JP2000351669A - LaGaO3系焼結体及びその製造方法 - Google Patents

LaGaO3系焼結体及びその製造方法

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JP2000351669A
JP2000351669A JP11159512A JP15951299A JP2000351669A JP 2000351669 A JP2000351669 A JP 2000351669A JP 11159512 A JP11159512 A JP 11159512A JP 15951299 A JP15951299 A JP 15951299A JP 2000351669 A JP2000351669 A JP 2000351669A
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Hiroteru Fujita
弘輝 藤田
Takaharu Inoue
隆治 井上
Takafumi Oshima
崇文 大島
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼結体密度が高く、緻密なLaGaO3系焼
結体及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 出発原料として、平均粒径が1.7μm
以下のLaGaO3系酸化物粉末を用いて、LaGaO3
系焼結体を製造する。そして、このLaGaO3系焼結
体に対して、JIS B 0601の規定に従って表面
の粗さを測定して粗さ曲線を求め、その粗さ曲線の平均
線より凹の部分を表面凹部として、そのサイズを測定す
ると、10μm未満のサイズの表面凹部が全表面凹部数
の50%以上であり、また、焼結密度は理論密度の94
%以上であり、非常に緻密なLaGaO3系焼結体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばセンサデバ
イスに用いることができるLaGaO3系焼結体及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、センサなどに使用される固体
電解質として、安定化ジルコニア(YSZ)が知られて
おり、幅広く使用されているが、高いイオン伝導性を得
るためには、作動温度を高くする必要がある。つまり、
この安定化ジルコニアは、温度が低くなると酸素イオン
伝導性が急激に低下するという問題がある。
【0003】一方、近年では、安定化ジルコニアよりも
高い酸素イオン伝導性が得られる物質として、ランタン
ガリウムペロブスカイト複酸化物の焼結体、即ちランタ
ンガレート系焼結体(LaGaO3系焼結体)が注目さ
れており、多くの研究がなされている。
【0004】このLaGaO3系焼結体とは、LaやG
aの一部が、それより低原子価のSrやMg等に、置換
固溶により置き代わったものであり、これにより、焼結
体の酸素イオン伝導性が大きくなる性質を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このL
aGaO3系焼結体は、焼結させることが難しい材料で
あり、1500℃以上の高温で焼成しても、焼結体中に
ポアが凝集し、緻密な焼結体が得られにくいという問題
がある。
【0006】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れたものであり、焼結体密度が高く、緻密なLaGaO
3系焼結体及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】出発原料であるLaGa
3系粉末の粒径が大きいと、(出発原料の粉末を成形
した)成形体及びその焼結体にクラックが発生し、ま
た、焼結体のSEM観察では、ポアが凝集していること
が認められ、緻密な焼結体を得ることが難しい。
【0008】そこで、本発明者らは、出発原料の粒径を
例えば湿式粉砕により制御した結果、出発原料であるL
aGaO3系粉末の平均粒径が1.7μm以下(但し0
μmを除く)である粉末を用いた焼結体では、理論密度
の94%以上に焼結した緻密な焼結体が得られることを
見い出し、この知見に基づいて本発明を完成した。以下
各請求項毎に説明する。
【0009】(1)請求項1の発明は、LaGaO3
焼結体の表面に対し、JIS B 0601の規定にお
ける粗さ曲線の平均線より凹の部分を表面凹部として、
そのサイズを測定した表面凹部のうち、10μm未満
(但し0μmを除く)のサイズの表面凹部が、全表面凹
部数の50%以上であることを特徴とするLaGaO3
系焼結体を要旨とする。
【0010】本発明では、10μm未満のサイズの表面
凹部が、全表面凹部数の50%以上を占めるので、La
GaO3系焼結体は非常に緻密である。従って、クラッ
ク等の不具合が少なく、高い強度や耐久性や高酸素イオ
ン伝導性等の優れた性能を有するので、例えばセンサデ
バイス等に最適である。
【0011】・ここで、LaGaO3系焼結体の表面と
は、粗さ曲線や表面凹部のサイズ等を得るための測定の
対象となる表面のことである。従って、LaGaO3
焼結体の外表面を示す表面以外に、測定等のためにLa
GaO3系焼結体を切断し、その切断面の表面が上述し
た特徴を有する場合も、本発明の範囲である。
【0012】・前記JIS B 0601の規定におけ
る粗さ曲線とは、「断面曲線から所定の波長より長い表
面うねり成分をカットオフした曲線」のことである。
尚、前記断面曲線とは、「被測定面に垂直な平面で被測
定面を切断したとき、その切り口に現れる曲線」のこと
である。
【0013】・また、前記粗さ曲線の平均値とは、「前
記粗さ曲線の抜取り部分において、被測定面の幾何学的
形状をもつ直線又は直線で、かつ、その線から粗さ曲線
までの偏差の二乗和が最小になるように設定した線」の
ことである。 ・更に、前記粗さ曲線の平均値より凹の部分とは、「断
面曲線の谷」の「断面曲線」を「粗さ曲線」に置き換え
たものに相当するものであり、ここでは、「粗さ曲線を
その平均線で切断したとき、それらの交差点の隣合う2
点を結ぶ粗さ曲線のうち、平均線に対し実体がへこんで
いる部分」と定義することができる。
【0014】尚、本発明では、この凹の部分を表面凹部
と称する(以下同様)。この表面凹部は、焼結体中にも
存在するポアが表面に露出したものと考えられる。 (2)請求項2の発明は、焼結密度が理論密度の94%
以上であることを特徴とする前記請求項1に記載のLa
GaO3系焼結体を要旨とする。
【0015】つまり、本発明では、ポアが小さい(従っ
て表面凹部も小さい)ので、理論密度に対する焼結密度
の割合(密度比=理論密度比)は、94%以上の緻密な
焼結体である。 (3)請求項3の発明は、前記10μm未満(但し0μ
mを除く)のサイズの表面凹部が、全表面凹部数の87
%以上であることを特徴とする前記請求項1又は2に記
載のLaGaO3系焼結体を要旨とする。
【0016】本発明は、より好ましいLaGaO3系焼
結体を示している。つまり、この焼結体では、ポアが極
めて小さく均一に分布している(従って表面凹部も極め
て小さく均一に分布している)ので、前記請求項1又は
2の焼結体よりも一層優れた高い強度や耐久性等の性質
を備えている。
【0017】(4)請求項4の発明は、焼結密度が理論
密度の97%以上であることを特徴とする前記請求項3
に記載のLaGaO3系焼結体を要旨とする。本発明で
は、ポアが小さい(従って表面凹部も小さい)ので、理
論密度比が94%以上の非常に緻密な焼結体である。
【0018】(5)請求項5の発明は、出発原料とし
て、平均粒径が1.7μm以下(但し0μmを除く)の
LaGaO3系粉末を用いて製造したことを特徴とする
前記請求項1〜4のいずれかに記載のLaGaO3系焼
結体を要旨とする。
【0019】本発明のLaGaO3系焼結体は、出発原
料として、平均粒径が1.7μm以下のLaGaO3
粉末を用いて製造したものである。ここで、出発原料の
粉末とは、成形体を形成する際に使用する原料の粉末の
ことであり、この粉末に溶液を加えて(又は直接に)成
形することにより成形体を作製することができる。
【0020】本発明では、平均粒径を1.7μm以下と
することにより、10μm未満のサイズの表面凹部が全
表面凹部数の50%以上の緻密なLaGaO3系焼結体
が得られるが、平均粒径をより小さく(例えば1.4μ
m以下)とすることにより、10μm未満のサイズの表
面凹部が全表面凹部数の87%以上の一層緻密なLaG
aO3系焼結体が得られる。
【0021】従って、平均粒径のより好ましい範囲とし
ては、1.4μm以下が挙げられる。 (6)請求項6の発明は、焼結密度が理論密度の94%
以上であることを特徴とする前記請求項5に記載のLa
GaO3系焼結体を特徴とするLaGaO3系焼結体を要
旨とする。
【0022】ここでは、平均粒径を1.7μm以下とす
ることにより、理論密度比が94%以上の緻密なLaG
aO3系焼結体が得られる。 (7)請求項7の発明は、焼結密度が理論密度の97%
以上であることを特徴とする前記請求項6に記載のLa
GaO3系焼結体を要旨とする。
【0023】ここでは、平均粒径を前記1.7μm以下
より小さく(例えば1.4μm以下)とすることによ
り、理論密度比が97%以上の一層緻密なLaGaO3
系焼結体が得られる。 (8)請求項8の発明は、前記請求項1〜4のいずれか
に記載のLaGaO3系焼結体の製造方法であって、前
記出発原料として、平均粒径が1.7μm以下(但し0
μmを除く)のLaGaO3系粉末を用いることを特徴
とするLaGaO3系焼結体の製造方法を要旨とする。
【0024】上述した様に、(成形体の形成に使用す
る)出発原料の粉末の平均粒径を1.7μm以下とする
ことにより、前記請求項1に記載した様な、10μm未
満のサイズの表面凹部が全表面凹部数の50%以上で、
理論密度比が94%以上の緻密なLaGaO3系焼結体
が得られる。更に、平均粒径をより小さく(例えば1.
4μm以下)とすることにより、10μm未満のサイズ
の表面凹部が全表面凹部数の87%以上で、理論密度比
が97%以上の一層緻密なLaGaO3系焼結体が得ら
れる。
【0025】尚、LaGaO3系焼結体の製造方法で
は、下記の手法〜を採用できる。 前記出発原料のLaGaO3系粉末を作製する方法と
しては、既存の共沈法、ゾルゲル法、直接噴霧燃焼法等
の合成方法を採用できる。前記共沈法とは、水溶液状態
で均一に混合した後に、溶解度の変化を利用して、化学
的に混合成分を共に固相として析出させる方法である。
【0026】ゾルゲル法とは、必要な成分を水溶液で混
合するか、一部を微粉末で水溶液と混合してゾル状態と
した後、その混合状態を保ったまま脱水してゲル化し、
更に仮焼成して酸化物粉末とする方法である。直接噴霧
燃焼法とは、微粉末原料の水やバインダー、その他の添
加剤を加えて泥しょうとし、これを熱風を送って乾燥し
てある乾燥塔中にノズルや回転円板などのアトマイザー
によって、噴霧、飛散させ、液滴の自由表面の形状であ
る球形としながら、瞬時に乾燥固化させる方法である。
【0027】前記出発原料のLaGaO3系粉末は、
例えば湿式粉砕して使用され、これにより粉末の平均粒
径を制御できる。具体的には、LaGaO3系粉末を樹
脂性ポットに投入し、鉄芯入り樹脂ボール、あるいは、
窒化珪素、ジルコニア、アルミナ等のセラミックボール
を使用して、湿式粉砕する。
【0028】この湿式粉砕の場合には、樹脂性ポットを
使用するとともに、鉄芯入り樹脂ボール又はセラミック
ボールを使用するので、粉砕粉末中に剥離した樹脂が混
入したとしても、焼結時には消失してしまい、焼結体組
成に悪影響を及ぼすことがない。
【0029】湿式粉砕された材料を用いて成形体を形
成し、該成形体を焼成してLaGaO3系焼結体を作製
する。つまり、前記LaGaO3系粉末の粉砕に、溶剤
中の湿式粉砕を採用することにより、出発物質に含まれ
る含水性のLa化合物を変質させず、安定な材料を供給
できるという利点がある。
【0030】前記溶剤としては、エタノール、アセトン
等の有機溶剤を用いることができるが、例えば水を使用
することも可能である。ここで、上述したLaGaO3
系粉末としては、LaGaO3系酸化物粉末を用いるこ
とが好ましい。
【0031】このLaGaO3系酸化物粉末としては、
LaGaO3において、LaやGaの一部をSrやMg
等により置換固溶した物質である、La1-xSrxGa
1-yMgy3、La1-x-yLnxSryGa1-zMgz3
及びLa1-xSrxGa0.8Mg0.2- yCoy3のうち、1
種以上の粉末を用いることができる。
【0032】尚、前記本発明のLaGaO3系焼結体が
適用できるセンサデバイスとしては、酸素センサ、炭化
水素センサ、窒素酸化物センサが挙げられる。
【0033】
【発明の実施の形態】次に、本発明のLaGaO3系焼
結体及びその製造方法の実施の形態の例(実施例)につ
いて説明する。 (実施例)本実施例にかかわるLaGaO3系焼結体
は、例えば酸素センサの様なセンサデバイスに使用され
るものである。
【0034】ここでは、LaGaO3系焼結体として、
La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23を例に挙げる。 a)まず、LaGaO3系焼結体の製造方法について説
明する。 (i)La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23の化学量論組成に
なるように、出発物質として、ランタン(La)、スト
ロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)及びマグネシウ
ム(Mg)の各々の元素の硝酸塩を秤量した。
【0035】次に、秤量した物質を、所定量の純水に溶
解させ、pHを調整することによって共沈させた沈澱物
を、例えば濾過、乾燥、仮焼成、粉砕等の通常の工程を
経て、出発原料のLaGaO3系酸化物粉末を調製し
た。 (ii)次に、出発原料の粒径を制御するために、LaGa
3系酸化物粉末を溶剤中で湿式粉砕した。具体的に
は、LaGaO3系酸化物粉末と、溶剤と、玉石とを樹
脂ポットに投入して1時間湿式混合し、得られた泥しょ
うをステンレスボールに移し替え、ヒータを投入して湯
せん乾燥を行い、60メッシュのふるいを通して、出発
原料のLaGaO3系酸化物粉末の粒径を調整した。
【0036】この出発原料の粒径の制御は、用いた玉石
の種類によって行った。つまり、粒径の小さなものに制
御する場合には、玉石にアルミナや窒化珪素のセラミッ
クボールを使用し、あまり粒径を小さく制御しない場合
には、樹脂ボールを使用した。
【0037】この方法により、下記表1に記載する様
に、本発明の範囲内の実施例の試料No.1〜3のLaG
aO3系酸化物粉末の試料を作成した。また、本発明の
範囲外の比較例として、平均粒径の異なる試料No.4も
作成した。この試料No.4は湿式粉砕を行わなかった。
【0038】尚、前記LaGaO3系酸化物粉末の平均
粒径は、HORIBAレーザー回折式粒度分布測定LA
−500を用いて測定した。 (iii)次に、各試料をそれぞれ60g用意し、金型で縦
70mm×横70mm×厚み10mmに成形し、この成
形体をポリウレタン製の袋に入れ、真空パックした後、
圧力1500トンで10秒間静水圧プレス(CIP)を
行った。
【0039】(iv)この成形体を、大気中で1500℃に
て3時間焼成し、各試料のLaGaO3系焼結体を得
た。 b)次に、上述した方法で製造されたLaGaO3系焼
結体の特性について説明する。
【0040】焼結体の密度 まず、LaGaO3系焼結体の密度(焼結密度)をアル
キメデス法により測定した。また、その密度と理論密度
との密度比(理論密度比=密度/理論密度)を求めた。
その結果を同じく下記表1に記す。尚、La0.9Sr0.1
Ga0.8Mg0.23の理論密度は、6.65g/cm3
ある。
【0041】
【表1】
【0042】この表1から明らかなように、出発原料で
あるLaGaO3系酸化物粉末の平均粒径が1.7μm
以下の場合には、緻密なLaGaO3系焼結体が得られ
ることが分かる。つまり、平均粒径が1.7μm以下の
出発原料を用いたLaGaO3系焼結体は、その焼結密
度が理論密度に対して94%以上に焼結した緻密な焼結
体になることがわかる。特に、平均粒径が1.4μm以
下の出発原料を用いたLaGaO 3系焼結体は、その焼
結密度が理論密度に対して97%以上に焼結した一層緻
密な焼結体になることがわかる。
【0043】焼結体の表面凹部 ここでは、表面凹部とは、焼結体中のポアが焼結体表面
に露出したものとみなして、焼結体表面の表面凹部の状
態を検出する。まず、各試料(試料No.1,2,4)を
樹脂に埋め込み、その表面を鏡面研磨した後、JIS
B 0601の規定に従って、表面粗さの測定を行い、
粗さ曲線を求めた。測定は、下記の測定条件にて、JI
S B 0651に規定された触針式表面粗さ測定器
(株式会社小坂研究所 SE−30D)を用いて行っ
た。
【0044】尚、鏡面研磨とは、超微粉の砥石か又は遊
離砥石を用い、圧力を加えながら相対運動をさせること
により、寸法精度が高く且つ表面粗さが小さくなるよう
に研磨した状態をいう。 <測定条件> ・送り速さ ;0.05mm/S ・縦倍率 ;5000 ・横倍率 ;200 ・カットオフ値;0.25μm ・測定長さ ;2.5mm ・触針先端曲率半径;2μm この測定によって得られた例えば試料No.1,2の粗さ
曲線を各々図1,図2に、比較例の試料No.4の粗さ曲
線を図3に示す。この測定の結果、焼結体の種類によ
り、粗さ曲線が大きく異なることが分かる。
【0045】そこで、前記試料No.1,2,4の粗さ曲
線に平均線を引き、それらの交差点の隣合う2点を結ぶ
粗さ曲線のうち、平均線に対して実体(焼結体)がへこ
んでいる部分(谷)を表面凹部とした。そして、その2
点間の距離を計って表面凹部の大きさを求めるととも
に、表面凹部の数を測定した。
【0046】その結果を、下記表2に示す。この表2
(及び前記図1〜3)においては、表面凹部の大きさ
(これは、ほぼ直径と見なすことができる)が10μm
未満のものをA、10μm以上50μm未満のものを
B、50μm以上のものをCとして表した。
【0047】尚、表2には、JIS B 0601の規
定による中心線平均粗さRa(μm)も合わせて記載し
た。
【0048】
【表2】
【0049】この表2から明らかな様に、出発原料の平
均粒径が1.7μmより大きい比較例の試料No.4で
は、50μm以上の大きな表面凹部が全体の30%以上
を占め、中心線平均粗さRaも大きく、よって、焼結体
内に大きなポアが多くある。そのため、焼結密度は小さ
い(密度比94%未満)。
【0050】一方、出発原料の平均粒径が1.7μm以
下の本実施例の試料No.1,2では、10μm未満の小
さな表面凹部が50%以上存在しており、中心線平均粗
さRaが小さく、また、表面凹部と表面凹部との間の距
離も規則性があり、表面凹部が一様に分布している。従
って、焼結体内部のポアも同様であるので、焼結密度は
大きい(密度比94%以上)。
【0051】このことは、鏡面研磨した表面に対するS
EM観察からも見られる。図4〜図6に、実施例の試料
No.1,2及び比較例の試料No.4の倍率1000倍のS
EM写真を示す。このSEM写真から、比較例の試料N
o.4は、表面凹部の大きさが均一ではなく、また、表面
凹部が凝集していることが分かる。一方、実施例の試料
No.1,2では、均一な表面凹部が一様に分布した構造
を有している。
【0052】以上のことから、表面粗さの測定により求
められた10μm未満の表面凹部が、全表面凹部数の5
0%以上(好ましくは87%以上)を有する焼結体は、
同様な焼結体中のポアの構成を有するので、理論密度の
94%以上(好ましくは97%)以上に焼結した焼結体
であることが分かる。
【0053】この様に、本発明の範囲の実施例では、出
発原料の平均粒径1.7μm以下のLaGaO3系酸化
物粉末を使用するので、非常に緻密なLaGaO3系焼
結体を製造することができる。従って、このLaGaO
3系焼結体は、高い強度及び耐久性や、優れた酸素イオ
ン伝導性を有するので、センサデバイス等の材料として
極めて有用である。
【0054】尚、本発明は前記実施例になんら限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のLaGa
3系焼結体は、表面凹部が小さく(従ってポアが小さ
く)非常に緻密なものであるので、高い強度及び耐久性
や、優れた酸素イオン伝導性を有しており、例えばセン
サデバイスの材料として極めて有用なものである。
【0056】また、本発明のLaGaO3系焼結体の製
造方法によれば、出発原料のLaGaO3系粉末の平均
粒径を制御することにより、上述の優れた特性を有する
LaGaO3系焼結体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の試料No.1の表面凹部の測定に用い
る粗さ曲線を示す説明図である。
【図2】 実施例の試料No.2の表面凹部の測定に用い
る粗さ曲線を示す説明図である。
【図3】 比較例の試料No.4の表面凹部の測定に用い
る粗さ曲線を示す説明図である。
【図4】 SEMによる実施例の試料No.1の組織の表
面を示す写真。
【図5】 SEMによる実施例の試料No.2の組織の表
面を示す写真。
【図6】 SEMによる比較例の試料No.4の組織の表
面を示す写真。
フロントページの続き (72)発明者 大島 崇文 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA13 AA34 BA07 CA07 GA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LaGaO3系焼結体の表面に対し、J
    IS B 0601の規定における粗さ曲線の平均線よ
    り凹の部分を表面凹部として、そのサイズを測定した表
    面凹部のうち、10μm未満(但し0μmを除く)のサ
    イズの表面凹部が、全表面凹部数の50%以上であるこ
    とを特徴とするLaGaO3系焼結体。
  2. 【請求項2】 焼結密度が理論密度の94%以上である
    ことを特徴とする前記請求項1に記載のLaGaO3
    焼結体。
  3. 【請求項3】 前記10μm未満(但し0μmを除く)
    のサイズの表面凹部が、全表面凹部数の87%以上であ
    ることを特徴とする前記請求項1又は2に記載のLaG
    aO3系焼結体。
  4. 【請求項4】 焼結密度が理論密度の97%以上である
    ことを特徴とする前記請求項3に記載のLaGaO3
    焼結体。
  5. 【請求項5】 出発原料として、平均粒径が1.7μm
    以下(但し0μmを除く)のLaGaO3系粉末を用い
    て製造したことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれ
    かに記載のLaGaO3系焼結体。
  6. 【請求項6】 焼結密度が理論密度の94%以上である
    ことを特徴とする前記請求項5に記載のLaGaO3
    焼結体を特徴とするLaGaO3系焼結体。
  7. 【請求項7】 焼結密度が理論密度の97%以上である
    ことを特徴とする前記請求項6に記載のLaGaO3
    焼結体。
  8. 【請求項8】 前記請求項1〜4のいずれかに記載のL
    aGaO3系焼結体の製造方法であって、前記出発原料
    として、平均粒径が1.7μm以下(但し0μmを除
    く)のLaGaO3系粉末を用いることを特徴とするL
    aGaO3系焼結体の製造方法。
JP11159512A 1999-02-08 1999-06-07 LaGaO3系焼結体及びその製造方法 Pending JP2000351669A (ja)

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