JP3951467B2 - 鉄道車両用車軸 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両用車軸に関し、特に、車輪やブレーキディスクなどが嵌合されるはめ合い部において高疲労強度を示す鉄道車両用車軸に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両に使用される車軸は、その折損が極めて重大な事故につながるため、高い信頼性が要求される。特に、車輪やブレーキディスクあるいは歯車等が嵌合されるはめ合い部では、高い負荷応力の繰返しと車輪など相手部材との微小な相対滑りが原因で、フレッティング疲労が生じ、疲労強度が大幅に低下することが知られている。
【0003】
一般の鉄道車両用車軸は、炭素鋼を素材として表面焼入れをしないで用いられている。しかし、1960年代の新幹線車両の導入にあたっては、高速化による負荷荷重の増大と乗り心地維持のための軽量化といった厳しい条件のもとで、高い信頼性の車軸が要求され、炭素鋼に高周波焼入れを施したフレッティング疲労強度の高い車軸が開発され、優れた疲労信頼性を有する車軸として使用されてきた。
【0004】
近年、新幹線の更なる高速化が計画され、その技術開発が進んでおり、高速化に対応したフレッティング疲労強度の一段と高い車軸が求められている。
【0005】
本出願人は、特開平10−8202号公報で、Si、Cr、Mo等を含んだ低合金鋼に高周波焼入れを施した車軸を開示した。この車軸は、はめ合い部に硬化層を形成することに特徴がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、上記公報に開示した手段で、疲労強度の高い車軸を得た。しかしながら、車両の更なる高速化および安全性の追求に対応して、一段と優れた疲労強度特性を備えた車軸が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、はめ合い端部とその周辺領域の表面処理方法を改善し、フレッティング疲労強度の高い鉄道車両用車軸を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
はめ合い部の疲労強度は、表面の硬さおよび残留応力に依存し、高周波焼入れにより硬化層に圧縮残留応力が形成され、疲労強度が向上することは知られている。また、フレッティング疲労による損傷は、微小滑りに起因してはめ合い部に生じる摩擦力が大きいほど発生しやすい。そこで、本発明者らは、高周波焼入れにより硬化層を形成したはめ合い端部とその周辺領域に、更に、めっき処理を施し、めっき層内に圧縮残留応力を形成するとともに、はめ合い部における摩擦力を軽減して疲労強度をより向上させることを想到し、車軸の試作、評価の試験を繰返し、下記のaおよびbが疲労強度の向上に有効であることを確認した。
【0009】
a.はめ合い端部とその周辺領域に、ビッカース硬さが400以上である硬化層を形成し、その厚さ(K)をはめ合い部直径(D)に対する比(K/D)で0.005〜0.05とする。
【0010】
b.硬化層の上側(表面側)に、重量%で、B:0.02〜2%を含有し、残部がNiと不可避的不純物とからなるめっき層を形成し、その厚さ(M)を硬化層の厚さ(K)との比(M/K)で0.005〜0.2とする。
【0011】
図1は、車軸の摩擦係数の測定要領を示す模式図であり、摩擦係数は、パット押圧力Pと軸方向の引張り・圧縮の加圧力σの作用下で、歪みゲージで測定される軸方向の接線力Fとから、F/Pで計算される。表1は、図1に示す測定要領で求めた摩擦係数である。同表に示すように、めっき層を車軸に形成することにより、摩擦係数は大幅に低下する。
【0012】
【表1】
Figure 0003951467
【0013】
本発明は、上記知見に基づくもので、その要旨は、下記( ) の通りである。
【0014】
(1) 重量%で、C:0.3〜0.48%、Si:0.05〜1%、Mn:0.5〜2%、Cr:0〜1.5%、Mo:0〜0.3%、Ni:0〜2.4%およびAl、Ca、Ti、Nbを合計で0〜0.2%含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼からなり、表面から内部にかけて焼戻しマルテンサイトまたはベイナイトの領域を有し、少なくともはめ合い端部と当該はめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部に、ビッカース硬さが400以上である硬化層を有し、該硬化層の厚さ(K)がはめ合い部直径(D)に対する比(K/D)で0.005〜0.05で、前記硬化層の上側にBを重量%で0.02〜2%含有し、残部がNiと不可避的不純物とからなるめっき層を有し、該めっき層の厚さ(M)が前記硬化層の厚さ(K)との比(M/K)で0.005〜0.2で、前記硬化層の下側に焼戻しマルテンサイトまたはベイナイトの領域を有することを特徴とする鉄道車両用車軸。
【0016】
上記(1)項において、鋼は、Al、Ca、Ti、Nbなどの元素を含んでもよく、残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0017】
上記(1) 項において、「はめ合い端部と当該はめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部」とは、はめ合い部と、そのはめ合い部に嵌合される車輪やブレーキディスクあるいは歯車のボス内面との接触端であるはめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内とからなる領域の表層部を指す。なお、ビッカース硬さ測定は、試験荷重1kgfでの硬さとする。ビッカース硬さが400以上の硬化層を、以後の説明に於いては単に硬化層という場合もある。
【補正の内容】
【0018】
【発明の実施の形態】
鋼の化学組成の限定理由を説明する。以下、%はいずれも重量%を示すものである。
【0019】
a.C:0.3〜0.48%
Cは母材の強度を高めるとともに、高周波焼入れによる表面の硬さを向上させる元素であり、Cの増加とともに疲労強度は単調に増加する。Cが0.3%未満では、疲労強度が不充分であり、0.48%を超えると焼き割れが発生するため0.3%を下限に、0.48%を上限とする。
【0020】
b.Si:0.05〜1%
Siは脱酸元素としても、また疲労強度を向上させるうえでも有効である。充分に脱酸をおこなうためには、脱酸後凝固した鋼中にSiが0.05%以上は残存していなければならない。しかし、1%を超えても、疲労強度は向上せず、むしろ靭性が著しく低下するため1%を上限とする。
【0021】
c.Mn:0.5〜2%
Mnは焼入れ性を高めるために必要な元素であり、少なくとも0.5%を含有する必要がある。しかし、過剰に含有しても、その効果が飽和するとともに靭性が劣化するので2%を上限とする。
【0022】
d.Cr:0〜1.5%
Crは焼入れ性を高めるのに効果的な元素であるが、疲労強度が確保できる場合は含有させなくてもよい。1.5%を超えると高周波焼入れの際、硬化層の厚さが過大となり圧縮残留応力が低下し疲労強度が低下するので、1.5%を上限とする。
【0023】
e.Mo:0〜0.3%
Moは焼入れ性を高めるとともに、母材の強度を高めるのに効果的な元素であるが、疲労強度が確保できる場合は含有させなくてもよい。0.3%を超えると疲労強度が低下するので、0.3%を上限とする。
【0024】
f.Ni:0〜2.4%
Niは母材の強度を高めるのに効果的な元素であるが、疲労強度が確保できる場合は含有させなくてもよい。2.4%を超えて含有させても、疲労強度はほば飽和するとともに焼戻し脆化するので上限を2.4%とする。
【0025】
その他の成分として、Al、Ca、Ti、Nbなどの元素を合計で0.2%以下含んでもよい。残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0026】
組織、硬化層およびめっき層を説明する。
図2は、本発明に係る車軸の形状の一例を示す模式図で、同図(a)は車軸全体図、同図(b)は同図(a)のY部の部分断面模式図である。符号1は車軸、2ははめ合い部、3ははめ合い端部、4は硬化層、5はめっき層である。
【0027】
図2(a)、(b)において、はめ合い端部3とこのはめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部における硬化層4以外の車軸1の表面から内部にかけては、焼戻しマルテンサイトまたはベイナイトの組織を有する。これは十分な引張り強度と十分な靱性を確保するためである。この組織は、車軸の中心まで存在する必要はなく、内部はフェライトとパーライトの組織であってもよい。
【0028】
図2(b)において、少なくともはめ合い端部3とこのはめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部においては、ビッカース硬さ400以上のマルテンサイト変態した硬化層4を有し、その厚さ(K)ははめ合い部直径(D)に対する比(K/D)で0.005〜0.05とする。はめ合い端部とこのはめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部においては、マルテンサイト変態による体積膨張に起因した圧縮残留応力が生じ、き裂の発生とその進展が抑制され疲労強度が向上する。K/Dが0.005未満では、圧縮残留応力の発生領域が浅くなり、0.05より大きいと、圧縮残留応力の最大値が小さくなり、いずれも疲労強度が低下する。なお、硬化層の形成は、「はめ合い端部とこのはめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部」であればよいが、車軸全体としてもよい。
【0029】
前記硬化層の下側において、焼戻しマルテンサイトまたはベイナイトの組織からなる領域を有する。これは、十分な引張り強度および靭性を確保するためである。この組織は、後述する高周波焼入れをおこなう前は、硬化層が形成される表層部においても存在していたものであり、高周波焼入れの際、これら組織中に分散していた微細な炭化物は短時間の内に固溶し、硬化層の硬さをビッカース硬さで400以上とすることを補助する。なお、上記組織の領域は、硬化層と接していなくてもよい。硬化層より下側の、やや硬さの低い高周波焼入れ部分に接している方が普通である。
【0030】
図2(b)に示すように、硬化層4の上側にBを重量%で0.02〜2%含有し、残部がNiと不可避的不純物からなるめっき層5を有する。めっき層の形成により、はめ合い部とボス内面との間の摩擦力が低下すると共に、めっき層内にめっき時の体積膨張に起因した圧縮残留応力が生じる。この圧縮残留応力の形成は、めっき層直下の圧縮残留応力を低下させるため、この観点からはめっき層の形成は疲労強度を若干低下させる作用をなすが、はめ合い部とボス内周面との接触面における摩擦力の低下による疲労強度の改善が著しく、したがって、めっき層の形成により疲労強度は向上する。Bの含有量が、0.02%未満では、めっき層に形成される圧縮残留応力が小さくなり、疲労強度が不充分であり、2%を超えると、疲労強度はほぼ飽和しコストがアップするので0.02%を下限に、2%を上限とする。好ましくは、0.05%以上、1.5%以下である。
【0031】
本発明の好適態様では、めっき層の厚さ(M)が硬化層の厚さ(K)との比(M/K)で0.005〜0.2であることを特徴とする。M/Kが0.005未満ではめっき層に形成される圧縮残留応力が不充分であり、0.2より大きいと、めっき層の体積膨張によって硬化層内の圧縮残留応力が低下して硬化層の疲労強度が低下する。
【0032】
次に、本発明の車軸の製造方法の例を説明する。
上記した成分範囲の鋼を溶製し、熱間鍛造にて車軸形状に粗成形した後、焼入焼戻処理を行う。焼入れ前の加熱温度は、Ac3 点〜950℃とし、焼戻し温度は、450〜675℃の範囲とするのが望ましい。上記の成分系の鋼のAc3 変態点は800℃程度である。焼戻し温度が450℃未満では、十分な靭性が得られず、675℃を超えると十分な引張強さが得られない。焼入焼戻処理により、焼戻しマルテンサイトまたはベイナイトの組織が得られる。
【0033】
この後、半仕上げ機械加工をおこない、はめ合い端部とこのはめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部に高周波焼入れを施す。高周波焼入れは、誘導加熱(周波数1〜30kHz)コイルにより急速加熱後、水噴射により急冷する。このときの高周波加熱条件は、電流200〜250A、電圧800〜900V、加熱時間10〜20秒、冷却遅延時間0〜5秒、冷却時間10〜20secの範囲でおこなうことができる。高周波焼入れの後、低温焼戻しを、加熱温度150℃から300℃の範囲で行う。150℃以下だと、必要な靭性が確保できず、300℃以上だと、高周波焼入れによって発生した圧縮残留応力が消失し、期待される疲労強度が得られないおそれがある。上記高周波焼入れによりマルテンサイト変態した硬化層が得られる。
【0034】
次いで、表面の黒皮を除去するため、仕上げ機械加工を行い、その後、車軸をB源とNi源を含有しためっき浴に浸漬して電気めっきをおこなう。電気めっき条件は、めっき浴温度を40〜80℃、電流密度を0.5〜5A/dm2 とすることができる。電気めっき後、ベーキング処理を施しても良いが、その温度は、高周波焼入れ後の焼戻温度以下にする。
【0035】
【実施例】
(実施例1) 表2に示す化学成分の低合金鋼を用い、直径40mm、長さ835mmで、軸中央部に幅90mmのはめ合い部を有する小型車軸を製作し、疲労強度を評価した。
【0036】
【表2】
Figure 0003951467
【0037】
真空電気溶解炉にて上記低合金鋼を溶解し、鋼塊に鋳込み、熱間鍛造にて丸棒状に粗成形した後、850℃にて油焼入れ、550℃にて焼戻しを順次実施した。次に、半仕上げ機械加工をおこない、はめ合い部直径を40.8mmとした後、高周波焼入れをおこなった。高周波焼入れでは、誘導加熱コイルによりはめ合い端部とそのこのはめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部を急速加熱した後、水噴射により急冷し、その後200℃で焼戻しをおこなった。誘導加熱条件は、硬化層の深さが0.5mmで、硬化層の軸方向における形成範囲が、はめ合い部(幅90mm)とその両側105mmの範囲(合計300mm)となるように調整した。高周波焼入れ後、仕上げ機械加工をおこない、はめ合い部直径を40mmとした。仕上げ機械加工の後、めっき層の組成としてBが1%で残部が実質的にNiからなるように、B源とNi源を含有しためっき浴に車軸を浸漬し電気めっきを施した。なお、めっき浴の温度は60℃、電流密度は3A/dmとした。上記のようにして製作した小型車軸を用いて、回転曲げ疲労試験を行った。
【0038】
図3は、小型車軸疲労試験装置の概要図である。同図に示すように、試験は、軸中央部のはめ合い部に応力を付加した状態の両支持回転曲げにておこない、繰返し数が2×107 回でも未破断の最大応力振幅を疲労限度とした。
【0039】
表3に、上記疲労試験による疲労限度を、硬化層の厚さ、めっき層の厚さと共に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0003951467
【0041】
表3に示すように、本発明例1は、硬化層の厚さが0.5mm(K/D:0.0125)で、めっき層の厚さが20μm(M/K:0.04)であった。なお、同表に示すように、めっき有無、めっき成分、めっき厚および硬化層の厚さの各条件において、比較例1ではめっき未実施、比較例2ではめっき成分、比較例3では硬化層の厚さ、比較例4と5ではめっき厚さ、以外の条件は本発明例1と同様とした。
【0042】
表3に示すように、本発明例1の疲労強度は370MPaであり、比較例1〜の中で最も高い疲労強度320MPaを示した比較例1に比べて15%以上改善した。
【0043】
(実施例2) 表4に示す化学成分の炭素鋼を用い、実施例1で示したと同じ寸法の小型車軸を製作し、疲労限度を評価した。車軸の製作方法、および疲労試験方法は、実施例1で説明したと同様の方法でおこなった。表5に、疲労試験結果を示す。
【0044】
【表4】
Figure 0003951467
【0045】
【表5】
Figure 0003951467
【0046】
表5に示すように、本発明例2は、硬化層の厚さが0.5mm(K/D:0.0125)で、めっき層の厚さが20μm(M/K:0.04)であった。なお、同表に示すように、比較例6は、めっき未実施以外の条件は本発明例2と同様とした。
【0047】
表5に示すように、本発明例2の疲労限度は310MPaであり、比較例6に比べ15%程度向上した。
【0048】
(実施例3) 表2と表4にそれぞれ示す合金鋼と炭素鋼を用い、長さ2600mmで、軸端部に幅180mmで直径200mmのはめ合い部を有する大型車軸を製作し、疲労強度を評価した。
【0049】
真空電気溶解炉にて上記鋼を溶解し、鋼塊に鋳込み、熱間鍛造にて丸棒状に粗成形した後、850℃にて油焼入れ、550℃にて焼戻しを順次実施した。次に、半仕上げ機械加工をおこない、はめ合い部直径を202mm、その他の部位(非はめ合い部)の直径を192mmとした後、高周波焼入れをし、その後200℃で焼戻しをおこなった。誘導加熱条件は、硬化層の厚さが5mmで、硬化層の軸方向における形成範囲が、はめ合い端部から両側に40mm以上となるように調整した。高周波焼入れ後、仕上げ機械加工をおこない、はめ合い部直径を200mmとした。仕上げ機械加工の後、めっき層の組成としてBが1%で残部が実質的にNiからなるように、B源とNi源を含有しためっき浴に車軸を浸漬し厚さ50μmの電気めっきを施した。なお、めっき浴の温度は60℃とした。
【0050】
次に、上記の大型車軸を用いて、回転曲げ疲労試験を行った。
【0051】
図4は、大型車軸疲労試験装置の概要図である。同図に示すように、試験は、片側に車輪を平均70MPaで圧入した状態の片支持回転曲げにて、はめ合い部での曲げ公称応力(曲げモーメント/はめ合い部の断面係数)が200MPaとなるように設定し、2×107 回の繰返し曲げを与えておこなった。なお、上記200MPaは、JIS−E4501に規定されている第4種(高周波焼入れ車軸)の許容応力である147MPaより十分高く、車軸が実際の鉄道車両に装着されて十分使用に耐えると判断される値である。
表6に、上記疲労試験結果を、硬化層の厚さ、めっき層の厚さと共に示す。
【0052】
【表6】
Figure 0003951467
【0053】
表6に示すように、本発明例3、4は、いずれも2×107 回の繰返し曲げで破断せず良好であった。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、従来と比較してより高い疲労強度を有する鉄道車両用車軸を得ることができる。これによって、新幹線車両などの高速化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車軸の摩擦係数の測定要領を示す模式図である。
【図2】本発明に係る車軸の一例を示す模式図で、同図(a)は車軸全体図、同図(b)は同図(a)のY部の部分断面模式図である。
【図3】小型車軸疲労試験装置の概要図である。
【図4】大型車軸疲労試験装置の概要図である。
【符号の説明】
1 車軸
2 はめ合い部
3 はめ合い端部
4 硬化層
5 めっき層

Claims (1)

  1. 重量%で、C:0.3〜0.48%、Si:0.05〜1%、Mn:0.5〜2%、Cr:0〜1.5%、Mo:0〜0.3%、Ni:0〜2.4%およびAl、Ca、Ti、Nbを合計で0〜0.2%含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼からなり、表面から内部にかけて焼戻しマルテンサイトまたはベイナイトの領域を有し、少なくともはめ合い端部と当該はめ合い端部から軸方向両側にはめ合い部の幅の15%以内の表層部に、ビッカース硬さが400以上である硬化層を有し、該硬化層の厚さ(K)がはめ合い部直径(D)に対する比(K/D)で0.005〜0.05で、前記硬化層の上側にBを重量%で0.02〜2%含有し、残部がNiと不可避的不純物とからなるめっき層を有し、該めっき層の厚さ(M)が前記硬化層の厚さ(K)との比(M/K)で0.005〜0.2で、前記硬化層の下側に焼戻しマルテンサイトまたはベイナイトの領域を有することを特徴とする鉄道車両用車軸。
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