JP2000353314A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体およびその製造方法Info
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Abstract
ルおよび波形が、通常のディジタルの磁気情報からは得
られないような多様に変化可能な情報をもち、他の磁気
記録媒体との判別が確実に行え、かつ、偽造や改ざん等
の不正行為を防止できる磁気記録媒体と、この磁気記録
媒体の製造方法を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体を、マスター磁性層とスレ
ーブ磁性層とがこの順に基材上に積層された磁気記録層
を有するものとし、スレーブ磁性層が2以上の単位磁性
層からなる積層体で、かつ、各単位磁性層が磁性材料を
異なる疎密パターンで含有するように構成する。
Description
に偽造、変造が困難な磁気記録媒体と、その製造方法に
関する。
トライプ状に磁気記録層が形成された磁気記録媒体は、
例えば、プリペイドカード、定期券、乗車券、入場券、
車券、馬券、商品券、株券、証書、通帳、磁気タグ等の
金券、証券類や、IDカード、キャッシュカード、クレ
ジットカード、会員カード等のカード類、磁気ラベル等
として幅広く使用されている。従来、このような磁気記
録媒体は、磁気記録層に高い記録密度でディジタルデー
タを書込み、外部から簡単には記録情報を読み出せない
ようにしている。
ディジタルデータの書換え、消去が自在であるため、偽
造、変造が可能であり、近年、大きな社会問題としてク
ローズアップされている。特に、現在は磁気ストライプ
の入手が容易であるため、類似のカードを製造すること
も可能であり、さらに、現在の仕様のように、磁気記録
媒体の表面に磁気記録層が露出している場合、ディジタ
ルデータを読み取ったり、磁気転写技術によりディジタ
ルデータを他の磁気記録層に移すことが容易にできてし
まうという問題もある。
質的な欠点に基づく問題を解決するために、磁気記録情
報の書き換えを困難にする種々の方法が提案されてい
る。例えば、BaフェライトやSrフェライト等の高保
磁力磁性材料、高保磁力低キュリー点(高Hc低Tc)の磁
性材料、MnBiを含有する磁性材料等を用いることに
より、磁気情報を消去されにくくした磁気記録媒体等が
開発されている。
めに、磁性層に物理的変化を与えることにより磁気記録
情報をもたせた磁気記録媒体も開発されており、例え
ば、印刷により磁気バーコードを設けた磁気記録媒体、
磁性層にレーザー等によりマーキングを施した磁気記録
媒体等が挙げられる。
材料を含むマスター磁性層を形成し、このマスター磁性
層に磁気記録を行った後、高保磁力の磁性材料を含む第
2磁性層を塗布形成して積層した磁気記録媒体も開発さ
れている。この磁気記録媒体では、マスター磁性層の磁
気記録パターンが第2磁性層にコピー(いわゆる磁気転
写)されているので、偽造、変造を目的とした磁気ヘッ
ドによる書き換えが困難である。
ータではなく、アナログデータを故意に用いることによ
り、不正使用を防止するシステムも提案されている(特
開平8−315355号)。
ような単に高保磁力磁性材料を用いた磁気記録媒体は、
外部磁場の影響による磁気記録情報の消去を防ぐことは
可能であるが、これは逆に磁気ヘッドで情報を書き込む
際には磁化されにくく、書き込み装置に制限ができると
いう新たな問題を生じている。
性材料を有する磁気記録媒体では、温度による保磁力の
急激な低下を利用し、その条件下で磁気書き込みを行う
ことも可能であるが、常温において磁気記録情報の消去
や書き込みができないため、装置が大掛かりになるとい
う問題がある。
物理的変化を与えた磁気記録媒体では、磁気記録情報の
消去と、新たな情報の書き込みが不可能であるととも
に、情報の存在を容易に認識することができ、偽造等の
防止上、不充分であった。
録情報を備える磁気記録媒体は、非常に強い磁界が加わ
ると、磁気転写により記録された第2磁性層の磁気記録
が消去されてしまうという問題があり、さらに、高保磁
力磁性材料を含む第2磁性層に磁気転写を効率良く行う
ことが困難なため、読み取りに必要な磁気出力が第2磁
性層から得られないという問題もあった。
に開示のシステムは、磁気記録媒体中にランダムに分散
された磁気繊維から得られるアナログデータを用いて不
正使用を防止するものであるが、この情報自体を変化さ
せることはできないので、複雑な情報の運用が困難であ
り、また、磁気記録媒体の製造が簡便ではないという問
題があった。
たものであり、磁気ヘッドによる読み取りにおいて出力
レベルおよび波形が、通常のディジタルの磁気情報から
は得られないような多様に変化可能な情報をもち、他の
磁気記録媒体との判別が確実に行え、かつ、偽造や改ざ
ん等の不正行為を防止できる磁気記録媒体と、この磁気
記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
るために、本発明の磁気記録媒体は、基材と、該基材上
に設けられた磁気記録層とを有し、該磁気記録層は基材
側から順にマスター磁性層とスレーブ磁性層が積層され
たものであり、該スレーブ磁性層は2以上の単位磁性層
が積層されたものであり、各単位磁性層は磁性材料を異
なる疎密パターンで含有するような構成とした。
性層の少なくとも1層において、含有する磁性材料の保
磁力が、マスター磁性層に含有される磁性材料の保磁力
以上であるような構成とした。
上にマスター磁性層と、2以上の単位磁性層からなるス
レーブ磁性層とが積層された磁気記録層を備える磁気記
録媒体の製造方法において、基材上にマスター磁性層を
形成し、該マスター磁性層に所望の磁気記録を行った
後、前記マスター磁性層上にスレーブ磁性層を構成する
単位磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁性塗膜に所定方向
のバイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、ある
いは、磁気配向処理を施した後、あるいは、磁気配向処
理を施すことなく乾燥して、前記マスター磁性層の磁気
記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからな
る固定情報を有する第1の単位磁性層を形成する第1の
工程と、前記マスター磁性層に新たな磁気記録を行い、
既に形成されている単位磁性層上にスレーブ磁性層を構
成する単位磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁性塗膜に所
定方向のバイアス磁界による磁気配向処理を施しなが
ら、あるいは、磁気配向処理を施した後、あるいは、磁
気配向処理を施すことなく乾燥して、前記マスター磁性
層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パター
ンからなる固定情報を有する単位磁性層を形成する操作
を1回以上行う第2の工程と、を有するような構成とし
た。
を構成する2層以上の各単位磁性層における磁性材料の
疎密パターンが相互に異なり、これらの疎密パターンか
らなる固定情報を有する磁気記録層を磁気ヘッドで読み
取るときの出力波形は、各固定情報が重畳したアナログ
波形となる。
しながら説明する。図1は本発明の磁気記録媒体の実施
形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1のA−A線
矢視における部分拡大断面図である。図1および図2に
おいて、本発明の磁気記録媒体1は、基材2と、この基
材2上に設けられた磁気記録層3を備えており、磁気記
録層3はマスター磁性層4とスレーブ磁性層5とが積層
されて構成されている。磁気記録層3を構成するスレー
ブ層5は、マスター磁性層4側から第1の単位磁性層5
a、第2の単位磁性層5bとがこの順に積層されたもの
であり、磁気記録層3には、ストライプ状に記録領域6
が設定されている。
は、基材として要求される耐熱性、強度、剛性等を考慮
して、PET、PET−G、PEN等のポリエステル、
塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の樹脂、生分解性
樹脂、銅、アルミニウム等の金属、紙、含浸紙、合成紙
等の材料の中から適宜選択した材料の単独あるいは組み
合わせた複合体により構成することができる。このよう
な基材2の厚さは、100μm〜1mm、好ましくは1
50〜250μm程度とすることができる。
性層4は、保磁力が300〜6000Oeの範囲にある
磁性材料を含有する。この磁性材料の保磁力が300O
e未満であると、スレーブ磁性層5の形成時に配向磁界
を印加する場合、この配向磁界に対する耐性が不十分で
あり、6000Oeを超えると、磁気ヘッドによる安定
した記録が難しくなり好ましくない。尚、磁気ヘッドに
よる記録が安定して行えるならば、保磁力が6000O
eを超える磁性材料を使用することは可能である。
保磁力300〜6000Oeの範囲にある磁性材料とし
ては、例えば、γ−Fe2 O3 、Co被着γ−Fe2 O
3 、Fe3 O4 、CrO2 、Fe、Co、Ni、Fe−
Co、Co−Ni、Fe−Ni、Baフェライト、Sr
フェライト等の磁性微粒子が挙げられる。
子を適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散してな
る磁性塗料を、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法
等の公知の塗布方法に従って塗布し乾燥することにより
形成することができる。また、上記の磁性材料を用い
て、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法等により
マスター磁性層4を形成することもできる。マスター磁
性層4の厚さは、例えば、塗布方法により形成される場
合、乾燥後の膜厚で1〜50μm、好ましくは3〜20
μm程度とすることができる。
ーブ磁性層5は、第1の単位磁性層5aと第2の単位磁
性層5bの積層であり、第1の単位磁性層5aは磁性材
料を所定の疎密パターンで含有し、第2の単位磁性層5
bは磁性材料を第1の単位磁性層5aと異なる所定の疎
密パターンで含有し、それぞれ固定情報を保持するもの
である。
単位磁性層5bを構成する磁性材料としては、例えば、
Al、Si、Fe等からなる磁性合金材料、パーマロ
イ、センダスト、Mn−Znフェライト、Co−Znフ
ェライト、Ni−Znフェライト等のフェライト、γ―
Fe2O3、Co被着γ―Fe2O3、Fe3O4等の鉄酸化
物、Fe、Co、Ni、Fe−Cr、Fe−Co、Fe
−Ni、Co−Cr、Co−Ni、CrO2、Baフェ
ライト、Srフェライト等の保磁力が1〜10000O
eの範囲の磁性材料を挙げることができ、これらの磁性
材料の中から1種を使用、または2種以上の磁性材料の
組み合わせを適宜選択して使用することができる。
磁性材料と、第2の単位磁性層5bに含有される磁性材
料の少なくとも一方は、その保磁力がマスター磁性層4
に含有される磁性材料の保磁力と同等もしくは大きいも
のとすることができる。これにより、マスター磁性層4
に記録されている可変情報のみを変造目的等で読み取る
ために、第1の単位磁性層5aおよび第2の単位磁性層
5bに記録された固定情報に対して交流消去を行った場
合、マスター磁性層4の磁気情報も消去されてしまい、
読み取りは不可能となる。
が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてな
る磁性塗料を、所望の磁気記録を行ったマスター磁性層
4上にグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知
の塗布方法に従って塗布し、所定のバイアス磁界による
磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を
施した後、あるいは、磁気配向処理を施すことなく、磁
性塗膜を乾燥することにより形成することができる。
ー磁性層4の磁気情報を新たな磁気情報に書き換えた
後、上記の磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒク
ル中に分散されてなる磁性塗料を、既に磁性材料の疎密
パターンからなる固定情報をもつ第1の単位磁性層5a
上にグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の
塗布方法に従って塗布し、所定のバイアス磁界による磁
気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施
した後、あるいは、磁気配向処理を施すことなく、磁性
塗膜を乾燥することにより形成することができる。
ソレノイド型の電磁石配向装置が好ましい。
2の単位磁性層5bの厚さは、1〜50μm、好ましく
は3〜20μm程度であり、スレーブ磁性層5の厚さ
は、2〜100μm、好ましくは6〜40μm程度とす
ることができる。
体1では、磁気記録層3の記録領域6を磁気ヘッドで読
み取る際の、第1の単位磁性層5aと第2の単位磁性層
5bの着磁の状態、バイアス磁界の有無、または、その
向きによって、得られる磁気出力レベルおよび波形が変
化する。例えば、第1の単位磁性層5aと第2の単位磁
性層5bが磁化されている状態で、バイアス磁界を印加
しない通常の無バイアス読み取りを行うと、第1の単位
磁性層5aの疎密パターンから得られる出力波形と、第
2の単位磁性層5bから得られる出力波形とが合成され
たアナログ波形が検出される。このアナログ波形は、通
常の磁気記録媒体では表現できない出力波形である。
を記録した後に、無バイアス読み取りを行うと、マスタ
ー磁性層4から得られる出力波形と、第1の単位磁性層
5aの疎密パターンから得られる出力波形および第2の
単位磁性層5bの疎密パターンから得られる出力波形と
が重畳されたアナログ波形が検出される。その後、マス
ター磁性層4に同じ磁気情報をオーバーライトしても、
第1の単位磁性層5aから得られる固定情報と第2の単
位磁性層5bから得られる固定情報に対して完全に同じ
位置となるようにマスター磁性層4に磁気情報を書き込
むことができないので、得られるアナログ波形は、オー
バーライト前のアナログ波形と異なるものとなる。した
がって、本発明の磁気記録媒体から得られるアナログ波
形の情報は可変であるが、不可逆であり、例えば、残度
数データ等の記録に用いるには最適である。
の残留磁化と第2の単位磁性層5bの残留磁化の比が
0.5〜2の範囲内にあることが好ましい。残留磁化が
このような範囲内にあることにより、上述の第1の単位
磁性層5aと第2の単位磁性層5bの着磁の状態、バイ
アス磁界の有無、または、その向きによる、磁気出力レ
ベルおよび波形の変化が明確なものとなる。
の磁性材料の密部分や第2の単位磁性層5bの磁性材料
の密部分に任意の可変磁気情報を記録することができ、
また、磁気記録層3の記録領域6外の領域において、任
意の可変磁気情報を記録することができる。
レーブ磁性層5は第1の単位磁性層5aと第2の単位磁
性層5bの2層構造となっているが、単位磁性層が3層
以上であってもよい。このような場合でも、各単位磁性
層の磁性材料の疎密パターンは相互に異なるものであ
る。
磁気記録層3が基材の一方の面の全面に形成された構成
であるが、基材2の一部にストライプ状に磁気記録層3
を形成した構成であってもよい。
記録層3上に、保護、隠蔽、装飾効果をもたせるための
保護層、着色層や絵柄を設けてもよい。
ス、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロー
ス、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロ
ース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−
メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共
重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸
エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル
等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは
共重合樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジ
ン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル
樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトル
エン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色す
べき色に応じて各種の顔料を添加し、必要に応じて磁気
ヘッドのクリーニング効果をもたせるよう、酸化チタ
ン、アルミナ粉末、マイクロシリカ等を添加し、さらに
必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、
乾燥剤、乾燥補助剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加し
た後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練してなる着色塗
料あるいはインキを用いて、通常のグラビア法、ロール
法、ナイフエッジ法、オフセット法等の塗布方法あるい
は印刷方法により、所望部分に形成できる。
一実施形態について、上述の磁気記録媒体1を例として
図3および図4を参照しながら説明する。
ー磁性層4を形成し、このマスター磁性層4に所望の磁
気記録を行う(図3(A))。これにより、マスター磁
性層4に磁化方向が相違する磁気パターンが形成され
る。このマスター磁性層4の形成は、上述の保磁力30
0〜6000Oeの範囲にある磁性材料を適当な樹脂あ
るいはインキビヒクル中に分散してなる磁性塗料を、グ
ラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方
法に従って塗布し乾燥することにより形成することがで
きる。樹脂あるいはインキビヒクルとしては、ブチラー
ル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル
樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等が用いら
れ、必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいは
ウレタンエラストマー等が添加される。また、耐熱性を
考慮して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサル
ホン等のガラス転移温度(Tg)の高い樹脂、あるいは
硬化反応によりTgが上昇する系を用いることができ
る。上記のような樹脂あるいはインキビヒクル中に磁性
材料が分散されてなる磁性塗料中に、必要に応じて分散
剤、可塑剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料等を適宜含有さ
せてもよい。
料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法
等により形成することもできる。
まず、磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中
に分散されてなる磁性塗料を、所望の磁気記録が行われ
たマスター磁性層4上に、グラビア法、ロール法、ナイ
フエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布して、磁性
塗膜5′aを形成し、次いで、バイアス磁界を一定方向
に加えて磁気配向処理を施す(図3(B))。これによ
り、マスター磁性層4から発生する磁力線によって磁性
塗膜5′a中に存在する磁化方向と、バイアス磁界の方
向とが一致する部位に、磁性材料が移動して集まり、未
乾燥の磁性塗膜5′a中に磁性材料が密な部分が形成さ
れる。印加するバイアス磁界は150〜3000Gの範
囲で、マスター磁性層4の磁気記録が消去されないよう
に、使用する磁性材料に応じて適宜設定することができ
る。
イアス磁界を印加しながらでもよい)することにより、
マスター磁性層4の磁気記録パターンに対応した磁性材
料の疎密パターンからなる固定情報を有する第1の単位
磁性層5aを形成する(図3(C))。以上が第1の工
程である。
性層5bを形成する。ここでは、まず、マスター磁性層
4に新たな磁気記録を行う(図4(A))。この磁気記
録は、上記の第1の工程での磁気記録とは記録密度が異
なるものが好ましい。この新たな磁気記録により、マス
ター磁性層4に新たな磁気パターンが形成される。ま
た、第1の単位磁性層5aに含有される磁性材料が、上
記のマスター磁性層4への磁気記録で磁化される程度の
保磁力である場合、第1の単位磁性層5aも同時に磁化
される。
キビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、磁性材料の
疎密パターンからなる第1の単位磁性層5a上に、グラ
ビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法
に従って塗布して、磁性塗膜5′bを形成し、次いで、
バイアス磁界を一定方向に加えて磁気配向処理を施す
(図4(B))。バイアス磁界の印加により、マスター
磁性層4から発生する磁力線によって磁性塗膜5′b中
に存在する磁化方向と、バイアス磁界の方向とが一致す
る部位に、磁性材料が移動して集まり、未乾燥の磁性塗
膜5′b中に磁性材料が密な部分が形成される。印加す
るバイアス磁界は150〜3000Gの範囲で、マスタ
ー磁性層4の磁気記録が消去されないように、使用する
磁性材料に応じて適宜設定することができる。
イアス磁界を印加しながらでもよい)することにより、
マスター磁性層4の磁気記録パターンに対応した疎密パ
ターンからなる固定情報を有する第2の単位磁性層5b
を形成する(図4(C))。尚、上記のように、マスタ
ー磁性層4への新たな磁気記録によって第1の単位磁性
層5aも磁化されている場合、第2の単位磁性層5bの
固定情報は、第1の単位磁性層5aの固定情報の影響も
反映した複雑なものとなる。以上が第2の工程である。
されるようなバイアス磁界を一定方向に加えて、マスタ
ー磁性層4の磁気記録を消去するとともに、第1の単位
磁性層5aの固定情報と第2の単位磁性層5bの固定情
報に着磁を行い、磁気記録媒体1とする。
体1では、磁気記録層3のスレーブ磁性層5中の第1の
単位磁性層5aにおける固定情報、および、第2の単位
磁性層5bにおける固定情報が、未乾燥状態の磁性塗膜
中を磁性材料が移動して形成された疎密パターンからな
るので、強磁界が加わっても消去されることがない。そ
して、磁気ヘッドで読み取ったときの磁気出力波形は、
第1の単位磁性層5aと第2の単位磁性層5bの着磁の
状態、バイアス磁界の有無、または、その向きによって
変化する。例えば、第1の単位磁性層5aに含有された
磁性材料と第2の単位磁性層5bに含有された磁性材料
とが一様に着磁された状態で、バイアス磁界を印加しな
い通常の無バイアス読み取りを行うと、第1の単位磁性
層5aの疎密パターンから得られる出力波形と、第2の
単位磁性層5bから得られる出力波形とが合成されたア
ナログ波形が検出される。
における固定情報、および、第2の単位磁性層5bにお
ける固定情報は、マスター磁性層4への磁気記録によっ
て磁気記録媒体個々に任意に設定することができるの
で、他の磁気記録媒体との判別が可能となる。
述の第1の工程および第2の工程の少なくとも一方にお
いて、磁気配向処理を施すことなく磁性塗膜を乾燥して
スレーブ磁性層を形成してもよい。この場合、未乾燥の
磁性塗膜中では、マスター磁性層4から発生する磁力線
が密となる磁化方向の境界部位に磁性材料が移動して集
まり、これにより磁性塗膜中に磁性材料が密な部分が生
じて、疎密パターンが形成される。
層が3層以上である磁気記録媒体は、上述の第2の工程
を繰り返すことにより製造することができる。
トフィルムのような樹脂フィルムを使用し、上述のよう
な製造方法で基材上にマスター磁性層とスレーブ磁性層
とを順に積層して磁気記録層を設けることにより磁気テ
ープを作製し、この磁気テープをカード基材等の全面、
あるいは、一部に貼合して磁気記録媒体を製造してもよ
い。
明する。
8μmのポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製E
−22)を準備し、この基材の片面に下記の組成を有す
るマスター磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法
により塗布し乾燥して、厚み10μmのマスター磁性層
を形成した。
000mAで磁気記録D1を行った。このときの記録密
度は200bpi(FM記録)とした。
組成を有する単位磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコ
ート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
ノイドによる直流バイアス磁界をマスター磁性層の記録
方向に沿って一方向に加えて磁気配向処理を施した。そ
の後、磁性塗膜を乾燥することにより厚み5μmの第1
の単位磁性層を形成した。この第1の単位磁性層は、マ
スター磁性層の磁気記録D1に対応した磁性材料の疎密
パターンからなる固定情報D1′を有するものであっ
た。(以上、第1の工程)
0mAで磁気記録D2を行った。このときの記録密度は
170bpi(FM記録)とした。この磁気記録によ
り、同時に、上記の第1の単位磁性層が磁化される。
位磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗
布して磁性塗膜を形成した。
ノイドによる直流バイアス磁界をマスター磁性層の記録
方向に沿って一方向に加えて磁気配向処理を施した。そ
の後、磁性塗膜を乾燥することにより厚み4μmの第2
の単位磁性層を形成した。この第2の単位磁性層は、マ
スター磁性層の磁気記録D2と第1の単位磁性層の固定
情報D1′とに対応した磁性材料の疎密パターンからな
る固定情報(D2+D1′)′を有するものであった。
(以上、第2の工程)
位磁性層と第2の単位磁性層が積層されたスレーブ磁性
層との積層体からなる磁気記録層を基材上に形成した。
86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて本
発明の磁気記録媒体を得た。
ソレノイドによる15000Gの直流バイアス磁界をマ
スター磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、マ
スター磁性層の磁気記録D2を消去するとともに、第1
の単位磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情
報D1′部、および、第2の単位磁性層の磁性材料の疎
密パターンからなる固定情報(D2+D1′)′部に着
磁を行った。
ードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報D1′
と固定情報(D2+D1′)′とが重畳したアナログ出
力波形が得られた。
レーブ磁性層を構成する第1の単位磁性層の固定情報お
よび第2の単位磁性層の固定情報は、磁気的に消去でき
ない磁気情報として利用できること、および、この固定
情報の重畳したアナログ磁気出力は、通常の磁気記録媒
体では表現できないものであることが確認された。
ター磁性層と、第1の単位磁性層と第2の単位磁性層が
積層されたスレーブ磁性層との積層体からなる磁気記録
層を基材上に形成し、86mm×54mmの大きさのカ
ード状に打ち抜いて、本発明の磁気記録媒体を得た。
にソレノイドによる15000Gの直流バイアス磁界を
マスター磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、
マスター磁性層の磁気記録Dを消去するとともに、第1
の単位磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情
報D1′部、および、第2の単位磁性層の磁性材料の疎
密パターンからなる固定情報(D2+D1′)′部に着
磁を行った。
書込み電流1000mAで別の磁気記録D3を行った。
このときの記録密度は140bpi(FM記録)とし
た。この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカードリー
ダーを用いて読み取った結果、固定情報D1′と固定情
報(D2+D1′)′、および、磁気記録D3とが重畳
したアナログ出力波形Pが得られた。
層に上記と同じ条件で磁気記録D3を行った。この磁気
記録媒体をバイアス磁界なしでカードリーダーを用いて
読み取った結果、固定情報D1′と固定情報(D2+D
1′)′、および、磁気記録D3とが重畳したアナログ
出力波形P′が得られたが、これは上記のアナログ出力
波形Pとは異なるものであった。
得られるアナログ波形の情報は可変であるが、不可逆で
あり、例えば、残度数データ等の記録に用いるには最適
であることが確認された。
て、マスター磁性層を形成し、このマスター磁性層に書
込み電流1000mAで磁気記録D1を行った。このと
きの記録密度は200bpi(FM記録)とした。
組成を有する第1の単位磁性層形成用の磁性塗料をグラ
ビアコート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
り厚み5μmの第1の単位磁性層を形成した。この第1
の単位磁性層は、マスター磁性層の磁気記録D1に対応
した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D1″を
有するものであった。(以上、第1の工程)
0mAで磁気記録D2を行った。このときの記録密度は
170bpi(FM記録)とした。この磁気記録によ
り、同時に、上記の第1の単位磁性層が磁化される。
成を有する第2の単位磁性層形成用の磁性塗料をグラビ
アコート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
ノイドによる直流バイアス磁界をマスター磁性層の記録
方向に沿って一方向に加えて磁気配向処理を施した。そ
の後、磁性塗膜を乾燥することにより厚み4μmの第2
の単位磁性層を形成した。この第2の単位磁性層は、マ
スター磁性層の磁気記録D2と第1の単位磁性層の固定
情報D1″とに対応した磁性材料の疎密パターンからな
る固定情報(D2+D1″)′を有するものであった。
(以上、第2の工程)
位磁性層と第2の単位磁性層が積層されたスレーブ磁性
層との積層体からなる磁気記録層を基材上に形成した。
86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて本
発明の磁気記録媒体を得た。
ソレノイドによる15000Gの直流バイアス磁界をマ
スター磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、マ
スター磁性層の磁気記録D2を消去するとともに、第1
の単位磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情
報D1″部、および、第2の単位磁性層の磁性材料の疎
密パターンからなる固定情報(D2+D1″)′部に着
磁を行った。
ードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報D1″
と固定情報(D2+D1″)′とが重畳したアナログ出
力波形が得られた。
レーブ磁性層を構成する第1の単位磁性層の固定情報お
よび第2の単位磁性層の固定情報は、磁気的に消去でき
ない磁気情報として利用できること、および、この固定
情報の重畳したアナログ磁気出力は、通常の磁気記録媒
体では表現できないものであることが確認された。
材に設けられた磁気記録層がマスター磁性層とスレーブ
磁性層とをこの順に基材上に積層したものであり、スレ
ーブ磁性層を構成する2層以上の各単位磁性層における
磁性材料の疎密パターンが相互に異なるため、これらの
疎密パターンからなる固定情報を有する磁気記録層を磁
気ヘッドで読み取って得られる磁気出力の波形は、各固
定情報が重畳したアナログ波形となり、これにより、他
の磁気記録媒体との判別が可能となり、磁気記録媒体の
真偽判定が確実に行える。また、マスター磁性層や、ス
レーブ磁性層を構成する単位磁性層の密部位に可変情報
を記録することにより、この可変情報と上記の各固定情
報が重畳したアナログ波形が出力波形として得られ、こ
の場合の出力波形は、可変情報のオーバーライトを行う
と再現不可能な不可逆的なものであり、残度数データ等
の記録に用いることができる。
斜視図である。
ある。
一例を示す工程図である。
一例を示す工程図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 基材と、該基材上に設けられた磁気記録
層とを有し、該磁気記録層は基材側から順にマスター磁
性層とスレーブ磁性層が積層されたものであり、該スレ
ーブ磁性層は2以上の単位磁性層が積層されたものであ
り、各単位磁性層は磁性材料を異なる疎密パターンで含
有することを特徴とする磁気記録媒体。 - 【請求項2】 各単位磁性層の少なくとも1層は、含有
する磁性材料の保磁力が、マスター磁性層に含有される
磁性材料の保磁力以上であることを特徴とする請求項1
に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項3】 基材上にマスター磁性層と、2以上の単
位磁性層からなるスレーブ磁性層とが積層された磁気記
録層を備える磁気記録媒体の製造方法において、 基材上にマスター磁性層を形成し、該マスター磁性層に
所望の磁気記録を行った後、前記マスター磁性層上にス
レーブ磁性層を構成する単位磁性層用の磁性塗料を塗布
し、磁性塗膜に所定方向のバイアス磁界による磁気配向
処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した
後、あるいは、磁気配向処理を施すことなく乾燥して、
前記マスター磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性
材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第1の単
位磁性層を形成する第1の工程と、 前記マスター磁性層に新たな磁気記録を行い、既に形成
されている単位磁性層上にスレーブ磁性層を構成する単
位磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁性塗膜に所定方向の
バイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、あるい
は、磁気配向処理を施した後、あるいは、磁気配向処理
を施すことなく乾燥して、前記マスター磁性層の磁気記
録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる
固定情報を有する単位磁性層を形成する操作を1回以上
行う第2の工程と、を有することを特徴とする磁気記録
媒体の製造方法。
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---|---|---|---|
JP16326199A JP4095203B2 (ja) | 1999-06-10 | 1999-06-10 | 磁気記録媒体およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000353314A true JP2000353314A (ja) | 2000-12-19 |
JP4095203B2 JP4095203B2 (ja) | 2008-06-04 |
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-
1999
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