JP2000338341A - 耐熱プラスチック光ファイバ - Google Patents
耐熱プラスチック光ファイバInfo
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Abstract
供する。 【解決手段】 透明な芯と、特定の組成からなるビニリ
デンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロ
プロペンからなり、低硬度で透明な樹脂からなる鞘とを
有するプラスチック光ファイバの鞘に電子線を照射して
鞘樹脂を架橋させる。
Description
体配線、FA機器配線などの光信号伝送や、光電センサ
ーなどに使用される、プラスチック光ファイバに関す
る。
いられるようになってきたが、それに伴い、高温環境、
或いは高温高湿度環境での使用にも耐える耐熱性を備え
たプラスチック光ファイバが要求されてきた。
イド80モル%とテトラフロロエチレン20モル%から
なる共重合体は、それ自体は結晶性が高く透明性が劣る
ものの、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂と
混合すると透明なアロイが形成されるため、該共重合体
からなる鞘をPMMA樹脂からなる芯に組み合わせてプ
ラスチック光ファイバを構成することができる。しかし
ながら、このアロイも高温高湿度環境では濁りを生じ、
伝送損失値が大きくなるので、耐熱プラスチック光ファ
イバとしては好ましいものではない。
−137112号公報などには、電子線照射によってプ
ラスチック光ファイバの被覆層の架橋を行う技術が開示
され、特願平1−43259号公報には、該電子線照射
によって耐熱性を向上させることが記載されている。こ
の場合のプラスチック光ファイバの芯樹脂としてはPM
MA樹脂、ポリカーボネート樹脂、アモルファスポリオ
レフィン樹脂などが挙げられている。また、鞘樹脂とし
ては、フッ化ビニリデン系共重合体やフッ化メタクリレ
ート系共重合体、シリコン樹脂などが挙げられている。
この文献では電子線照射したプラスチック光ファイバを
熱処理することにより光伝送損失の低いプラスチック光
ファイバが提供できるとしている。
耐熱性が高く、より伝送損失の低いプラスチック光ファ
イバを提供することにある。
透明な樹脂からなる芯と、該芯の周りを取り囲む鞘とを
有し、該鞘が、ビニリデンフロライド成分が40〜62
モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜40モル
%、ヘキサフロロプロペン成分が8〜22モル%からな
る共重合体であって、23℃におけるショアD硬度(A
STM D2240)の値が35〜45である透明樹脂
からなるプラスチック光ファイバに電子線を照射するこ
とによって、上記鞘を構成する樹脂を架橋処理してなる
ことを特徴とする耐熱プラスチック光ファイバであり、
特に、芯を構成する芯樹脂がポリメチルメタクリレート
系樹脂であり、該芯樹脂と鞘を構成する鞘樹脂とが芯と
鞘の界面で相溶していない構造のプラスチック光ファイ
バに電子線を照射してなる耐熱プラスチック光ファイバ
である。
構成をとることにより、鞘樹脂そのものを架橋して耐熱
性を向上させ、鞘の融点以上の温度でも使用できるプラ
スチック光ファイバを提供するものである。
は、架橋した鞘樹脂に特徴がある。即ち本発明に用いる
特定の組成のビニリデンフロライド系の透明な樹脂は、
電子線照射によって架橋し、且つそれによって透明性が
損なわれるものではないのが特徴である。従来公知のフ
ルオロアルキルメタクリレート系の鞘樹脂は、電子線照
射で分子が崩壊するタイプであり、本発明の対象とはな
らない。またその他ビニリデンフロライド系の鞘で、ビ
ニリデンフロライド成分の濃度が70モル%以上のもの
がPMMA系樹脂を芯とするプラスチック光ファイバの
鞘として使用されている。このようなビニリデンフロラ
イド系樹脂はその樹脂単体としては、結晶性が高く白濁
しているが、芯と鞘の界面で両者が相溶し、その相溶相
の透明性が高いために鞘として使用し得るのである。し
かしながら、PMMA系樹脂をビニリデンフロライド系
樹脂の相溶アロイは高温高湿度下では水分を吸収し、温
度が下がると水分が分離するというような繰り返しで鞘
が白濁し、伝送損失が不安定であるため、耐熱プラスチ
ック光ファイバには不向きである。さらに、このような
アロイに電子線を照射した場合、PMMA系樹脂は崩壊
樹脂であることなどから電子線照射にも相応しくない。
リデンフロライド系樹脂からなる鞘は、芯がPMMA樹
脂であってもポリカ−ボネ−ト樹脂などであっても、公
知の芯樹脂には相溶することなく、芯と鞘が完全に分離
して配置するので、相溶帯の変質を心配する必要は無
い。そして本発明に用いる透明な鞘樹脂は室温で透明で
あれば140℃でも透明性を保持する。そして従来のビ
ニリデンフロライド系の鞘では90℃、95%といった
高温高湿度では鞘樹脂そのものが白濁したのに対し、本
発明にかかる鞘樹脂は白濁することが無く、透明であ
る。
れる鞘樹脂は公知の芯樹脂に対して、相溶性は無く、従
って芯と鞘は剥離可能である。しかしながら、該鞘樹脂
はその軟らかさ故にしっとりと芯に貼り付くので、実用
上鞘の剥離の問題は起こらない。このような鞘を電子線
照射によって架橋しても、高温、及び高温高湿度下でも
透明性が損なわれない。
のビニリデンフロライド系樹脂の電子線照射による架橋
プラスチック光ファイバに比べ、高温下での樹脂の縮み
などの変形性が改善される点では同じではあるが、高
温、或いは高温高湿度下の伝送損失値の安定性では大い
に改善されている。
は、電子線照射後に延伸等の処理ができないため、予
め、芯・鞘構造の裸線に延伸加工等の処理をしてから電
子線照射を行う。電子線照射は芯と鞘とからなる裸線の
まま、或いは該裸線の周囲を被覆樹脂で被覆したケーブ
ルに行うことができる。
MA系樹脂やポリカーボネート樹脂などの他に、芯とし
て公知の耐熱透明樹脂が使用できる。PMMA系樹脂と
しては、メチルメタクリレート(MMA)の単独重合
体、或いはメチルメタクリレート成分を20重量%以上
含んだ共重合体で、共重合可能な成分として、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの
アクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタ
クリル酸エステル類、イソプロピルマレイミドのような
マレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンな
どがあり、これらの中から一種以上適宜選択して共重合
させたものなどである。
としてメチルメタクリレート成分が大半を占めるものに
主眼があったが、本発明ではアクリレート成分の共重合
割合を増やし、電子線照射による分子崩壊を架橋タイプ
にして、積極的に芯樹脂をも耐熱化させることができ
る。
熱樹脂で構成した場合にも、本発明は好適である。従
来、これらの耐熱樹脂で芯を形成して130℃を超す温
度の耐熱用プラスチック光ファイバとしたいという希望
はあったが、耐熱性が有って透明性の高い鞘樹脂は見当
たらない。そのため、本発明者は、かつて、鞘としてビ
ニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テトラフ
ロロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプ
ロペン成分が8〜22モル%からなり、23℃における
ショアD硬度(ASTM D2240)の値が35〜4
5の樹脂を用い、鞘の外側に、融点が150℃以上のビ
ニリデンフロライド系樹脂又はナイロン12樹脂で直
接、5〜700μmの厚さに被覆した耐熱プラスチック
光ファイバを提案している。この提案においては鞘に電
子線照射を行っていないため、その鞘樹脂の融点が精々
120℃程度でしか無いので、そのままでは130℃以
上で容易に樹脂が流動してしまうため、鞘層によく接着
し且つ融点が150℃以上の耐熱樹脂である、ビニリデ
ンフロライド系樹脂やナイロン12樹脂で裏貼りをして
耐熱性を付与させる提案を行っていた。本発明ではこの
ような耐熱樹脂による裏貼りが不要である。
をつけたまま電子線照射をすることは非常に好ましい。
電子線照射は芯・鞘構造の裸線に直接行うこともできる
が、好ましくは熱可塑性樹脂からなる被覆層の上から照
射する方が良い。その理由は、電子線は被覆層の外側か
ら芯の中心に向かって透過していくが、通常プラスチッ
ク光ファイバの芯は、電子線によって分子が切断される
崩壊型のものからなっているので、芯には電子線を強く
照射しないほうが良い。一方、鞘は芯の外側にあるた
め、鞘に直接電子線を照射するよりも、鞘の外側に所定
の厚さを持った被覆層を設けた上で電子線を照射した方
が、鞘に照射する電子線を制御し易い。
電圧と被爆線量のパラメータで調整できる。加速電圧は
電子線の透過する深さに関係し、0.6mm〜1.0m
mの厚さの樹脂の被覆であれば200〜500eV程度
が好適である。また、被爆線量はその処理の強さに関係
し、1MRAD〜15MRAD程度が好ましい。被爆線
量が大き過ぎるとファイバが発熱し、ファイバの劣化を
来すので適当な量を試行錯誤で決める。
崩壊が無く好ましいが、現実的には、芯に影響を与えな
いで鞘だけ架橋させるということは困難であり、芯は多
少被爆している。その結果、電子線照射を行ったプラス
チック光ファイバはファイバが真紅になっている。これ
は電子線照射により、芯樹脂のなかにラジカルが閉じ込
められており、Tg以下では数ケ月も生き続けるためで
ある。
ック光ファイバの伝送損失は数千〜数万dB/kmにも
達するが、このプラスチック光ファイバを100℃以上
の温度で数時間程度熱処理すれば、ラジカルが消滅し、
もとの伝送損失値に近いものとなる。しかしながら、芯
樹脂の崩壊によって分子量が大きく低下しているような
光ファイバは耐久性がないので、芯樹脂の分子量が電子
線照射によってどの程度低下しているかは、GPCなど
で把握しておく必要がある。例えばPMMA系樹脂から
なるプラスチック光ファイバであれば、重量平均分子量
が8万以上は保持されていることが好ましい。そのため
電子線照射する崩壊型の芯樹脂は、分子量を通常の分子
量よりも高くしておくことが好ましい。具体的には、例
えばPMMA樹脂であれば、重量平均分子量が11万〜
20万程度のものが好適に使用できる。
ック光ファイバに電子線照射をして、鞘の架橋を行うと
いうものであるが、このようなプラスチック光ファイバ
としては、芯と鞘の上に、更にビニリデンフロライド系
の保護層を配置したり、ナイロン12の保護層を配置し
たものなども好適に適用できることは既に述べたが、さ
らに、外被覆として、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹
脂、エバール樹脂などを被覆したケーブルに電子線照射
を施すことも有益である。
492で重量平均分子量が13万のポリメチルメタクリ
レート樹脂を用いた。また、鞘樹脂としては、ビニリデ
ンフロライド59モル%、テトロフロロエチレン30モ
ル%、ヘキサフロロプロペン11モル%からなる共重合
体であって、240℃、10Kg荷重におけるメルトフ
ローインデックスが27g/10分、屈折率が1.36
4で、23℃におけるショアD硬度(ASTM D22
40)の値が41の鞘樹脂を用いた。さらに、保護層樹
脂として、ビニリデンフロライド72重量%とテトラフ
ロロエチレン28重量%からなる共重合体で、240
℃、10Kg荷重におけるメルトフローインデックスが
90g/10分であり、融点が127℃、ビカット軟化
温度が119℃のビニリデンフロライド系樹脂を用い
た。
合紡糸ダイに導入し、芯径970μm、鞘外径985μ
m、保護層外径1000μmのプラスチック光ファイバ
素線を紡糸した。次いで、本プラスチック光ファイバ素
線にナイロン12の被覆を施し、外径1.4mmのケー
ブルとし、さらにその外側にナイロン12の外被覆を行
って直径2.2mmのケーブルとした。
失は650nmの波長で、入射NA0.15で測定し、
160dB/kmであった。
子線照射を行った。照射条件は、加速電圧300eV、
被爆線量3MRADで行った。得られたプラスチック光
ファイバの伝送損失は、650nmにて2500dB/
Kmであった。次いでこのケーブルを100℃で20時
間熱処理したところ、伝送損失は200dB/Kmに回
復した。このケーブルを10mとり、最も外側の被覆層
を剥がし、直径が1.4mmのケーブルをコネクターに
固定し、入射NAが0.5以上の650nmの発光波長
を持つLEDで伝送損失の経時変化を調べた。その結果
120℃の乾燥状態に1000時間放置した場合、 初期
の光パワーが−16.9dBmであるのに対し、100
0時間放置後の値は−18.9dBmであり、十分な耐
熱性が確認された。
0時間放置した後の伝送特性を、同じLEDで測定する
と、10mの出射光量は−17.2dBmで全く安定し
ていることが確認された。
光ファイバケーブルで電子線照射していないものを用い
た。その結果、室内保管品では10mの光パワーは−1
6.5dBmであるのに対して、20℃に100時間お
いたものは−36.0dBmであり光は通らなかった。
耐熱性に優れ、高温度環境及び高温高湿度環境において
も伝送損失の低く、車載用等に好適なプラスチック光フ
ァイバが提供される。
Claims (2)
- 【請求項1】 少なくとも、透明な樹脂からなる芯と、
該芯の周りを取り囲む鞘とを有し、該鞘が、ビニリデン
フロライド成分が40〜62モル%、テトラフロロエチ
レン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプロペン成
分が8〜22モル%からなる共重合体であって、23℃
におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が
35〜45である透明樹脂からなるプラスチック光ファ
イバに電子線を照射することによって、上記鞘を構成す
る樹脂を架橋処理してなることを特徴とする耐熱プラス
チック光ファイバ。 - 【請求項2】 芯を構成する芯樹脂がポリメチルメタク
リレート系樹脂であり、該芯樹脂と鞘を構成する鞘樹脂
とが芯と鞘の界面で相溶していない構造のプラスチック
光ファイバに電子線を照射してなる請求項1記載の耐熱
プラスチック光ファイバ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11149623A JP2000338341A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | 耐熱プラスチック光ファイバ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11149623A JP2000338341A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | 耐熱プラスチック光ファイバ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000338341A true JP2000338341A (ja) | 2000-12-08 |
JP2000338341A5 JP2000338341A5 (ja) | 2006-06-29 |
Family
ID=15479276
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11149623A Pending JP2000338341A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | 耐熱プラスチック光ファイバ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000338341A (ja) |
-
1999
- 1999-05-28 JP JP11149623A patent/JP2000338341A/ja active Pending
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