JP2002220441A - フェニレン系重合体及びその製造方法 - Google Patents

フェニレン系重合体及びその製造方法

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JP2002220441A
JP2002220441A JP2002010483A JP2002010483A JP2002220441A JP 2002220441 A JP2002220441 A JP 2002220441A JP 2002010483 A JP2002010483 A JP 2002010483A JP 2002010483 A JP2002010483 A JP 2002010483A JP 2002220441 A JP2002220441 A JP 2002220441A
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monomer
catalyst
polymerization
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JP2002010483A
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English (en)
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Mitsuru Nakano
充 中野
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
Haru Yo
晴 姚
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なフェニレン系重合体を提供する。 【解決手段】 極性基を備えた環状共役ジエン系単量体
から選択された1種あるいは2種以上の単量体から誘導
される分子構造単位を有する環状共役ジエン系重合体を
得る。この重合体の分子構造単位の基本骨格としては、
好ましくは、5〜8員環のシクロアルケン環を合有す
る。環状共役ジエン系単量体の重合反応は、Ni系など
の触媒を用いること、塩基性化合物を含有する非極性溶
媒の中で行うこと、芳香族ハロゲン溶媒中で行うことが
好ましい。Ni系触媒を用いて重合すると高結晶性重合
体が得られ、これの置換基を脱離させるとパラフェニレ
ン重合体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】この発明は、パラフェニレン系重合体及び
その製造方法等に関する。
【0002】
【従来技術】従来、1,3−シクロヘキサジエンに代表
される環状共役ジエン系単量体を重合して環状共役ジエ
ン系重合体を製造する方法が、各種試みられてきてい
る。特に、高い1,4−結合含有率を備える環状共役ジ
エン系単量体の重合体は、直線状に重合される結果、耐
熱性、剛性が高く、比重、誘電率が低下するなど、熱
的、機械的、電気的特性が向上するものとして期待され
ている。特開平7−247321号公報には、リチウム
やナトリウム等のIA族金族を含有する有機化合物の錯
体化合物をアニオン重合触媒として用いた環状共役ジエ
ンの重合法が開示されている。この重合法によると、有
機金属化合物の錯体化により、環状共役ジエンモノマー
の高分子量化を可能にするものである。しかしながら、
この方法では、共重合体合成のためのコモノマーがアニ
オン重合性モノマーに限定されてしまう。これは、アニ
オン重合法における本質的な問題点である。
【0003】また、特開平6−211916号公報に
は、希土類金属化合物を用いた複合触媒を用いて共役ジ
エン類を重合する方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法においては、希土類触媒が極性化合物に対
して非常に反応性が高いこと等から、十分なポリマー収
率が得られていない。さらに、極性官能基を有する環状
共役ジエン系単量体の重合は不可能であるとともに、使
用できるコモノマーの種類も限定されることになる。
【0004】このように、これらの環状ジエン系重合体
の製造方法においては、選択できるモノマーやコモノマ
ーの種類にも大きな制約があるとともに、重合活性も十
分ではなかった。
【0005】環状ジエン系重合体を前駆体として用いる
ことにより、ポリパラフェニレンを製造する方法があ
る。ポリパラフェニレンは導電性高分子材料として期待
されているが、溶媒に不溶で加熱しても不融であるた
め、賦形が極めて困難である。その有効な解決方法とし
て、従来、シクロヘエキサジエン誘導体を重合させて重
合体を得、該重合体を可溶性の前駆体として用いること
によりフィルムなどを作製した後、シクロヘキサジエン
誘導体から置換基を引き抜きポリパラフェニレンに転化
させる方法がある。
【0006】しかし、かかる従来の方法では、以下の問
題がある。即ち、第1に、ラジカル重合法によるシクロ
ヘキサジエン誘導体の重合では、重合体の分子構造の位
置及び立体選択性が低いため、ポリパラフェニレンへの
転化率が低く、その結果導電性の低い高分子材料しか得
られない。第2に、中性のNi触媒を用いたシクロヘキ
サジエン誘導体の重合法では、重合体の分子構造の位置
及び立体選択性は高いものの、重合可能なシクロヘキサ
ジエン誘導体の種類が制限され、活性も低い。また、共
重合可能なモノマーも少ない。
【0007】
【解決しようとする課題】本発明は、上記した従来の課
題を解決するべく、改良された、フェニレン系重合体及
びその製造方法等を提供するものである。
【0008】
【課題の解決手段】本発明はフェニレン重合体、または
フェニレンと二重結合含有単量体との共重合体からなる
フェニレン系重合体であって、フェニレン分子構造単位
が1,4結合で連結されていることを特徴とするフェニ
レン系重合体である。
【0009】上記フェニレン系重合体は、フェニレン分
子構造単位が1,4結合で直線状に連結するため、折れ
曲がりが少ない。よって、導電性に優れている。
【0010】上記二重結合含有単量体は、後述するで
列挙したもの、例えば、オレフィン単量体、分岐状α−
オレフィン単量体、共役オレフィン単量体、環状オレフ
ィン単量体、ノルボルネン及びその誘導体、累積二重結
合を備えた化合物の群から選ばれる1種または2種以上
であることが好ましい。これらの二重結合含有単量体
は、シクロヘキサジエン誘導体との間で、後述する製造
方法により容易に重合する。そのため、これらの二重結
合含有単量体を構造単位に含むフェニレン系重合体は容
易に得ることができる。
【0011】上記フェニレン系重合体は、導電性材料と
して適している。特に、二重結合含有単量体とのブロッ
ク共重合体は二重結合含有単量体の単独重合体との高い
相溶性が期待される。その結果、それら樹脂材料に導電
性を付与することが可能となる。
【0012】また、フェニレン系重合体を製造する方法
としては、分子構造が式(V)で示されるシクロヘキサ
ジエン誘導体
【化87】 {ただし、化87中、R32、R42は、各々独立に、
水酸基、−O(CO)−R(R;アルキル基)、または
トリアルキルシロキシ基(3つのアルキル基はそれぞれ
異種でも同種でもよい。)から選ばれる基である。}、
あるいは、該シクロヘキサジエン誘導体と二重結合含有
単量体とを、下記の式(IV)で示される化合物、
【化88】 {ただし、Mは周期律表第8,9及び10族の遷移金属
元素を表し、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を
示し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結
合を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であ
り、mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に
0であることはなく、mが0のときaは2であり、mが
1のときaは1であり、Aは、[LNiXa+
対するアニオンを示す。}あるいは、(a)周期律表第
8、9及び10族の遷移金属元素の遷移金属化合物と、
(b)有機アルミニウム化合物、及び/又は(c)電子
供与性成分とを含有する多成分型触媒を用いて重合させ
て重合体を得る工程と、該重合体のうちシクロヘキサジ
エン誘導体の分子構造単位における置換基を脱離させて
該分子構造単位をパラフェニレンに転化する工程とから
なることを特徴とするフェニレン系重合体の製造方法で
ある。
【0013】このフェニレン系重合体の製造方法で用い
る重合用の上記の触媒を用いると、化89に示すごと
く、シクロヘキサジエン誘導体部分の位置及び立体選択
性が高い重合体を得ることができる。位置及び立体選択
性が高い重合体は、フェニレンへの転化率が著しく高
い。またフェニレン系重合体のフェニレン分子構造単位
が1、4結合により連結されるため、フェニレン系重合
体は直線状に結合した形を取り、分子の折れ曲がりがな
い。
【0014】
【化89】
【0015】かかる特徴は、フェニレン系重合体が導電
性を妨げる「欠陥」が少ないことを意味している。した
がって、上記製造方法により得られたフェニレン系重合
体は導電性に優れている。
【0016】
【発明の実施の形態】上記シクロヘキサジエン誘導体と
しては、5,6−ビスヒドロキシ−1,3−シクロヘキ
サジエン、5,6−ビスアセトキシ−1,3−シクロヘ
キサジエン、5,6−ビス(トリメチルシロキシ)−
1,3−シクロヘキサジエンなどを例示することができ
る。二重結合含有単量体としては、上記環状共役ジエン
共重合体において説明したものと同様のものを用いるこ
とができる。
【0017】上記二重結合含有単量体は、後述するで
列挙したもの、例えば、オレフィン単量体、分岐状α−
オレフィン単量体、共役オレフィン単量体、環状オレフ
ィン単量体、ノルボルネン及びその誘導体、累積二重結
合を備えた化合物の群から選ばれる1種または2種以上
であることが好ましい。
【0018】上記触媒の中でも特にNi系触媒が好まし
い。位置及び立体選択性が特に高いためである。上記N
i系触媒は,これらの二重結合含有単量体とシクロヘキ
サジエン誘導体との重合反応に対する活性が極めて高
い。そのため、二重結合含有単量体とシクロヘキサジエ
ン誘導体とのブロック共重合体を高収率で製造すること
ができる。
【0019】かかるNi系触媒は、上記単成分型触媒で
も、多成分型触媒でもよい。単成分型触媒では、式(I
V)で示される化合物中のMがNi、多成分型触媒では
(a)成分がNi化合物である。
【0020】上記多成分型触媒中のNi化合物として
は、ニッケルアセチルアセトネート、ニッケルカルボキ
シレート、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエ
チルヘキサノエート、NiCl2(PPh3、NiC
2(PPh2CH22、ニッケル(II)ヘキサフルオ
ロアセチルアセトネートテトラハイドレート、ニッケル
(II)トリフルオロアセチルアセトネートダイハイド
レート、ニッケル(II)アセチルアセトネートテトラ
ハイドレート、ビスアリルニッケルブロミド、ビスアリ
ルニッケルクロリド、ビスアリルニッケルアイオダイ
ド、ニケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケ
ルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシル
ニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオ
キサイド、ニッケルテトラフロオロボレート、ビス(ア
リル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケ
ル、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ ア
セナフタレン ニッケル ジクロライド、ビス−2,6
−ジイソプロピルフェニルイミノ アセナフタレン ニ
ッケル ジブロミド、ビス−2,6−ジメチルフェニル
イミノアセナフタレンニッケルジブロミド、ビス−2,
6−ジメチルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジ
クロリド、ビス−2,6−ジフェニルイミノアセナフタ
レンニッケルジブロミド、ビス−2,6−ジフェニルイ
ミノアセナフタレンニッケルジクロリド、1,4−ビス
ジイソプロピルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジ
エンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイソプロピル
フェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジ
クロリド、1,4−ビスジメチルフェニル2,3−ジメ
チルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビ
スジメチルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエン
ニッケルジクロリド、1,4−ビスフェニル2,3−ジ
メチルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−
ビスフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケ
ルジクロリド、1,4−ビスジイソプロピルフェニルジ
アザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイ
ソプロピルフェニルジアザブタジエンニッケルジクロリ
ド、1,4−ビスジメチルフェニルジアザブタジエンニ
ッケルジブロミド、1,4−ビスジメチルフェニルジア
ザブタジエンニツケルジクロリド、1,4−ビスフェニ
ルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビス
フェニルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ビピリ
ジルニッケルジブロミド、ビピリジルニッケルジクロリ
ド、フェナンソロリルニッケルジブロミド、フェナンソ
ロリルニッケルジクロリドなどを用いることが好まし
い。上記のNi化合物は、結晶性の高い重合体を生成さ
せるだけでなく、触媒活性が高く重合収率が高い。
【0021】式(IVA)で示される単成分型触媒及び
多成分型触媒に関しては、後述する環状共役ジエン系単
量体の重合方法で用いるものと同様のものを用いること
ができる。
【0022】シクロヘキサジエン誘導体などを重合させ
て重合体を得た後には、必要に応じて、該重合体のうち
シクロヘキサジエン誘導体の分子構造単位における置換
基を変換する工程を行うことが好ましい。重合後の生成
物が脱離しにくい置換基である場合に、かかる変換工程
を行うことにより、脱離しやすくなり、その結果フェニ
レン系重合体の収率が向上する。変換する置換基は、脱
離しやすいものであれば特に制限はないが、例えば、ア
セトキシ基、ヒドロキシ基などを例示することができ
る。
【0023】重合体を得、その後上記のごとく必要に応
じて変換工程を行った後には、重合体のシクロヘキサジ
エン誘導体部分における置換基を脱離させる。この脱離
方法としては、たとえば、加熱による方法などがある。
【0024】また、以下に参考として、特定の触媒を用
いて環状共役ジエン系単量体を重合させることにより、
新規な環状共役ジエン系共重合体を提供することに成功
し、同時に、改良された環状共役ジエン系単量体の重合
方法を提供することについて説明する。
【0025】すなわち、例えば環状共役ジエン系単量体
から選択される、1種あるいは2種以上の単量体から誘
導される分子構造単位が式(I)で示され(本明細書に
おいて、かかる分子構造単位を分子構造単位Aとい
う。)、かつその分子構造単位は1,4−結合及び/又
は1,2−結合で連結されている環状共役ジエン系重合
体を提供することができる。
【化29】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
に炭素原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子である。
各R1は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、不飽和炭化水素基、アリール基、シクロアルキル
基、シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、少
なくとも1個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子とし
て含む複素環基であり、各R2は、各々独立であって、
少なくとも一つが、水酸基及び炭素数1から4のアルキ
ル基で置換されたアリール基、イミノカルボキシル基、
アルコキシル基、アリロキシル基、アルコキシシリル
基、あるいは、−(CH−OH、−(CH
−C(O)−OH、−(CH−C(O)−O
3、−(CH−OR3、−(CH−OC
(O)−R3、−(CH−OC(O)−OR3、−
(CH)p−C(O)−R3、−(CH−O−
(CHOH、ただし、pは、それぞれ独立に0〜
24、あるいは0〜10の整数であり、R3は、鎖状あ
るいは分岐状のアルキル基あるいはアリール基、あるい
は、以下の式(a)〜(h)で表される基(ただし、式
(a)から(h)において、Yは、水素原子、アルキル
基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシ
アノ基である。)(Rにおけるこれらの基を、本明細
書において本極性基という。)、アルキルシリル基、ハ
ロゲン化アルキル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハ
ロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基(R
おけるこれらの基を、本明細書において本非極性基とい
う。)であり、R2においてこれらの基でないものは、
水素原子、ハロゲン原子、鎖状あるいは分岐状のアルキ
ル基、シクロアルキル基、アルキリデニル基、アリール
基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル基、アルケニ
ル基(ただし、供給されるアルケニルラジカルは末端二
重結合を含まない)、シクロジエニル基、又は5〜10
員環であって、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄
をヘテロ原子として含む複素環基(Rにおけるこれら
の基を、本明細書において本置換基という。)である。
なお、R2のうちいずれか2つが互いに結合して環状構
造を形成していてもよい。}
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【0026】また、例えば、環状共役ジエン系単量体か
ら選択された、1種あるいは2種以上の単量体から誘導
される分子構造単位が式(II)で示され(本明細書に
おいて、かかる分子構造単位を分子構造単位Bとい
う。)、かつその分子構造単位は1,4−結合及び/又
は1,2−結合で連結されている環状共役ジエン系重合
体を提供することができる。
【化38】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
であって、少なくとも一つがケイ素原子又はゲルマニウ
ム原子であり、Xにおいてこれらの基でないものは、炭
素原子である。各R11は各々独立に水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、不飽和炭化水素基、アリール基、
シクロアルキル基、シクロジエニル基、又は5〜10員
環であって、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄を
ヘテロ原子として含む複素環基であり、各R12は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、鎖状あるいは分岐状の
アルキル基、シクロアルキル基、アルキリデニル基、ア
リール基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル基、ア
ルケニル基(ただし、供給されるアルケニルラジカルは
末端二重結合を含まない)、シクロジエニル基、又は5
〜10員環であって、少なくとも1個の窒素、酸素また
は硫黄をヘテロ原子として含む複素環基(本置換基)で
ある。なお、R12のうちいずれか2つが互いに結合し
て環状構造を形成していてもよい。}
【0027】また、例えば、式(I)で示される一種又
は二種以上の分子構造単位(分子構造単位A)、
【化39】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
に炭素原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子である。
各R1は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、不飽和炭化水素基、アリール基、シクロアルキル
基、シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、少
なくとも1個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子とし
て含む複素環基であり、各R2は、各々独立であって、
少なくとも一つが、水酸基及び炭素数1から4のアルキ
ル基で置換されたアリール基、イミノカルボキシル基、
アルコキシル基、アリロキシル基、アルコキシシリル
基、あるいは、−(CH−OH、−(CH
−C(O)−OH、−(CH−C(O)−O
3、−(CH−OR3、−(CH−OC
(O)−R3、−(CH−OC(O)−OR3、−
(CH−C(O)−R3、−(CH−O−
(CHOH、ただし、pは、それぞれ独立に0〜
24、あるいは0〜10の整数であり、R3は、鎖状あ
るいは分岐状のアルキル基あるいはアリール基、あるい
は、以下の式(a)〜(h)で表される基(ただし、式
(a)から(h)において、Yは、水素原子、アルキル
基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシ
アノ基である。)、アルキルシリル基、ハロゲン化アル
キル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン化アリ
ール基、ハロゲン化アラルキル基であり、R2において
これらの基でないものは、水素原子、ハロゲン原子、鎖
状あるいは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、ア
ルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、アルキニ
ル基、ビニル基、アルケニル基(ただし、供給されるア
ルケニルラジカルは末端二重結合を含まない)、シクロ
ジエニル基、又は5〜10員環であって、少なくとも1
個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含む複素
環基である。なお、R2のうちいずれか2つが互いに結
合して環状構造を形成していてもよい。}
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】 式(II)で表される一種又は二種以上の分子構造単位
(分子構造単位B)、
【化48】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各Xは各々独立
であって、少なくとも一つがケイ素原子又はゲルマニウ
ム原子であり、Xにおいてこれらの基でないものは、炭
素原子である。各R11は各々独立に水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、不飽和炭化水素基、アリール基、
シクロアルキル基、シクロジエニル基、又は5〜10員
環であって、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄を
ヘテロ原子として含む複素環基であり、各R12は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、鎖状あるいは分岐状の
アルキル基、置換されたあるいは置換されないシクロア
ルキル基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル
基、アルキニル基、ビニル基、アルケニル基(ただし、
供給されるアルケニルラジカルは末端二重結合を含まな
い)、シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、
少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子と
して含む複素環基である。なお、R12のうちいずれか
2つが互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。} 式(III)で表される一種又は二種以上の分子構造単
位(本明細書において、かかる分子構造単位を分子構造
単位Cともいう。)、
【化49】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各R21は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、不飽和炭
化水素基、アリール基、シクロアルキル基、シクロジエ
ニル基、又は5〜10員環であって、少なくとも1個の
窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基
であり、各R22は各々独立に水素原子、ハロゲン原
子、鎖状あるいは分岐状のアルキル基、置換されたある
いは置換されないシクロアルキル基、アルキリデニル
基、アリール基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル
基、アルケニル基(ただし、供給されるアルケニルラジ
カルは末端二重結合を含まない)、シクロジエニル基、
又は5〜10員環であって、少なくとも1個の窒素、酸
素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基である。
なお、R22のうちいずれか2つが互いに結合して環状
構造を形成していてもよい。} 二重結合含有単量体から選択される一種あるいは二種以
上の単量体から誘導される分子構造単位(本明細書にお
いて、かかる分子構造単位を分子構造単位Dともい
う。)、の4種の分子構造単位から選択される2種以上
の分子構造単位からなり、かつ分子構造単位A,B及び
Cは、1,4−結合及び/又は1,2−結合で高分子鎖
に連結されている環状共役ジエン系共重合体である。
【0028】また、例えば、式(IIIA)で表される
一種又は二種以上の環状共役ジエン系単量体(本明細書
において、かかる単量体を単量体Cともいう。)
【化50】 {ただし、nは、1〜6の整数である。各R21は各々
独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、不飽和炭
化水素基、アリール基、シクロアルキル基、シクロジエ
ニル基、又は5〜10員環であって、少なくとも1個の
窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基
であり、各R22は各々独立に水素原子、ハロゲン原
子、鎖状あるいは分岐状のアルキル基、置換されたある
いは置換されないシクロアルキル基、アルキリデニル
基、アリール基、アラルキル基、アルキニル基、ビニル
基、アルケニル基(ただし、供給されるアルケニルラジ
カルは末端二重結合を含まない)、シクロジエニル基、
又は5〜10員環であって、少なくとも1個の窒素、酸
素または硫黄をヘテロ原子として含む複素環基である。
なお、R22のうちいずれか2つが互いに結合して環状
構造を形成していてもよい。}を、下記の式(IV)で
示される化合物(本明細書において本単成分型触媒とも
いう。)
【化51】 {ただし、Mは周期律表第8,9及び10族の遷移金属
元素を表し、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を
示し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結
合を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であ
り、mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に
0であることはなく、mが0のときaは2であり、mが
1のときaは1であり、Aは、[LMXa+に対
するアニオンを示す。}を触媒として用いて重合するこ
とにより得られた、分子構造単位(本明細書において、
かかる分子構造単位を分子構造単位Cともいう。)が式
(III)で示され、かつその分子構造単位は1,4−
結合及び/又は1,2−結合で連結されている環状共役
ジエン系重合体を提供することができる。
【化52】 {ただし、n,X,R21,R22は、それぞれ、式
(IIIA)において定義されたのと同じ意味を有す
る。}
【0029】また、例えば、環状共役ジエン系単量体、
あるいは、環状共役ジエン系単量体と二重結合含有単量
体とを、下記の式(IV)で示される化合物(本明細書
において本単成分型触媒ともいう。)、
【化53】 {ただし、Mは周期律表第8,9及び10族の遷移金属
元素を表し、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を
示し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結
合を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であ
り、mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に
0であることはなく、mがOのときaは2であり、mが
1のときaは1であり、Aは、[LMXa+に対
するアニオンを示す。}あるいは、(a)周期律表第
8,9及び10族の遷移金属元素の遷移金属化合物と、
(b)有機アルミニウム化合物、及び/又は(c)電子
供与性成分とを含有する多成分型触媒(本明細書におい
て本多成分型触媒ともいう。)を用いて重合させる環状
共役ジエン系単量体の重合方法である。
【0030】(分子構造単位Aを有する環状共役ジエ
ン系重合体)本明細書において、式(I)に記載される
環状共役ジエン系重合体の分子構造単位を、分子構造単
位Aというものとする。そして、このような分子構造単
位Aが由来する単量体を単量体Aというものとする。分
子構造単位A及び単量体Aの基本骨格としては、好まし
くは、5〜8員環を含有する。より好ましくは、6員環
を含有する。
【0031】分子構造単位Aは、以下の式(IA)に示
される単量体Aから、化55式に示すように誘導され
る。
【化54】 {ただし、n,X,R1,R2及びR2におけるR3は、そ
れぞれ、式(I)において定義されたのと同じ意味を有
する。}
【化55】
【0032】上記式(IA)において示される単量体A
は、炭素−炭素結合を主体として構成される5員環以上
の環状共役ジエンである。単量体Aにおける置換基
1、R2、及びR3は、それぞれ、当該単量体から誘導
される環状共役ジエン系重合体の分子構造単位の置換基
1、R2、及びR3に対応する。
【0033】単量体A及び分子構造単位AにおけるX
は、それぞれ独立であって、それぞれが、炭素原子、ケ
イ素原子あるいはゲルマニウム原子である。nは、1以
上6以下の整数であって、好ましくは1〜4である。
【0034】好ましい単量体Aは、炭素−炭素結合を主
体として構成される5〜8員環を有する環状共役ジエン
の誘導体であり、特に、好ましいのは、6員環の環状共
役ジエンの誘導体である。5〜8員環を有する単量体A
としては、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シク
ロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3
−シクロオクタジエンの誘導体を例示することができ
る。また、これらにおいて、Xに対応する炭素原子がケ
イ素原子あるいはゲルマニウム原子に置換されている単
量体Aも例示される。6員環の環状共役ジエン系単量体
としては、1,3−シクロヘキサジエンの誘導体を例示
することができる。
【0035】単量体Aおよび分子構造単位Aにおいて、
1のハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が
好ましく、より好ましくは塩素である。R1のアルキル
基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、より好
ましくは1〜10である。アルキル基は、直鎖状のみな
らず分岐状のものも含まれる。ただし、立体障害を考慮
すると直鎖状のアルキル基が好ましい。具体的には、メ
チル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル
基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチ
ル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルヘブチル基、ノル
マルオクチル基、ノルマルノニル基、ノルマルデシル基
である。また、不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素
数2〜20のものが好ましく、より好ましくは、2〜1
0である。アリール基の好ましい炭素数は5〜20であ
り、より好ましくは5〜10である。シクロアルキル基
の好ましい炭素数は3〜20であり、より好ましい炭素
数は5〜10であり、シクロジエニル基の好ましい炭素
数は4〜20であり、より好ましくは5〜10である。
これらの基の具体例としては、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、ビニル基、フェニル基、トリル基、ナフ
チル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基、等を
挙げることができる。また、複素環基の具体例として
は、ピリジル基、ピペリジル基等を挙げることができ
る。
【0036】単量体A及び分子構造単位Aにおいて、R
2の少なくとも一つは、本極性基あるいは本非極性基で
ある。本極性基としては、イミノカルボキシル基及びこ
れらの基を含む有機官能基を挙げることができる。さら
に、水酸基と炭素数1から4のアルキル基で置換された
アリール基も挙げることができる。本極性基のアルコキ
シル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特
に好ましくは、1〜20である。具体的には、メトキシ
基、エトキシ基、n−プロピオキシ基、sec−プロピ
オキシ基であり、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ
基、tert−ブトキシ基である。本極性基のアリロキ
シル基としては、炭素数5〜20のものが好ましく、特
に好ましくは、5〜10である。具体的には、フェノキ
シ基、パラメチルフェノキシ基、パラエチルフェノキシ
基である。本極性基のアルコキシシリル基としては、炭
素数3〜20のものが好ましく、特に好ましくは、3〜
10である。具体的には、トリメトキシシリル基、トリ
エトキシシリル基である。
【0037】また、本極性基としては、−OH、−O
−、−(O)OH、−C(O)O−、−OC(O)−、
OC(O)O−、−C(O)−等の構造を備える有機官
能基を挙げることもできる。具体的には、水酸基と直鎖
状あるいは分岐状の炭素数1から4のアルキル基で置換
されたアリール基、−(CH−OH、−(C
−C(O)−OH、−(CH2−C(O)
−OR3、−(CH2−OR3、−(CH2−OC
(O)−R3、−(CH−OC(O)−OR3、−
(CH−C(O)−R3、−(CH−O−
(CHOH、ただし、pは、それぞれ独立に0〜
24、あるいは0〜10の整数であり、R3は、鎖状あ
るいは分岐状のアルキル基、アリール基、あるいは式
(a)〜(h)で表される置換基(ただし、式(a)か
ら(h)において、Yは、水素原子、アルキル基、アル
コキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシアノ基で
ある。)である。
【0038】本非極性基のアルキルシリル基としては、
炭素数3〜20のものが好ましく、特に好ましくは、3
〜10である。具体的には、トリメチルシリル基、トリ
エチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメ
チルターシャリーブチルシリル基である。
【0039】本非極性基のハロゲン化アルキル基におけ
るアルキル基は、炭素数1〜20のものが好ましい。ア
ルキル基は、直鎖状のもののみならず、分岐状のものも
含まれる。具体的には、メチル基、エチル基、ノルマル
プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソ
ブチル基、tert−ブチル基、、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基で
ある。特に、−C2m+1の一般式で示されるフッ
素化基アルキル基は、mが1〜20の整数であることが
好ましく、より好ましくは、1〜10である。
【0040】本非極性基のハロゲン化シクロアルキル基
における環状骨格は、炭素数3〜10のものが好まし
く、特に好ましくは、5〜8である。具体的には、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、
シクロオクチル基である。本非極性基のハロゲン化アリ
ール基における環状骨格は、炭素数6〜40のものが好
ましく、特に好ましくは、6〜10である。具体的に
は、フェニル基、トリル基、ナフチル基である。本非極
性基のハロゲン化アラルキル基のアラルキル基として
は、炭素数7〜15が好まししい。これらのハロゲン化
炭化水素基におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素が好ましく、より好ましくは塩素であ
る。
【0041】単量体A及び分子構造単位Aにおける基R
2は、少なくとも一つが本極性基あるいは本非極性基で
あればよい。したがって、R2の一つのみが本極性基で
あったり、R2の一つのみが本非極性基であったりする
単量体Aや分子構造単位Aもあり、R2の全部が本極性
基であったり、R2の全部が本非極性基であったりする
単量体Aや分子構造単位Aもある。さらには、R2にお
いて、本極性基と本非極性基とが混在する単量体Aや分
子構造単位Aもある。
【0042】R2において本極性基でもなく本非極性基
でもない基がある場合には、そのR2は、各々独立に水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル
基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、ア
ルキニル基、ビニル基、アルケニル基(ただし、供給さ
れるアルケニルラジカルは末端二重結合を含まない)、
シクロジエニル基、又は5〜10員環であって、少なく
とも1個の窒素、酸素又は硫黄をヘテロ原子として含む
複素環基(本置換基)である。この場合のハロゲン原子
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、より好ま
しくは塩素である。
【0043】本置換基におけるアルキル基は、炭素数1
〜20のものが好ましい。アルキル基は、直鎖状のもの
のみならず、分岐状のものも含まれる。具体的には、メ
チル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル
基、ノルマルブチル基、イソブチル基、tert−ブチ
ル基、、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチ
ル基、ノニル基、デシル基である。
【0044】本置換基におけるアルケニル基としては、
炭素数2〜20のものが好ましく、特に好ましくは、2
〜10である。具体的には、ビニル基、アリル基であ
る。本置換基におけるアルキニル基としては、炭素数2
〜20のものが好ましく、より好ましくは、2〜10で
ある。具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニ
ル基である。本置換基におけるシクロアルキル基におけ
る環状骨格は、炭素数3〜10のものが好ましく、特に
好ましくは、5〜8である。具体的には、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオ
クチル基である。本置換基におけるアリール基として
は、炭素数5〜40のものが好ましく、特に好ましく
は、6〜10である。具体的には、フェニル基、トリル
基、ナフチル基である。本置換基におけるアラルキル基
としては、炭素数7〜15が好ましい。
【0045】本置換基におけるアルキリデニル基として
は、炭素数1〜6のものが好ましく、具体的にはエチリ
デニル基、プロピデニル基である。本置換基におけるシ
クロジエニル基としては、炭素数3〜20のものが好ま
しく、特に好ましくは、5〜10である。具体的には、
シクロペンタジエニル基である。
【0046】なお、基R2のうち、いずれか2つが結合
して環状構造を採っていてもよい。例えば、酸無水物構
造、ジカルボキシイミド構造を備えた単量体A及び分子
構造単位Aも例示することができる。
【0047】このような単量体Aの具体例としては、以
下の化合物を例示できる。なお、これらの単量体Aの例
示によって、同時に、これらの単量体から誘導される分
子構造単位Aも例示される。
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】 {ただし、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭
素6から40のアリール基である。}
【化62】
【化63】
【0048】単量体Aから選択された1種あるいは2種
以上の単量体Aから誘導される分子構造単位Aを有する
環状共役ジエン系重合体は、分子構造単位が1種類であ
る場合もあり、分子構造単位が2種類以上である場合も
ある。
【0049】分子構造単位Aは、1,4−結合及び/又
は1,2−結合で連結されている。1,4−結合と1,
2−結合の割合は、単量体の種類、触媒の種類、反応条
件等によって変動し、また、制御可能である。
【0050】(分子構造単位Bを有する環状共役ジエ
ン系重合体)本明細書において、式(II)に記載され
る環状共役ジエン系重合体の分子構造単位を、分子構造
単位Bというものとする。そして、このような分子構造
単位Bが由来する単量体を単量体Bというものとする。
【0051】分子構造単位Bは、以下の式(IIA)に
示される単量体Bから、以下の化65式に示すように誘
導される。
【化64】 {ただし、n,X,R11,R12は、それぞれ、式
(II)において定義されたのと同じ意味を有する。}
【化65】
【0052】上記式(IIA)において示される単量体
Bは、炭素−炭素結合を主体として構成される5員環以
上の環状共役ジエンである。単量体B及び分子構造単位
Bの基本骨格は、好ましくは、5〜8員環であり、より
好ましくは6員環である。単量体B及び分子構造単位B
における各Xは、各々独立であって、少なくとも一つが
ケイ素原子あるいはゲルマニウム原子であり、Xにおい
てケイ素原子あるいはゲルマニウム原子でないものは炭
素原子である。nは、1以上6以下の整数であって、好
ましくは1〜4である。
【0053】単量体Bにおける基R11,R12は、そ
れぞれ、当該単量体Bから誘導される環状共役ジエン系
重合体の分子構造単位Bの基R11,R12に対応す
る。好ましい単量体Bは、炭素一炭素結合を主体として
構成される5〜8員環を有する環状共役ジエンの誘導体
であり、特に、好ましいのは、6員環の環状共役ジエン
の誘導体である。
【0054】単量体B及び分子構造単位BにおけるR
11は、単量体A及び分子構造単位AにおけるR1と同
じ意味を有する。したがって、単量体A及び分子構造単
位Aにおいて好ましいとされる基は、R11においても
好ましいとされる。単量体B及び分子構造単位Bにおけ
るR12は、単量体A及び分子構造単位AのR2におけ
る本置換基と同じ意味を有する。したがって、本置換基
において好ましいとされる基は、R12においても好ま
しいとされる。
【0055】単量体Bとして、次の単量体を例示するこ
とができる。
【化66】
【0056】単量体Bから選択された1種あるいは2種
以上の単量体Bから誘導される分子構造単位Bを有する
環状共役ジエン系重合体は、分子構造単位が1種類であ
る場合もあり、分子構造単位が2種類以上である場合も
ある。分子構造単位Bは、1,4−結合及び/又は1,
2−結合で連結されている。1,4−結合と1,2−結
合の割合は、単量体の種類、触媒の種類、反応条件等に
よって変動し、また、制御しうる。
【0057】(分子構造単位A、B、C、Dから選ば
れる一種または二種以上を有する環状共役ジエン系共重
合体)例えば、分子構造単位Aと、分子構造単位Bと、
分子構造単位Cと、分子構造単位Dの4種の分子構造単
位から選択される一種あるいは二種以上の分子構造単位
からなる環状共役ジエン系共重合体を提供することがで
きる。分子構造単位Cは、式(III)で示される。こ
の分子構造単位Cが由来する単量体を単量体Cというも
のとする。分子構造単位Cは、分子構造単位Aが単量体
Aに誘導されるのと同様に、式(IIIA)に示す単量
体Cから誘導される。
【化67】 {ただし、n,X,R21,R22は、それぞれ、式
(III)において定義されたのと同じ意味を有す
る。}
【0058】単量体Cの好ましい基本骨格は、炭素一炭
素結合で構成される5〜8員環の環状共役ジエンであ
り、特に好ましいのは、6員環の環状共役ジエンであ
る。具体的には、1,3−シクロペンタジエン、1,3
−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、
1,3−シクロオクタジエン及びこれらの誘導体であ
る。好ましくは、1,3−シクロヘキサジエン及びその
誘導体である。分子構造単位C及び単量体CにおけるR
21は、分子構造単位A及び単量体AにおけるR1と同
じ意味を有する。また、R22は、分子構造単位B及び
単量体BにおけるR12と同じ意味を有する。
【0059】単量体Cとして、以下の単量体を例示する
ことができる。なお、これらの単量体の例示によって、
同時にこれらの単量体Cから誘導される分子構造単位C
も例示される。
【化68】
【化69】
【0060】二重結合含有単量体から誘導される分子構
造単位Dが由来する単量体を、単量体Dともいうものと
する。本明細書において二重結合含有単量体とは、重合
性のある二重結合を備えた単量体である。例えば、二重
結合含有単量体として、オレフィン単量体、イソオレフ
ィン単量体、分岐状α−オレフィン単量体、共役オレフ
ィン単量体、環状オレフィン単量体、ビニルエーテル単
量体、環状エーテル単量体、ラクトン単量体等を挙げる
ことができる。また、ノルボルネン及びその誘導体、あ
るいは累積二重結合を備えた化合物、末端二重結合を備
えた炭化水素基を有するカルボン酸、カルボン酸エステ
ル等を挙げることもできる。
【0061】オレフィン単量体としては、CH=CH
Rの一般式で表される。ただし、Rは、水素原子、分岐
していない炭素数1〜40までのアルキル基、分岐状の
あるいは分岐していない炭素数7〜40までのアラルキ
ル基、分岐していない炭素数3から40までのアルケニ
ル基、ハロゲン原子を表す。イソオレフィン単量体とし
ては、CH=CRR’の一般式で表され、RとR’
は、それぞれ独立であり、炭素数12までのアルキル
基、あるいはそれ以上の炭素数のアルキル基から選択さ
れる。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、t−プロピル基等である。イソオレフ
ィン単量体は、具体的には、イソブチレン、2−メチル
−1−ブテン、2−メチル−1−ぺンテン、2−エチル
−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2,
3,3−トリメチル−1−ブテン、2,5−ジメチル−
1,5−ヘキサジエン等である。
【0062】分岐状α−オレフィン単量体としては、C
=CHRの一般的で表され、Rは、炭素数12まで
のあるいはそれ以上の炭素数の分岐状アルキル基(シク
ロアルキル基も含む)である。具体的には、3−メチル
−1−ブテン、3−メチル−1−ぺンテン、4−メチル
−1−ぺンテン、4−メチル−1−ヘキセン、6−メチ
ル−1−ヘプテン、アリルシクロヘキサン等である。共
役オレフィン単量体としては、共役ジエンあるいは共役
トリエンのオレフィンである。炭素数12までの直鎖状
の共役ジエンあるいは共役トリエンも含まれる。具体的
には、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,4−
ジメチルブタジエン、trans−2−メチルー1,3
−ぺンタジエン等である。環状オレフィン単量体として
は、β−ピレン、シクロブテン、シクロペンテン等を挙
げることができる。
【0063】アルキルビニルエーテル単量体は、CH
=CHORの一般式で表される。ただし、Rは、炭素数
12まであるいはそれ以上の、直鎖状、あるいは分岐
状、あるいは環状のアルキル基あるいはアラルキル基を
示す。具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニ
ルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチル
ビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、i
so−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエ
ーテル等である。
【0064】アリルビニルエーテル単量体は、CH
CHOR’の一般式で表される。ただし、R’は、フェ
ニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基
を示す(なお、フェニル基及びナフチル基における置換
基は、低級アルキル基あるいはハロゲン原子であ
る。)。具体的には、フェニルビニルエーテル、パラ−
トリビニルエーテル、ナフチルビニルエーテル等であ
る。置換ビニルエーテル単量体は、CH=CHOXの
一般式で表される。ただし、Xは、ハロゲン原子あるい
はシリコン原子等のヘテロ原子に結合した炭素数20ま
でのアルキル基あるいはアリル基、または、エーテル結
合、エステル結合、及びアミノ基のいずれかを含む官能
基を備えた炭素数20までのアルキル基あるいはアリル
基を示す。
【0065】具体的には、パラ−アニシルビニルエーテ
ル、2−クロロエチルビニルエーテル、CH2=CHO
CH2CH22CCH3、CH2=CHOCH2CH22
、CH2=CHOCH2CH22CC(CH3
=CH2、CH2=CHOCH2CH22CCH=CH2
CH2=CHOCH2CH22CCH=CHC CH2=CHOCH2CH22CCH=CHCH=CHC
3、CH=CHOCHCHO(CH2CH2O)
2、CH2=CHOCH2CH2OC CH2=CHOCH2CH2CH(CO222、CH
2=CHOCH2CH2C(CO223、CH2=C
HOCHCH2OC−p−C−p−OC
、CH2=CHOCH2CH2O(CH2CH2O)
−p−C−p−OCH、等である。
【0066】ジビニルエーテル単量体は、CH=CH
OCH=CHあるいはCH2=CHOXOCH=CH
の一般式で表される。ただし、Xは、−(CH)n
−、−(CHCHO)CHCH2−、−CH2
OC(CH2 C(CHOCH
CH−等を示し、nは、1〜12の整数である。α置
換ビニルエーテル単量体は、CH=CR’ORの一般
式で表される。ただし、Rは、炭素数12までの、直鎖
状、あるいは分岐状、あるいは環状のアルキル基を示
し、R’はメチル基あるいは炭素数12までのアルコキ
シル基、あるいは塩素原子を示す。具体的には、α−メ
チルエチルビニルエーテルである。
【0067】β置換ビニルエーテル単量体は、R’CH
=CHORの一般式で表される。ただし、Rは、炭素数
12までの直鎖状、分岐状、あるいは環状のアルキル基
であり、R’は、炭素数12までのアルコキシル基、あ
るいは塩素原子である。具体的には、β−メチルエチル
ビニルエーテルである。環状エーテル単量体としては、
オキシランやオキセタン等である。オキシラン及びエポ
キシドとしては、炭素数12までのものであって、ハロ
ゲン原子を含んでいてもよい。具体的には、エチレンオ
キサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキ
サイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ノルボルネ
ンオキサイド、エピクロロヒドリン等である。オキセタ
ンとしては、炭素数は12までであり、ハロゲン原子を
含んでいてもよい。具体的には、オキセタン、3,3−
ジメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オ
キセタン等である。
【0068】環状エステル単量体としては、ラクトンを
挙げることができる。ラクトンとしては、β−プロピオ
ラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、
あるいは、炭素数12までのアルキル基で置換されたN
−ビニルカルバゾール及びラクトン等を挙げることがで
きる。具体的には、α,α−ジメチル−β−プロピオラ
クトン、β−メチルーβ−プロピオラクトン、β,β’
−ジメチル−β−プロピオラクトンである。芳香族オレ
フィン単量体としては、スチレン、パラ−メトキシスチ
レン、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パ
ラ−イソプロピルスチレン、オルト−メチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、パラ−ジメチルアミノスチ
レン、パラ−ジイソプロペニルベンゼン、オルト−ジビ
ニルベンゼン、インデン、1−メチルインデン、アセナ
フタレン、2−ビニルフルオレン等である。
【0069】このような二重結合含有単量体のいくつか
を例示する。なお、これらの化合物の誘導体も同時に例
示されるものである。
【化70】
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【化75】
【化76】
【化77】
【化78】
【0070】例えば、上記環状共役ジエン系共重合体で
は、4種類ある分子構造単位のうち2種以上の分子構造
単位からなることが好ましい。すなわち、分子構造単位
の組み合わせとしては、A/B,A/C,A/D,B/
C,B/D,C/D,A/B/C,A/B/D,A/C
/D,B/C/D,A/B/C/Dの11種類がある。
なお、各分子構造単位から、2以上の分子構造単位が選
択されていてもよい。また、上記環状共役ジエン系共重
合体には、ランダム共重合体の他、交互共重合体、テー
パーブロック共重合体、グラフト共重合体、、ジブロッ
ク、トリブロック、テトラブロック、マルチブロック、
ラジアルブロック等のブロック共重合体が包含される。
【0071】(分子構造単位Cを有する環状共役ジエ
ン系重合体)分子構造単位C、及びこの分子構造単位C
が由来する単量体Cは、上記のの中で説明したものと
同様である。また、式(IV)で示される化合物は、以
下のの中で説明するものと同様である。
【0072】分子構造単位Aからなる重合体、分子構造
単位Bからなる重合体、分子構造A〜Dから選択される
2種以上の分子構造単位からなる共重合体、及び分子構
造単位Cからなる重合体において、数平均分子量は、
5,000以上であることが好ましい。分子量が5,0
00未満であると、十分な機械的物性が得られないから
である。また、数平均分子量は、5,000〜5,00
0,000の範囲であることが好ましく、より好ましく
は、20,000〜1,000,000の範囲であり、
特に好ましくは、50,000〜500,000の範囲
である。ここで数平均分子量とは、高分子鎖の標準ポリ
スチレン換算の数平均分子量である。
【0073】また、上述した環状ジエン系重合体及び環
状ジエン系共重合体は、耐熱性及び剛性に優れ、比重が
小さく、また、誘電率が低い等の特性を有する。したが
って、自動車材料の分野においては、エンジンルーム内
部品、アンダーフード部品、内外装部品等として、低比
重、高耐熱性、高寸法安定性等の特性が発揮される。ま
た、電気・電子材料分野においては、耐熱性絶縁材料、
射止材、プリント配線基盤等として、低誘電率、高耐熱
性等の特性が発揮される。住宅・建材分野においては、
外装シーリング材、防振・ダンピング材、弾性塗料、弾
性接着剤等として、高耐候性、候耐熱性等が発揮され
る。樹脂改質剤分野においては、改質剤や相溶化剤等と
して利用されて、高剛性、高耐熱性、反応性、ポリオレ
フィン類への相溶性等が発揮される。エラストマーの分
野においては、熱可塑性オレフィン系エラストマー等と
して、高耐熱性や高耐侯性が発揮される。
【0074】また、一例として、新規な環状共役ジエン
系単量体の重合方法を提供する方法について説明する。
この重合方法は、上記した単量体A〜Dについて、同種
の単量体同士、及び異種の単量体同士を重合するのに好
ましい方法である。しかしながら、これらの単量体の単
独重合や共重合に限定することなく、これらの単量体A
〜Dと他の重合可能な単量体や、他の単量体同士につい
て、以下に示す単成分型触媒あるいは多成分型触媒を用
いて環状ジエン系単量体を重合して高分子鎖を形成する
重合方法である。なお、単量体C同士の単独重合体、及
び単量体D同士の単独重合体の数平均分子量は、5,0
00以上であることが好ましい。数平均分子量は、5,
000〜5,000,000の範囲であることが好まし
く、より好ましくは、20,000〜1,000,00
0の範囲であり、特に好ましくは、50,000〜50
0,000の範囲である。
【0075】(本単成分型触媒)また、上記重合方法
で用いた単成分型触媒は、以下の一般式(IV)で表さ
れる。
【化79】 {ただし、Mは周期律表第8、9及び10族の遷移金属
元素を表し、Lは1から3個のπ結合を有する金属Mに
対する配位子を示し、Xは少なくとも一つのσ結合と0
から3個のπ結合を有する金属Mに対する配位子を示
し、nは0、1あるいは2であり、mは0あるいは1で
あり、nとmとの両方が同時に0であることはなく、m
が0のときaは2であり、mが1のときaは1であり、
Aは、[LMX]a+に対するアニオンを示す。}
【0076】本単成分型触媒は、重合系において、遷移
金属イオンと単量体との間でアリル構造の錯体を形成し
うるものである。このような単成分型触媒には、触媒自
体がアリル構造の錯体を形成するものと、単量体との反
応ではじめてアリル構造の錯体を形成するものとがあ
る。Mは、周期律表第8、9、及び10族の金属元素で
ある。例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(P
d)、白金(Pt)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、
ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ロジウム
(Rh)、イリジウム(Ir)等を例示することができ
る。好ましくは、ニッケル(Ni)、パラジウム(P
d)である。この触媒中には、1個あるいは2個以上の
遷移金属元素が含まれる。また、遷移金属元素は、1種
でもよく、また、必要に応じて2種以上組み合わせて使
用することもできる。Xは、直鎖状あるいは分岐状の炭
素数1〜10のアルキル基、直鎖状あるいは分岐状の炭
素数1〜20のアルコキシル基、炭素数6〜15のアリ
ロキシル基、あるいはハロゲン原子によって置換されて
いないあるいは置換された、非環状、単環状、あるいは
多環状の炭素数3〜20のアルケニルであることが好ま
しい。
【0077】Lは、炭素数2〜12のモノオレフィン、
炭素数4〜12の直鎖状あるいは環状ジオレフィン、炭
素数6から20の芳香族化合物から選択されるものであ
ることが好ましい。また、Lは、2,3ジメチル−2−
ブチン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジベ
ンゾシクロオクタジエンから選択されることがより好ま
しい。また、Lは、炭素数6〜12のシクロアルカジエ
ン、ノルボルナジエン、炭素数10〜20のシクロトリ
エンから選ばれることも好ましい。
【0078】Aは、カチオン錯体に対して非配位性ある
いは弱配位性であることが好ましい。Aは、BF
PF 、ALF33SCF 、SBFSO
、ASF 、SBF 、SBFSO
、AsF 、パーフルオロ酢酸(CFCO
)、パーフルオロプロピオン酸(C
)、パーフルオロ酪酸(CFCFCFCO
)、パークロレート(ClO ・HO)、p−
トルエンスルホン酸(p−CHSO )お
よび以下の化80式で表されるテトラフェニルほう酸で
あることが好ましい。
【化80】 {ただし、R’は、それぞれ独立であって、水素原子、
フッ素原子、あるいはトリフルオロメチル基を示し、n
は1〜5の整数である。}
【0079】これらの単成分型触媒は、重合に際し予め
合成される。単成分触媒は、1種類を用いても、必要に
応じて2種類以上を組み合わせて用いてもよい。単成分
型触媒として、具体的には、以下の化合物を例示するこ
とができる。
【化81】
【化82】
【0080】(本多成分型触媒)上記重合方法で用い
た多成分型触媒は、(a)遷移金属化合物と、(b)有
機アルミニウム化合物及び/又は(c)電子供与性成分
を含有する触媒である。すなわち、多成分型触媒には、
(a)と(b)、(a)と(c)、及び(a)と(b)
と(c)との組み合わせがある。本多成分型触媒は、遷
移金属イオンのアリル構造の錯体を多成分の混合系中に
形成するものである。遷移金属化合物を構成する遷移金
属元素としては、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オ
スミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(R
h)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジ
ウム(Pd)、白金(Pt)であることが好ましい。よ
り好ましくは、ニッケルあるいはパラジウムである。遷
移金属元素は、1種でもよく、また、必要に応じて2種
以上組み合わせて使用することもできる。遷移金属化合
物においては、これらの金属元素に対して1個または2
以上の配位子が結合したもの(1座、2座、多度配位で
あって、配位は、イオン性でも中性であってもよい)で
ある。遷移金属化合物は、1種を用いてもよく、必要に
応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】遷移金属化合物としては、ニッケルアセチ
ルアセトネート、ニッケルカルボキシレート、ニッケル
ジメチルグリオキシム、ニッケルエチルヘキサノエー
ト、コバルトネオデカノエート、鉄ナフタノエート、パ
ラジウムエチルヘキサノエート、NiCl2(PPh3
、NiCl2(PPh2CH22、ニッケル(II)ヘ
キサフルオロアセチルアセトネートテトラハイドレー
ト、ニッケル(II)トリフルオロアセチルアセトネー
トダイハイドレート、ニッケル(II)アセチルアセト
ネートテトラハイドレート、ビスアリルニッケルブロミ
ド、ビスアリルニッケルクロリド、ビスアリルニッケル
アイオダイド、トランスPdCl2(PPh32、パラ
ジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)、パラ
ジウム(II)ビス(アセチルアセトネート)、パラジ
ウム(II)−エチルヘキサノエート、Pd(アセテ
ート)2(PPh32、パラジウム(II)ブロマイ
ド、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(I
I)イオダイド、パラジウム(II)オキサイド、モノ
アセトニトリルトリス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウム(II)テトラフルオロボレート、テトラキス
(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロ
ボレート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム
(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パ
ラジウム(II)、鉄(II)クロライド、鉄(II
I)クロライド、鉄(II)ブロマイド、鉄(III)
ブロマイド、鉄(II)アセテート、鉄(III)アセ
チルアセトネート、フェロセン、ニケロセン、ニッケル
(II)アセテート、ニッケルブロマイド、ニッケルク
ロライド、ジクロロヘキシルニッケルアセテート、ニッ
ケルラクテート、ニッケルオキサイド、ニッケルテトラ
フロオロボレート、コバルト(II)アセテート、コバ
ルト(II)アセチルアセトネート、コバルト(II
I)アセチルアセトン、コバルト(II)ベンゾエー
ト、コバルトクロライド、コバルトブロマイド、ジクロ
ロヘキシルコバルトアセテート、コバルト(II)ステ
アレート、コバルト(II)テトラフルオロボレート、
ビス(アリル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニ
ル)ニッケル、パラジウムアセチルアセトネート、パラ
ジウムビス(アセトニトリル)ジクロライド、パラジウ
ムビス(ジメチルスルホキシド)ジクロライド、白金ビ
ストリエチルホスフィンハイドロ ブロマイド、ルテニ
ウムトリス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、
ルテニウムトリス(トリフェニルホスフィン)ハイドラ
イドクロライド、ルテニウムトリクロライド、ルテニウ
ムトリクロライド、ルテニウムテトラキス(アセトニト
リル)ジクロライド、ルテニウムテトラキス(ジメチル
スルホキシド)ジクロライド、ロジウムクロライド、ロ
ジウムトリス(トリフェニルホスフィン)トリクロライ
ド、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ ア
セナフタレン ニッケル ジクロライド、ビス−2,6
−ジイソプロピルフェニルイミノ アセナフタレン ニ
ッケル ジブロミド、ビス−2,6−ジメチルフェニル
イミノアセナフタレンニッケルジブロミド、ビス−2,
6−ジメチルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジ
クロリド、ビス−2,6−ジフェニルイミノアセナフタ
レンニッケルジブロミド、ビス−2,6−ジフェニルイ
ミノアセナフタレンニッケルジクロリド、1,4−ビス
ジイソプロピルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジ
エンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイソプロピル
フェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジ
クロリド、1,4−ビスジメチルフェニル2,3−ジメ
チルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビ
スジメチルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエン
ニッケルジクロリド、1,4−ビスフェニル2,3−ジ
メチルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−
ビスフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケ
ルジクロリド、1,4−ビスジイソプロピルフェニルジ
アザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイ
ソプロピルフェニルジアザブタジエンニッケルジクロリ
ド、1,4−ビスジメチルフェニルジアザブタジエンニ
ッケルジブロミド、1,4−ビスジメチルフェニルジア
ザブタジエンニツケルジクロリド、1,4−ビスフェニ
ルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビス
フェニルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ビピリ
ジルニッケルジブロミド、ビピリジルニッケルジクロリ
ド、フェナンソロリルニッケルジブロミド、フェナンソ
ロリルニッケルジクロリドであることが好ましい。
【0082】有機アルミニウム化合物としては、トリア
ルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライ
ド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルア
ルミニウムセスキハライド、アルミノキサミン、あるい
はこれらの混合物であることが好ましい。具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
リノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチル
アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリt−
ブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、
トリペンチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアル
ミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、
トリノルマルオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドラ
イド、メチルアルミニウムセスキクロライド、イソブチ
ルアルミニウムセスキクロライド、ジt−ブチルアルミ
ニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロラ
イド、ジペンチルアルミニウムクロライド、メチルアル
ミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライ
ド、イソブチルアルミニウムジクロライド、t−ブチル
アルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウム
ジクロライド、ペンチルアルミニウムジクロライドを好
ましいものとして挙げることができる。
【0083】また、アルミノキサンとは、1種類のトリ
アルキルアルミニウムと水との縮合によって得られるも
の、及び2種類以上のトリアルキルアルミニウムと水と
の縮合によって得られるものであって、鎖状、環状、あ
るいはかご状の縮合物である。具体的には、メチルアル
ミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノ
キサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキ
サン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアル
ミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が例示
される。特に、メチルアルミノキサン、メチルイソブチ
ルアルミノキサンが好ましい。
【0084】電子供与性成分は、具体的には、ルイス
酸、ブレンステッド酸、ハロゲン化化合物、あるいはこ
れらの混合物である。特に、電子供与性成分は、遷移金
属元素としてニッケル、ルテニウム、鉄、パラジウム、
コバルト及び白金から選択される金属元素を備えた遷移
金属化合物を使用する場合において使用されることが好
ましい。ルイス酸としては、BF・エチレート、Ti
Cl、SbF、BCl、B(OCHCH)、
SiCl、及びトリス(パーフルオロフェニル)ボロ
ンからなる群より選択されることが好ましい。ブレンス
テッド酸としては、HSbF、HPF、CF3CO2
H、FSOH・SbF、HC(SO
2、CF3SOH及びパラトルエンスルホン酸か
らなる群より選択されることが好ましい。また、ハロゲ
ン化化合物は、ヘキサクロロアセトン、ヘキサフルオロ
アセトン、3−ブテニックアシッド−2,2,3,4,
4−ぺンタクロロブチルエステル、ヘキサクロログルタ
リックアシッド、ヘキサフルオロイソプロパノール及び
クロラニル、及びこれらの混合物からなる群より選択さ
れることが好ましい。
【0085】このようなそれぞれの型の触媒を利用し
て、前記した各種単量体を重合させることができる。さ
らに、その他の重合可能な単量体に適用することもでき
る。重合反応は、上述した触媒の存在下、スラリー重
合、気相重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等のいず
れの方法を用いてもよい。上述した重合方法において、
溶液重合の場合に使用できる重合溶媒としては、ブタ
ン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、is
o−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化
水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロ
ヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノル
ボルナン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル
類、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,
4−トリクロロベンゼン等の芳香族ハロゲンを例示する
ことができる。これらの重合溶媒は、1種のみを用いて
もよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0086】本重合方法における、触媒の使用量に特に
制限はないが、一般的には、単量体1molに対して、
金属元素として、1×10−6〜1×10−1molの
範囲であり、好ましくは、5×10−6〜5×10−2
molの範囲である。本重合法における、重合温度は、
必要に応じて設定するが、一般には−80〜120℃の
範囲であり、好ましくは、−30〜110℃の範囲であ
り、更に好ましくは、0〜100℃の範囲である。重合
系の雰囲気は、窒素、アルゴンあるいはヘリウム等の不
活性ガスで形成される不活性雰囲気を用いることもで
き、あるいは、不活性雰囲気を要しない場合もある。重
合系の圧力についても、特に制限はない。ビニル系単量
体との共重合の場合、エチレン、プロピレン、ブタジエ
ン、アレン等のガスモノマーについては、1気圧以上を
加えることができる。本重合方法において、重合反応に
要する時間は、目的あるいは重合条件によって種々異な
ったものになるため、特に限定することはできないが、
多くの場合において、24時間以内であり、1〜3時間
以内である場合もある。
【0087】本重合方法の実施に際しては、従来公知の
方法によって、各種形態の重合体や共重合体を得るよう
にすることができる。ランダム共重合体及びテーパーブ
ロック共重合体は、一般に、単独重合体と同様の方法
で、2種類以上の単量体を重合系に仕込むことにより製
造できる。ブロック共重合体は、一方の単量体を触媒溶
液中に添加し、完全に消費された後、もう一方の単量体
を添加することで製造できる。交互共重合体は、用いる
単量体と一酸化炭素を同時に仕込むことにより製造でき
る。
【0088】本重合方法でランダム共重合体、交互共重
合体及びブロック共重合体等の各種共重合体を得ようと
する場合、上記した各種類型の触媒を用いることができ
るが、重合させる単体の種類によって、有効な類型の触
媒がある。また、重合に先だって重合系において触媒活
性を発揮するアリル型のカチオン錯体が予め生成されて
いることが好ましい場合もある。このような場合、重合
する単量体が添加される以前に、カチオン錯体が生成し
ているようにする。
【0089】単成分型触媒及び多成分型触媒を使用する
のが好ましい例としては、単量体として、1,3−シク
ロヘキサジエンとノルボルネンを用いる2元共重合体の
製造を例示できる。また、単成分型触媒を使用するのが
好ましい例としては、単量体として1,3−シクロヘキ
サジエンとアレンとを用いる2元共重合体の製造を例示
できる。さらに、単成分型触媒を使用するのが好ましい
例としては、1,3−シクロヘキサジエンとアレンとノ
ルボルネンを単量体として用いる3元共重合体の製造を
例示できる。
【0090】単成分型触媒か多成分型触媒かにかかわら
ず、用いる遷移金属元素の種類によって、その触媒が有
効に作用する場合もある。遷移金属元素としてPdを使
用することが好ましいのは、極性基を備えた環状共役ジ
エン系単量体の単独重合や共重合であり、また、極性基
を備えた二重結合含有単量体の単独重合や共重合であ
る。このような重合において、Pd触媒は高い重合活性
を示す。具体的には、1,3−シクロヘキサジエンとプ
ロピレンとメチルメタクリレートとの3元共重合体の重
合を例示できる。なお、比較的極性の低い、アルコキシ
ル基やアリロキシル基を極性基として備える環状共役ジ
エン系単量体や二重結合含有単量体の場合には、Niを
使用することも有効である。
【0091】遷移金属元素としてNiを使用することが
好ましいのは、極性基を備えない環状共役ジエン系単量
体の単独重合や、かかる環状共役ジエン系単量体と極性
基を備えない二重結合含有単量体との共重合である。こ
のような重合において、Ni触媒は、高活性であり、か
つ高い1,4−結合選択性を有する。得られた重合体に
おいては、1,4−結合が主体となる。例えば、1,3
−シクロヘキサンジエンとプロピレンとの共重合であ
る。
【0092】本重合方法において、所定の重合率を達成
した後には、必要に応じて公知の末端変性剤、末端分岐
化剤、さらには重合停止剤、重合安定剤、酸化安定剤を
添加することができる。また、重合反応後に、分子構造
単位に水素、ハロゲン原子、有機官能基等によってさら
なる誘導化することも可能である。なお、従来公知の共
役ジエン系重合体の製造における脱溶媒操作、乾燥操作
等により重合体を回収できる。
【0093】なお、以上の説明したことから、上記重合
方法、上記重合方法から得た重合体は以下の態様を採る
こともできる。 1.環状共役ジエン系単量体から選択される、一種又は
二種以上の単量体から誘導される分子構造単位が、分子
構造単位Aで示され、かつ、その分子構造単位が1,4
−結合及び/又は1,2−結合で連結されており、本単
成分型触媒あるいは本多成分型触媒を用いて重合して得
られる環状共役ジエン系重合体。 2.環状共役ジエン系単量体から選択される、一種又は
二種以上の単量体から誘導される分子構造単位が、分子
構造単位Bで示され、かつ、その分子構造単位が1,4
−結合及び/又は1,2−結合で連結されており、本単
成分型触媒あるいは本多成分型触媒を用いて重合して得
られる環状共役ジエン系重合体。 3.環状共役ジエン系単量体から選択される、一種又は
二種以上の単量体から誘導される分子構造単位が、分子
構造単位Cで示され、かつ、その分子構造単位が,1,
4−結合及び/又は1,2−結合で連結されており、本
単成分型触媒あるいは本多成分型触媒を用いて重合して
得られる環状共役ジエン系重合体。 4.一種又は二種以上の分子構造単位A、一種又は二種
以上の分子構造単位B、一種又は二種以上の分子構造単
位C、二重結合含有単量体から選択される一種又は二種
類以上の単量体から誘導される分子構造単位D、の4種
の分子構造単位から選択される二種以上の分子構造単位
からなり、かつ、分子構造単位A,B及びCは、1,4
−結合及び/又は1,2−結合で高分子鎖に連結されて
おり、本単成分型触媒あるいは本多成分型触媒を用いて
重合して得られる環状共役ジエン系共重合体。 5.単量体Aを、本単成分型触媒あるいは本多成分型触
媒を用いて重合する環状共役ジエン系単量体の重合方
法。 6.単量体Bを、本単成分型触媒あるいは本多成分型触
媒を用いて重合する環状共役ジエン系単量体の重合方
法。 7.単量体Cを、本単成分型触媒あるいは本多成分型触
媒を用いて重合する環状共役ジエン系単量体の重合方
法。 8.一種又は二種以上の単量体A、一種又は二種以上の
単量体B、一種又は二種以上の単量体C、二重結合含有
単量体から選択される一種又は二種類以上の単量体D、
の4種の分子構造単位から選択される二種以上の単量体
を、本単成分型触媒あるいは本多成分型触媒を用いて重
合する環状共役ジエン系単量体の重合方法。
【0094】(重合体の修飾物)また、上記のいずれか
の環状共役ジエン系重合体の二重結合部分は,水素、ハ
ロゲン、ハロゲン水素、硫酸、水、ハロヒドリン、アル
キル基、アリール基、酸素よりなる群から選ばれる修飾
物が付加されて、一重結合となっている環状共役ジエン
系重合体の修飾物がある。
【0095】上記環状共役ジエン系共重合体中の二重結
合は、重合体の反応性、柔軟性、溶媒親和性などの性質
を賦与する一方で、熱安定性や機械的特性を損なうおそ
れがある。そこで、二重結合部分を修飾して一部または
すべてを一重結合とすることにより、共重合体の耐熱
性、耐酸性などが向上する。該二重結合部分は、たとえ
ば、単量体単位の0.1〜100モル%が飽和されてい
る。
【0096】二重結合部分の修飾は、従来公知の技術に
よって実施される炭素−炭素二重結合に対する付加反応
により行うことができる。より具体的には、水素の付加
(水素化反応)、ハロゲンの付加(ハロゲン化反応)、
ハロゲン化水素の付加(ハロゲン化水素化反応)、硫酸
の付加(スルホン化反応)、水の付加(水和反応)、ハ
ロヒドリンの付加(ハロヒドリン化反応)、アルキル基
(アルキル化反応)、アリール基の付加(アリール化反
応)、酸素あるいは水酸基の付加(酸化反応)などを例
示することができる。
【0097】例えば、上記環状共役ジエン系共重合体
は、その少なくとも一部に、水素が添加することが好ま
しい。これにより、環状共役ジエン系重合体中の二重結
合に水素が添加され、単結合になる。そして、かかる水
素添加物としては、上記環状共役ジエン系共重合体に
は、その少なくとも一部に、水素が添加されている環状
共役ジエン系重合体の水素添加物が得られる。
【0098】このように、環状共役ジエン系共重合体の
一部またはすべての環状共役ジエンに水素を添加するこ
とにより、環状共役ジエン系共重合体の耐熱性、耐酸化
性などが向上する。
【0099】水素添加される二重結合は、たとえば,環
状共役ジエン系共重合体の式(I),(II),(II
I)に示される環状構造上の二重結合、または二重結合
含有単量体の二重結合の少なくとも一方である。また、
式(I),(II),(III)に示される環状構造上
の二重結合、及び二重結合含有単量体の二重結合の双方
について水素添加されることもある。水素添加法は、例
えば、「化83」に示すごとく、上記の重合方法により
得た環状共役ジエン系重合体に、水素化触媒存在下で水
素ガスを添加する環状共役ジエン系重合体の水素添加方
法がある。
【0100】
【化83】
【0101】環状共役ジエン系重合体への水素添加量
は、水素のガス圧、水添時の反応温度、反応溶媒、水素
化触媒の種類などによって制御することができる。即
ち、環状共役ジエン系共重合体に対して、数重量%〜1
00重量%まで制御できる。水素添加量の制御によって
所望の物性を得ることができる。
【0102】また、環状共役ジエン系共重合体における
水素添加をする部位も、水素のガス圧、水添時の反応温
度、反応溶媒、水素化触媒の種類などににより制御でき
る。例えば、「化84」に示すごとく、上記環状共役ジ
エン系共重合体とブタジエンなどの鎖状共役ジエンとの
共重合体の場合には、鎖状共役ジエン由来のユニットの
みを選択的に水素添加することも可能である。
【0103】
【化84】
【0104】上記水素化触媒としては、チタン、ジルコ
ニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、タングステ
ン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ル
テニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジ
ウム、白金、ランタニウム、セリウム、プラセオジウ
ム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビ
ウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホ
ルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、
ルテチウムなどの金属を含む化合物を例示でき、好まし
くはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、レニウム、コ
バルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、セリウム、ネオジウム、サマリウム、ユウロビウ
ム、ガドリニウム、イッテルビウムを含む化合物を例示
することができる。
【0105】(溶媒への塩基性化合物の添加)上記環状
共役ジエン系単量体の重合反応を、トルエンなどの非極
性溶媒の中で行うと、一般に60%以上の高収率で重合
体が得られるが、定量的(〜100%)に重合体が生成
しない場合がある。そこで、上記重合反応は、塩基性化
合物を含有する非極性溶媒の中で行うことが好ましい。
これにより、重合速度及び重合体の生成収率が大きく向
上する。
【0106】上記非極性溶媒に対する塩基性化合物の重
量含有比は、1/500〜1/100であることが好ま
しい。1/500未満の場合には重合体を定量的に得る
ことができず収率が低くなる場合がある。1/100を
超える場合には触媒が失活し、低収率でしか重合体が得
られない。好ましくは、上記非極性溶媒に対する塩基性
化合物の重量含有比は、1/400〜1/150であ
り、更には1/300〜1/200である。
【0107】一般に、化85に示すごとく,重合反応の
触媒は、高分子鎖と生長端の活性中心に金属(M)をも
つ。塩基性化合物(たとえば,テトラヒドロフラン(T
HFという。))は、触媒の活性中心の金属(M)に接
近し配位する能力があり、環状共役ジエン系単量体の二
重結合の配位能力よりも高い。従って、塩基性化合物の
量が著しく多い場合には、単量体が金属に配位できず重
合は進行しにくい。しかし、塩基性化合物の添加量が適
当である場合には、触媒の安定性を高める効果がある。
そのため、触媒寿命が伸び、重合収率が向上すると考え
られる。
【0108】
【化85】
【0109】また、塩基性化合物は、in situで活性種
が生成する多成分触媒系で特に触媒安定化に有効である
と考えられる。なお、一成分触媒では、既に配位子によ
る安定化効果がある。
【0110】上記作用機構が正しければ、環状共役ジエ
ンの重合に限定されず、他の単量体に対しても収率を上
げる効果があると推定される。また、塩基性化合物は、
その塩基性の強さの違いにより最適添加量が異なると推
定される。上記塩基性化合物は、テトラヒドロフラン
(以下、THFともいう。)であることが好ましい。T
HFは、塩基性化合物の中でも特に重合体の収率を向上
させるからである。また、THFのほか、塩基性化合物
としては、たとえば、ジメチルエーテル、ジエチルエー
テル、ジプロピルエーテル、2−メチルテトラヒドロフ
ラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,
4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、2,6−
ジメチルピリジンを用いることもできる。
【0111】(芳香族ハロゲン溶媒)上記重合反応は、
芳香族ハロゲンの中で行うことが好ましい。これによ
り、重合速度が速くなり重合収率が向上する。上記芳香
族ハロゲンは、たとえば、クロロベンゼン又はo−ジク
ロロベンゼンであることが好ましい。重合収率を特に向
上させるからである。その他、芳香族ハロゲンとして
は、たとえば、ブロモベンゼン、1,2−ジブロモベン
ゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−
トリクロロベンゼンを用いることもできる。
【0112】(Pd系触媒)環状共役ジエン系単量体、
あるいは、環状共役ジエン系単量体と二重結合含有単量
体とを、Pd系触媒を用いて重合することが好ましい。
これにより、重合反応が水、酸素存在下でも進行する。
そのため、懸濁重合法、乳化重合法でも環状共役ジエン
系単量体を重合することができる。
【0113】(結晶性の高い環状共役ジエン系重合体)
Ni系触媒を用いると、環状共役ジエン系共重合体の位
置及び立体規則性が高くなり,その結果結晶性が高くな
る。結晶性の環状共役ジエン系重合体(具体的には、ポ
リ(1,3−シクロヘキサジエン))は、図1に示すご
とく,広角X線回折スペクトル(線源Cu−Kα)にお
いて、2θ=16.5〜16.9°、19.3〜19.
7°、22.3〜22.7°の範囲において、それぞれ
1本のピーク(計3本)が観測されることを特徴とす
る。一方、非晶質の環状共役ジエン系共重合体のX線回
折スペクトルは、図2に示すごとく、広い範囲において
1本のハローを示した。
【0114】結晶性の高い環状共役ジエン系重合体は、
特に高強度、高耐熱性という物性を有する。結晶性の高
い環状共役ジエン系重合体は、特に、エンジンルーム内
装品、アンダーフード部品、耐熱性絶縁材料の用途に適
している。
【0115】上記の結晶性の高い環状共役ジエン系重合
体を製造するに当たっては、たとえば、環状共役ジエン
系単量体、あるいは、環状共役ジエン系単量体と二重結
合含有単量体とを、Ni系触媒を用いて重合する環状共
役ジエン系単量体の重合方法がある。Ni(ニッケル)
系触媒を用いて重合反応を行っているため、結晶性の高
い環状共役ジエン系重合体を得ることができる。
【0116】上記Ni系触媒は、下記の式(IVA)で
示される化合物、
【化86】 {ただし、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を示
し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結合
を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であり、
mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に0で
あることはなく、mが0のときaは2であり、mが1の
ときaは1であり、Aは、[LNiX a+に対す
るアニオンを示す。}あるいは、(a)Ni化合物と、
(b)有機アルミニウム化合物、及び/又は(c)電子
供与性成分とを含有する多成分型系触媒であることが好
ましい。かかるNi系触媒は、環状共役ジエン系単量体
を効率よく重合反応させ、その重合物は結晶性が高い。
【0117】また、例えば、上記の環状共役ジエン系単
量体の重合方法により得られた環状共役ジエン系重合体
であって、かつ、広角X線回折スペクトル(線源Cu−
Kα)において、2θ=16.5〜16.9°、19.
3〜19.7°、22.3〜22.7°の範囲におい
て、それぞれ1本のピーク(計3本)が観測される環状
共役ジエン系重合体がある。この重合体も、上記のごと
く高い結晶性を有する。
【0118】上記多成分型触媒のNi化合物としては、
ニッケルアセチルアセトネート、ニッケルカルボキシレ
ート、ニッケルジメチルグリオキシム、ニッケルエチル
ヘキサノエート、NiCl2(PPh3、NiCl2
(PPh2CH22、ニッケル(II)ヘキサフルオロ
アセチルアセトネートテトラハイドレート、ニッケル
(II)トリフルオロアセチルアセトネートダイハイド
レート、ニッケル(II)アセチルアセトネートテトラ
ハイドレート、ビスアリルニッケルブロミド、ビスアリ
ルニッケルクロリド、ビスアリルニッケルアイオダイ
ド、ニケロセン、ニッケル(II)アセテート、ニッケ
ルブロマイド、ニッケルクロライド、ジクロロヘキシル
ニッケルアセテート、ニッケルラクテート、ニッケルオ
キサイド、ニッケルテトラフロオロボレート、ビス(ア
リル)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケ
ル、ビス−2、6−ジイソプロピルフェニルイミノ ア
セナフタレン ニッケル ジクロライド、ビス−2、6
−ジイソプロピルフェニルイミノアセナフタレン ニッ
ケル ジブロミド、ビス−2,6−ジメチルフェニルイ
ミノアセナフタレンニッケルジブロミド、ビス−2,6
−ジメチルフェニルイミノアセナフタレンニッケルジク
ロリド、ビス−2,6−ジフェニルイミノアセナフタレ
ンニッケルジブロミド、ビス−2,6−ジフェニルイミ
ノアセナフタレンニッケルジクロリド、1,4−ビスジ
イソプロピルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエ
ンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイソプロピルフ
ェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジク
ロリド、1,4−ビスジメチルフェニル2,3−ジメチ
ルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビス
ジメチルフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニ
ッケルジクロリド、1,4−ビスフェニル2,3−ジメ
チルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビ
スフェニル2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケル
ジクロリド、1,4−ビスジイソプロピルフェニルジア
ザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビスジイソ
プロピルフェニルジアザブタジエンニッケルジクロリ
ド、1,4−ビスジメチルフェニルジアザブタジエンニ
ッケルジブロミド、1,4−ビスジメチルフェニルジア
ザブタジエンニツケルジクロリド、1,4−ビスフェニ
ルジアザブタジエンニッケルジブロミド、1,4−ビス
フェニルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ビピリ
ジルニッケルジブロミド、ビピリジルニッケルジクロリ
ド、フェナンソロリルニッケルジブロミド、フェナンソ
ロリルニッケルジクロリドなどを用いることが好まし
い。上記のNi化合物は、結晶性の高い重合体を生成さ
せるだけでなく、触媒活性が高く重合収率が高い。
【0119】上記環状共役ジエン系単量体及び上記二重
結合含有単量体からなる出発原料、式(IVA)で示す
単成分型触媒中のA、L、X及び多成分型触媒中の
(b)、(c)成分に関しては、上記の環状共役ジエン
系単量体の重合方法で用いるものと同様のものを用いる
ことができる。
【0120】
【実施例】以下に示すように、触媒調製例、実施例、参
考例(重合体製造例)及び比較例によって、本発明を具
体的に説明する。 (1)環状共役ジエン系重合体の製造方法;触媒A〜J
の調整例,参考例1〜17,比較例1, (2)環状共役ジエン系重合体の水素添加;前駆体とな
る環状共役ジエン系重合体の製造例a〜f,参考例18
〜27, (3)塩基性化合物存在下での環状共役ジエン系単量体
の重合方法;参考例28〜32,比較例2〜4, (4)芳香族ハロゲン溶媒中での環状共役ジエン系単量
体の重合方法;参考例33〜40,比較例5,6, (5)結晶性の高い環状共役ジエン系重合体の製造方
法;参考例41〜51,比較例7〜9, (6)フェニレン系重合体の製造方法;実施例1〜6。
【0121】なお、本発明の範囲は、これらの実施例に
限定されて解釈されるものではない。以下の触媒調製例
及び実施例、参考例は、特に指定しない限り、アルゴン
雰囲気下、グローブボックス又は高真空ラインを用いて
実施した。また、全ての試薬(触媒原料、合成及び重合
溶媒、単量体等)は、常法により十分脱水、脱酸素した
上で使用した。
【0122】(1)環状共役ジエン系重合体の製造方法 (触媒Aの調製例) [(η3−クロチル)(シクロオクター1,5−ジエ
ン)ニッケル]テトラキス(3,5−ビス(トリフルオ
ロメチル)ボレートの合成 3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン5
0g(170mmol)をジメチルエーテル150ml
に溶解した液を、マグネシウム粉末(5.1g、210
mmol)に、徐々に、おおよそ2時間をかけて加え、
次いで、約3時間還流して暗灰色の溶液を得た。ソディ
ウムテトラフルオロボレート(3.4g、30mmo
l)をこの溶液に加え、得られたスラリーを24時間還
流した。この反応液を、炭酸カルシウム水溶液(75g
を水1リットルに溶解したもの)に加え、20分間攪拌
し、濾過した。水層を分離し、ジエチルエーテル200
mlで4回抽出した。エーテル層を合わせ、硫酸ナトリ
ウム上で乾燥し、活性炭処理した。高い減圧下で溶媒を
除去して、コハク色のスラッシュを得た。塩化メチレン
を加えて、スラッシュを全体的に湿らせ、その後、クロ
ロホルムを加えて、残った固形物を濾過し乾燥した。回
収した固形物、すなわち、ソディウムビス(トリフルオ
ロメチル)フェニルボーレート(18g)は、明るい黄
褐色を呈した結晶固体であった。シクロオクエタジエン
(1.3ml)をテトラヒドロフラン(16ml)に溶
解したものをクロチルニッケルブロマイド(0.5g,
1.75mmol)に加えた。この混合物を、0℃に冷
やし、上記ソディウムビス(トリフルオロメチル)フェ
ニルボーレート(3.1g、3.5mmol)を加え
た。この混合物を室温まで加温し、1時間攪拌して透明
な暗茶色の溶液を得た。この溶液から溶媒を減圧下で除
去し、塩化メチレンを加えて、かすかに濁った溶液を得
た。この溶液を濾過して、透明な琉珀色の濾液を得た。
溶媒を減圧下で除去し、ヘキサンで3回洗浄し、その
後、濾過し、高減圧下で乾燥して、[(η3−クロチ
ル)−(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル]テ
トラキス(3,5−ビス(トリフルオロ)フエニル)ボ
レート(3.42g)を得た。この化合物は、黄白色を
呈していた。この化合物を化90式に示す。
【化90】
【0123】(触媒Bの調製例) ビスアリルニッケルブロミド2量体の合成 ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル(2.
75g、10mmol)が入ったフラスコに、アリルブ
ロマイド(1.21g、10mmol)とトルエン24
mlに溶解したブタジエン2.5gとを加えた。濃い赤
色のビスアリルニッケルブロミドの2量体が得られた。
【0124】(触媒Cの調製例) [(η3−クロチル)(シクロオクタ−1,5−ジエ
ン)ニッケル]ヘキサフルオロホスフェートの合成 ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル(2.
75g、10mmol)が入ったフラスコに、クロチル
ブロマイド(1.35g、10mmol)とトルエン2
4mlに溶解したブタジエン2.5gとを加えた。濃い
赤色のクロチルブロマイドの2量体が得られた。室温下
で2時間放置後、溶媒が減圧下で除去された。得られた
粉末に対して1,5−シクロオクタジエン3.6mlを
テトラヒドロフラン(32ml)に溶解した液を加え
た。0℃まで冷やした後、タリウムヘキサフルオロホス
フェート(3.5g、10mmol)をこの混合液に加
え、その後、室温まで加温して、1時間攪拌した。この
混合液から溶媒を減圧下で除去後、ジクロロメタン24
mlを加えた。この液から不溶性のタリウムブロマイド
を窒素雰囲気下で濾過して除去し、ジクロロメタン溶液
を得た。この溶液の体積を減少させた後、ジエチルエー
テルを加えて、[(η3−クロチル)(シクロオクタ−
1,5−ジエン)ニッケル]ヘキサフルオロホスフェー
ト(1.3g)(オレンジ色の結晶)を得た。この化合
物を化91式に示す。
【化91】
【0125】(触媒Dの調製例)ニッケルエチルヘキサ
ノエート(8%wNi/鉱物水、0.08ml,0.1
mmol)を、乾燥し窒素が充填されたマグネティック
攪拌棒が入った10mlのガラス製バイアルに入れた。
このバイアルに、1,2−ジクロロメタン2mlに溶解
したジメチルアニリニウム テトラキスパーフルオロフ
ェニルボレート(0.1mmol)を加えて触媒溶液を
得た。こうして得られた触媒溶液は、使用前に5分間室
温で攪拌される。
【0126】(触媒Eの調製例)ヘキサフルオロアンチ
モニックアシッド(HSbF、0.024g、0.1
mmol)を、乾燥し窒素が充填されたマグネティック
攪拌棒の入った10mlのテフロン(登録商標)製蓋と
バルブを備えたテフロン(登録商標)製ボトルに入れ
た。このボトルをアルコールとドライアイス中で冷却
し、ニッケルエチルヘキサノエート(8%w,Ni/鉱
水、0.08ml、0.1mmol)を添加し、内容物
を室温まで加温し、触媒溶液を調製した。
【0127】(触媒Fの調製例) ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ アセナ
フタレン ニッケルジブロミドの合成 まず、配位子である、ビス−2,6−ジイソプロピルフ
ェニル−イミノ−アセナフテンを、van Assel
t et al.,Recl.Trav.Chim.P
ays−Bas 113、88−98(1994)に開
示される方法に従って操作して、淡いオレンジ色の結晶
体を得た。マグネティック攪拌棒の入った、清潔で乾燥
した25mlケルダールフラスコに、ジクロロメタン5
mlに溶解した(1,2−ジメトキシエタン)ニッケル
ジブロマイド(0.44g、2.0mmmol)と、ジ
クロロメタン5mlに溶解した前記配位子(1.0g、
2.0mmol)とを加えた。この混合液を30分間室
温で攪拌した。なお、この間、明らかな反応は起こらな
かった。ジクロロメタン(計10ml)のほとんどを減
圧下で除去し、1,2−ジメトキシエタン10mlを加
えた。反応は速やかに起こり、液の色調が深い赤色に変
色することで確認した。60分後、反応を完結させるた
めに反応液を50℃で15分間加熱した。この後、溶媒
を除去し、残った固形物を1,2−ジクロロエタンに溶
解し、濾過して、深い赤色の溶液を得た。さらに溶媒を
除去した後、フラスコを乾燥器に移して乾燥し、固形物
を得た。この、固形物を、ビス−2,6−ジイソプロピ
ルフェニルイミノ アセナフタレン ニッケル ジブロ
ミドと同定した。この化合物を以下に示す。
【0128】
【化92】
【0129】(触媒Gの調製例) [(η3−クロチル)(シクロオクタ−1,5−ジエ
ン)−パラジウム]ヘキサフルオロホスフェートの合成 500mlのエレンメイヤーフラスコに、塩化ナトリウ
ム2.95g(50.4mmol)、塩化パラジウム
4.44g(25.3mmol)、メタノール150m
lと水2.25g(125mmol)とを加えた。この
懸濁液を1時間室温下で攪拌し、暗い茶色の溶液を得
た。この溶液に対して、クロチルブロマイド7.6ml
(74mmol)を加えた。その後、この容器を、1分
間あたり40mlの一酸化炭素で30分間洗浄した。数
分後、溶液の色は明るい色に変化するとともに、顕著な
量の沈殿物が生成した。この液を1リットルの水に注ぐ
と、琉珀色から茶色の固体を得た。この混合液を、計5
00mlのクロロホルムで3回に分けて抽出した。抽出
液からクロロホルムを除去すると、黄緑色の固体を得
た。この固体は、プロトンNMRで、(η3−クロチ
ル)パラジウムハライド2量体であることが確認され
た。この黄緑色の固体をテトラヒドロフラン100ml
に溶解し、1,5−シクロオクタジエンを添加した。タ
リウムヘキサフルオロホスフェート8.8g(25.3
mmol)をテトラヒドロフランに溶解した。この2つ
の溶液を0℃に冷やした。タリウムヘキサフルオロホス
フェート溶液をパラジウム化合物の溶液にゆっくりと加
えると、ただちに、淡黄白色の沈殿物が観察され、その
量は、タリウム溶液が添加される量につれて増加した。
タリウム化合物溶液の添加を終えた後、アイスバスを外
して、得られた懸濁液を攪拌しながら室温まで加温し
た。THFを減圧下で除去し、ジクロロメタン100m
lを加えた。この混合液を濾過し、さらに、約40ml
にまで濃縮した。この溶液にジエチルエーテル100m
lを加え、明るい黄白色の結晶を得た。この結晶は、
[(η3−クロチル)(シクロオクタ−1,5−ジエ
ン)−パラジウム]ヘキサフルオロホスフェートである
ことを同定した。この化合物を以下に示す。
【化93】
【0130】(触媒Hの調製例) [6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウ
ム(シクロオクタ−1,5−ジエン)]ヘキサフルオロ
ホスフェートの合成 (ノルボルナジエン)パラジウムジクロライド1.0g
(3.7mmol)とメタノール20mlとが入ったフ
ラスコに、メタノール20mlに溶解したカリウムメト
キシド0.256g(3.65mmol)を、−78℃
下で加えた。1時間その温度においた後、その混合液を
室温に加温して、濾過し乾燥して、明るい緑−茶色の固
体(メトキシノルボルネニルパラジウムクロライド2量
体)を得た。この物質の一部(0.5g、1.65mm
ol)をTHF50mlとシクロオクタジエン2mlと
の混合液が攪拌されているフラスコ中に入れた。その
後、タリウムヘキサフルオロホスフェートの0.57g
(1.65mmol)をTHF17mlに溶解した溶液
を0℃にてこのフラスコに加えた。このフラスコ内の混
合液を室温まで加温した後、溶媒を除去し、1,2−ジ
クロロエタン60mlを添加して、黄色の溶液と薄く着
色した塩化タリウムの沈殿物を得た。この液を濾過し、
高減圧下で溶媒を除去して、緑色の固体状の触媒を得
た。この触媒は、[6−メトキシノルボルネニルパラジ
ウム(シクロオクタジエン)]ヘキサフルオロホスフェ
ートと同定された。この化合物を化94式に示す。
【化94】
【0131】(触媒Iの調製例) (η3−アリルパラジウム)SbF の合成 η3一アリルパラジウムクロライド2量体(0.1mm
ol)をジクロロエタン1mlに溶解したスラリーをシ
ルバーヘキサフルオロアンチモネート(0.1mmo
l)をジクロロエタン1mlに溶解したスラリーに添加
し、20分間攪拌した。沈殿した塩化銀を、マイクロポ
アシリンジフィルターで濾過して除去し、触媒Iをジク
ロロエタン溶液として得た。
【0132】(触媒Jの調製例)J.Am.Chem.
Soc.118、(1996)p267〜p268に記
載の方法に準じて触媒Jを合成した。この化合物は化8
2式に示してある。
【0133】(参考例1)予め合成した触媒A(109
mg、0.1mmol)をグローブボックス中、室温ア
ルゴン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し、触媒溶液
を調製した。一方、環状共役ジエン系単量体である1,
3−シクロヘキサジエン(8g、0.1mol)を同じ
くグローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でトルエ
ン15ml中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持し
つつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加し
た。重合は速やかに進行し、トルエン溶液から粉末状の
ポリマーが析出した。重合反応は30分以内に完了し
た。生成ポリマーを含んだスラリーをグローブボックス
から取り出し、大量の塩酸酸性メタノール中に加えて、
ポリマーを沈澱させて単離した。続いて濾過によりメタ
ノールを除去し、室温で24時間、真空乾燥し、ポリマ
ーとしてポリシクロヘキサジエンが得られた。ポリマー
の収率は94%であった。
【0134】ポリマーは白色粉末で、有機溶媒に不溶で
あった。元素分析の結果、炭素90%、水素10%と単
量体をもとにした計算値とよく一致していた。窒素下で
の熱重量損失開始温度は330℃であった。
【0135】(参考例2)予め合成した触媒B(18m
g、0.1mmol)をグローブボックス中、室温アル
ゴン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し,続いて助触
媒であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(アルミ
ニウム10原子%)1.8mlを加え、触媒溶液を調製
した。以下参考例1と同様の操作で、1,3−シクロヘ
キサジエンの重合を行った。得られたポリシクロヘキサ
ジエンの収率は75%であった。
【0136】ポリマーは白色粉末で、有機溶媒に不溶で
あった。元素分析の結果、炭素90%、水素10%と単
量体をもとにした計算値とよく一致していた。窒素下で
の熱重量損失開始温度は330℃であった。
【0137】(参考例3)予め合成した触媒B(0.5
g)をグローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でト
ルエン100mlに溶解し,続いて助触媒であるメチル
アルミノキサンのトルエン溶液(アルミニウム10原子
%)50mlを加え、触媒溶液を調製した。室温にて、
1,3−シクロヘキサジエン50gをトルエン200m
lに溶解し、この溶液の温度を室温に保持しつつ、全量
を前記触媒溶液の全量に添加した。添加と同時に、室温
で、重合反応が一挙に進行し、ポリシクロヘキサジエン
が得られた。重合時間は、およそ15秒であった。収率
は82%であった。
【0138】ポリマーは白色粉末で、有機溶媒に不溶で
あった。元素分析の結果、炭素90%、水素10%と単
量体をもとにした計算値とよく一致していた。窒素下で
の熱重量損失開始温度は330℃であった。
【0139】(比較例1)参考例1の触媒Aの代わり
に、エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド
(カミンスキー触媒の一種)(42mg、0.1mmo
l)をグローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でト
ルエン15mlに溶解し、続いて助触媒であるメチルア
ルミノキサンのトルエン溶液(アルミニウム10原子
%)1.8mlを加え,触媒溶液を調製した。以下参考
例1と同様の操作で1,3−シクロヘキサジエンの重合
を試みた。室温で4日間攪拌後に得られたポリシクロヘ
キサジエンの収率は、5%以下であった。
【0140】(参考例4)予め合成した触媒C(37m
g、0.1mmol)をグローブボックス中、室温アル
ゴン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し,触媒溶液を
調製した。一方、化66式で表される単量体(14g、
0.1mol)を同じくグローブボックス中、室温アル
ゴン雰囲気下でトルエン15ml中に溶解し、この溶液
の温度を室温に保持しつつ、攪拌しながら全量を前記触
媒溶液の全量に添加した。重合反応は室温3時間以内に
完了した。生成ポリマーを含んだスラリーをグローブボ
ックスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノール中に沈
澱させてポリマーを単離した。続いて濾過によりメタノ
ールを除去し、室温で24時間、真空乾燥し、化66式
で表される単量体のポリマーを得た。ポリマーの収率は
89%であった。
【0141】(参考例5)予め調製した触媒Dをグロー
ブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でジクロロエタン
15mlに溶解し、触媒溶液を調製した。一方、化68
式に表わされる単量体(9.4g、0.1mol)を同
じくグローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でジク
ロロエタン15ml中に溶解し、この溶液の温度を室温
に保持しつつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量
に添加した。重合反応は室温1時間以内に完了した。生
成ポリマーを含んだスラリーをグローブボックスから取
り出し、大量の塩酸酸性メタノール中に沈澱させてポリ
マーを単離した。続いて濾過によりメタノールを除去
し、室温で24時間、真空乾燥し、化68式の単量体の
ポリマーを得た。ポリマーの収率は90%であった。
【0142】(参考例6)予め調製した触媒Eをグロー
ブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でトルエン15m
lに溶解し、触媒溶液を調製した。一方、化62式で表
わされる単量体(14g、0.1mol)を同じくグロ
ーブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でトルエン15
ml中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持しつつ、
攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加した。重
合反応は室温10時間以内に完了した。生成ポリマーを
含んだスラリーをグローブボックスから取り出し、大量
の塩酸酸性メタノール中に沈澱させてポリマーを単離し
た。続いて濾過によりメタノールを除去し、室温で24
時間,真空乾燥し,化62式で表される単量体のポリマ
ーが得られた。ポリマーの収率は93%であった。
【0143】(参考例7)予め合成した触媒F(71m
g、0.01mmol)をグローブボックス中、室温ア
ルゴン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し、続いて助
触媒であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(アル
ミニウム10原子%)1.8mlを加え、触媒溶液を調
製した。一方、化63式で表わされる単量体(16.8
g、0.1mol)を同じくグローブボックス中、室温
アルゴン雰囲気下でトルエン15ml中に溶解し、この
溶液の温度を室温に保持し、攪拌しながら全量を前記触
媒溶液の全量に添加した。重合反応は室温10時間以内
に完了した。生成ポリマーを含んだスラリーをグローブ
ボックスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノール中に
ポリマーを沈澱させて単離した。続いて濾過によりメタ
ノールを除去し、室温で24時間、真空乾燥し、化63
式で表される単量体のポリマーを得た。ポリマーの収率
は88%であった。
【0144】(参考例8)予め合成した触媒G(41m
g、0.1mmol)をグローブボックス中、室温アル
ゴン雰囲気下で酢酸エチル15mlに溶解し、触媒溶液
を調製した。一方、化56式で表わされる単量体(1
1.2g、0.1mol)を同じくグローブボックス
中、室温アルゴン雰囲気下で酢酸エチル15ml中に溶
解し、この溶液の温度を室温に保持しつつ、攪拌しなが
ら全量を前記触媒溶液の全量に添加した。重合反応は室
温24時間以内に完了した。生成ポリマーを含んだスラ
リーをグローブボックスから取り出し、大量の塩酸酸性
ノルマルヘキサン中にポリマーを沈澱させて単離した。
続いて濾過によリノルマルヘキサンを除去し、室温で2
4時間真空乾燥し、化56式で表される単量体のポリマ
ーを得た。ポリマーの収率は84%であった。
【0145】(参考例9)予め合成した触媒H(46m
g、0.1mmol)をグローブボックス中、室温アル
ゴン雰囲気下でTHF15mlに溶解し、触媒溶液を調
製した。一方、化57式で表わされる単量体(26.8
g、0.1mol)を同じくグローブボックス中、室温
アルゴン雰囲気下でTHF15ml中に溶解し、この溶
液の温度を室温に保持しつつ、攪拌ながら全量を前記触
媒溶液の全量に添加した。重合反応は室温24時間以内
に完了した。生成ポリマーを含んだスラリーをグローブ
ボックスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノール中に
ポリマーを沈澱させて単離した。続いて濾過によりメタ
ノールを除去し、室温で24時間、真空乾燥し、化57
式で表される単量体のポリマーを得た。ポリマーの収率
は96%であった。
【0146】(参考例10)予め合成した触媒Iをグロ
ーブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でジクロロエタ
ン15mlに溶解し、触媒溶液を調製した。一方、化6
1式(ただし、この式において、Rは、メチル基を示
す。)で表わされる単量体(15g、0.1mol)を
同じくグローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下でジ
クロロエタン15ml中に溶解し、この溶液の温度を室
温に保持しつつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全
量に添加した。重合反応は室温24時間以内に完了し
た。生成ポリマーを含んだスラリーをグローブボックス
から取り出し、大量の塩酸酸性メタノール中に沈澱させ
てポリマーを単離した。続いて濾過によりメタノールを
除去し、室温で24時間、真空乾燥し、化61式で表さ
れる単量体のポリマーを得た。ポリマーの収率は91%
であった。
【0147】(参考例11)シュレンク管中、予め合成
した触媒B(18mg、0.1mmol)を室温アルゴ
ン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し、続いて助触媒
であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(アルミニ
ウム10原子%)1.8mlを加え、触媒溶液を調製し
た。一方、単量体である1,3−シクロヘキサジエン
(8g、0.1mol)と、ブタジエン(10.8g、
0.2mol)を室温アルゴン雰囲気下でトルエン15
ml中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持しつつ、
攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加した。重
合は速やかに進行し、反応は30分以内に完了した。生
成ポリマーのスラリーを、大量の塩酸酸性メタノール中
に添加してポリマーを沈澱させて単離した。続いて濾過
によりメタノールを除去し、室温で24時間、真空乾燥
し、シクロヘキサジエン−ブタジエン共重合体が得られ
た。ポリマーの収率は88%であった。
【0148】(参考例12)シュレンク管中、あらかじ
め合成した触媒F(71mg、0.1mmol)を室温
アルゴン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し、続いて
助触媒であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(ア
ルミニウム10原子%)1.8mlを加え、触媒溶液を
調製した。一方、単量体である1,3−シクロヘキサジ
エン(8g、0.1mol)と、プロピレン(12.6
g、0.3mol)を室温アルゴン雰囲気下でトルエン
15ml中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持しつ
つ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加し
た。重合は速やかに進行し、反応は1時間以内に完了し
た。生成ポリマーのスラリーを、大量の塩酸酸性メタノ
ール中に沈澱させてポリマーを単離した。続いて濾過に
よりメタノールを除去し、室温で24時間、真空乾燥
し、シクロヘキサジエン−プロピレン共重合体が得られ
た。ポリマーの収率は91%であった。
【0149】(参考例13)予め合成した触媒A(10
9mg、0.1mmol)をグローブボックス中、室温
アルゴン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し、触媒溶
液を調製した。一方、化62式で表わされる単量体(1
4g、0.1mol)と、イソブチルビニルエーテル
(10g、0.1mol)を室温アルゴン雰囲気下でト
ルエン15ml中に溶解し、この溶液の温度を室温に保
持しつつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添
加した。重合は速やかに進行し、反応は3時間以内に完
了した。生成ポリマーのスラリーを、大量の塩酸酸性メ
タノール中に添加して沈殿させてポリマーを単離した。
続いて濾過によりメタノールを除去し、室温で24時
間、真空乾燥し、化62式の単量体とイソブチルビニル
エーテルとの共重合体が得られた。ポリマーの収率は9
0%であった。
【0150】(参考例14)予め合成した触媒A(11
09mg、0.1mmol)をグローブボックス中、室
温アルゴン雰囲気下でトルエン15mlに溶解し、触媒
溶液を調製した。一方、ノルボルネン(4.7g、0.
05mol)を室温アルゴン雰囲気下でトルエン15m
l中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持しつつ、攪
拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加した。室温
で1時間攪拌した後、引き続いて化69式で表わされる
単量体(10.8g、0.1mol)を添加した。重合
は速やかに進行し、反応は3時間以内に完了した。生成
ポリマーのスラリーを大量の塩酸酸性メタノール中に加
えて沈澱させてポリマーを単離した。続いて濾過により
メタノールを除去し、室温で24時間、真空乾燥し、所
望のノルボルネン−化69式で表される単量体のブロッ
ク共重合体が得られた。ポリマーの収率は87%であっ
た。
【0151】(参考例15)予め合成した触媒H(48
mg、0.1mmol)をグローブボックス中、室温ア
ルゴン雰囲気下でTHF15mlに溶解し、触媒溶液を
調製した。一方、1,3−シクロヘキサジエン(8g、
0.1mol)と、化57式で表わされる単量体(2
6.8g、0.1mol)を室温アルゴン雰囲気下でT
HF15ml中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持
しつつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加
した。重合は速やかに進行し、反応は24時間以内に完
了した。生成ポリマーのスラリーを、大量の塩酸酸性メ
タノール中に加えて沈澱させてポリマーを単離した。続
いて濾過によりメタノールを除去し、室温で24時間、
真空乾燥し、シクロヘキサジエン−化57式で表される
単量体の共重合体を得た。ポリマーの収率は90%であ
った。
【0152】(参考例16)予め合成した触媒F(71
mg、0.1mmol)をグローブボックス中、室温ア
ルゴン雰囲気下でトルエン200mlに溶解し、続いて
助触媒であるMMAO(Modified Methylaluminoxane;
メチルアルミノキサン約75%とイソブチルアルミノキ
サン約25%の混合物)のトルエン溶液(アルミニウム
10原子%)1.8mlを加え、触媒溶液を調製した。
一方、プロピレン(4.2g、0.1mol)を室温ア
ルゴン雰囲気下でトルエン15ml中に溶解し、この溶
液の温度を室温に保持しつつ、攪拌しながら全量を前記
触媒溶液の全量に添加した。室温で1時間攪拌し、引き
続いて1,3−シクロヘキサジエン(8g、0.1mo
l)を添加した。重合は速やかに進行し、反応は3時間
以内に完了した。生成ポリマーのスラリーを、大量の塩
酸酸性メタノール中に加えて沈澱させてポリマーを単離
した。続いて濾過によりメタノールを除去し、室温で2
4時間、真空乾燥し、所望のプロピレン−シクロヘキサ
ジエン系ブロック共重合体が得られた。ポリマーの収率
は93%であった。
【0153】(参考例17)シュレンク管中、予め合成
した触媒J(147g、0.1mol)を室温アルゴン
雰囲気下でトルエン15mlに溶解し、触媒溶液を調製
した。一方、1,3−シクロヘキサジエン(8g、0.
1mol)と、プロピレン(4.2g、0.1mol)
とメチルメタクリレート(1g、0.01mol)を室
温アルゴン雰囲気下でトルエン15ml中に溶解し、こ
の溶液の温度を室温に保持しつつ、攪拌しながら全量を
前記触媒溶液の全量に添加した。重合は速やかに進行
し、反応は24時間以内に完了した。生成ポリマーのス
ラリーを大量の塩酸酸性メタノール中に加えて沈澱させ
てポリマーを単離した。続いて濾過によりメタノールを
除去し、室温で24時間、真空乾燥し、所望のシクロヘ
キサジエン−プロピレン−メチルメタクリレート3元共
重合体が得られた。ポリマーの収率は85%であった。
【0154】(2)環状共役ジエン系重合体の水素添加 (前駆体となる環状共役ジエン系重合体の製造例a)グ
ローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下において、ビ
スアリルニッケルブロミド(触媒B)18mg、メチル
アルミノキサン0.58g、o−ジクロロベンゼン15
gを混合し、触媒溶液を調整した。一方、環状共役ジエ
ン系単量体である1,3−シクロヘキサジエン8gを同
じくグローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下で、o
−ジクロロベンゼン15g中に溶解し、この溶液の温度
を室温に保持しつつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液
の全量に添加した。重合は速やかに進行し、トルエン溶
液から粉末状のポリマーが析出した(重合反応は30分
以内に完了した)。生成ポリマーを含んだスラリーをグ
ローブボックスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノー
ルに加えて、ポリマーを沈殿させて単離した。続いて濾
過によりメタノールを除去し、室温で24時間真空乾燥
し、ポリシクロヘキサジエン7.6gが得られた。
【0155】(前駆体となる環状共役ジエン系重合体の
製造例b)グローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下
において、ビスアリルニッケルブロミド(触媒B)18
mg、メチルアルミノキサン0.58g、トルエン15
gを混合し、触媒溶液を調整した。一方、単量体である
1,3−シクロヘキサジエン8gとブタジエン10gを
室温アルゴン雰囲気下でトルエン15g中に溶解し、こ
の溶液の温度を室温に保持しつつ、攪拌しながら全量を
前記触媒溶液の全量に添加した。重合は速やかに進行
し、反応は30分以内に完了した。生成ポリマーを含ん
だ溶液をグローブボックスから取り出し、大量の塩酸酸
性メタノールに加えて、ポリマーを沈殿させて単離し
た。続いて濾過によりメタノールを除去し、室温で24
時間真空乾燥し、シクロヘキサジエン−ブタジエンコポ
リマー16gが得られた。
【0156】(前駆体となる環状共役ジエン系重合体の
製造例c)製造例bにおいて、1,3−シクロヘキサジ
エン3gとブタジエン10gを加えたことを除いて、全
く同じ操作を行った。シクロヘキサジエン−ブタジエン
コポリマーは11g得られた。
【0157】(前駆体となる環状共役ジエン系重合体の
製造例d)グローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下
において、ビスアリルニッケルブロミド(触媒B)18
mg、メチルアルミノキサン0.58g、o−ジシクロ
ベンゼン15gを混合し、触媒溶液を調整した。一方、
単量体であるノルボルネン8gを同じくグローブボック
ス中、室温アルゴン雰囲気下で、o−ジクロロベンゼン
15g中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持しつ
つ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加し
た。前記反応溶液を室温で10時間攪拌した後、更に
1,3−シクロヘキサジエン2gを添加し、ポリマーの
反応溶液を得た。生成ポリマーを含んだスラリーをグロ
ーブボックスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノール
に加えて、ポリマーを沈殿させて単離した。続いて濾過
によりメタノールを除去し、室温で24時間真空乾燥
し、ノルボルネン−シクロヘキサジエンブロックコポリ
マー9.6gが得られた。
【0158】(前駆体となる環状共役ジエン系重合体の
製造例e)製造例aにおいて、1,3−シクロヘキサジ
エンの代わりに5,6−ビス(トリメチルシロキシ)−
1,3−シクロヘキサジエンを用いたことを除いて、全
く同じ操作を行った。当該ポリマーは7.4g得られ
た。
【0159】(前駆体となる環状共役ジエン系重合体の
製造例f)製造例aにおいて、1,3−シクロヘキサジ
エン8gの代わりに1,3−シクロヘキサジエン4gと
5,6−ビス(トリメチルシロキシ)−1,3−シクロ
ヘキサジエン4gの混合物を用いたことを除いて、全く
同じ操作を行った。1,3−シクロヘキサジエン−5,
6−ビス(トリメチルシロキシ)−1,3−シクロヘキ
サジエンコポリマーは7.7g得られた。
【0160】(参考例18)製造例aにて得られた重合
体1gを窒素下でシクロヘキサン100m1と共にオー
トクレーブに導入し、水素化触媒としてジシクロペンタ
ジエニルチタニウムジクロリド(CpTiCl
0.3mmol、トリイソブチルアルミニウム1.8m
molより調整された触媒溶液を添加した。続いてオー
トクレーブ内を水素ガスで置換し、180℃に昇温した
後、水素圧85kg/cmGとして4時間水素化反応
を行った。生成ポリマーはオートクレーブから取り出し
大量の塩酸酸性メタノールに加えて、ポリマーを沈殿さ
せて単離した。続いて濾過によりメタノールを除去し、
室温で24時間真空乾燥し、水素化重合体が得られた。
1HNMRから得られた水素化率は100%であった。
【0161】(参考例19)参考例18において、製造
例bで得られたシクロヘキサジエン−ブタジエンコポリ
マーを用いたことを除いて全く同じ操作を行った。水素
化率は100%であった。
【0162】(参考例20)参考例19において、水素
化触媒をRuHCl(CO)[P(C)]を用い
たことを除いて全く同じ操作を行った。水素化率は93
%であった。
【0163】(参考例21)参考例19において、水素
化触媒をCo(acac)0.3mmolとトリイソ
ブチルアルミニウム1.8mmolを用いたことを除い
て全く同じ操作を行った。水素化率は100%であっ
た。
【0164】(参考例22)参考例19において、水素
化触媒をRuHCl(CO)[P(C)]を用い
たことを除いて全く同じ操作を行った。水素化率は93
%であった。
【0165】(参考例23)参考例18において、製造
例cで合成したポリマーを用いたことを除いて全く同じ
操作を行った。水素化率は100%であった。
【0166】(参考例24)参考例21において、製造
例cで合成したポリマーを用いたことを除いて全く同じ
操作を行った。水素化率は100%であった。
【0167】(参考例25)参考例18において、製造
例dで合成したポリマーを用いたことを除いて全く同じ
操作を行った。水素化率は100%であった。
【0168】(参考例26)参考例18において、製造
例eで合成したポリマーを用いたことを除いて全く同じ
操作を行った。水素化率は100%であった。
【0169】(参考例27)参考例21において、製造
例fで合成したポリマーを用いたことを除いて全く同じ
操作を行った。水素化率は100%であった。
【0170】(3)塩基性化合物存在下での環状共役ジ
エン系単量体の重合方法 (参考例28)グローブボックス中、室温アルゴン雰囲
気下において、ビスアリルニッケルブロミド(触媒B)
18mg、メチルアルミノキサン0.58g、トルエン
15g、THF100mgを混合し、触媒溶液を調整し
た。一方、環状共役ジエン系単量体である1,3−シク
ロヘキサジエン8gを同じくグローブボックス中、室温
アルゴン雰囲気下でトルエン15g中に溶解し、この溶
液の温度を室温に保持しつつ、攪拌しながら全量を前記
触媒溶液の全量に添加した。重合は速やかに進行し、ト
ルエン溶液から粉末状のポリマーが析出した(重合反応
は1分以内に完了した)。生成ポリマーを含んだスラリ
ーをグローブボックスから取り出し、大量の塩酸酸性メ
タノールに加えて、ポリマーを沈殿させて単離した。続
いて濾過によりメタノールを除去し、室温で24時間真
空乾燥し、ポリシクロヘキサジエン7.9g(収率99
%)が得られた。
【0171】(参考例29)参考例28のTHFを20
0mgにした以外は全く同じ操作で1,3−シクロヘキ
サジエンの重合を行なった。重合は速やかに進行し、ポ
リシクロヘキサジエン7.7g(収率96%)が得られ
た。
【0172】(参考例30)参考例28のTHFを65
mgにした以外は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサ
ジエンの重合を行なった。重合は速やかに進行し、ポリ
シクロヘキサジエン7.7g(収率96%)が得られ
た。
【0173】(参考例31)参考例28のTHF100
mgをジエチルエーテル200mgに代えたことを除い
て、全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジエンの重合
を行なった。重合は速やかに進行し、ポリシクロヘキサ
ジエン7.6g(収率95%)が得られた。
【0174】(参考例32)参考例28のTHF100
mgをジオキサン100mgに代えたことを除いて、全
く同じ操作で1,3−シクロヘキサジエンの重合を行な
った。重合は速やかに進行し、ポリシクロヘキサジエン
7.7g(収率96%)が得られた。
【0175】(比較例2)参考例28において、THF
を添加しないことを除いて全く同じ操作で1,3−シク
ロヘキサジエンの重合を行なった。重合は速やかに進行
し、ポリシクロヘキサジエンは得られたが、収量は6.
0g(収率75%)であった。この収量は重合時間を最
大24時間まで延長しても変化はなかった。
【0176】(比較例3)参考例28において、トルエ
ン30g(15g+15g)の代わりにTHF30gを
添加したことを除いて全く同じ操作で1,3−シクロヘ
キサジエンの重合を行なった。重合はほとんど進行せ
ず、24時間反応後もポリシクロヘキサジエンは痕跡量
(収率<1%)しか得られなかった。
【0177】(比較例4)参考例28において、THF
を600mg添加したことを除いて全く同じ操作で1,
3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合はほと
んど進行せず、24時間反応後もポリシクロヘキサジエ
ンは痕跡量(収率<1%)しか得られなかった。
【0178】(4)芳香族ハロゲン溶剤中での環状共役
ジエン系単量体の重合方法 (参考例33)グローブボックス中、室温アルゴン雰囲
気下において、触媒F72mg、メチルアルミノキサン
0.58g、o−ジクロロベンゼン15gを混合し、触
媒溶液を調整した。一方、環状共役ジエン系単量体であ
る1,3−シクロヘキサジエン8gを同じくグローブボ
ックス中、室温アルゴン雰囲気下で、o−ジクロロベン
ゼン15g中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持し
つつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加し
た。重合は均一な状態で速やかに進行し、重合反応は2
4時間以内に完了した。生成ポリマーを含んだ、o−ジ
クロロベンゼン溶液をグローブボックスから取り出し、
大量の塩酸酸性メタノールに加えて、ポリマーを沈殿さ
せて単離した。続いて濾過によりメタノールを除去し、
室温で24時間真空乾燥し、ポリシクロヘキサジエン
7.9g(収率99%)が得られた。
【0179】(参考例34)参考例33のo−ジクロロ
ベンゼンをクロロベンゼンにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合は
速やかに進行し、ポリシクロヘキサジエン7.3g(収
率91%)が得られた。
【0180】(参考例35)参考例33のo−ジクロロ
ベンゼンを1,2,4−トリクロロベンゼンにした以外
は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジエンの重合を
行なった。重合は速やかに進行し、ポリシクロヘキサジ
エン7.9g(収率99%)が得られた。
【0181】(参考例36)参考例33の触媒Fを触媒
Kにした以外は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジ
エンの重合を行なった。重合は速やかに進行し、ポリシ
クロヘキサジエン7.7g(収率96%)が得られた。
【0182】
【化95】
【0183】(参考例37)参考例33の触媒Fを触媒
Lにした以外は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジ
エンの重合を行なった。重合は速やかに進行し、ポリシ
クロヘキサジエン7.7g(収率96%)が得られた。
【0184】
【化96】
【0185】(参考例38)参考例33の触媒Fを触媒
Mにした以外は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジ
エンの重合を行なった。重合は速やかに進行し、ポリシ
クロヘキサジエン7.6g(収率95%)が得られた。
【0186】
【化97】
【0187】(参考例39)参考例33の触媒Fを触媒
Nにした以外は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジ
エンの重合を行なった。重合は速やかに進行し、ポリシ
クロヘキサジエン7.6g(収率95%)が得られた。
【0188】
【化98】
【0189】(参考例40)参考例33において、1,
3−シクロヘキサジエン8gを、1,3−シクロヘキサ
ジエン5gとブタジエン3gの混合物以外は全く同じ操
作で重合を行なった。重合は速やかに進行し、シクロヘ
キサジエン−ブタジエン共重合体7.9g(収率99
%)が得られた。
【0190】(比較例5)参考例33において、o−ジ
クロロベンゼンをトルエンにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。24時
間後、ポリシクロヘキサジエンの収量は0.7gであっ
た(収率9%)。
【0191】(比較例6)参考例33において、o−ジ
クロロベンゼンをベンゼンにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。24時
間後、ポリシクロヘキサジエンの収量は0.9gであっ
た(収率11%)。
【0192】(5)結晶性の高い環状共役ジエン系重合
体の製造方法 (参考例41)グローブボックス中、室温アルゴン雰囲
気下において、ビスアリルニッケルブロミド(触媒B)
18mg、メチルアルミノキサン0.58g、トルエン
15gを混合し、触媒溶液を調整した。一方、環状共役
ジエン系単量体である1,3−シクロヘキサジエン8g
を同じくグローブボックス中、室温アルゴン雰囲気下で
トルエン15g中に溶解し、この溶液の温度を室温に保
持しつつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添
加した。重合は速やかに進行し、トルエン溶液から粉末
状のポリマーが析出した(重合反応は30分以内に完了
した)。生成ポリマーを含んだスラリーをグローブボッ
クスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノールに加え
て、ポリマーを沈殿させて単離した。続いて濾過により
メタノールを除去し、室温で24時間真空乾燥し、ポリ
シクロヘキサジエン6.0g(収率75%)が得られ
た。生成ポリマーの粉末X線回折測定を行ったところ、
2θ=16.7、19.5、22.5(degree)
に強い回折ピークを示し、結晶性であることが確認され
た。
【0193】(参考例42)参考例41のトルエンをo
−ジクロロベンゼンにした以外は全く同じ操作で1,3
−シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合は速やか
に進行し、ポリシクロヘキサジエン7.6g(収率99
%)が得られた。生成ポリマーの粉末X線回折測定を行
ったところ、2θ=16.7、19.5、22.5(d
egree)に強い回折ピークを示し、結晶性であるこ
とが確認された。
【0194】(参考例43)参考例41のビスアリルニ
ッケルブロミドをビスアリルニッケルクロリドにした以
外は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジエンの重合
を行なった。重合は速やかに進行し、ポリシクロヘキサ
ジエン6.0g(収率75%)が得られた。生成ポリマ
ーの粉末X線回折測定を行ったところ、2θ=16.
7、19.5、22.5(degree)に強い回折ピ
ークを示し、結晶性であることが確認された。
【0195】(参考例44)参考例42のビスアリルニ
ッケルブロミドを触媒Fにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合は
速やかに進行し、ポリシクロヘキサジエン7.6g(収
率99%)が得られた。生成ポリマーの粉末X線回折測
定を行ったところ、2θ=16.7、19.5、22.
5(degree)に強い回折ピークを示し、結晶性で
あることが確認された。
【0196】(参考例45)参考例42のビスアリルニ
ッケルブロミドを触媒Lにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合は
速やかに進行し、ポリシクロヘキサジエン7.6g(収
率99%)が得られた。生成ポリマーの粉末X線回折測
定を行ったところ、2θ=16.7、19.5、22.
5(degree)に強い回折ピークを示し、結晶性で
あることが確認された。
【0197】(参考例46)参考例41のビスアリルニ
ッケルブロミドを、上記化81で示した触媒にした以外
は全く同じ操作で1,3−シクロヘキサジエンの重合を
行なった。重合は速やかに進行し、ポリシクロヘキサジ
エン7.0g(収率88%)が得られた。生成ポリマー
の粉末X線回折測定を行ったところ、2θ=16.7、
19.5、22.5(degree)に強い回折ピーク
を示し、結晶性であることが確認された。
【0198】(参考例47)参考例42のビスアリルニ
ッケルブロミドを、上記化81で示した触媒にした以外
は全く同じ操作で1、3−シクロヘキサジエンの重合を
行なった。重合は速やかに進行し、ポリシクロヘキサジ
エン7.9g(収率99%)が得られた。生成ポリマー
の粉末X線回折測定を行ったところ、2θ=16.7、
19.5、22.5(degree)に強い回折ピーク
を示し、結晶性であることが確認された。
【0199】(参考例48)参考例41のメチルアルミ
ノキサンをMMAO(Modified Methyl Aluminoxane;
;メチルアルミノキサンとイソブチルアルミノキサン
のコオリゴマー)にした以外は全く同じ操作で1,3−
シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合は速やかに
進行し、ポリシクロヘキサジエン6.0g(収率75
%)が得られた。生成ポリマーの粉末X線回折測定を行
ったところ、2θ=16.7、19.5、22.5(d
egree)に強い回折ピークを示し、結晶性であるこ
とが確認された。
【0200】(参考例49)参考例41のトルエンをシ
クロヘキサンにした以外は全く同じ操作で1,3−シク
ロヘキサジエンの重合を行なった。重合は速やかに進行
し、ポリシクロヘキサジエン7.3g(収率91%)が
得られた。生成ポリマーの粉末X線回折測定を行ったと
ころ、2θ=16.7、19.5、22.5(degr
ee)に強い回折ピークを示し、結晶性であることが確
認された。
【0201】(参考例50)参考例41のビスアリルニ
ッケルブロミドを触媒Nにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合は
速やかに進行し、ポリシクロヘキサジエン7.0g(収
率88%)が得られた。生成ポリマーの粉末X線回折測
定を行ったところ、2θ=16.7、19.5、22.
5(degree)に強い回折ピークを示し、結晶性で
あることが確認された。
【0202】(参考例51)参考例42のビスアリルニ
ッケルブロミドを触媒Oにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。重合は
速やかに進行し、ポリシクロヘキサジエン7.9g(収
率99%)が得られた。生成ポリマーの粉末X線回折測
定を行ったところ、2θ=16.7、19.5、22.
5(degree)に強い回折ピークを示し、結晶性で
あることが確認された。
【0203】
【化99】
【0204】(比較例7)グローブボックス中、室温ア
ルゴン雰囲気下において、n−BuLiのn−ヘキサン
溶液0.5g、テトラメチルエチレンジアミン0.32
g、シクロヘキサン15gを混合し、触媒溶液を調整し
た。一方、環状共役ジエン系単量体である1,3−シク
ロヘキサジエン8gを同じくグローブボックス中、室温
アルゴン雰囲気下でシクロヘキサン15g中に溶解し、
この溶液の全量を攪拌しながら前記触媒溶液の全量に添
加した。40℃、10時間後、反応溶液をグローブボッ
クスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノールに加え
て、ポリマーを沈殿させて単離した。続いて濾過により
メタノールを除去し、室温で24時間真空乾燥し、ポリ
シクロヘキサジエン6.9g(収率86%)が得られ
た。生成ポリマーの粉末X線回折測定を行ったところ、
非晶質を示すハローのみが得られた。
【0205】(比較例8)比較例7において、n−Bu
Liをsec−BuLiにした以外は全く同じ操作で
1,3−シクロヘキサジエンの重合を行なった。生成ポ
リマーの粉末X線回折測定を行ったところ、非晶質を示
すハローのみが得られた。
【0206】(比較例9)比較例7において、テトラメ
チルエチレンジアミンをテトラメチル−1,6−ヘキサ
ンジアミンにした以外は全く同じ操作で1,3−シクロ
ヘキサジエンの重合を行なった。生成ポリマーの粉末X
線回折測定を行ったところ。非晶質を示すハローのみが
得られた。
【0207】(6)フェニレン系重合体の製造方法 (実施例1)グローブボックス中、室温アルゴン雰囲気
下において、ビスアリルニッケルブロミド(触媒B)1
8mg、メチルアルミノキサン0.58g、o−ジクロ
ロベンゼン15gを混合し、触媒溶液を調整した。一
方、単量体であるノルボルネン5gを同じくグローブボ
ックス中、室温アルゴン雰囲気下で、o−ジクロロベン
ゼン15g中に溶解し、この溶液の温度を室温に保持し
つつ、攪拌しながら全量を前記触媒溶液の全量に添加し
た。前記反応溶液を室温で10時間机枠した後、更に
5,6−ビス(トリメチルシロキシ)−1,3−シクロ
ヘキサジエン5gを添加し、ポリマーの反応溶液を得
た。生成ポリマーを含んだスラリーをグローブボックス
から取り出し、大量の塩酸酸性メタノールに加えて、ポ
リマーを沈殿させて単離した。
【0208】続いて濾過によりメタノールを除去し、室
温で24時間真空乾燥し、ノルボルネン−5,6−ビス
(トリメチルシロキシ)−1,3−シクロヘキサジエン
ブロックコポリマー9.6gが得られた。上記ブロック
コポリマー4.5gに対し、アルゴン雰囲気下で無水Z
nCl2.5g、ジエチルエーテル250mlを加え
強力に攪拌した(1時間)。ZnClが溶解したとこ
ろで、アセチルクロリド5.6m1を加え、室温で18
時間攪拌した。続いて生成ポリマーを含んだスラリーを
グローブボックスから取り出し、大量の塩酸酸性メタノ
ールに加えて、ポリマーを沈殿させて単離した。続いて
濾過によりメタノールを除去し、室温で24時間真空乾
燥し、ノルボルネン−5,6−ビス(アセトキシ)−
1,3−シクロヘキサジエンブロックコポリマー9.4
gが得られた。本ポリマー窒素雰囲気下300℃で2時
間処理を行った結果、ノルボルネン−パラフェニレンブ
ロックコポリマーが9.1g生成した。
【0209】(実施例2)実施例1において、ノルボル
ネンの代わりにジシクロペンタジエンを用いたことを除
いて全く同じ操作を行った結果、ジシクロペンタジエン
−パラフェニレンブロックコポリマーが9.0g生成し
た。
【0210】(実施例3)実施例1において、ノルボル
ネンの代わりにエチリデンノルボルネンを用いたことを
除いて全く同じ操作を行った結果、エチリデンノルボル
ネン−パラフェニレンブロックコポリマーが9.0g生
成した。
【0211】(実施例4)実施例1において、ノルボル
ネンの代わりにテトラシクロドデセンを用いたことを除
いて全く同じ操作を行った結果、テトラシクロドデセン
−パラフェニレンブロックコポリマーが9.2g生成し
た。
【0212】(実施例5)実施例1において、触媒Bの
代わりに触媒Fを用い、ノルボルネンの代わりにプロピ
レンを用いたことを除いて全く同じ操作を行った結果、
プロピレン−パラフェニレンブロックコポリマーが8.
5g生成した。
【0213】(実施例6)実施例5において、プロピレ
ンの代わりにシクロペンテンを用いたことを除いて全く
同じ操作を行った結果、シクロペンテン−パラフェニレ
ンブロックコポリマーが8.9g生成した。
【0214】
【発明の効果】本発明によれば、Ni触媒存在下でシク
ロヘキサジエン誘導体の重合反応を行うことにより、高
い収率でフェニレン系重合体を製造するという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶性の環状共役ジエン系重合体(ポリ(1,
3−シクロヘキサジエン))のX線回折スペクトルを示
す線図。
【図2】非晶質の環状共役ジエン系重合体(ポリ(1,
3−シクロヘキサジエン))のX線回折スペクトルを示
す線図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 姚 晴 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4J032 CA34 CA68 CB03 CD02 CD09 CE03 CE24 CF01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェニレン重合体、またはフェニレンと
    二重結合含有単量体との共重合体からなるフェニレン系
    重合体であって、 フェニレン分子構造単位が1,4結合で連結されている
    ことを特徴とするフェニレン系重合体。
  2. 【請求項2】 分子構造が式(V)で示されるシクロヘ
    キサジエン誘導体 【化27】 {ただし、化27中、R32、R42は、各々独立に、
    水酸基、−O(CO)−R(R;アルキル基)、または
    トリアルキルシロキシ基(3つのアルキル基はそれぞれ
    異種でも同種でもよい。)から選ばれる基である。}、
    あるいは、該シクロヘキサジエン誘導体と二重結合含有
    単量体とを、下記の式(IV)で示される化合物、 【化28】 {ただし、Mは周期律表第8,9及び10族の遷移金属
    元素を表し、Lは1から3個のπ結合を有する配位子を
    示し、Xは少なくとも一つのσ結合と0から3個のπ結
    合を有する配位子を示し、nは0、1あるいは2であ
    り、mは0あるいは1であり、nとmとの両方が同時に
    0であることはなく、mが0のときaは2であり、mが
    1のときaは1であり、Aは、[LNiXa+
    対するアニオンを示す。}あるいは、(a)周期律表第
    8、9及び10族の遷移金属元素の遷移金属化合物と、
    (b)有機アルミニウム化合物、及び/又は(c)電子
    供与性成分とを含有する多成分型触媒を用いて重合させ
    て重合体を得る工程と、 該重合体のうちシクロヘキサジエン誘導体の分子構造単
    位における置換基を脱離させて該分子構造単位をパラフ
    ェニレンに転化する工程とからなることを特徴とするフ
    ェニレン系重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101142687B1 (ko) * 2006-03-03 2012-05-10 코오롱인더스트리 주식회사 극성 작용기를 포함하는 노보넨계 수지의 제조방법

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