JP2000351810A - 鋳型構造を有する架橋高分子及びそれを用いた吸着剤 - Google Patents

鋳型構造を有する架橋高分子及びそれを用いた吸着剤

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JP2000351810A
JP2000351810A JP11165204A JP16520499A JP2000351810A JP 2000351810 A JP2000351810 A JP 2000351810A JP 11165204 A JP11165204 A JP 11165204A JP 16520499 A JP16520499 A JP 16520499A JP 2000351810 A JP2000351810 A JP 2000351810A
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meth
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Tadashi Adachi
正 足立
Jiyunya Watanabe
純哉 渡辺
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Mitsubishi Chemical Corp
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F12/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring
    • C08F12/34Monomers containing two or more unsaturated aliphatic radicals
    • C08F12/36Divinylbenzene

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フタル酸エステル化合物に対する相互作用の
程度が高く、水中、土壌中のフタル酸エステル化合物を
含む有機化合物の吸着除去および空気中のフタル酸エス
テル化合物を含む有機ガスの吸着に有効な、鋳型構造を
有する架橋高分子を提供する。 【解決手段】 フタル酸エステル化合物に対する鋳型構
造を有する架橋高分子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の化合物に対
する鋳型構造を有する架橋高分子及びその製造方法、並
びに該化合物を用いた吸着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、内分泌学を始めとする医学、野生
動物に関する科学、環境科学等の研究者・専門家によっ
て、河川水、土壌等の環境中に存在するいくつかの化学
物質が、動物の体内のホルモン作用を攪乱することを通
じて、生殖機能を阻害したり、悪性腫瘍を引き起こすな
どの悪影響を及ぼしている可能性があるとの指摘がなさ
れている。動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、
その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を
与えるこのような外因性の物質は外因性内分泌攪乱化学
物質(環境ホルモン)と呼ばれ、重要な環境問題として
議論されているとともにその有効な除去方法の開発が望
まれている。
【0003】内分泌攪乱作用を有すると疑われている化
合物の中において、フタル酸エステル化合物は各種プラ
スチック類の可塑剤として大量に用いられるが雨水によ
り微量ながら溶解し、河川水、土壌等の環境中に存在す
ることから問題視されている。また、ゴミ焼却場から発
生する有害ガス問題や、住宅、オフィス等においては生
活空間の気密化、高断熱化に伴い建築材料などから発生
する揮発性有機化合物に起因すると見られる「シックビ
ル・ハウス症候群」問題などが取り沙汰されており、対
策の一つとして各種空気清浄器の開発が行われている
が、これらの空気中に存在する有機ガスのより効率的な
除去方法の開発が望まれている。
【0004】更には、半導体産業、医療、バイオテクノ
ロジー分野において極めて高度な清浄閉空間として用い
られるクリーンルーム、クリーンベンチ、クリーンブー
ス等の要求性能が高まっており、従来からの除去項目で
ある塵埃、粒子、エアロゾルに加えてガス汚染対策につ
いての要求が重要視されつつある。具体的には「空気清
浄」第36巻第2号,91〜103頁に記載されてお
り、特に96頁、3.1.3.凝縮物:(有機物),
(2)項に記載されるフタル酸エステル化合物が半導体
製造上の問題となっており、対策としては各種ガス吸着
剤を用いたケミカルフィルタが用いられつつある。しか
しながら現状の対策としては通常の吸着剤として用いら
れる活性炭や合成吸着剤を用いるに留まっており、上述
の物質の吸着に特化した吸着剤は存在しなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、上記特定の物質
を効率よく吸着あるいは分離するためのための架橋高分
子及びそれを用いた吸着剤を提供することを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討を行った結果、フタル酸エステル
化合物に対する鋳型構造を有する架橋高分子が、かかる
目的を達成し得ることを見いだし本発明を完成した。即
ち本発明の要旨は、フタル酸エステル化合物に対する鋳
型構造を有する架橋高分子、及びそれを用いた吸着剤、
に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明につき更に詳細に説
明する。本発明における架橋高分子は、フタル酸エステ
ル化合物に対する鋳型構造を有することを特徴とする。
フタル酸エステル化合物としてはフタル酸ジメチル、フ
タル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベ
ンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジ(2−
エチルヘキシル)、フタル酸ジオクチル等が挙げられる
が、その中でもフタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エ
チルヘキシル)、フタル酸ジオクチルが挙げられる。
【0008】上記フタル酸エステル化合物に対する鋳型
構造を有する架橋高分子の作成方法としては、対象と
なる化合物と架橋性重合性単量体を含む重合性単量体混
合物とを混合し、該重合性単量体混合物を重合させるこ
とにより、化合物に対する鋳型構造を有する架橋高分子
を形成させる、化合物と重合体とを混合し、該重合体
を架橋反応させることにより、化合物に対する鋳型構造
を有する架橋高分子を形成させる、等の鋳型重合法が知
られている(例えば、G. Wulffら、Ange
w. Chem., Vol.84, p364, 1
972年)。
【0009】また、架橋高分子の組成としては、フタル
酸エステル化合物に対する鋳型構造を形成することが可
能であれば何等限定を受けるものではなく、デキストラ
ン、セルロース、キトサン等の天然高分子系架橋高分子
およびポリスチレン、ポリ(フタル酸ジアルケニルエス
テル)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルアルコール等の合成高分子系架橋高分
子等が挙げられるが、工業的な生産性を考慮すると特に
ポリスチレン、ポリ(フタル酸ジアルケニルエステ
ル)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の合成高分子
系架橋高分子が好ましく、更にはポリビニル単量体を含
むビニル単量体(混合物)のラジカル重合法にて得られ
る架橋高分子が好ましく用いられる。架橋高分子の形態
については破砕状、球状、繊維状の何れも取りうるが吸
着剤として用いる場合の吸着特性や通液、通気特性を高
めるためには球状もしくは繊維状形態が好ましい。
【0010】また、球状形態の場合、架橋高分子の粒子
径については1μm以上2mm以下、好ましくは10μ
m以上1mm以下である。ポリビニル単量体を含むビニ
ル単量体(混合物)のラジカル重合法にて架橋高分子を
製造する場合において用いられるポリビニル単量体とし
ては、芳香族ポリビニル単量体、脂肪族ポリビニル単量
体が好適であり、芳香族ポリビニル単量体としては、ジ
ビニルベンゼン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ジビ
ニルナフタレン、2,4,6−トリビニルエチルベンゼ
ン等が、脂肪族ポリビニル単量体としては多価アルコー
ルのポリ(メタ)アクリル酸エステルやポリ(メタ)ア
クリルアミドおよびアルケニルアルコールのフタル酸ジ
エステルが挙げられるが、その中においてジビニルベン
ゼン、多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステ
ルが工業的生産性から、またアルケニルアルコールのフ
タル酸ジエステルがフタル酸エステル化合物に対する構
造類似性の点から好ましく用いられる。なお、これらの
ポリビニル単量体は単独でも二種類以上の混合において
も用いることが出来る。
【0011】また、ビニル単量体としては、(メタ)ア
クリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン
酸類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸フェニル、
(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)ア
クリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミ
ノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の(メ
タ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)
アクリルアミド誘導体;スチレン、メチルスチレン、α
−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチ
レン等のスチレン及びそのアルキルまたはハロゲン置換
体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステ
ル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等
のビニルエーテル類;アリルアルコール及びそのエステ
ルまたはエーテル類;(メタ)アクリロニトリル、ビニ
ルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルピリジ
ン、ビニルピロリドン等、その他のビニル化合物;等が
挙げられ、これらのビニル単量体は単独でも二種類以上
の混合においても用いることが出来る。
【0012】ポリビニル単量体を含むビニル単量体(混
合物)におけるポリビニル単量体の割合はビニル単量体
(混合物)の2〜100重量%が好ましい。2%以下の
場合は製造される架橋高分子の強度およびフタル酸エス
テル化合物に対する鋳型構造の保持が困難になり好まし
くない。
【0013】既に述べたとおり、本発明の架橋高分子は
フタル酸エステル化合物に対する鋳型構造を有する必要
があるが、その具体的方法としてはポリビニル単量体を
含むビニル単量体(混合物)、フタル酸エステル化合物
およびラジカル重合開始剤の混合物をラジカル重合する
方法が好ましい。フタル酸エステル化合物のポリビニル
単量体を含むビニル単量体(混合物)に対する割合につ
いては10〜300重量%、好ましくは20〜200重
量%であり、10重量%未満の場合は得られる架橋高分
子中のフタル酸エステル化合物に対する鋳型構造の形成
量が少なすぎ、一方300重量%を越える場合は重合系
が不安定になり凝集等の影響が生じ得るため好ましくな
い。
【0014】また、ラジカル重合の実施における温度に
ついては、得られる架橋高分子のガラス転移点温度より
低い温度にてラジカル重合反応を行うことがフタル酸エ
ステル化合物に対する鋳型構造を保持するために好まし
い。また、重合時間は、重合開始剤の半減期前後、又は
それ以上が好ましく、例えば、3時間〜48時間が好ま
しい。
【0015】ラジカル重合法にて用いられる開始剤とし
ては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等のアゾ系
重合開始剤;t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−
ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−イ
ソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペル
オキシイソブチレート及び過酸化水素、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物系重合開始剤また
はこれらにアミン、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添
加した系;等を挙げることが出来るが、得られる架橋高
分子のガラス転移点温度より低い10時間半減期温度を
有するラジカル重合開始剤を用いることが工業的生産性
を保持し、かつ形成したフタル酸エステル化合物に対す
る鋳型構造を保持するためには好ましい。
【0016】また、重合の形態としては塊状重合法、溶
液重合法、分散重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙
げられるが、重合の制御の容易さ、また吸着剤として用
いる場合の性能から考慮すると分散重合法、乳化重合
法、懸濁重合法が好ましく、工業的に特に好ましくは懸
濁重合法が用いられる。また必要に応じて更にシード重
合法を組み合わせる方法も用いうる。
【0017】上述の方法により重合されて得られた架橋
高分子は、鋳型形成に用いられたフタル酸エステル化合
物および未重合成分、開始剤分解残存物、不純物等を洗
浄後、乾燥することによりその後の使用に供されるが、
洗浄工程において用いる溶媒としては得られた架橋高分
子に対し、その非架橋高分子に対する良溶媒にて洗浄
後、その非架橋高分子に対する貧溶媒にて洗浄すること
が形成したフタル酸エステル化合物に対する鋳型構造を
保持するためには好ましい。
【0018】この理由については「高分子論文集:第4
6巻第1号、29〜35頁」の35頁の(1)〜(5)
に記載のように非架橋高分子に対する良溶媒を用いて洗
浄する場合、良溶媒は架橋高分子中に多く含有されるこ
とにより溶媒含有架橋高分子のガラス転移点温度が低下
し、高分子鎖の可動性が高くなるために形成したフタル
酸エステル化合物に対する鋳型構造を復元する効果があ
り、次いで非架橋高分子に対する貧溶媒を用いて洗浄す
ることにより架橋高分子が収縮し溶媒含有架橋高分子の
ガラス転移点温度が上昇し孔構造が固定され、その状態
にて乾燥工程を行うことにより形成したフタル酸エステ
ル化合物に対する鋳型構造を維持したまま乾燥されるた
めと推定される。
【0019】更に乾燥工程においては得られた架橋高分
子のガラス転移点温度以下の温度下にて乾燥することが
形成したフタル酸エステル化合物に対する鋳型構造を保
持するためには好ましい。この理由については「高分子
論文集:第46巻第1号、29〜35頁」の34頁に記
載のように多孔質形成のために用いた希釈剤の可塑化効
果に起因する孔構造が変化しやすいことが挙げられる。
【0020】上述のようにして製造された架橋高分子の
フタル酸エステル化合物に対する鋳型構造の確認方法の
一つとして、該架橋高分子をクロマトグラフィー用カラ
ムに充填し、該フタル酸エステル化合物を試料として逆
相液体クロマトグラフィー分析法にて評価し、その保持
挙動を該フタル酸エステル化合物に対する鋳型構造を有
しない以外はその化学組成が該架橋高分子と同一である
架橋高分子と比較する方法が挙げられる。その場合、フ
タル酸エステル化合物に対する鋳型構造を有する架橋高
分子は鋳型構造を有しない架橋高分子に比べて該フタル
酸エステル化合物に対する相互作用が強くなる。
【0021】上述のようにして製造された架橋高分子
は、水中に溶解した状態で存在するフタル酸エステル化
合物を含む有機化合物を吸着する吸着剤として用いるこ
とが可能であり、その実施形態としては該吸着剤を充填
したカラムへの通液法が挙げられる。更には該吸着剤を
用いることにより、水中に溶解した状態で存在するフタ
ル酸エステル化合物を含む有機化合物を効率的に吸着除
去する方法が提供される。
【0022】また、上述のようにして製造された架橋高
分子は、土壌中に存在するフタル酸エステル化合物を含
む有機化合物の吸着剤として用いることが可能であり、
その実施形態の一例としては該吸着剤を不織布中に担持
させ、一定期間土壌中に埋入させる方法が挙げられる。
更には該吸着剤を用いることにより、土壌中に存在する
フタル酸エステル化合物を含む有機化合物を効率的に吸
着除去する方法が提供される。
【0023】更には、上述のようにして製造された架橋
高分子は、空気中に存在するフタル酸エステル化合物を
含む有機化合物を吸着することが可能であることからガ
ス吸着剤として好適に用いられ、その使用形態としては
該ガス吸着剤を不織布中および多孔性ウレタンフォーム
表面に担持したケミカルフィルターが好ましく採用され
る。更には該ケミカルフィルターを用いることによりフ
タル酸エステル化合物を含む空気中の有機ガスを効率的
に吸着する方法が提供される。
【0024】
【実施例】以下に実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、これら実施例によって限定されるものではない。 実施例1(フタル酸エステル化合物に対する鋳型構造を
有する架橋高分子の製造 撹拌器、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入管を備
えた邪魔板付き反応器中に濃度20ppmの亜硝酸ナト
リウムを含む0.5重量%ポリビニルアルコール158
8mlを入れ懸濁重合浴とした。次いでポリビニル単量
体である工業用ジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン純
度56%、残りはエチルビニルベンゼン)350重量
部、フタル酸エステル化合物であるフタル酸ジブチル3
50重量部、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半
減温度51℃)5.25重量部から成る混合物を入れ、
攪拌により分散液滴を形成した。これを窒素通気下に2
5℃から70℃まで昇温し、70℃にて8時間保持する
ことにより懸濁重合反応を行い球状架橋ポリジビニルベ
ンゼン粒子を得た。
【0025】得られた球状架橋ポリジビニルベンゼン粒
子を単離後、その非架橋高分子であるポリエチルビニル
ベンゼンに対する良溶媒であるテトラヒドロフラン10
00mlにて洗浄し、次いでポリエチルビニルベンゼン
に対する貧溶媒であるメタノール1000mlにて3回
洗浄することにより鋳型形成に用いられたフタル酸ジブ
チルおよび未重合成分、開始剤分解残存物、不純物等を
除去した。洗浄後の球状架橋ポリジビニルベンゼン粒子
はそのガラス転移点温度である194℃より低い60℃
にて減圧乾燥され、その収量は334重量部であった。
この球状架橋ポリジビニルベンゼン粒子のBET法にて
測定した比表面積は530.5m2 /gであり、多孔質
構造を有していた。
【0026】実施例2(逆相液体クロマトグラフィー分
離方法による鋳型構造の確認) 実施例1で得られた架橋高分子粒子を内径7.5mm、
長さ300mmのステンレスカラムに充填し、メタノー
ルを溶離液として流速1.0ml/minにて通液し、
鋳型構造形成に用いたフタル酸ジブチルとトルエンおよ
び間隙容量算出用の試料である亜硝酸ナトリウム水溶液
の逆相液体クロマトグラフィー分析を行った。検出方法
は254nmの紫外検出器にて行った。各試料について
の保持比(k’)は以下の式により算出した。 k’=[(各試料の溶離容量)−(亜硝酸ナトリウムの
溶離容量)]/[(亜硝酸ナトリウムの溶離容量)] また、フタル酸ジブチルとトルエンとの選択性を示す分
離係数(α)は以下の式により算出した。 α=[フタル酸ジブチルに対する保持比]/[トルエン
に対する保持比] 各試料の保持比(k’)と分離係数(α)とを表1に示
す。
【0027】実施例3(水中でのフタル酸ジアルキルエ
ステルの吸着) 実施例1で得られた架橋高分子粒子を内径7.5mm、
長さ300mmのステンレスカラムに充填し、水を溶離
液として流速2.0ml/minにて通液し、鋳型構造
形成に用いたフタル酸ジブチルを10μl注入し、25
4nmの紫外検出器にてモニターしたところ、注入後1
00分間の通液(カラム体積の約15倍量)ではフタル
酸ジブチルに由来するピークを得ることが出来なかっ
た。このことから実施例1で得られた架橋高分子は水中
のフタル酸ジアルキルエステルの吸着剤として使用可能
であることが明らかである。
【0028】実施例4(フタル酸エステル化合物に対す
る鋳型構造を有する架橋高分子の製造 撹拌器、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入管を備
えた邪魔板付き反応器中に濃度20ppmの亜硝酸ナト
リウムを含む0.5重量%ポリビニルアルコール164
1mlを入れ懸濁重合浴とした。次いでポリビニル単量
体である工業用ジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン純
度56%、残りはエチルビニルベンゼン)350重量
部、フタル酸エステル化合物であるフタル酸ジオクチル
350重量部、ラジカル重合開始剤として2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間
半減温度51℃)5.25重量部から成る混合物を入
れ、攪拌により分散液滴を形成した。これを窒素通気下
に25℃から70℃まで昇温し、70℃にて8時間保持
することにより懸濁重合反応を行い球状架橋ポリジビニ
ルベンゼン粒子を得た。
【0029】得られた球状架橋ポリジビニルベンゼン粒
子を単離後、その非架橋高分子であるポリエチルビニル
ベンゼンに対する良溶媒であるテトラヒドロフラン10
00mlにて洗浄し、次いでポリエチルビニルベンゼン
に対する貧溶媒であるメタノール1000mlにて3回
洗浄することにより鋳型形成に用いられたフタル酸オク
チルおよび未重合成分、開始剤分解残存物、不純物等を
除去した。洗浄後の球状架橋ポリジビニルベンゼン粒子
はそのガラス転移点温度である194℃より低い60℃
にて減圧乾燥され、その収量は335重量部であった。
この球状架橋ポリジビニルベンゼン粒子のBET法にて
測定した比表面積は461.5m2 /gであり、多孔質
構造を有していた。
【0030】比較例1(フタル酸エステル化合物に対す
る鋳型構造を有しない架橋高分子の製造) 撹拌器、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入管を備
えた邪魔板付き反応器中に濃度20ppmの亜硝酸ナト
リウムを含む0.5重量%ポリビニルアルコール174
0mlを入れ懸濁重合浴とした。次いでポリビニル単量
体である工業用ジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン純
度56%、残りはエチルビニルベンゼン)350重量
部、希釈剤であるトルエン350重量部、ラジカル重合
開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)(10時間半減温度51℃)5.25重
量部から成る混合物を入れ、攪拌により分散液滴を形成
した。これを窒素通気下に25℃から70℃まで昇温
し、70℃にて8時間保持することにより懸濁重合反応
を行い球状架橋ポリジビニルベンゼン粒子を得た。
【0031】得られた球状架橋ポリジビニルベンゼン粒
子を単離後、その非架橋高分子であるポリエチルビニル
ベンゼンに対する良溶媒であるテトラヒドロフラン10
00mlにて洗浄し、次いでポリエチルビニルベンゼン
に対する貧溶媒であるメタノール1000mlにて3回
洗浄することによりトルエンおよび未重合成分、開始剤
分解残存物、不純物等を除去した。洗浄後の球状架橋ポ
リジビニルベンゼン粒子はそのガラス転移点温度である
194℃より低い60℃にて減圧乾燥され、その収量は
335重量部であった。この球状架橋ポリジビニルベン
ゼン粒子のBET法にて測定した比表面積は473.8
2 /gであり、多孔質構造を有していた。
【0032】比較例2(逆相液体クロマトグラフィー分
離方法による鋳型構造の確認) 比較例1で得られた架橋高分子粒子を内径7.5mm、
長さ300mmのステンレスカラムに充填し、メタノー
ルを溶離液として流速1.0ml/minにて通液し、
実施例2と同様の方法にてフタル酸ジブチルとトルエン
および間隙容量算出用の試料である亜硝酸ナトリウム水
溶液の逆相液体クロマトグラフィー分析を行った。各試
料の保持比(k’)と分離係数(α)とを表−1に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】表−1にてフタル酸ジブチルとトルエンと
の選択性を示す分離係数(α)の比較より、実施例1で
得られた架橋高分子は比較例1で得られた架橋高分子に
比べてフタル酸ジブチルに対する相互作用の程度が高
く、フタル酸ジブチルに対する鋳型構造が存在すると判
断できる。
【0035】
【発明の効果】本発明で得られる架橋高分子は、フタル
酸エステル化合物に対する鋳型構造を有し、該フタル酸
エステル化合物に対する相互作用の程度が高いことから
水中、土壌中のフタル酸エステル化合物を含む有機化合
物の吸着除去および空気中のフタル酸エステル化合物を
含む有機ガスの吸着に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D017 AA01 BA04 CA13 CB01 DA01 DA03 4J100 AB02P AB07P AB08P AB15P AB16P AD03P AE03P AE04P AE13P AG02P AG04P AG70P AJ02P AL03P AL04P AL08P AL09P AM02P AM15P AM19P AP00P AQ08P AQ12P BA29P BA56P BB01P BC43P BC45P BC48P BC53P BC54P CA01 CA04 CA31 DA25 FA03 GC25 GC35 HA53 HC36 JA00 JA15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フタル酸エステル化合物に対する鋳型構
    造を有する架橋高分子。
  2. 【請求項2】ポリビニル単量体を含むビニル単量体(混
    合物)のラジカル重合法にて得られる請求項1に記載の
    架橋高分子の製造方法。
  3. 【請求項3】ポリビニル単量体がジビニルベンゼン、多
    価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステル及びア
    ルケニルアルコールのフタル酸ジエステルから選ばれる
    少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載
    の架橋高分子の製造方法。
  4. 【請求項4】ポリビニル単量体を含むビニル単量体(混
    合物)、フタル酸エステル化合物及びラジカル重合開始
    剤の混合物をラジカル重合することを特徴とする請求項
    2又は3に記載の架橋高分子の製造方法。
  5. 【請求項5】得られる架橋高分子のガラス転移点温度よ
    り低い温度にてラジカル重合反応を行うことを特徴とす
    る請求項2〜4のいずれかに記載の架橋高分子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】得られる架橋高分子のガラス転移点温度よ
    り低い10時間半減期温度を有するラジカル重合開始剤
    を用いてラジカル重合反応を行うことを特徴とする請求
    項2〜5のいずれかに記載の架橋高分子の製造方法。
  7. 【請求項7】得られた架橋高分子に対し、その非架橋高
    分子に対する良溶媒にて洗浄後、その非架橋高分子に対
    する貧溶媒にて洗浄した後に得られた架橋高分子のガラ
    ス転移点温度以下の温度下にて乾燥することを特徴とす
    る請求項2〜6のいずれかに記載の架橋高分子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の架橋高分子を用い、水中
    に溶解した状態で存在するフタル酸エステル化合物を含
    む有機化合物を吸着することを特徴とする吸着剤。
JP11165204A 1999-06-11 1999-06-11 鋳型構造を有する架橋高分子及びそれを用いた吸着剤 Pending JP2000351810A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105181868A (zh) * 2015-09-15 2015-12-23 广东中烟工业有限责任公司 同时测定水基胶中13种苯系物和邻苯二甲酸酯类化合物的方法和应用
WO2023054507A1 (ja) * 2021-09-29 2023-04-06 株式会社ダイセル カラムクロマトグラフィー用固定相の製造方法

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