JP3846761B2 - 金属被覆層の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属管、金属条材等の母材表面に、耐摩耗性、耐熱性、耐食性等を付与するための金属被覆層を形成する方法に関し、特に、金属材料の溶射等によって一次被覆層を形成し、次いでその一次被覆層を溶融処理して緻密な金属被覆層(二次被覆層)とする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、母材表面に形成した溶射被覆層(一次被覆層)を再溶融することにより、溶射被覆層中に含まれていた気孔やガスを取り除くとともに金属酸化物をスラグに変えて溶融部の表面に浮き上がらせて緻密な被覆層(二次被覆層)を形成し、且つ母材に確実に結合させることが行われている。この溶射被覆層の再溶融処理を行うための加熱方法としては、ガス炎による加熱、誘導加熱、炉による加熱等があり、そのうち、ガス炎による加熱が簡便に実施できるので広く使用されていた。
【0003】
最近、ボイラーチューブ等の溶射被覆層の再溶融処理方法として、環状の誘導子で溶射被覆層の長手方向の小領域を局部的に誘導加熱し、溶射被覆層を溶融させると共に前記誘導子をボイラーチューブの長手方向に沿って相対的に移動させ、これによって、溶射被覆層に生じた溶融部を溶射被覆層に沿って移動させてゆき、溶射被覆層全体に再溶融処理を施す方法が、溶融部に電磁攪拌力が作用し、気孔の少ない良好な被覆層を形成できるため、ガス炎による加熱に取って変わりつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来は溶射被覆層厚さが1〜2mm程度であり、この程度の厚さの溶射被覆層に対しては誘導加熱で良好な再溶融処理を行うことができたが、溶射被覆層の厚さを3〜5mmと厚くすると次のような問題の生じることが判明した。すなわち、図11に示すように、金属管1の表面の溶射被覆層2を環状の誘導子3で加熱して溶融部4を形成し、その誘導子3を金属管1の長手方向に移動させて再溶融処理を行った場合、再溶融処理後の被覆層5の表面に凹み6が生じることがあった。また、図12に示すように、金属管1を回転させながら、誘導子3で誘導加熱して再溶融処理を行うことがあるが、その場合には、再溶融処理後の被覆層5の表面にらせん状の凹み7が生じ、また、終端にくびれ8が生じることがあった。なお、このくびれ8は、金属管1を回転させない場合にも生じていた。このような凹み6、7、くびれ8等は、被覆層5の表面の平滑度を低下させ、製品品質を低下させるので、重大な欠陥であり、可及的に低減させる必要があった。
【0005】
本発明者等は、誘導加熱による再溶融処理の際の上記した問題点を解決すべく、被覆層表面に凹みやくびれ等が生じる原因を検討し、次の事項を見出した。すなわち、被覆層が厚くなり、従ってそれを溶融させた溶融部の厚さが厚くなると、溶融金属が流れやすくなり、そのため電磁攪拌力が過度に作用して溶融金属に好ましくない流れを生じさせており、また、被覆層の厚さが厚くなるため被覆層を溶融させるために要する電力を増加させねばならず、それに伴って電磁攪拌力自体も大きくなっており、この点からも溶融金属に好ましくない流れを生じさせてしまい、これらの結果、被覆層表面の平滑度を低下させていた。従って、溶融部に作用する電磁攪拌力を溶融部の厚さに応じて過度にならないよう抑制することによってこれらの問題点を解決できる。一方、溶融部に作用する電磁攪拌力は、適用される全誘導電流の内、溶融部に流れる誘導電流の密度(特に表層の誘導電流密度)の大きさに依存しており、従って、この誘導電流密度を小さく抑制すればよく、また、誘導電流密度は誘導子によって供給される被覆層の単位面積当りの電力密度に比例するので、結局、電力密度を低く抑制すればよい。
【0006】
しかしながら、単に電力密度を低くするのみでは、被覆層の加熱、溶融に時間がかかり、処理速度(一次被覆層に対する誘導子の相対的な移動速度)を低下させなければならないとか、誘導子の長さを長くしなければならないといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みて為されたもので、母材表面に形成した一次被覆層を誘導加熱によって再溶融処理して緻密な金属被覆層を形成するに際し、被覆層表面に凹みやくびれ等の欠陥が生じることを防止して表面平滑度の高い金属被覆層を形成することの可能な、また、処理速度が速く、且つ/或いは、短い誘導子を使用可能な金属被覆層の形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願第一の発明は、母材表面に溶射等によって形成した一次被覆層を誘導加熱によって再溶融処理するに際し、少なくとも前記一次被覆層の溶融時における誘導電流の電流浸透深さを前記一次被覆層の厚さの1.5倍以上とすることを特徴とする。このように、電流浸透深さを一次被覆層厚さの1.5倍以上とすると、従来行われているように電流浸透深さが、一次被覆層厚さと同程度か或いは浅い場合に比べて、単位面積当りの電力密度を一定とした場合における、母材を流れる誘導電流(その誘導電流による発熱熱量も一次被覆層に伝達され溶融に使用される)が大きくなり、その分、一次被覆層の誘導電流密度が小さくなり、ひいては表層の誘導電流密度が小さくなる。これによって溶融層に作用する電磁攪拌力が小さくなり、従来厚い被覆層を処理する際に生じていた被覆層の凹み、くびれ等を防止できる。
【0009】
また、電流浸透深さを一次被覆層厚さの1.5倍以上とした本発明では、従来のような電流浸透深さが小さい場合と違って、表層の誘導電流密度(最大電磁攪拌力に対応)を、電磁攪拌力が被覆層表面に凹みやくびれが生じないような一定の大きさに抑制しさえすれば、電力密度を高めても凹み等が生じないことから、大電力を適用して処理速度を大きくできるとか、誘導子を短くできるといった効果が得られる。
【0010】
本願第二の発明は、一次被覆層を誘導加熱によって再溶融処理するための誘導子を、移動方向に対して前段誘導子と後段誘導子に電気的に分割し、その後段誘導子による誘導電流の電流浸透深さを前記一次被覆層厚さの1.5倍以上とし、更に、前記前段誘導子と後段誘導子が加熱対象に対して付与する電力配分を、前記前段誘導子で前記一次被覆層をその融点ないしは融点近くまで昇温させ、融点ないしは融点近くまで昇温した一次被覆層を前記後段誘導子で溶融処理することができるように設定し、更に、前記前段誘導子が加熱対象に供給する単位表面積当たりの電力密度を、一次被覆層の敏速な加熱が可能なよう高く設定し、前記後段誘導子が加熱対象に供給する単位表面積当たりの電力密度を、溶融した一次被覆層に加わる電磁攪拌力が許容値以下となるように低く設定したことを特徴とする。なお、ここで、金属条材が合金の場合には溶融相の存否を分ける固相線の温度を以て融点とする。本願第二の発明ではこの構成により、電磁攪拌力の悪影響を受けない固相状態の一次被覆層を、短い前段誘導子で敏速に融点ないしは融点近くまで昇温させることができ、また、融点ないしは融点近くまで昇温した一次被覆層を後段誘導子が低い電力密度で加熱、溶融させるため、溶融部の誘導電流密度が小さく、従って電磁攪拌力も小さく抑制されており、被覆層の凹み、くびれ等を防止しながら、所望の溶融処理を行うことができる。しかも、後段誘導子が一次被覆層に付与すべき熱量は小さくて良いので、低電力密度でも処理時間をさほど必要とせず、また誘導子の長さをあまり必要としない。このため、第二の発明でも、被覆層の凹み、くびれ等を生じることなく敏速な溶融処理が可能となり、また、誘導子全体の長さを短くできるといった効果が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、母材の表面に、金属材料の一次被覆層を溶射法等を用いて形成し、その後、前記一次被覆層の小領域を局部的に誘導子を用いて誘導加熱し、前記一次被覆層を溶融させると共にその誘導子を前記一次被覆層に沿って相対的に移動させることによってその溶融部を一次被覆層に沿って移動させてゆき、前記溶融部に作用する電磁攪拌力を利用して、前記一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層とする方法に関する。
【0012】
本発明において用いる母材の形態、材質等は特に限定されるものでなく、表面に金属被覆層を形成する必要のあるものであれば任意である。例えば、母材の形態としては、管体、棒材、H型材、L型材等の任意断面の条材、平板等を挙げることができ、また、材質としては、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、鋳鋼、鋳鉄、Ni基合金、Cu基合金等を挙げることができる。母材の表面に形成する被覆層の材料としては、Ni基合金、Co基合金、あるいはこれらにWC、Cr3 2 、TiB2 等の硬質材微粒子を配合したもの等を挙げることができる。又、被覆層の材料には、再溶融が円滑に行えるよう、B、Siなどのフラックス生成成分を配合して自溶性を具備させておくことが望ましい。母材に対して金属材料の一次被覆層を形成する方法は、溶射法が一般的であるが、それ以外にも圧密法、遠心堆積法、スラリー塗布法等を採用しうる。一次被覆層の厚さは、所期の厚さの被覆層(二次被覆層)が最終的に得られるように定めるものであり、本発明は如何なる厚さの被覆層にも適用しうるが、従来、凹みやくびれの発生といった問題を生じていた2mmを越えるような厚膜被覆に適用して前記効果を得ることに特段の意義がある。
【0013】
上記したように、本発明では一次被覆層の溶融処理のために、一次被覆層の小領域を局部的に誘導子を用いて誘導加熱し、その誘導子を前記一次被覆層に沿って相対的に移動させることによって、一次被覆層の全長を溶融処理する。ここで使用する誘導子の形状は、一次被覆層及び母材の形状に応じて適宜定めればよく、例えば、母材が管体等の条材でその外周面に一次被覆層が形成されている場合には、その条材を取り囲むように配置された環状の誘導子(1周巻きないしは複数巻き)を用い、母材が管体でその内周面に一次被覆層が形成されている場合には、その管体内に、内周面に対向して配置された環状の誘導子を用い、又、管体の内外面に形成した一次被覆層に対してその内外に配置された誘導子で溶融処理を行うこともできるが、管体や棒材の場合には、管体や棒材をその軸線を中心として回転させ、円周方向に均等な処理が施されるようにすることが好ましい。母材が板材であって、その板面に一次被覆層が形成されている場合には、誘導子としてその平面にほぼ平行な面内に配置される線状、U字状ないしは渦巻き状の誘導子を、あるいは、板材を短辺方向に取り囲んだ環状の誘導子を用いればよい。
【0014】
次に、誘導子で加熱される小領域の大きさ、誘導子による供給電力、誘導子と一次被覆層との相対的移動速度等を、母材の代表例である管体を例に採って説明する。図3は母材(金属管)10の外周面に形成している一次被覆層11を溶融加熱する場合を概略的に示すものであり、母材10の周囲に環状の誘導子12(長さL)を配置している。この誘導子12を用いて一次被覆層11を溶融処理するには、その誘導子12に通電して一次被覆層11の誘導子12に対向する小領域(長さLの領域)を誘導加熱しながら、その誘導子12を母材10に対して相対的に移動させる(移動速度V)。ここで、誘導子12が加熱対象(一次被覆層及びその下の母材)の単位面積当たりに供給する電力密度Pe を円周方向、長手方向ともに均一とすると、一次被覆層11上に想定した単位面積部分11aが、誘導子12の下を通過する際、継続して一定の電力密度Pe を受けて昇温してゆき、誘導子12を通り過ぎた時点で加熱されなくなり、温度が低下してゆく。この温度変化を時間軸に対して、簡単化して記録したのが図4のグラフに実線で示す特性線14であり、時間t0 で単位面積部分11aに対する加熱が開始され、時間t1 で融点Tm に到達し、時間t2 (=L/V)で、単位面積部分11aが誘導子12を通り抜けて加熱が終了する(その時の到達温度はTe )。従って、時間t1 〜時間t2 間で一次被覆層が溶融処理され、気孔の除去などが行われる。なお、誘導子による加熱中(時間t0 〜時間t2 )の昇温特性は、厳密には、温度による放熱量の変化、誘導電流密度の変化、相変化に要する熱量等によって、必ずしも直線状とはならないが、特性線14では、簡略化して直線で示した。
【0015】
ここで、電力密度Pe を大きくすると、特性線15で示すように昇温速度が早くなり、電力密度Pe を小さくすると、特性線16で示すように昇温速度が遅くなる。従って、一次被覆層11の材料物性に応じて、最終到達温度Te を設定するとか、溶融処理時間(t1 〜t2 間)を適切な値に設定した場合、電力密度Pe の値に応じて誘導子12の長さL及び処理速度Vが定まることとなり、また、逆に、処理速度V及び誘導子12の長さLを定めると、それに応じて必要な電力密度Pe が定まることとなる。電力密度Pe は長手方向に必ずしも一定とする必要はなく、誘導子12を長手方向(移動方向)に分割し、それぞれの電力密度を変化させることで、誘導子の長さLや処理速度Vを変えることもできる。一方、一次被覆層11に加える電力密度Pe は、一次被覆層11が溶融した時、その溶融部に過大な電磁攪拌力が作用しないように制限される。
【0016】
本願第一の発明は、上記したように誘導子を一次被覆層に沿って相対的に移動させながら一次被覆層を誘導加熱する際に、少なくとも一次被覆層の溶融時における誘導電流の電流浸透深さを一次被覆層の厚さの1.5倍以上とすることを特徴とする。ここで、誘導電流の電流浸透深さとは、誘導電流密度I1 が、表面の誘導電流密度I0 の1/eの大きさとなる位置の、表面からの距離(深さ)を意味している。すなわち、図2に示すように、被加熱材20を誘導子21によって誘導加熱した際に、その被加熱材20内を流れる誘導電流密度は、曲線22で示すように、表面の誘導電流密度I0 から指数関数的に減少しており、誘導電流密度I1 が、表面の誘導電流密度I0 の1/eの大きさとなる位置の、表面からの距離(深さ)δが、誘導電流の電流浸透深さである。ここで、被加熱材20の固有抵抗をρ(Ω−cm)、比透磁率をμ、誘導加熱の周波数をf(Hz)とすると、電流浸透深さδ(cm)は、数式1で表される。因に、表面から電流浸透深さδまでの間に、被加熱材20の吸収電力の約90%が存在することとなる。
【0017】
【数1】
Figure 0003846761
【0018】
本願第一の発明は上記したように、母材表面の一次被覆層を誘導加熱して溶融させている時における誘導電流の電流浸透深さδを一次被覆層の厚さdの1.5倍以上とするものである(図1参照)。ここで、上記した数式1に示すように、電流浸透深さδは固有抵抗ρの関数であり、この固有抵抗ρとしては、溶融状態にある一次被覆層11の固有抵抗を採用する。なお、溶融状態にある一次被覆層11の固有抵抗は、固相状態である母材10の固有抵抗に比べると大きく、従って、厳密には母材10内に生じる誘導電流密度は曲線24から少しずれた曲線となるが、その差はさほど大きくなく、また、一次被覆層11内の(特に表層の)誘導電流密度の大きさが、被覆層の凹み、くびれ等の発生に影響してるので、図1に示す曲線24のように電流密度が変化すると仮定しても支障はない。
【0019】
数式1から明らかなように、電流浸透深さδは、ρとfの関数であり、そのうちρは、一次被覆層の材質によって定まる定数である。従って、本発明の実施に当たっては、誘導加熱を行うための周波数fを一次被覆層の厚さに応じて低く設定することで、電流浸透深さδを一次被覆層の厚さdの1.5倍以上とすることができる。例えば、一次被覆層11の材質をSFNi4(自溶合金)とした場合、溶融時の固有抵抗ρは110μΩ−cm程度であるので、一次被覆層11の厚さを0.4cmとすると、電流浸透深さδを一次被覆層厚さの1.5倍以上とするには、周波数fを7.7kHz以下とすればよい。
【0020】
図1に曲線24で示すように、電流浸透深さδを一次被覆層11の厚さdに比べてかなり大きくした電流分布を採用すると、母材10の表層部分(一次被覆層11に接する部分)にもかなりの誘導電流が流れており、この部分を発熱させ、それが一次被覆層11の溶融にも利用される。従って、一次被覆層11の溶融に必要な電力を、一次被覆層11を流れる誘導電流のみで得る必要がなく、その分一次被覆層11を流れる誘導電流を小さくできる。もし、電流浸透深さδを小さく、例えば、一次被覆層11の厚さに等しくすると、誘導子12で同じ電力密度Pe を供給すると仮定した時の電流密度分布は、図1に二点鎖線で示す曲線25のようになり、曲線24の場合と比べて一次被覆層を流れる電流の密度が大となる。この曲線25では表層の誘導電流密度I0 ′が、曲線24における表層の誘導電流密度I0 に比べてかなり大きくなっている。
【0021】
このように、従来は、電流浸透深さδを浅く、一次被覆層11の厚さ程度に設定していたことにより、表面の誘導電流密度I0 ′がきわめて大きくなっており、この誘導電流密度に応じた大きい電磁攪拌力が作用するため、被覆層の表面に凹みやくびれが発生していたが、本願第一の発明では、同一の電力密度とした場合、誘導電流密度が曲線24のように分布しており、一次被覆層11を流れる誘導電流密度を小さく、特に表層の誘導電流密度I0 を小さくでき、このためその部分に作用する電磁攪拌力が小さくなり、従来発生していたような被覆層表面の凹みやくびれの発生を防止できる。また、逆に、一次被覆層11の表層の誘導電流密度I0 が許容最大値(電磁攪拌力によるへこみやくびれの発生を防止できる時の最大値)となるように供給電力密度を設定したとすると、本願第一の発明の場合が、電流浸透深さδを浅くした場合に比べて、供給電力密度を大きく設定でき、従って、一次被覆層11の加熱速度(図4のグラフにおける特性線14の勾配)を大きくでき、処理速度を早めるとか、誘導子12の長さを短くできる等の利点が得られる。
【0022】
本発明者が確認した結果、電力密度Pe を一定とした状態で、電流浸透深さδを一次被覆層11の厚さdに等しい値から大きくしていった際、一次被覆層の厚さdの1.5倍程度に達するまでは、表層の誘導電流密度の値が急激に減少しており、このため、電流浸透深さδを一次被覆層の厚さdの1.5倍以上に設定することで、表層の誘導電流密度I0 を効果的に小さくでき、その部分に作用する電磁攪拌力を減少させることができる。従って、本願第一の発明では、電流浸透深さδを一次被覆層の厚さdの1.5倍以上とするという限定を採用する。なお、この電流浸透深さδは、大きくするほど、表層の誘導電流密度I0 を小さくすることは可能であるが、あまり大きくすると、発生熱量が一次被覆層11の溶融以外に使用され(母材10の深い部分の加熱に使用され)、一次被覆層11の加熱効率が低下して好ましくない。この点を考慮すると、電流浸透深さδは、一次被覆層11の厚さの5倍程度に留めることが好ましい。
【0023】
次に、本願第二の発明では、上記したように誘導子を一次被覆層に沿って相対的に移動させながら一次被覆層を誘導加熱する方法おいて、図5に示すように、誘導子12を、移動方向に対して前段誘導子12aと後段誘導子12bに電気的に分割し、その前段誘導子12aと後段誘導子12bが加熱対象(一次被覆層11及び母材10)に対して付与する電力配分を、前段誘導子12aで一次被覆層11を、その融点ないしは融点近くまで昇温させ、融点ないしは融点近くまで昇温した一次被覆層11を後段誘導子12bで溶融処理することができるように設定し、更に、前段誘導子12aが加熱対象に供給する単位表面積当たりの電力密度Peaを、一次被覆層の敏速な加熱が可能なよう高く設定し、後段誘導子12bが加熱対象に供給する単位表面積当たりの電力密度Pebを、溶融した一次被覆層11に加わる電磁攪拌力が許容値以下となるように低く設定したことを特徴とする。このように設定すると、一次被覆層11上に想定した任意の単位面積部分11aが、誘導子12の下を通過する際の温度変化は、たとえば図6のクラフに示す特性線30のようになる。すなわち、時間t0 で加熱が開始され、前段誘導子12aの下を通過する間(時間t1 =La /Vまで)は急速な加熱が行われ、前段誘導子12aの出口部分では融点Tm に接近した温度Ti に到達し、その後は、後段誘導子12bによってゆっくりと昇温し、時間t2 で融点Tm に到達し、時間t3 (=L/V)で加熱が終了する(最終到達温度はTe )。従って、時間t2 〜時間t3 間で一次被覆層が溶融処理され、気孔の除去などが行われる。
【0024】
ここで、後段誘導子12bによる一次被覆層11の溶融処理時には、電力密度Pebを低く押さえて、溶融部に加わる電磁攪拌力が許容値以下となるようにしているので、被覆層表面に凹みやくびれを生じさせることなく処理が可能であり、その前の、一次被覆層11が固相状態で電磁攪拌力を受けない時には、大電力密度Peaを加えるので、短い前段誘導子12aで敏速に昇温させることができ、結局、比較的短い誘導子12を用いて所定の処理が可能となる。もし、電力密度を前段、後段に分割しなければ、全体を後段の電力密度Pebで処理しなけれならず、その場合、昇温速度は低いので、誘導子12の長さを長くするか、或いは処理速度Vを小さくしなければならない。本願第二の発明では、この問題点を解消できる。
【0025】
本願第二の発明を効果的に実施するには、前段誘導子12aの出口での一次被覆層11の温度Ti を、融点Tm としてもよいが、この段階では溶融が進まない方が良いので、前段誘導子12aの出口での温度Ti を、融点Tm の90〜95%程度の値(絶対温度比)に設定するのが良い。この温度から融点Tm 迄の昇温については、後段誘導子によってもさしたる時間を要しない。
【0026】
前記したように、後段誘導子12bの電力密度Pebは、溶融部に加わる電磁攪拌力が許容値以下となるように、従って、表層での誘導電流密度が許容値以下となるように設定するが、その際、電流浸透深さδは表層での誘導電流密度に影響している。すなわち、図1で説明したように、同じ電力密度Pebに対しても、電流浸透深さδが異なると変化しており、換言すれば、表層での誘導電流密度を同じとした場合に、電流浸透深さδを大きくすることで、電力密度Pebを大きく設定できる。従って、本願第二の発明の実施に当たっても、後段誘導子12bによる電流浸透深さδを、一次被覆層11の厚さの1.5倍以上とする。一方、前段誘導子12aでは電磁攪拌力による悪影響は生じないので、表層の誘導電流密度を小さく押さえる必要はなく、従って、電流浸透深さδは一次被覆層11の加熱効率を考慮して、一次被覆層11の厚さにほぼ等しく設定すればよい。ただし、前段誘導子12aと後段誘導子12bを共通の電源装置に接続する場合には、印加周波数が同一となり、電流浸透深さδは同一となるので、たとえば、前段と後段の所要時間が最小となるように浸透深さ(即ち印加周波数)を選定すればよい。
【0027】
なお、図5では、前段誘導子12aと後段誘導子12bを近接させた状態としているが、両者は必ずしも近接させて配置する必要はなく、適当に間隔をあけて配置してもよい。間隔をあけた場合の方が、両誘導子12a、12bの干渉作用が回避され、好ましい。
【0028】
前段誘導子12aと後段誘導子12bとは、共通の電源装置により稼働させるようにすれば電源装置コストが小さくて済み、一方、それぞれ別個の電源装置で稼働させるようにすれば、ぞれぞれ、所望の印加周波数(電流浸透深さ)、所望の電力密度に設定することができて生産速度の向上が容易になる。多くの場合、共通の電源装置で十分対応できるので、以下、共通の電源装置を使用する場合における電力配分並びに電力密度の設定について説明する。
【0029】
図7は、管体からなる母材10の外周面に形成した一次被覆層11を溶融処理するための誘導子12を、前段誘導子12aと後段誘導子12bに分割し、且つそれらを共通の電源装置35に接続して使用する場合の例を示すものである。この実施例では前段誘導子12aと後段誘導子12bが共に、母材10を取り囲んで配置された環状のものであり、電源装置35に対して並列に接続されている。ここで、前段誘導子12a、後段誘導子12bのコイル巻数をNa 、Nb 、コイル幅をFa 、Fb 、前、後段誘導子に対面する加熱対象のインピーダンス比(詳細は後述)をβ、加熱電力をP0 とすると、前段誘導子12a、後段誘導子12bに配分される電力Pa 、Pb 及びその比λ1 は、数式2、数式3、数式4となる。
【0030】
【数2】
Figure 0003846761
【0031】
【数3】
Figure 0003846761
【0032】
【数4】
Figure 0003846761
【0033】
また、前段誘導子12a、後段誘導子12bに対面する一次被覆層11の単位表面積当たりの電力密度Pea、Peb及びその比λ2 は、数式5、数式6、数式7となる。
【0034】
【数5】
Figure 0003846761
【0035】
【数6】
Figure 0003846761
【0036】
【数7】
Figure 0003846761
【0037】
以上の数式2〜7を基にして、前、後段誘導子のそれぞれのコイル巻数、コイル幅、前、後段誘導子に対面する加熱対象のインピーダンス比等を調整することで、前、後段誘導子に対する所望の電力配分(Pa /P0 、Pb /P0 )、電力密度Pea、Peb等を得ることができる。例えば、図6に示すグラフに線30で示す昇温特性を得る場合、前段誘導子12aの出口温度が適正値(Ti )となるようにするには、昇温温度が電力Pa 、Pb に比例するものとして、数式2を用いて、コイル巻数Na 、Nb 、インピーダンス比βを設定すればよい。すなわち、前段誘導子12aの出口温度Ti を、融点Tm の95%程度に、最終温度Te の90%程度に設定する場合には、
a /P0 =0.90
となるように、数式2からコイル巻数N1 、N2 、インピーダンス比βを設定すればよい。なお、数式2から求めるものは目安であり、正確には、数値計算(FEM等)や、実負荷試験で求めるとよい。
【0038】
また、後段誘導子12bでは、過大な電磁攪拌力が作用しないよう、電力密度Pebを小さく押さえ、ゆっくりと昇温させ、また、必要な攪拌時間を与えることが必要であり、このため、電力密度Pebを正確に設定することが好ましい。この電力密度Pebの設定は数式6を用いて行うことができる。
【0039】
ここで、インピーダンス比β及び後段誘導子12bのコイル巻数Nb が、前段誘導子12aの出口温度及び後段誘導子12bによる電力密度Pebに及ぼす影響をグラフ化して示すと、図8、図9のようになる。図8、図9において、縦軸に示すuは、最終温度Te に対する出口温度Ti の比率、すなわち、
u=Ti /Te
であり、また、Peb′は、全電力P0 を1巻のコイルで供給する場合の電力密度に対する後段誘導子12bによる電力密度Pebの比率、すなわち、
eb′=Peb/(P0 /πDF)
である。図8は前段誘導子12aのコイル巻数Na を1、図9はコイル巻数Na を2とした場合のものである。
【0040】
図8、図9から分かるように、前段誘導子12aのコイル巻数Na を小さくし、後段誘導子12bのコイル巻数Nb を大きくすることで、前段誘導子12aの電力配分を大きくして前段誘導子の出口温度Ti を高めることができ、また、後段誘導子12bによる電力密度Pebを低くすることができる。また、インピーダンス比βを大きくすることでも同様な傾向が得られる。従って、コイル巻数Na 、Nb やインピーダンス比βの調整により所望の昇温特性を得ることができる。特に、コイル巻数Nb を大きくした場合には電力密度Pebが小さくなり、且つその変化が少なくなるので、電力密度Pebをこまかく設定でき、好ましい。
【0041】
上記した数式2〜7で使用したインピーダンス比βは、
β=(後段誘導子のコイル1巻き当たりのインピーダンスZb )/(前段誘導子のコイル1巻き当たりのインピーダンスZa
とした。
【0042】
ここで、加熱対象を含んだコイルの等価回路は、図10に示すように表すことができ、従って、インピーダンスZa 、Zb は、コイル自体のインピーダンス(Rc 、Xc )、加熱対象のインピーダンス(R、X)、コイルと加熱対象との間の空隙のインピーダンス(Xg )を含んだものとなる。このうち、加熱対象のインピーダンス(R、X)はそれぞれ加熱対象の抵抗率の平方根(√ρ)に比例しており、且つその抵抗率ρは、加熱対象(一次被覆層11)が固相の場合よりも液相の場合の方がかなり大きいので、他のファクタを同じとすれば、後段誘導子12bにおけるインピーダンスZb が前段誘導子12aにおけるインピーダンスZa よりもかなり大きく、従って、インピーダンス比βは、1よりも少し大きい値となる。空隙のインピーダンス(Xg )は、空隙の面積に比例しており、この空隙の面積は適宜変更できるので、この空隙の面積を変えることでインピーダンス比βを自在に変えることができる。例えば、図7に示すように、前段誘導子12aよりも後段誘導子12bの空隙を大きくすることで、インピーダンス比βを大きく、例えば、4〜6にもできる。ただし、空隙の面積を大きくすると、加熱効率が低下するので、その効率も考慮して空隙の幅を定めることとなる。更に、コイル幅FA 、FB を変えてもインピーダンスは変化する(コイル幅を小さくすると、インピーダンスは大となる)ので、コイル幅FA 、FB を変えることによってもインピーダンス比βを調整できる。従って、前記したように、前段誘導子12a、後段誘導子12bの巻数やコイル幅等の設定時には、このインピーダンス比βを適当な値となるように調整することで、所望の昇温特性を得るように設定することができる。
【0043】
【実施例】
図7に示すように、管体からなる母材10に対する誘導子12として、前段誘導子12aと後段誘導子12bに分割し、且つ共通の電源装置35に並列に接続する構成のものを、母材10のサイズを、外径52mm、肉厚6mmとし、数式2〜7を基にして設計し、次の仕様を得た。
Figure 0003846761
【0044】
この仕様の誘導子12では、インピーダンス比β=6であり、従って、図9において、この誘導子12によるu(=Ti /T0 )及びPeb′[=Peb/(P0 /πDF)]は、それぞれ点P、Qで示す値となる。
【0045】
この誘導子12Aによる溶融処理対象として、一次被覆層材質をSFNi4(JIS H8303に規定のNi基自溶性合金。融点:1000±20°C)とし、その厚さdをそれぞれ1、2、3、4、5mmとした試料1、2、3、4、5を用意した。そして、各試料に対して誘導子12Aを用い、且つ加工速度(誘導子12Aに対する試料の移動速度)を5mm/sとし、且つ表1に示す加工条件で溶融処理を行った。なお、被覆層11の固有抵抗ρは110μΩ−cmであるので、電流浸透深さδは、数式1から計算すると、周波数9.8kHzの時、δ=5.33mm、周波数4.5kHzの時、δ=7.86mmとなる。この値から、被膜厚さdに対する倍率(δ/d)を求めたので、その値も表1に記載する。
【0046】
各溶融処理時における各温度を測定し、また、後段誘導子12bに対向する試料の単位表面積当たりの電力密度Pebを計算で求め、その結果も表1に記載する。更に、各溶融処理後の被覆層表面品質を目視検査し、その結果も表1に記載する。表1の品質欄における「○」は表面が平滑で良好な外観を呈していた場合を、「×」は表面に凹み或いはくびれが生じていた場合を示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003846761
【0048】
表1から良く分かるように、いずれの試料に対する溶融処理においても、前段誘導子出口温度Ti は、融点にきわめて近い温度となっており、従って、コイル巻数2の短い前段誘導子12aによって一次被覆層11を敏速に加熱、昇温させることができ、その後ろの後段誘導子12bにおいて小さい電力密度で被覆層を加熱し、溶融処理している。このため、溶融部に作用する電磁攪拌力が小さくなり、良好な処理が行われている(テスト1〜3、6〜8)。しかしながら、テスト4、5では小さい電力密度で被覆層を加熱し、溶融処理しているにもかかわらず、表面品質が悪くなっている。これは、電流浸透深さの被覆層厚さに対する倍率が小さいため(1.33及び1.07)、表層の電流密度が高くなり、大きい電磁攪拌力が作用しているためと思われる。かくして、電流浸透深さの被覆層厚さに対する倍率を大きく(例えば、1.5倍以上に)することにより、電磁攪拌力を小さくして、表面品質の低下を防止できることが分かる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本願第一の発明は、少なくとも一次被覆層を誘導加熱して溶融させている時における誘導電流の電流浸透深さを一次被覆層の厚さの1.5倍以上とすることにより、一次被覆層の誘導電流密度を、特に表層の誘導電流密度を小さくでき、これによって溶融層に作用する電磁攪拌力を小さくして被覆層の凹み、くびれ等の発生を防止でき、良好な品質の金属被覆層を形成できるという効果を有している。
【0050】
また、本願第二の発明は、一次被覆層を誘導加熱によって再溶融処理するための誘導子を、移動方向に対して前段誘導子と後段誘導子に電気的に分割し、前段誘導子を高電力密度、後段誘導子を低電力密度とすることで、一次被覆層を前段誘導子で融点ないしは融点近くまで敏速に昇温させ、後段誘導子では、溶融部に作用する電磁攪拌力を小さく押さえた状態で溶融処理することができ、良好な品質の金属被覆層を比較的短い誘導子を用いて、或いは処理速度を高くして、形成できるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】母材表面の一次被覆層を誘導子で誘導加熱する状態を説明する概略断面図及びその一次被覆層及び母材内における誘導電流密度分布を示すグラフ
【図2】一般的な被加熱材を誘導子で誘導加熱する状態を説明する概略断面図及びその被加熱材内における誘導電流密度分布を示すグラフ
【図3】管体からなる母材表面の一次被覆層を誘導子で加熱する状態を説明する概略断面図
【図4】図3に示す状態で一次被覆層を加熱する際の昇温特性を示すグラフ
【図5】管体からなる母材表面の一次被覆層を誘導子で且つ本願第二の発明を適用して加熱する状態を説明する概略断面図
【図6】図5に示す状態で一次被覆層を加熱する際の昇温特性を示すグラフ
【図7】管体からなる母材表面の一次被覆層を、共通の電源装置に接続された前段誘導子及び後段誘導子で加熱する状態を説明する概略断面図
【図8】図7に示す構成の前段誘導子、後段誘導子を用いた場合の、且つ前段誘導子の巻数を1とした場合の、後段誘導子の巻数Nb に対するu、Peb′の関係を示すグラフ
【図9】図7に示す構成の前段誘導子、後段誘導子を用いた場合の、且つ前段誘導子の巻数を2とした場合の、後段誘導子の巻数Nb に対するu、Peb′の関係を示すグラフ
【図10】図7に示す構成の前段誘導子、後段誘導子のインピーダンスを説明する回路図
【図11】従来の方法で管体外周の被覆層を処理する状態を示す概略側面図
【図12】図11とは異なる従来の方法で管体外周の被覆層を処理する状態を示す概略側面図
【符号の説明】
10 母材(管体)
11 一次被覆層
12 誘導子
12a 前段誘導子
12b 後段誘導子
35 電源装置

Claims (4)

  1. 母材の表面に、金属材料の一次被覆層を溶射法等を用いて形成し、その後、前記一次被覆層の小領域を局部的に誘導子を用いて誘導加熱し、前記一次被覆層を溶融させると共にその誘導子を前記一次被覆層に沿って相対的に移動させることによってその溶融部を一次被覆層に沿って移動させてゆき、前記溶融部に作用する電磁攪拌力を利用して、前記一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層とする方法において、少なくとも前記一次被覆層の溶融時における誘導電流の電流浸透深さを前記一次被覆層の厚さの1.5倍以上とすることを特徴とする金属被覆層の形成方法。
  2. 母材の表面に、金属材料の一次被覆層を溶射法等を用いて形成し、その後、前記一次被覆層の小領域を局部的に誘導子を用いて誘導加熱し、前記一次被覆層を溶融させると共にその誘導子を前記一次被覆層に沿って相対的に移動させることによってその溶融部を一次被覆層に沿って移動させてゆき、前記溶融部に作用する電磁攪拌力を利用して、前記一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層とする方法において、前記誘導子を、移動方向に対して前段誘導子と後段誘導子に電気的に分割し、その後段誘導子による誘導電流の電流浸透深さを前記一次被覆層厚さの1.5倍以上とし、更に、前記前段誘導子と後段誘導子が加熱対象に対して付与する電力配分を、前記前段誘導子で前記一次被覆層をその融点ないしは融点近くまで昇温させ、融点ないしは融点近くまで昇温した一次被覆層を前記後段誘導子で溶融処理することができるように設定し、更に、前記前段誘導子が加熱対象に供給する単位表面積当たりの電力密度を、一次被覆層の敏速な加熱が可能なよう高く設定し、前記後段誘導子が加熱対象に供給する単位表面積当たりの電力密度を、溶融した一次被覆層に加わる電磁攪拌力が許容値以下となるように低く設定したことを特徴とする金属被覆層の形成方法。
  3. 前記前段誘導子と後段誘導子を共通の電源装置に対して並列に接続し、それぞれのコイル巻数、コイル幅、前、後段誘導子に対面する加熱対象のインピーダンス比等を調整することで、前、後段誘導子に対する所望の電力配分及び電力密度を得ることを特徴とする請求項2記載の金属被覆層の形成方法。
  4. 前記母材が金属管であり、一次被覆層がその金属管の外周面に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の金属被覆層の形成方法。
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