JP2020146735A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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さらに、炭素濃度が0.4wt%以上の鋼では、前述の電磁攪拌や打撃付与といった外力を与えないと中心組織がほとんど等軸晶にならないといった報告がされている。
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る鋼の鋳造方法について説明する。図1には、本実施形態において用いられる連続鋳造機1の一例を示す断面模式図を示す。連続鋳造機1は、溶鋼2を凝固させて所定の断面形状の鋳片3を鋳造する設備である。連続鋳造機1は、図1に示すように、モールド11と、複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13を含む複数のロールとを備える。
複数のロールは、モールド11の鋳造方向の下流側に、鋳造方向に並んで複数設けられる。また、複数のロールは、鋳片3を挟むように、鋳片3の厚さ方向(図1の断面視において鋳造方向に直交する方向)に対向して2列(湾曲した鋳造方向の内側の列と外側の列)設けられる。各列のロールの数は同じであり、異なる列同士で厚さ方向に対向して設けられる一対のロールをロール組という。以下では、各ロール組におけるロール同士の間隔(離間間隔)をロールギャップという。図1に示す例では、鋳造方向下流側のロールである複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13のみを示しているが、連続鋳造機1には、モールド11の下端近くから複数のロール(不図示)が設けられるものとなる。複数のロールは、凝固シェル21を保持し、鋳片3を引き抜くためのものであり、鋳造方向下流側の一部のロールが回転駆動するように構成される。さらに、複数のロール組は、鋳造方向に沿って設けられた複数のセグメントにそれぞれ複数ずつ設けられる。セグメントは、複数のロール組の鋳造方向内側の複数のロールを厚み方向に移動可能に構成されることで、ロールギャップを調整することができる。図1に示す例では、第1軽圧下ロール12と第2軽圧下ロール13とがそれぞれ別のセグメントに設けられる。そして、目的の圧下量に応じて、湾曲した鋳造方向の内側(図1における上側)の複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13を調整することにより、鋳片3が圧下される。
また、複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロールにおいて、ロール径及びロール間隔は、ロール間の鋳片3のバルジング量(静鉄圧によって鋳片3が膨らむ量)、バルジングに起因する内部割れの原因とならないこと、またバルジングによって鋳片中心部の残液の移動を誘発することの無い様に設定される。
そして、連続鋳造機1における複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13の設置位置(又は、設定位置)は、以下のように定められる。はじめに、事前に連続鋳造機1にて連続鋳造を行い、凝固シェル21に熱電対を設ける。次いで、熱電対を用いて、鋳造中の鋳造方向の位置の違いによる凝固シェル21の表面温度の温度変化を取得することで、鋳造方向に対する凝固シェル21の表面温度のプロファイルを取得する。さらに、取得した凝固シェル21の表面温度のプロファイルと伝熱計算式とを用いて、溶鋼2の中心点の鋳造方向に沿った温度のプロファイルを算出する。その後、中心点の温度のプロファイルと、予め算出された溶鋼温度と固相率との関係式と、を用いて、溶鋼2の鋳造方向に沿った中心固相率fsのプロファイルを算出する。このようにして求められた中心固相率fsのプロファイルから、上記の中心固相率fsの範囲を満足するように、複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13の設置位置が定められる。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
また、上記実施形態では、鋳造される溶鋼2の炭素濃度が0.4wt%以上であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明は、PやS、Mn等の溶質元素の濃度が高く中心偏析が問題となる鋼種であれば、炭素濃度が0.4wt%未満の鋼種に適用してもよい。
(1)本発明の一態様に係る鋼の連続鋳造方法は、炭素濃度が0.4wt%以上の高炭素鋼を鋳造する、鋼の連続鋳造法であって、鋳片3の中心固相率が0.3となる鋳造位置において、凝固界面における液相側の温度勾配G(℃/min)と凝固速度V(mm/min)とが(1)式の関係を満たす条件で鋳造を行い、中心固相率が0超0.3未満となる鋳造位置において、複数の第1軽圧下ロール12で鋳片を厚み方向に圧下し、中心固相率が0.3以上0.7以下となる鋳造位置において、複数の第2軽圧下ロール13で鋳片を厚み方向に圧下する。
上記(2)の構成によれば、複数の第1軽圧下ロール12による圧下では、デンドライトの破壊効果を十分に得ることができ、鋳片3の内部割れの発生も防止することができる。また、第2軽圧下ロール13による圧下では、鋳片3の凝固収縮を圧下により十分に補償することができ、さらに圧下を凝固収縮以上しないことで偏析の圧下を抑制することができる。
実施例では、中心部の凝固組織を確認するため、以下の方法で鋳片3の調査を行った。まず、鋳片の中心部分を、厚み50mm、幅410mm、長さ80mmの大きさに切り出すことで、サンプルを採取した。次いで、採取したサンプルの鋳造方向に平行な断面を、飽和ピクリン酸を用いてエッチングすることで、マクロ組織を現出させた。さらに、現出した組織を目視観察することで、凝固組織の種類を確認した。凝固組織の確認では、サンプルの中心組織が柱状晶であるか等軸晶であるかの確認と、内部割れの有無の確認とを行った。その後、エッチングを施した鋳片の厚み中央部で観察される偏析粒径が5mm程度のマクロ偏析及び偏析粒径が1mm程度のセミマクロ偏析粒を写真撮影する。次いで、撮影した写真を画像解析して、偏析粒の平均面積を測定し、この平均面積から円相当の平均粒径(平均偏析粒径)を算出することで偏析粒の大きさを評価した。
なお、実施例の各条件において、中心固相率が0.3≦fs≦0.7の範囲における圧下速度は、0.2mm/minとした。
図2に示すように、G/√Vを0.27とした条件では、圧下速度が0.5mm/min以上1.5mm/min以下の範囲で偏析粒径が小さく、中心偏析の改善効果が得られていることが見て取れる。一方、圧下速度が0.5mm/min未満では、凝固収縮を補償できていないため偏析改善効果が得られず、平均偏析粒径が大きくなることが確認できた。また、1.5mm/min超では、圧下過多による偏析悪化(逆V偏析)によって、平均偏析粒径が大きくなることが確認できた。これらの結果から、上記実施形態に係る鋼の連続鋳造方法によれば、鋳片の溶質元素の中心偏析をさらに低減できることが確認できた。
11 モールド
12 第1軽圧下ロール
13 第2軽圧下ロール
2 溶鋼
21 凝固シェル
3 鋳片
Claims (2)
- 前記複数の第1軽圧下ロールによる圧下では、前記鋳片の圧下速度を、0.7mm/min以上1.8mm/min以下とし、
前記複数の第2軽圧下ロールによる圧下では、前記鋳片の圧下速度を、0.5mm/min以上1.5mm/min以下とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59140057U (ja) * | 1983-03-04 | 1984-09-19 | 株式会社神戸製鋼所 | 連続鋳造設備 |
JPH0390259A (ja) * | 1989-08-31 | 1991-04-16 | Nippon Steel Corp | 連続鋳造方法 |
JPH06126405A (ja) * | 1992-10-16 | 1994-05-10 | Nippon Steel Corp | 連鋳ストランドの軽圧下方法 |
JP2002162172A (ja) * | 2000-11-28 | 2002-06-07 | Nippon Steel Corp | 保温蓋 |
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2019
- 2019-03-14 JP JP2019047621A patent/JP7031628B2/ja active Active
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