JP2000337411A - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

ドラムブレーキ装置

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JP2000337411A
JP2000337411A JP11152293A JP15229399A JP2000337411A JP 2000337411 A JP2000337411 A JP 2000337411A JP 11152293 A JP11152293 A JP 11152293A JP 15229399 A JP15229399 A JP 15229399A JP 2000337411 A JP2000337411 A JP 2000337411A
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brake
drum
vibration frequency
eigenvalue
back plate
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JP11152293A
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English (en)
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Hiromichi Matsui
弘道 松井
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 他の機能に影響を及ぼさない構造や形状の変
更により、2つの近接する固有値がドラムとシューとの
摩擦係数によって連成することを原因とするブレーキ鳴
きを有効に抑制するドラムブレーキ装置を提供するこ
と。 【解決手段】 ブレーキドラム1を構成するドラム取付
部1aとドラム外筒部1bのうち、ドラム外筒部1bの
剛性を変更することにより、半径方向固有モードでの半
径方向振動周波数固有値と、側壁方向固有モードでの摺
動方向振動周波数固有値との離間周波数を大きく設定し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の制動装置と
して適用されるドラムブレーキ装置の技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ドラムブレーキ装置としては、例
えば、特開平9−14303号公報に記載のものが知ら
れている。
【0003】この公報には、いわゆるブレーキ鳴きを低
減することを目的とし、ブレーキドラムの外周位置に不
等間隔にて厚肉部を設定し、様々な次数の半径方向固有
モードに対して重根を分離し、回転放熱板の振動を低減
させることでブレーキ鳴きを抑制する技術が示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のドラムブレーキ装置にあっては、ブレーキドラムの
外周位置に不等間隔にて厚肉部を設定しているため、製
造時に加工しにくいという問題があるし、また、質量の
片寄りにより回転バランスをとりにくいという問題があ
る。加えて、ブレーキドラムの半径方向固有モードのみ
に着目したものであるため、それ以外の振動現象を原因
とするブレーキ鳴きの発生に対し、これを抑える効果が
ないという問題がある。
【0005】すなわち、本発明者がドラムブレーキ装置
でブレーキ鳴きメカニズムの解析を行ったところ、2つ
の近接する固有値(共振周波数)がドラムとシューとの
摩擦係数によって連成し、自励振動となってブレーキ鳴
きとなることが証明された。さらに、この2つの固有値
の連成によるブレーキ鳴きには、下記の2つのパターン
があることが解った。
【0006】(1)ブレーキドラム単品での固有モード 図7の(イ)に示すドラム外筒部に半径方向固有モード
での共振周波数と、図7の(ロ)に示す側壁方向固有モ
ードでの共振周波数とが近接していると、2つの近接す
る固有値がドラムとシューとの摩擦係数によって連成
し、自励振動となってブレーキ鳴きとなる。
【0007】ここで、半径方向固有モードとは、上記従
来公報の図28に記載されているように、2以上の節を
もつてドラム外周が波打つように共振するモードをい
う。
【0008】また、側壁方向固有モードとは、ブレーキ
シューが接触するドラム摺動面が摺動方向に共振するモ
ードをいう。
【0009】ちなみに、従来のブレーキドラムは、取付
部〜外筒部の肉厚がほぼ同寸法であり、ドラム単品の固
有値である上記半径方向固有モードの周波数と側壁方向
固有モードの周波数は、例えば、一方が4140Hzで
あるの対し他方が4070Hzというように、2つの周
波数が近接している。
【0010】(2) ブレーキバックプレートとブレーキド
ラムとの固有モード ブレーキバックプレートの面外方向固有モードでの共振
周波数と、ブレーキドラムの半径方向固有モードでの共
振周波数とが近接していると、2つの近接する固有値が
ドラムとシューとの摩擦係数によって連成し、自励振動
となってブレーキ鳴きとなる。
【0011】すなわち、ドラムブレーキ装置を振動モデ
ルで表すと、図8に示すように、バックプレート系とド
ラム系がそれぞれ2自由度の振動系で、両者がバネK3
で連結されたモデルにて表される。なお、図8におい
て、m1はドラム質量、m2はバックプレート質量、μ
はシューとの摩擦係数、Nはシューの押付力、K1,K
2,K3,K4,K5はバネである。
【0012】そして、図9に示すように、μ値を徐々に
上げてゆくと、μ値が0.4位まではバックプレート固
有値とドラム固有値とが徐々に近づき、μ値が0.4位
に達すると両固有値が一致し、2つの振動が連成して不
安定となる。一方、ブレーキドラムのμ範囲は、ディス
クブレーキのμ範囲よりも高く、ディスクブレーキより
自励振動が起きやすい。
【0013】ちなみに、従来のドラムブレーキ装置は、
2〜3KHzのブレーキ鳴きについては、バックプレー
ト固有値とドラム固有値がほぼ一致しており、非常に鳴
き易い形状となっている。
【0014】本発明が解決しようとする課題は、他の機
能に影響を及ぼさない構造や形状の変更により、2つの
近接する固有値がドラムとシューとの摩擦係数によって
連成することを原因とするブレーキ鳴きを有効に抑制す
るドラムブレーキ装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決手段は、
下記の通りである。
【0016】請求項1記載の発明では、ホイールに固定
されホイールと共に回転するブレーキドラムと、車体側
の前記ブレーキドラムと対向する位置に固定されたブレ
ーキバックプレートと、該ブレーキバックプレートに設
けられたホイールシリンダ及びブレーキシューとを有
し、ブレーキ液圧によるホイールシリンダの作動時にブ
レーキシューをブレーキドラムの内面に押し付けて制動
力を発生させるドラムブレーキ装置において、前記ブレ
ーキドラムのドラム取付部とドラム外筒部のうち、ドラ
ム外筒部の剛性を変更することにより、半径方向振動周
波数固有値と摺動方向振動周波数固有値との離間周波数
を大きく設定したことを特徴とする。
【0017】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
ドラムブレーキ装置において、前記ブレーキドラムのド
ラム外筒部のシューセンター部肉厚を全周にわたって増
すことにより、ドラム外筒部の剛性を高める変更とし、
半径方向振動周波数固有値のみを上昇させ、半径方向振
動周波数固有値と摺動方向振動周波数固有値との離間周
波数を大きく設定したことを特徴とする。
【0018】請求項3記載の発明では、請求項2記載の
ドラムブレーキ装置において、前記ブレーキドラムの半
径方向振動周波数固有値と摺動方向振動周波数固有値と
の離間周波数を300Hz以上の設定としたことを特徴
とする。
【0019】請求項4記載の発明では、ホイールに固定
されホイールと共に回転するブレーキドラムと、車体側
の前記ブレーキドラムと対向する位置に固定されたブレ
ーキバックプレートと、該ブレーキバックプレートに設
けられたホイールシリンダ及びブレーキシューとを有
し、ブレーキ液圧によるホイールシリンダの作動時にブ
レーキシューをブレーキドラムの内面に押し付けて制動
力を発生させるドラムブレーキ装置において、前記ブレ
ーキバックプレートの平面膜振動を抑制する形状変更に
より、ブレーキバックプレートの面外方向振動周波数固
有値と前記ブレーキドラムの半径方向振動周波数固有値
との離間周波数を大きく設定したことを特徴とする。
【0020】請求項5記載の発明では、請求項4記載の
ドラムブレーキ装置において、前記ブレーキバックプレ
ートのプレス絞り形状を、全周にわたり、半径方向に二
段以上の絞りが設定された形状としたことを特徴とす
る。
【0021】
【発明の作用および効果】請求項1記載の発明にあって
は、ブレーキドラムのドラム取付部とドラム外筒部のう
ち、ドラム外筒部の剛性を変更することにより半径方向
振動周波数固有値が変更されることになり、ブレーキド
ラムの半径方向振動周波数固有値と摺動方向振動周波数
固有値との離間周波数が大きく設定される。
【0022】よって、ドラム外筒部の剛性変更により2
つの固有値の離間周波数が大きく設定され、2つの固有
値が近接し、ドラムとシューとの摩擦係数によって連成
することを原因とするブレーキ鳴きを有効に抑制するこ
とができる。
【0023】請求項2記載の発明にあっては、ブレーキ
ドラムのドラム外筒部のシューセンター部肉厚を全周に
わたって増すことにより、ドラム外筒部の剛性を高める
変更がなされ、半径方向振動周波数固有値のみを上昇さ
せることで、半径方向振動周波数固有値と摺動方向振動
周波数固有値との離間周波数が大きく設定される。
【0024】つまり、ドラム剛性変更の手法として、ド
ラム外筒部の肉厚を全周にわたって増す手法を採用して
いることで、ドラム製造時の加工は特に従来と変わると
ころがなく容易であるし、回転アンバランスの問題も生
じない。また、肉厚を増すシューセンター部は、半径方
向固有モードの歪みエネルギーが最も集中する部位であ
り、固有値の分離を行うには最も感度が高い。よって、
最も軽い質量(肉厚量)の付加により、ブレーキ鳴きの
低減が可能である。
【0025】請求項3記載の発明にあっては、ブレーキ
ドラムの半径方向振動周波数固有値と摺動方向振動周波
数固有値との離間周波数が300Hz以上に設定され
る。
【0026】そして、実験結果によると、離間周波数を
従来の70Hzから300Hzに変更することで、ブレ
ーキ鳴き発生率が、25%から0.03%に大幅に減少
した。
【0027】よって、離間周波数を300Hz以上とす
ることで、高いブレーキ鳴き低減効果を得ることができ
る。
【0028】請求項4記載の発明にあっては、ブレーキ
バックプレートの平面膜振動を抑制する形状変更によ
り、ブレーキバックプレートの面外方向振動周波数固有
値と前記ブレーキドラムの半径方向振動周波数固有値と
の離間周波数が大きく設定される。
【0029】よって、ブレーキバックプレートの平面膜
振動を抑制する形状変更により2つの固有値の離間周波
数が大きく設定され、2つの固有値が近接し、ドラムと
シューとの摩擦係数によって連成することを原因とする
ブレーキ鳴きを有効に抑制することができる。
【0030】請求項5記載の発明にあっては、ブレーキ
バックプレートのプレス絞り形状が、全周にわたり、半
径方向に二段以上の絞りが設定された形状とされる。
【0031】つまり、ブレーキバックプレートの剛性変
更手法として、従来より半径方向の絞り段数を増すだけ
の手法を採用したため、プレス型を変えるだけで従来と
同じプレス加工によりブレーキバックプレートの面外方
向振動周波数固有値を上昇させることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)実施の形態1は
請求項1〜3に記載の発明に対応するドラムブレーキ装
置である。まず、構成を説明する。
【0033】図1は実施の形態1のドラムブレーキ装置
を示す断面図で、1はブレーキドラム、2はブレーキバ
ックプレート、3はホイールシリンダ、4はブレーキシ
ューである。
【0034】前記ブレーキドラム1は、図外のホイール
に固定され、ホイール及び車輪と共に回転するドラム部
材である。このブレーキドラム1は、ドラム取付部1a
とドラム外筒部1bにより構成され、ドラム外筒部1b
の剛性を変更することにより、半径方向固有モードでの
半径方向振動周波数固有値と、側壁方向固有モードでの
摺動方向振動周波数固有値との離間周波数が大きく設定
されている。
【0035】そして、ドラム外筒部1bに、シューセン
ター軸Aを中心とするシューセンター部肉厚を全周にわ
たって増した肉厚増大部1cを一体に形成することで、
ドラム外筒部1bの剛性を高める変更とされ、これによ
り、半径方向振動周波数固有値のみを上昇させ、半径方
向振動周波数固有値と摺動方向振動周波数固有値との離
間周波数を大きく設定している。
【0036】前記ブレーキバックプレート2は、車体側
の前記ブレーキドラム1と対向する位置に固定されたプ
レート部材で、このブレーキバックプレート2には、ホ
イールシリンダ3及びブレーキシュー4,4等の制動部
材が設けられ、ブレーキ液圧によるホイールシリンダ3
の作動時にブレーキシュー4,4をブレーキドラム1の
内面に押し付けて制動力を発生させる。
【0037】次に、作用を説明する。
【0038】[離間周波数の設定]ブレーキドラム1の
半径方向固有モードでの半径方向振動周波数固有値と、
側壁方向固有モードでの摺動方向振動周波数固有値との
離間周波数の設定は、従来のブレーキドラムに対しシュ
ーセンター部肉厚(肉盛り巾H)を増してゆき、各肉盛
り巾Hに対する離間周波数を計測し、4KHz付近のブ
レーキ鳴き対策OKが確認された時点での離間周波数に
基づいて設定される。
【0039】すなわち、図2に示すように、肉盛り巾H
を増してゆくと寸法が3mm位までは離間周波数の上昇
が緩やかであるが、寸法が3mmを超えると離間周波数
の上昇勾配が徐々に急となり、肉盛り巾Hの寸法が5.
2mmとなった時点で4KHz付近のブレーキ鳴き対策
OKが確認された。
【0040】つまり、このOK確認時点での離間周波数
が320Hz程度であることで、ブレーキドラム1の半
径方向振動周波数固有値と摺動方向振動周波数固有値と
の離間周波数を300Hz以上と設定した。
【0041】[ブレーキ鳴きの抑制作用]図7の(イ)
に示すドラム外筒部に半径方向固有モードでの共振周波
数と、図7の(ロ)に示す側壁方向固有モードでの共振
周波数とが近接していると、2つの近接する固有値がド
ラムとシューとの摩擦係数によって連成し、自励振動と
なってブレーキ鳴きとなる。
【0042】これに対し、従来のブレーキドラムは、取
付部〜外筒部の肉厚がほぼ同寸法であり、半径方向固有
モードの周波数と側壁方向固有モードの周波数は、例え
ば、一方が4140Hzであるの対し他方が4070H
zというように、2つの周波数が近接していてブレーキ
鳴きの原因となっていた。
【0043】しかし、実施の形態1のブレーキドラム1
は、ドラム取付部1aとドラム外筒部1bのうち、ドラ
ム外筒部1bの剛性を肉厚増大部1cにより変更するこ
とにより半径方向振動周波数固有値が変更されることに
なり、ブレーキドラム1の半径方向振動周波数固有値と
摺動方向振動周波数固有値との離間周波数が大きく設定
され、2つの固有値の近接を原因とするブレーキ鳴きが
有効に抑制される。
【0044】次に、効果を説明する。
【0045】(1)ドラム外筒部1bの剛性を変更するこ
とにより半径方向振動周波数固有値を変更し、ブレーキ
ドラム1の半径方向振動周波数固有値と摺動方向振動周
波数固有値との離間周波数を大きく設定したため、2つ
の固有値の近接を原因とするブレーキ鳴きを有効に抑制
することができる。
【0046】(2)ドラム外筒部1bのシューセンター部
肉厚を全周にわたって増す肉厚増大部1cをドラム外筒
部1bに一体形成したため、ドラム外筒部1bの剛性を
高める変更により、半径方向振動周波数固有値のみを上
昇させることができる。
【0047】そして、ドラム剛性変更の手法として、ド
ラム外筒部1bの肉厚を全周にわたって増す手法を採用
していることで、ドラム製造時の加工は特に従来と変わ
るところがなく容易であるし、回転アンバランスの問題
も生じない。
【0048】さらに、肉厚を増すシューセンター部は、
半径方向固有モードの歪みエネルギーが最も集中する部
位であり、固有値の分離を行うには最も感度が高い。よ
って、最も軽い質量(肉厚量)の付加により、ブレーキ
鳴きの低減が可能である。
【0049】(3)ブレーキドラム1の半径方向振動周波
数固有値と摺動方向振動周波数固有値との離間周波数を
300Hz以上に設定したため、高いブレーキ鳴き低減
効果を得ることができる。
【0050】すなわち、本発明者が行った実験結果によ
ると、離間周波数を従来の70Hzから300Hzに変
更することで、ブレーキ鳴き発生率が、25%から0.
03%に大幅に減少した。
【0051】(実施の形態2)実施の形態2は請求項4
及び請求項5に記載の発明に対応するドラムブレーキ装
置である。まず、構成を説明する。
【0052】図3はドラムブレーキ装置の分解斜視図
で、2はブレーキバックプレート、3はホイールシリン
ダ、4,4はブレーキシュー(トレーディング側とリー
ディング側)、5はシューホールドピン、6はプラグ、
7はパーキングケーブル、8はリテーナリング、9はオ
ペレーティングレバー、10はアジャスタレバー、11
はアジャスタ、12はリテーナ、13はスプリング、1
4はリテーナ、15はアジャスタスプリング、16はリ
ターンスプリング(アッパー側)、17はリターンスプ
リング(ロア側)、18はスプリング、19はピストン
カップ、20はピストン、21はブーツであり、ブレー
キドラムとしては、図1に示す構造のドラム、もしく
は、従来構造のドラムを使用している。
【0053】図4は実施の形態2のブレーキバックプレ
ート2と従来のブレーキバックプレートとの対比を示す
図で、今回のブレーキバックプレート2のプレス絞り形
状は、半径方向絞り二段以上(2aは絞り部)であるの
に対し、従来のブレーキバックプレートのプレス絞り形
状は半径方向絞り一段である。
【0054】図5は実施の形態2におけるブレーキバッ
クプレート2のプレス絞り形状を示す全体図で、全周に
わたり、半径方向に二段以上の絞り部2aが設定された
形状とされている。尚、ハッチングで示す部分が絞り部
2aであり、絞り段数は、中心部の取付面絞り部を除い
た数をいう。
【0055】次に、作用を説明する。
【0056】[ブレーキ鳴きの抑制作用]ブレーキバッ
クプレート2の面外方向固有モードでの共振周波数と、
ブレーキドラム1の半径方向固有モードでの共振周波数
とが近接していると、2つの近接する固有値がブレーキ
ドラム1とブレーキシュー4,4との摩擦係数によって
連成し、自励振動となってブレーキ鳴きとなる。
【0057】これに対し、従来構造については、本発明
者の解析の結果、2〜3KHzのブレーキ鳴きについ
て、バックプレート固有値とドラム固有値とが同じ28
00Hzというように一致しており、非常に鳴き易い形
状設定となっていた。
【0058】しかし、実施の形態2のブレーキバックプ
レート2は、その平面膜振動を抑制する形状変更によ
り、ブレーキバックプレート2の面外方向振動周波数固
有値とブレーキドラム1の半径方向振動周波数固有値と
の離間周波数を大きく設定したことにより、2つの固有
値が近接し、ブレーキドラム1とブレーキシュー4,4
との摩擦係数によって連成することを原因とするブレー
キ鳴きを有効に抑制することができる。
【0059】次に、効果を説明する。
【0060】(1) ブレーキバックプレート2の平面膜振
動を抑制する形状変更により、ブレーキバックプレート
2の面外方向振動周波数固有値とブレーキドラム1の半
径方向振動周波数固有値との離間周波数を大きく設定し
たため、2つの固有値の近接を原因とするブレーキ鳴き
を有効に抑制することができる。
【0061】(2)ブレーキバックプレート2のプレス絞
り形状が、全周にわたり、半径方向に二段以上の絞り部
2aが設定された形状とされているため、プレス型を変
えるだけで従来と同じプレス加工によりブレーキバック
プレートの面外方向振動周波数固有値を上昇させること
ができる。
【0062】また、ブレーキ鳴き発生率を従来仕様と対
比した場合、図6の実験結果に示すように、従来仕様の
場合には、ブレーキ鳴き発生率が8%以上であったのに
対し、本仕様(バックプレート2段絞り)の場合には、
ブレーキ鳴き発生率1%以下に低減された。
【0063】(その他の実施の形態)実施の形態1で
は、ブレーキドラムのドラム外筒部の肉厚を増すという
剛性アップ手法を示したが、離間周波数を意識してブレ
ーキドラムの剛性を変更する手法であれば、実施の形態
1以外の手法による剛性変更も含まれる。
【0064】実施の形態2では、ブレーキバックプレー
トの絞り段数を増す面剛性アップ手法を示したが、離間
周波数を意識してブレーキバックプレートの面剛性を変
更するものであれば、補強プレートの付加等のように他
の手法による面剛性変更も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のドラムブレーキ装置を示す断面
図である。
【図2】実施の形態1のドラムブレーキ装置での肉盛り
巾寸法に対する離間周波数特性を示す図である。
【図3】実施の形態2のドラムブレーキ装置を示す分解
斜視図である。
【図4】実施の形態2のドラムブレーキ装置でのブレー
キバックプレート形状と従来のブレーキバックプレート
形状との対比図である。
【図5】実施の形態2のドラムブレーキ装置で採用され
たブレーキバックプレートの絞り部を示す全体図であ
る。
【図6】実施の形態2のドラムブレーキ装置と従来仕様
とのブレーキ鳴き発生率を示す対比図である。
【図7】ドラムブレーキ装置の半径方向固有モードと側
壁方向固有モードを示す振動モード図である。
【図8】ドラムブレーキ装置の振動系を簡略化して表し
た振動モデル図である。
【図9】制動μ値に対するバックプレート固有値とドラ
ム固有値の連成を表す周波数特性図である。
【符号の説明】
1 ブレーキドラム 1a ドラム取付部 1b ドラム外筒部 1c 肉厚増大部 A シューセンター軸 2 ブレーキバックプレート 2a 絞り部 3 ホイールシリンダ 4 ブレーキシュー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホイールに固定されホイールと共に回転
    するブレーキドラムと、車体側の前記ブレーキドラムと
    対向する位置に固定されたブレーキバックプレートと、
    該ブレーキバックプレートに設けられたホイールシリン
    ダ及びブレーキシューとを有し、ブレーキ液圧によるホ
    イールシリンダの作動時にブレーキシューをブレーキド
    ラムの内面に押し付けて制動力を発生させるドラムブレ
    ーキ装置において、 前記ブレーキドラムのドラム取付部とドラム外筒部のう
    ち、ドラム外筒部の剛性を変更することにより、半径方
    向振動周波数固有値と摺動方向振動周波数固有値との離
    間周波数を大きく設定したことを特徴とするドラムブレ
    ーキ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のドラムブレーキ装置にお
    いて、 前記ブレーキドラムのドラム外筒部のシューセンター部
    肉厚を全周にわたって増すことにより、ドラム外筒部の
    剛性を高める変更とし、半径方向振動周波数固有値のみ
    を上昇させ、半径方向振動周波数固有値と摺動方向振動
    周波数固有値との離間周波数を大きく設定したことを特
    徴とするドラムブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のドラムブレーキ装置にお
    いて、 前記ブレーキドラムの半径方向振動周波数固有値と摺動
    方向振動周波数固有値との離間周波数を300Hz以上
    の設定としたことを特徴とするドラムブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 ホイールに固定されホイールと共に回転
    するブレーキドラムと、車体側の前記ブレーキドラムと
    対向する位置に固定されたブレーキバックプレートと、
    該ブレーキバックプレートに設けられたホイールシリン
    ダ及びブレーキシューとを有し、ブレーキ液圧によるホ
    イールシリンダの作動時にブレーキシューをブレーキド
    ラムの内面に押し付けて制動力を発生させるドラムブレ
    ーキ装置において、 前記ブレーキバックプレートの平面膜振動を抑制する形
    状変更により、ブレーキバックプレートの面外方向振動
    周波数固有値と前記ブレーキドラムの半径方向振動周波
    数固有値との離間周波数を大きく設定したことを特徴と
    するドラムブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のドラムブレーキ装置にお
    いて、 前記ブレーキバックプレートのプレス絞り形状を、全周
    にわたり、半径方向に二段以上の絞りが設定された形状
    としたことを特徴とするドラムブレーキ装置。
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