【発明の詳細な説明】
ベンズアゼピンおよびベンゾジアゼピンのアミノカルボニル化の方法
発明の分野
本発明は、医薬的に活性な化合物を製造するための方法および中間体に関する
。
さらに詳しくは、本発明は、ベンズアゼピンおよびベンゾジアゼピンのアミノカ
ルボニル化に関する。
発明の背景
テトラヒドロ−1−ベンズアゼピンおよびテトラヒドロ−1,4−ベンゾジア
ゼピンは、種々の医薬的に有用な化合物の核構造を形成する。特に、WO 93/0009
5(PCT/US92/05463)およびWO 94/14776(PCT/US93/12436)には、フィブリノー
ゲンおよびビトロネクチン受容体の阻害剤であり、血小板凝集、骨粗鬆症および
癌転移の阻害剤として有用であることが報告されている7−アミノカルボニルテ
トラヒドロ−1−ベンズアゼピンおよびテトラヒドロ−1,4−ベンゾジアゼピ
ンが開示されている。
かかる化合物の製造方法は、典型的には、出発物質として三置換フェニル誘導
体を用いる。該三置換フェニル誘導体はアゼピン環を形成するために2つの置換
基と、7−カルボニル置換基を導入するために第3の置換基と結合している。か
かる出発物質は、入手するのが困難かつ高価であり、アゼピン環を形成するため
に用いられる化合物を制限することとなる。従来の方法は、一般に、アミド結合
を形成するための慣用的な方法によりアミノ基に結合する7−カルボキシル基を
介して該分子にアミノカルボニル基を導入するものである。WO 93/00095 および
WO94/14776 に開示されている方法は、一例である。
本発明者らは、この度、出発物質として簡単な二置換ベンゼンを用い、単一の
パラジウム触媒によるアミノカルボニル化工程でアミノカルボニル官能基を導入
する7−アミノカルボニルベンズアゼピンおよびベンゾジアゼピンの製造のため
の新規の有用な中間体および新しい方法を見いだした。この方法は、かかる化合
物の従来の製造方法よりも有効であり、大規模な合成に適用可能である。
アリールおよびハロゲン化ビニルとのパラジウム触媒化反応の種々のタイプが
当該技術分野に知られており、電子過剰系(electron rich system)でそれらを
使用することに伴う問題点が研究された。例えば、Zieglerら、J.Org.Chem.1978
,43,2941には、ブロモ−アニリンなどの非常に活性化されたアリール臭化物は、
パラジウム触媒化ビニル系置換反応においてあまり反応しないが、アリールヨウ
化物を用いた場合およびパラジウムリガンドがトリフェニルホスフィンではなく
トリ−o−トリルホスフィンであった場合にいくつかの改善が見られたことが開
示されている。Corteseら、J.Org.Chem.1978,43,2952 には、o−ヨードアニリ
ンについてのパラジウム触媒化ビニル系置換反応が開示されている。
Valentineら、J.Org.Chem.1981,4614には、カルボニル化に対するo−ブロモ
−アニリンの非反応性がアニリノアミン基のアセチル化により克服されることが
示唆されている。Kraus et al.,Tet.Lett.1994,49 9189 には、7−トリフリッ
ク−テトラヒドロ−1,4−ベンゾジアゼピンのアルコキシカルボニル化が開示
されている。
Heckら、J.Org.Chem.1974,39,3327には、芳香族系のアミノカルボニル化反応
についての典型的な条件が開示されているが;しかしながら、ハロ−アニリンな
どの電子過剰系のアミノカルボニル化についての条件は、開示されていない。あ
る種のo−ブロモアニリンは、Moriら、Heterocycles 1981,16,1491 により低収
率でアミノカルボニル化されることが開示されており、Perry,Chemtech1994 Feb
ruary 18には、アラミドポリマーを製造するためのパラジウム触媒化カルボニル
化反応におけるヨード−アリールおよびアミド−アリールモノマーの使用が開示
されている。
発明の概要
本発明の目的は、以下に定義する式(I):
で示される7−アミノカルボニルベンズアゼピンおよびベンゾジアゼピンの新規
かつ有効な製造方法を提供することである。
本発明の一の態様は、以下に定義する式(II):
[式中、R10は、BrまたはIである]
で示される中間体化合物である。
本発明の別の態様は、式(IV):
[式中、R2およびA1は、式(I)における定義と同じである]
で示される化合物から式(II)[式中、R10は、IまたはBrである]で示される
化合物の製造方法である。
詳細な説明
本発明は、式(II):
[式中、
A1およびR2は、式(I)についての定義と同じであり;
R10は、Cl、Br、I、FSO3-、ClSO3−またはCF3SO3−である
]
で示される化合物をPd触媒、一酸化炭素および式(III):[式中、R5およびR6は、R5およびR6中の塩基性窒素の基が保護されているこ
と以外は式(I)における定義と同じである]
で示されるアミンと反応させ、次いで、保護基を除去することからなる、式(I)
:
[式中、
A1は、NR1またはCHR1であり;
R1は、所望により1個以上のハロ、−OR'、−CN、NR'2、−NO2、−
CF3、−CO2R'、−CONR'2、Ar−C0-6アルキルまたはHet−C0-6
アルキルにより置換されていてもよい、H、T−C1-6アルキル、T−C1-6オキ
ソアルキル、T−C2-6アルケニル、T−C3-4オキソアルケニル、T−C3-4オ
キソアルキニル、T−C3-4アルキニル、C3-6シクロアルキル、ArまたはHe
tであり(ここで、Tは、H、C3-6シクロアルキル、HetまたはArである
);
R2は、CH2CO2R3であり;
R3は、H,C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr
−C0-4アルキルであり;
R5は、W−(CR'2)q−Z−(CHR')mであり、R6は、H、C1-6アルキル、
Ar−C0-6アルキル、Het−C0-6アルキルまたはC3-6シクロアルキル−
C0-6アルキルであるか、またはR5およびR6は、一緒になって、Wにより置換
されている5員または6員のHet環を形成し;
Wは、R9R"N−、R'R"NR'N−、R'R"NR'NCO−、
R'2NR'NC(=NR')−、R'ONR'C(=NR')−、 R'は、H、C1-6アルキル、C3-7シクロルキル−C0-4アルキルまたはAr−
C0-4アルキルであり;
R"は、R'、−C(O)R'または−C(O)OR'"であり;
R'"は、H、C1-6アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
R7は、R'、−CF3、−SR'または−OR'であり;
R8は、R'、C(O)R'、CN、NO2、SO2R'またはC(O)OR15であり;
R9は、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル、Het−
C0-4アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
Xは、N=CR'、C(O)またはOであり;
Yは、不在、SまたはOであり;
Zは、(CH2)t、Het、ArまたはC3-7シクロアルキルであり;
qは、0〜3であり;
mは、0〜2であり;
tは、0〜2である]
で示される化合物の製造方法からなる。
好適には、R1は、H、C1-6アルキルまたはAr−C1-4アルキルである。好
ましくは、R1は、H、メチル、エチル、i−プロピル、ベンジルまたはフェニ
ルエチルである。さらに好ましくは、R1は、メチルである。
好適には、R3は、C1-6アルキル、ArまたはAr−C1-4アルキルである。
好
ましくは、R3は、メチル、t−ブチルまたはベンジルである。
好ましくは、R10は、BrまたはIである。
典型的には、該方法は、好適な溶媒中、式(II)で示される化合物をパラジウム
触媒、式(III)で示されるアミンおよび塩基と混合し、次いで、一酸化炭素雰囲
気下で該反応物を加熱することにより行われる。
安定なパラジウム(0)またはパラジウム(II)供給源は、アミノカルボニル化の
ために適している触媒である。(Ph3P)4Pd、ビス(ジベンジリデンアセトン)
Pd(0)、ビス(ジ−(1,2−ジフェニルホスフィノ)エタン)Pd(0)、PdC
l2、Pd(OAc)2、(Ph3P)2PdCl2または(Ph3P)2Pd(OAc)2が典
型例である。
しかしながら、臭素がアゼピン−NH−に対してパラ位にあるテトラヒドロ−
ベンズアゼピン/ベンゾジアゼピンは、電子過剰であり、p−ブロモアニリンの
ように、アミノカルボニル化反応について開示された通常の条件下でのアミノカ
ルボニル化ではあまり反応しない。今、触媒添加およびパラジウムについての適
切なリガンドの添加がかかる反応で重要なパラメーターであることが見いだされ
た。例えば、(Ph3P)4Pdの約20モル%およびトリフェニルホスフィンの2
5モル%の触媒添加で、該アミノカルボニル化反応は、5−6時間後に終了する
が;5モル%の触媒添加では、該反応は、全く進行しない。約15−100モル
%の触媒添加が適切であり、典型的には、約20−25モル%が最適な結果を生
じる。トリフェニルホスフィンは、該反応での使用について好ましいリカンドで
ある。というのは、パラジウム(0)を安定化し可溶化し、活性複合体を提供する
からである。他のリガンドを使用してよいが、それらは、一般に、該複合体が不
活性であるように非常に大きな安定化を与えるか、該金属が沈殿するように充分
な安定化を与えない。
高い触媒添加量と添加されたPdリガンドとの組み合わせた使用により得られ
る長所にかかわらず、高添加量を必要とするパラジウムの費用は、工業プロセス
のためのかかる条件の使用に対して重大な欠点である。したがって、他の態様で
は、本発明は、少量の還元剤の存在下で該反応を行うことからなる改善である。
従って、本発明がフマル酸アンモニウム、シクロヘキサジエン、ヒドロキノン、
ヨウ化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウムまたは水素化ヒドラジンなどの安定な
還元剤の存在下で行われる場合、非常に少ない触媒添加量が使用される。典型的
には、還元剤の量は、約15モル%以上であり、約20−25モル%が特に適切
である。該還元剤は、該反応に存在するパラジウムのPd(0)への転換を促進す
ると思われる。したがって、添加された還元剤添加されたトリフェニルホスフィ
ンの添加については、約0.5−5%の範囲の触媒添加量が典型的であり、約2
%がかなり適切である。これらの条件は、また、(Ph3P)2Pd(OAc)2およ
び(Ph3P)2Pd(Cl)2などの、該反応におけるパラジウムの非常に廉価な供
給源の使用を可能にする。Pd(OAc)2は、好ましい触媒である。
さらに、活性化アリール種などのヨウ化物の使用は、該アミノカルボニル化反
応を非常に促進することが見いだされた。したがって、該ヨウ化物を用いる場合
、許容される結果を達成するために、添加されたパラジウムリガンドまたは還元
剤または過剰の触媒添加量のいずれも必要ではない。(Ph3P)2Pd(Cl)2は
、アリールヨウ化物のための好ましい触媒である。
該反応は、該反応物と非反応性を有する溶媒中で行われるが、パラジウム種を
溶解することができる溶媒が好ましい。トルエン、DMF、アセトニトリルおよ
びジメチルアセトアミドが好適であるが、N−メチルピロロリジノンが好ましい
。
好適には、該アミノカルボニル化反応の温度は、約70−130℃である。好
ましくは、該反応は、約90−115℃、より好ましくは約100℃で行われる
。
該アミノカルボニル化反応は、高圧の一酸化炭素を用いずに行われる。約1気
圧が典型的であり、かつ、好ましい。また、一酸化炭素を反応混合物に通気させ
て、溶液を飽和させてもよい。
典型的には、塩基は、それらが塩として用いられる場合、アミン成分(III)を
遊離させるために該反応混合物に含まれるであろう。さらに、該塩基を用いて、
該反応の間に生じる酸H−R10を消費してもよい。トリブチルアミン、テトラメ
チルエチリデンおよびHunigs塩基などの第三アミンは、この目的のために最も適
している。Hunigs塩基、ジイソプロピルエチルアミンは、特に適切である。
アミン成分(III)は、一般に、塩基性第一または第二アミンである。ここで、
他
の反応性塩基性中心は、アミノ保護基により保護されている。かかる反応性中心
についての保護基およびかかる保護基の除去方法は、当該技術分野でよく知られ
ており、例えば、Greene et al.,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,Sec
ondEdition,John Wiley & Sons,New York,1991 により開示されている。所望に
より置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニ
ルアセチルまたはベンゾイル基は、一例である。アミノ、グアニジノおよびアミ
ジノ基は、保護されるアミン成分における他の反応性中心の例である。ブチルオ
キシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニル基は、好ましい保護基である。
しかしながら、4,4'−ビピペリジンなどの不斉アミノ成分を用いる場合、第二
の塩基性中心を保護する必要はないと思われる。保護基は、次いで、例えばトリ
フルオロ酢酸もしくは塩酸などの酸による処理またはパラジウムもしくは白金触
媒による水素添加などの当該技術分野でよく知られている方法により除去される
。
式(III)で示される代表的なアミンは、
であり、ここで、Eは、NまたはCR'であり、Rpは、H、またはベンジルオキ
シカルボニル、t−ブチルオキシカルボニルまたはアセチルなどのアミノ保護基
であり、nは、0−3であり、R20は、水素、アミノ、モノ−またはジ−C1-4
アルキルアミノ、ヒドロキシまたはC1-4アルキルである。好ましくは、nは、
2であり、pは、1である。N'−ベンジルオキシ−4,4'−ビピペリジンおよ
びN'−t−ブチルオキシカルボニル−4,4'−ビピペリジンは、特に適切なア
ミンである。
Raは、H、C1-6アルキル、Ar−C0-6アルキル、Het−C0-6アルキル、
またはC3-6シクロアルキル−C0-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルキル、OR1
、SR1、COR1、OH、NO2、N(R1)2、CO(NR1)2、CH2N(R1)2であ
り;
RbおよびRcは、独立して、H、C1-6アルキル、Ar−C0-6アルキル、He
t−C0-6アルキル、またはC3-6シクロアルキル−C0-6アルキル、ハロゲン、
C1-6アルキル、OR1、SR1、COR1、OH、NO2、N(R1)2、
CO(NR1)2、CH2N(R1)2から選択されるか、または、RbおよびRcは、一
緒に結合して、所望によりハロゲン、C1-4アルキル、OR1、SR1、COR1、
OH、NO2、N(R1)2、CO(NR1)2、CH2N(R1)2により置換されていても
よい5員または6員の芳香族または非芳香族環を形成し;
Qは、NR'、OまたはSであり;
R'は、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr
−C0-4アルキルである。
別の特定の具体例では、Wは、ピペリジニルなどの6員の窒素複素環である。
また、本発明の方法は、アゼピン環の形成前に本発明のテトラヒドロ−1-ベ
ンズアゼピンおよびテトラヒドロ−1,4-ベンゾジアゼピンのアニリノ前駆体を
アミノカルボニル化するために用いてもよいと認識されるであろう。
アミノカルボニル化反応で用いられる反応性テトラヒドロ−1−ベンズアゼピ
ンまたはテトラヒドロ−1,4−ベンゾジアゼピン中間体(II)は、適切に三置換
されたハロ−フェニルまたはヒドロキシ−フェニル化合物で始まるWO 94/14776
に開示されている方法と類似の方法によって製造される。
別の態様では、本発明は、式(IV):
[式中、A1、A2およびR2は、式(I)における定義と同じである]
で示される化合物をN−ブロモスクシンイミドおよびテトラアルキルアンモニウ
ムハロゲン化物と反応させることからなる、前記定義の式(II)[式中、R10は、
Brである]で示される中間化合物の製造方法である。テトラブチルアンモニウ
ムブロミドは、特に適切である。メカニズムは知られていないが、該テトラアル
キルアンモニウムハロゲン化物の使用は、減少した量のジハロゲン化生成物を用
いてアニリノ窒素に対するパラ位の臭素化を促進する。このプロセスは、高価な
試薬であるテトラブチルアンモニウムトリブロミドによる臭素化よりも経済的で
あり、NBSを単独で用いた場合に得られるジハロゲン化を回避する。7,9−
二臭素化は、NBSを単独で用いた場合の約15%で生じるが;テトラブチルア
ンモニウムブロミドの使用は、この副産物の生成を1%末満に減少させる。
前記プロセスに従って、本発明の有用な中間化合物は、式(IV):
[式中、A1、A2およびR2は、式(I)における定義と同じである]
で示される。
別の態様では、本発明は、式(IV):[式中、A1およびA2は、式(I)における定義と同じである]
で示される化合物をI Cl・ピリジン複合体と反応させることからなる前記定
義の式(II)[式中、R10は、Iである]で示される中間化台物の製造方法である
。テトラヒドロ−1−ベンズアゼピンおよびテトラヒドロ−1,4−ベンゾジア
ゼピンは、1位の窒素がアゼピン環のC2で二重結合を与えるヨウ素化に必要な
条件下で酸化される傾向にあるので、ヨウ素化を行うのが困難である。この転換
を行うのに適している試薬がI Cl・ピリジン複合体であることが見いだされ
た。実際、この試薬は、対応するジヒドロアゼピン/ジアゼピンを生産するため
のテトラヒドロ−1−ベンズアゼピン/テトラヒドロ−1,4−ベンゾジアゼピ
ンの感知できるほどの酸化を生じないI+の唯一の供給源である。
好ましい具体例では、ヨウ素化反応は、メタノール/メチレンジクロリド溶媒
混合物中で行われる。この共溶媒混台物を用いて、95%のオーダーの転換が得
られるが、該反応が溶媒としてメチレンジクロリドだけを用いて行われる場合に
は、該反応は、75−80%の転換で停止する。
式(I)−(IV)またはその下位式におけるいずれか1つの出来事での置換基の意
味は、特記しない限り、別の出来事でのその意味または他の置換基の意味とは無
関係である。
化学技術分野で一般に用いられる略語および記号を用いて、本発明の化合物、
反応および試薬を記載する。触媒添加量などの、本明細書で示す全ての「添加量
」は、芳香族ハロゲン化物またはトリフラートのモル%として表す。
本明細書で用いる場合、C1-4アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含むことを意味する
。C1-6アルキルは、さらに、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペ
ンチルおよびヘキシルならびにその簡単な脂肪族異性体を含む。C1-4アルキル
ま
たはC1-6アルキル基は、特記しない限り、所望によりハロ、−OR'、SR'、
−CN、−NR'R'、−NO2、−CF3、CF3S(O)r−、−CO2R'、
−CONR'2、C3-6シクロアルキル、HetまたはArにより置換されていてもよい
。C0-4アルキルおよびC0-6アルキルは、さらに、アルキル基が全く存在しない
こと(例えば、共有結合が存在すること)を示す。
本明細書で用いる場合、C2-6アルケニルは、炭素−炭素単結合が炭素−炭素
二重結合により置き換えられている2〜6個の炭素のアルキル基を意味する。C2-6
アルケニルとしては、エチレン、1−プロペン、2−プロペン、1−ブテン
、2−ブテン、イソブテンおよびいくつかのペンテンおよびヘキセン異性体が挙
げられる。シスおよびトランスの両方の異性体も含まれる。C2-6アルキル基に
おけるsp3炭素原子は、所望によりハロ、−OR'、SR'、−CN、
−NR'R'、−NO2、−CF3、CF3S(O)r−、−CO2R'、−CONR'2、
C3-6シクロアルキル、HetまたはArにより置換されていてもよい。
C3-6アルキニルは、1つの炭素−炭素単結合が炭素−炭素三重結合により置
き換えられている3〜6個の炭素のアルキル基を意味する。C3−6アルキニル
としては、アセチレン、1−プロピン、2−プロピン、1−ブチン、2−ブチン
、3−ブチンならびにペンチンおよびヘキシンの単純異性体が挙げられる。C3- 6
アルキニル基におけるsp3炭素原子は、所望によりハロ、−OR'、SR'、
−CN、−NR'R'、−NO2、−CF3、CF3S(O)r−、−CO2R'、
−CONR'2、C3-6シクロアルキル、HetまたはArにより置換されていても
よい。
C1-4オキソアルキルは、CH2基がC(O)またはカルボニル基により置き換え
られている4個までの炭素のアルキル基を意味する。置換ホルミル、アセチル、
1−プロパナル、2−プロパノン、3−プロパナル、2−ブタノン、3−ブタノ
ン、1−および4−ブタナル基が代表的である。C1-6オキソアルキルとしては
、さらに、カルボニル基により置換されている5個および6個の炭素の高い類似
体および異性体が挙げられる。C3-6オキソアルケニルおよびC3-6オキソアルキ
ニルは、CH2基がC(O)基により置き換えられているC3-6アルケニルまたは
C3-6アルキニル基を表す。C3-4オキソアルケニルとしては、1−オキソ−2−
プロペニル、3−オキソ−1−プロペニル、2−オキソ−3−ブテニルなどが挙
げられる。
C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルまたはC1-6オキソアルキ
ル基の置換基は、安定な構造を生じる炭素原子上にあり、慣用的な合成技術によ
り入手可能である。
T−C1-6アルキルは、いずれかの位置で、炭素−水素結合が炭素−T結合に
置き換えられているC1-6アルキル基を表す。T−C2-6アルケニルおよび
T−C3-6アルキニルは、C2-6アルケニルおよびC3-6アルキニルに関して同様
の意味を有する。
本明細書で用いる場合、Arまたはアリールは、フェニルもしくはナフチル、
または、1〜3個の部分により置換されているフェニルもしくはナフチルを意味
する。特に、かかる部分は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキル
チオ、トリフルオロメチル、OH、F、Cl、BrまたはIである。
Hetまたは複素環は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜
3個のヘテロ原子を含有する、慣用の化学合成により入手可能な、所望により置
換されていてもよい5員もしくは6員の単環式環または9員または10員の二環
式環を示す。複素環の例としては、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾ
ピラン、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、インドリン、モルホリン、
ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピロリジン、テトラヒドロピリジン、ピリ
ジン、チアゾール、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ならびにテトラ−お
よびパーヒドロキノリンおよびイソキノリンが挙げられる。ピペリジン、ピペラ
ジン、テトラヒドロピリジンおよびピリジンなどの1または2個の窒素を含有す
る6員環複素環が好ましい複素環である。ピペリジンは、Zについての好ましい
Hetである。
C3-7シクロアルキルは、2個までの不飽和炭素−炭素結合を含有してもよい
3〜7個の炭素原子の所望により置換されていてもよい炭素環系を意味する。典
型的なC3-7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプチ
ルである。慣用の化学合成により入手可能であり、かつ、安定であるシクロアル
キル環上のC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、トリフルオ
ロメチル、OH、F、Cl、BrまたはIから選択されるような3個までの置換
基の組み合わせは、本発明の範囲内である。
または7員の単環式環、または、窒素原子3個までを含有するかまたは窒素原子
1個ならびに酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子を含有する7員〜10員
の二環式環であり、安定な構造を生じるいずれかの原子上で置換されていてよい
窒素複素環を示す。かかる環における窒素原子は、第四窒素を生じるように置換
されていてよい。窒素複素環は、R20により、例えば、H、C1-4アルコキシ、
F、Cl、Br、I、NO2、NR'2、OH、CO2R'、CONHR'、CF3、
T−C0-4アルキル、T−C1-4アルキル−S(O)u(例えば、ここで、uは、0
、1または2である)または前記置換基のいずれかにより置換されているC1-4
ア
ピロリジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、アザ−ベンゾイミダゾール、
イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペ
リジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、ピリジニウム、テトラヒドロピリ
ジン、テトラヒドロ−およびヘキサヒドロ−アゼピン、キヌクリジン、キヌクリ
ジニウム、キノリン、イソキノリン、ならびにテトラ−およびパーヒドロ−キノ
ピペリジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、キヌクリジニルまたはテトラヒド
−ピリジル)、4−(2−アミノ−ピリジル)、4−テトラヒドロピリジル、4−
ピ
ペリジニルまたは4−ピペラジニルが好ましい。
びRcは、一緒に結合して、5員または6員の芳香族または非芳香族環を形成す
る。形成された環は、一般に、Hetについて前記で挙げたものから選択される
5員または6員の複素環であるか、または、フェニル、シクロヘキシルまたはシ
クロペンチル環であろう。各々所望によりC1-4アルキルにより置換されていて
もよいフェニル、2,3−ピリジル(例えば、ここで、5員環は、ピリジル環の
2位と3位との間で形成される)、3,4−ピリジル、4,5−ピリジルおよび4
,5−ピリミジルは、かかる環についての好ましい部分である。
ある種の基は、本明細書では略記される。t−Buは、第三ブチル基を表し、
Bocは、t−ブチルオキシカルボニル基を表し、Fmocは、フルオレニルメトキ
シカルボニル基を表し、Phは、フェニル基を表し、Cbzは、ベンジルオキシカ
ルボニル基を表し、Bnは、ベンジル基を表し、Meは、メチルを表し、Etは
、エチルを表し、Acは、アセチルを表し、Alkは、C1-4アルキルを表し、Np
hは、1−または2−ナフチルを表し、cHexは、シクロヘキシルを表す。
ある種の試薬は、本明細書では略記される。DCCは、ジシクロヘキシルカル
ボイミドを表し、DMPAは、ジメチルアミノピリジンを表し、DIEAは、ジ
イソプロピルエチルアミンを表す。THFは、テトラヒドロフランを表し、DM
Fは、ジメチルホルムアミドを表し、NBSは、N−ブロモースクシンイミドを
表し、Pd/Cは、パラジウム−炭素触媒を表し、TEAは、トリエチルアミン
を表し、TFAは、トリフルオロ酢酸を表す。
アミド結合形成反応のアミン成分が保護基を含有する場合、該保護基は、用い
た特定の保護基の選択的脱保護に適切な方法を用いて、エステル加水分解工程の
前または後に除去することができる。かかる方法は、Green,“Protective Group
inOrganic Synthesis”(Wiley-Interscienceより出版)に開示されている。例
えば、アミン成分がtert−ブトキシカルボニル(BOC)基により保護されてい
る
窒素基を含有する場合、該BOC基は、例えば、ジオキサン中のHClまたはC
H2Cl2中のトリフルオロ酢酸などを用いて、酸性条件下で除去される。
本発明の化合物を製造するための簡単な出発物質は、市販のものであるか、ま
たは、当該技術分野でよく知られている慣用的な方法により製造される。
本発明の中間化合物は、医薬的に活性な化合物、特に、フィブリノーゲンおよ
びビトロネクチン拮抗活性を有する化合物の製造における中間体として有用であ
る。
一般
核磁気共鳴スペクトルは、250または400MHzのいずれかで、各々、Br
uker AM 250またはBruker AC 400スペクトロメーターを用いて記録さ
れた。CDCl3は、ジュウテリオクロロホルムであり、DMSO−d6は、ヘキ
サジュウテリオジメチルスルホキシドであり、CD3ODは、テトラジュウテリ
オメタノールである。化学シフトは、内部標準テトラメチルシランからのダウン
フィールドをppm(δ)で示す。NMRデータの略語は、以下のとおりである:
s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項、dd=二重項
中の二重項、dt=三重項中の二重項、app=見かけ、br=ブロード。Jは
、ヘルツで測定したNMR結合定数を示す。連続波赤外線(IR)スペクトルは
、パーキン−エルマー(Perkin−Elmer)683赤外線スペクトロメーターで記
録し、フーリエ変換赤外線(FTIR)スペクトルは、ニコレット・インパクト
(Nicolet Impact)400 D赤外線スペクトロメーターで記録した。IRおよ
びFTIRスペクトルは、透過モードで記録し、バンド位置は波数(cm-1)で記
録される。質量スペクトルは、高速原子衝撃(FAB)または電子噴射(ES)
イオン化法を用いて、VG 70FE、PE Syx API III、またはVG ZA
B HF装置で行われた。元素分析は、パーキン−エルマー
(Perkin-Elmer)240C元素分析器を用いて得られた。融点は、トーマス−フ
ーバー(Thomas-Hoover)融点装置で測定され、未修正である。全ての温度は、摂
氏で示される。
アナルテック・シリカ・ゲル(Analtech Silica Gel)GFおよびイー・メ
ルク・シリカ・ゲル(E.Merck Silica Gel)60 F−254薄層プレートは、
薄層クロマトグラフィーのために用いた。イー・メルク・キーゼルゲル(E.Mer
ckKieselgel)60(230−400メッシュ)シリカゲルを用いてフラッシュ
クロマトグラフィーおよび重カクロマトグラフィーの両方を行った。分析的HP
LCおよび分取用HPLCは、レインニン(Rainin)またはベックマン(Beckman)
クロマトグラフで行った。ODSは、オクタデシルシリル誘導化シリカゲルクロ
マトグラフィー支持床を表す。5μApex-ODSは、コロラド州リトルトンのジ
ョーンズ・クロマトグラフィー(J ones Chromatography)により製造された公
称粒径5μを有するオクタデシルシリル誘導化シリカゲルクロマトグラフィー支
持床を示す。YMC ODS−AQ(登録商標)は、ODSクロマトグラフィー
支持床であり、日本国京都のYMCカンパニー・リミテッド(YMC Co.Ltd.
)の登録商標である。PRP−1(登録商標)は、高分子(スチレン−ジビニル
ベンゼン)クロマトグラフィー支持床であり、ネバダ州レーノのハミルトン・カ
ンパニー(Hamilton Co.)の登録商標である。Celite(登録商標)は、酸洗浄
珪藻シリカからなる濾過助剤であり、コロラド州デンバーのマンヴィル・コーポ
レーション(Manville Corp.)の登録商標である。
以下の方法は、本発明を行うための方法を説明する。
・テトラヒドロ−3−オキソ−1,4−ベンゾジアゼピン環系の製造
実施例1
( S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼ ピン−2−酢酸メチルの製造
a)(R)−マレイン酸ジメチル・O−トリフルオロメタンスルホン酸塩
フレーム乾燥フラスコ中、アルゴン下、0℃で、無水トリフルオロメタンスル
ホン酸(14.2mL、84ミリモル)の乾燥CH2Cl2(40mL)中溶液に(R)−マ
レイン酸ジメチル(12.96g、80ミリモル)およびピリジン(6.8mL、8
4ミリモル)のCH2Cl2(50mL)中溶液を滴下した。得られた黄−橙色混合
物を0℃で30分間、次いで、室温で4時間撹拌した。該反応をH2O(50mL
)の添加により急冷し、有機相をH2Oおよび食塩水で3回洗浄し、乾燥させ
(MgSO4)、濃縮して、オフホワイト色の固体として表記化合物を得た(22
.45g、95%):MS(ES)m/e 295.0[M+H]+。
b)N−[2−(シアノ)フェニル]−(S)−アスパラギン酸ジメチル
フレーム乾燥フラスコ中、アルゴン下、0℃で、2−アミノベンゾニトリル(
9.0g)76.2ミリモル)および2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(14.5
g、76.2ミリモル)のCH3Cl−ヘキサン(1:1)(100mL)中溶液に
実施例1(a)の化合物(22.4g、76.2ミリモル)のCH3Cl−ヘキサン
(1:1)(80mL)中溶液を添加した。得られた混合物を0℃で30分間、次
いで、RTで3日間撹拌した。得られた混合物を濃縮し、残留物をEtOAcに
溶解させ、5%HClおよび食塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。得ら
れた混合物を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1
2%EtOAc/ヘキサン)に付すことにより精製して、透明な油状物として標
記化合物を得た(12.3g、62%):MS(ES)m/e263.3[M+H]+
。
c)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジ
アゼピン−2−酢酸メチル
実施例1(b)の化合物(12g、45.7ミリモル)、Et3N(7.64mL、5
4.84ミリモル)およびラネー−Ni(46g、CH3OHにより予洗した)の
CH3OH(200mL)中混合物を、H2バルーン下、室温で2日間撹拌した。該
混合物を濾過し、触媒をCH3OHで3回洗浄した。濾液を濃縮し、残留物をフ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、段階勾配、0−5%CH3OH/C
H2Cl2)に付すことにより精製して、白色固体として標記化合物を得た(7.
93g、74%):MS(ES)m/e 235.3[M+H]+。標記化合物は、N
MRにより約23%の(R)鏡像異性体を含有することを示した。
テトラヒドロ−3−オキソ−1,4−ベンゾジアゼピンの臭素化
実施例2 2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ブロモ−4−メチル-3−オキソ−1H−1 ,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチルの製造
2,3,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾ
ジアゼピン−2−酢酸メチル(100g、0.4モル)およびn−Bu4NBr(
13g、0.04モル)をCH2Cl2(1.0リットル)に添加し、0.5時間還流
させた。該反応混合物を28℃に冷却し、N−ブロモスクシンイミドを少量添加
した(72.8g、0.41モル)。該反応を室温で1.0時間撹拌し、次いで、5
%NaHCO3溶液(400ml)、次いで、水(2×400ml)で洗浄し、
「プット・アンド・テイク(put and take)」蒸留を介してCH2Cl2(800
ml)をヘキサン(800ml)と置換し、得られたスラリーを冷却し、濾過し、ヘ
キサンで洗浄した。該生成物を真空乾燥させて、標記化合物を得た(123g、
93%)。HPLC分析は、0.7%残留出発物質および0.7%7,9−二臭化
物を示した。
テトラヒドロ−3−オキソ−1,4−ベンゾジアゼピンのヨウ素化
実施例3 ( S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ヨード−3−オキソ−1H−1,4− ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチルの製造
ピリジン−ICl複合体:ピリジン(8.5mL、105ミリモル)のCH2C
l2(20mL)中溶液にCH2Cl2(100mL)中1M-塩化ヨウ素をゆっくりと添加
し、アルゴン下で撹拌し、5℃に予備冷却し、内部温度を100−15℃に維持
した。該混合物を5−10℃で20分間撹拌した。ヘキサン(50mL)を添加
し、該混合物を冷却浴中でさらに30分間撹拌した。形成した固体を濾過により
回収し、ヘキサンで、および、石油エーテルで洗浄し、乾燥させて、黄色固体と
してピリジン−ICl複合体(22.5g)を得、これをさらには精製せずに用い
た。
(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼ
ピン−2−酢酸メチル(1.18g、4.8ミリモル)のCH2Cl2:CH3OH(1
:1)(40mL)中溶液にピリジン−ICl複合体(1.27g、5.28ミリモル
)を滴下した。得られた混合物をRTで40分間撹拌し、1M NaHSO3(2
0mL)で処理し、得られた固体を濾過により回収し、Et2Oで洗浄し、乾燥さ
せて、オフホワイト色の固体として標記化合物を得た(1.72g、定量的):
MS(E
S)m/e 361.2[M+H]+。
実施例4 2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ヨード−4−メチル-3−オキソ−1H−1 4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチルの製造
2,3,4,5−テトラヒドロ−3−オキソ−4−メチル−1H−1,4−ベンゾジ
アゼピン−2-酢酸メチル(80g、0.32モル)をCH2Cl2(400ml)およ
びMeOH(400ml)に添加した。該混合物を40℃で0.5時間加熱市、次
いで、25℃に冷却した。ピリジン一塩化ヨウ素複合体を滴下した(82g、0
.51モル)。添加後、該反応を10分間撹拌し、次いで、CH2Cl2(400
ml)を添加した。該反応混合物を1.0時間撹拌し、次いで、メタ亜硫酸ナトリ
ウム溶液(5g+水400ml)、次いで、水(400ml)で洗浄した。該洗浄工
程の間、温度を30℃に維持した。「プット・アンド・テイク」蒸留により、C
H2Cl2(450ml)を60/80石油エーテルで置換した。さらにCH2Cl2
(200ml)を60/80石油エーテルで置換し、該混合物を10℃にゆっくり
と冷却し、生成物を濾過し、60/80石油エーテルで洗浄した。該生成物を真
空乾燥させて、標記化合物を得た(108g、92%)。
実施例5 2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ヨード−4−メチル-3−オキソ−1H−1 ,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチルの製造
2,3,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾ
ジアゼピン−2−酢酸メチル(100g、0.4モル)をCH2Cl2(500ml)
+MeOH(500ml)に添加し、40℃で0.5時間加熱した。該溶液を26
℃に冷却し、ピリジン(64g、0.8モル)を添加した。CH2Cl2(500ml
)に溶解した一塩化ヨウ素(71.3g、0.44モル)を30分間かけて滴下し
、該反応をさらに1時問撹拌した。生成物を濾過し、60/80石油エーテルで
洗浄し、真空乾燥させて、標記化合物を得た(113g、75%)。
・テトラヒドロ−3−オキソ−1,4−ベンゾジアゼピンのアミノカルボニル化
実施例6 2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[(N'−ベンジルオキシカルボニル)−4, 4'−ビピペリジニル]カルボニル]−4−メチル−3−オキソ−1H−1,4−ベ ンゾジアゼピン−2−酢酸の製造
2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ブロモ−4−メチル-3−オキソ−1H−1
,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル(5g、0.015モル)、Hunigs塩基
(18.2g、0.14モル)、Ph3P(0.31g、0.0031モル)、
Pd(OAc)2(0.07g、0.00031モル)およびN−Cbz−4,4'−ビ
ピペリジン−HCl塩(7.3g、0.021モル)をN−メチルピロリジノン(4
0ml)に溶解させた。該溶液に一酸化炭素を通気させつつ、該反応混合物を11
0℃に加熱した。1気圧の一酸化炭素下に該反応を維持しつつ、温度を110℃
に維持した。フマル酸アンモニウム溶液(水5ml中0.6gを0.5ml)を1時間毎
に、合計反応時間4時間添加した(2.0ml添加した)。
過剰のHunigs塩基を真空下で濾去し、残留物を冷却し、CH2Cl2(30ml)で
希釈した。これを水(2×30ml)で洗浄した。CH2Cl2を真空下で除去し、
残留物をEtOAc(80ml)に溶解させた。該溶液を3日間撹拌し、次いで、
濾過し、冷EtOAcで洗浄した(6.52g、74%)。
実施例7 ( S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[ベンゾイミダゾール−2−イル) メチル]メチルアミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピ ン−2−酢酸の製造
a)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[N−[(ベンゾイミダゾール−2
−イル)メチル]−N−メチルアミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−
ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル
(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ブロモ−3−オキソ−1H−1,4−
ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル(1.5g、4.77905モル)、2−(メチ
ルアミノメチル)ベンゾイミダゾール・二塩酸塩(2.24g、9.5809ミリモ
ル)、トリフェニルホスフィン(1.26g、4.7905ミリモル)、
n−Bu3N(6.21g、33.5333ミリモル)、および(Ph3P)4Pd(1.
1
0g、0.9581ミリモル)のN−メチル2−ピロリジノン(20mL)中混合
物をアルゴンおよび一酸化炭素下で10分間フラッシュした。次いで、該混合物
を、一酸化炭素バルーン下、100−105℃で8時間加熱した。該混合物を冷
却し、6N HClでpH=2に酸性化した。該溶液をEtOAcで抽出し、Et
OAc層を廃棄した。水性層を30%NaOHで中和し、CH2Cl2で抽出した
。有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濃縮し、シリカゲルフラッシユクロマト
グラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により精製して、オフホワイト色の固
体として標記化合物を得た(1.62g、80%):1H NMR(25OMHz,
DMSO−d6):δ2.65(dd,J=16.3,7.6H,1H)、2.81
(dd,J=16.3,5.9Hz,1H)、3.05(s,3H)、3.60(s
,3H)、3.75(dd,J=16.3,6.9Hz,1H)、4.78(s,2
H)、4.95(m,1H)、5.05(dd,J=16,5.3Hz,1H)、
6.20(d,J=5.9Hz,1H)、6.55(d,J=7.6Hz,1H)、
7.25(m,4H)、7.55(m,2H)、8.21(t,J=5.3Hz,1
H)。
b)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[ベンゾイミダゾール−2−イ
ル)メチル]メチルアミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジア
ゼピン−2−酢酸
実施例7(a)の方法に従って、(S)−2,3,4,5-テトラヒドロ−7−[[N−
[(ベンゾイミダゾール−2−イル)メチル]−N−メチルアミノ]カルボニル]−3
−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチルを鹸化して、オフ
ホワイト色の固体として標記化合物を得た(0.060g、57%):1H NMR
(400MHz,DMSO−d6)δ2.52(dd,J=16.3,7.6Hz,
1H)、2.84(dd,J=16.3,5.9Hz,1H)、3.20(s,3H
)、3.75(dd,J=16.3,7.6Hz)、4.95(t,J=5.9Hz,
1H)、5.05(dd,J=16,5.3Hz,1H)、5.10(s,2H)、
6.59(d,J=7.6Hz,1H)、7.12(s,1H)、7.20(d,J=7
.6Hz,1H)、7.48(m,2H)、7.69(m,2H)、7.90(d,J
=5.3Hz,1H);IR(KBr)3600−3100、3100−2800
、1681、1
613、1601、1485、1445、1314、830、764、742cm-1
;MS(ES)m/e 422(M+H)+。C21H21N5O4の元素分析:C
,61.91;H,5.20;N,17.19。測定値:C,61.57;H,5.
32;N,17.29。
実施例8 ( S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[(4−アザ−5−メチルベンゾイミ ダゾール−2−イル)メチルアミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−ベ ンゾジアゼピン−2−酢酸の製造
a)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[(4−アザ−5−メチルベンゾ
イミダゾール−2−イル)メチル]メチルアミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H
−1,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル
NMP(22ml)中に(S)-2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ブロモ−3−
オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル(624mg、2ミリ
モル)、2−(アミノメチル)−4−アザ−5−メチルベンズイミダゾール・ジ
塩酸塩(695mg、2.8ミリモル)、DIEA(10ミリモル)および(Ph3
P)2PdCl2(126mg、0.18ミリモル)を含有する混合物を、COバ
ルーンの下、48時間、110℃に加熱した。溶媒をロータバップ(高真空)で
除去し、残さをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5〜5%メタノー
ル/ジクロロメタン)により精製し、淡黄色固体の標記化合物(170mg、1
9.5%)を得た:MS(ES)m/e 437.5(M+H)+.
b)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[(4−アザ−5−メチルベンズ
イミダゾール−2−イル)メチルアミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4
-ベンゾジアゼピン−2−酢酸
1.0M LiOH(0.6ml、0.6ミリモル)を、(S)−2,3,4,5−テ
トラヒドロ−7−[[[(4−アザ−5−メチルベンズイミダゾール−2−イル)メ
チル]メチルアミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン
−2−酢酸メチル(170mg、0.39ミリモル)のメタノール(5ml)およ
びTHF(5ml)中溶液に室温で滴下した。得られた混合物を20時間攪拌し
、つい
で濃縮した。残さを水中に溶かし、30%TFAで酸性化し、ODSクロマトグ
ラフィー(0.1%TFA含有の5%アセトニトリル/水)により精製した。濃縮
し、凍結乾燥して灰白色粉末の標記化合物を得た:
[α]n 25−74.5゜(c=1,メタノール);MS(ES) m/e 423
.2(M+H)+。元素分析(C21H22N6O4・2TFA・1.75H2Oとして
)の理論値:C,44.03;H,4.06;N,12.32。測定値:C,44.
33;H,4.04;N,12.28。
実施例9 2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[(N'−ベンジルオキシカルボニル)−4,4' −ビピペリジニル]カルボニル]−3−オキソ−4−メチル-1H−1,4−ベンゾ ジアゼピン−2−酢酸の製造
N−CBZ−4,4'−ビピペリジン−塩酸塩(1.18g、0.0035モル)
を熱N-メチルピロリゾン(8ml)に溶かし、濾過した。この濾液にHunigs塩基
(3.64g、0.028モル)、2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ヨード−3
−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル(1.0g、0.00
27モル)および(Ph3P)2PdCl2(0.038g)5.4x10-6モル)を加え
た。混合物をガス抜きし、一酸化炭素1気圧の下、90−100℃で2時間加熱
した。反応物を冷却し、生成物を前記した実施例6に記載されている方法と同じ
方法にて単離し、標記化合物(1.38g、90%)を得た。
実施例10 ( S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−オキソ−7[[[(2−[2−(ピリジニル) アミノ]エチル]アミノ]カルボニル]−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−酢酸 の製造
a)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−オキソ−7−[[[(2−[2−(ピ
リジニル)アミノ]エチル]アミノ]カルボニル]−1H−1,4−ベンゾジアゼピン
−2−酢酸メチル
(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ヨード−3−オキソ−1H−1,4−
ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル(720mg、2ミリモル)、N−(2−ピリ
ジニル)エチレンジアミン(672mg、3ミリモル)、DIEA(1.8ml、
10ミリモル)および(Ph3P)2PdCl2(140mg、0.2ミリモル)のN
−メチル−2−ピロリジノン(20ml)中混合物を、COバルーン下で110
℃に3時間か熱した。該混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー
(シリカゲル、ステップ勾配、0−7%メタノール/ジクロロメタン)により精製
し、淡黄色半固体の標記化合物を得た:
MS(ES)m/e 398.2[M+H]+。
b)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−オキソ−7−[[[(2−[2−(ピ
リジニル)アミノ]エチル]アミノ]カルボニル]−1H−1,4−ベンゾジアゼピン
−2−酢酸
1M LiOH(3.8ml、3.8ミリモル)を、実施例10(a)の化合物
(1g、2.5ミリモル)のメタノール:THF(1:1;20ml)中溶液に
室温で滴下した。得られた混合物を20時間攪拌し、濃縮した。残渣を水に溶か
し、TFA(20%)で酸性化し、クロマトグラフィー(ODS、6%アセトニ
トリル/水−0.1%TFA)で精製した。所望の生成物を含有するフラクショ
ンをプールし、濃縮し、凍結乾燥して淡黄色粉末の標記化合物[約23%のR−
エナンチオマーを含有していてもよい、調製例6(c)を参照のこと]を得た:
MS(ES)m/e 384.2[M+H]+。
元素分析:C19H21N5O4・2.5TFAとして
計算値(%):C,41.87;H,3.44;N,10.17
測定値(%):C,42.01;H,3.62;N,10.15
実施例11 ( S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[(ベンゾイミダゾール−2−イル)メ チル]アミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2− 酢酸の製造
a)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[(ベンズイミダゾール−2−イ
ル)メチル]アミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン
−2−酢酸メチル
(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ヨード−3−オキソ−1H−1,4−
ベンゾジアゼピン−2−酢酸メチル(1.08g、3ミリモル)、2−アミノメ
チルベンズイミダゾール・ジ塩酸塩・水和物(924mg、4.2ミリモル)、
DIEA(2.6ml、15ミリモル)および(Ph3P)2PdCl2(211mg)
0.3ミリモル)のNMP(30ml)中混合物を、COバルーン下で110℃に
3時間か加熱した。溶媒をローターバップ(高真空)上で除去し、残渣をシリカ
ゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−7%メタノール/ジクロロメタン)に
より精製し、灰白色固体の標記化合物(530mg;44%)を得た:
MS(ES)m/e 408.1[M+H]+。
b)(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[(ベンズイミダゾール−2−イ
ル)メチル]アミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン
−2−酢酸
(S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−7−[[[(ベンズイミダゾール−2−イル
)メチル]アミノ]カルボニル]−3−オキソ−1H−1,4−べンゾジアゼピン−
2−酢酸メチルを1M LiOHで加水分解し、白色粉末の標記化台物(66%
)を得た。
[α]n 25−145.3゜(c=1、メタノール);
MS(ES)m/e 394.2(M+H)+。
元素分析:C20H19N5O4・2TFA・0.125H2Oとして
計算値(%):C,46.22;H,3.43;N,11.23
測定値(%):C,46.13;H,3.78;N,11.49
上記した開示は本発明の製法および使用方法を十分に説明するものである。し
かし、本発明は前記した特定の具体例に限定されるものではなく、添付する請求
の範囲内にあるすべての修飾も包含するものである。本明細書に示される文献、
特許および他の刊行物にある種々の参考文献は当該分野における状況を構成する
ものであり、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
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UZ,VN
(72)発明者 ヘイズ,ジェローム
イギリス、ティエヌ4・9エルエス、ケン
ト、タンブリッジ・ウェルズ、チルスト
ン・クロース11番
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イギリス、ティエヌ4・0キューエック
ス、ケント、タンブリッジ・ウェルズ、サ
ウスボロー、サマーヒル・アベニュー15番
(72)発明者 ウォルスグローブ,ティモシー・チャール
ズ
イギリス、ティエヌ4・9ピーゼット、ケ
ント、タンブリッジ・ウェルズ、インパ
ラ・ガーデンズ、インパラ・ロッジ