JP2000345295A - 耐疲労はく離性と耐摩耗性に優れた鉄道車両用車輪 - Google Patents
耐疲労はく離性と耐摩耗性に優れた鉄道車両用車輪Info
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Abstract
用車輪を提供する。 【解決手段】 踏面部とフランジ部がパーライト組織か
らなり、材料の炭素含有量(C)が0.5〜0.8重量
%であり、踏面部のビッカース硬さHvtとフランジ部
のビッカース硬さHvfを下記の範囲とする。 200×C+210≦Hvf≦357×C+132 357×C+72≦Hvt<200×C+210
Description
用される耐摩耗性と耐疲労はく離性に優れた車輪に関す
る。
用、客車用、貨車用などがあり、それぞれ機能、形状等
が相違している。そのために、それぞれ用途に応じた寸
法、形状、材質の車輪が用いられている。通常、これら
の車輪の寿命は、その踏面およびフランジ面の摩耗の程
度によって決定されるので、車輪に要求される性能とし
ては耐摩耗性が第一にあげられる。
性があり、同じ組織では硬さが高いほど耐摩耗性がよ
く、同じ硬さで比較するとマルテンサイトやベイナイト
組織よりパーライト組織の方が耐摩耗性がよいことが知
られている。このため、従来から車輪にはJIS−E5
402に規定されるように高炭素鋼が用いられ、踏面部
はパーライト組織となるように熱処理されている。近年
ではさらに耐摩耗性を向上させた車輪が発明されてい
る。
開示されているように、踏面に耐摩耗性に優れた材料を
溶射した車輪があげられる。しかし、溶射材はせん断力
に対して弱く、使用中にはく離するおそれがあること、
また、溶射層は厚くても2〜3mm以下の厚さであるた
め、使用途中で再溶射する必要があり、メンテナンス性
の面でも実用性に乏しいことから一般的に使用されるま
でには至っていない。
ールと接触することが多くなり、踏面部よりフランジ部
の方が摩耗が多くなることがある。このような使用状況
では、摩耗によってフランジが直立した形態(フランジ
直立摩耗と呼ばれる)となり、フランジがレールに乗り
上げやすくなって、脱線の危険性が高くなる。フランジ
直立摩耗を避けるには、特にフランジ部の耐摩耗性を向
上させる必要があり、フランジ部だけを再焼入れしマル
テンサイト組織にした車輪が一部の路線で使われるよう
になった。しかし、硬さの高いマルテンサイト組織のフ
ランジ部では靭性が低下するため、フランジとレールと
の衝撃的な接触に起因した欠けが多発し、期待された効
果が得られていないのが現状である。
さ化にともない踏面部の疲労はく離損傷による車輪の廃
却が大きな問題となってきており、その対策が要望され
ている。このため、車輪を総合的に長寿命化するには、
耐摩耗性を向上させるだけでなく、耐疲労はく離性の向
上も重要であり、さらに耐摩耗性と耐疲労はく離性との
バランスをよく勘案する必要がある。
鉄道車両、特に貨車の荷重増大やレールの高硬さ化に対
応して、耐疲労はく離性と耐摩耗性の観点から総合的に
寿命の長い車輪を提供することにある。
およびフランジ部とも耐摩耗性が高いことが要求されて
いるが、踏面部においてはさらに耐疲労はく離性が高い
ことが要求される。耐摩耗性、耐疲労はく離性とも硬さ
との相関があり、一般に硬さが高いほど耐摩耗性、耐疲
労はく離性とも高くなることが知られている。
車の荷重の増大とレールの高硬さ化に向かっているた
め、単純に車輪の高硬さ化を追求するのは問題がある。
型試験片による摩耗・疲労はく離の再現試験を種々の条
件で行ったところ、以下のように従来の知見とは異なる
知見が得られた。
ス硬さで300以下では硬さに対応して単調に長くなる
が、ビッカース硬さで300を超えると、若干長くなる
ものの飽和気味になり、ビッカース硬さで370を超え
るとかえって低下する場合がある。この間、磨耗量は硬
さの上昇とともに単調に減少する。
摩耗が極端に少なくなり、疲労はく離の起点となる微視
的損傷域が摩耗によって除去される効果がなくなるこ
と、および高硬さ化すると靭性が低下するためき裂が進
展しやすくなることがあげられる。
に優れ、踏面部においては耐摩耗性をできるだけ損なわ
ずに耐疲労はく離性に優れる車輪が望ましい。これを得
るには、靭性を損なわない程度にフランジ部の硬さをで
きるだけ高くし、踏面部は耐摩耗性を損なわない程度に
硬さを低くするのがよい。
えて硬さに差をつけるとしても、素材の炭素含有量に応
じてフランジ部と踏面部の硬さが連動する。従って、フ
ランジ部の硬さを炭素含有量の関係式で下限規定を行
い、踏面部の硬さは同じ関係式で上限を規定すればよ
い。
のであり、その要旨は以下のとおりである。
部とフランジ部がパーライト組織からなり、炭素含有量
(C[重量%])が0.5〜0.8%であり、踏面部の
ビッカース硬さHvtとフランジ部のビッカース硬さH
vfがそれぞれ下記の範囲内にあることを特徴とする耐
疲労はく離性と耐摩耗性に優れた鉄道車両用車輪。
形状を示す断面図である。本発明で定義している踏面部
2およびフランジ部3はリム1の内径より25mm以上
外側の領域である。踏面部2とフランジ部3との境界は
フランジ付け根のRじまい4(コーナーR部と踏面の交
点)を基点とする車軸に垂直な線である。
とがパーライト組織からなり、フランジ部より踏面部の
硬さが低く、かつそれぞれの部分の硬さおよび炭素含有
量が下記の範囲で規定される。
ト組織とするのは、同じ硬さではマルテンサイトやベイ
ナイト組織よりパーライト組織の方が耐摩耗性がよいた
めである。
炭素含有量(C[%])は0.5〜0.8%とする。C
が0.5%未満であると十分な硬さが得られない。また
0.8%を超えると靭性が著しく低下する。
て、踏面部のビッカース硬さHvt、フランジ部のビッ
カース硬さHvfおよびC[%]がそれぞれ下記の範囲
内とする。
たフランジ部、踏面部の領域を一定間隔で10点以上測
定した時の平均値であり、ブリネル、ロックウェル等他
の硬さの場合はこれをビッカース硬さに換算した値であ
る。
びC[%]の関係を示すグラフである。
132となる場合、すなわち、所与のC含有量で硬さが
異常に高くなるということは、パーライトが生成してお
らず、ベイナイトまたはマルテンサイト組織が生成して
いることを意味しているからである。ベイナイトまたは
マルテンサイト組織では、耐摩耗性は硬さから期待され
るほど優れておらず、靭性も低いため欠けやはく離も生
じやすくなる。
の場合、十分な耐摩耗性および耐疲労はく離性が得られ
ない。Hvt=357×C+72のグラフはフランジ部
に関するHvf=357×C+132のグラフを平行移
動したものであるが、これより下側ではパーライト組織
が粗くなり、C含有量が同じでも耐摩耗性が低下する。
また、耐疲労はく離性も硬さに依存して低下するためで
ある。
vtは図2の平行四辺形ABCDの範囲内とするが、踏
面部の硬さ:Hvtは低めに、フランジ部の硬さ:Hv
fは高めにすること、同じ素材のC[%]に対して熱処
理を変えた場合にもHvtとHvfが連動することを考
慮すれば、フランジ部Hvfは図2の直線ACより上側
で、踏面部Hvtは直線ACより下側と規定すればよ
い。
00×C+210、踏面部の硬さ:Hvt<200×C
+210である。
規定しない。ただし、本発明と同じ出願人による発明で
ある特開平9−202937号公報に規定された材質を
使用すれば、耐摩耗性、耐疲労はく離性以外の特性、す
なわち耐熱き裂性、耐フラットはく離性等も良好であ
り、実用上十分な性能を発揮する。ここで、フラットは
く離とは、車輪がレール上を滑走することによって生じ
たフラット状の変形と、その直下の白色層を起点とした
はく離のことである。耐熱き裂性、耐フラットはく離性
には、生じたき裂がはく離にいたるまで進展しにくいこ
と、すなわちき裂の進展性が重大な影響を及ぼすが、前
記の特開平9−202937号公報に規定された材質は
同じ硬さで比較すると、き裂の進展速度が遅く、耐熱き
裂性、耐フラットはく離性が良好である。
では通常の車輪の製造方法と同じである。熱処理の焼入
れ時には、踏面部とフランジ部で硬さの差をつけるた
め、従来のリム部焼入れに比較してフランジ部の冷却水
噴射量を大きく、踏面部のそれを小さくする。冷却速度
の目安はフランジ部冷却速度を踏面部の1.5〜5倍、
さらに好ましくは2.5〜4倍とするのがよい。焼入れ
後の焼戻しは従来の車輪の製造方法と同じでよい。
13mmの車輪を製作した。用いた材質は、C[%]が
0.64%のAAR(American Association of Railwa
y)規格でclass−Bに分類される鋼種である。
従来の車輪と同じである。ただし、熱処理においてリム
焼入れ時の冷却は、フランジ部へ噴射する冷却水を従来
より多くし、踏面部へ噴射する冷却水を従来より少なく
した。焼戻し・機械加工後測定したフランジ部のビッカ
ース硬さは342、踏面部の硬さは308であった。
車輪の踏面部より直径120mm、厚さ20mmの小型
の円盤型試験片を切出し、転がり接触疲労試験を行っ
た。レールに相当する相手材はC[%]が0.78%の
材料で、ビッカース硬さは380〜400であった。
0MPa、すべり率((試験片周速−相手材周速)/試
験片周速)を0.3%、潤滑は水潤滑とした。
ング上の上下加速度が0.5Gとなった時点を疲労はく
離の寿命(サイクル)とし、試験後の摩耗深さを測定し
た。この上下動の加速度による寿命判定方法は、事前の
確認試験で深さ約1mmの疲労き裂が生じたときに上下
加速度が0.5Gになることに基づくもので、連続運転
しながら寿命を監視できる利点がある。
験した。鋼種は本発明例品と同じ鋼種である。
ト、硬さが本発明品のフランジ部と同程度(ビッカース
硬さ340)、 (b) 比較例2:踏面部の金属組織がベイナイトで、ビッ
カース硬さが450、 (c) 比較例3:踏面の金属組織がパーライト、ビッカー
ス硬さが260。
同表のビッカース硬さ、疲労はく離寿命、摩耗深さはそ
れぞれ、試験片10個の平均値である。1サイクルあた
り摩耗深さは、試験後に測定した摩耗深さを疲労はく離
寿命で除した値である。
寿命が最も長いことがわかった。比較例1は本発明品よ
り踏面部の硬さが高く、摩耗量は最も少ない。しかし、
疲労はく離寿命は本発明品より短い。比較例1の踏面部
は本発明例のフランジ部と同程度の硬さであり、本発明
のフランジ部が比較例1相当の硬さを有すれば、耐摩耗
性に優れたものが得られることがわかった。
あるため、本発明品より疲労はく離寿命・摩耗量のいず
れもが劣っていた。
耐摩耗性のいずれもが著しく劣っていた。
性を損なうことなく、耐疲労はく離性にすぐれ、かつフ
ランジ部の耐摩耗性にも優れていることがわかる。
はく離性の観点から総合的に寿命の長い車輪を得ること
ができる。これによって、車両の荷重増大やレールの高
硬さ化にともなう車輪損傷多発の防止要求に応えること
ができ、鉄道輸送コストの増大を抑制できる。
ある。
びC[%]の関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 鉄道車両に用いられる車輪であって、踏
面部とフランジ部がパーライト組織からなり、炭素含有
量(C[重量%])が0.5〜0.8%であり、踏面部
のビッカース硬さHvtとフランジ部のビッカース硬さ
Hvfがそれぞれ下記の範囲内にあることを特徴とする
耐疲労はく離性と耐摩耗性に優れた鉄道車両用車輪。 200×C+210≦Hvf≦357×C+132 357×C+72≦Hvt<200×C+210
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15135499A JP4423700B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | 耐疲労はく離性と耐摩耗性に優れた鉄道車両用車輪 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15135499A JP4423700B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | 耐疲労はく離性と耐摩耗性に優れた鉄道車両用車輪 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000345295A true JP2000345295A (ja) | 2000-12-12 |
JP4423700B2 JP4423700B2 (ja) | 2010-03-03 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15135499A Expired - Fee Related JP4423700B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | 耐疲労はく離性と耐摩耗性に優れた鉄道車両用車輪 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4423700B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7566372B2 (en) | 2004-05-14 | 2009-07-28 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Railway car wheel |
JP2010536646A (ja) * | 2007-08-21 | 2010-12-02 | ウラジミール・アナトリエヴィッチ・ソコロフ | 鉄道ホイールセットの局部硬化のための方法 |
JP2020131939A (ja) * | 2019-02-20 | 2020-08-31 | 日本製鉄株式会社 | 鉄道車両用車輪の転動による疲労き裂進展抑制方法 |
WO2022220237A1 (ja) | 2021-04-16 | 2022-10-20 | 日本製鉄株式会社 | 鉄道車輪 |
-
1999
- 1999-05-31 JP JP15135499A patent/JP4423700B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US7566372B2 (en) | 2004-05-14 | 2009-07-28 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Railway car wheel |
JP2010536646A (ja) * | 2007-08-21 | 2010-12-02 | ウラジミール・アナトリエヴィッチ・ソコロフ | 鉄道ホイールセットの局部硬化のための方法 |
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WO2022220237A1 (ja) | 2021-04-16 | 2022-10-20 | 日本製鉄株式会社 | 鉄道車輪 |
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