JP2001003133A - 水素吸蔵合金およびその製造方法 - Google Patents

水素吸蔵合金およびその製造方法

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JP2001003133A JP11174384A JP17438499A JP2001003133A JP 2001003133 A JP2001003133 A JP 2001003133A JP 11174384 A JP11174384 A JP 11174384A JP 17438499 A JP17438499 A JP 17438499A JP 2001003133 A JP2001003133 A JP 2001003133A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性化が容易で、大きな水素吸放出量と良好
なプラトー領域の平坦性を有し、急冷処理を必要とせ
ず、均質化処理に高真空を必要としない低コストの水素
吸蔵合金を提供する。 【解決手段】 一般式がV100−x−y−zTi
Mnで表され、5≦x≦15、5≦y≦25、
0.5≦z<5の範囲にあることを特徴とする水素吸蔵
合金およびその水素吸蔵合金の組成となる原料を溶解、
固化してインゴットを製造し、該インゴットを600〜
1400℃で1〜100時間保持する均質化処理を施す
ことを特徴とした水素吸蔵合金の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水素を吸蔵・放出す
る水素吸蔵合金およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金は大量の水素を可逆的に吸
蔵・放出できるため、エネルギー媒体としての水素の貯
蔵、輸送用材料として利用が期待されている。その一つ
として自動車など車載用燃料電池システム、家庭用など
民生用燃料電池システムの燃料である水素の貯蔵用材料
としての利用がある。また、反応熱を利用したヒートポ
ンプ等の熱利用システムの材料などとして幅広い用途へ
の利用が期待されている。
【0003】水素吸蔵合金には、LaNi等のAB
型合金、ZrMn等のAB型ラーベス合金、TiF
e等のAB型合金、MgNi等のAB型合金、Ti
−V等の固溶体型合金などが知られている。
【0004】Ti−V等のBCC固溶体型合金は、2水
素化物まで水素を吸蔵する。常温、常圧付近で放出でき
る水素は、吸蔵できる水素の半分の1水素化物までであ
る。それでも1水素化物までしか水素を吸蔵できない他
のAB型合金等に比べ大量の水素を可逆的に吸蔵・放
出できることから、水素吸放出量が大きい水素吸蔵合金
として実用化が望まれている。
【0005】水素吸蔵合金に求められる特性は、利用で
きる水素吸放出量が大きいこと、活性化が容易であるこ
と、プラトー領域の平坦性が良好であることなどが挙げ
られる。
【0006】Ti−V合金は、活性化に高温、高水素圧
を必要とすることや、Ti濃度分布により、プラトー領
域の平坦性に乏しいなどの欠点を持つ。また、実用的に
はさらに大きな水素吸放出量が必要とされている。活性
化条件を緩和する方法としてCr、Mn等のVより5%
以上原子半径の小さな元素の添加が有効であるとされて
いる。プラトー領域の平坦化のためには高温での熱処理
によりTi濃度分布を平坦にする均質化が有効であると
されている。
【0007】従来技術1として、特開平10−1102
25号公報には、V−Ti−Cr三元系合金BCC相の
中にスピノーダル分解により形成した微細構造を有し、
この微細構造の制御により活性化温度を低下させ、水素
吸放出量を増大させた水素吸蔵合金とその製造方法が開
示されている。
【0008】また、従来技術2として、特開平7−25
2560号公報には、一般式Ti100−x−y−z
で表され、AがV、Nb、Mo、Ta、W
の一種以上、BがZr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu
の二種以上からなる、体心立方構造を有する5元素以上
からなり、0<z<20の範囲でのBの元素の添加によ
りプラトー領域の平坦性が改善し、平衡解離圧特性の制
御ができる水素吸蔵合金が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術1は、プラトー領域の平坦性に劣り、実用的な圧力範
囲1.0〜0.1MPaでの水素放出量が2.0wt%
程度と低い問題点がある。
【0010】プラトー領域の平坦性を改善するために均
質化処理が考えられるが、V系合金は非常に酸化されや
すいので、この均質化処理に高真空が必要である問題点
がある。
【0011】また従来技術2は、体心立方晶単相とする
ために1200℃から1400℃の熱処理を施した後、
直ちに水冷処理により急冷する必要があり、製造工程が
複雑になる問題点がある。
【0012】本発明は上記課題を解決したもので、活性
化が容易で、大きな水素吸放出量と良好なプラトー領域
の平坦性を有し、急冷処理を必要とせず、均質化処理に
高真空を必要としない低コストの水素吸蔵合金およびそ
の製造方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、本発明の請求項1において講じた技術的手段
(以下、第1の技術的手段と称する。)は、一般式がV
100−x−y−zTiCrMnで表され、5≦
x≦15、5≦y≦25、0.5≦z<5の範囲にある
ことを特徴とする水素吸蔵合金である。
【0014】上記第1の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0015】すなわち、Mnを添加することにより水素
との反応性が向上するので、活性化を容易にでき、水素
吸放出量を大きくできる。また結晶相を単相にしなくて
もよいので、急冷処理を必要とせず低コストな水素吸蔵
合金ができる。さらにMnの添加により酸化しやすさが
軽減できるので、均質化処理に高真空を必要とせずにプ
ラトー領域の平坦性が良好な水素吸蔵合金ができる。均
質化処理に高真空を必要としないため、工程や設備が簡
単になるので低コストな水素吸蔵合金ができる。
【0016】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技
術的手段と称する。)は、前記一般式におけるx、y、
zの合計が、x+y+z≦20の範囲にあることを特徴
とする請求項1記載の水素吸蔵合金である。
【0017】上記第2の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0018】すなわち、上記の組成範囲にあることによ
り水素吸放出量を大きくできる。
【0019】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項3において講じた技術的手段(以下、第3の技
術的手段と称する。)は、請求項1、2のいずれかに記
載の水素吸蔵合金の組成となる原料を溶解、固化してイ
ンゴットを製造し、該インゴットを600〜1400℃
で1〜100時間保持する均質化処理を施すことを特徴
とした水素吸蔵合金の製造方法である。
【0020】上記第3の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0021】すなわち、上記の均質化処理を施すことに
よりTi濃度分布が均一化できるので、プラトー領域の
平坦性が良好な水素吸蔵合金ができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明者は、Vより%原子半径が
5%以上小さい元素であるMnを添加し、組成と諸特性
の関係を詳細に検討した結果、特定範囲の組成におい
て、活性化が容易になると同時にプラトー領域の平坦性
や水素吸放出量においても顕著な効果を確認し、本発明
を完成させたものである。また、本発明者は、研究の過
程で、この組成の水素吸蔵合金の場合、熱処理によりT
i濃度分布を均一化する均質化処理に高真空を必要とし
ないことを見いだした。
【0023】本発明の水素吸蔵合金は、一般式がV
100−x−y−zTiCrMnで表され、5≦
x≦15、5≦y≦25、0.5≦z<5の範囲にある
ことを特徴とする。
【0024】Ti及びCr濃度により水素の解離圧の調
整が可能である。Ti濃度が増加すると解離圧が低下
し、逆に低下すると解離圧が上昇する。Ti濃度が5原
子%未満の範囲では、水素との反応速度が遅い、すなわ
ち、水素との反応性に劣り、水素吸蔵量が低下する。ま
た、この範囲では使用温度を低温とした場合でも解離圧
が実用範囲より高く、解離圧を下げるためにはCr濃度
をさらに下げる必要がある。ところが、後述するように
Cr濃度が5原子%を下回ると、初期活性化ならびに再
活性化特性が極端に低下することとなり、実用には適さ
ない。
【0025】Ti濃度の増加にともないプラトー領域の
傾斜の原因であるTi濃度分布が助長されるためプラト
ー領域の平坦性は低下する。x=15を超える場合はプ
ラトー領域の平坦性に劣り、実用化できるものではな
い。
【0026】CrもTi同様に濃度による水素の解離圧
の調整が可能である。Cr濃度が増加すると解離圧が上
昇し、Cr濃度が低下すると解離圧が低下する。前述の
ように活性化を容易にすることも、Crを添加する理由
である。Cr濃度が5%未満の場合、活性化に高温が必
要になり、実用には適さない。解離圧を実用範囲に調整
する場合、Ti濃度の上限からCr濃度の上限は25原
子%であり、これ以上では解離圧が高くなりすぎるため
実用には適さない。
【0027】以上のように、x、yは請求範囲おいて、
合金が使用される温度、圧力範囲に合わせ適宜決定され
る。
【0028】Mnはプラトー領域の平坦性の向上、水素
吸放出量の増加、および活性化を容易にするため添加す
る。その最適な範囲は0.5≦z<5である。Mn濃度
が0.5原子%未満では効果がみられず、5原子%以上
では平坦性、放出量ともに低下する。
【0029】活性化を容易にするMnを添加すること
で、水素との反応性が向上し、水素吸蔵量が増加したと
考えられる。また、プラトー領域が平坦化されることか
ら、プラトー領域の低圧部において放出される水素がよ
り不安定になることで、一定の圧力範囲で放出される水
素量が増加したと考えられる。
【0030】本発明の水素吸蔵合金において、V−ri
chな組成における水素吸蔵量および水素放出量が若干
増加する傾向があり、活性化特性の低下や水素解離圧調
整範囲が狭くなる欠点があるものの、水素吸放出量の点
からはx+y+z≦20の範囲が最適である。
【0031】V−Ti−Cr系合金は熱処理による均質
化処理によりプラトー領域の平坦性を向上することがで
きる。熱処理温度は600℃以下ではプラトー領域の平
坦化の効果がみられず、1400℃以上ではMnの蒸発
が激しく、目標組成からの狂いが大きくなるので600
〜1400℃の範囲にするのが好ましい。
【0032】均質化処理の保持時間については所望のプ
ラトー領域の平坦性が得られるように適宜選択される
が、工業的な応用を考えた場合、1〜100時間が好ま
しい。
【0033】本発明の水素吸蔵合金は結晶相を単相にす
る必要がないので、均質化処理の冷却速度は徐冷で十分
である。高温の水素吸蔵合金を急冷するには特別の装置
と工程が必要であるが、本発明の水素吸蔵合金ではその
必要がないので、製造が容易になり低コスト化される。
もちろん、均質化の観点から急冷の方が好ましいので、
急冷してもかまわない。
【0034】以下、実施例を示し、本発明の特徴とする
ところを明確にする。
【0035】(実施例1)水素吸蔵合金の組成が原子%
でV70−zTi10Cr20Mn、z=1.05に
なるように市販のV、Ti、Cr、Mnを秤量し、アー
ク溶解法により溶解し、10gのインゴットを得た。こ
のインゴットをステンレス製乳鉢等を用いて5〜10m
mの粗粉砕した。この粗粉砕物を反応容器に入れ、ロー
タリーポンプによる真空排気を行いながら400℃で3
0分加熱した。その後、3MPaの水素ガスを反応容器
に導入後5分間保持し、室温まで放冷し水素化し初期活
性化処理した。
【0036】水素化した粗粉砕物は、反応容器内の水素
圧を0.5MPaまで排気した後、空気中に取り出し、
数100μm程度の粒径まで乳鉢を用い粉砕した。
【0037】製造された水素吸蔵合金の水素吸蔵放出特
性は、ジーベルツ装置を用いて、JIS−H−7201
「水素吸蔵合金の圧力-組成等温線の測定方法」により
評価した。
【0038】粉末試料は粉砕工程ですでに水素化されて
いるが、空気中での粉砕中に酸化膜の生成により水素に
対する活性は失われ、真空排気中で試料を加熱する再活
性化が必要であり、この加熱温度から活性化特性を評価
した。真空排気中で試料を加熱することにより、水素吸
蔵合金内に吸蔵されている水素が放出される。この水素
が表面の酸化膜を還元するため初期活性化よりも低温で
再活性化が可能になると考えられる。この水素が放出さ
れる温度を活性化温度とした。
【0039】(比較例1)水素吸蔵合金の組成が原子%
でV70−zTi10Cr20Mn、z=0になるよ
うに市販のV、Ti、Cr、Mnを秤量し原料とした。
すなわち、Mnを含有しない組成である。この原料を用
いて、実施例1と同じ方法で水素吸蔵合金を製造した。
その評価も実施例1と同じ方法で行った。
【0040】(比較例2)水素吸蔵合金の組成が原子%
でV70−zTi10Cr20Mn、z=5.00に
なるように市販のV、Ti、Cr、Mnを秤量し原料と
した。この原料を用いて、実施例1と同じ方法で水素吸
蔵合金を製造した。その評価も実施例1と同じ方法で行
った。
【0041】(評価結果1)図1は、実施例1および比
較例1、2の20℃における圧力−組成等温線(20℃
放出曲線)図である。横軸は水素吸蔵合金中の水素濃度
(wt%)である。縦軸は水素吸蔵合金が置かれて
いる雰囲気の水素圧P(MPa)である。400℃、3
時間の真空排気により脱水素化処理を行い、原点とし
た。
【0042】比較例1に比べ、実施例1のz=1.05
の水素吸蔵合金ではプラトー領域の平坦性が向上し、実
用的な圧力範囲1.0〜0.1MPaでの水素放出量が
増加していることがわかる。比較例2のz=5.00の
水素吸蔵合金では実施例1のz=1.05の水素吸蔵合
金と比較して、プラトー領域の平坦性、水素放出量とも
に低下している。
【0043】室温ではどの試料も約1.0MPaの水素
ガス導入後、24時間以上経過しても、水素吸蔵による
圧力変化はみられなかった。Mnを添加していない比較
例1では再活性化に200℃の加熱が必要であったのに
対し、実施例1では170℃で再活性化し活性化特性が
向上していることがわかる。なお、比較例2では150
℃で再活性化し活性化特性が向上しているが、上記に示
したようにプラトー領域の平坦性、水素放出量ともに低
下する欠点がある。
【0044】(実施例2)水素吸蔵合金の組成が原子%
でV70−zTi10Cr20Mn、z=1.05に
なるように市販のV、Ti、Cr、Mnを秤量し原料と
した。この組成は実施例1と同じである。この原料をア
ーク溶解法により溶解しインゴットを得た。
【0045】このインゴットを真空中(油拡散ポンプ排
気、約10−3Torrの真空度)、1000℃で24
時間保持し均質化処理を施した。昇温速度は600℃/
hで行い、降温は炉冷で行った。熱処理したインゴット
を実施例1の方法で粉砕し試料とした。すなわち、実施
例2は実施例1に均質化処理を付加したものである。
【0046】製造された水素吸蔵合金の活性化特性及び
水素吸蔵放出特性は、実施例1と同じ方法で評価した。
【0047】(比較例3)水素吸蔵合金の組成が原子%
でV70−zTi10Cr20Mn、z=0になるよ
うに市販のV、Ti、Cr、Mnを秤量し原料とした。
この組成は比較例1と同じであるこの原料を用いて実施
例2と同じ方法で水素吸蔵合金を製造し、均質化処理を
施した。すなわち、比較例3は比較例1に均質化処理を
付加したものである。
【0048】製造された水素吸蔵合金の活性化特性及び
水素吸蔵放出特性は、実施例1と同じ方法で評価した。
【0049】(評価結果2)V−Ti−Cr系合金のプ
ラトー領域の傾きは、Ti濃度分布に起因している。熱
処理によりTi濃度分布を均一化する均質化処理をする
ことでプラトー領域の平坦性が向上することが知られて
いる。均質化処理した試料の再活性化に必要な温度は、
熱処理前と変わらなかった。
【0050】図2は、実施例2および比較例3の20℃
における圧力−組成等温線(20℃放出曲線)図であ
る。横軸は水素吸蔵合金中の水素濃度C(wt%)で
ある。縦軸は水素吸蔵合金が置かれている雰囲気の水素
圧P(MPa)である。
【0051】実施例2では、均質化処理を施していない
実施例1に比べプラトー領域の平坦性が向上し、水素放
出量も増加した。一方比較例3では、均質化処理を施し
ていない比較例1に比べプラトー領域の平坦性、水素放
出量ともに低下した。
【0052】V系合金は非常に酸化しやすいため、高温
熱処理する場合の雰囲気を、特に酸素について厳格に制
御する必要がある。比較例3の結果については均質化処
理における試料の酸化の影響が考えられ、Mnを添加す
ることにより、酸化の影響を低減できることがわかり、
工業的な応用を考えた場合、均質化処理雰囲気を厳格に
制御する必要がなく有利である。
【0053】(実施例3)均質化処理を真空排気(1×
10−5Torr以下)した石英管にインゴットを真空
封管して行った以外は、実施例2と同じ条件水素吸蔵合
金を製造し、評価も同じ方法で行った。
【0054】(比較例4)均質化処理を真空排気(1×
10−5Torr以下)した石英管にインゴットを真空
封管して行った以外は、比較例3と同じ条件水素吸蔵合
金を製造し、評価も同じ方法で行った。
【0055】(評価結果3)図3は、実施例4および比
較例3の20℃における圧力−組成等温線(20℃放出
曲線)図である。横軸は水素吸蔵合金中の水素濃度C
(wt%)である。縦軸は水素吸蔵合金が置かれている
雰囲気の水素圧P(MPa)である。
【0056】実施例3では実施例2と同じ水素放出特性
をしめし、均質化処理時の真空度により水素放出特性の
変化はみられなかった。実施例1に比べると、プラトー
領域の平坦性が向上し、水素放出量も増加した。
【0057】比較例4を比較例1と比べると、高真空中
で均質化処理することによりプラトー領域の平坦性が向
上している。しかし、均質化処理による水素吸放出量の
向上は見られない。比較例4では、比較例3に比べてプ
ラトー領域の平坦性、水素放出量ともに大幅に向上し、
均質化処理時の真空度の影響が大きく、先の推論を証明
している。高真空による熱処理は、例えば真空封管が必
要になるなど工業上不利となる。
【0058】したがって、本発明の水素吸蔵合金は、酸
化の影響が比較的少なく真空度が低い均質化処理でもプ
ラトー領域の平坦性が向上でき、水素吸放出量を大きく
できるので、低コスト化でき工業上有利である。
【0059】また、いずれの熱処理においても冷却時は
炉冷しており、急冷しなくても大きな水素放出量で、良
好なプラトー領域の平坦性が実現できた。これは、本発
明の組成では、結晶相を単相にしなくても十分な特性が
得られることを示している。高温の合金材料を急冷する
ためには、特別の装置が必要になるため工業上不利とな
る。本発明は、急冷のための工程と装置が必要ないた
め、低コスト化でき工業上有利である。
【0060】以上の結果、V−Ti−Cr系合金にMn
を添加することで、プラトー領域の平坦性が向上し、水
素放出量が増大することがわかる。また、結晶相を単相
にする必要がないので、急冷処理を必要とせず、かつ均
質化処理に高真空を必要としないことがわかる。
【0061】次に本発明の請求範囲を明確にするため、
組成を変えた水素吸蔵合金について本発明例を、本発明
の範囲外の比較例と比較して説明する。
【0062】まず実施例3と同じ方法で作製した水素吸
蔵合金について、組成と圧力−組成等温線(60℃放出
曲線)におけるプラトー領域の平坦性、水素放出量、再
活性化温度の相関について調べた。なお、Mnはアーク
溶解、熱処理中に蒸発し、秤量値からズレるため分析値
を用いた。
【0063】圧力−組成等温線の測定は実施例1と同じ
方法で行った。なお、ここでは脱水素化は60℃で3時
間の真空排気を行った。プラトー領域の平坦性、水素放
出量は、以下の方法で数値化して表した。
【0064】図4は、代表的な水素吸蔵合金の圧力−組
成等温線図である。横軸は水素吸蔵合金中の水素濃度C
(wt%)である。縦軸は水素吸蔵合金が置かれてい
る雰囲気の水素圧P(MPa)である。
【0065】PとPは水素圧であり、ここではln
(P/P)=0.4の関係を互いに有する任意の水
素圧である。 CHaは水素圧P時の水素吸蔵合金中
の水素濃度であり、 CHbは水素圧P時の水素吸蔵
合金中の水素濃度である。ΔCは水素圧P時と水素
圧P時の水素吸蔵合金中の水素濃度差、すなわちΔC
=CHa−CHbである。
【0066】プラトー領域の平坦性は、 PとP
ln(P/P)=0.4の関係を保持したまま移動
したとき最大になるΔCであるでΔCHmax表され
る。この値が大きいほどプラトー領域の平坦性が良い。
【0067】水素圧の実用的な圧力範囲は1.0〜0.
1MPaである。 CH1.0MPaは水素圧1.0M
Pa時の水素吸蔵合金中の水素濃度であり、C
H0.1MPaは水素圧0.1MPa時の水素吸蔵合金
中の水素濃度である。 Ceffは実用的な圧力範囲
1.0〜0.1MPaの圧力変化における合金の水素濃
度変化、すなわちCeff=CH1.0MPa−C
H0.1MPaであり、水素放出量を表している。
【0068】表1に本発明例と比較例の、 Mn濃度と
ΔCHmax、Ceffの結果を示す。
【0069】
【表1】
【0070】図5は、表1のMn濃度とΔCHmax
effの相関を表した図である。横軸はMn濃度、縦
軸はΔCHmax、Ceffである。Mn濃度が0.5
原子%から効果が表れはじめ、Ceff、ΔCともに
3原子%付近で極大値をとることがわかる。
【0071】さらにMn濃度が増すと、5原子%を超え
る範囲では水素放出量が極端に低下する。以上からMn
濃度は0.5≦z<5.0の範囲が最適である。また、
脱水素化を400℃で3時間行い、1水素化物の水素ま
で完全に放出させた試料の20℃、3.3MPaでの水
素吸蔵量は、最大で3.8wt%に達した。
【0072】次に、 V85.5−xTiCr
12.5Mnの組成式でTi濃度xを変えて水素の解
離圧を試験した。表2に本発明例と比較例の、 Ti濃
度と水素の解離圧の結果を示す。
【0073】
【表2】
【0074】図6は、V85.5−xTiCr
12.5Mnの60℃におけるTi濃度と水素の解離
圧の関係を示した図である。横軸はTi濃度、縦軸は水
素の解離圧である。Ti濃度が5原子%未満の範囲で
は、使用温度を低温とした場合でも、解離圧が実用範囲
より高く、解離圧を下げるためにはCr濃度をさらに下
げる必要がある。ところが、後述にあるようにCr濃度
が5原子%を下回ると、初期活性化ならびに再活性化特
性が極端に低下することとなり、実用には適さない。
【0075】Ti濃度の増加にともないプラトー領域の
平坦性は低下する。これはプラトー領域の傾斜の原因で
あるTi濃度分布が助長されるためと考えられる。ま
た、x=15の合金まではMn濃度を増加することによ
りプラトー領域の平坦性は保たれた。 x=17.5の
合金では再活性化に280℃の加熱が必要であり、実用
には適さない。以上の結果から、Ti濃度は実用の観点
から5≦x≦15が最適である。
【0076】Cr濃度変化に対してプラトー領域の平坦
性、水素放出量は変化せず、Cr濃度によりこれら特性
に影響を与えずに解離圧の調整が可能である。但し、C
r濃度5at%未満の合金では、初期活性化に450℃
以上の高温が必要であったり、再活性化温度が高く、数
サイクルの水素吸蔵・放出を繰り返さなければ、平衡圧
に到達するのに長時間を要し、十分な反応速度が得られ
ない。このCr濃度の下限値とTi濃度範囲から、Cr
濃度は5≦y≦25が最適である。
【0077】
【発明の効果】以上のように、本発明は、一般式がV
100−x−y−zTiCrMnで表され、5≦
x≦15、5≦y≦25、0.5≦z<5の範囲にある
ことを特徴とする水素吸蔵合金およびこの組成となる水
素吸蔵合金原料を溶解、固化してインゴットを製造し、
該インゴットを600〜1400℃で1〜100時間保
持する均質化処理を施すことを特徴とした水素吸蔵合金
の製造方法であるので、活性化が容易で、大きな水素吸
放出量と良好なプラトー領域の平坦性を有し、急冷処理
を必要とせず、均質化処理に高真空を必要としない低コ
ストの水素吸蔵合金ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1、2の20℃における
圧力−組成等温線(20℃放出曲線)図
【図2】実施例2および比較例3の20℃における圧力
−組成等温線(20℃放出曲線)図
【図3】実施例4および比較例3の20℃における圧力
−組成等温線(20℃放出曲線)図
【図4】代表的な水素吸蔵合金の圧力−組成等温線図
【図5】Mn濃度とΔCHmax、Ceffの相関を表
した図
【図6】V85.5−xTiCr12.5Mnの6
0℃におけるTi濃度と水素の解離圧の関係を示した図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式がV100−x−y−zTi
    Mnで表され、5≦x≦15、5≦y≦25、
    0.5≦z<5の範囲にあることを特徴とする水素吸蔵
    合金。
  2. 【請求項2】 前記一般式におけるx、y、zの合計
    が、x+y+z≦20の範囲にあることを特徴とする請
    求項1記載の水素吸蔵合金。
  3. 【請求項3】 請求項1、2のいずれかに記載の水素吸
    蔵合金の組成となる原料を溶解、固化してインゴットを
    製造し、該インゴットを600〜1400℃で1〜10
    0時間保持する均質化処理を施すことを特徴とした水素
    吸蔵合金の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114427045A (zh) * 2021-12-10 2022-05-03 厚普清洁能源股份有限公司 一种高均匀性钒钛基储氢合金及其制备方法

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