JP2002178113A - 優れた凝固組織を有する鋳片及びそれを加工した鋼材 - Google Patents

優れた凝固組織を有する鋳片及びそれを加工した鋼材

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JP2002178113A JP2000380143A JP2000380143A JP2002178113A JP 2002178113 A JP2002178113 A JP 2002178113A JP 2000380143 A JP2000380143 A JP 2000380143A JP 2000380143 A JP2000380143 A JP 2000380143A JP 2002178113 A JP2002178113 A JP 2002178113A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶鋼に電磁攪拌による攪拌流を付与して、凝
固させた鋳片の等軸晶率を高めて中心偏析やセンターポ
ロシティ等の内部欠陥の発生を抑制し、更に鋳片の内部
の負偏析帯の発生を防止して、鋼製品の硬度や耐磨耗等
を向上することができる優れた凝固組織を有する鋳片及
びそれを加工した鋼材を提供する。 【解決手段】 鋳型11内に注湯された溶鋼12に、電
磁攪拌装置16a、16bを用いて攪拌推力を変化させ
て付与し、溶鋼12が凝固する際に形成される負偏析帯
を縞状に分断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鋼に電磁攪拌に
よる攪拌推力を変化させながら付与して、鋳片に発生す
る内部欠陥及び内部の負偏析帯が抑制された優れた凝固
組織を有する鋳片及びそれを加工した鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高炭素鋼や厚鋼板は、所定の組成
に調整された溶鋼を連続鋳造により鋳込み、スラブやブ
ルーム等の鋳片にし、この鋳片を加熱してから圧延加工
を施して製造される。しかし、連続鋳造された鋳片の凝
固組織が粗大である場合、中心偏析やセンターポロシテ
ィ等が形成され易く、この鋳片を圧延加工した高炭素鋼
や厚鋼板等の鋼製品にも中心偏析線やUST不良(ミク
ロポロシティ)等の欠陥が残存する。この欠陥がある鋼
製品を使用した際に、構造物の安全性に極めて悪影響を
及ぼすため、鋼製品の断面組織検査や超音波探傷を行っ
て欠陥の有無を検査し、欠陥の存在する鋼製品は、屑化
しており、良製品歩留りの低下を招く。この中心偏析や
センターポロシティ等の発生を抑制する方法として、連
続鋳造する際に、電磁攪拌装置を用いて鋳型内の溶鋼及
びストランド内の未凝固の溶鋼に推力を付与して攪拌す
ることにより、鋳片の凝固組織を等軸晶化することが行
われている。しかし、電磁攪拌装置を適用した部位に
は、攪拌によって生じる攪拌流が凝固殻全面のデンドラ
イト間にミクロ偏析した溶質元素を洗浄するため、無攪
拌部と比べて溶質元素が低下している負偏析帯(ホワイ
トバンド)が生じる。この負偏析帯は、加工した鋼製品
に残存し、鋼製品の硬度や耐磨耗が低下し、品質を阻害
する。この対策として、特開昭53−45627号公
報、特開昭54−136534号公報に記載されている
ように、鋳型、あるいは鋳型の近傍に電磁攪拌装置を設
けて磁束密度や攪拌位置、あるいは推力の方向を異なら
せて、凝固過程の溶鋼を攪拌することにより、未凝固溶
鋼が凝固する際に負偏析帯が発生するのを防止してい
る。更に、特開昭58−157558号公報に記載され
ているように、鋳型の長辺の幅方向に複数の電磁攪拌装
置を配置し、鋳型を挟んで対向する電磁攪拌装置に方向
の異なる推力を付与することにより、負偏析帯の形成を
抑制しながら中心偏析やセンターポロシティ等を防止す
ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
53−45627号公報、特開昭54−136534号
公報に記載された方法では、鋳型内部の溶鋼が連続して
攪拌されるため、攪拌によって生じる攪拌流によって、
溶鋼が凝固した凝固殻と未凝固溶鋼の界面が洗浄される
のを十分に抑制することができず、凝固した鋳片の内部
に負偏析帯が発生する。更に、特開昭58−15755
8号公報に記載された方法では、異なる方向に付与した
推力により発生した溶鋼の流れが干渉して淀みを生じ、
この淀み部位では、負偏析帯の形成を抑制できる。しか
し、この溶鋼の淀む範囲は、鋳片の幅に比べて極めて狭
いため、鋳型内の広範囲において、負偏析帯の形成を防
止することが難しい。このように、電磁攪拌に伴う攪拌
流によって、溶質濃度(成分濃度)の低い負偏析帯が発
生し、鋼製品の硬度や耐磨耗が低下したり、鋼製品の断
面に縞模様が生じて品質の価値が悪くなる等の問題があ
る。
【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、溶鋼に電磁攪拌による攪拌流を付与して、凝固させ
た鋳片の等軸晶率を高めて中心偏析やセンターポロシテ
ィ等の内部欠陥の発生を抑制し、更に鋳片の内部の負偏
析帯の発生を防止して、鋼製品の硬度や耐磨耗等を向上
することができる優れた凝固組織を有する鋳片及びそれ
を加工した鋼材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係る優れた凝固組織を有する鋳片は、鋳型内に注湯され
た溶鋼に、電磁攪拌装置を用いて攪拌推力を変化させて
付与し、前記溶鋼が凝固する際に形成される負偏析帯を
縞状に分断している。この鋳片は、電磁攪拌装置によっ
て攪拌推力を付与して溶鋼を凝固させ、等軸晶率を高く
しているので、鋳片の内部に発生する中心偏析やセンタ
ーポロシティ等の内部欠陥の発生を防止することがで
き、更に、電磁攪拌装置による攪拌推力を変化させるこ
とにより、未凝固溶鋼が冷却されて成長する凝固殻の成
長方向に形成される負偏析帯を縞状に分断することがで
きる。しかも、分断して薄い負偏析帯にすることによ
り、熱処理等の加熱や圧延加工を行った際に、負偏析帯
に隣接する正常部から負偏析帯に向かう溶質成分の拡散
を容易にすることができ、負偏析帯を解消することがで
きる。
【0006】ここで、前記電磁攪拌装置によって付与す
る攪拌推力の変化により分断された負偏析帯の厚みは式
(1)を満たすと良い。 W≦2×Sb/Sr ・・・・・(1) 但し、Wは鋳片断面の負偏析帯の厚み(mm)、Sbは
鋳片の断面積(mm2 )、Srは鋳片を加工した際の鋼
材の断面積(mm2 )である。これにより、鋳片の内部
に形成される負偏析帯の厚みを所定の範囲にしているの
で、この鋳片を加熱等の熱処理及び圧延加工する際、溶
質成分であるC、Si、Mn等を拡散し易くし、鋳片を
加工した鋼製品の断面における負偏析帯を解消すること
ができる。
【0007】更に、前記電磁攪拌装置に、前記攪拌推力
が最大となる電流値の50%以上の電流値で通電する時
間が式(2)を満たすようにすることが好ましい。 t≦240×S×Sb/Sr/k2 ・・・・・(2) 但し、tは、最大電流値を含め最大電流値の50%以上
の電流値での通電時間(秒)、Sは、電磁攪拌位置にお
ける凝固シェル厚み(mm)、Sbは鋳片の断面積(m
2 )、Srは鋳片を加工した際の鋼材の断面積(mm
2 )、kは連続鋳造装置によって決まる凝固定数(mm
/min0.5 )である。これにより、凝固殻の内側に形
成される負偏析帯を縞状に分断し、しかも、負偏析帯の
厚みを適正にすることができ、加熱等の熱処理や圧延加
工中に負偏析帯を容易に解消することができる。
【0008】また、前記溶鋼は、炭素を0.15重量%
以上含む高炭素鋼、又は厚鋼板に用いることができる。
負偏析帯の発生し易い炭素を0.15重量%以上含む高
炭素鋼や厚みが5mm以上の厚鋼板用の鋳片に対し、形
成された負偏析帯を加熱や圧延加工時に解消し、鋳片を
加工した鋼製品の硬度や耐磨耗、疲労強度等を向上する
ことができる。しかも、鋳片内部の等軸晶率を高め、鋳
片内部に発生する中心偏析やセンターポロシティ等の内
部欠陥を防止することができる。
【0009】前記目的に沿う本発明に係る鋼材は、鋳型
内に注湯された溶鋼に、電磁攪拌装置による攪拌推力を
変化させて付与し、前記溶鋼が凝固する際に形成される
負偏析帯を縞状に分断して鋳片を鋳造し、該鋳片を加熱
してから圧延加工を施している。鋳片内部の等軸晶率を
高めて中心偏析やセンターポロシティ等の内部欠陥を無
くしているので、鋼材の内部欠陥を防止することができ
る。しかも、成長した凝固殻の内側に形成される負偏析
帯を縞状に分断しているので、鋳片を加熱及び圧延した
際に、溶質成分が負偏析帯に隣接した正常部から負偏析
帯に向かって拡散し易くなり、断面における負偏析帯を
解消した鋼製品を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る
優れた凝固組織を有する鋳片の鋳造に用いる連続鋳造装
置の全体図、図2は同連続鋳造装置の部分拡大図、図3
は図2のA−A矢視断面図、図4は図2の鋳片のB−B
矢視断面図である。図1、図2に示すように、本発明の
一実施の形態に係る優れた凝固組織を有する鋳片の鋳造
に用いる連続鋳造装置10は、鋳型11と、鋳型11に
注湯するために溶鋼12を貯湯するタンディッシュ13
と、タンディッシュ13の底部に取付けた浸漬ノズル1
4を有している。更に、鋳型11の下方には、図示しな
い冷却水ノズルを付設した支持セグメント15を設けて
おり、この支持セグメント15の上流側には凝固殻12
aが成長しつつある溶鋼12を攪拌する電磁攪拌装置1
6a、16bを配置している。また、支持セグメント1
5の下流側には、溶鋼12が殆ど凝固した鋳片17を軽
圧下する圧下セグメント18と、鋳片17を所定の速度
で引き抜くピンチロール19を備えている。
【0011】次に、本発明の一実施の形態に係る優れた
凝固組織を有する鋳片について説明する。タンディッシ
ュ13に貯湯された炭素0.15重量%以上を含む高炭
素鋼、又は厚鋼板用の溶鋼12を浸漬ノズル14から連
続して鋳型11に注湯し、溶鋼12を鋳型11によって
一次冷却し、更に、支持セグメント15の冷却水ノズル
からの散水によって冷却し、その周囲に凝固殻12aを
形成させる。凝固殻12aが50〜70mmの厚みにな
る位置に相当する支持セグメント15の部分に、鋳片1
7を挟んで一対の電磁攪拌装置16a、16bを配置
し、この電磁攪拌装置16a、16bに図示しない電源
から送電して電流値を変えて溶鋼12に攪拌推力を付与
する。電磁攪拌装置16a、16bへの通電は、溶鋼1
2に付与する攪拌推力が最高となる最大電流値をそれぞ
れ1600アンペアとし、この最大電流値を含む最大電
流値の50%以上の電流値、すなわち800〜1600
アンペアで下式を満足する通電時間(t)行った。 t≦240×S×Sb/Sr/k2 ・・・・・(2) 但し、tは最大電流値を含め最大電流値の50%以上の
電流値での通電時間(秒)、Sは電磁攪拌位置における
凝固シェル厚み(mm)、Sbは鋳片の断面積(mm
2 )、Srは鋳片を加工した際の鋼材の断面積(mm
2 )、kは連続鋳造装置によって決まる凝固定数(mm
/min0.5 )である。なお、前記式は、実験により求
めた値であり、t時間に形成される凝固シェル厚みS
は、一般に使用されている溶鋼の凝固係数である240
×S/k2 と経過時間の積によって不変的に決まる。更
に、負偏析帯は、圧延加工中あるいは圧延加工後の負偏
析帯の厚みが薄くなる程に拡散し易くなるので、圧延加
工の度合いであるSb/Srを用いる。その結果、電磁
攪拌装置16a、16bへの通電(t時間)によって生
成した攪拌推力が、図3に矢印で示す溶鋼12の流れ
(攪拌流)を発生させ、負偏析帯が形成される。その
後、電磁攪拌装置16a、16bに、最大電流値の50
%未満の電流値となるように通電するか、あるいは通電
を停止して、攪拌の推力の極めて弱いか、又は攪拌を停
止した時間を10〜20秒間にして厚み0.5〜53m
mの負偏析が存在しない凝固殻を形成し、この強攪拌と
弱攪拌、あるいは強攪拌と攪拌停止等を繰り返して攪拌
推力を変化させながら連続鋳造を行った。そして、溶鋼
12が凝固する際に形成される負偏析帯を攪拌推力の変
化によって分断し、図4に示すように、鋳片17の断面
に表れる縞状に分断された負偏析帯(図中斜線部)20
の厚みWが下式を満たすようにした。 W≦2×Sb/Sr ・・・・・(1) 但し、Wは鋳片断面の負偏析帯の厚み(mm)である。
なお、鋳片断面に発生する負偏析帯の厚みWは、圧延加
工中あるいは圧延加工後の圧延加工の度合いによって変
化するので、Sb/Srを用い、このSb/Srの2倍
以内とする必要がある。負偏析帯の厚みWが、2×Sb
/Srを超えると、圧延加工中あるいは圧延加工後の負
偏析帯が厚くなり過ぎて、拡散することができない。
【0012】このように、鋳片断面に発生する負偏析帯
20の厚みWを所定の範囲にすることで、鋳片17の加
熱等の際に、負偏析帯に隣接する正常部から溶質濃度の
低い負偏析帯に向かって、C、Si、Mn等の溶質成分
を容易に拡散させ、断面における負偏析帯を実用上問題
とならないように解消することができる。更に、電磁攪
拌によって、鋳片17の凝固殻12aの表面清浄化と、
凝固組織の等軸晶化を図ることができ、中心偏析やセン
ターポロシティ等の内部欠陥を防止できる。そして、支
持セグメント15を通過した鋳片17は、圧下セグメン
ト18により、内部に残存した溶鋼12が凝固する際の
収縮量に見合う量に相当する1〜10mmの押し込み量
で、中心近傍が圧下され、引け巣(空洞)等が圧着され
る。このようにして鋳造された鋳片17は、図示しない
切断装置で所定の長さに切断され、圧延工場の熱処理の
一例である加熱炉に装入される。
【0013】次に、本発明の一実施の形態に係る優れた
凝固組織を有する鋳片を加工した鋼材について説明す
る。前記鋳片17は、加熱炉に装入して1150〜13
50℃に加熱される。鋳片断面に発生する負偏析帯の厚
みWを例えば5〜10mmの範囲にしているので、負偏
析帯に隣接する正常部からC、Si、Mn等の溶質成分
が拡散し、断面における負偏析帯を実用上問題とならな
いように解消することができる。更に、圧延加工を行う
際にもC、Si、Mn等の溶質成分が正常部から負偏析
帯に向かって拡散するので、断面における負偏析帯を解
消することができる。その結果、圧延加工された炭素
0.15重量%以上を含む高炭素鋼、又は厚鋼板(鋼
材)は、硬度や耐磨耗性、疲労強度等が向上し、鋼材断
面の成分の相違による濃淡(負偏析帯)が無くなり、外
見が良く、総合的な製品の品質を向上することができ
る。
【0014】
【実施例】次に、本発明に係る優れた凝固組織を有する
鋳片及びそれを加工した鋼材の実施例について説明す
る。タンデッシュに貯湯された表1に示す組成の軌条用
の溶鋼を浸漬ノズルから、内寸で、厚み300mm、幅
450mmの鋳型に連続して注湯し、鋳型及び支持セグ
メントに付設した冷却水ノズルからの散水による冷却を
行って、鋳造速度1.0m/分で連続鋳造を行い、同時
に、鋳型の上端から下方5mで、凝固殻の厚みが60m
mとなる位置に、鋳片を挟んで一対の電磁攪拌装置を配
置して電磁攪拌条件を変化させて鋳造を行った。
【0015】
【表1】
【0016】そして、鋳片の一部を切り出し、鋳片の断
面をピクリン酸でエッチングして鋳片の等軸晶率、負偏
析帯幅を調査した。更に、この鋳片を加熱炉に装入し、
1250℃で1時間の加熱を行ってから圧延加工を施し
て軌条を製造した。そして、軌条の一部を切り出し、そ
の断面をピクリン酸でエッチングして負偏析帯幅、表層
から内部に向かってビッカース硬度を測定して硬度の低
下の有無、内部欠陥の有無、これ等を含めた総合評価を
行った。その結果を表2に示す。実施例1及び実施例2
は、電磁攪拌の条件を溶鋼の攪拌と停止(OFF)を繰
り返し行った場合であり、それぞれ鋳片の等軸晶率を5
6%、52%、負偏析帯幅を7.6mm、2.6mmに
でき、これを加工した軌条についても、それぞれ負偏析
帯幅が拡散により無くなっており、硬度の低下が無く
(○)、内部欠陥も発生しておらず(○)、総合評価と
して優れた結果(◎)が得られた。実施例3及び実施例
4は、電磁攪拌の条件として、溶鋼の強い攪拌と、強い
攪拌の際に流した電流値の50%未満の電流値での攪拌
とを繰り返し行った場合であり、それぞれ鋳片の等軸晶
率が59%、56%、負偏析帯幅を7.9mm、7.7
mmにできた。これを加工した軌条についても、実施例
3は負偏析帯幅が0.1mm以下となり、硬度の低下が
わずか(△)であり、内部欠陥も発生しておらず
(○)、総合評価として良い結果(○)が得られ、実施
例4は負偏析帯幅が拡散により無くなっており、硬度の
低下が無く(○)、内部欠陥も発生しておらず(○)、
総合評価として優れた結果(◎)が得られた。実施例5
は、電磁攪拌の条件を溶鋼の攪拌と停止(OFF)を繰
り返し行い、溶鋼の攪拌時間を長くした場合であり、鋳
片の等軸晶率を58%、負偏析帯幅を8.1mmにで
き、これを加工した軌条についても、それぞれ負偏析帯
幅を0.4mmにでき、硬度の低下はがわずか(△)で
あり、内部欠陥も発生しておらず(○)、総合評価とし
て良いた結果(○)が得られた。
【0017】
【表2】
【0018】これに対し、比較例1は、電磁攪拌を行わ
ない場合であり、鋳片の等軸晶率が10%、負偏析帯幅
が無く、これを加工した軌条についても、負偏析帯幅及
び硬度の低下は無かったが、内部欠陥が発生(×)して
おり、総合評価として悪い結果(×)になった。比較例
2は、電磁攪拌条件として、最大の推力で連続攪拌した
場合であり、鋳片の等軸晶率が60%、負偏析帯幅が1
6.0mmと厚く、これを加工した軌条についても、負
偏析帯幅が4.1mmとなり、硬度の低下が大きく
(×)、内部欠陥の発生は無かったが総合評価として悪
い結果(×)になった。なお、鋼製品として厚み15m
mの厚鋼板用の溶鋼を鋳型に注湯し、前述した軌条と同
じ鋳型の上端から下方5mで、凝固殻の厚みが60mm
となる位置に、鋳片を挟んで一対の電磁攪拌装置を配置
して強攪拌と攪拌停止を繰り返しながら鋳造した鋳片及
びこの鋳片を1250℃で1時間の加熱を行ってから圧
延加工を施した厚鋼板の断面を調査した。その結果、負
偏析帯幅が拡散により無くなっており、硬度の低下や内
部欠陥も無く優れた品質の厚板が製造できた。
【0019】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨
を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲であ
る。例えば、電磁攪拌装置を設置する場所として、支持
セグメントの他に、鋳型に配置したり、鋳型と支持セグ
メントに取付けて多段で攪拌を行うことができる。更
に、鋳片を圧下セグメントによる軽圧下の他に、未凝固
部を鍛圧して圧着することもできる。
【0020】
【発明の効果】請求項1〜4記載の優れた凝固組織を有
する鋳片は、鋳型内に注湯された溶鋼に、電磁攪拌装置
を用いて攪拌推力を変化させて付与し、溶鋼が凝固する
際に形成される負偏析帯を縞状に分断しているので、鋳
片の等軸晶率を高めて中心偏析やセンターポロシティ等
の内部欠陥の発生を抑制すると同時に、鋳片の内部に発
生する負偏析帯を解消し易くし、この鋳片を加工して製
造した鋼製品の硬度や耐磨耗等を向上することができ
る。
【0021】特に、請求項2記載の優れた凝固組織を有
する鋳片は、電磁攪拌装置によって付与する攪拌推力の
変化により分断された負偏析帯の厚みが所定範囲を満た
しているので、鋳片の負偏析帯を加熱等の熱処理や圧延
加工時に容易に拡散でき、製品の品質をより向上するこ
とができる。
【0022】請求項3記載の優れた凝固組織を有する鋳
片は、電磁攪拌装置への通電を電磁推力が最大となる電
流値に対して50%以上の電流値で所定範囲の時間行っ
ているので、鋳片の負偏析帯を適正に分断でき、熱処理
や圧延加工時に安定して拡散し、この鋳片を加工した鋼
材に発生する負偏析帯を安定して解消でき、鋼材の品質
を向上することができる。
【0023】請求項4記載の優れた凝固組織を有する鋳
片は、溶鋼は、炭素を0.15重量%以上含む高炭素
鋼、又は厚鋼板に用いられるので、内部欠陥と負偏析帯
を同時に抑制する効果が大きく、この鋳片を加工した鋼
材の製品の価値を高めることができる。
【0024】請求項5記載の鋼材は、鋳型内に注湯され
た溶鋼に、電磁攪拌装置による推力を変化させて付与
し、溶鋼が凝固する際に形成される負偏析帯を縞状に分
断した鋳片を加熱してから圧延加工を施しているので、
内部欠陥が無く、負偏析帯を拡散させて断面における負
偏析帯を解消し、鋼製品の硬度の安定や耐磨耗等を向上
することができる。更に、製品の断面に生じていた模様
が無くなり外観を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る優れた凝固組織を
有する鋳片の鋳造に用いる連続鋳造装置の全体図であ
る。
【図2】同連続鋳造装置の部分拡大図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図2の鋳片のB−B矢視断面図である。
【符号の説明】
10:連続鋳造装置、11:鋳型、12:溶鋼、12
a:凝固殻、13:タンディッシュ、14:浸漬ノズ
ル、15:支持セグメント、16a:電磁攪拌装置、1
6b:電磁攪拌装置、17:鋳片、18:圧下セグメン
ト、19:ピンチロール、20:負偏析帯
フロントページの続き (72)発明者 内野 耕一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4E004 GA05 MB13 MC21 MD05 NC04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型内に注湯された溶鋼に、電磁攪拌装
    置を用いて攪拌推力を変化させて付与し、前記溶鋼が凝
    固する際に形成される負偏析帯を縞状に分断することを
    特徴とする優れた凝固組織を有する鋳片。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の優れた凝固組織を有する
    鋳片において、前記電磁攪拌装置によって付与する攪拌
    推力の変化により分断された負偏析帯の厚みは式(1)
    を満たすことを特徴とする優れた凝固組織を有する鋳
    片。 W≦2×Sb/Sr ・・・・・(1) 但し、Wは鋳片断面の負偏析帯の厚み(mm)、Sbは
    鋳片の断面積(mm2 )、Srは鋳片を加工した際の鋼
    材の断面積(mm2 )である。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の優れた凝固組織を
    有する鋳片において、前記電磁攪拌装置に、前記攪拌推
    力が最大となる電流値の50%以上の電流値で通電する
    時間が式(2)を満たしていることを特徴とする優れた
    凝固組織を有する鋳片。 t≦240×S×Sb/Sr/k2 ・・・・・(2) 但し、tは最大電流値を含め最大電流値の50%以上の
    電流値での通電時間(秒)、Sは電磁攪拌位置における
    凝固シェル厚み(mm)、Sbは鋳片の断面積(mm
    2 )、Srは鋳片を加工した際の鋼材の断面積(mm
    2 )、kは連続鋳造装置によって決まる凝固定数(mm
    /min0.5 )である。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の優
    れた凝固組織を有する鋳片において、前記溶鋼は、炭素
    を0.15重量%以上含む高炭素鋼、又は厚鋼板に用い
    られることを特徴とする優れた凝固組織を有する鋳片。
  5. 【請求項5】 鋳型内に注湯された溶鋼に、電磁攪拌装
    置による攪拌推力を変化させて付与し、前記溶鋼が凝固
    する際に形成される負偏析帯を縞状に分断して鋳片を鋳
    造し、該鋳片を加熱してから圧延加工を施していること
    を特徴とする鋼材。
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