JP2000329123A - ナット、ナット及びボルトからなる固着具、及びナット脱着具 - Google Patents

ナット、ナット及びボルトからなる固着具、及びナット脱着具

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JP2000329123A
JP2000329123A JP11142018A JP14201899A JP2000329123A JP 2000329123 A JP2000329123 A JP 2000329123A JP 11142018 A JP11142018 A JP 11142018A JP 14201899 A JP14201899 A JP 14201899A JP 2000329123 A JP2000329123 A JP 2000329123A
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torque
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Makoto Sakamoto
誠 坂本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ネジ式の固定構造において、容易に解除できな
い固定構造を得ることができるナットを提供する。 【解決手段】ナット2を、円筒状で、底部14または側
部に、ナット2を固着する回転方向へのトルクを受ける
固着トルク受け部22と、ナットを弛緩する回転方向へ
のトルクを逃がす弛緩トルク逃がし部24とを備えるよ
うにする。ナット2が円筒状であり、固着トルク受け部
22と弛緩トルク逃がし部24とを有するため、ナット
2を固着する回転方向にしかトルクがかからず、一旦固
着したナット2を弛緩するのは困難となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ボルトやナット
等の各種ねじ式固定手段によって形成された固定構造を
保護できる、ナット、ボルトとナットからなる固着具、
及びナット固着具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄塔、橋、建物等の大型構造物か
ら身の回りの物まで、各種の物において、ボルトやナッ
ト等のネジ部を有するネジ式の固定手段が用いられてい
る。ねじ式の固定手段は、基本的には、ネジ山とネジ溝
との螺合による結合構造を有する。ねじ式の固定手段に
よれば、例えば、ネジ山を有する部材とネジ溝を有する
部材との間にある物体を締め付けたり、固定したり、あ
るいは、ネジ山を有する部材とネジ溝を有する部材とを
互いに結合したりすることができる。
【0003】しかし、このようなネジ式の固定手段によ
る結合構造は、ネジ山とネジ溝との螺合を緩めるように
すると解除される。このように、結合構造の形成及び解
除が比較的容易に可能である点は、ネジ式の固定手段の
大きな利点である。一方、解除が容易であるがゆえに、
固定構造が解除されるおそれがある。特に、安全性を確
保すべき構造物や物品において、このような固定構造の
解除は避けられるべきである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では、
ネジ式の固定構造において、容易に解除できない固定構
造を得ることができるナットを提供することをその目的
とする。また、本発明では、そのような固定構造を得る
ことができるボルトとナットからなる固着具を提供する
ことを目的とする。また、本発明では、そのような固定
構造を形成したり、解除したりすることのできるナット
用工具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した本
発明の目的を達成するべく、以下の発明を創作した。す
なわち、本発明は、円筒状で、底部または側部に、ナッ
トを固着する回転方向へのトルクを受ける固着トルク受
け部と、ナットを弛緩する回転方向へのトルクを逃がす
弛緩トルク逃がし部とを備える、ナットを提供する。こ
の発明によれば、ナットは円筒状であり、固着トルク受
け部と弛緩トルク逃がし部とにより、ナットを固着する
回転方向にしかトルクがかからないため、ナットを固着
できるが、一旦固着したナットを弛緩するのは困難とな
っている。
【0006】また、本発明は、このナットにおいて、底
部又は側部に、ナットを弛緩する回転方向へのトルクを
受ける弛緩トルク受け部を有する、ナットを提供する。
また、弛緩トルク受け部を有する場合においては、この
弛緩トルク受け部に係合あるいは嵌合する部材を用いれ
ば、ナットを弛緩することができる。
【0007】また、前記固着トルク受け部と前記弛緩ト
ルク逃がし部とを、ナットの底部または側部に形成され
た凹部内に有する、ナットも提供する。また、ナットの
底部又は外周に、固着トルク受け部と弛緩トルク逃がし
部とを有する凹部を設けることにより、簡易な構造でナ
ットの弛緩を防止できる。特に、凹部内に固着トルク受
け部と弛緩トルク逃がし部とを有するため、弛緩を効果
的に防止できる。また、ナット用工具の構造も簡易なも
のとなる。
【0008】また、前記弛緩トルク受け部は、ナットの
底部から側部にわたって軸方向に伸張される溝状に形成
されている、ナットも提供する。このナットによれば、
溝状に弛緩トルク受け部が形成されているので、ナット
の弛緩が効果的に防止できる。
【0009】また、本発明は、上記いずれかのナットと
ボルトとを備える、固着具を提供する。このナットとボ
ルトとを有する固着具は、弛緩が防止される。さらに、
本発明は、上記いずれかのナットの前記固着トルク受け
部に係合あるいは嵌合可能なトルク付与部を有する、ナ
ット用工具を提供する。また、本発明は、上記いずれか
のナットの前記弛緩トルク受け部に係合あるいは嵌合可
能なトルク付与部を有する、ナット用工具も提供する。
このナット用工具によれば、簡易に、本発明のナットを
固着及び/又は弛緩できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明のナットは、円筒状に形成さ
れ、ナットの底部又は側部に、固着トルク受け部と弛緩
トルク逃がし部とを有している。固着トルク受け部は、
ナットを固着する回転方向へのトルクを伝達可能に形成
されている。本明細書においてトルクとは、ナットを回
転させようとする外部からの作用をいう。固着トルク受
け部は、ナットを固着する回転方向へのトルクを受けて
固着可能な形態を備えていればよく、その形態を特に限
定しない。例えば、ナットを固着する回転方向に対向し
て垂直か、あるいは、ほぼ垂直な面として形成される。
あるいは、固着トルクを伝達可能な係合あるいは嵌合可
能な凹部あるいは凸部に形成される。係合あるいは嵌合
のための凹部あるいは凸部の形状は特に問わない。面と
して形成される場合、具体的には、80°以上120°
以下の範囲が好ましい。固着する回転方向に対して、直
交する面であることが最も好ましい。
【0011】固着トルク受け部は、ナット底部あるいは
側部のいずれかにあればよい。両方にあってもよい。ま
た、その個数も限定しないが、2個以上であることが好
ましい。ナット底部に形成される場合、ナット底部から
突出する凸部あるいは溝状の凹部に形成される。また、
ナット側部に形成される場合、側部から突出する凸部あ
るいは溝状の凹部に形成される。ナット側部に形成され
る場合、軸方向に沿って伸張されるように形成されるの
が好ましい。好ましくは、この固着トルク受け部は、ナ
ット底部に形成されている。ナット底部に形成されてい
る場合、底部に設けた凹部あるいは凸部のナット回転方
向に対向する側に形成されているのが好ましい。なお、
この凹部は、ナットの外周側から切り欠き状に形成され
ていることが好ましい。また、凸部においても、ナット
の外周に到達する程度に形成されていることが好まし
い。
【0012】また、弛緩トルク逃がし部は、ナットを弛
緩する回転方向へのトルクを実質的に伝達不能に形成さ
れている。実質的にトルクを伝達不能とは、全くトルク
を伝達不能な場合の他、ナットの材質及び形態等を考慮
して通常必要とされる大きさを越えるような力を負荷し
ないとトルクが伝達しない場合を含む。かかる弛緩トル
ク逃がし部は、弛緩トルク逃がし部は、実質的に弛緩ト
ルクを伝達不能であればその形態を問わない。例えば、
ナットを弛緩させる回転方向に対向し、ナット底部側及
び/又はナット側部に傾斜する斜面あるいは曲面に形成
されている。面として形成される場合、弛緩する方向に
対して20°以上80°未満であることが好ましい。好
ましくは20°以上70°以下であることが好ましい。
弛緩トルク逃がし部は、ナット底部あるいは側部のいず
れかにあればよい。両方にあってもよい。また、その個
数も限定しないが、2個以上であることが好ましい。こ
のような弛緩トルク逃がし部は、ナット底部に形成され
る場合、ナット底部から突出する凸部あるいは溝状の凹
部に形成される。また、ナット側部に形成される場合、
側部から突出する凸部あるいは溝状の凹部に形成され
る。ナット側部に形成される場合、軸方向に沿って伸張
されるように形成されるのが好ましい。好ましくは、こ
の弛緩トルク逃がし部は、ナット底部に形成されてい
る。ナット底部に形成されている場合、底部に設けた凹
部あるいは凸部のナット回転方向に対向する側に形成さ
れているのが好ましい。なお、この凹部は、ナットの外
周側から切り欠き状に形成されていることが好ましい。
また、凸部においても、ナットの外周に到達する程度に
形成されていることが好ましい。
【0013】このような固着トルク受け部と弛緩トルク
逃がし部とは、ナットの底部又は側部に設けた一つの凹
部あるいは凸部に形成されていることが好ましい。より
好ましくは、ナット底部の凹部に双方を有して形成され
ている。
【0014】ナットの底部又は側部には、ナットを弛緩
する回転方向へのトルク(弛緩トルク)を伝達可能な弛
緩トルク受け部が形成されている。本発明のナットを弛
緩するためには、弛緩トルク受け部を有していることが
好ましい。この弛緩トルク受け部は、弛緩トルクを伝達
可能であればその形態を問わない。例えば、ナットを弛
緩させる回転方向に対向し、垂直か、あるいは、ほぼ垂
直な面として形成される。あるいは、固着トルクを伝達
可能な係合あるいは嵌合可能な凹部あるいは凸部に形成
される。面として形成される場合、具体的には、80°
以上120°以下の範囲が好ましい。固着する回転方向
に対して、直交する面であることが最も好ましい。
【0015】弛緩トルク受け部は、ナット底部あるいは
側部のいずれかにあればよい。両方にあってもよい。個
数も限定しないが、2個以上であることが好ましい。ナ
ット底部にある場合、底部において開口し、穿孔した孔
部、あるいは突起に形成される。側部に形成される場
合、底部を基端として、側部において軸線方向に沿う凸
部あるいは凹部として形成されることが好ましい。好ま
しくは、この弛緩トルク受け部は、ナット側部に形成さ
れている。ナット側部に形成されている場合、側部に設
けた凹部あるいは凸部のナットを弛緩する回転方向に対
向する側に形成されているのが好ましい。なお、この凹
部は、ナットの外周側から切り欠きされ、底部を基端と
して軸方向に沿って伸張される細長い溝状に形成されて
いることが好ましい。好ましくは、ナットの高さにわた
って形成されるが、その長さは限定しない。
【0016】さらに、弛緩トルク受け部を有する凸部あ
るいは凹部には、固着トルク受け部を同時に有している
ことが好ましい。この固着トルク受け部は、前記凸部あ
るいは凹部において、弛緩トルク受け部を設けていない
側に形成されている。弛緩トルク受け部と同様に、形態
を問わないが、弛緩トルク受け部に採用しうる形態を同
様に採用することができる。第2の回転方向へのトルク
受け部を有している。弛緩トルク受け部がナット側部に
溝状の一方の面に形成される場合、他方の面を固着トル
ク受け部となるように形成される。このようなナット側
部の溝は、断面が、方形状、逆三角形状、あるいはU字
状等に形成されることが好ましい。
【0017】このようなナットとボルトとを備える、固
着具においては、ボルトの頭部が、半球状あるいは略半
球状であることが好ましい。また、固着あるいは弛緩の
ための、孔部が頭部に形成されていることが好ましい。
【0018】ナット用工具は、このような、ナット底部
又は側部に形成した、固着トルク受け部、弛緩トルク逃
がし部、弛緩トルク受け部等とかみ合ってトルク付与で
きるトルク付与部を有している。具体的には、ナット用
工具は、ナット側の固着トルク受け部を備える凸部ある
いは凹部に対応する、凹部あるいは凸部を有し、この凹
部あるいは凸部が固着トルク付与部となる。また、ナッ
ト側の弛緩トルク受け部を有する凸部あるいは凹部に対
応する、凹部あるいは凸部を有し、この凹部あるいは凸
部が弛緩トルク付与部となる。好ましくは、これらのト
ルク付与部は、ナット側に形成された凸部や凹部と係合
あるいは嵌合するような形状に形成されている。このよ
うなトルク付与部は、ナット用工具のナットを内嵌可能
な凹状部の内部にそれぞれ形成されている。
【0019】なお、固着用のナット用工具は、ナットの
固着トルク受け部にのみ対応する固着トルク付与部を有
していればよい。また、弛緩用のナット用工具には、ナ
ットの弛緩トルク受け部にのみ対応する弛緩トルク付与
部を有していればよい。ナット脱着用のナット用工具
は、固着トルク受け部と弛緩トルク受け部との双方にそ
れぞれ対応する、トルク付与部を有している。
【0020】以下に、このようなナットを用いた固定構
造の一形態及びこのナットの脱着具の一形態を具体的に
示す。
【0021】図1には、ボルト2とナット10とからな
る固着具1を示す。このボルト2及びナット10とにお
いては、ナット10側から見て、ボルト2を固定した状
態でナット10を右方向(図1におけるC1方向)に回
転させることにより、固着されるようになっている。ボ
ルト2は、略半球状の頭部4を有しており、この頭部4
には、固着時のために、二つの孔部6が開孔されてい
る。孔部6は、2個以上であるのが好ましく、3個以上
でもよい。固着しやすい個数及び位置に形成される。本
形態においては、頭部4の中心に対して対向状に2個設
けてある。このボルト2の軸部には、ネジ山8が形成さ
れている。
【0022】図2(a)には、ナット10の側面図が示
されており、図2(b)には、ナット10の底面図が示
されている。このボルト2を固定するナット10は、筒
状体であり、内部にネジ山8に対応するネジ溝12が形
成されている。このナット10の底部14には、図1及
び図2に示すように、凹部20が形成されている。凹部
20は、は、二つの部位を有している。一つは、本ナッ
ト10における固着方向であるC1方向に対向して、C
1方向へのトルクを受ける固着トルク受け部22であ
る。固着トルク受け部22は、ナット10を固着できる
程度にC1方向のトルクを受けることができるような形
態であればよい。本形態においては、C1方向に対して
ほぼ垂直に対向する面として形成されている。
【0023】さらに、凹部20におけるもう一つの部位
は、このナット10における弛緩方向であるC2方向へ
のトルクを逃がす弛緩トルク逃がし部24である。弛緩
トルク逃げ部24は、一旦固着されたナット10を弛緩
できない程度にC2方向のトルクを逃がすことができる
ような形態であればよい。本形態においては、C2方向
に沿ってナット底部14側に開くようにテーパー状の面
として形成されている。この面の角度は、弛緩(C2)
方向に対して、30°となっている。
【0024】凹部20には、固着トルク受け部22と弛
緩トルク逃がし部24とを有し、さらに、凹部20の底
部26を有している。このような凹部20が、ナット底
部14には、1個以上設けられている。好ましくは、2
個以上設けられている。2個以上設ける場合には、好ま
しくは、底部14において均等に設けられる。なお、本
形態においては、固着トルク受け部22と弛緩トルク逃
がし部24とを一つの凹部20に設けたが、これに限定
するものではない。一つの凸部の2つの側面において設
けてもよい。
【0025】さらにこのナット10には、底部14を基
端としてその外周に、軸方向に沿って伸張される凹部3
0が形成されている。この凹部30は、断面が方形の凹
部に形成され、細長い溝状となっている。この凹部30
は、軸方向に沿って直線状に形成されることが好まし
く、また、底部14を基端として、ナット頭部方向を指
向して適宜の長さに形成される。ナットの高さ全体にお
いて形成されていてもよいし、それよりも短くてもよ
い。
【0026】この凹部30には、2つの部位を有してい
る。一つは、本ナット10における弛緩方向であるC2
方向に対向して、C1方向へのトルクを受ける固着トル
ク受け部32である。固着トルク受け部32は、ナット
10を固着できる程度にC1方向のトルクを受けること
ができる形態であればよい。本形態においては、C1方
向に対してほぼ垂直に対向する面として形成されてい
る。
【0027】さらに、凹部30におけるもう一つの部位
は、このナット10における固着方向であるC1方向へ
のトルクを受ける固着トルク受け部34である。弛緩ト
ルク受け部34は、一旦固着されたナット10を弛緩で
きる程度にC2方向のトルクを受けることができるよう
な形態であればよい。本形態においては、C2方向に対
してほぼ垂直に対向する面として形成されている。凹部
30の一側面においてこの弛緩トルク受け部34が形成
されている結果、弛緩トルク受け部34は、細長い帯状
の面として形成されている。
【0028】凹部30には、固着トルク受け部32と弛
緩トルク受け部34とを有し、さらに、凹部30の底部
36を有している。このような凹部30が、ナット側部
には、1個以上設けられている。好ましくは、2個以上
設けられている。2個以上設ける場合には、好ましく
は、底部14において均等に設けられる。本形態におい
ては均等に3個形成されている。
【0029】次に、このようなナット10を脱着(固着
及び弛緩)するのに用いるナット用工具である脱着具4
0について説明する。脱着具40は、ナット10を内嵌
するような略筒状体に形成されており、その頭部42
は、レンチで締め付け可能な例えば6角形状となってい
る。この脱着具40の内部にはナット10の前記凹部2
0及び前記凹部30に嵌合する凸部60及び凸部80と
をそれぞれ有している。凸部60、80の数は、ナット
10の凹部20、30の数に対応して形成される。
【0030】前記凹部20に嵌合する凸部60は、固着
トルク受け部22に対してトルクを付与する固着トルク
付与部62と、弛緩トルク逃げ部24にトルクを付与す
る弛緩トルク付与部64とを有している。凸部60は、
図3ないし図5に示すように、脱着具40の奥底部44
から開口側に向かって突出するように形成されており、
その凸状形態は、凹部30の凹状形態と対応されてい
る。脱着具40の開口側から見た図4において、凸部6
0における固着トルク付与部62は、ナット10を固着
具40でC1方向に回して固着する際に、固着トルク受
け部22に当たる側に形成されている。固着トルク付与
部62は、ほぼ垂直に縦壁状に形成され、この面の大き
さは、固着トルク受け部22に対応している。凸部60
の頂部66は、凹部20の底部26に対応している。
【0031】凸部60における弛緩トルク付与部64
は、ナット10を固着具40でナット10をC2方向に
回して弛緩する際に、弛緩トルク逃げ部24に当たる側
に形成されている。弛緩トルク付与部64は、弛緩トル
ク逃げ部24に当たるような斜面形態及びそれに対応す
る大きさを有して形成されている。弛緩トルク逃げ部2
4は、本来的に、トルクを受けにくい形状に形成されて
おり、このトルク逃げ部24に弛緩トルク付与部64を
当てることは、弛緩作用においてほとんど意味を持たな
い。したがって、弛緩トルク付与部64は、ナット10
の弛緩作用においては、主として、弛緩のための嵌合状
態を得るというような補助的作用を奏する。
【0032】凸部80は、ナット10の凹部30の固着
トルク受け部32に固着トルクを付与する固着トルク付
与部82と、弛緩トルク受け部34に弛緩トルクを付与
する弛緩トルク付与部84とを有している。凸部80
は、固着具40の奥底部44から内壁46に沿って伸張
される凸状に形成されている。凸部80は、凹部30に
対応して嵌合する形状を有している。固着トルク付与部
82は、凸部80において、固着具40でナット10を
C2方向に回して弛緩する際に、固着トルク受け部32
当たる側に形成されている。固着トルク付与部82は、
固着トルク受け部32の形状にほぼ一致し、内壁46に
対してほぼ垂直に立ち上がり状の壁となっている。
【0033】弛緩トルク付与部84は、凸部80におい
て、固着具40でナット10をC2方向に回して弛緩す
る際に、弛緩トルク受け部34に当たる側に形成されて
いる。弛緩トルク付与部84は、弛緩トルク受け部34
の形状にほぼ一致し、内壁46に対してほぼ垂直に立ち
上がり状の壁となっている。
【0034】次に、図1に示すボルト2とナット10と
を固着する方法について説明する。ボルト2のネジ山8
に対してナット10のネジ溝12を螺合させ、このナッ
ト10の底部14側から、固着具40をナット10に被
せる。その際、ナット10の底部14の凹部20、30
と固着具40の凸部60、80とが嵌合するようにする
(図5参照)。
【0035】この状態で、ボルト2の開孔6に適当な工
具を差し込んでボルト2を固定し、固着具40をナット
10の固着方向であるC1方向に回す。これにより、固
着具40の固着トルク付与部62、82が、それぞれ、
ナット10の固着トルク受け部22、32にあたって、
ナット10にトルクを付与する。そして、ナット10は
ボルト2とが固着される。
【0036】このようにして得られたボルト2とナット
10の固着状態について説明する。ボルト2において
は、頭部4が略半球状となっており、通常のボルト固定
具では、固定できないようになっており、固着状態を弛
緩するためにボルト2を固定するのが困難になってい
る。一方、ナット10においては、円筒状であるので、
ナット10を通常のナット固定具では固定するのが困難
となっている。さらに、底部14には、凹部20がある
ものの、ナット10を弛緩する回転方向C2には、トル
クを逃がしてしまう弛緩トルク逃げ部24が形成されて
いるために、弛緩トルクがかからないか、あるいはかか
りにくい状態となっている。また、底部14から側面部
には、凹部30が形成されているが、細長い溝状であ
り、通常のナット固定具では、この凹部30の弛緩トル
ク受け部32に対してトルクを付与することができな
い。すなわち、特殊な脱着具でなければ弛緩できない構
造となっている。
【0037】一方、ナット10とボルト2との固着状態
と弛緩するには、ボルト2を固定した状態で、ナット1
0を脱着具40に内嵌させた状態で、ナット10の弛緩
方向であるC2方向に固着具40を回す。これにより、
弛緩トルク受け部34に、弛緩トルク付与部84が当た
って弛緩トルクがナット10に付与される。しかも、弛
緩トルク逃げ部24にも、弛緩トルク付与部64があた
って良好な嵌合状態が得られるようになっている。これ
により、ナット10は弛緩される。
【0038】なお、ナット底部14における、固着トル
ク受け部と弛緩トルク逃げ部との形状は、この形態に限
定するものではない。本発明における、これらの作用を
奏する形態であれば各種形態を採用できる。例えば、図
6(a)及び(b)に他の形態の固着トルク受け部10
2、104を有する凹部90、92をそれぞれ示す。こ
の凹部90、92のように、固着トルク受け部102、
104は、固着方向C1に凸状あるいは凹状に形成され
ていてもよい。このような凸状あるいは凹状の壁に形成
された場合、固着具に凹状あるいは凸状トルク付与部を
形成すれば、トルクの付与に有効な嵌合状態が得られ、
ナット10にトルクが付与される。また、図6(a)に
示すように、弛緩トルク逃げ部108は、弛緩方向C2
からみてナット外周及びナット底部側に向かって傾斜す
る斜面であってもよい。また、図示しないが、弛緩トル
ク逃げ部は、トルク付与に有効でない曲面も採用でき
る。さらに、ナット10の底部14に固着トルク受け部
及び弛緩トルク逃げ部とを有する場合、図6(b)に示
すような、孔部110を設けてもよい。この孔部110
は、ナットの軸方向に沿って伸張される円柱状の凹部を
備えている。この孔部110によれば、固着トルク受け
部と弛緩トルク受け部とを兼用できる。このような各種
形態の固着トルク受け部と弛緩トルク逃げ部とを組み合
わせてナット底部の凹部を形成することができる。
【0039】さらに、ナット外周の固着トルク受け部
も、固着具との関係においてトルク付与に有効な嵌合あ
るいは係合状態が得られるような各種形態を採用するこ
とができる。同様に、ナット外周の弛緩トルク受け部
も、脱着具との関係においてトルク付与に有効な嵌合あ
るいは係合状態が得られるような各種形態を採用するこ
とができる。また、このような各種形態の固着トルク受
け部と弛緩トルク受け部とを組み合わせてナット外周の
凹部を形成することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明のナット及びボルトとナットの固
着具によれば、固着トルク受け部と弛緩トルク逃げ部と
を有する固着部と、弛緩トルク受け部を有する弛緩部と
を有するため、固着部に作用させてナットを弛緩するこ
とができず、弛緩部に作用しなければナットを弛緩でき
ないようになっている。このため、容易なナットの弛緩
行為が回避されるようになっている。また、本発明の固
着部及び脱着具によれば、本発明のナットを容易に固着
あるいは脱着できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるボルトとナットと
を示す図である。
【図2】図2(a)は、ナットの側面を示す図であり、
図2(b)は、ナットの底部を示す図である。
【図3】ナット用工具を示す図である。
【図4】ナット用工具の内部を、開口側から見た図であ
る。
【図5】ナットとナット用工具との関係を示す図であ
る。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、ナッ
トの固着トルク受け部や弛緩トルク逃がし部の他の形態
を示す図である。
【符号の説明】
2 ボルト 10 ナット 22、32 固着トルク受け部 24 弛緩トルク逃がし部 34 弛緩トルク受け部 40 ナット用工具 62、82 固着トルク付与部 64、84 弛緩トルク付与部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状で、底部または側部に、ナットを固
    着する回転方向へのトルクを受ける固着トルク受け部
    と、ナットを弛緩する回転方向へのトルクを逃がす弛緩
    トルク逃がし部とを備える、ナット。
  2. 【請求項2】前記底部又は前記側部に、ナットを弛緩す
    る回転方向へのトルクを受ける弛緩トルク受け部を有す
    る、請求項1記載のナット。
  3. 【請求項3】前記固着トルク受け部と前記弛緩トルク逃
    がし部とを、ナットの底部または側部に形成された凹部
    内に有する、請求項1又は2記載のナットも提供する。
  4. 【請求項4】前記弛緩トルク受け部は、ナットの底部か
    ら側部にわたって軸方向に伸張される溝状に形成されて
    いる、請求項2に記載のナット。
  5. 【請求項5】請求項1から4のいずれかに記載のナット
    とボルトとを備える、固着具。
  6. 【請求項6】請求項1から4のいずれかに記載のナット
    の前記固着トルク受け部に係合あるいは嵌合可能なトル
    ク付与部を有する、ナット用工具。
  7. 【請求項7】請求項2又は4に記載のナットの前記弛緩
    トルク受け部に係合あるいは嵌合可能なトルク付与部を
    有する、ナット用工具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015218902A (ja) * 2014-05-21 2015-12-07 正雄 佐藤 2穴式丸形ボルト。

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