着装置の実施の1形態を説明する
ための図である。
【図2】図1の実施の形態におけるローラ本体2の端部
の様子を示す図である。
【図3】請求項9記載の定着装置の実施の1形態を説明
するための図である。
【図4】請求項8記載の定着装置の実施の1形態を説明
するための図である。
【図5】熱容量補完体として液体を用いる場合の粗面化
処理の2例を説明するための図である。
【図6】請求項10記載の定着装置の実施の1形態を説
明するための図である。
【図7】この発明の画像形成装置の実施の1形態を示す
図である。
【符号の説明】
1 流動体による熱容量補完体 2 定着ローラのローラ本体 2A 粗面化処理による溝 3 加圧部材としての加圧ローラ 4 シート状の記録媒体 5 ヒータ 20 定着ローラ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未定着トナー画像を担持したシート状の記
    録媒体を定着ローラと加圧部材で挟圧し、上記定着ロー
    ラを回転させて上記記録媒体を搬送しつつ上記未定着ト
    ナー画像に熱と圧力とを印加して上記記録媒体に定着す
    る定着装置における定着ローラであって、 薄肉の中空シリンダによるローラ本体と、 該ローラ本体の内部に配備されてローラ本体を長手方向
    にわたって加熱するヒータと、 上記ローラ本体内部の空間に封入された所定量の流動体
    による熱容量補完体とを有して、ローラ状に形成され、 上記熱容量補完体をなす流動体は、高い蓄熱性と熱伝導
    性を有し、 上記定着ローラの回転に伴い、上記熱容量補完体が、加
    圧部材と定着ローラとのニップ部を含む内周面部分に定
    着ローラ回転方向に広がり、流動循環しつつ上記ヒータ
    からの熱を良好に吸収するように、上記ローラ本体内周
    面に粗面化処理を施されたことを特徴とする定着ロー
    ラ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の定着ローラにおいて、 熱容量補完体をなす流動体が、粉体もしくは粒状体また
    はこれらの混合物であることを特徴とする定着ローラ。
  3. 【請求項3】請求項1記載の定着ローラにおいて、 熱容量補完体をなす流動体が、粉体もしくは粒状体また
    はこれらの混合物である固形流動系に液体を添加したも
    のであることを特徴とする定着ローラ。
  4. 【請求項4】請求項1記載の定着ローラにおいて、 熱容量補完体をなす流動体が液体であることを特徴とす
    る定着ローラ。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の任意の1に記載の定着ロー
    ラにおいて、 ローラ本体内周面に粗面化処理により、凹凸や、ローラ
    本体の軸方向を長手方向とする溝が形成されていること
    を特徴とする定着ローラ。
  6. 【請求項6】請求項1〜5の任意の1に記載の定着ロー
    ラにおいて、 熱容量補完体が、定着ローラ回転の下流側へ過剰に広が
    るのを防止する板状部材が、ローラ本体の内部に、ロー
    ラ本体の軸方向にわたって配備されていることを特徴と
    する定着ローラ。
  7. 【請求項7】請求項1〜6の任意の1に記載の定着ロー
    ラにおいて、 ローラ本体の内部に配備されたヒータが、長手方向にわ
    たって偏心していることを特徴とする定着ローラ。
  8. 【請求項8】未定着トナー画像を担持したシート状の記
    録媒体を定着ローラと加圧部材で挟圧し、上記定着ロー
    ラを回転させて上記記録媒体を搬送しつつ上記未定着ト
    ナー画像に熱と圧力とを印加して上記記録媒体に定着す
    る定着装置であって、 上記定着ローラとして、請求項1〜7の任意の1に記載
    の定着ローラを用いたことを特徴とする定着装置。
  9. 【請求項9】請求項8記載の定着装置において、 定着ローラと加圧部材とのニップ部における定着ローラ
    回転方向の中心部と上記定着ローラの中心軸とを含む平
    面が鉛直面に対して、所定の傾き角:θをもって傾けら
    れていることを特徴とする定着装置。
  10. 【請求項10】請求項8または9記載の定着装置におい
    て、 定着ローラとして請求項7記載のものが用いられ、偏心
    したヒータが、定着ローラと加圧部材とのニップ部に近
    い位置となるように、定着ローラの配備態位が定められ
    たことを特徴とする定着装置。
  11. 【請求項11】請求項8または9または10記載の定着
    装置において、 加圧部材が加圧ローラであることを特徴とする定着装
    置。
  12. 【請求項12】未定着トナー画像を担持したシート状の
    記録媒体を定着ローラと加圧部材で挟圧し、上記定着ロ
    ーラを回転させて上記記録媒体を搬送しつつ上記未定着
    トナー画像に熱と圧力とを印加して上記記録媒体に定着
    する定着方法であって、 請求項8〜11の任意の1に記載の定着装置を用いるこ
    とを特徴とする定着方法。
  13. 【請求項13】像担持体上に静電潜像を形成し、形成さ
    れた上記静電潜像を現像してトナー画像を得、トナー画
    像をシート状の記録媒体に定着する画像形成装置であっ
    て、 トナー画像を記録媒体上に定着する定着装置として、請
    求項8〜11の任意の1に記載のものが用いられること
    を特徴とする画像形成装置。
  14. 【請求項14】請求項13記載の画像形成装置におい
    て、 トナー画像が像担持体から記録媒体に、直接もしくは中
    間転写媒体を介して転写されることを特徴とする画像形
    成装置。
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