JP2000337381A - 含油軸受および含油軸受を備えた電動機 - Google Patents

含油軸受および含油軸受を備えた電動機

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JP2000337381A JP11149274A JP14927499A JP2000337381A JP 2000337381 A JP2000337381 A JP 2000337381A JP 11149274 A JP11149274 A JP 11149274A JP 14927499 A JP14927499 A JP 14927499A JP 2000337381 A JP2000337381 A JP 2000337381A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内部に潤滑油を有する多孔質状の含油軸受およ
びそれを用いた電動機において、摺動面に潤滑油を長期
間保持でき、起動時に軸が振れ回り異常音が発生するの
を防止する。 【解決手段】含油軸受の内周面が回転軸と平行な中央軸
受部と、その両端において内周面が一端側に向かって徐
々に広がる端部軸受部からなり、非多孔質状表面が中央
軸受部と端部軸受部の境界部の近傍に周方向に一部多孔
質状表面を有しながら設けられている。回転軸が傾斜し
ても、境界部の表面には常に潤滑油が内部に浸透するこ
となく浸ることになり、振動の発生を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内部に潤滑油を有
する多孔質状の含油軸受およびそれを用いた電動機に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用送風機に用いられる電動機
において、一般的に電動機は回転軸が鉛直方向に沿って
配置され、含油軸受は潤滑油を含浸した多孔質状の焼結
合金により形成され、摺動面は円筒形である。この構成
では、含油軸受に浸潤している潤滑油は停止後長時間経
過すると、回転軸と摺動面との間隙を伝わり外部に流出
したり、多孔質な含油軸受内の細間に吸い込まれたりし
て摺動面には殆ど残存しないという現象が生じることが
しばしばあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記現象が生じた潤滑
油のない状態で電動機を起動させると、軸受と回転軸と
の摺動摩擦が大きいため軸の芯ずれによる遠心力が作用
して、後進才差運動として知られる挙動を示し、不快な
音を発生してしまうという問題がある。
【0004】この発明はこのような問題を解決するもの
で、回転軸が略鉛直方向に組付けられる場合にも含油軸
受の摺動面に潤滑油を長期間にわたって保持でき、起動
時に回転軸が振れ回り異常音が発生するのを確実に防止
できる含油軸受およびそれを用いた電動機を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明は、内周面が回転軸と平行である中央軸
受部、該中央軸受部の一端において内周面が一端側に向
かって徐々に広がる一端軸受部、前記中央軸受部の他端
において内周面が他端側に向かって徐々に広がる他端軸
受部からなる潤滑油を含む多孔質状の含油軸受におい
て、前記中央軸受部と前記一端軸受部との一端側境界部
は非多孔質状表面であり、前記中央軸受部と前記他端軸
受部との他端側境界部は多孔質状表面であり、前記一端
軸受部は回転軸の端部側に位置するように配置されてい
ことを特徴とする含油軸受である。
【0006】また、第2の発明は、第1の発明に加え
て、前記中央軸受部における軸方向一部の周面に非多孔
質状表面を設けたことを特徴とする含油軸受である。
【0007】また、第3の発明は、第1の発明に加え
て、前記他端軸受部における他端境界部近傍の周面に非
多孔質状表面を設けたことを特徴とする含油軸受であ
る。
【0008】また、第4の発明は、鉛直方向に配置され
た回転軸と、前記回転軸の上端部で軸支し上端部側に前
記一端境界部の非多孔質状表面が配置される第1の発明
に記載の上端部側含油軸受と、前記回転軸の下端部側で
軸支し下端部側に前記一端境界部の非多孔質状表面が配
置される第1の発明に記載の下端部側含油軸受と、を備
えた電動機である。
【0009】
【作用】まず、回転軸が上下の2つの含油軸受に支持さ
れた状態で回転する際、最も衝撃発生の原因となる回転
として、図4のように上端部側および下端部側の含油軸
受が、端部側の一端境界部において回転軸と接触する状
態のときである。この発明の請求項1から3に関する含
油軸受およびそれを用いた請求項4に関する電動機は、
上記構成によれば、回転軸が通常の回転中においては、
回転軸と軸受内周面との接触摩擦熱により多孔質状の摺
動面から潤滑油が溢れる。そして、その潤滑油は回転軸
もしくは摺動面を伝わって中央軸受部と端部軸受部との
間に設けられた非多孔質状表面の一端境界部にも至る。
そして、回転軸を静止させ長時間放置した後でも、この
一端境界部は非多孔質状表面であるので、潤滑油が内部
に浸透することがなく、常に潤滑油が浸っている。その
結果、回転軸を静止させ長時間放置した後、回転軸を作
動させても、回転軸は潤滑油を介して一端境界部と常に
接触することになる。よって、回転軸と軸受との摺動摩
擦係数が大きくならずに後進才差運動が生じることがな
く、不快な音の発生を防止することができる。
【0010】この発明の請求項2に関する含油軸受は、
上記構成によれば、長時間停止後の作動時において、図
8のように傾斜した状態でなく回転軸が中央軸受部と平
行であるときも、中央軸受部と摺動面にも潤滑油が浸る
ことになるので、よって、回転軸と中央軸受部との摺動
摩擦係数が大きくならずに後進才差運動が生じることが
なく、不快な音の発生を防止することができる。
【0011】この発明の請求項3に関する含油軸受は、
上記構成によれば、長時間停止後の作動時において、図
8のように傾斜した状態になったとき、他端軸受部の近
傍摺動面にも潤滑油が浸ることになり、回転軸と他端軸
受部との摺動摩擦係数が大きくならずに後進才差運動が
生じることがなく、不快な音の発生を防止することがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明を図に示す実施形態
例について説明する。図1は本発明第1実施形態例の電
動機の断面図であり、図2は本発明第1実施形態例の上
端部側含油軸受の断面図であり、図3は本発明第1実施
形態例の下端部側含油軸受の断面図である。電動機であ
る図1において、1は回転駆動するアーマチャ、2は略
鉛直方向に組付けられた回転軸であり、回転軸2の上端
部に図示しない送風ファン等の被駆動体が取り付けられ
る。3は含油軸受で垂直方向に回転軸2を支えるように
上端部側含油軸受3aと下端部側含油軸受3bに位置す
る。4は回転軸に固定されたコンミテータで、モータの
給電を整流している。5はヨークハウジング、6はヨー
クハウジング5の内壁に固定したマグネット、7は給電
のためのブラシである。
【0013】図2の上端部側含油軸受3aおよび図3の
下端部側含油軸受3bは従来この種の電動機において使
用される粉末金属を圧縮加圧してさらに焼結加工した多
孔質状のものである。
【0014】ここで、まず図2の上端部側含油軸受3a
について説明する。この上端部側含油軸受3aは図1に
示すように鉛直方向に配置されたモータ回転軸2を軸支
するものであり、回転子本体となるアーマチャ1の上端
部側方向に設けられている。上端部側含油軸受3aは主
に3つの部材から構成され、中央軸受部31aと一端軸
受部32aと他端軸受部33aである。中央軸受部31
aは回転軸2と平行である。そして、一端軸受部32a
は、中央軸受部31aの上方向端部に設けられその内周
面が軸長手方向上に向かって徐々に外方に広がる直線的
なテーパ面を構成している。そして、他端軸受部33a
は、中央軸受部31aの下方向端部に設けられその内周
面が軸長手方向下に向かって徐々に外方に広がる直線的
なテーパ面を構成している。この上端部側含油軸受3a
と回転軸2との位置関係は、一端軸受部32aはアーマ
チャ1から離れる方向であり、他端軸受部33aはアー
マチャ1から近づく方向である。
【0015】次に、中央軸受部31aと一端軸受部32
aとの境界となる一端境界部34aは、中央軸受部31
aの平行内周面と一端部軸受部32aの直線的なテーパ
内周面とから円形の屈折形状になっている。同様に、中
央軸受部31aと他端部軸受部33aとの境界となる他
端境界部35aは、中央軸受部31aの平行内周面と他
端部軸受部32aの直線的なテーパ内周面とから円形の
屈折形状になっている。この一端境界部32aとその近
傍はそれぞれ非多孔質状表面36aになっており、この
部分は多孔質状の含油軸受表面を目潰しすることにより
形成される。一端境界部34aは円形の線であるが、こ
の非多孔質部は一端境界部の近傍にも設けられるので、
中央軸受部31aの内周面と一端部軸受部32aにも一
部設けられることになる。そして、この非多孔質状表面
36aには、全周方向全て非多孔質状表面にしている。
【0016】そして、上端部側含油軸受3aの一端境界
部34aでの非多孔質表面34aが設けられた方向にお
ける軸端表面に切欠状の目印37aが内周面から外周表
面を貫通するように設けられている。これは外観から見
ても非多孔質状表面34aの配置が判別できるようにな
っている。目印37aをアーマチャ1の外に向けて設け
ることにより、回転軸2のアーマチャ1から離れる上端
部側に非多孔質状表面36aを配置することになるの
で、図4のような傾斜した場合の本発明作用を確実に生
じさせることができる。また、上端部側軸受3aの外周
側面は軸芯に対して曲面形状になっている。この外周側
面は電動機の固定子であるハウジングケース50に固定
される部分であり、回転軸2と図4のように傾斜した状
態で、回転軸2が含油軸受3の境界部34aの非多孔質
状表面36aに接触するように微調整できるための構造
である。
【0017】同様に、図3の下端部側含油軸受3bにつ
いて説明する。この下端部側含油軸受3bは図1に示す
ように鉛直方向に配置されたモータ回転軸2を軸支する
ものであり、回転子本体となるアーマチャ1の下端部側
方向に設けられている。下端部側含油軸受3bは主に3
つの部材から構成され、中央軸受部31bと一端軸受部
32bと他端軸受部33bである。中央軸受部31bは
回転軸2と平行である。そして、一端軸受部32bは、
中央軸受部31bの下方向端部に設けられその内周面が
軸長手方向下に向かって徐々に外方に広がる直線的なテ
ーパ面を構成している。そして、他端軸受部33bは、
中央軸受部31bの下方向端部に設けられその内周面が
軸長手方向下に向かって徐々に外方に広がる直線的なテ
ーパ面を構成している。この下端部側含油軸受3bと回
転軸2との位置関係は、一端軸受部32bはアーマチャ
1から離れる方向であり、他端軸受部33bはアーマチ
ャ1から近づく方向である。
【0018】次に、中央軸受部31bと一端軸受部32
bとの境界となる一端境界部34bは、中央軸受部31
bの平行内周面と一端部軸受部32bの直線的なテーパ
内周面とから円形の屈折形状になっている。同様に、中
央軸受部31bと他端部軸受部33bとの境界となる他
端境界部35bは、中央軸受部31bの平行内周面と他
端部軸受部32bの直線的なテーパ内周面とから円形の
屈折形状になっている。この一端境界部32bとその近
傍はそれぞれ非多孔質状表面36bになっており、この
部分は多孔質状の含油軸受表面を目潰しすることにより
形成される。一端境界部34bは円形の線であるが、こ
の非多孔質部は一端境界部の近傍にも設けられるので、
中央軸受部31bの内周面と一端部軸受部32bにも一
部設けられることになる。そして、この非多孔質状表面
36bには、全周方向全て非多孔質状表面にしている。
【0019】そして、下端部側含油軸受3bの一端境界
部34bでの非多孔質表面34bが設けられた方向にお
ける軸端表面に切欠状の目印37aが内周面から外周表
面を貫通するように設けられている。これは外観から見
ても非多孔質状表面34bの配置が判別できるようにな
っている。目印37bをアーマチャ1の外に向けて設け
ることにより、回転軸2のアーマチャ1から離れる下端
部側に非多孔質状表面36bを配置することになるの
で、図4のような傾斜した場合の本発明作用を確実に生
じさせることができる。また、下端部側軸受3bの外周
側面は軸芯に対して曲面形状になっている。この外周側
面は電動機の固定子であるハウジングケース50に固定
される部分であり、回転軸2と図4のように傾斜した状
態で、回転軸2が含油軸受3の境界部34bの非多孔質
状表面36bに接触するように微調整できるための構造
である。
【0020】次に、上記構成より不快な音の発生を抑制
するメカニズムを説明する。模式的に図4に示したアー
マチャ1と回転軸2と上端部側含油軸受3aと下端部側
含油軸受3bとの位置関係により、回転中に回転軸2が
傾斜した状態も生じる。このとき、回転軸2と上端部側
含油軸受3aの一端境界部34aの内周面とのA点での
衝突、および回転軸2と下端部側含油軸受3bの一端境
界部34bの内周面とのB点での衝突、が振動発生の原
因の一つになっており、特に、長期停止時における再起
動時の非多孔質状表面への潤滑油の十分な供給がなされ
ていない場合においては、後進才差運動として知られる
挙動を発生し、不快な音を発生してしまう。
【0021】しかしながら、回転軸2の端部側である上
端部側含油軸受3aの一端境界部34aと下端部側含油
軸受3bの一端境界部34bとが非多孔質状表面になっ
ているので、この部分には長期停止時における再起動時
であっても潤滑油が浸ることが可能である。よって、後
進才差運動として知られる挙動を発生し、不快な音を発
生してしまうという問題を解消する。
【0022】次に、上記含油軸受3(上端部側含油軸受
3a、下端部側含油軸受3b)を備えた電動機1の構成
においてその通常回転時の作動を説明する。まず、図示
しない駆動スイッチを投入すると、図示しない外部電源
から給電コネクタを通し、ブラシ7、コンミテータ4、
アーマチャ1に給電し、このアーマチャ1が回転し、そ
の回転駆動力を回転軸2に伝達し、非駆動体を回転させ
ている。
【0023】次に潤滑油と上端部側含油軸受3aについ
て図5の上図に従い説明する。摺動面に浸潤した潤滑油
は、一端軸受部32aのテーパ部分と回転軸2との間隙
において重力に沿って落下する。そして、潤滑油は非多
孔質状表面36aの上に浸ることになる(矢印C)。一
方、含油軸受3a内部に浸透している潤滑油は、中央軸
受部31a表面から吸収され供給される(矢印D)。な
お、上記一端部軸受部32aの角度は回転軸2が振れ等
で含油軸受3の軸心に対して最大傾斜しても、一端部軸
受部32aの表面が当接しない程度の角度を有する図4
のような状態である。よって、回転中は一端軸受部32
aから潤滑油が吸収されることは少なく供給される方が
多い。
【0024】次に潤滑油と下端部側含油軸受3bについ
て図5の下図に従い説明する。摺動面に浸潤した潤滑油
は、一端軸受部32bのテーパ部分と回転軸2との間隙
において重力に逆らって保持される。この現象は一般に
毛細管現象といわれ、液体の表面張力と間隙の寸法によ
って算出される力が働く。ちなみに10μmの間隙では
およそ50cmの高さまで液面を持ち上げる。従ってテ
ーパ部の望ましい角度は1°〜10°である。下方の一
端部軸受部32bのテーパ面には摺動面内の潤滑油が垂
れることを防止する作用がある。具体的には上方の他端
部軸受部33bは1°〜10°で良いが、下方の一端部
軸受部32bはさらに角度を小さくして1°〜5°の範
囲が望ましい。この範囲により、特に下方への潤滑油の
垂れ防止が有効になる。上記一端軸受部32bの角度は
回転軸2が振れ等で含油軸受3の軸心に対して最大傾斜
しても、一端軸受部32bの表面が当接しない程度の角
度を有している。図4のような状態である。一方、下方
の一端軸受部32b非多孔質状表面36bから落下した
潤滑油は多孔質状の一端部側含油軸受32bから含油軸
受3b内部に吸収される(矢印E)。そして、潤滑油は
中央軸受部31b表面および他端軸受部33b表面を介
して回転軸2の摺動面に供給され(矢印F)、摺動面か
ら供給された潤滑油は境界部33b近傍の非多孔質状表
面34bの内周面に落下するように供給される(矢印
G)。
【0025】次に本発明の長時間回転軸が停止した後、
作動させるときの潤滑油のミクロ的な作用について図6
に従い説明する。図6(A)は回転軸2と多孔質で構成
された含油軸受3の表面を示す説明図である。多孔質の
含油軸受3には微細な孔30が無数にあり、回転軸2の
停止後は毛細管現象により潤滑油は含油軸受3本体内に
吸収され微細な孔30の開口部周りにおいて潤滑油は摺
動面に存在しない。ところが、図6(B)に示した本発
明の第1実施形態例の含油軸受3では一端境界部34
a、34b近傍の表面が微細な孔30を塞いだ非多孔質
状表面36a、36bに形成されているため、潤滑油は
そのまま摺動面に保持され続ける。
【0026】その結果、回転軸2を静止させ長時間放置
した後、回転軸2を作動させても、回転軸2は回転中に
衝撃の原因となる図4のように傾斜した状態のとき、回
転軸2と含油軸受3の一端境界部34a、34bの内周
面との間には潤滑油で覆われることになるので、よっ
て、回転軸2と含油軸受3との摺動摩擦係数が大きくな
らずに後進才差運動が生じることがなく、不快な音の発
生を防止することができる。特に多孔質状表面36a、
36bが設けられているので、非多孔質状表面36a、
36bに潤滑油が浸っている確率も高くなる。
【0027】図7に摺動面を全て多孔質で形成した含油
軸受を利用した場合と第1実施形態例を利用した場合と
の比較実験した結果を示す。実験は粘度の高い潤滑油を
使って、起動と短い時間作動後の停止を繰り返し、起動
時の消費電力を調べた。潤滑油が多く保持されていれ
ば、粘度が高いので消費電力は大きくなる。実験では本
案の軸受では繰り返し後も変化は見られなかった。一方
全面多孔質の場合は実験を繰り返す度に消費電力は小さ
くなり、潤滑油が減少していることを示した。
【0028】図8および図9に第2実施形態例を示す。
本実施形態例では上端部側含油軸受3cを図8に示し、
下端部側含油軸受3dを図9に示した。
【0029】図8の上端部側含油軸受3cは、第1実施
形態例の上端部側含油軸受3aに対して他端軸受部33
cの他端境界部35cの近傍から他端境界部35cに至
る部分まで非多孔質状表面38cを設けている。この結
果、長時間経過後、回転軸2を再起動させる際、中央軸
受部31cから落下した潤滑油が、この非多孔質表面3
8cと回転軸2との間で保持できる。また、この上端部
側含油軸受3cには、非多孔質表面36cの方向逆側の
端面に凸状の目印37cが設けられている。この結果、
目印37cの逆側に非多孔質表面36cが設けられてい
ることが外観から判別できるので、目印37cをアーマ
チャ1に向けて設けることにより、図4のような傾斜し
た場合の本発明作用を確実に生じさせることができる。
【0030】図9の下端部側含油軸受3dは、第1実施
形態例の下端部側含油軸受3bに対して中央軸受部31
dの軸方向一部に周方向全体に渡って非多孔質状表面3
9dを設けている。この結果、長時間経過後、回転軸2
を再起動させる際、図4のように傾斜しない中央軸受部
31dに回転軸2が接触したときであっても、潤滑油が
軸受内周面と回転軸2との間に介在するので、衝撃を緩
和することができる。また、この上端部側含油軸受3d
には、非多孔質表面36dの方向逆側の端面に凸状の目
印37dが設けられている。この結果、目印37dの逆
側に非多孔質表面36dが設けられていることが外観か
ら判別できるので、目印37dをアーマチャ1に向けて
設けることにより、図4のような傾斜した場合の本発明
作用を確実に生じさせることができる。
【0031】なお上記構成では、図8の上端部側含油軸
受3cに非多孔質部38cを設け、図9を下端部側含油
軸受3dに非多孔質部39d用いたが、上端部側含油軸
受3cに非多孔質部39dと同様な位置である非多孔質
部を設けたり、図9を下端部側含油軸受3dに非多孔質
部38cと同様な位置である非多孔質部を設けても良
い。
【0032】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば焼結含油軸受より染み出した潤滑油が回転軸を
伝わって軸受の外部へ垂れてくることを防ぎ、さらに焼
結含油軸受内の細間に溜まってしまうことを防ぎ、長時
間停止した後の起動直後にも軸受の摺動面に潤滑油を保
持することができる。とくに振動発生の原因となる回転
軸の傾斜時の含油軸受と回転軸との摩擦を低減できるの
で、それにより起動時の不快音を防止することができ
る。しかも、その確実性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態例の電動機の断面図である。
【図2】 第1実施形態例における上端部側含油軸受の
断面図である。
【図3】 第1実施形態例における下端部側含油軸受の
断面図である。
【図4】 上端部側及び下端部側の含油軸受に対して回
転軸が傾斜したときの説明図である。
【図5】 第1実施形態例における潤滑油の動きを示す
説明図である。
【図6】 含油軸受における潤滑油の動きを示す説明図
である。
【図7】 本案と従来の軸受との比較実験の結果であ
る。
【図8】 第2実施形態例における上端部側含油軸受の
説明図である。
【図9】 第2実施形態例における下端部側含油軸受の
説明図である。
【符号の説明】
1…アーマチャ、2…回転軸、3…含油軸受、4…コン
ミテータ、5…ヨークハウジング、6…マグネット、7
…ブラシ、30…従来技術における軸受の微細な孔、3
a、3c…上端部側含油軸受、3b、3d…下端部側含
油軸受、31a、31b、31c、31d…中央軸受
部、32a、32b、32c、32d…一端軸受部、3
3a、33b、33c、33d…他端軸受部、34a、
34b、34c、34d…一端境界部、35a、35
b、35c、35d…他端境界部、36a、36b、3
6c、36d、38c、39d…非多孔質状表面、10
0…潤滑油

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面が回転軸と平行である中央軸受
    部、該中央軸受部の一端において内周面が一端側に向か
    って徐々に広がる一端軸受部、前記中央軸受部の他端に
    おいて内周面が他端側に向かって徐々に広がる他端軸受
    部からなる潤滑油を含む多孔質状の含油軸受において、 前記中央軸受部と前記一端軸受部との一端側境界部は非
    多孔質状表面であり、 前記中央軸受部と前記他端軸受部との他端側境界部は多
    孔質状表面であり、 前記一端軸受部は回転軸の端部側に位置するように配置
    されていことを特徴とする含油軸受。
  2. 【請求項2】 前記中央軸受部における軸方向一部の
    周面に非多孔質状表面を設けたことを特徴とする請求項
    1記載の含油軸受。
  3. 【請求項3】 前記他端軸受部における他端境界部近
    傍の周面に非多孔質状表面を設けたことを特徴とする請
    求項1記載の含油軸受。
  4. 【請求項4】 鉛直方向に配置された回転軸と、 前記回転軸の上端部で軸支し上端部側に前記一端境界部
    の非多孔質状表面が配置される請求項1記載の上端部側
    含油軸受と、 前記回転軸の下端部側で軸支し下端部側に前記一端境界
    部の非多孔質状表面が配置される請求項1記載の下端部
    側含油軸受と、 を備えた電動機。
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