JP2000347455A - トナー及びその製法 - Google Patents

トナー及びその製法

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JP2000347455A JP11162330A JP16233099A JP2000347455A JP 2000347455 A JP2000347455 A JP 2000347455A JP 11162330 A JP11162330 A JP 11162330A JP 16233099 A JP16233099 A JP 16233099A JP 2000347455 A JP2000347455 A JP 2000347455A
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均 高柳
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた定着性と耐熱保存性を有するトナーおよ
びその製造方法の開発。 【解決手段】着色剤と少なくとも一部が架橋された結着
樹脂を必須成分とする樹脂粒子(I)の表面に、酸性基
含有樹脂が固着されたことを特徴とするトナー。本トナ
ーは、 樹脂粒子(I)の水性分散液に、中和により自己
水分散性及び/又は水溶性となる酸性基含有樹脂を塩基
性中和剤の存在下に水性媒体と混合し転相乳化して得ら
れる、樹脂粒子(I)よりも平均粒子径が小さくガラス
転移温度が高い微粒子(II)の水性分散液を均一に混合
し、酸で樹脂粒子(I)の表面に微粒子(II)を析出さ
せ、次いで、これから液媒体を除去して乾燥し、この乾
燥粉体を加熱下で攪拌混合処理することにより製造でき
る。また、樹脂粒子(I)は、中和により自己水分散性
となる酸性基含有樹脂、架橋剤、着色剤を必須成分とし
て含む混合物を、塩基性中和剤の存在下に水性媒体と混
合し転相乳化してから加熱架橋するか、あるいは、着色
剤の分散した架橋性モノマーを含む重合性モノマーを、
液媒体中で重合させて得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式の複
写機やプリンターなどに用いられる静電荷像現像用の負
帯電性トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トナーの乾式製法としては、結着樹脂に
着色剤などを溶融混練後粉砕し分級するという粉砕法が
あり、また湿式製法としては、着色剤などを分散させた
重合性モノマーを液媒体中で重合させて着色粒子を形成
後、該粒子を乾燥粉体として取り出すという重合法や、
特開平5−66600号公報などに記載されている転相
乳化法などがある。
【0003】近年、粉体トナーには、解像度などの画質
向上や、消費電力低減などのための低温定着に対するニ
ーズが高い。画質向上にはトナーの小粒径化が有効であ
ることから、小粒径化した際の帯電性制御や粉体流動性
確保が容易で、コスト的にも有利性が期待される湿式法
トナーの開発が盛んに行われている。
【0004】定着性については、耐ホットオフセット温
度域を広げるには結着樹脂に高分子量成分を含有するこ
とで、また低温定着性を得るには結着樹脂のガラス転移
温度を下げ、低分子量成分を含有することで対応が可能
である。しかしながら、結着樹脂にガラス転移温度の低
い樹脂を使用するとトナーの耐熱保存性が不十分になり
実用上問題があった。
【0005】このような相反する性能を満足させるため
に、トナー粒子を多層構造とし、粒子の内側と外側とで
異なる組成の樹脂を用いた形のトナーの製法が提案され
ている。この製法は、粒子の内側にガラス転移温度が低
い樹脂を用いることにより、低温定着性を促進させる一
方で、粒子の表面には、粒子の内側よりも、ガラス転移
温度が高い樹脂を用いることにより、必要な耐熱保存性
を確保しながら、ヒートロール定着性に優れたトナーを
提供するものである。
【0006】多層構造を有するトナーの製造方法として
は、例えば、in situ重合法、 界面重合法、コアセルベ
ーション法あるいはスプレー・ドライ法による製造方法
などが提案されている。
【0007】しかしながら、これらの製造方法は、操作
ないしは処理が容易でなく、製造工程も非常に繁雑であ
る。特に、乳化剤などの懸濁安定剤を用いた場合には、
得られるトナー粒子表面に懸濁安定剤が残存しトナーの
帯電特性等に悪影響を及ぼすため、多量の水を用いて繰
り返し洗浄を行わねばならないなどの問題点がある。
【0008】このような問題点がなく、低温定着性と耐
熱保存性を両立させるため、特開平5−333583号
公報、特開平8−334927号公報には、中和により
自己水分散性を示す樹脂、非自己水分散性を示す樹脂又
は中和された前記樹脂よりも自己水分散性が弱い樹脂、
及び、着色剤等を有機溶剤に溶解又は分散させ、次い
で、攪拌しながら、適量の水を加えることにより、乳化
剤等の懸濁安定剤を使用することなく、水性媒体中に転
相乳化させて微粒子を生成させ、生成した微粒子を乾燥
させて乾式トナーとする転相乳化法による多層構造を有
するトナーの製造方法が提案されている。
【0009】これらの製造方法では、自己水分散させる
に必要な中和剤量を調整することにより、トナー粒径の
制御が容易であり、特殊な操作や装置を必要としない製
造方法である。しかしながら、これらの製造方法であっ
ても、必ずしも、定着温度幅が十分に満足したトナーが
得られなかった。転相乳化法トナーの製法においては、
その転相乳化性の点から使用できる樹脂の分子量には限
界があり、ビニル系共重合体においては重量平均分子量
が300,000以下で、好ましくは200,000以
下である。即ち、良好に転相乳化できる程度の分子量の
樹脂のみでは、充分なる耐ホットオフセット性を得るこ
とはできない。
【0010】そこで、転相乳化法によるトナーの製法に
おいて、耐ホットオフセット性を向上させるために、特
開平9−292737号公報及び特開平10−1077
4号公報には、粒子内架橋法が提案されている。これら
の粒子内架橋法は、架橋性官能基を有し、かつ、良好に
転相乳化できる程度の分子量を有する自己水分散性樹脂
を使用して転相乳化を行い、球形のトナー粒子の水分散
体を作製し、次いで、粒子内で樹脂の少なくとも一部を
架橋する技術である。
【0011】この技術により、転相乳化法トナーにおけ
る耐ホットオフセット性を向上させることができるが、
この粒子内架橋法によって得られるトナーであっても、
低温定着性がいまだ不十分である、という問題点があっ
た。
【0012】以上のように、従来技術では、低温定着性
と耐ホットオフセット性に優れ、かつ実用的な耐熱保存
性を有する、高画質対応の小粒径トナーを製造すること
はできなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、低温定着性を有しながら耐ホットオフセッ
ト性、耐熱保存性に優れ、かつ、画像品質にも優れる球
形カプセル化トナーおよびその製法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題につき鋭意検討
した結果、次のようなことを見出し本発明を完成した。
【0015】1.少なくとも一部が架橋された結着樹脂
と着色剤を必須成分とする樹脂粒子(I)の表面に、該
結着樹脂よりもガラス転移温度の高い酸性基含有樹脂が
固着されたトナーが、優れた定着性と耐熱保存性を有
し、また良好な画像が得られる。
【0016】2.本発明のトナーにおいては、結着樹脂
のテトラヒドロフラン不溶解分の含有率は0.5〜70
重量%が好適であり、また、表面に固着させる樹脂の酸
性基としてはカルボキシル基が好適であり、さらに、平
均円形度が0.97以上(本発明では東亜医用電子
(株)製のフロー式粒子像分析装置FPIPー1000
にて測定)の球形トナーが好適である。
【0017】3.このようなトナーは、樹脂粒子(I)
の水性分散液に、中和により自己水分散性及び/又は水
溶性となる酸性基含有樹脂を塩基性中和剤の存在下に水
性媒体と混合し転相乳化して得られる、樹脂粒子(I)
よりも平均粒子径が小さくガラス転移温度が高い微粒子
(II)の水性分散液を均一に混合し、酸で樹脂粒子
(I)の表面に微粒子(II)を析出させ、次いで、これ
から液媒体を除去して乾燥し、この乾燥粉体を加熱下で
攪拌混合処理することによって好適に得られる。
【0018】4.樹脂粒子(I)は、中和により自己水
分散性となる酸性基含有樹脂、架橋剤、着色剤を必須成
分として含む混合物を、塩基性中和剤の存在下に水性媒
体と混合し転相乳化した後、加熱架橋するか、あるい
は、着色剤の分散した架橋性モノマーを含む重合性モノ
マーを液媒体中で重合させることによって好適に得られ
る。
【0019】以下に本発明の詳細を述べる。
【0020】まず、着色剤と少なくとも一部が架橋され
た結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子(I)の組成およ
び製法に関して以下述べる。
【0021】前記結着樹脂としては、トナーバインダー
樹脂として使用しうるもので且つ架橋性基を有する樹脂
を含有していればいずれでもよく、ビニル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が
挙げられる。その中でも、トナーとしての優れた帯電性
や定着性が得られやすいスチレン(メタ)アクリル樹脂
が本発明に好適である。また、樹脂粒子(I)の結着樹
脂として、分子量やガラス転移温度の異なる複数の樹脂
をブレンドして使用することも、ヒートロール定着温度
幅の拡大などが行いやすくなり、本発明に好適である。
【0022】結着樹脂のガラス転移温度(DSC法で測
定)は30〜70℃程度が好ましく、低温定着性と耐熱
保存性のバランスを取り易いことから40〜65℃が特
に好適である。
【0023】このような結着樹脂は、テトラヒドロフラ
ンを使用したソックスレー抽出による不溶解成分が0.
5〜70重量%で、テトラヒドロフラン可溶分における
分子量が、5,000〜200,000にある一つのピ
ークと、200,000以上とりわけ500,000以
上に少なくとも一つのピーク又は肩を有するものが好ま
しい。
【0024】前記着色剤としては、特に制限はなく、公
知慣用の着色剤を用いることができ、顔料が好ましく、
以下のようなものが例示できる。
【0025】ブラックトナーに用いることのできる黒色
顔料としては、例えば、カーボンブラック、シアニンブ
ラック、アニリンブラック、フェライト、マグネタイト
等が挙げられる。又は、下記の有彩色顔料を黒色となる
様に調製したものを使用することが出来る。
【0026】イエロートナーに用いることのできる黄色
顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエ
ロー、黄色酸化鉄、黄土、チタン黄、ナフトールイエロ
ーS、ハンザイエロー10G、ハンザイエロー5G、ハ
ンザイエローG、ハンザイエローGR、ハンザイエロー
A、ハンザイエローRN、ハンザイエローR、ピグメン
トイエローL、ベンジジンイエロー、ベンジジンイエロ
ーG、ベンジジンイエローGR、パーマネントイエロー
NCG、バルカンファーストイエロー5G、バルカンフ
ァーストイエローR、キノリンイエローレーキ、アンス
ラゲンイエロー6GL、パーマネントイエローFGL、
パーマネントイエローH10G、パーマネントイエロー
HR、アンスラピリミジンイエロー、その他イソインド
リノンイエロー、クロモフタルイエロー、ノボパームイ
エローH2G、縮合アゾイエロー、ニッケルアゾイエロ
ー、銅アゾメチンイエロー等が挙げられる。
【0027】マゼンタトナーに用いることのできる赤色
顔料としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレン
ジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレン
ジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレ
ンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK、ベ
ンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、パーマ
ネントレッドBL、パーマネントレッドF5RK、リソ
ールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチンングレッ
ド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカ
ーミン6B、ブリリアントカーミン3B、ローダミンレ
ーキB、アリザリンレーキ、パーマネントカーミンFB
B、ベリノンオレンジ、イソインドリノンオレンジ、ア
ンスアンスロンオレンジ、ピランスロンオレンジ、キナ
クリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドン
スカーレット、ペリレンレッド等が挙げられる。
【0028】シアントナーに用いることのできる青色顔
料としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブル
ー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、
ファナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無
金属フタロシアニンブルー、銅フタロシアニンブルー、
ファーストスカイブルー、インダスレンブルーRS、イ
ンダスレンブルーBC、インジコ等が挙げられる。
【0029】着色剤の使用量は、結着樹脂100重量部
当たり3〜50重量部であり、より好ましくは3〜15
重量部である。
【0030】樹脂粒子(I)の、他の構成成分(添加剤
成分)としては、離型剤等各種の助剤類が挙げられ、そ
の使用目的および使用条件に応じて、適宜、選択して使
用することが出来る。例えばポリエチレンワックス、ポ
リプロピレンワックス、パラフィンワックス等のワック
ス類、金属石鹸、ステアリン酸亜鉛の如き滑剤等があげ
られる。
【0031】樹脂粒子(I)の製法はいかなる方法でも
よく特に限定はされないが、以下に述べるような転相乳
化法あるいは重合法が小粒径で球形の粒子が得られやす
いために本発明の効果が顕著に発現できるので好まし
い。その中でも、乳化剤や分散剤を使用しない転相乳化
法が操作性やVOC(揮発性有機化合物)含有量の低
減、帯電の環境安定性などの点から特に好適である。
【0032】転相乳化法による樹脂粒子(I)の製法に
ついて述べる。これは、中和により自己水分散性となる
酸性基含有樹脂、架橋剤、着色剤を必須成分として含む
混合物を、塩基性中和剤の存在下に水性媒体(水あるい
は水を主成分とする液媒体)と混合し転相乳化して造粒
した後、加熱架橋して、着色剤を内包した粒子を得る方
法である。
【0033】本発明において、アルカリ中和により自己
水分散性となりうる樹脂とは、分子内に有する、中和に
より親水性が増加しうる官能基(酸性基)の作用によ
り、水性媒体の作用下で、乳化剤や分散安定剤を実質的
に用いることなく、安定な水性分散体あるいは水溶液を
形成する能力を有する樹脂である。これは、中和の度合
い(中和率)により、親水性の度合いが適宜調節できる
ので、当該樹脂自体が水に分散できる程度に中和率を設
定することが好ましい。この様な自己水分散性樹脂を水
性媒体と混合することで、転相乳化が起こり、粒子が形
成される。この際、樹脂の親水性の程度により、転相乳
化における粒子の大きさが決定されるので、中和率のコ
ントロールにより任意の粒径を容易に得ることが可能で
ある。
【0034】当該樹脂が樹脂中に有する中和により親水
性の増加しうる酸性の官能基としては、たとえば 、カ
ルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基、硫酸基などがあ
り、中でもカルボキシル基が好ましい。樹脂が自己水分
散性、あるいは水溶性を発現するために適切な中和率
は、モノマー組成や分子量などにより樹脂そのものの親
水性が異なるので、各々の樹脂により異なる。
【0035】中和により自己水分散性となりうる酸性基
含有スチレンアクリル樹脂としては、酸基を含有したラ
ジカル重合性単量体類と、この酸基含有のラジカル重合
性単量体類以外のラジカル重合性単量体類を、重合開始
剤存在下で、ラジカル重合させて得られるものが使用で
きる。これらを得るための重合反応は、溶液重合でも、
懸濁重合、乳化重合でも適宜利用できる。
【0036】こうした酸性基含有重合性単量体類として
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブ
チル、マレイン酸モノブチルなどが挙げられる。
【0037】酸性基含有重合性単量体類以外の重合性単
量体類としては、例えば、 (1)スチレン系モノマー:スチレン、ビニルトルエ
ン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレンもしくは
クロルスチレン
【0038】(2)アクリル酸エステル類:アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリ
ル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n
−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸n−オクチル、アクリル酸デシルもしくはアクリル酸
ドデシル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フ
ェニル、アルファクロルアクリル酸メチル
【0039】(3)メタクリル酸エステル:メタクリル
酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブ
チル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミ
ル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸
デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−クロ
ルエチル、メタクリル酸フェニル、アルファクロルメタ
クリル酸メチル
【0040】(4)アクリロニトリル、メタアクリロニ
トリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタク
リル酸誘導体、
【0041】(5)ビニルエーテル:ビニルメチルエー
テル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテ
ル、
【0042】(6)ビニルケトン:ビニルメチルケト
ン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケト
【0043】(7)N−ビニル化合物:N−ビニルピロ
ール、Nービニルカルバゾール、N−ビニルインドー
ル、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0044】また、前記樹脂を得る場合には、溶液重合
の場合には、汎用の有機溶剤を使用できる。使用する有
機溶媒としては、たとえば、トルエン、キシレン、ベン
ゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンの
如き各種炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソ
ブタノール、sec−ブタノール、tーブタノールの如
きアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエー
テル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレ
ングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエー
テル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル等の
如きエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンの如き各種ケトン類;酢
酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルの如き各種エス
テル類;プロピレングリコールモノエチルエーテルアセ
テート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテ
ートの如き各種エーテルエステル類;テトラヒドロフラ
ンの如き各種環状エーテル類;塩化メチレンの如き各種
ハロゲン化炭化水素類;など、各種の有機溶媒が使用で
きる。
【0045】また、使用する重合開始剤としては、公知
慣用の各種の有機過酸化物系の開始剤、アゾ系の開始剤
が使用できる。具体的には、例えばベンゾイルパーオキ
サイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ
ニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物が挙げられ
る。
【0046】樹脂粒子(I)の結着樹脂に使用する酸性
基含有スチレンアクリル樹脂としては、酸価30〜15
0(mgKOH/g)、重量平均分子量6000〜30
0000、ガラス転移温度30〜70℃のような組成の
ものが好適である。
【0047】本発明で用いる中和剤は、酸性基含有樹脂
を自己水分散性に変換するためには塩基性中和剤が使用
され、また、中和により塩構造となった酸性基含有樹脂
を元の酸性基に戻すためには酸性中和剤が使用される。
塩基性中和剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム等の無機金属類、アンモニ
ア等の無機アルカリ、また、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン等のアルカノールアミン、ジメチルア
ミン、ジエチルアミン等の第二級アミン、トリエチルア
ミン等の第三級アミン、ヒドラジン等の有機アミン類が
挙げられ、酸性中和剤としては、例えば塩酸、硫酸、燐
酸等の無機酸、シュウ酸、蟻酸、酢酸、琥珀酸、p−ト
ルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
【0048】樹脂粒子(I)を転相乳化法で造粒した後
の粒子内架橋は、結着樹脂の架橋性官能基と架橋剤との
加熱反応によって行う。結着樹脂の架橋性官能基がカル
ボキシル基である場合には、架橋剤としては、例えば、
アミノプラスト樹脂、1分子中にグリシジル基を平均2
個以上有する化合物、1分子中に1,3−ジオキソラン
−2−オン−4イル基を平均2個以上有する化合物、1
分子中にカルボジイミド基を平均2個以上有する化合
物、1分子中にオキサゾリン基を平均2個以上有する化
合物、金属キレート化合物等が挙げられる。また、結着
樹脂の架橋性官能基が水酸基である場合には、架橋剤と
しては、例えば、アミノプラスト樹脂、ポリイソシアネ
ート化合物、ブロック化ポリイソシアネート樹脂等が挙
げられる。
【0049】架橋性官能基を結着樹脂に導入する方法に
ついては、架橋性官能基がカルボキシル基である場合に
は、中和により親水性を増す官能基を導入する項で述べ
た方法と全く同じ方法でよく、架橋性官能基が水酸基で
ある場合には、架橋性官能基として水酸基を有するビニ
ル系樹脂は、酸性基を有する重合性単量体類とその他の
重合性ビニル単量体とを(共)重合させる際に、水酸基
を有する重合性単量体を併用して共重合させることによ
り容易に製造することができる。
【0050】水酸基を有する重合性単量体としては、例
えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート、「プラクセル F
M−2」や「プラクセル FA−2」(ダイセル化学工
業株式会社製)に代表されるラクトン化合物を付加した
(メタ)アクリル系モノマー類;ポリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレートモノマー類、ポリプロピレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレートモノマー類、ヒ
ドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニ
ルエーテルなどが挙げられる。
【0051】本発明では、樹脂の合成、取り扱い、設計
の容易さ、及び、高分子量化又は架橋反応の容易さか
ら、結着樹脂の中和により親水性を増す官能基および架
橋性官能基が共にカルボキシル基である樹脂であって、
架橋剤が一分子平均2個以上のグリシジル基を有する化
合物である組合せが好ましい。
【0052】一分子平均2個以上のグリシジル基を有す
る化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂などの如きフェノール類のグ
リシジルエーテル類;ネオペンチルグリコールジグリシ
ジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリ
セリントリグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリ
シジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジル
エーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルの如き
各種グリコールやポリオールのグリシジルエーテル類;
アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジ
ルエステル等の如きグリシジルエステル類;グリシジル
(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有する重合
性モノマーを共重合したビニル系共重合体;エポキシ化
ポリブタジエン;ジグリシジルアニリン、トリグリシジ
ルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフ
ェノール、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン如
きグリシジルアミン化合物などが挙げられる。
【0053】結着樹脂と架橋剤との反応は、水性媒体中
で行われるので、水の沸点以下の温度で反応させること
が好ましく、また、粒子の融着を避けるために、粒子の
ガラス転移温度よりも余り高くない温度で反応を行なう
ことが好ましい。このような比較的低温の温和な条件で
反応させることができる架橋剤としては、下記一般式
(1)および(2)で表されるグリシジル基を有するグ
リシジルアミン化合物が最も好ましい。
【化1】 (式中、R1及びR2は、水素原子、炭素原子数1〜4
のアルキル基、置換基を有していても良い芳香環基又は
脂環基を表わし、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基
を表わす。)
【0054】そのような最も好ましい架橋剤としては、
例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−
キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジ
ルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジ
ルベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−α−フェニ
ルエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジ
ルイソフォロンジアミンなどが挙げられる。
【0055】架橋剤は、1分子中にグリシジル基を平均
2〜6個有しているものが好ましく、1分子中に平均2
〜4個有しているものがより好ましい。1分子中に有す
るグリシジル基の数の平均が2個よりも少ない場合、高
分子量化又は架橋化反応が充分に進行しない傾向にあ
り、また、1分子中に有するグリシジル基の数の平均が
6個よりも多い場合、部分的に架橋密度が高過ぎるもの
が生成してしまう傾向にあるので、好ましくない。
【0056】結着樹脂とその架橋剤との割合は、特に制
限されるものではない。架橋性官能基がカルボキシル基
である場合を例にとれば、カルボキシル基1当量に対し
て、グリシジル基が0.001〜0.5当量の範囲とな
る量のグリシジル基を有する化合物を用いることが好ま
しく、カルボキシル基1当量に対して、グリシジル基が
0.01〜0.3当量の範囲となる量のグリシジル基を
有する化合物を用いることがより好ましい。カルボキシ
ル基1当量に対するグリシジル基の量が0.001当量
よりも少ない場合、高分子量化又は架橋が不十分になる
傾向にあり、また、カルボキシル基1当量に対するグリ
シジル基の量が0.5当量よりも多い場合、架橋が進み
過ぎ、得られたトナーの定着性が低下する傾向にあるの
で、好ましくない。
【0057】中和により親水性を増す官能基及び架橋性
官能基が共にカルボキシル基である樹脂を結着樹脂とし
て用いる場合、カルボキシル基の量は、酸価(樹脂固形
分1gを中和するのに必要なKOHのmg量)が10〜
150の範囲が好ましい。酸価が10より低い場合、水
性媒体への転相乳化性が低下する傾向にあり、また、高
分子量化又は架橋反応が充分に進まない傾向にあるので
好ましくない。酸価が150よりも高い場合、得られた
トナーの吸湿性が高くなる傾向にあるので好ましくな
い。なお、中和により親水性を増す官能基及び架橋性官
能基がともにカルボキシル基である場合、親水性を増す
のは中和剤でもって中和されたカルボキシル基であり、
架橋にあずかるのは主に中和されないカルボキシル基で
ある。
【0058】この架橋反応は、水性媒体の沸点以下の温
度であって、かつ、粒子の融着を避けるために、粒子の
ガラス転移温度よりも余り高くない温度で行なうのが好
ましい。そのような反応温度は、40〜100℃の範囲
が好ましく、50〜90℃の範囲が特に好ましい。架橋
反応に要する時間は、架橋反応がほぼ完結するのに要す
る時間であればよい。
【0059】中和により親水性を増す官能基と架橋性官
能基とがカルボキシル基である樹脂を用い、かつ架橋剤
が、少なくとも一分子中に平均2以上のグリシジル基を
有する化合物を用いる場合において、カルボキシル基と
グリシジル基の反応を、比較的低温で温和な条件で反応
させるためには、前述した如きグリシジルアミン化合物
を使用することが好ましい。
【0060】架橋剤としてグリシジルアミン化合物及び
その他のグリシジル基含有化合物を使用する場合、2−
メチルイミダゾールなどの公知の触媒を使用したり、グ
リシジル基の一部にジブチルアミンなどの第二級モノア
ミン等を付加して、グリシジル基含有化合物に自己触媒
能を付与する方法なども採用できる。
【0061】また、結着樹脂は、DSC(示差走査熱量
計)で測定したガラス転移温度が30〜70℃の範囲に
あるものが好ましく、40〜65℃の範囲がさらに好ま
しい。ガラス転移温度が40℃よりも低い場合には得ら
れるトナーの耐熱保存安定性が悪くなる傾向にあり、ま
た70℃よりも高い場合には得られるトナーの定着開始
温度が高くなる傾向にあり好ましくない。
【0062】さらに、結着樹脂のTHF可溶分の重量平
均分子量(ポリスチレン換算ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーで測定した値)は10,000〜30
0,000の範囲にあるものが好ましく、20,000
〜150,000の範囲にあるものがより好ましい。重
量平均分子量が10,000よりも小さい場合、転相後
に水相に溶ける樹脂が多くなり、トナーの収率が減少す
る傾向にあり、また、架橋反応が十分に進行しない傾向
にあるので好ましくない。重量平均分子量が300,0
00よりも大きい場合、転相乳化し難くなる傾向にある
ので好ましくない。
【0063】結着樹脂に、非自己水分散性で、ガラス転
移温度が0〜60℃と低く、数平均分子量が400〜
1,500の範囲にある低分子量樹脂をブレンドして用
いると、定着開始温度を下げられるという効果が発現さ
れる。数平均分子量が400より低い場合は、転相乳化
中に固化する傾向にあり好ましくなく、また、数平均分
子量が1,500より大きい場合、転相乳化し難くなる
傾向にあり好ましくない。この低分子量樹脂のブレンド
比率は、5〜80重量%の範囲が好ましく、10〜60
重量%の範囲が低温定着性と耐熱保存性のバランスから
より好ましい。
【0064】上記した樹脂粒子(I)は、トナーとして
使用される際の画像品質などから、平均粒子径が3〜1
5μm、特に3〜8μmが好ましく、転相乳化後の液媒
体から有機溶剤を除去した水性スラリーとして次工程に
使うのが好都合である。また、樹脂粒子(I)は、転相
乳化後の液媒体から有機溶剤を除去し、水性スラリーを
濾別、ウエットケーキを洗浄した後、水に再分散し、酸
水溶液により、酸性基含有樹脂中に含まれる塩部分を、
元の酸性基に戻す事が好ましい。
【0065】次に、重合法による樹脂粒子(I)の製法
について述べる。これは、着色剤の分散した架橋性モノ
マーを含む重合性モノマーを、液媒体中で重合させて、
少なくとも一部が架橋された結着樹脂に着色剤が内包さ
れた粒子を得る方法である。
【0066】例えば分散安定剤や乳化剤の存在下に、着
色剤と、結着樹脂を形成しうる重合性モノマー(架橋性
モノマーを含有する)とを液媒体中に懸濁もしくは乳化
分散させ、重合開始剤の存在下、撹拌しながら、ラジカ
ル重合によるポリマー化反応を行って、球形の、結着樹
脂中に着色剤を内包したトナー粒子の水性分散液を得る
ものである。
【0067】ラジカル重合性単量体としては、具体的に
は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチ
レン、ビニルスチレン等のスチレン類、エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン
類、酢酸ビニル、プロピオンビニル、酪酸ビニル、安息
香酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オク
チル、アクリル酸ドデシルアクリル酸フェニル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチルメタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノ
カルボン酸エステル類、エチレングリコールモノアクリ
レート、プロピレングリコールモノアクリート、テトラ
メチレンエーテルグリコールモノアクリレート等のグリ
コールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテ
ル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニル
ヘキシルケトン、ビニルプロペニルケトン等のビニルケ
トン類等のアクリルモノマーが挙げられ、これらは、そ
れぞれ単独で、もしくは二種類以上を組み合わせて使用
することができる。
【0068】架橋させるために、2つ以上のエチレン性
不飽和二重結合を有する反応性モノマーを併用する。2
つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する反応性モノ
マーとしては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役
ジエン、ジビニルベンゼン、ビスフェノールAアルキレ
ンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。
【0069】前記した結着樹脂を構成する単量体組成
は、重合体のガラス転移温度が30〜70℃となる様に
調製される。
【0070】尚、こうしたポリマー樹脂を得るのに使用
される重合開始剤としては、勿論、通常の油溶性又は水
溶性のものが使用できるが、例えば過酸化ベンゾイル、
ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシ
ド、t−ブチルペルオキシドもしくは2−エチルヘキサ
ノエートの如き、各種の過酸化物;またはアゾビスイソ
ブチロニトリルもしくはアゾビスイソバレロニトリルの
如き、各種のアゾ化合物などが挙げることができる。
【0071】懸濁重合に際しては、重合に用いる液媒体
に不溶かつ単量体可溶の重合開始剤を必須として選択し
て用い、乳化重合に際しては、水溶性重合開始剤を必須
として選択して使用される。重合開始剤の使用量は、特
に制限されないが、全重合性単量体100重量部当た
り、0.01〜5重量部である。
【0072】重合によって形成される結着樹脂は、重合
条件等により任意に調製することができるが、重量平均
分子量として、10,000〜500,000となる様
にするのが好ましい。
【0073】懸濁重合時に使用できる、前記分散安定剤
としては、一般的には、水溶性高分子化合物が用いら
れ、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、セルロースガム、ラムザンガム等が挙げられ
る。さらには水不溶性で粒径が0.01〜5μmの無機
微粉末も、懸濁分散安定剤として使用でき、例えばリン
酸三カルシウム、タルク、ベントナイト、カオリン、酸
化チタン、アルミナ、亜鉛華、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、塩基性ケイ酸マグネシウム、水酸化
チタン、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、シリカ、炭酸マ
グネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0074】これらは分散安定剤は、単独使用でもよい
し、2種以上の併用でもよい。その使用量は、全反応性
モノマー100重量部当たり、通常0.1〜10重量部
である。
【0075】乳化重合に使用できる前記乳化剤として
は、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキサイド
ジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレ
ンニニルフェノールエーテル等の非イオン性界面活性剤
等を挙げることができる。これらは単独使用でもよい
し、2種以上の併用でもよい。その使用量は、全反応性
モノマー100重量部当たり、通常0.01〜5重量部
である。
【0076】懸濁重合に当たって、分散安定剤に乳化剤
を一部併用してもよいし、乳化重合に当たって、乳化剤
に分散安定剤を一部併用してもよい。また、上記分散安
定剤や乳化剤に代えて、自己乳化性エポキシ樹脂や自己
乳化性ポリウレタン樹脂を用いることもできる。
【0077】重合性単量体、着色剤、分散安定剤及び前
記単量体不溶の液媒体、前記液媒体に不溶かつ前記単量
体に可溶の重合開始剤を同時に加えて、撹拌して単量体
液滴を重合してもよいが、重合性単量体及び着色剤を、
例えばボールミルやコロイドミル等で、予め充分に混合
して、次いでそれを重合開始剤、分散安定剤を含む前記
液媒体に加えて、例えばホモジナイザー、ローターステ
ーター式ミキサー、スタティックミキサー等により撹拌
を行い、重合性単量体を必須とする単量体液滴を液媒体
中に懸濁させ、撹拌を続けながら、所定の粒子径のトナ
ー粒子が形成されるまで重合を行うことが好ましい。
【0078】このような重合を行うに当たって使用でき
る液媒体としては、蒸留水、イオン交換水等の水の他、
例えばトルエン、キシレンもしくはベンゼンの如き、各
種の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパ
ノールもしくはブタノールの如き、各種のアルコール
類;セロソルブもしくはカルビトールの如き、各種のエ
ーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンも
しくはメチルイソブチルケトンの如き、各種のケトン
類;酢酸エチルもしくは酢酸ブチルの如き、各種のエス
テル類;またはブチルセロソルブアセテートの如き、各
種のエーテルエステル類などが挙げられる。
【0079】このような懸濁重合法及び乳化重合法にお
ける、反応条件は、特に制限されるものではなく、いず
れの方法においても、通常、室温〜80℃で、15分〜
24時間である。
【0080】次に、樹脂粒子(I)の表面に酸性基含有
樹脂の析出・固着ついて述べる。これは、前記のような
方法で得られる樹脂粒子(I)の水性分散液に、中和に
より自己水分散性及び/又は水溶性となる酸性基含有樹
脂を塩基性中和剤の存在下に水性媒体と混合し転相乳化
して得られる、樹脂粒子(I)よりも平均粒子径が小さ
くガラス転移温度が高い微粒子(II)の水性分散液を均
一に混合し、酸で樹脂粒子(I)の表面に微粒子(II)
を析出させ、次いで、これから液媒体を除去して乾燥
し、この乾燥粉体を加熱下で攪拌混合処理して、酸性基
含有樹脂が表面に固着したトナーを得るものである。
【0081】微粒子(II)に使用しうる中和により自己
水分散性/又は水溶性となる酸性基含有樹脂としては、
特に限定はされないが、良好な負帯電性が得られやすい
ことなどから酸性基含有のスチレン(メタ)アクリル樹
脂やポリエステル樹脂が好適で、良好な定着性の確保か
らスチレン(メタ)アクリル樹脂が特に好適である。中
和により自己水分散性/又は水溶性となる酸性基含有ス
チレン(メタ)アクリル樹脂については、樹脂粒子
(I)の説明で述べたと同様な性状を有するものである
が、微粒子(II)に使用する樹脂のガラス転移温度は、
耐熱保存性を確保するために、樹脂粒子(I)よりも高
くすることが好ましい。
【0082】微粒子(II)の樹脂粒子(I)表面への添
加量は、樹脂粒子(I)に対して、0.05〜10重量
%、より好ましくは0.1〜6重量%である。添加量が
多すぎる場合には、帯電量が高くなり過ぎるとともに帯
電の経時安定性が低下する傾向があり好ましくない。
【0083】本発明において樹脂粒子(I)あるいは微
粒子(II)を転相乳化で作る場合に用いる有機溶剤は、
使用する樹脂を溶解するものであれば、いずれの有機溶
剤でもよい。また、樹脂合成で用いた有機溶剤を、その
まま使用してもよい。前述した様な、例えばトルエン、
キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、四塩化炭
素、トリクロロメタン、ジクロロメタン等のハロゲン系
溶剤が使用される。この場合、例えばアセトン、ブタノ
ール、イソプロピルアルコール等の水溶性、若しくは部
分水溶性の有機溶剤を併用することにより、転相乳化に
おける粒子の生成が容易になる。好ましくは、容易に脱
溶剤され得るアセトン、メチルエチルケトンまたは酢酸
エチル、テトラヒドロフランなどの、いわゆる低沸点溶
剤の使用が適切である。
【0084】微粒子(II)の水スラリーは、逆中和前の
樹脂粒子(I)の水スラリーと同様の操作で得られる。
微粒子(II)の平均粒子径としては、樹脂粒子(I)よ
りも小さい必要があり、10nm〜1μm、特に好まし
くは10〜100nmである。
【0085】微粒子(II)の樹脂粒子(I)表面への析
出は、樹脂粒子(I)および微粒子(II)の水性分散液
を均一に混合して、攪拌しながら、酸性の中和剤を加え
て、微粒子(II)を元の中和されていない状態(未中和
状態)の酸性基に戻すことにより行う。これは、酸中和
により微粒子(II)の親水性が低下するために樹脂粒子
(I)の表面に析出されるのである。この場合、微粒子
(II)の析出速度が速すぎると、微粒子同士が凝集し
て、樹脂粒子(I)の表面に均一に析出しないばかり
か、樹脂粒子(I)同士をも凝集させることになり好ま
しくない。ここで塩化カルシウムのような金属塩を加え
ると酸の滴下による急激な析出を防止することが出来
る。この析出工程は撹拌下で行うのが一般的であり、攪
拌翼としては、特に制限はないが、ファウドラー翼のご
とき空気の巻き込みの少ないものが好ましい。
【0086】析出させる際に使用する酸性中和剤は、ス
ラリーのPHが2〜5となるまで添加し、所定のPHに
あわせた後、30分間ほど攪拌を行い、微粒子(II)を
樹脂粒子(I)の表面に完全に付着させる。
【0087】微粒子(II)の樹脂粒子(I)への添加量
は、樹脂粒子(I)の固形分に対し、0.05〜10重
量%、好ましくは0.1〜6重量%とすることが好まし
い。
【0088】微粒子(II)が表面に付着された樹脂粒子
(I)を、液媒体から遠心分離機等により濾過分離して
トナー粒子のウエットケーキを得る。ウエットケーキの
乾燥には、公知慣用の乾燥方法がいずれも採用でき、例
えばトナー粒子が熱融着や凝集しない温度で加熱乾燥し
てもよいし、凍結乾燥するという方法が挙げられる。ま
た、連続瞬間気流式乾燥機やスプレードライヤー等を用
いて、水性媒体からのトナー粒子の分離と乾燥とを同時
に行うという方法もある。
【0089】乾燥後に、ヘンシェルミキサーやハイブリ
ダイザーなどの公知慣用の粉体の攪拌混合機を用いて加
熱下に攪拌混合し、粒子表面の安定化・均一化を図る。
トナー粒子の凝集が発生しない温度範囲(例えば60℃
程度)に加熱しながら5〜60分程度の時間攪拌混合す
ると粒子表面に固着された酸性基含有樹脂の安定化・均
一化が促進され、結果として帯電の経時安定性などが特
段に向上するので、この処理工程は本発明の製造方法の
重要な要素をなすものである。
【0090】本発明で用いるトナー粒子の粒径として
は、トナーとしての実用的レベル内で任意の大きさを選
定できる。現状のマシンとのマッチング性からは、その
体積平均粒子径が3〜15μmの範囲のものが好適であ
る。特に体積平均粒径が3〜8μm程度の小粒径トナー
が解像度や階調性などの画像品質に優れ好ましい。
【0091】上記のような方法で得られたトナー粒子に
は、静電荷像現像剤として適切な流動性や帯電性を確保
するために、通常、無機微粒子を外添する。このような
無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、
チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カ
ルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化セ
リウム、三酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、炭化珪
素、窒化珪素などが挙げられる。これら無機微粒子の外
添量は、トナー粒子に対し、0.1〜5重量%程度、特
に好ましくは0.1〜3重量%程度である。なお、本発
明の負帯電性トナーでは、このような無機微粒子に加え
て各種の有機微粒子を併用して外添しても良い。
【0092】本発明のトナーは、非磁性一成分トナーあ
るいは磁性一成分トナーとして、又、キャリアと組み合
わせることにより二成分現像剤として使用することがで
き、良好な定着性と耐熱保存性を有するとともに、良好
な帯電特性発現により高品質の画像を得ることができ
る。
【0093】キャリアとしては、公知慣用のものがいず
れも使用できる。例えば、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コ
バルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれら
の合金又は酸化物、表面処理されたガラス、シリカ等の
粉末が使用でき、それらのアクリル樹脂被覆キャリア、
シリコーン樹脂被覆キャリア、フッ素樹脂被覆キャリ
ア、フッ素/アクリル樹脂被覆キャリア等の樹脂被覆キ
ャリアが、本発明のトナーに用いるのにより好適であ
る。キャリアの平均粒径としては、特に限定はないが、
20〜200ミクロン程度のものが好適に使用される。
【0094】
【発明の実施の形態】本発明は以下の実施形態を含む。
【0095】1.着色剤と少なくとも一部が架橋された
結着樹脂を必須成分とする樹脂粒子(I)の表面に、酸
性基含有樹脂が固着されたトナー。
【0096】2.結着樹脂が、テトラヒドロフラン不溶
解分0.5〜70重量%となるまで架橋されたものであ
る上記1記載のトナー。
【0097】3.表面に固着されている樹脂の酸性基が
カルボキシル基である上記1記載のトナー。
【0098】4.平均円形度が0.97以上の球形であ
る上記1記載のトナー。
【0099】5.樹脂粒子(I)の水性分散液に、中和
により自己水分散性及び/又は水溶性となる酸性基含有
樹脂を塩基性中和剤の存在下に水性媒体と混合し転相乳
化して得られる、樹脂粒子(I)よりも平均粒子径が小
さくガラス転移温度が高い微粒子(II)の水性分散液を
均一に混合し、酸で樹脂粒子(I)の表面に微粒子(I
I)を析出させ、次いで、これから液媒体を除去して乾
燥し、この乾燥粉体を加熱下で攪拌混合処理して得られ
る、上記1記載のトナーの製造方法。
【0100】6.樹脂粒子(I)が、中和により自己水
分散性となる酸性基含有樹脂、架橋剤、着色剤を必須成
分として含む混合物を、塩基性中和剤の存在下に水性媒
体と混合し転相乳化した後、加熱架橋して得られる、着
色剤が内包された粒子である、上記5記載の製造方法。
【0101】7. 樹脂粒子(I)が、着色剤の分散し
た架橋性モノマーを含む重合性モノマーを、液媒体中で
重合させて得られる粒子である、上記5記載のトナーの
製造方法。
【0102】
【実施例】以下、樹脂合成例などや実施例、比較例を用
いて本発明を更に詳細に説明する。以下において、
「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」をそれぞ
れ表わし、「水」は「脱イオン水」の意である。
【0103】(カルボキシル基含有樹脂Aー1の合成)
メチルエチルケトン980部を反応容器に入れ、80℃
に加熱した後、以下に示した割合の混合物を、窒素気流
中で約2時間かけて滴下した。 アクリル酸 77.0部 スチレン 592.7部 アクリル酸ブチル 330.3部 「パーブチルO」 30.0部 メチルエチルケトン 20.0部
【0104】滴下終了の3時間後に、更に「パーブチル
O」2部を反応液に加え、その後、3時間おきに、「パ
ーブチルO」2部を加え、15時間の間80℃に保持し
て反応を続けた。
【0105】反応終了後、不揮発分が48%、重量平均
分子量が20,000、酸価が80、ガラス転移温度が
30℃の共重合体の樹脂溶液(A−1)を得た。この共
重合体を樹脂A−1と略記する。なお、ガラス転移温度
は、島津製作所製の「DSC50」を用いて、ヘリウム
気流下、昇温速度10℃/分で測定した。
【0106】(カルボキシル基含有樹脂Aー2の合成)
メチルエチルケトン114部、イソプロピルアルコール
12部及び水24部を反応容器に入れ、80℃に加熱し
た後、以下に示した割合の混合物を、窒素気流中で、一
括して仕込み、反応を開始した。 アクリル酸 54.0部 スチレン 330.0部 アクリル酸ブチル 216.0部 「パーブチルO」 0.6部
【0107】反応開始3時間経過後から1時間おきに、
反応樹脂溶液の約10部をサンプリングし、同量のメチ
ルエチルケトンで希釈し、ガードナー粘度計で粘度を測
定した。粘度がM−Nとなる時点で、メチルエチルケト
ン567部及びイソプロピルアルコール63部から成る
混合溶媒を添加した。この時のモノマー残存率をガスク
ロマトグラフィーを用いて定量して重合率を計算した結
果、51%であった。反応溶液の温度を80℃に加熱し
た後、以下に示した割合の混合物を1時間かけて滴下し
た。 アクリル酸 54.0部 スチレン 413.0部 アクリル酸ブチル 133.0部 「パーブチルO」 18.0部
【0108】滴下終了後、3時間ごとに3回「パーブチ
ルO」2部を添加し、さらに4時間反応を継続させた。
反応終了後、この樹脂溶液を加熱脱気し、固形化処理を
行なった。この固形化樹脂は2山の分子量分布をもち、
その重量平均分子量は110、000であった。また、
この2山をその境目で区切ると、重量平均分子量が3
5,000と360,000の2つの部分に分割でき、
その比が78対22であった。この固形化樹脂の酸価は
70、ガラス転移温度は59℃であった。この固形樹脂
を樹脂A−2と略記する。
【0109】(カルボキシル基含有樹脂Aー3の合成)
メチルエチルケトン114部、イソプロピルアルコール
12部及び水24部を反応容器に入れ、80℃に加熱し
た後、以下に示した割合の混合物を、窒素気流中で、一
括して仕込み、反応を開始した。 アクリル酸 54.0部 スチレン 364.8部 アクリル酸ブチル 181.2部 「パーブチルO」 0.6部
【0110】反応開始3時間経過後から1時間おきに、
反応樹脂溶液の約10部をサンプリングし、同量のメチ
ルエチルケトンで希釈し、ガードナー粘度計で粘度を測
定した。粘度がM−Nとなる時点で、メチルエチルケト
ン567部及びイソプロピルアルコール63部から成る
混合溶媒を添加した。この時のモノマー残存率をガスク
ロマトグラフィーを用いて定量して重合率を計算した結
果、51%であった。反応溶液の温度を80℃に加熱し
た後、以下に示した割合の混合物を1時間かけて滴下し
た。 アクリル酸 54.0部 スチレン 456.6部 アクリル酸ブチル 89.4部 「パーブチルO」 18.0部
【0111】滴下終了後、3時間ごとに3回「パーブチ
ルO」2部を添加し、さらに4時間反応を継続させた。
反応終了後、この樹脂溶液を加熱脱気し、固形化処理を
行なった。この固形化樹脂は2山の分子量分布をもち、
その重量平均分子量は110、000であった。また、
この2山をその境目で区切ると、重量平均分子量が3
5,000と360,000の2つの部分に分割でき、
その比が78対22であった。この固形化樹脂の酸価は
70、ガラス転移温度は70℃であった。この固形樹脂
を樹脂A−3と略記する。
【0112】 (ミルベースM−1の調製) 樹脂溶液(A−1) 750部(固形分で360部) 固形樹脂A−2 540部 「ELFTEX8」(キャボット社製のカーボンブラック)100部 メチルエチルケトン 310部 を予備混合した後、「アイガーモーターミル M−25
0」を用いて1時間混練し、次に「H808」(中京油
脂製乳化ワックス、固形分30部)100部を同様に混
練分散させ、不揮発分が55%となるまでメチルエチル
ケトンを加えて、ミルベースM−1を調製した。
【0113】 (ミルベースM−2の調製) 固形樹脂A−2 450部 「ハイマーSB−75」 450部 (三洋化成(株)製の低分子量ポリスチレン;Mn=900、Tg=33℃) 「ELFTEX 8」 100部 「H808」 100部 メチルエチルケトン 700部 を、M−1の場合と同様にして、不揮発分55%のミル
ベースM−2を調製した。
【0114】 (樹脂粒子(I)の水スラリーの調製例1) ミルベースM−1 545.5部(固形分で300部) 「TETRAD−X」 0.37部 (三菱瓦斯化学工業(株)製のN,N,N’,N’−テトラグリシジルメタ キシレンジアミン;グリシジル基平均官能基数=4、グリシジル基当量=100 g/eq) 1規定水酸化ナトリウム水溶液 49.0部 水 70部 イソプロピルアルコール 65.0部 を反応容器に仕込み、攪拌しながら水を滴下することに
よって転相乳化させて、着色樹脂粒子の分散液を得た。
さらに、20分間攪拌した後、減圧蒸留により、脱溶剤
を行ない有機溶剤を除去した後、スラリー濃度が約20
%になるように水を加えて、樹脂粒子の水性分散液を得
た。この水性分散液を攪拌しながら70℃にて4時間架
橋反応を行なってから室温まで冷却した後、濾過した。
濾取したケーキに、固形分が約20%になるように水を
加えて再スラリー化し、濾過・水洗した後、濾取した含
水ケーキに水を加えて体積平均粒径6.8μmの球形の
樹脂粒子(I)を20%含有する水スラリーを得た。
【0115】 (樹脂粒子(I)の水スラリー調製例2) ミルベースM−2 545.5部(固形分で300部) 「TETRAD−X」 0.426部 1規定水酸化ナトリウム水溶液 21.0部 水 160部 イソプロピルアルコール 84.0部 を反応容器に仕込み、同様にして、体積平均粒径6.9
μmの球形の樹脂粒子(I)を20%含有する水スラリ
ーを得た。
【0116】(非架橋の樹脂粒子の水スラリー調製例1
および2)架橋剤を使用しない以外は、樹脂粒子(I)
の水スラリー調製例1、2と同様にして、非架橋で、体
積平均粒径がそれぞれ6.7μm、6.9μmの球形着
色樹脂粒子を20%含有する水スラリー1および2を得
た。
【0117】(微粒子(II)の水スラリーの調製例)カ
ルボキシル基含有樹脂A−3の300部をメチルエチル
ケトン450部に溶解した溶液750部と1規定水酸化
ナトリウム水溶液150部を反応容器に仕込み、攪拌し
ながら500部の水を滴下することによって転相乳化さ
せて、体積平均粒径0.1μm以下の樹脂微粒子の分散
液を得た。さらに、20分間攪拌した後、減圧蒸留によ
り、脱溶剤を行ないスラリー濃度が約30%の微粒子
(II)の水スラリーを得た。
【0118】(実施例1)樹脂粒子(I)の水スラリー
の調製例1で得られたスラリー1000部と微粒子(I
I)の水スラリーの調製例で得られたスラリー150部
(固形分45部)を反応容器に仕込み、攪拌しながら
0.1%塩化カルシウム水溶液150部を加えた後、1
規定塩酸350部を添加し、スラリーのPHを2.5と
し、微粒子(II)を樹脂粒子(I)の表面に析出させ
た。これを濾過・水洗してから、真空混合乾燥機を用い
て約40℃にて乾燥し粉体粒子を得た。次いで、この粉
体をヘンシェルミキサーに入れ、ジャケット温度を60
℃に保ちながら、約10分間、攪拌混合して、微粒子
(II)が表面に強固に固着されたトナー粒子を得た。
【0119】これは平均円形度0.983の球形で、S
EM(走査型電子顕微鏡)による観察で、表面に微少の
凹凸が認められた。この粒子のTHF不溶解分は結着樹
脂に対し38%であった。
【0120】このトナー粒子100部に疎水性シリカ
(日本アエロジル製RY200)2部と酸化チタン(テ
イカ製MT−150)0.5部をヘンシェルミキサーを
使用して外添しトナーを得た。
【0121】(実施例2)樹脂粒子(I)の水スラリー
の調製例2で得られたスラリー1000部と微粒子(I
I)の水スラリーの調製例で得られたスラリー150部
を反応容器に仕込み、実施例1と同様にして、トナー粒
子を得た。
【0122】これは平均円形度0.984の球形で、S
EMによる観察で、表面に微少の凹凸が認められた。こ
の粒子のTHF不溶解分は結着樹脂に対し33%であっ
た。
【0123】この粉体粒子に実施例1と同様な外添を施
してトナーを得た。
【0124】(比較例1および2)非架橋の樹脂粒子の
水スラリー調製例1および2で得られた水スラリー1お
よび2に、実施例1と同様にして、表面に高Tgの酸性
基含有樹脂が固着され、疎水性シリカと酸化チタンが外
添された球形トナーを得た。
【0125】(比較例3および4)樹脂粒子(I)の水
スラリーの調製例1および2で得られたスラリーを反応
容器に仕込み、攪拌しながら1規定塩酸を添加し、スラ
リーのPHを3としてから、濾過・水洗し、真空混合乾
燥機を用いて乾燥し粉体粒子を得た。次いで、この粉体
粒子に、実施例1と同様な外添を施してトナー(表面に
高Tgの酸性基含有樹脂A−3の固着がなされてない)
を得た。
【0126】実施例1〜2と比較例1〜4で得た黒色ト
ナーにつき次のような試験を行った。
【0127】(現像試験)実施例1〜2と比較例1〜4
で得た黒色トナーを市販のプリンター(LexmarkOptra
S)のトナーカートリッジに充填して画出し試験を行っ
たところ、いずれも解像性および階調性など点で優れた
印刷画像が得られた。特に、高Tgの酸性基含有樹脂を
表面に固着したトナーで顕著であった。
【0128】また、この画出し試験500枚毎に、クリ
ーニング後の感光体ドラム上に残ったトナー量をテープ
剥離法で定量するとともに、印刷紙の汚れ程度を評価す
ることにより、上記試作トナーのブレードクリーニング
性を比較したところ、高Tgの酸性基含有樹脂を表面に
固着したトナー(実施例1,2および比較例1,2)
は、そのような処理を施していないトナー(比較例3、
4)よりもブレードクリーニング性が向上することが確
認された。この理由は明瞭ではないが、樹脂を表面に固
着したトナーは表面に微少の凹凸があるため、そのよう
な処理を施さない、表面がより平滑な球形トナーに比べ
て、ブレードによる掻き取りがしやすくなるため、と推
測している。
【0129】(定着試験)市販の複写機(リコー社製の
IMAGIO MF530)の改造機を用いて未定着画像を形成
し、同機の定着装置を改造したものを使用し、紙送り速
度を120mm/秒に制御した上で、熱ロールの表面温
度を5℃刻みで90〜200℃に変化させて定着温度を
調べた。
【0130】この定着性の判定は、トナー画像上に住友
スリーエム(株)製の「スコッチメンディングテープ」
を載せ、これに、100g/cm2 の加重をかけた後、
ゆっくりと引き剥がし、その画像濃度の変化をマクベス
濃度計を用いて測定した。
【0131】画像濃度1.4〜1.6の黒ベタ画像を用
い、メンディングテープ剥離試験前後の画像濃度の比が
90%以上となる熱ロールの最低温度を定着開始温度と
し、ホットオフセットが発生する熱ロールの最低温度を
定着上限温度として定着温度幅を求めた。
【0132】(耐熱保存安定性)各トナーをガラス製サ
ンプル瓶に入れ、50℃で7日間放置し、室温に戻した
後の粒子の凝集度合いで判定した。5は変化なし、4は
少し触れると崩れる、3は少し力を入れると崩れる、2
はかなり力を入れると崩れる、1は固化を示す。実用
上、この値が3以上なら合格で、2以下は不合格であ
る。
【0133】以上の評価結果を表1に示した。定着温度
幅の測定上限は前記の通り200℃までであるが、実施
例1と比較例3については、200℃においてもホット
オフセットが発生せず。定着温度の上限が200℃以上
であることがわかった。
【0134】この表から、結着樹脂が架橋された粒子
で、その表面に高Tgの酸性基含有樹脂が固着した実施
例のトナーが、優れた定着性と耐熱保存性を有すること
が分かる。
【0135】
【表1】
【0136】
【発明の効果】本発明では、粒子内部をガラス転移温度
の低い架橋された樹脂組成とし、粒子表面にガラス転移
温度の高い酸基含有樹脂を固着させることにより、優れ
た定着性と耐熱保存性を兼ね備えたトナーが得られる。
このようにトナー粒子表面に酸基含有樹脂を固着するこ
とにより、帯電性や耐刷性、さらにはブレードクリーニ
ングも向上する。また、本トナーに好適な製造方法とし
て、結着樹脂の少なくとも一部が架橋された着色剤含有
樹脂粒子の製法、および該樹脂粒子表面への酸性基含有
樹脂の固着方法が開示されている。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AA01 AA15 AB03 AB06 CA17 EA03 EA05 EA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色剤と少なくとも一部が架橋された結
    着樹脂を必須成分とする樹脂粒子(I)の表面に、酸性
    基含有樹脂が固着されたトナー。
  2. 【請求項2】 結着樹脂が、テトラヒドロフラン不溶解
    分0.5〜70重量%となるまで架橋されたものである
    請求項1記載のトナー。
  3. 【請求項3】 表面に固着されている樹脂の酸性基がカ
    ルボキシル基である請求項1記載のトナー。
  4. 【請求項4】 平均円形度((粒子投影面積と同じ面積
    の円の周長)/(粒子投影像の周長)で定義される円形
    度の平均値)が0.97以上の球形である請求項1記載
    のトナー。
  5. 【請求項5】 樹脂粒子(I)の水性分散液に、中和によ
    り自己水分散性及び/又は水溶性となる酸性基含有樹脂
    を塩基性中和剤の存在下に水性媒体と混合し転相乳化し
    て得られる、樹脂粒子(I)よりも平均粒子径が小さく
    ガラス転移温度が高い微粒子(II)の水性分散液を均一
    に混合し、酸で樹脂粒子(I)の表面に微粒子(II)を
    析出させ、次いで、これから液媒体を除去して乾燥し、
    この乾燥粉体を加熱下で攪拌混合処理して得られる、請
    求項1記載のトナーの製造方法。
  6. 【請求項6】 樹脂粒子(I)が、中和により自己水分
    散性となる酸性基含有樹脂、架橋剤、着色剤を必須成分
    として含む混合物を、塩基性中和剤の存在下に水性媒体
    と混合し転相乳化した後、加熱架橋して得られる、着色
    剤が内包された粒子である、請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 樹脂粒子(I)が、着色剤の分散した架
    橋性モノマーを含む重合性モノマーを、液媒体中で重合
    させて得られる粒子である、請求項5記載のトナーの製
    造方法。
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