【発明の詳細な説明】
20(S)−カンプトテシンの新規な水溶性C−環類似体
本発明は、一般式1を有する20(S)−カンプトテシンの新規な水溶性C−
環類似体に関する。
上記式1において、R1、R2、R3及びR4は、独立に、同じであるか、又は異
なっており、水素、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、低級アルカ
ノイル、ニトロ、シアノ、ハロ、カルボキシ、カルボニルオキシ、アミノ、置換
アミノ、低級アルキル、置換低級アルキルであるか、又はR2及びR3はお互いに
組合わさり、−〇−(CH2)n−O−(但し、n=1又は2である。)を表わし
、R5は水素、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アラルキル、ヒドロキシ
メチル、カルボキシメチル、アミノメチル、アミノ基が1又は2置換される置換
アミノメチルであって、2置換される場合、両置換基が独立であるか、又はお互
いに組合わさり、炭素及び、任意に1又は2の酸素、窒素及び硫黄から選択され
るヘテロ原子を含有する5又は6員環系を形成し、該環系の原子数は5又は6で
あるものを表す。Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルカノイル
、置換低級アルキル、置換低級アルカノイル、置換低級アルケニル、低級アルコ
キシカルボニル、フェニル、ベンジル又はベンゾリルであって、該フェニル基が
無置換であるか、又は置換されうるものを表し、R6は水素、ヒドロキシ、低級
アルキル又はCOOR’(但し、R’は水素、低級アルキル又は低級アラルキル
を表す。)を表し、R6はまた、アミド又はアミノ基が無置換でありうるか又は
1若しくは2置換されうるアミド又はアミノ基であって、二置換される場合、両
置換基が独立であるか、又はお互いに組合
わさり、炭素、及び任意に、1又は2の酸素、窒素及び硫黄から選択されるヘテ
ロ原子を含有する3から8の原子の環系を形成し、該環系の原子数が3から8で
あるもの:フェノキシ、フェニル、ベンゾイル又はベンジルであって、フェニル
基が無置換であろるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、シアノ、
カルボキシ、ニトロ、アミド、アミノ若しくは置換アミノ、低級アルキル、置換
低級アルキルから選択されうる1、2又は3の置換基で置換されうるもの;シク
ロアルキル又はシクロアルキル低級アルキルであって、環が全て炭素原子である
3から7員環系の範囲であるもの:ヘテロ環で置換された低級アルキルであって
、該ヘテロ環系が炭素に加えて、酸素、窒素又は硫黄のようなヘテロ原子の少な
くとも1つを含有する3から7の原子を有し、該ヘテロ環系の原子数が3から7
であるもの;低級アルカノイル:低級アルキル;置換低級アルキルであって、置
換基がハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシル、シ
アノ、チオ、チオアルキル、チオアリール、アリール、ヘテロアリール、ニトロ
、アミノ基が無置換であるか又は1又は2置換されうるアミド若しくはアミノ(
但し、2置換の場合、両置換基は独立であるか、又はお互いに組合わさり、3か
ら8の原子の環系を形成し、該環系が炭素を含有し、窒素、酸素及び硫黄から選
択される1又は2のヘテロ原子を任意に含有する。)でありうろるものを表わし
うる。
式1のこれらの化合物の全ては、C−20(S)のキラルな炭素を有する一般
式12の化合物から製造されうる。
但し、R1からR5は先に説明した意味を有する。
式2を有する20(S)−カンプトテシンは、強力な抗腫瘍活性を有するアル
カロイドである。これは、1966年にWall及び共同研究者により植物カンプトテカ・アクミネタ
(Camptotheca acumineta)から最初に単離された。しかし、可能な癌治療薬とし
てこれを開発することは、ヒトでの受け入れがたい副作用により、及び低水溶性
並びに高い毒性の問題により断念されていた。1985年にLiu及び共同研究者
[L.F.Liuら、J.Biol.Chem.260,14873(1985)]によるトポ異性化Iの阻害剤とし
てのこの作用のメカニズムの発見により、カンプトテシンに関する研究の興味が
再び勢いづいた。
カンプトテシンの低水溶性及び高毒性の問題を回避するために、この30年間
に渡り、世界中の幾つかの研究グループが、A〜E環の修飾、又は式2のカンプ
トテシンの5つの環の全てに種々の置換基を導入することを含めた多くのカンプ
トテシン類似体の製造及び研究を行った[M.E.Wallら、J.Med.Chem.,36,2689(199
3);R.P.Hertzbergら、J.Med.Chem.,715(1989);S.W.Sawadaら、Chem.Pharm.Bull,41
,(2),310(1993)]。今日までに製造された種々のカンプトテシンの内、これら
の2種類のみ、即ち式3を有するCPT−11[Chem.Pharm.Bull.,39,1446(199
1)]、
式4のトポテカン(topotecan)[J.Med.Chem.,34,98(1991)]が、最近市場に抗ガン剤として導入された。他の化合物、即ち式5の9−アミノカン
プトテシン[J.Med.Chem.,29 2358(1986)]に対して、現在フェーズIIIの臨床試
験が行われている。
式2のカンプトテシンについての広範囲に研究された構造−活性相関(SAR)[M
.E.Wallら、J.Med.Chem.,36,2689(1993)]で、カンプトテシンの20(S)−α
−ヒドロキシーδ−ラクトン(E−環)部分がその活性に必須であることが示さ
れた。しかし、Ejimaらによる最近の報告によれば、C−20位でヒドロキシル
基をアミノ基に置換し、式6の7−エチル−10−メトキシカンプトテシン誘導
体のような化合物に導く[A.Ejimaら、Chem.Pharm.Bull.,40,(3),683(1992)]こ
とで、式7の20(RS)−カンプトテシンよりもin vivoでの抗腫瘍活性が高
められることが示された。
また、他の報告[Lawrence Snyderら、J.Org.Chem.,59,7033(1994)]では、式8
の18−ノルアンヒドロカンプトテシン類似体が、トポ異性化I活性の強力なカ
ンプトテシン様阻害を示した。
これらの両報告は、カンプトテシンの20(S)−α−ヒドロキシ官能基が、そ
の生物学的活性のための必須の特徴であるという仮定に相反するものである。
文献中で調製されたカンプトテシン類似体に対して得られた構造−活性の結果
を基にして、式2のカンプトテシンのC−9及びC−7位での置換基の修飾が、
E環ラクトンに安定性を付与することにより抗ガン活性の増強に重要な役割を演
じていることが確立された[T.G.Burkeら、J.Med.Chem.,37,40(1994)]。ラクト
ン部分が開環した形、即ち「カルボキシレート型」は閉環した「ラクトン型」よ
りも治療的に効果が低いことも認識されている[Hertzbergら、J.Med.Chem.,32,7
15(1989);J.M.Covey,C.Jaxelら、Cancer Research.,49,5016(1989);Giovanella
ら、Cancer Reserch.,51,3052(1991)]。T.G.Burkeらによる、「ヒト血清アルブ
ミン」(HSA)と称されるタンパク質の存在下での種々のカンプトテシン類似
体の「閉環したラクトン型」の安定性に関する最近の研究で、式3のCPT−1
1及び式9の7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(SN−38)
及び式4のトポテカンのような化合物が、HSAの存在下、37℃で、平衡時に
、式2の20(S)カンプトテシン及び式5の9−アミノカンプトテシンよりも
高いパーセンテージ(%)でラクトン型で存在することが示された[T.G.Burke
及びZihou Mi.,J.Med.Chem.,37 40(1994);同者、Biochemistry.,32,12540(1994)
]。これらの研究を基にして、カンプトテシン類似体のラクトン−カルボキシレ
ートの平衡に影響を与える因子の理解が、一連のカンプトテシンにおいて、新規
で治療に効果のある医薬の候補をデザインする場合の重要な決定子となることが
認識された。
カンプトテシンのA及びB環上の置換基の修飾が非常に活発に取り上げられ、
新規なCPT類似体を生じさせているが、カンプトテシンの「C」環類似体は、
おそらく、カンプトテシンのC−5位の置換基がカンプトテシンの抗腫瘍活性を
低下させ、不活性な類似体を生じさせるということを主張した、Sawadaらにより
行われた研究により制限された[Sawada Sら、Chem.Pharm.Bull.,39(10),2574(19
91)]。Sawadaらにより特許請求されたC−5置換カンプトテシン(JP58,1
54,584;米国特許第4,513,138;米国特許第4,473,692
;米国特許第4,545,880;及び米国特許第4,339,282)は、式
10の構造を有する。
但し、Rはヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ又はアシロキシを表し
、R1は9位での水素、メトキシ:10位での水素、ヒドロキシ、低級アルコキ
シ、アシロキシ、SH、チオアルキル、チオアシル、ニトロ、アミノ、アルキル
アミノ、アシルアミノ又はハロゲンを表し、R2は水素、低級アルキル、低級ア
ラルキル、CH2OH、COOH、COOMe、CH2OR’(但し、R’は低級
アルキル又はアシル基を表す。)を表す。
N,N−ジメチルホルムアミド中のホルムアルデヒドと20(S)−カンプト
テシン上の4−ピペリジノピペリジンとの反応により5−ヒドロキシメチルカン
プトテシンの調製が含まれる、K.H.Leeら[Bio.Org.MedChem.Lett.,5(1),77(199
5)]による最近の発見により、これらの化合物の抗腫瘍活性が低下することが示
された。また、Danishefskyらは、全合成アプローチによりC−5置換20(R
S)−カンプトテシン誘導体の幾つかを調製した[米国特許5,391,745
及び米国特許5,446,047]。
しかし、合成により調製された式11の5−置換カンプトテシン誘導体[Tera
sawaら、Heterocycles,38,81(1994)]が20(S)−カンプトテシンの抗腫瘍活
性に匹敵する抗腫瘍活性を有することが、特許請求されている。
これらのファクターを考慮しつつ、我々は、改善された水溶性及び溶液中での
ラクトン型の改善された安定性を示しうる新規なカンプトテシン類似体をデザイ
ンすることを目的として20(S)−カンプトテシンに関して我々の研究を集中
させた。我々は、この目的に対してアルコール性溶媒中での酸化反応を結びつけ
た。得られた知見は、最終的には、式14の20(S)−カンプトテシンのC−
5位で種々のアルコキシ基を導入することができる新規な合成変換の開発に繋が
った。
但し、R1からR6は先に説明した意味を有する。
その主題は、出願番号第 、代理人事件番号U−011024−5が
付与された我々の継続中の特許出願に開示されている。
式14の化合物の調製方法が提供される。
但し、R1、R2、R3、R4は独立に、同じであるか又は異なっており、水
素、ヒドロキシ、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級アルカノイル、ニトロ
、シアノ、ハロ、カルボキシ、カルボニルオキシ、アミノ、置換アミノ、低級ア
ルキル、置換低級アルキルを表すか、又はR2、R3は一緒になって−O−(CH2
)n−O−(但し、n=1又は2である。)を表す。R5は水素、低級アルキル
、置換低級アルキル、低級アラルキル、ヒドロキシメチル、カルボキシメチル、
アミノメチル、アミノ基が1置換又は2置換されうる置換アミノメチルであって
、二置換される場合、両置換基が独立であるか、又はお互いに組合わさり、炭素
、及び任意に1又は2の、酸素、窒素又は硫黄から選択されるヘテロ原子を含有
する、全体で5〜6の原子の環系を形成する。及びR6は水素:フェニル又はベ
ンジルであって、該フェニル基が無置換でありうるか、又は、ハロゲン、ヒドロ
キシ、低級アルコキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、低
級アルキル、置換低級アルキルから選択されうる1、2又は3置換基で置換され
うるもの:環が、全て炭素原子である3員環から7員環系の範囲にあるシクロア
ルキル又はシクロアルキル低級アルキル:ヘテロ環で置換された低級アルキル基
であって、該ヘテロ環系が全体で3から7の原子を有し、該環系が炭素に加えて
酸素、窒素又は硫黄のような少なくとも1つのヘテロ原子を含有するもの;低級
アルカノイル;フェニル基が無置換であるか、
又は置換されうるベンゾイル;低級アルケニル;低級アルキル;置換低級ア
ルキル、置換低級アルケニル又は置換低級アルカノイルであって、該置換基が、
ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、チオ、チオアルキル
、チオアリール、アリール若しくはヘテロアリール、カルボキシ、シアノ、ニト
ロ、アミノ基が無置換であるか、又は一若しくは二置換されうるアミド若しくは
アミノ(但し、二置換される場合、両置換基は独立であるか、又は一緒に組合わ
さり、炭素を含有する5又は6員環系を形成し、これが任意に酸素、窒素又は硫
黄から選択される1又は2のヘテロ原子を含有し、該環系の全原子数が5又は6
である。)でりうるものを表す。但し、(i)R1がメトキシ基である場合、R6
は水素又は低級アルキル基ではなく;(ii)R2がヒドロキシ、低級アルコキシ
、チオアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、及びハロゲ
ンである場合、R6は水素又は低級アルキル基ではなく;(iii)R5が低級アル
キル、低級アラルキル、CH2OH、COOH、COOMe、又はCH2R”(但
し、R”は低級アルキル又はアシル基を表す。)である場合、R6は水素又は低
級アルキル基ではなく;(iv)R1がメトキシ基であり、R2がヒドロキシ、低級
アルコキシ、チオアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ又
はハロゲンであり、R5が低級アルキル、低級アラルキル、CH2OH、COOH
、COOMe又はCH2OR”(但し、R”は低級アルキル又はアシル基を表す
。)である場合、R6は水素又は低級アルキル基でなく;(v)R1からR5が水
素を表す場合、R6は水素又は低級アルキル基ではないという条件が付く。
この方法は、
(i)式16の化合物を、
但し、R1からR5は先に説明した意味を有する。
酸及び第二鉄塩である酸化剤の存在下において式R6−OH(但し、R6は低級ア
ルキル、低級アルケニル、(C3−C7)シクロアルキル、ハロアルキル又はヒド
ロキシアルキルを表す。)を有する化合物と反応し、式12の化合物及び式17
の化合物を得ること、
但し、R1、R2、R3、R4、R5は先に与えられた意味を有する。
(ii)ステップ(i)で調製した式12及び17の化合物を従来の方法によ
り分離すること、
(iii)式17の化合物を従来の方法により加水分解し、更なる量の式12
の化合物を得ること、
(iv)式12の化合物を、酸の存在下で式R6−OHを有する化合物と反応
し、式14の化合物を得ること、
但し、R1、R2、R3、R4及びR5は先に説明した意味を有し、R6は先に
定義したとおりである。
を具備する。
式14の、これらの5−アルコキシカンプトテシンの官能基の変換は、式1の、
大量の新規なC−5−N−置換20(S)−カンプトテシン類似体を製造し、本
発明の主題を形成する。
従って、この発見は、容易で用途の広い半合成的方法論に繋がる。この方法論
により、実質的に、文献で公知のあらゆるカンプトテシン誘導体を種々のC−5
置換カンプトテシン類似体に変換することができる。出願番号 、代
理人事件番号U011026−1の付いた特許に対する共に継続中の他の出願に
おいて、我々は式15の化合物を開示し、特許請求している。
但し、XはCH2又はCHR基を表す。
従って、本発明は、式12の化合物から出発して、R6が先に説明した意味を
有する種々の式1のC−5−N−置換20(S)−カンプトテシン誘導体を調製
する新規な方法を提供する。
但し、R1からR6は先に説明した意味を有する。
更に、式1の化合物により表される非常に多種類の置換基が、1mlあたり1m
gから15mgの範囲で水溶性を改善する。本発明により調製される全ての化合
物は、広範囲のヒト腫瘍細胞系に対してin nitroで十分な抗腫瘍活性をを示した
。
発明の詳細な説明
本発明は特に、式1を有する20(S)−カンプトテシンのC−5−N−置換
水
溶性類似体を提供する。 但し、R、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は先に説明した意味を有する
。本発明の全体を通して、これらの化合物のR1からR6を表す語は以下に定義す
るとおりである。
「低級アルキル」の語は、1から8の炭素原子を含有する一価の分岐又は直鎖
の炭化水素鎖を意味する。アルキル基の代表的な例は、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、sec.ブチル、tert.ブチル、ペンチル、イソペンチ
ル、tert.ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル及びオクチルである。
「低級アルケニル」の語は、1から8の炭素原子を含有するsp又はsp2炭
素中心を有する分岐又は直鎖炭化水素鎖を表す。アルケニル基の代表的な例は、
ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、イソプロペニル、イソブテニル、
プロパルギニル、ハキセニル及びオクテニルである。
「ハロゲン」又は「ハロ」の語は、塩素、臭素又はフッ素を表す。「ハロアル
キル」の語は、ハロゲン、好ましくはフッ素、臭素又は塩素で置換されたアルキ
ル基を意味する。ハロアルキル基の代表的な例は、クロロエチル、ブロモプロビ
ル、フルオロエチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル及びトリフルオロ
ブチルである。
「低級アルコキシ」の語は、分子の他の部分に酸素結合を介して結合された先
に定義したような低級アルキル基を意味する。これらの基の代表的な例は、メト
キシ、エトギシ、イソプロポキシ、tert.ブトキシ、ヘキソキシ、ヘブトキシ及
びオクトキシである。
「低級アルカノイル」の語は、分子の他の部分にカルボニル基を介して結合さ
れ
た先に定義したような低級アルキル又は低級アルケニル基を意味する。これらの
基の代表的な例は、アセチル、プロピオニル、プロペノイル、クロタノイル、ブ
タノイル、ペンタノイル及びイソペンタのイルである。
「アミノアルキル」の語は、アミノ基で置換された先に定義したような低級ア
ルキル基を表す。アミノアルキル基の代表的な例は、2−アミノプロピル、4−
アミノブチル及び5−アミノペンチルである。アミノ基はまた、一置換又は二置
換され得、これらの置換アミノ基の代表例は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ
、ジベンジルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、ピロリジノ、ピベリジノ(pi
peridino)、モルフィリノ及びピベリジノ(piperizino)である。
「ヘテロ原子」の語は、酸素、窒素又は硫黄をいう。「アリール又はヘテロア
リール」の語は、5又は6員環を有する芳香族性の基を表し、これらはフェニル
、ビフェニル、ナフチル、ピリジル、キノリン、イソキノリン、インドール、ピ
ロール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ピラミジン、ピペリジン(piperi
zine)、チオゾリジン及びイミダゾールから選択されうる。
本発明で使用される「置換フェニル」基の語は、ヒドロキシル、低級アルキル
、ハロアルキル、フェニル、ベンジル、ハロゲン、低級アルコキシ、チオアルコ
キシ、ベンジルオキシ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、アミノ、及び
アルキルアミノのような基から選択されうるそれらの置換基に関連する。このよ
うな基の例は、4−ヒドロキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−フルオロ
フェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、N,N−ジメチルアミノフェニル
、及び4−カルボメトキシフェニルである。
本発明で使用される「置換アルキル」基の語は、ヒドロキシル、アルキル、ハ
ロアルキル、フェニル、ベンジル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルコキシ、ベ
ンジルオキシ、カルボキシル、カルボニルオキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ア
ミノ及びアルキルアミノのような基から選択されうるそれらの置換基に関連する
。このような基の例は、フルオロエチル、クロロプロピル、ヒドロキシエチル、
メトキシプロピル、N,N−ジエチルアミノエチル、N−ベンゾイルアミノプロ
ピル、トリフルオロエトキシエチル、フェノキシエチル、カルボメトキシエチル
、(p−フルオロベンゾイルオキシ)エチル、アミノプロピル、及び2−チオエ
チルである。
本発明で使用される「置換アミノ」基の語は、ヒドロキシル、アルキル、ハロ
アルキル、ベンジル、ベンゾイル、アルコキシ、カルボキシル、アミド、アミノ
、及びアルキルアミノのような基から選択されうるそれらの置換基に関連する。
このような基の例は、N,N−ジエチルアミノ、N−ベンゾイルアミノ、N−メ
トキシアミノ、N−カルボエトキシアミノ、及びN−クロロエチルアミノである
。また、アミノ基上の両置換基は、互いに組合わさり5又は6員環系を形成する
ことができ、これらはピロリジノ、ピペリジノ(piperidino)、ピペリジノ(pi
perizino)、モルホリノ、イミダゾリノ、又はチアゾリジノにより表されうる。
炭素を含有し、酸素、硫黄及び窒素から選択されろ1又は2のヘテロ原子を任
意に含有する3から8員環系の例は、ピペリジン及びピロリジンである。
出願番号 、代理人事件番号U11024−5の、我々の共に継続中
の出願において、我々は式12の化合物及びこれらの調製方法を開示し、特許請
求した。
式12の化合物を使用して、我々は本発明で開示した式1の化合物を調製した
。
従って、本発明は、式1の化合物の調製方法を提供する。 但し、R1、R2、R3及びR4は、独立に、同じであるか、又は異なってお
り、
水素、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、低級アルカノイル、ニト
ロ、シアノ、ハロ、カルボキシ、カルボニルオキシ、アミノ、置換アミノ、低級
アルキル、置換低級アルキルであるか、又はR2、R3はお互いに組合わさり、−
O−(CH2)n−〇−(但し、n=1又は2である。)を表わし、R5は水素、
低級アルキル、置換低級アルキル、低級アラルキル、ヒドロキシメチル、カルボ
キシメチル、アミノメチル、アミノ基が1又は2置換される置換アミノメチルで
あって、2置換される場合、両置換基が独立であるか、又はお互いに組合わさり
、炭素を含有し、任意に1又は2の酸素、窒素又は硫黄から選択されるヘテロ原
子を含有する5〜6員環系(ここで5〜6は該環系の原子の数を表す。)を形成
し、Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルカノイル、置換低級ア
ルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルカノイル、フェニル、ベンジル又は
ベンゾリルであって、該フェニル基が無置換であるか、又は置換されうるもの;
又は低級アルコキシカルボニルを表し、R6は水素、ヒドロキシ、低級アルコキ
シ又はCOOR’(但し、R’は水素、低級アルキル又は低級アラルキルを表す
。)を表し、R6はまた、アミノ基が無置換でありうるか又は1若しくは2置換
されうるアミド又はアミノ基であって、2置換される場合、両置換基が独立であ
るか、又はお互いに組合わさり、炭素を含有し、1又は2の窒素、酸素又は硫黄
から選択されるヘテロ原子を任意に含有する3又は8の原子の環系を形成するの
もの;フェノキシ、フェニル、ベンゾイル又はベンジルであって、フェニル基が
無置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、シアノ、カルボ
キシ、ニトロ、アミド、アミノ、置換アミノ、低級アルキル、置換低級アルキル
から選択されうる1、2又は3の置換基で置換されうるもの;シクロアルキル又
はシクロアルキル低級アルキルであって、環が全て炭素原子である3員環から7
員環系の範囲であるもの;へテロ環で置換された低級アルキル基であって、該ヘ
テロ環系が3から7の原子を有し、前記環系が炭素に加えて、酸素、窒素又は硫
黄のようなヘテロ原子の少なくとも1つを含有し、該環系の原子の数が3から7
であるもの;低級アルカノイル、低級アルキル、置換低級アルキルであって、置
換基がハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシル、シ
アノ、チオ、チオ
アルキル、チオアリール、アリール、ヘテロアリール、ニトロ、アミノ基が無置
換であるか又は1又は2置換されうるアミド若しくはアミノ(2置換される場合
、両置換基は独立であるか、又はお互いに組合わさり、炭素を含有し、窒素、酸
素又は硫黄から選択される1以上のへテロ原子を任意に含有する5から8の原子
の環系を形成する。)を表わしうる。
この方法は、
(i)式12の化合物を、
但し、R1からR5は先に説明した意味を有する。
塩基の存在下で式R6−NH2を有する化合物と反応し、式13の化合物を得るこ
と、 但し、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は先に説明した意味を有する。
(ii)式13の化合物を塩基の存在下で式R−G(Gはハロゲンを表す。)
を有する試薬と反応し、式1の化合物を得ること
但し、Rは低級アルキル、フェニル、ベンジル又はベンゾイルであって、
該フェニル基が無置換であるか、又は置換されているもの;低級アルコキシカル
ボニル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、置換低級アルキル、低級アルカ
ノイル、又は置換低級アルカノイルを表し、R1からR6は先に説明した意味を有
する。
を具備する。
従って、これは、半合成的アプローチを用い、式12の化合物から出発して式
1のC−5−N−置換カンプトテシンを合成するための方法を開発した最初のも
のである。従って、本発明の方法により調製される式1の化合物は、新たに創生
されるC−5キラル中心を含有するジアステレオマーである。実際に、一般式1
の化合物は、20(S),5(R)及び20(S),5(S)ジアステレオマー
の混合物として単離される。しかし、従来の分析手法を適用することにより、こ
の2種類のジアステレオマーはまた、これらの単一の光学的に純粋なものに分離
される。
本発明の方法によれば、式12の化合物を、塩基の存在下で一般式R6−NH2
(但し、R6は先に述べた意味を有する。)の化合物と反応し、式13の化合物
を得る。この反応経路で使用される塩基は、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
水素化ナトリウム、水素化カリウム、ピリジン、ピぺリジン、トリエチルアミン
、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、又はジメチルアミノピリジンのような無
機又は有機塩基から選択されうる。該反応で使用される溶媒は、メタノール、エ
タノール、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム
、又はジクロロエタンから選択されうる。該反応は、40〜140℃の範囲の温
度で行われる。
C−5の置換が、NRR6のような二置換アミノ基である式1の化合物を得るた
めには、式13の化合物を、塩基の存在下で式R−G(但し、Gはハロゲンを表
し、Rは低級アルキル、フェニル、ベンジル又はベンゾイルであって、該フェニ
ル基が無置換であるか、又は置換されうるもの;低級アルコキシカルボニル、低
級アルカノイル、置換低級アルカノイル;低級アルケニル、置換低級アルキル;
又は置換低級アルケニルを表す。)と反応する。該反応で使用される塩基は、炭
酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム
、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン又は4−N
,N−ジメチル−アミノピリジンから選択されうる。該反応で使用される溶媒は
、ジクロロメタン、クロロホルム、べンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、
酢酸エチル又はこれらの溶媒の組合せから選択されうる。該反応の温度は、0℃
から100℃の範囲、好ましくは0℃から60℃の範囲でありうる。
従って、本発明は、抗腫瘍剤及び/又は抗ウイルス剤として有用なC−環が修
飾されたカンプトテシン類似体の新たなクラスとして5−N−置換20(S)−
カンプトテシン誘導体を開発するのに特に重要である。本発明はまた、ここで開
発し、開示した方法が、一般式1を有するこれらのカンプトテシン誘導体の大量
合成に対して、非常に用途が広く、修正可能であるので特に重要である。
本発明で開発され、開示された方法論は、20(S)−カンプトテシンのA環
及びB環上に種々の置換基を有するC−5の置換された広範囲のC−環類似体へ
アクセスする手段を提供する。幾つかの好ましい化合物は、R1がニトロ、アミ
ノ、アミノアルキル、ヒドロキシ、又はメトキシであり、R2がヒドロキシ、カ
ルボニルオキシ又はハロであり、R2、R3が一緒に組合わさり、メチレンジオキ
シ又はエチレンジオキシを表し、R5がエチル、アミノメチル又は置換アミノメ
チルであり、R6がヒドロキシ、メチル、2’−ヒドロキシエチル、4−ヒドロ
キシブチル、アルコキシエチル又はアミノエチルであって、アミノ基がジメチル
アミノ、ジエチルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ(piperidino)、モルホリノ、
ピペリジノ(piperizino)、又はイミダゾリノであるものであり、Rがメチル、ア
リル、ベンジル、tert.ブトキシカルボニル(Boc)、ベンゾイル、p−フル
オロベンゾイル、p−クロロベンゾイル、又はp-tert.ブチルベンゾイルであり
うる化合物である。
このような例の代表的なものは、
1)5−ヒドロキシルアミノCPT、
2)5−ヒドロキシエチルアミノCPT、
3)5−ベンジルアミノCPT、
4)5−N,N−ジメチルアミノエチルアミノCPT、
5)5−(1’,3’−ジヒドロキシプロピルアミノ)CPT、
6)5−クロロエチルアミノCPT、
7)5−(4’−ヒドロキシブチルアミノ)CPT、
8)9−メトキシ−5−(N,N−ジメチルエチレンジアミノ)CPT、
9)9−メトキシ−5−(1’,2’−ジヒドロキシプロビルアミノ)CPT
、
10)9−メトキシ−5−ピロリジノメチルアミノCPT、
11)9−メトキシ−5−(4’−ヒドロキシブチルアミノ)CPT、
12)9−メトキシ−5−モルフィリノエチルアミノCPT、
13)9−メトキシ−5−ピペリジノエチルアミノCPT(9-Methoxy-5-pipe
ridinoethylamino CPT)、
14)5−ピペリジノエチルアミノCPT(5-Piperidinoethylamino CPT)、
15)5−ピロリジノエチルアミノCPT、
16)5−ピペリジノエチルアミノCPT(5-Piperizinoethylamino CPT)、
17)5−(N−ベンゾイル−2’−ヒドロキシエチルアミノ)CPT、
18)5−(N−tert.ブトキシカルボニルオキシ−2’−ヒドロキシエチル
アミノ)CPT、
19)5−メチルアミノCPT、
20)5−メチルアミノ−10−ヒドロキシCPT、
但し、CPTは20(S)−カンプトテシンを表す。
である。
本発明により調製されるほとんどの化合物は、37℃で1mlあたり、1mg
から15mgの範囲の水溶性を有する。本発明で調製された化合物は、国立ガン
研究所(NCI)、ベテスダ、メリーランド州、U.S.A.で行われた60の
ヒト腫瘍細胞系アッセイから得られた結果によれば、種々のヒト腫瘍細胞系に対
して、in vitro
で良好な抗腫瘍活性を示した。
表1及び表2に示された結果は、以下に示される米国国立ガン研究所(NCI
)のプロトコールに従った実験を行うことにより得られた。
各試験化合物を、8種類の器官から得た60種の一連のヒト細胞系に対してス
クリーニングした。典型的な手順では、個々の細胞タイプ及び予想した標的細胞
密度(細胞成長特性に基づいてウェルあたり5000〜40,000細胞)に従
って希釈された細胞懸濁物を96−ウェルマイクロタイタープレートに加えた。
接種物を、安定化のために37℃で24時間予備インキュベーションさせた。意
図した試験濃度の2つの希釈物を、ゼロ時に100μlアリコートでマイクロタ
イタープレートのウェルに加えた。通常、試験化合物を50倍希釈で評価した。
この試験で使用される最も高いウェル濃度は10-4Mである。次にこの細胞を、
医薬(試験化合物)の存在下、5%CO2雰囲気下、100%湿度で更に48時
間インキュベートした。この時間の最後に、接着した細胞をトリクロロ酢酸によ
りプレートに固定し、多数洗浄した後、細胞層をタンパク質染色剤スルホローダ
ミンBで処理した。次に、タンパク質の塊体に比例した光学密度を、自動分光測
光プレートリーダーにより515nmの波長で読みとった。読み取りをマイクロ
コンピュータに移し、特別に開発したソフトウェアを用いて最終記録を得た。
表1
a IC5O=NCIの60種のヒト腫瘍細胞系アッセイに対して50%細胞成
長阻害(GI)を生じるのに必要な薬物の最小医薬濃度(μm)の平均値。
表2
例1、11及び12に対するin vitroでの抗腫瘍活性データ
ここに示されたデータは、μm濃度での50%成長阻害(GI)値を表す。NS
LCは、非小細胞肺ガンを表し、CNSは中枢神経系を表す。
本発明の一般式1の化合物(これらの薬学的に許容しうる塩、及びこれらを含
有する組成物を含む。)の全ては、抗ガン剤及び抗ウイルス剤として有用である
。純粋な形態又は適切な薬学的組成物の新規な式1の活性な化合物の投与は、同
様な効用をもたらす投与の何れかの許容された方法を経て行われうる。従って、
投与は、
例えば錠剤、座薬、ピル、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、エマルジョン、クリ
ーム、ローション、エアロゾル、軟膏、注射剤等のような固体、半固体、凍結乾
燥した粉末の形態、又は液体投与量形態で、例えば経口、鼻、非経口又は局所的
、好ましくは正確な用量の簡単な投与に適した単位投与量形態でありうる。組成
物には、従来の薬学的担体、希釈剤又は賦形剤及び一般式1の活性な化合物が含
まれ、加えて、医薬、薬学的薬剤、希釈剤、担体、アジュバント等も含まれうる
。
本発明は、以下に与えられる特別な実験例で詳細に説明される。該例は、例示
のためにのみ提供され、本発明の範囲を制限するものではない。
実験例:
例1 5−ヒドロキシアミノカンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(200mg)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(200mg)の混合物を、30
mlのメタノールに懸濁し、ピリジン(1ml)の存在下で還流するように20
時間加熱した。反応混合物を、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エ
チルで抽出した。有機層を食塩水で乾燥し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶
媒を蒸発させて油状残渣を得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液に用
いてシリカゲルカラムで精製し、140mgの式13の5−ヒドロキシルアミノ
カンプトテシン(R1=R2=R3=R4=R5=H及びR6=OH)を白色の固体とし
て得た。
例2 5−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(200mg)及び2−アミノエタノール(60mg)の混合物を15mlのメ
タノールに懸濁し、ピリジン(1ml)の存在下、70℃で24時間加熱した。
反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩
水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて油状残渣を得、
これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲルカラムで精製し
、R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2OHである式13の5−(2
’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシン140mgを白色固体として得た
。
例3 5−(4’−ヒドロキシブチルアミノ)カンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(100mg)及び4−アミノブタノール(50mg)の混合物を10mlのメ
タノールに懸濁し、ピリジン(0.5ml)の存在下、65℃で10時間加熱し
た。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて油状残渣を
得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲルカラムで精
製し、R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2CH2CH2OHである式
13の5−(4’−ヒドロキシブチルアミノ)カンプトテシン80mgを淡黄色
の固体として得た。
例4 5−(N,N−ジメチルエチレンジアミノ)カンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(200mg)及びN,N−ジメチルエチレンジアミン(100mg)の混合物
を、
20mlのメタノールに懸濁し、トリエチルアミン(1ml)の存在下で還流す
るように8時間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチル
で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を
蒸発させて油状残渣を得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液に用いて
シリカゲルカラムで精製し、R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2N
Me2である式13の5−(N,N−ジメチルエチルレンジアミノ)カンプトテ
シン145mgを固体として得た。
例5 5−ベンジルアミノカンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(100mg)及びベンジルアミン(40mg)の混合物を、6mlのメタノー
ルに懸濁し、トリエチルアミン(0.3ml)の存在下、75℃で10時間加熱
した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層
を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて油状残渣
を得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲルカラムで
精製し、R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2Phである式13の5−ベ
ンジルアミノカンプトテシン60mgを固体として得た。 例6 5−(2’−クロロエチルアミノ)カンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(50mg)及び2−クロロエチルアミン(20mg)の混合物を6mlのメタ
ノールに懸濁し、トリエチルアミンの存在下で還流するように24時間加熱した
。反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて油状残渣を得、こ
れを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲルカラムで精製し、
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2Clである式13の5−(2’
−クロロエチルアミノ)カンプトテシン30mgを固体として得た。
例7 5−(N,N−ジメチルエチレンジアミノ)−9−メトキシカンプトテシンの合 成
R1=OMe、R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプ
トテシン(100mg)及びN,N−ジメチルエチルレンジアミン(46mg)
の混合物を25mlのメタノールに懸濁し、トリエチルアミン(1ml)の存在
下で還流すろように6時間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を
酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を蒸発させて油状物を得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液
に用いてシリカゲルカラムで精製し、R1=OMe、R2=R3=R4=R5=H、
R6=CH2CH2N
Me2である式13の5−(N,N−ジメチルエチレンジアミノ)−9−メトキ
シカンプトテシン30mgを固体として得た。
例8 5−(1’,3’−ジヒドロキシプロピル−2’−アミノ)カンプトテシンの合 成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(100mg)及びセリノール(60mg)の混合物を10mlのメタノールに
懸濁し、トリエチルアミン(0.5ml)の存在下で還流するように16時間加
熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機
層を食塩水で洗浄して油状物を得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液
に用いてシリカゲルカラムで精製し、R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH
(CH2OH)CH2OHである式13の5−(1’,3’−ジヒドロキシプロピ
ル−2’−アミノ)カンプトテシン75mgを固体として得た。 例9 5−(1’,2’−ジヒドロキシプロピルアミノ)−9−メトキシカンプトテシ ンの合成
R1=OMe、R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシ−9−
メトキシカンプトテシン(100mg)及び3−アミノ−1,2−ジヒドロキシ
プロパン(46mg)の混合物を、20mlのメタノールに懸濁し、ピリジン(
0.5ml)の存在下で還流するように20時間加熱した。反応混合物を乾燥す
るまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて油状残渣を得、これをメタノール−
クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲルカラムで精製し、R1=OMe、R2=
R3=R4=R5=H、R6=CH2CHOHCH2OHである式13の5−(1’,
2’−ジヒドロキシプロピルアミノ)−9−メトキシカンプトテシン40mgを
固体として得た。
例10 5−(4’−ヒドロキシブチルアミノ)−9−メトキシカンプトテシンの合成
R1=OMe、R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシ−9−
メトキシカンプトテシン(100mg)及び4−アミノブタノール(42mg)
の混合物を20mlのメタノールに懸濁し、ピリジン(0.4ml)の存在下で
還流するように15時間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢
酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した
。溶媒を蒸発させて油状残渣を得、これを、メタノール−クロロホルムを溶出液
に用いてシリカゲルカラムで精製し、R1=OMe、R2=R3=R4=R5=H、
R6=CH2CH2CH2CH2OHである式13の5−(4−ヒドロキシブチルア
ミノ)−9−メトキシカンプトテシン48mgを固体として得た。
例11 10ヒドロキシ−5−ヒドロキシアミノカンプトテシンの合成
R2=OH、R1=R3=R4=R5=Hである式12の10,5−ジヒドロキシ
カンプトテシン(50mg)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(50mg)の混合
物を10mlのメタノールに懸濁し、ピリジン(0.5ml)の存在下で還流す
るように18時間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチ
ルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒
を蒸発させて油状残渣を得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶出液に用い
てシリカゲルカラムで精製し、R=R1=R3=R4=R5=H、R2=R6=OHで
ある式1の10−ヒドロキシ−5−ヒドロキシアミノカンプトテシン35mgを
固体として得た。 例12 5−メチルアミノカンプトテシンの合成
R1=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン(1
00mg)及び40%メチルアミン水溶液(0.2ml)の混合物を10mlの
メタノール
に溶解し、65℃で16時間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣
を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で乾燥し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。溶媒を蒸発させて油状残渣を得、これを、酢酸エチル−クロロホルムを溶
出液に用いてシリカゲルカラムで精製し、R1=R3=R4=R5=H、R6=CH3
である式13の5−メチルアミノカンプトテシン75mgを固体として得た。
例13 5−(N−ベンゾイル,N−2’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシン の合成
ステップ1:
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2OHである式13の5−(2
’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシンを例2で説明したように調製した
。
ステップ2:
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2OHである式13の5−(2
’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシンの10ml酢酸エチル溶液へ5m
lの飽和重炭酸ナトリウム溶液加え、次いで1.2等量の塩化ベンゾイルを加え
、反応混合物を25℃で2時間攪拌した。反応混合物を氷水にあけ、酢酸エチル
で抽出した。有機層を蒸発させ、得られた残渣を、シリカゲルカラムで精製し、
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2OH、R=COPhである式1
の5−(N−ベンゾイル,N−2’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシン
64mgを得た。
例14 5−(N−tert.ブトキシカルボニル,N−2’−ヒドロキシエチルアミノ)カ ンプトテシンの合成
ステップ1:
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2OHである式13の5−(2
’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシンを例2で説明したように調製した
。
ステップ2:
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2OHである式13の5−(2
’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシン50mgの酢酸エチル8ml溶液
へ20mgの飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えて、次いで1.2等量のジ−tert
.ブチルジカーボネートを加え、反応混合物を25℃で3時間攪拌した。反応混
合物を氷水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、得られた残渣を
シリカゲルカラムで精製してR1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2O
H、R=OCOButである式1の17−(N−tert.−ブトキシカルボニル,N
−2’−ヒドロキシエチルアミノ)カンプトテシン64mgを得た。
例15 5−(ピロリジノエチルアミノ)カンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(100mg)及びピロリジノエチルアミン(42mg)の混合物を15mlの
メタノールに懸濁し、ピリジン(0.4ml)の存在下で還流するように18時
間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。
有機層を食塩水
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて油状残渣を得、こ
れを、メタノール−クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲルカラムで精製し、
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2N(CH2)4である式13の5−
(ピロリジノエチルアミノ)カンプトテシン48mgを固体として得た。
例16 5−(ピペリジノエチルアミノ)カンプトテシン(5-(piperidinoethylamino) -camptothecin )の合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(250mg)及びピペリジノエチルアミン(100mg)の混合物を25ml
のメタノールに懸濁し、ピリジン(0.8ml)の存在下で還流するように18
時間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した
。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて
油状残渣を得、これを、メタノール−クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲル
カラムで精製し、R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2N(CH2)5
である式13の5−(ピペリジノエチルアミノ)カンプトテシン220mgを固
体として得た。
例17 5−(2’−メトキシエチルアミノ)カンプトテシンの合成
R1=R2=R3=R4=R5=Hである式12の5−ヒドロキシカンプトテシン
(150mg)及び2’−メトキシエチルアミン(73mg)の混合物を、20
mlのメタノールに懸濁し、ピリジン(0.6ml)の存在下で還流するように
18時間加熱した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出
した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発さ
せて油状残渣を得、これを、アセトン−クロロホルムを溶出液に用いてシリカゲ
ルカラムで精製し、R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=CH2CH2OMeであ
る式13の5−(2’−メトキシエチルアミノ)カンプトテシン98mgを固体
として得た。 例18 5−(N,N−ジメチルアミノ)カンプトテシンの合成
ステップ1:
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=Meである式13の5−(N−メチルア
ミノ)カンプトテシンを例2で説明したように調製した。
ステップ2:
R1=R2=R3=R4=R5=H、R6=Meである式13の5−(N−メチルア
ミノ)カンプトテシン100mgの10ml酢酸エチル溶液へ、250mlの無
水炭酸カリウムを加え、次いで1.2等量のヨウ化メチルを加え、反応混合物を
65℃で10時間加熱した。アセトンを除去し、残渣を酢酸エチルで希釈し、水
及び食塩水で洗浄した。有機層を蒸発させ、得られた残渣をシリカゲルカラムで
精製し、R1
=R2=R3=R4=R5=H、R6=Meである式1の5−(N,N−ジメチルア
ミノ)カンプトテシン60mgを得た。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,
CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G
B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG
,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,
LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,
UZ,VN,YU
(72)発明者 デュブリ、スブラーマニャム
インド国、アンドラ・プラデシュ、ハイド
ラバード 500 016、アメールペット 7
―1―27
(72)発明者 アケラ、ベンカテスバール
インド国、アンドラ・プラデシュ、ハイド
ラバード 500 016、アメールペット 7
―1―27
(72)発明者 ベデュラ、シャーマ・マノハラ
インド国、アンドラ・プラデシュ、ハイド
ラバード 500 016、アメールペット 7
―1―27
(72)発明者 クラカーニ、アーチャナ・プラバーカー
インド国、アンドラ・プラデシュ、ハイド
ラバード 500 016、アメールペット 7
―1―27