JP2000357844A - 光半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

光半導体素子およびその製造方法

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JP2000357844A
JP2000357844A JP11170474A JP17047499A JP2000357844A JP 2000357844 A JP2000357844 A JP 2000357844A JP 11170474 A JP11170474 A JP 11170474A JP 17047499 A JP17047499 A JP 17047499A JP 2000357844 A JP2000357844 A JP 2000357844A
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optical
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type cladding
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Takemasa Tamanuki
岳正 玉貫
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光半導体アレイ素子において、n側電極が電
気的に分離されており活性領域にそれぞれ独立に電流を
注入でき、平面型光回路へ実装する際に光学的結合だけ
でなく電気的結合も容易にできる素子を製造上の歩留ま
りを高く提供する。 【解決手段】 絶縁基板73上の少なくとも一部にn型
クラッド層74、活性光導波路層75、p型クラッド層
76が順次形成され、複数個の活性光導波路がアレイ配
置された光半導体素子において、各活性光導波路間で一
部のn型クラッド層を分離する溝77が表面に形成され
ており、かつ一部のp型クラッド層76が除去されてn
型クラッド層74が表面に露出しており、前記p型クラ
ッド層76および前記n型クラッド層74の表面にそれ
ぞれ電極78,79が形成されていることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光通信に用いられる
光半導体素子に関し、特に信号光の発生や信号光の増幅
や消光を機能とするアレイ型光半導体素子とその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信に用いられるレーザ光を発生する
光半導体素子として半導体レーザがあり、この半導体レ
ーザは素子に形成された導波路状の光増幅媒体と、素子
の端面で構成された反射鏡を有し、素子に電流を注入す
ることで光増幅媒体内に発生した光が共振と増幅を繰り
返しレーザ光を出力する光源として機能する。したがっ
て、半導体レーザは、素子へ注入する電流を制御するこ
とにより、射出するレーザ光の強度が変化でき、これを
利用して光通信の信号源として用いることができる。
【0003】また、半導体レーザ素子の端面での光反射
率を無反射被膜などで抑制し、光が共振しないように設
計すれば、電流を注入しても素子自体のレーザ発振は抑
えられるため、一方の素子端部に信号光を入力すること
により光増幅媒体内での誘導放出によって他端より増幅
光が得られるため、この場合には光半導体素子は半導体
光増幅器としての機能を有する。このような半導体光増
幅器では、光増幅媒体はそこに電流注入しているオン時
には光を増幅する一方、電流を注入していないオフ時に
は高い光吸収特性を示し、電界吸収型の半導体光変調器
や光結合カップラー型のスイッチに比べてオン時とオフ
時の光出力強度の比である消光比が大きい。このため、
半導体光増幅器への注入電流を制御することにより、入
力光をオン・オフ制御する光ゲートとして機能すること
ができる。このことから、信号光を分岐できるような光
経路と消光比が大きい半導体光増幅器を組み合わせるこ
とにより、信号光経路の切り替え接続(クロスコネク
ト)用のマトリクス光スイッチを構成することもでき、
漏話(クロストーク)が大変小さく、通信エラーが起こ
りにくい光ネットワークを実現することができる。
【0004】半導体光増幅器の光ゲート機能に関する報
告としては、文献、 〔1〕S. Kitamura, et. al., ECOC’96 Proceeding Vo
l. 3, WeP 17, 1996. 〔2〕G. Soulage, et. al., ECOC'96 Proceeding, Vo
l. 4, ThD 2.1, 1996.などが挙げられる。また、将来の
大容量光通信ネットワークでは、これらの光半導体素子
を大量かつ高速に動作させることが強く望まれており、
アレイ型の光半導体素子が強く望まれている。アレイ型
の光半導体素子に関する報告としては、文献、 〔3〕A. Rosen et al, IEEE Phonics Technol. Lett.
Vol.1,pp.43-45,1989. 〔4〕S. Kitamura, et. al., IEEE Phonics Technol.
Lett. Vol.7, pp.147-148,1995.が挙げられる。
【0005】このような、大容量光通信ネットワーク用
の設備に採用されるためのアレイ型の光半導体素子に
は、(A)個々のチャンネルがそれぞれ独立に駆動でき
ること、(B)n側電極がそれぞれ分離していて、p側
電極を共通にできること、(C)n側電極とp側電極が
同一表面内に形成されていることが要求される。(A)
に関しては、当然の事であるが、(B)に関しては素子
の駆動電源の回路の都合上、以下に述べる理由からp側
電極を共通にする方が高速性、高出力性の面から優れて
いる。
【0006】図12は光半導体素子の素子駆動回路27
の回路図であり、アレイ構造の光半導体素子のうちの一
つのチャンネルに関して示したものである。電界効果ト
ランジスタ11,12で構成される作動スイッチが入力
信号端子13に入力された信号電圧14に応じてインバ
ータゲート15を経て、光半導体素子16をスイッチン
グする。このとき光半導体素子16のn側端子25は−
側端子26と、p側端子24はグランド23に接続して
いる。光半導体素子16を駆動する最大電流は、電界効
果トランジスタ17を駆動するゲート電圧として電流制
御端子18に入力される電流制御電圧19およびソース
電圧端子21に入力されるソース電圧20で決定され
る。なお、22は抵抗器、23はグランド端子である。
この図12の回路では、信号電圧14が“1”の場合、
電界効果トランジスタ11と12はそれぞれ“ON”状
態と“OFF”状態になるため、光半導体素子16へは
電流が供給されず“0”状態となる。逆に、信号電圧1
4が“0”の場合、電界効果トランジスタ11と12は
それぞれ“OFF”状態と“ON”状態になるため、光
半導体素子16へ電流が供給され“1”状態となる。こ
のような光半導体素子駆動用回路27はGaAs系の化
合物半導体のICとして、数Gb/sの高速動作が実現
されており、数十mAの高電流動作も実現されている。
また、光半導体素子を高速かつ高電流駆動させるために
は、ここで示したような化合物半導体ICを用いなけれ
ば実現できないと考えられる。
【0007】次に、光半導体素子がアレイ状になった場
合の駆動回路を図13に示す。同図は光半導体アレイ素
子31を構成する光半導体素子32,33,34と、光
半導体素子駆動回路35,36,37で構成される回路
である。前記光半導体素子32,33,34は信号電圧
38,39,40によってそれぞれ独立に制御できる。
このとき光半導体素子32,33,34のn側端子25
は別々の光半導体素子駆動回路35,36,37のそれ
ぞれの−側端子26に接続し、p側端子24はそれぞれ
グランド23に接続するため共通とされている。このよ
うに、光半導体アレイ素子31の光半導体素子32,3
3,34を独立に駆動するためにはp側端子24が共通
でn側端子25がそれぞれ分離していなければならない
ことになる。尚、簡略化のために、同図の光半導体駆動
回路35,36,37では図12に示したような電流制
御端子18とソース電圧端子21を省略してあるが、実
際にはこれらの端子へも所定の電圧を印加している。
【0008】以上のように、個々の光半導体素子を独立
して駆動できるような光半導体アレイ素子には、n側電
極が分離している形態が必要であることから、文献、 〔5〕A. Oishi, et. al., ECOC’93 Post Deadline Pr
oceeding, ThC12.6, pp.21-24, 1993.のようにp型基板
上に光半導体素子を形成する方法がある。図14はp型
基板上に形成した光半導体アレイ素子の一例の断面図で
ある。光半導体アレイ素子50は、ここでは2チャンネ
ルアレイとして示されており、p型InP基板45上に
GaInAsP活性層46、n型クラッド層47が積層
された構成とされ、前記基板45の裏面にはp側電極4
9が共通に形成されているが、前記n型クラッド層47
とその表面に形成されたn側電極48が個々の素子毎に
互いに分離されている。この構成では、p側電極49が
共通でそれぞれのn側電極48を通して活性層46にそ
れぞれ独立に電流を注入することが可能である。
【0009】また、 〔6〕特願昭55−172976号明細書に記載の複数
個の光源を持つ半導体レーザでは、図15に示すよう
に、n型GaAs基板55上にn型GaAlAsクラッ
ド層56、GaAs活性層57、p型GaAlAsクラ
ッド層58が形成され、絶縁層59上のp側電極60を
介して前記活性領域65に選択的に電流が注入される構
造となっている。この光半導体アレイ素子69では前記
基板55の一部に切り溝64が形成されているため、レ
ーザ駆動電源67,68でそれぞれのn側電極61を通
して活性領域65,66にそれぞれ独立に電流を注入す
ることが可能である。また、光半導体アレイ素子69は
n型基板55上に形成されているため、光半導体アレイ
素子50で問題となっていた、良質の半導体結晶を得る
ことや活性層の狭い領域に注入電流を集中させることが
比較的容易であるという利点を有する。
【0010】一方、前記(C)に関しては、アレイ状の
光半導体素子と外部の光導波路を結合する方法には光半
導体素子をSi基板上に形成した平面型光回路(PLC: p
laner lightwave circuit )に実装する方法が有効であ
ることに帰着する。PLCに光半導体素子を実装した報
告としては、文献、 〔7〕T. Kato et. al., OFC’98, PD3, pp. PD3-1-PD3
-4, 1998.が挙げられる。文献〔7〕では文献〔4〕で
報告されているものと同様の半導体光増幅器をPLC
(平面型光回路)に実装してマトリクス光スイッチを構
成している。PLCでは半田バンプを用いて光半導体素
子と光回路の接合を行うため、光学的部分の結合ととも
に、電気的部分の結合も同時に行うことが可能である。
文献〔7〕では、光半導体素子のp側部分の電極のみが
PLCに形成されたプリント配線へ直接接続されてお
り、n側部分の電極はワイヤ線によって配線を行ってい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記文献〔3〕や
〔4〕に開示された半導体光増幅素子では、アレイ状に
配列された構造を採用している。しかし、このアレイ状
の素子はn型基板上に形成されているため、前記化合物
半導体ICを用いて各チャンネルを独立に駆動すること
ができないことが問題となっていた。また、前記文献
〔5〕に開示されたp型基板上に形成した半導体レーザ
では、p側電極が共通でn側電極を通して活性領域にそ
れぞれ独立に電流を注入するできる構造を採用してい
る。しかし、素子の表面側にn電極が、裏面側にp型電
極が形成されていることから、PLCに素子を実装する
場合、素子の裏面にも配線が必要となり、量産性や歩留
まりに欠けていることが問題となっていた。
【0012】また、前記文献〔6〕に開示された複数個
の光源を持つ半導体レーザでは、n型基板の一部に切り
溝を形成し、p側電極が共通でn側電極を通して活性領
域にそれぞれ独立に電流を注入するできる構造を採用し
ている。しかし、この場合にも、素子の表面側にp電極
が、裏面側にn型電極が形成されていることから、PL
Cに素子を実装する場合、素子の裏面にも配線が必要と
なり、量産性や歩留まりに欠けていることが問題となっ
ていた。また、n型基板とn型クラッド層の一部に切り
溝を形成する光半導体アレイ素子は、切り溝の最下部に
おける機械的強度が弱いため、素子自体の生産歩留まり
が低いことも問題となっていた。また、前記文献〔4〕
に開示された半導体光増幅素子では、文献〔7〕で開示
されたようにアレイ状の半導体光増幅器をPLCに実装
できる構造を採用している。しかし、アレイ状の素子の
表面側にp電極が、裏面側にn型電極が形成されている
ことから、アレイ状の素子の裏面にも配線が必要となり
量産性に欠けていることが問題となっていた。
【0013】本発明は以上のような課題を鑑みてなされ
たものであり、p側電極が共通でn側電極を通して活性
領域にそれぞれ独立に電流を注入でき、PLCへ実装す
る際に光学的結合だけでなく電気的結合も容易にできる
半導体光アレイ素子を製造上の歩留まりが高く提供でき
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、半絶縁性半導
体基板上の少なくとも一部に第1導電型クラッド層、活
性光導波路層、第2導電型クラッド層が順次形成され、
複数個の活性光導波路がアレイ状に配置された光半導体
素子において、前記複数個の活性光導波路の間において
前記第2導電型クラッド層が互いに分離しており、かつ
前記第2導電型クラッド層および活性光導波路層の一部
が除去されて前記第1導電型クラッド層の表面が露呈さ
れており、前記第2導電型クラッド層の少なくとも一部
の表面および前記露呈された前記第1導電型クラッド層
の少なくとも一部の表面にそれぞれ電極が形成されてい
ることを特徴とする。ここで、前記第1導電型クラッド
層の露呈面に形成された電極の少なくとも一部が前記第
2導電型クラッド層の表面に形成された電極と同一面内
に形成されていることが好ましい。この場合、前記第1
導電型クラッド層がn型クラッド層、前記第2導電型ク
ラッド層がp型クラッド層で構成される。あるいは、前
記第1導電型クラッド層がp型クラッド層であり、前記
第2導電型クラッド層がn型クラッド層であり、前記第
1導電型クラッド層の表面にp型層が設けられ、かつこ
のp型層の少なくとも一部の表面に前記電極が形成され
る構成とする。また、本発明では、、前記光半導体素子
の一端から入力される光線を増幅して他端から出力する
光増幅媒体として構成されることが可能である。
【0015】また、本発明の製造方法では、半絶縁製半
導体基板の表面に第1導電型クラッド層、活性光導波路
層、第2導電型クラッド層を順次積層する工程と、前記
活性光導波路間において前記第2導電型クラッド層及び
第1導電型クラッド層を除去して第1の分離溝を形成す
る工程と、前記第2導電型クラッド層を前記活性光導波
路を含む領域と含まない領域との間において除去して第
2の分離溝を形成する工程と、前記活性光導波路を含む
第2導電型クラッド層の表面、及び前記第2の分離溝の
底面に露呈した前記第1導電型クラッド層の表面にそれ
ぞれ電極を形成する工程と、前記第1導電型クラッド層
の電極に接続される電極を前記活性光導波路を含まない
前記第2導電型クラッド層の表面に形成する工程を含む
ことを特徴とする。
【0016】本発明においては、第1導電型クラッド層
としてのn型クラッド層のn側電極を通して活性領域に
それぞれ独立に電流を注入するできるため、化合物半導
体ICを用いて各チャンネルを独立に駆動することがで
き、光半導体素子の表面にp側とn側の電極が存在して
いるため、PLCへ実装した場合光半導体素子の裏面に
配線することなく、光半導体素子を駆動することができ
る。また、n型クラッド層に形成される電極につながる
電極をp型クラッド層の表面に形成された電極と同一面
内に形成すれば、PLC上の電極との接合が容易にな
る。
【0017】また、本発明の製造方法において、エッチ
ングストップ層を用いて第1及び第2の分離溝を同時に
行うことにより、エッチング除去する分離溝の深さを精
密に制御することやエッチングに要する工程の削減が可
能となり、製造上の歩留まりが向上する。また、前記の
製造方法において、前記p型クラッド層と前記n型クラ
ッド層の極性を互いに入れ替えて製造し、前記エッチン
グストップ層の少なくとも一部の表面に電極を形成して
も、n側電極を通して活性領域にそれぞれ独立に電流を
注入するできる構造であるため、前記化合物半導体IC
を用いて各チャンネルを独立に駆動することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
を参照して以下に説明する。まず本実施の形態の光半導
体アレイ素子71について説明する。図1(a)は光半
導体アレイ素子71の第1の実施形態の平面図、図1
(b)はそのA1−A1’線断面図である。光半導体ア
レイ素子71は、基板73上のn型クラッド層74の上
に埋め込み型(BH型)レーザダイオード(LD)構造
として形成されており、光導波路となる波長1.55μ
m帯の活性層75がp型クラッド層76に埋め込まれて
いる。より詳細には、前記基板73は絶縁性のInPか
らなり前記絶縁性基板73の上面には、前記n型クラッ
ド層74と活性層75が所定形状に形成されており、こ
れらが前記p型クラッド層76に埋め込まれている。前
記活性層75はバルクGaInAsP層からなり、層厚
が0.3μmで横幅が0.45μmの矩形断面状に形成
されている。これは、素子が半導体光増幅器として機能
する場合に増幅利得が偏光無依存となる形状になってい
る。前記p型クラッド層76はp型InPからなり、層
厚は6μmで活性層75を中心として幅15μmで形成
してある。
【0019】さらに、それぞれの表面にはAu/Tiに
よるp側電極78とこれと一体化されるp側パッド81
が形成されている。活性層75近傍におけるp型クラッ
ド層76とn型クラッド層74の接合領域の幅は15μ
mに形成されており、このようにp型層とn型層の接合
領域の幅が狭い構造では素子の静電容量が低いため、高
速動作が可能となる。n型クラッド層74はn型クラッ
ド分離溝77を隔てて分離されており、p型クラッド層
76がない部分の領域のn型クラッド層74の表面には
Au/Tiによるn側電極79とこれと一体化されるn
側パッド82が形成されている。なお、本実施の形態の
光半導体アレイ素子71では活性層75は長さ500μ
mで、それぞれ250μmの間隔に配置した。このよう
に、本実施形態の光半導体アレイ素子71は、n側電極
79が電気的に分離された構造を有するため、前記化合
物半導体ICを用いて各チャンネルを独立に駆動するこ
とが可能である。
【0020】図2に示す光半導体アレイ素子72は図1
の光半導体アレイ素子71のn側電極79の部分を変形
した第2の実施形態であり、図2(a)は平面図、図2
(b)はA2−A2’線断面図である。主要な構成は前
記光半導体アレイ素子71とほぼ同様である。すなわ
ち、前記光半導体アレイ素子72においては、n型クラ
ッド層74上のp型クラッド層76がない部分の領域の
一部に半導体層あるいは絶縁層からなるスペーサ層80
が形成されている。そして、前記n型クラッド層74上
のp型クラッド層76上の一部にp側電極78が形成さ
れており、また前記スペーサ層80がないpクラッド分
離溝83の領域の一部と前記スペーサ層80の一部の表
面にAu/Tiによるn側電極79Aが形成されてい
る。このとき、p側電極78の表面とn側電極79Aの
最上部の表面が同一平面上になるように、スペーサ層8
0の厚さをp型クラッド層76と同じ厚さになるように
構成している。
【0021】図3は第3の実施形態として、前述した光
半導体素子をPLC上に実装した光通信用光送信モジュ
ール85である。この実施形態では図2に示した光半導
体アレイ素子72を用いてPLC86上に実装したもの
である。PLC86は光ファイバソケット領域87、出
力光導波領域88、信号発生領域89から構成されてお
り、シリカ系光導波路90が出力光導波領域88にあ
る。光ファイバソケット領域87にはそれぞれ出力側光
ファイバ91,92が固定される。光半導体アレイ素子
72はPLC86上の信号発生領域89において、シリ
カ系光導波路90にその活性層75が連続するように活
性層75の光入出力端面102を高精度に位置決めして
実装した。駆動電源93からの電流は配線94とPLC
86上のプリント配線95を通じて光半導体アレイ素子
72のそれぞれのチャンネルを独立に駆動できるように
なっている。
【0022】次に、PLC86上への光半導体アレイ素
子72の実装方法について説明する。図4は図3におけ
るB−B’線の部分に関する断面の様子を示したもので
ある。光半導体アレイ素子72の表面には前記したよう
に、p側電極78の一部が重なるようにp側パッド81
が、そしてn側電極79の一部を覆うようにn側パッド
82がそれぞれ形成されている。また、PLC86の信
号発生領域89の表面には、プリント配線95の一部が
重なるように−側パッド98と+側パッド99がそれぞ
れ形成されている。これらのパッド81,82,98,
99は全て長さ250μm、幅10μmであり、表面は
Auである。まず、PLC86上の−側パッド98と+
側パッド99の表面のほぼ中央に直径45μm、厚さ1
00μmのAuSnのタブレット状半田100をそれぞ
れ1個づつ置き、この上に光半導体アレイ素子72をn
側パッド82とp側パッド81の表面の中央がほぼ一致
するように載せる。この後、窒素雰囲気中において、3
50℃で1分間の加熱処理を行なった後に除々に室温に
戻すことで、前記半田100は融解し、それぞれのパッ
ド81,82,98,99の表面全体にわたって打たれ
る。また、半田100の表面張力によりそれぞれのパッ
ド81,82,98,99の対応する部分同士は鉛直方
向にほぼ揃って固定される。
【0023】また、図5に図3におけるC−C’線の部
分に関する断面の様子を示すように、活性層75の端と
シリカ系光導波路90の端はほぼ一致した高さに揃える
ことができる。この活性層75のPLC86の表面に対
する高さは、使用する半田100のタブレットの体積に
依存するが、前記半田100のタブレットの大きさはあ
らかじめ精密に形成して揃えてあるため、融解後の半田
100は全体にわたってほぼ20μmの均一の厚さで打
たれる。特に、前記光半導体アレイ素子72では、p側
パッド81とn側パッド82の表面が同一面内になるよ
うに形成したので、p側パッド81とn側パッド82の
表面が同一面内になっていない光半導体アレイ素子71
と比較して、PLC86への実装後のn側パッド82と
−側パッド98の電気的接触に関する歩留まりが比較的
改善される。また、PLC86と活性層75の高さも素
子全体にわたってより均一化されるため、活性層75か
らの出力光の光結合効率に関する再現性が向上する。
【0024】ここで、前記光通信モジュール85を用い
て、本発明者が実行した実験結果を以下に説明する。図
3を参照すると、前記光通信モジュール85の駆動電源
93には、前記化合物半導体ICが内蔵されているた
め、高速の電流駆動が可能である。この構成において、
出力側光ファイバ91,92にそれぞれ独立に1ギガビ
ット/秒(1Gb/s)の高速光信号を出力することが
できた。光半導体アレイ素子72のそれぞれのチャンネ
ルはピーク電流35mAで駆動しており信号光のピーク
パワーは2mWであった。光半導体アレイ素子72を用
いた別の測定では、35mAの駆動電流では素子から直
接出力された光出力は4mWであった。このことから、
光半導体アレイ素子72の活性領域75からの出力光と
シリカ系光導波路90との光結合、シリカ系光導波路9
0における伝播、そしてシリカ系光導波路90と出力側
光ファイバ91,92の光ファイバソケット領域87に
おける光結合における全光損失率は3dBであり良質な
光結合系が構成された。
【0025】なお、本実施の形態の光通信モジュール8
5では光半導体アレイ素子72に2チャンネルのアレイ
構造について示したが、出力光導波領域88にあるシリ
カ系光導波路90の数を増大させれば、これ以上のチャ
ンネル数のアレイ素子が必要となる。この場合、本実施
の形態の光半導体アレイ素子71,72では、これ以上
のチャンネル数のアレイ素子に関しても適用可能であ
る。
【0026】次に、光半導体アレイ素子71,72のそ
れぞれの光入出力端面102にSiON膜により無反射
被膜としてARコートを施すことにより、光半導体アレ
イ素子71,72を半導体光増幅器として機能させる場
合について述べる。図6は前述した半導体光増幅器とし
て機能する光半導体素子72をPLC上に実装した光通
信用モジュール105である。なお、図6におけるB−
B’およびC−C’の部分に関する断面はそれぞれ図4
および図5に示した構成と同一である。PLC35は光
ファイバソケット領域87、入力光分岐領域106、ス
イッチング領域107、出力光導波領域88から構成さ
れており、シリカ系光導波路90が入力光分岐領域10
6と出力光導波領域88にある。光ファイバソケット領
域87にはそれぞれ入力側光ファイバ108および出力
側光ファイバ91、92を固定した。光半導体アレイ素
子72はPLC86上のスイッチング領域107におい
て、シリカ系光導波路90とその活性層75が連続する
ように前述の光通信モジュール85と同様に精密に実装
した。前述の光通信モジュール85と同様、駆動電源9
3は光半導体アレイ素子72のそれぞれのチャンネルを
独立に駆動できるようになっている。
【0027】この光通信モジュール105では、入力側
光ファイバ108から入射された光は、入力光分岐領域
106にあるシリカ系光導波路90に結合され、この領
域106で二つに分岐される。分岐された光はそれぞれ
光半導体アレイ素子72のおのおのの活性層75でそれ
ぞれの強度がスイッチングされ、出力光導波領域88に
あるシリカ系導波路90を経てそれぞれの出力側光ファ
イバ91,92に出力される。このとき、光半導体アレ
イ素子72のチャンネル甲109を駆動すれば、入力光
は出力側光ファイバ91に、チャンネル乙110を駆動
すれば、入力光は出力側光ファイバ92に出力され、そ
れぞれのチャンネル109,110の駆動電流を制御す
ることにより光が進行する経路を切り替えたり分岐させ
たりすることができる。
【0028】ここで、前記光通信モジュール105を用
いて、本発明者が実行した実験結果を以下に説明する。
図6に示した第4の実施形態の構成において、入力側光
ファイバ108に波長1.55μm、光強度−7dBm
(0.2mW)の光を10ギガビット/秒(10Gb/
s)で強度変調した信号を入力し、光半導体アレイ素子
72のそれぞれのチャンネル109,110を0mAか
ら35mA(電圧では0Vと1.5V)の範囲で独立に
電流値を変化させ、出力側光ファイバ91,92から出
力される光強度をそれぞれ測定した結果を図7に示す。
図7にはそれぞれ、光半導体アレイ素子72のチャンネ
ル甲109および乙110に関する駆動電圧、入力側光
ファイバ108への入力光の強度、出力側光ファイバ9
1,92からの出力光の時間依存性を示してある。出力
側光ファイバ91,92の光出力パターンではいずれに
おいても、スイッチング時間がオンからオフ、オフから
オンともに1ナノ秒より十分短い時間であり、このこと
から1ナノ秒以下のスイッチング特性が得られることが
確認された。またオンレベルでの光強度とオフレベルで
の光強度の比はいずれも40dB以上あることが確認さ
れた。このことから、高速で消光比の高い光通信モジュ
ールが達成された。また、入力光ファイバへの光入力の
ピーク光強度が0.2mWに対して、出力ポートからの
光出力のピーク強度は0.07mWであることからこの
光通信モジュール105の挿入損失は4.5dBであ
る。シリカ系光導波路90の入力光分岐領域106にお
ける分岐損失は3dBであることから、過剰損失が1.
5dBである低損失の光通信モジュールができているこ
とがわかる。また、本実施の形態の光通信モジュール1
05では光半導体アレイ素子72に2チャンネルのアレ
イ構造について示したが、入力光分岐領域106での分
岐する数が増大すれば、これ以上のチャンネル数のアレ
イ素子が必要となる。この場合、本実施の形態の光半導
体アレイ素子72では、これ以上のチャンネル数のアレ
イ素子に関しても適用可能である。
【0029】半導体光増幅器では、前述のように光入出
力端面102に無反射被膜を施しているが、この皮膜の
みで端面の光反射率を十分に低減できない場合には、文
献、 〔8〕I. Cha et al, Electron. Lett., vol. 25, pp.
1241-1242, 1989.に開示されているように、窓構造を採
用することも適用可能である。窓構造は、光入出力端面
102付近の素子内部で活性層75が途切れるようにし
た構造であり、活性層75の端から出射した光はこの部
分から回折によりビーム径が広がるため光入出力端面1
02で反射した成分が再び活性層75に戻るのをわずか
にすることができる。さらに、文献、
〔9〕C. E. Zah et al, Electron. Lett., vol. 23, p
p. 990-992, 1987.に開示されたように、斜め導波路構
造を採用することも適用可能である。斜め導波路構造は
活性層75が光入出力端面102に対して斜めの角度で
突くようにした構造であり、活性層75から出射しこの
部分で反射した成分が再び活性層75に戻るのをわずか
にすることができる。
【0030】前述の光半導体アレイ素子71,72のよ
うに、活性層75が直線の構造の素子で光通信モジュー
ル105を構成した場合、入力光分岐領域106にある
シリカ系光導波路90から光半導体アレイ素子71,7
2の活性層75に光が入射する際に、活性層75に結合
されなかった非導波光が、活性層75に電流が流れてい
なくても、その一部が出力光導波領域88にあるシリカ
系光導波路90に入射してしまうことがある。この場
合、結果として消光比を劣化させることになる。半導体
光増幅器では、前述のようにオン時とオフ時の光出力強
度の比である消光比が大きいが、この構造のみで消光比
を十分に確保できない場合には、文献、 〔10〕特願平08−347835号明細書 〔11〕特願平09−345118号明細書 〔12〕玉貫ら、電子情報通信学会、1998年総合大会、
C-4-35に開示されたように、活性層75の導波路を湾曲
させることも適用可能である。活性層の導波路を湾曲さ
せて、半導体光増幅器の光入射側と光出射側の導波路の
光軸にオフセットを持たせれば、非導波光が出力側の光
ファイバに直接結合することを防げることから、消光比
を向上することができる。
【0031】前述の半導体レーザや半導体光増幅器を用
いて、前述のように光通信モジュール85や105を構
成し、シリカ系光導波路90と低損失で光結合できる
が、この構造のみで光結合損失を十分に低減できない場
合には、文献、 〔13〕 P.Doussiere, Technical Digest of Optical
Amplifiers and Their Applications (OAA) ’92, pp.
140-143, 1992.に開示されているように、スポットサイ
ズ変換器構造を採用することも適用可能である。スポッ
トサイズ変換器構造は、光入出力端面102に向かって
活性層75の厚さや幅が徐々に小さくなるようにした構
造であり、光入出力端面102から出射した光の放射角
を、スポットサイズ変換器構造が無い場合と比較して、
小さくすることができる。このようにすることにより、
シリカ系光導波路90との光結合損失を小さくすること
ができる。光通信モジュール85での光半導体アレイ素
子72では、素子の一方の端面がシリカ系光導波路90
と結合するため、素子の方にスポットサイズ変換器構造
を構成すればよい。一方、光通信モジュール105での
光半導体アレイ素子72では、素子の両方の端面がシリ
カ系光導波路90と結合するため、素子の両側にスポッ
トサイズ変換器構造を構成する必要がある。
【0032】次に、図1、図2に示した光半導体アレイ
素子71,72のように、n型クラッド層74が互いに
分離し、さらには、光半導体アレイ素子72のように、
p側パッド81とn側パッド82の表面が同一面内にな
るように形成する製造方法に関して述べる。図8及び図
9は光半導体アレイ素子の製造工程を示す断面図であ
る。まず、図8(a)に示すように、絶縁性InP基板
73上にn型クラッド層74、エッチングストップ層1
15およびp型クラッド層の一部分101を順次結晶成
長する。結晶成長には有機金属気相成長法(MOVPE
法)を用いることが可能である。前記n型クラッド層7
4、エッチングストップ層115およびp型クラッド層
の一部分101の材質はそれぞれInP、1.5μm、
発光波長1.45μm組成のGaInAsP、0.2μ
m、InP、0.1μmである。p型クラッド層の一部
分101とエッチングストップ層115はフォトリソグ
ラフィー法によりパターンニング後、その一部をエッチ
ング除去した。
【0033】前記p型クラッド層の一部分101のエッ
チングには、文献、 〔14〕 K. Iga and B. I. Miller, IEEE J. Quantum
Electron. vol.QE-18, pp. 22, 1982.に開示されてい
る、H2 OとHClの混合液を使用して、InPの層を
エッチングする。この混合液はGaInAsP層やGa
InAs層はエッチングせず、InPの層のみを選択的
に除去できるので、エッチングストップ層115の表面
でエッチングが停止する。また、エッチングストップ層
115のエッチングには文献、 〔15〕I. Shiota, K. Motoya, T. Ohmi, N. Miyamot
o, and J. Nishizawa, J.Electrochem. Soc. vol.124,
pp. 155, 1977.に開示されている、H2 O・H2 SO4
・H2 2 の混合液を使用する。この混合液はInP層
はエッチングせず、GaInAsP層のみを選択的に除
去できるので、n型クラッド層74は除去されない。こ
の工程で残されたp型クラッド層の一部分101とエッ
チングストップ層115は幅100μmで間隔250μ
mである。
【0034】次いで、図8(b)に示すように、素子の
表面に厚さ0.1μmのSiO2 選択成長マスク層11
6を形成する。SiO2 膜の形成には、熱CVD法を用
いる。選択成長マスク層116はフォトリソグラフィー
法によりパターンニング後、その一部をエッチング除去
する。エッチングにはバッファードフッ酸(BHF)を
使用する。この工程で形成した選択成長マスク層116
は幅30μmで0.5μmの開口部を形成しその間隔は
250μmである。0.5μmの開口部の中心とそれに
近接するエッチングストップ層115の中心部との距離
は54.5μmである。この選択成長マスク層116の
除去した部分に活性層75を選択的に結晶成長する。活
性層75は1.55μm組成のバルクGaInAsP層
であるが、活性層75の保護のためにその上下にはそれ
ぞれ厚さ0.05μmのp型InP層およびn型InP
層も合わせて結晶成長する。活性層75は層厚が0.3
μmで横幅が0.45μmであり、ほぼ矩形断面状に形
成された。この結晶成長工程後には、幅0.5μmの開
口部と選択成長マスク層116以外の表面部分にもn型
InP層、GaInAsP層そしてp型InP層が形成
されるが、この部分の前記p型InP層と前記GaIn
AsP層は前述したH2 OとHClの混合液やH2 O・
2 SO4 ・H2 2 の混合液を用いて順次除去する。
この選択成長マスク層116の幅0.5μmの開口領域
をエッチング除去するして形成する工程において、前述
したフォトリソグラフィー法とBHFによる方法では幅
0.5μmを精密に制御するのが困難な場合がある。こ
のような場合には、前述のパターンニングにステッパ露
光法や電子ビーム露光法を用い、エッチング工程にはフ
ロンガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法
を用いることで、精密に0.5μmの領域をエッチング
除去することが可能となる。
【0035】次いで、図9(a)に示すように、素子の
表面に存在しているSiO2 選択成長マスク層116を
BHFで全て除去し、その表面にp型クラッド層76と
p+型のコンタクト層117を順次結晶成長し、その表
面に厚さ0.1μmのSiO2 でエッチンングマスク層
118を形成する。p型クラッド層76とコンタクト層
117の材質と膜厚はそれぞれInP、6μm、および
GaInAs、0.2μmである。エッチングマスク層
118はフォトリソグラフィー法によりパターンニング
後、その一部をBHFによりエッチング除去する。この
工程でエッチングマスク層118は活性層75の直上で
幅15μm、85μmの距離をおいて幅100μmに形
成しそれぞれの間隔を250μmとする。このとき、エ
ッチングマスクのうち幅15μmの一部分はエッチング
ストップ層115の一部分と鉛直方向に3μm重なり、
エッチングマスク118のうち幅100μmの一部分は
エッチングストップ層115の一部分と鉛直方向に12
μm重なるようにしてある。
【0036】次いで、図9(b)に示すように、前記エ
ッチングマスク層118が形成されていない部分のコン
タクト層117およびp型クラッド層76、そしてエッ
チングマスク層118が形成されていない部分のうちで
エッチングストップ層115が形成されていない部分の
n型クラッド層74と基板73の一部分をエッチング除
去した。エッチングにはまず前述したH2 O・H2 SO
4 ・H2 2 の混合液を用いてコンタクト層117を除
去し、次に前述のH2 OとHClの混合液を使用して、
InP層をエッチングする。前述のように、この混合液
はGaInAsP層やGaInAs層はエッチングせ
ず、InP層のみを選択的に除去できるので、エッチン
グストップ層115があるp型クラッド分離溝83の領
域ではエッチングストップ層115の表面でエッチング
が停止する。これは、前述のようにエッチングマスク1
18のそれぞれの領域の一部分がエッチングストップ層
115の一部分と鉛直方向に重なるように形成してある
ため、p型クラッド分離溝83の底の領域は全てエッチ
ングストップ層115の表面が露出するためによる。一
方、エッチングストップ層115がないn型クラッド分
離溝77の領域ではn型InPクラッド層74から、絶
縁性InP基板73までエッチングが進行する。このた
めn型クラッド層74をn型クラッド分離溝77によっ
て分離することができる。本工程により、n型クラッド
分離溝77とp型クラッド分離溝83はエッチングプロ
セスにより同時に形成することができるため、これらの
溝77と83の形成のためのエッチングマスクの形成は
1回の工程で済んだ。一方、エッチングストップ層11
5を形成しないでこのようなエッチングを行う場合に
は、n型クラッド分離溝77とp型クラッド分離溝83
の深さは互いに異なるため、これらの溝77と83はエ
ッチング工程により同時に形成することはできない。こ
のため、それぞれの溝77と83はそれぞれ別々の工程
を経て形成すればよい。
【0037】この製造方法により製造された第5の実施
形態の光半導体アレイ素子121を図10の断面図に示
す。なお、平面構成は図2(a)に示した第2の実施形
態の構成と同様である。図9(b)の工程後に、絶縁膜
120を形成し、p側電極78、n側電極79を形成し
た。絶縁膜120はコンタクト層117とエッチングス
トップ層115上の領域の一部を幅5μmにわたって除
去してあり、これらの部分でそれぞれの電極78および
79とオーミックコンタクトを形成している。図10に
おけるスペーサ層80は、前記した製造方法によると、
p型クラッド層76およびコンタクト層117と同一の
内容で形成されており、この方法を用いれば、p型電極
78の表面とn型電極79の表面が同一平面上になるよ
うに形成することができる。なお、図10では、エッチ
ングストップ層115が残されたままの状況を示してあ
るが、図9(b)の工程後、エッチングストップ層11
5を除去しても適用可能である。また、この製造方法の
光半導体アレイ素子121では2チャンネルのアレイ構
造について示したが、これ以上のチャンネル数のアレイ
素子に関しても同様の製造方法が適用できるため、これ
以上のチャンネル数のアレイ素子に関しても適用可能で
ある。
【0038】また、図11は図10の実施形態の変形例
としての第6の実施形態の光半導体アレイ素子122で
ある。図10と比較してp型クラッド層76とn型クラ
ッド層74の極性が互いに入れ替わっており、コンタク
ト層117はn型になっている。一般にn型のInPと
金属はオーミックコンタクトを比較的容易にとることが
可能であるため、コンタクト層117は必ずしも必要で
ない。一方、p型のInPと金属とではオーミックコン
タクトをとることが困難であるため、光半導体アレイ素
子122では、エッチングストップ層115をp側電極
78とのコンタクト層として採用した。この場合、エッ
チングストップ層115の材質はGaInAsPよりも
GaInAs層にした方がコンタクト抵抗が小さくな
る。また、スペーサ層80は図8,9で説明した製造方
法によると、n型クラッド層76およびコンタクト層1
17と同一の内容で形成されている。この光半導体アレ
イ素子122では、n型クラッド層76が電気的に分離
していれば、前述の化合物ICでそれぞれのチャンネル
を独立に駆動することが可能であるため、p型クラッド
層74は分離していなくても適用可能である。また、基
板73にp型のInP基板を用いても適用可能である。
p型クラッド層74が分離していない場合には基板73
は任意の極性のInP基板を使用しても適用可能であ
る。この光半導体アレイ素子122を前述の光通信モー
ジュール85や105に適用する場合、n側とp側の位
置が前記光半導体アレイ素子71、72および121と
は入れ替わっているため、配線94において接続を入れ
替える必要がある。また、前記各光半導体アレイ素子7
1,72,121,122ではGaInAsPのバルク
活性層について示したが、GaInAsP系の量子井戸
構造に関しても適用可能である。さらに、各光半導体ア
レイ素子71,72,121,122では幅0.5μm
の活性層について示したが、これ以外の幅の活性層の構
造に関しても適用可能である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明の光半導体ア
レイ素子によれば、これらの素子を光信号源や光ゲート
エレメントとして利用した場合に化合物ICを用いて活
性領域にそれぞれ独立に電流を注入することができ、良
好な高速動作を実現することができる。また、本発明の
光半導体アレイ素子によれば、これらの素子を光信号源
や光ゲートエレメントとして利用した場合にPLCへの
実装が容易にできる。さらに、本発明の光半導体素子の
製造方法によれば、良好な生産歩留まりと製造コストの
低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の平面図とそのA1−
A1’線断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における図1と同様な
平面図とそのA2−A2’線断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態としての光通信モジュ
ールの内部構造を示す平面図である。
【図4】図3のB−B’線に沿う、光通信の内部構造を
示す断面図である。
【図5】図3のC−C’線に沿う、光通信の内部構造を
示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態としての光通信モジュ
ールの内部構造を示す平面図である。
【図7】図6の光通信モジュールのスイッチング特性を
示すグラフである。
【図8】光半導体アレイ素子の製造方法を工程順に示す
断面図のその1である。
【図9】光半導体アレイ素子の製造方法を工程順に示す
断面図のその2である。
【図10】本発明の第5の実施形態としての光半導体ア
レイ素子の内部構造を示す断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態としての光半導体ア
レイ素子の内部構造を示す断面図である。
【図12】光半導体素子の駆動回路に関する説明図であ
る。
【図13】光半導体アレイ素子の駆動回路に関する説明
図である。
【図14】従来例の光半導体アレイ素子の構造を示す断
面図である。
【図15】従来例の光半導体アレイ素子の構造を示す断
面図である。
【符号の説明】
11,12,17 電界効果トランジスタ 13 入力信号端子 14,38,39,40 信号電圧 15 インバータゲート 16 光半導体素子 18 電流制御端子 19 電流制御電圧 20 ソース電圧 21 ソース電圧端子 22 抵抗器 23 グランド 24 p側端子 25 n側端子 26 −側端子 27 光半導体素子駆動用回路 28 グランド端子 31,50,69,71,72,121,122 光半
導体アレイ素子 32,33,34 光半導体素子 35,36,37 光半導体素子駆動回路 45 p型InP基板 46 GaInAsP活性層 47 n型クラッド層 48 n側電極 49 p側電極 55 n型GaAs基板 56 n型GaAlAsクラッド層 57 GaAs活性層 58 p型GaAlAsクラッド層 59 絶縁層 60 p側電極 61 n側電極 64 切り溝 65,66 活性領域 67,68 レーザ駆動電源 73 絶縁性基板 74 n型クラッド層 75 活性層 76 p型クラッド層 77 n型クラッド分離溝 78 p側電極 79 n側電極 80 スペーサ層 81 p側パッド 82 n側パッド 83 p型クラッド分離溝 85 光通信用光送信モジュール 86 平面型光回路(PLC) 87 光ファイバソケット領域 88 出力光導波領域 89 信号発生領域 90 シリカ系光導波路 91,92 出力側光ファイバ 93 駆動電源 94 配線 95 プリント配線 98 −側パッド 99 +側パッド 100 半田 101 p型クラッド層の一部分 102 光入出力端面 105 光通信用モジュール 106 入力光分岐領域 107 スイッチング領域 108 入力側光ファイバ 109 チャンネル甲 110 チャンネル乙 115 エッチングストップ層 116 選択成長マスク層 117 コンタクト層 118 エッチングマスク層 120 絶縁膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半絶縁性半導体基板上の少なくとも一部
    に第1導電型クラッド層、活性光導波路層、第2導電型
    クラッド層が順次形成され、複数個の活性光導波路がア
    レイ状に配置された光半導体素子において、前記複数個
    の活性光導波路の間において前記第2導電型クラッド層
    が互いに分離しており、かつ前記第2導電型クラッド層
    および活性光導波路層の一部が除去されて前記第1導電
    型クラッド層の表面が露呈されており、前記第2導電型
    クラッド層の少なくとも一部の表面および前記露呈され
    た前記第1導電型クラッド層の少なくとも一部の表面に
    それぞれ電極が形成されていることを特徴とする光半導
    体素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光半導体素子において、
    前記第1導電型クラッド層の露呈面に形成された電極の
    少なくとも一部が前記第2導電型クラッド層の表面に形
    成された電極と同一面内に形成されていることを特徴と
    する光半導体素子。
  3. 【請求項3】 請求項1,2に記載の光半導体素子にお
    いて、前記第1導電型クラッド層がn型クラッド層、前
    記第2導電型クラッド層がp型クラッド層であることを
    特徴とする光半導体素子。
  4. 【請求項4】 請求項1,2に記載の半導体素子におい
    て、前記第1導電型クラッド層がp型クラッド層であ
    り、前記第2導電型クラッド層がn型クラッド層であ
    り、前記第1導電型クラッド層の表面にp型層が設けら
    れ、かつこのp型層の少なくとも一部の表面に前記電極
    が形成されていることを特徴とする光半導体素子。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3,4に記載の光半導体
    素子が、前記光半導体素子の一端から入力される光線を
    増幅して他端から出力する光増幅媒体として構成される
    ことを特徴とする光半導体素子。
  6. 【請求項6】 半絶縁製半導体基板の表面に第1導電型
    クラッド層、活性光導波路層、第2導電型クラッド層を
    順次積層する工程と、前記活性光導波路間において前記
    第2導電型クラッド層及び第1導電型クラッド層を除去
    して第1の分離溝を形成する工程と、前記第2導電型ク
    ラッド層を前記活性光導波路を含む領域と含まない領域
    との間において除去して第2の分離溝を形成する工程
    と、前記活性光導波路を含む第2導電型クラッド層の表
    面、及び前記第2の分離溝の底面に露呈した前記第1導
    電型クラッド層の表面にそれぞれ電極を形成する工程
    と、前記第1導電型クラッド層の電極に接続される電極
    を前記活性光導波路を含まない前記第2導電型クラッド
    層の表面に形成する工程を含むことを特徴とする光半導
    体素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光半導体素子の製造方
    法において、前記第2の分離溝を形成する領域の前記第
    1導電型クラッド層上に前記第1導電型クラッド層と異
    なる材質のエッチングストップ層を形成し、前記第1の
    分離溝と前記第2の分離溝のエッチングを同時に行うこ
    とを特徴とする光半導体素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の半導体素子の製造方法
    において、前記第1導電型クラッド層がp型クラッド層
    であり、前記第2導電型クラッド層がn型クラッド層で
    あり、前記エッチングストップ層をp型層で構成し、前
    記エッチングストップ層を前記第1導電型クラッド層の
    オーミック層としてその少なくとも一部の表面に電極を
    形成することを特徴とする光半導体素子の製造方法。
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