JP2020146735A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな設備導入を行うことなく、安価な方法で鋳片の中心組織を等軸晶化することができる、鋼の連続鋳造方法を提供すること。【解決手段】炭素濃度が0.4wt%以上の高炭素鋼を鋳造する、鋼の連続鋳造法であって、鋳片3の中心固相率が0.3となる鋳造位置において、凝固界面における液相側の温度勾配G(℃/min)と凝固速度V(mm/min)とがG/√V≦0.27の関係を満たす条件で鋳造を行い、中心固相率が0超0.3未満となる鋳造位置において、複数の第1軽圧下ロール12で鋳片を厚み方向に圧下し、中心固相率が0.3以上0.7以下となる鋳造位置において、複数の第2軽圧下ロール13で鋳片を厚み方向に圧下する。【選択図】図1

Description

本発明は、鋳片の中心偏析の低減に有効な鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造において、鋳型に注入された溶鋼は、凝固する過程でPやS、Mn等の溶質元素を未凝固の溶鋼中に排出する。これらの溶質元素は、残された溶鋼中に濃化していわゆる偏析が生じる原因となる。この偏析の程度は、最終凝固する連続鋳造鋳片(以降、「鋳片」とも称する。)の中心部で最大となる。また、溶鋼は、凝固する過程で数%の体積収縮を起こす。この体積収縮は、鋳片の鋳造方向に直交する断面(以下、「横断面」とも称する。)において、凝固末期部の近傍の等軸晶を多量に含有する固/液共存領域に、負圧の空隙部を発生させる。その結果、溶質元素が濃化した溶鋼(以降、「濃化溶鋼」とも称する。)は、固/液共存領域における狭い通路を潜り抜け、負圧空隙部に吸引されることで、鋳片の中心部に中心偏析を形成する。
中心偏析は、製品品質に悪影響を及ぼす。そのため、中心偏析を低減するために各種技術が提案され、実施されている。特許文献1には、タンディッシュ内の溶鋼過熱度を50℃以下にして鋳型に注入し、ストランド内の溶鋼に電磁気力を作用させて攪拌し、鋳片中心部の凝固組織を微細な等軸晶にすることが開示されている。さらに、ストランド横断面中心部の固相率が10%から80%の範囲において、未凝固部を5mmから50mm軽圧下して凝固収縮を補償することで、凝固末期の濃化溶鋼の流動を抑制することが開示されている。
また、特許文献2には、鋳片に横から打撃を付与し、凝固界面のデンドライト先端にエネルギーを与えることで、デンドライトを破壊することが開示されている。特許文献2の方法によれば、デンドライトが破壊されることで、凝固末期部の近傍が等軸晶化し、中心偏析が改善される。
特開平6−126405号公報 国際公開2009/019969号公報
しかしながら、特許文献1に開示された電磁気力による攪拌と軽圧下とを併用する技術では、電磁気力の攪拌によって鋳片中心部の凝固組織が微細な等軸晶となることで、鋳片中心部の流動抵抗が増大する。これにより、鋳片中心部への濃化溶鋼の流動及び集積が軽減する。さらに、凝固末期において軽圧下を施すことで、鋳片の凝固収縮が補償され、濃化溶鋼の流動駆動力が低減する。そして、濃化溶鋼の流動が抑制されることにより、中心偏析の高い低減効果が期待できる。しかし、特許文献1に開示された技術では、溶鋼の攪拌のために電磁気力を付与しており、膨大な電力消費と維持コストがかかるといった問題がある。
また、特許文献2に開示された技術は、機械的エネルギーによってデンドライトをせん断し、等軸晶化することで、偏析を改善する方法である。しかし、打撃エネルギーは、設備にも影響を与えるため、維持コストが膨大となる問題がある。
さらに、炭素濃度が0.4wt%以上の鋼では、前述の電磁攪拌や打撃付与といった外力を与えないと中心組織がほとんど等軸晶にならないといった報告がされている。
そこで、本発明は、従来技術が抱えるこれらの問題点を解決するものであって、新たな設備導入を行うことなく、安価な方法で鋳片の中心組織を等軸晶化することができる、鋼の連続鋳造方法を提案することを目的としている。
本発明の一態様によれば、炭素濃度が0.4wt%以上の高炭素鋼を鋳造する、鋼の連続鋳造法であって、鋳片の中心固相率が0.3となる鋳造位置において、凝固界面における液相側の温度勾配G(℃/min)と凝固速度V(mm/min)とが(1)式の関係を満たす条件で鋳造を行い、上記中心固相率が0超0.3未満となる鋳造位置において、複数の第1軽圧下ロールで上記鋳片を厚み方向に圧下し、上記中心固相率が0.3以上0.7以下となる鋳造位置において、複数の第2軽圧下ロールで上記鋳片を厚み方向に圧下する、鋼の連続鋳造方法が提供される。
Figure 2020146735
本発明の一態様によれば、新たな設備導入を行うことなく、安価な方法で鋳片の中心組織を等軸晶化することができる、鋼の連続鋳造方法が提供される。
本発明の一実施形態における連続鋳造機を示す断面模式図である。 等軸晶組織における圧下速度と平均偏析粒径との関係を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<鋼の連続鋳造方法>
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る鋼の鋳造方法について説明する。図1には、本実施形態において用いられる連続鋳造機1の一例を示す断面模式図を示す。連続鋳造機1は、溶鋼2を凝固させて所定の断面形状の鋳片3を鋳造する設備である。連続鋳造機1は、図1に示すように、モールド11と、複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13を含む複数のロールとを備える。
モールド11は、溶鋼2を冷却する鋳型である。モールド11は、鋳造される鋳片の横断面の形状に応じて、図1の破線で示す鋳片3の引き抜き方向である鋳造方向に直交する断面形状が方形となるように設けられる。モールド11内に注入された溶鋼2は、冷却されることで、モールド11との界面に凝固シェル21を形成する。
複数のロールは、モールド11の鋳造方向の下流側に、鋳造方向に並んで複数設けられる。また、複数のロールは、鋳片3を挟むように、鋳片3の厚さ方向(図1の断面視において鋳造方向に直交する方向)に対向して2列(湾曲した鋳造方向の内側の列と外側の列)設けられる。各列のロールの数は同じであり、異なる列同士で厚さ方向に対向して設けられる一対のロールをロール組という。以下では、各ロール組におけるロール同士の間隔(離間間隔)をロールギャップという。図1に示す例では、鋳造方向下流側のロールである複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13のみを示しているが、連続鋳造機1には、モールド11の下端近くから複数のロール(不図示)が設けられるものとなる。複数のロールは、凝固シェル21を保持し、鋳片3を引き抜くためのものであり、鋳造方向下流側の一部のロールが回転駆動するように構成される。さらに、複数のロール組は、鋳造方向に沿って設けられた複数のセグメントにそれぞれ複数ずつ設けられる。セグメントは、複数のロール組の鋳造方向内側の複数のロールを厚み方向に移動可能に構成されることで、ロールギャップを調整することができる。図1に示す例では、第1軽圧下ロール12と第2軽圧下ロール13とがそれぞれ別のセグメントに設けられる。そして、目的の圧下量に応じて、湾曲した鋳造方向の内側(図1における上側)の複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13を調整することにより、鋳片3が圧下される。
複数の第1軽圧下ロール12は、中心固相率fsが0超0.3未満となる鋳造位置(以降、「第1区間」とも称する。)のセグメントに設けられる。鋳造位置は、連続鋳造機1の機内の、鋳片3が移動する鋳造方向に対する位置である。複数の第1軽圧下ロール12は、鋳片組織の微細化を目的として圧下をするものであり、中心固相率fsが0超0.3未満となる鋳片3に対して、厚み方向に圧下を行う。複数の第1軽圧下ロール12による圧下では、各ロールのロールギャップや鋳造速度が調整されることで、圧下速度が調整される。圧下速度は、複数の第1軽圧下ロール12の圧下勾配(mm/m)に鋳造速度(m/min)を乗算することで得られる値であり、複数の第1軽圧下ロール12を通過する鋳片3が時間あたりに圧下される量を示すものである。なお、圧下勾配は、複数の第1軽圧下ロール12のロール対毎のロールギャップと、鋳造方向での設置位置との関係から得られ、複数の第1軽圧下ロール12が設けられた範囲での鋳造位置に対するロールギャップの減少量を示す。第1区間における圧下では、デンドライトアームを圧壊することが目的であることから、少なくとも第1区間の鋳造方向長さの20%以上において圧下することが望ましい。
複数の第2軽圧下ロール13は、中心固相率fsが0.3以上0.7以下となる鋳造位置(以降、「第2区間」とも称する。)のセグメントに設けられ。複数の第2軽圧下ロール13は、鋳片の凝固収縮を補償することを目的として圧下をするものであり、中心固相率fsが0.3以上0.7以下となる鋳片3に対して、厚み方向に圧下を行う。複数の第2軽圧下ロール113による圧下では、複数の第1軽圧下ロール12と同様に、各ロールのロールギャップや鋳造速度が調整されることで、圧下速度が調整される。第2区間における圧下では、凝固収縮に伴う残液の移動を防止するのが目的であることから、区間内では常に軽圧下を行うことが望ましく、少なくとも第2区間の鋳造方向長さの50%以上において圧下することが望ましい。なお、複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13による圧下は、後述する圧下速度で行われる。
また、複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロールにおいて、ロール径及びロール間隔は、ロール間の鋳片3のバルジング量(静鉄圧によって鋳片3が膨らむ量)、バルジングに起因する内部割れの原因とならないこと、またバルジングによって鋳片中心部の残液の移動を誘発することの無い様に設定される。
中心固相率fsは、鋳造方向に直交する断面である横断面における、鋳片3の中心点の固相率をいう。中心固相率fsは、溶鋼2の中心点の溶鋼温度から算出できる。すなわち、固相率が0の溶鋼温度と固相率が1.0の溶鋼温度との固相率差及び温度差についての対応関係から、溶鋼温度と固相率との関係式を算出できる。そして、溶鋼2の中心点の溶鋼温度が算出できれば、当該溶鋼温度に対応した固相率をこの関係式を用いて算出することができる。
溶鋼2の中心点の温度は、凝固シェル21の表面温度と、伝熱計算式とを用いて算出できる。伝熱計算式は、例えば、社団法人日本鉄鋼協会、「連続鋼片加熱炉における伝熱実験と計算方法」、社団法人日本鉄鋼協会、昭和46年5月10日発行、に記載されたものを用いることができる。
そして、連続鋳造機1における複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13の設置位置(又は、設定位置)は、以下のように定められる。はじめに、事前に連続鋳造機1にて連続鋳造を行い、凝固シェル21に熱電対を設ける。次いで、熱電対を用いて、鋳造中の鋳造方向の位置の違いによる凝固シェル21の表面温度の温度変化を取得することで、鋳造方向に対する凝固シェル21の表面温度のプロファイルを取得する。さらに、取得した凝固シェル21の表面温度のプロファイルと伝熱計算式とを用いて、溶鋼2の中心点の鋳造方向に沿った温度のプロファイルを算出する。その後、中心点の温度のプロファイルと、予め算出された溶鋼温度と固相率との関係式と、を用いて、溶鋼2の鋳造方向に沿った中心固相率fsのプロファイルを算出する。このようにして求められた中心固相率fsのプロファイルから、上記の中心固相率fsの範囲を満足するように、複数の第1軽圧下ロール12及び複数の第2軽圧下ロール13の設置位置が定められる。
また、連続鋳造機1には、水を表面に吹き付けることで鋳片3を冷却する冷却設備(不図示)が、複数のロールが設けられた領域に設けられる。この冷却設備は、水の噴射量を制御し冷却速度を制御することで、未凝固の鋳片3の内部の溶鋼2の温度勾配と凝固速度とを制御する。さらに、冷却設備は、後述する温度勾配及び凝固速度で、鋳片3の冷却を制御する。
本実施形態に係る鋼の連続鋳造方法では、連続鋳造機1を用いて溶鋼2を連続鋳造することで、ブルーム形状の鋳片3を鋳造する。溶鋼2は、電磁攪拌や打撃等の外力を使用しないと、等軸結晶が出ないと報告されている0.4wt%以上の炭素濃度の高炭素鋼である。本実施形態では、まず、精錬処理された溶鋼2をモールド11に注入し、溶鋼2を冷却することで凝固シェル21が形成される。そして、凝固シェル21が鋳造方向に引き抜かれながらさらに冷却されることで、内部まで凝固した鋳片3が鋳造される。
この際、内部に未凝固部が残存している鋳片3について、中心固相率fsが0超0.3未満となる鋳造位置である第1区間では、複数の第1軽圧下ロール12によって鋳片3の圧下が行われる(第1軽圧下工程)。第1軽圧下工程では、複数の第1軽圧下ロール12によって、凝固収縮以上の圧下を行うことが好ましく、0.7mm/min以上1.8mm/min以下の圧下速度とすることがより好ましい。ここで、中心固相率fsが0超0.3未満の範囲において、凝固シェル21の内側の先端は、デンドライト凝固をしている。第1軽圧下工程では、圧下によって物理的な応力が加わることで、凝固シェル21の内側のデンドライト先端が破壊される。そして、破壊されたデンドライト先端が鋳片3の中心部が凝固する際の核となることで、鋳片3の中心部が凝固した際に微細な等軸晶組織が生成される。圧下速度が0.7mm/min未満の場合、デンドライトの破壊効果が十分に得られない可能性がある。一方、圧下速度が1.8mm/min超の場合、鋳片3の内部に割れが発生する可能性があるため望ましくない。なお、圧下速度は、決められた鋳造速度(鋳造方向への鋳片3の引き抜き速度)に応じて、複数の第1軽圧下ロール12のロールギャップを調整すること、または設定されたロールギャップに対して鋳造速度を調整することで設定される。後述する複数の第2軽圧下ロール13についても同様の方法で圧下速度が設定される。
第1軽圧下工程の後、中心固相率fsが0.3以上0.7以下となる鋳造位置である第2区間では、複数の第2軽圧下ロール13によって、0.5mm/min以上1.5mm/min以下の圧下速度で圧下が行われる(第2軽圧下工程)。第2軽圧下工程では、複数の第2軽圧下ロール13によって、凝固収縮を補償するように軽圧下を加えることが好ましく、0.5mm/min以上1.5mm/min以下の圧下速度とすることがより好ましい。第2軽圧下工程では、圧下によって凝固収縮が補償されることで、中心偏析粒の細かい鋳片3が鋳造される。これにより、鋳片3の内部における、PやS,Mn等の溶質元素の中心偏析を低減することができる。圧下速度が0.5mm/min未満の場合、凝固収縮を十分に補償できないため、中心偏析の改善効果が得られない可能性がある。一方、圧下速度が1.5mm/min超の場合、凝固収縮以上に圧下が行われるため、偏析が悪化してしまう可能性がある。
さらに、本実施形態に係る鋼の連続鋳造方法では、温度勾配及び凝固速度が制御され、中心固相率fsが0.3である場合に、温度勾配と凝固速度とが下記(1)式を満たす条件で鋳造が行われる。(1)式は、J.D.Huntの式(MaterialScience and Engneering,65(1984)74)を簡略化したものであり、(1)式において、Gは鋳片3の内部の凝固界面における液相側の温度勾配であり鋳片3の内部の固相率が0.99となる点の凝固進行方向への温度勾配(℃/min)であり、Vは鋳片3の気液界面の移動速度(mm/min)である。(1)式を満たすようにすることで、圧下により破壊されたデンドライトが再溶解されないようになることから、効率良く等軸晶の核を形成することができる。温度勾配及び凝固速度の制御は、連続鋳造設備1の冷却設備の冷却による温度勾配及び凝固速度への影響が伝熱計算等によって予め計算され、この計算結果から冷却設備での水の噴射量や噴射領域が調整されることで行われる。なお、温度勾配及び凝固速度の制御では、冷却設備での調整に加えて、鋳造速度の調整も行われてもよい。
Figure 2020146735
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、図1に示す連続鋳造機1を用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。連続鋳造機は、ブルーム等の鋳片を連続鋳造する一般的なものであれば、連続鋳造機の形状や各ロールの配置等は上記実施形態に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、鋳造される溶鋼2の炭素濃度が0.4wt%以上であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明は、PやS、Mn等の溶質元素の濃度が高く中心偏析が問題となる鋼種であれば、炭素濃度が0.4wt%未満の鋼種に適用してもよい。
さらに、上記実施形態では、第1軽圧下ロール12及び第2軽圧下ロール13が図1に示す構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。第1軽圧下ロール12及び第2軽圧下ロール13は、必ずしも異なるセグメントに設けられなくてもよく、例えば一部のロールが同じセグメントに設けられてもよい。また、第1軽圧下ロール12及び第2軽圧下ロール13は、それぞれ複数本以上あればよく、それぞれ2本または4本以上であってもよい。さらに、第1軽圧下ロール12及び第2軽圧下ロール13は、隣接して設けられなくてもよく、第1軽圧下ロール12と第2軽圧下ロール13との間に圧下を施さないロールが設けられてもよい。さらに、第1軽圧下ロール12と第2軽圧下ロール13とが隣接して設けられる場合、鋳造方向の最下流側の第1軽圧下ロール12と鋳造方向の最上流側の第2軽圧下ロール13とが同じロールであってもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る鋼の連続鋳造方法は、炭素濃度が0.4wt%以上の高炭素鋼を鋳造する、鋼の連続鋳造法であって、鋳片3の中心固相率が0.3となる鋳造位置において、凝固界面における液相側の温度勾配G(℃/min)と凝固速度V(mm/min)とが(1)式の関係を満たす条件で鋳造を行い、中心固相率が0超0.3未満となる鋳造位置において、複数の第1軽圧下ロール12で鋳片を厚み方向に圧下し、中心固相率が0.3以上0.7以下となる鋳造位置において、複数の第2軽圧下ロール13で鋳片を厚み方向に圧下する。
上記(1)の構成によれば、第1軽圧下ロール12による圧下によって、凝固シェル21の内側のデンドライト先端が破壊される。そして、破壊されたデンドライトが、鋳片3の中心部の凝固核となることで、微細な等軸晶組織が生成される。また、温度勾配Gと凝固速度Vとを制御することにより、圧下により破壊されたデンドライトが再溶解されなくなり、効率良く等軸晶の核を形成することができる。さらに、第2軽圧下ロール13による圧下によって、凝固収縮が補償され、凝固末期の濃化溶鋼の流動が抑制される。これにより、電磁攪拌や打撃エネルギーを与えるような新たな設備導入を行うことなく、安価な方法で鋳片の中心組織を等軸晶化することができる。
(2)上記(1)の構成において、複数の第1軽圧下ロール12による圧下では、鋳片3の圧下速度を、0.7mm/min以上1.8mm/min以下とし、第2軽圧下ロール13による圧下では、鋳片3の圧下速度を、0.5mm/min以上1.5mm/min以下とする。
上記(2)の構成によれば、複数の第1軽圧下ロール12による圧下では、デンドライトの破壊効果を十分に得ることができ、鋳片3の内部割れの発生も防止することができる。また、第2軽圧下ロール13による圧下では、鋳片3の凝固収縮を圧下により十分に補償することができ、さらに圧下を凝固収縮以上しないことで偏析の圧下を抑制することができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、図1に示した連続鋳造機1と同じ構成であって、機長が19.9m、湾曲半径が15m、鋳造される鋳片3の断面サイズが410mm×250mmのブルーム連続鋳造機を用いて鋳片3を連続鋳造した。なお、モールド11に注入される溶鋼2は、成分としてC:0.7wt%、Si:0.2wt%、Mn:0.9wt%を含むものを用いた。また、鋳片3の引き抜き速度を0.8m/minとし、溶鋼過熱度を20℃とした。溶鋼過熱度は、モールド11に注入される前に溶鋼2が収容される中間容器であるタンディッシュ内での、溶鋼2の温度から液相線温度を差し引いた温度である。
また、実施例では、鋳片3の中心固相率fsが0超0.7以下となる鋳造位置に、第1軽圧下ロール12及び第2軽圧下ロール13を備えたセグメントをそれぞれ設置した。そして、設定される鋳造速度に対して、それぞれの鋳造位置で圧下速度が、0.3mm/min〜2.0mm/minになるように圧下勾配をそれぞれ設定し連続鋳造を行った。
実施例では、中心部の凝固組織を確認するため、以下の方法で鋳片3の調査を行った。まず、鋳片の中心部分を、厚み50mm、幅410mm、長さ80mmの大きさに切り出すことで、サンプルを採取した。次いで、採取したサンプルの鋳造方向に平行な断面を、飽和ピクリン酸を用いてエッチングすることで、マクロ組織を現出させた。さらに、現出した組織を目視観察することで、凝固組織の種類を確認した。凝固組織の確認では、サンプルの中心組織が柱状晶であるか等軸晶であるかの確認と、内部割れの有無の確認とを行った。その後、エッチングを施した鋳片の厚み中央部で観察される偏析粒径が5mm程度のマクロ偏析及び偏析粒径が1mm程度のセミマクロ偏析粒を写真撮影する。次いで、撮影した写真を画像解析して、偏析粒の平均面積を測定し、この平均面積から円相当の平均粒径(平均偏析粒径)を算出することで偏析粒の大きさを評価した。
なお、実施例の各条件において、中心固相率が0.3≦fs≦0.7の範囲における圧下速度は、0.2mm/minとした。
表1には、中心固相率が0<fs<0.3の範囲において、(1)式中のG/√Vの値及び第1軽圧下ロール12における圧下速度をそれぞれ変えた複数の条件でそれぞれ鋳造された鋳片3の中心組織と内部割れの有無とについて調査した結果を示す。表1の結果から、0<fs<0.3の範囲において、G/√Vが0.27以下かつ圧下速度が0.7mm/min以上の条件において中心組織が等軸晶になっていることが見て取れる。ただし、圧下速度が1.8mm/minより大きい場合には内部割れが発生してしまうため、圧下速度が0.7mm/min以上1.8mm/min以下であることが必要となることが確認できた。
Figure 2020146735
また、図2には、G/√Vを0.27以下かつ0<fs<0.3の範囲における圧下速度を1.0mm/minに制御した際の、0.3≦fs≦0.7の範囲における圧下速度と平均偏析粒径との関係を示す。
図2に示すように、G/√Vを0.27とした条件では、圧下速度が0.5mm/min以上1.5mm/min以下の範囲で偏析粒径が小さく、中心偏析の改善効果が得られていることが見て取れる。一方、圧下速度が0.5mm/min未満では、凝固収縮を補償できていないため偏析改善効果が得られず、平均偏析粒径が大きくなることが確認できた。また、1.5mm/min超では、圧下過多による偏析悪化(逆V偏析)によって、平均偏析粒径が大きくなることが確認できた。これらの結果から、上記実施形態に係る鋼の連続鋳造方法によれば、鋳片の溶質元素の中心偏析をさらに低減できることが確認できた。
1 連続鋳造機
11 モールド
12 第1軽圧下ロール
13 第2軽圧下ロール
2 溶鋼
21 凝固シェル
3 鋳片

Claims (2)

  1. 炭素濃度が0.4wt%以上の高炭素鋼を鋳造する、鋼の連続鋳造法であって、
    鋳片の中心固相率が0.3となる鋳造位置において、凝固界面における液相側の温度勾配G(℃/min)と凝固速度V(mm/min)とが(1)式の関係を満たす条件で鋳造を行い、
    前記中心固相率が0超0.3未満となる鋳造位置において、複数の第1軽圧下ロールで前記鋳片を厚み方向に圧下し、
    前記中心固相率が0.3以上0.7以下となる鋳造位置において、複数の第2軽圧下ロールで前記鋳片を厚み方向に圧下する、鋼の連続鋳造方法。
    Figure 2020146735
  2. 前記複数の第1軽圧下ロールによる圧下では、前記鋳片の圧下速度を、0.7mm/min以上1.8mm/min以下とし、
    前記複数の第2軽圧下ロールによる圧下では、前記鋳片の圧下速度を、0.5mm/min以上1.5mm/min以下とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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