JP2000514868A - 高い疲労強度特性を有する高周波焼入れされた微量合金鋼 - Google Patents

高い疲労強度特性を有する高周波焼入れされた微量合金鋼

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Abstract

(57)【要約】 需要のある使用環境で使用可能な高周波焼入れされた微量合金鋼の疲労強度特性を改善する。微量合金鋼は、低い炭素及び硫黄の含有率を有していて、0.15〜0.45重量%のC、0.50〜1.60重量%のMn、最大0.20重量%のV、0.001〜0.01重量%のS、及び、残りのFeから構成されている。この材料は、例えば、エンジンのクランクシャフトの如き選択された形態に加工される。加工された製品の選択された表面を高周波焼入れによって焼入れする。本製品は、高周波焼入れの後に直接使用することができ、あるいは、約100℃(200°F)から290℃(550°F)の低温乃至中程度の温度で焼きもどし処理を行い、所望の表面硬度及び残留圧縮応力の値を得ることができる。調節された合金の化学組成並びに低い焼きもどし温度が、通常の高炭素鋼に比較して、曲げ疲労強度を十分に高くする。

Description

【発明の詳細な説明】 高い疲労強度特性を有する高周波焼入れされた微量合金鋼 関連出願についてのクロス・リファレンス 本出願は、仮出願No.60/021,177号(出願日:1996年7月2日 、発明の名称「高周波焼入れされた微量合金鋼における改善された疲労強度特性 」)の利益を主張する。 発明の背景 本発明は、概略的に言えば、微量合金鋼に関し、より詳細に言えば、鍛造しそ の後誘導加熱によって表面硬化させることのできる微量合金鋼に関する。鍛造微 量合金鋼は、多くの分野においてその用途が増大しているが、最も急速に成長し ている国内の微量合金の用途は、ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンのク ランクシャフトの用途である。最も新しいクランクシャフトの用途は、微量合金 鋼を特定しており、現在の多くの用途は、鋳鉄、あるいは、鍛造され熱処理され た普通炭素鋼又は合金鋼から鍛造したままの微量合金鋼に転換されている。上記 エンジンは、小型自動車用エンジンから大型のディーゼルエンジンまでの範囲で ある。誘導加熱は、ベアリング(軸受)及びクランクピンのフィレットの疲労強 度を高めるために、大型のディーゼルエンジンの範囲で主として応用されている 。微量合金鋼は、従来、大型ディーゼルエンジンのクランクシャフトの鍛造した ままの状態における必要なコア特性を均一に達成することができないと言われて いた。しかしながら、現在まで、鍛造したままの微量合金のクランクシャフトの 高周波焼入れ特性、並びに、その結果としての疲労寿命は、完全には研究されて いない。 高周波焼入れは、選択的な焼入れプロセスであって、普通炭素鋼及び合金鋼の 部品に伝統的に応用されて、その部品の高い応力を受ける領域における局部的な 硬度を高めていた。高周波焼入れ作業の間に、誘導コイルの近くの部品の表面領 域が、オーステナイト形態の範囲内まで急速に加熱され、短時間にわたってその 温度に維持され、その後、急速に焼入れされる。その目的は、加熱された領域を 特定の深さまで完全にオーステナイト化し、その後、上記焼入れ作業の間に上記 加熱された領域にマルテンサイト構造を形成することである。上記部品は、その 後、所望の表面硬度まで焼きもどしされる。この高周波焼入れされた領域の最終 的な強度/硬度は、部品の寿命を予測する又は達成するために使用される主要な 設計基準であった。一般的に、疲労強度は、焼入れされた領域の引張強度の約1 /2であると考えられている。この一般的な法則は、部品の性能特性の良好な基 準値を与えるが、高周波焼入れされた部品の疲労強度を最適化するためには、多 くの金属学的なファクタが疲労にどのように影響を与えるかを理解する必要があ る。焼入れされた領域の強度に加えて、鋼の清浄度、及び、その結果生ずる高い 応力を受けた領域の残留応力の状態が、疲労性能に影響を与えることになる。ま た、高周波焼入れプロセスが母材の微量合金の析出物の分布にどのように影響を 与えるかを理解することも重要である。 近年清浄な鋼が進歩するに従って、曲げ疲労に対する材料の清浄度の効果が疲 労特性に関して関与する全体的な役割が小さくなる傾向にある。酸化物濃度は急 激に減少しているが、機械加工性を促進するために何等かの濃度の硫黄を用いる ことが、多くの用途に関する技術において依然として広く受け入れられている。 特にクランクシャフトは、種々の鍛造作業及びその後の機械加工作業を受ける。 従って、硫黄を用いることは、完成されたクランクシャフトに必要とされる種々 の穴の生産的な穿孔を可能にするために重要である。鋼の中に硫化物が存在する と、この種の夾雑物の周囲の応力場が不十分であるために、疲労に関して不十分 な関与を行うことが知られている。現在まで、硫化物は、より有害な酸化物タイ プの夾雑物を排除又は被覆するように作用した場合に、疲労抵抗を実際に改善す ることができることが証明されている。しかしながら、極めて清浄な鋼において は、硫化物は、疲労を開始させると報告されており、硫化物濃度を低減させると 、浸炭鋼及び焼き入れ鋼(through-hardened steel)の疲労限度を共に改善する ことが証明されている。従って、超清浄空気中で融解された鋼における硫黄の役 割を特性化して、重要な用途における機械加工性と疲労強度との間の適正なバラ ンスを見い出すことは、有益である。 高周波焼入れを行って部品の疲労限界領域の硬度を高めると、その結果生ずる 残留応力の状態にも影響を与える。誘導加熱された表面領域におけるオーステナ イトからマルテンサイトへの変態に伴う膨張は、通常、焼入れされた表面に高い 残留圧縮応力を生じさせる。この圧縮応力は、増大された硬度と組み合わされて 、部品の疲労強度を更に高める。疲労亀裂を開始させるためには引張応力が必要 とされるので、与えられた応力は、表面に存在する残留圧縮応力及び鋼の固有強 度の両方に打ち勝って亀裂を開始させなければならない。従来の研究者であるKo sterは、Technical Report AFML-TR-60(1974)の”Surface Integ rity of Machined Materia1s”と題する論文において、広範な表面残留応力状態 にわたって50HRCまで焼入れされたSAE4340鋼について研究した結果 、残留応力値と曲げ疲労強度との間にほぼ直線的な関係が存在することを報告し ている。また、従来技術においては、焼なまし作業によって有害な残留引張応力 を解放すると、完成された部品の疲労強度が改善されることも報告されている。 発明の概要 高周波焼入れされた微量合金鋼のクランクシャフトから得た部品の曲げ疲労の 結果は、クランクピンの高周波焼入れされた領域の硬度及び/又は強度を超えた ファクタが疲労強度に影響を与えることを示している。母材の炭素濃度及び硫黄 濃度、並びに、高周波焼入れされたケースに存在する残留応力値は共に、その結 果生ずる部品の疲労強度に大きな影響を与える。一方、残留応力の解放は、一次 的には焼きもどし温度の関数であり、二次的には鋼の組成の関数であることが分 かっている。これらの結果は、TMS-80(登録商標:The Timken Companyの 商品名)の如き低炭素微量合金鋼を高周波焼入れされた部品に付与し、その後焼 きもどし温度で還元させる(これに応じて、ケースの残留圧縮応力値が増大する )と、通常の高炭素グレードのものに比較して、曲げ疲労強度が十分に高くなる ことを裏づけている。そのような鋼の硫黄含有率は、例えば、0.001wt.%程 度まで可能な限り低く維持され、これにより、完成された部品の疲労強度を更に 高めている。 本発明に採用される微量合金鋼は、以下のような全体的に好ましい成分範囲を 有している。 0.15%〜0.45%の炭素、 0.50%〜1.60%のマンガン、 0.0%〜0.20%のバナジウム、 0.001%〜0.10%の硫黄、 残りは実質的に鉄である。 より好ましい成分範囲は以下の通りである。 0.20%〜0.35%の炭素、 1.00%〜1.50%のマンガン、 0.05%〜0.15%のバナジウム、 0.001%〜0.06%の硫黄、 残りは実質的に鉄である。 製造作業及び表面高周波焼入れ作業の後に、製造された部品に低温乃至中程度 の温度(約200℃(400°F)と約290℃(550°F)との間であるの が好ましい)の焼きもどし処理を施して、優れた曲げ疲労強度特性を得る。上記 焼きもどし温度は、約350℃(660°F)まで高くすることができる。そう ではなく、特に所要温度が高い場合には、製造された部品を焼きもどし処理を施 さずに高周波焼入れ作業の後に直接使用することができる。そのような用途にお いては、部品は、使用中にその場で焼きもどし処理を受けることになる。 添付図面を参照して以下の説明を読むことにより、本発明は完全に理解されよ う。 図面の簡単な説明 図1は、低硫黄TMS-80のヒート(heat)12674及び基準1548ヒー トX8814からの疲労試験を行ったクランクピン部分に関するS/N曲線のグ ラフであって、白い記号は心振れ条件を表しており、 図2は、中硫黄(中濃度の硫黄)TMS-80のヒートT1498及び基準1 548ヒートT0509からの疲労試験を行ったクランクピン部分に関するS/ N曲線のグラフであって、白い記号は心振れ条件を表しており、 図3は、高硫黄TMS-80のヒートT1044及び基準1548ヒートT0 509からの疲労試験を行ったクランクピン部分に関するS/N曲線のグラフで あって、白い記号は心振れ条件を表しており、 図4は、3つの総てのTMS-80ヒート(12674、T1498及びT1 044)からの疲労試験を行ったクランクピン部分に関するS/N曲線のグラフ であって、白い記号は心振れ条件を表しており、 図5は、ヒート12674からの一つのTMS-80のクランクピン軸受部分 、及び、ヒートX8814からの一つの1548のクランクピン軸受部分に関す るロックウエル硬度C対深度のグラフであり(Wilson Rockwell Microficial値 がHRCに変換されている)、 図6は、一つのTMS-80(T1498)及び一つの1548(T0509 )のクランクピン軸受の表面部分に関して円周方向及び軸方向において測定され たX線回折残留応力値対対表面下深度のグラフであり、 図7は、246℃(475°F)の温度で試験された総ての鋼に関する残留応 力対深度のグラフであり、 図8は、各タイプの鋼に関する127μm(0.005インチ)における残留 応力に対する焼きもどし温度の効果を示すグラフであって、残留応力の比は、各 焼きもどし温度における残留応力(応力T)を焼入れしたままの残留応力(応力0 )で除したものであり、 図9は、各焼きもどし温度及び各タイプの鋼に関する焼入れ深度の平均ロック ウエルC硬度(1000g Microficial又はVicker数から変換した値)を示すグ ラフであり、 図10は、Kosterによる従来技術の研究において焼入れ、焼きもどし、及び、 50HRCまでの研磨を行った4340鋼に関する残留応力の関数としての曲げ 疲労強度、並びに、上記研究のクランクシャフトの2つのデータ点を表すグラフ であって、TMS-80のデータ点及び1548のデータ点は、246℃(47 4°F)及び357℃(675°F)の温度においてそれぞれ46/48HRC まで焼きもどしされたヒートT1498、及び、ヒートT0509からのもので あり、 図11は、各タイプの鋼及び各焼きもどし温度に関する127μm(0.00 5インチ)の深度における残留応力対ロックウエルC硬度の結果を示すグラフで ある。 発明の詳細な説明 本発明に導いた研究は、高周波焼入れされた微量合金鋼の疲労強度に影響を与 えるファクタ、並びに、普通炭素鋼に関して現在得られるクランクシャフトの疲 労寿命を微量合金鋼において増大させることができるか否かを判定するために行 われた。この研究は、主として微量合金鋼の製造技術及びクランクシャフトの処 理技術を用いており、疲労結果は、クランクシャフトのクランクピン部分で判定 した。種々の硫黄濃度を有する鍛造したままのTMS-80(登録商標)微量合 金鋼から製造されたクランクシャフトを、通常のSAE1548焼きならし鋼か ら製造されたクランクシャフトと比較した。 手 順: 製造用クランクシャフトは、SAE1548の2つのヒート、及び 、TMS-80の3つのヒートから製造された。上記TMS-80の3つのヒート はそれぞれ、0.007%、0.020%、及び、0.039%の硫黄含有率を有 しており、以下においては、それぞれ、低硫黄、中硫黄及び高硫黄と称すること にする。鋼ヒートの化学組成が、表Iに示されている。これら鋼は総て、アーク 炉の中で空気融解され、インゴットは、下注ぎ鋳造されて711mm(28イン チ)角のインゴットにされたが、ヒート12674は、上注ぎ鋳造されて508 mm(20インチ)角のインゴットにされた。次に、上記インゴットを圧延して 152mm(6インチ)の丸かどを有する正方形の鍛造ビレット(鋼片)にした 。これらビレットを約1315℃(2400°F)まで誘導加熱し、16000 トンの機械的なスクリュープレスで鍛造した。その後、アーク炉の中で900℃ (1650°F)のオーステナイト化温度で4時間にわたってSAE1548の 部品の焼きならしを行った。TMS-80微量合金鋼から形成された部品を冷却 し、その後、約28℃/分(50°F/分)の平均速度で鍛造を行った。 表I: 鋼ヒートの化学組成(重量パーセント) クランクシャフト鍛造物の機械加工、高周波焼入れ、研磨及びラップ作業を製 造設備で行った。フィレット、並びに、メインの及びクランクピンの軸受の両方 の外周の焼入れを行って、約22秒間の高周波焼入れサイクル時間で約1010 ℃〜1040℃(1850°F〜1900°F)の最大表面温度を得た。SAE 1548及びTMS-80の鋼に関して、それぞれ357℃(675°F)及び 246℃(475°F)で3時間にわたって焼きもどしを行った。上述の焼きも どし温度の違いを除いて、他の総ての製造手順は2つの材料に関して同じであっ た。また、両方の材料のバッチを同じ時間で処理して、あらゆる意図しない変動 の影響を最小限にした。 クランクピンのフィレットの重要な領域に完全に逆転した曲げを与えて、クラ ンクシャフトの部分の疲労試験を行った。与えられた応力は、較正サンプルのフ ィレットの中にひずみゲージを入れることによって決定した。それぞれの試験は 、サンプルが曲がった時に、あるいは、107サイクルで心振れ条件に達した時 に終了した。 結 果: 各硫黄濃度のTMS-80微量合金鋼に関するTMS-80対基準S AE1548のデータのS/N型と疲労曲線(応力対破断サイクル数のプロット )が、図1〜図3に示されている。3つの総ての硫黄濃度のTMS-80微量合 金鋼に関して組み合わされたプロットが、図4に示されている。各々の試験から 評価された疲労限度も各プロットに示されている。この試験の結果は、TMS- 80微量合金鋼から製造されたクランクシャフトは、SAE1548から製造さ れたクランクシャフトに比較して、特に低い硫黄濃度において十分に大きな疲労 限 度を有していることを明らかに示している。TMS-80鋼に関して評価された 疲労限度は、793〜910Mpa(115〜132ksi)の範囲であり、一方、1 548鋼の疲労限度は、724〜772Mpa(105〜112ksi)であった。種 々の硫黄濃度のTMS-80ヒートの間の疲労限度は、硫黄濃度が高くなると、 疲労強度に悪影響を及ぼすことを示している。低濃度、中濃度及び高濃度硫黄の TMS-80に関して評価された疲労限度は、それぞれ、910Mpa(132ksi) 、841Mpa(122ksi)及び793Mpa(115ksi)であった。 疲労試験を行ったサンプルを臨界(高い応力)のフィレット領域に切断し、表 面硬度、硬化深度及びミクロ組織に関して金属顕微鏡で評価した。代表的な微小 硬度が図5に示されている。部品を処理する目的は、45HRCまでの同じ硬化 深度及び表面硬度の値を有する両方の材料から部品を製造することであったが、 TMS-80のサンプルは、SAE1548のサンプルと同じ性質を一貫して達 成しなかった。TMS-80のサンプルを評価すると、ケースのミクロ組織に問 題となる程度の濃度の未溶解フェライト及びベイナイトが存在することが分かっ た。その理由は、それぞれ、コアのミクロ組織が粗く、TMS-80材料の焼入 性が低いからである。コアの機械的性質も各ヒートのクランクシャフトについて 測定し、その結果を表IIに示している。 表II: 疲労試験を行ったクランクシャフトのコアの機械的性質 硬度及びミクロ組織のデータは、鋼のタイプの間の部品の疲労強度の違いに関 する理由を明らかにしなかったので、試験を行っていないクランクピンの疲労試 験片について残留応力を測定した。TEC Model 1610X線回折計を用いて 、TMS-80及びSAE1548の鋼の両方に関してクランクピンのO.D.( 外周)から深度プロフィールを得た(図6)。クランクピンのフィレット領域に おいて表面付近の残留応力も測定したが、O.D.の値からの大きな差は認められ なかった。表面付近の残留応力は、両方の材料に関してほぼ同じであり、その理 由は、恐らく、そのような応力は、基本的には、研磨プロセス及びラッププロセ スの関数であり、材料の性質の比較的小さな差に対して幾分感応性を有していな いからであると思われる。しかしながら、約25μm(0.001インチ)より も大きな深度における残留応力は、大きく異なっていた。材料の熱処理応答性に よって大きく影響を受けるそのような領域においては、TMS-80微量合金鋼 は、1548鋼の残留圧縮応力の4〜5倍の残留圧縮応力を有していた(それぞ れの材料に関して、約538Mpa(78ksi)対110Mpa(16ksi)である)。実験的なVIMマトリックス 真空誘導溶融(VIM)された一連のヒートを溶融して、その結果生ずる高周 波焼入れされた鋼の残留応力の状態に対する炭素濃度、バナジウム濃度及び焼き もどし温度の役割を判定した。 手 順: この研究に関するヒートマトリックスの組成が、表IIIに示されて おり、この表は、TMS-80の組成、TMS-80の非バナジウムバージョン、 及び、現在の生産用SAE1548の組成を含んでいる。これらの鋼は、45k g(100ポンド)の実験用VIM炉の中で溶融され、約101mm(4インチ )角のモールドの中で鋳造された。その鋳造物を1232℃(2250°F)ま で加熱して1.02m(40インチ)の長さを有する70mm(2.75インチ )の丸鋼に鍛造し、その後、室温まで空冷した。上記鍛造プロセスは、鍛造した ままのクランクシャフトのクランクピン部分と同様の寸法の鍛造されたままの断 面、ミクロ組織及び硬度を得ることを意図している。その後、熱処理を行う前に 、上記丸鋼を66.7mm(2.625インチ)の円形の直径まで機械加工した 。 表III: 真空誘導溶融された鋼の化学組成(重量パーセント) Inductoheat Statipowerの商品名の装置を用い、クランクシャフトのクランク ピンフィレットに与えた時間/温度サイクルを再現するような電力/時間サイク ルで、高周波焼入れ及び焼きもどしを行った。高周波焼入れ装置は、10KHz の周波数を発生し、幅23mm(0.9インチ)でI.D.(内径)82.5mm (3.25インチ)のコイルを用いて、42.5kWの電力で22.5秒間にわたっ てサイクルを実行し、その後、4パーセントのポリマー溶液を含む一体型の水ク エンチで焼入れした。各々の丸鋼は、その長さに沿う8つの箇所で焼入れされた 。その後、上記丸鋼を高周波焼入れされた領域の間で切断し、これにより、各鋼 のタイプ当たり8つの高周波焼入れされたサンプルを形成した。その後、高周波 焼入れされた丸鋼のサンプルは、各鋼当たり一つの焼入れされたままのサンプル を除いて、177℃(350°F)、246℃(474°F)、274℃(52 5°F)、357℃(675°F)、468℃(875°F)、510℃(95 0°F)、又は、579℃(1075°F)の温度で3時間にわたって、炉の中 で焼きもどしされた。 X線回折による残留応力測定を、高周波焼入れされて焼きもどしされた丸鋼に 関して、3つの別の実験室で行った。各々の実験室は、Cr Kα放射線及び3 mmの丸いコリメータを用いて、高周波焼入れされたバンド(帯材)の中央の円 周方向における応力を測定した。応力は、表面において、また、各サンプル当た り1つの位置における25.4mm(0.001インチ)及び127μm(0.0 05インチ)の公称深度(電解研磨により得られた深度)において測定した。焼 入れしたままのサンプル、及び、246℃(465°F)及び357℃(675 °F)で焼きもどしされたサンプルを、第1の実験室のTEC Model 1630- 3装 置で測定し、また、177℃(350°F)、274℃(525°F)及び57 9℃(1075°F)で焼きもどしされたサンプルを、第2の実験室のTEC M odel 1610装置で測定し、更に、468℃(875°F)及び510℃(9 50°F)で焼きもどしされたサンプルを第3の実験室のAST Model X20 02装置で測定した。各実験室からの結果を標準化して一般的な弾性係数(E/ (1+ν))=170135Mpa(24676ksi)にした。また、上記サン プルは、X線装置の間の整合性を検証するために、それぞれの実験室で測定した 。第1及び第2の実験室の間の値の差は、3パーセント未満であり、良好な一致 を示した。第1及び第3の実験室の間の差は若干大きかったが、その値はゼロに 近いので、全体的な傾向は大きく異なることはなかった。 その後、丸鋼の部分を切断して金属顕微鏡のサンプルを取り出し、硬度プロフ ィールの測定及びミクロ組織の特性化を行った。コア領域まで高周波焼入れされ た表面を含む長手方向の一つの部分を、各サンプルに関して準備した。1000 gの荷重を有するWilson Rockwell Microficial硬度試験機、あるいは、ビッカ ース圧子及び1000gの荷重を有するLeco M-400-G硬度試験機を用いて 、各々のサンプルに関して硬度プロフィールを実行した。これらのサンプルは、 表面からケースの中までの127μm(0.005インチ)の増分で測定された 。その後、上記サンプルを金属顕微鏡で検査した。 結 果: 残留応力のデータが、各鋼のタイプ、焼きもどし温度及び測定深度 に関して表IVに示されている。各々の焼きもどし温度における結果は、表面応力 の値は、274℃(525°F)前後の表面の下の値よりも十分に低い圧縮であ ることを示している。上記温度よりも高い温度では、所与のサンプルの総ての深 度に関する値はかなり均一であり、試験誤差の範囲内であった。図7に246℃ (475°F)で焼きもどしされた各々の鋼について示すように、上記値は、2 5.4μm(0.001インチ)の深度の下では減少する傾向を有している。上記 サンプル(及び、他の多数のサンプル)を254μm(0.010インチ)の深 度まで実際に試験して、それ以上の深度で応力の値が変化しないことを検証した 。これらの結果に基づき、127μm(0.005インチ)の深度における応力 の値を別の分析のために選択し、各サンプルに関するケース表面下の残留応力の 代 表値とした。 表IV: X線による残留応力及び硬度の結果 * 電解研磨された深度は公称値である。各サンプルを測定した説明に関しては 、明細書を参照のこと。上記値は、材料の除去に関して補正されていない。 ** 硬度の値は、100gのMicroficial数又はVickers数から変換された、高周 波焼入れされた深度における平均硬度である。 残留応力のデータは、図8にグラフで総括されており、このグラフは、3つの 総ての鋼に関する127μm(0.005インチ)における正規化された残留応 力対焼きもどし温度のプロットである。上記データは、各々の焼きもどし温度に おける応力の値の焼入れしたままの応力の値に対する比を計算することにより正 規化されている。このプロットは、応力緩和の焼きもどし温度に対する強い依存 性を示しており、圧縮応力の大きさは、焼きもどし温度が増大するにつれて減少 する。177℃(350°F)までの低い温度における焼きもどしの後に、残留 応力の小さな損失が生じ、177℃(350°F)と468℃(875°F)と の間の焼きもどし温度において急速な応力緩和が生じ、468℃(875°F) よりも高い温度では、残留応力はゼロに近づく。1548鋼は、高い焼きもどし 温度において焼入れしたままの残留圧縮応力よりも若干高い値を示す(0.30 %の炭素鋼に関して、約931Mpa(135ksi)対862Mpa(125ksi)であ る)が、3つの鋼の中で最も急速な応力緩和を行う。これは、510℃(950 °F)の焼きもどし条件までの274℃(525°F)の焼きもどし条件におい て最も顕著であり、1530鋼及びTMS-80鋼は、1548鋼に比較して、 より高い圧縮応力の分数を維持する。 表面硬化のトラバース(traverse)から得た平均硬度は、表IVに含まれている。 各々の鋼のタイプの硬度に対する焼きもどし温度の効果が、図9に示されており 、図9は、焼きもどし温度の増大に伴って硬度が減少する一般的な傾向を示して いる。1548鋼は、510℃(950°F)の焼きもどし条件までの焼入れし たままの条件において最も高い硬度を示し、一方、1530鋼及びTMS-80 鋼は、上記範囲と同じ範囲にわたってほぼ同じであるが低い値を示す。579℃ (1075°F)の焼きもどし条件において、TMS-80は、この品質におい ては炭化バナジウムの焼きもどしに対する抵抗が存在するので、1548又は1 530の鋼よりも十分に高い硬度の値を示す。上記3つの総ての鋼の鍛造したま まのコア領域のミクロ組織は、フェライトに包まれた粗いパーライトから構成さ れていた。ケースのミクロ組織は、焼きもどし温度に応じて種々の程度まで焼き もどしされたマルテンサイトから主として構成されていた。0.30%の炭素鋼 も、これら鋼は1548に比較して硬化性すなわち焼入性が低いので、ケースの ミクロ組織に高い濃度の未溶解フェライト及びべイナイトを示した。上述のミク ロ組織、並びに、鋼のタイプの間で観察された差は、クランクシャフトで観察さ れた ものと一致した。 この研究は、硫黄濃度は、曲げ疲労強度に影響を与え、鋼の基準硫黄濃度を減 少させることにより、疲労性能を改善することができることを証明した。これら の結果は、曲げ疲労が超清浄空気溶融鋼の硫黄濃度及び硫化物の形態によって影 響を受けることを示す、Erven、Collins他、及びSandersの従来の幾つかの研究 と一致する。この研究において観察された疲労強度に対する硫黄濃度の強い効果 は、硫化物が疲労の開始に関与することを示唆している。従って、部品の疲労寿 命を最適化するために、鋼の硫黄濃度は可能な限り低く維持する必要がある。そ の結果、コアの硬度及びミクロ組織を最適化して、そのような低い硫黄濃度にお ける機械加工を容易にする必要がある。早期のプロトタイプの生産クランクシャ フトの結果、並びに、1548鋼及びTMS-80鋼の実験室そとの機械加工性 の比較が、低硫黄バージョンのTMS-80の機械は、公称硫黄濃度の1548 鋼と同じかあるいはそれよりも良好であることを示した。 上記2つの材料の間の部品の疲労強度の差は、表面下の残留応力値の測定され た差に一致した。その結果生ずる高周波焼入れされた領域の残留応力値は、上記 2つの鋼のタイプから製造されたクランクシャフトの間で観察された大きな差で しかない。他の従来技術の研究は、存在する残留応力の値と曲げ疲労強度との間 の明らかな傾向を示している。上述のKosterによる研究においては、50HRC まで焼入れされたSAE4340鋼のサンプルの曲げ疲労強度が、高い引張力か ら圧縮力までのある範囲の残留応力値にわたって測定されている。図10に示す その結果は、圧縮応力の値が増大するに伴って疲労強度が増大する直線的な傾向 を示している。あるTMS-80の条件及びある1548の条件(共に、約0.0 20%の硫黄濃度である)からの疲労結果も図10のプロットに含まれている。 この観察の疲労試験を行った部品の硬度の値は、Kosterの曲線よりも僅かに下に 存在するが、疲労強度対残留応力値の全体的な傾向はKosterの曲線のものと一致 している。Kosterの研究との比較に基づくと、TMS-80及び1548のクラ ンクシャフトの間の疲労強度の差は、恐らく、測定された残留応力値の差に起因 するものである。本発明者等は、上記クランクシャフトの間の残留応力値の差は 、主として、同じ最終硬度の値を得るために与えられた焼きもどし温度の 差に起因することを見い出した。図8は、残留応力の緩和に対する焼きもどし温 度の強い効果を示している。ここに示す焼きもどし温度の範囲にわたる残留応力 の減少の大きさは、種々の中程度の炭素鋼に関して、他の多くの研究者によって 証明されている。その結果も、200℃(392°F)前後の焼きもどし温度よ りも低い温度において残留応力の損失が低い傾向を示し、また、200℃(39 2°F)と450℃(842°F)前後との間で応力が急速に損失することを示 している。上記温度よりも高い温度では、維持される応力は極く僅かである。1 548は、TMS-80よりも高い焼入れしたままの硬度を有しているので、同 じ最終硬度の値を得るためにはより高い焼きもどし温度を必要とする。従って、 高周波焼入れされて焼きもどしされた1548に関する最終的な圧縮応力の値は 、同じ硬度の値において、TMS-80に関する値よりも低い。 硬度及び残留応力に対する焼きもどしの効果を組み合わせた結果が、図11に 示されている。図11は、焼きもどし範囲全体にわたる各々の鋼に関する硬度の 値の関数として、残留応力を示している。1530及びTMS-80のデータは 、最も高い焼きもどし条件における硬度を除いて、ほぼ同一であり、また、15 48鋼は、0.30%の炭素鋼に比較して顕著に異なる傾向を示していることを 理解する必要がある。1548鋼は、1530鋼の右側に移動しており、このグ ラフ上のTMS-80のプロットは、所与の硬度の値を示しており、1548鋼 の圧縮応力の値は常に低い。一例として、0.30%及び0.48%の炭素鋼は共 に、246℃(475°F)及び357℃(675°F)においてそれぞれ焼き もどし処理を受けた後に、46〜47HRCの硬度の値を達成したが、0.30 %の炭素鋼は、480Mpa(70ksi)前後の圧縮応力を維持し、一方、1548 の圧縮応力の値は112Mpa(16ksi)まで減少した。クランクシャフトに関し て上に述べたように、種々の炭素濃度の鋼に関する所与の硬度の値において残留 応力が上述のように変動する主要な理由は、焼きもどし応答性の差に起因する。 また、図8は、0.30%の炭素鋼は共に、274℃(525°F)と510℃ (950°F)との間の総ての焼きもどし温度において、1548鋼よりも高い 圧縮応力の分数を維持することを示している。上記鋼の組成は、存在する炭素及 びマンガンの量だけが大きく変動した。0.30%の炭素鋼は共に、約1.4%の マン ガン濃度を有しており、一方、1548鋼は、1.15%のマンガン濃度を有し ていた。残留応力の緩和は、変態プロセスの間に形成される高密度の転位の移動 及び消滅を含む、回収メカニズムに関係する。従って、炭素及び/又はマンガン が応力緩和特性の上述の差の原因であると結論づけることは合理的である。 本発明は、高周波焼入れされて焼きもどしされた部品の高い曲げ疲労強度に繋 がる種々の実際的な暗示を呈示する。そのような利益の大部分は、部品に適正な 材料を選択することにより実現される。基本的に、炭素濃度は、低い焼きもどし 温度、及び、最大の残留応力の値を許容するように最適化されなければならない 。理想的には、鋼は、高周波焼入れ、及び、約177℃(350°F)における 低温の焼きもどしの後に、必要とされる表面硬度の値に達するのに丁度十分な炭 素(例えば、0.15wt.%)を含むべきである。また、鋼の硫黄濃度は、疲労強 度を更に高めるために、可能な限り低い値に維持されるべきであり、そのような 硫黄濃度は、0.10wt.%未満であるのが好ましく、0.02wt.%未満にするの が差に好ましい。多くの微量合金又は他の炭素鋼は、形成されたままの状態で所 要のコア特性を達成することができ、同時に、硫黄濃度が低く機械加工可能なフ ェライト及びパーライトのミクロ組織を維持する。従って、本発明は、現在の又 は可能性のある高周波焼入れされた多くの部品の疲労性能を最適化するのに有益 である。 ここに示すデータは、製造された生産クランクシャフトに与えられたTMS- 80鋼の硫黄濃度の減少は、部品の高い曲げ疲労寿命に関係することを示してい る。また、本発明者等は、高周波焼入れされたクランクシャフトのクランクピン の残留圧縮応力の値の増大は、部品の高い曲げ疲労寿命に関係することを証明し た。TMS-80鋼から製造されたクランクシャフトは、1548のクランクシ ャフトに比較して、試験された臨界領域において、高い疲労限度、並びに、高い 残留圧縮応力の値を有していることを証明した。 本発明者等はまた、高周波焼入れ作業及び焼きもどし作業の後に存在する最終 的な残留応力の値は、基本的には焼きもどし温度の関数であり、残留応力は、焼 きもどし温度が高くなるに伴って減少することも見い出した。応力緩和は、17 7℃(350°F)〜468℃(875°F)の温度範囲にわたって、最も促進 さ れる。上に述べた本発明者等の研究は、更に、焼きもどし温度の増大に伴う残留 応力の減少も化学組成によって影響を受けることを示している。検討された低炭 素高マンガンの鋼(1530及びTMS−80)は、高炭素低マンガンの鋼(1 548)に比較して、緩和速度対温度の値が低いことを示した。研究した低炭素 鋼は、焼きもどし温度の増大に伴って同様な硬度の低下を示しており、そのよう な低炭素鋼は共に、所与の焼きもどし温度の1548鋼に比較して、低い硬度を 有していた。この傾向の例外は、バナジウムを含むTMS-80が最も高い硬度 の値を有する、最も高い579℃(1075°F)の焼きもどし温度で生じた。 高周波焼入れ及び焼きもどしの後の硬度対残留応力を組み合わせた結果は、低炭 素鋼は、所与の硬度の値において高い圧縮応力を維持することを示している。こ れは、主として、高炭素鋼(1548)は、低炭素鋼に比較して同じ硬度の値を 得るために、高い温度で焼きもどし処理を受ける必要がある(大きな応力緩和を 生ずる)という事実の結果である。 上の説明に開示された概念から逸脱することなく、本発明に変更を加えること ができることは、当業者には容易に理解されよう。そのような変更は、以下の請 求の範囲において文言で明確に述べられない限り、以下の請求の範囲に含まれる ものと見なすべきである。従って、本明細書で詳細に説明した特定の実施の形態 は、単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲 には、添付の請求の範囲の全範囲並びにその総ての等価物が与えられるべきであ る。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年5月4日(1998.5.4) 【補正内容】 請求の範囲 1. 耐曲げ疲労性の鋼製品を製造する方法であって、 (a) 0.15〜0.35重量%のC、0.50〜1.60重量%のMn、最大 0.20重量%のV、0.001〜0.10重量%のS、及び、残りの実質的なF e(鉄)から実質的に構成される組成を有する鋼を準備する工程と、 (b) 前記鋼製品の選択された表面を高周波焼入れする工程と、 (c) 前記高周波焼入れされた鋼製品を選択された温度で焼きもどしして、 所与の表面硬度及び残留圧縮応力の値を得る工程とを備えること、を特徴とする 方法。 2. 請求項1に記載の方法において、前記焼きもどし温度は、約175℃( 350°F)と350℃(660°F)との間の温度であること、を特徴とする 方法。 3. 0.15〜0.45重量%の炭素(C)、0.50〜1.60重量%のマン ガン(Mn)、0.0〜0.20重量%のバナジウム、0.001〜0.10重量% の硫黄(S)、及び、残りの実質的な鉄(Fe)の成分から実質的に構成される 組成を有する鋼製品であって、 当該鋼製品は、少なくとも1つの高周波焼入れされた表面を有しており、また 、当該鋼製品は、高周波焼入れの後に焼きもどしされていて所与の表面硬度及び 残留圧縮応力の値を有していること、を特徴とする鋼製品。 4. 請求項3に記載の鋼製品において、前記焼きもどし温度は、約350℃ (660°F)を超えないこと、を特徴とする鋼製品。 5. 請求項4に記載の鋼製品において、クランクシャフトの形態であること 、を特徴とする鋼製品。 6. 耐曲げ疲労性の鋼製品を製造する方法であって、 (a) 0.20〜0.35重量%のC、1.00〜1.50重量%のMn、0. 05〜0.15重量%のV、及び、0.001〜0.06重量%のSから実質的に 構成される組成を有する鋼を準備する工程と、 (b) 前記鋼製品の選択された表面を高周波焼入れする工程と、 (c) 前記高周波焼入れされた鋼製品を選択された温度で焼きもどしして、 所与の表面硬度及び残留圧縮応力の値を得る工程とを備えること、を特徴とする 方法。 7. 請求項6に記載の方法において、前記焼きもどし温度は約175℃(3 50°F)と350℃(660°F)との間の温度であること、を特徴とする方 法。 8. 0.20〜0.35重量%の炭素(C)、1.00〜1.50重量%のマン ガン(Mn)、0.05〜0.15重量%のバナジウム(V)、0.001〜0.0 08重量%の硫黄(S)、及び、残りの実質的な鉄(Fe)の成分から実質的に 構成される組成を有する耐疲労破壊性の鋼製品であって、 当該鋼製品は、少なくとも1つの高周波焼入れされた表面を有しており、 当該鋼製品は、高周波焼入れの後に約175℃(350°F)と350℃(6 60°F)との間の温度で焼きもどしされていて、所与の表面硬度及び残留圧縮 応力の値を有していること、を特徴とする鋼製品。 9. 請求項8に記載の鋼製品において、クランクシャフトの形態を有すること 、を特徴とする鋼製品。 10.耐曲げ疲労性のクランクシャフトを製造する方法であって、 (a) 0.20〜0.35重量%のC、1.00〜1.50重量%のMn、0. 05〜0.15重量%のV、0.001〜0.06重量%のS、及び、残りの実質 的なFeから実質的に構成される組成を有する微量合金鋼を準備する工程と、 (b) 前記鋼組成物からクランクシャフトを製造する工程と、 (c) 前記クランクシャフトの選択された表面を高周波焼入れする工程と、 (d) 前記クランクシャフトを200℃(400°F)〜290℃(550 °F)程度の選択された温度で焼きもどしして、所望の表面硬度及び残留圧縮応 力の値を達成する工程とを備えること、を特徴とする方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ムソルフ,カール・エフ アメリカ合衆国ニューヨーク州14710,ア シュヴィル,サウス・メイプル・アベニュ ー 2047

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 耐曲げ疲労性の鋼製品を製造する方法であって、 (a) 0.15〜0.45重量%のC、0.50〜1.60重量%のMn、0. 0〜0.20重量%のV、0.001〜0.10重量%のS、及び、残りの実質的 なFeから実質的に構成される組成を有する鋼を準備する工程と、 (b) 前記鋼製品の選択された表面を高周波焼入れする工程とを備えること 、を特徴とする方法。 2. 請求項1に記載の方法において、前記鋼製品を選択された温度で焼きも どしして、所望の表面硬度及び残留圧縮応力の値を達成する工程を備えること、 を特徴とする方法。 3. 請求項2に記載の方法において、前記焼きもどし温度は、約175℃( 350°F)と350℃(660°F)との間の温度であること、を特徴とする 方法。 4. 0.15〜0.45重量%の炭素(C)、0.50〜1.60重量%のマ ンガン(Mn)、0.0〜0.20重量%のバナジウム(V)、0.001〜0.1 0重量%の硫黄(S)、及び、残りの実質的な鉄(Fe)の成分から実質的に構 成される組成を有する鋼製品であって、 少なくとも1つの高周波焼入れされた表面を有すること、を特徴とする鋼製品 。 5. 請求項4に記載の鋼製品において、当該鋼製品は、所望の表面硬度及び 残留圧縮応力の値を有する焼きもどしされた状態にあること、を特徴とする鋼製 品。 6. 請求項5に記載の鋼製品において、前記焼きもどし温度は、約350℃ (660°F)を超えないこと、を特徴とする鋼製品。 7. 請求項6に記載の鋼製品において、クランクシャフトの形態であること 、を特徴とする鋼製品。 8. 耐曲げ疲労性の鋼製品を製造する方法であって、 (a) 0.20〜0.35重量%のC(炭素)、1.00〜1.50重量%のM n(マンガン)、0.05〜0.15重量%のV(バナジウム)、0.001〜0. 06重量%のS(硫黄)、及び、残りの実質的なFe(鉄)から実質的に構成さ れる組成を有する鋼を準備する工程と、 (b) 前記鋼製品の選択された表面を高周波焼入れする工程とを備えること 、を特徴とする方法。 9. 請求項8に記載の方法において、前記鋼製品を選択された温度で焼きも どしして、所望の表面硬度及び残留圧縮応力の値を達成する工程を備えること、 を特徴とする方法。 10. 請求項9に記載の方法において、前記焼きもどし温度は約175℃(3 50°F)と350℃(660゜F)との間の温度であること、を特徴とする方 法。 11. 0.20〜0.35重量%の炭素(C)、1.00〜1.50重量%のマン ガン(Mn)、0.05〜0.15重量%のバナジウム(V)、0.001〜0. 008重量%の硫黄(S)、及び、残りの実質的な鉄(Fe)の成分から実質的 に構成される組成を有する耐疲労破壊性の鋼製品であって、 少なくとも1つの高周波焼入れされた表面を有すること、を特徴とする鋼製品 。 12. 請求項11に記載の鋼製品において、所望の表面硬度及び残留圧縮応力 の値を有する焼きもどしされた状態にあること、を特徴とする鋼製品。 13. 請求項12に記載の鋼製品において、前記焼きもどし温度は、約175 ℃(350°F)と350℃(660°F)との間の温度であること、を特徴と する鋼製品。 14. 請求項13に記載の鋼製品において、クランクシャフトの形態を有する こと、を特徴とする鋼製品。 15.耐曲げ疲労性のクランクシャフトを製造する方法であって、 (a) 0.20〜0.35重量%のC(炭素)、1.00〜1.50重量%のM n(マンガン)、0.05〜0.15重量%のV(バナジウム)、0.001〜0 .06重量%のS(硫黄)、及び、残りの実質的なFe(鉄)から実質的に構成 される組成を有する微量合金鋼を準備する工程と、 (b) 前記鋼組成物からクランクシャフトを製造する工程と、 (c) 前記クランクシャフトの選択された表面を高周波焼入れする工程と、 (d) 前記クランクシャフトを200℃(400°F)〜290℃(550 ° F)程度の選択された温度で焼きもどしして、所望の表面硬度及び残留圧縮応力 の値を達成する工程とを備えること、を特徴とする方法。
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