JP2000328173A - 加工特性に優れた鋳片及びそれを加工した鋼材 - Google Patents

加工特性に優れた鋳片及びそれを加工した鋼材

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JP2000328173A JP11133223A JP13322399A JP2000328173A JP 2000328173 A JP2000328173 A JP 2000328173A JP 11133223 A JP11133223 A JP 11133223A JP 13322399 A JP13322399 A JP 13322399A JP 2000328173 A JP2000328173 A JP 2000328173A
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隆 諸星
Akifumi Seze
昌文 瀬々
Shintaro Kusunoki
伸太郎 楠
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳片を用いて圧延等の加工を行った際に、延
び等の加工性を良くし、鋳片及び鋼材に発生する割れ等
の表面欠陥及び内部欠陥を少なくし、手入れや屑化によ
る歩留りの低下の少ない品質を良好にした加工特性に優
れた鋳片及びそれを用いた鋼材を提供する。 【解決手段】 表面から等しい深さにおける結晶粒径の
最大値を、その深さにおける平均の結晶粒径の3倍以内
にした鋳片16、及びその鋳片16を1100〜135
0℃に加熱した後に、圧延等の加工を施した鋼材であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造された均
一な結晶粒の組織を備え、圧延等の加工特性が良好であ
り、表面欠陥や内部欠陥等の発生の少ない加工特性に優
れた鋳片及びそれを加工した鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋳片は、溶鋼を振動式鋳型やベル
トキャスター、ストリップキャスター等の連続鋳造装置
を用いて、スラブ、ブルーム、ビレット、薄鋳片等に鋳
造し、これを所定のサイズに切断して製造している。更
に、鋳片は加熱炉等により加熱した後に、粗圧延や仕上
げ圧延等の加工が施されて鋼板や形鋼等になる。鋳片の
組織は、図7に示すように、表層に鋳型により急激に冷
却されて凝固した比較的細かいチル晶と、その内側に大
きな柱状晶が形成され、中心部に等軸晶が形成されてお
り、場合によっては、柱状晶が中心部まで到達すること
がある。このように鋳片の表層部に、粗大な柱状晶が存
在する場合は、大きな柱状晶の粒界にCu等のトランプ
エレメントの元素やその化合物が偏析し、その部位が脆
くなり、鋳片の表層に割れや冷却等の不均一に起因する
へこみ疵等の表面欠陥が生じ、研削等の手入れの増加や
屑化等により歩留りの低下等を招く。この鋳片を用い、
圧延等の加工を行った際は、結晶の粒径の不均一に起因
した変形の異方性が大きく、幅方向と長さ方向の変形挙
動が異なり、r値(絞り加工指数)等の加工特性が悪く
なり、しわ疵(特にステンレス鋼板におけるリジング、
ローピング)等の表面欠陥が発生する。また、内部に粗
大柱状晶や大きな等軸晶が存在する場合は、曲げ戻し矯
正等に起因する内部割れ(割れ)、凝固末期の溶鋼の流
動に起因する中心偏析(偏析)や空洞(ザク)等の内部
欠陥が生じる。特に、圧延等の加工を施した際に、ヘゲ
疵や割れ等の欠陥が生じ易くなり、微細な等軸晶を備え
た鋳片から製造した鋼材に比べ品質や材質が劣ってい
る。
【0003】この対策として、鋳片の組織を微細な等軸
晶にし、鋳片と、その鋳片を加工して得られる鋼材の表
面欠陥及び内部欠陥を防止し、品質や材質の向上を図る
ことが試みられている。鋳片の組織中の等軸晶率を高め
る方法としては、1)溶鋼の温度を低くして低温鋳造す
る、2)凝固過程の溶鋼を電磁攪拌する、3)溶鋼が凝
固する際に凝固核となる金属や酸化物を添加する等の方
法、あるいはこれ等1)〜3)を組合せて行う方法等が
知られている。低温鋳造の具体例としては、例えば特開
平7−84617号公報に記載されているように、溶鋼
を連続鋳造する際に、過熱温度(実際の溶鋼温度からこ
の溶鋼の液相温度を差し引いた温度)を40℃以下にし
て鋳型内で冷却しながら引き抜きを行って、凝固した鋳
片の等軸晶率を70%以上にして、フェライト系ステン
レス鋼板に発生するリジングを防止している。更に、溶
鋼の電磁攪拌については、特開昭50−16616号公
報に記載されているように、凝固過程の溶鋼に電磁攪拌
を行って、成長する柱状晶の先端を切断し、柱状晶の切
断片を凝固核として利用し、鋳片の組織の等軸晶率を6
0%以上にしてリジングを防止している。また、特開昭
53−90129号公報には、溶鋼が凝固する際に凝固
核となる金属酸化物の添加と電磁攪拌を組合せて、鋳片
の厚み方向の全断面の組織を殆ど等軸晶にすることが提
案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−84617号公報では、過熱温度を低くしているた
め、鋳造途中に溶鋼が凝固してノズル詰まりや地金の付
着を生じて鋳造が困難になったり、溶鋼の粘性が増加し
て介在物の浮上が阻害され介在物に起因した欠陥等が発
生し、十分な結晶粒径を備えた鋳片ができるまでに過熱
温度を低くすることが困難である。また、特開昭50−
16616号公報では、鋳型を出た鋳片に電磁攪拌を行
うため、鋳片の表層部に柱状晶が存在し、この柱状晶に
起因した割れやへこみ割れ疵等の表面欠陥、あるいは圧
延等の加工を施した鋼材に、ヘゲ疵や割れ疵に加えてリ
ジング等の表面欠陥が発生する。更に、特開昭53−9
0129号公報では、鋳型内の溶鋼に凝固核になる酸化
物を添加して、その酸化物が溶解する位置近傍を電磁攪
拌しているので、鋳片の表層部には、柱状晶が存在して
おり、特開昭50−16616号公報に記載された方法
と同様に表面欠陥が生じる。しかも、鋳片の組織を等軸
晶にする際に、電磁攪拌を行う位置や攪拌推力によっ
て、等軸晶が形成される範囲や結晶粒径が異なる欠点が
ある。このように、低温鋳造や電磁攪拌を行ったり、凝
固核を形成する酸化物を添加して鋳片の等軸晶化を図る
従来の方法では、鋳片に生じるへこみ疵や割れ、内部割
れ等の表面欠陥及び内部欠陥を抑制し、しかも、均一な
粒径の組織にして、その鋳片の圧延等の加工特性を高
め、欠陥の少ない品質の優れた鋼材を安定して工業的に
製造することができない等の問題がある。
【0005】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、均一な結晶粒を備え、圧延等の加工を施した際に加
工特性に優れ、鋳片及び鋼材に発生するヘゲ疵や割れ等
の表面欠陥及び内部欠陥を抑制し、手入れや屑化による
歩留りの低下の少ない加工特性に優れた鋳片及びそれを
用いた鋼材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明の
加工特性に優れた鋳片は、鋳造された鋳片の表面から等
しい深さにおける結晶粒径の最大値を、その深さにおけ
る平均の結晶粒径の3倍以内にしている。これにより、
鋳片の表層から所定の深さに存在する結晶の粒径を均一
にし、Cu等のトランプエレメントの局部的な粒界偏析
が抑制されて表層部の粒界割れが抑制される。更に、加
工を施した際に均一な結晶粒の変形が得られ、特定の結
晶粒に変形が集中するのを防止し、絞り加工特性指数で
あるr値の向上やしわ疵、リジング、ローピング等の表
面欠陥を防止できる。
【0007】ここで、前記鋳片の厚み方向の断面の60
%以上を等軸晶にすることができる。これにより、鋳片
の柱状晶の成長を抑制した結晶粒の組織にでき、表層及
び内部の粒界偏析を小さくし、凝固過程の歪みや応力に
起因する割れ抵抗を高め、鋳片の表面欠陥及び内部欠陥
の防止と、加工を施した際の変形挙動の等方性(圧下に
より幅及び長さ方向の延び)を高めて加工特性を向上で
き、割れやヘゲ疵、加工変形の不均一性に起因するしわ
疵等の表面欠陥を防止できる。
【0008】また、前記鋳片の厚み方向の全断面を等軸
晶からなる結晶粒にすることができる。表層から内層を
結晶粒径のバラツキが少ない均一な結晶粒の組織にで
き、割れ等に対する抑制力がより強く、表面欠陥及び内
部欠陥の発生をより確実に防止し、加工を施した際の変
形挙動の等方性が一層向上でき、加工特性の向上や絞り
加工のr値、加工後の靱性等の材質を向上できる。
【0009】更に、前記鋳片に溶鋼にMgあるいはMg
合金を添加して生成したMgの酸化物を含有させること
もできる。これは、溶鋼中における酸化物の凝集を抑制
して分散性を高め、凝固核として作用する酸化物の個数
を増して等軸晶を生成し易くし、より安定して微細な結
晶粒の組織にできる。
【0010】前記目的に沿う本発明に係る鋼材は、表面
から等し深さにおける結晶粒径の最大値をその深さにお
ける平均結晶粒径の3倍以内にした鋳片を1100〜1
350℃に加熱した後に、圧延等の加工を施している。
従って、均一な結晶粒の組織にした鋳片を用いているの
で、圧延等の加工の際の割れ抵抗が高く、加工を施した
際に特定の結晶粒に変形が集中するのを防止して、結晶
粒の均一な変形(変形挙動の等方性)が得られ、割れや
ヘゲ疵等の表面欠陥及び内部欠陥が少なく、絞り加工特
性を表すr値等を向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は発明の一実施の形態に係る加
工特性に優れた鋳片を鋳造する連続鋳造装置の全体断面
図、図2は同鋳片の厚み方向の断面の概略図、図3は同
鋳片の表層からの距離と結晶粒の最大粒径/平均粒径を
表すグラフ、図4は従来の鋳片の表層からの距離と結晶
粒の最大粒径/平均粒径を表すグラフである。図5は鋳
片の組織の模式図、図6は鋳片の組織の模式図、図7は
従来例に係る鋳片の組織の模式図である。まず、図1を
参照して、本発明の一実施の形態に係る加工特性に優れ
た鋳片を鋳造する連続鋳造装置10について説明する。
連続鋳造装置10は、タンディッシュ11に貯湯された
溶鋼12を浸漬ノズル13から鋳型14に注湯し、鋳型
14の冷却により溶鋼12を凝固させながら、支持セグ
メント15に設けた図示しない冷却水ノズルから冷却水
を散水し、さらに凝固が進行した鋳片16を圧下セグメ
ント17により圧下してからピンチロール18により引
き抜きを行う。そして、所定のサイズに切断された鋳片
16は後工程に搬送され、図示しない加熱炉、均熱炉等
で加熱されてから圧延等の加工が施され、鋼材に製造さ
れる。
【0012】次に、連続鋳造装置10で製造する鋳片1
6について説明する。タンディッシュ11に設けた浸漬
ノズル13から鋳型14に注湯された溶鋼12は、鋳型
14により冷却され、図示しない凝固殻を形成して鋳片
16となり、支持セグメント15の下流側に進むにつれ
て、散水する冷却水によって抜熱され、順次凝固殻の厚
みを増しながら、途中で圧下セグメント17により圧下
されてから完全に凝固する。
【0013】ここで、図2に示すように、鋳造された鋳
片16の表面から等しい深さamm例えば2〜10mm
の位置における結晶粒径の最大値を、その同じ深さam
mにおける平均の結晶粒径の値に対して3倍以内にする
ことにより、表層の粗大な柱状晶を抑制し、Cu等のト
ランプエレメント等の粒界偏析を少なくして、冷却や凝
固収縮の不均一によるへこみ疵や割れ等を防止し、鋳片
16を割れに対する抵抗力の高い組織にすることができ
る。そして、鋳片16の表面及び内部に発生する割れ等
が減少し、鋳片16の研削等の手入れや屑化が少なく
り、良鋳片の歩留りが向上できる。更に、鋳片16に圧
延等の圧下による加工を施した際に、加工性が大幅に改
善される。この鋳片16の表面から等しい深さammに
おける結晶粒径としては、例えば鋳片16の表面から2
〜10mmの厚みの位置まで研削して表面を露出させ、
その表面の結晶粒径を測定してそれぞれ得られた値を用
いる。この研削と測定は、鋳片16の中心部の近傍まで
行っても良い。この鋳片16の表面からの同一深さにお
ける組織の最大結晶粒径が平均結晶粒径の3倍を超える
と、鋳片16の組織の結晶粒径のバラツキが大きくな
り、特定の結晶粒に変形歪みが集中して加工時の変形が
不均一になり、しわ疵等の表面欠陥が生じて歩留りの低
下を招く。しかも、粒界偏析の高い部位が発生し易くな
り、この部位を起点にした表面割れや内部割れが生じる
場合がある。その結果、表面欠陥及び内部欠陥が発生
し、手入れや屑化等による歩留りの低下、鋼材の材質の
低下等が生じる。
【0014】また、鋳片16の組織は、図3に示すよう
に、結晶粒径の最大値を、その同じ深さにおける平均の
結晶粒径の値に対して3倍以内にし、しかも、鋳片16
の全断面の少なくとも60%以上を等軸晶にすることに
より、図5の模式図のように鋳片16の表層の粗大な柱
状晶が抑制され、全体にわたり均一な組織にすることが
でき、加工を施した際に、特定の結晶粒に変形歪みが集
中するのを抑制し、変形挙動の等方性(圧下による幅方
向と長さ方向の延び)を良くして、均一な変形により加
工性を向上できる。その結果、割れやヘゲ疵等の欠陥に
加え、しわ疵(特にステンレス鋼板におけるリジング、
ローピング)等を防止することができる。更に、粒界に
形成されるCu等のトランプエレメント等の粒界偏析を
より少なくでき、圧延等の圧下による加工時の割れ等に
対する割れ抵抗をより高めることができ、鋳片16や鋼
材に生じる割れ等の欠陥を防止することができる。しか
し、等軸晶が鋳片16の全断面の60%未満になると、
柱状晶の範囲が増加するので、割れやへこみ疵等が発生
して手入れや屑化等が生じたり、加工を施した鋼材の表
面欠陥及び内部欠陥が発生して品質等の低下を招く場合
がある。同様の理由から、鋳片16の全断面を等軸晶に
することにより、図6の模式図に示すように、全体にわ
たり微細で均一な結晶粒を備えた組織にして粒界偏析を
小さくでき、表層部や内部の割れ抵抗力を高め、へこみ
疵や割れ等を抑制し、加工を施した変形の等方性がより
向上し、絞り加工特性を示すr値や鋼材の靱性等の品質
及び材質を向上できる。
【0015】なお、結晶粒径は、結晶の方位が同一であ
る組織としての粒径(mm)であり、溶鋼が凝固した鋳
片の表面をエッチングして、マクロ組織の結晶方位によ
って光の反射の仕方が異なる組織単位の大きさである。
この結晶粒径の検出は、凝固した鋳片の厚み方向の断面
が出るように所定の長さに切断し、その外周から所定の
深さまでを研削して、その露出した表面を研磨してか
ら、例えば塩酸やナイタール(硝酸とアルコールの混合
液)等と反応させてエッチングを行う。更に、マクロ組
織を1〜100倍の拡大写真に取り、この拡大写真を例
えば画像処理し、結晶粒の最大直径と平均値を求める。
【0016】前記した範囲の結晶粒径や等軸晶を備えた
鋳片16を連続鋳造するには、タンディッシュ11内の
溶鋼12にMg、又はMg合金を添加して、溶鋼12中
にMgOの単体あるいはMgOを含有する複合の酸化物
を形成させる。MgOは、分散性が良く細粒となって溶
鋼12中に均一に分散し、溶鋼12の凝固核として作用
して、多数の凝固核を形成し、さらに、酸化物自体のピ
ンニング(凝固直後の組織の粗大化を抑制)効果によっ
て組織の粗大化を抑制し、等軸晶を形成すると共に等軸
晶そのものを微細にし、鋳片16を均質にすることがで
きる。このMg、又はMg合金を、Mg相当で0.00
05〜0.10重量%添加すると、溶鋼12中に含有さ
れる酸素(O)やFeO、SiO2 、MnO等の酸化物
から酸素が供給され、MgOあるいはMgOを含有する
MgO・Al23 等の複合の酸化物を形成する。添加
方法は、Mg、又はMg合金を溶鋼12に直接添加する
か、あるいはMg、又はMg合金を薄鋼で覆った線状に
加工したワイヤーを連続的に供給することができる。添
加量が0.0005重量%未満では、凝固核が不足し、
生成する核が不足するので微細な組織が得られ難くな
る。また、0.10重量%を超えると、等軸晶の生成効
果が飽和し、合金コストの上昇や鋳片16の内部の総酸
化物量が増加して耐食性等が低下する。このようにして
鋳造された鋳片16は、前述した条件を満たし、組織が
均一であり、表面欠陥及び内部欠陥の抑制に優れ、良好
な加工特性を備えている。更に、鋳片16は、連続鋳造
の他に、造塊法やベルトキャスター、双ロール等の鋳造
法により鋳造することができる。また、鋳片16として
は、例えば連続鋳造により鋳造されたもので、厚みを1
00mm以上にすると、表層から内部にいたる組織中の
等軸晶径を容易に調整でき、微細化による効果も大きい
ので好ましい結果が得られる。
【0017】次に、前記実施の形態で鋳造された鋳片1
6を加工した鋼材について説明する。表面から等しい深
さにおける結晶粒径の最大値が、その深さにおける平均
の結晶粒径の3倍以内である結晶粒を備えた鋳片16を
用いて、図示しない加熱炉や均熱炉等により1150〜
1250℃に加熱を行って後、圧延等の加工を施すこと
により、鋼板や形鋼等の鋼材が製造される。この鋼材
は、加工に用いる鋳片16の結晶粒径を前記の範囲にす
ることにより、表層部に形成される柱状晶の範囲を抑制
でき、結晶粒界に存在するCu等のトランプエレメント
の粒界偏析を小さくし、偏析部の割れ抵抗が高くできる
ので、割れやヘゲ等の表面欠陥の少ない鋼材にすること
ができ、内部に発生する割れ等も防止でき、加工特性を
高めることができる。特に、鋳片16の厚み方向の断面
の少なくとも60%を等軸晶に、更には全断面を等軸晶
にした鋳片16を用いることにより、割れ等に対する抵
抗力が高く、圧延等の加工を施した際の表層から内部に
至る変形挙動の等方性が高くなり、加工特性がより向上
し、表面疵及び内部欠陥を安定して防止できる。しか
も、変形の均一性が高いので、例えば絞り加工特性等の
加工特性に優れており、加工後の鋼材の靱性等の材質も
優れている。
【0018】
【実施例】次に、本発明に係る連加工特性に優れた鋳片
及びこの鋳片を用いて圧延加工を行った鋼材の製造にお
ける実施例について説明する。タンディッシュ内の溶鋼
に金属Mgを0.005重量%添加してから、幅120
0mm、厚み250mmの内寸法の鋳型に注湯し、鋳型
による冷却と支持セグメントからの散水により、鋳片を
冷却して凝固させ、圧下セグメントを用いて3〜7mm
の圧下を行ってからピンチロールにより引き抜きを行っ
た。そして、鋳片を切断して厚み方向の断面の組織の等
軸晶の割合と、鋳片の表面から2mmごとに研削して同
じ厚みの位置における表面の結晶粒径を測定し、鋳片の
表層及び内部の欠陥の調査を行った。さらに、その鋳片
を1250℃に加熱してから圧延した鋼材の表面疵及び
しわ疵と、その加工特性等を調査した。その結果を表1
に示す。実施例1は、鋳片の厚み方向の全断面の30%
に等軸晶が形成されており、同じ厚みの位置の表面にお
いて、最大結晶粒径/平均結晶粒径を2〜2.7にした
鋳片であり、鋳片には、表面割れや内部割れも無く
(○)、この鋳片を圧延加工を施して製造した鋼材に
は、表面疵、しわ疵の発生が軽微(○)であり、加工特
性も良好(○)であった。実施例2は、図3の実線で示
した鋳片で、内部に60%以上の等軸晶が形成されてお
り、同じ厚みの位置において、最大結晶粒径/平均結晶
粒径を1.7〜2.5にした鋳片であり、鋳片には、表
面割れや内部割れも無く(◎)、この鋳片を圧延加工を
施して製造した鋼材には、表面疵やしわ疵の発生が無く
(◎)、加工特性が非常に良好(◎)であった。
【0019】
【表1】
【0020】これに対して、比較例は、図4に示した鋳
片に相当し、鋳片内部の等軸晶率が20%程度と低く、
中心部が粗大等軸晶であり、同じ厚み位置における結晶
粒径の内、最大結晶粒径/平均結晶粒径の一部が3倍を
超えた(2.5〜4.7)場合であり、鋳片には、表面
割れや内部割れが見られ(×)、この鋳片を圧延加工を
施して製造した鋼材では、表面割れ等の表面疵及びしわ
疵が発生(×)し、加工特性も悪い(×)結果となっ
た。
【0021】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨
を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲であ
る。例えば、鋳片の等軸晶を形成する方法としては、低
温鋳造や電磁攪拌あるいはこれ等を組合せて用いること
ができる。更に、低温鋳造や電磁攪拌等と溶鋼中に凝固
核を形成するMg、Mg合金等の接種剤を併用すること
もできる。また、接種剤としては、Mg、Mg合金の他
にTiN、Ce、Zr、V、あるいはこれ等を組み合わ
せて用いることができる。
【0022】
【発明の効果】請求項1〜4記載の加工特性に優れた鋳
片においては、鋳造された鋳片の表面から等しい深さに
おける結晶粒径の最大値を、その深さにおける平均の結
晶粒径の3倍以内にしているので、組織の結晶粒径を均
一にすることができ、鋳片の割れやへこみ疵等の表面欠
陥と、内部の割れ等の内部欠陥を抑制し、研削等の手入
れや屑化等を防止し、良鋳片の歩留りを向上できる。更
に、この鋳片を用いて、圧延等の加工を行った際の加工
性を高め、加工された鋼材に発生する表面欠陥及び内部
欠陥も防止し、絞り加工特性や靱性等の材質を向上する
ことができる。
【0023】特に、請求項2記載の加工特性に優れた鋳
片においては、鋳片の厚み方向の断面の60%以上を等
軸晶にしているので、鋳片の全断面の柱状晶の発生を抑
制し、割れ抵抗をより強めて、鋳片の表面欠陥及び内部
欠陥を防止して、加工時に発生する割れやヘゲ等の欠陥
を無くすことができ、研削等の手入れや屑化を防止し、
歩留りや加工特性等をより向上することができる。
【0024】請求項3記載の加工特性に優れた鋳片にお
いては、鋳片の厚み方向の全断面を等軸晶からなる結晶
粒にしているので、鋳片を表層から内層まで均一な組織
にでき、鋳片の表面欠陥及び内部欠陥を防止し、表層か
ら内部及び縦横に至る加工時変形が均一で良好になり、
加工時の表面疵及び内部欠陥を確実に抑制して研削等の
手入れや屑化による歩留りの低下を安定して防止するこ
とができ、しかも、加工特性及び材質等に優れた鋳片を
製造することができる。
【0025】請求項4記載の連続鋳造により製造した鋳
片においては、鋳片がMgの酸化物を含有しているの
で、溶鋼中における分散性が高くなり、少ない酸化物で
効率良く微細な凝固組織にすることができ、鋼材の加工
性や材質等を良好にすることができる。
【0026】請求項5記載の鋼材においては、表面から
等しい深さにおける結晶粒径の最大値を、その深さにお
ける平均の結晶粒径の3倍以内にした鋳片を1100〜
1350℃に加熱した後に、圧延等の加工を施している
ので、圧下した際に、幅及び長さ方向への均一な加工特
性が得られ、表面欠陥及び内部欠陥等を防止して、加工
時あるいは加工後に発生するしわ疵や割れ等の表面欠陥
及び内部欠陥を少なく、鋼材の手入れや屑化等を防止
し、製品等の歩留りを向上でき、靱性等の材質特性に優
れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る加工特性に優れた
鋳片を鋳造する連続鋳造装置の全体断面図である。
【図2】同鋳片の厚み方向の断面の概略図である。
【図3】同鋳片の表層からの距離と結晶粒径の最大粒径
/平均粒径を表すグラフである。
【図4】従来例に係る鋳片の表層からの距離と結晶粒径
の最大粒径/平均粒径を表すグラフである。
【図5】鋳片の組織の模式図である。
【図6】鋳片の組織の模式図である。
【図7】従来例に係る鋳片の組織の模式図である。
【符号の説明】
10:連続鋳造装置、11:タンディッシュ、12:溶
鋼、13:浸漬ノズル、14:鋳型、15:支持セグメ
ント、16:鋳片、17:圧下セグメント、18:ピン
チロール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造された鋳片の表面から等しい深さに
    おける結晶粒径の最大値を、その深さにおける平均の結
    晶粒径の3倍以内にしていることを特徴とする加工特性
    に優れた鋳片。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の加工特性に優れた鋳片に
    おいて、前記鋳片の厚み方向の断面の60%以上が等軸
    晶である加工特性に優れた鋳片。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の加工特性に優れた
    鋳片において、前記鋳片の厚み方向の全断面が等軸晶か
    らなる結晶粒である加工特性に優れた鋳片。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の加
    工特性に優れた鋳片において、前記鋳片がMgの酸化物
    を含有している。
  5. 【請求項5】 表面から等しい深さにおける結晶粒径の
    最大値を、その深さにおける平均の結晶粒径の3倍以内
    にした鋳片を1100〜1350℃に加熱した後に、圧
    延等の加工を施した鋼材。
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