JP2000509791A - 軸受構造のための封止装置及び軸受装置の封止のための構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、第１の内軌道輪（５）を有する第１の軸受（３）と、第２の内軌道輪（８）を有する第２の軸受（４）とを含み、これら内軌道輪（５，８）は該内軌道輪（５，８）間にギャップ（１２）が形成されるようにシャフト（１）上に互いに隣接して配置され、これにより前記シャフト（１）と、シャフト（１）に面した内軌道輪（５，８）の表面との間にオイルが供給される軸受アセンブリ用の封止装置（１６）に関する。本発明は、内軌道輪（５，８）上に取り付けるためのほぼ環状の部材（１７）を含み、かつ封止装置（１６）を内軌道輪（５，８）に対して軸方向に位置決めする位置決め部材（１８）と、各内軌道輪（５，８）に対して封止を行う封止要素（２１，２２）とを含むことを特徴とする。本発明によって、特に自動車の車軸用の改善されたグリース潤滑された封止装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】 軸受構造のための封止装置及び軸受装置の封止のための構造 技術分野 本発明は、請求の範囲１の前文に記載の封止装置に関する。本発明の主たる用 途は、自動車（motor vehicle）の車軸用の軸受アセンブリに関連したものであ る。 発明の背景 自動車に関連して、各車軸に取り付けられた車輪の支持用に様々な種類の軸受 が使用されている。例えば重量の大きい商用車輌では、後輪は隣接して設置され た２つのころ軸受によって車輌の後車軸の軸受に取り付けられる。先行技術では 、これらのころ軸受は一般には互いに支え合うように隣接して支持される。ころ 軸受は、未設置状態では、ほぼ環状で後車軸上に配置される軸受けリングによっ て一緒に維持される。 軸受の内軌道輪の内面、つまり内軌道輪の内側と後車軸自体の外側とから構成 される表面上には、軸受および後車軸の腐食防止用に薄い油層を設けなければな らない。このオイルは後車軸内部を通じて連続的に供給され、後車軸の周辺面と 各ころ軸受の内面との間に案内される。 さらに、先行技術では、ころ軸受自体がベアリンググリースによって潤滑され る。このベアリンググリースは、ころ軸受の組立時に供給され、シールによって 軸受のころおよび軌道輪に保持される。 従来の後車軸アセンブリで発生する問題は、２つのころ軸受の内軌道輪間に小 さなギャップすなわち間隙が形成されることに関する。このため車輌動作時に、 ころ軸受内面と後車軸内面との間の油層がこのギャップを突き抜けてしまうとい うリスタをともなう。これは車輌動作時に後車軸で常に起こりうる微細な動きの 結果として生じる場合もあり、内軌道輪間のギャップを完全に封止状態に保つこ とができなくなってしまう。 ２つの軸受間のギャップを介してオイルが放射状に漏れると、いくつかの不都 合が生じる。まずオイルはころ軸受のベアリンググリースにとって有害であり、 またオイルは小粒子状の不純物を含む場合があり、これが軸受上に堆積して、当 然、不都合を生じる。漏れに関するさらなる問題は、後車軸表面と内軌道輪の内 面とが乾いてしまうおそれがあることであり、これは軸受と後車軸との間の接蝕 腐食の危険性を意味する。これにより、例えば車輪交換がかなり困難になってし まう。 上記の理由から、内軌道輪間のギャップ封止用のシールが必要とされている。 しかしこれを達成するのは難しい。特にギャップの回りの領域は軸受がいったん 定位置にプレスされるとアクセス不能になることからである。このため軸受およ び軸受用シールの設置が困難となる。 発明の概要 本発明の目的は、主として自動車の車軸上の軸受アセンブリに関連して封止用 として用いられる改善された封止装置を提供し、これにより従来の同種の装置の 欠点を克服することである。この目的は序文で述べた種類の装置によって達成さ れ、該装置の特徴は請求の範囲１に明示されている。 本発明は、軸受アセンブリとともに用いられることを意図した封止装置から構 成され、封止装置は、第１の内軌道輪を有する第１の軸受と、第２の内軌道輪を 有する第２の軸受とを含み、これら内軌道輪は互いに隣接してシャフトに配置さ れ、この間にギャップが形成される。さらに、該シャフトとシャフト側を向いた 内軌道輪表面との間にはオイルが供給される。本発明に従えば、封止装置は内軌 道輪上に載置するほぼ環状の部材から構成される。この環状部材は、封止装置を 内軌道輪に対して軸方向に位置決めする位置決め部材と、各内軌道輪に対して封 止を行う封止部材とを含む。 実施形態の利点は後述の請求の範囲に明示される。 図面の簡単な説明 以下、添付の図面に示される実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明す る。 図１は、本発明に従う封止装置を設けた後車軸の部分断面図である。 図２は、本発明に従う封止装置の縮尺をわずかに大きくとった断面図である。 好適な実施形態の詳細な説明 図１に、本発明に従う封止装置を示す。好適な実施形態では、本発明は、例え ば商用車輌等の自動車の後車軸１に関連して配置される。後車軸１上には、少な くとも１つの車輪（図示せず）用の車輪中心２が配置される。車輪中心２は、内 ころ軸受３と外ころ軸受４とを介して後車軸１に懸架される。内ころ軸受３は、 第１の内軌道輪５と、多数の軸受ころ６と、第１の外軌道輪７とを含む。これに 対応して、外ころ軸受４は、第２の内軌道輪８と、多数の軸受ころ９と、第２の 外軌道輪１０とを含む。 第１の内軌道輪５および第２の内軌道輪８は、後車軸１上で隣接して配置され る。さらに、内軌道輪３，４は環状軸受リング１１によって後車軸１に沿って所 定の軸方向の位置に固定される。動作時には、ころ軸受３，４は、対向する内軌 道輪５，８の端縁間に、間隙すなわちギャップ１２が形成されるように、互いに 隣接して配置される。 ころ軸受３，４間には、ころ軸受３，４の潤滑用のベアリンググリースを充填 した空間１３が設けられる。さらに、序文で説明したように、後車軸１の周辺面 と、各内軌道輪５，８の内面との間にオイルが供給される。オイルは、オイルタ ンク（図示せず）から後車軸１の内部を通り、後車軸１端部の開口１４から連続 的に供給される。オイルは後車軸１および軸受３，４の腐食防止に使用され、こ のために、後車軸１の外側に沿って案内され、案内溝（図示せず）を通り、さら に後車軸１の周辺面と各内軌道輪５，８の内面との間を通る。オイルが意図した 場所からそれて流れないように、シール１５が設けられる。 上記で説明したように、オイルがギャップ１２を通り、ベアリンググリース用 の空間１３に入ってしまう危険性がある。このため、本発明では、このギャップ １２の近傍に特別な封止装置１６が配置される。封止装置１６は図２に別途示す が、ほぼ環状の部材１７から構成され、この部材は好適には鋼またはこれに相当 する材料からできている。リング１７の内側（半径方向）へ曲がる側面には、図 １ではギャップ１２のところで２つの内軌道輪５，８に当接するようになってい る周辺の突出エッジ１８が設けられる。このため、内軌道輪５，８の互いに対向 する端縁部はわずかに傾斜しており、これは封止装置１６が取り付けられること により、エッジ１８が固定または位置決め部材として作用することを示す。こう して封止装置１６は内軌道輪５，８に対して正確に軸方向に位置決めできる。 再び図２を参照すると、リング１７には２本の周辺溝１９，２０が設けられ、 これらの溝はエッジ１８の両側に設けられる。各溝１９，２０は、ほぼ従来型、 つまりゴムまたは同様の材料からできたＯ型リング２１，２２をそれそれ収容す る。２つのＯ型リング２１，２２は各内軌道輪５，８（図１参照）を強く圧迫す る。 ころ軸受３，４を取り付けるには、まず封止装置１６を内ころ軸受３上の定位 置に取り付ける。その後、ころ軸受３，４の内軌道輪５，８を軸受リング１１で 接続する。取り付け時には、リング１７の内向きのエッジ１８が内軌道輪５，８ 間のキャップ１２のところにくるようにする。内軌道輪５，８の傾斜面は、互い に隣接しているので、封止リング１７上のエッジ１８の形に対応する溝または窪 み形状の変形部を形成する。封止装置１６が正しい位置に設置され、ころ軸受３ ，４が軸１上の定位置に取り付けられると、封止装置１６がころ軸受３，４に対 して間違った位置にくる心配はなくなる。 本発明は上記の実施形態に限定するものではなく、請求の範囲内で変形が可能 である。例えば、本発明の一変形例では、封止装置は、上記のＯ型リング２１， ２２と同態様で封止を行う周辺に配置された封止部材を備える硬化スチールリン グから構成してもよい。ただし高圧下で適用する場合はＯ型リングが好ましい。 本発明の一変形例では、内向きのエッジ１８を、封止リング１７の内側に設け られる周辺溝に配置されるゆるい環状スレッドまたはリングと取り替えてもよい 。この場合、封止装置１６に位置決め機能を与えることが可能である。 さらに、本発明は自動車の後車軸での使用に限定するものではなく、汚れたオ イル環境中に配置されるグリース潤滑した軸受を備える他種類のシャフトに用い てもよい。 内軌道輪５，８の傾斜端縁（内向きのエッジ１８と相互作用する）の代わりに 、 例えば第１の内軌道輪５に、エッジ１８が相互作用しうる変形部、例えば周辺溝 を設けてもよい。この方法によれば、封止装置を正確に位置決めできる。 最後に、本発明はころ軸受等の別の種類の軸受で使用してもよい。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 第１の内軌道輪（５）を有する第１の軸受（３）と、第２の内軌道輪（８ ）を有する第２の軸受（４）とを含み、これら内軌道輪（５，８）は該内軌道輪 （５，８）間にギャップ（１２）が形成されるようにシャフト（１）上に互いに 隣接して配置され、これにより前記シャフト（１）と、シャフト（１）に面した 内軌道輪（５，８）の表面との間にオイルが供給される軸受アセンブリ用の封止 装置（１６）であって、 前記封止装置は、内軌道輪（５，８）上に取り付けるためのほぼ環状の部材（ １７）によって構成され、かつ封止装置（１６）を内軌道輪（５，８）に対して 軸方向に位置決めする位置決め部材（１８）と、各内軌道輪（５，８）に対して 封止を行う封止部材（２１，２２）とを含むことを特徴とする封止装置。 ２． 請求の範囲１に記載の封止装置（１６）において、 前記位置決め部材（１８）は、前記内軌道輪（５，８）の少なくとも一方の変 形部と相互作用するように配置された内向きの周辺エッジ（１８）によって構成 されることを特徴とする封止装置。 ３． 請求の範囲１または２に記載の封止装置（１６）において、 前記封止要素（２１，２２）は少なくとも１つのＯ型リングから構成されるこ とを特徴とする封止装置。 ４． 前掲の請求の範囲のいずれかに記載の封止装置（１６）において、 前記ほぼ環状の部材（１７）は、前記位置決め部材の各側部に周辺溝（１９， ２０）を含み、これらの溝（１９，２０）は前記封止部材（２１，２２）を支持 することを特徴とする封止装置。 ５． 第１の内軌道輪（５）を有する第１の軸受（３）と、第２の内軌道輪（８ ）を有する第２の軸受（４）とを含み、これら内軌道輪（５，８）は該内軌道輪 （５，８）間にギャップ（１２）が形成されるようにシャフト（１）上に互いに 隣接して配置され、これにより前記シャフト（１）と、シャフト（１）に面した 内軌道輪（５，８）の表面との間にオイルが供給される軸受アセンブリを封止す る場合の構造であって、 内軌道輪（５，８）は、封止装置（１６）を内軌道輪（５，８）に対して軸方 向に位置決めする位置決め部材（１８）を含むほぼ環状の封止部材（１６）と相 互作用するための変形部を形成するように設計され、これにより前記封止部材（ １６）は各内軌道輪（５，８）に対して封止を行う手段（２１，２２）を含むこ とを特徴とする構造。 ６． 請求の範囲５に記載の構造において、 前記変形部は前記内軌道輪（５，８）上の周辺部の傾斜面すなわちベベル面に よって構成され、これにより双方の内軌道輪（５，８）は前記位置決め部材（１ ７）と相互作用するための溝状の窪みを形成することを特徴とする構造。 ７． 請求の範囲５または６に記載の構造において、 前記位置決め部材（１８）は前記封止部材（１６）上の内向きの周辺エッジ（ １８）によって構成されることを特徴とする構造。 ８． 請求の範囲５〜７のいずれかに記載の構造において、 前記手段（２０，２１）は前記封止部材（１６）上に設置されるＯ型リングに よって構成されることを特徴とする構造。