JP4132653B2 - 鋼材 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鋼に電磁攪拌による攪拌推力を変化させながら付与して、鋳片に発生する内部欠陥及び内部の負偏析帯が抑制された優れた凝固組織を有する鋳片を加工した鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高炭素鋼や厚鋼板は、所定の組成に調整された溶鋼を連続鋳造により鋳込み、スラブやブルーム等の鋳片にし、この鋳片を加熱してから圧延加工を施して製造される。
しかし、連続鋳造された鋳片の凝固組織が粗大である場合、中心偏析やセンターポロシティ等が形成され易く、この鋳片を圧延加工した高炭素鋼や厚鋼板等の鋼製品にも中心偏析線やUST不良(ミクロポロシティ)等の欠陥が残存する。
この欠陥がある鋼製品を使用した際に、構造物の安全性に極めて悪影響を及ぼすため、鋼製品の断面組織検査や超音波探傷を行って欠陥の有無を検査し、欠陥の存在する鋼製品は、屑化しており、良製品歩留りの低下を招く。
この中心偏析やセンターポロシティ等の発生を抑制する方法として、連続鋳造する際に、電磁攪拌装置を用いて鋳型内の溶鋼及びストランド内の未凝固の溶鋼に推力を付与して攪拌することにより、鋳片の凝固組織を等軸晶化することが行われている。
しかし、電磁攪拌装置を適用した部位には、攪拌によって生じる攪拌流が凝固殻全面のデンドライト間にミクロ偏析した溶質元素を洗浄するため、無攪拌部と比べて溶質元素が低下している負偏析帯(ホワイトバンド)が生じる。
この負偏析帯は、加工した鋼製品に残存し、鋼製品の硬度や耐磨耗が低下し、品質を阻害する。
この対策として、特開昭53−45627号公報、特開昭54−136534号公報に記載されているように、鋳型、あるいは鋳型の近傍に電磁攪拌装置を設けて磁束密度や攪拌位置、あるいは推力の方向を異ならせて、凝固過程の溶鋼を攪拌することにより、未凝固溶鋼が凝固する際に負偏析帯が発生するのを防止している。
更に、特開昭58−157558号公報に記載されているように、鋳型の長辺の幅方向に複数の電磁攪拌装置を配置し、鋳型を挟んで対向する電磁攪拌装置に方向の異なる推力を付与することにより、負偏析帯の形成を抑制しながら中心偏析やセンターポロシティ等を防止することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭53−45627号公報、特開昭54−136534号公報に記載された方法では、鋳型内部の溶鋼が連続して攪拌されるため、攪拌によって生じる攪拌流によって、溶鋼が凝固した凝固殻と未凝固溶鋼の界面が洗浄されるのを十分に抑制することができず、凝固した鋳片の内部に負偏析帯が発生する。
更に、特開昭58−157558号公報に記載された方法では、異なる方向に付与した推力により発生した溶鋼の流れが干渉して淀みを生じ、この淀み部位では、負偏析帯の形成を抑制できる。しかし、この溶鋼の淀む範囲は、鋳片の幅に比べて極めて狭いため、鋳型内の広範囲において、負偏析帯の形成を防止することが難しい。
このように、電磁攪拌に伴う攪拌流によって、溶質濃度(成分濃度)の低い負偏析帯が発生し、鋼製品の硬度や耐磨耗が低下したり、鋼製品の断面に縞模様が生じて品質の価値が悪くなる等の問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、溶鋼に電磁攪拌による攪拌流を付与して、凝固させた鋳片の等軸晶率を高めて中心偏析やセンターポロシティ等の内部欠陥の発生を抑制し、更に鋳片の内部の負偏析帯の発生を防止して、鋼製品の硬度や耐磨耗等を向上することができる優れた凝固組織を有する鋳片を加工した鋼材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る優れた凝固組織を有する鋳片は、鋳型内に注湯された炭素を0.15質量%以上含む溶鋼の連続鋳造において、電磁攪拌装置を用いて攪拌推力を変化させて付与し、前記溶鋼が凝固する際に形成される負偏析帯を厚さ2.6〜8.1mmの縞状に分断した該鋳片を、1150〜1350℃に加熱後、圧延加工して軌条あるいは厚鋼板とすることに用いる。
この鋳片は、電磁攪拌装置によって攪拌推力を付与して溶鋼を凝固させ、等軸晶率を高くしているので、鋳片の内部に発生する中心偏析やセンターポロシティ等の内部欠陥の発生を防止することができ、更に、電磁攪拌装置による攪拌推力を変化させることにより、未凝固溶鋼が冷却されて成長する凝固殻の成長方向に形成される負偏析帯を縞状に分断することができる。
しかも、分断して薄い負偏析帯にすることにより、熱処理等の加熱や圧延加工を行った際に、負偏析帯に隣接する正常部から負偏析帯に向かう溶質成分の拡散を容易にすることができ、負偏析帯を解消することができる。
【0006】
ここで、前記電磁攪拌装置によって付与する攪拌推力の変化により分断された負偏析帯の厚みは式(1)を満たすと良い。
W≦2×Sb/Sr ・・・・・(1)
但し、Wは鋳片断面の負偏析帯の厚み(mm)、Sbは鋳片の断面積(mm2 )、Srは鋳片を加工した際の鋼材の断面積(mm2 )である。
これにより、鋳片の内部に形成される負偏析帯の厚みを所定の範囲にしているので、この鋳片を加熱等の熱処理及び圧延加工する際、溶質成分であるC、Si、Mn等を拡散し易くし、鋳片を加工した鋼製品の断面における負偏析帯を解消することができる。
【0007】
更に、前記電磁攪拌装置に、前記攪拌推力が最大となる電流値の50%以上の電流値で通電する時間が式(2)を満たすようにすることが好ましい。
t≦240×S×Sb/Sr/k2 ・・・・・(2)
但し、tは、最大電流値を含め最大電流値の50%以上の電流値での通電時間(秒)、Sは、電磁攪拌位置における凝固シェル厚み(mm)、Sbは鋳片の断面積(mm2 )、Srは鋳片を加工した際の鋼材の断面積(mm2 )、kは連続鋳造装置によって決まる凝固定数(mm/min0.5 )である。
これにより、凝固殻の内側に形成される負偏析帯を縞状に分断し、しかも、負偏析帯の厚みを適正にすることができ、加熱等の熱処理や圧延加工中に負偏析帯を容易に解消することができる。
【0008】
また、前記溶鋼は、炭素を0.15質量%以上含む高炭素鋼、又は厚鋼板に用いているので、負偏析帯の発生し易い炭素を0.15質量%以上含む高炭素鋼や厚みが5mm以上の厚鋼板用の鋳片に対し、形成された負偏析帯を加熱や圧延加工時に解消し、鋳片を加工した鋼製品の硬度や耐磨耗、疲労強度等を向上することができる。
しかも、鋳片内部の等軸晶率を高め、鋳片内部に発生する中心偏析やセンターポロシティ等の内部欠陥を防止することができる。
【0009】
前記目的に沿う本発明に係る鋼材は、鋳型内に注湯された炭素を0.15質量%以上含む溶鋼の連続鋳造において、電磁攪拌装置による攪拌推力を変化させて付与し、前記溶鋼が凝固する際に形成される負偏析帯を厚さ2.6〜8.1mmの縞状に分断して鋳片を鋳造し、該鋳片を1150〜1350℃に加熱してから圧延加工を施して軌条あるいは厚鋼板に用いる。
鋳片内部の等軸晶率を高めて中心偏析やセンターポロシティ等の内部欠陥を無くしているので、鋼材の内部欠陥を防止することができる。
しかも、成長した凝固殻の内側に形成される負偏析帯を縞状に分断しているので、鋳片を加熱及び圧延した際に、溶質成分が負偏析帯に隣接した正常部から負偏析帯に向かって拡散し易くなり、断面における負偏析帯を解消した鋼製品を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の一実施の形態に係る優れた凝固組織を有する鋳片の鋳造に用いる連続鋳造装置の全体図、図2は同連続鋳造装置の部分拡大図、図3は図2のA−A矢視断面図、図4は図2の鋳片のB−B矢視断面図である。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る優れた凝固組織を有する鋳片の鋳造に用いる連続鋳造装置10は、鋳型11と、鋳型11に注湯するために溶鋼12を貯湯するタンディッシュ13と、タンディッシュ13の底部に取付けた浸漬ノズル14を有している。
更に、鋳型11の下方には、図示しない冷却水ノズルを付設した支持セグメント15を設けており、この支持セグメント15の上流側には凝固殻12aが成長しつつある溶鋼12を攪拌する電磁攪拌装置16a、16bを配置している。
また、支持セグメント15の下流側には、溶鋼12が殆ど凝固した鋳片17を軽圧下する圧下セグメント18と、鋳片17を所定の速度で引き抜くピンチロール19を備えている。
【0011】
次に、本発明の一実施の形態に係る優れた凝固組織を有する鋳片について説明する。
タンディッシュ13に貯湯された炭素0.15質量%以上を含む高炭素鋼、又は厚鋼板用の溶鋼12を浸漬ノズル14から連続して鋳型11に注湯し、溶鋼12を鋳型11によって一次冷却し、更に、支持セグメント15の冷却水ノズルからの散水によって冷却し、その周囲に凝固殻12aを形成させる。
凝固殻12aが50〜70mmの厚みになる位置に相当する支持セグメント15の部分に、鋳片17を挟んで一対の電磁攪拌装置16a、16bを配置し、この電磁攪拌装置16a、16bに図示しない電源から送電して電流値を変えて溶鋼12に攪拌推力を付与する。
電磁攪拌装置16a、16bへの通電は、溶鋼12に付与する攪拌推力が最高となる最大電流値をそれぞれ1600アンペアとし、この最大電流値を含む最大電流値の50%以上の電流値、すなわち800〜1600アンペアで下式を満足する通電時間(t)行った。
t≦240×S×Sb/Sr/k2 ・・・・・(2)
但し、tは最大電流値を含め最大電流値の50%以上の電流値での通電時間(秒)、Sは電磁攪拌位置における凝固シェル厚み(mm)、Sbは鋳片の断面積(mm2)、Srは鋳片を加工した際の鋼材の断面積(mm2)、kは連続鋳造装置によって決まる凝固定数(mm/min0.5)である。
なお、前記式は、実験により求めた値であり、t時間に形成される凝固シェル厚みSは、一般に使用されている溶鋼の凝固係数である240×S/k2と経過時間の積によって不変的に決まる。更に、負偏析帯は、圧延加工中あるいは圧延加工後の負偏析帯の厚みが薄くなる程に拡散し易くなるので、圧延加工の度合いであるSb/Srを用いる。
その結果、電磁攪拌装置16a、16bへの通電(t時間)によって生成した攪拌推力が、図3に矢印で示す溶鋼12の流れ(攪拌流)を発生させ、負偏析帯が形成される。
その後、電磁攪拌装置16a、16bに、最大電流値の50%未満の電流値となるように通電するか、あるいは通電を停止して、攪拌の推力の極めて弱いか、又は攪拌を停止した時間を10〜20秒間にして厚み0.5〜53mmの負偏析が存在しない凝固殻を形成し、この強攪拌と弱攪拌、あるいは強攪拌と攪拌停止等を繰り返して攪拌推力を変化させながら連続鋳造を行った。
そして、溶鋼12が凝固する際に形成される負偏析帯を攪拌推力の変化によって分断し、図4に示すように、鋳片17の断面に表れる縞状に分断された負偏析帯(図中斜線部)20の厚みWが下式を満たすようにした。
W≦2×Sb/Sr ・・・・・(1)
但し、Wは鋳片断面の負偏析帯の厚み(mm)である。
なお、鋳片断面に発生する負偏析帯の厚みWは、圧延加工中あるいは圧延加工後の圧延加工の度合いによって変化するので、Sb/Srを用い、このSb/Srの2倍以内とする必要がある。
負偏析帯の厚みWが、2×Sb/Srを超えると、圧延加工中あるいは圧延加工後の負偏析帯が厚くなり過ぎて、拡散することができない。
【0012】
このように、鋳片断面に発生する負偏析帯20の厚みWを所定の範囲にすることで、鋳片17の加熱等の際に、負偏析帯に隣接する正常部から溶質濃度の低い負偏析帯に向かって、C、Si、Mn等の溶質成分を容易に拡散させ、断面における負偏析帯を実用上問題とならないように解消することができる。
更に、電磁攪拌によって、鋳片17の凝固殻12aの表面清浄化と、凝固組織の等軸晶化を図ることができ、中心偏析やセンターポロシティ等の内部欠陥を防止できる。
そして、支持セグメント15を通過した鋳片17は、圧下セグメント18により、内部に残存した溶鋼12が凝固する際の収縮量に見合う量に相当する1〜10mmの押し込み量で、中心近傍が圧下され、引け巣(空洞)等が圧着される。
このようにして鋳造された鋳片17は、図示しない切断装置で所定の長さに切断され、圧延工場の熱処理の一例である加熱炉に装入される。
【0013】
次に、本発明の一実施の形態に係る優れた凝固組織を有する鋳片を加工した鋼材について説明する。
前記鋳片17は、加熱炉に装入して1150〜1350℃に加熱される。
鋳片断面に発生する負偏析帯の厚みWを例えば2.6〜8.1mmの範囲にしているので、負偏析帯に隣接する正常部からC、Si、Mn等の溶質成分が拡散し、断面における負偏析帯を実用上問題とならないように解消することができる。更に、圧延加工を行う際にもC、Si、Mn等の溶質成分が正常部から負偏析帯に向かって拡散するので、断面における負偏析帯を解消することができる。
その結果、圧延加工された炭素0.15質量%以上を含む高炭素鋼、又は厚鋼板(鋼材)は、硬度や耐磨耗性、疲労強度等が向上し、鋼材断面の成分の相違による濃淡(負偏析帯)が無くなり、外見が良く、総合的な製品の品質を向上することができる。
【0014】
【実施例】
次に、本発明に係る優れた凝固組織を有する鋳片及びそれを加工した鋼材の実施例について説明する。
タンデッシュに貯湯された表1に示す組成の軌条用の溶鋼を浸漬ノズルから、内寸で、厚み300mm、幅450mmの鋳型に連続して注湯し、鋳型及び支持セグメントに付設した冷却水ノズルからの散水による冷却を行って、鋳造速度1.0m/分で連続鋳造を行い、同時に、鋳型の上端から下方5mで、凝固殻の厚みが60mmとなる位置に、鋳片を挟んで一対の電磁攪拌装置を配置して電磁攪拌条件を変化させて鋳造を行った。
【0015】
【表1】
【0016】
そして、鋳片の一部を切り出し、鋳片の断面をピクリン酸でエッチングして鋳片の等軸晶率、負偏析帯幅を調査した。
更に、この鋳片を加熱炉に装入し、1250℃で1時間の加熱を行ってから圧延加工を施して軌条を製造した。
そして、軌条の一部を切り出し、その断面をピクリン酸でエッチングして負偏析帯幅、表層から内部に向かってビッカース硬度を測定して硬度の低下の有無、内部欠陥の有無、これ等を含めた総合評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1及び実施例2は、電磁攪拌の条件を溶鋼の攪拌と停止(OFF)を繰り返し行った場合であり、それぞれ鋳片の等軸晶率を56%、52%、負偏析帯幅を7.6mm、2.6mmにでき、これを加工した軌条についても、それぞれ負偏析帯幅が拡散により無くなっており、硬度の低下が無く(○)、内部欠陥も発生しておらず(○)、総合評価として優れた結果(◎)が得られた。
実施例3及び実施例4は、電磁攪拌の条件として、溶鋼の強い攪拌と、強い攪拌の際に流した電流値の50%未満の電流値での攪拌とを繰り返し行った場合であり、それぞれ鋳片の等軸晶率が59%、56%、負偏析帯幅を7.9mm、7.7mmにできた。
これを加工した軌条についても、実施例3は負偏析帯幅が0.1mm以下となり、硬度の低下がわずか(△)であり、内部欠陥も発生しておらず(○)、総合評価として良い結果(○)が得られ、実施例4は負偏析帯幅が拡散により無くなっており、硬度の低下が無く(○)、内部欠陥も発生しておらず(○)、総合評価として優れた結果(◎)が得られた。
実施例5は、電磁攪拌の条件を溶鋼の攪拌と停止(OFF)を繰り返し行い、溶鋼の攪拌時間を長くした場合であり、鋳片の等軸晶率を58%、負偏析帯幅を8.1mmにでき、これを加工した軌条についても、それぞれ負偏析帯幅を0.4mmにでき、硬度の低下はがわずか(△)であり、内部欠陥も発生しておらず(○)、総合評価として良いた結果(○)が得られた。
【0017】
【表2】
【0018】
これに対し、比較例1は、電磁攪拌を行わない場合であり、鋳片の等軸晶率が10%、負偏析帯幅が無く、これを加工した軌条についても、負偏析帯幅及び硬度の低下は無かったが、内部欠陥が発生(×)しており、総合評価として悪い結果(×)になった。
比較例2は、電磁攪拌条件として、最大の推力で連続攪拌した場合であり、鋳片の等軸晶率が60%、負偏析帯幅が16.0mmと厚く、これを加工した軌条についても、負偏析帯幅が4.1mmとなり、硬度の低下が大きく(×)、内部欠陥の発生は無かったが総合評価として悪い結果(×)になった。
なお、鋼製品として厚み15mmの厚鋼板用の溶鋼を鋳型に注湯し、前述した軌条と同じ鋳型の上端から下方5mで、凝固殻の厚みが60mmとなる位置に、鋳片を挟んで一対の電磁攪拌装置を配置して強攪拌と攪拌停止を繰り返しながら鋳造した鋳片及びこの鋳片を1250℃で1時間の加熱を行ってから圧延加工を施した厚鋼板の断面を調査した。その結果、負偏析帯幅が拡散により無くなっており、硬度の低下や内部欠陥も無く優れた品質の厚板が製造できた。
【0019】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、電磁攪拌装置を設置する場所として、支持セグメントの他に、鋳型に配置したり、鋳型と支持セグメントに取付けて多段で攪拌を行うことができる。更に、鋳片を圧下セグメントによる軽圧下の他に、未凝固部を鍛圧して圧着することもできる。
【0020】
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の鋼材は、鋳型内に注湯された溶鋼に、電磁攪拌装置による推力を変化させて付与し、溶鋼が凝固する際に形成される負偏析帯を縞状に分断した鋳片を加熱してから圧延加工を施しているので、内部欠陥が無く、負偏析帯を拡散させて断面における負偏析帯を解消し、鋼製品の硬度の安定や耐磨耗等を向上することができる。更に、製品の断面に生じていた模様が無くなり外観を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る優れた凝固組織を有する鋳片の鋳造に用いる連続鋳造装置の全体図である。
【図2】同連続鋳造装置の部分拡大図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図2の鋳片のB−B矢視断面図である。
【符号の説明】
10:連続鋳造装置、11:鋳型、12:溶鋼、12a:凝固殻、13:タンディッシュ、14:浸漬ノズル、15:支持セグメント、16a:電磁攪拌装置、16b:電磁攪拌装置、17:鋳片、18:圧下セグメント、19:ピンチロール、20:負偏析帯
Claims (1)
- 鋳型内に注湯された炭素を0.15質量%以上含む溶鋼の連続鋳造において、電磁攪拌装置による攪拌推力を変化させて付与し、前記溶鋼が凝固する際に形成される負偏析帯を厚さ2.6〜8.1mmの縞状に分断して鋳片を鋳造し、該鋳片を1150〜1350℃に加熱してから圧延加工を施して軌条あるいは厚鋼板に用いることを特徴とする鋼材。
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