【発明の詳細な説明】
トロンビンによって活性化され得るプラスミノーゲンアクチベーター
本発明は、トロンビンで活性化し得るプラスミノーゲンアクチベーター、血栓
塞栓疾患(thromboembolic disease)を処置する医薬、そのようなプラスミノー
ゲンアクチベーターを含有する医薬組成物およびその用途に関する。
組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−pA)は、プラスミノーゲンのプ
ラスミンへの転換を触媒するいくつかのドメインからなるセリンプロテアーゼで
あり、フィブリン溶解治療に用いられる。
多くのt−PA変種および変異体が公知であり、例えば、T.J.R.Harris(1987
)およびJ.Krause(1988)による概説文献がある。
t−PAの作用の機序に関しては、フィブリン溶解が、t−PAとプラスミノ
ーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI−1、セルピンファミリー由来の
セリンプロテアーゼインヒビター)との相互作用によって部分的に調節されてい
ることが、その他のものの中でも知られている。PAI−1は、主にアミノ酸2
96〜302を介してt−PAに結合する。この領域の変異は、PAI−1のt
−PAに対する阻害効果を低下させる(E.L.Madison et al.(1990))。
t−PAのアミノ酸領域296〜302とPAI−1との間の相互作用の機序に
関してさらなる調査が行われた(例えば、E.L.Madison,Nature 339(1989)721
-723;R.V.Schohet, Thrombosis and Haemostasis 71(1994) 124-128;C.J.Re
fino,Thrombosis and Haemostasis 70(1993)313-319;N.F.Paoni,ProteinEngin
eering 6(1993)529-534およびThrombosis and Haemostasis 70(1993)307-3
12;W.F.Bennett,J.Biol.Chem.266(1991)5191-5201;D.Eastman,Biochemistr
y 31(1992)419-422を参照されたい)。
改変されていないヒトt−pA(以下、t−PAという)は、血漿中で生じる
形態では527アミノ酸からなり、プラスミンにより2本の鎖に切断され得るが
、ジスルフィド架橋によって依然として一緒に保持されている。A鎖(重鎖とも
呼ばれる)は、4つの構造ドメインからなる。フィンガードメイン(アミノ酸1
〜49)には、フィブロネクチンのフィンガ一構造とある種の類似性がある。成
長因子ドメイン(アミノ酸50〜86)は、ある程度、ネズミおよびヒトの上
皮成長因子と相同である。クリングルドメイン(アミノ酸87〜261)は、相
当程度、プラスミノーゲンの4番目と5番目のクリングルドメインに相同である
。t−PAのフィンガーおよびクリングル2ドメインは、特に、フィブリン結合
およびフィブリンによるタンパク質分解活性の刺激に関与する。t−PAのB鎖
(アミノ酸276〜527、プロテアーゼドメイン)は、セリンプロテアーゼで
あり、ウロキナーゼおよびプラスミンのB鎖に実質的に相同である(T.J.R.Harr
is(1987)およびJ.Krause(1988))。
t−PAの酵素活性(プラスミノーゲンのプラスミンへの触媒的活性化)は、
フィブリンまたはフィブリン切断産物の非存在下では低いが、これらの刺激物質
の存在下で増加する(10倍以上)。t−PAのin vivoでの作用の機序は、例
えば、Korninger and Collen,Tromb.Haemostasis 46(1981)561-565に記載され
ている。t−PAは、プラスミノーゲンをプラスミンヘ活性化する。プラスミン
はフィブリンを切断して可溶性のフィブリン切断産物を形成する。t−PAは、
血中に存在するプロテアーゼ/プラスミンによって、アミノ酸275(アルギニ
ン)と276(イソロイシン)との間で切断され、それにより活性化される。こ
の過程では、2つの部分鎖はシステイン架橋により結合したままである。
フィブリンおよびフィブリン切断産物による活性を刺激する能力は、t−PA
の必須の特徴で、それによりt−PAは他の公知のプラスミノーゲンアクチベー
ター、例えば、ウロキナーゼまたはストレプトキナーゼから区別される。刺激の
効力は、t−PAのアミノ酸配列を改変することによりさらに改良することがで
きる。刺激の効力の測定は、フィブリン存在下および非存在下での触媒効率の比
(kcat/Km)である。kcatは、触媒反応の速度定数で、Kmはミハエリス定数
である。t−PAの刺激の効力はアミノ酸292および/または305を改変す
ることにより19倍〜81倍にまで増加し得る(E.L.Madison et al.,Science 26
2(1993)419-421)。
t−PA誘導体は、米国特許第5,501,853号から公知であり、それは
、アミノ酸272〜280の領域、特に274〜277の領域、およびさらには
グリコシル化部位の領域(117〜119および184〜186)において改変
されている。このようなt−PA誘導体は、改良されたタンパク質分解およびプ
ラ
スミノーゲン分解活性、阻害に対して低下した感受性、フィブリンに対する改良
された親和性および/またはプラスミノーゲン分解活性の改良されたフィブリン
依存性を有する。
トロンビンで活性化し得るプラスミノーゲンアクチベーターは、Wen-Pin Yang
et al.,によりBiochemistry 33(1994)2306-2312に記載されている。このキ
メラプラスミノーゲンアクチベーター(59D8-scuPA-t)は、抗−フィブリン抗体
のFabフラグメント(59D8)と、低分子量の一本鎖ウロキナーゼプラスミノー
ゲンアクチベーター(scuPA)から、部位特異的変異誘発によるアミノ酸Phe-157
とLys-158の欠失によって得られるトロンビンで活性化し得る低分子量の一本鎖
ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(scuPA-t)のC末端部分から調
製された。
トロンビンで活性化し得るプラスミノーゲン変異体は、K.N.Dawson et al.,
によりJ.Biol.Chem.269(1984)15989-15992に記載されている。これらのプラス
ミノーゲン誘導体は、切断部位のP3、P2およびP1’アミノ酸をトロンビン
で切断できる配列によって置換することにより得られた。
N.F.Paoni et alは、Protein Engineering 5(1992)259-266において、t−
PAのアミノ酸領域296〜299における改変を記載している。その結果、改
良されたフィブリン特異性が得られている。
トロンビンで活性化し得るプラスミノーゲンアクチベーターは、米国特許第5
,200,340号に記載され、それは、それらが活性化のためのトロンビン切
断部位を含むように改変されている。それはまた、成長因子ドメイン(EGFド
メイン)はそのようなt−PA誘導体中で欠失させることもできるが、フィブリ
ン結合ドメイン(フィンガードメイン)およびクリングル構造は保存されなけれ
ばいけないとも述べている。
WO91/09118およびWO94/10318からは、プラスミノーゲン
がトロンビンによって活性化され、トロンビン切断部位の導入によりプラスミン
を形成し得ることが知られている。トロンビンは、血餅に含まれているので、こ
の活性化が、主に血餅において起こることが意図されている。しかしながら、そ
のような方法の不利な点は、改変されたプラスミノーゲンが、このために多量に
患者に投与されなければならないということである。
本発明の目的は、高い特異性と効果によりin vivoで血餅を溶解し得る改良さ
れたプラスミノーゲンアクチベーターを提供することである。
この目的は、プラスミノーゲンアクチベーターによって達成され、それは、ヒ
ト組織プラスミノーゲンアクチベーターを基にして、
a)プラスミノーゲンアクチベーターがトロンビンによって切断され、そのよう
な切断により二本鎖形態に転換されるよう改変されており、
b)酵素原性が、ヒトt−PAと比較して、少なくとも1.2倍、好ましくは2
倍より高いように改変されており、そして
c)そのフィブリン結合が、プラスミノーゲンアクチベーターが50%以上血餅
に浸透し得る程度に低下している、ものである。
そのようなプラスミノーゲンアクチベーターは、血餅に特異的に作用し、した
がって、公知のプラスミノーゲンアクチベーターよりも副作用が実質的に少ない
。
出発点は、ヒト組織タイププラスミノーゲンアクチベーターの配列である。し
たがって、本発明の「ヒト組織タイププラスミノーゲンアクチベーターを基にし
て」とは、本発明のプラスミノーゲンアクチベーターの配列が、ヒトプラスミノ
ーゲンアクチベーターの配列から誘導されることを意味する。このことは、一方
で、t−PAに特徴的な構造的特性(ドメイン)が、少なくとも部分的に構造的
に保持されることを意味する。例えば、クリングル2および/またはプロテアー
ゼドメインの構造がその中で保持されており、さらに、本発明による改変を有し
ているプラスミノーゲンアクチベーターを、本発明の意味において用いることが
できることが見出されている。さらなるドメインが保持され、本発明による特性
が、アミノ酸の欠失、変異および/または付加によってもたらされることもまた
可能である。アミノ酸配列の変更は、当業者に公知の方法、例えば、部位特異的
変異誘発またはPCRのような方法によって行うことができる。
好ましい実施態様においては、本発明のプラスミノーゲンアクチベーターは、
ヒト組織タイププラスミノーゲンアクチベーターと比較して、本発明のプラスミ
ノーゲンアクチベーターがプラスミンによりアミノ酸P1(275)とP1’
(276)との間で切断される能力が低下しているように改変される。好ましく
は、本発明のプラスミノーゲンアクチベーターにおけるプラスミンによる切断能
力は、10%以上、好ましくは20%以上、そして最も好ましくは50%以上低
下させられている。この関係において、プラスミンによる切断能力は完全に破壊
されている必要はない。特に、トロンビン活性化は、本発明のプラスミノーゲン
アクチベーターのプラスミンによる切断能力によって改良される。
しかしながら、この切断能力が、生理学的に関連した切断がin vivoでもはや
起こらない程度まで低下させられていることもまた好ましい。その結果、副作用
を劇的に減少させることが可能である。したがって、凝固パラメーターの減成は
、in vivoで劇的に低下し、出血時間は公知のプラスミノーゲンの場合のように
は著しく増加しない。
プラスミンによる切断能力は、in vitro試験で測定することができる。このた
め、プラスミノーゲンアクチベーターを5分間25℃でプラスミンの量を増加さ
せながらインキュベーションし、続いて、SDS電気泳動を、12.5〜15%
のアクリルアミドを含有するアクリルアミドゲルで、プラスミノーゲンアクチベ
ーターの大きさに応じて行う(U.Kohnert et al.,Protein Engineering 5(1992)
93-100)。
それがもはやプラスミンによってP1とP1’(Schechter,J and Berger,A.,
Biochem,Biophys.Res.Commun.27(1967)157-162による名称による)との間で切
断されないかその程度が減少するようなプラスミノーゲンアクチベーターの改変
は、当業者に公知の方法で行うことができる。プラスミンは、配列R275−1
276(一文字コードのアミノ酸名)を切断する。例えば、プラスミンによる切
断能力は1つまたは両方のアミノ酸を改変することにより破壊されるか少なくと
も劇的に低下させることができる。
プラスミンによる切断能力はまた、位置P4−P3’(アミノ酸272−27
8)を改変することによっても低下させることができる。この場合、P2は、好
ましくは小さな、好ましくは疎水性のおよび/または非芳香族のアミノ酸、例え
ば、Pに転換される。その結果、驚くべきことに、プラスミンによる切断能力の
低下に加えてトロンビンによる切断能力を達成することも可能なのである。
この過程において、以下の一般的な条件の1つまたはそれ以上が好ましくは厳
守される:
(P)P4:任意のアミノ酸(Pではない。P2がPの場合、好ましくはL,I
,Vである)
(Q)P3:任意のアミノ酸
(F)P2:疎水性アミノ酸(F,H,G,V,L,I,T,AまたはP)特に
好ましくはP)
(R)P1:RまたはK、好ましくはR
(I)P1’:VまたはI、好ましくはI
(K)P2’:V,L,IまたはK、好ましくはV
(G)P3’:G
P4は、Vに、P2はPに、そしてP2’はVに、特に好ましく転換される。こ
れは、特に好ましい切断部位(272−278)VQPRIVG(SEQ ID NO.1
)となる。
トロンビン切断部位はまた、技術の現状に従っても誘導することができる。し
かしながら、適切な変異が好ましくはアミノ酸264〜288の領域に導入され
る。
トロンビンへの親和性を誘導するためのt−PAの改変はまた、ループ459
〜471、自己分解ループ417〜425、および/またはアミノ酸Q475、
K505および/またはE506を改変することによっても達成することができる
。
酵素のその基質への特異性は、実質的に切断部位の配列(一次配列)に依存し
ている。トロンビンおよびプラスミンのようなセリンプロテアーゼの場合、P1
残基は、重要な特異的な決定基である。折りたたまれたタンパク質基質の特異性
もまた、酵素(トロンビンまたはプラスミン)と基質(プラスミノーゲンアクチ
ベーター)との間の特徴ある接触、ならびに切断部位のコンフォメーションおよ
び可撓性に依存する。プラスミンおよびトロンビンの主な特異性は非常に似てい
るので(どちらもP1位のアルギニンの後を切断する)、プラスミンによる切断
(プラスミンの活性化能力)が減少し、トロンビンによる切断(トロンビンの活
性化能力)が存在するか、実質的にプラスミンの活性化能力よりも高い(少なく
とも
2〜10倍)プラスミノーゲンアクチベーターを得ることは容易にできることで
はない。しかしながら、驚くべきことに、そのような性質は、酵素と基質との間
の第2の結合部位を改変することによって、および活性化ループの構造的および
動的(dynamic)性質を改変することによって得ることができるということが、
見出された。
一方でプラスミンによる切断能力を減少させつつ同時にトロンビン特異的切断
部位を導入することは、好ましくは、主たる特異性を、活性化ループのアミノ酸
264と288との間の変異により、変更することにより行われる。この場合、
領域272〜277(P4〜P2’)における上記の変異が特に好ましい。
トロンビン切断能力は、結合ループの可撓性および/または接近可能性を改変
することにより改良することができる。このため、G265(低い可撓性を導く
変異)またはR267(G265とE410との間の塩架橋の変更または切断を
導く変異)を改変することが特に好ましい。領域264と267との間への挿入
もまた好ましい。R267は、特に好ましくはSに改変される(D.Lamba et al.
,J.Mo1.Bio1.258(1996)117-135)。
可撓性を増加させるために用いることができる変異は、好ましくはP4のFへ
の、P3のGへの、P2のPへの、およびP2’のVへの変異と組み合わせてR
267をSに変更することである。
トロンビン切断能力および特異性は、第2の特異的結合部位を変更することに
よりさらに改良することができる。このため、ループ459〜471を、例えば
、完全にまたは部分的に欠失させてもよい。このループは、アミノ酸:
GDTRSGGPQANLH(SEQ ID NO.2)
からなる。
このループ内の領域PQANLH(SEQ ID NO.3)は、好ましくは、完全にま
たは少なくとも部分的に欠失されているか(ここでHは好ましくは保存される)
、そのアミノ酸配列が改変されている。
以下の配列:
GIPRIV(SEQ ID NO.4)
AQPRIK(SEQ ID NO.5)
が、アミノ酸272〜277の領域に好ましく用いられる。
265と277との間のアミノ酸領域に配列:
GLSQASQGIPRIV(SEQ ID NO.7)
を用いることもまた好都合である(t−pAの元の配列:GLRQYSQPQF
RIK(SEQ ID NO.6))。配列
GLRQYSQAQGIPRIV(SEQ ID NO.8)
もまたこの領域には好ましい。この領域では、アミノ酸GおよびIが、それを伸
長するため、QとP(元の配列はQとF)との間に挿入されている。そのような
挿入は、264と276との間の領域のいかなる部位においても好ましく行われ
る。
その中で、切断部位(SEQ ID NO.1)が、P4からFへの、P3からGへの、
P2からPへのおよびP2’からVへの変異、ならびにR267からSへの変異
の1以上と、好ましくはすべてと組み合わされている本発明の化合物もまた特に
好ましい。
本発明の好ましい実施態様においては、プラスミノーゲンアクチベーターは、
さらに、一本鎖型の活性は劇的に低下させるが二本鎖型の活性は低下させず、し
たがって、酵素原性の1.2倍まで、好ましくは2倍以上に改良する変異を含む
。
酵素原性は、二本鎖型の活性および一本鎖型の活性の比率(quatient)として
理解される。活性は、アミド分解により測定される。そのようなプラスミノーゲ
ンアクチベーターは、劇的に低下した副作用を伴って、in vivoで血栓溶解の高
い選択性と効果を達成する。一本鎖型の適切で好ましい変異は、例えば、E.L.Ma
dison et al.,Science 262(1993)419-421に記載されている。
酵素原性(プラスミノーゲンアクチベーターの二本鎖型のアミド分解活性の一
本鎖型の活性に対する比)を増加させるため(ヒト組織タイププラスミノーゲン
アクチベーターから誘導された全てのプラスミノーゲンアクチベーターについて
も)、K429をQに、および/またはH417をTに改変するか、および/ま
たはK429とH417との間の相互作用を抑制または妨害することが特に好ま
しい。
本発明の特に好ましい化合物は、切断部位(272〜278)VQPRIVG
(SEQ ID NO.1)と、K429のQへの、および/またはH417のTへのさら
なる変異を含む。
フィブリン結合は、フィブリン結合に特異的なt−PAのドメイン(フィブリ
ン結合ドメイン、フィンガードメイン)を欠失させることにより、あるいはフィ
ンガードメインを介するフィブリン結合が起きないかまたはほんのわずかな程度
であるような方法(機能的に活性なフィンガードメインがない)でそれに変異を
起こすことにより、減少させることができる。フィブリン結合の低下は、プラス
ミノーゲンが血餅に浸透すること(好ましくは50%以上の程度)および一様に
分散することを可能にする。それはトロンビンによってそこで切断され、活性な
二本鎖型でその活性を示す。したがって、そのフィブリン結合がこのようにして
低下させられたプラスミノーゲンアクチベーターは、もはやt−PAに典型的な
高親和性のフィブリン結合を示さない。この作用の特異的な機序はプラスミノー
ゲンアクチベーターの効力を増加させ、特に、それは劇的に副作用を低下させる
。本発明のプラスミノーゲンアクチベーターの血餅への浸透は、in vitroモデル
で測定することができる。血餅浸透の程度および血餅内での分布は、視覚的に測
定することができる。評価については、米国特許第5,223,256号に記載
されたプラスミノーゲンアクチベーターを、血餅に浸透し一様に分布するため、
定義により100%の値を表す標準物(3μg/mlの濃度で測定したもの)として
用いる。EP−B0093619による組換えヒト組織タイププラスミノーゲン
アクチベーターを、定義にしたがって、血餅に浸透せず実質的に表面に結合する
さらなる標準物として用いる。実施例3cに記載された手順を用いて、血餅の浸
透を試験した。これらの標準物の比較は、「血餅に浸透なし」とは、プラスミノ
ーゲンアクチベーターのかなりの大部分(80%以上)が血餅の第1の1/4に
存在し、一方「一様な分布」の場合には少なくとも50%のプラスミノーゲンア
クチベーターがさらに血餅に浸透し、したがって残りの3/4に存在することを
意味することを明らかにする。
血餅溶解の特異性および効果は、さらに、フィブリン結合しないか、あるいは
非常に僅かで非特異的なフィブリン結合しかしない本発明のプラスミノーゲンア
クチベーターが用いられる場合に、さらに増加する。そのような分子は血餅の内
部に浸透し、したがって、プラスミノーゲンが血餅内で効果的にプラスミンに活
性化されることを確実にする。そのようなプラスミノーゲンアクチベーターは、
例えば、t−PAのプロテアーゼドメイン(WO96/17928)、または、
実質的にクリングル2ドメインおよびプロテアーゼドメインを含むがt−PAド
メインのようなフィンガードメインは含まない物質(WO90/09437、米
国特許第5,223,256号、EP−B0297066、EP−B09692
0を基にしている。
好ましい実施態様において、本発明のプラスミノーゲンアクチベーターは、そ
れがPAI−1によって阻害され得ないようにさらに改変される。そのような改
変は、好ましくは、アミノ酸296〜302の変異により達成され(Madison,E.L
.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(1990)3530-3533)、特に好ましくは、ア
ミノ酸296〜299(KHRR)をAAAAによって置換することにより達成
される(WO96/01312)。
本発明の化合物は、血栓溶解性が活性のタンパク質で、好ましくはt−PA
(Alteplase)とは対照的に、i.v.ボーラス注射としての投与に適している。そ
れらは低用量で効果があり、Alteplaseの標準的な臨床的注入と実際には同じ血
栓溶解活性を有している。
特異性の増加および関連する出血副作用の減少により、本発明の化合物は、全
ての血栓塞栓性疾患の処置のための非常に価値のある血栓溶解剤になる。心臓梗
塞(cardiac infarction)および大動脈塞栓症(massive pulmonary embolism)
のような著しく生命を脅かす疾患用にのみこれまで認められていた血栓溶解剤と
は対照的に、そのような変種の使用は、急性度の低い生命を脅かす疾患(例えば
、深静脈血栓症)用にさえ、本発明の化合物による血栓塞栓の処置の機会を提供
する。さらに、本発明の化合物に基づく血栓溶解剤は、今までよりもはるかに広
い基盤について用いることができるが、それは、それらの広範な使用を妨げてい
た主な理由が、出血の併発の危険性であったからである。これとは無関係に、本
発明の化合物はまた、心臓梗塞または動脈塞栓症のような急性疾患にも好都合に
用いることができる。
本発明によって用いられるプラスミノーゲンアクチベーターは、当業者によく
知られた方法により真核生物細胞または原核生物細胞内で産生させることができ
る。本発明の化合物は、好ましくは遺伝子工学により生成される。そのような方
法は、例えば、WO90/09437、EP−A0297066、EP−A03
02456、EP−A0245100およびEP−A0400545に記載され
、それらはそのような生成方法の開示の主題である。変異は、オリゴヌクレオチ
ド指向性部位特異的変異誘発により、t−PAのcDNAまたはその誘導体へ導
入される。部位特異的変異誘発は、例えば、Zoller and Smith(1984)によって
記載され、T.A.Kunkel(1985)およびMorinaga et al.(1984)によって改変さ
れている。例えば、Ausubel et al.(1991)に記載されたPCR変異誘発方法
も適している。
この方法で得られた核酸を用いて、それが、用いられる宿主細胞にとって適切
な発現ベクター上に存在する場合には、本発明のプラスミノーゲンアクチベータ
ーを発現させる。
本発明のタンパク質の核酸配列は、さらに改変することができる。そのような
改変は、例えば:
連結、クローニング、および変異誘発を容易にするための制限酵素用の
種々の認識配列を導入するための核酸配列の改変
宿主細胞にとって好ましいコドンを取り込むための核酸配列の改変
宿主細胞内での発現を最適化するためのさらなる調節要素および転写要
素による核酸配列の伸長
である。
適切な発現ベクターの産生および発現のための全てのさらなる方法工程は、最
高技術水準であり、当業者にはよく知られている。そのような方法は、例えば、
Sambrook et al.Molecular Cloning:A laboratory manual(1989)Cold Spring
Harbor Laboratory Press,New York,USAの”Expression of cloned genes in E
.coli"に記載されている。
本発明により用いられるグリコシル化されたプラスミノーゲンアクチベーター
の生成は、真核生物宿主細胞内で行われる。本発明により用いられるグリコシル
化されていないプラスミノーゲンアクチベーターの生成は、最初に得られるグリ
コシル化された生成物が当業者によく知られた方法により脱グリコシル化されな
ければならない真核生物宿主細胞内か、あるいは好ましくはグリコシル化しない
宿主細胞内での、特に好ましくは原核生物宿主細胞内での発現により行われる。
E.coli、Streptmyces sp.、またはBacil1us subtilisは、例えば、原核宿主生
物として適している。本発明のタンパク質を生成するために、原核生物細胞を、
通常の方法で培養し、細菌を溶解後に通常の方法でタンパク質を単離する。タン
パク質が不活性な形態で生成される場合(封入体)、それは可溶化され、当業者
によく知られた方法により復元される。タンパク質を活性なタンパク質として当
業者によく知られた方法により微生物から排出させることも可能である。これに
適した発現ベクターは、好ましくは用いられる宿主細胞においてタンパク質の分
泌に適したシグナル配列およびそのタンパク質をコードする核酸配列を有する。
このベクターにより発現されるタンパク質は、この方法では、培地に分泌される
か(グラム陽性菌の場合)または細胞周辺腔(グラム陰性菌の場合)に分泌され
る。配列がシグナル配列と、本発明のt−PA誘導体をコードする配列との間に
存在することが好都合であり、それはタンパク質がプロセシングの間にまたはプ
ロテアーゼの処理により切断されるのを可能にする切断部位をコードする。
本発明のプラスミノーゲンアクチベーターをコードするDNA配列がその中に
導入されている基になるベクターの選択は、発現のために後に用いられる宿主細
胞に依存する。適切なプラスミド並びにそのようなプラスミドの最小限の要件(
例えば、複製の起点、制限切断部位)は、当業者によく知られている。プラスミ
ドの代わりに、本発明の範囲内では、コスミドすなわち複製可能な二本鎖形態の
ファージ(λ、M13)または当業者に公知のベクターを用いることも可能であ
る。
本発明のプラスミノーゲンアクチベーターが分泌のない原核生物内で産生され
る場合、それが形成する封入体を可溶性細胞粒子から分離して、プラスミノーゲ
ンアクチベーターを含有している封入体を変性剤で還元条件下で処理することに
より可溶化し、続いてGSSGで誘導体化し、GSHおよび非変性濃度の変性剤
またはL−アルギニンを添加することによりプラスミノーゲンアクチベーターを
復元する。t−PAおよび封入体からの誘導体を活性化するそのような方法は、
例えば、EP−A0219874およびEP−A0241022に記載されてい
る。しかしながら、活性タンパク質を封入体から単離する他の方法もまた用いる
ことができる。
本発明のプラスミノーゲンアクチベーターは、好ましくはL−アルギニン、特
に、10〜1,000mmol/lの濃度のアルギニンの存在下で精製される。
外来タンパク質は、好ましくはアフィニティークロマトグラフィーにより、特
にその上にETI(エリトリナトリプシンインヒビター)が固定されている吸着
ETI吸着カラムによる精製の利点は、ETI吸着カラム物質は、たとえアルギ
ニン濃度が0.8mol/lという高さで存在しても、濃縮復元混合物を直接付加す
ることができることである。本発明のプラスミノーゲンアクチベーターは、好ま
しくは0.6〜0.8mol/lのアルギニンの存在下でETI吸着カラムにより精
製される。この方法に用いられる溶液は、好ましくは7より高いpH、特に7.5
〜8.6である。
本発明のプラスミノーゲンアクチベーターは、アルギニン存在下で、ならびに
非存在下でETIカラムから、pHを低下させることにより溶出する。この方法で
は、pHの値は好ましくは酸の範囲、特に好ましくはpH4.0〜5.5である。
本発明のさらなる主題は、本発明の血栓溶解性が活性なタンパク質を含有する
医薬組成物であり、ここで、このタンパク質は好ましくはヒト組織タイププラス
ミノーゲンアクチベーターのプロテアーゼドメイン、および場合によりクリング
ル2ドメインを血栓溶解活性を生じる唯一の構造として含有する。
用いられる本発明のプラスミノーゲンアクチベーターは、本発明の化合物が薬
学的に受容可能な担体と通常組み合わされた治療剤を製造するするため、当業者
によく知られた方法で処方される。そのような組成物は、典型的には、0.1〜
7mg/kg、好ましくは0.7〜5mg/kg、特に好ましくは1〜3mg/kg体重という
有効量を用量として含有する。治療用組成物は、通常、滅菌された水溶液または
滅菌された可溶性乾燥処方物(例えば、凍結乾燥物)の形態である。この組成物
は、通常、等張溶液を調製するために用いられる適切な量の薬学的に受容可能な
塩を含む。さらに、アルギニン緩衝液、リン酸緩衝液のような緩衝液は、
適切なpH値(好ましくは5.5〜7.5)を安定化させるために用いることがで
きる。本発明の化合物の用量のレベルは、当業者により難なく決定することがで
きる。それは、例えば、適用のタイプ(点滴またはボーラス)および治療の期間
に依存する。それらの半減期が延びたため(in vivoでの崩壊に関して)、本発
明の化合物は、特にボーラス適用に適している(単一ボーラス、多重ボーラス)
。ボーラス適用に適した形態は、例えば、25〜1,000mgの本発明の化合物
、プラスミノーゲンアクチベーターの可溶性を促進する物質(例えば、アルギニ
ン)および緩衝液を含むアンプル剤である。投与は、好ましくは静脈内だけでな
く、皮下、筋肉内、または動脈内にも行われる。さらに、本発明のプラスミノー
ゲンアクチベーターは、点滴してもよいし、局所的に適用してもよい。
本発明の化合物は、多重ボーラス(好ましくは二重ボーラス)で投与すること
ができる。適切な時間間隔は、20〜180分であり、30〜90分の間隔が特
に好ましく、30〜60分の間隔が非常に特別に好ましい。さらに、本発明の化
合物を1時間〜2日間という時間で点滴することもまた可能である。
本発明の化合物は、全ての血栓塞栓性疾患、例えば、急性心臓梗塞、脳梗塞、
動脈塞栓症、脚部深静脈血栓症、急性動脈閉塞などの処置に特に適している。本
発明の化合物は、より長い血栓溶解が行われなければならない準慢性の血栓塞栓
性疾患の処置のために、特に好ましく用いられる。
本発明の化合物を、例えばヘパリンのような凝固の阻害物質(抗凝固剤)およ
び/または副作用をほとんど持たない血管拡張効果を増大する血小板凝集の阻害
物質と組み合わせて用いることが好ましい。抗凝固物質の投与は、本発明の化合
物の投与と同時に、あるいは異なる時間に行うことができる。血流を刺激する物
質または微小循環を改良する物質の添加もまた好ましい。
以下の実施例、刊行物、配列表および図面は、本発明の請求項から誘導される
保護範囲をさらに明確にする。記載される方法は、改変後も本発明の主題を依然
として説明する実施例として理解されるべきである。
「r−PA」により、以下では、ヒトt−PAのK2ドメインおよびPドメイ
ンからなる組換えプラスミノーゲンアクチベーターが理解される。そのようなプ
ラスミノーゲンアクチベーターの製造は、例えば、米国特許第5,223,256
号
に記載されている。
r−PA(F274PNK277V)により、K2およびPドメインからなる
プラスミノーゲンアクチベーターのアミノ酸274(F)が、アミノ酸Pによっ
て置き換わられており、アミノ酸277(K)がアミノ酸Vによって置き換わら
れている(アミノ酸の命名はT.J.Harris(1987)と同じである)ことが理解され
る。
図1は、血餅浸透および溶解モデルの概略図である。剪断種(shear strain)
による血漿凝固を避けるため、緩衝液チャンバー(斜線の領域)により圧力を生
じさせた。緩衝液を血漿と血餅(斑点の領域)上で混合することは、気泡トラッ
プを組込むことにより回避した。
1:緩衝液貯蔵部;2:嬬動ポンプ;3:気泡トラップ;4:フィブリン溶解剤
用の注入シリンジ;5:血餅の入ったピペットチップ(網掛けの領域);6:チ
ューブクランプ;7:圧力要素
図2は、それぞれr−PA(F274P、K277V)(A)およびr−PA
(B)のトロンビンによる切断を示す(詳細は実施例8参照)。
図3は、それぞれr−PA(F274P、K277V)(A)およびr−PA
(B)のプラスミンによる切断を示す(詳細は実施例9参照)。
図4は、r−PA(P272V、F274P、K277V)のトロンビンによ
る切断を示す(詳細は実施例10参照)。
実施例1
本発明の化合物の組換え産生a)発現プラスミドの構築
EP0382174に記載された最初のプラスミドpA27fdは、以下の構
成要素を含んでいる:tacプロモーター、ATG開始コドンを含むlacオペ
レーター領域、クリングル2ドメインおよびプロテアーゼドメインを含むt−P
A突然変異タンパク質のコード領域、およびfd転写ターミネーター。最初のベ
クターはプラスミドpkk223−3である。
Morinaga et al.Biotechnology(1984)636の方法を実質的に用いて、変
異を導入した。ヘテロ二本鎖の形成のため、2つの適切なフラグメントをpA2
7fdから単離した(例えば、フラグメントA:大きなBamHIフラグメント
、フラグメントB:PvuIで直鎖状化したベクター)。
用いたオリゴヌクレオチドおよびそれによって得られた変異を表1に列挙する
。
ヘテロ二本鎖調製物は、プラスミドpUBS520と共にE.coli内で形質転換
された(Brinkmann et al.,Gene 85(1989)109)。形質転換体を、アンピシリ
ンおよびカナマイシン(各場合に50μg/ml)を栄養培地に添加することにより
選択した。
各調製物から得られたプラスミドを表1に示す。b)E.coli内での発現
発現収率を調べるため、それぞれのプラスミド(表1参照)およびpUBS5
20を含有するE.coliを、LB培地内で(Sambrook et al.,1989,MolecularCl
oning,Cold Spring Harbor)、アンピシリンおよびカナマイシン存在下で(各々
50μg/ml)、55OnmでのODが0.4になるまで培養した。発現は、5mmol/l
のIPTGの添加により開始した。培養物をさらに4時間インキュベーションし
た。続いて、E.coli細胞を遠心分離により集め、緩衝液(50mmol/l Tris-HClp
H8、50mmol/lEDTA)で再懸濁した;この細胞を音波処理により破砕した
。不溶性タンパク質画分を、再度遠心分離により集め、上記の緩衝液で音波処理
により再懸濁した。この懸濁物を1/4体積の適用緩衝液(250mmol/lTris-H
ClpH6.8、10mmol/lEDTA、5%SDS、5%メルカプトエタノール、5
0%グリセロールおよび0.005%ブロモフェノールブルー)と混合し、12
.5%ポリアクリルアミドゲルにより分析した。対照として、同じ調製を、IP
TGで誘導されていない各プラスミドを含有するE.coliの培養物を用いて行い、
ゲルで分離した。約40kDの分子量を有する明瞭なバンドが、IPTGで誘導し
た培養物の調製物で、ゲルをクーマシーブルーR250(30%メタノールおよ
び10%酢酸に溶解)で染色した後に見ることができる;このバンドは対照調製
物には存在しない。
活性な化合物を生成するためのさらなる工程は、EP−A0382174の実
施例2および3と同じである。実施例2
In vivoでの特徴づけ
D.Collen(J.Clin.Invest.71(1983)368-376)によって確立された頚静脈血
栓症のウサギモデルを用いて、本発明のタンパク質の血栓溶解能と効率を調べた
。この方法では、放射活性で標識した血栓を動物の頚静脈内で生じさせた。この
動物を、100IU/kgのヘパリンにより皮下で抗凝固化した。Altep1ase(組換え
野
Company,Biberach,Germanyから市販されている)、実施例1に記載したタンパ
から市販されている)または溶媒(0.2Mアルギニンホスフェート緩衝液)を
ウサギの静脈内に投与した。
プラセボ(偽薬)群には静脈内に単一ボーラス注射で1mg/kg溶媒を与えた。A
lteplase群には、全用量で1.45mg/kgを投与し、そのうち0.2mg/kgを最初
のボーラス注射として投与し、0.75mg/kgを30分注射として、続いて0.
5mg/kgを60分連続注射として(総注入:90分間)投与した。ストレプトキ
ナーゼ群には64,000IU/kgの60分間静脈注射を与えた。本発明のタンパ
ク質を用いる群には、静脈内単一ボーラス注射を与えた。Alteplaseおよびスト
レプトキナーゼの群の場合、これらは標準的な規則であると認められる。
治療の開始から2時間後、残りの血栓を取り除き、血栓の溶解(血栓溶解)の
程度を、血栓内の放射活性の減少により測定した。血漿を得るための血液試料を
治療前および治療開始の2時間後に採取した。活性化されたトロンボプラスチン
の時間は標準的な手順により測定した。さらに、血栓溶解治療のための失血を定
量した。このため、長さ4cm、深さ0.3cmの決められた皮膚切開を動物の腿部
に血栓溶解剤の投与前にテンプレートと解剖用メスを用いて行った。これによっ
て生じる出血は、自然な凝固により止まった。治療を始めた後、スポンジを傷口
の上に置いたが、それは血栓溶解のために再開した出血による血液を吸収する。
漏れ出た血液の量は、スポンジの重量を測ることにより(その正味の重量を差し
引いた後)測定し、したがって、出血の副作用の程度が説明される。
Alteplaseおよび実施例1の本発明のタンパク質は、非常に活性な血栓溶解物
質であり、溶媒対照と比較して著しく血栓を溶解する。
実施例3
血餅溶解活性の比較a)血餅溶解アッセイの手順
血餅溶解アッセイでは、t−PAおよび実施例1の組換えタンパク質の活性を
測定した。
試料を各場合に必要とされる濃度に緩衝液(0.06MNa2HPO4、pH7.
5、
とにより調整した。0.1mlの試料を1mlのヒトフィブリノーゲン溶液(IMC
O)(2mg/ml0.006MNa2HPO4、pH7.4、0.5mg/mlBSA、0.0
1%
100μlのプラスミノーゲン溶液(10IU/ml0.06MNa2HPO4/
トロンビン溶液(30U/ml0.06MNa2HPO4、pH7.4、0.5mg/ml
試験管の底に到達するのに要する時間を停止させた。b)動的血漿モデルにおける活性の測定
この動的血漿モデルでは、本発明の物質をin vivo条件と非常に似た条件下で
試験する。この物質を血餅を介して血漿に添加するが、それを、鼓動によって生
じる圧力に似た蠕動圧力の作用の下で行う。
200μlのクエン酸血漿を、20μlの0.25mol/lCal2溶液と混合し、
37℃でインキュベーションした。0.16Uのトロンビンを添加し、この混合
物を1mlのピペットチップ(Eppendorff,Hamburg,GER)に入れた。このピペット
チップを垂直に2分間23℃で保持し、60分間0.01mol/lTris/HCl、pH7
.4、0.15mol/lNaCl2、0.025mol/l CaCl2、0.01%性チューブからなるスウィッチングシステム(図1)で測定した。嬬動ポンプに
より流れが生じ、2つの平行な支流に別れる。支流Aは、この支流を塞ぐ血餅で
満たされた1mlのピペットチップを有する。支流Bは支流Aと平行に流れる不明
の(Blind)支流である。支流Bの圧力はチューブクランプにより10mbarに調
整した。血漿(1ml)を血餅に適用した。ポンプのスウィッチをONにして各々
の個々の血餅の安定性を15分間調べた。フィブリン溶解剤(最終血漿濃度は0
.5〜10μg/mlで、実施例1のタンパク質またはCHO−t−PAについては
20μg/ml)を、筋肉内注射用の皮下注射針を付けた1mlのツベルクリンシリン
ジ(Braun,Melsungen,GER)により注意深く血漿に注入した。血餅溶解時間を
、フィブリン溶解酵素の添加と、血栓溶解剤の添加前の値の50%までの圧力の
減少との間の時間差として計算した。圧力は、水換算圧電性圧力検出系により測
定し、コンピューター補助文書化プログラムにより文書化した。c)静的モデルにおける血餅浸透
800μlのヒトクエン酸血漿(健康なドナー)を、75μlのCa緩衝液(5
0mmol/lTris/HCl、pH7.2、0.25mol/l CaCl2)、20μlのゼラチン
溶液(0.9%NaCl中10%w/v)および100mlのトロンビン溶液(8U/ml
、0.05mol/lクエン酸ナトリウム/HCl、pH6.5、0.15mol/lNaC
l)と混合した。この混合物800μlを注意深く2mlカラム(Pierce,Rockfort
,IL,USA)に移した。血餅は、3時間37℃でインキュベーションすることに
より形成される。2mlの緩衝液(0.008mol/lNa2HPO4、0.001mol
/lKH2PO4、0.003mol/l KCl、0.137mol/l
G1u-Gly-Arg-クロロメチルケトンで阻害されているプラスミノーゲンアクチベー
ターを用いて所望の濃度(0、0.5、1、2および3μg/ml)に調整し、この
溶液1mlを血餅の表面に適用した。残りの緩衝液は廃棄した。血餅の表面をPB
S緩衝液(0.008mol/l Na2HPO4、0.001mol/l KH2PO4、0.
003mol/lKCl、0.および137mol/lNaCl)2mlで洗浄し、タンパク
質をPBS中グルタルアルデヒド溶液2mlを添加することにより固定す
る。続いて、血餅表面を2mlの50mmol/l Tris/HCl、pH8.0で洗浄し、t−
PAに対するペルオキシダーゼ標識ポリクローナル抗体(250mU/ml)1mlと
共にインキュベーションする。血餅を1mlのPBSで洗浄した後、抗体結合タン
パク質を、ペルオキシダーゼによって不溶性の赤色色素に転換される3−アミノ
−9−エチルカルバゾールと共にインキュベーションすることにより測定する。
本発明のプラスミノーゲンアクチベーターは、血餅の表面に集中することはな
く、むしろ血餅の内部に浸透し一様に分散する。血餅の免役学的に染色された部
分の強度は、血漿中の本発明のプラスミノーゲンアクチベーターの濃度の増加に
伴って増大する。
実施例4
フィブリン結合の比較
この実施例では、実施例1の血栓溶解性が活性なタンパク質を、それらのフィ
ブリンに結合する能力について調べ、この性質に関してAlteplaseと比較する。
A1teplaseおよび本発明のタンパク質の試料を、1.5μgタンパク質/mlの溶
液として調製した。続いて、血栓溶解性が活性なタンパク質の試料(100μl
)を、770μlの緩衝液(0.05M Tris/HCl、pH7.4、0.15NaCl
、
10μlのアプロチニン(3.75mg/ml)、10μlのウシトロンビン(100U
/mlの濃度)および増加する量のフィブリノーゲン(10μg/ml〜300μg/ml
)と、それぞれ混合した。全ての溶液は水性であった。トロンビンがフィブリノ
ーゲンを不溶性のフィブリン血餅に転換することは公知である。
成分を混合し、1時間37℃でインキュベーションした。続いて、上清をフィ
ブリン血餅から遠心分離により分離し(15分間、13,000rpm、4℃)、
上清に存在するプラスミノーゲンアクチベータータンパク質の量を、標準的なE
LISAにより測定した。
実施例5
プラスミノーゲン溶解活性と刺激能の比較
プラスミノーゲン溶解活性の刺激能の測定のための公知の手順は、Verheijene
t alによりThromb.Haemost.48(1982)266-269に記載されている。
刺激物質として作用するフィブリノーゲンフラグメントは、ヒトフィブリノー
ゲンを臭化シアン(ヒトフィブリノーゲン1g、水100ml中CnBr1.3g
)で70%v/vのギ酸中で17時間以上室温で処理し、続いて蒸留水に対して透
析することにより調製した。
アッセイを行う場合、5ng/nlのt−PAまたは、同じ濃度の実施例1のタン
0.3mmol S2251基質(発色性基質H-D-Val-Leu-Lys-p-ニトロアニリドH
Cl)、および120μg/mlフィブリノーゲンフラグメントを含む1mlの0.1
mol/l Tris/HCl(pH7.5)中でインキュベーションした。混合物を2時間25
℃でインキュベーションし、405nmでの吸収率を反応を中断することなく対照
ブランクの値に対して測定した。発色性基質S2251の切断は、酵素のプラス
ミノーゲン溶解活性の測定値として測定した。刺激能はフィブリノーゲンフラグ
メントありの活性をフィブリノーゲンフラグメントなしの活性で除したものとし
て計算する。
希釈した試料25μlをピペットでマイクロタイタープレートのウェルに入れた
。続いて、200μlの試薬混合物を添加し、405nmでの吸収を2時間にわた
ってブランクの値に対して測定する(25μl、0.1mol/l Tris、pH7.5、0
.15%
A試料=(A試料t−ABvt)−(A試料0−ABV0)
A試料t=2時間後の試料の値
ABvt=2時間後の試薬ブランクの値
A試料0=時間t=0の試料の値
ABV0=時間t=0の試薬ブランクの値
試薬混合物:
1ml t−PA刺激物質(1mg/mlヒトフィブリノーゲンの臭化シアンフラグ
メント)
1ml 基質溶液(3mmol/lS2251、H-D-Va1-Leu-Lys-pNA;Chromogenix,Mo
elndal,SE)
1ml プラスミノーゲン溶液(7U/mlプラスミノーゲン、Boehringer Mannhei
mGmbH)
刺激係数の計算:
刺激係数を計算するため、t−PAの刺激物質の存在下での活性を、t−PA
の刺激物質非存在下での活性で除する。各々の場合、希釈は、どちらの調製物で
も同じ吸光度が達成されるように適切であるべきである。1mlのH2Oを1mlの
t−PA刺激物質の代わりにt−PA刺激物質を含まない反応混合物に添加する
。
活性は、刺激物質の非存在下で並びに存在下で同じ方法で測定する。刺激係数
Fは以下のように計算する:
比活性はプラスミノーゲン溶解活性(KU/ml)とタンパク質濃度(mg/ml)の比率
である。
実施例6
組織プラスミノーゲンアクチベーターの実施例1の組換えタンパク質のボーラス
注射は、冠動脈血栓のイヌモデルにおいて効果的で信頼性のある血栓溶解を誘導
する
E.coli内で産生された実施例1のタンパク質により引き起こされた血栓溶解は
、電気的刺激により誘導された左の冠状動脈の血栓症のイヌモデルにおいて評価
することができる。
実施例7
アミド分解(amidolytic)活性の測定
アミド分解活性を測定するため、200mlの緩衝液(0.1mol/l Tris/HCl、
ター溶液(緩衝液で1〜12μg/mlの濃度に希釈した)を5分間37℃でインキ
ュベーションした。測定は、200μlのS2288(6mmol/l、H-D-Ile-Pro-A
rg-p-ニトロアニリンジヒドロクロリド、Kabi,Vitrum,Sweden)を添加するこ
とにより開始した。S2288基質を37℃で予め平衡化した。アミド分解活性
を、405nmでの吸光度の最初の2.5分間以内での増加から、9750l/mol/c
mというp−ニトロアニリンの吸光係数を用いて計算した。
実施例8
トロンビンによるr−PA(F274P、K277V)の切断1.手順
各場合に、44μgのr−PA(F274P、K277V)およびr−PA(
標準)を15分間37℃でプレインキュベーションし、やはり15分間37℃で
プレインキュベーションした下記に示したユニットのヒトトロンビン(Sigma)
と混合し、30分間37℃でインキュベーションした。続いて、試料をSDSサ
ンプル緩衝液と(0.125mol/l Tris/HCl、pH8.8、4.6%(w/v)SDS
、4mol/l 尿素、0.1%ブロモフェノールブルー、0.3mol/lジチオエリス
リトール)、1:1(v/v)の比で混合し、3分間95℃でインキュベーションし
、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。2.結果
r−PA(F274P、K277V)のトロンビンによる切断を図2に示す。
データは、増加する量のトロンビンがr−PA(F274P、K277V)を完
全に二本鎖形態に転換することを示している。トロンビンによって切断されるr
−PA(F274P、K277V)のプロテアーゼおよびクリングル2ドメイン
は、プラスミン消化によって調製した二本鎖形態(r−PA(tc))のr−P
Aの対応するドメインと同じレベルで泳動した。
r−PA(F274P、K277V)(A)とは異なり、記載した条件下では
、ここでは標準として用いたr−PA(B)はトロンビンによって切断されなか
った。
A:
レーン1: 分子量標準*
レーン2: r−PA
レーン3: r−PA(tc)**
レーン4: r−PA(F274P、K277V)
レーン5: r−PA(F274P、K277V)+トロンビン緩衝液
レーン6: r−PA(F274P、K277V)+0.055NIHユニッ
トトロンビン
レーン7: r−PA(F274P、K277V)+0.55NIHユニット
トロンビン
レーン8: r−PA(F274P、K277V)+2.74NIHユニット
トロンビン
レーン9: トロンビン(5NIHユニット)
レーン10: 分子量標準*
B:
レーン1: 分子量標準*
レーン2: r−PA
レーン3: r−PA(tc)**
レーン4: r−PA+トロンビン緩衝液
レーン5: r−PA+0.055NIHユニットトロンビン
レーン6: r−PA+0.55NIHユニットトロンビン
レーン7: r−PA+2.74NIHユニットトロンビン
レーン8: トロンビン(5NIHユニット)
レーン9: 分子量標準*
*)分子量標準;リゾチーム(14,307Da)、ダイズトリプシンインヒビタ
ー(20,100Da)、トリオースホスフェートイソメラーゼ(26,626Da
)、
アルドラーゼ(39,212Da)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(55,56
2Da)、フルクトース−6−リン酸キナーゼ(85,204Da)、β−ガラクト
シダーゼ(116,353Da)、α−2−マクログロブリン(170,000Da
)
**)r−PA(tc):r−PAをプラスミンと共にインキュベーションするこ
とにより得られる二本鎖形態のr−PA。
実施例9
プラスミンによるr−PA(F274P、K277V)の切断1.手順
各場合において、25μgのr−PA(F274P、K277V)およびr−
PA(標準)を15分間37℃でプレインキュベーションし、やはり15分間3
7℃でプレインキュベーションした下記に示したユニットのプラスミン(ヒト)
と混合し、10分間37℃でインキュベーションした。続いて、試料をSDSサ
ンプル緩衝液(0.125mol/1Tris/HCl、pH8.8、4.6%(w/v)SDS、4
mol/l尿素、0.1%ブロモフェノールブルー、0.3mol/lジチオエリスリトー
ル)と、1:1(v/v)の比で混合し、4分間95℃でインキュベーションし、S
DSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。2.結果
r−PA(F274P、K277V)(A)およびここでは標準として用いた
r−PA(B)のプラスミンによる切断を図3に示す。
データは、r−PA(B)が増加する量のプラスミンとのインキュベーション
により二本鎖形態に転換されることを示している。用いた条件下では、適用した
量のr−PAは25mUのプラスミンにより完全に二本鎖形態に転換される。
これとは対照的に、r−PA(F274P、K277V)(A)は、プラスミ
ンによる著しく低い切断を示した。0.025Uおよび0.1Uのプラスミンとイ
ンキュベーションする場合、プラスミンによる著しいr−PA(F274P、K
277V)の切断は観察されない。25μgのr−PA(F274P、K277
V)(A)を25mUのプラスミンとインキュベーションする場合でさえ、完全な
切断は起こらない。
トロンビンによって切断されるr−PA(F274P、K277V)のプロテ
アーゼおよびクリングル2ドメインは、プラスミンセファロース消化によって調
製した二本鎖形態(r−PA(tc))のr−PAの対応するドメインと同じレ
ベルで泳動し、その結果、変種の切断は、r−PAにおいてのように、アミノ酸
275と276との間(番号付けはHarris,Prot.Engineeringl,449-458(1987)に
よる)で起ることが推測されなければならない。
A:
レーン1: 分子量標準*
レーン2: r−PA
レーン3: r−PA(tc)**
レーン4: r−PA(F274P、K277V)
レーン5: r−PA(F274P、K277V)+0.25mUプラスミン
レーン6: r−PA(F274P、K277V)+0.25mUプラスミン
レーン7: r−PA(F274P、K277V)+12.5mUプラスミン
レーン8: r−PA(F274P、K277V)+25mUプラスミン
B:
レーン1: 分子量標準*
レーン2: r−PA
レーン3: r−PA(tc)**
レーン4: r−PA+0.25mUプラスミン
レーン5: r−PA+2.5mUプラスミン
レーン6: r−PA+12.5mUプラスミン
レーン7: r−PA+25mUプラスミン
*)分子量標準;リゾチーム(14,307Da)、ダイズトリプシンインヒビタ
ー(20,100Da)、トリオースリン酸イソメラーゼ(26,626Da)、ア
ルドラーゼ(39,212Da)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(55,562
Da)、フルクトース−6−リン酸キナーゼ(85,204Da)、β−ガラクトシ
ダーゼ(116,353Da)、α−2−マクログロブリン(170,000Da)
**)r−PA(tc):r−PAをプラスミンセファロースと共にインキュベー
ションすることにより得られる二本鎖形態のr−PA。
実施例10
トロンビンによるr−PA(P272V、F274P、K277V)の切断1.手順
40μgのr−PA(P272V、F274P、K277V)を15分間37
℃でプレインキュベーションし、やはり15分間37℃でプレインキュベーショ
ンした下記に示したユニットのウシトロンビン(Sigma)と混合し、30分間3
7℃でインキュベーションした。続いて、試料をSDSサンプル緩衝液(0.1
25mol/lTris/HCl、pH8.8、4.6%(w/v)SDS、4mol/l尿素、0.1%
ブロモフェノールブルー、0.3mol/lジチオエリスリトール)と、1:1(v/v)
の比で混合し、3分間95℃でインキュベーションし、SDSポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動によって分析した。2.結果
r−PA(P272V、F274P、K277V)のトロンビンによる切断を
図4に示す。データは、増加する量のトロンビンがr−PA(P272V、F2
74P、K277V)を完全に二本鎖形態に転換することを示している。トロン
ビンによって切断されるr−PA(P272V、F274P、K277V)のプ
ロテアーゼおよびクリングル2ドメインは、プラスミンでの消化によって調製し
た二本鎖形態(r−PA(tc))のr−PAの対応するドメインと同じレベル
で泳動した。
レーン1: 分子量標準*
レーン2: r−PA
レーン3: r−PA(tc)**
レーン4: r−PA(P272V、F274P、K277V)
レーン5: r−PA(P272V、F274P、K277V)+トロンビン
緩衝液
レーン6: r−PA(P272V、F274P、K277V)+0.055
NIHユニットロンビン
レーン7: r−PA(P272V、F274P、K277V)+0.55N
IHユニットトロンビン
レーン8: r−PA(P272V、F274P、K277V)+2.74N
IHユニットトロンビン
レーン9: 分子量標準*
*)分子量標準;リゾチーム(14,307Da)、ダイズトリプシンインヒビタ
ー(20,100Da)、トリオースリン酸イソメラーゼ(26,626Da)、ア
ルドラーゼ(39,212Da)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(55,562
Da)、フルクトース−6−リン酸キナーゼ(85,204Da)、β−ガラクトシ
ダーゼ(116,353Da)、α−2−マクログロブリン(170,000Da)
**)r−PA(tc):r−PAをプラスミンと共にインキュベーションするこ
とにより得られる二本鎖形態のr−PA。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1998年6月18日(1998.6.18)
【補正内容】
請求の範囲
1.ヒト組織タイププラスミノーゲンアクチベーターに基づく一本鎖プラスミ
ノーゲンアクチベーターであって、
a)プラスミノーゲンアクチベーターをトロンビンによって切断することができ
、そのような切断により二本鎖形態に転換される、
b)酵素原性が、ヒトプラスミノーゲンアクチベーターと比較して、少なくとも
1.2倍より高い、そして
c)そのフィブリン結合が、プラスミノーゲンアクチベーターが50%以上血餅
に浸透し得る程度に低下している、
ような方法において、アミノ酸の欠失、変異および/または付加により改変され
ている、プラスミノーゲンアクチベーター。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
//(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12N 9/64
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,
UG,US,UZ,VN,YU