JP2000345196A - 界面活性剤組成物の製法 - Google Patents

界面活性剤組成物の製法

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JP2000345196A
JP2000345196A JP11156063A JP15606399A JP2000345196A JP 2000345196 A JP2000345196 A JP 2000345196A JP 11156063 A JP11156063 A JP 11156063A JP 15606399 A JP15606399 A JP 15606399A JP 2000345196 A JP2000345196 A JP 2000345196A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造時の温度範囲では容易に取り扱い得る、十
分に低い粘度を有し、保存時の温度範囲では、非イオン
性界面活性剤のシミ出し抑制、かつ洗剤組成物強度の向
上のために界面活性剤組成物が硬化する、という特性を
併せ持つ界面活性剤組成物を効率良く製造する方法を提
供すること。 【解決手段】融点が30℃以下の非イオン性界面活性剤
〔(a)成分〕、硫酸基又はスルホン酸基を有する陰イ
オン性界面活性剤〔(b)成分〕及び(a)成分の固定
化剤〔(c)成分〕を含有してなり、該(c)成分はカ
ルボキシル基又はリン酸基を有するが硫酸基又はスルホ
ン酸基を有さない陰イオン性界面活性剤及び(a)成分
と相溶性を有する融点が35℃以上の化合物からなる群
より選ばれる一種以上である界面活性剤組成物の製法で
あって、ループ反応器を用いて(a)成分の存在下、液
状のアルカリ化合物で(b)成分の酸前駆体を中和する
その製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非イオン性界面活性
剤を含有する界面活性剤組成物の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】融点30℃以下の非イオン性界面活性剤
は皮脂汚れの洗浄性能に優れる。しかし、該非イオン性
界面活性剤は、常温では液状又はペースト状であるた
め、粉末洗剤をはじめとする非液状の洗剤に配合し難
い。
【0003】特開平5−112797号公報には、非イ
オン性界面活性剤を含有する液体界面活性剤組成物の製
法が開示されているが、この組成物を粉末に担持させて
粉末洗剤を得る場合には、非イオン性界面活性剤のシミ
出し性やケーキング性の点で問題がある。
【0004】特開平3−72600号公報には、非イオ
ン性界面活性剤を含有する高濃度の界面活性剤組成物の
製法が開示されているが、非イオン性界面活性剤の配合
量が低いために固化しやすく、製造時の取り扱い性に劣
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、非液
状の洗剤組成物を製造する工程において、製造時の温度
範囲(好ましくは90℃以下)では容易に取り扱い得
る、十分に低い粘度を有し、一方、洗剤組成物の保存時
の温度範囲では、非イオン性界面活性剤のシミ出し抑
制、かつ洗剤組成物強度の向上のために界面活性剤組成
物が硬化する、という特性を併せ持つ界面活性剤組成物
を効率良く製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、融点が
30℃以下の非イオン性界面活性剤〔(a)成分〕、硫
酸基又はスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤
〔(b)成分〕及び(a)成分の固定化剤〔(c)成
分〕を含有してなり、該(c)成分はカルボキシル基又
はリン酸基を有するが硫酸基又はスルホン酸基を有さな
い陰イオン性界面活性剤〔(c−1)成分〕及び(a)
成分と相溶性を有する融点が35℃以上の化合物〔(c
−2)成分〕からなる群より選ばれる一種以上である界
面活性剤組成物の製法であって、ループ反応器を用いて
(a)成分の存在下、液状のアルカリ化合物で(b)成
分の酸前駆体を中和する界面活性剤組成物の製法、に関
するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】(a)成分の非イオン性界面活性
剤はその融点が30℃以下、好ましくは25℃以下、特
に好ましく22℃以下のものである。ポリオキシアルキ
レンアルキル(フェニル)エーテル、アルキレンポリグ
リコシド、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック
ポリマー、ポリオキシアルキレンアルキロール(脂肪
酸)アミドが好ましいものとして例示される。中でも、
炭素数10〜14のアルコールにアルキレンオキシドを
4〜12モル(好ましくは6〜10モル)付加したポリ
オキシアルキレンアルキルエーテルが特に好ましい。こ
こで、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシドが挙げられ、好ましくはエチレ
ンオキシドである。(a)成分は一種以上を用いること
もできる。(a)成分は水溶液として配合しても良い。
【0008】(b)成分の硫酸基又はスルホン酸基を有
する陰イオン性界面活性剤は、(a)成分の非イオン性
界面活性剤と併用することで、望ましい泡立ち性や洗浄
性能を得ることができる。
【0009】(b)成分としては、炭素数10〜18の
アルコールの硫酸エステル塩、炭素数8〜20のアルコ
ールのエトキシレート化物の硫酸エステル塩、炭素数1
0〜18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィン
スルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スル
ホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等が
好ましいものとして挙げられる。中でも、アルキル鎖の
炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
塩がより好ましく、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等
のアミン塩が特に好ましい。
【0010】通常、(b)成分は酸前駆体の形態で配合
される。泡立ち性や洗浄性能の点から、(b)成分の酸
前駆体の配合量は、中和により生成する(b)成分の量
換算で(a)成分100重量部に対して10〜300重
量部が好ましく、20〜200重量部がより好ましく、
30〜180重量部が特に好ましい。(b)成分の酸前
駆体は一種以上を用いることができる。
【0011】(c)成分は(a)成分の固定化剤であ
る。本発明において固定化剤とは、常温、例えば25℃
で液状の非イオン性界面活性剤の流動性を抑え、且つそ
の非イオン性界面活性剤を含有する界面活性剤組成物が
流動性を失った状態での硬度を高めることができる基剤
を意味する。例えば、図1に示すように、(a)成分と
(b)成分の混合物(組成物(X))は、温度の低下に
よる進入硬度の上昇が小さい。一方、組成物(X)に
(c)成分を添加することにより、得られる組成物
(Y)はその組成物の流動点での進入硬度が低いが、
(a)成分の融点より高い温度で急激に該組成物の進入
硬度が上昇するという性質を持つようになる。進入硬度
は、レオメーター(不動工業(株)製、NRM−300
2D型)と直径8mm、底面積0.5cm2 の円形アダ
プター(No.3、8φ)を用い、アダプターが界面活
性剤組成物の内部に進入速度20mm/minで20m
m進入した時の荷重を該アダプターの底面積で除した値
として求めることができる。
【0012】(c)成分の配合量は、(a)成分100
重量部に対して1〜100重量部が好ましく、5〜50
重量部がより好ましく、5〜30重量部が特に好まし
い。界面活性剤組成物を非液状の洗剤組成物に配合した
際の非イオン性界面活性剤のシミ出し抑制の点から1重
量部以上が好ましく、界面活性剤組成物の取り扱い性の
点から100重量部以下が好ましい。
【0013】(c)成分としては、下記に示す(c−
1)成分及び(c−2)成分からなる群より選ばれる一
種以上である。(c−1)成分は、カルボキシル基又は
リン酸基を有するが硫酸基又はスルホン酸基を有さない
陰イオン性界面活性剤である。具体的には、脂肪酸塩、
ヒドロキシ脂肪酸塩及びアルキルリン酸塩等からなる群
より選ばれる一種以上の陰イオン性界面活性剤が挙げら
れる。炭素数10〜22の脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸
のナトリウム、カリウムのアルカリ金属塩、アルカノー
ルアミン等のアミン塩から選ばれる一種以上が溶解性の
点で好ましいものとして挙げられる。特に好ましくは、
シミ出し抑制及び洗剤粒子強度の点で、炭素数14〜2
0の飽和脂肪酸のナトリウム、カリウム塩から選ばれる
一種以上である。脂肪酸塩は中和に対して緩衝作用を示
すことから、(b)成分の酸前駆体の中和操作を安定し
て行うことができるため、好適である。通常、(c−
1)成分は酸前駆体の形態で配合される。
【0014】(c−2)成分は、(a)成分と相溶性を
有する融点が35℃以上の化合物である。重量平均分子
量が3千〜3万のポリオキシアルキレン型非イオン性化
合物、重量平均分子量が3千〜3万のポリエーテル系非
イオン性化合物などからなる群より選ばれる一種以上が
挙げられる。特にポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
が好ましい例として挙げられ、中でも重量平均分子量3
千〜3万(好ましくは5千〜1万5千)のポリエチレン
グリコールが好ましい。ここで、相溶性とは、(a)成
分と(c−2)成分の混合物が、その流動点以上の温度
でよく混じり合い、分相しにくい性質をいう。
【0015】本発明においては、(c−1)成分の酸前
駆体単独又は(c−2)成分単独で配合しても良く、
(c−1)成分の酸前駆体及び(c−2)成分の両者を
併用して配合しても良い。両者を併用する場合、シミ出
し防止効果や耐ケーキング性をさらに向上させることが
できるため、より好ましい。この場合、(c−1)成分
の酸前駆体の(c−2)成分に対する重量比は10/1
〜1/10が好ましく、8/1〜1/8がより好まし
く、5/1〜1/5が特に好ましい。
【0016】本発明の製法においては、ループ反応器に
各原料成分を供給してこれらを混合する。そして、
(a)成分の存在下で、液状のアルカリ化合物で(b)
成分の酸前駆体を中和して界面活性剤組成物を得る。ル
ープ反応器を使用することにより、連続反応が可能とな
ることによる製造効率の向上だけでなく、(b)成分の
酸前駆体を中和する際に発生する中和熱を効率的に除去
し得、高品質な界面活性剤組成物が得られる。
【0017】(b)成分や(c−1)成分については、
その酸前駆体を非イオン性界面活性剤と同時にループ反
応器に供給してアルカリ化合物で中和して調製してもよ
いし、該酸前駆体のどちらか又は両方を非イオン性界面
活性剤と混合した後に、ループ反応器に供給してアルカ
リ化合物で中和して調製してもかまわない。
【0018】(b)成分の酸前駆体を中和するためのア
ルカリ化合物は液状で用いる。液状のアルカリ化合物と
しては、扱い易さの点から水酸化物濃度が60重量%以
下のアルカリ金属水酸化物溶液が好ましく、水酸化物濃
度が30〜55重量%のそれがより好ましい。アルカリ
金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムが好ましい。また、二種以上のアルカリ化合物を用い
てもよい。アルカリ化合物の配合量は、(b)成分の酸
前駆体を中和するために必要な量以上であれば良い。
【0019】(c−1)成分の酸前駆体を中和するため
の液状のアルカリ化合物は、(b)成分の酸前駆体の中
和に使用可能なアルカリ化合物であれば限定なく使用可
能であり、(b)成分の酸前駆体の中和に用いたものと
同じものでもよく、異なるものでも良い。アルカリ化合
物の配合量は、(c−1)成分の酸前駆体を中和するた
めに必要な量以上であれば良い。
【0020】(a)成分の存在下で中和を行うために
は、例えば、ループ内を最初に(a)成分で満たした
後、他の原料成分をループ内に供給すれば良い。
【0021】原料成分のループ反応器への供給方法の好
ましい態様としては、(a)成分、(b)成分の酸前駆
体、液状のアルカリ化合物及び(c)成分を、それぞれ
別個にループ反応器に供給する態様である。界面活性剤
組成物の(c)成分として(c−1)成分の酸前駆体を
配合する場合には、製造上の取り扱い性の点から、
(b)成分の酸前駆体を液状のアルカリ化合物で中和し
た後、(c−1)成分の酸前駆体を添加する態様が特に
好ましい。具体的には、ループより排出される混合液に
(c−1)成分の酸前駆体を添加することが好ましい。
それによってループ反応器内に中和熱を除熱する目的で
熱交換器が設置されている場合に、伝熱面でのスケール
の生成が防止される等の取り扱い性が向上する。(c−
1)成分の酸前駆体を中和するのに必要なアルカリ成分
は、予めループ反応器内で供給しておいても良く、ルー
プ反応器からの排出ラインの途中で供給しても良い。ル
ープ反応器からの排出ラインに続けて混合槽を設置して
いる場合、該混合槽で加えても構わない。混合槽内でア
ルカリ成分を供給する場合、界面活性剤組成物の安定性
の点から、未中和の(c−1)成分の酸前駆体の量が該
界面活性剤組成物の10重量%以下が好ましく、5重量
%以下がより好ましく、3重量%以下が特に好ましい。
【0022】ループ反応器としては、一般的な中和用ル
ープ反応器を用いることができる。本質的に閉鎖ループ
型が好ましい。ループ反応器は通常、混合装置と循環装
置とを備えている。混合装置の下流には必要に応じて熱
交換装置を備え、混合装置の上流には各成分の供給口を
備えている。供給口の上流には、混合液を排出する出口
を備えている。混合液の一部は該出口を経てループより
排出され、該混合液の残りはループ内を再循環する。こ
の時、発生する中和熱を効率的に除去することと、生産
性の点から、循環倍率は3〜20倍が好ましく、5〜1
5倍がより好ましい。尚、循環倍率はループ内を循環す
る液流量をループに供給される各原料の流量の総和で除
した値として定義される。ループ反応器はジャケットで
保温されていることが好ましい。混合装置としてはイン
ラインミキサーや遠心ポンプを用いることができる。ル
ープ反応器からの排出ラインに続けて混合槽を設置して
も良い。
【0023】(a)成分、(b)成分及び(c)成分を
含有してなる界面活性剤組成物は、該組成物の流動点
(測定法は後述する)以上の温度で好ましくは10Pa
・s以下、より好ましくは5Pa・s以下、特に好まし
くは2Pa・s以下の粘度を有し、該組成物の流動点よ
り低く(a)成分の融点より高い温度範囲において該組
成物の進入硬度が好ましくは100g/cm2 以上、よ
り好ましくは300g/cm2 以上、特に好ましくは8
00g/cm2 以上となる温度領域を有する。かかる界
面活性剤組成物自体の取り扱い性及び該組成物を含有し
てなる洗剤組成物の製造時の取り扱い性が良好であると
共に、該洗剤組成物の保存時における非イオン性界面活
性剤のシミ出しを抑制できることから、かかる界面活性
剤組成物は好適である。
【0024】また、得られる界面活性剤組成物は過剰の
アルカリ度を有することが好ましい。過剰アルカリ度と
しては0.5〜20モル%が好ましく、1〜10モル%
がより好ましく、2〜5モル%が特に好ましい。この範
囲において、該組成物の保存安定性及び色相がさらに良
好となり、好ましい。中和に使用するアルカリ化合物の
配合量を適宜調整することにより、界面活性剤組成物が
過剰のアルカリ度を有するようにすることができる。過
剰アルカリ度は(b)成分の酸前駆体及び(c−1)成
分が存在する場合は(c−1)成分の酸前駆体を中和す
るのに当量のアルカリ化合物のモル量に対して、過剰に
添加されたアルカリ化合物のモル量の百分率として定義
される。
【0025】本発明の製法により得られる界面活性剤組
成物を用いて非液状の洗剤組成物を製造する場合、酸前
駆体の一部を中和し、残りを粉体原料に担持させるとき
に中和してもよい。但し、界面活性剤組成物中の酸前駆
体の含有量は非イオン性界面活性剤の安定性の点から、
好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以
下、特に好ましくは3重量%以下である。
【0026】本発明により得られる界面活性剤組成物に
は水が含有されていても良い。特に(c−1)成分を含
有する場合、この組成物には水が含有されていることが
好ましい。その理由は、(c―1)成分として脂肪酸塩
を用いる場合、水の添加は脂肪酸塩と(a)成分との相
溶性を高めるので好適だからであり、また、この界面活
性剤組成物の流動点以上の温度での減粘効果も期待でき
るからである。水の含有量は、界面活性剤組成物の5〜
25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好まし
く、9〜15重量%がさらに好ましく、10〜14重量
%が特に好ましく、10.5〜12.5重量%が最も好
ましい。尚、水の含有量は、界面活性剤組成物に水を添
加したり、液状のアルカリ化合物中の水分量を調節する
ことで調製できる。
【0027】界面活性剤組成物には、通常洗剤に使用さ
れる公知の成分、例えば、衣料用洗剤の分野で公知の界
面活性剤;アクリル酸ポリマー、アクリル酸マレイン酸
コポリマー及びカルボキシメチルセルロース等の再汚染
防止剤;亜硫酸塩等の還元剤;蛍光増白剤等が含有され
ていても良い。
【0028】本発明の方法で製造した界面活性剤組成物
を他の粉末状物質と混合することにより各種の形態の洗
剤組成物を製造することができる。洗剤組成物の形態と
しては、例えば、ペースト状、ドウ状、粉末状、及びそ
れらを加工して得られるシート状、タブレット状等が挙
げられる。界面活性剤組成物と粉末状物質の配合比を適
宜変化させることによって所望の形態とすることができ
る。粉末状物質としては、例えばゼオライトや炭酸ナト
リウム、結晶性シリケート等の一般的に衣料用洗剤に用
いられるビルダーが挙げられ、一種以上のビルダー及び
/又は洗剤組成物に、一般的に用いられる基剤を適宜配
合したスラリーを乾燥して得られるベース顆粒も挙げら
れる。
【0029】例えば、界面活性剤組成物の量に対して粉
末状物質の量を増やしていくことにより、洗剤組成物の
形態は、ペースト状からドウ状、粉末状へと変化する。
概ね該界面活性剤組成物100重量部に対して、粉末状
物質20〜1000重量部配合することによってペース
ト状、粉末状物質50〜2000重量部配合することに
よってドウ状、粉末状物質100〜2000重量部配合
することによって粉末状の形態を取り得る。
【0030】界面活性剤組成物等に係る物性値は以下の
方法により測定することができる。流動点は、JIS
K 2269の方法により測定することができる。融点
は、FP800サーモシステムのメトラーFP81(M
ettler Instrumente AG製)を用
い、昇温速度0.2℃/minで測定される。粘度は、
B型粘度計(TOKYO KEIKI社製 DVM−B
型)、ロータNo.3、回転速度12r/minで測定
して求めることができる。
【0031】
【実施例】表中、文中に使用する略号等は下記の通りで
ある。DBS:ドデシルベンゼンスルホン酸(商品名:
ネオペレックスFS(花王(株)製))。NI:非イオ
ン性界面活性剤、ここではポリオキシエチレンアルキル
エーテル(商品名:エマルゲン108KM(花王(株)
製)、融点:18℃、エチレンオキサイド平均付加モル
数:8.5、アルキル鎖の炭素数:12〜14)。F
A:飽和脂肪酸、ここではパルミチン酸(商品名:ルナ
ックP−95(花王(株)製))。PEG:ポリエチレ
ングリコール(商品名:K−PEG6000(花王
(株)製)、平均分子量:8500、融点:60〜66
℃)。固定化剤1:(c−1)成分の酸前駆体、ここで
はFA。固定化剤2:(c−2)成分、ここではPE
G。
【0032】実施例1〜3 中和用ループ反応器(管内径φ54.1mm、管長7.
9m)を用いて、(a)成分、(b)成分及び(c)成
分を含有する界面活性剤組成物を製造した。ループ反応
器は本質的に閉鎖ループ型であり、該ループ内にインラ
インミキサーを備えていた。該ミキサーの下流には熱交
換装置が、そして該ミキサーの上流にはNI、DBS、
水酸化ナトリウム水溶液及び(c−2)成分の供給口が
設けられていた。熱交換装置の下流には、混合液を排出
する排出口が設けられていた。反応器はジャケットを具
備したものであり、保温可能であった。
【0033】まず、ループ内にNIを充填した。次い
で、DBS、水酸化ナトリウム36重量%水溶液を連続
的にループ内に添加した。(c−2)成分を配合する例
では、(c−2)成分もループ内に添加した。そして反
応器を稼動させてこれら成分の混合を行い、界面活性剤
混合液を得た。
【0034】(c−1)成分の酸前駆体を配合する例で
は、製造上の取り扱い性の点から、排出された混合液に
(c−1)成分の酸前駆体を添加した。したがって、か
かる例では、ループ反応器の排出口に続けて、(c−
1)成分の酸前駆体を添加するための供給口と、混合の
ためのインラインミキサー又は混合槽のいずれかを接続
した装置構成とした。
【0035】表1に示されるように、NI100重量部
を基準として他の成分の重量部を決定し、供給条件を設
定した。また中和剤である水酸化ナトリウム水溶液の添
加量は、DBS及びFAを中和するのに十分であるよう
に設定した。ループ反応器のジャケット温度は90℃を
維持するように調整した。循環倍率は5倍とした。(c
−1)成分の酸前駆体を、混合槽を用いて、又はインラ
インミキサーを用いて界面活性剤混合液と混合したとこ
ろ、混合槽及びインラインミキサーを用いた場合のいず
れも製造操作上の問題は生じなかった。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1〜3において、界面活性剤組成物
をループ反応器で容易に製造することができた。製造さ
れた組成物は操作温度では液状を示し、室温では固化し
た。各組成物のpHは9〜14の範囲にあり、過剰アル
カリ度は2〜3モル%であった。表1にその各物性を示
す。
【0038】比較例1 ジャケットにて90℃に調整した混合槽にNI及び(c
−2)成分を実施例3と同じ供給流量だけ添加して攪拌
した。次いでジャケット温度を90℃に維持するように
調整しながら実施例3と同じ供給速度でDBS及び水酸
化ナトリウム水溶液を添加・攪拌して界面活性剤組成物
を製造した。しかし、両者を添加し始めてから3〜5分
後には混合槽のジャケット温度調整機能以上に中和熱が
発生したため混合槽内の温度が100℃を越え始めた。
約7分後には混合槽内の温度は120℃を越え、組成物
内には水蒸気による気泡が発生し、組成物が急激に増粘
し、混合槽内部での攪拌が槽全体に及ばず不均一なもの
となった。尚、得られた組成物を分析したところNIの
分解が認められた。
【0039】比較例2 NI100重量部に対し、陰イオン性界面活性剤100
重量部(DBS供給流量は9.36kg/分、36%水
酸化ナトリウム水溶液供給流量は3.23kg/分)を
ループ内で混合した。得られた界面活性剤組成物の物性
を測定した。組成、物性を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】表1と表2から、固定化剤を含んでいない
場合、界面活性剤組成物の室温(35℃)での進入硬度
がこれらを含んでいる場合に比べて極端に小さいことが
分かった。さらに表1の実施例2と表2の比較例2の粘
度を比較すると、(c−2)成分を添加した場合の実施
例2の方が界面活性剤の粘度が低下していることが分か
った。よって製造操作上の点から(c−2)成分を有す
る組成では(c−2)成分はループ内に添加する方が好
ましかった。
【0042】次に実施例3において(c−1)成分の酸
前駆体の添加順序について検討した。界面活性剤組成物
全てをループ内に供給した場合の粘度は0.2Pa・s
となった。またNI、DBS、PEG、水酸化ナトリウ
ム水溶液をループ内に供給し、ループ排出後にFAを添
加した場合、ループ内の界面活性剤組成物の粘度は0.
1Pa・sとなった。しかしながら、FAの添加方法の
違いによる界面活性剤組成物の最終物性に違いは見られ
なかった。従って製造操作上の点から、(c−1)成分
の酸前駆体はループ排出後に添加する方が好ましかっ
た。
【0043】表3に、実施例3の界面活性剤組成物と比
較例2の界面活性剤組成物の各温度における進入硬度の
値を示す。実施例3の界面活性剤組成物は、図1の組成
物(Y)のように、その流動点(57.5℃)より低い
温度からNIの融点(18℃)より高い温度範囲で、温
度が低下するのに伴ってその進入硬度が急激に増加して
いることが分かった。この現象は実施例1、2において
も確認できた。一方、比較例2の界面活性剤組成物は、
図1の組成物(X)のように(a)成分の融点以上の温
度での進入硬度の急激な変化は見られなかった。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明の製法により、界面活性剤組成物
を効率よく製造することができる。本発明の製法により
得ることができる界面活性剤組成物は、製造時の温度条
件では液状を示し、かつ保存時の温度条件では固化する
という好ましい性質を有する。よって、かかる界面活性
剤組成物を洗剤組成物の配合成分として用いることによ
り、非イオン性界面活性剤のシミ出しが少なく耐ケーキ
ング性に優れた洗剤組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(a)成分及び(b)成分を含有して
なる界面活性剤組成物(X)並びに(a)成分、(b)
成分及び(c)成分を含有してなる組成物(Y)につい
ての、温度(℃)と進入硬度(g/cm2 )との関係を
示す図である。T1 は(a)成分の融点、T2 は組成物
(Y)の流動点、Lは組成物(X)のデータ及びMは組
成物(Y)のデータをそれぞれ示す。
フロントページの続き (72)発明者 山下 博之 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内 Fターム(参考) 4H003 AB03 AB18 AB37 AC08 BA09 BA12 CA16 EB34 EB36 ED02 FA16 FA18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が30℃以下の非イオン性界面活性
    剤〔(a)成分〕、硫酸基又はスルホン酸基を有する陰
    イオン性界面活性剤〔(b)成分〕及び(a)成分の固
    定化剤〔(c)成分〕を含有してなり、該(c)成分は
    カルボキシル基又はリン酸基を有するが硫酸基又はスル
    ホン酸基を有さない陰イオン性界面活性剤〔(c−1)
    成分〕及び(a)成分と相溶性を有する融点が35℃以
    上の化合物〔(c−2)成分〕からなる群より選ばれる
    一種以上である界面活性剤組成物の製法であって、ルー
    プ反応器を用いて(a)成分の存在下、液状のアルカリ
    化合物で(b)成分の酸前駆体を中和する界面活性剤組
    成物の製法。
  2. 【請求項2】 (a)成分100重量部に対し、(b)
    成分の酸前駆体の配合量が中和により生成する(b)成
    分の量換算にて10〜300重量部、(c)成分の配合
    量が1〜100重量部である請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 得られる界面活性剤組成物が0.5〜2
    0モル%の過剰アルカリ度を有する請求項1又は2記載
    の製法。
  4. 【請求項4】 (b)成分の酸前駆体を液状のアルカリ
    化合物で中和した後、(c−1)成分の酸前駆体を添加
    する請求項1〜3いずれか記載の製法。
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