JP2000351885A - 樹脂複合材及びその製造方法 - Google Patents

樹脂複合材及びその製造方法

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JP2000351885A
JP2000351885A JP11165503A JP16550399A JP2000351885A JP 2000351885 A JP2000351885 A JP 2000351885A JP 11165503 A JP11165503 A JP 11165503A JP 16550399 A JP16550399 A JP 16550399A JP 2000351885 A JP2000351885 A JP 2000351885A
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group
polymer
monomer
molecular structural
carbon atoms
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JP11165503A
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Mitsuru Nakano
充 中野
Kin Yao
キン ヤオ
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
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Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度及びリサイクル性に優れた樹脂複合材及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 樹脂複合材は、結晶性環状ジエン系重合
体と、それ以外のポリマーとからなる。ポリマーは、非
晶質環状ジエン系重合体であることが好ましい。樹脂複
合材を製造するに当たっては、ポリマーの中で、Ni系
触媒存在下で環状ジエン単量体を重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、環状ジエン系重合体を含有する
樹脂複合材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】樹脂材料には、一般に、強度向上のために
補強材が添加されている。補強材としては、ガラス繊維
などの無機化合物が用いられている。しかし、樹脂材料
はリサイクルすると、補強材による補強効果が低減す
る。そのため、リサイクル品の強度が低下するという問
題があった。
【0003】
【解決しようとする課題】本発明はかかる従来の問題点
に鑑み、強度及びリサイクル性に優れた樹脂複合材及び
その製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題の解決手段】本発明は、請求項1記載のように、
結晶性環状ジエン系重合体と、それ以外のポリマーとか
らなることを特徴とする樹脂複合材である。
【0005】本発明において、結晶性環状ジエン系重合
体は剛性の高い高分子である。このため、結晶性環状ジ
エン系重合体は、ポリマーの中で補強材として機能す
る。それゆえ、本発明の樹脂複合材は、強度が高い。ま
た、本発明の樹脂複合材においては、補強材として、高
分子材料である結晶性環状ジエン系重合体を用いている
ため、リサイクル品としたときでも、元来の強度を保持
できる。また、比重も比較的軽い。従って、本発明によ
れば、強度及びリサイクル性に優れた樹脂複合材を提供
することができる。
【0006】本発明の詳細について説明する。「結晶性
環状ジエン系重合体」とは、結晶性を有する環状ジエン
系重合体をいい、具体的には、位置規則性が高く且つ立
体規則性が高い環状ジエン系重合体をいう。位置規則性
が高い環状ジエン系重合体は、図1に示すごとく、1,
4−結合のみで環状ジエン単量体が連結した重合体をい
い(図1(a))、1,2−結合と1,4−結合との混
在する場合はいわない(図1(b))。
【0007】立体規則性が高い環状ジエン系重合体は、
図2に示す(a)〜(e)の立体異性体のうちのいずれ
か1種のみが選択的に連結した重合体をいう。したがっ
て、本発明における結晶性環状ジエン系重合体は、図1
(a)に示す位置規則性を有し、且つ図2(a)〜
(e)のいずれかの立体構造を選択的に有するポリマー
である。なお、図1、図2には、シクロヘキサジエン重
合体を示したが、これは環状ジエン系重合体の一例を示
すものであり、環状ジエン系重合体をシクロヘキサジエ
ン重合体に限定するものではない。
【0008】上記結晶性環状ジエン系重合体としては、
特願平10−126538号及び特願平10−3238
11号で開示した重合体であって、且つ上記結晶性を有
する、以下の〜のものがある。以下、これらについ
て詳細に説明する。
【0009】(分子構造単位Aを有する結晶性環状共
役ジエン系重合体)本発明における結晶性環状ジエン系
重合体の第1の態様は、1種あるいは2種以上の環状共
役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位が式
(I)で示され(本明細書において、かかる分子構造単
位を分子構造単位Aという。)、かつその分子構造単位
は図2(a)〜図2(e)の中から選択的に選ばれた立
体規則性をもって1,4−結合で連結されている。
【化2】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
に炭素原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子である。
各R1は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、不飽和炭化水素基、アリール基、シクロアルキル
基、シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、少
なくとも1個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子とし
て含む複素環基であり、各R2は、各々独立であって、
少なくとも一つが、水酸基及び炭素数1から4のアルキ
ル基で置換されたアリール基、イミノカルボキシル基、
アルコキシル基、アリロキシル基、アルコキシシリル
基、あるいは、−(CH−OH、−(CH
−C(O)−OH、−(CH−C(O)−O
3、−(CH−OR3、−(CH−OC
(O)−R3、−(CH−OC(O)−OR3、−
(CH−C(O)−R3、−(CH−O−
(CHOH、ただし、pは、それぞれ独立に0〜
24、あるいは0〜10の整数であり、R3は、鎖状あ
るいは分岐状のアルキル基あるいはアリール基、あるい
は、以下の式(a)〜(h)で表される基(ただし、式
(a)から(h)において、Yは、水素原子、アルキル
基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシ
アノ基である。)(Rにおけるこれらの基を、本明細
書において本極性基という。)、アルキルシリル基、ハ
ロゲン化アルキル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハ
ロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基(R
おけるこれらの基を、本明細書において本非極性基とい
う。)であり、R2においてこれらの基でないものは、
水素原子、ハロゲン原子、鎖状あるいは分岐状のアルキ
ル基、シクロアルキル基、アルキリデニル基、アリール
基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル基、アルケニ
ル基(ただし、供給されるアルケニルラジカルは末端二
重結合を含まない)、シクロジエニル基、又は5〜10
員環であって、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄
をヘテロ原子として含む複素環基(Rにおけるこれら
の基を、本明細書において本置換基という。)である。
なお、R2のうちいずれか2つが互いに結合して環状構
造を形成していてもよい。}
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0010】本明細書において、式(I)に記載される
環状共役ジエン系重合体の分子構造単位を、分子構造単
位Aというものとする。そして、このような分子構造単
位Aが由来する単量体を単量体Aというものとする。分
子構造単位A及び単量体Aの基本骨格としては、好まし
くは、5〜8員環を含有する。より好ましくは、6員環
を含有する。
【0011】分子構造単位Aは、以下の式(IA)に示
される単量体Aから、化11式に示すように誘導され
る。
【化11】 {ただし、n、X、R1、R2及びR2におけるR3は、そ
れぞれ、式(I)において定義されたのと同じ意味を有
する。}
【化12】
【0012】上記式(IA)において示される単量体A
は、炭素−炭素結合を主体として構成される5員環以上
の環状共役ジエンである。単量体Aにおける置換基
1、R2、及びR3は、それぞれ、当該単量体から誘導
される環状共役ジエン系重合体の分子構造単位の置換基
1、R2、及びR3に対応する。
【0013】単量体A及び分子構造単位AにおけるX
は、それぞれ独立であって、それぞれが、炭素原子、ケ
イ素原子あるいはゲルマニウム原子である。nは、1以
上6以下の整数であって、好ましくは1〜4である。
【0014】好ましい単量体Aは、炭素−炭素結合を主
体として構成される5〜8員環を有する環状共役ジエン
の誘導体であり、特に、好ましいのは、6員環の環状共
役ジエンの誘導体である。5〜8員環を有する単量体A
としては、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シク
ロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3
−シクロオクタジエンの誘導体を例示することができ
る。また、これらにおいて、Xに対応する炭素原子がケ
イ素原子あるいはゲルマニウム原子に置換されている単
量体Aも例示される。6員環の環状共役ジエン系単量体
としては、1,3−シクロヘキサジエンの誘導体を例示
することができる。
【0015】単量体Aおよび分子構造単位Aにおいて、
1のハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が
好ましく、より好ましくは塩素である。R1のアルキル
基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、より好
ましくは1〜10である。アルキル基は、直鎖状のみな
らず分岐状のものも含まれる。ただし、立体障害を考慮
すると直鎖状のアルキル基が好ましい。具体的には、メ
チル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル
基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチ
ル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルヘプチル基、ノル
マルオクチル基、ノルマルノニル基、ノルマルデシル基
である。また、不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素
数2〜20のものが好ましく、より好ましくは、2〜1
0である。アリール基の好ましい炭素数は5〜20であ
り、より好ましくは5〜10である。シクロアルキル基
の好ましい炭素数は3〜20であり、より好ましい炭素
数は5〜10であり、シクロジエニル基の好ましい炭素
数は4〜20であり、より好ましくは5〜10である。
これらの基の具体例としては、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、ビニル基、フェニル基、トリル基、ナフ
チル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基、等を
挙げることができる。また、複素環基の具体例として
は、ピリジル基、ピペリジル基等を挙げることができ
る。
【0016】単量体A及び分子構造単位Aにおいて、R
2の少なくとも一つは、本極性基あるいは本非極性基で
ある。本極性基としては、イミノカルボキシル基及びこ
れらの基を含む有機官能基を挙げることができる。さら
に、水酸基と炭素数1から4のアルキル基で置換された
アリール基も挙げることができる。本極性基のアルコキ
シル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特
に好ましくは、1〜20である。具体的には、メトキシ
基、エトキシ基、n−プロピオキシ基、sec−プロピ
オキシ基であり、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ
基、tert−ブトキシ基である。本極性基のアリロキ
シル基としては、炭素数5〜20のものが好ましく、特
に好ましくは、5〜10である。具体的には、フェノキ
シ基、パラメチルフェノキシ基、パラエチルフェノキシ
基である。本極性基のアルコキシシリル基としては、炭
素数3〜20のものが好ましく、特に好ましくは、3〜
10である。具体的には、トリメトキシシリル基、トリ
エトキシシリル基である。
【0017】また、本極性基としては、−OH、−O
−、−(O)OH、−C(O)O−、−OC(O)−、
OC(O)O−、−C(O)−等の構造を備える有機官
能基を挙げることもできる。具体的には、水酸基と直鎖
状あるいは分岐状の炭素数1から4のアルキル基で置換
されたアリール基、−(CH−OH、−(C
−C(O)−OH、−(CH2−C(O)
−OR3、−(CH2−OR3、−(CH2−OC
(O)−R3、−(CH−OC(O)−OR3、−
(CH−C(O)−R3、−(CH−O−
(CHOH、ただし、pは、それぞれ独立に0〜
24、あるいは0〜10の整数であり、R3は、鎖状あ
るいは分岐状のアルキル基、アリール基、あるいは式
(a)〜(h)で表される置換基(ただし、式(a)か
ら(h)において、Yは、水素原子、アルキル基、アル
コキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシアノ基で
ある。)である。
【0018】本非極性基のアルキルシリル基としては、
炭素数3〜20のものが好ましく、特に好ましくは、3
〜10である。具体的には、トリメチルシリル基、トリ
エチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメ
チルターシャリーブチルシリル基である。
【0019】本非極性基のハロゲン化アルキル基におけ
るアルキル基は、炭素数1〜20のものが好ましい。ア
ルキル基は、直鎖状のもののみならず、分岐状のものも
含まれる。具体的には、メチル基、エチル基、ノルマル
プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソ
ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基であ
る。特に、−C2m+1の一般式で示されるフッ素
化基アルキル基は、mが1〜20の整数であることが好
ましく、より好ましくは、1〜10である。
【0020】本非極性基のハロゲン化シクロアルキル基
における環状骨格は、炭素数3〜10のものが好まし
く、特に好ましくは、5〜8である。具体的には、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、
シクロオクチル基である。本非極性基のハロゲン化アリ
ール基における環状骨格は、炭素数6〜40のものが好
ましく、特に好ましくは、6〜10である。具体的に
は、フェニル基、トリル基、ナフチル基である。本非極
性基のハロゲン化アラルキル基のアラルキル基として
は、炭素数7〜15が好まししい。これらのハロゲン化
炭化水素基におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素が好ましく、より好ましくは塩素であ
る。
【0021】単量体A及び分子構造単位Aにおける基R
2は、少なくとも一つが本極性基あるいは本非極性基で
あればよい。したがって、R2の一つのみが本極性基で
あったり、R2の一つのみが本非極性基であったりする
単量体Aや分子構造単位Aもあり、R2の全部が本極性
基であったり、R2の全部が本非極性基であったりする
単量体Aや分子構造単位Aもある。さらには、R2にお
いて、本極性基と本非極性基とが混在する単量体Aや分
子構造単位Aもある。
【0022】R2において本極性基でもなく本非極性基
でもない基がある場合には、そのR2は、各々独立に水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル
基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、ア
ルキニル基、ビニル基、アルケニル基(ただし、供給さ
れるアルケニルラジカルは末端二重結合を含まない)、
シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、少なく
とも1個の窒素、酸素又は硫黄をヘテロ原子として含む
複素環基(本置換基)である。この場合のハロゲン原子
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、より好ま
しくは塩素である。
【0023】本置換基におけるアルキル基は、炭素数1
〜20のものが好ましい。アルキル基は、直鎖状のもの
のみならず、分岐状のものも含まれる。具体的には、メ
チル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル
基、ノルマルブチル基、イソブチル基、tert−ブチ
ル基、、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチ
ル基、ノニル基、デシル基である。
【0024】本置換基におけるアルケニル基としては、
炭素数2〜20のものが好ましく、特に好ましくは、2
〜10である。具体的には、ビニル基、アリル基であ
る。本置換基におけるアルキニル基としては、炭素数2
〜20のものが好ましく、より好ましくは、2〜10で
ある。具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニ
ル基である。本置換基におけるシクロアルキル基におけ
る環状骨格は、炭素数3〜10のものが好ましく、特に
好ましくは、5〜8である。具体的には、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオ
クチル基である。本置換基におけるアリール基として
は、炭素数5〜40のものが好ましく、特に好ましく
は、6〜10である。具体的には、フェニル基、トリル
基、ナフチル基である。本置換基におけるアラルキル基
としては、炭素数7〜15が好ましい。
【0025】本置換基におけるアルキリデニル基として
は、炭素数1〜6のものが好ましく、具体的にはエチリ
デニル基、プロピデニル基である。本置換基におけるシ
クロジエニル基としては、炭素数3〜20のものが好ま
しく、特に好ましくは、5〜10である。具体的には、
シクロペンタジエニル基である。
【0026】なお、基R2のうち、いずれか2つが結合
して環状構造を採っていてもよい。例えば、酸無水物構
造、ジカルボキシイミド構造を備えた単量体A及び分子
構造単位Aも例示することができる。
【0027】このような単量体Aの具体例としては、以
下の化合物を例示できる。なお、これらの単量体Aの例
示によって、同時に、これらの単量体から誘導される分
子構造単位Aも例示される。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】 {ただし、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭
素6から40のアリール基である。}
【化19】
【化20】
【0028】単量体Aから選択された1種あるいは2種
以上の単量体Aから誘導される分子構造単位Aを有する
環状共役ジエン系重合体は、分子構造単位が1種類であ
る場合もあり、分子構造単位が2種類以上である場合も
ある。
【0029】(分子構造単位Bを有する結晶性環状共
役ジエン系重合体)本発明における結晶性環状ジエンの
第2の態様は、1種あるいは2種以上の環状共役ジエン
系単量体から誘導される分子構造単位が式(II)で示
され(本明細書において、かかる分子構造単位を分子構
造単位Bという。)、かつその分子構造単位は図2
(a)〜図2(e)の中から選択的に選ばれた立体規則
性をもって1,4−結合で連結されている。
【化21】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
であって、少なくとも一つがケイ素原子又はゲルマニウ
ム原子であり、Xにおいてこれらの基でないものは、炭
素原子である。各R11は各々独立に水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、不飽和炭化水素基、アリール基、
シクロアルキル基、シクロジエニル基、又は5〜10員
環であって、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄を
ヘテロ原子として含む複素環基であり、各R12は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、鎖状あるいは分岐状の
アルキル基、シクロアルキル基、アルキリデニル基、ア
リール基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル基、ア
ルケニル基(ただし、供給されるアルケニルラジカルは
末端二重結合を含まない)、シクロジエニル基、又は5
〜10員環であって、少なくとも1個の窒素、酸素また
は硫黄をヘテロ原子として含む複素環基(本置換基)で
ある。なお、R12のうちいずれか2つが互いに結合し
て環状構造を形成していてもよい。}
【0030】本明細書において、式(II)に記載され
る環状共役ジエン系重合体の分子構造単位を、分子構造
単位Bというものとする。そして、このような分子構造
単位Bが由来する単量体を単量体Bというものとする。
分子構造単位Bは、以下の式(IIA)に示される単量
体Bから、以下の化23式に示すように誘導される。
【化22】 {ただし、n、X、R11、R12は、それぞれ、式
(II)において定義されたのと同じ意味を有する。}
【化23】
【0031】上記式(IIA)において示される単量体
Bは、炭素−炭素結合を主体として構成される5員環以
上の環状共役ジエンである。単量体B及び分子構造単位
Bの基本骨格は、好ましくは、5〜8員環であり、より
好ましくは6員環である。単量体B及び分子構造単位B
における各Xは、各々独立であって、少なくとも一つが
ケイ素原子あるいはゲルマニウム原子であり、Xにおい
てケイ素原子あるいはゲルマニウム原子でないものは炭
素原子である。nは、1以上6以下の整数であって、好
ましくは1〜4である。
【0032】単量体Bにおける基R11、R12は、そ
れぞれ、当該単量体Bから誘導される環状共役ジエン系
重合体の分子構造単位Bの基R11、R12に対応す
る。好ましい単量体Bは、炭素一炭素結合を主体として
構成される5〜8員環を有する環状共役ジエンの誘導体
であり、特に、好ましいのは、6員環の環状共役ジエン
の誘導体である。
【0033】単量体B及び分子構造単位BにおけるR
11は、単量体A及び分子構造単位AにおけるR1と同
じ意味を有する。したがって、単量体A及び分子構造単
位Aにおいて好ましいとされる基は、R11においても
好ましいとされる。単量体B及び分子構造単位Bにおけ
るR12は、単量体A及び分子構造単位AのR2におけ
る本置換基と同じ意味を有する。したがって、本置換基
において好ましいとされる基は、R12においても好ま
しいとされる。
【0034】単量体Bとして、次の単量体を例示するこ
とができる。
【化24】
【0035】単量体Bから選択された1種あるいは2種
以上の単量体Bから誘導される分子構造単位Bを有する
環状共役ジエン系重合体は、分子構造単位が1種類であ
る場合もあり、分子構造単位が2種類以上である場合も
ある。
【0036】(分子構造単位A、B、C、Dから選ば
れる一種または二種以上を有する結晶性環状共役ジエン
系共重合体)本発明における結晶性環状ジエン系重合体
の第3の態様は、 i) 式(I)で示される一種又は二種以上の分子構造単
位(分子構造単位A)、
【化25】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
に炭素原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子である。
各R1は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、不飽和炭化水素基、アリール基、シクロアルキル
基、シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、少
なくとも1個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子とし
て含む複素環基であり、各R2は、各々独立であって、
少なくとも一つが、水酸基及び炭素数1から4のアルキ
ル基で置換されたアリール基、イミノカルボキシル基、
アルコキシル基、アリロキシル基、アルコキシシリル
基、あるいは、−(CH−OH、−(CH
−C(O)−OH、−(CH−C(O)−O
3、−(CH−OR3、−(CH−OC
(O)−R3、−(CH−OC(O)−OR3、−
(CH−C(O)−R3、−(CH−O−
(CHOH、ただし、pは、それぞれ独立に0〜
24、あるいは0〜10の整数であり、R3は、鎖状あ
るいは分岐状のアルキル基あるいはアリール基、あるい
は、以下の式(a)〜(h)で表される基(ただし、式
(a)から(h)において、Yは、水素原子、アルキル
基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシ
アノ基である。)、アルキルシリル基、ハロゲン化アル
キル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン化アリ
ール基、ハロゲン化アラルキル基であり、R2において
これらの基でないものは、水素原子、ハロゲン原子、鎖
状あるいは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、ア
ルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、アルキニ
ル基、ビニル基、アルケニル基(ただし、供給されるア
ルケニルラジカルは末端二重結合を含まない)、シクロ
ジエニル基、又は5〜10員環であって、少なくとも1
個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含む複素
環基である。なお、R2のうちいずれか2つが互いに結
合して環状構造を形成していてもよい。}
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】 ii) 式(II)で表される一種又は二種以上の分子構造
単位(分子構造単位B)、
【化34】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
であって、少なくとも一つがケイ素原子又はゲルマニウ
ム原子であり、Xにおいてこれらの基でないものは、炭
素原子である。各R11は各々独立に水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、不飽和炭化水素基、アリール基、
シクロアルキル基、シクロジエニル基、又は5〜10員
環であって、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄を
ヘテロ原子として含む複素環基であり、各R12は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、鎖状あるいは分岐状の
アルキル基、置換されたあるいは置換されないシクロア
ルキル基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル
基、アルキニル基、ビニル基、アルケニル基(ただし、
供給されるアルケニルラジカルは末端二重結合を含まな
い)、シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、
少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子と
して含む複素環基である。なお、R12のうちいずれか
2つが互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。} iii) 式(III)で表される一種又は二種以上の分子
構造単位(本明細書において、かかる分子構造単位を分
子構造単位Cともいう。)、
【化35】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各R21は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、不飽和炭
化水素基、アリール基、シクロアルキル基、シクロジエ
ニル基、又は5〜10員環であって、少なくとも1個の
窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基
であり、各R22は各々独立に水素原子、ハロゲン原
子、鎖状あるいは分岐状のアルキル基、置換されたある
いは置換されないシクロアルキル基、アルキリデニル
基、アリール基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル
基、アルケニル基(ただし、供給されるアルケニルラジ
カルは末端二重結合を含まない)、シクロジエニル基、
又は5〜10員環であって、少なくとも1個の窒素、酸
素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基である。
なお、R22のうちいずれか2つが互いに結合して環状
構造を形成していてもよい。} iv) 二重結合含有単量体から選択される一種あるいは二
種以上の単量体から誘導される分子構造単位(本明細書
において、かかる分子構造単位を分子構造単位Dともい
う。)、の4種の分子構造単位A、B、C、Dから選択
される2種以上の分子構造単位からなり、かつ分子構造
単位A、B及びCは、図2(a)〜図2(e)の中から
選択的に選ばれた立体規則性をもって1,4−結合で連
結されている。
【0037】上記結晶性環状共役ジエン系共重合体は、
分子構造単位Aと、分子構造単位Bと、分子構造単位C
と、分子構造単位Dの4種の分子構造単位から選択され
る一種あるいは二種以上の分子構造単位からなる。分子
構造単位Cは、式(III)で示される。この分子構造
単位Cが由来する単量体を単量体Cというものとする。
分子構造単位Cは、分子構造単位Aが単量体Aに誘導さ
れるのと同様に、式(IIIA)に示す単量体Cから誘
導される。
【化36】 {ただし、n、X、R21、R22は、それぞれ、式
(III)において定義されたのと同じ意味を有す
る。}
【0038】単量体Cの好ましい基本骨格は、炭素−炭
素結合で構成される5〜8員環の環状共役ジエンであ
り、特に好ましいのは、6員環の環状共役ジエンであ
る。具体的には、1,3−シクロペンタジエン、1,3
−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、
1,3−シクロオクタジエン及びこれらの誘導体であ
る。好ましくは、1,3−シクロヘキサジエン及びその
誘導体である。分子構造単位C及び単量体CにおけるR
21は、分子構造単位A及び単量体AにおけるR1と同
じ意味を有する。また、R22は、分子構造単位B及び
単量体BにおけるR12と同じ意味を有する。
【0039】単量体Cとして、以下の単量体を例示する
ことができる。なお、これらの単量体の例示によって、
同時にこれらの単量体Cから誘導される分子構造単位C
も例示される。
【化37】
【化38】
【0040】二重結合含有単量体から誘導される分子構
造単位Dが由来する単量体を、単量体Dともいうものと
する。本明細書において二重結合含有単量体とは、重合
性のある二重結合を備えた単量体である。例えば、二重
結合含有単量体として、オレフィン単量体、イソオレフ
ィン単量体、分岐状α−オレフィン単量体、共役オレフ
ィン単量体、環状オレフィン単量体、ビニルエーテル単
量体、環状エーテル単量体、ラクトン単量体等を挙げる
ことができる。また、ノルボルネン及びその誘導体、あ
るいは累積二重結合を備えた化合物、末端二重結合を備
えた炭化水素基を有するカルボン酸、カルボン酸エステ
ル等を挙げることもできる。
【0041】オレフィン単量体としては、CH=CH
Rの一般式で表される。ただし、Rは、水素原子、分岐
していない炭素数1〜40までのアルキル基、分岐状の
あるいは分岐していない炭素数7〜40までのアラルキ
ル基、分岐していない炭素数3から40までのアルケニ
ル基、ハロゲン原子を表す。イソオレフィン単量体とし
ては、CH=CRR’の一般式で表され、RとR’
は、それぞれ独立であり、炭素数12までのアルキル
基、あるいはそれ以上の炭素数のアルキル基から選択さ
れる。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、t−プロピル基等である。イソオレフ
ィン単量体は、具体的には、イソブチレン、2−メチル
−1−ブテン、2−メチル−1−ぺンテン、2−エチル
−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2,
3,3−トリメチル−1−ブテン、2,5−ジメチル−
1,5−ヘキサジエン等である。
【0042】分岐状α−オレフィン単量体としては、C
=CHRの一般的で表され、Rは、炭素数12まで
のあるいはそれ以上の炭素数の分岐状アルキル基(シク
ロアルキル基も含む)である。具体的には、3−メチル
−1−ブテン、3−メチル−1−ぺンテン、4−メチル
−1−ぺンテン、4−メチル−1−ヘキセン、6−メチ
ル−1−ヘプテン、アリルシクロヘキサン等である。共
役オレフィン単量体としては、共役ジエンあるいは共役
トリエンのオレフィンである。炭素数12までの直鎖状
の共役ジエンあるいは共役トリエンも含まれる。具体的
には、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,4−
ジメチルブタジエン、trans−2−メチルー1,3
−ぺンタジエン等である。環状オレフィン単量体として
は、β−ピレン、シクロブテン、シクロペンテン等を挙
げることができる。
【0043】アルキルビニルエーテル単量体は、CH
=CHORの一般式で表される。ただし、Rは、炭素数
12まであるいはそれ以上の、直鎖状、あるいは分岐
状、あるいは環状のアルキル基あるいはアラルキル基を
示す。具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニ
ルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチル
ビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、i
so−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエ
ーテル等である。
【0044】アリルビニルエーテル単量体は、CH
CHOR’の一般式で表される。ただし、R’は、フェ
ニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基
を示す(なお、フェニル基及びナフチル基における置換
基は、低級アルキル基あるいはハロゲン原子であ
る。)。具体的には、フェニルビニルエーテル、パラ−
トリビニルエーテル、ナフチルビニルエーテル等であ
る。置換ビニルエーテル単量体は、CH=CHOXの
一般式で表される。ただし、Xは、ハロゲン原子あるい
はシリコン原子等のヘテロ原子に結合した炭素数20ま
でのアルキル基あるいはアリル基、または、エーテル結
合、エステル結合、及びアミノ基のいずれかを含む官能
基を備えた炭素数20までのアルキル基あるいはアリル
基を示す。
【0045】具体的には、パラ−アニシルビニルエーテ
ル、2−クロロエチルビニルエーテル、CH2=CHO
CH2CH22CCH3、CH2=CHOCH2CH22
、CH2=CHOCH2CH22CC(CH3
=CH2、CH2=CHOCH2CH22CCH=CH2
CH2=CHOCH2CH22CCH=CHC CH
2=CHOCH2CH22CCH=CHCH=CHC
3、CH=CHOCHCHO(CH2CH2O)
2、CH2=CHOCH2CH2OC、CH
2=CHOCH2CH2CH(CO222、CH2
CHOCH2CH2C(CO223、CH2=CHO
CHCH2OC−p−C−p−OC
、CH2=CHOCH2CH2O(CH2CH2O)
−p−C−p−OCH、等である。
【0046】ジビニルエーテル単量体は、CH=CH
OCH=CHあるいはCH2=CHOXOCH=CH
の一般式で表される。ただし、Xは、−(CH)n
−、−(CHCHO)CHCH2−、−CH2
OC(CH2 C(CHOCH
CH−等を示し、nは、1〜12の整数である。α置
換ビニルエーテル単量体は、CH=CR’ORの一般
式で表される。ただし、Rは、炭素数12までの、直鎖
状、あるいは分岐状、あるいは環状のアルキル基を示
し、R’はメチル基あるいは炭素数12までのアルコキ
シル基、あるいは塩素原子を示す。具体的には、α−メ
チルエチルビニルエーテルである。
【0047】β置換ビニルエーテル単量体は、R’CH
=CHORの一般式で表される。ただし、Rは、炭素数
12までの直鎖状、分岐状、あるいは環状のアルキル基
であり、R’は、炭素数12までのアルコキシル基、あ
るいは塩素原子である。具体的には、β−メチルエチル
ビニルエーテルである。環状エーテル単量体としては、
オキシランやオキセタン等である。オキシラン及びエポ
キシドとしては、炭素数12までのものであって、ハロ
ゲン原子を含んでいてもよい。具体的には、エチレンオ
キサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキ
サイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ノルボルネ
ンオキサイド、エピクロロヒドリン等である。オキセタ
ンとしては、炭素数は12までであり、ハロゲン原子を
含んでいてもよい。具体的には、オキセタン、3,3−
ジメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オ
キセタン等である。
【0048】環状エステル単量体としては、ラクトンを
挙げることができる。ラクトンとしては、β−プロピオ
ラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、
あるいは、炭素数12までのアルキル基で置換されたN
−ビニルカルバゾール及びラクトン等を挙げることがで
きる。具体的には、α,α−ジメチル−β−プロピオラ
クトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、β,β’
−ジメチル−β−プロピオラクトンである。芳香族オレ
フィン単量体としては、スチレン、パラ−メトキシスチ
レン、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パ
ラ−イソプロピルスチレン、オルト−メチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、パラ−ジメチルアミノスチ
レン、パラ−ジイソプロペニルベンゼン、オルト−ジビ
ニルベンゼン、インデン、1−メチルインデン、アセナ
フタレン、2−ビニルフルオレン等である。
【0049】このような二重結合含有単量体のいくつか
を例示する。なお、これらの化合物の誘導体も同時に例
示されるものである。
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【0050】上記結晶性環状共役ジエン系共重合体で
は、4種類ある分子構造単位のうち2種以上の分子構造
単位からなる。すなわち、分子構造単位の組み合わせと
しては、A/B、A/C、A/D、B/C、B/D、C
/D、A/B/C、A/B/D、A/C/D、B/C/
D、A/B/C/Dの11種類がある。なお、各分子構
造単位から、2以上の分子構造単位が選択されていても
よい。本発明における結晶性環状共役ジエン系共重合体
には、ランダム共重合体の他、交互共重合体、テーパー
ブロック共重合体、グラフト共重合体、、ジブロック、
トリブロック、テトラブロック、マルチブロック、ラジ
アルブロック等のブロック共重合体が包含される。
【0051】(分子構造単位Cを有する環状共役ジエ
ン系重合体)また、本発明における結晶性環状ジエン系
重合体の第4の態様は、式(IIIA)で表される一種
又は二種以上の環状共役ジエン系単量体(本明細書にお
いて、かかる単量体を単量体Cともいう。)
【化48】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各R21は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、不飽和炭
化水素基、アリール基、シクロアルキル基、シクロジエ
ニル基、又は5〜10員環であって、少なくとも1個の
窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基
であり、各R22は各々独立に水素原子、ハロゲン原
子、鎖状あるいは分岐状のアルキル基、置換されたある
いは置換されないシクロアルキル基、アルキリデニル
基、アリール基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル
基、アルケニル基(ただし、供給されるアルケニルラジ
カルは末端二重結合を含まない)、シクロジエニル基、
又は5〜10員環であって、少なくとも1個の窒素、酸
素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基である。
なお、R22のうちいずれか2つが互いに結合して環状
構造を形成していてもよい。}を、下記の式(IVA)
で示される化合物(本明細書において本単成分型触媒と
もいう。)
【化49】 {ただし、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を示
し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結合
を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であり、
mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に0で
あることはなく、mが0のときaは2であり、mが1の
ときaは1であり、Aは、[LNiX a+に対す
るアニオンを示す。}を触媒として用いて重合すること
により得られた、分子構造単位(本明細書において、か
かる分子構造単位を分子構造単位Cともいう。)が式
(III)で示され、かつその分子構造単位は図2
(a)〜図2(e)の中から選択的に選ばれた立体規則
性をもって1,4−結合で連結されている。
【化50】 {ただし、n、X、R21、R22は、それぞれ、式
(IIIA)において定義されたのと同じ意味を有す
る。}
【0052】分子構造単位C、及びこの分子構造単位C
が由来する単量体Cは、上記のの中で説明したものと
同様である。また、式(IVA)で示される化合物は、
以下のNi系触媒と同様である。
【0053】上記〜の結晶性環状ジエン系重合体の
数平均分子量は、5,000以上であることが好まし
い。分子量が5,000未満であると、十分な機械的物
性が得られないからである。また、数平均分子量は、
5,000〜5,000,000の範囲であることが好
ましく、より好ましくは、20,000〜1,000,
000の範囲であり、特に好ましくは、50,000〜
500,000の範囲である。本発明における数平均分
子量とは、高分子鎖の標準ポリスチレン換算の数平均分
子量である。
【0054】例えば、上記結晶性環状ジエン系重合体と
しては、図2(a)〜図2(e)の中から選択的に選ば
れた結合様式を有する、ポリ(1,3−シクロヘキサジ
エン)、ポリ(1,3−シクロヘプタジエン)、ポリ
(1,3−シクロオクタジエン)、ポリ(5,6−ジメ
チル1,3−シクロヘキサジエン)、ポリ(5,6−ビ
ストリメチルシロキシ−1,3−シクロヘキサジエン)
などがあるが、これらに限定されない。
【0055】また、請求項2記載のように、上記ポリマ
ーは、非晶質環状ジエン系重合体であることが好まし
い。非晶質環状ジエン系重合体とは、不定形の環状ジエ
ン系重合体をいい、具体的には、1,4−結合と1,2
−結合とが混在しているか、または1,4−結合だけか
らなる場合には図2(a)〜(e)に示す各種の立体異
性体が混在しているものをいう。なお、全ての立体異性
体が同時に存在する必要はない。
【0056】非晶質環状ジエン系重合体と結晶性環状ジ
エン系重合体とは、同じ環状ジエン系重合体であるた
め、相溶性が高い。そのため、結晶性環状ジエン系重合
体による補強効果が大きい。
【0057】非晶質環状ジエン系重合体は、例えば、上
記〜の結晶性環状ジエン系重合体の化学構造を有
し、立体異性体が混在しているものを用いることができ
る。
【0058】樹脂複合材に用いられる非晶質環状ジエン
系重合体と結晶性環状ジエン系重合体とは、互いに化学
構造,即ち分子構造単位が同じであってもよいし、相違
してもよい。
【0059】上記樹脂複合材中における上記結晶性環状
ジエン系重合体の含有量は、1〜50重量%であること
が好ましい。1重量%未満では結晶性環状ジエン系重合
体添加による補強効果が低くなり、マトリックスとなる
非晶質環状ジエン系重合体の強度向上が望めなくなるお
それがある。50重量%を超える場合には、樹脂複合材
の成形性の低下を招くおそれがある。更には、上記樹脂
複合材中における上記結晶性環状ジエン系重合体の含有
量は、2〜25重量%、特に好ましくは5〜15重量%
である。
【0060】本発明の樹脂複合材は、i) 自動車材料の
分野においては、エンジンルーム内部品、アンダーフー
ド部品、内外装部品等として、ii) 電気・電子材料分野
においては、耐熱性絶縁材料、射止材、プリント配線基
盤等として、iii) 住宅・建材分野においては、外装シ
ーリング材、防振・ダンピング材、弾性塗料、弾性接着
剤等として、iv) 樹脂改質剤分野においては、改質剤や
相溶化剤等として、v)エラストマーの分野においては、
熱可塑性オレフィン系エラストマー等として、利用され
る。
【0061】(樹脂複合材の製造方法)次に、上記樹脂
複合材を製造する方法としては、請求項3記載のよう
に、ポリマーの中で、Ni系触媒存在下で環状ジエン単
量体を重合させることを特徴とする樹脂複合材の製造方
法がある。
【0062】本製造方法において注目すべきことは、N
i系触媒を用いて環状ジエン単量体を重合させているこ
とである。Ni系触媒存在下では、結晶性の高い環状ジ
エン系重合体が製造される。そのため、樹脂補強効果が
高く、強度に優れ、リサイクル性にも優れた樹脂複合材
を得ることができる。
【0063】Ni系触媒とは、Ni原子を有する重合触
媒をいい、例えば、特願平10−126538号、特願
平10−323811号に開示されたNi系触媒を用い
ることが好ましい。以下、具体的に説明する。
【0064】上記Ni系触媒は、請求項4記載のよう
に、下記の式(IVA)で示される化合物(本明細書に
おいて単成分型触媒ともいう。)、
【化51】 {ただし、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を示
し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結合
を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であり、
mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に0で
あることはなく、mが0のときaは2であり、mが1の
ときaは1であり、Aは、[LNiX a+に対す
るアニオンを示す。}あるいは、(a)Ni化合物と、
(b)有機アルミニウム化合物、及び/又は(c)電子
供与性成分とを含有する多成分型触媒であることが好ま
しい。かかるNi系触媒は、環状共役ジエン系単量体を
効率よく重合反応させ、結晶性が高い環状ジエン系重合
体を生成することができる。
【0065】(本単成分型触媒)本単成分型触媒は、重
合系において、遷移金属イオンと単量体との間でアリル
構造の錯体を形成しうるものである。このような単成分
型触媒には、触媒自体がアリル構造の錯体を形成するも
のと、単量体との反応ではじめてアリル構造の錯体を形
成するものとがある。Xは、直鎖状あるいは分岐状の炭
素数1〜10のアルキル基、直鎖状あるいは分岐状の炭
素数1〜20のアルコキシル基、炭素数6〜15のアリ
ロキシル基、あるいはハロゲン原子によって置換されて
いないあるいは置換された、非環状、単環状、あるいは
多環状の炭素数3〜20のアルケニルであることが好ま
しい。
【0066】Lは、炭素数2〜12のモノオレフィン、
炭素数4〜12の直鎖状あるいは環状ジオレフィン、炭
素数6から20の芳香族化合物から選択されるものであ
ることが好ましい。また、Lは、2,3ジメチル−2−
ブチン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジベ
ンゾシクロオクタジエンから選択されることがより好ま
しい。また、Lは、炭素数6〜12のシクロアルカジエ
ン、ノルボルナジエン、炭素数10〜20のシクロトリ
エンから選ばれることも好ましい。
【0067】Aは、カチオン錯体に対して非配位性ある
いは弱配位性であることが好ましい。Aは、BF
PF 、ALF33SCF 、SBFSO
、ASF 、SBF 、SBFSO
、AsF 、パーフルオロ酢酸(CFCO
)、パーフルオロプロピオン酸(C
)、パーフルオロ酪酸(CFCFCFCO
)、パークロレート(ClO ・HO)、p−
トルエンスルホン酸(p−CHSO )お
よび以下の化52式で表されるテトラフェニルほう酸で
あることが好ましい。
【化52】 {ただし、R’は、それぞれ独立であって、水素原子、
フッ素原子、あるいはトリフルオロメチル基を示し、n
は1〜5の整数である。}
【0068】これらの単成分型触媒は、重合に際し予め
合成される。単成分触媒は、1種類を用いても、必要に
応じて2種類以上を組み合わせて用いてもよい。単成分
型触媒として、具体的には、以下の化合物を例示するこ
とができる。
【化53】
【0069】(本多成分型触媒)本発明の多成分型触媒
は、(a)Ni(ニッケル)化合物と、(b)有機アル
ミニウム化合物及び/又は(c)電子供与性成分を含有
する触媒である。すなわち、多成分型触媒には、(a)
と(b)、(a)と(c)、及び(a)と(b)と
(c)との組み合わせがある。本多成分型触媒は、遷移
金属(Ni)イオンのアリル構造の錯体を多成分の混合
系中に形成するものである。Ni化合物においては、N
i原子に対して1個または2以上の配位子が結合したも
の(1座、2座、多度配位であって、配位は、イオン性
でも中性であってもよい)である。
【0070】上記多成分型触媒のNi化合物としては、
ニッケルアセチルアセトネート、ニッケルカルボキシレ
ート、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエチル
ヘキサノエート、NiCl2(PPh3、NiCl2
(PPh2CH22、ニッケル(II)ヘキサフルオロ
アセチルアセトネートテトラハイドレート、ニッケル
(II)トリフルオロアセチルアセトネートダイハイド
レート、ニッケル(II)アセチルアセトネートテトラ
ハイドレート、ビスアリルニッケルブロミド、ビスアリ
ルニッケルクロリド、ビスアリルニッケルアイオダイ
ド、ニケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケ
ルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシル
ニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオ
キサイド、ニッケルテトラフロオロボレート、ビス(ア
リル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケ
ル、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ ア
セナフタレン ニッケル ジクロライド、ビス−2,6
−ジイソプロピルフェニルイミノアセナフタレン ニッ
ケル ジブロミド、ビス−2,6−ジメチルフェニルイ
ミノアセナフタレンニッケルジブロミド、ビス−2,6
−ジメチルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジク
ロリド、ビス−2,6−ジフェニルイミノアセナフタレ
ンニッケルジブロミド、ビス−2,6−ジフェニルイミ
ノアセナフタレンニッケルジクロリド、1,4−ビスジ
イソプロピルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエ
ンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイソプロピルフ
ェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジク
ロリド、1,4−ビスジメチルフェニル2,3−ジメチ
ルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビス
ジメチルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニ
ッケルジクロリド、1,4−ビスフェニル2,3−ジメ
チルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビ
スフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケル
ジクロリド、1,4−ビスジイソプロピルフェニルジア
ザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイソ
プロピルフェニルジアザブタジエンニッケルジクロリ
ド、1,4−ビスジメチルフェニルジアザブタジエンニ
ッケルジブロミド、1,4−ビスジメチルフェニルジア
ザブタジエンニツケルジクロリド、1,4−ビスフェニ
ルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビス
フェニルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ビピリ
ジルニッケルジブロミド、ビピリジルニッケルジクロリ
ド、フェナンソロリルニッケルジブロミド、フェナンソ
ロリルニッケルジクロリドなどを用いることが好まし
い。上記のNi化合物は、結晶性の高い重合体を生成さ
せるだけでなく、触媒活性が高く重合収率が高い。
【0071】有機アルミニウム化合物としては、トリア
ルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライ
ド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルア
ルミニウムセスキハライド、アルミノキサミン、あるい
はこれらの混合物であることが好ましい。具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
リノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチル
アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリt−
ブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、
トリペンチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアル
ミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、
トリノルマルオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドラ
イド、メチルアルミニウムセスキクロライド、イソブチ
ルアルミニウムセスキクロライド、ジt−ブチルアルミ
ニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロラ
イド、ジペンルアルミニウムクロライド、メチルアルミ
ニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライ
ド、イソブチルアルミニウムジクロライド、t−ブチル
アルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウム
ジクロライド、ペンチルアルミニウムジクロライドを好
ましいものとして挙げることができる。
【0072】また、アルミノキサンとは、1種類のトリ
アルキルアルミニウムと水との縮合によって得られるも
の、及び2種類以上のトリアルキルアルミニウムと水と
の縮合によって得られるものであって、鎖状、環状、あ
るいはかご状の縮合物である。具体的には、メチルアル
ミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノ
キサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキ
サン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアル
ミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が例示
される。特に、メチルアルミノキサン、メチルイソブチ
ルアルミノキサンが好ましい。
【0073】電子供与性成分は、具体的には、ルイス
酸、ブレンステッド酸、ハロゲン化化合物、あるいはこ
れらの混合物である。特に、電子供与性成分は、遷移金
属元素としてニッケル、ルテニウム、鉄、パラジウム、
コバルト及び白金から選択される金属元素を備えた遷移
金属化合物を使用する場合において使用されることが好
ましい。ルイス酸としては、BF・エチレート、Ti
Cl、SbF、BCl、B(OCHCH)、
SiCl、及びトリス(パーフルオロフェニル)ボロ
ンからなる群より選択されることが好ましい。ブレンス
テッド酸としては、HSbF、HPF、CF3CO2
H、FSOH・SbF、HC(SO
2、CF3SOH及びパラトルエンスルホン酸か
らなる群より選択されることが好ましい。また、ハロゲ
ン化化合物は、ヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロ
アセトン、3−ブテニックアシッド−2,2,3,4,
4−ぺンタクロロブチルエステル、ヘキサクロログルタ
リックアシッド、ヘキサフルオロイソプロパノール及び
クロラニル、及びこれらの混合物からなる群より選択さ
れることが好ましい。
【0074】このようなそれぞれの型の触媒を利用し
て、前記した各種単量体を重合させることができる。さ
らに、その他の重合可能な単量体に適用することもでき
る。重合反応は、本発明の触媒の存在下、スラリー重
合、気相重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等のいず
れの方法を用いてもよい。本発明の重合方法において、
溶液重合の場合に使用できる重合溶媒としては、ブタ
ン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、is
o−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化
水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロ
ヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノル
ボルナン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル
類、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,
4−トリクロロベンゼン等の芳香族ハロゲンを例示する
ことができる。これらの重合溶媒は、1種のみを用いて
もよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0075】本重合方法における、触媒の使用量に特に
制限はないが、一般的には、単量体1molに対して、
金属元素として、1×10−6〜1×10−1molの
範囲であり、好ましくは、5×10−6〜5×10−2
molの範囲である。本重合法における、重合温度は、
必要に応じて設定するが、一般には−80〜120℃の
範囲であり、好ましくは、−30〜110℃の範囲であ
り、更に好ましくは、0〜100℃の範囲である。重合
系の雰囲気は、窒素、アルゴンあるいはヘリウム等の不
活性ガスで形成される不活性雰囲気を用いることもで
き、あるいは、不活性雰囲気を要しない場合もある。重
合系の圧力についても、特に制限はない。ビニル系単量
体との共重合の場合、エチレン、プロピレン、ブタジエ
ン、アレン等のガスモノマーについては、1気圧以上を
加えることができる。本重合方法において、重合反応に
要する時間は、目的あるいは重合条件によって種々異な
ったものになるため、特に限定することはできないが、
多くの場合において、24時間以内であり、1〜3時間
以内である場合もある。
【0076】本重合方法の実施に際しては、従来公知の
方法によって、各種形態の重合体や共重合体を得るよう
にすることができる。ランダム共重合体及びテーパーブ
ロック共重合体は、一般に、単独重合体と同様の方法
で、2種類以上の単量体を重合系に仕込むことにより製
造できる。ブロック共重合体は、一方の単量体を触媒溶
液中に添加し、完全に消費された後、もう一方の単量体
を添加することで製造できる。交互共重合体は、用いる
単量体と一酸化炭素を同時に仕込むことにより製造でき
る。
【0077】本重合方法でランダム共重合体、交互共重
合体及びブロック共重合体等の各種共重合体を得ようと
する場合、上記した各種類型の触媒を用いることができ
るが、重合させる単体の種類によって、有効な類型の触
媒がある。また、重合に先だって重合系において触媒活
性を発揮するアリル型のカチオン錯体が予め生成されて
いることが好ましい場合もある。このような場合、重合
する単量体が添加される以前に、カチオン錯体が生成し
ているようにする。
【0078】単成分型触媒及び多成分型触媒を使用する
のが好ましい例としては、単量体として、1,3−シク
ロヘキサジエンとノルボルネンを用いる2元共重合体の
製造を例示できる。また、単成分型触媒を使用するのが
好ましい例としては、単量体として1,3−シクロヘキ
サジエンとアレンとを用いる2元共重合体の製造を例示
できる。さらに、単成分型触媒を使用するのが好ましい
例としては、1,3−シクロヘキサジエンとアレンとノ
ルボルネンを単量体として用いる3元共重合体の製造を
例示できる。
【0079】Ni化合物を用いることが好ましいのは、
極性基を備えない環状共役ジエン系単量体の単独重合
や、かかる環状共役ジエン系単量体と極性基を備えない
二重結合含有単量体との共重合である。このような重合
において、Ni触媒は、高活性であり、かつ高い1,4
−結合選択性を有する。得られた重合体においては、
1,4−結合が主体となる。例えば、1,3−シクロヘ
キサンジエンとプロピレンとの共重合である。
【0080】本重合方法において、所定の重合率を達成
した後には、必要に応じて公知の末端変性剤、末端分岐
化剤、さらには重合停止剤、重合安定剤、酸化安定剤を
添加することができる。また、重合反応後に、分子構造
単位に水素、ハロゲン原子、有機官能基等によってさら
なる誘導化することも可能である。なお、従来公知の共
役ジエン系重合体の製造における脱溶媒操作、乾燥操作
等により重合体を回収できる。
【0081】また、「環状ジエン単量体」とは、ジエン
結合を有する環状構造を持つ単量体をいい、例えば、上
記の〜で例示した分子構造単位のものがある。
【0082】結晶性環状ジエン系重合体以外のポリマー
は、溶媒に溶解させるか、または溶媒に膨潤させること
が好ましい。ここで用いられる溶媒は、シクロヘキサ
ン、トルエン、n−ヘキサン、o−ジクロロベンゼンま
たはこれらの混合溶媒を用いることが好ましい。これら
の溶媒は、ポリマーを溶解させまたは膨潤させることが
でき、またNi系触媒を失活させないからである。
【0083】また、上記ポリマーは、非晶質環状ジエン
系重合体であることが好ましい。該非晶質環状ジエン系
重合体としては、上記のごとく、上記〜の結晶性環
状ジエン系重合体の化学構造を有し、立体異性体が混在
しているものを用いることができる。ポリマーとして用
いられる非晶質環状ジエン系重合体は、結晶性環状ジエ
ン系重合体と、互いに分子構造単位が同じであってもよ
いし、相違してもよい。
【0084】また、ポリマーが非晶質環状ジエン系重合
体の場合には、該非晶質環状ジエン系重合体は、周期律
表中のIA族金属を含有する有機金属化合物の錯体化合
物、好ましくは複核もしくは多核の錯体化合物を重合触
媒として用いて重合生成することができる。
【0085】上記錯体化合物としては、有機リチウム化
合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物の錯
体化合物がある。有機リチウム化合物としては、炭素原
子を少なくとも1個以上含有する有機分子または有機高
分子に結合する、1個または2個以上のリチウム原子を
含有する化合物であり、例えば、メチルリチウム、エチ
ルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピル
リチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウ
ム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘ
キシルリチウム、アリルリチウム、シクロヘキシルリチ
ウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、
シクロペンタジエニルリチウム、インデニルリチウム、
ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等あ
るいは、ポリブタジエニルリチウム、ポリイソプレニル
リチウム、ポリスチリルリチウム等高分子鎖の一部にリ
チウム原子を含有するオリゴマー状若しくは高分子状の
有機リチウムを例示することができる。
【0086】好ましい有機リチウム化合物としては、メ
チルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、
シクロヘキシルリチウムを例示することができる。工業
的に採用できるもっとも好ましい有機リチウム化合物と
して、n−ブチルリチウムを例示することができる。
【0087】IA族金属を含有する有機金属化合物の最
も好ましい錯化剤であるアミン類としては、上記IA族
金属を含有する有機金属化合物に配位可能な、非共有電
子対が存在する極性基であるRN−基(R、R
はアルキル基、アリール基、水素原子を表す。これら
は同一であっても異なっていてもよい。)を1個または
2個以上含有する有機化合物もしくは有機高分子を例示
することができる。これらのアミン類の中で、最も好ま
しいアミン類は、第三(三級)アミン化合物である。
【0088】好ましい第三(三級)アミン化合物として
は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチ
ルジアミノメタン、テトラメチルエチレンジアミン、テ
トラメチル−1,3−プロパンジアミン、テトラメチル
−1,3−ブタンジアミン、テトラメチル−1,4−ブ
タンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミ
ン、テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、テト
ラメチル−1,8−ナフタレンジアミン、テトラメチル
ベンジジン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラエ
チル−1,3−プロパンジアミン、テトラメチルジエチ
レントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、
ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,4,8,1
1−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシク
ロテトラデカン、テトラキス(ジメチルアミノ)エチレ
ン、テトラエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、ヘ
キサメチルホスホリックトリアミドを例示することがで
きる。
【0089】特に好ましい第三アミン化合物としては、
テトラエチルエチレンジアミン(TEEDA)、テトラ
メチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラメチル
ジエチレントリアミン(TMEDTA)、ペンタメチル
ジエチレントリアミン(PMDT)、ジアザビシクロ
[2,2,2]オクタン(DABACO)、ヘキサメチル
ホスホリックトリアミド(HMPA)を例示することが
できる。工業的に最も好ましい第三アミン化合物として
は、TMEDAを例示することができる。これらの化合
物は、1種または2種以上の混合物であることが可能で
あり、目的に応じて適宜選択される。
【0090】また、請求項5記載のように、単量体を溶
液重合して上記ポリマーを合成することが好ましい。ポ
リマーの溶液重合とは、単量体を溶媒中に溶解し、重合
触媒存在下で重合反応を行う重合方法である。これによ
り、重合により生成したポリマーを単離せずにそのまま
引き続いて結晶性環状ジエン系単量体を重合させること
ができ、樹脂複合材の製造を効率よく行うことができ
る。
【0091】具体的には、ポリマー生成用の単量体を溶
媒中で重合させ、この反応溶液中に環状ジエン単量体及
びNi系触媒を添加して結晶性環状ジエン系重合体を合
成することができる。また、ポリマー合成用の単量体と
ともに結晶性環状ジエン系重合体合成用の環状ジエン単
量体を反応溶液中に加え、ポリマー合成触媒を添加して
ポリマーの合成を行い、続いてNi系触媒を添加して結
晶性環状ジエン系重合体の合成を行うことができる。
【0092】上記溶液重合で用いる溶媒は、i) ブタ
ン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−
オクタン、iso−オクタン、n−ノナン、n−デカン
のような脂肪族炭化水素、ii) シクロペンタン、メチル
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオ
クタン、デカリン、ノルボルナンのような脂環族炭化水
素、iii) ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼン、クメンのような芳香族炭化水素、iv) ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類,v)
クロロベンゼン,o−ジクロロベンゼンなどの芳香族ハ
ロゲンを例示することができる。
【0093】
【発明の実施の形態】第1発明の実施形態については実
施例1〜6を用いて説明する。 実施例1 グローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下において、
n−BuLi(n−ブチルリチウム)のn−ヘキサン溶
液0.5g、テトラメチルエチレンジアミン0.32
g、シクロヘキサン15gを混合し、触媒溶液を調製し
た。一方、環状共役ジエン系重合体である1,3−シク
ロヘキサジエン8gを同じくグローブボックス中、室温
アルゴン雰囲気下でシクロヘキサン15g中に溶解し、
この溶液の全量を攪拌しながら上記触媒溶液の全量に添
加した。
【0094】40℃で重合反応を行って、ポリマーを生
成した。10時間重合を行った後、反応溶液をグローブ
ボックスから取出し、大量の塩酸酸性メタノールに加え
て、ポリマーを沈殿させて単離した。続いて、濾過によ
りメタノールを除去し、室温で24時間真空乾燥し、ポ
リマー6.9g(収率86%)が得られた。ポリマー
は、ポリシクロヘキサジエンであった。
【0095】生成したポリシクロヘキサジエンを、グロ
ーブボックス中、室温アルゴン雰囲気下において再度シ
クロヘキサン15gを含有する上記触媒溶液中に溶解し
た。この溶液に別途調製したニッケル触媒溶液(ビスア
リルニッケルブロミド18mg、メチルアルミノキサン
0.58g、シクロヘキサン2g)とモノマー溶液
(1,3−シクロヘキサジエン0.8g、シクロヘキサ
ン2g)を連続して加えた。これにより、重合は均一系
で速やかに進行して、ポリ(1,3−シクロヘキサジエ
ン)が生成し、30分以内に反応が完了した。
【0096】ニッケル触媒を用いて生成したポリ(1,
3−シクロヘキサジエン)とアニオン重合法で生成した
ポリシクロヘキサジエンとを含有する複合体溶液を、グ
ローブボックスから取出し、大量の塩酸酸性メタノール
に加えて単離した。続いて濾過によりメタノールを除去
し、室温で24時間真空乾燥し、ポリ(1,3−シクロ
ヘキサジエン)とポリシクロヘキサジエンとからなる樹
脂複合材7.7gが得られた。
【0097】生成した樹脂複合材は、曲げ弾性率4.8
GPa、熱変形温度172℃であった。これに対して、
複合化しないアニオン重合法で合成したポリ(1,3−
シクロヘキサジエン)の曲げ弾性率は4.0GPa、熱
変形温度150℃であった。このことから、アニオン重
合法で生成したポリシクロヘキサジエンと、Ni系触媒
を用いて重合したポリ(1,3−シクロヘキサジエン)
との樹脂複合材は、アニオン重合法で生成したポリシク
ロヘキサジエンよりも、優れた物性を有していることが
わかる。
【0098】実施例2 実施例1において、アニオン重合法で合成したポリ
(1,3−シクロヘキサジエン)を単離せずに、引き続
きニッケル触媒溶液とモノマー溶液とを加えたことを除
いて、実施例1と全く同じ操作で樹脂複合材を合成し
た。得られた樹脂複合材は、ポリ(1,3−シクロヘキ
サジエン)とポリシクロヘキサジエンとからなり、収量
は7.8gであった。樹脂複合材の曲げ弾性率は4.6
GPa、熱変形温度は170℃であった。
【0099】実施例3 実施例1においてニッケル触媒での重合をシクロヘキサ
ン中ではなく、o−ジクロロベンゼン中で行ったことを
除いて、実施例1と全く操作で樹脂複合材を合成した。
得られた樹脂複合材は、ポリ(1,3−シクロヘキサジ
エン)とポリシクロヘキサジエンとからなり、収量は
7.7gであった。樹脂複合材の曲げ弾性率は4.8G
Pa、熱変形温度は172℃であった。
【0100】実施例4 実施例1におけるニッケル触媒溶液中のビスアリルニッ
ケルブロミドをビピリジルニッケルジブロミドに代えた
ことを除いて、実施例1と全く同じ操作で誦し複合材を
合成した。得られた樹脂複合材は、ポリ(1,3−シク
ロヘキサジエン)とポリシクロヘキサジエンとからな
り、収量は7.5gであった。樹脂複合材の曲げ弾性率
は4.7GPa、熱変形温度は170℃であった。
【0101】実施例5 実施例1において複合化の際に加える1,3−シクロヘ
キサジエン0.8gを1.2gにしたことを除いて、実
施例1と全く同じ操作で樹脂複合材を合成した。得られ
た樹脂複合材は、ポリ(1,3−シクロヘキサジエン)
とポリシクロヘキサジエンとからなり、収量は7.7g
であった。樹脂複合材の曲げ弾性率は4.4GPa、熱
変形温度は166℃であった。
【0102】実施例6 実施例1において複合化の際に加える1,3−シクロヘ
キサジエン0.8gを1.2gにしたことを除いて、実
施例1と全く同じ操作で樹脂複合材を合成した。得られ
た樹脂複合材は、ポリ(1,3−シクロヘキサジエン)
とポリシクロヘキサジエンとからなり、収量は7.7g
であった。樹脂複合材の曲げ弾性率は4.9GPa、熱
変形温度は172℃であった。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、強度及びリサイクル性
に優れた樹脂複合材及びその製造方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における、結晶性環状ジエン系重合体の
位置規則性を示す説明図(a)及び非結晶性環状ジエン
系重合体の位置規則性を示す説明図(b)。
【図2】本発明における、結晶性環状ジエン系重合体の
立体異性体の説明図(a)〜(e)。
フロントページの続き (72)発明者 臼杵 有光 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4J002 BB011 BB012 GT00 4J028 AA01A AB00A AC48A BA00A BA01B BB00A BB00B BB01B BC12B BC13B BC15B BC16B BC17B BC19B BC25B BC27B CA14C CA17C CA20C CB12C CB95C EA01 EB17 EB18 EC01 EC02 FA01 FA02 FA03 FA04 FA08 FA10 4J100 AR16P AR17P AR18P BA03P BA10P BA16P BC55P BC66P CA01 DA01 DA22 DA41 DA49 FA19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性環状ジエン系重合体と、それ以外
    のポリマーとからなることを特徴とする樹脂複合材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記ポリマーは、非
    晶質環状ジエン系重合体であることを特徴とする樹脂複
    合材。
  3. 【請求項3】 ポリマーの中で、Ni系触媒存在下で環
    状ジエン単量体を重合させることを特徴とする樹脂複合
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、上記Ni系触媒は、
    下記の式(IVA)で示される化合物、 【化1】 {ただし、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を示
    し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結合
    を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であり、
    mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に0で
    あることはなく、mが0のときaは2であり、mが1の
    ときaは1であり、Aは、[LNiX a+に対す
    るアニオンを示す。}あるいは、(a)Ni化合物と、
    (b)有機アルミニウム化合物、及び/又は(c)電子
    供与性成分とを含有する多成分型触媒であることを特徴
    とする樹脂複合材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4において、単量体を溶
    液重合して上記ポリマーを合成することを特徴とする樹
    脂複合材の製造方法。
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