JP2000500568A - 分析対象物の検出に用いる化学発光分析方法及び分析装置 - Google Patents

分析対象物の検出に用いる化学発光分析方法及び分析装置

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Abstract

(57)【要約】 分析物を迅速にかつ容易に検出するためのサンプリング検査装置及び方法。本装置及び方法は、化学発光反応を利用して高感度の検出を行い、物体表面のバクテリアの検出などの用途に用いることができる。検査装置はサンプリング部と試薬部を有している。サンプリング部は吸着性材料で構成され、物体表面や液体などの検査試料から分析物を回収する。試薬部は吸着性材料で構成され、ルシフェラーゼ酵素、共同因子などの化学発光反応成分を乾燥状態で1つ以上含んでいる。サンプリング部の接触による汚染を防ぐため、この装置は可動シールドを有していてもよい。サンプリング部で汚染面を拭き取ることが好ましい。次に、吸着材に溶菌性の溶液を加え、試料として採取したバクテリアからATPを放出させる。ATPは、装置の試薬部に拡散し、試薬部に含まれるルシフェラーゼなどの共同因子と反応する。試料中に存在するバクテリアに反応して、化学発光反応による発光が起こる。この光は、例えば、光検出箱に装置を挿入して電子的に検出したり、あるいは、インスタント写真フィルムなどのフィルムで構成された任意の光検出部によって化学的に検出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 分析対象物の検出に用いる化学発光分析方法及び分析装置 技術分野 本発明は、主に分析対象物を検出するための化学発光分析方法及び化学発光分 析装置に関する。好ましい態様において、本発明は汚染面に存在するバクテリア を検出する化学発光分析方法及び化学発光分析装置に関する。 背景技術 食品加工中に食品がバクテリアに汚染されると、食品を傷ませてしまう場合が ある。病原バクテリアやその毒物によって汚染された食品が、適切に調理されな いまま人体に摂取されると、食中毒を引き起こすことがある。バクテリアによる 食品の汚染を防止することは、食品の安全性を向上する上で非常に重要である。 培養プレートを用いた標準的な方法によって、バクテリアによる表面の汚染を 調べるには、殺菌した試料採取器具(一般的には、綿棒又はスポンジ)と適当な 培養基が必要である。そして、この培養基に細菌を植え付けた後、これを少なく とも数時間から数日、温度を適当に調節しながら培養しなければならない。 しかし、バクテリアによる汚染を検出する従来の方法は、多大な手間と時間を 要するため、非熟練者がこれを即座に適用することは難しい。特に、屠殺場や食 品処理施設においては、追加洗浄処理が必要であるか、あるいは安全基準が適切 に守られているかを迅速に決定しなければならないため、迅速なバクテリア検査 が必要である。バクテリア検査は、バクテリア汚染を監視し・抑制するHCCP (hazards and critical control points program:危険/危機管理問題プログ ラム)の中の一つ の有用な要素になると思われる。しかし、従来の方法では、熟練者によらなけれ ばならず、しかも検査には数時間から数日もの時間が必要なため、このプログラ ムが実行できない場合がある。 このような欠点を解決する方法の一つとして、化学発光検出方法を利用して、 分析方法の検出感度を増大させる(とともに、所要時間を短くする)ことが提案 されている。例えば、アデノシン三リン酸(ATP)を測定することによって、 間接的にバクテリアを検出する化学発光方法が提案されている。 ATPはすべてのバクテリアに含まれているため、ATP分析を利用したバク テリア検出方法は信頼性が高い。ATPの化学結合エネルギーは、ホタル(Pho tinus)の尾部でおこる化学発光反応の源泉でもある。この発光反応の仕組みは 、文献に詳細に記載されている(DeLuca,M.,et al,1979 Anal.Biochem.95:1 94-198)。この発光反応による生成物は、アデニル酸ルシフェリン錯体と自由無 機ピロリン酸との結合による酵素の形成に始まり、この錯体と酸素分子との急速 な反応による光、二酸化炭素およびAMP(アデニル酸)の生成に終わる一連の 反応により生成されるものであり、この反応によりATPから分離する。このよ うにして分離した生成物を用いて、他の物質に含まれるATPを検出することが できる。 光測定方法としては、光電子増倍管を用いたフォトン計数法が従来より利用さ れている。また、写真フィルムも用いられている。例えば、米国特許第4,39 6,579号には、写真フィルムを用いて、発光反応を測定することが記載され ている。この光検出装置は、内部は閉鎖されており、その内部空間が仕切られた 区画中へ液体を導入するための管を設けたものが開示されている。この装置の欠 点は、構造が複雑であることと、暗所で液体を追加しなければならないことにあ る。 米国特許第4,385,113号及び5,366,867号に記載されている ように、ホタルのルシフェリン−ルシフェラーゼ反応は、閾レベルの微生物を検 出する方法として利用されている。しかし、これらの 方法にも数多くの短所がある。凍結乾燥したルシフェリン−ルシフェラーゼ試薬 は室温での長期保存に対して不安定であるだけでなく、短い間隔で液体を加えて 還元させた場合にも不安定である。さらに、還元後のルシフェリン−ルシフェラ ーゼ溶液は、ATPが存在しなくてもかなりの光を発生する。このような背景に より、この方法では検出感度が低下し、検出に数分から1時間の時間を要する。 試薬の安定性の問題は、ルシフェリン−ルシフェラーゼ試薬を別々にプラスチ ック面上で乾燥させることによって部分的な対応がなされていた。しかし、この 解決法では微生物を採取器具からプラスチック面に移動させる必要があり、この 移動は、採取器具で採取されたこの溶液をルシフェリン−ルシフェラーゼ試薬を 含むプラスチック面に移すことによって行われる。このように方法が複雑になる と、装置を扱えるものが熟練者に限られる。 また、上記方法によって試薬の不安定性を解消すると、検出感度を低下させる ことになる。上記方法によれば、採取器具からルシフェリン−ルシフェラーゼ試 薬を含む別のプラスチック面へのATPの移動が不十分になるという新たな問題 が起きる。さらに、ATPを移動させた後、発光した光を検出するまでの時間に ばらつきを生じるという新たな問題が生じる。 さらに、定期的に試薬を加えなければならないため、光強度が減少するにつれ 、発光が減少するという欠点もある。 定期的な試薬の追加と試薬の安定性という上記2つの問題は、分析対象物を検 出することを目的とする他の化学発光方法にも共通する問題である。例えば、米 国特許第4,396,579号(発光検出装置、Schroeder and Vogelhut)に 開示されている自動検出装置は、発光動作に関する問題を解決するため、化学発 光試薬を一定の間隔で加えるように構成されているが、この装置は構造が複雑で 高価である。定期的な試薬の追加と試薬の安定性という問題を考慮したこの装置 は、非常に複雑な構成である。 このように、高感度で短時間に化学発光を検出でき、かつ、上記のような装置 の複雑化、定期的な試薬の追加、試薬の安定性、多量のバックグラウンド光の放 出などの問題を解決できる分析が必要とされている。 しかし、発光光度計や蛍光光度計など、従来の化学発光分析装置は、平らな形 状の分析装置に対して必ずしも好適であるわけではない。このため、試料が発す る光の強度を単純な構造で効率良く検出できるよう、光電子増倍管や公知の光検 出器を設置して、これを介在させた簡単かつ取り外し自在な構成が必要とされて いる。この目的を達成するシステムとして、第1の係属米国特許出願(出願番号 :第08/577107号、出願日:1995年12月22日、発明の名称:サ ンプリング分析用インターフェースシステム及び分析方法)がある。以下、先行 技術としてこの出願の開示を参照する。 具体的には、第1の係属米国特許出願は、この出願が開示するサンプリング装 置によって分析対象物を分析するためのサンプリング装置支持インターフェース システム及びその分析方法を開示している。このサンプリングシステムは、サン プリング装置支持インターフェースシステムと定量化手段から構成され、この定 量化手段によって、出力信号を分析対象物の量を示す定量化可能なデータに変換 する。より詳細には、上記インターフェースはサンプリング装置支持体と、光電 子増倍管や光電子検出器などの光検出器(サンプリング装置で発生した光をその 光量又は光強度に対応する出力信号に変換する手段)によって構成される。 サンプリング装置はインターフェースによって支持され、容器およびその内部 に収容された細長いサンプリング材から構成される。このサンプリング材は、試 料を導入するサンプリング部、分析対象物と化学発光反応を起こす試薬を含有す る読取部、及びサンプリング部と読取部を連結してサンプリング部の試料を読取 部に移動させる移動部を有している。上記容器には、サンプリング部に試料を導 入するための開口部が設けられている。また、この容器は、窓あるいは開口部な どの光透過部を有しており、読取部を露出させ視認できるようになっている。 上記支持体は、ハウジングとトレイを備えている。ハウジングは少なくとも第 1と第2の壁部によって形成された空洞を有している。第1と第2の壁部のいず れかには、開口部または光透過窓が設けられている。上記トレイは上記空洞部に 収容され、開口部が形成された壁部と開口されていない壁部との間を移動するこ とができる。このトレイはサンプリング分析装置を固定、支持するための仕切り をなす。トレイが開口されていない壁に位置するとき、第1の開口部は読取部と 適合し、第1の開口部を通して読取部を視認することができる。光検出器は、第 1の開口部と適合して、ハウジングに接続される。また、トレイには、仕切りを 貫通して第2の開口部(光透過窓)が設けられており、この開口部は固定したサ ンプリング装置の読取部と適合する。トレイが開口されていない壁に位置すると き、第2の開口部は第1の開口部と適合し、第1の開口部と第2の開口部を通し て読取部を視認することができる。 第2の係属米国特許出願(出願番号:第08/580096号、出願日:19 95年12月22日、発明の名称:サンプリング分析装置、インターフェースシ ステム及び分析方法)には、第1の係属米国特許出願と同様のシステムが開示さ れている。しかし、第2の係属米国特許出願では、分析対象物と結合させる発光 性、蛍光性、あるいは燐光性の薬剤に光を照射するための光源を、光検出器に対 向する位置に設けている。以下、先行技術としてこの出願の開示を参照する。第 2の係属米国特許出願のサンプリング装置は、読取部に固定した結合剤を用いて 、分析対象物と結合した発光性の薬剤を捕捉する。 第1と第2の係属米国特許出願に開示されるサンプリング装置は、公知の光検 出器を用いて光を検出する独自の手段である。しかし、そのサンプリング装置は 柔軟性があり、薄く平らな形状であるため、この装置をトレイの仕切りから取り 外すことは容易ではない。サンプリング装置を取り外すには、爪または鋭利な道 具を差し込んで装置を持ち上げたり、インターフェースを逆さにして装置を落と したりする必要がある。いずれにしても、サンプリング装置はトレイから容易に 取り外せることが 望ましい。また、露出したサンプリング部を接触による汚染から防ぐことも必要 である。たとえば、インターフェースや支持体を揺らしたり、横に倒したり、逆 さにした場合には、露出したサンプリング部がハウジング上壁の下側と接触する 可能性があるが、このとき、ハウジング上壁の下側と接触した別の試料がサンプ リング部に導入される恐れがある。本発明は、これら両問題を解決する手段を提 供する。 発明の開示 従って、本発明の目的は、分析対象物の検出に必要とされる、試薬を計量して 定期的に追加する作業の煩雑さを解消あるいは軽減することにある。 本発明の第2の目的は、試料を接触による汚染から防ぐことにある。 本発明の第3の目的は、分析対象物の検出に用いる化学発光試薬の安定性を高 めることにある。 本発明の更なる目的は、光検出手段を分析装置と一体化して、試料部において 迅速に分析対象物の測定を行うことにある。 上記の目的及びその他の目的を達成するため、本発明の一観点から、化学発光 分析装置を提供する。この化学発光分析装置は、容器と、この容器と物理的に関 わるとともに、互いに関わり合うサンプリング部と試薬部によって構成される。 試薬部は、1つ以上の化学発光試薬を乾燥状態で含有する吸着性材料で形成され る。本装置は光透過部を有しており、容器内で化学発光反応によって発生した光 はこの光透過部を介して容器外部に透過する。 また、本発明は接触による汚染を防止するため、シールドを備えた分析対象物 を分析するサンプリング装置を提供する。本発明のサンプリング装置は、容器と この容器内に収容された細長いサンプリング材を備えている。このサンプリング 材は、試料を受けるサンプリング部と、発光性の化合物と試料を保持する読取部 と、上記サンプリング部と読取部を連結してサンプリング部の試料を読取部に移 動させる移動部を有してい る。上記容器は試料をサンプリング部に導入するための手段と、読取部を露出さ せる光透過部を有している。この容器からシールドが伸長し、露出したサンプリ ング部に隣接している。このシールドの一部は容器の一方の端部を越えて伸長し た伸長部を形成しており、サンプリング部を移動可能で、容器の一方の端部を包 み込むことができる。 具体的には、上記容器は第1層、第2層、及びこれらの層に挟まれたサンプリ ング材を含む構成である。シールドは、第1層に取り付けられるか、あるいは第 1層と一体化しており、容器の一方の端部を伸長部で包み込む手段を有している 。この包み込み手段は、予め形成された折り目あるいはひだであることが好まし く、ミシン目であってもよい。第1層には、タブあるいはツマミが取り付けられ るか一体化されているが、このタブあるいはツマミは、シールドに取り付けられ るか一体化されていてもよい。 試料導入手段は、サンプリング部と整合し、第1層を貫通する第1の開口部で あることが好ましい。同様に、光透過層は、読取部と整合し、第2層を貫通する 第2の開口部であることが好ましい。また、第2層は少なくとも第2の開口部を 被覆する光透過部材を備えていることが好ましい。 本発明の装置によって、従来の分析方法に伴う煩雑な作業の大部分をを解消あ るいは軽減することができ、その結果、分析対象物の検出に必要な費用と技術者 の訓練を削減することができる。 本発明の一態様によれば、細長いサンプリング材は吸着性材料で形成される。 他の態様では、サンプリング材は光透過性のポリカーボネート膜を有している。 本発明のサンプリング装置はさらに試料採取部材を有している。好ましくは、 この採取部は吸着性で、容器内部のサンプリング部と接触し、第1の開口部と整 合している。この試料採取部材は、試料を受け、その試料をサンプリング部に移 動させる。 本発明の一態様によれば、上記化合物は読取部に含有される試薬であ り、好ましくは乾燥状態の酵素である。試薬は分析対象物と混合すると、化学発 光反応により光を発する。上記試薬は、乾燥状態のルシフェラーゼ−ルシフェリ ンであればさらに好ましい。 本発明の他の態様によれば、上記化合物は少なくとも移動部の一部に含有され ており、分析対象物に添加する結合剤を含有する発光性(燐光性あるいは蛍光性 )を有する識別薬剤であることが好ましい。この識別薬剤は、光を受けたときに 発光する。好ましくは、識別薬剤は、キレートユーロピウム又はユーロピウム化 合物である。上記読取部には、固定された結合剤(抗原など)が含有されており 、分析対象物に対して特異性を有し、読取部内で識別される分析対象物を捕捉す る。本態様において、細長いサンプリング材は、さらに読取部に隣接した採取部 を有している。この採取部は、結合剤と結合しなかった混合物を含む余分な液体 を吸収するよう構成されている。このように、読取部で固定された分析対象物に は、光を受けたときに発光する識別薬剤が付着しているため、露光後に発生した 光の量は、試料中に含まれる分析対象物の量に相関する量となる。装置の使用中 、液体中の試料が移動部を移動する際、分析対象物は識別薬剤を捕まえる。しか し、結合剤と結合しなかった混合物と混合した他の生物や余分な混合物は、結合 剤に対して特異性を有さないため、読取部で捕捉されることなく通過していく。 一方、分析対象物は、結合剤に対して特異性を有するため、読取部で捕捉されて 、その位置にとどまる。 本発明のサンプリング装置は、特に、ハウジングとサンプリング装置を固定す るトレイを備えており、サンプリング装置体支持インターフェースとともに用い ることができる。このハウジングは、サンプリング装置を固定したトレイを収容 する空洞部を備えている。この空洞部は、トレイが閉じているとき光を通さない 。このハウジングを光検出器などに接続して、試料が発する光の量を測定する。 また、ハウジングは発光性を有する識別薬剤による反応を引き起こすための光源 を有していてもよい。 好ましい態様において、本発明の装置は、自己現像型写真フィルムなどのフィ ルムを備えている。これによって、読み取り作業や検査作業を容易にすることが できる。 本発明の別の観点において、分析対象物の便利な分析方法を提供する。この方 法では、例えば、分析対象物が存在する可能性のある面をサンプリング部で拭う ことによって、上記装置のサンプリング部を試料と接触させる。その後、担体液 をサンプリング部に加えることによって、分析対象物を試薬部に移動させる。ま た、この担体液は、試薬部の化学発光反応要素を還元(元の状態に戻す。この場 合、担体液で湿らせることにより行われる)し、化学発光反応を開始させる。乾 燥状態の化学発光試薬を試薬部及び/又はサンプリング部に含有させることによ って、先行技術に見られた試薬の安定性に関する問題を解決することができる。 本発明の他の好ましい態様では、本発明の方法を用いて、カウンターテーブル 、精肉機械、食品加工機械などの表面に存在するバクテリアを迅速に検出するこ とができる。この方法では、ルシフェラーゼ化学発光反応成分を乾燥状態で試薬 部に導入しているため、高い感度を達成している。サンプリング部で採取された バクテリアは、担体液中の溶菌性試薬(例、洗剤)中で溶解する。このように、 バクテリアが溶解して解放されたATPは、ルシフェラーゼ発光反応に関連する 。本発明の装置の容器の一部を物理的に形成する光電子増倍管または高速度フィ ルムを用いて光を高感度で検出することによって、バクテリアを迅速にかつ高感 度で検出することができる。 本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明によって明確にされる 。しかし、以下の詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の好ましい態様を示 しているけれども、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の範囲内 において、実施態様を変更したり、修正したりすることができる。 図面の簡単な説明 図1は、本発明の装置を上方から見た分解斜視図である。 図2は、繊維質吸着性材料による試料部の位置を示す、本発明の他の装置を上 方から見た分解斜視図である。 図3は、担体液と写真フィルムによる検出手段を備えた本発明の他の装置を上 方から見た分解斜視図である。 図4は、本発明の一態様のサンプリング装置を示す分解図である。 図5は、本発明の他の態様のサンプリング装置を示す分解図である。 図6は、シールドの作用を示す本発明のサンプリング装置の概略側面図である 。 発明の詳細な説明 本発明者らは、化学発光システムにおいて、ルシフェラーゼ酵素と必要な共同 因子を多孔質の吸着材料上で乾燥させ、その後これを還元することによってバク テリアなどの分析対象物を分析できることを発見した。さらに本発明者らは、こ のような試薬はサンプリング部と試薬部を有する適当な装置に組み込めることを 発見した。 物体の表面や液体など、分析対象物が存在すると思われる領域から分析対象物 を検出するための最も基本的な形態として、本発明の方法は、以下の3つの工程 から構成される。(1)物体の表面や液体など、分析対象物が存在する疑いのある 領域を試料部で拭き取り、試料部と接触させる。(2)担体液を試料部に加え、分 析対象物を試料部から試薬部へ移動させ、同時に乾燥状態の試薬を還元する。( 3)試料中に存在する分析対象物に反応して化学発光した光を検出する。なお、 分析対象物が液体中に存在する場合には、工程(2)(担体液の添加)を省いても よい。 本発明では、広い範囲の分析対象物を検出することができる。本装置のサンプ リング部は、固体との物理的接触に限られず、外部からの液体の添加によっても 、事実上あらゆる種類の分析対象物を採取することができる。 本明細書中に記載の「分析対象物」とは、タンパク質などの分子、原核細胞、 ウイルス、小原形質あるいは独立して生存可能な真核細胞などの細胞の代謝物や 微生物を指す。分析対象物を装置のサンプリング部に導入する方法としては、点 眼器などの容器を用いて液体を添加する方法、あるいは、装置を液体中又は流れ ている液体に短時間浸漬させる方法などが挙げられる。あるいは、汚染の疑いが ある面を綿棒で拭き取り、装置と物理的に接触させることによって分析対象物を 導入することもできる。 本発明の好ましい態様によれば、カウンターテーブル、台所器具、屠殺用機械 などの表面を本発明の装置のサンプリング部で拭き取ることによって、これらの 面のバクテリアによる汚染を調べることができる。 このサンプリング部は、吸着性材料で構成される。吸着性材料は、ガラスファ イバ、綿、デークロン、紙などの繊維質材料であってもよく、多孔質ポリエチレ ン、焼結ガラスなどの多孔質材料であってもよい。 サンプリング部は、試薬部に近接するか、物理的に接触して配置され、試料受 け部に加えられた液体は試薬部に導かれる構成とする。 この試薬部も吸着性材料で構成されている。吸着性材料は、ガラスファイバ、 綿、デークロン、紙などの繊維質材料であってもよく、多孔質ポリエチレン、焼 結ガラスなどの多孔質材料であってもよい。一般的に、多孔質材料は平らであり 、長方形、あるいは中心が細く両端が幅広な形状など様々な形状のものを用いる ことができる。こうした多孔質材料の形状により、試薬が拡散・混合され、さら には、光検出手段に露出する表面積を最大にすることを可能にする。このような 材料としては、当業者に公知の多くのものを用いることができ、例えば、クロマ トグラフィー分析に現在用いられている材料などが挙げられる。 図に示すように、試薬部は、多孔質吸着材の一部分である場合が多い。試薬部 は、1つまたは複数の化学発光反応用試薬を、一般に乾燥した状態で含んでいる 。また、試薬部は、分析に有用な他の試薬、例えば、バクテリアからATPを抽 出するために必要な溶菌性試薬(洗剤など) を含んでいてもよい。これらの試薬は、試薬部で一緒に混合してもよく、順番に 加えて、拡散中の液体が順番に試薬に接触するようにしてもよい。 化学発光反応は、検出可能な光を発生できる程度に進行していれば、反応が起 こる場所は、試薬部内であっても、試薬部の下流(色彩の変化が起こる試薬部の 位置)であってもよい。反応を検出する吸着性材料の位置は、試薬の種類及び量 、吸着性材料の種類などの要因に対応して決定される。化学発光反応を検出する 上で好ましい吸着性材料の位置は、容易に決定することができる。 この装置の一部は、化学発光反応によって発生した光を少なくとも部分的に透 過する構成である。このような構成にするには、例えば、透明なプラスチックを 用いることができる。また、窓や超音波溶接によって形成した透明部なども好適 である。特に、光を試料添加部から離れた位置で検出できるようにするため、帯 状の試薬部の表面を透明なカバーで被覆することが好ましい。 本発明の装置及び方法には、様々な化学発光反応が利用される。例えば、過酸 化水素と、抗体とルミノールに類する西洋わさびに存在するペルオキシターゼを 反応させることにより、西洋わさびペルオキシターゼが触媒となって促進される 化学発光反応、あるいはジアシルヒドラジン、アクリジニウム塩、ジオキシタン を用いた反応、あるいはまた、海生バクテリアの場合には還元ニコチン・アデニ ン・ジヌクレオチドなどの共同因子を含む生物発光反応などの化学発光反応を利 用することができる。 特に好ましい化学発光反応は、ルシフェラーゼと最低1つの共同因子を用いて 試料中に存在するATPから光を発生させるホタルATP分析である。 試薬部を構成する乾燥状態の吸着性材料には、少なくとも1つの化学発光反応 試薬が含まれている。この試薬は、試薬部の吸着性材料を調製する際に水溶液と して適宜加えた後、乾燥工程において乾燥させてもよ いし、粉体あるいは有機溶媒又はスラリー中の懸濁液として加えた後、乾燥状態 としてもよい。この他にも公知の方法を用いることができ、反応成分の特徴に応 じて好ましい方法を選択することができる。 用いられる担体液の例としては、緩衝液、洗剤を含む緩衝液、水、血液、尿な どが挙げられる。pH7.0〜9.0の範囲にあるTRIS、HEPESの緩衝 液を用いてもよいが、pH7.8のHEPES緩衝液をEDTAに加えて緩衝液 とするのが最も好ましい。ATP分解酵素を作用させるには2価金属の陽イオン が必要であり、EDTAは、この金属陽イオンと化合してキレート環を形成する ことからEDTAを用いることが好ましい。 また、本発明の別の態様において、試料部や試薬部、あるいは試薬部を含む多 孔質吸着材料は、洗剤を含んでいてもよい。洗剤は、装置に加えられた液体に溶 解し、細胞を開いて細胞の構成成分に分解する働きをする。 さらに、担体液は、試料部の微生物から1つ又は複数の物質を溶出させるため に用いられる。この態様において、サンプリング部で採取されたバクテリアは担 体液中に溶解し、ATPを溶液中に溶出して試薬部に移動させる。このような担 体液に、洗剤が含まれていてもよい。 本発明の有益な態様では、担体液は分析装置に設けられた液溜めに入っている 。この液溜めは、例えば、装置の屈曲部(例、ちょうつがい、一体的に形成され たちょうつがい)に隣接して設けることができる。この屈曲部によって、液溜め をサンプリング部に近接させることができる。このように、サンプリング部を分 析対象物と接触させた後、液溜めを含む部分を曲げるか、折り畳んで液溜めをサ ンプリング部に近づける(例えば、サンプリング部の真上)ことができる。その 後、液溜めを(指で押さえるなどして)破壊し、内容物を直接試料部に接触させ る。このように、本態様では、すべての試薬が試験装置に備えられているため、 試薬入れを個別に用意する必要がない。 好適な洗剤やその組み合わせは公知のものが用いられ、非イオン性洗 剤(例えば、トリトン X−100、ノニデット P40、n−ウンデシル β −D グルコピラノジド)、両性イオン性洗剤(例えば、n−ヘキサデシル−N, N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルフォネート)、及びカチオン 性洗剤(例えば、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベンズアルコニウ ム、セチルジメチル−臭化エチルアンモニウム、ドデシルトリメチル−臭化アン モニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム)などが挙げられる。洗剤溶液の 濃度は、洗剤の種類に応じて選択でき、その範囲は、0.1〜6%、好ましくは 0.5〜2.0%である。 上記容器本体の材料は、プラスチックなど液体を通さない材料でなければなら ない。このような容器は、例えば、1片のプラスチックをサンプリング部と試薬 部を設けた構成とし、吸着性材料を収容できる形状に成形される。また、上記容 器は、多数の要素を液体不浸透性密封材により、密着させた構成としてもよい。 さらに、必要に応じて容器に開口部を設け、容器内の吸着性材料に沿って液体を 流れやすくし、拡散又はクロマトグラフィーによる検出の効率を向上させてもよ い。また、同様の目的で、容器内にエアーポケットを設けてもよい。 化学発光反応によって容器が発する光を検出する工程は、公知の多数の方法に よって行うことができる。化学発光反応の光は、光電子増倍管、フォトダイオー ド、フォトFET、電荷結合素子などを用いて電子的に検出することができる。 電子的光検出器としては、感度の点から光電子増倍管が最も好ましい。 また、化学発光反応の光は、フィルムなどを用いて化学的に検出することもで きる。特に好ましいのは、ASA20,000と同等の速度を有するポラロイド #612などの、高速度写真フィルムである。フィルムに関する知識を有するも のは、他にも多くの好適なフィルムを選択することができる。 化学発光反応によって発生した光の強度は、ランバートの法則に従って距離の 2乗に反比例する。従って、光検出器を用いる場合、検出器を 反応成分又は反応が起こる場所にできるだけ近づけることによって、検出感度を 最大にすることができる。 電子読取装置を用いて光を検出する場合、光検出手段をサンプリング部領域か ら離して、装置の検査領域の近くに補足的に暗室を設け、この暗室に装置をはめ 込んでもよい。このような暗室を設けることによって、暗所で試薬を計時あるい は計量して追加するという、先行技術の問題点を解決し、工程を簡略にすること ができる。この結果、検出装置と検出方法の費用を抑えるとともに、より扱いや すいものにすることができる。 以下に、図面を参照しながら本発明の実施の態様を説明する。 図1は、試料部と試薬部を一体化した試料検査装置102の基本的な形態を示 している。第1構成要素104は、開口部106を有し、プラスチックフィルム などの不浸透性材料で形成される。第2構成要素107は、乾燥試薬を含有する 吸着性材料で形成されている。検出領域110は、サンプリング部108から離 れた位置に設けられる。光は、検出領域110で検出されることが好ましいが、 必要に応じて、装置の他の部分で検出することもできる。以下に、操作手順を説 明する。まず、分析対象物を含有すると思われる部分にサンプリング部を接触さ せる。その後、(必要な場合は)担体液をサンプリング部に添加し、この担体液と 共に分析対象物を第2構成要素に移動させて、第2構成要素107内で分析対象 物と化学発光試薬を混合する。この試薬は、検出領域110に拡散される。例え ば、乾燥ルシフェラーゼ試薬は、第2構成要素107中に分散し、サンプリング 部108と検出領域110の間に拡散される。 第3構成要素112は、プラスチックフィルムなどの不浸透性材料で形成され 、少なくとも検出領域110の真下の領域114で光を透過する。この光透過領 域114は、光検出器の近くに設けることができる。プラスチックの層104, 112は、吸着性材料で構成される第2構成要素107を挟んだ状態で、互いに 密着している。この2つの層は、熱 、接着剤、あるいは側面同士を留め合わせる物理的手段によって密着している。 図2は、サンプリング部と試薬部を吸着性材料で別々に構成した本発明の他の 装置202を示している。第1構成要素204は、開口部206を有し、プラス チックフィルムなどの液体不透過性材料で形成される。サンプリング部208は 、繊維質の吸着性材料で形成されている。このサンプリング部208は、上部不 透過性層204と多孔質吸着材料211の一方の端部210に挟まれ、開口部2 06の真下に位置している。試薬部212の形状は、両端部が広く中央部が狭い (もちろん、他の様々な形状を採用してもよい)。構成要素214は、液体不透過 性の材料で形成されているが、少なくとも符号211に示す部分から化学発光反 応の光を発する領域は光を透過する。図示されていないが、構成要素204と構 成要素214の端部216の近くには1つ又は複数の穴を形成して、液体をサン プリング部208から流出しやすくしてもよい。 図3は、バクテリアの検出に有用な本発明の別の装置を示している。この装置 は、図2に示すようにサンプリング部と試薬部が吸着性材料で別々に構成されて おり、さらに、担体液(液溜め308内に溜められている)と、インスタント写 真フィルムからなる光検出手段を有している。 プラスチックフィルムなどの液体不透過性材料で形成された第1構成要素30 0は、開口部304を有し、屈曲部310(ちょうつがいなど)の面312上に 液溜め308が取り付けられている。サンプリング部306は、繊維質の吸着性 材料で形成されている。このサンプリング部306は、上部不透過性層からなる 第1構成要素300と多孔質吸着材料316の一方の端部314に挟まれ、開口 部304の真下に位置している。試薬部318の形状は、両端部が広く中央部が 狭い(もちろん、他の様々な形状を採用してもよい)。別の構成要素320は、液 体不透過性の材料で形成されているが、少なくともその一部は光を透過する。図 示されていないが、構成要素300と320に1つ又は複数の穴を形 成して、液体をサンプリング部306から流出しやすくしてもよい。 さらに図3の装置は、ネガフィルム層322、圧縮棒324、展開ゲル容器3 26、ポジティブプリントフィルム328とこれに取り付けられたタブ330を 備えている。これらの構成要素によって、インスタント写真手段を用いた化学発 光反応の光の検出を行うことができる。 この装置を使用するには、支持板302を開口部304の裏側から指で押さえ て圧力を加え、この開口部304を介して露出した吸着性のサンプリング部30 6で検査領域表面を拭き取る。拭き取りを行った後、装置のうち担体液の液溜め 308を含む部分を屈曲部310から折り曲げる。液溜め表面312に圧力を加 えると、液溜めが破壊され、あふれ出した担体液がサンプリング部306に移動 する。 担体液は、サンプリング部306に存在するバクテリアからATPを抽出する ための溶菌性薬剤を含んでいる。ATPは、サンプリング部306中を拡散し、 点314に示す位置から吸着性材料316に吸収される。この溶液は、吸着性部 材の中で拡散し、乾燥状態の化学発光試薬を再び水を含む状態とする。担体液中 のATPは、試薬部318に含まれる含水化学発光試薬と反応して光を発する。 化学発光反応によって発生した光は、光透過性の構成要素320を透過して、 ネガフィルム層322に達する。適当な培養時間をおいてフィルムを露光させた 後、圧縮棒324を装置上で点314から検出領域318の方向へ移動させ、展 開ゲル容器326を圧縮する。これによって、展開ゲルを展開ゲル容器326か らネガフィルム322及びポジティブプリントフィルム328の表面に移動させ る。適当な時間圧縮した後、タブ330を引き抜き、ポジティブプリントフィル ムを観察して分析対象物(バクテリア)の有無を確認する。 図4〜6は、本発明のサンプリング装置の特徴を示している。本発明の態様が 示す図4〜6のサンプリング装置中、同一要素あるいは同様の要素に対しては便 宜上同じ参照符号を用いた。 図4は、本発明のサンプリング分析装置400の第1の態様を示して いる。この装置は、特に第2の係属特許出願に開示されているインターフェース と共に用いる構成である。図5は、本発明のサンプリング分析装置400の第2 の態様を示している。この装置は、特に第2の係属特許出願に開示されているイ ンターフェースと共に用いる構成である。サンプリング分析装置400,400 ’は、サンプリング材440,440’を包含するハウジング410を備えてい る。このサンプリング材は、試料が導入されるサンプリング部442,442’ 、光を発する読取部444,444’、試料を読取部に移動させる移動部446 ,446’を有している。ハウジング410は、上層部420と下層部430に よって構成される。これらの層はサンプリング部442,442’と整合する開 口部422、及び読取部444,444’と整合する開口部432を有している 。 上層部420と下層部430は、それぞれプラスチックフィルムなどの液体不 透過性の薄型材料で形成されていることが好ましい。上層部420と下層部43 0は、サンプリング材440,440’を挟んだ状態で密着している。これらの 層を密着するには、熱、接着剤、超音波溶接、あるいはサンプリング材を間に挟 んだ状態で両層を保持する物理的手段を用いて行われる。この上層部と下層部は 、一枚のシート状フィルムを折り畳んで形成することもできる。また、三側面を あらかじめ密着させたハウジングを用いてもよい。 図4及び図5に示されるように、下層部430はその下部に密着フィルム45 0を備えていることが好ましい。このフィルム450は、光透過性(透明)で、 サンプリング部が発する光を伝達できることが好ましい。しかし、フィルム45 0は、下層部の開口部432の真下の領域のみが透明な構造であってもよい。図 4及び図5では、フィルム450は下層部の下に位置しているが、このフィルム は下層部とサンプリング材440,440’の間に位置していてもよい。また、 下層部のうち、少なくとも読取部444,444’と整合する領域が透明材料で 形成され、読取部の窓として機能する場合には、密着フィルム450はなくても よい。また、必要であれば下層部全体を透明材料で構成してもよい。さらに、開 口部432のみを、下層部430の上部あるいは下部から光を透過することがで きる材料で被覆してもよい。サンプリング部442,442’は、上層部420 と下層部430に挟まれた状態で、上層部の開口部422の真下に位置している 。 図示される態様において、上層部420とサンプリング部442,442’の 間に、試料採取部材材460を上層部の開口部422から露出するように挟み込 んでもよい。このように被覆構造のハウジング410を介して、サンプリング部 への光透過を可能にする。採取部は吸着性であることが好ましく、ガラスファイ バ、綿、デークロン、紙などの繊維質材料で形成されるのが好ましい。また、多 孔質ポリエチレン、焼結ガラスなどの多孔質材料で形成されていてもよい。 第1の態様において、サンプリング材440も、上記と同様の吸着性材料で形 成されており、ガラスファイバ、綿、デークロン、紙などの繊維質材料、あるい は、多孔質ポリエチレン、焼結ガラスなどの多孔質材料で形成されていてもよい 。このような材料としては、当業者に公知の多くのものを用いることができ、例 えば、クロマトグラフィー分析に現在用いられている材料などが挙げられる。 第2の態様において、サンプリング材440’も、第1の態様と同様の材料で 形成されることが好ましく、特に、吸水性、吸着性または親水性膜のように横方 向に液体を流すことができる材料であることが好ましい。しかし、光を透過させ るために、少なくとも読取部は光透過性を有する。このような材料としては、ポ リカーボネート膜が適している。移動部446’とサンプリング部442’は、 例えば、ガラスファイバで形成することができる。横方向に液体を移動できる光 透過性材料としては、当業者に公知の多くの材料を好適に用いることができる。 サンプリング材440’も、読取部444’に固定されなかった余分な液体と 試料を吸収するための回収部448を備えている。この回収部は、紙、セルロー スフィルター紙などの吸着性又は吸収性材料で形成さ れることが好ましい。サンプリング材全体がポリカーボネート膜などの光透過性 材料でできている場合には、読取部の余分な液体を排出するため、回収部448 はセルロース紙などの吸収層を備えていることが好ましい。 サンプリング部442,442’及び読取部444,444’の幅は、これら の部分をつなぐ移動部446よりも広いことが好ましいが、もちろん、これ以外 の形状であってもよい。サンプリング部及び読取部は、円形(図面の態様)、長方 形、三角形などさまざまな形状のものを用いることができる。用途に応じて、最 適の形状のものを選択することができる。 両態様において、試料採取部材460を設ける場合には、液体の移動効率を最 大にするため試料採取部材をサンプリング部442,442’と物理的に接触さ せることが好ましい。第1の態様では、読取部444は1つ又は複数の化学発光 試薬を含んでいるが、分析対象物と化学発光反応をさせるため、この試薬は乾燥 状態であることが好ましい。さらに、読取部は分析に有用な他の試薬、例えば、 バクテリアからATPを抽出するための溶菌性薬剤(洗剤など)を含んでいても よい。 本発明の装置には、様々な化学発光反応が利用される。例えば、過酸化水素と 、抗体とルミノールに類する西洋わさびに存在するペルオキシターゼを反応させ ることにより、西洋わさびペルオキシターゼが触媒となって促進される化学発光 反応、あるいはジアシルヒドラジン、アクリジニウム塩、ジオキシタンを用いた 反応、あるいはまた、海生バクテリアの場合には還元ニコチン・アデニン・ジヌ クレオチドなどの共同因子を含む生物発光反応などの化学発光反応を利用するこ とができる。特に好ましい化学発光反応は、ルシフェラーゼと最低1つの共同因 子を用いて試料中に存在するATPから光を発生させるホタルATP分析である 。 化学発光反応試薬は、その溶液を適宜加えてから乾燥させてもよく、粉体ある いは有機溶媒又はスラリー中の懸濁液として加えた後、乾燥状 態としてもよい。その他にも公知の方法を用いることができ、用いる反応成分の 特徴に応じて好ましい方法を選択することができる。 第2の態様において、さらに移動部446’は、読取部に隣接して、又は読取 部の近くに識別部447を有している。この識別部447は、発光性(蛍光性あ るいは燐光性)を有する識別薬剤を含有しており、分析対象物を識別する。識別 薬剤の例としては、キレートユーロピウム又はユーロピウム化合物(燐光性)、あ るいは、フィコビリプロテイン(蛍光性)などが挙げられる。 具体的には、識別部447には、発光分子(薬剤)と、分析対象物と結合する 第1の結合剤からなる共役体(例えば、1つ以上の化学結合によって作られた2 つの分子)が含まれている。発光識別薬剤は、フルオレセイン、フィコビリプロ テインなどのように蛍光性を有してもよく、キレートユーロピウム又はユーロピ ウム化合物などのように燐光性であってもよい。本発明で用いる「発光分子」は 、ほたる石または酵素で満たしたリポゾームなどのように分子と原子が大規模に 連結したもの、及び、金または発光性分子で被覆したポリスチレンなどの粒子を 含む。 第1の結合剤は、溶液中に含まれる分析対象物と結合する。第1の結合剤は抗 体であることが好ましいが、特定の抗原と結合する他の物質、例えば、プロテイ ンA(抗体抗原)、レクチン(糖脂質または糖タンパク質抗原)、ストレプトアビジ ン(抗原抗体)、アビジン(ビオチン分析対象物)、ホルモン又は栄養因子(細胞表 面のレセプター)などを用いることもできる。 第1の結合剤と発光分子は、公知の多くの方法で共役体を形成することができ る。実用的には、第1の結合剤と発光分子からなる共役体を用いて、この共役体 の溶液を調製し、その溶液を散布によって識別部447に含ませる。その後、こ の溶液を乾燥させる。しかし、識別部447の構成によっては、共役体が識別部 447と結合するのを防止するため、溶液中に牛血清アルブミン又は乳が含まれ ていることが好ましい。また、共役体と識別部の本質的ではない結合を防止する ため、トゥイーン 20やトリトンX−100などの洗剤が含まれていてもよい。 分析対象物を溶出させたり、識別薬剤を識別部447から溶出させるためには 、洗剤などの薬剤を導入することが重要である。このような薬剤は、担体液また は緩衝液とともに導入することが好ましい。 識別薬剤は、分析対象物と即座に反応して光を発するものではなく、むしろ、 分析対象物に付着して、露光されたときにはじめて輝くものである。つまり、こ の発光には誘因となるものが必要とされる。このため、サンプリング後2〜60 分の間であれば、いつでも光の測定を行うことができる。 担体液や緩衝液などの液体に含まれる試料が読取部に向かって移動する時に識 別薬剤が溶出するが、この識別薬剤には分析対象物を補完する特定の結合剤が含 まれている。しかし、識別薬剤は、分析対象物にしか付着しない。分析対象物に 付着し、識別されるようになった担体液(及び分析対象物に付着しなかった余分 な識別薬剤)は、読取部へ移動する。 読取部444’は、読取部中の識別すべき分析対象物を捕捉するための第2の 結合剤を含んでいる。この第2の結合剤は、例えば、分析対象物を補完する抗体 や抗原など、第1の結合剤と同一であってもよい。しかし、第2の結合剤は基板 である光透過性部材と結合するため、読取部からは流出しない。このようにして 、識別すべき分析対象物は読取部中に固定される。 第2の結合剤の具体的な機能は、分析対象物と結合して、その運動を止めるか 、運動速度を小さく抑えることである。第2の結合剤は抗体であることが好まし いが、分析対象物と結合できる物質であれば好適に用いることができる。第1の 結合剤と第2の結合剤の主要な違いは、第2の結合剤は、例えばポリカーボネー ト部材に固定されるため、このポリカーボネート部材上あるいは部材中を通過す る分析対象物が第2の結合剤と反応してその位置で固定されることである。 第2の結合剤は、公知の数多くの方法によって固定することができる 。膜や支持材の種類によっては、非特異的吸収によって十分に固定することがで きる。また、ポリカーボネート膜などその他の種類のものの場合には、市販のラ テックス成形品又はガラス誘導体粒子などの中間材料を介して、第2の結合剤を 間接的に固定することができる。例えば、非特異的吸収によってラテックスや誘 導体粒子を抗体で被覆した後、牛血清アルブミンなど過剰量の第2のタンパク質 を用いて洗浄と封鎖を行う。次に、溶液状のラテックス又はガラス懸濁液をポリ カーボネート膜に塗布することによって、抗体で被覆したラテックスやガラスビ ーズをポリカーボネート膜内に固定する。 読取部で第2の結合剤と結合しなかった識別薬剤を含有する余分な液体は、回 収部448で吸収される。 担体液の例としては、緩衝液や洗剤を含む緩衝液などが挙げられる。緩衝液と しては、TRIS、HEPESなどpHの範囲がpH5〜10近傍、より好まし くはpH6〜8(中性pH近傍)で、識別薬剤となる緩衝液を用いることができ る。担体液は洗剤を含んでいることが好ましい。洗剤は、サンプリング装置に加 えられた液体に溶解し、界面活性剤として一定濃度での物質の流れを改善したり 、必要に応じて細胞壁や細胞組織を溶解して抗原や検出対象要素を溶出させる働 きをする。好適な洗剤やその組み合わせは公知のものが用いられ、非イオン性洗 剤(例えば、トリトン X−100、ノニデット P40)などを用いることが できる。洗剤溶液の濃度は、洗剤の種類に応じて選択でき、その範囲は、0.0 1〜6%、好ましくは0.5〜1.0%である。 両態様において、担体液又は緩衝液はサンプリング部に導入され、検出を容易 にする薬剤を含んでいることが好ましい。 第1の態様では、薬剤によってサンプリング部に含まれるバクテリアからAT Pが放出される。担体液としては、緩衝液や洗剤を含む緩衝液などを用いること ができる。ホタルの発光器官から結晶化されたホタルルシフェラーゼと共に用い る場合、pH7.0〜9.0の範囲にあるTRIS及びHEPES緩衝液を用い てもよいが、pH7.8のHEPE S緩衝液をEDTAに加えた緩衝液を用いるのが最も好ましい。ATP分解酵素 を作用させるには2価金属の陽イオンが必要であり、EDTAはこの金属陽イオ ンと化合してキレート環を形成することから、EDTAを用いることが好ましい 。ホタルから得られるホタルルシフェラーゼに関連する発光のピークは、化学発 光反応のpHに対応するものであり、562nm〜616nmの範囲で観察され る。pHが5.4のとき、616nmのピークが最大値として検出されるが、5 62nmではピークが観察されない。オキシルシフェリン分子(光発光体)のプ ロトンの作用により、発光スペクトルはpH値に応じて変化する。2つの陰イオ ンをもつオキシルシフェリンは黄緑色の光(562nm)を発し、1つの陰イオ ンをもつオキシルシフェリンは赤色の光(616nm)を発する。 第1の態様では、洗剤はサンプリング部又は読取部に存在していてもよく、担 体液に含まれていてもよい。この洗剤は、サンプリング装置に加えられた液体中 で溶解し、細胞を開いて細胞の構成要素を溶解する働きをする。好適な洗剤やそ の組み合わせは公知のものが用いられ、非イオン性洗剤(例えば、トリトン X −100、ノニデット P40、n−ウンデシル β−D グルコピラノジド) 、両性イオン性洗剤(例えば、n−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アン モニオ−1−プロパンスルフォネート)、及びカチオン性洗剤(例えば、臭化ア ルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベンズアルコニウム、セチルジメチル−臭 化エチルアンモニウム、ドデシルトリメチル−臭化アンモニウム、臭化セチルト リメチルアンモニウム)などが挙げられる。洗剤溶液の濃度は、洗剤の種類に応 じて選択でき、その範囲は、0.1〜6%、好ましくは0.5〜2.0%である 。 第2の態様において、担体液としては、緩衝液や洗剤を含む緩衝液などを用い ることができる。緩衝液としては、TRIS、HEPESなどpHの範囲がpH 5〜10近傍、より好ましくはpH6〜8(中性pH近傍)であり、識別薬剤と なる緩衝液を用いることができる。 第2の態様において、担体液は洗剤を含んでいることが好ましい。洗剤は、サ ンプリング装置に加えられた液体に溶解して、界面活性剤として一定濃度での物 質の流れを改善したり、必要に応じて細胞壁や細胞組織を溶解して抗原や検出対 象要素を溶出させる働きをする。好適な洗剤やその組み合わせは公知のものが用 いられ、非イオン性洗剤(例えば、トリトン X−100、ノニデット P40 )などを用いることができる。洗剤溶液の濃度は、洗剤の種類に応じて選択でき 、その範囲は、0.01〜6%、好ましくは0.5〜1.0%である。 発光(化学発光、蛍光、燐光を含む)の強度を検出する装置は、一般的に知ら れているが、第1と第2の係属出願に開示されているインターフェースを用いる ことが好ましい。この装置において、シールド470は、上層部420に取り付 けられているか、上層部420と一体化している。このシールドは、サンプリン グ装置400の基端部424よりも先へ伸長していることが好ましい。また、シ ールド470には基端部に合わせた折り目あるいはひだ472を事前に設けてお き、図6に示すように、基端部424の先の伸長部474を、下層部430又は 密着フィルム450の下側に容易に畳み込める構成であることが好ましい。 図6において、サンプリング装置は、シールドを折りたたんだ状態(図中の実 線)で密閉袋に包まれていることが好ましい。このような構成によって、この装 置をトレイに固定した状態、例えば、トレイを開けた状態であっても、シールド 470を所定の位置に保持することができる。このシールド470は、プラスチ ックフィルムなど液体不透過性の薄型材料で形成されていることが好ましく、熱 (溶融)、接着剤、超音波溶接など従来の方法で上層部に取り付けることができる 。取付部476にちょうつがい477を設ける。このちょうつがいは取付部の境 界線に沿って取り付けられ、シールドはこの境界線を軸に運動(回転)する。ち ょうつがいが、比較的頑丈な材料でできている場合には、ちょうつがいの位置が 所定部分で保持されないような構成にする必要がある。しかし、シールドを図6 に示す閉じられる位置Aに向かって付勢することが 有用な場合がある。このようにシールドを閉じたとき、シールドは実質的にハウ ジング410と平行である。このような状態は、所望のひだあるいは折り目を設 けることによって(ちょうつがい477沿いでもよい)達成することができる。 サンプリング装置400,400’のトレイ等からの取り外しを容易にするた め、図4〜図6に示すように、シールドにツマミ480を取り付けるか、シール ドをツマミと一体化した構成にする。このツマミは、シールドと同じ材料で形成 することができる。ツマミはシールド470に取り付けてもよく、また、上層部 420に取り付けてもよい。しかし、ツマミはシールドに取り付けることが好ま しく、図示するように取付部476に取り付けることがさらに好ましい。ツマミ とシールドは一つの工程で取り付けられることが好ましい。例えば、サンプリン グ材440,440’を上層部と下層部で挟み込む前に、超音波溶接によってツ マミとシールドを上層部420に溶接する。 ツマミをつかみやすくするため、図4〜図6に示すように、ツマミを上層部や シールドから離して直立させることが好ましい。このような構成によれば、本発 明の装置を第1と第2の係属出願に開示されたインターフェースに挿入すること によって、本発明の別の目的を達成することができる。すなわち、トレイを挿入 するハウジング上部の壁面の下側がツマミを押し下げて、サンプリング装置を所 定の位置に保持する。このようにして、サンプリング装置がインターフェース周 辺で跳ね上がることを防ぐことができる。 使用時には、サンプリング装置400,400’は、密閉容器または密閉袋( 図示せず)に包まれた状態にあることが好ましい。袋からサンプリング装置40 0,400’を取り出し、サンプリングを開始する。位置Aにあるシールド47 0をサンプリング装置の末端部426に向かって図6の位置Bの方へ移動させ、 試料採取部材460を露出させる。次に、例えば、分析対象物が存在する疑いの ある物体の表面、液体、その他分析対象物が存在する疑いのある領域を試料採取 部材460と接触 させたり、採取部材で拭き取ったりして、試料採取部材を検査対象領域に露出さ せる。また、検査対象の試料を、試料採取部材460に直接導入してもよい。そ の後、必要な場合には、担体液を試料採取部材に導入して分析対象物を湿らせ、 含有されている分析対象物を読取部に移動させる。検査対象の分析対象物が液状 の場合には、担体液を導入しなくても構わないが、担体液を用いる方が好ましい 。そして最後に、第1及び第2の係属出願に開示されているインターフェースな どを用いて、試料中の分析対象物に反応して発光した光を検出する。ここで検出 された光量が、試料中に存在する分析対象物の量と対応する。 分析対象物は、物理的接触によって導入することができる。例えば、汚染の可 能性がある面を装置で拭き取って装置に接触させてもよく、また、液状の試料の 場合には点眼器などの容器を用いて導入したり、検査対象の液体中に装置を短時 間浸漬させてもよい。 拭き取りを行う場合には、試料採取部材460がより十分試料にさらされるよ う、下層部430を開口部422の裏側から指で押さえて圧力を加えることが好 ましい。 第1の態様では、添加した担体液はサンプリング材中に拡散され、読取部に達 した担体液が読取部の化学発光試薬に水を含ませ還元する。担体液中に存在する ATPは、再び還元された読取部の化学発光試薬と反応して直ちに発光する。 第2の態様では、試料を含む担体液は、添加されると移動部中を拡散し、識別 部を通過する。この識別部に含まれる発光剤は、分析対象物を補完する結合剤に 付着している。担体液が識別部を通過するとき、担体液から識別薬剤が放出され るが、この識別薬剤は分析対象物以外には付着しない。識別薬剤が付着した(す なわち識別された)分析対象物は、余分に放出された識別薬剤とともに読取部4 44’に移動する。この読取部も、分析対象物を補完する固定された結合剤を含 有している(識別部に含まれる結合剤と同一のものでもよい)。この時、結合剤が 捕捉する分析対象物には識別薬剤が付着しているが、一方で、余分な識別薬剤 などの非補完的要素は読取部を通過する。回収部448は、余分な要素を読取部 444’から排出する働きをする。第1の態様の化学発光反応では、化学発光試 薬と分析対象物が混合するとすぐに発光するが、第2の態様においては、分析対 象物が露光された時はじめて発光する。捕捉された分析対象物に付着した識別薬 剤は、露光されることによって発光する。分析対象物の存在量は、露光量と回収 された光の量に基づいて計算することができる。従って、分析対象物の種類に応 じて、2〜60分程度の時間を置いた後でも適切に読み取りを行うことができる 。その後、第2の係属出願に記載されているように、試料中に存在する分析対象 物に反応して発光が誘発され、この光を検出する。 サンプリングを行った後、シールド470をサンプリング部にかぶせ、伸長部 474を下層部430の下、また、密着フィルム450を用いた場合にはこの密 着フィルムの下へ折り畳み、図6の位置Aに示す状態にする。この結果、サンプ リング部が、試料とさらに接触したり、汚染されたりすることを防ぐことができ る。次に、サンプリング装置400はインターフェースに設置される。シールド を備えているため、インターフェースに設置された後も試料同士が不意に接触す ることを防ぐことができる。読み取りを行った後、このサンプリング装置は、ツ マミを持ってトレイから持ち上げることによって容易に取り外すことができる。 本発明の開示を考慮した上で、本発明の範囲及び目的を逸脱することなく、異 なる実施態様で行ったり、改良を加えたりできることは当業者にとって明らかで ある。従って、本発明の開示や目的の範囲内で考え得るその他すべての実施態様 は、本発明のさらなる実施例と考えられるべきである。以下の実施例は、本発明 を具体例を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。 実施例1 セルロースフィルター紙(Scientific Products Filter製,Grade#36 1)を10mmX35mmに裁断する。α−D グルコピラノジル α−D−グルコピラノジド5%のジチオスレイトール(dithiothreitol)溶液( 0.05モル)を用いて、ルシフェラーゼ−ルシフェリン(Analytical Lumin escence Systems製)を還元し、ルシフェラーゼ−ルシフェリン溶液を調製する 。この溶液15μlをピペットでフィルター紙の末端から約15mmの位置に加 え、真空で乾燥させる。 接着剤を塗布したプラスチックを12.5mmX40mmに裁断する。このプ ラスチック材の基端部に直径8.0mmのパンチ穴を開ける。この穴の円周は、 プラスチック材の基端部から約3.5mm離れた中央部に位置している。 接着剤を塗布した半透明のプラスチックを12.5mmX40mmに裁断する 。この半透明プラスチック材の接着面を上にして、フィルター紙を重ね、フィル ター紙の末端が半透明プラスチック片の末端から2.5mmの位置に、かつ、フ ィルター紙の基端部の端が半透明プラスチック材の基端から2.5mmの位置に 来るように位置合わせを行う。デークロン繊維でできた直径約10mmの栓をフ ィルター紙の基端部の近くに、基端部を超えないように中心に配置する。接着剤 を塗布したプラスチック材を、接着面を下にして半透明プラスチック片に直接重 ね、パンチ穴がデークロンの栓と直接重なるように位置を合わせる。装置に圧力 を加えて、接着面を密着させる。 個包装のポラロイドフィルム(#612 ISO 20,000)を12.5 mmX20mmの長方形に裁断し、装置基端部の裏面に接着する。これによって 、フィルムは暗室を形成する装置と一体化される。この暗室内で、写真フィルム はフィルター紙の検査部に隣接している。 バクテリア検査を行う面にデークロンの面を向けた状態で、この装置を指に挟 む。サンプリング部の裏を装置の裏側から指で押さえて圧力を加え、デークロン のサンプリング部を用いて所定の領域を拭い取る。pH7.8のHEPES緩衝 液0.05モルとセチルジメチル−臭化エチルアンモニウムの0.5%溶液を含 有する抽出緩衝液150μlを、デークロンのサンプリング部を有するパンチ穴 に加える。ATPが存在す る場合には、抽出されたATPが多孔質フィルター中に拡散し、ルシフェラーゼ −ルシフェリン試薬が溶解する。そして、溶液がフィルター紙の末端部を流れる 際に発光が起こる。検査領域でこの光に対してフィルムを一定時間露光させる。 2分後にフィルムを現像し、装置から取り外す。ポジティブであれば白い斑点が 現れるが、ネガティブであればそのような斑点は観察されない。 実施例2 ルシフェラーゼとルシフェリンを別々にフィルター紙に加えた以外は、実施例 1と同様の方法で紙片、プラスチック材を作成し、使用した。pH7.8のHE PES緩衝液0.05モル、ジチオスレイトール(dithiothreitol)0.025 モル、濃度0.05%のトリトンX−100の混合液8μlに ホタルルシフ ェラーゼを3ug溶解し、これをセルロースフィルター紙片(10mmX35m m,Whatman#1)の末端部に加え、乾燥した。ナトリウムD−ルシフェリン( sodium D-luciferin)(Sigma Chemical Company,St.Louis,Mo.)3ugの 水溶液を、各片の基端部に塗布、乾燥した。生きたバクテリアの懸濁液を様々な 割合で希釈した希釈液を同量のバクテリア溶出剤(0.4% クロロヘキシダイ ン ジグルコネート(chlorohexidine digluconate)、0.1% 臭化ヘキサデシ ルトリメチルアンモニウム)と反応させた。抽出液をデークロンの吸収性綿棒に それぞれ吸収させ、ルシフェラーゼとルシフェリンに予め含浸させたセルロース フィルター紙片の基端部に移動させる。各試験片を発光光度計(Universal He althWatch Inc.,Columbia,Md.)に挿入した。発生した相対光量単位の量を 10秒間当りの合計値から、バックグラウンド値を減じた値とした。 表1の数値は、E-coli(大腸菌)について、細胞数が1,000をはるかに 下回っていても検出が可能であることを示している。 上記の実施例は、本発明をより明確に理解できるよう示されたものであって、 本発明の範囲内で態様の変更や修正を行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 マックリントック・ジョセフ・エイ アメリカ合衆国、メリーランド州 21215、 ボルチモア、マンハッタン アベニュー 2604 (72)発明者 シップマン・グレゴリー・ケイ アメリカ合衆国、メリーランド州 21207、 ボルチモア、バウアーズ アベニュー 3808 (72)発明者 トレイナー・ウィリアム・ピイ アメリカ合衆国、フロリダ州 33062、ヒ ルズボロ ビーチ、ヒルズボロ マイル 961 (72)発明者 グレイ・エリック アメリカ合衆国、メリーランド州 21044、 コロンビア、コルマ コート 6635 (72)発明者 バーンスタイン・デイビッド アメリカ合衆国、メリーランド州 21784、 エルダースバーグ、メルヴィル ロード 5814 (72)発明者 ラウブ・デイビッド・ダブリュー アメリカ合衆国、バージニア州 22124、 オークトン、ヴェイルウッド ドライブ 3415 (72)発明者 キムズ・ライリー・ケイ アメリカ合衆国、バージニア州 22204、 アーリントン、サウス ポーラード スト リート 1323 (72)発明者 チュン・クレイグ アメリカ合衆国、メリーランド州 20879、 ゲイザースバーグ、キプレス ヒル ドラ イブ 7115

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.液体に対して非透過性の材料で形成された容器と、上記容器と物理的関連 をもち、かつ、第1の吸着性材料からなるサンプリング部と、上記容器中に位置 し、化学発光反応を起こす試薬を少なくとも1つ含んでいる第2の吸着性材料か らなる試薬部とを備え、かつ、この第1と第2の吸着性材料が互いに近接あるい は接触した状態で化学発光分析を行うための装置であって、 上記容器に、この容器内で起きた化学発光反応によって発生した光の少なく とも一部を、容器の外部に透過させる光透過部が設けられているとともに、その 光を検出するよう構成されてなる化学発光分析装置。 2.上記光透過部を透過した光を検出するための検出器を、容器の外側に備え ていることを特徴とする請求項1に記載の化学発光分析装置。 3.上記検出器がフィルムであることを特徴とする請求項2に記載の化学発光 分析装置。 4.上記フィルムが自己現像型写真フィルムであることを特徴とする請求項3 に記載の化学発光分析装置。 5.上記試薬が酵素であることを特徴とする請求項1に記載の化学発光分析装 置。 6.上記試薬が乾燥状態で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の化 学発光分析装置。 7.上記試薬がルシフェラーゼであることを特徴とする請求項6に記載の化学 発光分析装置。 8.サンプリング部の吸着性材料と試薬部の吸着性材料が1つのユニットを構 成していることを特徴とする請求項1に記載の化学発光分析装置。 9.担体液の入った液溜めを備えていることを特徴とする請求項1に記載の化 学発光分析装置。 10.上記担体液が溶菌性の溶液を含んでいることを特徴とする請求 項9に記載の化学発光分析装置。 11.上記液溜めを折り畳み、あるいは折り曲げ可能とする屈曲部が、当該液 溜めに隣接して設けられているとともに、その液溜めは上記サンプリング部に接 近可能とすることを特徴とする請求項9に記載の化学発光分析装置。 12.液体に対して非透過性の材料で形成された容器と、上記容器と物理的関 連をもち、かつ、第1の吸着性材料からなるサンプリング部と、上記容器中に位 置し、化学発光反応を起こす試薬を少なくとも1つ含んでいる第2の吸着性材料 からなる試薬部とを備え、かつ、この第1と第2の吸着性材料が互いに近接ある いは接触した状態で化学発光分析を行うための装置であって、 上記容器に、この容器内で起きた化学発光反応によって発生した光の少なく とも一部を、容器の外部に透過させる光透過部が設けられているとともに、その 光を検出するよう構成されてなる化学発光分析装置を用い、 (A)上記サンプリング部を、分析対象物が存在する可能性のある検査試料 と接触させる工程を経た後、 (B)そのサンプリング部に含まれる分析対象物を上記試薬部へ移動させる 少なくとも1つの担体液を、上記サンプリング部と接触させる工程の後、 (C)容器中で発生した光を検出する工程 とする分析対象物の分析方法。 13.上記工程(A)の後に、上記サンプリング部を、サンプリング部に含ま れる分析対象物を抽出する分析対象物抽出用試薬を含む担体液と接触させること を特徴とする請求項12に記載の分析方法。 14.上記分析対象物抽出用試薬が少なくとも1つの担体液中に含まれている ことを特徴とする請求項13に記載の分析方法。 15.上記分析対象物がアデノシン三リン酸(ATP)であることを特徴とす る請求項14に記載の分析方法。 16.分析対象物抽出用試薬を、セチルジメチル−臭化エチルアンモニウム、 トリトンX−100(Triton X-100)、トゥイーン20(Tween 20)、ノニデッ トP40(Nonidet P40)、及びn−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−ア ンモニオ−1−プロパンスルフォネートのうち、いずれかとすること選択するこ とを含むことを特徴とする請求項13に記載の分析方法。 17.上記工程(C)において、電子装置を用いて光を検出することを特徴と する請求項12に記載の分析方法。 18.上記工程(C)において、フィルムを用いて光を検出することを特徴と する請求項12に記載の分析方法。 19.上記フィルムを自己現像型写真フィルムとすることを特徴とする請求項 18に記載の分析方法。 20.液体に対して非透過性の材料で形成された容器と、上記容器と物理的関 連をもち、かつ、第1の吸着性材料からなるサンプリング部と、上記容器中に位 置し、化学発光反応を起こす試薬を少なくとも1つ含んでいる第2の吸着性材料 からなる試薬部とを備え、かつ、この第1と第2の吸着性材料が互いに近接ある いは接触した状態で化学発光分析を行うための装置であって、 上記容器に、この容器内で起きた化学発光反応によって発生した光の少なく とも一部を、容器の外部に透過させる光透過部が設けられているとともに、その 光を検出するよう構成されてなる化学発光分析装置を用い、 (a)上記サンプリング部で、バクテリアが存在する可能性のある検査面を 拭き取る工程の後、 (b)そのサンプリング部に含まれるATPを抽出する試薬と上記サンプリ ング部を接触させる工程の後 (c)容器中で発生した光を検出する工程 とするバクテリア分析方法。 21.試薬を、セチルジメチル−臭化エチルアンモニウム、トリトン X−100(Triton X-100)、トゥイーン20(Tween 20)、ノニデットP40( Nonidet P40)、及びn−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ −1−プロパンスルフォネートのうち、いずれかとすることを特徴とする請求項 20に記載の分析方法。 22.上記工程(c)において、電子装置を用いて光を検出することを特徴と する請求項20に記載の分析方法。 23.上記工程(c)において、フィルムを用いて光を検出することを特徴と する請求項22に記載の分析方法。 24.上記フィルムを自己現像型写真フィルムとすることを特徴とする請求項 23に記載の分析方法。 25.上記化学発光分析装置に、バクテリアからATPを抽出する溶菌性溶液 を含む担体液の入った液溜めと、その液溜めを折り畳むか、あるいは折り曲げて 、当該液溜めを上記サンプリング部に近づけるための屈曲部を当該液溜めに隣接 するとともに、上記工程(b)を、上記装置を屈曲部から折り曲げて、当該液溜 めを上記サンプリング部に接近させた後、その液溜めを破壊して担体液を上記サ ンプリング部に放出する工程とすることを特徴とする請求項20に記載の分析方 法。 26.上記工程(c)において、フィルムを用いて光を検出することを特徴と する請求項25に記載の分析方法。 27.上記フィルムを自己現像型写真フィルムとすることを特徴とする請求項 26に記載の分析方法。 28.分析対象物を分析するためのサンプリング装置であって、容器とサンプ リング材を備え、 上記サンプリング材は、上記容器内に収容され、試料を受容するサンプリング部 、光を発生させる読取部、及び上記サンプリング部と読取部を連結してサンプリ ング部の試料を読取部に移動させる移動部を有しているとともに、光を発する薬 剤を含んでおり、 上記容器は、上記サンプリング部に試料を導入する手段、上記読取部を露出する 光透過部及びその露出したサンプリング部に隣接して当該容器 から伸長するシールドを有し、このシールドは、上記容器の一方の端部を越える 伸長部が形成され、上記サンプリング部に対し移動自在に構成されてなるサンプ リング装置。 29.上記容器は、第1層、第2層及びこれらの層に挟まれたサンプリング材 を含むことを特徴とする請求項28に記載のサンプリング装置。 30.上記シールドが第1層に取り付けられているか、あるいは第1層と一体 化して形成されており、かつ、その伸長部によって上記容器の一方の端部を包み 込み可能とすることを特徴とする請求項29に記載のサンプリング装置。 31.上記伸長部が容器の一端を包み込むための手段が、予め形成した折り目 、ひだ、あるいはミシン目が形成されていることを特徴とする請求項30に記載 のサンプリング装置。 32.ツマミが第1層に取り付けられているか、あるいは第1層と一体化して 形成されていることを特徴とする請求項29に記載のサンプリング装置。 33.ツマミがシールドに取り付けられているか、シールドと一体化して形成 されていることを特徴とする請求項32に記載のサンプリング装置。 34.試料導入手段が、第1層に設けられた第1の開口部であり、かつ上記サ ンプリング部に整合する位置に形成されていることを特徴とする請求項29に記 載のサンプリング装置。 35.上記光透過部が、第2層に設けられた第2の開口部であり、かつ上記読 取部に整合する位置に形成されていることを特徴とする請求項29に記載のサン プリング装置。 36.第2層が、少なくとも第2の開口部を被覆する光透過部材を有すること を特徴とする請求項35に記載のサンプリング装置。 37.上記サンプリング材が吸着性材料で形成されていることを特徴とする請 求項28に記載のサンプリング装置。 38.上記サンプリング部と容器内部で接触し、第1の開口部に整合する試料 採取部材材を備えていることを特徴とする請求項34に記載のサンプリング装置 。 39.試料採取部材材が吸着性材料で形成されていることを特徴とする請求項 38に記載のサンプリング装置。 40.上記薬剤が、上記読取部に含まれる化学発光性試薬であることを特徴と する請求項37に記載のサンプリング装置。 41.上記化学発光性試薬が、乾燥状態のルシフェラーゼ−ルシフェリン試薬 であることを特徴とする請求項40に記載のサンプリング装置。 42.上記サンプリング材が、液体中の試料を横方向に流すことができる材料 で形成され、少なくとも読取部が光透過性材料からなることを特徴とする請求項 29に記載のサンプリング装置。 43.光透過性材料がポリカーボネート膜であることを特徴とする請求項42 に記載のサンプリング装置。 44.上記薬剤が少なくとも上記移動部の一部に含まれていることを特徴とす る請求項43に記載のサンプリング装置。 45.上記薬剤が分析対象物を識別するための発光性識別薬剤であって、この 識別薬剤は露光したときに発光することを特徴とする請求項44に記載のサンプ リング装置。 46.上記識別薬剤がキレートユーロピウム又はユーロピウム化合物であるこ とを特徴とする請求項45に記載のサンプリング装置。 47.上記読取部が分析対象物を固定するための固定化結合剤を含んでいるこ とを特徴とする請求項45に記載のサンプリング装置。 48.上記結合剤が、分析対象物を補完する抗原であることを特徴とする請求 項47に記載のサンプリング装置。 49.上記サンプリング材が、上記読取部に隣接して、結合剤と結合しなかっ た識別薬剤を含む余分な液体を吸収するための回収部を有することを特徴とする 請求項47に記載のサンプリング装置。 50.上記回収部が吸収性材料または吸着性材料からなることを特徴とする請 求項49に記載のサンプリング装置。
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