JP2000336625A - 人工接水壁体の生物定着方法及び生物定着型パネル材 - Google Patents

人工接水壁体の生物定着方法及び生物定着型パネル材

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JP2000336625A JP11145642A JP14564299A JP2000336625A JP 2000336625 A JP2000336625 A JP 2000336625A JP 11145642 A JP11145642 A JP 11145642A JP 14564299 A JP14564299 A JP 14564299A JP 2000336625 A JP2000336625 A JP 2000336625A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】流水と接する人工壁体に生態系で重要な生物の
定着を図る生物定着方法及び生物定着型パネル材を提供
する。 【解決手段】流水表面4と接する人工壁体1の流水側へ
パネル材5を設け、壁体1とパネル材5との間に生物の
すみかとなる裏込め材3を詰め込む。パネル材1に厚さ
方向の貫通孔を生物出入孔9として穿ち、その出入孔9
の底面に流水側端9aから所定深さ部位14に至る昇り斜面
10を形成し、昇り斜面10により生物出入孔9内への雨水
の浸入を防ぐ。好ましくは、生物出入孔9の底面に所定
深さ部位14から裏込め材側端9bに至る下り斜面11を形成
し、下り斜面11により裏込め材3の流水側への吸い出し
を防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人工接水壁体の生物
定着方法及び生物定着型パネル材に関し、とくに川、
湖、海等の流水表面と接する護岸、橋台、橋脚などの人
工壁体に近傍の水域及び陸域で生活する動物及び植物の
生息場所を確保して自然との共生を図る生物定着方法及
び生物定着型パネル材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、流水と接する護岸31(図1参照)
や橋梁34の橋台・橋脚(図12参照)等の人工壁体は、
例えばコンクリートパネルやブロックの敷設又は現場打
ちコンクリートの打設により構築されている。しかし、
それらの人工壁体により近傍の水域及び陸域の生物の生
息場所が失われ、水陸境界域の生態系に大きな影響を与
えることがある。最近では多様性に富む環境の保全・回
復の必要性が高まり、水陸境界域の生態系に与える影響
が少ない人工壁体が求められている。
【0003】本発明者は、我国水陸境界域の生態系の調
査・研究の結果、その生態系の保全・回復のためには、
その生態系の食物連鎖における高次の消費者にとって重
要な被摂食生物、例えば魚類の餌となるゴカイやカニ類
等の生物の生息を図ることが重要であるとの知見を得
た。この知見に基づき本発明者は、我国水域の生態系の
保全・回復に適する生物共生式護岸及び護岸パネル材を
開発し、特許第2922193号に開示した。図13は同特許
に係る生物共生式護岸32を示し、同図の護岸パネル材33
の円部分XIVの拡大図を図14に示す。
【0004】図13及び14を参照して、前記生物共生
式護岸32及び護岸パネル材33を本発明の理解に必要な範
囲で説明する。護岸パネル材33は、多数の凹凸がある石
積模様に形成され且つ石積模様の凹部15の頂壁16aが該
凹部15の底壁16bより遠くまでひさし状に突出する表面
6を有し、表面6の石積模様の凹部15に壁体貫通の生物
出入孔9を設けたものである。また生物共生式護岸32
は、流水の浸食を防ぐ矢板等の壁体1cに沿って護岸パネ
ル材33をその表面6が流水と接するように設け、護岸パ
ネル材33と壁体1cとの間に生物のすみかとなる栗石、
砂、土砂、シルト、良質土、貝殻、コンクリート廃材等
の裏込め材3を詰め込み、浸食防止と生物共生とを同時
に達成するものである。
【0005】図13の護岸32では、生物出入孔3からの
流水の出入りにより、裏込め材3は適度に湿潤し、保温
された状態となる。また護岸パネル材33の表面6から突
出するひさし状の凸部16aが生物出入孔3の表面6に比
較的広い日陰部分を作るので、生物出入孔9の乾燥を避
け、生物出入孔3を生物の生息に適した湿潤環境に維持
できる。このような生物出入孔9を介して、カニ類等の
生物は流水側から裏込め材3へ入り込み、裏込め材3の
石の隙間や土砂に掘った穴を生息場所として護岸32に定
着する。カニ類等の生物の定着場所が確保され、これら
の生物が増殖すれば、これらを餌とする生物の生息環境
をも作り出すことができることになり、多様性に富んだ
水陸境界域の創造が期待できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図13及び1
4に示す護岸パネル材33は、生物出入孔9からの流水の
出入りによって裏込め材3を湿潤し保温する一方で、生
物出入孔9から浸入した流水表面の波浪により裏込め材
3が流水側へ吸い出される問題点がある。裏込め材3は
生物のすみかとなるものであり、裏込め材3の吸い出し
は生物の裏込め材3への定着を阻害する。
【0007】裏込め材3の吸い出しを避けるため、図1
4に示すように、生物出入孔9をパネル材5の表面6か
ら裏面7へ至るに従い徐々に下降させて吸い出しを防止
する方法も考えられる。しかし表面6から裏面7へ下降
する出入孔9は、降雨時に大量の雨水の出入孔9内への
浸入を招く問題点がある。大量の雨水の浸入は、裏込め
材3の生物の生息環境を破壊し、とくに海洋生物の生息
を阻害する。裏込め材3に生物の定着を図るためには、
裏込め材3の吸い出しが少なく、しかも生物が嫌わない
穴をパネル材5に設けることが必要である。
【0008】そこで本発明の目的は、流水と接する人工
壁体に生態系で重要な生物の定着を図る生物定着方法及
び生物定着型パネル材を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】図1から3に示す実施例
を参照するに、本発明の人工接水壁体の生物定着方法
は、流水表面4と接する人工壁体1の流水側へパネル材
5を設け、壁体1とパネル材5との間に生物のすみかと
なる裏込め材3を詰め込み、パネル材1に厚さ方向の貫
通孔を生物出入孔9として穿ち且つその出入孔9の底面
に流水側端9aから所定深さ部位14に至る昇り斜面10を形
成し、昇り斜面10により生物出入孔9内への雨水の浸入
を防いでなるものである。好ましくは、生物出入孔9の
底面に所定深さ部位14から裏込め材側端9bに至る下り斜
面11を形成し、下り斜面11により裏込め材3の流水側へ
の吸い出しを防ぐ。人工壁体1の一例は、例えば図1に
示すコンクリート擁壁又はブロック積み(練積み)擁壁
等の護岸31、又は図12に示す橋梁34の橋台や橋脚等で
ある。
【0010】また本発明の生物定着型パネル材5は、流
水表面4と接する如く設置する縦方向表面6、縦方向表
面6から裏面7まで貫通する複数の生物出入孔9、及び
各生物出入孔9の底面の表面側端から所定深さ部位14に
至るまで形成した昇り斜面10を備えてなるものである。
好ましくは、各生物出入孔9の底面に所定深さ部位14か
ら裏面側端9bに至る下り斜面11を形成する。
【0011】本発明で定着を図る生物は、川、湖、海等
の水域又はその近傍の陸域で生活するカニ類等の小動
物、魚類、昆虫やヘビ、ネズミ等の陸上動物、及び水生
植物、塩生植物、藻類その他の植物を含む。本発明は、
とくに穴や穴の奥を利用して生息する動物の定着に適す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】図2に示す生物定着型パネル材5
の一実施例は、幅1950mm、高さ3500mm、厚さ200mmのコ
ンクリート製のものである。但しパネル材5の材質、形
状、及び大きさはこの例に限定されない。例えば図2の
パネル材5の複数枚を幅方向及び/又は高さ方向に連結
し、より大きなパネル材5として使用することができ
る。パネル材5は図1に示す直立型の他、図12に示す
傾斜型とすることができる。またパネル材5としては、
工場等で生産されたパネル材のみならず、現場で構築さ
れる板状壁体をも含むものとする。
【0013】パネル材5を、図1に示すように人工壁体
1の流水側に設け、パネル材5と壁体1との間に裏込め
材3を埋め込む。裏込め材3は例えば岩、砂、土、泥ず
り等であり、生物の特性に応じて選択できる。裏込め材
3を、例えば図13に示す小石、砂利、砕石、砂、砂岩
ずり、貝殻、コンクリート廃材等の底部裏込め材3c、中
間部のシルト3b、及び上部の良質土3aからなる三層構造
のように、多層構造とすることができる。
【0014】多層構造の裏込め材3は、生物のすみか選
択の幅を増し、多様な生物に生息場所を提供できる。図
13の例の場合、底部埋め込み材3cはずりとずりとの間
隔があるのでその間隙に入り込む水生動物のすみかとな
り得る。中間部のシルト3bは巣穴を作るカニ類等のすみ
かとなり得る。上部の良質土3aは植物の根付きの向上を
図ることができる。
【0015】また裏込め材3を多層構造とした場合、例
えばパネル材5の生物出入孔9を有する部分の裏込め材
3として生物の生育に最も適した現地浚渫土を使用し、
干潮時水面(図1のLWL)以下の部分の裏込め材3とし
て安価な砂ずり等を使用して、生物定着に要するコスト
の低減を図ることができる。この場合、上部を良質土3a
で覆えば、現地浚渫土の臭いの散逸を防止することがで
きる。
【0016】パネル材5には、図2(A)とその円部分
IIIの拡大図である図3に示すように、流水側の表面6
から裏込め材3側の裏面7まで貫通する複数の生物出入
孔9を設け、各出入孔9の底面に流水側端9aから所定深
さ部位14に至る昇り斜面10を形成する。図4(A)に示
す生物出入孔9の概念図を参照するに、例えば生物出入
孔9の表面側端9aの形状を垂直高さHと幅Wとが等しい
正方形とし、表面側端9aから裏面側端9bまでの距離をD
とした場合、表面側端9aから距離Dの1/4程度の深さ
部位14を垂直高さHの1/2程度の高さとし、表面側端
9aから深さ部位14まで昇り斜面10を形成することができ
る。
【0017】生物出入孔9の頂面12は、図5(A)に示
す垂直型パネル材5及び図5(B)に示す傾斜型パネル
材5の何れの場合も、ほぼ水平となるように設ける。な
お、図5(B)のように裏面7側に傾斜したパネル材5
では生物出入孔9の底面が頂面12より長くなるが、表面
6側に傾斜したパネル材5では逆に生物出入孔9の頂面
12が底面より長くなる場合がある。
【0018】図4(A)に示す生物出入孔9を流水側か
ら覗き見た場合、図6(A)に示すように、表面側端9a
の正方形開口の上半分が裏面へ通じる貫通空間9cとな
り、下半分が流水と対向する昇り斜面10となる。上半分
の貫通空間9cが裏込め材3に定着させる生物の通路とな
るので、貫通空間9cの大きさを定着生物が通行するに十
分な大きさとする。例えばカニ類や魚類の通行のために
は貫通空間9cの高さH/2及び幅Wを最大5〜6cm程度
とすれば足りるが、大型動物を対象とする場合はその動
物に適した大きさとする必要がある。
【0019】生物出入孔9の表面側端9aの形状は図6
(A)に示す正方形に限定されず、定着させる生物に応
じて、図6(B)〜(D)に示すような多角形、円形、
それらを組み合わせた形状等とすることができる。表面
側端9aの形状及び貫通空間9cの大きさが異なる複数の生
物出入孔9をパネル材5に形成すれば、多様な生物の定
着を図ることも期待できる。
【0020】生物出入孔9の昇り斜面10の作用を図7に
より説明する。先ず図7(A)に示すように、出入孔9
内に表面6側から降り込む雨水や表面6を伝わり落ちる
雨水の一部分は昇り斜面10に落下し、昇り傾斜10がその
雨水を表面6側へ導く。従って本発明では、昇り斜面10
がない生物出入孔9に比し、生物が嫌う雨水の裏込め材
3側への浸入を抑えることができ、大量の雨水の浸入に
よる生物の生息環境の破壊を避けることができる。
【0021】また図7(C)に示すように、流水表面の
波浪は昇り斜面10をかけ上って裏込め材3側へ入り込む
が、昇り斜面10の存在により貫通空間9cが狭くなるため
昇り斜面10より裏側の空気が外部へ逃げられず、その空
気圧の上昇によって表面から入り込む流水量が低下す
る。従って本発明では、昇り斜面10がない生物出入孔9
に比し、裏込め材3側への急激な流水の浸入が防止でき
る。
【0022】昇り斜面10は定着すべき生物にとっても進
入の障害となり得るが、その生物の生息の障害となる他
の生物の進入にとっても障害となるので、昇り斜面10を
乗り越えて裏込め材3側へ入り込めば生物にとって安全
な空間となり得る。すなわち本発明は、生物出入孔9の
昇り斜面10により裏込め材3側への雨水の浸入を抑え、
流水表面からの急激な波浪の浸入を防ぎ、生物にとって
安全な生息場所を作り出すことができる。
【0023】こうして本発明の目的である「流水と接す
る人工壁体に生態系で重要な生物の定着を図る生物定着
方法及び生物定着型パネル材」の提供が達成できる。
【0024】生物出入孔9の底面に所定深さ部位14から
裏面側端9bに至る下り斜面11を形成し、例えば図4
(A)に示すように生物出入孔9の裏面側端9bを表面側
端9aと同程度の大きさとして深さ部位14を狭窄部とすれ
ば、裏込め材3を生物の生息に一層適する環境として作
り出すことができる。
【0025】すなわち図7(B)に示すように、所定深
さ部位14より裏側に広い生息場所を確保しつつ、表面と
の連通が狭窄部により制限されるので、生物出入孔9の
裏込め材3側を外部の湿度、温度等に左右され難い安定
した湿度、温度に保ち、裏込め材3の乾燥を防ぎ、裏込
め材3を生物の冬眠や産卵等に適する生息場所とするこ
とができる。
【0026】さらに図7(D)に示すように、浸入した
流水が再び出入孔9から外へ出るときに狭窄部が障害と
なるので、その流水が生物出入孔9の裏込め材3側で停
滞する。この停滞中に流水と混合した泥、砂、土などの
裏込め材3の一部は沈殿13として下り斜面11上に沈下す
るので、裏込め材3の吸い出しを最小限に抑えることが
できる。
【0027】なお図4(B)に示すように、生物出入孔
9の裏面側端9bを表面側端9aに比し2倍程度の大きさと
し、所定深さ部位14から裏面側端9bに至るに従い徐々に
拡径させることにより、所定深さ部位14より裏側に生物
の生息に適する広い場所を確保することも可能である。
【0028】
【実施例】図2及び3に示す生物定着型パネル材5の流
水側表面6には、カニ類等の生物の足場形成及び/又は
藻類等の植物の付着容易化を図るため、多数の窪み8が
形成されている。また生物出入孔9の昇り斜面10及び下
り斜面11にも、同様の多数の窪み8が形成されている。
カニ類等の定着を目的とする場合は、窪み8を例えば1.
0〜5.0mm程度の深さとすることができ、さらに細かく1.
0〜2.0mm程度の深さとしてもよい。窪み8は、表面6、
昇り斜面10及び下り斜面11が平滑とならないように、砂
等の付着により形成することができる。
【0029】また図2及び3のパネル材5の表面6には
石積模様の凹部15、凸部16が形成され、生物出入孔9の
流水側端9a(以下、開口9aということがある。)を石積
模様の凹部15に開口させている。石積模様の凹部15(以
下、目地15ということがある。)は、パネル材5の表面
6における生物の通路となるべきものであり、その幅及
び深さは生物の大きさに応じて定めることができる。生
物がカニ類である場合は、石積模様の目地15を例えば幅
2〜3cm、深さ2〜3cm程度とすることができる。
【0030】図2(B)の楕円部分VIIIの拡大図である
図8を参照するに、複数の目地15が交差する地点に目地
15よりも一段深い凹部15aを形成し、生物出入孔9の開
口9aを一段深い凹部15aに設けている。一段深い凹部15a
を形成することにより開口9aの周辺を日陰とし、生物出
入孔9を生物の生息に適する環境とすることができる。
【0031】また図3では、石積模様の凹部15の頂壁16
aを該凹部15の底壁16bより流水方向へひさし状に突出さ
せ、ひさし状の頂壁16aによりパネル材5の表面6に比
較的広い日陰部分を作り出している。図3は、凹部15が
その底壁16bよりも距離L2だけ深い位置にあり、その頂
壁16bが底壁16aよりも距離L1だけ突出した位置にあるこ
とを示す。本発明者の実験によれば、図3の例において
距離L2を3cm程度とすることにより、パネル材5の表面
6の20%程度を日陰とすることができる。
【0032】但し、石積模様の形状は図2の例に限定さ
れず、図9(A)(B)(C)に示すような形状の石積
模様とし、それぞれの目地の適当な位置に生物出入孔9
の開口9aを設けることができる。また石積模様に代えて
パネル材5の表面6に適当な溝を形成し、その溝の頂壁
を底壁より流水方向へひさし状に突出させ、その溝に生
物出入孔9の開口9aを設けてもよい。
【0033】更に図示例のパネル材5は、表面6を太陽
光反射率の小さい暗色、例えば明度5以下としてコンク
リート特有の白さを消し、パネル材5の表面6における
太陽光とくに紫外線の照り返しを抑え、生物の生息に適
する環境を作り出している。
【0034】図10は本発明のパネル材5の設置方法の
一例を示す。図10(A)の設置方法は、この場合H鋼
である親杭21(図1参照)を人工壁体1に沿って地盤24
に打ち込み、親杭21に腹起こし材22を架ける。同図に示
すように、腹起こし材22を支持棒26により人工壁体1か
ら支持することができる。腹起こし材22によって固定さ
れた親杭21の上方端にパネル材5の幅方向両端に設けた
溝の下方端を嵌合させ、パネル材5を一対の親杭21に沿
って落とし込むことにより親杭21に取付ける。パネル材
5を落とし込み方式で取付けることにより、海水等によ
り腐食しやすい金属製ボルト又はナット等の使用を避け
ることができる。
【0035】図10(B)の設置方法は、この場合H鋼
である親杭21の流水側にパネル材5を当接させて設け、
親杭21の反対側にパネル取付金具29により構造パネル材
28を当接させて固定し、パネル材5と構造パネル材28と
をパネル接合金具30で連結することによりパネル材5を
親杭21に取付けている。同図に示すようにパネル材5、
28を二重壁構造とすることにより、親杭21の施工に多少
の誤差が生じた場合でもパネル材5の取付けが可能とな
る。
【0036】図11(A)、(B)は高さ方向に長い複
数枚のパネル材5を幅方向に連結して利用する実施例を
示し、この場合は各パネル材5の幅方向両端に幅方向接
続部19R、19Lを設けて連結することができる。図11
(B)の符号18はパネル材5を吊り下げるための金具を
示す。また同図(C)、(D)は幅方向に長い複数枚の
パネル材5を高さ方向に連結して利用する実施例を示
し、この場合は各パネル材5の高さ方向両端に高さ方向
接続部20T、20Bを設けて連結することができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の人工接水
壁体の生物定着方法は、人工接水壁体の流水側にパネル
材を設け、壁体とパネル材との間に裏込め材を詰め込
み、パネル材に流水側から裏込め材側に貫通する生物出
入孔を穿ち且つ該出入孔の底面に流水側端から所定深さ
部位に至る昇り斜面を形成するので、次の顕著な効果を
奏する。
【0038】(イ)裏込め材への雨水の浸入を抑え、裏
込め材を生物の生息に適する環境とすることができる。 (ロ)裏込め材への急激な流水の浸入を防止し、裏込め
材の生物生息環境が破壊されるのを防止できる。 (ハ)生物出入孔の底面に所定深さ部位から裏面側端に
至る下り斜面を形成することにより、裏込め材の流水側
への吸い出しを最小限に抑えることができる。 (ニ)下り斜面の形成により、裏込め材の乾燥を防ぎ、
裏込め材の湿度、温度等を安定に保つことが可能とな
る。 (ホ)我国の水域及びそれに沿った陸域の生態系におい
て、食物連鎖上重要な動植物等の増殖を図ることによ
り、多様性に富んだ水陸境界域が創造できる。 (ヘ)既存の護岸や橋台・橋脚に対しても、その機能を
損なうことなく、比較的簡単に動植物の生息場所を作り
出すことができる。 (ト)パネル材の取り付けと裏込め材の詰め込みという
比較的簡単な作業で施工できるので、施工コストを低く
押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例の説明図である。
【図2】は、生物定着型パネル材の縦断面図及び正面図
である。
【図3】は、図2(A)に示すパネル材の楕円部分III
の拡大図である。
【図4】は、パネル材の生物出入孔の概念図である。
【図5】は、パネル材厚さと平行な面による生物出入孔
の縦断面図である。
【図6】は、パネル材厚さと直角な面による生物出入孔
の横断面図である。
【図7】は、生物出入孔の作用の説明図である。
【図8】は、図2(A)に示すパネル材の楕円部分VIII
の拡大図である。
【図9】は、生物定着型パネル材の石積模様の説明図で
ある。
【図10】は、生物定着型パネル材の頂面図である。
【図11】は、生物定着型パネル材の積み重ね方法の説
明図である。
【図12】は、本発明の他の実施例の説明図である。
【図13】は、従来の生物共生式護岸の説明図である。
【図14】は、図13に示す生物共生式護岸の円部分XI
Vの拡大図である。
【符号の説明】 1…人工壁体 3…裏込め材 3a…良質土 3b…砂質シルト 3c…底部裏込め材 4…流水表面 5…生物定着型パネル材 6…表面(接水面) 7…裏面 8…窪み 9…生物出入孔 9a…流水側端 9b…裏面側端 9c…貫通空間 10…昇り斜面 11…下り斜面 12…頂面 13…沈殿 14…所定深さ部位 15…石積模様の凹部 16…石積模様の凸部 18…吊り下げ金具 19R、19L…幅方向接続部 20T、20B…高さ方向接続部 21…親杭 22…腹起こし材 23…基礎捨石 24…地盤 26…支持棒 28…構造パネル材 29…パネル取付金具 30…パネル接合金具 31…護岸 32…生物共生式護岸 33…護岸パネル材 34…橋梁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 華子 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 2B003 AA04 BB02 BB03 DD01 DD04 DD06 DD08 2B104 AA16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流水表面と接する人工壁体の流水側へパネ
    ル材を設け、前記壁体とパネル材との間に生物のすみか
    となる裏込め材を詰め込み、前記パネル材に厚さ方向の
    貫通孔を生物出入孔として穿ち且つ該出入孔の底面に流
    水側端から所定深さ部位に至る昇り斜面を形成し、前記
    昇り斜面により前記出入孔内への雨水の浸入を防いでな
    る人工接水壁体の生物定着方法。
  2. 【請求項2】請求項1の生物定着方法において、前記生
    物出入孔の底面に前記所定深さ部位から裏込め材側端に
    至る下り斜面を形成し、前記下り斜面により前記裏込め
    材の流水側への吸い出しを防いでなる人工接水壁体の生
    物定着方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の生物定着方法において、
    前記パネル材の接水面と前記生物出入孔の昇り斜面及び
    /又は下り斜面とに生物の足場となる多数の窪みを設け
    てなる人工接水壁体の生物定着方法。
  4. 【請求項4】請求項1から3の何れか生物定着方法にお
    いて、前記生物出入孔の流水側端の頂壁に当該流水側端
    の底壁より流水方向へひさし状に突出する凸部を設けて
    なる人工接水壁体の生物定着方法。
  5. 【請求項5】流水表面と接する如く設置する縦方向表
    面、前記縦方向表面から裏面まで貫通する複数の生物出
    入孔、及び前記各出入孔の底面に形成した表面側端から
    所定深さ部位に至る昇り斜面を備えてなる生物定着型パ
    ネル材。
  6. 【請求項6】請求項5のパネル材において、前記各生物
    出入孔の底面に前記所定深さ部位から裏面側端に至る下
    り斜面を形成してなる生物定着型パネル材。
  7. 【請求項7】請求項6のパネル材において、前記生物出
    入孔を前記所定深さ部位から裏面側端に至るに従い徐々
    に拡径してなる生物定着型パネル材。
  8. 【請求項8】請求項5から7の何れかのパネル材におい
    て、前記縦方向表面と前記生物出入孔の昇り斜面及び/
    又は下り斜面とに生物の足場となる多数の窪みを設けて
    なる生物定着型パネル材。
  9. 【請求項9】請求項5から8の何れかのパネル材におい
    て、前記昇り斜面の所定深さを前記生物出入孔の表面側
    端から裏面側端までの距離の1/4程度とし、前記昇り
    斜面の底端から頂端までの垂直高さを前記生物出入孔の
    底端から頂端までの垂直高さの1/2程度としてなる生
    物定着型パネル材。
  10. 【請求項10】請求項5から9の何れかのパネル材にお
    いて、前記生物出入孔の表面側端の頂壁に当該表面側端
    の底壁より流水方向へひさし状に突出する凸部を設けて
    なる生物定着型パネル材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011179204A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Kajima Corp 生物共生用護岸パネル材及び生物共生型護岸
WO2019097928A1 (ja) * 2017-11-20 2019-05-23 味の素株式会社 計測用構造物および計測システム
CN110552318A (zh) * 2019-09-04 2019-12-10 上海勘测设计研究院有限公司 一种栈道式生态护岸

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