JP2001002474A - 窒化アルミニウム焼結体とその製造方法、及び用途 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体とその製造方法、及び用途

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JP2001002474A
JP2001002474A JP11171175A JP17117599A JP2001002474A JP 2001002474 A JP2001002474 A JP 2001002474A JP 11171175 A JP11171175 A JP 11171175A JP 17117599 A JP17117599 A JP 17117599A JP 2001002474 A JP2001002474 A JP 2001002474A
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Yasuto Fushii
康人 伏井
Katsuki Yumoto
勝喜 湯本
Yutaka Hirashima
豊 平島
Nobuyuki Yoshino
信行 吉野
Yoshihiko Tsujimura
好彦 辻村
Katsunori Terano
克典 寺野
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱伝導性、高靱性、高強度の窒化アルミニウム
焼結体を提供すること。また、その窒化アルミニウム焼
結体を用いた耐ヒートサイクル性に優れた回路基板を提
供すること。更には、加工性に優れた治具を提供するこ
と。 【解決手段】IF法による破壊靱性K1Cが3.5m・M
Pa1/2以上、レーザーフラッシュ法による熱伝導率が
150W/mK以上、3点曲げ抗折強度が400MPa
以上であることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。
この窒化アルミニウム焼結体を用いて構成された回路基
板及び治具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
焼結体とその製造方法、及び用途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、パワーモジュール等に利用される
半導体装置用回路基板として、アルミナ、ベリリア、窒
化ケイ素、窒化アルミニウム等のセラミックスが利用さ
れてきた。その材質は、熱伝導率やコスト、安全性等の
基準で選択され、大電力を用いるためにCuやAl等の
金属回路や放熱板を厚付けして用いられてきた。これら
は、樹脂基板や樹脂層を絶縁材とする金属基板に対し、
高い絶縁性が安定して得られる点が特長である。これら
のセラミックスのうちで、窒化アルミニウムは、高熱伝
導率、高絶縁性、無害性等の点で好適な材料である。
【0003】一方、最近では、これらの特性に加えて、
耐プラズマ性やシリコンに近い熱膨張係数等にも注目さ
れており、半導体製造装置の各種治具等としても使用さ
れようになってきた。この使用形態も、単体、金属ヒー
ターの埋め込み、金属への固定等種々の態様がある。
【0004】ところで、窒化アルミニウム焼結体は、必
要とする純度、熱伝導率等の特性によって、種々の助剤
や焼成条件が選択される。しかし、靱性は、殆ど差がな
く、IF法で測定されたK1Cで2.2〜2.8m・MP
1/2程度であり、窒化ケイ素焼結体に比べて低いこと
が、用途が拡大しにくい一因になっている。
【0005】例えば、窒化アルミニウム焼結体に金属を
接合したり、金属と組み合わせて使用すると、熱膨張係
数の差に起因する熱応力によって、容易にクラックが発
生したり、単体でも加工時にワレ、カケやクラックが生
じ易いので、信頼性の点では、窒化ケイ素焼結体に劣る
ことがあり、この改善の要求がある。
【0006】窒化ケイ素焼結体については、高靱性材料
に変更する試みや、原料にSiやSiO2を添加して、
焼結体中に柱状晶を析出させて高強度・高靱性化を図る
技術が提案されてきた。しかしながら、現状では、窒化
ケイ素を用いて、窒化アルミニウム並の高熱伝導品を工
業的規模で製造する技術はなく、逆に窒化アルミニウム
焼結体にSiやSiO2を添加して高強度・高靱性化を
しようとしても十分な改善はできなく、また熱伝導率も
低下してしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み
てなされたものであり、本発明の目的は、窒化アルミニ
ウム粉末原料の粒度特性を最適化することによって、熱
伝導性、靱性、強度のバランスがとれ、従来にない高靱
性な窒化アルミニウム焼結体を提供することである。
【0008】更に、本発明の目的は、そのような特性を
いかした回路基板及び治具を提供することであり、また
上記高靱性窒化アルミニウム焼結体を容易に製造するこ
とができる製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以
下を要旨とするものである。 (請求項1)IF法による破壊靱性K1Cが3.5m・M
Pa1/2以上、レーザーフラッシュ法による熱伝導率が
150W/mK以上、3点曲げ抗折強度が400MPa
以上であることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。 (請求項2)全酸素量が3.0重量%以下、窒化アルミ
ニウム粒子の粒径が1〜100μmで、しかも30μm
以上の粗大粒子と3μm以下の微細粒子の両方が含まれ
ていることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウ
ム焼結体。 (請求項3)助剤相が実質的に二粒子界面にも分布して
いることを特徴とする請求項1又は2記載の窒化アルミ
ニウム焼結体。 (請求項4)助剤相が、Y23・Al23を含んでなる
ことを特徴とする請求項3記載の焼結体。
【0010】(請求項5)請求項1〜4のいずれかに記
載の窒化アルミニウム焼結体からなることを特徴とする
窒化アルミニウム基板。
【0011】(請求項6)請求項1〜4のいずれかに記
載の窒化アルミニウム焼結体からなることを特徴とする
治具。
【0012】(請求項7)請求項5に記載された窒化ア
ルミニウム基板の一方の面に回路、他方の面に放熱板が
形成されてなることを特徴とする回路基板。
【0013】(請求項8)窒化アルミニウム粉末と助剤
との混合粉末を成形後、非酸化性雰囲気下で焼結するに
あたり、上記窒化アルミニウム粉末が、レーザー回折散
乱法で測定された100μm以上の粗大粒子を1〜10
重量%と、1μm以下の微粒子を10〜50重量%とを含
んでなるものであることを特徴とする窒化アルミニウム
焼結体の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明について
説明する。
【0015】本発明の窒化アルミニウム焼結体は、S
i、SiO2のような熱伝導率を劣化させる添加物の使
用や、SiC、高融点金属等の電気的特性(絶縁性や誘
電率)を劣化させる成分との複合化を行うことなしに、
基本的にはモノリシック構造からなり、その微構造制御
を行って高靱性化した点が特徴である。従って、本発明
によれば、窒化アルミニウム焼結体の熱的、電気的特性
を保ちながら、強度、靱性等の機械的特性を改善するこ
とができる。
【0016】本発明の窒化アルミニウム焼結体の要件
は、IF法による破壊靱性K1Cが3.5m・MPa1/2
以上(条件1)、レーザーフラッシュ法による熱伝導率
が150W/mK以上(条件2)、3点曲げ抗折強度が
400MPa以上(条件3)である。
【0017】破壊靱性の測定方法にはいくつかあるが、
本発明においては、IF法の測定によるものとする。こ
れは、研磨したセラミックス面に圧子を打ち込んで、発
生したクラック長を測定するものであり、破壊靱性の測
定方法としてはかなり汎用的に用いられている。
【0018】従来の窒化アルミニウム焼結体の破壊靱性
値は、2.2〜2.8m・MPa1/ 2程度であるが、一
部の文献値等で3m・MPa1/2程度の値も示されてい
る。本発明では、これらの値よりも更に十分に高い、
3.5m・MPa1/2以上の靱性値を有するものであ
る。靱性値が3.5m・MPa1/2未満では、従来品と
比べて、上記ワレ、カケやクラック発生への改善効果を
十分に達成することができない。
【0019】本発明における熱伝導率は、レーザーフラ
ッシュ法の測定によるものとする。これは、実際には熱
拡散率を測定するが、高熱伝導性セラミックスの熱伝導
率測定方法として慣用されている。通常の窒化アルミニ
ウムの熱伝導率は、80〜220W/mKであるが、高
熱伝導部材では、150W/mK以上で使用されること
が多いため、本発明では、150W/mK以上を第2の
条件とした。窒化アルミニウムの熱伝導率は、焼結体中
の酸素量等によって著しく影響されので、全酸素量は
3.0重量%以下、特に2.8重量%以下、更には2.
5重量%以下であることが好ましい。
【0020】本発明の窒化アルミニウム焼結体の第3の
条件は、3点曲げ抗折強度が400MPa以上であると
いうことである。工業的に製造される窒化アルミニウム
の抗折強度は、300〜400MPaの範囲にあり、4
00MPaをこえるものは、広く普及しているとは言え
ない。これは、従来技術が、非常に特殊な焼結方法を用
いたり、鏡面研磨した小さな試験片にしか適用できない
からであり、この点でも新しい技術の提案が待たれてい
た。本発明者らは、モノリシック窒化アルミニウムの微
構造を鋭意検討し、この問題を解決したものである。以
下、その詳細を説明する。
【0021】本発明の窒化アルミニウム焼結体にあって
は、窒化アルミニウム粒子の粒径が1〜100μmであ
って、しかも30μm以上の粗大粒子と3μm以下の微
細粒子の両方が含まれていることである。粒径が100
μmをこえる粗大粒子が含まれていると、強度が低下
し、また1μm以下の微細粒子が残留していると、十分
な熱伝導率が得られなくなる。
【0022】また、粒度分布が狭い均一な微構造を持っ
た焼結体は、高強度を得ることは可能であるが、高靱性
とはならない。粗大粒子と微細粒子が組み合わさること
により、破壊時に進行するクラックが、部分的に粒子内
部を通過し、部分的に粒子を迂回して粒界を進行するた
め、破壊エネルギーが大きくなり、その結果、より高い
靱性値を発現させることができる。この場合、粒子構成
としては、粗大粒子が多過ぎても、微細粒子が多過ぎて
も強度・破壊靱性に悪影響する。セラミックスの強度
は、構成粒子が微細であると高強度化し、粗大であると
高靱性化すると言われているが、窒化アルミニウムで
は、高靱性のものがこれまでなかった。本発明において
は、以下に示すような粒度構成にして、高強度と高靱性
を共に著しく高めたものである。
【0023】すなわち、30μm以上の粗大粒子が3〜
20体積%で、3μm以下の微細粒子が2〜30体積%
であることが適正範囲である。好ましくは、粗大粒子5
〜15体積%で、微細粒子4〜20体積%である。この
ような適正範囲が存在する理由は明確ではないが、窒化
アルミニウムの焼結が通常の固相焼結ではなく、液相を
利用した特殊な焼結であることや、同じ液相焼結であっ
ても、窒化ケイ素のようにアスペクト比の高い柱状の結
晶が成長し難いことに起因していると考えられる。Si
やSiO2を添加するとアスペクト比の高い粒子が生成
し易いことは知られているが、熱伝導率を著しく低下さ
せるため、150W/mK以上の高熱伝導性の窒化アル
ミニウムを得ることはできない。
【0024】本発明においては、高強度・高靱性・高熱
伝導性の窒化アルミニウムを得るために、助剤相として
23・Al23を含み、好ましい微構造は、実質的に
二粒子界面にも助剤相が分布していることである。窒化
アルミニウムの焼結助剤としては、Y23が広く用いら
れているが、窒化アルミニウム中のAl23分と反応し
て、2Y23・Al23、Y23・Al23、3Y23
・5Al23となる。これらのうち、3Y23・5Al
23が多いと熱伝導率が、また2Y23・Al 23が多
いと強度が低くなりやすい。Y23・Al23は二粒子
界面に分布しやすい。ここで、「二粒子界面」とは、焼
結体粒子界面の内、二つの粒子で構成される界面のこと
である。
【0025】通常、液相焼結では、焼結が進むと粒界の
助剤相は三重点へ集まり、更に内部から表面へ押し出さ
れるように移動する。窒化アルミニウムにおいては、表
面の助剤相が増加すると靱性は低下する。詳細なメカニ
ズムは不明であるが、助剤相が移動した後は粒子間に微
細な空隙が生じて、予亀裂を導入したと同じ状態になる
ためではないかと推察している。本発明では、助剤相の
種類によってその移動速度が異なる点を利用して、二粒
子界面に助剤相を存在させた微構造を実現できたもので
あり、これによって窒化アルミニウム粒子間の結合力が
高まり、高靱性の焼結体が得られる。すなわち、助剤相
にY23・Al23を含む組成で焼結し、過焼結になっ
て二粒子界面に助剤相が存在しなくなる前に焼結を中止
することが需要となる。
【0026】好ましいY23・Al23の存在量は、窒
化アルミニウム焼結体表面のX線回折分析によって決定
される。すなわち、2Y23・Al23(201)面、
23・Al23(121)面、3Y23・5Al23
(321)面、AlN(101)面の回折線強度につい
て、X=100×(201)面/(101)面、Y=1
00×(121)面/(101)面、Z=100×(3
21)面/(101)面で表し、2≦Y≦18かつ(X
+Z)≦Yである。但し、通常の焼結では、2Y23
Al23と3Y23・5Al23は混在しない。特に好
ましくは、3≦Y≦15かつ2×(X+Z)≦Yであ
る。
【0027】本発明において、窒化アルミニウム焼結体
中の粒度や助剤の分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)を
用い、無作為に選んだ焼結体破断面の3視野を1000
倍に拡大し、そこで観察された粒子について、測定され
たものである。
【0028】本発明の窒化アルミニウム焼結体の用途と
しては、パワーモジュール等の回路基板に使用される窒
化アルミニウム基板、各種セラミックスの焼成用治具、
電子部品組立治具、等に適している。
【0029】本発明の回路基板は、窒化アルミニウム基
板の一方の面に回路、他方の反対面に放熱板が形成され
てなる構造において、その窒化アルミニウム基板を本発
明の窒化アルミニウム焼結体で構成したものである。回
路・放熱板の形成方法、金属の種類等は従来と同じでよ
く、それを開示した文献を例示すれば、特開平1−33
989号公報である。
【0030】本発明の窒化アルミニウム焼結体は、窒化
アルミニウム粉末と助剤との混合粉末を成形後、非酸化
性雰囲気下で焼結する方法において、上記窒化アルミニ
ウム粉末として、レーザー回折散乱法で測定された10
0μm以上の粗大粒子を1〜10重量%と、1μm以下
の微粒子を10〜50重量%とを含み、残部が1〜10
0μmの粒子で構成されてなるものを用いることによっ
て、製造することができる。
【0031】一般に、高強度焼結体を得るための好まし
い原料粉末は、微細かつ均質とされているが、窒化アル
ミニウムのような液相焼結をするセラミックス材料にお
いては、焼結体を構成する粒子は液相中に溶解・析出に
よって生成されるため、焼結体中の粒度分布は原料粒子
とは一致しない。本発明においては、液相中への窒化ア
ルミニウムの溶解・析出が粒度によって異なる点を積極
的に利用し、特殊な原料粒度を使用することで、広い粒
度分布を持った窒化アルミニウム焼結体を得るものであ
る。但し、成形性等も考慮すると、あまり粗大過ぎると
好ましくないので、粗大粒子径は100〜300μm、
特に100〜200μmが好ましい。
【0032】一方、原料窒化アルミニウムの表面は酸化
されるため、1μm以下の微粒子をあまり多く含むと酸
素量が増加して高熱伝導率が得られなくなる。好ましい
1μm以下の微粒子の構成割合は10〜30重量%、特
に10〜20重量%である。
【0033】このような原料窒化アルミニウム粉末の粒
度構成は、従来の一例が、1μm以下20重量%で10
0μm以上が0.1重量%以下、あるいは1μm以下6重
量%で100μm以上0.5重量%であったことと比較
して特異的である。
【0034】窒化アルミニウム焼結体を製造するための
他の条件については、常法と同様に行うことができる。
それを簡単に説明すると、助剤としては、イットリア、
アルミナ、マグネシア、希土類元素酸化物等を窒化アル
ミニウム粉末に0.5〜10重量%程度内割配合され
る。次いで、この混合粉末をブチラールやメチルセルロ
ース等の有機バインダーを用いて成形した後、脱脂し、
焼成される。焼成は、窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲
気中、温度1700〜1900℃で1〜12時間程度保
持して行われる。
【0035】上記助剤として、イットリア、フッ化イッ
トリウム等のイットリウム化合物を用いた場合は、Y2
3・Al23が粒界の三重点以外に二粒子界面にも存
在し、従来よりも強固に粒子間を結合させる。二粒子界
面に助剤が存在していない場合、例えば助剤が三重点や
表面に押し出されているような構造では、高靱性は得ら
れない。
【0036】
【実施例】以下、実施例と比較例をあげて更に具体的に
本発明を説明する。
【0037】窒化アルミニウム粉末として、以下の
(a)、(b)、(c)を表1に示す割合で配合し、助
剤(内割配合)と共に混合して焼成原料粉末とした。な
お、窒化アルミニウム粉末の粒度は、レーザー回折散乱
法(リーズアンドノースラップ社製「マイクロトラック
SPA7997」)で粒度分布を測定し、1μm以下と
100μm以上の割合を算出した。
【0038】(a)平均径1.5μm、1μm以下32重
量%、100μm以上なし。 (b)平均径3.2μm、1μm以下17重量%、10
0μm以上0.5重量%。 (c)平均径5.2μm、1μm以下4重量%、100μ
m以上7重量%。
【0039】上記で得られた焼成原料粉末に有機バイン
ダーを混合し、ドクターブレード法によりグリーンシー
トに成形し、常圧のN2雰囲気中、表1に示す条件で焼
成して2インチ角の窒化アルミニウム焼結体を製造し
た。
【0040】窒化アルミニウム焼結体は、スパン30m
mで三点曲げ強度を測定した後、乳鉢で100μm以下
に粉砕し、LECO社「酸素/窒素同時分析計」を用い
て酸素量を求めた。また、鏡面研磨後にIF法(加重1
0kgfで圧子を打ち込む)でK1Cを測定し、レーザー
フラッシュ法(真空理工社製「TC−7000」)によ
り熱伝導率を求めた。それらの結果を表2に示す。
【0041】更に、破断面のSEM写真を用い、無作為
に選んだ3視野を1000倍で観察し、粒子径を求め、
また二粒子界面の助剤相の有無を調べた。それらの結果
を表3に示す。
【0042】次に、上記で得られた窒化アルミニウム焼
結体の窒化アルミニウム基板としての評価を行うため、
重量割合で、Ag75%、Cu20%、TiH25%の
混合粉末に有機溶剤と有機バインダーを加えてペースト
化した接合材を介して、無酸素Cu板(0.3mm厚
み)を窒化アルミニウム基板の表裏両面に積層接合し
た。接合条件は、10-4Paの真空下で850℃、15
分とした。次いで、接合体のCu板の周囲部2mmを塩
化第二銅液でエッチングした後、無電解Ni−Pメッキ
を5μm施して、表面に回路、裏面に放熱板を形成させ
た回路基板を作製した。
【0043】この回路基板について、−40℃、10分
と125℃、10分を繰り返すヒートショック試験を3
000サイクル繰り返し行い、クラックの発生等がない
か調べた。その結果を表3に示す。
【0044】更に、上記で得られた窒化アルミニウム焼
結体の治具としての評価を行うため、ダイサー(不二越
社製「SMG20」)で0.4mmの深さの切り込みを
入れる加工試験を行った。ダイサーの送り速度を0.4
m/分から順次上げて、チッピングが生じる最高送り速
度を求めた。その結果を表3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】表1〜3から明らかなように、本発明の実
施例1〜3では、K1C3.5m・MPa1/2、熱伝導率
150W/mK、かつ3点曲げ強度400MPa以上を
満たしている窒化アルミニウム焼結体が得られた。この
窒化アルミニウム焼結体を窒化アルミニウム基板として
作製された回路基板は、耐ヒートサイクル性に優れてい
る。また、この窒化アルミニウム焼結体は治具としても
優れた特性を示している。これに対し、比較例1〜3で
は、本発明の3つの条件を満たした窒化アルミニウム焼
結体が得られていないことから、耐ヒートサイクル性や
ダイサーの最高送り速度が、実施例よりも著しく劣った
結果となった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、電気的、熱的特性を損
なうことなく、高強度かつ高靱性の窒化アルミニウム焼
結体が提供される。
【0050】本発明の窒化アルミニウム焼結体を用いた
回路基板は、耐ヒートサイクル性に優れる。また、本発
明の窒化アルミニウム焼結体からなる治具は、加工性に
優れる。
【0051】本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方
法によれば、上記特性を有する窒化アルミニウム焼結体
を容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 信行 福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株 式会社大牟田工場内 (72)発明者 辻村 好彦 福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株 式会社大牟田工場内 (72)発明者 寺野 克典 福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株 式会社大牟田工場内 Fターム(参考) 4G001 BA03 BA09 BA36 BA82 BB03 BB09 BB36 BB73 BC13 BD03 BD14 BD16 BE22 BE26

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 IF法による破壊靱性K1Cが3.5m・
    MPa1/2以上、レーザーフラッシュ法による熱伝導率
    が150W/mK以上、3点曲げ抗折強度が400MP
    a以上であることを特徴とする窒化アルミニウム焼結
    体。
  2. 【請求項2】 全酸素量が3.0重量%以下、窒化アル
    ミニウム粒子の粒径が1〜100μmで、しかも30μ
    m以上の粗大粒子と3μm以下の微細粒子の両方が含ま
    れていることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニ
    ウム焼結体。
  3. 【請求項3】 助剤相が実質的に二粒子界面にも分布し
    ていることを特徴とする請求項1又は2記載の窒化アル
    ミニウム焼結体。
  4. 【請求項4】 助剤相が、Y23・Al23を含んでな
    ることを特徴とする請求項3記載の窒化アルミニウム焼
    結体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の窒化ア
    ルミニウム焼結体からなることを特徴とする窒化アルミ
    ニウム基板。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の窒化ア
    ルミニウム焼結体からなることを特徴とする治具。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載された窒化アルミニウム
    基板の一方の面に回路、他方の面に放熱板が形成されて
    なることを特徴とする回路基板。
  8. 【請求項8】 窒化アルミニウム粉末と助剤との混合粉
    末を成形後、非酸化性雰囲気下で焼結するにあたり、上
    記窒化アルミニウム粉末が、レーザー回折散乱法で測定
    された100μm以上の粗大粒子を1〜10重量%と、
    1μm以下の微粒子を10〜50重量%とを含んでなる
    ものであることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の
    製造方法。
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