JP2001003153A - 高周波溶融処理方法 - Google Patents
高周波溶融処理方法Info
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Abstract
の高周波溶融処理を小型の装置を用いて実施可能な方法
を提供する。 【解決手段】 リング材1を、その内周面の複数個所を
支持する支持ローラ11A、11B、11Cに支持さ
せ、そのリング材1の周方向の小区間を取り囲むように
誘導子を配置し、誘導子14でその内側の領域15の一
次被覆層を溶融させると共にリング材1を定位置で回転
させることで、その溶融部分を周方向に移動させて全周
を溶融処理し、一次被覆層内の気孔や酸化物を除去し、
緻密な二次被覆層とする。
Description
材(以下リング材という)の外周面、内周面或いは端面
に、耐摩耗性、耐熱性、耐食性等を付与するために溶射
法等で形成した金属被覆層を緻密化するための高周波溶
融処理方法に関する。
面に、物性を向上させるために、溶射等によって金属被
覆層を形成することが行われている。また、溶射等によ
って金属被覆層を形成した後、その金属被覆層(一次被
覆層)を誘導加熱して溶融させ、その一次被覆層に存在
していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層に
する高周波溶融処理を施すことも知られている。通常、
金属管或いは金属ローラの外周面に形成した一次被覆層
に高周波溶融処理を施すには、金属管或いは金属ローラ
の軸線方向の小区間を取り囲む環状の誘導コイルを用
い、その誘導コイルで一次被覆層を環状に加熱、溶融さ
せると共にその誘導コイルを金属管或いは金属ローラの
軸線方向に相対的に移動させ、一次被覆層の全長に高周
波溶融処理を施していた。
に及ぶ大径のリング材の外周面、内周面或いは端面の物
性向上のために、緻密な組織を持った金属被覆層を形成
するという要求が生じた。これに対処するには、例え
ば、リング材の外周面に一次被覆層を形成する場合に
は、従来の金属管や金属ローラに対する場合と同様に、
リング材の外周面に金属材料の一次被覆層を溶射法等を
用いて形成し、次いで、そのリング材を取り囲むように
環状の誘導コイルを配置し、リング材外周面の一次被覆
層に高周波溶融処理を施して一次被覆層に存在していた
気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層とすれば良
いと考えられる。ところが、大径のリング材の外周面に
形成した一次被覆層を取り囲む構成の誘導コイルは、き
わめて大型となるので、高周波溶融処理装置全体がきわ
めて大型化し、設備費が大きくなるという問題を生じ
る。また、誘導コイルに代えて炉加熱を利用することも
考えられるが、その場合には大きいリング材を入れるた
めの大型の炉を必要とするばかりでなく、加熱に時間が
かかり生産性が悪いという問題があり、また炉内にリン
グ材を置いた時の支持手段を適切にしないとリング材に
温度むらが生じて被覆層の処理むらが生じるとかリング
材に不規則な変形が生じるという問題がある。これらの
問題は、リング材の内周面や端面に一次被覆層を形成し
た場合にも同様に生じる。
決する方法として、リング材の外周面又は内周面に形成
した一次被覆層の周方向の小区間を誘導加熱しうる誘導
子を前記リング材外周面又は内周面に対向して配置し、
その誘導子に通電した状態で、前記リング材を外径の拡
大を妨げない形で支持して定位置で回転させ、これによ
って、一次被覆層の周方向の小区間を加熱、溶融しなが
らその溶融処理部分を前記一次被覆層の全周にわたって
移動させ、一次被覆層の全周を溶融して気孔及び酸化物
を除去し、緻密な二次被覆層とする方法を開発し、特許
出願した(特開平10−262926号)。この方法
は、大径のリング材に形成した一次被覆層に対して、小
型の誘導子を用いて効率良く高周波溶融処理を行うこと
ができ、且つリング材に不安定な変形を生じさせること
がない等の効果を有している。
被覆層を加熱するための誘導子として、一次被覆層にほ
ぼ平行な面内でループ状に形成した、いわゆる面焼きコ
イルを用いたところ、更に改良すべき点のあることが判
明した。すなわち、面焼きコイルで一次被覆層の周方向
の小区間を誘導加熱すると、温度むらが生じ易く、特に
角部の温度が高くなる傾向がある。更に、面焼きコイル
と一次被覆層との間隔が発生熱量及び電磁力に大きい影
響を与えており、この間隔が変動することでも温度むら
が生じ、また電磁力による攪拌効果にむらが生じる。こ
の結果、溶融処理後の被覆層に割れ、しわ、くぼみ、く
びれ等が生じやすい。これを防ぐには、面焼きコイルで
の加熱条件(一次被覆層との間隔、印加周波数、供給電
力、リング材に対する相対的な移動速度等)を、処理対
象に応じた狭い最適条件に設定して保持すると共に、面
焼きコイルと一次被覆層との間隔も精密に制御しなけれ
ばならないという問題があった。
ので、リング材に形成した一次被覆層を誘導加熱により
溶融処理するに際し、誘導子と一次被覆層との間隔を精
密に制御する必要をなくし、且つ加熱条件も比較的ラフ
に設定することで、良好に一次被覆層の溶融処理を行う
ことを可能とする高周波溶融処理方法を提供することを
目的とする。
周面、内周面又は端面に形成した一次被覆層を高周波溶
融処理するために、前記リング材の周方向の小区間を誘
導加熱することができるよう、その小区間を環状に取り
囲む誘導子を配置し、その誘導子に通電して小区間内の
一次被覆層を加熱、溶融しうる状態で、前記リング材
を、該リング材の拡径、縮径を妨げない形で支持して定
位置で回転させるという構成としたものである。ここ
で、「リング材の拡径、縮径を妨げない形で」とは、リ
ング材の熱膨張に伴う拡径、或いは冷却時の熱収縮に伴
う縮径を許容する意味であり、リング材の外周面或いは
内周面が全く拘束されていない場合のみならず、リング
材の外周面又は内周面の1箇所若しくは複数箇所が移動
しないように拘束されていてもリング材が全体として拡
径可能、縮径可能な場合を含むものである。
リング材の周方向の小区間を誘導加熱してその部分にあ
る一次被覆層を溶融させ、リング材の回転によってその
溶融部分が前記一次被覆層に沿って全周に亘って移動
し、一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去
し、緻密な二次被覆層にすることができる。ここで使用
する誘導子は、リング材の周方向の小区間を取り囲む形
状のものであるので、リング材の外径に関係なく小型の
ものとすることができる。また、その誘導子はリング材
を取り囲んでいるので、その誘導子で取り囲んだリング
材の断面内に、誘導子を流れる電流とは反対方向に循環
する誘導電流が発生してリング材及び一次被覆層を誘導
加熱することができ、且つその時の誘導電流量は誘導子
とリング材との間隔の影響をあまり受けないので、間隔
が多少変動しても発熱量は変化しない。更に、誘導子は
一次被覆層のみならずリング材も加熱しているので、被
加熱部分の熱容量が大きく、このため、面焼きコイルに
よって主として一次被覆層を加熱する場合に比べて、一
次被覆層の温度むらが生じにくい。かくして、誘導子と
リング材との間隔を精密に制御しなくても、また、面焼
きコイルを使用する場合に比べて広い加熱条件でも、一
次被覆層を均一に加熱して良好に溶融処理することがで
きる。また、この誘導子はリング材を局部的に加熱する
ため、リング材の加熱された部分には熱膨張による伸び
が生じるが、リング材は、拡径、縮径を妨げない形で支
持されているため比較的自由に伸びたり、縮んだりする
ことができ、従って、拘束による異常変形が生じるとい
うことがなく、大径のリング材に対しても小さい誘導子
を用いて良好に高周波溶融処理を施すことができる。
ング材を400〜800°Cに予熱しておくことが好ま
しい。このように予熱を行っておくと、一次被覆層の溶
融処理に当たっての昇温温度を小さくでき、一次被覆層
に生じる恐れのある亀裂や割れを防止できる。もし、予
熱を行っていない場合には、リング材の小区間を急速に
且つ大きい昇温範囲で昇温させることが必要となり、そ
の場合、リング材と一次被覆層の熱膨張率差に起因して
一次被覆層に過大な引っ張り力が作用し、亀裂や割れが
生じる恐れがあるが、予熱によりこれを防止でき、安定
した溶融処理が可能となる。なお、予熱を行う方法は、
特に限定されず、炉で加熱する方法、バーナー等で加熱
する方法等を用いることができるが、溶融処理を行うた
めの誘導子を用いることが好ましい。すなわち、リング
材を誘導子で誘導加熱しながら、リング材を溶融処理時
に比べて高速で回転させることで、リング材を全周に亘
って予熱することができ、これにより、予熱専用の装置
が不要となる。
とするリング材の形状及び一次被覆層の位置の代表例と
しては、図11(a)に示すように、単純なリング状の
リング材1の外周面に一次被覆層2を形成したもの、図
11(b)に示すように、単純なリング状のリング材1
の内周面に一次被覆層3を形成したもの、図11(c)
に示すように、扁平なリング材4の端面に一次被覆層5
を形成したものを挙げることができるが、これに限ら
ず、適宜変更可能である。例えば、一次被覆層をリング
材の外周面に形成する場合において、図12(a)、
(b)、(c)に示すリング材1A、1B、1Cに示す
ように、内外面に段差を設けるとか、溝を形成する等の
変更を行い、また、一次被覆層2A、2B、2Cのよう
に形成位置を変更してもよい。一次被覆層を内周面に形
成する場合、端面に形成する場合においても同様に変更
を加えても良い。
の寸法も特に限定されるものではないが、径の大きいも
の、例えば外径が1〜3mといった大径のものが、本発
明適用の効果が特に大きい。また、リング材の材質も限
定されるものではないが、具体例としては、炭素鋼、低
合金鋼、ステンレス鋼、鋳鋼、鋳鉄、Ni基合金、Cu
基合金等を挙げることができる。
A、2B、2C、5等)の材料としては、Ni基合金、
Co基合金、或いはこれらにWC、Cr3 C2 、TiB
2 等の硬質材微粒子を配合したもの等を挙げることがで
きる。また、一次被覆層の材料には、溶融が円滑に行え
るよう、B、Siなどのフラックス生成成分を配合して
自溶性を具備させておくことが望ましい。リング材に対
して金属材料の一次被覆層を形成する方法は、溶射法が
一般的であるが、それ以外にも圧密法、スラリー塗布
法、遠心堆積法(リング材内周面に形成する場合)等を
採用しうる。一次被覆層の厚さは、所期の厚さの金属被
覆層(二次被覆層)が最終的に得られるように定めるも
のであり、通常、0.5〜5mm程度に選定される。
成した場合、内周面に形成した場合、及び端面に形成し
た場合に分けて、実施形態を説明する。
した一次被覆層2を高周波溶融処理する場合の一実施形
態を示すものであり、ここでは、リング材1を、その中
心軸線が垂直になるように保持して回転させる構成とな
っている。この実施形態で用いる装置(高周波溶融処理
装置)は、リング材1を回転可能に保持するための手段
として、軸線が垂直になるように且つ回転可能に設けら
れた3個の支持ローラ11A、11B、11Cと、水平
に設けられた受けローラ12を設けている。ここで、3
個の支持ローラ11A、11B、11Cのうち、2個の
支持ローラ11A、11Bは、一定位置で回転するよう
に設けられているが、残りの支持ローラ11Cはその軸
線に直角方向に(矢印Aで示す方向に)移動可能に設け
られている。更に、その支持ローラ11Cには、その支
持ローラ11Cを適当な圧力でリング材1の内面に押し
付けるようエアシリンダ等の押圧手段(図示せず)が連
結されている。かくして、3個の支持ローラ11A、1
1B、11Cを取り囲むようにリング材1を配置し、支
持ローラ11Cを矢印A方向に押してリング材1の内周
面に押し付けることにより、リング材1の内周面を定位
置に配置された2個の支持ローラ11A、11Bに押し
付け、リング材1をその2個の支持ローラ11A、11
Bで定まる所定位置に位置決めして保持できる。
を含む3本の支持ローラ方式を採用すると、リング材1
をセットする際に、支持ローラ11Cを矢印Aとは反対
方向に引っ込めておくことにより、リング材1のセット
をきわめて容易に行うことができ、またリング材1の内
径の大小に関係なく、リング材1を2個の支持ローラ1
1A、11Bで定まる所定位置に位置決めして保持でき
るという効果が得られる。なお、支持ローラ11A、1
1Bの配置間隔は簡単に変更できるようにしておくこと
が好ましい。ここで使用する支持ローラの個数は、図示
した3個に限らず、2個或いは4個以上とすることも可
能である。例えば、2個使用する場合には、一方を定位
置に設け、他方を移動可能とすることにより、リング材
2をその2個の支持ローラがリング材2の直径上に位置
するように位置決めすることができる。また、4個を使
用する場合には2個を定位置に設け、残り2個を移動可
能とすることで、リング材を定位置の2個で定まる位置
に位置決めすることができる。
1個の支持ローラ11Aには、その支持ローラを回転駆
動するための駆動手段(図示せず)が連結されており、
その支持ローラ11Aを回転させることで、リング材1
を回転させることができる。前記した支持ローラ11C
をリング材1の内周面に押し付ける押圧力としては、リ
ング材1が半径方向に移動しないように拘束すると共に
支持ローラ11Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦
力を確保しうるが、リング材1を変形させることがない
ように低く定めている。なお、駆動手段で回転させる支
持ローラは、1個に限らず、2個或いは全部としてもよ
い。回転駆動する支持ローラの個数を多くすると、リン
グ材1を回転させるのに必要な摩擦力が小さくて済むの
で、リング材1を回転させるために要する支持ローラの
リング材1に対する押圧力を小さくすることが可能とな
る。
単にリング材1の重量を受けるためのものであり、リン
グ材1の回転に支障を生じないよう、受けローラ12も
回転自在に設けられている。なお、リング材1を回転自
在に保持する手段としては受けローラ12に限らず、適
宜変更可能である。
に、一次被覆層2を加熱、溶融させるための誘導子14
を備えている。この誘導子14は、リング材1の周方向
の小区間を誘導加熱することができるよう該小区間を環
状に取り囲む構成のものであり、高周波電源装置(図示
せず)に接続されている。なお、誘導子14は、リング
材1を取り囲むように取り付けるのを容易とするため二
つ割り構造とするとか、ヒンジ開閉構造とすることが好
ましい。誘導子14による加熱領域15(図3にハッチ
ングで示す領域)の周方向の寸法dは、誘導子14によ
る投入電力、リング材1の回転速度等によっても異なる
が、通常は20〜70mm程度に設定される。この寸法
dが20mmよりも小さいと、加熱領域が小さすぎて、
良好な誘導加熱が困難となると共にリング材1の回転速
度を小さくせざるを得ず、このため処理速度が遅くな
り、一方70mmよりも大きいと、誘導子14が大型化
してしまう。これらを考慮すると上記した寸法範囲が好
ましい。誘導子14は通常、リング材1の回転中心軸線
に平行に配置され、従って、加熱領域15もリング材1
の中心軸線に平行となっている。なお、必要に応じ、誘
導子14をリング材1の軸線に対して傾斜させることも
可能であり、その場合には、図4に示すように加熱領域
15Aは、リング材1の軸線に対して傾斜した状態に形
成される。
る溶融処理動作を説明する。外周面に溶射等で形成した
金属材料の一次被覆層2を備えたリング材1を図1、図
2のようにセットし、3個の支持ローラ11A、11
B、11Cで所定位置に位置決めすると共に、そのリン
グ材1の周方向の小区間を取り囲むように誘導子14を
セットする。次いで、誘導子14によるリング材1の予
熱を行う。すなわち、誘導子14に通電を開始し、それ
に囲まれたリング材1の小区間を誘導加熱すると共に支
持ローラ11Aの回転を開始し、リング材1を連続的に
回転させる。この時、リング材1の回転速度は、一次被
覆層2が直ちに溶融温度まで昇温することがないように
大きく設定しており、このためリング材1及び一次被覆
層2が徐々に昇温してゆく。
温度(例えば、400〜800°C程度)に達すると、
リング材1の一部が誘導子14を通り抜ける間に一次被
覆層2が溶融温度以上に昇温し、溶融処理が行われるよ
うに、リング材1の回転速度を低下させ且つ/又は誘導
子14の加熱電力を上昇させ、その状態で回転を継続す
る。これにより、リング材1の誘導子14による加熱領
域15において一次被覆層2が溶融して、その一次被覆
層2に存在していた気孔及び酸化物を除去され、この加
熱領域15が一次被覆層2の周方向に連続的に移動して
ゆくことで一次被覆層15の新たな部分を次々と溶融さ
せ、気孔及び酸化物を除去してゆく。そして、加熱領域
15がリング材1の外周面を1周することにより、一次
被覆層2の全面が高周波溶融処理され、緻密な二次被覆
層が形成される。
から良く分かるように、誘導子14がリング材1を取り
囲んでいるため、リング材1及び一次被覆層2には矢印
で示すようにその断面を循環する誘導電流が発生してリ
ング材1及び一次被覆層2を発熱させる。このように誘
導子14で取り囲まれた断面内に生じる誘導電流は、誘
導子14とリング材1との間隔の影響をあまり受けない
ので、誘導子14をセットする際に誘導子14とリング
材1との間隔が多少設定値とは異なっても、また、リン
グ材1の回転中にリング材1の偏心等によって誘導子1
4とリング材1との間隔が変動しても、発生する誘導電
流量はあまり変化しない。これにより、一次被覆層2に
周方向の温度むらがほとんど発生しない。更に、誘導子
14はそれに囲まれているリング材1の小区間の全周を
加熱するので、主として一次被覆層2を加熱する場合に
比べて熱容量が大きく、このため、図2に示す断面内に
おいて一次被覆層2の温度むらが生じにくい。これによ
り、一次被覆層が幅方向にも、周方向にも均一に加熱さ
れて溶融処理されることとなり、溶融処理後の被覆層に
割れ、しわ、くぼみ、くびれ等が生じることがなく、表
面が平滑な且つ緻密な二次被覆層を形成できる。
融処理する前に、リング材1及び一次被覆層2を予熱し
ているので、一次被覆層2の溶融処理の際の上昇温度幅
が小さくなる。これにより、溶融処理のための昇温時に
リング材1及び一次被覆層2に生じる熱膨張量が小さく
なり、両者の熱膨張率差に基づく熱膨張量の差も小さく
なり、加熱、昇温時に一次被覆層2に生じるひび、割れ
を防止できる。もし、リング材1及び一次被覆層2を常
温から急速に一次被覆層2の溶融温度まで昇温させる
と、熱膨張が急激に生じ、その際一次被覆層2はリング
材1に比べて熱膨張率がきわめて小さいため、一次被覆
層2には過大な引っ張り力が作用してひび、割れを発生
する恐れがあるが、予熱を行うことにより、これを防止
できる。なお、リング材1及び一次被覆層2の予熱の際
にも、昇温を急激に行うと一次被覆層2にひびや割れが
生じる恐れがあるので、ひびや割れが生じないようにゆ
っくりと昇温させる。入熱時の昇温速度(リング材が誘
導子を通過する間の昇温速度)は、予熱対象によっても
異なるが、通常は5〜50°C/s程度に設定すること
が好ましい。予熱温度はあまり低いと予熱の意味がな
く、一方、高過ぎると一次被覆層の溶融が始まるとか、
予熱に時間がかかる等の問題が生じるので、これらを考
慮して定めるものであり、通常、上記したように、40
0〜800°Cとすることが好ましい。
リング材1は誘導子14により局部的に加熱され、その
部分が熱膨張しようとし、リング材1を拡径させようと
し、またその後冷却時には熱収縮して縮径しようとす
る。この時、リング材1は半径方向には、その内周面を
3個の支持ローラ11A、11B、11Cで支えられる
のみであり、かつその内の1個の支持ローラ11Aは移
動可能であるので、拡径、縮径方向には自由である。こ
のため、リング材1の加熱部は支障なく熱膨張でき、ま
た、冷却時に縮径することもでき、拘束による異常変形
が生じるということがなく、良好な高周波溶融処理を行
うことができる。
分縮径し且つその縮径量は十分な再現性を持っているこ
とが判明した。そこで、所望外径又は内径の、二次被覆
層を備えたリング材を製造するには、一次被覆層2を形
成するリング材1の外径又は内径寸法を、高周波溶融処
理を施すことによって生じる前記リング材の外径又は内
径の縮径分を見込んであらかじめ大きく設定しておく。
これにより、溶融処理後には、所望の外径又は内径を持
った、二次被覆層を備えたリング材を得ることができ
る。
熱領域15が図3に示すようにリング材1の中心軸線に
対して平行に形成される場合のものであるが、図4に示
すように加熱領域15Aを傾斜させた場合も、同様にし
て一次被覆層2の全周に対して高周波溶融処理を行うこ
とができる。そしてこの場合には、一次被覆層2のリン
グ材中心軸線に平行な部分、例えば、図4の線B−B上
の部分の溶融処理処理が時間差をおいて実施されるの
で、一次被覆層2に対して周方向の品質むらがきわめて
小さい溶融処理を行うことができる。
に配置した実施の形態による高周波溶融処理装置を示す
ものである。この高周波溶融処理装置は、外周面に一次
被覆層2を形成したリング材1を回転可能に保持するた
めの手段として、軸線が水平になるように且つ同じ高さ
に間隔をあけて設けられた2個の支持ローラ21A、2
1Bを用いている。この実施の形態では、単に定位置に
設けられた2個の支持ローラ21A、21Bの上にリン
グ材1の内周面を載せることで、種々な内径のリング材
1を所定位置に回転可能に保持することができ、構造を
簡単化できる利点が得られる。なお、支持ローラ21
A、21Bの配置間隔も簡単に変更できるようにしてお
くことが望ましい。また、必要に応じ、支持ローラ21
A、21Bに保持されたリング材1が軸線方向に動くの
を阻止するための適当な手段を設けてもよい。更には図
1記載例と同様に第三の支持ローラをリング材周方向の
適宜個所に設けてリング材が踊りにくいようにしてもよ
い。
とも1個の支持ローラ21Aに、その支持ローラを回転
駆動するための駆動手段(図示せず)が連結されてお
り、その支持ローラ21Aを回転させることで、リング
材1を回転させることができる。なお、リング材1の自
重のみでは、支持ローラ21Aに対する摩擦力が不足
し、支持ローラ21Aで回転させられることが困難な場
合には、2個の支持ローラ21A、21Bの下方に、図
1に示す装置の支持ローラ11Cと同様に移動可能な支
持ローラを設け、それを押圧手段によってリング材1の
内周面に押し付ける構成とすればよい。
小区間を取り囲むように誘導子24が設けられ、高周波
電源装置(図示せず)に接続されている。誘導子24の
取り付け位置は、特に限定されるものではないが、この
実施の形態では、リング材1の回転中心軸線O−Oから
水平に引いた水平線H−Hよりも上方の位置でリング材
1を加熱するように誘導子24を位置させている。
通電した状態で、リング材1を高速で回転させることに
より、リング材1及び一次被覆層2を予熱し、所望温度
に予熱した時点で、リング材1の回転速度を低下させ且
つ/又は誘導子24の加熱電力を上昇させ、誘導子24
で一次被覆層2を加熱、溶融させ、その溶融部分を一次
被覆層2の周方向に連続的に移動させて行くことがで
き、一次被覆層2に対して高周波溶融処理を行って緻密
な二次被覆層を形成することができる。また、この高周
波溶融処理の際、リング材1は外径方向に拘束されてい
ないため、加熱部分が熱膨張する際或いは冷却時の熱収
縮する際に、拘束による異常変形を生じることがない。
かくして、リング材に異常変形を残すことなく、高周波
溶融処理を行うことができる。更に、上記の実施の形態
では、誘導子24をリング材1の上半分に対向する位置
に配置したため、一次被覆層2の溶融した部分が上向き
となっており、気泡が抜けやすいという利点が得られ
る。また、リング材1の回転中心軸線を水平としている
ので、一次被覆層2の溶融した部分が水平となってお
り、このため溶融金属が重量で下方に流れることがある
としても、水平方向には流れず、一次被覆層2の幅方向
の皮膜厚さの変化を抑制できるという利点も得られる。
なお、高周波溶融処理時におけるリング材1の回転方向
としては、図5に示すように、誘導子24に対向する一
次被覆層2が上向きに移動するように選定することが好
ましい。この構成とすると、溶融した金属が下方に流れ
るのを阻止しうる利点が得られる。
す高周波溶融処理装置で、リング材1の外周面の一次被
覆層2に高周波溶融処理を施す場合のみを説明したが、
この装置は高周波溶融処理のみならず、一次被覆層2を
形成するための溶射時にも使用可能である。例えば、図
1、図2に示す高周波溶融処理装置においては、3本の
支持ローラ11A、11B、11Cにリング材1を保持
させ、そのリング材1に対向して溶射ガンを配置してお
き、リング材1を回転させながらリング材1の外周面に
対して溶射を行うことで、一次被覆層2を形成すること
が可能である。更には、上記溶射に続く一連動作で溶融
処理を行うことも可能であり、これによって生産性を向
上させることができる。
被覆層3を高周波溶融処理する場合の実施形態を説明す
る。図6は、リング材1の回転中心軸線を垂直に配置し
て処理を行うための高周波溶融処理装置を示すものであ
る。この高周波溶融処理装置は、図1、図2に示した高
周波溶融処理装置に比べて、3個の支持ローラ31A、
31B、31Cをリング材1の外周面に接触するように
配置した点において異なっているが、その他の構成は同
様である。図7の実施の形態においても、3個の支持ロ
ーラ31A、31B、31Cのうち、2個の支持ローラ
31A、31Bは、一定位置で回転するように設けられ
ているが、残りの支持ローラ31Cはその軸線に直角方
向に(矢印Cで示す方向に)移動可能に設けられ、且つ
適当な圧力でリング材1の外周面に押し付けるようエア
シリンダ等の押圧手段(図示せず)に連結されている。
また、1個の支持ローラ31Aには、その支持ローラを
回転駆動するための駆動手段(図示せず)が連結されて
いる。
A、31B、31Cの内側に位置するようにリング材1
を配置し、支持ローラ31Cを矢印C方向に押してリン
グ材1の外周面に押し付けることにより、リング材1の
外周面を定位置に配置された2個の支持ローラ31A、
31Bに押し付け、リング材1をその2個の支持ローラ
31A、31Bで定まる所定位置に位置決めして保持で
き、支持ローラ31Aを回転させることでリング材1を
回転させることができる。ここで、前記した支持ローラ
31Cをリング材1の外周面に押し付ける押圧力として
は、リング材1を定位置に配置された2個の支持ローラ
31A、31Bに押し付けて位置決めすると共に支持ロ
ーラ31Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦力は確
保できるが、リング材1が誘導子34によって加熱され
拡径しようとした時には、支持ローラ31Cがその拡径
を拘束することなく後退させられるように低く定めてい
る。従って、リング材1は3個の支持ローラ31A〜3
1Cによって外径の拡大を妨げない形で回転可能に保持
されることとなる。
の誘導子34は、図1の実施形態における誘導子14と
同様なものであり、リング材1の周方向の小区間を取り
囲んで誘導加熱するものである。
も、図1、2に示す装置で説明したのと同様な溶融処理
動作が行われる。すなわち、内周面に溶射等で形成した
金属材料の一次被覆層3を備えたリング材1を図6に示
すようにセットし、3個の支持ローラ31A〜31Cで
所定位置に位置決めすると共に、そのリング材1を取り
囲むように誘導子34をセットし、誘導子34への通電
を開始すると共にリング材1を高速で回転させてリング
材1及び一次被覆層3を予熱し、予熱終了後は、リング
材1の回転速度を低下させ且つ/又は誘導子34の加熱
電力を上昇させて、誘導子34で囲まれた小区間を高温
に加熱し、一次被覆層3を溶融処理する。これにより、
加熱領域で一次被覆層3が溶融して、その一次被覆層3
に存在していた気孔及び酸化物が除去され、その加熱領
域がリング材1を1周することにより、一次被覆層3の
全面が高周波溶融処理され、緻密な二次被覆層が形成さ
れる。この動作の際、リング材1は拡径、縮径方向には
拘束されていないので、誘導子34による局部的な加熱
による熱膨張或いは冷却時の収縮によって、異常変形が
生じるということがなく、良好な高周波溶融処理を行う
ことができる。
に配置した実施の形態による高周波溶融処理装置を示す
ものである。この高周波溶融処理装置は、図6に示した
高周波溶融処理装置に比べて、2個の支持ローラ41
A、41Bをリング材1の外周面を乗せて支持するよう
に配置すると共に上面を押さえるように押圧機構(図示
せず)を備えた支持ローラ41Cを設けた点において異
なっているが、その他の構成は同様である。この実施の
形態においても、支持ローラ41Cの押圧力は、支持ロ
ーラ41Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦力は確
保できるが、リング材1が誘導子44によって加熱され
拡径しようとした時には、支持ローラ41Cがその拡径
を拘束することなく後退させられるように低く定めてい
る。従って、リング材1は3個の支持ローラ41A〜4
1Cによって外径の拡大を妨げない形で回転可能に保持
されることとなる。なお、リング材1の自重のみで支持
ローラ41Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦力を
確保できる場合には、支持ローラ41Cは省略してよ
い。
通電した状態で、リング材1を高速で回転させてリング
材1及び一次被覆層3を予熱し、次いで、回転速度を低
下させ且つ/又は誘導子44の加熱電力を上昇させるこ
とにより、誘導子44で一次被覆層3を溶融させ、その
溶融部分を一次被覆層3の周方向に連続的に移動させて
行くことができ、一次被覆層3に対して高周波溶融処理
を行って緻密な二次被覆層を形成することができる。ま
た、この高周波溶融処理の際、リング材1は拡径方向、
縮径方向に拘束されていないため、拘束による異常変形
を生じることがなく、良好な高周波溶融処理を行うこと
ができる。なお、図示したように、誘導子44をリング
材1の最下部を取り囲むように配置すると、一次被覆層
3の溶融した部分が上向きとなって、気泡が抜けやす
く、また、一次被覆層3の溶融した部分が水平であるの
で溶融金属が自重で流れるということがなく、一次被覆
層3の皮膜厚さの変化を抑制できるという利点が得られ
る。
ても、溶融処理によりリング材1は縮径するので、所望
外径又は内径の、二次被覆層を備えたリング材を製造す
るには、一次被覆層2を形成するリング材1の外径又は
内径寸法を、高周波溶融処理を施すことによって生じる
前記リング材の外径又は内径の縮径分を見込んであらか
じめ大きく設定しておけばよい。
覆層5を高周波溶融処理する場合の実施形態を説明す
る。図8は、リング材4の回転中心軸線を垂直に配置し
て処理を行うための高周波溶融処理装置を示すものであ
る。この高周波溶融処理装置は、図1、図2に示した高
周波溶融処理装置と実質的に同様なものであり、リング
材4の内周面に接触するように設けた3個の支持ローラ
51A、51B、51Cと、リング材4を支持する受け
ローラ52と、リング材4の周方向の小区間を取り囲む
構成の誘導子54等を備えている。この実施形態では、
リング材4を一次被覆層5が上向きとなるようにセット
し、誘導子54に通電した状態で、リング材4を高速で
回転させてリング材4及び一次被覆層5を予熱し、次い
で、回転速度を低下させ且つ/又は誘導子54の加熱電
力を上昇させることにより、誘導子54で一次被覆層5
を溶融させ、その溶融部分を一次被覆層5の周方向に連
続的に移動させて行くことができ、一次被覆層5に対し
て高周波溶融処理を行って緻密な二次被覆層を形成する
ことができる。また、この高周波溶融処理の際、リング
材4は拡径方向、縮径方向に拘束されていないため、拘
束による異常変形を生じることがなく、良好な高周波溶
融処理を行うことができる。この実施形態では、溶融処
理すべき一次被覆層5が上向きとなっているので、気泡
が抜けやすく、また、一次被覆層5の溶融した部分が水
平であるので溶融金属が自重で流れるということがな
く、一次被覆層5の皮膜厚さの変化を抑制できるという
利点が得られる。なお、リング材4の端面の一次被覆層
5の溶融処理を行う装置としては、これに限らず、図
5、図6、図7に示す装置を用いても良い。
した一次被覆層5を誘導子54により溶融処理を行う
と、リング材4と被覆層との熱膨張率の差によるため
か、冷却後には図9に示すように、リング材4の断面に
二次被覆層5Aが凹面となるそりが生じることが判明し
た。そして、このそりの量は、十分再現性を持ってい
た。そこで、平坦の二次被覆層5Aを備えたリング材4
を製造するには、図10(a)に示すように、あらかじ
めリング材4の断面形状として、高周波溶融処理を施す
ことによって前記リング材の断面形状に生じるそりを見
込んであらかじめ逆そりを与えた形状に設定しておき、
その端面に一次被覆層5を形成する。そしてこのリング
材4及び一次被覆層5に対して高周波溶融処理を施すこ
とによって、図10(b)に示すように、二次被覆層5
Aを形成すると共にリング材4にそりを生じさせ、平坦
な二次被覆層5Aを持ったリング材4を得ることができ
る。
グ状のリング材1であって、外径2000mm×内径1
900mm×厚さ(軸線方向の寸法)80mm、材質S
25Cのリング材1を用意し、その外周に溶射により厚
さ2.5mmの一次被覆層2(JIS16C相当)を形
成した。
溶融処理装置の3個の支持ローラ11A、11B、11
Cの周囲にセットし、そのリング材1の周方向の小区間
を取り囲むように誘導子14を取り付けた。ここで使用
した誘導子14は、図2(b)に示す寸法fが100m
m、寸法gが70mm、リング材の周方向の幅が50m
mのものを用いた。まず、誘導子14に通電し(周波数
2kHz、電力40kW)、リング材1を周速20mm
/sで回転させ、予熱を行った。約35分間予熱を行っ
て、リング材1を約650°Cに昇温させた後、リング
材1の回転数を5mm/sに低下させ、且つ誘導子14
への電力を100kWに上昇させた。これにより、リン
グ材1の誘導子14内を通過する部分で一次被覆層2が
直ちに溶融し、溶融処理が行われた。この時の温度は、
1050±20°Cであった。この溶融処理をリング材
1の全周に亘って行った後、リング材1の加熱及び回転
を停止し、放冷した。
ところ、表面が平滑で良好な外観を呈していた。また、
リング材1に高周波溶融処理による異常変形は生じてい
なかった。処理後のリング材1の内径を測定したとこ
ろ、1891.8mmであり、縮径量(内径)は8.2
mm、縮径率は0.43%であった。
イズとして、外径2000mm×内径1900mm×厚
さ80mmのものを得るために、実施例1で求めた縮径
分を見込んで、外径2008mm×内径1908mm×
厚さ70mm、材質S25Cのリング材1を用意し、そ
の外周に溶射により厚さ2.5mmの一次被覆層2(J
IS16C相当)を形成した。このリング材1を実施例
1と同一条件で溶融処理を行ったところ、表面が平滑で
良好な外観を呈した二次被覆層を得ることができた。ま
た、処理後のリング材1の内径を測定したところ、18
99.5mmであり、縮径量(内径)は8.5mm、縮
径率は0.45%であり、ほぼ希望サイズのリング材を
得ることができた。
材1(外径2000mm×内径1900mm×厚さ80
mm、材質S25C)の内周面に溶射により厚さ2.5
mmの一次被覆層3(JIS16C相当)を形成し、こ
れを図6に示す装置にセットし、実施例1で用いた誘導
子14と同一寸法の誘導子34(100×70×50m
m)を用いて、実施例1と同一条件で溶融処理を行っ
た。その結果、表面が平滑で良好な外観を呈した二次被
覆層を得ることができ、且つリング材1には異常変形は
見られなかった。処理後のリング材1の外径を測定した
ところ、1994.4mmであり、縮径量(外径)は
5.6mm、縮径率は0.28%であった。なお、実施
例1に比べて縮径率が異なっているのは、一次被覆層が
リング材の外周面にある場合と内周面にある場合の差に
よるものと思われる。
イズとして、外径2000mm×内径1900mm×厚
さ70mmのものを得るために、実施例3で求めた縮径
分を見込んで、外径2006mm×内径1906mm×
厚さ80mm、材質S25Cのリング材1を用意し、そ
の内周に溶射により厚さ2.5mmの一次被覆層3(J
IS16C相当)を形成した。このリング材1を実施例
3と同一条件で溶融処理を行ったところ、表面が平滑で
良好な外観を呈した二次被覆層を得ることができた。ま
た、処理後のリング材1の外径を測定したところ、20
00mmであり、縮径量(外径)は6mm、縮径率は
0.3%であり、希望サイズのリング材を得ることがで
きた。
ング状のリング材4であって、外径2500mm×内径
1900mm×厚さ(軸線方向の寸法)35mm、材質
S25Cのリング材1を用意し、その一方の端面に溶射
により厚さ2.5mmの一次被覆層5(JIS16C相
当)を形成した。
理装置にセットし、そのリング材1の周方向の小区間を
取り囲むように誘導子54を取り付けた。ここで使用し
た誘導子54は、リング材4の半径方向及び軸線方向の
内法寸法がそれぞれ、330mm、65mm、リング材
周方向の幅が50mmのものを用いた。まず、誘導子5
4に通電し(周波数2kHz、電力40kW)、リング
材4を周速20mm/sで回転させ、予熱を行った。約
50分間予熱を行って、リング材4を約630°Cに昇
温させた後、リング材4の回転数を3mm/sに低下さ
せ、且つ誘導子54への電力を110kWに上昇させ
た。これにより、リング材4の誘導子54内を通過する
部分で一次被覆層5が直ちに溶融し、溶融処理が行われ
た。この時の温度は、1050±20°Cであった。こ
の溶融処理をリング材4の全周に亘って行った後、リン
グ材4の加熱及び回転を停止し、放冷した。
ところ、表面が平滑で良好な外観を呈していた。また、
リング材4に高周波溶融処理による異常変形は生じてい
なかった。ただし、そのリング材4には、図9に示すよ
うに反りが生じており、その大きさhは2mmであっ
た。
グ材4を得るために、実施例5で求めた反りを見込ん
で、リング材4として図10(a)に示すようにj=2
mmの逆反りを与えたリング材4を用意し、その他は実
施例5と同一として溶融処理を行った。その結果、反り
が0.3mm程度の、従って反りの小さいリング材4を
得ることができた。なお、この場合にも、リング材4の
外径は2mm縮径していた。
を、その外径の拡大を妨げない形で支持して定位置で回
転させると共に、そのリング材の周方向の小区間を取り
囲むように誘導子を配置し、該誘導子に通電して誘導加
熱を行うことにより、リング材の外周面、内周面又は端
面に形成している一次被覆層を誘導加熱して溶融させ、
一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻
密な二次被覆層にするという高周波溶融処理を、リング
材の径の大小に関係なく且つ一次被覆層の全周に亘って
行うことができ、また、この際、温度むらが発生しにく
いので、一次被覆層を均一に且つ割れ、しわ、くぼみ、
くびれ等を生じることなく溶融処理することができ、こ
のため、小型の誘導子を用いて種々な径のリング材に対
して良好な高周波溶融処理を行うことができるという効
果を有している。
リング材及び一次被覆層を予熱しておくと、溶融のため
の昇温温度を低くでき、被覆層に亀裂や割れが発生する
ことを防止でき、一層良好な溶融処理を行うことができ
るという効果が得られる。
置を示す概略斜視図
図
層の領域を示す概略側面図
様な概略側面図
装置を示す概略斜視図
行う装置を示す概略斜視図
行う装置を示す概略斜視図
行う装置を示す概略斜視図
材の概略断面図
理を行う対象のリング材の代表例を示す概略断面図
例を示す概略断面図
Claims (4)
- 【請求項1】 リング材の外周面、内周面又は端面に溶
射法等を用いて形成した金属材料の一次被覆層に対して
高周波溶融処理を行う方法であって、前記リング材を外
径の拡大、縮小を妨げない形で定位置で回転させること
ができるように支持すると共に、前記リング材の周方向
の小区間を誘導加熱することができるよう該小区間を環
状に取り囲む誘導子を配置し、前記リング材を回転させ
ながら、該リング材の周方向の小区間を前記誘導子で誘
導加熱することで、その小区間内にある前記一次被覆層
を溶融させながらその溶融する部分を前記一次被覆層の
周方向に相対的に移動させ、前記一次被覆層を全周に亘
って溶融させ、該一次被覆層に存在していた気孔及び酸
化物を除去し、緻密な二次被覆層にすることを特徴とす
る高周波溶融処理方法。 - 【請求項2】 前記リング材を400〜800°Cに予
熱したのち、前記一次被覆層の溶融温度に昇温して溶融
させることを特徴とする請求項1記載の高周波溶融処理
方法。 - 【請求項3】 前記リング材の外径又は内径寸法を、高
周波溶融処理を施すことによって生じる前記リング材の
外径又は内径の縮径分を見込んであらかじめ大きく設定
しておくことを特徴とする請求項1又は2記載の高周波
溶融処理方法。 - 【請求項4】 前記一次被覆層をリング材の一方の端面
に形成する場合において、前記リング材の断面形状を、
高周波溶融処理を施すことによって前記リング材の断面
形状に生じるそりを見込んであらかじめ逆そりを与えた
形状に設定しておくことを特徴とする請求項1から3の
いずれか1項記載の高周波溶融処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17612299A JP3929205B2 (ja) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | 一次被覆層の溶融処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17612299A JP3929205B2 (ja) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | 一次被覆層の溶融処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001003153A true JP2001003153A (ja) | 2001-01-09 |
JP3929205B2 JP3929205B2 (ja) | 2007-06-13 |
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JP (1) | JP3929205B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017020055A (ja) * | 2015-07-07 | 2017-01-26 | トヨタ自動車株式会社 | 高周波誘導加熱方法 |
-
1999
- 1999-06-22 JP JP17612299A patent/JP3929205B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017020055A (ja) * | 2015-07-07 | 2017-01-26 | トヨタ自動車株式会社 | 高周波誘導加熱方法 |
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