JP2001001140A - 溶接構造部材及びその製造方法 - Google Patents
溶接構造部材及びその製造方法Info
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Abstract
さの溶接構造部材を安定して製造する。 【解決手段】 板厚が4.5 〜30mmの鋼板を溶接によ
り組み立てた溶接構造部材を800〜900℃の温度範
囲で焼きなまし熱処理する。
Description
溶接構造部材、とくに制振部材として用いて好適な組み
立てH形鋼等の溶接構造部材とその製造方法に関する。
物の一部に低降伏強さの構造部材を用いて、この部位で
部分的に降伏を生じさせ、振動を吸収することによって
構造物全体の安全性を確保する設計手法が用いられてい
る。ところで、このような耐震用の構造部材の多くは溶
接施工によりH形, I形,□形などの断面形状を持つ所
定の部材に組み立てられており、一般には、鋼板を溶
断、剪断した後、溶接し、さらに形状矯正する一連の加
工工程により製造される。上述した溶接施工により組み
立てられた耐震用の構造部材(以下、単に「溶接構造部
材」と略記する)の素材としては、低降伏強さの鋼板が
用いられる。鋼板の降伏強さは、従来は245N/mm
2 程度であったが、次第に低下する傾向にあり、最近
では160N/mm2 以下、あるいはさらに120N
/mm2以下といった低降伏強さのものも採用されるよ
うになってきている。
らが調査したところ、降伏強さが160N/mm2 以
下、特に120N/mm2 以下の低降伏強さの鋼板を
使用して製造した溶接構造部材では、これまでの常識と
異なり、用いた鋼板の降伏強さよりも溶接構造部材の降
伏強さが著しく上昇することがわかった。このような両
者間の降伏強さに著しい差異が生じると、鋼板の降伏強
さをベースにした従来の耐震設計の基準が適用できなく
なり、根底から検討しなおすことが必要となってきた。
らは、降伏強さが異なる種々の鋼板を用いて、被覆アー
ク溶接またはMIG溶接により溶接構造部材としてH形
部材に組み立てた。この部材について、溶接のままでH
断面に垂直な方向の圧縮試験を行い、降伏強さを求め、
用いた鋼板の降伏強さとの関係をプロットしたのが図1
である。図1から明らかなように、降伏強さが200N
/mm2 を超えるような鋼板で作製した溶接構造部材
の降伏強さは用いた鋼板の値よりもやや低下する。この
ような降伏強さの低下は従来も知られていたことであ
り、溶断や溶接などの加工工程における熱影響によるも
のであることが考えられる。これに対し、約100N/
mm2 という低い降伏強さの鋼板で作製した溶接構造
部材の降伏強さは、用いた鋼板の値の1.5 倍程度の極め
て高い値まで上昇する。このような溶接構造部材の溶接
のままでの降伏強さの上昇傾向は、用いる鋼板の製造履
歴が圧延のままであっても、圧延後焼きなましを行った
ものであっても、程度の差こそあれ認められた。また、
溶接を含む加工後における降伏強さの上昇程度は、溶接
条件等が変われば変化することもわかった。
が低い場合には、その鋼板の降伏強さを設計強度として
採用することはできなくなる。このような場合に、溶接
構造部材の個々についてそれぞれ溶接のままでの降伏強
さを測定して求めることはできるが、設計に反映させる
には、作業負荷が大きく、また生産性を低下させるなど
の点から現実的ではない。
用して溶接構造部材を製造する際における、上述したよ
うな問題を解決することにあり、溶接構造部材の降伏強
さが用いる鋼板の降伏強さから予測できる程度の変動に
抑え、その鋼板の降伏強さが設計強度として十分適用し
うるような溶接構造部材とその製造方法を提案すること
を目的とする。また、本発明は、降伏強さが160N/
mm2 以下、好ましくは120N/mm2 以下であ
る溶接構造部材とその製造方法を提案することを目的と
する。
0mmの鋼板を溶接により組み立てた溶接構造部材であ
って、この部材の降伏強さが160N/mm2 以下で
あることを特徴とする溶接構造部材である。そして、上
記発明にかかる降伏強さが160N/mm2 以下の溶
接構造部材は、板厚が4.5 〜30mmの鋼板を溶接によ
り組み立てた後、800〜900℃の温度範囲で焼きな
ましすることによって製造する。さらには、上記発明に
かかる降伏強さが160N/mm2 以下の溶接構造部
材は、降伏強さが160N/mm2 以下で、板厚が4.
5 〜30mmの鋼板を溶接により組み立てた後、800
〜900℃の温度範囲で焼きなましすることによって、
より好適に製造することができる。
するには、溶接を含む一連の工程で組み立てた溶接構造
部材を800〜900℃の温度範囲で焼きなましするこ
とが極めて効果的であることを知見した。溶接構造部材
の熱処理として、従来から溶接による残留応力を除去す
るために応力除去焼鈍が一般的に行われてきたが、この
熱処理では降伏応力の低下に効果がなかった。発明者ら
は、応力除去焼鈍温度よりもさらに高い800℃以上の
温度で焼きなまし処理すれば、溶接構造部材の降伏強さ
は、用いた鋼板の降伏強さ近傍まで低下し、目的とする
効果が得られることを見いだした。このような現象が生
じた理由は必ずしも明らかではないが、従来のような高
降伏強さの鋼板を溶接した場合には、通常は溶接熱影響
部が軟化するが、低降伏強さの鋼板の場合には、逆に溶
接熱影響部の強度が上昇しているものと考えられる。ま
た、本発明に用いた低降伏強さの鋼板の場合、母材に比
べ溶接金属の方が降伏強さが高く、その差が大きいこと
も溶接後の降伏強さ上昇の要因になっていることが考え
られる。このような溶接熱影響部の強度上昇を解消する
ために、焼きなまし温度を800℃以上の高温にする必
要がある。ただし、900℃を超える温度で焼きなまし
すると、溶接構造部材が残留応力や自重により変形し、
部材としての寸法精度が確保できなくなる。したがっ
て、焼きなましの温度範囲は800〜900℃とする。
なお、焼きなましの保持時間は降伏強さの低下効果と寸
法精度を考慮して4時間以内とするのが好適である。
板の板厚は4.5 〜30mmの範囲とする。焼きなまし後
の降伏強さが160N/mm2 以下となる鋼板は板厚
4.5〜60mmの範囲で製造可能であるが、板厚が大き
くなればなるほど溶接金属部分が占める断面積が増し
て、強度への溶接金属の影響が大となる。そして板厚が
30mmを超えると、溶接後に焼きなまししたあとであ
っても、溶接構造部材の降伏強さ160N/mm2 以
下に満足させることが困難となる。よって本発明で用い
る鋼板の板厚は4.5 〜30mmの範囲とする。鋼板の強
度は、溶接構造部材の降伏強さを160N/mm2 以
下、好ましくは120N/mm2 以下とするために、
鋼板そのものを溶接構造部材の焼きなまし条件と同じ条
件で焼きなまししたときの降伏強さで160N/mm
2 以下、好ましくは120N/mm2 以下となるも
のを用いることが望ましい。なお、圧延のままの鋼板を
用いる場合は、圧延のままの降伏強さはこの範囲より高
くなるが、これらについても鋼板を溶接構造部材の焼き
なまし条件と同じ条件の焼きなましをしたときの降伏強
さが160N/mm2 以下、好ましくは120N/m
m2 以下となることが望ましい。
焼きなまし条件と同じ条件の焼きなましをした後の降伏
強さが160N/mm2 以下の鋼板を使用すれば、1
60N/mm2 以下の溶接構造部材を製造することが
可能となる。本発明に従う溶接構造部材を用いる降伏強
度の設計に当たっては、その前提として用いる鋼板の焼
きなまし状態での降伏強さ(溶接構造部材の焼きなまし
条件と同様、800〜900℃で熱処理した後の値)が
既知であることが重要である。したがって、圧延のまま
の鋼板を溶接構造部材に用いる場合は、予め同一の鋼板
について前記焼きなましの熱処理を行って、熱処理後の
降伏強さを求めておくものとする。
する。表1に示す化学組成からなる鋼を6.0 〜30.0mm
まで熱間圧延し、一部はその後850℃で焼きなましを
行い、降伏強さ(JIS5号試験片で測定)が異なる種
々の鋼板とした。なお、これらの鋼板の圧延のまま、及
び圧延後850℃で焼きなましした後の降伏強さを表1
に併記した。この鋼板を用い、共金心線を用いたTIG
溶接により、図2の(a)または(b)の断面を有する
H形断面の溶接構造部材に組み立てた。その後、この溶
接構造部材を、焼きなまししないか、750℃または8
50℃で焼きなまし熱処理して、それぞれ溶接構造部材
を製造した。これらのH形断面の溶接構造部材を断面垂
直方向に圧縮して降伏強さを求めた。得られた結果を表
2に示す。表2から、本発明に従えば、圧延のままの鋼
板、圧延後焼きなましを施した鋼板のいずれを用いた場
合であっても、溶接構造部材の降伏強さの上昇が解消さ
れ、その全てが160N/mm2 を下回り、120N
/mm2 以下となっていることがわかる。また、鋼板
(焼きなまし材)の引張試験と溶接構造部材の圧縮試験
において得られた応力−歪み曲線の1例として図3に示
すように、本発明の溶接構造部材の降伏強さは用いる鋼
板の圧延−焼きなまし後の降伏強さにほぼ等しくなって
いる。
材はその降伏強さが用いる鋼板の焼きなまし後の降伏強
さとほぼ等しく、かつ低降伏強さを確保できるので、設
計が容易となるだけでなく、溶接構造物の安全性にも寄
与する。また、本発明方法によれば降伏強さ160N/
mm2 以下で安定した溶接構造部材を容易に提供する
ことができる。
伏強さの差異を示すグラフである。
す図である。
示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 板厚4.5 〜30mmの鋼板を溶接により
組み立てた溶接構造部材であって、この部材の降伏強さ
が160N/mm2 以下であることを特徴とする溶接
構造部材。 - 【請求項2】 板厚が4.5 〜30mmの鋼板を溶接によ
り組み立てた溶接構造部材を800〜900℃の温度範
囲で焼きなましすることを特徴とする降伏強さが160
N/mm2 以下である溶接構造部材の製造方法。 - 【請求項3】 降伏強さが160N/mm2 以下で、
板厚が4.5 〜30mmの鋼板を溶接により組み立てた溶
接構造部材を800〜900℃の温度範囲で焼きなまし
することを特徴とする降伏強さが160N/mm2 以
下である溶接構造部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26629499A JP3941297B2 (ja) | 1999-04-20 | 1999-09-20 | 溶接構造部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11-111660 | 1999-04-20 | ||
JP11166099 | 1999-04-20 | ||
JP26629499A JP3941297B2 (ja) | 1999-04-20 | 1999-09-20 | 溶接構造部材及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001001140A true JP2001001140A (ja) | 2001-01-09 |
JP3941297B2 JP3941297B2 (ja) | 2007-07-04 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3941297B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010167425A (ja) * | 2009-01-21 | 2010-08-05 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 上下t型継手の溶接方法及び上下t型溶接継手並びにこれを用いた溶接構造物 |
-
1999
- 1999-09-20 JP JP26629499A patent/JP3941297B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2010167425A (ja) * | 2009-01-21 | 2010-08-05 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 上下t型継手の溶接方法及び上下t型溶接継手並びにこれを用いた溶接構造物 |
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