JP2000352546A - 制振用実大ダンパーの動的応答載荷試験装置 - Google Patents

制振用実大ダンパーの動的応答載荷試験装置

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JP2000352546A JP11164640A JP16464099A JP2000352546A JP 2000352546 A JP2000352546 A JP 2000352546A JP 11164640 A JP11164640 A JP 11164640A JP 16464099 A JP16464099 A JP 16464099A JP 2000352546 A JP2000352546 A JP 2000352546A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大型で大容量のアクチュエータを用いること
なく、ダンパー試験システムを簡単且つ安価に構築し、
試験手順も容易なものにする。 【解決手段】 門形脚柱部2間に橋渡して床版部5を設
け、床版部5をその4隅に配したローラ6により脚柱部
2上に図の左右方向へ変位可能に支持する。各脚柱部2
の上端梁2aの中央部と床版部5との間にゴム7を交換
可能に介在させ、床版部5の水平方向変位時にこれを図
示の中立位置に弾性復帰させる反力を発生する。床版部
5上に起振機8を固設し、この起振機8は、モータ10
によるシャフト11の可逆回転時における動質量12の
直線的な前後動で床版部5を起振させ、当該起振時の床
版部5の慣性力が、制振用ダンパー15を用いるべき適
用構造物の実物大および実時間スケールの振動を生起す
るようなものとなるよう床版部5および動質量12の質
量を決定する。床版部5の振動はダンパー15に入力さ
れ、この時のダンパー15の動的応答をコンピュータ1
4で観測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築構造物や土木
構造物などへの振動を制振する制振用ダンパーの動的応
答を実物大規模で載荷試験するための装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】建築構造物や土木構造物の制振装置に関
する載荷試験方式としては従来、以下に説明する3種類
のものが知られている。 その1つは、加力機により所定の載荷履歴条件のもと
で制振装置の復元力特性を検出する試験法である。 他の1つは、加力機により制振装置の動的応答を載荷
試験する「ハイブリッド載荷試験」と称されるもので、
加力機により得られた制振装置の復元力特性を、電算機
による構造物の動的応答評価に直接的に組み込むもので
ある。 残りの1つは、制振装置および制振対象構造物の全て
を振動台に載せ、両者を共に振動させて試験を行うもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしの試験法で
は、制振装置とその適用構造物との間における動的な相
互作用が不明であるため、装置の制振効果を直接的に確
認できないという問題を払拭し切れない。またの方式
は、装置の制振効果を検出することができるものの、制
振装置をあくまでも変位制御下でのみ試験することか
ら、加速度、速度、変位の全ての影響下での制振装置の
特性を精度良く検出することができないという問題があ
った。更にの試験方式の場合、制振対象構造物が建築
構造物や土木構造物のような大型のものであると振動台
が実現不能な大きさになって実大の構造物について試験
するという訳にゆかず、実物大の物を実際の振幅で振動
させて試験することができないという問題があった。
【0004】請求項1に記載の第1発明は、大地震時や
強風時に構造物に作用する振動に対して制振装置が如何
なる応答で如何なる振動低減効果を発揮するのかを、実
物大規模且つ実時間スケールで試験し得るようにした制
振用実大ダンパーの動的応答載荷試験装置を提案して、
上記の問題解決を実現することを目的とする。
【0005】請求項2に記載の第2発明は、小型で安価
な装置により構造物の所定の振動波形を、実際と同じよ
うな大荷重状態および高速度条件のもとで再現させ得る
ようにした制振用実大ダンパーの動的応答載荷試験装置
を提案することを目的とする。
【0006】請求項3に記載の第3発明は、上記載荷試
験の結果に影響が及ぶのを極力少なくした制振用実大ダ
ンパーの動的応答載荷試験装置を提案することを目的と
する。
【0007】請求項4に記載の第4発明は、大型構造物
のための制振用ダンパーでもその動的応答を繰り返し試
験可能で、且つ、種々の仕様の制振用ダンパーに対して
容易に適用可能であると共に、極めて広いダイナミック
レンジを確実にカバーし得るようにした制振用実大ダン
パーの動的応答載荷試験装置を提案することを目的とす
る。
【0008】請求項5に記載の第5発明は、構造物に作
用する振動を逐一リアルタイムに再現可能にした制振用
実大ダンパーの動的応答載荷試験装置を提案することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】これらの目的のため先ず
第1発明による制振用実大ダンパーの動的応答載荷試験
装置は、起振機により起振される床版部を振動方向へ直
線的に変位可能に、且つ、同方向中立位置へ弾性復帰可
能に支持すると共に、固設した制振用ダンパーの作用端
に連結して設け、前記起振機による床版部の起振時にお
ける前記制振用ダンパーの動的応答をモニタして該制振
用ダンパーの載荷試験を行うよう構成したことを特徴と
するものである。
【0010】第2発明による制振用実大ダンパーの動的
応答載荷試験装置は、第1発明において、前記起振機を
動質量とこの動質量を直線的に前後動させる電動モータ
とで構成し、当該起振機を前記床版部上に直接載置して
固定したことを特徴とするものである。
【0011】第3発明による制振用実大ダンパーの動的
応答載荷試験装置は、第1発明または第2発明におい
て、前記床版部と、該床版部を支持する床版部支持体と
の間にころがり支持部材を介在させて、該ころがり支持
部材を介し床版部を前記床版部支持体上に支持したこと
を特徴とするものである。
【0012】第4発明による制振用実大ダンパーの動的
応答載荷試験装置は、第1発明乃至第3発明のいずれか
において、前記床版部を前記中立位置に弾性復帰させる
ための弾性材を床版部と、該床版部を支持する床版部支
持体との間に交換可能に設けたことを特徴とするもので
ある。
【0013】第5発明による制振用実大ダンパーの動的
応答載荷試験装置は、第4発明において、制振用ダンパ
ーが設置される実構造部位の地震や風による振動が前記
床版部において生ずるよう前記起振機を作動させるよう
構成したことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の効果】第1発明においては、床版部が起振機に
より弾性復帰力に抗して中立位置から直線的に振動さ
れ、この間、当該床版部の振動が制振用ダンパーの作用
端に入力される。そして、床版部の上記振動に伴う制振
用ダンパーへの入力をもとに制振用ダンパーの動的応答
がモニタされ、該制振用ダンパーの載荷試験を行うこと
ができる。このため第1発明においては、大地震時や強
風時に構造物に作用する振動に対して制振用ダンパーが
如何なる応答で如何なる振動低減効果を発揮するのか
を、実物大規模且つ実時間スケールで試験することがで
き、前記の問題解決を実現することができる。
【0015】第2発明においては、上記の起振機を動質
量とこの動質量を直線的に前後動させる電動モータとで
構成し、かかる構成とした起振機を前記床版部上に直接
載置して固定したから、小型で安価な装置により構造物
の所定の振動波形を、実際と同じような大荷重状態およ
び高速度条件のもとで再現させることができ、エネルギ
ー上およびコスト的に大いに有利である。
【0016】第3発明においては、前記床版部と、該床
版部を支持する床版部支持体との間にころがり支持部材
を介在させて、該ころがり支持部材を介し床版部を前記
床版部支持体上に支持したから、床版部と床版部支持体
との間における摩擦抵抗が小さく、これが上記載荷試験
の結果に及ぼす影響を極力少なくすることができる。
【0017】第4発明においては、床版部を前記中立位
置に弾性復帰させるための弾性材を床版部と、該床版部
を支持する床版部支持体との間に交換可能に設けたか
ら、大型構造物のための制振用ダンパーでもその動的応
答を繰り返し試験可能で、且つ、種々の仕様の制振用ダ
ンパーに対して試験装置を容易に適用可能であると共
に、極めて広いダイナミックレンジを確実にカバーする
ことができる。
【0018】第5発明においては、制振用ダンパーが設
置される実構造部位の地震や風による振動が前記床版部
において生ずるよう前記起振機を作動させるよう構成し
たから、構造物に作用する振動を逐一リアルタイムに再
現可能で、制振用ダンパーの動的応答を一層正確に試験
することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1および図2は、本発明の
一実施の形態になる制振用実大ダンパーの動的応答載荷
試験装置を示し、図1はその正面図、図2はその側面図
である。地面に埋設した基礎部1上に一対の門形脚柱部
2を立設し、これら脚柱部2を相互に図1の左右方向へ
離間させて配置する。ここで、門形脚柱部2の間隔およ
び高さは、これら門形脚柱部2間のスペースに入って十
分作業ができるような大きさに決定する。そして、これ
ら脚柱部2間にダンパー設置台3を配置し、当該ダンパ
ー設置台3を地面に埋設した基礎部4上に立設する。
【0020】両脚柱部2の上端梁2a間に橋渡して床版
部5を設け、各上端梁2aの両端近傍において床版部5
と脚柱部2との間にそれぞれ、ころがり支持部材として
のローラ6を介在させる。これらローラ6は、その回転
軸線が脚柱部2の上端梁2aと平行な方向に延在するよ
う配置して床版部5に取り付け、これにより床版部5を
脚柱部2上に、これら脚柱部2の配列方向(図1の左右
方向)へ変位可能に支持する。
【0021】しかして、各上端梁2aの中央部と床版部
5との間には弾性材としてのゴム7を介在させ、これを
上端梁2aの中央部および床版部5に交換可能に取着し
て床版部5の水平方向変位がゴム7の弾性変形下に行わ
れるようにするこれがためゴム7は、当該床版部5の水
平方向変位時にこれを図示の中立位置に弾性復帰させる
ような反力を発生する。
【0022】床版部5上には起振機8を載置し、この起
振機8は、その基台9を床版部5上に固定して床版部5
に取り付ける。基台8内にACサーボモータなどの電動
モータ10を設け、該モータ10により回転駆動される
シャフト11を脚柱部2の配列方向(図1の左右方向)
へ延在させてその先端を基台8に回転自在に支持する。
そして、シャフト11にボール螺子を介して動質量12
を螺合させ、この動質量12をローラ13によりシャフ
ト11の延在方向へ走行可能にして基台8上に配置す
る。
【0023】電動モータ10は、起振機制御装置として
のコンピュータ14により可逆回転可能とし、かかる電
動モータ10の可逆回転により動質量12が所定周波数
および所定振幅で直線的に前後動され、基台8を介して
床版部5に動的荷重である慣性力を作用させるものとす
る。床版部5は当該慣性力に応動して対応方向へ振動す
るが、当該起振時の床版部5の慣性力が、制振用ダンパ
ーを用いるべき適用構造物の実物大および実時間スケー
ルの振動を生起するようなものとなるよう床版部5およ
び動質量12の質量を決定する。
【0024】以上により、所定の動的特性を持った床版
部5の振動系が構成されるが、該振動系の最適な剛性は
ゴム7の交換によって達成可能である。かかる振動系か
らの振動を入力すべき被試験対象物としての制振用ダン
パー15はダンパー設置台3上に固設し、該制振用ダン
パー15のダンパーピストン等で構成された作用端15
aを、床版部5の下面に垂下させた突起部5aに連結す
る。
【0025】コンピュータ14は、上記したごとく電動
モータ10の可逆回転制御を介して床版部5の所定周波
数および所定振幅の振動を生起させる起振機制御装置と
し機能する他に、当該振動を入力された時における制振
用ダンパー15の動的応答を計測する観測制御装置とし
ても機能する。なお起振機制御アルゴリズムは、制振用
ダンパー15が設置される実構造部位の地震や風による
動的な応答が床版部5において実現されるよう起振機
8、更に詳しくは電動モータ10をリアルタイムに制御
するようなものとする。
【0026】上記実施の形態になる試験装置の作用を次
に説明する。一定振幅の繰り返し載荷を行う際には、起
振機8(電動モータ10)を対応する起振力振幅が発生
するよう制御する。また風や地震荷重が作用する場合の
挙動試験を行う際には、適用構造物の動的応答が再現さ
れるよう調整、計算された動質量12の加速度入力が得
られるよう起振機8(電動モータ10)を制御する。
【0027】本発明の効果は、試験の実用性、経済性
の向上、および試験条件、載荷環境の向上、の2点に
分類される。 試験の実用性、経済性の向上に関して従来、構造物用
制振ダンパーの実物大試験を行う際に一般的に用いられ
てきた方法は、変位制御モードの油圧式アクチュエータ
を接続し、指定された変位波形を入力する。しかし、か
かる試験が可能なアクチュエータは、非常に大荷重で高
速度を発揮可能な、大型で大容量のものでなければなら
ず高価になること必至で、このような高価な装置を使用
できる試験は極く限られたものになり、一般的ではな
い。
【0028】これに対し上記実施の形態においては、床
版部5自身の大質量によって大きな慣性力を発生させる
ことができ、従って大型で大容量の油圧式アクチュエー
タ(載荷装置)を用いる必要がなく、制振用ダンパーの
試験システムを簡単且つ安価に構築することができると
共に、試験手順も簡単で、操作や試験システムの構築が
容易であるという利点がある。また、ゴム7により床版
部5が中立位置に弾性復帰される構成を採用しているた
め、大型の振動台を用いる大振幅載荷の場合のように構
造供試体の損傷や破壊を伴うことなしに繰り返し試験が
可能である。更に上記の実施の形態においては、風荷重
による構造物の比較的微少振幅の領域から巨大地震によ
る大振幅の領域に至るまで、極めて広いダイナミックレ
ンジをカバーする試験が可能である。
【0029】試験条件、載荷環境の向上に関して上述
の従来技術では、ダンパーの動的応答の効果により結果
的に構造物の応答が低減され、この応答が変位、速度、
加速度の影響を受けるという性質を考慮することができ
ない。従って、試験結果から得られた特性が必ずしもダ
ンパー装置の挙動を純粋に表現したものとはいえないと
いう問題があった。変位、速度、加速度の影響を考慮し
た試験方法としては、実時間オンラインハイブリッド試
験法が考えられつつあるが、この手法はまだ研究途上で
あり一般的に広く用いる試験手法として確立されている
とは言えない。
【0030】更に実時間オンラインハイブリッド試験法
の場合、変位および速度に関しては地震時の載荷条件を
再現し得るが、加速度条件の再現が困難であるという問
題を有する。また、一般に剛性が極端に大きな実験供試
体への適用が非常に困難であるという問題も指摘されて
いる。
【0031】これに対し上記の実施の形態においては、
ダンパーが装着される構造物の地震応答時における挙動
が自動的にダンパーへの載荷条件に含まれ、変位、速
度、加速度を再現していることから、従来の試験法にお
ける上記の問題を解消することができる。また、ダンパ
ー装置が高い剛性を持つ場合であっても適用性に全く影
響がないことを確かめた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる制振用実大ダン
パーの動的応答載荷試験装置を示す正面図である。
【図2】 同動的応答載荷試験装置を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
1 基礎部 2 脚柱部(床版部支持体) 3 ダンパー設置台 4 基礎部 5 床版部 6 ローラ(ころがり支持部材) 7 ゴム(弾性材) 8 起振機 9 基台 10 電動モータ 11 シャフト 12 動質量 13 ローラ 14 コンピュータ 15 制振ダンパー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 起振機により起振される床版部を振動方
    向へ直線的に変位可能に、且つ、同方向中立位置へ弾性
    復帰可能に支持すると共に、固設した制振用ダンパーの
    作用端に連結して設け、 前記起振機による床版部の起振時における前記制振用ダ
    ンパーの動的応答をモニタして該制振用ダンパーの載荷
    試験を行うよう構成したことを特徴とする制振用実大ダ
    ンパーの動的応答載荷試験装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記起振機を動質量
    とこの動質量を直線的に前後動させる電動モータとで構
    成し、該起振機を前記床版部上に直接載置して固定した
    ことを特徴とする制振用実大ダンパーの動的応答載荷試
    験装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記床版部
    と、該床版部を支持する床版部支持体との間にころがり
    支持部材を介在させて、該ころがり支持部材を介し床版
    部を前記床版部支持体上に支持したことを特徴とする制
    振用実大ダンパーの動的応答載荷試験装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、前記床版部を前記中立位置に弾性復帰させるための
    弾性材を床版部と、該床版部を支持する床版部支持体と
    の間に交換可能に設けたことを特徴とする制振用実大ダ
    ンパーの動的応答載荷試験装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、制振用ダンパーが設
    置される実構造部位の地震や風による振動が前記床版部
    において生ずるよう前記起振機を作動させるよう構成し
    たことを特徴とする制振用実大ダンパーの動的応答載荷
    試験装置。
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